JP2023058937A - 超音波プローブ - Google Patents

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Takashi Kasashima
広大 横山
Kodai Yokoyama
遼 鈴木
Ryo Suzuki
諭 鈴木
Satoshi Suzuki
彰大 千藤
Akihiro Chito
祐輔 森
Yusuke Mori
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Abstract

【課題】圧電素子と超音波放出面との間において不具合を抑え、且つ超音波の減衰を抑える。【解決手段】超音波プローブPは、圧電素子10を音響伝達部材側に押し付ける弾性部材40と、液体70と、を有する。超音波プローブPは、圧電素子10と超音波放出面との間において、複数の音響伝達部材の間又は圧電素子10と音響伝達部材との間の隙間が非接合とされ、且つ非接合とされた隙間に液体70が介在する。【選択図】図1

Description

本発明は、超音波プローブに関する。
特許文献1には、超音波プローブの一例が開示されている。特許文献1に開示される超音波プローブは、超音波探触子と音響放射窓との間に超音波伝達媒体が充満され、超音波伝達媒体としてオイルが用いられる。
特開2002-345819号公報
特許文献1の技術を含む従来技術では、超音波を発生する圧電素子に対して、圧電素子で発生した超音波を伝達する音響伝達部材が接着剤や樹脂モールドなどの媒体によって固定される構成が用いられる。しかし、この構成では、媒体の起因する原因(残留応力や特性不良)によって圧電素子に不具合が生じる懸念がある。
本発明は、上述の事情に基づいて完成されたものであって、圧電素子と超音波放出面との間において不具合を抑えることができ、且つ超音波の減衰を抑えることができる超音波プローブを提供することを目的とする。
本発明の一つである超音波プローブは、
超音波を発生する圧電素子と、
前記圧電素子で発生した超音波を伝達する1つ以上の音響伝達部材を有し、自身の一方側の面によって前記圧電素子を支持し、自身の他方側の面が超音波放出面とされる超音波伝達部と、
を有する超音波プローブであって、
前記圧電素子を前記音響伝達部材側に押し付ける力を生じさせる弾性部材と、
液体と、
を有し、
前記圧電素子と前記超音波放出面との間において、複数の前記音響伝達部材の間又は前記圧電素子と前記音響伝達部材との間の隙間が非接合とされ、且つ前記隙間に前記液体が介在する。
上記の超音波プローブは、複数の音響伝達部材の間又は圧電素子と音響伝達部材との間の隙間が非接合とされるため、この隙間が接着剤によって接合されることに起因する不具合(例えば、接着剤の残留応力に起因する素子割れや接着剤厚みによる特性不良等の不具合)を生じさせないようにすることができる。しかも、この隙間には、液体が介在するため、接着剤の代わりに超音波減衰率が大きい気体が介在する構成と比較して、超音波の減衰を抑えることができる。
上記の超音波プローブにおいて、上記液体は、空気よりも超音波減衰率が小さくてもよい。
この超音波プローブは、液体の位置に空気が存在する場合と比較して、液体の位置を通過する超音波の減衰を抑えることができる。
上記の超音波プローブにおいて、上記液体は、上記隙間の幅よりも小さい固体粒子を含んでいてもよい。
この超音波プローブは、液体と固体粒子の両方によって音響インピーダンスを調整することができるため、音響インピーダンスの適切化を図る上で有利である。
上記の超音波プローブにおいて、上記弾性部材は、導体を有し、上記圧電素子に信号を伝送する経路をなしていてもよい。
この超音波プローブは、弾性部材を、圧電素子を音響伝達部材側に押し付ける部材として使用するだけでなく、信号を伝送する経路として兼用することができるため、別途専用の信号伝送経路を用意する構成と比較して、部品点数の削減を図ることができる。
上記の超音波プローブは、複数の上記音響伝達部材を有していてもよい。上記液体は、複数の上記音響伝達部材の間又は上記圧電素子と上記音響伝達部材との間のいずれか一の隙間に介在する第1液体と、他の隙間に介在する第2液体とを有していてもよい。上記第1液体の音響インピーダンスは、上記第2液体と異なっていてもよい。
この超音波プローブは、音響インピーダンスの異なる2種類の液体が用いられるため、液体を複数の位置にそれぞれ配置して超音波の減衰を一層抑える構成としつつ、各位置の音響インピーダンスを異ならせることができる。
上記の超音波プローブは、上記第1液体が収容される第1領域と上記第2液体が収容される第2領域とを仕切る仕切部を有していてもよい。上記仕切部は、上記第1領域と上記第2領域との間で上記液体が移動することを遮断する構成であってもよい。
この超音波プローブは、第1液体と第2液体とを異なる位置に配置しつつ、第1液体と第2液体とを、より確実に分離することができる。
本発明の一つである超音波プローブは、圧電素子と超音波放出面との間において、接合に起因する部材間の不具合を抑えることができ、且つ超音波の減衰を抑えることができる。
図1は、第1実施形態の超音波プローブを概略的に例示する断面図である。 図2は、図1の超音波プローブを製造する方法の一部の工程を説明する説明図である。 図3は、図1の超音波プローブを製造する方法について、図2の工程に続く工程を説明する説明図である。 図4は、図1の超音波プローブを製造する方法について、図3の工程に続く工程を説明する説明図である。 図5は、変形例の超音波プローブを製造する方法の一部の工程を説明する説明図であり、図4の工程を変更した工程を例示する説明図である。 図6は、図5の工程に続く工程を説明する説明図である。 図7は、効果を確認するための実験の装置を簡略的に示す説明図である。 図8は、効果を確認するための実験の結果を説明するグラフである。 図9は、第2実施形態の超音波プローブを概略的に例示する断面図である。
<第1実施形態>
1.超音波プローブPの構成
以下の説明は、第1実施形態の超音波プローブPに関する。
図1で示される第1実施形態の超音波プローブPは、医療用または産業用の超音波装置に用いられる。超音波プローブPは、超音波を送受信する。
図1のように、超音波プローブPは、圧電素子10、音響整合層30、弾性部材40、支持部材50及びケース90を備える。超音波プローブPは、図示が省略された制御装置に電気的に接続され、この制御装置から電気信号を受信し得る。また、超音波プローブPは、上記制御装置に対して電気信号を送信し得る。図1の構成では、音響整合層30及びケース90が音響伝達部材の一例に相当する。
以下の説明では、図1のように、圧電素子10の厚さ方向が上下方向である。圧電素子10の厚さ方向一方側が下方側であり、圧電素子10の厚さ方向他方側が上方側である。具体的には、圧電素子10に対し、弾性部材40側が上側であり、それとは反対側(図1では、音響整合層30側)が下側である。図1には、超音波プローブPを中心軸線Xに沿って切断した断面が概略的に示される。
圧電素子10は、超音波を発生させる素子である。圧電素子10は、圧電体14と第1導電層11と第2導電層12とを有する。圧電素子10は、所定の厚さの板状をなす。圧電素子10は、中心軸線Xを中心とする円柱状であり、より詳しくは円板状である。圧電素子10は、上面11Aの外縁及び下面12Bの外縁がいずれも円形であり且つ外周面が円筒面である。
圧電体14は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等からなる。圧電体14は、所定の厚さの円板状をなす。
第1導電層11は、圧電体14の一方側の板面(上面)に配置される。第2導電層12は、圧電体14の他方側の板面(下面)に配置される。第1導電層11及び第2導電層12は、金又は銀、銅、錫等の蒸着、メッキ、スパッタリング、ペーストの印刷、焼付け等によって形成された導電性を有する電極層である。第1導電層11は、圧電体14の上面の全体を覆う構成で配置される。第2導電層12は、圧電体14の下面の全体を覆う構成で配置される。第1導電層11の上面11Aと第2導電層12の下面12Bは、平行である。これら上面11A及び下面12Bは、いずれも中心軸線Xに対して直交する面である。
第1導電層11は、圧電素子10の上面側の第1電極である。第1導電層11の上面11Aは、圧電素子10の一方の主面(上面)である。第1導電層11は、図示されていない導電性部材によって弾性部材40に電気的に接続される。第1導電層11は、弾性部材40を介して図示されていない基板に電気的に接続され、この基板との間で信号の伝達を行う。例えば、第1導電層11には、弾性部材40に印加される電圧と同一の電圧が印加される。
第2導電層12は、圧電素子10の下面側の第2電極である。第2導電層12の下面12Bは、圧電素子10の他方の主面(下面)である。圧電素子10は、音響整合層30の上に載置される。第2導電層12の下面12Bは、後述される液体70を介在させた構成で、音響整合層30の上面によって支持される。第2導電層12は、図示されていない導電性部材を介して上記基板に電気的に接続され、この基板との間で信号の伝達を行う。例えば、第2導電層12には、上記導電性部材に印加される電圧と同一の電圧が印加される。
圧電素子10は、第1導電層11及び第2導電層12を介して図示が省略された制御装置に対して電気信号を送信する動作を行い得る。更に、圧電素子10は、上記制御装置からの電気信号を受信する動作を行い得る。圧電素子10は、第1導電層11と第2導電層12との間に交流電圧が印加されることに応じて超音波を発生させる。
圧電素子10の下方側には、超音波伝達部20が設けられる。超音波伝達部20は、圧電素子10で発生した超音波を伝達する1つ以上の音響伝達部材を有してなるものである。図1の例では、複数の音響伝達部材(音響整合層30及び底壁92A)が超音波伝達部20を構成する。超音波伝達部20は、自身の一方側の面である音響整合層30の上面30Aによって圧電素子10を支持し、自身の他方側の面である底壁92Aの下面(より具体的には、レンズ部96の下面96A)が超音波放出面とされる。
音響整合層30は、圧電素子10で発生する超音波を伝達する部材である。音響整合層30は、圧電素子10の下方側に配置され、上下方向において圧電素子10と底壁92Aとの間に挟まれている。音響整合層30は、円板状である。音響整合層30の上面30Aは、圧電素子10の下面12Bを支持する支持面であり、圧電素子10を下方側から支える支持面である。音響整合層30の下面30Bは、底壁92Aによって下方側から支えられる面である。音響整合層30の音響インピーダンスは、圧電素子10の音響インピーダンスの大きさと、音響レンズとして機能する底壁92Aの音響インピーダンスの大きさとの間の中間の大きさである。
音響整合層30は、中心軸線Xを中心とする円柱状である。音響整合層30の上面30A及び下面30Bはいずれも、平坦面である。音響整合層30の上面30A及び下面30Bのいずれの外縁も、中心軸線Xを中心とする円形である。音響整合層30は、ケース90に対する中心軸線Xと直交する平面方向の相対位置が周壁92Bの内周面によって規定されている。音響整合層30は、周壁92Bによって囲まれているため、上記平面方向の相対移動が規制され、上記平面方向に大きく位置ずれしないようになっている。音響整合層30及び圧電素子10は、中心軸線Xを中心とする同軸の位置関係で積層される。超音波プローブPは、底壁92Aと圧電素子10との間に音響整合層30が介在する構成であるため、超音波が底壁92Aへ効率良く伝播される。
ケース90は、下側ケース体92と上側ケース体94とを有する。ケース90は、例えば樹脂材料によって構成される。ケース90の内部には、圧電素子10、音響整合層30、弾性部材40、支持部材50、液体70などが収容されている。
下側ケース体92は、底壁92A及び周壁92Bを有する。底壁92A及び周壁92Bは、例えば同一の材料によって一体に形成されている。底壁92Aは、略円板状であり、上側又は下側から見ると外縁が円形状をなしている。底壁92Aは、ケース90の下面の全体を塞いでいる。底壁92Aの上面は、音響整合層30を下側から支えるように音響整合層30を支持する支持面である。底壁92Aの下面は、超音波プローブPの外側に露出する外面である。周壁92Bは、底壁92Aの外縁部の全周に亘って連結され、底壁92Aから上方に立ち上がる構成をなす。周壁92Bは、円筒状をなす。図1の例では、周壁92Bは、中心軸線Xを中心とする円筒である。周壁92Bの上端部は、開放した構成をなし、円形状の開口部として構成されている。周壁92Bの内周面は、音響整合層30の外周面を囲む面である。図1の構成では、周壁92Bの内側に音響整合層30が嵌り込んだ構成をなす。周壁92Bの内周面及び外周面はいずれも、中心軸線Xを中心とする円筒面である。
ケース90の底壁92Aの一部をなすレンズ部96は、超音波を集束する音響レンズである。レンズ部96の下面96Aは、湾曲面であり、底壁92Aの下面の一部をなす。レンズ部96の上面は、平坦面であり、底壁92Aの上面の一部をなす。レンズ部96の外縁(下面96A(湾曲面)の外縁)は、中心軸線Xを中心とする円形である。レンズ部96と音響整合層30は、中心軸線Xを中心とする同軸の位置関係で積層される。
上側ケース体94は、下側ケース体92の上端部の開口を塞ぐ蓋部として機能する。上側ケース体94は、上壁94Aと周壁94Bとを有する。上壁94A及び周壁94Bは、例えば同一の材料によって一体に形成されている。上壁94Aは、略円板状である。上壁94Aは、ケース90の上面の全体を塞いでいる。上壁94Aの下面は、弾性部材40を上方側から支える支持面である。上壁94Aの下面は、弾性部材40によって上方側に押される。周壁94Bは、上壁94Aの外縁部の全周に亘って連結され、上壁94Aから下方に立ち下がる構成をなす。周壁94Bは、円筒状をなす。周壁94Bの下端部は、開放した構成をなし、円形状の開口部として構成されている。周壁94Bの内周面及び外周面はいずれも、中心軸線Xを中心とする円筒面である。周壁94Bの内周部は、内径が相対的に小さい第1内周部98と、第1内周部98よりも内径が大きい第2内周部99とを有する。第1内周部98は、第2内周部99の上側に配置される。第1内周部98の内周面98Aと第2内周部99の内周面99Aは、段差状をなす。
第1内周部98の内周面98Aは、中心軸線Xを中心とする円筒面である。図1の構成では、第1内周部98の内側に支持部材50の嵌合部52が嵌り合った構成をなす。第1内周部98は、嵌合部52の移動方向を規制する内壁部である。第1内周部98は、嵌合部52が中心軸線Xと直交する平面方向に移動しないように嵌合部52の周りを囲み、嵌合部52が中心軸線Xの方向に沿って上下動することを許容するように上下の通路を構成する。
第2内周部99の内周面99Aは、中心軸線Xを中心とする円筒面である。図1の構成では、第2内周部99の内側に周壁92Bが嵌り合った構成をなす。第2内周部99と周壁92Bとの間は密封される。
支持部材50は、圧電素子10を上側から押さえる部材である。支持部材50は、例えば樹脂材料によって構成される。支持部材50は、嵌合部52と、嵌合部52の下方側に配置される押圧部54と、を備える。嵌合部52と押圧部54は、一体的に構成される。
嵌合部52は、円筒状に構成される。図1の例では、嵌合部52は、中心軸線Xを中心とする円筒である。嵌合部52は、第1内周部98と嵌まり合った状態で上下に摺動し得る。嵌合部52の内側の空間には、弾性部材40の一部が配置される。嵌合部52と第1内周部98とが嵌り合っているため、支持部材50は、ケース90に対して中心軸線Xと直交する方向に相対移動することが許容されず、ケース90に対し中心軸線Xに沿った方向の相対移動のみが許容される。
押圧部54は、嵌合部52の下端部を塞ぐように配置される。即ち、嵌合部52の内側の空間は、押圧部54によって塞がれている。押圧部54において嵌合部52の内側に配置される上面54Aは、弾性部材40を下方側から支える支持面である。押圧部54の上面54Aは、弾性部材40の弾性力に基づく押圧を受け、弾性部材40によって下方側に押される。押圧部54は、例えば、円柱状に構成され、嵌合部52よりも下方側に突出した構成をなす。押圧部54の外周面54Bは、中心軸線Xを中心とする円筒面である。押圧部54の外周面54Bの径(外径)は、第1内周部98及び第2内周部99の内径よりも小さく、周壁92Bの内径よりも小さい。押圧部54の外周面54Bと周壁92Bの内周面との間には、空間が構成されており、この空間には後述の液体70の一部が収容されている。
押圧部54の下端部には、圧電素子10の移動を規制しつつ圧電素子10を抑える規制部56が設けられている。規制部56は、環状部56Aと押圧部56Bとを備える。環状部56Aは、圧電素子10の上端部付近の周囲に配置され、圧電素子10の上端部付近の外周面を囲むように配置される。環状部56Aは、圧電素子10の一部(少なくとも上端部を含む一部)と嵌まり合い、圧電素子10が中心軸線Xと直交する平面方向に移動しないように規制する。押圧部56Bは、圧電素子10の上面11Aにおける外縁部付近を下方側に向かって押すように環状に配置される。押圧部54は、弾性部材40によって下方側に付勢され、弾性部材40によって下向きに継続的に押され続ける。従って、押圧部56Bには、上面11Aの外縁部付近を下方側に向かって継続的に押す力が生じ続け、圧電素子10を上側から押さえ続ける。但し、衝撃や応力などによって押圧部54に上向きに力が加わった場合、この力を吸収又は逃がすように支持部材50が弾性部材40の付勢に抗して上側に移動することは許容される。
弾性部材40は、圧電素子10を音響伝達部材側に押し付ける力を生じさせる部材である。弾性部材40は、中心軸線Xの周りに巻き回された構成をなすコイルばねを有する。弾性部材40は、圧縮ばねとして機能する。弾性部材40は、自身が収縮した状態で上壁94Aの下面と押圧部54の上面54Aとの間に挟まれて配置される。弾性部材40は、自身の下端部が押圧部54の上面54Aに接触し、自身の弾性力に基づいて自身の下端部が押圧部54を下方側に継続的に押し続ける。従って、押圧部54には、圧電素子10の上面を下方側に押す力が継続的に生じる。弾性部材40は、導体を有する。図1の構成では、弾性部材40の全体が導電性弾性材料などの導体によって構成されている。弾性部材40は、第1導電層11に電気的に接続され、圧電素子10に信号を伝送する経路をなしている。
液体70は、複数の音響伝達部材の間又は圧電素子10と音響伝達部材との間の隙間に介在する媒体である。本構成では、圧電素子10と超音波放出面(下面96A)との間において、複数の音響伝達部材の間及び圧電素子10と音響伝達部材との間の隙間が非接合とされ、これらの隙間に液体70が介在する。液体70は、広義の液体であればよい。液体70は、ゾル又はゲルであってもよく、ゾルやゲル以外の液体であってもよい。液体70は、超音波プローブPが使用される環境(例えば常温)において凝固せず且つ揮発して喪失しないものである。以下の説明では、液体70としてグリセリンが用いられる構成を代表例として説明する。図1の構成では、圧電素子10の下面12Bと音響整合層30の上面30Aとが非接合とされ、下面12Bと上面30Aとの間の隙間に充填された構成で液体70が介在する。下面12Bと上面30Aとが非接合とされているため、下面12Bが上面30Aに対して若干相対移動することが許容される。従って、圧電素子10及び音響整合層30のいずれか一方に応力、変形、衝撃等が生じても、その影響が他方に及びにくい。更に、音響整合層30の下面30Bと底壁92Aの上面との間の隙間に充填された構成で液体70が介在する。下面30Bと底壁92Aの上面とが非接合とされているため、下面30Bが底壁92Aの上面に対して若干相対移動することが許容される。従って、音響整合層30及び底壁92Aのいずれか一方に応力、変形、衝撃等が生じても、その影響が他方に及びにくい。更に、これらの隙間から漏れ出た液体70が、ケース90内における上記隙間の外側の空間に収容されている。
図1の構成では、圧電素子10の外周面の外側且つ押圧部54の外側に、液体70の一部が収容される収容空間80が構成されている。収容空間80は、圧電素子10の下面12Bと音響整合層30の上面30Aとの間の隙間に連通している。更に、収容空間80は、音響整合層30の下面30Bと底壁92Aの上面との間の隙間に連通している。なお、図1の構成では、収容空間80の一部領域が液体70の領域となっているが、収容空間80の全体に充填された形で液体70が収容されていてもよい。
液体70は、空気よりも超音波減衰率が小さい液体である。更に、液体70内には、上記隙間の幅よりも径の小さい固体粒子が含まれている。固体粒子の径は、下面12Bと上面30Aとの間の隙間の間隔よりも小さい。下面12Bと上面30Aとの間の隙間の間隔とは、下面12Bと上面30Aとの間において、上下方向の距離が最も大きくなる位置での上下の間隔である。固体粒子の径は、下面30Bと底壁92Aの上面との間の隙間の間隔よりも小さい。下面30Bと底壁92Aの上面との間の隙間の間隔とは、下面30Bと底壁92Aの上面との間において、上下方向の距離が最も大きくなる位置での上下の間隔である。つまり、液体70内に含まれる固体粒子のサイズは、下面12Bと上面30Aとの間の隙間に入り込むことができるサイズであり、下面30Bと底壁92Aの上面との間の隙間内に入り込むことができるサイズである。
例えば、圧電素子10及び音響整合層30のうちのいずれか一方の音響インピーダンスがZ1であり、他方の音響インピーダンスがZ2であり、Z1>Z2である場合、下面12Bと上面30Aとの間の隙間に介在する媒体の音響インピーダンスZaは、Z1>Za>Z2であることが望ましい。例えば、下面12Bと上面30Aとの間の隙間に液体70のみが介在し、液体70の音響インピーダンスがZaである場合、Z1>Za>Z2であることが望ましい。例えば、下面12Bと上面30Aとの間の隙間に上記固体粒子を含む液体70が介在し、固体粒子を含む液体70の音響インピーダンスがZaである場合、Z1>Za>Z2であることが望ましい。
例えば、音響整合層30及び底壁92Aのうちのいずれか一方の音響インピーダンスがZ3であり、他方の音響インピーダンスがZ4であり、Z3>Z4である場合、下面30Bと底壁92Aの上面との間の隙間に介在する媒体の音響インピーダンスZbは、Z3>Zb>Z4であることが望ましい。例えば、下面30Bと底壁92Aの上面との間の隙間に液体70のみが介在し、液体70の音響インピーダンスがZbである場合、Z3>Zb>Z4であることが望ましい。例えば、下面30Bと底壁92Aの上面との間の隙間に上記固体粒子を含む液体70が介在し、固体粒子を含む液体70の音響インピーダンスがZbである場合、Z3>Zb>Z4であることが望ましい。
2.超音波プローブPの製造方法
超音波プローブPは、例えば、以下のような方法で製造することができる。
本実施形態に係る超音波プローブPの製造方法では、まず、図2(A)に示される第1注入工程が行われる。第1注入工程では、上述された所定形状の下側ケース体92が用意される。下側ケース体92の形成方法は特に限定されず、公知の様々な方法が採用される。第1注入工程では、用意された下側ケース体92の内部に所定量の液体70が注入される。第1注入工程で注入される液体70の量は、底壁92Aの上面の大部分又は全部を覆う程度の量であることが望ましい。
図2(A)に示される第1注入工程の後には、図2(B)に示される第1配置工程が行われる。第1配置工程では、第1注入工程で注入された液体70の上に音響整合層30が配置される。第1配置工程の後には、底壁92Aの上面と音響整合層30の下面との間に液体70が挟まれて介在した構成となる。
図2(B)に示される第1配置工程の後には、図2(C)に示される第2注入工程が行われる。第2注入工程では、第1配置工程を経て下側ケース体92の内部に配置された音響整合層30の上面上に所定量の液体70が注入される。第2注入工程で注入される液体70の量は、音響整合層30の上面の大部分又は全部を覆う程度の量であることが望ましい。
図2(C)に示される第2注入工程の後には、図3(A)に示される第2配置工程が行われる。第2配置工程では、第2注入工程で注入された液体70の上に圧電素子10が配置される。第2配置工程を行うにあたり、第2配置工程の前には上述された所定構造の圧電素子10が予め形成され、このように形成された圧電素子10が第2配置工程において配置される。第2配置工程の後には、音響整合層30の上面と圧電素子10の下面との間に液体70が挟まれて介在した構成となる。
図3(A)に示される第2配置工程の後には、図3(B)に示される導電路接続工程が行われる。導電路接続工程では、圧電素子10の一方面に配置される第1導電層11に対して第1の導電路をなす配線101が電気的に接続され、圧電素子10の他方面に配置される第2導電層12に対して第2の導電路をなす配線102が電気的に接続される。第1導電層11と配線101とを接続する構造は、互いに導通し得る構造であればよい。第2導電層12と配線102とを接続する構造は、互いに導通し得る構造であればよい。配線101と配線102は、別々の信号伝送経路として構成されていればよい。
図3(B)に示される導電路接続工程の後には、図4に示される押圧部配置工程が行われる。本実施形態では、上述された支持部材50及び弾性部材40によって圧電素子10を押圧する押圧部が構成され、押圧部配置工程では、導電路接続工程を経た後の構造体に対し、押圧部が配置される。押圧部配置工程では、まず、支持部材50を圧電素子10の上に配置する。支持部材50の配置においては、環状部56Aが圧電素子10の上端部付近と嵌まり合い、押圧部56Bが圧電素子10の上面部における周縁部付近を押えるように配置される。更に、押圧部配置工程では、圧電素子10上に配置される支持部材50の上に、弾性部材40が配置される。なお、導電路接続工程で接続された配線101,102は、信号経路を確保するように所定位置に配置される。例えば、一方の配線101は、支持部材50に形成された配線配置部(例えば孔部)を経由する構成で、弾性部材40に電気的に接続される。他方の配線102は、支持部材50に形成された配線配置部(例えば孔部)を経由する構成で、圧電素子10側から弾性部材40側に跨るように配置され、更に弾性部材40内を通るように配置される。
このように加圧部配置工程が行われた後に、上述された所定形状の上側ケース体94が配置されるように密封工程が行われることで、図1のような超音波プローブPが得られる。なお、図1では、配線101,102の図示は省略されているが、配線102は、図示されていない導出部(孔部等)を介してケース90の内外に跨るように配置されていればよい。また、弾性部材40側の信号経路については、弾性部材40に電気的に接続される導体が、図示されていない導出部(孔部等)を介してケース90の内外に跨るように配置されていればよい。
なお、図1、図4では、配線101が弾性部材40に電気的に接続されるように配策される例が示されたが、図5のように配線101が配線102と同様に配策されるように押圧部配置工程が行われてもよい。そして、図6のように、図示されていない孔部等を介して配線101,102を導出し得るように上側ケース体94が取り付けられる形で、密封工程が行われてもよい。
3.効果の例
次の説明は、超音波プローブPの効果の一例に関する。
超音波プローブPは、複数の音響伝達部材の間及び圧電素子10と音響伝達部材との間の隙間が非接合とされるため、この隙間が接着剤によって接合されることに起因する不具合(例えば、接着剤の残留応力に起因する素子割れや接着剤厚みによる特性不良等の不具合)を生じさせないようにすることができる。しかも、この隙間には、液体70が介在するため、接着剤の代わりに超音波減衰率が大きい気体が介在する構成と比較して、超音波の減衰を抑えることができる。
従来、超音波センサや超音波プローブに利用される圧電素子は音響伝達部材(音響整合層や音響レンズ等)との間に空隙が生まれないように、接着剤や樹脂モールドにより固定されるのが一般的である。しかし、この方法は、樹脂の硬化に際し、高温に保持して硬化するか、長時間の保持により硬化するなど、処理に手間を要する。また、上記の方法は、樹脂硬化時の残留応力による素子割れや、接着剤厚みによる特性不良等の不具合を招く懸念もある。更に、接着剤を高温に加熱処理するような製造方法を採用する製品では、圧電素子自体も高温に晒されるが、キュリー点を超えるような加熱は、分極状態が消失するため行うことができず、キュリー点に到達しないような加熱でも、キュリー点付近に近づくほど素子特性が悪化する懸念があるため避ける必要がある。特に、キュリー点が低い材料では、上記の問題がより生しやすいため、高温硬化の接着剤を避けることが望まれる。
この点に関し、本実施形態の超音波プローブPは、接着剤を用いなくても圧電素子10と超音波伝達部の位置関係を安定的に保つ構造を実現できる。例えば、支持部材50及び弾性部材40の存在により、単純圧着のような拘束力を必要とせずに保持することができるため、圧電素子10の自由振動が妨げられない。従って、この超音波プローブPは、接着剤を用いた従来構造と比べて遜色のない又はこれを上回る音響送受信特性が得られる可能性がある。
また、超音波プローブPでは、弾性部材40が各界面に発生する間隙を継続的に小さく抑えるように作用するため、圧電素子10及び音響伝達部材の厚さが大きく変動することが抑えられる。従って、厚さの変化に起因する特性変化が生じにくい。更に、弾性部材40、支持部材50、ケース90によって圧電素子10や音響整合層30を安定的に保持する構成を採用しているため、圧電素子10や音響伝達部材が中心軸線Xと直交する水平方向にずれることも抑えられる。
更に、超音波プローブPは、接着剤などに起因する内部残留応力が発生しないため、内部残留応力に起因する素子割れ等を抑制することができ、歩留まりを改善しやすい。また、超音波プローブPは、圧電素子を固定するために熱処理(接着剤を加熱処理して接合する工程)を行わずに済む構成であるため、他の工程で熱処理が採用されなければ、低キュリー点の素子を使用しやすい。しかも、超音波プローブPでは、圧電素子10自体が接着されていないため、圧電素子10がPZTのような鉛含有物質によって構成されている場合には、このような物質を使用後に分別しやすく、環境に対する負荷を低減しやすい。
更に、液体70は、空気よりも超音波減衰率が小さいため、液体70の位置に空気が存在する場合と比較して、この位置を通過する超音波の減衰を抑えることができる。
更に、液体70は、上記隙間の幅よりも小さい固体粒子を含んでいるため、液体70と固体粒子の両方によって音響インピーダンスを調整することができる。よって、この超音波プローブPは、音響インピーダンスの適切化を図る上で有利である。例えば、上記隙間において液体70内に上記固体粒子が含まれる媒体が介在する場合、固体粒子の含有度合いによって当該媒体の音響インピーダンスを調整することもできるし、密度や音速を調整することもできる。
超音波プローブPは、圧電素子10を音響伝達部材側に押し付ける部材として弾性部材40を使用するだけでなく、信号を伝送する経路として兼用することができるため、別途専用の信号伝送経路を用意する構成と比較して、部品点数の削減を図ることができる。
4.実験結果
以下では、本実施形態の効果を確認するための実験の結果が説明される。
この実験では、実施例として、図1の超音波プローブPが用意された。この実施例は、図1の構成において、底壁92Aと音響整合層30との間にグリセリンが介在し、圧電素子10と音響整合層30との間にグリセリンが介在した構成である。一方、比較例として、図1の構成において、液体70に代えて接着剤を用いた構成が用意された。比較例は、図1の構成において、底壁92Aと音響整合層30との間が接着剤によって接着され、圧電素子10と音響整合層30との間が接着剤によって接着されるように変更された構成である。比較例の上記接着剤は、エポキシ系接着剤である。上記の実施例及び比較例のいずれでも、圧電体14として、狙い中心周波数2MHzのPZT-5A系の素子が用いられた。
実験では、実施例及び比較例の超音波プローブの性能を比較するため、図7のような実験装置を用い、各例の超音波プローブを図7のプローブSpのように配置して超音波の送受信を行った。いずれの例でも、ファンクションジェネレータにより、圧電素子10に対して振幅が10V程度の正弦バースト波の電圧が印加され、期間は10周期分とされた。いずれの例でも、超音波プローブ(プローブSp)と金属板120との距離は60mmであり、超音波プローブ(プローブSp)から水中に配置した金属板120に向けて超音波を発し、金属板120からの反射を超音波プローブが受信した結果に基づいて送受信損失を測定した。なお、図7のように、ファンクションジェネレータからの送信信号及び圧電素子10からの受信信号はオシロスコープに入力され、送受信損失はオシロスコープに入力される信号に基づいて評価された。実験では、1~3MHzの範囲で0.1MHzごとに送受信損失が確認された。この実験の結果は、図8に示される。実施例の送受信損失は、狙い周波数である2MHz近傍では比較例と遜色ない結果となった。
<第2実施形態>
次の説明は、第2実施形態の超音波プローブPに関する。
図9に示される第2実施形態の超音波プローブPは、音響整合層30に代えて音響整合層230が用いられ、底壁92Aに代えて底壁292Aが用いられ、液体70に代えて第1液体271及び第2液体272が用いられ、更に、液体270の配置が第1実施形態で用いられる液体70と異なっている。第2実施形態の超音波プローブPは、これらの点以外は、第1実施形態の超音波プローブPと同一の構成をなす。例えば、上側ケース体94、周壁92B、支持部材50、弾性部材40、圧電素子10は、第1実施形態と同一の構成をなし、第1実施形態と同様に配置され、第1実施形態と同様に機能する。従って、これらの部品の詳細な説明は省略される。第2実施形態の超音波プローブPにおいて、第1実施形態の超音波プローブPと同様の構成をなす部分については、第1実施形態の超音波プローブPの各部分と同一の符号が付される。
以下では、第2実施形態の超音波プローブPにおいて、第1実施形態と異なる点が重点的に説明される。第2実施形態の超音波プローブPは、圧電素子10と、超音波伝達部220と、弾性部材40と、支持部材50と、ケース290と、液体270とを有する。ケース290において、上側ケース体94は、第1実施形態の上側ケース体94と同一である。下側ケース体292は、周壁92Bについては第1実施形態の周壁92Bと同一であり、底壁92Aに代えて底壁292Aが用いられる点が第1実施形態の下側ケース体92と異なっている。超音波伝達部220は、圧電素子10で発生した超音波を伝達する2つの音響伝達部材(音響整合層230及び底壁292A)を有する。超音波伝達部220は、自身の一方側の面である音響整合層230の上面によって圧電素子10を支持し、自身の他方側の面である底壁292Aの下面が超音波放出面とされる。具体的には、底壁292Aには、第1実施形態におけるレンズ部96と同様のレンズ部296が設けられており、このレンズ部296の下面296Aが超音波放出面とされる。
第2実施形態の超音波プローブPでも、弾性部材40は、圧電素子10を超音波伝達部220側に押し付ける力を生じさせる。なお、弾性部材40は、図1のように、圧電素子10の第1導電層11に信号を伝送する経路をなしていてもよく、図6のように、第1導電層11に信号を伝送する経路とは別で構成されていてもよい。
この構成でも、圧電素子10と超音波放出面(下面296A)との間において、複数の音響伝達部材の間及び圧電素子10と音響伝達部材との間の隙間が非接合とされ、且つそれぞれの隙間に液体270が介在する。具体的には、液体270は、第1液体271と第2液体272とを有する。そして、複数の音響伝達部材の間又は圧電素子10と音響伝達部材との間のいずれか一の隙間(具体的には、圧電素子10と音響整合層230の間の隙間)が非接合とされ、この隙間に第1液体271が充填された構成で介在する。更に、複数の音響伝達部材の間又は圧電素子10と音響伝達部材との間の他の隙間(具体的には、音響整合層230と底壁292Aの間の隙間)が非接合とされ、この隙間に第2液体272が充填された構成で介在する。第1液体271及び第2液体272は、空気よりも超音波減衰率が小さい。第1液体271の音響インピーダンスは、第2液体272と異なっていることが望ましいが、同一であってもよい。
図9の例では、音響整合層230の上面部において、下側に凹むように凹部232が形成され、この凹部232内の上面236上に圧電素子10が載置されている。圧電素子10の厚さ方向一方側の一部分は、凹部232内に配置されている。更に、底壁292Aの上面部において、下側の凹むように凹部293が形成され、凹部293内の上面295上に音響整合層230が載置されている。音響整合層30の厚さ方向一方側の一部分は、凹部293内に配置されている。
超音波プローブPは、圧電素子10の下面12Bと音響整合層230の上面236の間に構成される上記一の隙間を含む第1領域281と、下面12Bと上面236との間に構成される上記他の隙間を含む第2領域282とを含む。これら第1領域281と第2領域282とを仕切る構成で仕切部299が設けられる。図9の例では、音響整合層230が仕切部299を構成する。仕切部299は、第1領域281と第2領域282との間において相互の領域間で液体が移動することを遮断する。
第1領域281は、上記一の隙間の領域と、この一の隙間に連通する圧電素子10の周囲の領域とを含む。上記一の隙間内の領域と圧電素子10の周囲の領域とに及ぶ構成で第1液体271が収容される。第1液体271は、上記一の隙間内に充填され、この隙間から溢れた構成で、圧電素子10の周囲の領域にも存在する。
第2領域282は、環状に構成された溝部298内の領域と、上記他の隙間(具体的には、溝部298の内側における音響整合層230の下面と凹部293内の上面295との間の隙間)の領域とを含む。溝部298内の領域と上記他の隙間内の領域とに及ぶ構成で第2液体272が収容される。溝部298は、上面295において、下方に凹んだ溝であり、中心軸線Xを中心とする環状(具体的には円形状)の溝として形成されている。第2液体272は、上記他の隙間内に充填され、この隙間から溢れた構成で溝部298内にも存在する。
仕切部299では、凹部293内における外縁部付近(具体的には溝部298の外側の内壁部)と、音響整合層230の外周面及び下面の一部(外縁部付近)とが密着し、この密着部分によって第1領域281と第2領域282との間で液体が通過することが遮断される。従って、第1液体271は、第2領域282には入り込まず、第2液体272は、第1領域281には入り込まない。
例えば、圧電素子10及び音響整合層230のうちのいずれか一方の音響インピーダンスがZ1であり、他方の音響インピーダンスがZ2であり、Z1>Z2である場合、下面12Bと音響整合層230の上面との間の隙間に介在する媒体の音響インピーダンスZaは、Z1>Za>Z2であることが望ましい。例えば、下面12Bと音響整合層230の上面との間の隙間に第1液体271のみが介在し、第1液体271の音響インピーダンスがZaである場合、Z1>Za>Z2であることが望ましい。また、下面12Bと音響整合層230の上面との間の隙間に第1実施形態と同様の上記固体粒子を含む第1液体271が介在し、固体粒子を含む第1液体271の音響インピーダンスがZaである場合、Z1>Za>Z2であることが望ましい。
また、音響整合層230及び底壁292Aのうちのいずれか一方の音響インピーダンスがZ3であり、他方の音響インピーダンスがZ4であり、Z3>Z4である場合、音響整合層230の下面と底壁292Aの上面との間の隙間に介在する媒体の音響インピーダンスZbは、Z3>Zb>Z4であることが望ましい。例えば、音響整合層230の下面と底壁292Aの上面との間の隙間に第2液体272のみが介在し、第2液体272の音響インピーダンスがZbである場合、Z3>Zb>Z4であることが望ましい。また、音響整合層230の下面と底壁292Aの上面との間の隙間に上記固体粒子を含む第2液体272が介在し、固体粒子を含む第2液体272の音響インピーダンスがZbである場合、Z3>Zb>Z4であることが望ましい。
以上のように、第2実施形態の超音波プローブPは、音響インピーダンスの異なる2種類の液体が用いられるため、複数の液体を複数の位置にそれぞれ配置して超音波の減衰を一層抑える構成としつつ、各位置の特性(特に音響インピーダンス)を異ならせることができる。
更に、第2実施形態の超音波プローブPは、第1液体271と第2液体272とを異なる位置に配置しつつ、第1液体271と第2液体272とを、より確実に分離することができる。
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
上述の実施形態では、複数の音響伝達部材の間及び圧電素子10と音響伝達部材との間の各隙間が非接合とされ、各隙間に液体70が充填されていたが、いずれか一方の隙間に液体70が充填され、他方の隙間に接着剤が介在して部材間が接着されていてもよい。この構成でも、液体70が充填された隙間において効果を生じさせることができる。
上述の実施形態では、固体粒子を含む液体70が隙間内に介在した構成が例示されたが、この例に限定されない。複数の音響伝達部材の間又は圧電素子と音響伝達部材との間の隙間に、固体粒子を含まない液体70が介在していてもよい。
上述の実施形態では、ケース90の底壁92Aは音響レンズであるが、この例に限定されず、ケースの底壁は、音響レンズでなくてもよい。
上述の実施形態では、複数の音響伝達部材が存在していたが、単一の音響伝達部材であってもよい。例えば、図1の構成から音響整合層30が省略された構成であってもよい。この場合、圧電素子10が底壁92A上に支持され、圧電素子10と底壁92Aとの間の隙間に液体70が介在していればよい。また、上述の実施形態では、支持部材50を介して、圧電素子10を音響伝達部材側へ押さえていたが、支持部材50が省略された構成であってもよい。この場合、弾性部材40が圧電素子10に直接接触することで圧電素子10が音響整合層30側へ押さえられ、音響整合層30やケース90などにより上下方向軸に垂直な方向への移動が制限されていればよい。
第2実施形態では、複数の液体を有する構成が例示されたが、この例に限定されない。複数の液体を有する構成では、少なくとも第1液体及び第2液体を有していればよく、その他の第3液体、第4液体などを更に備えていてもよい。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
P…超音波プローブ
10…圧電素子
20,220…超音波伝達部
30,230…音響整合層(音響伝達部材)
40…弾性部材
70,270…液体
90、290…ケース(音響伝達部材)
271…第1液体
272…第2液体
281…第1領域
282…第2領域
299…仕切部

Claims (6)

  1. 超音波を発生する圧電素子と、
    前記圧電素子で発生した超音波を伝達する1つ以上の音響伝達部材を有し、自身の一方側の面によって前記圧電素子を支持し、自身の他方側の面が超音波放出面とされる超音波伝達部と、
    を有する超音波プローブであって、
    前記圧電素子を前記音響伝達部材側に押し付ける力を生じさせる弾性部材と、
    液体と、
    を有し、
    前記圧電素子と前記超音波放出面との間において、複数の前記音響伝達部材の間又は前記圧電素子と前記音響伝達部材との間の隙間が非接合とされ、且つ前記隙間に前記液体が介在する
    超音波プローブ。
  2. 前記液体は、空気よりも超音波減衰率が小さい
    請求項1に記載の超音波プローブ。
  3. 前記液体は、前記隙間の幅よりも小さい固体粒子を含む
    請求項1又は請求項2に記載の超音波プローブ。
  4. 前記弾性部材は、導体を有し、前記圧電素子に信号を伝送する経路をなす
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
  5. 複数の前記音響伝達部材を有し、
    前記液体は、複数の前記音響伝達部材の間又は前記圧電素子と前記音響伝達部材との間のいずれか一の隙間に介在する第1液体と、他の隙間に介在する第2液体とを有し、
    前記第1液体の音響インピーダンスは、前記第2液体と異なる
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の超音波プローブ。
  6. 前記第1液体が収容される第1領域と前記第2液体が収容される第2領域とを仕切る仕切部を有し、
    前記仕切部は、前記第1領域と前記第2領域との間で前記液体が移動することを遮断する
    請求項5に記載の超音波プローブ。
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