以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る模擬眼について図面を参照して説明する。
図1を参照して、眼科システム100の構成を説明する。図1に示すように、眼科システム100は、眼科装置110と、眼軸長測定器120と、管理サーバ装置(以下、「管理サーバ」という)140と、画像表示装置(以下、「画像ビューワ」という)150と、を備えている。眼科装置110は、眼底画像を取得する。眼軸長測定器120は、患者の眼軸長を測定する。管理サーバ140は、眼科装置110によって複数の患者の眼底が撮影されることにより得られた複数の眼底画像、眼軸長、および断層画像を、患者のIDに対応して記憶する。画像ビューワ150は、管理サーバ140から取得した眼底画像を表示する。
管理サーバ140は、本開示の技術の「画像処理装置」および「血管径算出装置」の一例である。
眼科装置110、眼軸長測定器120、管理サーバ140、および画像ビューワ150は、ネットワーク130を介して、相互に接続されている。
眼軸長測定器120は、被検眼12の眼軸方向の長さである眼軸長を測定する第1のモードと第2のモードとの2つのモードを有する。第1のモードは、図示しない光源からの光を被検眼12に導光した後、眼底からの反射光と角膜からの反射光との干渉光を受光し、受光した干渉光を示す干渉信号に基づいて眼軸長を測定する。第2のモードは、図示しない超音波を用いて眼軸長を測定するモードである。
眼軸長測定器120は、第1のモード又は第2のモードにより測定された眼軸長を管理サーバ140に送信する。第1のモードおよび第2のモードにより眼軸長を測定してもよく、この場合には、双方のモードで測定された眼軸長の平均を眼軸長として管理サーバ140に送信する。
次に、図2を参照して、眼科装置110の構成を説明する。
説明の便宜上、走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope)を「SLO」と称する。また、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography)を「OCT」と称する。
なお、眼科装置110が水平面に設置された場合の水平方向を「X方向」、水平面に対する垂直方向を「Y方向」とし、被検眼12の前眼部の瞳孔の中心と眼球の中心とを結ぶ方向を「Z方向」とする。従って、X方向、Y方向、およびZ方向は互いに垂直である。
眼科装置110は、撮影装置14および制御装置16を含む。撮影装置14は、SLOユニット18およびOCTユニット20を備えており、被検眼12の眼底の眼底画像を取得する。以下、SLOユニット18により取得された二次元眼底画像をSLO画像と称する。また、OCTユニット20により取得されたOCTデータに基づいて作成された網膜の断層画像や正面画像(en-face画像)などをOCT画像と称する。
制御装置16は、CPU(Central Processing Unit(中央処理装置))16A、RAM(Random Access Memory)16B、ROM(Read-Only memory)16C、および入出力(I/O)ポート16Dを有するコンピュータを備えている。
制御装置16は、I/Oポート16Dを介してCPU16Aに接続された入力/表示装置16Eを備えている。入力/表示装置16Eは、被検眼12の画像を表示したり、ユーザから各種指示を受け付けたりするグラフィックユーザインターフェースを有する。グラフィックユーザインターフェースとしては、タッチパネル・ディスプレイが挙げられる。
また、制御装置16は、I/Oポート16Dに接続された画像処理装置17を備えている。画像処理装置17は、撮影装置14によって得られたデータに基づき被検眼12の画像を生成する。なお、制御装置16は、図示しない通信インターフェースを介してネットワーク130に接続される。
上記のように、図2では、眼科装置110の制御装置16が入力/表示装置16Eを備えているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、眼科装置110の制御装置16は入力/表示装置16Eを備えず、眼科装置110とは物理的に独立した別個の入力/表示装置を備えるようにしてもよい。この場合、当該表示装置は、制御装置16のCPU16Aの表示制御部204の制御下で動作する画像処理プロセッサユニットを備える。画像処理プロセッサユニットが、表示制御部204が出力指示した画像信号に基づいて、SLO画像等を表示するようにしてもよい。
撮影装置14は、制御装置16の撮影制御部202の制御下で作動する。撮影装置14は、SLOユニット18、撮影光学系19、およびOCTユニット20を含む。撮影光学系19は、第1光学スキャナ22、第2光学スキャナ24、および広角光学系30を含む。
第1光学スキャナ22は、SLOユニット18から射出された光をX方向、およびY方向に2次元走査する。第2光学スキャナ24は、OCTユニット20から射出された光をX方向、およびY方向に2次元走査する。第1光学スキャナ22および第2光学スキャナ24は、光束を偏向できる光学素子であればよく、例えば、ポリゴンミラーや、ガルバノミラー等を用いることができる。また、それらの組み合わせであってもよい。
広角光学系30は、共通光学系28を有する対物光学系(図2では不図示)、およびSLOユニット18からの光とOCTユニット20からの光を合成する合成部26を含む。
なお、共通光学系28の対物光学系は、楕円鏡などの凹面ミラーを用いた反射光学系や、広角レンズなどを用いた屈折光学系、あるいは、凹面ミラーやレンズを組み合わせた反射屈折光学系でもよい。楕円鏡や広角レンズなどを用いた広角光学系を用いることにより、眼底中心部だけでなく眼底周辺部の網膜を撮影することが可能となる。
楕円鏡を含むシステムを用いる場合には、国際公開WO2016/103484あるいは国際公開WO2016/103489に記載された楕円鏡を用いたシステムを用いる構成でもよい。国際公開WO2016/103484の開示および国際公開WO2016/103489の開示の各々は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
広角光学系30によって、眼底において広い視野(FOV:Field of View)12Aでの観察が実現される。FOV12Aは、撮影装置14によって撮影可能な範囲を示している。FOV12Aは、視野角として表現され得る。視野角は、本実施の形態において、内部照射角と外部照射角とで規定され得る。外部照射角とは、眼科装置110から被検眼12へ照射される光束の照射角を、瞳孔27を基準として規定した照射角である。また、内部照射角とは、眼底Fへ照射される光束の照射角を、眼球中心Oを基準として規定した照射角である。外部照射角と内部照射角とは、対応関係にある。例えば、外部照射角が120度の場合、内部照射角は約160度に相当する。本実施の形態では、内部照射角は200度としている。
ここで、内部照射角で160度以上の撮影画角で撮影されて得られたSLO眼底画像をUWF-SLO眼底画像と称する。なお、UWFとは、UltraWide Field(超広角)の略称を指す。
SLOシステムは、図2に示す制御装置16、SLOユニット18、および撮影光学系19によって実現される。SLOシステムは、広角光学系30を備えるため、広いFOV12Aでの眼底撮影を可能とする。
SLOユニット18は、B(青色光)の光源40、G光(緑色光)の光源42、R光(赤色光)の光源44、およびIR光(赤外線(例えば、近赤外光))の光源46と、光源40、42、44、46からの光を、反射又は透過して1つの光路に導く光学系48、50、52、54、56とを備えている。光学系48、50、56は、ミラーであり、光学系52、54は、ビームスプリッタ―である。B光は、光学系48で反射し、光学系50を透過し、光学系54で反射し、G光は、光学系50、54で反射し、R光は、光学系52、54を透過し、IR光は、光学系52、56で反射して、それぞれ1つの光路に導かれる。
SLOユニット18は、R光およびG光を発するモードと、赤外線を発するモードなど、波長の異なるレーザ光を発する光源あるいは発光させる光源の組合せを切り替え可能に構成されている。図2に示す例では、G光の光源42、R光の光源44、およびIR光の光源46の3つの光源を備えるが、本開示の技術は、これに限定されない。例えば、SLOユニット18は、更に、B光(青色光)の光源や白色光の光源を更に備え、G光、R光、およびB光を発するモードや、白色光のみを発するモード等の種々のモードで光を発するようにしてもよい。
SLOユニット18から撮影光学系19に入射された光は、第1光学スキャナ22によってX方向およびY方向に走査される。走査光は広角光学系30および瞳孔27を経由して、眼底に照射される。眼底により反射された反射光は、広角光学系30および第1光学スキャナ22を経由してSLOユニット18へ入射される。
SLOユニット18は、被検眼12の後眼部(眼底)からの光の内、B光を反射し且つB光以外を透過するビームスプリッタ64、ビームスプリッタ64を透過した光の内、G光を反射し且つG光以外を透過するビームスプリッタ58を備えている。SLOユニット18は、ビームスプリッタ58を透過した光の内、R光を反射し且つR光以外を透過するビームスプリッタ60を備えている。SLOユニット18は、ビームスプリッタ60を透過した光の内、IR光を反射するビームスプリッタ62を備えている。SLOユニット18は、ビームスプリッタ64により反射したB光を検出するB光検出素子70、ビームスプリッタ58により反射したG光を検出するG光検出素子72、ビームスプリッタ60により反射したR光を検出するR光検出素子74、およびビームスプリッタ62により反射したIR光を検出するIR光検出素子76を備えている。
広角光学系30および第1光学スキャナ22を経由してSLOユニット18へ入射された光(眼底により反射された反射光)は、B光の場合、ビームスプリッタ64で反射してB光検出素子70により受光され、G光の場合、ビームスプリッタ58で反射してG光検出素子72により受光される。上記入射された光は、R光の場合、ビームスプリッタ58を透過し、ビームスプリッタ60で反射してR光検出素子74により受光される。上記入射された光は、IR光の場合、ビームスプリッタ58、60を透過し、ビームスプリッタ62で反射してIR光検出素子76により受光される。CPU16Aの制御下で動作する画像処理装置17は、B光検出素子70、G光検出素子72、R光検出素子74、およびIR光検出素子76で検出された信号を用いてUWF-SLO画像を生成する。
UWF-SLO画像には、図12に示すように、眼底がG色で撮影されて得られたUWF-SLO画像(G色眼底画像)502GGと、眼底がR色で撮影されて得られたUWF-SLO画像(R色眼底画像)504RGとがある。UWF-SLO画像には、眼底がB色で撮影されて得られたUWF-SLO画像(B色眼底画像)506BGと、眼底がIRで撮影されて得られたUWF-SLO画像(IR眼底画像)508IRGとがある。
また、制御装置16が、同時に発光するように光源40、42、44を制御する。B光、G光およびR光で同時に被検眼12の眼底が撮影されることにより、各位置が互いに対応するG色眼底画像502GG、R色眼底画像504RG、およびB色眼底画像506BGが得られる。G色眼底画像502GG、R色眼底画像504RG、およびB色眼底画像506BGからRGBカラー眼底画像が得られる。制御装置16が、同時に発光するように光源42、44を制御し、G光およびR光で同時に被検眼12の眼底が撮影されることにより、各位置が互いに対応するG色眼底画像502GGおよびR色眼底画像504RGが得られる。G色眼底画像502GGおよびR色眼底画像504RGからRGカラー眼底画像が得られる。
UWF-SLO画像には、ICG蛍光撮影されたUWF-SLO画像(動画)510ICGGもある。インドシアニン・グリーン(ICG)が血管に注入されると、眼底に到達し、最初は網膜に到達し、次に、脈絡膜に到達し、脈絡膜を通過する。UWF-SLO画像(動画)510ICGGは、インドシアニン・グリーン(ICG)が血管に注入され網膜に到達した時から、脈絡膜を通過した後までの動画像である。
B色眼底画像506BG、G色眼底画像502GG、R色眼底画像504RG、IR眼底画像508IRG、RGBカラー眼底画像、RGカラー眼底画像、およびUWF-SLO画像510ICGGの各画像データは、図示しない通信IFを介して眼科装置110から管理サーバ140へ送付される。
OCTシステムは、図2に示す制御装置16、OCTユニット20、および撮影光学系19によって実現される。OCTシステムは、広角光学系30を備えるため、上述したSLO眼底画像の撮影と同様に、広いFOV12Aでの眼底撮影を可能とする。OCTユニット20は、光源20A、センサ(検出素子)20B、第1の光カプラ20C、参照光学系20D、コリメートレンズ20E、および第2の光カプラ20Fを含む。
光源20Aから射出された光は、第1の光カプラ20Cで分岐される。分岐された一方の光は、測定光として、コリメートレンズ20Eで平行光にされた後、撮影光学系19に入射される。測定光は、第2光学スキャナ24によってX方向およびY方向に走査される。走査光は広角光学系30および瞳孔27を経由して、眼底に照射される。眼底により反射された測定光は、広角光学系30および第2光学スキャナ24を経由してOCTユニット20へ入射され、コリメートレンズ20Eおよび第1の光カプラ20Cを介して、第2の光カプラ20Fに入射する。
光源20Aから射出され、第1の光カプラ20Cで分岐された他方の光は、参照光として、参照光学系20Dへ入射され、参照光学系20Dを経由して、第2の光カプラ20Fに入射する。
第2の光カプラ20Fに入射されたこれらの光、即ち、眼底で反射された測定光と、参照光とは、第2の光カプラ20Fで干渉されて干渉光を生成する。干渉光はセンサ20Bで受光される。画像処理制御部206の制御下で動作する画像処理装置17は、センサ20Bで検出されたOCTデータに基づいて断層画像やen-face画像などのOCT画像を生成する。
ここで、内部照射角で160度以上の撮影画角で撮影されて得られたOCT眼底画像をUWF-OCT画像と称する。
UWF-OCT画像の画像データは、図示しない通信IFを介して眼科装置110から管理サーバ140へ送付され、記憶装置254に記憶される。
なお、本実施の形態では、光源20Aが波長掃引タイプのSS-OCT(Swept-Source OCT)を例示するが、SD-OCT(Spectral-Domain OCT)、TD-OCT(Time-Domain OCT)など、様々な方式のOCTシステムであってもよい。
図1の眼軸長測定器120は、被検眼12の眼軸方向(Z方向)の長さである眼軸長を測定する第1のモードと第2のモードとの2つのモードを有する。第1のモードは、図示しない光源からの光を被検眼12に導光した後、眼底からの反射光と角膜からの反射光との干渉光を受光し、受光した干渉光を示す干渉信号に基づいて眼軸長を測定する。第2のモードは、図示しない超音波を用いて眼軸長を測定するモードである。眼軸長測定器120は、第1のモード又は第2のモードにより測定された眼軸長を管理サーバ140に送信する。第1のモードおよび第2のモードにより眼軸長を測定してもよく、この場合には、双方のモードで測定された眼軸長の平均を眼軸長として管理サーバ140に送信する。眼軸長は被検者のデータの一つとして管理サーバ140に患者情報として保存されるとともに、眼底画像解析にも利用される。
次に、図3を参照して、管理サーバ140の電気系の構成を説明する。図4に示すように、管理サーバ140は、コンピュータ本体252を備えている。コンピュータ本体252は、CPU262、RAM266、ROM264、入出力(I/O)ポート268を有する。入出力(I/O)ポート268には、記憶装置254、ディスプレイ256、マウス255M、キーボード255K、および通信インターフェース(I/F)258が接続されている。記憶装置254は、例えば、不揮発メモリで構成される。入出力(I/O)ポート268は、通信インターフェース(I/F)258を介して、ネットワーク130に接続されている。従って、管理サーバ140は、眼科装置110、眼軸長測定器120、および画像ビューワ150と通信することができる。記憶装置254には、後述する画像処理プログラムが記憶されている。なお、画像処理プログラムを、ROM264に記憶してもよい。
記憶装置254及びROM264は、本開示の技術の「記憶媒体」の一例である。
管理サーバ140は、眼科装置110および眼軸長測定器120から受信した各データを、記憶装置254に記憶する。
次に、図4を参照して、画像ビューワ150の電気系の構成を説明する。図4に示すように、画像ビューワ150は、コンピュータ本体152を備えている。コンピュータ本体152は、CPU162、RAM166、ROM164、入出力(I/O)ポート168を有する。入出力(I/O)ポート168には、記憶装置154、ディスプレイ156、マウス155M、キーボード155K、および通信インターフェース(I/F)158が接続されている。記憶装置154は、例えば、不揮発メモリで構成される。入出力(I/O)ポート168は、通信インターフェース(I/F)158を介して、ネットワーク130に接続されている。従って、画像ビューワ150は、眼科装置110および管理サーバ140と通信することができる。
次に、図5を参照して、管理サーバ140のCPU262が画像処理プログラムを実行することで実現される各種機能について説明する。画像処理プログラムは、表示制御機能、画像処理制御機能、および処理機能を備えている。CPU262がこの各機能を有する画像処理プログラムを実行することで、CPU262は、図6に示すように、表示制御部204、画像処理制御部206、および処理部208として機能する。
画像処理制御部206は、「脈絡膜血管画像取得部」、「特定部」、「算出部」、「記憶処理部」、「第1の特定部」、「第2の特定部」、及び「制御部」
の一例である。
次に、図6を用いて、管理サーバ140による画像処理を詳細に説明する。管理サーバ140のCPU262が画像処理プログラムを実行することで、図6のフローチャートに示された画像処理(画像処理方法)が実現される。
ステップ302で、画像処理制御部206は、UWF-SLO画像を、記憶装置254から取得する。ステップ304で、画像処理制御部206は、取得したUWF-SLO画像から、次のように脈絡膜血管画像を作成する。
まず、R色眼底画像とG色眼底画像とに含まれる情報を説明する。
眼の構造は、硝子体を、構造が異なる複数の層が覆うようになっている。複数の層には、硝子体側の最も内側から外側に、網膜、脈絡膜、強膜が含まれる。R光は波長が長いため、網膜を通過して脈絡膜まで到達する。よって、R色眼底画像504RGには、網膜に存在する血管(網膜血管)の情報と脈絡膜に存在する血管(脈絡膜血管)の情報とが含まれる。これに対し、G光はR光より波長が短いため、網膜までしか到達しない。よって、G色眼底画像502GGには、網膜に存在する血管(網膜血管)の情報のみが含まれる。よって、G色眼底画像502GGから網膜血管を抽出し、R色眼底画像504RGから網膜血管を除去することにより脈絡膜血管画像CLA(図13を参照)を得ることができる。具体的に、脈絡膜血管画像CLAは以下のようにして生成される。
画像処理制御部206は、ブラックハットフィルタ処理をG色眼底画像502GGに施すことにより、G色眼底画像502GGから網膜血管を抽出する。次に、画像処理制御部206は、R色眼底画像504RGから、インペインティング処理により、網膜血管を除去する。つまり、G色眼底画像502GGから抽出された網膜血管の位置情報を用いてR色眼底画像504RGの網膜血管構造を周囲の画素と同じ値に塗りつぶす処理を行う。
そして、画像処理制御部206は、網膜血管が除去されたR色眼底画像504RGの画像データに対し、適応ヒストグラム均等化処理(Contrast Limited Adaptive Histograph Equalization)を施すことにより、R色眼底画像504RGにおいて、脈絡膜血管を強調する。これにより、図13に示す脈絡膜血管画像CLAが作成される。作成された脈絡膜血管画像CLAは記憶装置254に記憶される。
また、上記例では、R色眼底画像504RGとG色眼底画像502GGとから脈絡膜血管画像を生成している。しかし、画像処理制御部206は、G色眼底画像502GGとUWF-SLO画像508IRGとから脈絡膜血管画像CLAを生成してもよい。画像処理制御部206は、B色眼底画像502BGと、R色眼底画像504RGおよびUWF-SLO画像508IRGの一方とから、脈絡膜血管画像CLAを生成してもよい。
更に、UWF-SLO画像(動画)510から、脈絡膜血管画像CLAを生成してもよい。上記のように、UWF-SLO画像(動画)510は、インドシアニン・グリーン(ICG)が血管に注入され網膜に到達した時から、脈絡膜を通過した後までの動画像である。インドシアニン・グリーン(ICG)が網膜を通過した時から脈絡膜を通過している期間の動画像から、脈絡膜血管画像CLAを生成してもよい。
ところで、脈絡膜血管の径は、一般的に網膜中の血管径より大きい。具体的には、所定の閾値より大きい血管径は脈絡膜血管である。そこで、UWF-SLO画像(動画)510で、インドシアニン・グリーン(ICG)が網膜および脈絡膜の血管を通過中の画像から血管を抽出し、所定の閾値より小さい血管径を消すことにより、脈絡膜血管画像CLAを生成してもよい。
脈絡膜血管画像には瞼などが含まれていることもあり、ステップ306で、画像処理制御部206は、脈絡膜血管画像CLAに対して眼底領域を切り出す(瞼などを除去)処理が行われた脈絡膜血管画像CLE(図14を参照)を生成する。脈絡膜血管画像CLAや脈絡膜血管画像CLEは眼底画像を画像処理することにより得られた脈絡膜血管が可視化された画像である。
ステップ308で、画像処理制御部206は、脈絡膜血管画像CLEの中の各脈絡膜血管の血管径を、血管走行方向に沿って求めた複数の血管中心点の各々を用いて、算出する。血管径の詳細な算出処理については後述する。
ステップ309で、画像処理制御部206は、ステップ308で算出された血管中心点における、少なくとも脈絡膜血管径と画素座標を含んだ脈絡膜血管径のデータベースを作成する。この脈絡膜血管径のデータベースは、解析対象となったUWF-SLO眼底画像と関連付けられて、RAM266あるいは記憶装置254に記憶される。データベース構造の詳細については後述する。
ステップ310で、表示制御部204は、ステップ308で算出された血管径データを用いた解析の結果を示した表示画面800(図28も参照)の表示画像を作成する。表示画面のレイアウトについても後述する。
ステップ312で、処理部208は、表示画像の表示画像データを、通信I/F258を介して、画像ビューワ150に送信する。
次に、図7、8、9、10に記載されたフローチャートを用いて脈絡膜血管径の算出処理について説明する。
図7は、脈絡膜血管径のメインフローチャートである。ステップ322で、画像処理制御部206は、詳細には後述する血管スケルトン画像VS(図15に記載)および血管ネットワークVN(図17に記載)を作成する。画像処理制御部206は、ステップ324で、血管走行方向に沿って求めた複数の血管中心点を設定し、ステップ326で、血管中心点ごとの血管径を算出し、最終的には、脈絡膜血管画像CLEのすべての脈絡血管の血管径を算出する。
図8には、図7のステップ322の処理のフローチャートが示されている。
ステップ332で、画像処理制御部206は、脈絡膜血管画像CLEを、各画素の画素値を所定の閾値を基準に二値化することにより、図示せぬ脈絡膜血管二値化画像を作成する。この脈絡膜血管二値化画像は脈絡膜血管が可視化された(脈絡膜血管に相当する領域の画素が白色、脈絡膜血管以外の領域の画素が黒色となる)画像である。
ステップ334で、画像処理制御部206は、脈絡膜血管二値化画像を細線化することにより、脈絡膜血管二値化画像において各脈絡膜血管径の中心線を求める。この中心線は幅1ピクセルの線である。つまり、二値画像を幅1ピクセルの線画像に変換する細線化処理を行うことにより血管スケルトン画像VSを生成する。
図15には、脈絡膜血管画像CLE内の1つの脈絡膜血管の血管スケルトン画像VSが示されている。図15に示すように、血管スケルトン画像VSは、脈絡膜の中心線を示す複数の画素402、404、406、408…で表されている。
ステップ334では、画像処理制御部206は、図16に示すように、脈絡膜血管を表す複数の画素402、404、406、408…に画素番号を付し、画素位置(あるいは画素の座標)と画素番号を対応させた血管スケルトンマップVSMを作成する。例えば、図15に示す血管スケルトン画像VSの画素402に対応する血管スケルトンマップの画素402には、画素番号1が画素番号402A1として付与されている。また、血管スケルトン画像VSの画素404に対応する血管スケルトンマップVSMの画素404には、画素番号4が画素番号404Aとして付与されている。図16の示した血管スケルトンマップVSMは、図15の領域Aの血管スケルトンマップVSMを表示したものである。血管スケルトンマップVSMは血管スケルトン画像VS全体に対して作成されることは言うまでもない。
次に、ステップ338で、画像処理制御部206は、血管ネットワークVNを、血管スケルトンマップVSMから作成する。ここで、血管ネットワークVNは、血管スケルトンマップVSMの画素番号をノードとし、画素番号同士の接続関係をエッジで示したノード(点)とエッジ(線)からなるグラフである。
画像処理制御部206は、血管スケルトンマップVSMの画素402の画素番号1を、血管ネットワークVNが作成されるメモリ空間内の所定の位置(402B参照)にノード(1)として形成する。
次に、画像処理制御部206は、血管スケルトンマップVSMの画素402の近傍に画素番号が付与された画素を探索する。具体的には、まず、4近傍画素(縦横の4個の画素、つまり、画素402の上下左右の4画素)の中に、画素番号が付与された画素を探す。図16では、画素402Aの4近傍画素には、番号が付与された画素がない。そこで、次に、画像処理制御部206は、8近傍画素(縦横斜め隣の8画素、つまり、画素402の上下左右の4画素に左斜め右斜めの4画素を加えた8画素)に、画素番号が付与された画素を探す。図16では、画素402の右斜め上の画素404には画素番号4が付与されている。そこで、画像処理制御部206は、画素402に付与された画素番号1(図17の402B参照)に、画素404に付与された画素番号4を新たなノード(4)とする。そして、ノード(1)とノード(4)をエッジで接続する(図18を参照)。血管分岐を考慮し、画素番号が付与された画素が発見されない時点で処理を終了する。このような処理を血管スケルトンマップVSM全体に対して行うことにより、血管ネットワークVNを作成する。
画像処理制御部206は、血管ネットワークVN作成のステップ338が終了後、図8のサブルーチンを終了し、図7のメインフローチャートに戻る。
図9A、図9Bには、図7のステップ324の処理のフローチャートが示されている。図9Aは血管中心点の設定フローチャートであり、図9Bは血管中心点の探索のサブルーチンである。
ステップ1300で、画像処理制御部206は、血管スケルトン画像VSを、模擬眼球面に投影する。模擬眼球面は被検者の眼軸長や年齢などに基づいて画像処理制御部206によりRAM266のメモリ空間内に再現された眼球に相当する球面である。この模擬眼球面に血管スケルトン画像VSを逆ステレオ変換して投影する。これは、UWF-SLO画像自体が眼球を二次元平面にステレオ投影された画像であるためである。UWF-SO画像や血管スケルトン画像VSの周辺部はステレオ変換による歪が生じているが、逆ステレオ変換して模擬眼球面に投影することにより歪の影響を取り除くことができる。歪が除去された状態で血管径を算出するので、実際の血管径に近い値を得ることができる。
そして、ステップ1320で、画像処理制御部206は、血管スケルトン画像VSの任意の端点を現在探索点として設定する。ステップ1320で現在探索点が意味することは血管スケルトン画像NVにおける探索開始点であり、血管中心点を探索するためのスタートポイントである。図19に示したスケルトン画像を用いて説明すると、血管スケルトン画像上のアスタリスク(*)で示した460N1が現在探索点として設定される。
ステップ1340で、画像処理制御部206は、図9Bの血管中心点の探索のサブルーチンの処理を開始する。図9Bのサブルーチンは、図Aのステップ1340と図9Bのステップ1500で再帰的に呼び出されるサブルーチンである。
ステップ1400にて、画像処理制御部206は、現在探索点460N1を血管中心点として設定する。
ステップ1420で、画像処理制御部206は、血管中心点から一定距離(例えば、20μm)離れているにある血管スケルトン画像VS上の点を血管中心点候補とする。ここで、「血管中心点候補」の数は、血管中心点から一定距離以内に血管分岐がなく1本として連続ければ1つであり、血管分岐(血管が二股に分かれている)があれば分岐しているそれぞれの血管に対して2つ設定される。血管そのものが存在しない場合、血管中心点候補は設定されない。図18は血管ネットワークNV、血管中心点及び血管中心点候補との関係を模式的に示した図である。402B、404B、406B及び408Bはそれぞれ血管ネットワークVNのノード(1)、ノード(2)、ノード(3)、ノード(5)に対応している。血管中心点452がノード(1)とノード(4)の間に既に設定されている。血管はノード(4)で2つに分岐しており、次の血管中心点候補は、ノード(4)とノード(5)の間に位置する血管中心点候補1である454と、ノード(4)とノード(3)との間にある血管中心点候補2である456が設定されることになる。
ステップ1440で、画像処理制御部206は、血管中心点と血管中心点候補との間の血管走行方向を決定する。さらに、血管中心点の模擬眼球球面上での球面座標データ、血管走行方向、及び、固有な血管中心点番号を付与し、RAM266へ記憶する。
次に、ステップ1460からステップ1500のループ処理に進む。このループ処理は、ステップ1420で設定された血管中心点候補の数によって、実行される回数が異なる。つまり、血管分岐がなく1本として連続ければ1回実行され、血管分岐(血管が二股に分かれている)があれば2回実行される。図19では、点460N2が血管中心点候補となる。
ステップ1460にて、画像処理制御部206は、血管中心点候補が存在しない場合は、ループ処理は実行されず図9Bのサブルーチンを終了し、図9Aのステップ1360へ移行する。ステップ1360で、画像処理制御部206は、設定されたすべての血管中心点のデータ(少なくとも、血管中心点の模擬眼球球面上での球面座標データ、血管走行方向、及び、固有な血管中心点番号を含むデータ)をRAM266あるいは記憶装置254に記憶保持する。血管の終点に位置する血管中心点には、血管走行方向が算出できないので、直前の血管中心点の血管走行方向を設定するようにしてもよい。
血管中心点候補が存在する場合はステップ1480へ進む。血管中心点候補が存在する場合は、画像処理制御部206は、ステップ1480で、血管中心点候補を現在探索点として設定する。
そして、ステップ1500へ進み、画像処理制御部206は、図9Bのサブルーチンを再帰的に実行する。ステップ1500にて、分岐している血管の血管中心点の探索処理が終了すると、ステップ1520にて分岐している血管のループ処理を終了し、ステップ1460へ戻り、もう一つの分岐している血管中心点探索の処理を繰り返す。このように、血管ネットワークNVにより血管分岐の有無を判断し、ループ処理を繰り返すことにより、血管スケルトン画像VS内のすべての血管に対して血管中心点を設定することができる。
次に、図7のステップ326の血管中心点ごとの血管径の算出について説明する。図10には、図7のステップ326の処理のフローチャートが示されている。図10の処理は、図9A、図9Bに示す処理で設定された血管中心点のデータを用いて、血管中心点ごとに、模擬眼球面に投影された脈絡膜血管二値化画像(図14)における脈絡膜血管の血管径を算出する。
具体的には、ステップ372で、画像処理制御部206は、図9Aのステップ1360で記憶された血管中心点に関するデータを読み出す。そして血管中心点を1つ選択し、選択された血管中心点の模擬眼球球面上での球面座標データと血管走行方向とを特定する。
ステップ374で、画像処理制御部206は、選択された血管中心点の血管走行方向に直交する大円を算出する。具体的には、画像処理制御部206は、図20および図21に示すように、上記模擬眼球面に投影された脈絡膜血管二値化画像において、特定された血管中心点460Nnにおいて、血管走行方向460NDに直交する大円474(図21)を算出する。ここで大円の中心は模擬眼球の中心と同一である。
ステップ376で、画像処理制御部206は、大円474と血管縁の交点を算出する。具体的には、上記のように、上記模擬眼球面に投影された脈絡膜血管二値化画像に、血管中心点460Nnを基準に大円474が位置しており。画像処理制御部206は、位置させた大円474と、上記模擬眼球面上の脈絡膜血管二値化画像における当該脈絡膜血管の血管縁との交点476A、476Bを算出する。
ステップ378で、交点476Aと交点476Bとの間の距離rを算出し、血管スケルトン画像の血管中心点に対応させて記憶する。この距離rは大円474の一部であり血管中心点460Nnを通過する模擬眼球面上での最短距離となる。よって、眼球形状に近い血管径を得ることができる。
上記のように、図10の処理は、各血管スケルトン画像VS内のすべての血管中心点に対して行われる。よって、図22に示すように、模擬眼球面上の脈絡膜血管二値化画像における各血管中心点での血管径が算出される。なお、各血管中心点での血管径は血管中心点番号と対応付けられて、RAM266あるいは記憶装置254に記憶保持される。
図11には、図6のステップ309の脈絡膜血管径のデータベース作成処理のフローチャートが示されている。ステップ382で、画像処理制御部206は、保持されている血管中心点番号、模擬眼球球面上での球面座標データ、血管走行方向、血管径のデータを読み出す。
ステップ385で、画像処理制御部206は、血管を示す各画素に、当該画素に最も距離が近い血管中心点の番号および方向をラベリングする。具体的には、画像処理制御部206は、図23に示すように、血管中心点に対応する位置P1、P2、・・・を、脈絡膜血管二値化画像(図14)において特定する(つまり、模擬眼球球面上での血管中心点を示す球面座標データを、上での二次元画像上での血管中心点を示す二次元座標データ変換をする)。画像処理制御部206は、脈絡膜血管二値化画像における血管を示す各画素について、最も距離が近い血管中心点を特定する。当該各画素に、特定した血管中心点の番号と血管径を対応付ける(ラベリング)。より具体的には、図24に示すように、表示制御部204は、脈絡膜血管二値化画像における血管を示す画素G1~G6に、各画素に最も距離が近い血管中心点P1の番号(#=1)および血管径(r#1)を対応付ける。同様に、図25に示すように、表示制御部204は、脈絡膜血管二値化画像における血管を示す画素G7~G12に、各画素に最も距離が近い血管中心点P2の番号(#=4)および血管径(r#4)を対応付ける。
ステップ386で、画像処理制御部206は、脈絡膜血管径のデータベースを作成する。図26には、脈絡膜血管径のデータベースが示されている。図26に示すように、脈絡膜血管径のデータベースは、脈絡膜血管画像のデータ番号を記憶する記憶領域502を備えている。画像処理制御部206は、各脈絡膜血管画像を識別するデータ番号M1、M2、・・・を、記憶領域502に記憶する。
脈絡膜血管径のデータベースは、脈絡膜血管画像のデータ番号により識別される脈絡膜血管画像の各血管スケルトン画像内の血管に固有のスケルトン番号を記憶する記憶領域504を備えている。例えば、画像処理制御部206は、脈絡膜血管画像のデータ番号M1により識別される脈絡膜血管画像の各血管スケルトン画像内の血管のスケルトン番号S1、S2、・・・を、データ番号M1に対応させて記憶領域504に記憶する。また、血管ネットワークNVを解析することにより血管を識別し、スケルトン番号を付与するようにしてもよい。
脈絡膜血管径のデータベースは、各血管の血管長を記憶する記憶領域506を備えている。画像処理制御部206は、図9Aのステップ1300の処理を行うとともに模擬眼球面に血管スケルトン画像を張り付けた際に血管毎に、模擬眼球面上での血管長を計算し保持しておく。そして、計算された血管長をスケルトン番号に対応させて記憶領域506に記憶する。
脈絡膜血管径のデータベースは、血管毎に血管中心点総数を記憶する記憶領域508を備えている。表示制御部204は、各血管スケルトン画像(図19)(又は血管ネットワーク(図17)に設定された血管中心点をカウントし、総数を、血管長に対応させて記憶領域508に記憶する。
血管径のデータベースは、血管スケルトン画像の各血管中心点を識別する番号を記憶する記憶領域510を備えている。画像処理制御部206は、各血管内の存在する各血管中心点の番号をカウントし、血管中心点の血管内の総数を記憶領域510に記憶する。
脈絡膜膜血管径のデータベースは、各血管中心点のSLO画像(脈絡膜血管画像(図13)上の座標を記憶する記憶領域512を備えている。画像処理制御部206は、血管スケルトン画像の各血管中心点を、SLO画像(脈絡膜血管画像(図13))上で特定し、特定した各中心点の座標を、血管中心点に対応させて記憶領域512に記憶する。なお、各血管中心点のUWF-SLO画像上の座標を記憶するだけでなく、脈絡膜血管二値化画像上の座標を記憶するようにしてもよい。
脈絡膜血管径のデータベースは、血管中心点の番号が付与された、脈絡膜血管二値化画像の各画素の座標を記憶する記憶領域514を備えている。画像処理制御部206は、血管中心点の番号が付与された、脈絡膜血管二値化画像の各画素を特定し、特定した各画素の脈絡膜血管二値化画像上の座標を、血管中心点のSLO画像上の座標に対応させて記憶領域514に記憶する。なお、当該各画素の座標は、SLO画像(脈絡膜血管画像(図13))上の座標と一致する。
脈絡膜血管径のデータベースは、各血管中心点の血管走行方向を記憶する記憶領域516を備えている。画像処理制御部206は、血管ネットワーク(図17)から、血管中心点の血管走行方向を読み出し、読み出した血管中心点の血管走行方向を、血管中心点の番号が付与された、脈絡膜血管二値化画像の各画素の座標の各々に対応させて、記憶領域516に記憶する。
脈絡膜血管径のデータベースは、血管中心点における血管径を記憶する記憶領域518を備えている。画像処理制御部206は、血管スケルトン画像の血管中心点に対応させて記憶された、血管中心点における血管径を読み出し、血管走行方向に対応させて記憶領域518に記憶する。
なお、脈絡膜血管径のデータベースは、図27に示すように、2つのデータベースに分割してもよい。第1のデータベースは、記憶領域502~512、および518を備えている。第2のデータベースは、記憶領域514、516を備えている。
そして、図11のステップ388で、画像処理制御部206は、ステップ386で作成された脈絡膜血管径のデータベースを、RAM266あるいは記憶装置254に、対応するSLO画像とともに記憶保持する。
次に、図6のステップ310における表示画面データを作成する処理を説明する。
ここで、図28に示す表示画面800を説明する。図28は、後述する血管径アイコン856が操作された場合に表示される表示画面が示されている。図28に示すように、表示画面800は、患者の個人情報を表示する個人情報表示欄802、画像表示欄804、および脈絡膜解析ツール表示欄806を有する。
個人情報表示欄802は、患者ID表示欄812、患者氏名表示欄814、年齢表示欄816、右眼/左眼表示欄818、眼軸長表示欄820、視力表示欄822、撮影日時表示欄824、および患者選択アイコン314を有する。これらの表示欄812~824に、各情報を表示する。なお、図示しない患者選択アイコンがクリックされると、患者一覧を画像ビューワ150のディスプレイ172に表示し、解析対象となる患者をユーザに選択させる。
画像表示欄804は、脈絡膜血管画像表示欄832、血管画像表示欄834、および血管画像表示欄834に表示する脈絡膜の血管の血管径の範囲を示す径範囲表示欄840を有する。画像表示欄804は、アイコン844L、844M、844H、およびアイコン842を有する。
アイコン844Lは、ユーザが、血管画像表示欄834に、血管径が300μm未満の脈絡膜血管を、第1の色で表示させることを指示するためのアイコンである。アイコン344Mは、ユーザが、血管画像表示欄834に、血管径が300μm以上600μm未満の脈絡膜血管を、第1の色とは異なる第2の色で表示させることを指示するアイコンである。アイコン344Hは、ユーザが、血管画像表示欄834に、血管径が600μm以上の脈絡膜血管を、第1の色および第2の色とは異なる第3の色で表示させることを指示するためのアイコンである。
アイコン842は、ユーザが、血管画像表示欄834に、全ての脈絡膜血管を表示させることを指示するアイコンである。アイコン842が操作されると、全ての脈絡膜血管が各血管径に対応した色で表示される。
脈絡膜解析ツール表示欄806は、複数の脈絡膜解析を選択するアイコン類が表示される欄である。渦静脈位置アイコン852、対称性アイコン854、血管径アイコン856、渦静脈・黄斑/乳頭アイコン858、および脈絡膜解析レポートアイコン860を備える。渦静脈位置アイコン852は、渦静脈位置を表示させることを指示する。対称性アイコン854は、解析点の対称性を表示することを指示する。血管径アイコン856は、脈絡血管の径に関する解析結果を表示させることを指示する。渦静脈・黄斑/乳頭アイコン858は、渦静脈、黄斑、および視神経乳頭の間の位置を解析した解析結果を表示させることを指示する。脈絡膜解析レポートアイコン860は、脈絡膜解析レポートを表示することを指示する。
図29には、アイコン844Hが操作されて、血管径が600μm以上の脈絡膜血管が、血管画像表示欄834に表示された様子が示されている。脈絡膜血管径のデータベースの記憶領域518から、血管径が600μm以上の画素を抽出し、抽出した画素を、第1の色で血管画像表示欄834に表示する。同様に、アイコン844Mが操作されると、血管径が300μm以上600μm未満の画素が第2の色で表示される。アイコン844Lが操作されると、血管径が300μm未満の画素が第3の色で表示される。
図30には、カーソルで示された脈絡膜血管の血管径を表示する様子が示されている。ユーザが、カーソルなどを操作し血管画像表示欄384に表示された脈絡膜血管を指定すると、カーソルが位置する画素を特定し、特定された画素が属する血管スケルトン番号を、記憶領域504から特定する。血管スケルトン番号に対応する血管中心点の血管径を、記憶領域518から読み出し、読み出した血管径の平均値を計算し、平均値を表示部836に表示する。
また、カーソルで指定された画素に関連づけられた血管径を記憶領域518から読み出し、指定された血管位置の血管径として表示するようにしてもよい。なお、脈絡膜血管以外の領域にカーソルが位置した場合、カーソルが位置する画素には血管径データが存在しないため、血管径は表示されない。すなわち、カーソルが脈絡膜血管領域の画素を示したときのみ血管径が表示される。
図31には、指定された脈絡膜血管の血管径の様子をグラフ838で表示する様子が示されている。カーソルを脈絡膜血管に位置させ、更にクリックすると、血管スケルトン番号に対応する血管中心点を記憶領域510から読み出し、血管中心点の血管径を、記憶領域518から読み出す。血管中心点をx軸に、血管径をy軸にしたグラフ838に、各血管中心点に対応する血管径を表示する。このグラフ838により曲線や蛇行した血管の血管径をユーザが直感的に把握できる。
図32には、第2の表示画面800Aが示されている。図32に示すように、表示画面800Aの画像表示欄804には、脈絡膜血管画像を表示する脈絡膜血管画像表示欄832と、脈絡膜血管画像で指定された位置を含む所定領域の拡大画像を表示する拡大画像表示欄862を有する。図32に示すように、脈絡膜画像において、ユーザが、カーソルなどを操作し脈絡膜画像の所望の点にカーソル(十字マーク)を位置させると、拡大画像表示欄862に、カーソルの位置を中心とした所定領域を拡大した拡大画像を表示する。更に、カーソルが位置する画素を、記憶領域514から抽出し、抽出した画素に対応する血管径を、記憶領域518から読み出し、拡大画像表示欄862に数値で表示する。なお、脈絡膜血管以外の領域にカーソルが位置した場合、カーソルが位置する画素には血管径データが存在しないため、血管径は表示されない。すなわち、カーソルが脈絡膜血管領域の画素を示したときのみ血管径が表示される。
以上説明したように本実施の形態では、脈絡膜血管の複数の血管中心点を特定し、特定した複数の血管中心点の各々について血管径を算出するので、脈絡膜血管径を正確に算出することができる。また、血管径を算出するために脈絡膜血管画像を疑似眼球面に投影した画像を用いて血管径を算出しているので、実際の眼底における血管径を得ることができる。また、算出されて血管径を血管部分の画素などと対応付けた脈絡膜のデータベースを作成することにより、ユーザの診断を支援する様々なGUI(グラフィックユーザインターフェース)が可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態の構成は第1の実施の形態の構成と同様であるので、その説明を省略する。第2の実施の形態の作用は第1の実施の形態の作用と略同様であるので、異なる部分を主として説明する。
図33には、第2の実施の形態における図6のステップ308の血管径の算出処理のフローチャートが示されている。図33のステップ902で、図7のステップ322と同様の処理を実行する。つまり、脈絡膜血管二値化画像(図34)に含まれる脈絡膜血管を特定し、脈絡膜血管912について血管スケルトン画像VSおよび血管ネットワークVNが作成される。図34において、912は血管領域の画素の範囲を示し、点線で示された910はスケルトン画像を模式的に表している。また、渦静脈位置を示す渦静脈位置マーク914示されている。
ステップ904で、画像処理制御部206は、図35に示すように、血管中心点920N1、920N2、…を、脈絡膜血管912を複数の分割領域に分割するための血管分割点として、設定する。
ステップ906で、画像処理制御部206は、脈絡膜血管二値化画像(図34)における各脈絡膜血管の血管径を算出する。第2の実施の形態では、画像処理制御部206は、脈絡膜血管の血管径を、脈絡膜血管912を複数の分割領域の各々の血管径の平均を求めることにより、求める。画像処理制御部206は、脈絡膜血管912を複数の分割領域の各々の血管径を、各分割領域の面積を各分割領域の血管走行方向の長さで割ることにより、求める。
具体的には、図35に示すように、各血管中心点920N1、920N2…において、各血管中心点920N1、920N2、…の各血管走行方向に垂直な方向に分割線922N1、922N2、…を、脈絡膜血管二値化画像の各脈絡膜血管の領域において設定する。
図36に示すように、血管中心点920N1、920N2…の隣り合う組の中央に、各血管中心点920N1、920N2、…の各血管走行方向に垂直な方向に分割線922N1、922N2、…を、脈絡膜血管二値化画像の各脈絡膜血管の領域において設定してもよい。
画像処理制御部206は、分割線922N1、922N2、…により区切られた各分割領域の画像部分930I(図37)を抽出する。画像処理制御部206は、各分割領域の画像部分930の各画素932を、模擬眼球面に投影する。画像処理制御部206は、模擬眼球面に投影された分割領域の画像部分930の各画素の領域934の面積を求め、分割領域の全ての画素についての面積の総和を計算する。
画像処理制御部206は、血管スケルトン画像910における血管中心点間の距離を模擬眼球面上で計算する。画像処理制御部206は、分割領域の面積を、血管中心点間の眼球上の距離で割ることにより、血管中心点間の分割領域の血管径を算出する。そして、画像処理制御部206は、脈絡膜血管の全ての分割領域での血管径の平均を求める。これにより、当該脈絡膜血管の血管径を算出する。
次に、本開示の技術の種々の変形例を説明する。
<第1の変形例>
上記実施の形態では、管理サーバ140が、予め図6に示す画像処理プログラムを実行しているが、本開示の技術はこれに限定されない。画像ビューワ150が管理サーバ140に画像処理命令を送信し、これに応じて管理サーバ140が、図6の画像処理プログラムを実行するようにしてもよい。
<第2の変形例>
上記実施の形態では、眼科装置110により内部光照射角が200度程度の眼底画像を取得する例を説明した。本開示の技術はこれに限定されず、内部照射角で100度以下の眼科装置で撮影された眼底画像でもよいし、眼底画像を複数合成したモンタージュ画像でも本開示の技術を適用してもよい。
<第3の変形例>
上記実施の形態では、SLO撮影ユニットを備えた眼科装置110により眼底画像を撮影しているが、脈絡膜血管を撮影できる眼底カメラによる眼底画像でもよいし、OCTアンジオグラフィーにより得られた画像でも本開示の技術を適用してもよい。
<第4の変形例>
上記実施の形態では、管理サーバ140が画像処理プログラムを実行する。本開示の技術はこれに限定されない。例えば、眼科装置110又は画像ビューワ150が画像処理プログラムを実行するようにしてもよい。
<第5の変形例>
上記実施の形態では、眼科装置110、眼軸長測定器120、管理サーバ140、及び画像ビューワ150を備えた眼科システム100を例として説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、第1の例として、眼軸長測定器120を省略し、眼科装置110が、眼軸長測定器120の機能を更に有してもよい。また、第2の例として、眼科装置110が、管理サーバ140及び画像ビューワ150の少なくとも一方の機能を更に有してもよい。例えば、眼科装置110が管理サーバ140の機能を有する場合、管理サーバ140を省略することができる。この場合、画像処理プログラムは、眼科装置110又は画像ビューワ150が実行する。また、眼科装置110が画像ビューワ150の機能を有する場合、画像ビューワ150を省略することができる。第3の例として、管理サーバ140を省略し、画像ビューワ150が管理サーバ140の機能を実行するようにしてもよい。
<その他の変形例>
上記実施の形態で説明したデータ処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
また、上記実施の形態では、コンピュータを利用したソフトウェア構成によりデータ処理が実現される場合を例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア構成のみによって、データ処理が実行されるようにしてもよい。データ処理のうちの一部の処理がソフトウェア構成により実行され、残りの処理がハードウェア構成によって実行されるようにしてもよい。
<付記>
以上の内容から以下の付記が提案される。
<付記1>
制御部及び記憶媒体を備えるコンピュータに用いられ、前記記憶媒体に記憶されるデータのデータ構造であって、
前記データは、前記制御部が、前記記憶媒体から読み出し、脈絡膜血管の血管径を算出する処理に用いられ、
前記データは、
脈絡膜血管の複数の血管中心点のデータと、
各血管中心点の血管径のデータと、
を含む、データ構造。
<付記2>
制御部及び記憶媒体を備えるコンピュータに用いられ、前記記憶媒体に記憶されるデータのデータ構造であって、
前記データは、前記制御部が、前記記憶媒体から読み出し、複数の脈絡膜血管の各々の血管径を算出する処理に用いられ、
前記データは、
複数の脈絡膜血管の各々に対応する各脈絡膜血管の複数の血管中心点のデータと、
複数の脈絡膜血管の各々に対応する各血管中心点の血管径のデータと、
を含む、データ構造。
<付記3>
表示部、制御部及び記憶媒体を備えるコンピュータに用いられ、前記記憶媒体に記憶されるデータのデータ構造であって、
前記データは、前記制御部が、前記記憶媒体から読み出し、前記表示部に、脈絡膜血管画像と、前記脈絡膜血管画像において指示された箇所の脈絡膜血管の血管径とを表示する処理に用いられ、
前記データは、
脈絡膜血管画像の各画素のデータと、
前記脈絡膜血管画像中の絡膜血管の複数の血管中心点のデータと、
各血管中心点の血管径のデータと、
を含む、データ構造。
<付記4>
脈絡膜血管の複数の血管中心点のデータと、各血管中心点の血管径のデータと、を対応して記憶する記憶媒体。
<付記5>
複数の脈絡膜血管の各々に対応して、各脈絡膜血管の複数の血管中心点のデータと、各血管中心点の血管径のデータと、を記憶する記憶媒体。
<付記6>
脈絡膜血管画像の各画素のデータと、前記脈絡膜血管画像中の絡膜血管の複数の血管中心点のデータと、各血管中心点の血管径のデータと、を対応して記憶する記憶媒体。