JP2023056464A - 接合システムおよび接合方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示は、接合システムおよび接合方法に関する。
半導体デバイスの高集積化の要請に応えるため、半導体デバイスを3次元に積層する3次元集積技術が提案されている。この3次元集積技術に用いられる半導体製造装置として、半導体ウエハ等の基板同士を接合する接合システムが知られている。
特許文献1には、基板の接合される表面を改質し、改質された基板の表面を親水化し、親水化された基板同士をファンデルワールス力および水素結合(分子間力)によって接合する接合システムが開示されている。
本開示は、重合基板の接合品質を向上させることができる技術を提供する。
本開示の一態様による接合システムは、表面改質装置と、接合装置と、制御部とを備える。表面改質装置は、基板の表面に位置する絶縁膜および金属配線のうち絶縁膜を処理ガスのプラズマによって改質する表面改質処理を行う。接合装置は、表面改質処理によって絶縁膜が改質された2つの基板を分子間力により接合する接合処理を行う。制御部は、表面改質処理前における基板の表面の金属酸化膜の膜厚に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて表面改質処理の処理条件を決定する。
本開示によれば、重合基板の接合品質を向上させることができる。
以下に、本開示による接合システムおよび接合方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。また、鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向と呼ぶ場合がある。
図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
従来、半導体ウエハなどの基板同士を接合する手法として、基板の接合される表面を改質し、改質された基板の表面を親水化し、親水化された基板同士をファンデルワールス力および水素結合(分子間力)によって接合する手法が知られている。
基板の表面改質処理は、基板の表面を処理ガスのプラズマによって改質する処理である。具体的には、表面改質処理は、基板の表面に位置している絶縁膜をプラズマによって活性化させる処理である。
ここで、基板の表面には絶縁膜だけでなく金属配線が位置している場合がある。絶縁膜と金属配線とが表面に位置する基板に対して表面改質処理を行った場合、金属配線上の自然酸化膜(以下、「金属酸化膜」と記載する)は、プラズマによって削られて一旦なくなった後、再び金属配線上に堆積する。すなわち、金属配線上の金属酸化膜の膜厚は、表面改質処理によって一旦薄くなった後、再び厚くなる。なお、この現象は、必ず起こるものではなく、比較的高い電力(ハイパワー)でプラズマを生成した場合に生じ易いことがわかっている。一方で、比較的低い電力(ローパワー)でプラズマを生成した場合には、金属酸化膜自体が削れない(もしくはほとんど削れない)こともわかっている。
表面改質処理後の基板において、金属配線上の金属酸化膜の膜厚が厚すぎると、基板同士を接合した際に、一方の基板の金属配線と他方の基板の金属配線とが接合不良となるおそれがある。
なお、金属配線上に形成される金属酸化膜の膜厚は、製造工程や環境等により基板ごとにばらつく。このため、一定の処理条件(印加電力、処理時間等)で表面改質処理を行うこととすると、金属酸化膜の膜厚を適切に制御することができないおそれがある。すなわち、たとえば金属酸化膜の膜厚が厚い基板に対してローパワーで生成したプラズマを用いて表面改質処理を行った場合、金属酸化膜は削れないため、金属酸化膜が臨界膜厚よりも厚い状態のまま接合処理に進むこととなるおそれがある。また、金属酸化膜の膜厚が厚い基板に対してハイパワーで生成したプラズマを用いて表面改質処理を行った場合、プラズマによって金属酸化膜は一旦削れるが、処理時間によっては金属酸化膜が再び堆積して臨界膜厚よりも厚い状態となってしまうおそれがある。なお、臨界膜厚とは、金属配線同士の接合不良が生じない膜厚として予め設定された膜厚である。
そこで、上述の問題点を克服し、重合基板の接合品質を向上させることができる技術の実現が期待されている。具体的には、表面改質処理において、絶縁膜の活性化を達成しつつ、金属配線上の金属酸化膜の厚みを臨界膜厚以下に抑えることで、重合基板の接合品質を向上させることができる技術の実現が期待されている。
(第1実施形態)
<接合システムの構成>
まず、第1実施形態に係る接合システム1の構成について、図1~図3を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る接合システム1の構成を示す模式平面図であり、図2は、同模式側面図である。また、図3は、第1実施形態に係る上ウエハW1および下ウエハW2の模式側面図である。
<接合システムの構成>
まず、第1実施形態に係る接合システム1の構成について、図1~図3を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る接合システム1の構成を示す模式平面図であり、図2は、同模式側面図である。また、図3は、第1実施形態に係る上ウエハW1および下ウエハW2の模式側面図である。
図1に示す接合システム1は、第1基板W1と第2基板W2とを接合することによって重合ウエハTを形成する。
第1基板W1および第2基板W2は、たとえばシリコンウエハや化合物半導体ウエハなどの半導体基板である。第1基板W1と第2基板W2とは、略同径を有する。
以下では、第1基板W1を「上ウエハW1」と記載し、第2基板W2を「下ウエハW2」と記載する。すなわち、上ウエハW1は第1基板の一例であり、下ウエハW2は第2基板の一例である。また、上ウエハW1と下ウエハW2とを総称する場合、「ウエハW」と記載する場合がある。
また、以下では、図3に示すように、上ウエハW1の板面のうち、下ウエハW2と接合される側の板面を「接合面W1j」と記載し、接合面W1jとは反対側の板面を「非接合面W1n」と記載する。また、下ウエハW2の板面のうち、上ウエハW1と接合される側の板面を「接合面W2j」と記載し、接合面W2jとは反対側の板面を「非接合面W2n」と記載する。
図3に示すように、第1基板W1の接合面W1jおよび第2基板W2の接合面W2jには、絶縁膜WLと金属配線WMとが位置している。絶縁膜WLは、たとえばSiO2(二酸化ケイ素)膜またはSiCN(炭窒化シリコン)膜等である。また、金属配線WMは、たとえば、Cu(銅)配線である。
図1に示すように、接合システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2および処理ステーション3は、X軸正方向に沿って、搬入出ステーション2および処理ステーション3の順番で並べて配置される。また、搬入出ステーション2および処理ステーション3は、一体的に接続される。
搬入出ステーション2は、載置台10と、搬送領域20とを備える。載置台10は、複数の載置板11を備える。各載置板11には、複数枚(たとえば、25枚)の基板を水平状態で収容するカセットC1、C2、C3がそれぞれ載置される。たとえば、カセットC1は上ウエハW1を収容するカセットであり、カセットC2は下ウエハW2を収容するカセットであり、カセットC3は重合ウエハTを収容するカセットである。
搬送領域20は、載置台10のX軸正方向側に隣接して配置される。かかる搬送領域20には、Y軸方向に延在する搬送路21と、この搬送路21に沿って移動可能な搬送装置22とが設けられる。
搬送装置22は、Y軸方向だけでなく、X軸方向にも移動可能かつZ軸周りに旋回可能である。そして、搬送装置22は、載置板11に載置されたカセットC1~C3と、後述する処理ステーション3の第3処理ブロックG3との間で、上ウエハW1、下ウエハW2および重合ウエハTの搬送を行う。
なお、載置板11に載置されるカセットC1~C3の個数は、図示のものに限定されない。また、載置板11には、カセットC1、C2、C3以外に、不具合が生じた基板を回収するためのカセットなどが載置されてもよい。
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数の処理ブロック、たとえば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられる。たとえば、処理ステーション3の正面側(図1のY軸負方向側)には、第1処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のY軸正方向側)には、第2処理ブロックG2が設けられる。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1のX軸負方向側)には、第3処理ブロックG3が設けられる。
第1処理ブロックG1には、上ウエハW1および下ウエハW2の接合面W1j,W2jを処理ガスのプラズマによって改質する表面改質装置30が配置される。表面改質装置30では、たとえば、減圧雰囲気下において所与の処理ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化あるいはラジカル化される。そして、かかる処理ガスに含まれる元素のイオン(ラジカル)が、上ウエハW1および下ウエハW2の接合面W1j,W2jに照射されることにより、接合面W1j,W2jに位置する絶縁膜WLが活性化される。
たとえば、処理ガスとして窒素ガスを用いた場合、表面改質装置30は、プラズマ照射により、上ウエハW1および下ウエハW2の接合面W1j,W2jに未結合手(ダングリングボンド)を形成することができる。この場合、表面改質装置30は、その後親水化されやすくするように当該接合面W1j,W2jに位置する絶縁膜WLを活性化することができる。
また、第1処理ブロックG1には、表面親水化装置40が配置される。表面親水化装置40は、たとえば純水によって上ウエハW1および下ウエハW2の接合面W1j,W2jを親水化するとともに、接合面W1j,W2jを洗浄する。
表面親水化装置40では、たとえばスピンチャックに保持された上ウエハW1または下ウエハW2を回転させながら、当該上ウエハW1または下ウエハW2上に純水を供給する。これにより、上ウエハW1または下ウエハW2上に供給された純水が上ウエハW1または下ウエハW2の接合面W1j,W2j上を拡散し、接合面W1j,W2jが親水化される。
第2処理ブロックG2には、膜厚測定器35が配置される。膜厚測定器35は、上ウエハW1の接合面W1jに位置する金属配線WM上の金属酸化膜の膜厚を測定する。同様に、膜厚測定器35は、下ウエハW2の接合面W2jに位置する金属配線WM上の金属酸化膜の膜厚を測定する。膜厚測定器35としては、たとえば、エリプソメーターまたは光学干渉計(一例として、UV干渉計)等を用いることができる。
膜厚測定器35の光軸は、測定対象面である接合面W1j,W2jに対して垂直であることが好ましい。かかる構成とすることで、光軸を接合面W1j,W2jに対して斜めにした場合と比べて、入射光の照射エリアを絞ることができる。したがって、金属配線WMのパターンが微細であっても、金属配線WMのみに入射光を照射し易く、金属配線WM以外(すなわち、絶縁膜WL)の測定結果への影響を排除することができる。つまり、金属酸化膜の膜厚の測定精度を高めることができる。
なお、膜厚測定器35の光軸は、必ずしも接合面W1j,W2jに対して垂直であることを要しない。膜厚測定器35の光軸は、接合面W1j,W2jに対して斜めであってもよい。
また、第2処理ブロックG2には、接合装置41が配置される。接合装置41は、上ウエハW1と下ウエハW2とを接合する。かかる接合装置41の詳細については後述する。
第3処理ブロックG3には、図2に示すように、上ウエハW1、下ウエハW2および重合ウエハTのトランジション(TRS)装置50、51が下から順に2段に設けられる。
また、図1に示すように、第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3に囲まれた領域には、搬送領域60が形成される。搬送領域60には、搬送装置61が配置される。搬送装置61は、たとえば鉛直方向、水平方向および鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有する。
かかる搬送装置61は、搬送領域60内を移動し、搬送領域60に隣接する第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3内の所与の装置に上ウエハW1、下ウエハW2および重合ウエハTを搬送する。
また、接合システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、接合システム1の動作を制御する。かかる制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部5および記憶部6を備える。記憶部6には、接合処理などの各種処理を制御するプログラムが格納される。制御部5は、記憶部6に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって接合システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置4の記憶部6にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
<表面改質装置の構成>
次に、表面改質装置30の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、表面改質装置30の構成を示す模式断面図である。
次に、表面改質装置30の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、表面改質装置30の構成を示す模式断面図である。
図4に示すように、表面改質装置30は、内部を密閉可能な処理容器70を有する。処理容器70の搬送領域60(図1参照)側の側面には、上ウエハW1または下ウエハW2の搬入出口71が形成され、当該搬入出口71にはゲートバルブ72が設けられる。
処理容器70の内部には、ステージ80が配置される。ステージ80は、たとえば下部電極であり、たとえばアルミニウムなどの導電性材料で構成される。ステージ80には、不図示のピン用貫通孔が形成され、かかるピン用貫通孔には、不図示のリフターピンが収容される。リフターピンは、不図示の昇降機構によって上下方向に昇降可能に構成される。
ステージ80と処理容器70の内壁との間には、複数のバッフル孔が設けられた排気リング103が配置される。排気リング103により、処理容器70内の雰囲気が処理容器70内から均一に排気される。
ステージ80の下面には、導体で形成された給電棒104が接続される。給電棒104には、たとえばブロッキングコンデンサなどからなる整合器105を介して、高周波電源106が接続される。プラズマ処理時には、高周波電源106から所与の高周波電力がステージ80に印加される。
処理容器70の内部には、上部電極110が配置される。ステージ80の上面と上部電極110の下面とは、互いに平行に、所与の間隔をあけて対向して配置されている。ステージ80の上面と上部電極110の下面との間隔は、不図示の昇降機構により調整される。
上部電極110は接地され、グランド電位に接続されている。このように上部電極110が接地されているため、プラズマ処理中、上部電極110の下面の損傷を抑制することができる。
このように、高周波電源106から下部電極であるステージ80に、高周波電力が印加されることにより、処理容器70の内部にプラズマが発生する。
実施形態において、ステージ80、給電棒104、整合器105、高周波電源106、上部電極110、および整合器は、処理容器70内に処理ガスのプラズマを発生させるプラズマ発生機構の一例である。なお、高周波電源106は、上述の制御装置4の制御部5によって制御される。
上部電極110の内部には中空部120が形成されている。中空部120には、ガス供給管121が接続されている。ガス供給管121は、内部に処理ガスや除電用ガスを貯留するガス供給源122に連通している。また、ガス供給管121には、処理ガスや除電用ガスの流れを制御するバルブや流量調整部などを含む供給機器群123が設けられている。
そして、ガス供給源122から供給された処理ガスや除電用ガスは、供給機器群123で流量制御され、ガス供給管121を介して、上部電極110の中空部120に導入される。処理ガスには、たとえば酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどが用いられる。また、除電用ガスには、たとえば窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスが用いられる。
中空部120の内部には、処理ガスや除電用ガスの均一拡散を促進するためのバッフル板124が設けられている。バッフル板124には、多数の小孔が設けられている。上部電極110の下面には、中空部120から処理容器70の内部に処理ガスや除電用ガスを噴出させる多数のガス噴出口125が形成されている。
処理容器70には、吸気口130が形成される。吸気口130には、処理容器70の内部の雰囲気を所与の真空度まで減圧する真空ポンプ131に連通する吸気管132が接続される。
ステージ80の上面、すなわち上部電極110との対向面は、上ウエハW1および下ウエハW2よりも大きい径を有する平面視円形の水平面である。かかるステージ80の上面にはステージカバー90が載置され、上ウエハW1または下ウエハW2は、かかるステージカバー90の載置部91上に載置される。
<接合装置の構成>
次に、接合装置41の構成について図5および図6を参照して説明する。図5は、実施形態に係る接合装置41の構成を示す模式平面図であり、図6は、実施形態に係る接合装置41の構成を示す模式側面図である。
次に、接合装置41の構成について図5および図6を参照して説明する。図5は、実施形態に係る接合装置41の構成を示す模式平面図であり、図6は、実施形態に係る接合装置41の構成を示す模式側面図である。
図5に示すように、接合装置41は、内部を密閉可能な処理容器190を有する。処理容器190の搬送領域60側の側面には、上ウエハW1、下ウエハW2および重合ウエハTの搬入出口191が形成され、当該搬入出口191には開閉シャッタ192が設けられている。
処理容器190の内部は、内壁193によって、搬送領域T1と処理領域T2に区画される。上述した搬入出口191は、搬送領域T1における処理容器190の側面に形成される。また、内壁193にも、上ウエハW1、下ウエハW2および重合ウエハTの搬入出口194が形成される。
搬送領域T1には、トランジション200、基板搬送機構201、反転機構220および位置調節機構210が、たとえば搬入出口191側からこの順番で並べて配置される。
トランジション200は、上ウエハW1、下ウエハW2および重合ウエハTを一時的に載置する。トランジション200は、たとえば2段に形成され、上ウエハW1、下ウエハW2および重合ウエハTのいずれか2つを同時に載置することができる。
基板搬送機構201は、たとえば鉛直方向(Z軸方向)、水平方向(Y軸方向、X軸方向)および鉛直軸周りの方向(θ方向)に移動自在な搬送アームを有する。基板搬送機構201は、搬送領域T1内または搬送領域T1と処理領域T2との間で上ウエハW1、下ウエハW2および重合ウエハTを搬送することが可能である。
位置調節機構210は、上ウエハW1および下ウエハW2の水平方向の向きを調節する。具体的には、位置調節機構210は、上ウエハW1および下ウエハW2を保持して回転させる図示しない保持部を備えた基台211と、上ウエハW1および下ウエハW2のノッチ部の位置を検出する検出部212と、を有する。位置調節機構210は、基台211に保持された上ウエハW1および下ウエハW2を回転させながら検出部212を用いて上ウエハW1および下ウエハW2のノッチ部の位置を検出することにより、ノッチ部の位置を調節する。これにより、上ウエハW1および下ウエハW2の水平方向の向きが調節される。
反転機構220は、上ウエハW1の表裏を反転させる。具体的には、反転機構220は、上ウエハW1を保持する保持アーム221を有する。保持アーム221は、水平方向(X軸方向)に延伸する。また、保持アーム221には、上ウエハW1を保持する保持部材222がたとえば4箇所に設けられている。
保持アーム221は、たとえばモータなどを備えた駆動部223に支持される。保持アーム221は、かかる駆動部223によって水平軸周りに回動自在である。また、保持アーム221は、駆動部223を中心に回動自在であると共に、水平方向(X軸方向)に移動自在である。駆動部223の下方には、たとえばモータなどを備えた他の駆動部(図示せず)が設けられる。この他の駆動部によって、駆動部223は、鉛直方向に延伸する支持柱224に沿って鉛直方向に移動できる。
このように、保持部材222に保持された上ウエハW1は、駆動部223によって水平軸周りに回動できると共に鉛直方向および水平方向に移動することができる。また、保持部材222に保持された上ウエハW1は、駆動部223を中心に回動して、位置調節機構210と後述する上チャック230との間を移動することができる。
処理領域T2には、上ウエハW1の上面(非接合面W1n)を上方から吸着保持する上チャック230と、下ウエハW2の下面(非接合面W2n)を下方から吸着保持する下チャック231とが設けられる。下チャック231は、上チャック230よりも下方に設けられ、上チャック230と対向配置可能に構成される。上チャック230および下チャック231は、たとえばバキュームチャックである。
図6に示すように、上チャック230は、上チャック230の上方に設けられた支持部材270によって支持される。支持部材270は、たとえば、複数の支持柱271を介して処理容器190の天井面に固定される。
上チャック230の側方には、下チャック231に保持された下ウエハW2の上面(接合面W2j)を撮像する上部撮像部235が設けられている。上部撮像部235には、たとえばCCDカメラが用いられる。
下チャック231は、下チャック231の下方に設けられた第1移動部250に支持される。第1移動部250は、後述するように下チャック231を水平方向(X軸方向)に移動させる。また、第1移動部250は、下チャック231を鉛直方向に移動自在、且つ鉛直軸周りに回転可能に構成される。
第1移動部250には、上チャック230に保持された第1基板W1の下面(接合面W1j)を撮像する下部撮像部236が設けられている。下部撮像部236には、たとえばCCDカメラが用いられる。
第1移動部250は、一対のレール252,252に取り付けられている。一対のレール252,252は、第1移動部250の下面側に設けられ、水平方向(X軸方向)に延伸する。第1移動部250は、レール252に沿って移動自在に構成されている。
一対のレール252,252は、第2移動部253に配設されている。第2移動部253は、一対のレール254,254に取り付けられている。一対のレール254,254は、第2移動部253の下面側に設けられ、水平方向(Y軸方向)に延伸する。第2移動部253は、レール254に沿って水平方向(Y軸方向)に移動自在に構成される。なお、一対のレール254,254は、処理容器190の底面に設けられた載置台255上に配設されている。
第1移動部250および第2移動部253等により、位置合わせ部256が構成される。位置合わせ部256は、下チャック231をX軸方向、Y軸方向およびθ方向に移動させることにより、上チャック230に保持されている上ウエハW1と、下チャック231に保持されている下ウエハW2との水平方向位置合わせを行う。また、位置合わせ部256は、下チャック231をZ軸方向に移動させることにより、上チャック230に保持されている上ウエハW1と、下チャック231に保持されている下ウエハW2との鉛直方向位置合わせを行う。
なお、ここでは、下チャック231をX軸方向、Y軸方向およびθ方向に移動させることとしたが、位置合わせ部256は、たとえば、下チャック231をX軸方向およびY軸方向に移動させ、上チャック230をθ方向に移動させてもよい。また、ここでは、下チャック231をZ軸方向に移動させることとしたが、位置合わせ部256は、たとえば、上チャック230をZ軸方向に移動させてもよい。
次に、上チャック230および下チャック231の構成について図7を参照して説明する。図7は、実施形態に係る上チャック230および下チャック231を示す模式図である。
図7に示すように、上チャック230は、本体部260を有する。本体部260は、支持部材270によって支持される。支持部材270および本体部260には、支持部材270および本体部260を鉛直方向に貫通する貫通孔266が形成される。貫通孔266の位置は、上チャック230に吸着保持される上ウエハW1の中心部に対応している。貫通孔266には、ストライカー280の押圧ピン281が挿通される。
ストライカー280は、支持部材270の上面に配置され、押圧ピン281と、アクチュエータ部282と、直動機構283とを備える。押圧ピン281は、鉛直方向に沿って延在する円柱状の部材であり、アクチュエータ部282によって支持される。
アクチュエータ部282は、たとえば電空レギュレータ(図示せず)から供給される空気により一定方向(ここでは鉛直下方)に一定の圧力を発生させる。アクチュエータ部282は、電空レギュレータから供給される空気により、上ウエハW1の中心部と当接して当該上ウエハW1の中心部にかかる押圧荷重を制御することができる。また、アクチュエータ部282の先端部は、電空レギュレータからの空気によって、貫通孔266を挿通して鉛直方向に昇降自在になっている。
アクチュエータ部282は、直動機構283に支持される。直動機構283は、たとえばモータを内蔵した駆動部によってアクチュエータ部282を鉛直方向に沿って移動させる。
ストライカー280は、以上のように構成されており、直動機構283によってアクチュエータ部282の移動を制御し、アクチュエータ部282によって押圧ピン281による上ウエハW1の押圧荷重を制御する。これにより、ストライカー280は、上チャック230に吸着保持された上ウエハW1の中心部を押圧して下ウエハW2に接触させる。
本体部260の下面には、上ウエハW1の上面(非接合面W1n)に接触する複数のピン261が設けられている。複数のピン261は、たとえば、径寸法が0.1mm~1mmであり、高さが数十μm~数百μmである。複数のピン261は、たとえば2mmの間隔で均等に配置される。
上チャック230は、これら複数のピン261が設けられている領域のうちの一部の領域に、上ウエハW1を吸着する複数の吸着部を備える。具体的には、上チャック230における本体部260の下面には、上ウエハW1を真空引きして吸着する複数の外側吸着部391および複数の内側吸着部392が設けられている。複数の外側吸着部391および複数の内側吸着部392は、平面視において円弧形状の吸着領域を有する。複数の外側吸着部391および複数の内側吸着部392は、ピン261と同じ高さを有する。
複数の外側吸着部391は、本体部260の外周部に配置される。複数の外側吸着部391は、真空ポンプ等の図示しない吸引装置に接続され、真空引きによって上ウエハW1の外周部を吸着する。
複数の内側吸着部392は、複数の外側吸着部391よりも本体部260の径方向内方において、周方向に沿って並べて配置される。複数の内側吸着部392は、真空ポンプ等の図示しない吸引装置に接続され、真空引きによって上ウエハW1の外周部と中心部との間の領域を吸着する。
下チャック231は、下ウエハW2と同径もしくは下ウエハW2より大きい径を有する本体部290を有する。ここでは、下ウエハW2よりも大きい径を有する下チャック231を示している。本体部290の上面は、下ウエハW2の下面(非接合面W2n)と対向する対向面である。
本体部290の上面には、下ウエハW2の下面(非接合面W2n)に接触する複数のピン291が設けられている。複数のピン291は、たとえば、径寸法が0.1mm~1mmであり、高さが数十μm~数百μmである。複数のピン291は、たとえば2mmの間隔で均等に配置される。
また、本体部290の上面には、下側リブ292が複数のピン291の外側に環状に設けられている。下側リブ292は、環状に形成され、下ウエハW2の外周部を全周に亘って支持する。
また、本体部290は、複数の下側吸引口293を有する。複数の下側吸引口293は、下側リブ292によって囲まれた吸着領域に複数設けられる。複数の下側吸引口293は、図示しない吸引管を介して真空ポンプ等の図示しない吸引装置に接続される。
下チャック231は、下側リブ292によって囲まれた吸着領域を複数の下側吸引口293から真空引きすることによって吸着領域を減圧する。これにより、吸着領域に載置された下ウエハW2は、下チャック231に吸着保持される。
下側リブ292が下ウエハW2の下面の外周部を全周に亘って支持するため、下ウエハW2は外周部まで適切に真空引きされる。これにより、下ウエハW2の全面を吸着保持することができる。また、下ウエハW2の下面は複数のピン291に支持されるため、下ウエハW2の真空引きを解除した際に、下ウエハW2が下チャック231から剥がれ易くなる。
<接合システムの具体的動作>
次に、実施形態に係る接合システム1の具体的な動作について図8を参照して説明する。図8は、実施形態に係る接合システム1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。図8に示す各種の処理は、制御装置4の制御部5による制御に基づいて実行される。
次に、実施形態に係る接合システム1の具体的な動作について図8を参照して説明する。図8は、実施形態に係る接合システム1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。図8に示す各種の処理は、制御装置4の制御部5による制御に基づいて実行される。
まず、複数枚の上ウエハW1を収容したカセットC1、複数枚の下ウエハW2を収容したカセットC2、および空のカセットC3が、搬入出ステーション2の所定の載置板11に載置される。その後、搬送装置22によりカセットC1内の上ウエハW1が取り出され、第3処理ブロックG3に配置されたトランジション装置50に搬送される。
次に、上ウエハW1は、搬送装置61によって膜厚測定器35に搬送される。膜厚測定器35では、上ウエハW1の膜厚測定が行われる(ステップS101)。具体的には、膜厚測定器35では、上ウエハW1の接合面W1jに位置する金属配線WM上の金属酸化膜の膜厚の測定が行われる。膜厚測定器35による測定結果は、制御部5に入力される。
次に、上ウエハW1は、搬送装置61によって第1処理ブロックG1の表面改質装置30に搬送される。表面改質装置30では、上ウエハW1の接合面W1jの表面改質が行われる(ステップS102)。具体的には、上ウエハW1の接合面W1jに位置する絶縁膜WLにおいて終端基を除去することでダングリングボンドを形成するとともに、ダングリングボンドをOH基で終端させる。
次に、上ウエハW1は、搬送装置61によって第1処理ブロックG1の表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40では、スピンチャックに保持された上ウエハW1を回転させながら、上ウエハW1上に純水を供給する。これにより、上ウエハW1の接合面W1jが親水化される。また、当該純水によって、上ウエハW1の接合面W1jが洗浄される(ステップS103)。
次に、上ウエハW1は、搬送装置61によって第2処理ブロックG2の接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された上ウエハW1は、トランジション200を介して位置調節機構210に搬送され、位置調節機構210によって水平方向の向きが調節される(ステップS104)。
その後、位置調節機構210から反転機構220に上ウエハW1が受け渡され、反転機構220によって上ウエハW1の表裏面が反転される(ステップS105)。具体的には、上ウエハW1の接合面W1jが下方に向けられる。
つづいて、反転機構220から上チャック230に上ウエハW1が受け渡され、上チャック230によって上ウエハW1が吸着保持される(ステップS106)。
上ウエハW1に対するステップS101~S106の処理と重複して、下ウエハW2の処理が行われる。まず、搬送装置22によりカセットC2内の下ウエハW2が取り出され、第3処理ブロックG3に配置されたトランジション装置50に搬送される。
次に、下ウエハW2は、搬送装置61によって膜厚測定器35に搬送される。膜厚測定器35では、下ウエハW2の膜厚測定が行われる(ステップS107)。具体的には、膜厚測定器35では、下ウエハW2の接合面W2jに位置する金属配線WM上の金属酸化膜の膜厚の測定が行われる。膜厚測定器35による測定結果は、制御部5に入力される。
次に、下ウエハW2は、搬送装置61によって表面改質装置30に搬送され、下ウエハW2の接合面W2jが改質される(ステップS108)。
その後、下ウエハW2は、搬送装置61によって表面親水化装置40に搬送され、下ウエハW2の接合面W2jが親水化されるとともに当該接合面W2jが洗浄される(ステップS109)。
その後、下ウエハW2は、搬送装置61によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された下ウエハW2は、トランジション200を介して位置調節機構210に搬送される。そして、位置調節機構210によって、下ウエハW2の水平方向の向きが調節される(ステップS110)。
その後、下ウエハW2は、下チャック231に搬送され、ノッチ部を予め決められた方向に向けた状態で下チャック231に吸着保持される(ステップS111)。
つづいて、上チャック230に保持された上ウエハW1と下チャック231に保持された下ウエハW2との水平方向の位置調節が行われる(ステップS112)。
次に、上チャック230に保持された上ウエハW1と下チャック231に保持された下ウエハW2との鉛直方向位置の調節を行う(ステップS113)。具体的には、第1移動部250が下チャック231を鉛直上方に移動させることによって、下ウエハW2を上ウエハW1に接近させる。
次に、複数の内側吸着部392による上ウエハW1の吸着保持を解除した後(ステップS114)、ストライカー280の押圧ピン281を下降させることによって、上ウエハW1の中心部を押下する(ステップS115)。
上ウエハW1の中心部が下ウエハW2の中心部に接触し、上ウエハW1の中心部と下ウエハW2の中心部とがストライカー280によって所定の力で押圧されると、押圧された上ウエハW1の中心部と下ウエハW2の中心部との間で接合が開始される。すなわち、上ウエハW1の接合面W1jと下ウエハW2の接合面W2jは改質されているため、まず、接合面W1j,W2j間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該接合面W1j,W2j同士が接合される。さらに、上ウエハW1の接合面W1jと下ウエハW2の接合面W2jは親水化されているため、接合面W1j,W2j間の親水基が水素結合し、接合面W1j,W2j同士が強固に接合される。このようにして、接合領域が形成される。
その後、上ウエハW1と下ウエハW2との間では、上ウエハW1および下ウエハW2の中心部から外周部に向けて接合領域が拡大していくボンディングウェーブが発生する。その後、複数の外側吸着部391による上ウエハW1の吸着保持が解除される(ステップS116)。これにより、外側吸着部391によって吸着保持されていた上ウエハW1の外周部が落下する。この結果、上ウエハW1の接合面W1jと下ウエハW2の接合面W2jが全面で当接し、重合ウエハTが形成される。
その後、押圧ピン281を上チャック230まで上昇させ、下チャック231による下ウエハW2の吸着保持を解除する。その後、重合ウエハTは、搬送装置61によって接合装置41から搬出される。こうして、一連の接合処理が終了する。
次に、ステップS102およびステップS108における表面改質処理について説明する。まず、表面改質処理の処理時間と接合強度との関係について図9を参照して説明する。図9は、表面改質処理の処理時間と接合強度との関係の一例を示すグラフである。
図9に示すように、表面改質処理の処理時間と接合強度との間には相関関係がある。具体的には、表面改質処理の処理時間が長くなるほど接合強度が高くなる傾向がある。所望の接合強度を得るためには、言い換えれば、改質閾値以上の接合強度を得るためには、時間t0以上の処理時間が必要となる。なお、図9では示されていないが、表面改質処理の処理時間が長すぎると接合強度が却って低下することが知られている。
つづいて、表面改質処理の処理時間と金属配線WM上の金属酸化膜の膜厚(以下、「金属酸化膜厚」と記載する)との関係について図10および図11を参照して説明する。図10は、高周波電源106からステージ80への印加電力が比較的低い印加電力(たとえば、30W)である場合における、表面改質処理の処理時間と金属酸化膜厚との関係の一例を示すグラフである。また、図11は、高周波電源106からステージ80への印加電力が比較的高い印加電力(たとえば、150W)である場合における、表面改質処理の処理時間と金属酸化膜厚との関係の一例を示すグラフである。
図10に示すように、金属酸化膜は、比較的低い印加電力で生成したプラズマでは削れない(もしくはほとんど削れない)。したがって、たとえば、金属酸化膜厚が膜厚閾値(接合不良が生じない膜厚の上限、臨界膜厚)以下のT1である場合には問題とならないが、膜厚閾値を超えるT2である場合には、表面改質処理を行っても膜厚が変化しないため接合不良が生じるおそれがある。
なお、「ほとんど削れない」とは、表面改質処理の常識的な処理時間を考慮した場合に金属酸化膜の削れる量が無視できる程度に小さいことを意味する。また、「比較的低い印加電力」とは、金属酸化膜が削れない(もしくはほとんど削れない)プラズマを生成するための印加電力(第1電力の一例に相当)を意味する。
一方、図11に示すように、比較的高い印加電力でプラズマを生成すると、金属酸化膜はプラズマによって削られる。すなわち、金属酸化膜厚は、表面改質処理の処理時間の経過とともに薄くなる。このため、たとえば、金属酸化膜厚がT2である場合、表面改質処理の処理時間がt1を超えると、金属酸化膜厚は、接合不良が生じない膜厚閾値以下となる。
しかしながら、比較的高い印加電力でプラズマを生成した場合、金属酸化膜は一旦削られた後、金属配線WM上に再び堆積し始める。たとえば、金属酸化膜厚がT2である場合、表面改質処理の処理時間がt3を超えると、金属酸化膜厚は膜厚閾値を超えてしまう。また、金属酸化膜厚がもともと膜厚閾値以下であるT1である場合も、表面改質処理の処理時間がt2を超えることで、金属酸化膜厚が膜厚閾値を超えてしまう。
なお、「比較的高い印加電力」とは、金属酸化膜が削れるプラズマを生成するための印加電力(第2電力の一例に相当)を意味する。
図12は、改質閾値および膜厚閾値の両方を考慮した表面改質処理のプロセスウィンドウの一例を示すグラフである。
上述したように、改質閾値以上の接合強度を得るためには、表面改質処理の処理時間は、t0以上に設定される必要がある。また、金属酸化膜厚がT1である場合において、金属酸化膜厚を膜厚閾値以下に抑えるためには、表面改質処理の処理時間は、t2以下に設定される必要がある。また、金属酸化膜厚がT2である場合において、金属酸化膜厚を膜厚閾値以下に抑えるためには、表面改質処理の処理時間は、t1以上t3以下に設定される必要がある。
したがって、改質閾値および膜厚閾値の両方を考慮すると、表面改質処理の処理時間は、金属酸化膜厚がT1である場合にはt0以上t2以下の範囲(図12に示す範囲P1)内に設定される必要がある。また、表面改質処理の処理時間は、金属酸化膜厚がT2である場合にはt1以上t3以下の範囲(図12に示す範囲P2)内に設定される必要がある。
第1実施形態に係る接合システム1において、制御部5は、表面改質処理を行う前に、膜厚測定器35による測定結果を取得する。そして、制御部5は、取得した測定結果に基づいて、改質閾値および膜厚閾値の両方を満足するように表面改質処理の処理条件を決定する。
図13は、表面改質処理の処理条件決定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図13に示す処理条件決定処理は、図8に示すステップS101とステップS102との間、もしくは、ステップS107とステップS108との間において実行される。
図13に示すように、制御部5は、まず、膜厚測定器35による金属酸化膜厚の測定結果を取得する(ステップS201)。つづいて、制御部5は、金属酸化膜厚が膜厚閾値以下であるか否かを判定する(ステップS202)。
ステップS202において、金属酸化膜厚が膜厚閾値以下である場合(ステップS202,Yes)、制御部5は、高周波電源106からステージ80に印加する電力を第1電力に決定する(ステップS203)。上述したように、第1電力は、金属酸化膜が削れない(もしくはほとんど削れない)プラズマを生成するための印加電力として予め設定された電力である。
また、制御部5は、処理時間を第1処理時間に決定する(ステップS204)。具体的には、印加電力を第1電力に決定した場合、制御部5は、接合強度が改質閾値以上となる表面改質処理の処理時間として予め決められた時間を第1処理時間として決定する。
一方、ステップS202において、金属酸化膜厚が膜厚閾値を超えている場合(ステップS202,No)、制御部5は、高周波電源106からステージ80に印加する電力を第2電力に決定する(ステップS205)。上述したように、第2電力は、金属酸化膜を削るプラズマを生成するための印加電力として予め設定された電力である。
また、制御部5は、処理時間を第2処理時間に決定する(ステップS206)。具体的には、印加電力を第2電力に決定した場合、制御部5は、接合強度が改質閾値以上となり、かつ、金属酸化膜厚が膜厚閾値以下となる表面改質処理の処理時間を第2処理時間として決定する。
ここで、「金属酸化膜厚が膜厚閾値以下となる表面改質処理の処理時間」は、たとえば、金属酸化膜厚と表面改質処理の処理時間との関係を示す情報として記憶部6に予め記憶された情報(以下、「膜厚変化情報」と記載する)に基づいて決定されてもよい。
膜厚変化情報は、複数の第2電力ごとに記憶部6に記憶されていてもよい。たとえば、記憶部6には、第2電力が100Wである場合の膜厚変化情報と、第2電力が120Wである場合の膜厚変化情報と、第2電力が150Wである場合の膜厚変化情報とが記憶されていてもよい。この場合、制御部5は、ステップS205において決定した第2電力に対応する膜厚変化情報と、ステップS201において取得した金属酸化膜厚とを用いて、金属酸化膜厚が膜厚閾値以下となる表面改質処理の処理時間を決定することができる。
ステップS204またはステップS206の処理を終えると、制御部5は、表面改質処理の処理条件決定処理を終える。その後、制御部5は、ステップS102またはステップS108に移行し、処理条件決定処理において決定した処理条件にて表面改質処理を行う。
(第1実施形態における第1変形例)
上述した第1実施形態では、表面改質処理前に金属酸化膜の膜厚測定を行う場合の例について説明した。これに限らず、第1実施形態に係る接合システム1は、表面改質処理後に金属酸化膜の膜厚測定を行ってもよい。この場合の例について図14を参照して説明する。図14は、接合処理実行可否判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、図14に示す接合処理実行可否判定処理は、ウエハWに対して表面改質処理を実行した後、表面親水化処理を行う前に実行される。
上述した第1実施形態では、表面改質処理前に金属酸化膜の膜厚測定を行う場合の例について説明した。これに限らず、第1実施形態に係る接合システム1は、表面改質処理後に金属酸化膜の膜厚測定を行ってもよい。この場合の例について図14を参照して説明する。図14は、接合処理実行可否判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、図14に示す接合処理実行可否判定処理は、ウエハWに対して表面改質処理を実行した後、表面親水化処理を行う前に実行される。
図14に示すように、制御部5は、表面改質処理後のウエハWを膜厚測定器35に搬入し(ステップS301)、膜厚測定器35において金属酸化膜厚の測定処理を行う(ステップS302)。そして、制御部5は、膜厚測定器35による金属酸化膜厚の測定結果を取得する(ステップS303)。
つづいて、制御部5は、ステップS303において取得した測定結果に基づき、金属酸化膜厚が膜厚閾値以下であるか否かを判定する(ステップS304)。
ステップS304において、金属酸化膜厚が膜厚閾値以下である場合(ステップS304,Yes)、制御部5は、接合処理の実行を許可する(ステップS305)。具体的には、制御部5は、上ウエハW1であれば、図8に示すステップS103移行の処理を進め、下ウエハW2であれば、図8に示すステップS109移行の処理を進める。
一方、ステップS304において、金属酸化膜厚が膜厚閾値を超えている場合(ステップS304,No)、制御部5は、接合処理の実行を禁止する(ステップS306)。すなわち、制御部5は、上ウエハW1であれば、図8に示すステップS103移行の処理を行わず、下ウエハW2であれば、図8に示すステップS109移行の処理を行わない。
また、制御部5は、金属酸化膜厚が閾値を超えているウエハWに対して異常対応処理を実行する(ステップS307)。
たとえば、制御部5は、異常対応処理として、金属酸化膜厚が閾値を超えているウエハWを接合システム1から搬出するために搬入出ステーション2(搬入出部の一例)戻す処理を行ってもよい。この場合、載置台10には、不具合が生じたウエハを回収するためのカセット(図示せず)が載置されていてもよい。制御部5は、搬送装置61および搬送装置22を制御して、金属酸化膜厚が閾値を超えているウエハWを膜厚測定器35から取り出して上記回収用のカセットに収容してもよい。
また、制御部5は、異常対応処理として、金属酸化膜厚が閾値を超えているウエハWを表面改質装置30に搬入し、表面改質装置30において表面改質処理を再度実行してもよい。このとき、制御部5は、初回の表面改質処理と2回目の表面改質処理とで処理条件を異ならせてもよい。たとえば、制御部5は、初回の表面改質処理を第1電力にて行った場合に、2回目の表面改質処理を第2電力にて行うこととしてもよい。また、制御部5は、初回の表面改質処理および2回目の表面改質処理を第2電力にて行った場合に、2回目の表面改質処理の処理時間を初回の表面改質処理の処理時間よりも短い時間に設定してもよい。なお、ステップS307において表面改質処理を再度行う場合、制御部5は、処理をステップS301に戻し、ステップS301移行の処理を再度行ってもよい。
ステップS306またはステップS307の処理を終えると、制御部5は、接合処理実行可否判定処理を終える。
このように、第1実施形態に係る接合システム1は、表面改質処理後に金属酸化膜の膜厚測定を行ってもよい。
(第2変形例)
図15は、接合システム1が備える処理ステーション3の他の構成例を示す図である。上述した第1実施形態では、膜厚測定器35が処理ステーション3の第2処理ブロックG2に配置される場合の例について説明したが、膜厚測定器35の配置は本例に限定されない。
図15は、接合システム1が備える処理ステーション3の他の構成例を示す図である。上述した第1実施形態では、膜厚測定器35が処理ステーション3の第2処理ブロックG2に配置される場合の例について説明したが、膜厚測定器35の配置は本例に限定されない。
たとえば、図15に示すように、膜厚測定器35は、表面改質装置30に内蔵されていてもよい。かかる構成とすることにより、接合システム1における一連の処理の所要時間を短縮することができる。また、膜厚測定器35を組み込むことによる接合システム1のフットプリントの増大を抑えることができる。
(第3変形例)
図16は、接合システム1の他の構成例を示す図である。図16に示すように、膜厚測定器35は、接合システム1と別体に設けられていてもよい。すなわち、接合システム1は、必ずしも膜厚測定器35を備えることを要しない。この場合、制御装置4は、膜厚測定器35から金属酸化膜厚の情報をLAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で取得すればよい。また、この場合、接合システム1には、膜厚測定器35において膜厚測定済みのウエハWが搬入されることになる。
図16は、接合システム1の他の構成例を示す図である。図16に示すように、膜厚測定器35は、接合システム1と別体に設けられていてもよい。すなわち、接合システム1は、必ずしも膜厚測定器35を備えることを要しない。この場合、制御装置4は、膜厚測定器35から金属酸化膜厚の情報をLAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で取得すればよい。また、この場合、接合システム1には、膜厚測定器35において膜厚測定済みのウエハWが搬入されることになる。
上述してきたように、第1実施形態に係る接合システム(一例として、接合システム1)は、表面改質装置と(一例として、表面改質装置30)、接合装置(一例として、接合装置41)と、制御部(一例として、制御部5)とを備える。表面改質装置は、基板(一例として、上ウエハW1および下ウエハW2)の表面に位置する絶縁膜(一例として、絶縁膜WL)および金属配線(一例として、金属配線WM)のうち絶縁膜を処理ガスのプラズマによって改質する表面改質処理を行う。接合装置は、表面改質処理によって絶縁膜が改質された2つの基板を分子間力により接合する接合処理を行う。制御部は、表面改質処理前における基板の表面の金属酸化膜の膜厚に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて表面改質処理の処理条件を決定する。
かかる接合システムは、金属酸化膜による接合不良の発生を抑制しつつ、絶縁膜の活性化を達成することができる。したがって、第1実施形態に係る接合システムによれば、重合基板の接合品質を向上させることができる。
また、第1実施形態に係る接合システムは、(一例として、接合システム1)は、表面改質装置と(一例として、表面改質装置30)、接合装置(一例として、接合装置41)と、制御部(一例として、制御部5)とを備える。表面改質装置は、基板(一例として、上ウエハW1および下ウエハW2)の表面に位置する絶縁膜(一例として、絶縁膜WL)および金属配線(一例として、金属配線WM)のうち絶縁膜を処理ガスのプラズマによって改質する表面改質処理を行う。接合装置は、表面改質処理によって絶縁膜が改質された2つの基板を分子間力により接合する接合処理を行う。制御部は、表面改質処理後における基板の表面の金属酸化膜の膜厚に関する情報を取得し、取得した情報に基づき、表面改質処理後の基板に対する接合処理の実行の可否を決定する。
このように、金属酸化膜の膜厚に関する情報に基づいて、接合処理前に接合処理の実行の可否を判断することで、重合基板の接合品質を向上させることができる。
たとえば、第1実施形態に係る接合システムは、金属酸化膜の膜厚が臨界膜厚よりも厚い場合に、接合処理の実行を禁止することで歩留まりを抑制することができる。すなわち、接合処理によって接合された2枚の基板を剥がして再度接合処理を行うことはできない。これに対し、接合処理を行う前の基板であれば、たとえば接合システムから一旦搬出し、CMP(化学機械研磨)処理を施したうえで再度接合システムに搬入することで、製品基板として救済することができる。
(第2実施形態)
接合システムは、金属酸化膜の膜厚測定を行う前に、基板に対して金属酸化膜を除去する処理を行うこととしてもよい。そこで、第2実施形態では、基板の金属酸化膜の少なくとも一部を除去装置を用いて除去した後に、金属酸化膜の膜厚測定処理を行う場合の例について説明する。
接合システムは、金属酸化膜の膜厚測定を行う前に、基板に対して金属酸化膜を除去する処理を行うこととしてもよい。そこで、第2実施形態では、基板の金属酸化膜の少なくとも一部を除去装置を用いて除去した後に、金属酸化膜の膜厚測定処理を行う場合の例について説明する。
図17は、第2実施形態に係る接合システム1Aの構成を示す平面模式図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図17に示すように、第2実施形態に係る接合システム1Aは、第2処理ブロックG2に除去装置300が配置される点が、第1実施形態に係る接合システム1と異なる。除去装置300は、上ウエハW1の接合面W1jに位置する金属配線WM上の金属酸化膜の少なくとも一部を除去する。同様に、除去装置300は、下ウエハW2の接合面W2jに位置する金属配線WM上の金属酸化膜の少なくとも一部を除去する。
かかる除去装置300の構成の一例について図18を参照して説明する。図18は、第2実施形態に係る除去装置300の構成を示す模式図である。
図18に示すように、除去装置300は、チャンバ320と、基板保持機構330と、液供給部340と、回収カップ350とを備える。
チャンバ320は、基板保持機構330と液供給部340と回収カップ350とを収容する。チャンバ320の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)321が設けられる。FFU321は、チャンバ320内にダウンフローを形成する。
FFU321は、バルブ322を介してダウンフローガス供給源323に接続される。FFU321は、ダウンフローガス供給源323から供給されるダウンフローガス(たとえば、ドライエア)をチャンバ320内に吐出する。
基板保持機構330は、回転保持部331と、支柱部332と、駆動部333とを備える。回転保持部331は、チャンバ320の略中央に設けられる。回転保持部331の上面には、ウエハWを側面から保持する保持部材311が設けられる。ウエハWは、かかる保持部材311によって回転保持部331の上面からわずかに離間した状態で水平保持される。
支柱部332は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部333によって回転可能に支持され、先端部において回転保持部331を水平に支持する。駆動部333は、支柱部332を鉛直軸まわりに回転させる。
かかる基板保持機構330は、駆動部333を用いて支柱部332を回転させることによって支柱部332に支持された回転保持部331を回転させ、これにより、回転保持部331に保持されたウエハWを回転させる。
液供給部340は、基板保持機構330に保持されたウエハWに対して各種の処理液を供給する。かかる液供給部340は、ノズル341と、ノズル341を水平に支持するアーム342と、アーム342を旋回および昇降させる旋回昇降機構343とを備える。
ノズル341は、バルブ344aを介してクエン酸供給源345aに接続される。また、ノズル341は、バルブ344bを介してリンス液供給源345bに接続される。クエン酸供給源345aは、バルブ344aを介してノズル341にクエン酸(クエン酸水溶液)を供給する。リンス液供給源345bは、バルブ344bを介してノズル341にリンス液を供給する。リンス液は、たとえば、常温(23~25度程度)の純水(脱イオン水)である。図18では、液供給部340が1つのノズル341を有する場合の例を示しているが、液供給部340は、クエン酸を供給するノズルと、リンス液を供給するノズルの合計2つのノズルを備えていてもよい。
液供給部340は、上記のように構成されており、クエン酸水溶液またはリンス液をウエハWに対して供給する。
クエン酸は、ウエハWの表面から金属酸化膜の少なくとも一部を除去する除去処理液の一例である。なお、クエン酸に代えて、たとえばシュウ酸や硫酸などが除去処理液として使用されてもよい。リンス液は、ウエハW上に残存するクエン酸を洗い流すための処理液である。
回収カップ350は、回転保持部331を取り囲むように配置され、回転保持部331の回転によってウエハWから飛散する処理液を捕集する。回収カップ350の底部には、排液口351が形成されており、回収カップ350によって捕集された処理液は、かかる排液口351から除去装置300の外部へ排出される。また、回収カップ350の底部には、FFU321から供給されるダウンフローガスを除去装置300の外部へ排出する排気口352が形成される。
次に、第2実施形態に係る除去装置300の具体的動作について説明する。除去装置300による処理は、たとえば、第1実施形態における金属酸化膜の膜厚測定前に行われてもよい。この場合、除去装置300による処理は、図8のステップS101およびステップS107の前に上ウエハW1と下ウエハW2それぞれに対して行われてもよい。以下では、上ウエハW1および下ウエハW2を総称して「ウエハW」と記載する。同様に、以下では、接合面W1jおよび接合面W2jを総称して「接合面」と記載する。
まず、除去装置300では、基板搬入処理が行われる。かかる基板搬入処理では、基板搬送装置によってチャンバ320内に搬入されたウエハWが基板保持機構330の保持部材311により保持される。このときウエハWは、接合面が上方を向いた状態で保持部材311により保持される。その後、駆動部333によって回転保持部331が回転する。これにより、ウエハWは、回転保持部331に水平保持された状態で回転保持部331とともに回転する。
つづいて、除去装置300では、金属酸化膜の除去処理が行われる。かかる金属酸化膜の除去処理では、液供給部340のノズル341がウエハWの中央上方に位置する。その後、ウエハWの接合面に対して、金属酸化膜の除去処理液であるクエン酸が供給される。ウエハWへ供給されたクエン酸は、ウエハWの回転に伴う遠心力によってウエハWの接合面に広がる。これにより、ウエハWの接合面における金属酸化膜の少なくとも一部が除去される。たとえば、除去装置300は、ウエハWの接合面における金属酸化膜のほぼ全てをクエン酸によって除去してもよい。金属酸化膜の除去率は、たとえば、クエン酸の濃度、クエン酸の供給時間、供給流量等により制御可能である。
つづいて、除去装置300では、リンス処理が行われる。かかるリンス処理では、回転するウエハWに対してリンス液が供給されることにより、ウエハWの接合面が洗浄される。
つづいて、除去装置300では、乾燥処理が行われる。かかる乾燥処理では、たとえばウエハWの回転速度を所定時間増加させることによって、ウエハWの表面に残存するリンス液を振り切ってウエハWを乾燥させる。その後、ウエハWの回転が停止する。
なお、乾燥処理は、FFU321から供給されるダウンフローガスによってチャンバ320内の湿度を低下させる処理であってもよい。
つづいて、除去装置300では、基板搬出処理が行われる。かかる基板搬出処理では、搬送装置61(図1参照)によって、除去装置300のチャンバ320からウエハWが取り出される。その後、ウエハWは、搬送装置61によって膜厚測定器35に搬送される。かかる基板搬出処理が完了すると、1枚のウエハWについての金属酸化膜の除去処理が完了する。
ここで、本願発明者は、表面に金属酸化膜を有する基板に対してプラズマ処理を行った場合に、基板の表面に金属窒化膜が生成されることを実験により見出した。
実験の内容は以下の通りである。まず、本願発明者は、表面に金属酸化膜(Cu2O)が形成された複数のCu基板を用意し、これら複数のCu基板に対して、異なる印加電力により生成したプラズマを照射した。具体的には、4つのCu基板に対して、それぞれ50W、100W、200Wおよび400Wの印加電力にてプラズマ照射を行った。そして、プラズマ処理を行った上記4つのCu基板と、プラズマ処理を行わなかったCu基板(すなわち、印加電力を0WとしたCu基板)の合計5つのCu基板について、金属酸化膜(Cu2O)および金属窒化膜(CuxOyN)の存在割合を調べた。その結果を図19に示す。
図19は、プラズマ処理におけるプラズマの印加電力と、プラズマ処理後のCu基板上における金属酸化膜(Cu2O)および金属窒化膜(CuxOyN)の存在割合との関係を示すグラフである。図19に示すように、プラズマ処理を行わなかったCu基板(印加電力が0WのCu基板)からは、金属窒化膜(CuxOyN)は検出されなかった。これに対し、プラズマ処理を行った4つのCu基板からは、金属窒化膜(CuxOyN)が検出された。また、金属窒化膜(CuxOyN)の存在割合は、より高い印加電力でプラズマ処理を行ったCu基板ほど、すなわち、金属酸化膜(Cu2O)の除去量が多いCu基板ほど高くなる傾向が見られた。
また、本願発明者は、表面に金属酸化膜が形成された複数のCu基板に対し、同一の印加電力により生成したプラズマを異なる照射時間で照射した。そして、プラズマ処理を行った各Cu基板と、プラズマ処理を行わなかったCu基板(すなわち、照射時間を0secとしたCu基板)とについて、金属酸化膜(Cu2O)および金属窒化膜(CuxOyN)の存在割合を調べた。その結果を図20に示す。
図20は、プラズマ処理におけるプラズマの照射時間と、プラズマ処理後のCu基板上における金属酸化膜(Cu2O)および金属窒化膜(CuxOyN)の存在割合との関係を示すグラフである。
図20に示すように、金属窒化膜(CuxOyN)の存在割合は、プラズマの照射時間が長いCu基板ほど、すなわち、金属酸化膜(Cu2O)の除去量が多いCu基板ほど高くなる傾向が見られた。
これら図19および図20に示す結果から、金属酸化膜(Cu2O)が存在する基板に対してプラズマ処理を行うと、基板上に金属窒化膜(CuxOyN)が生成されることが分かる。
なお、プラズマ処理による金属窒化膜の生成メカニズムとしては、たとえば、プラズマ処理において使用される窒素がプラズマ処理中に金属酸化膜(Cu2O)と結合することによって金属窒化膜(CuxOyN)が生成されることが考えられる。
本願発明者は、表面に金属酸化膜が存在するCu基板と、表面に金属酸化膜が存在しないCu基板とを用意し、各Cu基板について、100Wおよび400Wの印加電力にてプラズマ処理を行った。そして、プラズマ処理後の各Cu基板について、金属酸化膜(Cu2O)および金属窒化膜(CuxOyN)の存在割合を調べた。その結果を図21および図22に示す。
図21は、表面に金属酸化膜が存在するCu基板における、プラズマの印加電力と、プラズマ処理後の金属窒化膜(CuxOyN)の存在割合との関係を示すグラフである。図22は、表面に金属酸化膜が存在しないCu基板における、プラズマの印加電力と、プラズマ処理後の金属窒化膜(CuxOyN)の存在割合との関係を示すグラフである。
図21に示すように、表面に金属酸化膜(Cu2O)が存在するCu基板に対してプラズマ処理を行うと、Cu基板の表面に金属窒化膜(CuxOyN)が生成されることがわかる。これに対し、図22に示すように、表面に金属酸化膜(Cu2O)が存在するCu基板に対してプラズマ処理を行った場合には、Cu基板の表面に金属窒化膜(CuxOyN)が生成されないことがわかる。これらの結果から、Cu基板の表面から金属酸化膜を除去することで、プラズマ処理(表面改質処理)による金属窒化膜の生成が抑制されることがわかる。
金属窒化膜は比較的還元されにくいことから、基板上に金属窒化膜が存在していると、その後の接合処理において接合強度の低下等の悪影響が生じるおそれがある。これに対し、第2実施形態では、金属酸化膜の膜厚測定を行う前に、具体的には表面改質処理前に、基板上の金属酸化膜を除去する処理を行うことで、表面改質処理により基板上に金属窒化膜が生成されることを抑制することができる。したがって、第2実施形態に係る接合システム1Aによれば、基板上の金属窒化膜によって接合処理に悪影響が生じることを抑制することができる。
(第2実施形態における変形例)
上述した第2実施形態では、クエン酸を用いて金属酸化膜の除去処理を行ったが、金属酸化膜の除去処理は、処理液を用いたウェット処理に限定されず、ドライ処理であってもよい。例えば、金属酸化膜の除去は、ウエハWの接合面に対して水素(H2)ガスを供給してもよい。水素ガスは、金属酸化膜を還元し、除去する。水素ガスは、化学反応を推進すべく、高温に加熱されてもよい。また、水素ガスは、化学反応を推進すべく、プラズマ化されてもよい。
上述した第2実施形態では、クエン酸を用いて金属酸化膜の除去処理を行ったが、金属酸化膜の除去処理は、処理液を用いたウェット処理に限定されず、ドライ処理であってもよい。例えば、金属酸化膜の除去は、ウエハWの接合面に対して水素(H2)ガスを供給してもよい。水素ガスは、金属酸化膜を還元し、除去する。水素ガスは、化学反応を推進すべく、高温に加熱されてもよい。また、水素ガスは、化学反応を推進すべく、プラズマ化されてもよい。
以上のように、第2実施形態に係る接合システム1Aでは、金属酸化膜の膜厚測定前に、かかる金属酸化膜の少なくとも一部を除去する処理を行う。上述したように、第1実施形態の図8のフローチャートにおいて、金属酸化膜の除去処理は、ステップS101およびステップS107の前に上ウエハW1と下ウエハW2それぞれに対して行われる。そして、制御部5は、除去処理後における金属酸化膜の膜厚の情報に基づいて表面改質処理の処理条件を決定する。かかる処理によれば、金属酸化膜の膜厚が薄くなるため、第1実施形態で説明した図13のステップS202においてYesとなり、比較的電力の低い印加電力により生成したプラズマによって表面改質処理を実施することができる。
第1実施形態の第1変形例において金属酸化膜の除去処理を行う場合、除去処理は、たとえば、図14のフローチャートのステップS301の前、具体的には、表面改質処理前において、上ウエハW1と下ウエハW2それぞれに対して行われる。その後、ウエハWに対して表面改質処理が実行され、ステップS301の処理が開始される。
かかる金属酸化膜の除去処理によれば、金属酸化膜の膜厚が薄くなるため、比較的電力の低い印加電力により生成したプラズマによって表面改質処理を実施することができる。また、かかる金属酸化膜の除去処理によれば、金属酸化膜の膜厚が薄くなるため、ステップS304においてYesとなり、接合処理が実行される。つまり、第1変形例においては、金属酸化膜の除去処理を行うことで、異常対応処理の対象となる基板を減らすことができる。
また、第1実施形態で説明した図12に示すように、金属酸化膜の膜厚が薄いことにより、表面改質処理の処理時間を短縮することができる。
さらに、金属酸化膜の除去処理を行うことにより、表面改質処理による金属配線上の金属窒化膜の発生を抑制することができ、その後の接合処理に悪影響が生じることを抑制することができる。
したがって、第2実施形態に係る接合システム1Aによれば、より効率的に表面改質処理を行うことができ、金属酸化膜による接合不良の発生を抑制することができる。
(その他の実施形態)
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
1 接合システム
2 搬入出ステーション
3 処理ステーション
4 制御装置
5 制御部
6 記憶部
10 載置台
30 表面改質装置
35 膜厚測定器
40 表面親水化装置
41 接合装置
80 ステージ
106 高周波電源
110 上部電極
230 上チャック
231 下チャック
280 ストライカー
T 重合ウエハ
W1 上ウエハ
W2 下ウエハ
WL 絶縁膜
WM 金属配線
2 搬入出ステーション
3 処理ステーション
4 制御装置
5 制御部
6 記憶部
10 載置台
30 表面改質装置
35 膜厚測定器
40 表面親水化装置
41 接合装置
80 ステージ
106 高周波電源
110 上部電極
230 上チャック
231 下チャック
280 ストライカー
T 重合ウエハ
W1 上ウエハ
W2 下ウエハ
WL 絶縁膜
WM 金属配線
Claims (15)
- 基板の表面に位置する絶縁膜および金属配線のうち前記絶縁膜を処理ガスのプラズマによって改質する表面改質処理を行う表面改質装置と、
前記表面改質処理によって前記絶縁膜が改質された2つの前記基板を分子間力により接合する接合処理を行う接合装置と、
前記表面改質処理前における前記基板の表面の金属酸化膜の膜厚に関する情報を取得し、取得した前記情報に基づいて前記表面改質処理の処理条件を決定する制御部と
を備える、接合システム。 - 前記基板の表面の前記金属酸化膜の膜厚を測定する膜厚測定器を備える、請求項1に記載の接合システム。
- 前記表面改質装置は、前記膜厚測定器を備える、請求項2に記載の接合システム。
- 前記膜厚測定器の光軸は、前記基板の表面に対して垂直である、請求項2に記載の接合システム。
- 前記制御部は、前記金属酸化膜の膜厚が閾値以下である場合には、第1電力にてプラズマを生成し、前記金属酸化膜の膜厚が前記閾値を超えた場合には、前記第1電力よりも大きい第2電力にてプラズマを生成する、請求項1に記載の接合システム。
- 前記制御部は、前記金属酸化膜の膜厚が前記閾値以下である場合と前記金属酸化膜の膜厚が前記閾値を超えた場合とで、前記表面改質処理の処理時間を異ならせる、請求項5に記載の接合システム。
- 前記制御部は、前記金属酸化膜の膜厚が前記閾値を超えた場合において、前記金属酸化膜の膜厚が前記表面改質処理によって前記閾値を超えない処理時間の範囲として予め定められた範囲内で前記表面改質処理の処理時間を決定する、請求項6に記載の接合システム。
- 前記表面改質処理前における前記基板の表面から前記金属酸化膜の少なくとも一部を除去する除去処理を行う除去装置
を備え、
前記制御部は、前記除去処理後における前記金属酸化膜の膜厚に関する情報を取得する、請求項1に記載の接合システム。 - 基板の表面に位置する絶縁膜および金属配線のうち前記絶縁膜を処理ガスのプラズマによって改質する表面改質処理を行う表面改質装置と、
前記表面改質処理によって前記絶縁膜が改質された2つの前記基板を分子間力により接合する接合処理を行う接合装置と、
前記表面改質処理後における前記基板の表面の金属酸化膜の膜厚に関する情報を取得し、取得した前記情報に基づき、前記表面改質処理後の前記基板に対する前記接合処理の実行の可否を決定する制御部と
を備える、接合システム。 - 前記制御部は、前記金属酸化膜の膜厚が閾値以下である場合には、前記表面改質処理後の前記基板に対する前記接合処理の実行を許可し、前記金属酸化膜の膜厚が前記閾値を超えた場合には、前記表面改質処理後の前記基板に対する前記接合処理の実行を禁止する、請求項9に記載の接合システム。
- 前記接合システムへの前記基板の搬入出が行われる搬入出部
を備え、
前記制御部は、前記接合処理の実行を禁止した前記基板を前記搬入出部に戻す、請求項10に記載の接合システム。 - 前記制御部は、前記接合処理の実行を禁止した前記基板を前記表面改質装置に搬入して、当該基板に対して前記表面改質処理を再度実行する、請求項10に記載の接合システム。
- 前記表面改質処理前における前記基板の表面から前記金属酸化膜の少なくとも一部を除去する除去処理を行う除去装置
を備え、
前記制御部は、前記除去処理後における前記金属酸化膜の膜厚に関する情報を取得する、請求項9に記載の接合システム。 - 基板の表面に位置する絶縁膜および金属配線のうち前記絶縁膜を処理ガスのプラズマによって改質する表面改質処理を行う工程と、
前記表面改質処理によって前記絶縁膜が改質された2つの前記基板を分子間力により接合する接合処理を行う工程と、
前記表面改質処理前における前記基板の表面の金属酸化膜の膜厚に関する情報を取得し、取得した前記情報に基づいて前記表面改質処理の処理条件を決定する工程と
を含む、接合方法。 - 基板の表面に位置する絶縁膜および金属配線のうち前記絶縁膜を処理ガスのプラズマによって改質する表面改質処理を行う工程と、
前記表面改質処理によって前記絶縁膜が改質された2つの前記基板を分子間力により接合する接合処理を行う工程と、
前記表面改質処理後における前記基板の表面の金属酸化膜の膜厚に関する情報を取得し、取得した前記情報に基づき、前記表面改質処理後の前記基板に対する前記接合処理の実行の可否を決定する工程と
を含む、接合方法。
Applications Claiming Priority (2)
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---|---|---|---|
JP2021165209 | 2021-10-07 | ||
JP2021165209 | 2021-10-07 |
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JP2022087379A Pending JP2023056464A (ja) | 2021-10-07 | 2022-05-30 | 接合システムおよび接合方法 |
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