JP2023056827A - 車両用複合カバー材 - Google Patents

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善博 三枝
Yoshihiro Saegusa
博治 板谷
Hiroji Itaya
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Abstract

【課題】本発明は、吸音性と遮音性とリサイクル性とを兼ね備える自立性のある車両用複合カバー材を提供することを目的とする。【解決手段】(A)基材と、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体と、(C)繊維集合体を含む面材とを含み、(A)基材と(B)ビーズ発泡成形体とが同一種類の熱可塑性樹脂を含み、(A)基材と(B)ビーズ発泡成形体とが、及び/又は(B)ビーズ発泡成形体と(C)面材とが、熱融着により固定されていることを特徴とする、車両用複合カバー材。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用複合カバー材に関する。
エンジンの騒音が車外に漏れるのを抑制するために、自動車のエンジンルーム内には、エンジンのシリンダヘッドカバーの上部にトップカバーを設けたり、エンジンの下部にアンダーカバーを設けたりすることが行われている。このトップカバーやアンダーカバーといった車両用カバー材は、吸音材がエンジンからの放射音を吸音することで車外への騒音の漏れを抑制することができる。
車両用カバー材の構成としては、表皮材と繊維層とからなる構造材料が知られている。
例えば、特許文献1には、基材と不織布等の繊維集積体とを超音波溶着により接合し、間に接着剤や両面テープなどの異物が含まれない防音部材が記載されている。また、特許文献2には、基体と不織布等の吸音部材とが同種の熱可塑性樹脂から形成されているエンジンカバーが記載されている。
繊維層内の空孔内に進入した音波は、近傍の空気の粘性抵抗や繊維層自体の振動により音エネルギーが徐々に減衰する。このようにして吸音することにより、車外への騒音の放射を抑制することができる。
特開平11-5267号公報 特開2000-145474号公報
しかしながら、特許文献1の防音部材では、基材に含まれる熱可塑性樹脂と繊維集積体に含まれる熱可塑性樹脂とが異なる材質であるため、要求物性が厳しいリサイクル品に用いることは困難であった。また、特許文献2のエンジンカバーでは、基体としてガラス繊維入りのポリアミド樹脂を用いており、リサイクル時のガラス繊維破断による物性低下の影響が大きいため、リサイクル性に問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、吸音性と遮音性とリサイクル性とを兼ね備える自立性のある車両用複合カバー材を提供することである。
本発明は以下のとおりである。
[1]
(A)基材と、
(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体と、
(C)繊維集合体を含む面材と
を含み、
前記(A)基材と前記(B)ビーズ発泡成形体とが同一種類の熱可塑性樹脂を含み、
前記(A)基材と前記(B)ビーズ発泡成形体とが、及び/又は前記(B)ビーズ発泡成形体と前記(C)面材とが、熱融着により固定されている
ことを特徴とする、車両用複合カバー材。
[2]
前記(C)面材と前記(B)ビーズ発泡成形体とが同一種類の熱可塑性樹脂を含む、[1]に記載の車両用複合カバー材。
[3]
前記(A)基材がポリアミド系樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の車両用複合カバー材。
[4]
JIS A1405-2に準拠して20℃で測定した周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率が0.20以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の車両用複合カバー材。
[5]
エンジンルームの所定箇所を覆うために用いられる、[1]~[4]のいずれかに記載の車両用複合カバー材。
本発明によれば、吸音性と遮音性とリサイクル性とを兼ね備える自立性のある車両用複合カバー材を提供することができる。
本実施形態の車両用複合カバー材に用いる樹脂発泡粒子の断面図の一例を示す図である。 本実施形態の車両用複合カバー材に用いる樹脂発泡粒子の一例を示す斜視図である。 実施例で用いた異形押し出しダイの吐出口形状、及び得られた樹脂発泡粒子の凹外形部を示す断面図を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<車両用複合カバー材>
本実施形態の車両用複合カバー材は、(A)基材と、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体(以下、単に「(B)ビーズ発泡成形体」ともいう。)と、(C)繊維集合体を含む面材(以下、単に「(C)面材」ともいう。)とを含み、(A)基材と(B)ビーズ発泡成形体とが同一種類の熱可塑性樹脂を含み、(A)基材と(B)ビーズ発泡成形体とが、及び/又は(B)ビーズ発泡成形体と(C)面材とが、熱融着により固定されている。
車両用複合カバー材において、(A)基材、(B)ビーズ発泡成形体、及び(C)面材は、この順に積層されており、(A)基材と(B)ビーズ発泡成形体との間、及び/又は(B)ビーズ発泡成形体と(C)面材との間に他の層が含まれていてもよいが、(A)基材と(B)ビーズ発泡成形体と(C)面材とからなることが好ましい。
本実施形態の車両用複合カバー材のサイズは、特に限定されず、車両用複合カバー材のカバー対象のサイズ等に応じて定められてよいが、厚みは、自立材として使用するための剛性、及び(B)ビーズ発泡成形体の軽量性の特長を活かす観点から、3~80mmであることが好ましく、5~50mmであることがより好ましく、10~30mmであることが更に好ましい。
また、本実施形態の車両用複合カバー材の形状は、特に限定されず、車両用複合カバー材のカバー対象の形状等に応じて定められてよい。
本実施形態の車両用複合カバー材の周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率は、0.20以上であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましく、0.40以上であることが更に好ましい。
上記垂直入射吸音率は、JIS A1405-2に準拠して20℃で測定される値であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の車両用複合カバー材の周波数1000Hzにおける透過損失は、10dB以上であることが好ましく、12dB以上であることがより好ましく、15dB以上であることが更に好ましい。
上記透過損失は、25℃で測定される値であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
((A)基材)
本実施形態の車両用複合カバー材を構成する、(A)基材について以下に説明する。
(A)基材に含まれる樹脂としては、熱可塑性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとのブレンド又はグラフトポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、ハイインパクトポリスチレン等のスチレン系重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー、後塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン又はプロピレンと塩化ビニルのコポリマー等の塩化ビニル系重合体、ポリ塩化ビニリデン系共重合樹脂、ナイロン-6、ナイロン-6,6、単独及び共重合ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、単独及び共重合ポリエステル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(フェニレンエーテル-ポリスチレンアロイ樹脂)、ポリカーボネート樹脂、メタクリルイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、チーグラー触媒又はメタロセン触媒等を用いて重合されたポリプロピレン、エチレン-プロピレンランダム共重合体、プロピレン-ブテンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン3元共重合体等のポリプロピレン系樹脂や、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリエチレン系樹脂が、それぞれ単独であるいは混合して用いられる。
また、熱可塑性樹脂として、リサイクルポリアミドを用いてもよい。リサイクルポリアミドとは、解重合は行わず、繊維屑及びポリマー屑から得られるポリアミド屑を溶融し、再度チップ化することによって得られたポリアミドをいう。
上記樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(A)基材に含まれる樹脂として、樹脂特性を制御する等の目的で、ガラス繊維、ガラス粒子、金属繊維、金属粒子、炭素繊維、炭素粒子、セルロース繊維等の無機又は有機充填材を適宜分散配合させた樹脂を用いてもよい。
更に、車両用複合カバー材としての性能及び特徴を損なわない範囲で、(A)基材は、樹脂層に積層する形で、単層又は複数層の、ガラス、金属、金属酸化物等の無機材料の薄層を含むこともできる。
(A)基材の厚みは、遮音性と軽量性との両立の観点から、0.5~10mmであることが好ましく、0.6~8mmであることがより好ましく、0.8~6mmであることが更に好ましい。
本実施形態において、(A)基材の曲げ弾性率は、100~10000MPaであることが好ましく、1000~8000MPaであることがより好ましく、更に好ましくは2000~7000MPaである。
上記曲げ弾性率は、JIS K7171(2008)に準じて測定される値であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の(A)基材の平滑性を示す指標として、(A)基材の意匠面が平坦である場合は、写像性測定装置を用いて評価した写像性(%)を使用することができる。写像性が高い程、表面平滑性に優れる。
本実施形態の(A)基材では、特に限定されないが、意匠面の写像性が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、更に好ましくは70%以上である。意匠面の写像性が上記範囲であると、十分な表面平滑性を有し、意匠面に良好な写像鮮明性を付与することができる。
一方、(A)基材の意匠面を曲面形状としたり、意匠面にシボ形状のような微細凹凸形状を付与してもよい。これら形状は、金型形状を適宜選択することにより、付与することができる。
この場合、上記のような写像性測定装置を用いて意匠面の写像性を測定することができないが、意匠面が平坦である場合と同様の本実施形態の製造方法によって、金型追従性が良く、意匠性に優れた車両用複合カバー材を提供することができる。
((B)ビーズ発泡成形体)
本実施形態の車両用複合カバー材を構成する、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体について以下に説明する。上記(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体は、下記のように樹脂発泡粒子を発泡成形する事により得られる樹脂発泡成形体である。
(B)ビーズ発泡成形体の厚みは、吸音性能、剛性、強度と軽量性のバランスに優れる観点から、2~79.9mmであることが好ましく、より好ましくは3~49.9mm、更に好ましくは5~29.9mmである。
-樹脂発泡粒子-
上記樹脂発泡粒子は、凹外形部を有する樹脂発泡粒子(少なくとも一方の方向から見た外形において、凹形状部を有する樹脂発泡粒子)であることが好ましい。
なお、本明細書において凹外形部を有するとは、樹脂発泡粒子の正射影像が凹図形となる正射影像が得られる方向が存在することを意味する。また、本明細書において凹図形とは、凹図形となる正射影像図形の外表面上の2点間を結んだ線分の少なくとも一部(好ましくは全線分)が樹脂発泡粒子の外部領域を通る線分となる2点を選ぶことが可能であることを言う。凹図形の例を図1に示す。
また、上記凹外形部は、発泡時に形成される発泡気泡と異なる構造である。
上記凹外形部は、一個でも複数個でも良い。
上記凹外形部は、上記樹脂発泡粒子の表面を連結する一個又は複数個の貫通孔であっても良いし、粒子を貫通しない一個又は複数個の凹部であっても良いし、一個又は複数個の貫通孔及び一個又は複数個の凹部が混在していても良い。ここで、貫通孔とは、樹脂発泡粒子外表面に形成された2つの穴を結ぶ空洞であってよく、該空洞が映る正射影像において、該空洞が樹脂発泡粒子に囲まれている正射影像(空洞が樹脂発泡粒子内に孤立した空洞を形成する正射影像)が得られる構造としてよい。
上記樹脂発泡粒子において、上記凹部としては、凹部が確認できる正射影像において、上記樹脂発泡粒子が占める領域に対する、該凹部に少なくとも2点以上で外接する直線と樹脂発泡粒子の外表面とで囲まれた領域Aの割合(領域A/樹脂発泡粒子が占める領域)が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上である。中でも、凹部の最深部を含む正射影像において、上記範囲を満たすことが好ましい。ここで、凹部の最深部は、凹部に少なくとも2点以上で外接する直線の垂線の凹部外表面との交点までの距離が最も長くなる部分としてもよい。
凹外形部が貫通孔の場合は、樹脂発泡粒子の貫通孔が確認できる正射影像において、貫通孔の面積が、樹脂発泡粒子の正射影像の全面積に対して、10%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上である。中でも、樹脂発泡粒子の貫通孔の面積が最も大きくなる正射影像において、上記範囲を満たすことが好ましい。また、上記貫通孔は、貫通する空洞形状が確認できる断面において、該断面上の樹脂発泡粒子の全面積に対して、空洞形状の面積が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上である。上記貫通孔は、空洞形状の面積が上記を満たす断面が少なくとも一面以上あることが好ましく、全断面で上記範囲を満たすことがより好ましい。
上記凹外形部が、上記の凹部の条件及び/又は上記貫通孔の条件を満足するように樹脂発泡粒子の形状を選択することにより、融着成形後の樹脂発泡成形体の連通空隙(連続する空隙、連通する空隙)を良好に形成させることができる。
上記樹脂発泡粒子の凹外形部は貫通孔であっても貫通孔でなくとも良いが、樹脂発泡粒子は凹部を有する形状であることが特に好ましい。凹部を有する形状をとることにより従来の樹脂発泡粒子にはなかった充填状態が有られ、成形後に得られる樹脂発泡成形体の連通空隙の構造を吸音性能、機械的強度の両方に特に優れたバランスを実現することができる。
上記凹部を有する形状として特に優れた形状は、樹脂発泡粒子に溝状凹部を設けた構造が挙げられ、樹脂発泡成形体製造時に樹脂発泡粒子間を熱融着させる際に溝状凹部が隣接する樹脂発泡粒子がかみ合った充填状態となり接合されることにより、樹脂発泡粒子間の接合面積が大きく強度の高い樹脂発泡成形体を形成すると同時に、隣接する樹脂発泡粒子の溝が連結された形態で接合される場合に樹脂発泡粒子間にわたる空隙、すなわち連通空隙が形成される。
上記溝状凹部としては、例えば、中空の略円の一部を切り取った形状(C形状、U形状等)の断面(図1)を重ねた形状(図2(a)(b))、中空の略多角形(三角形、四角形等)の一部を切り取った断面(図1)を重ねた形状等が挙げられる。ここで、上記中空の略円及び中空の略多角形における中空とは、略円であってもよいし、略多角形であってもよいが、中空を囲む形状と同一形状であることが好ましい。また、上記中空の形状の中心と、上記中空を囲む形状の中心とが重なる形状(例えば、同心円等)ことが好ましい。
上記凹部の例としては、例えば、一定の厚みを持つ円盤形状を湾曲させた鞍状の形状、円盤を面外方向に湾曲又は折り曲げて形成される形状、円筒状の外側面に単一又は複数の凹部を設けた構造等が挙げられる。粒子の形状のうち、製造の容易性が有り、生産性に優れ、形状を制御し易い点で特に好ましい粒子形状の例として、円柱からその外径より小さい外径を有する共通の軸を持つ同じ高さの円柱を切除した円筒の、軸方向から見て一定の角度以内の部分を切り出し切除した形状(図2)等が挙げられる。以下ではこの形状をC型断面部分円筒状と呼び、この形状をもとに小変形させた実質的に同形状の形状であっても樹脂発泡成形体に同等の空隙を形成させることが可能であり、上記条件を満足すれば本発明の範囲内として利用可能である。図2に、切り出し切除する部分の大きさが異なるC型断面部分円筒状の好ましい例を挙げる。
上記凹部は、樹脂発泡粒子の特定の一方向に対して断面を連続して形成した場合に、同じ形状であることが好ましい。例えば、図2に示すように、樹脂発泡粒子の一方向(図2の上下方向、押出方向)に対する断面における凹部の形状と、該一方向にずらして形成した異なる断面における凹部形状とが同じであることが好ましい。
上記樹脂発泡粒子が凹外形部を持つことは光学顕微鏡により樹脂発泡粒子の透過画像を粒子の観察方向を変えながら観察し判定することにより確認することができる。
上記樹脂発泡粒子において、樹脂発泡粒子に含まれる樹脂の密度ρ0と樹脂発泡粒子の真密度ρ1との比ρ/ρは2~20であることが好ましく、より好ましくは2.2~18、更に好ましくは2.5~15である。ρ/ρが2以上であると吸音性能が十分に発現する傾向にあり、20以下であると十分な機械的強度が得られる傾向にある。
上記樹脂発泡粒子において、樹脂発泡粒子の真密度ρと樹脂発泡粒子の嵩密度ρとの比ρ/ρは1.5~4.0であることが好ましく、より好ましくは1.8~3.5、更に好ましくは2~3である。ρ/ρが1.5以上であると吸音性能が十分に発現する傾向にあり、4.0以下であると十分な機械的強度が得られる傾向にある。
本明細書において嵩密度ρとは、所定質量Mの樹脂発泡粒子をその質量Mにおける樹脂発泡粒子の嵩体積V2で除した値M/V2であり、真密度ρとは所定質量Mの樹脂発泡粒子をその質量Mにおける樹脂発泡粒子の真体積V1で除した値M/V1である。上記嵩体積V2とは、上記所定質量Mの樹脂発泡粒子をメスシリンダー内に充填してメスシリンダーを振動させ、その体積が恒量に達した時の目盛りを読んだ値を指す。また真体積V1とは、上記所定質量Mの樹脂発泡粒子を、樹脂発泡粒子を溶解しない液体の入ったメスシリンダー中に沈めた時に上記液体の増量した部分の体積をいう。
樹脂の密度ρとは、発泡前の原料樹脂の密度であり、水没法により重計を使用して測定される密度である。
本明細書においてρ、ρ、ρはすべて、20℃、0.10MPaの環境下において測定し得られた値を意味するものとする。
上記樹脂発泡粒子の平均粒子径は、100gの樹脂発泡粒子をJIS Z8801で規定される標準ふるいを用いた分級法により測定することができる。上記樹脂発泡粒子の平均粒子径は1.0~4.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.2~3.0mmである。平均粒子径が1.0mm未満であると製造工程での取り扱いが難しくなる傾向にあり、4.0mmを超えると複雑な成形品の表面精度が低下する傾向が現れる傾向にある。
なお、本実施形態の樹脂発泡粒子の形状は、特に限定されず、様々な形状として良い。
上記樹脂発泡粒子の製造方法としては、熱可塑性樹脂の熱可塑性を利用した方法、固体状態の粒子の切削等の後加工による方法等が可能であり、粒子に所望の外形を付与できる方法であれば適用可能である。その中で生産性に優れ、安定した形状の粒子が製造可能な方法として、特殊形状の吐出断面を設けたダイを使用した異形押し出し法が好適に使用できる。特殊形状の吐出断面を設けたダイを有する押出機により熱可塑性樹脂を溶融押出し、ストランドカット又はアンダーウォーターカット等工業的に通常使用されている方法によりペレタイズして得られたペレットを発泡させ樹脂発泡粒子を得る方法、及び押し出し機に発泡剤をバレル途中から注入し吐出と同時に発泡させ、冷却後、アンダーウォーターカット又はストランドカットし樹脂発泡粒子を直接得る方法、押出機内で溶融させ所望の断面形状を有するダイスから押し出し、冷却後ペレタイザーにより所定の長さに切断することにより基材樹脂ペレットを製造し、該基材樹脂ペレットに発泡剤を含浸させ、加熱することにより所定の発泡倍率で発泡させる方法、等従来公知の方法を任意に応用して製造することができる。
上記樹脂発泡粒子は樹脂を含む。上記樹脂としては、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとのブレンド又はグラフトポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、ハイインパクトポリスチレン等のスチレン系重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー、後塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン又はプロピレンと塩化ビニルのコポリマー等の塩化ビニル系重合体、ポリ塩化ビニリデン系共重合樹脂、ナイロン-6、ナイロン-6,6、単独及び共重合ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、単独及び共重合ポリエステル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(フェニレンエーテル-ポリスチレンアロイ樹脂)、ポリカーボネート樹脂、メタクリルイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、チーグラー触媒又はメタロセン触媒等を用いて重合されたポリプロピレン、エチレン-プロピレンランダム共重合体、プロピレン-ブテンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン3元共重合体等のポリプロピレン系樹脂や、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリエチレン系樹脂が、それぞれ単独であるいは混合して用いられる。
上記樹脂としては、20℃における表面張力が37~60mN/mであることが好ましく、より好ましくは38~55mN/mである。表面張力が上記範囲内であれば、力学的強度の高い吸音性の樹脂発泡成形体が得られ、特に好ましい。
樹脂の表面張力は、JISK6768「プラスチック-フィルム及びシート-ぬれ張力試験方法」記載の方法において温度を20℃に変更した方法により測定される値を用いる。
特に好ましい熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル系樹脂、変性ポリエーテル樹脂(フェニレンエーテル-ポリスチレンアロイ樹脂)等で表面張力が上記範囲内である熱可塑性樹脂が挙げられ、中でも、耐熱性、耐薬品、耐溶剤性に優れ、高耐熱発泡構造材料用途に適した樹脂としてポリアミド樹脂、耐熱性、高温剛性に優れた樹脂としては、変性ポリエーテル樹脂(フェニレンエーテル-ポリスチレンアロイ樹脂)が挙げられる。
熱可塑性樹脂として、リサイクルポリアミドを用いてもよい。リサイクルポリアミドとは、解重合は行わず、繊維屑及びポリマー屑から得られるポリアミド屑を溶融し、再度チップ化することによって得られたポリアミドをいう。
上記熱可塑性樹脂は、無架橋の状態で用いても良いが。パーオキサイドや放射線等により架橋させて用いても良い。
上記樹脂発泡粒子は、必要に応じて、通常の配合剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染料、顔料等の着色剤、可塑剤、滑剤、結晶化核剤、タルク、炭カル等の無機充填剤等を目的に応じて含んでいてもよい。配合剤の含有量は、樹脂発泡粒子の原料全量100質量部に対して、3質量部以下であることが好ましい。
上記難燃剤としては、臭素系、リン系等の難燃剤が使用可能であり、上記酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系等の酸化防止剤が使用可能であり、上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系等の光安定剤が使用可能である。
上記樹脂発泡粒子の平均気泡径を調節する必要がある場合は、気泡調整剤を添加してもよい。気泡調整剤としては、無機造核剤には、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪藻土、クレー、重曹、アルミナ、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ベントナイト等があり、その使用量は、樹脂発泡粒子の原料全量に対して、0.005~2質量部としてよい。
上記樹脂発泡粒子の製造時に用いる発泡剤としては、揮発性発泡剤等が挙げられる。上記揮発性発泡剤としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、へプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の鎖状又は環状低級脂肪族炭化水素類、ジシクロジフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタン、1-クロロ-1、1-ジフルオロエタン、1-クロロ-2,2,2-トリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素類、窒素、空気、二酸化炭素等の無機ガス系発泡剤等が挙げられる。
(B)ビーズ発泡成形体は、上記樹脂発泡粒子が相互に融着した成形体である。即ち、(B)ビーズ発泡成形体は、少なくとも2個以上の上記樹脂発泡粒子が互いに融着した部分を少なくとも有する成形体である。融着した樹脂発泡粒子間には融着した部分及び空隙部がある。
(B)ビーズ発泡成形体は、上述のとおり融着した上記樹脂発泡粒子間に連続した空隙部を有し、空隙率は、10~80%であり、好ましくは12~70%、より好ましくは15~60%である。
上記空隙率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(B)ビーズ発泡成形体において、上記樹脂発泡粒子が、(B)ビーズ発泡成形体全体に占める割合が、98質量%以上であれば実質的に凹外形部を持つ樹脂発泡粒子の性能が得られるため好ましい。
(B)ビーズ脂発泡成形体は、上記樹脂発泡粒子の集合体が相互に融着して得られる成形体であって、樹脂発泡粒子間に連通空隙(連続した空隙部)を有することが必要である。本明細書において「連通空隙」とは、融着している樹脂発泡粒子間に相互に連続した空隙部が形成された結果として、樹脂発泡成形体の相対する2面間(2表面間)に連続した空隙が生じ、流体が流動可能な状態となっていることを意味する。(B)ビーズ発泡成形体は、少なくとも一方向に連続した空隙部を有することが好ましく、厚み方向に連続した空隙部を有することが好ましい。
上記連通空隙の指標としては、厚み10mmの平板状樹脂発泡成形体試料を用いて、国際規格ISO9053に規定されているAC法により測定される単位長さ流れ抵抗が200,000N・s/m以下であることが好ましく、より好ましくは150,000N・s/m以下である。
上記単位長さ流れ抵抗は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(B)ビーズ発泡成形体は、熱伝導率が0.025~0.080W/m・Kであることが好ましく、より好ましくは0.030~0.075W/m・K、更に好ましくは0.035~0.070W/m・Kである。樹脂発泡成形体の熱伝導率が0.025W/m・K未満であると、空隙率が高くなりすぎているため、発泡体の強度が不足する傾向にあり、0.080W/m・K超であると、断熱性が低く、熱エネルギーロスが大きくなる可能性がある。
上記熱伝導率は、ISO22007-6に準拠して測定される値である。
(B)ビーズ発泡成形体の融着強度は、JIS K6767Aに基づいて引っ張り強度を測定し、(B)ビーズ発泡成形体の破断伸度(%)から評価することができる。破断伸度は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上である。破断伸度が1%未満であると、エンジンルーム等に設置した際に、走行中の振動や、動力系の振動で樹脂発泡成形体が破損となる可能性がある。
本実施形態の(B)ビーズ発泡成形体は、これ自体が高い吸音率を示すことが好ましい。(B)ビーズ発泡成形体は、厚み19mmとしたときに測定した400~2000Hzの周波数域の垂直入射吸音率が、20~95%であることが好ましく、より好ましくは25~90%、さらに好ましくは30~85%である。上記400~2000Hzの周波数域の垂直入射吸音率は、例えば、上述の好適な熱可塑性樹脂を用いる、(B)ビーズ発泡成形体中の樹脂発泡粒子の質量割合を上記好適範囲とする、(B)ビーズ発泡成形体の平厚み、表面の凹凸構造形状を調節する等により調整することができる。
また、(B)ビーズ発泡成形体は、厚み19mmとしたときに測定した周波数800~1600Hzの残響室法吸音率の平均値が、20~92%であることが好ましく、より好ましくは25~90%、さらに好ましくは30~80%である。上記周波数800~1600Hzの垂直入射吸音率の平均値は、例えば、上述の好適な熱可塑性樹脂を用いる、(B)ビーズ発泡成形体中の樹脂発泡粒子の質量割合を上記好適範囲とする等により調整することができる。
また、(B)ビーズ発泡成形体は、特に、周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率が5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更に好ましい。上記周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率は、例えば、上述の好適な熱可塑性樹脂を用いる、(B)ビーズ発泡成形体中の樹脂発泡粒子の質量割合を上記好適範囲とする、(B)ビーズ発泡成形体の平厚み、表面の凹凸構造形状を調節する等により調整することができる。
上記垂直入射吸音率は、JIS A 1405-2に準拠して20℃で測定される値であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(B)ビーズ発泡成形体は、曲げ弾性率の数値が大きい程、剛性に優れる。(B)ビーズ発泡成形体の曲げ弾性率は、1~500MPaであることが好ましく、10~400MPaMPaであることがより好ましく、20~300MPaであることが更に好ましい。
(B)ビーズ発泡成形体の曲げ弾性率は、(B)ビーズ発泡成形体の発泡倍率、(B)ビーズ発泡成形体に含まれる樹脂が有する剛性等を調節することによりにより調整することができる。また、(B)ビーズ発泡成形体の曲げ弾性率は、(B)ビーズ発泡成形体の厚さ又は樹脂種の調節などでも調整することができる。
(B)ビーズ発泡成形体が良好な曲げ弾性率を有することにより、(A)基材としてガラス繊維を有しない熱可塑性樹脂シートを用いた場合でも、車両用複合カバー材が良好な剛性を有することができる。
(B)ビーズ発泡成形体の曲げ弾性率は、JIS K7171(2008)に準拠して測定される値であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(B)ビーズ発泡成形体は、上記樹脂発泡粒子を閉鎖した金型内に充填、発泡させて得ることができるが、密閉し得ない金型内に充填して加熱し、樹脂発泡粒子相互を融着させる方法が採用してもよい。樹脂種と成形条件によっては汎用の型内発泡自動成形機を使用することができる。
(B)ビーズ発泡成形体は、凹外形部を持つ樹脂発泡粒子と、凹外形部を持たない楕円球状、円柱状、多角柱状等樹脂発泡粒子として一般的な形状の粒子を任意の比率で混合使用して樹脂発泡成形体を製造することにより、所望の吸音性能、機械的強度のバランスを調整することができる。
((C)繊維集合体を含む面材)
本実施形態の車両用複合カバー材を構成する、(C)繊維集合体を含む面材について以下に説明する。
(C)面材は繊維集合体を含む。
また、(C)面材は、車両用複合カバー材としての性能及び特徴を損なわない範囲で、繊維集合体以外に、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染料、顔料等の着色剤、可塑剤、滑剤、結晶化核剤、タルク、炭カル等の無機充填剤等を任意で含む樹脂層を含んでいてもよい。
また、(C)面材には、着色、撥水性、難燃性等を付与する目的で、染色等の着色加工、フッソ樹脂等の撥水加工、りん系等の難燃剤加工等の機能付与加工をしてもよい。
(C)繊維集合体を含む面材の厚みは、吸音性能の周波数の広さと車両用複合カバー材の形状維持、耐久性の両立の観点から、0.1~20mmであることが好ましく、より好ましくは0.3~15mm、更に好ましくは0.5~10mmである。
(C)繊維集合体を含む面材の通気度は、2~70cc/(cm・sec)であることが好ましく、より好ましくは3~60cc/(cm・sec)、更に好ましくは4~40cc/(cm・sec)である。通気度が上記範囲であると、吸音性能の周波数特性を良好に制御することができる。
上記(C)繊維集合体を含む面材の通気度は、JIS L-1096「織物及び編物の生地試験方法」記載の方法に従って測定することができる。
(C)繊維集合体を含む面材は、JIS A 1405-2の試験方法に準じて測定した垂直入射吸音率が、周波数1000Hzにおいて0.05以上であることが好ましく、0.08以上であることがより好ましく、0.10以上であることが更に好ましい。上記垂直入射吸音率の値が1000Hzで0.05以上あると、優れた吸音効果が期待できる。また、エンジン等からの放射音を吸音することで車内外への騒音の漏れを抑制することができる。上記周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率は、例えば、(C)繊維集合体を含む面材の厚みを大きくする、(C)繊維集合体を含む面材の繊維集合体の繊維の平均断面直径を細くする、(C)繊維集合体を含む面材の繊維断面の表面積を増やす、(C)繊維集合体の音源側の通気度を下げる等により調整することができる。
-繊維集合体-
(C)繊維集合体を含む面材に含まれる繊維集合体は、一種の繊維からなる集合体であってもよいし、複数種の繊維からなる集合体であってもよい。また、上記繊維集合体は、1つの繊維層からなる単層体であってもよいし、複数の繊維層からなる積
層体であってもよい。繊維集合体の形態は、特に制限されず、例えば、織布、不織布、フエルト等のいずれの形態であってもよい。
繊維集合体を構成する樹脂としては、具体例的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン1,4-シクロヘキサンジメタノール(PCT)、ポリ乳酸(PLA)及び/又はポリプロピレン(PP)、ポリアクリロニトリル、ポリアセテート、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性高分子が挙げられる。このうちコスト面や加工のしやすさ等から、PETやPP、ポリアミドが使用できる。更に、軽量化の観点からは、より比重が軽いPPが使用できる。
また、樹脂として、リサイクルポリアミドを用いてもよい。リサイクルポリアミドとは、解重合は行わず、繊維屑及びポリマー屑から得られるポリアミド屑を溶融し、再度チップ化することによって得られたポリアミドをいう。
繊維集合体は、通気度が2~70cc/(cm・sec)であることが好ましく、より好ましくは3~60cc/(cm・sec)、更に好ましくは4~50cc/(cm・sec)である。上記通気度が2cc/(cm・sec)未満であると吸音性能が平均的に低下する傾向にあり、通気度が70cc/(cm・sec)を超えると、吸音性能は高くなるが高吸音率を示す周波数域が狭くなる傾向にある。
上記繊維集合体の通気度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記繊維集合体の単位面積あたり質量(目付け)は、100~2000g/mであることが好ましく、より好ましくは200~1800g/m、更に好ましくは300~1500g/mである。上記目付けが100g/m未満であると車両用複合カバー材の吸音性能が低下する傾向にあり、繊維集合体の目付けが2000g/mを超えると質量が増加する傾向にある。
上記繊維集合体の目付けは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記繊維集合体の平均みかけ密度は、0.01~1.0g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.05~0.9g/cm、更に好ましくは0.07~0.8g/cmである。上記平均みかけ密度が0.01g/cm未満であると車両用複合カバー材の吸音性能が低下する傾向にあり、繊維集合体の平均みかけ密度が1.0g/cmを超えると、緻密性が増大し、(B)ビーズ発泡成形体との密着安定性が低下する傾向にある。
上記繊維集合体の平均みかけ密度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記繊維集合体は、繊維の平均断面直径が0.1~100μmであることが好ましく、より好ましくは0.5~80μm、更に好ましくは1~50μmである。上記平均断面直径が上記範囲にあると、成形時に繊維集合体の繊維がつぶれることが軽減され、この結果、吸音特性が好ましいものとなる。
上記繊維集合体の繊維の平均断面直径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記繊維集合体の厚みは、吸音性能の周波数特性及び形状安定性の両立の観点から、0.1~20mmであることが好ましく、より好ましくは0.3~15mm、更に好ましくは0.5~10mmである。
繊維集合体は、JIS A 1405-2の試験方法に準じて測定した垂直入射吸音率が、1000Hzにおいて0.1以上であることが好ましい。上記垂直入射吸音率の値が1000Hzで0.1以上あると、優れた吸音効果が期待できる。また、エンジンからの放射音を吸音することで車内外への騒音の漏れを抑制することができる。
本実施形態の車両用複合カバー材は、(A)基材と(B)ビーズ発泡成形体とが、及び/又は(B)ビーズ発泡成形体と(C)面材とが、熱融着により固定されている。
熱融着以外の固定方法としては、リサイクル性の観点から、例えば、(A)基材に爪部を形成し、(B)ビーズ発泡成形体に形成した孔又は溝等に該爪部をはめ込む方法、(B)ビーズ発泡成形体と(C)面材とをいずれかに含まれる樹脂と同一種類の樹脂製のボルト等で固定する方法等が挙げられる。
以下、(A)基材と(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体とを、及び/又は(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体と(C)繊維集合体を含む面材とを熱融着により固定し、積層する積層方式について説明する。
熱融着により固定し、積層する手段としては、例えば、発泡成形プロセスによる方法が挙げられる。具体的には、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体の発泡成形プロセス時に、(A)基材及び/又は(C)繊維集合体を含む面材を、少なくとも1つの蒸気透過性の面を備えた耐圧金型に配置し、(A)基材及び/又は(C)繊維集合体を含む面材を(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体と熱融着させ、積層する方法が挙げられる(インサート成形)。
(A)基材は、金型に配置する前にIRヒーター等で予備加熱しておくと、サイクルタイムが短くなり、好ましい。
また、(C)繊維集合体を含む面材を配置する側の金型の温度を比較的低温にすると、圧力を戻した際に繊維集合体の厚みが戻り、繊維が潰れるのを抑制することができるため、好ましい。
上記手法を用いると、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体と(C)繊維集合体を含む面材とは、繊維集合体の繊維が押しつぶされることが低減され、高い嵩高性を維持するため、積層する前の高い吸音性を維持することができる。また、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体中に、(C)繊維集合体の繊維束が、入り込む構造をとるため、十分な密着性を有する。
他の手段としては、熱接着による方法や超音波溶着による方法等が挙げられる。
熱接着による積層法の具体例としては、(A)基材に含まれる樹脂(又は(C)面材に含まれる樹脂)及び(B)ビーズ発泡成形体に含まれる樹脂が軟化又は融解する加熱雰囲気下で、(A)基材(又は(C)面材)と(B)ビーズ発泡成形体とをネット、ロールなどで加熱、加圧して接着する熱接着方法、熱カシメ等により部分的に接合させる方法(スポット熱融着)などが挙げられる。
超音波溶着による積層法の具体例としては、(A)基材に含まれる樹脂(又は(C)面材に含まれる樹脂)及び(B)ビーズ発泡成形体に含まれる樹脂を超音波振動により少なくとも部分的に軟化又は融解させて、(A)基材(又は(C)面材)と(B)ビーズ発泡成形体とを接合する方法などが挙げられる。
(C)繊維集合体を含む面材と(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体との熱融着は、熱溶着や超音波溶着よりも温度帯が低いインサート成形又はスポット熱融着により行うと、繊維集合体の厚みが薄くなるのを低減することができ、好ましい。但し、インサート成形は、(C)繊維集合体を含む面材が、平均断面直径が10μm以下の細い繊維を含む場合や、平均見かけ密度が小さい場合には、成形後に繊維の潰れが戻りにくいため、適さない。(C)繊維集合体を含む面材の全面を加熱してネット、ロールなどで加熱、加圧することによる熱溶着や超音波溶着では、繊維集合体の繊維が潰れ、繊維集合体の厚みが薄くなる場合があり、車両用複合カバー材の吸音性能が低下する可能性がある。
また、繊維集合体は、その厚みが厚いほど繊維の接合強度は弱くなるため、(C)面材の繊維集合体と(B)ビーズ発泡成形体との接着は、薄い繊維集合体の場合はインサート成形でもよいが、厚いものの場合は熱接着による方法や超音波溶着による方法が好ましい。
また、工程数を減らす観点からは、インサート成形により(A)基材、(B)ビーズ発泡成形体、(C)面材をすべて一度の工程で熱融着させることが好ましい。
本実施形態の車両用複合カバー材は、熱融着により固定する際の密着強度及びリサイクル性の観点から、(A)基材と(B)ビーズ発泡成形体とが同一種類の熱可塑性樹脂を含む。
同様の観点から、(C)面材と(B)ビーズ発泡成形体も同一種類の熱可塑性樹脂を含むこと、すなわち、(A)基材、(B)ビーズ発泡成形体、及び(C)面材がすべて同一種類の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
例えば、(A)基材と(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体との熱融着において、(A)基材に含まれる樹脂及び(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体に含まれる樹脂が軟化又は融解することにより、(A)基材と(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体との界面において、同様に、(C)繊維集合体を含む面材と(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体との熱融着において、(C)繊維集合体を含む面材に含まれる樹脂及び(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体に含まれる樹脂が軟化又は融解することにより、(C)繊維集合体を含む面材に含まれる樹脂と(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体の界面において、互いの樹脂が混合した状態になる。このとき、同一種類の樹脂であれば、界面において樹脂が均一に混合し、このため、十分な密着強度が発現するものと考えられる。一方、異種樹脂であると、均一に混合せず、そのため、同一種類の樹脂の場合と比較して密着性に劣るものと考えられる。一方、「同一種類の樹脂材料」であれば、界面において樹脂が均一に混合し、このため、十分な密着強度が発現するものと考えられる。
また、リサイクル性を考えた際に、(A)基材に含まれる樹脂と(B)ビーズ発泡成形体に含まれる樹脂とが、又は(B)ビーズ発泡成形体に含まれる樹脂と(C)面材に含まれる樹脂とが異質であると、異種樹脂間を層間剥離してから廃棄することが考えられる。しかし、異種樹脂間の層間密着が強い場合、層間剥離することが困難である。これに対し、同一種類の熱可塑性樹脂であれば、同種樹脂間を層間剥離せずとも廃棄しリサイクルすることが可能である。
ここで、同一種類の樹脂とは、可塑剤や熱安定剤などの添加剤を除いた樹脂成分が、JIS K-6899-1:2006による分類上の同一の樹脂からなることを指す。より具体的には、前記JIS規格の「5.ホモポリマー材料,コポリマー材料及び天然高分子材料に関する略語」と「6.特性を示す記号」との組み合わせを用いて同一の樹脂として分類されるものを同一種類とする。
同じ樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂等)である場合は、当然ながら同一種類の樹脂である。また、例えば、ポリアミド66樹脂を含む(A)基材と、ポリアミド6樹脂とポリアミド66樹脂との混合物を基材樹脂とする樹脂発泡粒子で構成されている(B)ビーズ発泡成形体と、ポリアミド6樹脂を含む(C)面材とで構成されている場合は、ポリアミド6樹脂もポリアミド66樹脂もポリアミド系樹脂のホモポリマーとして分類されるため、全て同一種類の樹脂からなるものである。この場合、ポリアミド6樹脂とポリアミド66樹脂との混合比率が異なっていても、同一種類の樹脂からなるとする。
本実施形態の車両用複合カバー材の用途は、特に限定されず、静音化が求められる自動車、電車、汽車等の車両の駆動騒音低減のために使用される部材として用いることができる。例えば、エンジンルームの所定箇所を覆うために用いることが挙げられ、具体的には、自動車のエンジンルーム内のエンジンカバー、エンジンカプセル、エンジンルームフード、変速機ケーシング、吸遮音カバー、電気自動車用モーターのケーシング、吸遮音カバー等として用いることが挙げられる。
以下、実施例により本発明の実施態様を説明する。ただし、本発明の範囲は実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定・評価方法について以下に説明する。
[ビーズ発泡成形体の密度]
ビーズ成形発泡成形体を直方体に切り出したのち、質量W(g)を測定した。体積V(cm)を算出し、V/W(g/cm)をビーズ発泡成形体の密度とした。
[ビーズ発泡成形体の流れ抵抗、連通した空隙部の有無]
国際標準規格ISO9053のAC法を適用し、日本音響エンジニアリング(株)製流れ抵抗測定システムAirReSys型を使用して測定した。すなわち、厚み10mmの平板状ビーズ発泡成形体試料を用い、流速F=0.5mm/sの一様流中の流れる状態で材料表裏面の差圧P(Pa)を測定し、その差圧P、流速F、材料厚みt(m)からP/t・F(kN・s/m)として流れ抵抗を求めた。単位長さ流れ抵抗値が200,000N・s/m以下の場合を連続した空隙部有り(○)、200,000N・s/mを超える場合を連続した空隙部無し(×)と評価した。
[ビーズ発泡成形体の空隙率]
以下の式より、ビーズ発泡成形体の空隙率を求めた。
ビーズ発泡成形体の空隙率(%)=[(B-C)/B]×100
但し、B:ビーズ発泡成形体の見掛け体積(cm)、C:ビーズ発泡成形体の真の体積(cm)であり、見掛け体積はビーズ発泡成形体の外形寸法から算出される体積、真の体積Cはビーズ発泡成形体の空隙部を除いた実体積をそれぞれ意味する。真の体積Cはビーズ発泡成形体を液体(例えば、アルコール)中に沈めた時の増量した体積を測定することにより得られる。
[繊維集合体の目付け]
JIS L-1913「一般不織布試験方法」の単位面積当たりの質量(ISO法)に記載の方法に従って評価した値を繊維集合体の目付け(g/m)とした。
[繊維集合体の平均みかけ密度]
JIS L-1913「一般不織布試験方法」の厚さ(ISO法)に記載の方法に従って平均厚みを評価し、上記繊維集合体の目付けの値から、「繊維集合体の平均みかけ密度(g/cm)=繊維集合体の目付け/厚み」として求めた。
[繊維集合体の繊維の平均断面直径]
各繊維集合体について、以下のようにSEM顕微鏡写真を画像解析することによって繊維の「平均幾何直径」を測定した。繊維集合体から1cm×1cmの試験片を切り出し、直接、走査型電子顕微鏡の試料台に取り付けた。試験片を載せた試料台を走査顕微鏡中に挿入し、低真空モードで20KVの加速電圧、15mmの作動距離、及び0°試料チルトを用いてが画像観察を行った。500倍及び1000倍倍率で撮られた反射電子画像を用いて繊維直径を測定した。各試料の電子顕微鏡写真において、5~10本の測定対象繊維を任意に選択して繊維直径を測定し、その平均値を平均断面直径(μm)とした。
[繊維集合体の通気度]
JIS L-1096「織物及び編物の生地試験方法」記載の方法に従って通気度(cc/(cm・sec))を測定した。
[曲げ弾性率]
(A)基材及びビーズ発泡成形体の曲げ弾性率は、JIS K7171(2008)に従って測定した。真空乾燥処理を40℃、24時間以上行った試験片(基材の試験片寸法;長さ80mm、幅10.0mm、厚さ4.0mm、ビーズ発泡成形体の試験片寸法:長さ300mm、幅40mm、厚さ20mm)を作製した。島津製作所製オートグラフ(AG-5000D)型を用い、厚さ方向に荷重を掛けることで曲げ弾性率(GPa、MPa)を計測した。
[吸音特性及び1000Hzでの吸音率]
ビーズ発泡成形体、(C)面材、及び車両用複合カバー材について、JIS A1405-2に基づき、垂直入射吸音率を測定した。それぞれ表2~4に記載した厚さの平板状サンプルを作製して直径41mmの円盤を切り出し、円盤状サンプルの裏側に直接アルミでできた剛体をおいて日本音響エンジニアリング社製垂直入射吸音率測定システムWinZacMTX型により、周波数160~5000Hzにおける垂直入射吸音率を20℃において測定した。800Hz、1000Hz、1250Hz、1600Hzの4点を中心周波数とする1/3オクターブ帯の吸音率を測定した。
その中でも1000Hzでの吸音率の測定結果を表2~4に示す。
また、車両用複合カバー材については、4帯の平均吸音率のうち、吸音率20%以上の周波数が4点ある場合を吸音特性に特に優れる(◎)、吸音率20%以上の周波数が3点の場合を吸音特性が優れる(〇)、吸音率20%以上の周波数が2点の場合を吸音特性が良好(△)、吸音率20%以上の周波数が1点以下の場合を吸音特性が劣る(×)として吸音特性を評価した。
[遮音特性及び1000Hzでの透過損失]
日本音響エンジニアリング社製音響透過損失・残響室法吸音率測定システムAbLossを用い、無響室・残響室法により車両用複合カバー材の透過損失を気温25℃において測定した。車両用複合カバー材から600mm×600mmサイズの試料を作製し、有効測定面を500mm×500mmとして、(A)基材側が無響室側となる向きに無響室-残響室間に試料を設置して透過損失(dB)を測定した。
その中でも1000Hzでの透過損失の測定結果を表4に示す。
測定結果より、800Hz、1000Hz、1250Hz、1600Hzの4点を中心周波数とする1/3オクターブ、4帯の平均透過損失のうち、透過損失10dB以上の周波数帯が4点である場合を特に優れる(◎)、3点の場合を同周波数域の遮音特性に優れる(〇)、2点の場合を同周波数域の遮音特性が良好(△)、1点以下の場合を同周波数域の遮音特性に劣る(×)として遮音特性を評価した。
[自立性(たわみ性)]
ビーズ発泡成形体、(C)面材、及び車両用複合カバー材について、それぞれ30cm角のサンプルを作製した。サンプルを片持ちで水平に保持し、たわみ量を評価した。1cm以上の明確なたわみが発生するサンプルを劣る(×)とし、1cm以上の明確なたわみが見られないサンプルを良好(〇)とした。
[リサイクル性]
30cm角の車両用複合カバー材サンプルを作製し、各層に分離する必要性及び分離作業の煩雑さによりリサイクル性を評価した。分離作業が不要で、車両用複合カバー材のまままとめて粉砕機などで処理できる場合を優れる(◎)、異種樹脂が含まれるためそれらの分離が必要であるが、物理的に引きはがすことができるため分離作業が容易であり、分離後に粉砕機等で処理できる場合を良好(〇)、異種樹脂が含まれるためそれらの分離が必要であり、物理的に引きはがすことができないため他の方法による分離が必要となる、両面テープ等の接着剤を分離する作業も必要となるなど、分離作業に多くの手間がかかる、又は完全に分離することができない場合を劣る(×)とした。
実施例及び比較例で用いた材料は以下のとおりである。
(A)基材
(A)基材として以下の(A-1)~(A-4)を用いた。
・(A-1):ポリアミド系樹脂(レオナ(登録商標)14G33(ガラス繊維を含む)、旭化成株式会社製)を用い、射出成形機(SE-150D、住友重機械工業株式会社製)にて、樹脂温度を285℃、金型温度を80℃として成形し、2mm厚のシート状の基材を得た。
・(A-2):ポリアミド系樹脂、UBEナイロン1030B(宇部興産株式会社製)を用い、射出成形機(SE-150D、住友重機械工業株式会社製)にて、樹脂温度を250℃、金型温度を80℃として成形し、2mm厚のシート状の基材を得た。
・(A-3):ポリアミド系樹脂(厚み1mmのポリアミド6フィルム、東レプラスチック精工株式会社製)を用いた。
・(A-4):ポリエステル系樹脂(厚み2mmのポリエチレンテレフタレートフィルム、東レプラスチック精工株式会社製)を用いた。
(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体
(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体(測定・評価用)として以下の(B-1)~(B-3)を用いた。
・(B―1)
ポリアミド6樹脂(UBEナイロン「1022B」、宇部興産株式会社製、20℃における表面張力46mN/m)を、押出機を用いて溶融し、図3(a1)記載の断面形状の異形押し出しダイから吐出させたストランドをペレタイザーでペレタイズし、平均粒子径1.4mmのペレットを得た。得られたペレットを10℃の圧力釜に投入し、4MPaの炭酸ガスを吹き込み3時間吸収させた。次いで炭酸ガス含浸ミニペレットを発泡装置に移し、240℃の空気を20秒間吹き込み、ポリアミド樹脂発泡粒子の集合体を得た。得られたポリアミド樹脂発泡粒子の集合体に含まれるポリアミド樹脂発泡粒子の平均粒子径は2.0mmであった。ポリアミド樹脂発泡粒子を切断し観察したところ、ポリアミド樹脂発泡粒子には独立気泡が切断面一面にまんべんなく多数形成されていた。ポリアミド樹脂発泡粒子の断面は図3(a2)に記した形状で凹構造部を有していた。
得られたポリアミド樹脂発泡粒子集合体を再度圧力釜に入れ、10℃にて0.70MPaの炭酸ガスを22時間吸収させた。次いでこの炭酸ガスを含浸したポリアミド樹脂発泡粒子を型内発泡成形装置の金型内に充填し、230℃の空気を30秒間吹き込み、ポリアミド樹脂発泡粒子同士が融着した厚みが19mmの成形体を得た。成形体の発泡倍率は7.0倍であった。成形体を切断し観察したところ、セル径が200~400μmである独立気泡を多数有するポリアミド樹脂発泡粒子の集合体が形成されていた。流れ抵抗の測定値から連続した空隙部を持つことが確認された。
・(B-2)
成形体の厚みを10mmに変更したこと以外は(B-1)と同様にして、成形体を得た。
・(B-3)
樹脂種として共重合ポリエステル系樹脂を用いて、以下のように樹脂発泡粒子及び成形体を作製した。
エチレングリコールとイソフタル酸とテレフタル酸との重縮合体(イソフタル酸含有率2質量%、20℃における表面張力43mN/m)100質量部と、ピロメリット酸二無水物0.3質量部と、炭酸ナトリウム0.03質量部との混合物を押出機により270~290℃で溶融、混練しながらバレルの途中で発泡剤としてブタンを混合物に対して1.0質量%の割合で注入し、図3(a1)記載の断面形状の異形押出しダイを通して予備発泡させたのち、直ちに冷却水槽で冷却しペレタイザーを用いて小粒状に切断して樹脂発泡粒子を製造した。得られた樹脂発泡粒子の断面形状は、図3(a2)であった。また、得られた樹脂発泡粒子の嵩密度ρは0.14g/cm、平均粒子径は1.5mmであった。
上記の樹脂発泡粒子を密閉容器に入れ、炭酸ガスを0.49MPaの圧力で圧入して4時間保持したのち、密閉容器から取り出した樹脂発泡粒子を直ちに型内発泡成形機の金型内に充填して型締めし、型内にゲージ圧0.02MPaの水蒸気を10秒間、次いでゲージ圧0.06MPaの水蒸気を20秒間導入し、120秒間保熱したのち水冷して、樹脂発泡粒子同士が融着した成形体を得た。成形体の発泡倍率は6.7倍であった。流れ抵抗の測定値から連続した空隙部を持つことが確認された。
連通空隙を有しないビーズ発泡成形体として以下の(B-4)を用いた。
・(B-4)
ポリアミド6/66樹脂(2430A、(株)DSM製、20°Cにおける表面張力46mN/mを、押出機を用いて溶融し、押し出しダイから吐出させたストランドを水中下でペレタイズし、平均粒子径1.4mmのペレットを得た。このペレットの融点は193°Cであった。得られたペレットを10°Cの圧力釜に投入し、4MPaの炭酸ガスを吹き込み12時間吸収させた。次いで炭酸ガス含浸ペレットを発泡装置に移し、200°Cの空気を20秒間吹き込み、ポリアミド発泡粒子の集合体を得た。得られたポリアミド発泡粒子は、中実の円状の断面形状の4.0倍の発泡倍率を有し、平均粒子径は2.2mmであり、独立気泡の平均径は0.15mmであり、含水率は1.5%、表面付着水は0%であった。
得られたポリアミド樹脂発泡粒子集合体を再度圧力釜に入れ、10℃にて0.7MPaの炭酸ガスを22時間吸収させた。次いでこの炭酸ガスを含浸したポリアミド樹脂発泡粒子を型内発泡成形装置の金型内に充填し、200℃の空気を30秒間吹き込み、ポリアミド樹脂発泡粒子同士が融着した成形体を得た。成形体の発泡倍率は4.8倍であった。
(C)繊維集合体を含む面材
(C)繊維集合体を含む面材として以下の(C-1)~(C-4)を用いた。
・(C-1)
PA繊維のフェルトシート(型番:フジロン4000、株式会社フジコー製)を用いた。
・(C-2)
PA繊維のフェルトシート(型番:フジロン4000、株式会社フジコー製)と、樹脂層(低通気層部)として、ポリアミドフィルム(厚み:0.5mm、通気抵抗:>20kN・s/m、東レプラスチック精工株式会社製、ポリアミドN6)とが熱融着により固定され、積層された積層体を用いた。PA繊維のフェルトシート側を(B)ビーズ発泡成形体側、ポリアミドフィルム側を(A)基材側として用いた。
・(C-3)
PET繊維のフェルトシート(型番:フジロン5000、株式会社フジコー製)を用いた。
・(C-4)
ポリエステル系繊維(シンサレート(登録商標)TAI-2027L(ポリプロピレン繊維を含む)、スリーエムカンパニー製)を用いた。
Figure 2023056827000002
Figure 2023056827000003
Figure 2023056827000004
[実施例1]
ポリアミド6樹脂(UBEナイロン「1022B」、宇部興産株式会社製、20℃における表面張力46mN/m)を、押出機を用いて溶融し、図3(a1)記載の断面形状の異形押し出しダイから吐出させたストランドをペレタイザーでペレタイズし、平均粒子径1.4mmのペレットを得た。得られたペレットを10℃の圧力釜に投入し、4MPaの炭酸ガスを吹き込み3時間吸収させた。次いで炭酸ガス含浸ミニペレットを発泡装置に移し、240℃の空気を20秒間吹き込み、ポリアミド樹脂発泡粒子の集合体を得た。得られたポリアミド樹脂発泡粒子集合体を再度圧力釜に入れ、10℃にて0.7MPaの空気を22時間吸収させた。
金型キャビティが縦横各30cm、厚み25mm、凹形状でコアが駒で凸型となっている平板状の発泡成形用金型を準備し、後述のクラッキングを設けた際にも樹脂発泡粒子がキャビティから漏れ出ないように、コアの駒のサイズを調整した。(C-1)繊維集合体を含む面材を金型キャビティの片方にインサートし、金型を、全閉に対しクラッキングとしてパーティングラインが2.0mm空いた状態にして、キャビティの空間に炭酸ガスを含浸させた樹脂発泡粒子を充填した。充填後、ただちに金型を全閉して、キャビティ側から150℃のスチームを30秒間吹き込み、発泡成形を行うことで、(C-1)繊維集合体を含む面材の繊維と樹脂発泡粒子が融着した、(C-1)繊維集合体を含む面材と(B-1)ビーズ発泡成形体との積層体を得た。(B-1)ビーズ発泡成形体の厚みは19mmであった。
その後、(A-1)基材の(B-1)ビーズ発泡成形体との接合面を赤外線ヒーターにより230℃で加熱したのち、加熱した面とインサート成形により接合した積層体の(B-1)ビーズ発泡成形体面とを重ね合わせ、上型180℃、下型30℃の金型に設置してプレスすることにより、(A-1)基材、(B-1)ビーズ発泡成形体、(C-1)繊維集合体がこの順に積層され、いずれも熱融着固定された車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[実施例2、3、5]
(A)基材、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体、(C)繊維集合体を、表4に示すとおりの構成とした以外は、実施例1と同様にして車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[実施例4]
実施例1と同様にしてポリアミド樹脂発泡粒子の集合体を得た。得られたポリアミド樹脂発泡粒子集合体を再度圧力釜に入れ、10℃にて0.7MPaの空気を22時間吸収させた。
金型キャビティが縦横各30cm、厚み13mm、凹形状でコアが駒で凸型となっている平板状の発泡成形用金型を準備し、後述のクラッキングを設けた際にも樹脂発泡粒子がキャビティから漏れ出ないように、コアの駒のサイズを調整した。(C-2)繊維集合体を含む面材を金型キャビティの片方にインサートし、金型を、全閉に対しクラッキングとしてパーティングラインが1mm空いた状態にして、キャビティの空間に炭酸ガスを含浸させた樹脂発泡粒子を充填した。充填後、ただちに金型を全閉して、キャビティの(B-2)連通空隙を有するビーズ発泡成形体側から150℃のスチームを30秒間吹き込み、発泡成形を行うことで、(C-2)繊維集合体を含む面材の繊維と樹脂発泡粒子が融着した、(C-2)繊維集合体を含む面材と(B-2)ビーズ発泡成形体との積層体を得た。(B-2)ビーズ発泡成形体の厚みは10mmであった。
その後、実施例1と同様の手法で(A-1)基材を接合し、(A-1)基材、(B-2)ビーズ発泡成形体、(C-2)繊維集合体がこの順に積層され、いずれも熱融着固定された車両用カバー全体を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[実施例6]
表4に示すとおり、(A)基材として(A-4)、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体として(B-3)、(C)繊維集合体を含む面材として(C-3)を使用した。
まず、(A-4)基材の(B-3)ビーズ発泡成形体との接合面を赤外線ヒーターにより270℃で加熱したのち、加熱した面と(B-3)ビーズ発泡成形体の接合面とを重ね合わせ、上型200℃、下型30℃の金型に設置してプレスすることにより、(A-4)基材と(B-3)ビーズ発泡成形体との積層体を得た。
その後、(C-3)繊維集合体を含む面材を熱カシメによりスポット(9箇所)で(B-3)ビーズ発泡成形体に接合させることにより、(A-4)基材、(B-3)ビーズ発泡成形体、(C-3)繊維集合体がこの順に積層され、いずれも熱融着固定された車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[実施例7]
表4に示すとおり、(A)基材として(A-4)、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体として(B-3)、(C)繊維集合体を含む面材として(C-4)を使用した。
まず、(A-4)基材の(B-3)ビーズ発泡成形体との接合面を赤外線ヒーターにより250℃で加熱したのち、加熱した面と(B-3)ビーズ発泡成形体の接合面とを重ね合わせ、上型200℃、下型30℃の金型に設置してプレスすることにより、(A-4)基材と(B-3)ビーズ発泡成形体との積層体を得た。
その後、(C-4)繊維集合体を含む面材を熱カシメによりスポット(9箇所)で(B-3)ビーズ発泡成形体に接合させることにより、(A-4)基材、(B-3)ビーズ発泡成形体、(C-4)繊維集合体がこの順に積層され、いずれも熱融着固定された車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[比較例1]
(A-1)基材と(C-4)繊維集合体を含む面材とを熱カシメによりスポット(9箇所)で接合させ、車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[比較例2]
(C-1)繊維集合体を含む面材に接着剤を部分的に塗布し、(A-1)基材に接着し、車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[比較例3]
実施例4と同様の手順で、(C-1)繊維集合体を含む面材と(B-2)連通空隙を有するビーズ発泡成形体が熱融着した車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[比較例4]
(A)基材、(B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体、(C)繊維集合体を含む面材を、表4に示すとおりの構成とした以外は、実施例1と同様にして車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[比較例5]
(A-1)基材と(B-3)連通空隙を有するビーズ発泡成形体とを両面粘着テープ(No.510、日東電工株式会社製)により接着し、積層体を得た。その後、(B-3)ビーズ発泡成形体の表面に両面粘着テープを均一に貼り付け押しつけた後、両面粘着テープの剥離紙を剥離させ、(C-1)繊維集合体を含む面材を押し付け、車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
[比較例6]
(A-3)基材と(C-1)繊維集合体を含む面材とを熱カシメによりスポット(9箇所)で接合させ、車両用複合カバー材を得た。
測定・評価結果を表4に示す。
Figure 2023056827000005
本実施形態の車両用複合カバー材は、吸音性と遮音性とリサイクル性とを兼ね備え、自立性があるため、静音化が求められる自動車、電車、汽車等の車両の駆動騒音低減のために使用される部材として好適に使用することができ、特に、自立性が要求される自動車エンジンルーム内のエンジンカバー、エンジンカプセル、エンジンルームフード、変速機ケーシング、吸遮音カバー、電気自動車用モーターのケーシング、吸遮音カバー等に好適に使用することができる。また、リサイクル性に優れるため、環境負荷低減の一助ともなり得る。

Claims (5)

  1. (A)基材と、
    (B)連通空隙を有するビーズ発泡成形体と、
    (C)繊維集合体を含む面材と
    を含み、
    前記(A)基材と前記(B)ビーズ発泡成形体とが同一種類の熱可塑性樹脂を含み、
    前記(A)基材と前記(B)ビーズ発泡成形体とが、及び/又は前記(B)ビーズ発泡成形体と前記(C)面材とが、熱融着により固定されている
    ことを特徴とする、車両用複合カバー材。
  2. 前記(C)面材と前記(B)ビーズ発泡成形体とが同一種類の熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載の車両用複合カバー材。
  3. 前記(A)基材がポリアミド系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の車両用複合カバー材。
  4. JIS A1405-2に準拠して20℃で測定した周波数1000Hzにおける垂直入射吸音率が0.20以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用複合カバー材。
  5. エンジンルームの所定箇所を覆うために用いられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用複合カバー材。
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