JP2023060299A - 敗血症の治療のための、ワルトンジェリーから取得された間葉系幹細胞 - Google Patents

敗血症の治療のための、ワルトンジェリーから取得された間葉系幹細胞 Download PDF

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Abstract

【課題】治療のためのワルトンジェリー由来ヒト間葉系幹細胞を調製するための方法の提供。【解決手段】ワルトンジェリーから臨床グレードの間葉系幹細胞を調製するための方法であって、(i)細胞接着のために臨床グレードの培養培地でワルトンジェリーを含むヒトの臍帯組織を培養するステップと、(ii)血小板のライセートを含む培地で接着細胞をインキュベートするステップと、を含み、前記組織が、以下の基準:出産の間にオキシトシンの投与を受けた;管理された分娩により出産を行った;正期産を行った;妊娠中に子癇前症を呈さず、その小児が新生児障害を呈さなかった;および妊娠中に煙草の煙を摂取した;のうちの少なくとも1つを満たす母体に由来することを特徴とする、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、特に敗血症の治療のための、ワルトンジェリー由来のヒトの間葉系幹細胞、それらを調製するための方法、およびそれらの治療での使用に関する。
ほとんど知られてはいないが、敗血症性ショックは、心筋梗塞と並び、世界で11番目に多い死因を表している。この主因は、心臓発作ではない蘇生室(non-coronary resuscitation unit)における入院および死亡であり(その発生率は、100,000人の住人あたり50~100症例である)、近年増加し続けている(Dombrovskiy et al., 2007)。平均余命の増加、増加する多剤耐性細菌の数、およびより高頻度な診断が、この現象の原因である。
敗血症性ショックの生理的病態は、特に複合的であり(Iskander et al., 2013)、炎症促進性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインの両方を同時に含み、かつ、免疫抑制状態(immunoparalysis)を含む。従来の薬学的分子は、免疫系を強化しつつ、炎症的な態様および抗炎症的な態様の両方に作用することができないため、敗血症性ショックに特有の治療は存在しない。
しかしながら、内毒血症および腹膜炎のマウスモデルを使用した多くの研究が、間葉系幹細胞(MSC)の、IL6、IL1β、IL12、IL2、およびIL17の血漿中レベルを低下させる特性(Chao et al., 2014a; Kim et al., 2014; Luo et al., 2014; Pedrazza et al., 2014)、ならびに、肺、肝臓、および腸(Gonzalez-Rey et al., 2009)または気管支肺胞洗浄液(Mei et al., 2010a)においてTNFα、IL6、IL1β、IL12の組織中の濃度を低下させる特性を明らかにした。
組織における好中球の遊走を限定するMSCの特性は、組織に及ぼす有害な炎症作用の緩和を支援する(Rojas et al., 2014)。盲腸結紮穿刺(caecal ligation and puncture:CLP)により多微生物性敗血症に供したマウス、または内毒血症により敗血症に供したマウスの組織切片の研究は、MSCで処理した際に、肺および腎臓の組織の炎症の低減を示す(Krasnodembskaya et al., 2010)。同様に、これらのマウスは、生理食塩水溶液により処理されたマウスよりも有意に良好である、アミラーゼ血症(amylasemia)、クレアチニン血症(creatininemia)、ビリルビン血症、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)、およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)などの機能的な臓器の生物学的なマーカーを提示する(Luo et al., 2014; Pedrazza et al., 2014)。
組織の変化を限定する特性に加え、MSCは、敗血症性ショックの間に細菌のクリアランスを増大させることができる。実際に、いくつかのチームは、敗血症のマウスへのMSCの注射が、単球、マクロファージ、および好中球の食作用の活性を増大させることにより、同様にMSC自身によるLL-37およびヘプシジンなどの抗菌性ペプチドの合成および分泌を介して、菌血症の低減をもたらすことを示した(Alcayaga-Miranda et al., 2015; Devaney et al., 2015; Gonzalez-Rey et al., 2009; Hall et al., 2013; Krasnodembskaya et al., 2010; Mei et al., 2010b)。
さらにMSCは、肝臓、腎臓、および肺などの損傷を受けた臓器に向かい、ケモカインの勾配に沿って遊走する傾向を自身に提供する固有の「ホーミング(homing)」の特性を呈する。この損傷した組織に到達する特性は、敗血症性ショックなどの臓器不全の病態の観点から、特に注目されているMSCの特性である(Wannemuehler et al., 2012)。
最後に、重篤な敗血症のマウスモデルにおけるMSCの注射を介した組織病変の低減は、生存率を高める。多くの研究が、敗血症の前後にMSCにより処置された動物の死亡率の有意な低下を明らかにしている(Alcayaga-Miranda et al., 2015; Devaney et al., 2015; Gonzalez-Rey et al., 2009; Krasnodembskaya et al., 2012; Luo et al., 2014; Nemeth et al., 2009)。よって、超炎症(hyper-inflammation)を制御し、組織病変を緩和する特性を介して、MSCは、敗血症性ショック後の生存率を有意に向上できると思われる。
3つの主要なMSCの供給源:骨髄(BM)、脂肪組織、および臍帯のワルトンジェリー(WG)が存在する。BM由来のMSCと比較して、麻酔を用いることなく単純で非侵襲的な方法で得られるWG由来のMSCは、BMの回収に関連するリスクを打開することにより、MSCの提供をより一般的に使用することを可能にする。しかしながら、BM由来のMSCまたは脂肪組織由来のMSCは、敗血症性ショックの動物モデルにおいて研究されてきたが、ワルトンジェリー由来のMSCのこの点に関する可能性は、依然として報告が不十分である。
今日まで、5つの刊行物のみが、CLPのマウスモデルを使用することにより敗血症性ショックに関するWG-MSCの治療上の可能性を解析していた(Chao et al., 2014a; Condor et al., 2016; Wu et al., 2015; Zhao et al., 2014)。しかしながら、これらの研究で使用された細胞は、未処理の(fresh)細胞である。恐らくは一般的な知識である幹細胞の薬理的および免疫調節的な可能性に及ぼす凍結および解凍の影響のため、敗血症性ショックの症状において解凍された(thawed)WG-MSCに関連する研究は、今まで公開されていない(Francois et al., Cytotherapy, 2012.14(2):147-52; Chinnadurai et al., 2016; Moll et al., 2016)。
さらに、MezeyおよびNemeth(2015)は、後に注射する場合のMSCの抗菌的特性の低減を記載していた。
その結果、現在、これらの技術的な制約は、治療的な処置に関する臨床条件の下でのWG-MSCの使用を妨げている。
全ての予想を裏切り、本発明の発明者らは、解凍されたWG-MSCがその治療上の潜在能力を保持しており、敗血症の治療に使用できることを最初に示した。
本発明は、敗血症(特に敗血症性ショック)の治療に使用するための、ワルトンジェリー由来の解凍されたヒトの間葉系幹細胞(MSC)に関する。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、CD90、CD73、CD105、CD29、CD44、CD146、CD166、HLA-ABCから選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルが、ワルトンジェリー由来の未処理のヒトのMSCにおける同マーカーの発現レベルより少なくとも10%低いことを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、マーカーCD90の発現レベルが、ワルトンジェリー由来の未処理のヒトのMSCにおけるマーカーCD90の発現レベルより少なくとも10%低いことを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記MSCが、ACTB、ANXA1、CAPZB、LASP1、PRDX2、PRDX3、PSA3、RS12、およびSYWCを含む群から選択される少なくとも1つのタンパク質を発現することを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記MSCが、ACTS、AL1B1、ANX10、GBB1、GBB2、GPRIN1、DTNA、MIPO1、PSB3、およびPSDEを含む群から選択される少なくとも1つのタンパク質を実質的に発現しないことを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記MSCが、in vitroの条件および/または非炎症性の条件において、BMP-7、IGFBP-1、インスリン、FGF-7、NT-4、およびVEGF-Dから選択される少なくとも1つの増殖因子を分泌することを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記MSCが、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、BMP-7およびTGFβ3から選択される少なくとも1つの増殖因子を分泌することを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記MSCが、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、IGFBP-1を実質的に分泌しないことを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記MSCが、ワルトンジェリー由来の未処理のヒトのMSCより少なくとも1.2倍多くVEGFを分泌することを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記MSCが、ワルトンジェリー由来の未処理のヒトのMSCと比較して、少なくとも5%、患者における血清中のVEGFの濃度の増大を誘導することを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記細胞が、以下の基準:出産の間にオキシトシンの投与を受けた;管理された分娩(directed labour)により出産を行った;正期産を行った;妊娠中に子癇前症を呈さず、その小児が新生児障害を呈さなかった;および妊娠中に煙草の煙を摂取した;のうちの少なくとも1つを満たす母体に由来するヒトの臍帯組織から得られることを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記MSCが、臨床グレードの細胞であることを特徴とする。
一実施形態では、本発明のワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCは、上記細胞が、解凍後に再度培養することなく解凍から直接得られることを特徴とする。
また本発明は、敗血症の治療に使用するための、本発明に係るワルトンジェリー由来の解凍されたヒトのMSCと薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
また本発明は、ワルトンジェリーから臨床グレードの間葉系幹細胞を調製するための方法であって、
(i)細胞接着のために臨床グレードの培養培地でワルトンジェリーを含むヒトの臍帯組織を培養するステップと、
(ii)血小板のライセートを含む培地で、接着細胞をインキュベートするステップと、
を含み、
前記組織が、以下の基準:出産の間にオキシトシンの投与を受けた;管理された分娩により出産を行った;正期産を行った;妊娠中に子癇前症を呈さず、その小児が新生児障害を呈さなかった;および妊娠中に煙草の煙を摂取した;のうちの少なくとも1つを満たす母体に由来することを特徴とする、
方法に関する。
定義
本発明では、以下の用語を、以下の様式で定義する。
「新生児障害の不存在」は、新生児が、未熟児の兆候を呈さず、子宮内胎児発育遅延の兆候を呈さず、かつ胎児仮死(foetal distress)の兆候を呈していない事実を意味する。未熟児は、無月経の週数により決定される。子宮内胎児発育遅延は、出生時の体重、出生時の大きさ、および頭囲により決定される。胎児仮死は、臍帯血の動脈のpHと、A=見かけ(皮膚の色)、P=心拍数、G=渋面(刺激に対する反射)、A=活動性(筋緊張)、R=呼吸(呼吸努力)により定義されるアプガー指数とによって決定される。新生児が新生児障害を呈していないことを決定するためのこれらのパラメータに関する閾値は、当業者によく知られている。
「正期産を行うこと」は、少なくとも39.5週の無月経の後に、3.2kg超の出生時の体重を有する新生児を出産し、分娩時の胎盤の重量が550グラム超である分娩を意味する。
「管理された分娩により出産を行うこと」は、オキシトシンの投与または羊膜腔の人工的な破水を行うことにより支援される分娩を意味する。
「臨床グレードの細胞」は、細胞の単離、培養、凍結保存、および解凍の間に、非ヒト動物の血清などの非ヒトの動物由来の物質と接触していない細胞を意味する。臨床グレードの細胞は、ヒトでの使用に適合しており、Good Practices of pharmaceutical productionに準拠した培養条件下で産生された細胞である。
「凍結保存された幹細胞」は、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)を含む凍結保護物質溶液の存在下で、非常に低温、好ましくは-150℃~-196℃で保存された幹細胞を意味する。
「間葉系幹細胞」は、骨髄、脂肪組織、および臍帯などの成体の生物の様々な組織で見いだされる、中胚葉性組織に由来する多分化性幹細胞を意味する。これらの間質細胞は、自己再生でき、少なくとも、限定するものではないが骨、軟骨、脂肪組織、ならびに髄質性間質(medullary stroma)、平滑筋、靭帯、および腱の細胞を含む、骨芽細胞、軟骨細胞、および脂肪細胞の系統に分化することができる。
「解凍されたヒトの間葉系幹細胞」は、ヒト組織から単離されており、凍結保存された幹細胞の解凍プロセスを経た、間葉系幹細胞を意味する。
「未処理のヒトの間葉系幹細胞」は、ヒト組織から単離されており、凍結-解凍プロセスを経ていない、間葉系幹細胞を意味する。
「ワルトンジェリー」は、胚外中胚葉由来の結合組織を意味し、2つの臍動脈と臍静脈とを覆うことによって臍帯を保護する。
「敗血症」は、病原微生物、特に細菌による、生物の一般的であり重篤な感染症を意味する。敗血症は、感染症に対する生物の不適切な応答に続発する臓器不全として定義される。重症度に応じて、敗血症状態は、2つのオーダー:狭義の敗血症(sepsis stricto sensu)および敗血症性ショックに分類することができる(“The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3)”, JAMA. 2016; 315(8): 801-810)。最も狭い定義による敗血症は、2以上のSOFAスコア(Sequential Organ Failure Assessment Score)を伴う感染症、または臓器不全が感染症の前に存在した場合は2ポイント以上のSOFAスコアの増加を伴う感染症に、臨床的に関連する。敗血症性ショックは、適切な血液充填を行っても、MAP[平均動脈圧]≧65mmHgとするのに十分に(q.s.f)昇圧剤の使用を必要とし、および/または乳酸塩血症(lactatemia)>2mmol/L(すなわち18mg/dL)を呈する、敗血症に関連している。
詳細な説明
本発明は、敗血症、特に敗血症性ショックの治療に使用するための、間葉系幹細胞(MSC)に関する。
一実施形態では、MSCは、動物の幹細胞、好ましくは哺乳類の幹細胞、より好ましくはヒトの幹細胞である。特定の実施形態では、MSCは、ヒトの幹細胞である。
一実施形態では、MSCは、ワルトンジェリー由来、骨髄由来、および/または脂肪組織由来である。一実施形態では、MSCは、ワルトンジェリー由来である。一実施形態では、MSCは、骨髄由来である。一実施形態では、MSCは、脂肪組織由来である。好ましくは、MSCは、ワルトンジェリー由来である。
一実施形態では、MSCは解凍されており、すなわち凍結-解凍プロセスを経ている。
よってより具体的には、本発明は、敗血症、特に敗血症性ショックの治療に使用するための、解凍された、ワルトンジェリー由来のヒトの間葉系幹細胞(WG-MSC)に関する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCとは異なる表現型の特性を有する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、
細胞の少なくとも60%が、以下の抗原:CD90、CD73、CD105、CD44を発現し;
細胞の少なくとも80%が、以下のマーカー:CD34、CD11b、CD19、CD45、HLA-DRを発現せず;
細胞の少なくとも10%がマーカーCD106を発現する
ことを特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、
細胞の少なくとも60%が、以下の抗原:CD90、CD73、CD105、CD44を発現し;
細胞の少なくとも80%が、以下のマーカー:CD34、CD11b、CD19、CD45、CD144、HLA-DRを発現せず;
細胞の少なくとも10%がマーカーCD106を発現する
ことを特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、CD90、CD73、CD105、CD29、CD44、CD146、CD166、HLA-ABCから選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおける同マーカーの発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーCD90の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD90の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
「CD90」は、膜糖タンパク質のThy-1を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P04216のヒトのタンパク質CD90がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーCD73の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD73の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
「CD73」は、エクト-5’-ヌクレオチダーゼの酵素(またはNT5E)を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P21589のヒトのタンパク質CD73がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーCD105の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD105の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
「CD105」は、膜糖タンパク質のエンドグリンを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P17813のヒトのタンパク質CD105がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーCD29の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD29の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
「CD29」は、タンパク質のインテグリンβ-1を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P05556のヒトのタンパク質CD29がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーCD44の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD44の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
「CD44」は、ヒアルロナン受容体を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P16070のヒトのタンパク質CD44がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーCD146の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD146の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
「CD146」は、メラノーマ細胞接着分子(MCAM)を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P43121のヒトのタンパク質CD146がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーCD166の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD166の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
「CD166」は、活性化白血球細胞接着分子(Activated Leukocyte Cell Adhesion Molecule:ALCAM)を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号Q13740のヒトのタンパク質CD166がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーHLA-ABCの発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーHLA-ABCの発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
「HLA-ABC」は、主要組織適合遺伝子複合体クラスIの表面の受容体を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号O19689のヒトのHLA-ABCがある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、CD13およびSox-2から選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおける同マーカーの発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上高いことを特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーCD13の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD13の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上高いことを特徴とする。
「CD13」は、膜のアラニルアミノペプチダーゼを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P15144のヒトのタンパク質CD13がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、マーカーSox-2の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーSox-2の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上高いことを特徴とする。
「Sox-2」は、転写因子SRYボックス2(SRY-box 2)を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P48431のヒトのタンパク質Sox-2がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、継代培養における少なくとも1回の継代後に、CD44およびSSEA-4から選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおける同マーカーの発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、継代培養における少なくとも1回の継代後に、マーカーCD44の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD44の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、継代培養における少なくとも1回の継代後に、マーカーSSEA-4の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーSSEA-4の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上低いことを特徴とする。
「SSEA-4」は、末端のシアル酸残基を含むスフィンゴ糖脂質からなる膜のガングリオシド(期に特異的な胚性抗原4:Stage-Specific Embryonic Antigen 4)を意味する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、継代培養における少なくとも1回の継代後に、CD90、CD166、およびHLA-ABCから選択される少なくとも1つのマーカーの発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおける同マーカーの発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上高いことを特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、継代培養における少なくとも1回の継代後に、マーカーCD90の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD90の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上高いことを特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、継代培養における少なくとも1回の継代後に、マーカーCD166の発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーCD166の発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上高いことを特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、継代培養における少なくとも1回の継代後に、マーカーHLA-ABCの発現レベルが、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCにおけるマーカーHLA-ABCの発現レベルより、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、またはそれ以上高いことを特徴とする。
一実施形態では、マーカーの発現レベルは、当業者によく知られている方法により測定される。一実施形態では、マーカーの発現レベルは、フローサイトメトリーにより測定される。一実施形態では、マーカーの発現レベルは、平均蛍光強度(MFI)により測定される。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCと比較して差次的なタンパク質の発現を特徴とする。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、ACTB(細胞質内アクチン1)、ANXA1(アネキシンA1)、CAPZB(F-アクチンキャップタンパク質サブユニットβ)、LASP1(LIMおよびSH3のドメインタンパク質1)、PRDX2(ペルオキシレドキシン-2)、PRDX3(ミトコンドリアのチオレドキシン依存性ペルオキシドレダクターゼ)、PSA3(プロテアソームのサブユニットα3型)、RS12(40Sのリボソームタンパク質S12)、およびSYWC(細胞質内のトリプトファン-tRNAリガーゼ)を含むかまたはこれらからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を発現する。
一実施形態では、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCは、ACTB(細胞質内アクチン1)、ANXA1(アネキシンA1)、CAPZB(F-アクチンキャップタンパク質サブユニットβ)、LASP1(LIMおよびSH3のドメインタンパク質1)、PRDX2(ペルオキシレドキシン-2)、PRDX3(ミトコンドリアのチオレドキシン依存性ペルオキシドレダクターゼ)、PSA3(プロテアソームのサブユニットα3型)、RS12(40Sのリボソームタンパク質S12)、およびSYWC(細胞質内のトリプトファン-tRNAリガーゼ)を含むかまたはこれらからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を発現しないか、または実質的に発現しない。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCより、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、7.5倍、10.0倍、15.0倍、20.0倍、30.0倍、40.0倍、50.0倍多く、ACTB(細胞質内アクチン1)、ANXA1(アネキシンA1)、CAPZB(F-アクチンキャップタンパク質サブユニットβ)、LASP1(LIMおよびSH3のドメインタンパク質1)、PRDX2(ペルオキシレドキシン-2)、PRDX3(ミトコンドリアのチオレドキシン依存性ペルオキシドレダクターゼ)、PSA3(プロテアソームのサブユニットα3型)、RS12(40Sのリボソームタンパク質S12)、およびSYWC(細胞質内のトリプトファン-tRNAリガーゼ)を含むかまたはこれらからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を発現する。
「ACTB」は、タンパク質の細胞質内アクチン1を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P60709のヒトのACTBがある。
「ANXA1」は、タンパク質のアネキシン1を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P04083のヒトのANXA1がある。
「CAPZB」は、F-アクチンキャップタンパク質サブユニットβを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P47756のヒトのCAPZBがある。
「LASP1」は、LIMおよびSH3のドメインタンパク質1を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号Q14847のヒトのLASP1がある。
「PRDX2」は、ペルオキシレドキシン2を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P32119のヒトのPRDX2がある。
「PRDX3」は、ペルオキシレドキシン3(ミトコンドリアのチオレドキシン依存性ペルオキシドレダクターゼ)を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P30048のヒトのPRDX3がある。
「PSA3」は、プロテアソームのサブユニットα3型を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P25788のヒトのPSA3がある。
「RS12」は、40Sのリボソームタンパク質S12を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P25398のヒトのRS12がある。
「SYWC」は、細胞質内のトリプトファン-tRNAリガーゼを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P23381のヒトのSYWCがある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、ACTS(骨格筋のαアクチン)、AL1B1(ミトコンドリアのアルデヒドデヒドロゲナーゼX)、ANX10(アネキシンA10)、GBB1(グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(I)/G(S)/G(T)サブユニットβ-1)、GBB2(グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(I)/G(S)/G(T)サブユニットβ-2)、GPRIN1(神経突起成長のGタンパク質調節型のインデューサー1:G protein-regulated inducer of neurite outgrowth 1)、DTNA(ジストロブレビンα)、MIPO1(鏡像の多指症遺伝子1のタンパク質)、PSB3(プロテアソームサブユニットβ3型)、およびPSDE(26Sのプロテアソームの非ATPase調節サブユニット14)を含むかまたはこれらからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を発現しないかまたは実質的に発現しない。
一実施形態では、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCは、ACTS(骨格筋のαアクチン)、AL1B1(ミトコンドリアのアルデヒドデヒドロゲナーゼX)、ANX10(アネキシンA10)、GBB1(グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(I)/G(S)/G(T)サブユニットβ-1)、GBB2(グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(I)/G(S)/G(T)サブユニットβ-2)、GPRIN1(神経突起成長のGタンパク質調節型のインデューサー1)、DTNA(ジストロブレビンα)、MIPO1(鏡像の多指症遺伝子1のタンパク質)、PSB3(プロテアソームサブユニットβ3型)、およびPSDE(26Sのプロテアソームの非ATPase調節サブユニット14)を含むかまたはこれらからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を発現する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCより、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、7.5倍、10.0倍、15.0倍、20.0倍、30.0倍、40.0倍、50.0倍少なく、ACTS(骨格筋のαアクチン)、AL1B1(ミトコンドリアのアルデヒドデヒドロゲナーゼX)、ANX10(アネキシンA10)、GBB1(グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(I)/G(S)/G(T)サブユニットβ-1)、GBB2(グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(I)/G(S)/G(T)サブユニットβ-2)、GPRIN1(神経突起成長のGタンパク質調節型のインデューサー1)、DTNA(ジストロブレビンα)、MIPO1(鏡像の多指症遺伝子1のタンパク質)、PSB3(プロテアソームサブユニットβ3型)、およびPSDE(26Sのプロテアソームの非ATPase調節サブユニット14)を含むかまたはこれらからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を発現する。
「ACTS」は、タンパク質の骨格筋のαアクチンを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P68133のヒトのACTSがある。
「AL1B1」は、ミトコンドリアのアルデヒドデヒドロゲナーゼXを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P30837のヒトのAL1B1がある。
「ANX10」は、アネキシンA10を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号Q9UJ72のヒトのANX10がある。
「GBB1」は、グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(I)/G(S)/G(T)サブユニットβ-1を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P62873のヒトのGBB1がある。
「GBB2」は、グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(I)/G(S)/G(T)サブユニットβ-2を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P62879のヒトのGBB2がある。
「GPRIN1」は、神経突起成長のGタンパク質調節型のインデューサー1を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号Q7Z2K8のヒトのGPRIN1がある。
「DTNA」は、ジストロブレビンαを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号Q9Y4J8のヒトのDTNAがある。
「MIPO1」は、鏡像の多指症遺伝子1のタンパク質を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号Q8TD10のヒトのMIPO1がある。
「PSB3」は、プロテアソームサブユニットβ3型を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P49720のヒトのPSB3がある。
「PSDE」は、26Sのプロテアソームの非ATPase調節サブユニット14を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号O00487のヒトのPSDEがある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、継代培養における少なくとも1回の継代後に、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCより、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、7.5倍、10.0倍、15.0倍、20.0倍、30.0倍、40.0倍、50.0倍多く、AMPM2(メチオニンアミノペプチダーゼ2)、DJB11(dnaJホモログサブファミリーBのメンバー11)、K1C18(ケラチン(I型細胞骨格性)18)、K1C19(ケラチン(I型細胞骨格性)19)、K2C8(ケラチン(II型細胞骨格性)8)、LYSC(リゾチームC)、PDIA3(タンパク質のジスルフィドイソメラーゼA3)、TCTP(翻訳上制御された腫瘍タンパク質)、およびTGM2(タンパク質-グルタミン γグルタミルトランスフェラーゼ2)を含むかまたはこれらからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を、発現する。
「AMPM2」は、メチオニンアミノペプチダーゼ2を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P50579であるヒトのAMPM2がある。
「DJB11」は、dnaJホモログサブファミリーBのメンバー11を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号Q9UBS4であるヒトのDJB11がある。
「K1C18」は、ケラチン(I型細胞骨格性)18を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P05783であるヒトのK1C18がある。
「K1C19」は、ケラチン(I型細胞骨格性)19を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P08727のヒトのK1C19がある。
「K2C8」は、ケラチン(II型細胞骨格性)8を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P05787のヒトのK2C8がある。
「LYSC」は、リゾチームCを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P61626のヒトのLYSCがある。
「PDIA3」は、タンパク質のジスルフィドイソメラーゼA3を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P30101のヒトのPDIA3がある。
「TCTP」は、翻訳上制御された腫瘍タンパク質を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P13693のヒトのTCTPがある。
「TGM2」は、酵素のタンパク質-グルタミン γグルタミルトランスフェラーゼ2を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P21980のヒトのTGM2がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、継代培養における少なくとも1回の継代後に、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCより、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、7.5倍、10.0倍、15.0倍、20.0倍、30.0倍、40.0倍、50.0倍少なく、GSTP1(グルタチオンS-トランスフェラーゼP)、HSP7C(ヒートショックコグネイト71kDaタンパク質:heat shock cognate 71 kDa protein)、HSPB1(ヒートショックプロテインβ-1)、LEG1(ガレクチン-1)、S10AB(タンパク質S100-A11)、およびUBE2N(ユビキチン結合酵素E2 N)を含むか、またはこれらからなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を発現する。
「GSTP1」は、酵素のグルタチオン-S-トランスフェラーゼPを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P09211のヒトのGSTP1がある。
「HSP7C」は、ヒートショックコグネイト71kDaタンパク質を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P11142のヒトのHSP7Cがある。
「HSPB1」は、ヒートショックプロテインβ-1を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P04792のヒトのHSPB1がある。
「LEG1」は、ガレクチン-1を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P09382のヒトのLEG1がある。
「S10AB」は、タンパク質S100-A11を意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P31949のヒトのS10ABがある。
「UBE2N」は、ユビキチン結合酵素E2 Nを意味し、一例として、UniProtKB寄託番号P61088のヒトのUBE2Nがある。
一実施形態では、タンパク質の発現は、当業者によく知られている方法により測定される。一実施形態では、タンパク質の発現は、質量分析により測定される。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vitroの条件および/または非炎症性の条件において、BMP-7、IGFBP-1、インスリン、FGF-7、NT-4、およびVEGF-Dから選択される少なくとも1つの増殖因子を分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vitroの条件および/または非炎症性の条件において、in vitroの条件および/または非炎症性の条件における未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCより、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、7.5倍、10.0倍、15.0倍、20.0倍、30.0倍、40.0倍、50.0倍多く、BMP-7、IGFBP-1、インスリン、FGF-7、NT-4、およびVEGF-Dから選択される少なくとも1つの増殖因子を分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vitroの条件および/または非炎症性の条件において、BMP-7を、少なくとも50pg/mL、少なくとも100pg/mL、少なくとも150pg/mL、少なくとも200pg/mL、少なくとも250pg/mL、少なくとも300pg/mL、少なくとも350pg/mL、少なくとも400pg/mL、少なくとも450pg/mL、少なくとも500pg/mL、またはそれ以上、分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vitroの条件および/または非炎症性の条件において、IGFBP-1を、少なくとも20pg/mL、少なくとも25pg/mL、少なくとも30pg/mL、少なくとも35pg/mL、少なくとも40pg/mL、少なくとも45pg/mL、少なくとも50pg/mL、少なくとも55pg/mL、少なくとも60pg/mL、少なくとも65pg/mL、またはそれ以上、分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vitroの条件および/または非炎症性の条件において、インスリンを、少なくとも50pg/mL、少なくとも75pg/mL、少なくとも100pg/mL、少なくとも125pg/mL、少なくとも150pg/mL、少なくとも175pg/mL、少なくとも200pg/mL、少なくとも225pg/mL、少なくとも250pg/mL、少なくとも275pg/mL、またはそれ以上、分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vitroの条件および/または非炎症性の条件において、FGF-7を、少なくとも10pg/mL、少なくとも15pg/mL、少なくとも20pg/mL、少なくとも25pg/mL、少なくとも30pg/mL、少なくとも35pg/mL、少なくとも40pg/mL、少なくとも45pg/mL、少なくとも50pg/mL、少なくとも55pg/mL、少なくとも60pg/mL、少なくとも65pg/mL、またはそれ以上、分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vitroの条件および/または非炎症性の条件において、NT-4を、少なくとも45pg/mL、少なくとも50pg/mL、少なくとも55pg/mL、少なくとも60pg/mL、少なくとも65pg/mL、少なくとも70pg/mL、少なくとも75pg/mL、少なくとも80pg/mL、少なくとも85pg/mL、少なくとも90pg/mL、またはそれ以上分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vitroの条件および/または非炎症性の条件において、VEGF-Dを、少なくとも5pg/mL、少なくとも10pg/mL、少なくとも15pg/mL、少なくとも20pg/mL、少なくとも25pg/mL、少なくとも30pg/mL、少なくとも35pg/mL、少なくとも40pg/mL、少なくとも45pg/mL、少なくとも50pg/mL、またはそれ以上分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、BMP-7およびTGFβ3から選択される少なくとも1つの増殖因子を分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、in vivoの条件および/または炎症性の条件における未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCより、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、7.5倍、10.0倍、15.0倍、20.0倍、30.0倍、40.0倍、50.0倍多く、BMP-7およびTGFβ3から選択される少なくとも1つの増殖因子を分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、BMP-7を、少なくとも200pg/mL、少なくとも250pg/mL、少なくとも300pg/mL、少なくとも350pg/mL、少なくとも400pg/mL、少なくとも450pg/mL、少なくとも500pg/mL、少なくとも550pg/mL、少なくとも600pg/mL、少なくとも650pg/mL、少なくとも700pg/mL、少なくとも750pg/mL、またはそれ以上、分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、TGFβ3を、少なくとも20pg/mL、少なくとも25pg/mL、少なくとも30pg/mL、少なくとも35pg/mL、少なくとも40pg/mL、少なくとも45pg/mL、少なくとも50pg/mL、少なくとも55pg/mL、少なくとも60pg/mL、少なくとも65pg/mL、またはそれ以上、分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、IGFBP-1を分泌しないかまたは実質的に分泌しない。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、in vivoの条件および/または炎症性の条件における未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCより、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、7.5倍、10.0倍、15.0倍、20.0倍、30.0倍、40.0倍、50.0倍少なく、IGFBP-1を分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、IGFBP-1を、20pg/mL未満、少なくとも15pg/mL、少なくとも10pg/mL、少なくとも5pg/mL、少なくとも4pg/mL、少なくとも3pg/mL、少なくとも2pg/mL、少なくとも1pg/mL、またはそれより少なく、分泌する。
「BMP-7」は、骨形成タンパク質7を意味する。BMP-7の一例として、UniProtKB寄託番号P18075のヒトのBMP-7タンパク質がある。
「IGFBP-1」は、インスリン様増殖因子結合タンパク質1を意味する。IGFBP-1の一例として、UniProtKB寄託番号P08833のヒトのIGFBP-1タンパク質がある。
「インスリン」は、血中グルコースの吸収を促進するタンパク質のホルモンを意味する。インスリンの一例として、UniProtKB寄託番号P01308のヒトのインスリンがある。
「FGF-7」は、線維芽細胞増殖因子7を意味する。FGF-7の一例として、UniProtKB寄託番号P21781のヒトのFGF-7タンパク質がある。
「NT-4」は、ニューロトロフィン4を意味する。NT-4の一例として、UniProtKB寄託番号P34130のヒトのNT-4タンパク質がある。
「VEGF-D」は、血管内皮増殖因子Dを意味する。VEGF-Dの一例として、UniProtKB寄託番号O43915のヒトのVEGF-Dタンパク質がある。
「TGFβ3」は、トランスフォーミング増殖因子β3を意味する。TGFβ3の一例として、UniProtKB寄託番号P10600のヒトのTGFβ3タンパク質がある。
「in vitroの条件」は、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCが、生きている生物の外側、好ましくは患者の外側にある条件を意味する。
「in vivoの条件」は、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCが、生きている生物の内側、好ましくは患者の内側にあり、すなわちこれらが患者に投与された後である条件を意味する。
「非炎症性の条件」は、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCが、in vitroまたはin vivoにおいて、限定するものではないがTNF-αおよびIFN-γを含む炎症性サイトカインにより刺激されない条件を意味する。特に、非炎症性の条件は、in vivoの条件、好ましくは、健常または実質的に健常、すなわち敗血症を罹患していない患者の内側の条件として、定義することができる。
「炎症性の条件」は、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCが、in vitroまたはin vivoにおいて、限定するものではないがTNF-αおよびIFN-γを含む炎症性サイトカインにより刺激される条件を意味する。特に、炎症性の条件は、in vivoの条件、好ましくは敗血症を罹患している患者の内側の条件として、定義することができる。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、VEGFを分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCより、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、7.5倍、10.0倍、15.0倍、20.0倍、30.0倍、40.0倍、50.0倍多く、VEGFを分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、VEGFを、少なくとも500pg/mL、少なくとも600pg/mL、少なくとも700pg/mL、少なくとも800pg/mL、少なくとも900pg/mL、少なくとも1ng/mL、少なくとも1.25ng/mL、少なくとも1.5ng/mL、少なくとも1.75ng/mL、少なくとも2ng/mL、またはそれ以上分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、VEGFを分泌しないかまたは実質的に分泌しない。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCより、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、7.5倍、10.0倍、15.0倍、20.0倍、30.0倍、40.0倍、50.0倍少なく、VEGFを分泌する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、VEGFを、500pg/mL未満、少なくとも400pg/mL、少なくとも300pg/mL、少なくとも250pg/mL、少なくとも200pg/mL、少なくとも150pg/mL、少なくとも100pg/mL、少なくとも50pg/mL、またはそれより少なく、分泌する。
「VEGF」は、血管内皮増殖因子を意味する。VEGFの一例として、UniProtKB寄託番号P15692のヒトのVEGFタンパク質がある。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、in vivoの条件および/または炎症性の条件において、VEGFの分泌を誘導する。
いくつかの細胞は、VEGFを分泌する。このような細胞の例として、限定するものではないが、マクロファージ、単球、内皮細胞、筋線維芽細胞、軟骨細胞、および造血系細胞が挙げられる。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上の、血清中のVEGFの濃度の増大を誘導する。
一実施形態では、解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCは、未処理のMSC、好ましくは未処理のWG-MSCと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上の、VEGFの血漿中濃度の増大を誘導する。
一実施形態では、MSC、好ましくはWG-MSCは、非常に低温で保存される。一実施形態では、MSC、好ましくはWG-MSCは、約-20℃、好ましくは約-80℃、好ましくは-150℃~-196℃で保存される。一実施形態では、MSC、好ましくはWG-MSCは、凍結保護物質溶液の存在下で保存される。細胞用の凍結保護物質溶液は、当業者によく知られている。一実施形態では、凍結保護物質溶液は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ホルムアミド、ブテンジオール、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の凍結保護物質を含む。
一実施形態では、MSC、好ましくはWG-MSCは、従来の解凍プロトコルにより解凍される。例として、MSC、好ましくはWG-MSCは、37℃のウォーターバスで解凍され、次に、NaCl、アルブミン、およびACD-A(acid citrate dextrose formula A)を含む洗浄溶液の存在下で洗浄される。
本発明の特定の実施形態は、適切な血液充填にも関わらず、動脈性低血圧の発症もしくは持続、および/または末梢循環不全の兆候により定義される敗血症の最も重篤な形態である、敗血症性ショックの治療に使用するための、上述のように解凍されたWG-MSCに関する。
好適な実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、解凍後再度培養されることなく、解凍から直接得られる。
解析される細胞が凍結または解凍に供されておらず早期に敗血症性ショックのモデルの動物に投与される未処理の細胞であった従来の研究とは対照的に、本発明の結果は、臨床条件に適合する条件下のWG-MSC、すなわち敗血症の発症における解凍されたWG-MSCの後期での投与の有効性のエビデンスを、初めて提供する。
本発明は、解凍されたWG-MSCが、骨髄から単離された解凍済みのMSC細胞(BM-MSC)と比較できるレベルで、免疫調節および抗菌性の特性を保持しており、さらにWG-MSCの投与が、BM-MSCで処理したマウスの生存率と比較して、敗血症性ショックを罹患したマウスの生存率の増大を可能にすることを証明している。
これらの結果は、解凍されたWG-MSCが、敗血症性ショックの治療に関する臨床条件下での即座の使用に適切であることを示している。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、解凍後に洗浄されている。一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、解凍後に懸濁液に戻されている。一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、ヒドロキシエチルスターチ溶液での解凍後に、懸濁液に戻されている。一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、アルブミン溶液において解凍後に懸濁液に戻される。一実施形態では、アルブミン溶液は、4%のアルブミン溶液である。一実施形態では、アルブミン溶液はまた、NaClおよび/またはACD-Aを含む。
また本発明において、本発明者らは、初めて、分娩因子(obstetric factor)とWG-MSCの増殖との間の有意な相関を観測し、より良好な増殖能を有するWG-MSCを得るための臍帯の選択に関する基準を提供する。
本発明の1つの目的は、これらの基準を満たすヒトの臍帯組織由来のWG-MSCに関する。
これら基準は、(特に継代P1における)細胞数の倍加時間を低減することにより、細胞増殖を向上させることが観察されている。これらの基準はまた、短い倍加時間でより多数の細胞を取得することを可能にする。
好適な実施形態では、本発明で使用されるWG-MSCは、以下の基準:出産の間にオキシトシンの投与を受けた;管理された分娩により出産を行った;正期産を行った;妊娠中に子癇前症を呈さず、その小児が新生児障害を呈さなかった;および妊娠中に煙草の煙を摂取した;のうちの少なくとも1つを満たす母体に由来するヒトの臍帯組織に由来する。
本発明者らは、これらの分娩因子が、MSC、好ましくはWG-MSCの細胞増殖にプラスの影響を与え、良好な増殖特性を伴うMSC、好ましくはWG-MSCを選択することを可能にすることを観測した。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、臨床グレードの細胞である。
結果的に、本発明に使用されるいずれかの培養培地または試薬は、非ヒトの動物由来の物質を全く含まない。一実施形態では、使用されるいずれの培養培地および試薬も、非ヒトの動物由来の血清を含まない。一実施形態では、使用されるいずれの培養培地および試薬も、いずれの起源の血清、さらにはヒトの血清を含まない。
好適には、細胞接着のために本発明に使用される培養培地は、ヒトの血小板のライセートを含む。
本発明の別の目的は、敗血症の治療に使用するための、上述の解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCを含む組成物である。
本発明の別の目的は、敗血症の治療に使用するための、たとえば上述されたものなどの、ワルトンジェリー由来の臨床グレードの解凍された間葉系幹細胞を有効成分として含む医薬組成物である。
また上記組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。
本発明では、薬学的に許容される賦形剤は、非ヒトの動物由来の物質を含まず、毒性、刺激作用、または誘導型のアレルギー性の応答を伴うことない、ヒトの個体の細胞との接触での使用に適している賦形剤である。当業者は、本組成物の本草薬物的処方(galenic formulation)およびその投与方法に応じて、薬学的に許容される賦形剤を選択する方法を承知している。
例として、上記賦形剤は、4%のアルブミン、またはヒドロキシエチルスターチ溶液(HEA)130/0.42である。
上記医薬組成物は、注入製品の形態とすることができ、注入バッグにパッケージングすることができる。
本発明の別の目的は、敗血症の治療に使用するための、上述の解凍されたMSC、好ましくは解凍されたWG-MSCを含む医薬である。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、全身的または局所的に、患者に投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、静脈内、血管内、脳内、非経口的、腹腔内、硬膜外、脊髄内、胸骨内(intrastemal)、関節内、滑膜内、髄腔内、動脈内、心臓内、または筋肉内の経路により、患者に投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、ボーラス注射(急速注射(rapid injection)とも呼ばれる)または連続注入(遅行注射(slow injection)とも呼ばれる)により、患者に投与することができる。
好ましい実施形態では、敗血症の治療に使用するための臨床グレードの解凍されたWG-MSCは、静脈内投与される。
本発明では、上述した臨床グレードの解凍されたWG-MSCは、体重1kgあたり約0.3×10~3×10個の細胞、特に体重1kgあたり1×10個の細胞の用量で、敗血症を罹患した患者に投与することができる。当業者は、感染症の重症度、患者の体重、投与の回数または頻度によってこの用量を調節することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、10~10MSC/kg、好ましくは10~10MSC/kg、好ましくは10~10MSC/kgの範囲の用量で、患者に投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、1×10MSC/kg、2×10MSC/kg、3×10MSC/kg、4×10MSC/kg、5×10MSC/kg、6×10MSC/kg、7×10MSC/kg、8×10MSC/kg、9×10MSC/kg、1×10MSC/kg、2×10MSC/kg、3×10MSC/kg、4×10MSC/kg、5×10MSC/kg、6×10MSC/kg、7×10MSC/kg、8×10MSC/kg、9×10MSC/kg、1×10MSC/kgの用量で、患者に投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、10~10MSC/kg/日、好ましくは10~10MSC/kg/日、好ましくは10~10MSC/kg/日の範囲の用量で、患者に投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、1×10MSC/kg/日、2×10MSC/kg/日、3×10MSC/kg/日、4×10MSC/kg/日、5×10MSC/kg/日、6×10MSC/kg/日、7×10MSC/kg/日、8×10MSC/kg/日、9×10MSC/kg/日、1×10MSC/kg/日、2×10MSC/kg/日、3×10MSC/kg/日、4×10MSC/kg/日、5×10MSC/kg/日、6×10MSC/kg/日、7×10MSC/kg/日、8×10MSC/kg/日、9×10MSC/kg/日、1×10MSC/kg/日の用量で、患者に投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、10~10MSC/日、好ましくは10~10MSC/日、好ましくは10~10MSC/日の範囲の用量で、患者に投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、1×10MSC/kg/日、2×10MSC/日、3×10MSC/日、4×10MSC/日、5×10MSC/日、6×10MSC/日、7×10MSC/日、8×10MSC/日、9×10MSC/日、1×10MSC/日、2×10MSC/日、3×10MSC/日、4×10MSC/日、5×10MSC/日、6×10MSC/日、7×10MSC/日、8×10MSC/日、9×10MSC/日、1×10MSC/日の用量で、患者に投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、単回投与、または経時的に間隔をあけた複数回の投与で、投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、1日あたり1回、1日あたり2回、1日あたり3回、またはそれ以上投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、1日ごと、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごとに投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、1週間あたり1回、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごとに、投与することができる。
一実施形態では、本発明で使用されるMSC、好ましくはWG-MSCは、1ケ月あたり1回、1ケ月ごと、2ケ月ごと、3ケ月ごと、4ケ月ごと、5カ月ごと、6ケ月またはそれ以上の日数ごとに、投与することができる。
本発明では、上述した、解凍されたWG-MSCは、たとえば4%のアルブミン溶液(4g/100mL)またはヒドロキシエチルスターチ溶液(HEA)130/0.42といった適切な賦形剤において、使用する前に希釈することができる。
本発明に係る敗血症の治療のための解凍されたWG-MSCは、単独で使用することができ、あるいは、別の敗血症の治療、特に、抗菌薬による治療の前、間、または後に使用することができる。
一実施形態では、敗血症の治療は、当業者によく知られており、限定するものではないが、抗菌薬による治療、抗真菌薬による治療、血液充填、昇圧剤の投与、および副腎皮質ステロイド療法(corticotherapy)が挙げられる。
好適な実施形態では、敗血症の治療に使用するための臨床グレードの解凍されたWG-MSCは、抗菌薬による治療下にある敗血症を罹患した患者に、投与される。
一実施形態では、患者は、少なくとも1種の抗菌薬で治療されている。一実施形態では、患者は、少なくとも2種の抗菌薬で治療されている。一実施形態では、患者は、少なくとも3種以上の抗菌薬で治療されている。
敗血症の治療用の抗菌薬の例として、限定するものではないが、アンピシリン、アジスロマイシン、アズトレオナム、セファゾリン、セフェピム、クリンダマイシン、レボフロキサシン、リネゾリド、メロペネム、メトロニダゾール、ピペラシリン、タゾバクタム、トブラマイシン、およびバンコマイシンが挙げられる。
一実施形態では、敗血症の治療に使用するための臨床グレードの解凍されたWG-MSCは、抗真菌薬による治療下にある敗血症を罹患した患者に、投与される。
一実施形態では、患者は、少なくとも1種の抗真菌薬で治療されている。一実施形態では、患者は、少なくとも2種の抗真菌薬で治療されている。一実施形態では、患者は、少なくとも3種以上の抗真菌薬で治療されている。
敗血症の治療用の抗真菌薬の例として、限定するものではないが、アムホテリシンBデオキシコール酸塩、アニデュラファンギン、カスポファンギン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ミカファンギン、およびボリコナゾールが挙げられる。
一実施形態では、敗血症の治療に使用するための臨床グレードの解凍されたWG-MSCは、血液充填下にある敗血症を罹患した患者に、投与される。
血液充填は、血管内の容量を回復させることにより、血液量減少を訂正し、平均動脈圧を65mmHg超に維持し、低灌流の臨床兆候を限定することを可能にする。血液充填は、溶質を用いて行われる。
敗血症の治療における血液充填用の溶質の例として、限定するものではないが、コロイドおよび晶質が挙げられる。
一実施形態では、敗血症の治療に使用するための臨床グレードの解凍されたWG-MSCは、昇圧剤での治療下にある敗血症を罹患した患者に、投与される。
一実施形態では、患者は、少なくとも1種の昇圧剤で治療されている。一実施形態では、患者は、少なくとも2種の昇圧剤で治療されている。一実施形態では、患者は、少なくとも3種以上の昇圧剤で治療されている。
敗血症の治療用の昇圧剤の例として、限定するものではないが、カテコールアミン(ノルアドレナリンおよびアドレナリンを含む)、ならびにバソプレシンが挙げられる。
一実施形態では、敗血症の治療に使用するための臨床グレードの解凍されたWG-MSCは、副腎皮質ステロイドによる治療下にある敗血症を罹患した患者に、投与される。
一実施形態では、患者は、少なくとも1種の副腎皮質ステロイドで治療されている。一実施形態では、患者は、少なくとも2種の副腎皮質ステロイドで治療されている。一実施形態では、患者は、少なくとも3種以上の副腎皮質ステロイドで治療されている。
敗血症の治療用の副腎皮質ステロイドの例として、限定するものではないが、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、およびプレドニゾンが挙げられる。
他の治療の中には、敗血症に適切なものがあり、当業者によく知られている。このような治療の例として、限定するものではないが、AB103、組み換え型アルカリホスファターゼrecAP、CaCP29、活性型ドロトレコギン・アルファ、EA-230、エリトラン、エスモロール、GM-CSF、IFNγ、レネルセプト、レボシメンダン、LR12、セレプレッシン(selepressin)、タラクトフェリンアルファ(talactoferrin alpha)、およびヒト組み換え型トロンボモジュリンが挙げられる。
本発明の別の態様は、ワルトンジェリーから臨床グレードの間葉系幹細胞を調製するための方法に関する。本発明の方法は、良好な増殖能を有するWG-MSCを産生させることを目標とする。
一実施形態では、本発明の方法は、本発明で定義されるWG-MSCを産生させることを目標とする。一実施形態では、本発明の方法は、敗血症の治療に使用するための本発明で定義されるWG-MSCを産生させることを目標とする。
上記方法は、以下のステップ:
(i)細胞接着のため、ワルトンジェリーを含むヒトの臍帯組織を培養するステップと、
(ii)血小板のライセートを含む培地で、ステップ(i)で入手した前記接着細胞をインキュベートするステップと
を含む。
上記方法は、以下のステップ:
(i)細胞接着のための培養培地で、ワルトンジェリーを含むヒトの臍帯組織を培養するステップと、
(ii)血小板のライセートを含む培地で、ステップ(i)で入手した前記接着細胞をインキュベートするステップと
を含む。
一実施形態では、上記方法は、以下のステップ:
(i)細胞接着のための臨床グレードの培養培地で、ワルトンジェリーを含むヒトの臍帯組織を培養するステップと、
(ii)血小板のライセートを含む培地で、ステップ(i)で入手した前記接着細胞をインキュベートするステップと
を含み、
前記組織が、以下の基準:出産の間にオキシトシンの投与を受けた;管理された分娩により出産を行った;正期産を行った;妊娠中に子癇前症を呈さず、その小児が新生児障害を呈さなかった;および妊娠中に煙草の煙を摂取した;のうちの少なくとも1つを満たす母体に由来することを特徴とする。
母体に関連して臍帯を選択するための上述の基準は、より良好な増殖特性を有するWG-MSCを入手することを可能にする。
本発明では、ヒトの臍帯組織は、上記基準を満たす母体から分娩の直後に産科病棟で回収される。
一実施形態では、ヒトの臍帯は、選択され、培養される。一実施形態では、臍動脈および臍静脈は、臍帯の培養前に除去される。一実施形態では、臍動脈および臍静脈は、臍帯の培養前に除去されない。
一実施形態では、臍帯は、培養前に洗浄される。一実施形態では、臍帯は、α-MEM溶液、好ましくは臨床グレードのα-MEM溶液ですすぐ。一実施形態では、α-MEM溶液、好ましくは臨床グレードのα-MEM溶液は、少なくとも1種の抗菌薬および/または少なくとも1種の抗真菌薬をさらに含む。一実施形態では、上記少なくとも1種の抗菌薬は、ゲンタマイシン、アモキシシリン、およびバンコマイシンから選択される。一実施形態では、上記少なくとも1種の抗真菌薬は、アムホテリシンBである。
一実施形態では、臍帯を、培養前にすすぐ。一実施形態では、臍帯を、PBSの溶液ですすぐ。
一実施形態では、細胞接着に関するワルトンジェリーを含むヒトの臍帯組織の培養物は、乾燥した培養物である。一実施形態では、ステップ(i)で使用される細胞接着のための培養培地、好ましくは臨床グレードの培養培地は、α-MEM培地である。
一実施形態では、ステップ(ii)で使用される血小板のライセートを含む培地は、α-MEM培地である。一実施形態では、ステップ(ii)で使用される血小板のライセートを含む培地は、1~20%の血小板のライセート、好ましくは1%~15%、好ましくは1%~10%、好ましくは2.5%~7.5%、好ましくは約5%の血小板のライセートをさらに含む。一実施形態では、ステップ(ii)で使用される血小板のライセートを含む培地は、さらに少なくとも1種の抗菌薬を含む。一実施形態では、上記少なくとも1種の抗菌薬は、ゲンタマイシンである。一実施形態では、ステップ(ii)で使用される血小板のライセートを含む培地は、さらにヘパリンを含む。
一実施形態では、本発明に係る方法のステップ(ii)は、低酸素の条件下、好ましくは5%のCO/5%のOで行われる。一実施形態では、本発明に係る方法のステップ(ii)は、37℃で行われる。
一実施形態では、本発明に係る方法のステップ(ii)の実施の間、細胞を、最大80%±10%のコンフルエンスで培養する。
好適には、上記方法のステップ(ii)は、数回、特に2回または3回、反復される。本発明では、「継代」は、本方法のステップ(ii)の各反復を意味する。たとえば、本方法のステップ(ii)の最初の実施は、継代P0に対応し;その最初の反復は、第1の継代(または継代P1)に対応し;その第2の反復は、第2の継代(または継代P2)に対応し、その他の形態も同様である。
本発明では、ステップ(ii)を、80%±10%のコンフルエンスに達した後に反復する場合、当業者に知られているいずれかの技術、特に、臨床グレードのトリプシンの作用により、細胞を剥離する。
本発明では、ステップ(ii)の終了時に回収した細胞は、約-20℃、好ましくは約-80℃、好ましくは-150℃~-196℃、好ましくは約-150℃で凍結保存される。
本発明を、後述の図面および実施例で、より詳細に例示する。
図1Aおよび図1B:これらの図面はそれぞれ、嫌気条件(図1A)または好気条件(図1B)での脾臓1mgあたりのCFUの平均数を示す。これらの結果は、平均値±SEMとして示される。n=グループあたり7~12匹のマウス。*p<0.05 MSC対PBS 図2Aおよび図2B:これらの図面はそれぞれ、嫌気条件(図2A)または好気条件(図2B)での血液1mLあたりのCFUの数を示す。これらの結果は、平均値±SEMとして示される。n=グループあたり7~12匹のマウス。*p<0.05 MSC対PBS 図3A、図3B、図3C、図3D:これらの図面はそれぞれ、肺(図3A)、脾臓(図3B)、肝臓(図3C)、および大腿(図3D)における好中球の動態を示す。これらの結果は、平均値±SEMとして示される。n=グループあたり4~6匹のマウス。*p<0.05 MSC対PBS;**p<0.01 MSC対PBS;***p<0.001 MSC対PBS 同上。 図4A、図4B、図4C、図4D:これらの図面はそれぞれ、肺(図4A)および大腿(図4B)における単球の動態、または肺(図4C)および大腿(図4D)における炎症性単球の動態を示す。これらの結果は、平均値±SEMとして示される。n=グループあたり4~6匹のマウス。*p<0.05 MSC対PBS;**p<0.01 MSC対PBS;##p<0.01 BM-MSC対WG-MSC 同上。 この図面は、WG-MSCで処置したマウス、BM-MSCで処置したマウス、および未処置のマウスの、盲腸結紮穿刺後の生存率を示す。この結果は、カプランマイヤー曲線として示される。n=グループあたり18~25匹のマウス。*p<0.05 MSC対PBS 図6A、図6B、図6C、図6D、図6E、図6F、図6G、図6H:これらの図面は、処置していないブタと比較した、ブタにおける敗血症に及ぼすWG-MSCによる処置の影響を示す。図6Aは、WG-MSCで処置したグループおよび処置を行わなかったグループにおいて、時間の関数として酸素での静脈血飽和度を比較する(**p<0.01 WG-MSC対対照)。図6Bは、WG-MSCで処置したグループおよび処置を行わなかったグループにおいて、時間の関数として平均動脈圧の減少を比較する(**p<0.01 WG-MSC対対照)。図6Cは、WG-MSCで処置したグループおよび処置を行わなかったグループにおいて、時間の関数として、投与したノルアドレナリンの濃度を比較する(**p<0.0001 WG-MSC対対照)。図6Dは、WG-MSCで処置したグループおよび処置を行わなかったグループにおいて、時間の関数として、血漿中クレアチニン濃度を比較する(**p<0.01 WG-MSC対対照)。図6Eは、WG-MSCで処置したグループおよび処置を行わなかったグループにおいて、利尿を比較する。図6Fは、WG-MSCで処置したグループおよび処置を行わなかったグループにおいて、時間の関数として乳酸塩血症を比較する(**p<0.01 WG-MSC対対照)。図6Gは、WG-MSCで処置したグループおよび処置を行わなかったグループにおいて、時間の関数としてPaO/FiO比を比較する(*p<0.5 WG-MSC対対照)。図6Hは、WG-MSCで処置したグループおよび処置を行わなかったグループにおいて、時間の関数として動物の生存率を比較する。 同上。 同上。 同上。 図7Aおよび7B:これらの図面は、細胞増殖に及ぼす分娩因子の影響を示す(図7Aおよび7B)。倍加時間は、増殖に対して逆比例する。*:二変量の回帰ではp≦0.05、**:多変量の回帰ではp≦0.05
実施例1:WG-MSCの産生
WG-MSCの単離
ヒトの臍帯は、ドナーの母親に情報提供し、この母親の記載済みの同意書を入手した後に、ナンシーのRegional Teaching Hospital Center(Centre Hospitalier Regional Universitaire-CHRU)の産科病棟で回収された。臍帯を、回収培地に配置し、4℃に保存した。無菌のコンテナ(たとえばCryokits,Verreries Talanconnaises)の中に置かれた回収培地は、7近くのpHを確保するためのリン酸緩衝生理食塩水(PBS,Macopharma,BC0120020)、残存する血液の凝固を防止するためのヘパリン、抗菌薬(ゲンタマイシン)から構成されている。この臍帯は、回収後、輸送培地において4℃で24時間保存することができる。
受領した後、臍帯を、それぞれの最終濃度が0.5g/L;1g/L;1g/Lおよび0.05g/Lである、臨床グレードのα-MEM培養培地(Macopharma,BC0110010)におけるゲンタマイシン、アモキシシリン、バンコマイシン、およびアムホテリシンBから構成された抗菌性-抗真菌性溶液に、大気温度で1時間浸漬する。この溶液槽は、回収の間のコンタミネーションに続発する、培養の間の微生物発育のリスクを下げる。
臍帯をデコンタミネーションした後、臍帯の静脈および外側の部分は、PBSで洗浄する。PBS10mLを、シリンジを使用して臍静脈内に注射して、残存する血液を除去する。次に、この臍帯を、滅菌メスを使用して5cmの断片にあらかじめ切断し、次に、微細な横断面の切片(厚さ2~3mm)を作製する。次に、これらの断片を、取り外し可能な蓋を有する培養ディッシュ(TPP,90552)に配置する。ディッシュの底部に対するこの断片の乾燥接着を15分間行い、次に、ゲンタマイシンおよびヘパリンの存在下で、5%の血小板のライセート(Macopharma,BC0190020)により補充されたα-MEMから構成された完全培地を添加する。培養は、専用のインキュベーターで、5%のCOおよび低酸素(5%のO)下にて、37℃で行う。5日後に、培養培地を交換する。
約10日間の培養後に、WG-MSCは遊走し、培養ディッシュの底部に接着する。次に、これらの断片を、滅菌したプライヤを使用して除去し、ディッシュをPBSバッファーで洗浄する。次に、細胞を、15日~3週間(D14~D21)の間、コンフルエンス(>80%)となるまで培養する。
WG-MSCの培養
コンフルエンスに達した後、細胞を、組み換え型トリプシンGMP(TrypLE,Invitrogen)の作用により、剥離させる。
洗浄した後、この細胞を、継代1において1cmあたり1×10個の細胞で、完全培地に再度播種する。CellSTACK型である2つのステージの1270cmの表面積を有する培養ユニット(CELLSTACK2,Macopharma)、およびチムニーを備えるユニバーサルなキャップ(universal cap with chimney)(MPC cap,Macopharma)を使用する。播種キット(BC0400011,Macopharma)は、培地の様々な成分および細胞の適用を可能にするチューブ、ならびに培養容器に接続するための接続部(connection)のシステムを含む。
コンフルエンス(>80%)を得るまで(培養の開始後D7~D8の間)に、1週間あたり1回、培地を交換する。このために、培地の様々な成分を適用するためのチューブ、廃棄バッグ、および培養容器に接続するための接続部のシステムを含む、培地交換キット(BC0400021,Macopharma)、およびチムニーを備えるユニバーサルなキャップを使用する。しかしながら、ほとんどの時間、継代P1は、1週間持続し、培地の交換は必要ではない。
コンフルエンスを得た後、細胞を、マスターセルバンク(MCB)で凍結保存する。米国食品医薬品局(FDA)は、MCBを、組織または単一細胞に由来しており、定義した条件下にてアリコートで保存された、均一な組成物である細胞の集団と定義している。
細胞の最終的な回収
継代P1の終了時にコンフルエンスに達した後、細胞を、上述のようにトリプシンの作用により回収し、次に洗浄する。バイアビリティの確認および細胞の計数およびP1の様々な確認を行う(以下の表を参照)。次に、細胞を凍結する。
MSCおよびMCBの保存
MSCを、温度および窒素レベルを継続的にモニタリングしている(窒素蒸気中の)タンクに-150℃で保存する。さらに、対照を作製するための5~10本のMSCのサンプルチューブも、同様に凍結する。
MCBの解凍およびMSCの洗浄
MSCを、Sepax技術(Biosafe)を使用して解凍および洗浄し、次にP1に関するものと同じプロトコルにより、継代2および継代3の再播種を行う。
細胞の最終的な回収
継代P3の終了時にコンフルエンスに達した後、細胞を、上述のトリプシンの作用により回収し、次に洗浄する。バイアビリティの確認および細胞の計数および様々な産生終了の確認を行う(以下の表を参照)。次に、細胞を、ワーキングセルバンク(WCB)で凍結する。米国食品医薬品局(FDA)は、WCBを、MCBの1つまたは数個のアリコートに由来する細胞の集団と定義している。MCBの細胞は、選択した継代まで段階的に継代培養することにより増殖され、この後に、細胞は、組み合わせられ、濃縮され、アリコートされる。この方法で入手されるWCBの1つまたは数個のアリコートは、その使用の観点から、最終的な産物のバッチを作製するために使用することができる。
WCBのMSCの保存
MSCを、温度および窒素レベルを継続的にモニタリングしている(窒素蒸気中の)タンクに-150℃で保存する。さらに、対照を作製するための5~10本のMSCのサンプルチューブも、同様に凍結する。
WCBのMSCの解凍および洗浄、ならびにMSCの輸送
MSCを、Sepax技術(Biosafe)を使用して解凍および洗浄し、次に、4%のアルブミンと共に75mLの体積で採取し、4~10℃で保存する。MSCは、規制運用モードにしたがい標識されたバッグ(150mlのバッグ)にパッケージングされ;上記バッグは、それ自体が標識される二次的なパッケージング(プラスチックバッグ)、次に、温度ロガー、バリデーションの証明書、注射の特記事項、および投与後の忍容性のシートを伴う輸送コンテナの中に置かれる。投与場所へのMSCの輸送は、CHRUにより承認された運搬装置により行われる。
産生プロセスの過程の間に行われるクオリティコントロール
投与される産物の無菌性および安全性を保障するために、産物のコントロールを、培養プロセスの各ステップで行う。全てのクオリティコントロールを、表1に列挙する。
Figure 2023060299000001
細胞のコントロール
細胞の計数
産生の開始時および各細胞回収ステップ時(P0およびP3)に、細胞の数を、赤血球の溶解後に血球計算器を使用して決定する。
細胞のバイアビリティ
産生の開始時および各細胞回収ステップ時に、バイアビリティを、P0、P1、P2、P3の終了時(ここで>80%であるべきである)に、7-AADによるマーキングにより、フローサイトメトリーにより決定する。
細胞の表現型
細胞種を特徴づける表面マーカーの発現は、モノクローナル抗体または対応するアイソタイプの対照を用いて細胞をマークした後、フローサイトメトリーにより決定する。
細胞の少なくとも60%は、以下の抗原:CD90、CD73、CD105、CD44を発現し、細胞の80%は、以下:CD34、CD11b、CD19、CD45、HLA-DRを発現しない(および/またはIMF<アイソタイプの対照の2倍のIMF)はずである。マーカーCD106は、細胞の少なくとも10%で同定される。
CFU-F
クローン形成能(clonogenic capacity)は、線維芽細胞前駆体の培養物(線維芽細胞のコロニー形成単位:CFU-F)により測定される。CFU-F(>50個の細胞)を、メタノールで固定しギムザで染色した後に、10倍の倍率の倒立顕微鏡で計測する。簡潔に述べると、2.5×10および5×10個の細胞を、25cmのフラスコの中の培地5mLに播種する。この培地を、1週間に2回、全てを新規なものと交換する。培養をD10で停止させ、固定し、ギムザで染色する。次に、50超の細胞であるコロニーを計測する。CFU-Fの培養は、各継代の終了時に行う。
免疫学的なコントロール
MSCの免疫賦活能(immunostimulant capacity)の欠如を、照合する。これを行うために、混合したリンパ球の培養を、賦活剤細胞(stimulant cell)として産生させ照射したMSC、および2つの健常な対照の単核細胞を使用して、実現した。この免疫賦活物質を、賦活指標の測定により評価する。これらの試験は、ナンシーの細胞療法および組織バンクユニット(Unite de Therapie Cellulaire et banque de Tissus-UTCT)の「厳密に調製した革新的な治療薬:punctually prepared innovative therapy drugs」のクオリティコントロールの部門(Departement “Medicaments de Therapie Innovante Prepares Ponctuellement-MTI-PP)で行う。免疫調節作用は、従来の混合したリンパ球培養物に、第3のパートナーとしてMSCを添加することにより、評価する。
微生物のコントロール
ドナーの感染性マーカーのコントロール
ウイルスゲノムの診断を、HIV、HBV、およびHCVについてドナーで行った。適合した感染性マーカーは、HIV:複合試験 P24 Ag+抗-HIV Ab 1+2:陰性、HIV PCR:陰性、HBV:HBs Ag 陰性、抗HBc Ab 陰性、HBV PCR:陰性、HCV:抗-HCV Ab:陰性、HCV PCR:陰性、HTLV:抗-HTLV Ab I+II:陰性、梅毒症:抗-TP Ab:陰性、CMV、EBV、およびトキソプラズマ症:陰性のIgM、陰性または陽性のIgGである。
細菌学
微生物のコントロールは、Bactec技術により産生された好気性血液培養物および嫌気性血液培養物由来の細胞療法産物(CTP)について、仏国の医薬および健康製品の安全性に関する機関(French agency for the safety of medicine and health products:Agence nationale de securite du medicament et des produits de sante-ANSM)の推奨に従い、行う。このコントロールは、各培養ステップで行われる。解凍されたMSCでは、患者にMSCを注射した後に得られたコントロールの結果は、陰性でなければならない。再注射後の陽性の微生物のコントロールの事象が発生した場合、即座に臨床医に通知され、MTI-PP部門の内部手続きに準拠したアンチバイオグラムの結果と共に、微生物の識別が通達される。
他のコントロール
hTERT転写物の非存在
テロメラーゼ活性の非存在は、培養後(P1およびP3終了後)のMSCのqRT-PCRにより求められる。このコントロールは、凍結保存された10個のMSCのアリコートで行われる。
核型
これは、凍結保存前の、培養の終了時(P1およびP3の終了時)に得られたMSCの未処理の細胞サンプルで行われる。
エンドトキシンおよびマイコプラズマの量
これは、凍結保存前の、培養の終了時(P1およびP3の終了時)に得られたMSCの未処理であるかまたは凍結された細胞サンプルで行われる。
MSCの投与
この方法で調製された細胞を、4%のアルブミン、NaCl、ACD75mLにおいて少なくとも1×10/kgの異種性MSCの用量で、敗血症性ショックまたは敗血症を呈した蘇生中の入院患者に投与し、中心静脈経路により30分間注入する。この治療は、中心静脈経路を介して、好ましくはWCBのMSCの解凍および洗浄のステップ後10時間以内、かつWCBのMSCの解凍および洗浄のステップ後最大24時間、行い投与する。
敗血症性ショックのマウスモデル
敗血症性ショックを、盲腸結紮穿刺(CLP)により免疫適格性C57BL/6マウスに誘導する。このモデルは、マウスの敗血症性ショックの最良のスタンダードとみなされており、ヒトの腹膜炎を模倣することができる。
外科手術後、マウスを、3つのグループ:0.25×10個のヒトのWG-MSCを投与したグループ、同意書を提供した健常なドナー由来の骨髄の回収からの培養物により得た0.25×10個のBM-MSCを投与したグループ、およびPBSを投与した対照のグループに、無作為化した。MSCおよびPBSの投与は、敗血症性ショックの開始から24時間後に、後眼窩洞において静脈内にて行った。
WG-MSCおよびBM-MSCは、従来の再培養を用いることなく、解凍後すぐに使用する。
実施例2:マウスの敗血症性ショックに及ぼすWG-MSCの効果
菌血症に及ぼすWG-MSCの影響
プロトコル
解凍されたヒトのWG-MSCを使用する。
敗血症性ショックの発症から48時間後またはMSCの投与から24時間後に、マウスを、致死性の麻酔薬注射により安楽死させた。マウスの脾臓および血液を回収し、次に、コロニー形成単位(CFU)の数を計測するために播種した。
異なるグループの比較を、クラスカルウォリス検定を使用して行った。
結果
敗血症性ショックから2日後に、WG-MSCにより処置したマウスのみが、菌血症および脾臓のCFUの数の有意な減少を示した。脾臓または血液の1ミリグラムあたりのCFUの平均数を計測した。CLPの手法から48時間後に、WG-MSCで処置したグループは、平均で、好気条件では脾臓1mgあたり2.3×10CFUおよび嫌気条件では脾臓1mgあたり5.8.10CFUを示し、対照のグループおよびBM-MSCで処置したグループは、好気条件では脾臓1mgあたりそれぞれ9.5×10および5.5×10のCFUの平均数を有し、嫌気条件では脾臓1mg当たりそれぞれ1.3×10および1.1×10のCFUの平均数を有した(図1Aおよび1B)。
血液で得られた結果も同様である(図2Aおよび2B)。ワルトンジェリー由来のMSCで処置したグループは、平均で、好気条件では血液1mLあたり6×10のCFU、および嫌気条件では血液1mLあたり2.1×10CFUを示し、対して、対照のグループおよびBM-MSCで処置したグループは、好気条件では血液1mLあたりそれぞれ1.3×10および1.1×10のCFUの平均数を有し、嫌気条件では血液1mLあたりそれぞれ7.7×10および3.2×10のCFUの平均数を有した。
結論
これらの結果は、解凍後直ちに使用する場合の、ワルトンジェリー由来のMSCの敗血症性ショックに対する抗菌作用を、初めて示している。
臓器の中の細胞流入に及ぼすWG-MSCの影響
プロトコル
敗血症性ショックの誘導から48時間後または7日後に、マウスを、ペントバルビタールの腹腔内注射により安楽死させ、臓器を回収した。脾臓および肝臓をすり潰してからろ過した。骨髄を、PBS1mLを髄腔に迅速に注射することにより、大腿から抽出した。肺を、微細な切片に切断し、次に、コラゲナーゼ2mLの中に、45分間置いた後、すり潰し、ろ過させた。様々な臓器から抽出した細胞を、遠心分離により洗浄した。細胞の計測を行った。
これらの細胞を、様々な臓器の中の、総単球、炎症性単球および抗炎症性単球、ならびに好中球を同定および定量化するために、5μLの抗CD45、CD11b、Ly6C、およびLy6Gの抗体でマークした。
同じプロトコルを、敗血症性ショックを誘導する前の健常なマウスで行った。
様々なグループの比較を、2元のANOVA検定、次にTukey検定を行うことにより、行った。統計有意性は、p<0.05で受け入れられた。
結果
敗血症性ショックを誘導してから2日後に、生理食塩水溶液を静脈内投与した対照のマウスは、MSCの注射により処置したマウスよりも有意に多数の肺性の好中球を示した(図3A)。D7に、有意に少ない好中球の集積が、BM-MSCおよびWG-MSCにより処置されたマウスの脾臓および肝臓で明らかであった(p<0.001)(図3Bおよび3C)。CLPから7日後に、処置した動物の大腿に含まれていた好中球の数は、対照のグループと比較して有意に少なかった(PBSvs.BM p<0.05;PBSvs.WG p<0.01)(図3D)。
敗血症性ショックを誘導してから2日後およびMSCを注射してから24時間後に、BM-MSCまたはWG-MSCを投与したマウスの肺は、対照のマウスの肺よりも有意に少ない数の炎症性単球ly6Chighを含んでいた(p<0.01)(図4A)。D2で、単球の総数の有意な減少(図4B)および炎症性単球ly6Chighの数の有意な減少(図4C)もまた、WG-MSCにより処置されたマウスの大腿において、対照のマウスと比較する場合に見いだされた(p<0.05)。対して、対照のグループとBM-MSCのグループとの間では、有意差は観察されなかった。
敗血症性ショックを誘導してから7日後に、BM-MSCにより処置したマウス(p<0.01)およびPBSにより処置したマウス(<0.05)と比較して、有意に少ない数の炎症性単球ly6Chighが、WG-MSCにより処置したマウスの脾臓で観察された(図4D)。
この研究は、MSCが多微生物性敗血症モデルにおいて白血球浸潤物を調節できることを明らかにしている。解凍されたWG-MSCの作用は、注射後の最初の48時間に限定されないが、この48時間以内のWG-MSCは、敗血症性ショックの間の細胞の動員に関してより著しい後の効果を有することができることが示されている。
より後の時点で有効であることに加えて、MSCはまた、白血球の輸送に関して早期に作用を有する。上記の解析された結果では、敗血症性ショックを誘導してから48時間後に、MSCが、好中球の肺への流入を減少させることが示されている。
これらの結果は、WG-MSCは、BM-MSCと同じく、敗血症性ショックに関連する臓器不全の発症に関与する好中球の集積を、臓器の中で低減できることを示している。実際に、好中球の異常な集積は、低酸素血症および組織の低灌流をもたらす血液の閉塞を誘導し、多量の活性酸素種の放出による微小循環の機能不全を引き起こし得ることが知られている。
さらに、BM-MSCとは異なり、WG-MSCは、敗血症性ショックから2日後の大腿の総単球の産生、およびマウスの脾臓においてこの単球の部分集合の蓄積を少なくする、炎症促進性単球の産生の両方を、低減させる特性を有する。敗血症性ショックが、特にSOFAスコア(敗血症関連臓器不全のアセスメント)(Martins et al., 2008)の増加に寄与する活性酸素種の産生の増大を誘導することにより単球の特性を変更させる場合、WG-MSCの注射により誘導される総単球および炎症促進性単球の蓄積および産生の低下が、敗血症性ショックの治療において真の利点をもたらすことができる。
生存に及ぼすWG-MSCの影響
プロトコル
CLP技術によりC57Bl/6マウスに敗血症性ショックを誘導した後、外科手術後に血液充填を可能にするために、NaCl150μlを皮下注射した。可能な限り臨床条件に近づけるために、全てのマウスに、体重1gあたり50μgの用量のイミペネムを、12時間ごとに腹腔内投与した(Alcayaga-Miranda et al., 2015)。
ウィルコクソン検定を行った。有意差は、p<0.05で承認された。
結果
対照マウスと比較して、MSCで処置したマウスにおいて、生存率が増加した。対照動物では64%の生存率が見られたのに対し、BM-MSCで処置した動物の83%、WG-MSCで処置した87%が生存した(図5)。
WG-MSCは、BM-MSCと比較して、敗血症性ショックの生存の観点からより良好な結果を有している。
実施例3:敗血症に及ぼすWG-MSCの影響の試験
上記のパート1.1~1.6に記載された方法により産生された臨床グレードの解凍されたWG-MSCの有効性を、心血管の観点からヒトに最も近い動物であるブタで解析する。
ブタに腹膜炎を導入してから4時間後に、1×10/kgの用量のWG-MSCを、静脈内注射した。WG-MSCを、臨床グレードで産生させ、解凍直後に使用した。腹膜炎の導入後24時間にわたり行われたこの試験は、二重盲検の試験として、熟練した蘇生に関する医師の存在下で行った。結果として、このサポートは、血液充填およびノルアドレナリン(最大10μg/kg/分)による血液循環量(volemia)および平均動脈圧(>85mmHg)の維持、ならびにドブタミン(最大20μg/kg/分)による適切な心拍出量(>2l/分/m)の維持を伴う患者の治療と、同一であった。
この試験は、WG-MSCの投与が、静脈での酸素の飽和度を有意に改善することを示すことにより、処置した動物におけるOの取り込みとOの消費との間の良好な一致を示した(図6A)。
WG-MSCの投与は、処置した動物における平均動脈圧(MAP)の改善および後のノルアドレナリンの投与により明らかであるように、心血管の機能を改善する(図6B、6C)。WG-MSCの投与は、腎機能を改善する:処置した動物は、クレアチニンの増大が小さくなり、利尿が多くなることが示された(図6D、6E)。
さらに、WG-MSCの静脈内注射は、乳酸塩血症を有意に低減し、2mmol/L超であるこの産生は、組織の低酸素を示すものである(図6F)。
またWG-MSCの静脈内注射は、急性呼吸窮迫症候群の強度を反映する、PaO/FiO比をも増加させる(図6G)。処置した動物におけるこの増加は、未処置の動物よりも肺機能不全が少ないことを示すものである。
この実験において、未処置の動物と比較した処置した動物の生存率の増加は、約60%であることが観察される(図6H)。
実施例4:分娩因子の解析
50の臍帯を、異なる分娩のパラメータを関連付けることにより解析した。WG-MSCは、上記のパート1.1~6に記載した方法により、これらの組織から単離する。
データの抽出後に、27の分娩因子(そのうちの14個が母体に関連し、6個が新生児に関連し、7個が分娩に関連する)を、これらの分娩のパラメータと、8個の細胞増殖(集団の倍加)の生物学的な指標との間の相関に関して、解析した。各変数を、二変量の線形回帰(BLR)に供した。BLRにおいて0.15の閾値で有意な関連を有する因子のみが、多変量の線形回帰(MLR)による解析の候補であった。モデルの入力閾値が0.1であり、モデルの出力閾値が0.05で、変数を選択するための段階的な方法を使用した。
多変量の線形回帰解析により、分娩時のオキシトシンの投与が、第1の継代P1の間に、倍加時間を減少させることにより(61.6±5.2時間vs.112.0±19.5時間、p=0.0159)、WG-MSCの増殖に正の影響を示した(図7A)。またオキシトシンの投与は、短い倍加時間(<100時間)で多数の細胞を得ることを可能にした(57.9%vs.25%、p=0.0469)。P1において100時間未満の倍加時間を伴うサンプルのみを考慮することにより、いくつかの因子は、倍加時間に正の影響を示した:管理された分娩(34.2%vs.0%、p=0.0185)、出生時の無月経の週数(39.85vs.37.92、p=0.0212)、母親の喫煙(42.1%vs.8.3%、p=0.0313)、および胎盤の重量(552.24vs.481.92、p=0.0446)。第2の継代(P2)では、出生時の体重、無月経の週数、胎盤の重量、正常妊娠および子癇前症の不存在が、細胞増殖に正の影響を示した(図7B)。これらの因子は全て、正期産の概念と関連しており、良好な健康状態にあり正期産であった新生児から生じるWG-MSCが、より著しい増殖能を呈することを示すことが可能である。また、喫煙した母親の臍帯由来のWG-MSCが、増殖能を増大させたことが観察されている。
WG-MSCの増殖を促進するこれら因子の同定は、最良の増殖特性を有するWG-MSCを含む臍帯の選択に有用である。
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Claims (15)

  1. ワルトンジェリーから臨床グレードの間葉系幹細胞を調製するための方法であって、
    (i)細胞接着のために臨床グレードの培養培地でワルトンジェリーを含むヒトの臍帯組織を培養するステップと、
    (ii)血小板のライセートを含む培地で接着細胞をインキュベートするステップと、
    を含み、
    前記組織が、以下の基準:
    出産の間にオキシトシンの投与を受けた;管理された分娩により出産を行った;正期産を行った;妊娠中に子癇前症を呈さず、その小児が新生児障害を呈さなかった;および妊娠中に煙草の煙を摂取した;
    のうちの少なくとも1つを満たす母体に由来することを特徴とする、
    方法。
  2. 前記ヒトの臍帯組織は、分娩の直後に産科病棟で回収される、請求項1に記載の方法。
  3. 臍帯は、その培養前に洗浄される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 臍帯は、α-MEM溶液ですすがれる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. α-MEM溶液は、少なくとも1種の抗菌薬および/または少なくとも1種の抗真菌薬をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. ステップ(i)で使用される細胞接着のための臨床グレードの培養培地はα-MEM培地である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. ステップ(ii)で使用される血小板のライセートを含む培地はα-MEM培地である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. ステップ(ii)で使用される血小板のライセートを含む培地は、1%~20%の血小板のライセートをさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 本発明の方法のステップ(ii)は、低酸素の条件下で行われる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 本発明の方法のステップ(ii)の実施の間、細胞を、最大80%±10%のコンフルエンスで培養する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記方法のステップ(ii)は、2回または3回反復される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. ステップ(ii)は、細胞が80%±10%のコンフルエンスに達した後に反復される、請求項11に記載の方法。
  13. ステップ(ii)の終了時に回収された細胞が約-80℃で凍結保存される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. ステップ(ii)の終了時に回収された細胞が-150℃~-196℃で凍結保存される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載の方法によって得られた、ワルトンジェリー由来の臨床グレードの間葉系幹細胞。
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