JP2023054617A - インクジェット記録用インク - Google Patents

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Abstract

【課題】低吸収性基材及び非吸収性基材に画像を形成する場合に、形成した画像に滲みが発生することを抑制できるインクジェット記録用インクを提供する。【解決手段】インクジェット記録用インクは、顔料と、カルボキシ変性ポリビニルアルコールと、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。第2水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒である。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率が、インクジェット記録用インクの質量に対して、0.01質量%以上0.10質量%未満である。グリコールエーテルの含有率が、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、10質量%以上80質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インクに関する。
ラベル及びパッケージの印刷には、水の吸収性が低い低吸収性基材、及び水を吸収しない非吸収性基材が用いられることがある。例えば、特許文献1には、ポリ塩化ビニル基材のような非吸収性基材に吐出する工程で使用されるインクジェット記録用インクが開示されている。
特開2020-94084号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録用インクは、低吸収性基材及び非吸収性基材に対する印刷に用いた場合に、形成画像に滲みが発生することを抑制する点で不十分であることが、本発明者の検討により判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低吸収性基材及び非吸収性基材に画像を形成する場合に、形成した画像に滲みが発生することを抑制できるインクジェット記録用インクを提供することである。
本発明に係るインクジェット記録用インクは、顔料と、カルボキシ変性ポリビニルアルコールと、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。前記第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。前記第2水溶性有機溶媒は、前記グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒である。前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率が、前記インクジェット記録用インクの質量に対して、0.01質量%以上0.10質量%未満である。前記グリコールエーテルの含有率が、前記第1水溶性有機溶媒及び前記第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、10質量%以上80質量%以下である。
本発明に係るインクジェット記録用インクを用いれば、低吸収性基材及び非吸収性基材上に画像を形成した場合に、形成画像に滲みが発生し難い。
まず、本明細書に記載の用語について説明する。以下、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。質量平均分子量は、特記なき限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量を意味する。動的表面張力は、特記なき限り、最大泡圧法により測定される50ミリ秒における表面張力を意味する。最大泡圧法による動的表面張力の測定には、例えば、動的表面張力計(クルス社製「BP100」)を用いることができる。粘度は、特記なき限り、「JIS(日本産業規格)Z 8803:2011 液体の粘度測定方法」に記載の方法に準拠して、25℃の環境下で測定された値である。明細書に記載の各成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上、本明細書に記載の用語について説明した。
<インクジェット記録用インク>
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インク(以下、単に「インク」と記載することがある)は、顔料と、カルボキシ変性ポリビニルアルコールと、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。第2水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒である。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率が、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.10質量%未満である。グリコールエーテルの含有率が、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、10質量%以上80質量%以下である。
本実施形態のインクは、水を含有する水性インクである。ラベル及びパッケージの印刷には、水の吸収性が低い低吸収性基材、及び水を吸収しない非吸収性基材が用いられることがある。通常、水性インクは、低非吸収性基材及び非吸収性基材に吸収され難く、これらの基材に印刷された場合に形成した画像が滲むことがある。しかしながら、本実施形態のインクは、上記所定の構成を有するため、低吸収性基材及び非吸収性基材に印刷された場合に、形成画像にインクの滲みが発生することを好適に抑制することができる。以下、「低吸収性基材及び非吸収性基材」を、「所定基材」と記載することがある。
(カルボキシ変性ポリビニルアルコール)
本実施形態のインクは、カルボキシ変性ポリビニルアルコールを含む。インクがカルボキシ変性ポリビニルアルコールを含むことで、所定基材に着弾したインクを適度に増粘させることができる。その結果、所定基材に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像を得ることができる。
既に述べたように、カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率は、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.10質量%未満である。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率がインクの質量に対して0.01質量%未満であると、所定基材に着弾したインクが適度に増粘せずにインク滴が合一されてしまい、所定基材に形成した画像にインクの滲みが発生する。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率がインクの質量に対して0.10質量%以上であると、インクの粘度が高くなり過ぎ、ノズルから安定的にインクを吐出できないことがある。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率がインクの質量に対して0.01質量%以上0.10質量%未満であると、ノズルからインクが安定的に吐出されるとともに、所定基材に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像が形成できる。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率は、インクの質量に対して、0.09質量%以下であることが好ましく、0.04質量%以下であることがより好ましい。
インクの吐出安定性を最適化する観点から、カルボキシ変性ポリビニルアルコールのけん化度は、71モル%以上89モル%以下であることが好ましい。けん化度は、例えば、JIS(日本産業規格)K 6726:1994「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により測定できる。
カルボキシ変性ポリビニルアルコールとしては、市販品を用いることができる。けん化度が71mol%以上89mol%以下であるカルボキシ変性ポリビニルアルコールの市販品としては、例えば、ゴーセノール(登録商標)GL-05、ゴーセノールGL-03、ゴーセノールKL-05、ゴーセノールKL-03、及びゴーセノールNK-05R(以上は何れも三菱ケミカル株式会社製);並びに、クラレポバール(登録商標)3-88、クラレポバール3-80、クラレポバール5-88、クラレポバール9-88、クラレポバールL-8、クラレポバールL-9、クラレポバールL-9-78、クラレポバールL-10、及びクラレポバール5-74(以上は何れも株式会社クラレ製)が挙げられる。
カルボキシ変性ポリビニルアルコールは、式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位とを有する化合物である。以下、「式(1)で表される繰り返し単位」、及び「式(2)で表される繰り返し単位」を、各々、「繰り返し単位(1)」、及び「繰り返し単位(2)」と記載することがある。なお、上記けん化度は、カルボキシ変性ポリビニルアルコールが有する繰り返し単位(1)の数及び繰り返し単位(2)の数の合計に対する、繰り返し単位(1)の数の百分率に相当する。
Figure 2023054617000001
式(2)中、R1は、アルキル基を表す。アルキル基は、特記なき限り、直鎖状又は分枝鎖状で、非置換である。R1が表すアルキル基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。カルボキシ変性ポリビニルアルコールは、繰り返し単位として、例えば、繰り返し単位(1)及び(2)のみを有し得る。
カルボキシ変性ポリビニルアルコールの4質量%水溶液の粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましい。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの4質量%水溶液の粘度がこの範囲内の値であると、インクの粘度をインクジェット記録に適した範囲に調整しやすい。また、カルボキシ変性ポリビニルアルコールの4質量%水溶液の粘度が10mPa・s以下であると、インクの吐出安定性が最適化できる。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの4質量%水溶液の粘度は、例えば、20℃の環境下、振動粘度計(株式会社セコニック製「VM-10A-L」)を用いて測定することができる。
実施形態のインクは、カルボキシ変性ポリビニルアルコール以外のポリビニルアルコールを更に含有していてもよい。カルボキシ変性ポリビニルアルコール以外のポリビニルアルコールとしては、例えば、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、及びシラノール変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
(第1水溶性有機溶媒)
第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。インクがグリコールエーテルを含むことで、所定基材に形成した画像におけるインクの滲みの発生が抑制される。
グリコールエーテルとしては、炭素原子数2以上6以下のアルキレングリコールの炭素原子数1以上6以下のアルキルエーテルが好ましく、炭素原子数2以上3以下のアルキレングリコールの炭素原子数1以上4以下のアルキルエーテルがより好ましい。グリコールエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種(例えば、1種)が更に好ましい。
所定基材に対するインクの濡れ性を最適化できて、所定基材に形成した画像に滲みが発生することを抑制する観点から、グリコールエーテルの含有率は、インクの質量に対して、3質量%以上24質量%以下であることが好ましい。
所定基材に着弾したインクの乾燥性を最適化させる観点から、グリコールエーテルの含有率は、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、10質量%以上80質量%以下である。インクの乾燥性を最適化させることにより、基材に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像を得ることができる。同じ観点から、グリコールエーテルの含有率は、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが一層好ましい。同じ観点から、グリコールエーテルの含有率は、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、60質量%以下であることが好ましい。
(第2水溶性有機溶媒)
第2水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒である。第2水溶性有機溶媒としては、例えば、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、2-ピロリドン、及びグリセリンが挙げられる。
第2水溶性有機溶媒としては、アルカンポリオール又はポリアルキレングリコールが好ましく、アルカンジオール又はジアルキレングリコールがより好ましく、炭素原子数3以上6以下のアルカンジオール又は炭素原子数4以上6以下のジアルキレングリコールが更に好ましい。第2水溶性有機溶媒としては、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種(例えば、1種)が一層好ましい。
(水)
本実施形態のインクに含まれる水は、イオン交換水(脱イオン水)であることが好ましい。所定基材に着弾したインクの乾燥性を最適化させる観点から、水の含有率は、インクの質量に対して、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが更に好ましい。水の含有率の上限は特に限定されないが、水の含有率は、インクの質量に対して、例えば70質量%以下である。
(顔料)
本実施形態のインクに含まれる顔料としては、特に限定されないが、例えば、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料、ホワイト顔料、及びこれら以外の顔料(以下、その他の顔料と記載することがある)が挙げられる。
ブラック顔料としては、例えば、ファーネス法又はチャンネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、アディティア・ビルラ・ケミカルズ社製である、Raven(登録商標) 5000 Ultra II、Raven 3500、Raven 2000、Raven 1255、Raven 1250、Raven 1200、Raven 1190 Ultra、Raven 1170、Raven 1080 Ultra、及びRaven 1060 Ultraが挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、キャボット社製である、MONARCH(登録商標) 1300、MONARCH 1000、MONARCH 800、MONARCH 700、MOGUL(登録商標) L、REGAL(登録商標) 400R、REGAL 660R、及びREGAL 330Rも挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製である、三菱(登録商標)カーボンブラック#2300、三菱カーボンブラック#980、三菱カーボンブラック#970、三菱カーボンブラック#960、三菱カーボンブラック#950、三菱カーボンブラック#900、三菱カーボンブラック#850、三菱カーボンブラックMCF88、三菱カーボンブラックMA600、三菱カーボンブラック#52、三菱カーボンブラック#47、三菱カーボンブラック#45、三菱カーボンブラック#40、三菱カーボンブラック#33、三菱カーボンブラック#25、三菱カーボンブラックMA7、三菱カーボンブラックMA8、及び三菱カーボンブラックMA100も挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、オリオンエンジニアードカーボンズ社製である、COLOUR BLACK FW 1、COLOUR BLACK FW 2、COLOUR BLACK FW 200、COLOUR BLACK FW 18、SPECIAL BLACK 6、COLOUR BLACK S 160、SPECIAL BLACK 5、PRINTEX(登録商標) U、PRINTEX V、SPECIAL BLACK 4、SPECIAL BLACK 4A、PRINTEX 140 U、PRINTEX 140 V、及びPRINTEX 35も挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、及びC.I.Vat Blue 6が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 202、及びC.I.Pigment Violet 19が挙げられる。
イエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 94、C.I.Pigment Yellow 95、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、及びC.I.Pigment Yellow 185が挙げられる。
ホワイト顔料としては、例えば、C.I.Pigment White 4、C.I.Pigment White 5、C.I.Pigment White 6、C.I.Pigment White 6:1、C.I.Pigment White 7、C.I.Pigment White 18、C.I.Pigment White 19、C.I.Pigment White 20、C.I.Pigment White 21、C.I.Pigment White 23、C.I.Pigment White 24、C.I.Pigment White 25、C.I.Pigment White 26、C.I.Pigment White 27、及びC.I.Pigment White 28が挙げられる。
その他の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 10、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Brown 3、C.I.Pigment Brown 5、C.I.Pigment Brown 25、C.I.Pigment Brown 26、C.I.Pigment Orange 2、C.I.Pigment Orange 5、C.I.Pigment Orange 7、C.I.Pigment Orange 13、C.I.Pigment Orange 14、C.I.Pigment Orange 15、C.I.Pigment Orange 16、C.I.Pigment Orange 24、C.I.Pigment Orange 34、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Orange 38、C.I.Pigment Orange 40、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Orange 62、C.I.Pigment Orange 63、C.I.Pigment Orange 64、及びC.I.Pigment Orange 71が挙げられる。
インクの吐出安定性を最適化する観点から、顔料の含有率は、インクの質量に対して、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
顔料は、通常、分散媒(例えば、水)中に分散させて用いられる。顔料の分散方法としては、特に限定されないが、例えば、分散剤を用いて顔料を分散媒中に分散させる方法、又は分散剤なしで顔料を分散媒中に分散させる方法が挙げられる。顔料は、例えば、分散剤により分散媒中に分散している顔料(非自己分散型顔料)であってもよく、分散剤なしで分散媒中に分散している顔料(自己分散型顔料)であってもよい。インクは、顔料として、非自己分散型顔料及び自己分散型顔料の両方を含有してもよい。或いは、インクは、顔料として、非自己分散型顔料のみを含有し、自己分散型顔料を含有しなくてもよい。或いは、インクは、顔料として、自己分散型顔料のみを含有し、非自己分散型顔料を含有しなくてもよい。分散剤としては、例えば、界面活性剤及び高分子分散剤(以下、「顔料分散樹脂」と記載することがある)が挙げられる。なお、界面活性剤については、後述する。
顔料分散樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。顔料を安定に分散させる観点から、顔料分散樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、及びスチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
顔料分散樹脂の質量平均分子量は、5000以上100000以下であることが好ましく、10000以上50000以下であることがより好ましく、15000以上30000以下であることが更に好ましい。顔料分散樹脂の質量平均分子量が5000以上であると、インクの分散安定性を好適化できる。顔料分散樹脂の質量平均分子量が100000以下であると、インクの吐出安定性を好適化できる。
顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率は、0.02以上0.45以下であることが好ましく、0.04以上0.40以下であることがより好ましく、0.05以上0.35以下であることが更に好ましい。顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率が0.45以下であると、顔料分散体及びインクの粘度が所望の値に調整され易い。顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率が0.02以上であると、インクの分散安定性を好適化できる。
顔料分散樹脂としては、市販品を用いることができる。顔料分散樹脂の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社製であるJoncryl(登録商標) 586、及びJoncryl 611;ビックケミー・ジャパン株式会社製である、DISPERBYK(登録商標)-190、及びDISPERBYK-191;並びに日本ルーブリゾール株式会社製である、Solsperse 20000、及びSolsperse 27000が挙げられる。
(バインダー樹脂)
得られる画像の耐擦過性を好適化させる観点から、本実施形態のインクは、バインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂は、顔料を覆うことで、摩擦等の外力によって顔料が基材から脱落することを防止する傾向がある。
バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル-ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及び変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及びスチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
バインダー樹脂は、水性の樹脂エマルションの形態で用いることが好ましい。樹脂エマルションとしては、市販品を用いることができる。
ウレタン樹脂は、特に限定されず、分子中にウレタン結合を有するものであればよい。ウレタン樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製である、スーパーフレックス(登録商標)170、スーパーフレックス210、スーパーフレックス820、及びスーパーフレックス870;並びに三井化学株式会社製である、タケラック(登録商標)W-6010、及びタケラックW-6020が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製である、モビニール(登録商標)6718、モビニール6751D、モビニール6750、モビニール6760、モビニール6770、モビニール6800、モビニール6969D、モビニール6899D、及びモビニール6820が挙げられる。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製である、モビニール6960、モビニール6963、及びモビニールRS-009C22;並びに星光PMC株式会社製であるQE-1042が挙げられる。
インクの吐出安定性を最適化する観点から、バインダー樹脂の含有率は、インクの質量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
(界面活性剤)
本実施形態のインクは、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、市販品を用いることができる。
本明細書において、アセチレン系界面活性剤は、その分子内にアセチレン結合(炭素原子間三重結合)を有する界面活性剤を意味する。アセチレン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製である、サーフィノール(登録商標)420、サーフィノール440、オルフィン(登録商標)E1010、オルフィンEXP.4200、及びオルフィンEXP.4300が挙げられる。
本明細書において、アクリル系界面活性剤は、(メタ)アクリル酸又はその誘導体の重合物である界面活性剤を意味する。アクリル系界面活性剤の市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製である、BYK(登録商標)-380 N、及びBYK-381;並びに共栄社化学株式会社製であるポリフローKL-850が挙げられる。
本明細書において、シリコーン系界面活性剤は、その分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤を意味する。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製である、シルフェイス(登録商標)SAG002、及びシルフェイスSAG503Aが挙げられる。
本明細書において、フッ素系界面活性剤は、その分子内にフルオロ基を有する界面活性剤を意味する。フッ素系の界面活性剤の市販品としては、例えば、ケマーズ株式会社製である、Capstone FS-30、Capstone FS-31、Capstone FS-65、及びCapstone FS-3100が挙げられる。
インクの吐出安定性を最適化する観点から、界面活性剤としては、アセチレン系界面活性剤及びアクリル系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の含有率は、インクの質量に対して、0.05質量%以上2質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の含有率がこの範囲内の値であると、インクの動的表面張力をインクジェット記録に適した範囲に調整しやすい。
(その他の成分)
本実施形態のインクは、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、及び防かび剤が挙げられる。その他の成分の含有量は、特に限定されないが、必要に応じて適宜設定することができる。
(インクの粘度及び動的表面張力)
インクの吐出安定性を最適化する観点から、本実施形態のインクの25℃における粘度は、4mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上9mPa・s以下であることがより好ましい。
インクの連続吐出安定性を最適化する観点から、本実施形態のインクの動的表面張力は、30mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。インクの動的表面張力が30mN/m以上であると、高速印刷時の連続吐出安定性が最適化できる。
(顔料分散体の製造方法)
顔料分散体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、顔料と、水と、必要に応じて分散剤とを混合した後、分散機を用いて分散する方法が挙げられる。
分散機としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、及びビーズミルが挙げられる。これらの中でも、ビーズミルを用いることが好ましい。ビーズミルとしては、例えば、アトライタ(登録商標)(日本コークス工業株式会社製)、サンドグラインダー(アイメックス株式会社製)、ダイノ(登録商標)ミル(WAB社製)、及びウルトラアペックスミル(株式会社広島メタル&マシナリー製)が挙げられる。
得られた顔料分散体中に粗大粒子が含まれる場合には、ろ過又は遠心分離により、粗大粒子を除去することが好ましい。粗大粒子を除去することにより、記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止することができる。
(インクの製造方法)
本実施形態のインクの製造方法は、例えば、顔料を含む顔料分散体と、カルボキシ変性ポリビニルアルコールと、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを混合する工程を含む。必要に応じて、バインダー樹脂、界面活性剤、及びその他の成分からなる群から選択される少なくとも1種を更に混合してもよい。本実施形態のインクの製造方法は、ろ過により不溶物を除去する工程を更に含んでいてもよい。
(インクジェット記録方法)
次に、インクジェット記録方法の一例を説明する。インクジェット記録方法は、例えば、インクジェット記録装置の記録ヘッドからインクを吐出して基材にインクを着弾させることで、画像を形成する工程を含む。インクジェット記録方法に使用されるインクは、本実施形態のインクである。インクジェット記録方法は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。
インクジェット記録方法は、基材を加熱する工程を更に含んでいてもよい。
加熱工程の一例において、インク液滴を基材に着弾させる際に、基材を加熱する。基材に着弾したインクの乾燥性を最適化させる観点から、加熱された基材の表面温度としては、30℃以上70℃以下が好ましい。インクの乾燥性を最適化させることにより、基材に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像を得ることができる。
加熱工程の別の例において、記録ヘッドからインクを吐出して基材にインクを着弾させることで画像を記録した後に、基材を加熱してもよい。得られる画像の耐擦過性を最適化させる観点から、加熱された基材の表面温度としては、40℃以上100℃以下が好ましい。基材の表面温度がこの範囲内の温度であると、バインダー樹脂の造膜性を最適化させることができる。バインダー樹脂の造膜性を最適化させることにより、耐擦過性に優れた画像が得られやすくなる。
基材を加熱する方法としては、特に限定されないが、例えば、熱風により加熱する方法、及び赤外線により加熱する方法が挙げられる。これらは、1種を単独で実施してもよく、2種以上を組み合わせて実施してもよい。
既に述べたように、本実施形態のインクは、所定基材に形成した画像におけるインクの滲みの発生を抑制できるため、所定基材への印刷に好適に用いることができる。
インクジェット記録方法に使用される基材としては、例えば、所定基材が挙げられる。
所定基材のうちの低吸収性基材としては、例えば、アート紙、コート紙及びキャストコート紙が挙げられる。
所定基材のうちの非吸収性基材としては、例えば、ホイル紙、合成紙、及びプラスチック基材が挙げられる。プラスチック基材としては、例えば、ポリエステル(PET)基材、ポリプロピレン基材、ポリスチレン基材、及びポリ塩化ビニル基材が挙げられる。
所定基材の片面又は両面は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、及びプライマー処理が挙げられる。
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<顔料分散体の製造>
まず、インクの製造に使用するための顔料分散体を製造した。顔料としてC.I.Pigment Blue 15:3(BASFジャパン株式会社製「Heliogen(登録商標) Blue D 7088」)15質量部、顔料分散樹脂(ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK-190」、不揮発分:40質量%、分散媒:水)10質量部、及びイオン交換水75質量部を混合し、ディスパーを用いて予備分散し、予備分散体を得た。次いで、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミル(WAB社製「ダイノ(登録商標)ミル」)を用いて、予備分散体を更に分散させ、顔料分散体を得た。
<インクの製造>
次に、実施例に係るインク(A-1)~(A-14)及び比較例に係るインク(B-1)~(B-4)を製造した。これらのインクの組成を、後述する表1~表4に示す。
(インク(A-1)の製造)
攪拌機を用いて、表1のインク(A-1)欄に示す組成になるように各成分を混合し、混合物を得た。詳しくは、20.00質量部の顔料分散体と、0.06質量部のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製「ゴーセノールKL-05」)と、12.00質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルと、18.00質量部の1,3-プロパンジオールと、10.00質量部のバインダー樹脂(第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス870」)と、0.40質量部の界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール(登録商標)440」)と、残量のイオン交換水とを、攪拌機を用いて混合し、混合物を得た。インク(A-1)の調製においては、残量は、39.54質量部(=100.00-(20.00+0.06+12.00+18.00+10.00+0.40))であった。目開き5μmのメンブレンフィルターを用いて、得られた混合液を濾過し、インク(A-1)を得た。
(インク(A-2)~(A-14)及び(B-1)~(B-4)の製造)
表1~表4のインク(A-2)~(A-14)及び(B-1)~(B-4)欄の各々に示す組成になるように各成分を混合したこと以外は、インク(A-1)と同じ方法により、インク(A-2)~(A-14)及び(B-1)~(B-4)の各々を製造した。
<滲み抑制の評価>
評価機として、記録ヘッド(京セラ株式会社製「KJ4B-QA」、解像度:600dpi×600dpi)を備えるインクジェット記録装置を使用した。評価機のシアン用インクタンクに、上記<インクの製造>で得られたインクを充填した。1画素当たりのインクの液滴量を5pLに設定した。
評価機を用いて、下記基準基材に、1ドットラインを印刷した。光学顕微鏡を用いて観察することにより、基準基材に印刷された1ドットラインの線幅を測定し、基準基材線幅とした。次に、評価機を用いて、下記所定基材1に、1ドットラインを印刷した。光学顕微鏡を用いて観察することにより、所定基材1に印刷された1ドットラインの線幅を測定し、所定基材線幅とした。そして、基準基材線幅に対する所定基材線幅の比率(線幅比率)を算出した。所定基材1を下記所定基材2及び3に変更したこと以外は所定基材1と同じ方法により、所定基材2及び3の線幅比率も算出した。
基準基材:マット紙(セイコーエプソン株式会社製「スーパーファイン紙」)
所定基材1(低吸収性基材):キャストコート紙(王子製紙株式会社製「ミラーコート(登録商標)・ゴールド」、紙厚:88μm)
所定基材2(非吸収性基材):合成紙(株式会社ユポ・コーポレーション製「ニューユポFGS」、紙厚:80μm)
所定基材3(非吸収性基材):PETフィルム(東レ株式会社製「ポリエステルフィルム ルミラー(登録商標)#150-T60」)
得られた線幅比率から、下記基準に従って、所定基材に形成した画像おいてインクの滲みの発生が抑制されているか否かを評価した。線幅比率が小さい値であるほど、所定基材に形成した画像においてインクの滲みの発生が抑制されていることを示す。評価がA又はBであるインクを、合格と判定し、評価がCであるインクを、不合格と判定した。評価結果を、表1~表4に示す。
(インクの滲み抑制の評価基準)
A:線幅比率が1.0未満である。
B:線幅比率が1.0以上1.1未満である。
C:線幅比率が1.2以上である。
なお、表1~表4に記載の用語の意味は、次のとおりである。
・部:質量部
・顔料分散体:上記<顔料分散体の製造>で得られた顔料分散体
・PV:カルボキシ変性ポリビニルアルコール
・KL-05:三菱ケミカル株式会社製「ゴーセノールKL-05」(内容:繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を有し、式(2)中のR1がメチル基である化合物、けん化度:80.3mol%、20℃における4%水溶液の粘度:4.5mPa・s)
・KL-03:三菱ケミカル株式会社製「ゴーセノールKL-03」(内容:繰り返し単位(1)及び繰り返し単位(2)を有し、式(2)中のR1がメチル基である化合物、けん化度:80.3mol%、20℃における4%水溶液の粘度:3.1mPa・s)
・第1:第1水溶性有機溶媒
・第2:第2水溶性有機溶媒
・バインダー:バインダー樹脂であるウレタン樹脂のエマルション(第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス870」、不揮発分:30質量%、分散媒:水)
・界面活性剤:アセチレン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製「サーフィノール(登録商標)440」、有効成分濃度:100質量%)
・水:イオン交換水
・(第1)/[(第1)+(第2)]:第1水溶性有機溶媒(グリコールエーテル)及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対するグリコールエーテルの含有率(単位:質量%)
・-:該当する成分を使用していないこと
・残:残量、即ちインクに含有される成分の合計質量が100.00質量部になるような量であること
・吐出不可:インクを安定的に吐出できなかったため、滲みの発生の抑制を評価できなかったこと
また、100.00質量部のインクが得られるように各成分を添加しているため、表1~表4の「組成」欄に示す各成分の量(単位:質量部)は、インクの質量に対する各成分の含有率(単位:質量%)に相当する。例えば、表1~表4の「カルボキシ変性ポリビニルアルコール」欄に示す量(単位:質量部)は、インクの質量に対するカルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率(単位:質量%)に相当する。表1~表4の「第1」欄に示す量(単位:質量部)は、インクの質量に対する、第1水溶性有機溶媒であるグリコールエーテルの含有率(単位:質量%)に相当する。
Figure 2023054617000002
Figure 2023054617000003
Figure 2023054617000004
Figure 2023054617000005
表4に示すように、インク(B-1)は、カルボキシ変性ポリビニルアルコールを含有していなかった。インク(B-3)のグリコールエーテルの含有率は第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、80質量%を超えていた。インク(B-4)は、第1水溶性有機溶媒であるグリコールエーテルを含有していなかった。このため、インク(B-1)、(B-3)、及び(B-4)の滲み抑制の評価はCであり、所定基材に形成した画像においてインクの滲みが発生していた。
表4に示すように、インク(B-2)のカルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率は、インクの質量に対して、0.10質量%以上であった。このため、インクジェット記録装置の記録ヘッドのノズルから、インク(B-2)が安定的に吐出されなかった。
一方、表1~表3に示すように、インク(A-1)~(A-14)は、以下の構成を有していた。即ち、インクは、顔料と、カルボキシ変性ポリビニルアルコールと、第1水溶性有機溶媒であるグリコールエーテルと、第2水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含有していた。カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率が、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.10質量%未満であった。グリコールエーテルの含有率が、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、10質量%以上80質量%以下であった。このため、インク(A-1)~(A-14)の滲み抑制の評価はA又はBであり、所定基材にインクを用いて形成した画像において、インクの滲みの発生が抑制されていた。
以上のことから、インク(A-1)~(A-14)を包含する本発明のインクは、所定基材に画像を形成した場合に、形成した画像に滲みが発生することを抑制できることが示された。
本発明に係るインクは、例えば、インクジェット記録装置を用いて記録媒体に画像を形成するために利用できる。

Claims (5)

  1. 顔料と、カルボキシ変性ポリビニルアルコールと、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む、インクジェット記録用インクであって、
    前記第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルであり、
    前記第2水溶性有機溶媒は、前記グリコールエーテルとは異なる水溶性有機溶媒であり、
    前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールの含有率が、前記インクジェット記録用インクの質量に対して、0.01質量%以上0.10質量%未満であり、
    前記グリコールエーテルの含有率が、前記第1水溶性有機溶媒及び前記第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、10質量%以上80質量%以下である、インクジェット記録用インク。
  2. 前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールのけん化度が、71モル%以上89モル%以下である、請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 前記カルボキシ変性ポリビニルアルコールが、式(1)で表される繰り返し単位と式(2)で表される繰り返し単位とを有する化合物である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
    Figure 2023054617000006
    (前記式(2)中、R1は、メチル基を表す。)
  4. 前記グリコールエーテルが、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3の何れか一項に記載のインクジェット記録用インク。
  5. 前記第2水溶性有機溶媒が、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~4の何れか一項に記載のインクジェット記録用インク。
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