JP2023054609A - 給電制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体スイッチにおいて故障が発生した場合であっても、電線の温度が高い温度に上昇することを防止することができる給電制御装置を提供する。【解決手段】給電制御装置10では、電線Wを介した給電を制御する。電線Wを介して流れる電線電流の電流経路にヒューズ20及び半導体スイッチ30が配置されている。ヒューズ20及び半導体スイッチ30は回路基板に取り付けられている。ヒューズ20が有する複数の端子は、回路基板に半田によって接続されている。複数の端子中の2つの端子間に溶断部が接続されている。2つの端子は、電線電流の電流経路に配置されている。溶断部は、溶断部の温度に応じて溶断される。マイコン22は、電線Wの電線温度に応じて、半導体スイッチ30のオフへの切替えを指示する。【選択図】図1

Description

本開示は給電制御装置に関する。
特許文献1には、電線の温度が高い温度に上昇することを防止する車両用の装置が開示されている。電流は直流電源の正極から電線を介して流れる。特許文献1に記載の装置では、電線を介して流れる電流の電流経路に半導体スイッチが配置されている。半導体スイッチは制御回路によってオン又はオフに切替えられる。半導体スイッチがオンである場合、電線を介して電流が流れる。電線を介して電流が流れた場合、電線は発熱する。単位時間当たりの電線の発熱量が単位時間当たりの電線の放熱量よりも大きい場合、電線の温度は上昇する。
半導体スイッチがオンである場合において、制御回路は、電線を介して流れる電流の電流値に基づいて電線の温度を算出する。制御回路は、算出した温度が所定温度を超えた場合、半導体スイッチをオフに切替える。これにより、電線を介した電流の通流が停止し、電線の温度は低下する。
特開2010-283977号公報
特許文献1では、半導体スイッチがオンに固定されるオン故障が発生した場合において、算出した電線の温度が所定温度を超えたときに、制御回路は半導体スイッチをオフに切替えることができない。電線の温度が所定温度を大きく超える温度に上昇した場合、電線が劣化する可能性がある。電線の劣化は、例えば、電線の抵抗値の上昇である。電線の抵抗値が上昇した場合、電線において消費される電力が大きい。この場合、電線を介して効率的に電力を供給することができない。
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体スイッチにおいて故障が発生した場合であっても、電線の温度が高い温度に上昇することを防止することができる給電制御装置を提供することにある。
本開示の一態様に係る給電制御装置は、電線を介した給電を制御する給電制御装置であって、前記電線を介して流れる電線電流の電流経路に配置されているヒューズ及び半導体スイッチと、前記ヒューズ及び半導体スイッチが取り付けられる回路基板と、処理を実行する処理部とを備え、前記ヒューズは、前記回路基板に半田によって接続される複数の端子と、前記複数の端子中の2つの端子間に接続される溶断部とを有し、前記複数の端子中の2つの端子は前記電流経路に配置され、前記溶断部は、前記溶断部の温度に応じて溶断され、前記処理部は、前記電線の電線温度に応じて前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示する。
上記の態様によれば、半導体スイッチにおいて故障が発生した場合であっても、電線の温度が高い温度に上昇することを防止することができる。
実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。 ヒューズ、スイッチ器及びマイコンの配置の説明図である。 ヒューズの正面図である。 ヒューズの側面図である。 端子の断面図である。 ヒューズの断面図である。 図3の上側から見た端子及び溶断部の状態の説明図である。 ヒューズが回路基板に取り付けられた状態を示す説明図である。 ヒューズが回路基板に取り付けられた状態を示す他の説明図である。 マイコンの要部構成を示すブロック図である。 給電制御処理の手順を示すフローチャートである。 電線保護処理の手順を示すフローチャートである。 溶断、遮断及び発煙に関するタイミングの説明図である。 実施形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。 実施形態3における電源システムの要部構成を示すブロック図である。 実施形態4における電源システムの要部構成を示すブロック図である。 実施形態5における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(1)本開示の一態様に係る給電制御装置は、電線を介した給電を制御する給電制御装置であって、前記電線を介して流れる電線電流の電流経路に配置されているヒューズ及び半導体スイッチと、前記ヒューズ及び半導体スイッチが取り付けられる回路基板と、処理を実行する処理部とを備え、前記ヒューズは、前記回路基板に半田によって接続される複数の端子と、前記複数の端子中の2つの端子間に接続される溶断部とを有し、前記複数の端子中の2つの端子は前記電流経路に配置され、前記溶断部は、前記溶断部の温度に応じて溶断され、前記処理部は、前記電線の電線温度に応じて前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示する。
上記の態様にあっては、半導体スイッチがオンである場合、電線電流は、ヒューズ、半導体スイッチ及び電線を介して流れる。これにより、ヒューズの溶断部と電線とは発熱する。従って、電線温度が上昇した場合、ヒューズの溶断部の温度も上昇する。電線温度が高い場合、半導体スイッチはオフに切替えられる。これにより、電線電流の通流は停止し、電線温度は低下する。
半導体スイッチがオンに固定されるオン故障が発生した場合において、電線温度が高いとき、ヒューズの溶断部が溶断される。これにより、電線電流の通流が停止し、電線温度が低下する。従って、半導体スイッチにおいてオン故障が発生した場合であっても、電線温度が高い温度に上昇することを防止することができる。
(2)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記電線温度が温度閾値以上の温度となった場合に前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示し、前記半導体スイッチがオンである場合にて、前記溶断部が溶断される前に前記電線温度が前記温度閾値以上の温度となる。
上記の態様にあっては、半導体スイッチにおいてオン故障が発生していない限り、溶断部が溶断される前に半導体スイッチがオフに切替わる。
(3)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記ヒューズは、前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆うハウジングを有し、前記ハウジングは、300度以上の耐熱性を有する。
上記の態様にあっては、リフロー方式でヒューズの複数の端子を回路基板に半田で接続する場合、熱風がハウジングに吹き付けられるか、又は、赤外線がハウジングに照射される。これにより、ハウジングの温度が上昇する。ハウジングの温度がX度以下である場合、ハウジングにおいて変形又は溶融は発生することはない。ここで、Xは正の実数である。ハウジングにおいて変形又は溶融が発生しない場合、ハウジングの形状が維持される。300度以上の耐熱性は、Xが300以上であることを意味する。このため、ハウジングにおいては、熱風の吹き付け又は赤外線の照射によって、溶融又は変形が生じることはない。結果、ヒューズは、リフロー方式での回路基板への取り付けに適している。
(4)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記回路基板は、絶縁基板と、前記絶縁基板を貫通する複数の貫通孔と、前記絶縁基板を覆う複数の基板メッキとを有し、前記ヒューズが有する複数の端子それぞれは、複数の貫通孔に挿入されており、前記半田によって、前記回路基板が有する前記複数の基板メッキに接続される。
上記の態様にあっては、ヒューズが有する複数の端子それぞれは、複数の貫通孔に挿入される。この状態で、複数の端子それぞれは、半田によって、回路基板が有する複数の基板メッキに接続される。
(5)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記複数の端子それぞれは、金属体と、前記金属体の表面を覆う錫製の端子メッキとを有する。
上記の態様にあっては、各端子では、金属体の表面が錫製の端子メッキで覆われている。半田には、通常、錫成分が含まれている。従って、錫製の端子メッキを有する端子に関して、半田の馴染み易さ、所謂、濡れ性が高い。このため、半田が端子に強力に接着する。
(6)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記半導体スイッチをオン又はオフに切替える切替え回路を備え、前記切替え回路は、前記ヒューズが有する前記溶断部の両端間の両端電圧値が所定電圧値以上の値となった場合に前記半導体スイッチをオフに切替える。
上記の態様にあっては、電線電流の電流値が大きい程、溶断部の両端電圧値は高い。切替え回路は、溶断部の両端電圧値が所定電圧値以上の値となった場合、即ち、電線電流の電流値が大きい場合、半導体スイッチをオフに切替える。従って、過大な電流が電線を介して流れることが防止される。
(7)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記ヒューズが有する前記溶断部の両端間の両端電圧値に基づいて、前記電線温度を繰り返し算出する。
上記の態様にあっては、処理部は、溶断部の両端電圧値に基づいて電線温度を繰り返し算出する。算出した電線温度が温度閾値以上の温度となった場合、半導体スイッチはオフに切替わる。
(8)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記ヒューズは、前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆うハウジングを有し、前記複数の端子それぞれは、一部が前記ハウジングによって覆われている長板状の第1板部分と、前記第1板部分に連結している第2板部分とを有し、前記複数の端子それぞれについて、前記第1板部分の一方の端部は前記ハウジングの共通の一面から突出しており、前記第2板部分は、前記ハウジングから突出している前記第1板部分の先端面の一部分から突出しており、前記回路基板は複数の貫通孔を有し、前記複数の端子それぞれの前記第2板部分は前記複数の貫通孔に挿入され、前記複数の端子それぞれの前記第1板部分は前記回路基板に当たっている。
上記の態様にあっては、ハウジングから突出している第1板部分の先端面から第2板部分が突出しており、段差構造が実現されている。回路基板では、絶縁基板に貫通孔が設けられており、絶縁基板において、貫通孔の内面と、貫通孔の周縁部とを基板メッキが覆っている。例えば、面積が第2板部分の断面積よりも若干大きい貫通孔が設けられる。この場合において、第2板部分が貫通孔に挿入されたとき、第1板部分は、貫通孔を通らず、貫通孔の周縁部を覆っている基板メッキに当たる。このとき、ハウジングは、第1板部分によって回路基板から離れている。この場合においては、半田で端子を回路基板に取り付けたときに、フィレット形状の半田が形成され易い。フィレット形状の半田が形成されることは、良好な取り付けが実現されていることを意味する。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(実施形態1)
<電源システムの構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は車両Cに搭載されている。電源システム1は、給電制御装置10、直流電源11及び負荷12を備える。給電制御装置10は、ヒューズ20、スイッチ器21及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)22を有する。スイッチ器21は、例えばIPD(Intelligent Power Device)である。スイッチ器21は、半導体スイッチ30及び駆動回路31を有する。半導体スイッチ30は、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。直流電源11は、例えばバッテリである。負荷12は電気機器である。
直流電源11の負極は接地されている。接地は、例えば、車両Cのボディへの接続によって実現される。直流電源11の正極はヒューズ20の一端に接続されている。ヒューズ20の他端は半導体スイッチ30のドレインに接続されている。半導体スイッチ30のソースは電線Wの一端に接続されている。電線Wの他端は負荷12の一端に接続されている。負荷12の他端は接地されている。半導体スイッチ30のゲートは駆動回路31に接続されている。駆動回路31は更にマイコン22に接続されている。
マイコン22は、駆動回路31にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。マイコン22が出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、駆動回路31は半導体スイッチ30をオフからオンに切替える。マイコン22が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、駆動回路31は半導体スイッチ30をオンからオフに切替える。駆動回路31は切替え回路として機能する。
半導体スイッチ30がオンである場合、半導体スイッチ30のドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さい。このため、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。半導体スイッチ30がオフである場合、半導体スイッチ30のドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きい。このため、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。
駆動回路31が半導体スイッチ30をオンに切替えた場合、電流は、直流電源11の正極からヒューズ20、半導体スイッチ30、電線W及び負荷12の順に流れる。以下では、電線Wを介して流れる電流を電線電流と記載する。電線電流の電流値を電線電流値と記載する。電線電流の電流経路にヒューズ20及び半導体スイッチ30は配置されている。電線電流が通流した場合、負荷12に電力が供給される。負荷12に電力が供給された場合、負荷12は作動する。駆動回路31が半導体スイッチ30をオフに切替えた場合、電線電流の通流が停止する。これにより、負荷12への電力供給が停止し、負荷12は動作を停止する。給電制御装置10では、駆動回路31が半導体スイッチ30をオン又はオフに切替えることによって、電線Wを介した負荷12への給電を制御する。
ヒューズ20を介して電流が流れた場合、ヒューズ20は発熱する。ヒューズ20に関して、単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量を超えている場合、ヒューズ20のヒューズ温度は上昇する。単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量未満である場合、ヒューズ温度は低下する。同様に、電線電流が通流した場合、電線Wは発熱する。電線Wに関して、単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量を超えている場合、電線Wの電線温度は上昇する。単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量未満である場合、電線温度は低下する。
後述するように、マイコン22は、電線電流値に基づいて電線温度を繰り返し算出する。マイコン22は、算出した電線温度が一定の温度閾値以上の温度となった場合、出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。これにより、駆動回路31は半導体スイッチ30をオンからオフに切替える。
電線電流が通流した場合、ヒューズ20を介して電流が流れる。従って、電線温度が上昇した場合、ヒューズ温度も上昇する。ヒューズ温度が一定の溶断温度以上の温度となった場合、ヒューズ20は溶断される。ヒューズ20が溶断された場合、ヒューズ20を介した電流の通流が停止する。結果、電線電流の通流が停止する。ヒューズ温度が溶断温度である場合の電線温度を基準温度と記載する。基準温度は温度閾値を超えている。
例えば、半導体スイッチ30がオンである状態で負荷12の両端が短絡した場合、電線電流は急速に上昇し、電線温度及びヒューズ温度は上昇する。半導体スイッチ30がオンに固定されるオン故障が発生していない場合においては、電線温度が温度閾値以上の温度となったとき、駆動回路31は半導体スイッチ30をオフに切替える。結果、電線電流の通流は停止し、電線温度は低下する。
オン故障が発生している場合においては、電線温度が基準温度以上の温度となったとき、ヒューズ20が溶断される。結果、電線電流の通流は停止し、電線温度が低下する。従って、半導体スイッチ30においてオン故障が発生している場合であっても、電線温度が基準温度を超える高い温度に上昇することを防止することができる。
<ヒューズ20、スイッチ器21及びマイコン22の配置>
図2は、ヒューズ20、スイッチ器21及びマイコン22の配置の説明図である。給電制御装置10は、矩形状の回路基板Bを更に有する。図2には、回路基板Bの平面が示されている。スイッチ器21及びマイコン22は集積回路素子である。回路基板Bの板面には、ヒューズ20、スイッチ器21及びマイコン22が取り付けられている。板に関して、板面は、幅が広い面であり、端面とは異なる。スイッチ器21の取り付けは半導体スイッチ30の取り付けに相当する。
なお、スイッチ器21が集積回路素子ではない場合、半導体スイッチ30と、駆動回路31を構成する一又は複数の部品とが回路基板Bの板面に取り付けられる。また、マイコン22は回路基板Bとは異なる回路基板の板面に配置されてもよい。
<ヒューズ20の構成>
図3はヒューズ20の正面図である。図4はヒューズ20の側面図である。ヒューズ20は、樹脂製のハウジング40及び2つの端子41を有する。各端子41は導電性を有する。ヒューズ20では、2つの端子41は、ハウジング40の共通の一面から突出している。
図5は端子41の断面図である。各端子41は長板状の金属体50を有する。各端子41では、金属体50が有する2つの板面は錫(Sn)製の端子メッキ51によって覆われている。各端子41の端面では、金属体50は露出している。金属体50及び端子メッキ51は導電性を有する。金属体50は、例えば、亜鉛合金を用いて製造される。図5以外の図面では、金属体50及び端子メッキ51の記載を省略している。
なお、端子メッキ51は、板面とは異なる金属体50の面、例えば、図5の左側又は右側に位置する端面を覆ってもよい。
図6はヒューズ20の断面図である。図3、図4及び図6に示すように、ハウジング40は、一面が開放された箱体状をなす。2つの端子41それぞれの一部は、ハウジング40によって覆われている。前述したように、ハウジング40の共通の一面から2つの端子41が突出している。ここで、共通の一面は開放面である。ハウジング40において、共通の一面は、図3、図4及び図6の下側に位置する。図6に示すように、ハウジング40の内部において、2つの端子41は一列に並べられている。ヒューズ20は、更に、棒状の溶断部42を有する。溶断部42は2つの端子41間に接続されている。溶断部42は導電性を有する。溶断部42もハウジング40によって覆われている。
図7は、図3の上側から見た2つの端子41及び溶断部42の状態の説明図である。図6及び図7に示すように、各端子41は長板状をなす。2つの端子41の板面は揃っており、図6では2つの端子41の板面が示されている。各端子41の一方の端部は、ハウジング40の共通の一面(開放面)から、図6の下側に向けて突出している。なお、2つの端子41の板面は同一平面上に位置していることが好ましい。
各端子41は長板状をなしているので、ヒューズ20はブレード型のヒューズである。一般的に、ブレード型のヒューズの端子の断面積は、チップ型のヒューズの端子の断面積よりも大きい。このため、状態が正常である場合に大電流が流れる回路のヒューズとして、ブレード型のヒューズを用いることができる。
各端子41では、長板状の第1板部分61の端部に長板状の第2板部分62の端部が連結している。第1板部分61の一部はハウジング40によって覆われている。2つの端子41それぞれについて、第1板部分61の第1端部は、前述したハウジング40の共通の一面から、図6の下側に向けて突出している。ハウジング40の共通の一面と、第1板部分61の第1端部の先端面は平行である。また、2つの端子41に関して、2つの第1板部分61の第1端部の先端面は同一平面上に位置する。
なお、共通の一面及び先端面の平行は、完全な平行のみを意味せず、実質的な平行であればよい。従って、共通の一面及び先端面が平行である状態には、共通の一面及び先端面がなす角度が設計上の誤差範囲内の値である状態も含まれる。また、2つの先端面が同一平面上に位置することは、2つの先端面の段差が実質的にないことを意味する。従って、2つの先端面の段差が設計上の誤差範囲内の値である場合、2つの先端面は同一平面上に位置する。
各端子41では、第1板部分61の第1端部の先端面の一部分から、第1板部分61の長さ方向に沿って、第2板部分62が突出している。第2板部分62の断面積は第1板部分61の断面積よりも小さい。第2板部分62は第1板部分61よりも細い。第1板部分61及び第2板部分62の厚みは一致している。第1板部分61及び第2板部分62の板面は連続している。第1板部分61及び第2板部分62の長さ方向は、一致しており、図3、図4及び図6の上下方向である。第1板部分61及び第2板部分62の断面積は、第1板部分61及び第2板部分62の幅方向、即ち、図3、図4及び図6の左右方向に沿った切断によって得られる断面の面積である。
なお、第1板部分61及び第2板部分62の厚みの一致は、完全な一致のみを意味せず、実質的な一致であればよい。従って、第1板部分61及び第2板部分62の厚みが一致している状態には、2つの厚みの差が誤差範囲である状態も含まれる。また、2つの長さ方向の一致は、完全な一致のみを意味せず、実質的な一致であればよい。従って、2つの長さ方向が一致している状態には、2つの長さ方向がなす角度が誤差範囲内である状態も含まれる。
2つの端子41それぞれについて、第2板部分62は、第1板部分61の第1端部の先端面において、2つの端子41の並び方向の中央部分から突出している。並び方向は図6の左右方向である。図3及び図4に示すように、第2板部分62の先端部分は角錐台状をなす。第2板部分62の先端部分について、ハウジング40に近い部分の断面積は大きく、ハウジング40から遠い部分の断面積は小さい。
図6及び図7に示すように、棒状の溶断部42は、2つの端子41の第1板部分61間に配置されている。溶断部42の一方の端部は、一方の端子41の第1板部分61の端面に接続されている。溶断部42の他方の端部は、他方の端子41の第1板部分61の端面に接続されている。溶断部42が接続している2つの端面は互いに対向している。溶断部42は、曲がっており、全体としてV字状をなす。図6の例では、溶断部42は、図6の上側に曲がっている。なお、溶断部42の形状は、V字状に限定されず、例えば、S字状であってもよい。
図6及び図7に示すように、ハウジング40について、前述した共通の一面の反対側に位置する一面、即ち、図6の上側の一面には、2つの開口40aが設けられている。2つの端子41の第1板部分61の第2端部それぞれは、2つの開口40aと対向している。ヒューズ20の使用者は、例えば、テスターの2つのリード棒それぞれを2つの開口40aに通す。この状態で、使用者は、テスターの2つのリード棒それぞれを、ヒューズ20が有する2つの端子41に当てる。テスターは、例えば、2つの端子41間の抵抗値を測定する。使用者は、測定した抵抗値に基づいて、溶断部42が溶断しているか否かを確認することができる。
<ヒューズ20の取り付け状態>
図8は、ヒューズ20が回路基板Bに取り付けられた状態を示す説明図である。図9は、ヒューズ20が回路基板Bに取り付けられた状態を示す他の説明図である。回路基板Bは、所謂、プリント基板である。ヒューズ20は、半田Hによって回路基板Bに取り付けられる。図8及び図9は、ヒューズ20が半田Hによって回路基板Bに取り付けられた後の状態を示している。図8及び図9には、回路基板Bの断面が示されている。図8及び図9に示すように、回路基板Bは絶縁基板70を有する。絶縁基板70では、表側板面から裏側板面まで貫通する2つの貫通孔70aが設けられている。貫通孔70aの数は、ヒューズ20の端子41の数以上である。貫通孔70aの開口は円形状をなす。絶縁基板70について、図8及び図9では、上側の板面が表側板面であり、下側の板面が裏側板面である。
絶縁基板70の表側板面上には、導電性を有する複数の配線パターン72が配置されている。絶縁基板70の裏側板面上にも、複数の配線パターン72が配置されている。回路基板Bでは、各貫通孔70aの内面は基板メッキ71によって覆われている。基板メッキ71は導電性を有する。表側板面及び裏側板面それぞれにおける貫通孔70aの周縁部は配線パターン72によって覆われている。各基板メッキ71は、貫通孔70aの内面に加えて、表側板面及び裏側板面それぞれにおける貫通孔70aの周縁部を、配線パターン72を介して覆っている。図8においては、基板メッキ71は、配線パターン72の上側から貫通孔70aの周縁部を覆うとともに、配線パターン72の下側から貫通孔70aの周縁部を覆っている。
基板メッキ71は例えば錫成分を含む。配線パターン72は、例えば銅製である。基板メッキ71は、配線パターン72に接触しており、配線パターン72と導通している。基板メッキ71において、貫通孔70aの内面及び周縁部を除く他の部分は、絶縁性を有するレジスト73によって覆われている。
貫通孔70aの面積は、端子41の第2板部分62の断面積よりも若干大きい。このため、端子41の第2板部分62を貫通孔70aに挿入することができる。第1板部分61の幅は十分に長いので、第2板部分62を貫通孔70aに挿入した場合、端子41の第1板部分61は、貫通孔70aを通らず、貫通孔70aの周縁部を覆っている基板メッキ71に当たる。2つの第1板部分61の第1端部の先端面は同一平面上に位置するので、ヒューズ20は、安定した状態で回路基板Bによって支持される。
ヒューズ20を回路基板Bに取り付ける場合、絶縁基板70の表側板面を覆っている基板メッキ71上にペースト状の半田Hを塗布する。基板メッキ71上に半田Hが塗布されている状態で、2つの端子41の第2板部分62それぞれを、絶縁基板70の表側から、即ち、図8及び図9の上側から、2つの貫通孔70aに挿入する。このとき、2つの端子41の第1板部分61は、表側板面を覆っている基板メッキ71によって支持される。第2板部分62の一部は、回路基板Bの裏側板面から露出している。
この状態で、ヒューズ20及び回路基板Bはリフロー炉に通される。リフロー炉内では、ヒューズ20及び回路基板Bに熱風が吹き付けられるか、又は、ヒューズ20及び回路基板Bに赤外線が照射される。これにより、ペースト状の半田Hが溶ける。半田Hは端子41を回路基板Bの基板メッキ71に接続している。具体的には、図8及び図9に示すように、半田Hの一部は、第1板部分61の軸回りに沿って、ハウジング40から露出している端子41の第1板部分61の板面及び端面に接着するとともに、絶縁基板70の表側板面を覆っている基板メッキ71に接着する。
更に、溶けた半田Hの一部は、貫通孔70a内に入り込み、貫通孔70aの内面を覆っている基板メッキ71と、端子41の第2板部分62の板面及び端面とに接着する。半田Hは導電性を有する。半田Hによって、端子41及び基板メッキ71は導通する。ヒューズ20が有する2つの端子41それぞれは、半田Hによって、回路基板Bが有する2つの基板メッキ71に接続される。
以上のように、給電制御装置10では、ヒューズ20が回路基板Bに取付けられている。2つの端子41それぞれは、2つの貫通孔70aに挿入されている。この状態で、2つの端子41それぞれは、半田Hによって2つの基板メッキ71に接続される。
ヒューズ20に関して、一方の端子41は、直流電源11の正極に接続されている一端に対応する。他方の端子41は、半導体スイッチ30のドレインに接続される一端に対応する。前述したように、電線電流はヒューズ20を介して流れる。ヒューズ20では、電線電流は、端子41、溶断部42及び端子41の順に流れる。2つの端子41及び溶断部42は電線電流の電流経路に配置されている。
溶断部42を介して電流が流れた場合、溶断部42は発熱する。ヒューズ20の発熱は溶断部42の発熱である。ヒューズ温度は溶断部42の温度である。溶断部42に関して、単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量を超えている場合、ヒューズ温度は上昇する。単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量未満である場合、ヒューズ温度は低下する。ヒューズ温度が溶断温度以上の温度となった場合、溶断部42は溶断される。結果、ヒューズ20を介した電流の通流が停止する。
<ハウジング40の耐熱性>
リフロー方式の一例では、ヒューズ20が配置されている回路基板Bは、リフロー炉内において、第1領域及び第2領域の順に通過する。第1領域の温度は170度から190度までの範囲内の温度である。回路基板Bは、80秒から140秒の間、第1領域内に位置している。第2領域の温度は、230度から250度までの範囲内の温度である。回路基板Bは、60秒から90秒の間、第2領域内に位置している。
リフロー方式でヒューズ20を回路基板Bに取り付ける場合、熱風がハウジング40に吹き付けられるか、又は、赤外線がハウジング40に照射される。このとき、ハウジング40の温度は上昇する。ハウジング40の温度がX度以下である場合、ハウジング40において変形又は溶融が発生することはない。ここで、Xは正の実数である。ハウジング40において変形又は溶融が発生しない場合、ハウジング40の形状が維持される。ハウジング40は250度以上の耐熱性を有する。ハウジング40に関して、250度以上の耐熱性はXが250以上であることを意味する。
ハウジング40が250度以上の耐熱性を有する場合、ハウジング40では、熱風の吹き付け又は赤外線の照射によって変形又は溶融が生じず、ハウジング40の形状が維持される。このため、ヒューズ20は、リフロー方式での回路基板Bへの取り付けに適している。ハウジング40の製造に用いられる耐熱性の樹脂として例えばナイロン樹脂が挙げられる。
なお、ハウジング40は、300度以上の耐熱性を有することが好ましい。ハウジング40に関して、300度以上の耐熱性は、Xが300以上であることを意味する。ハウジング40が300度以上の耐熱性を有する場合、ヒューズ20は、リフロー方式での回路基板Bへの取り付けにより適している。
<ヒューズ20の耐熱性>
ヒューズ20の温度がY度以下である場合、ヒューズ20に関しては、溶断特性(図13参照)が実質的に変化せず、かつ、長期信頼性が実質的に低下しない。ヒューズ20は、250度以上の耐熱性を有する。ヒューズ20に関して、250度以上の耐熱性は、Yが250以上であることを意味する。ハウジング40だけではなく、ヒューズ20も250度以上の耐熱性を有する。従って、ヒューズ20の温度が250度以下である場合、溶断特性は実質的に変化せず、かつ、長期信頼性は実質的に低下しない。溶断特性は、ヒューズ20を介して流れる電流の電流値と、電流が流れてから溶断部42の溶断が発生するまでの溶断時間との関係を示す。溶断特性では、種々の電流値に対応する溶断時間が示されている。長期信頼性は、ヒューズ20が仕様書の規格通りに正常に機能する寿命である。リフロー方式で取り付けを行うことによって、ヒューズ20の寿命が低下することは好ましくない。
なお、ヒューズ20も、300度以上の耐熱性を有することが好ましい。ヒューズ20に関して、300度以上の耐熱性はYが300以上であることを意味する。ヒューズ20が300度以上の耐熱性を有する場合、ヒューズ20の構成は、リフロー方式での回路基板Bへの取り付けにより適した構成である。
<ヒューズ20の効果>
前述したように、各端子41では、金属体50の表面が錫製の端子メッキ51で覆われている。半田Hには、通常、錫成分が含まれている。従って、錫製の端子メッキ51を有する端子41に関して、半田Hの馴染み易さ、所謂、濡れ性が高い。このため、半田Hが端子41に強力に接着する。
なお、端子メッキ51は、錫製に限定されず、例えば、錫成分を含む合金製であってもよい。
前述したように、各端子41では、第1板部分61の先端面から第2板部分62が突出しており、段差構造が実現されている。2つの端子41それぞれについて、第1板部分61は、貫通孔70aを通らず、絶縁基板70上の基板メッキ71に当たっている。このため、ハウジング40は、回路基板Bから離れている。この場合においては、半田Hで端子41を回路基板Bに取り付けたときに、フィレット形状の半田Hが形成され易い。フィレット形状の半田Hが形成されることは、良好な取り付けが実現されていることを意味する。
また、基板メッキ71上にペースト状の半田Hを塗布した状態で貫通孔70aに端子41が挿入される。前述したように段差構造が実現されているため、貫通孔70aに端子41が挿入された場合、ハウジング40がペースト状の半田Hに接触することはない。このため、リフロー方式で半田Hを溶かした場合に、ボール状の半田Hが形成される可能性は低い。
前述したように、端子41について、第2板部分62の断面積は第1板部分61の断面積よりも小さく、第2板部分62は第1板部分61よりも細い。このため、貫通孔70aとして、面積が小さい貫通孔を用いることができる。この場合において、第2板部分62と貫通孔70aとの間の隙間が小さい。このため、例えば、ハウジング40に熱風が吹き付けられた場合であっても、第2板部分62、即ち、ヒューズ20が大きく傾くことはなく、ハウジング40は、回路基板Bの板面に対して略垂直に立っている。結果、リフロー方式で実装を行う場合に、治具によってハウジング40を、略垂直に立っている状態で固定する必要がなく、安価な実装を実現することができる。
<給電制御装置10の詳細な構成>
図1に示す半導体スイッチ30に関して、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定電圧以上である場合、状態はオンである。基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定電圧未満である場合、状態はオフである。駆動回路31は、マイコン22の出力電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、基準電位が接地電位であるゲートの電圧を上昇させる。これにより、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定電圧以上の電圧に上昇し、半導体スイッチ30はオンに切替わる。
駆動回路31は、マイコン22の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、基準電位が接地電位であるゲートの電圧を低下させる。これにより、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定電圧未満の電圧に低下し、半導体スイッチ30はオフに切替わる。
スイッチ器21は、更に、電流検出部32を有する。電流検出部32は、半導体スイッチ30のドレインに接続されている。電流検出部32は、更に、マイコン22及び駆動回路31に各別に接続されている。
電流検出部32は電線電流値を検出する。具体的には、電流検出部32は、半導体スイッチ30のドレインから電流を引き込む。電流検出部32が引き込む電流の電流値は(電線電流値)/(所定数)で表される。電流検出部32は、引き込んだ電流に基づいて、電線電流値を示すアナログの電流値情報を生成する。アナログの電流値情報は、例えば、電線電流値に比例する電圧値である。電流検出部32は、アナログの電流値情報をマイコン22及び駆動回路31に出力する。
駆動回路31は、電線電流値が一定の電流閾値未満である場合、前述したように、マイコン22の出力電圧に応じて、半導体スイッチ30をオン又はオフに切替える。駆動回路31は、電線電流値が電流閾値以上の電流値となった場合、マイコン22の出力電圧に無関係に半導体スイッチ30をオフに切替える。従って、電線電流値が電流閾値を超えることが防止される。駆動回路31は、マイコン22の出力電圧に無関係に半導体スイッチ30をオフに切替えた後、所定の条件が満たされるまで、半導体スイッチ30のオフを維持する。所定の条件は、例えば、マイコン22の出力電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わることである。
図10はマイコン22の要部構成を示すブロック図である。マイコン22は、出力部80、A/D変換部81、記憶部82及び制御部83を有する。これらは、内部バス84に接続されている。出力部80は、更に、駆動回路31に接続されている。A/D変換部81は、更に、電流検出部32に接続されている。
出力部80は、駆動回路31にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。前述したマイコン22の出力電圧は出力部80の出力電圧である。制御部83は、半導体スイッチ30のオンへの切替えを出力部80に指示する。この場合、出力部80は、出力電圧をハイレベル電圧に切替える。結果、駆動回路31は半導体スイッチ30をオンに切替える。制御部83は、半導体スイッチ30のオフへの切替えを出力部80に指示する。この場合、出力部80は、出力電圧をローレベル電圧に切替える。結果、駆動回路31は半導体スイッチ30をオフに切替える。
A/D変換部81には、電線電流値を示すアナログの電流値情報が入力される。A/D変換部81は、アナログの電流値情報をデジタルの電流値情報に変換する。A/D変換部81が変換したデジタルの電流値情報は制御部83によって取得される。制御部83が取得した電流値情報が示す電線電流値は、取得時点の電線電流値に実質的に一致する。
記憶部82は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリによって構成される。記憶部82には、コンピュータプログラムPが記憶されている。制御部83は、処理を実行する処理素子を有し、処理部として機能する。制御部83の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、給電制御処理及び電線保護処理等を実行する。給電制御処理は、電線Wを介した負荷12への給電を制御する処理である。電線保護処理は、電線Wを発煙から保護する処理である。
なお、コンピュータプログラムPは、制御部83の処理素子が読み取り可能に記憶媒体Aに記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体Aから読み出されたコンピュータプログラムPが記憶部82に書き込まれる。記憶媒体Aは、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない装置からコンピュータプログラムPをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムPを記憶部82に書き込んでもよい。
制御部83が有する処理素子の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。この場合、複数の処理素子がコンピュータプログラムPに従って、給電制御処理及び電線保護処理等を協同で実行してもよい。
記憶部82には、禁止フラグの値が記憶されている。禁止フラグの値は、0又は1であり、制御部83によって変更される。禁止フラグの「0」は、半導体スイッチ30のオン又はオフへの切替えが許可されている状態を示す。半導体スイッチ30がオフである状態で禁止フラグの値は0から1に変更される。禁止フラグの「1」は、半導体スイッチ30のオンへの切替えが禁止されている状態を示す。
<給電制御処理>
図11は給電制御処理の手順を示すフローチャートである。給電制御処理では、制御部83は、禁止フラグの値が1であるか否かを判定する(ステップS1)。禁止フラグの値が1ではない場合、禁止フラグの値は0である。制御部83は、禁止フラグの値が1であると判定した場合(S1:YES)、ステップS1を再び実行し、禁止フラグの値が0となるまで待機する。
制御部83は、禁止フラグの値が1ではないと判定した場合(S1:NO)、負荷12を作動させるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2では、例えば、負荷12の作動を示す作動信号がマイコン22の入力部に入力された場合、制御部83は、負荷12を作動させると判定する。作動信号が入力部に入力されていない場合、制御部83は、負荷12を作動させないと判定する。
制御部83は、負荷12を作動させないと判定した場合(S2:NO)、負荷12の動作を停止させるか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3では、例えば、負荷12の動作の停止を示す停止信号がマイコン22の入力部に入力された場合、制御部83は、負荷12の動作を停止させると判定する。停止信号が入力部に入力されていない場合、制御部83は、負荷12の動作を停止させないと判定する。
制御部83は、負荷12の動作を停止させないと判定した場合(S3:NO)、ステップS1を再び実行する。禁止フラグの値が0である場合、負荷12を作動させるタイミング、又は、負荷12の動作を停止させるタイミングが到来するまで待機する。
制御部83は、負荷12を作動させると判定した場合(S2:YES)、半導体スイッチ30のオンへの切替えを出力部80に指示する(ステップS4)。半導体スイッチ30がオフに固定されているオフ故障が発生していない場合において、制御部83がステップS4を実行したとき、駆動回路31は半導体スイッチ30をオンに切替える。これにより、電線電流が通流し、負荷12は作動する。
制御部83は、負荷12の動作を停止させると判定した場合(S3:YES)、半導体スイッチ30のオフへの切替えを出力部80に指示する(ステップS5)。半導体スイッチ30においてオン故障が発生していない場合において、制御部83がステップS5を実行したとき、駆動回路31は半導体スイッチ30をオフに切替える。これにより、電線電流の通流が停止し、負荷12は動作を停止する。
制御部83は、ステップS4又はステップS5を実行した後、制御部83は給電制御処理を終了する。その後、制御部83は、給電制御処理を再び実行する。以上のように、給電制御装置10では、駆動回路31が半導体スイッチ30をオン又はオフに切替えることによって、電線Wを介した負荷12への給電を制御する。禁止フラグの値が1である場合、駆動回路31は半導体スイッチ30をオンに切替えず、半導体スイッチ30のオフが維持される。
<電線温度の算出>
電線保護処理では、制御部83は、電線電流値に基づいて電線温度を算出する。以下では、電線温度の算出方法を説明する。制御部83は、電線Wについて、電線温度と、電線Wが配置されている環境の環境温度とのの温度差を繰り返し算出する。具体的には、制御部83は、先行して算出した先行温度差、環境温度及び電線電流値に基づいて、温度差を算出する。制御部83は、環境温度に、算出した温度差を加算することによって、電線温度を算出する。環境温度を示す環境温度情報は予め記憶部82に記憶されている。電線温度の算出では、環境温度は一定値であると見なす。
電線Wについて、電線電流値、算出対象の温度差、先行温度差及び環境温度それぞれを、Iw、ΔTw、ΔTp及びTaと記載する。制御部83は、先行温度差ΔTp、電線電流値Iwと、環境温度Taとを以下に示す[1]式及び[2]式に代入することによって、温度差ΔTwを算出する。
ΔTw=ΔTp・exp(-Δt/τr)+Rth・Rw
・Iw2 ・(1-exp(-Δt/τr))・・・[1]
Rw=Ro・(1+κ・(Ta+ΔTp-To)・・・[2]
[1]式及び[2]式で用いられている変数及び定数を説明する。変数及び定数の説明では、変数又は定数の単位も併せて示している。電線電流値Iwの単位はアンペアである。温度差ΔTw、先行温度差ΔTp及び環境温度Taの単位は度である。Rwは電線Wの電線抵抗値(Ω)である。Rthは電線Wの電線熱抵抗値(℃/W)である。Δtは、制御部83が電流値情報を取得する周期(s)である。τrは電線Wの電線放熱時定数(s)である。Toは、予め決められている温度(℃)である。Roは温度Toにおける電線抵抗値(Ω)である。κは電線Wの電線抵抗温度係数(/℃)である。
温度差ΔTw、先行温度差ΔTp、電線電流値Iw及び環境温度Taは変数であり、周期Δt、電線放熱時定数τr、電線熱抵抗Rth、電線抵抗Ro、電線抵抗温度係数κ及び温度Toは、予め設定されている定数である。
[1]式の第1項の値は、周期Δtが長い程、低下するので、[1]式の第1項は電線Wの放熱を表す。また、[1]式の第2項の値は、周期Δtが長い程、上昇するので、[1]式の第2項は電線Wの発熱を表す。第2項の値は、電線電流値Iwが大きい程、大きい。
制御部83は、算出した温度差ΔTwに環境温度Taを加算することによって、電線Wの電線温度を算出する。マイコン22が起動した後に制御部83が最初に実行する電線Wの温度差ΔTwの算出では、電線Wの電線温度は環境温度Taと一致しているとして、先行温度差ΔTpをゼロとみなす。
<電線保護処理>
図12は電線保護処理の手順を示すフローチャートである。制御部83は、電線保護処理を周期的に実行する。記憶部82には、制御部83が先行して算出した先行温度差が記憶されている。記憶部82に記憶されている先行温度差は、制御部83によって変更される。
電線保護処理では、制御部83は、まず、A/D変換部81から電流値情報を取得する(ステップS11)。制御部83は、ステップS11を実行した後、記憶部82から先行温度差を読み出す(ステップS12)。次に、制御部83は、ステップS11で取得した電流値情報が示す電線電流値と、ステップS12で読み出した先行温度差と、記憶部82に記憶されている環境温度情報が示す環境温度とを[1]式及び[2]式に代入することによって、電線Wの電線温度と環境温度との温度差を算出する(ステップS13)。
次に、制御部83は、記憶部82に記憶されている先行温度差を、ステップS13で算出した温度差に変更する(ステップS14)。変更後の先行温度差は、次回の温度差の算出で用いられる。制御部83は、ステップS14を実行した後、ステップS13で算出した温度差を、記憶部82に記憶されている環境温度情報が示す環境温度に加算することによって、電線温度を算出する(ステップS15)。
次に、制御部83は、ステップS15で算出した電線温度が温度閾値以上であるか否かを判定する(ステップS16)。制御部83は、算出した電線温度が温度閾値以上であると判定した場合(S16:YES)、出力部80に、半導体スイッチ30のオフへの切替えを指示する(ステップS17)。半導体スイッチ30においてオン故障が発生していない場合において、制御部83がステップS17を実行したとき、駆動回路31は半導体スイッチ30をオフに切替える。これにより、電線電流の通流は停止し、電線温度は低下する。
制御部83は、ステップS17を実行した後、禁止フラグの値を1に変更する(ステップS18)。これにより、半導体スイッチ30のオンへの切替えが禁止される。制御部83は、電線温度が温度閾値未満であると判定した場合(S16:NO)、又は、ステップS18を実行した後、電線保護処理を終了する。次の周期が到来した場合、制御部83は、電線保護処理を再び実行する。
以上のように、制御部83は、電線電流値に基づいて電線温度を繰り返し算出する。制御部83は、電線温度が温度閾値以上の温度となった場合、半導体スイッチ30のオフへの切替えを出力部80に指示し、半導体スイッチ30のオンへの切替えを禁止する。半導体スイッチ30がオフに切替わった場合、電線温度は低下する。電線Wから発煙した場合における電線温度を発煙温度と記載する。温度閾値は発煙温度未満である。このため、電線Wは発煙から保護される。
制御部83は、禁止フラグの値を1に変更した場合、禁止フラグの値を0に戻す解除処理を実行してもよい。制御部83は、禁止フラグの値が1である場合に解除処理を周期的に実行する。解除処理でも、制御部83は、電線温度と環境温度との温度差を算出する。制御部83は、例えば、算出した温度差が所定値以下であるか否かを判定する。制御部83は、算出した温度差が所定値以下であると判定した場合、禁止フラグの値を1から0に変更する。所定値は0℃又は5℃等である。
<溶断、遮断及び発煙に関するタイミング>
図13は、溶断、遮断及び発煙に関するタイミングの説明図である。図13には、半導体スイッチ30の遮断特性、ヒューズ20の溶断特性、電線Wの発煙特性が示されている。これらの特性について、縦軸には電線電流値が示され、横軸には期間、即ち、時間の長さが示されている。Isは、任意の電線電流値を示す。T1は、遮断特性においてIsに対応する期間を示す。T2は、溶断特性においてIsに対応する期間を示す。T3は、発煙特性においてIsに対応する期間を示す。
遮断特性は、制御部83が算出した電線温度が温度閾値以上の温度に上昇したために、駆動回路31が半導体スイッチ30をオフに切替えるタイミングを示している。電線電流値がIsである電線電流が流れ続けた期間がT1となった場合、駆動回路31は半導体スイッチ30をオフに切替える。電線電流値Isが小さい程、期間T1は長い。
溶断特性は、ヒューズ20の溶断部42が溶断されるタイミングを示している。電線電流値がIsである電線電流が流れ続けた期間がT2となった場合、ヒューズ温度が溶断温度に到達し、ヒューズ20が溶断される。前述したように、ヒューズ温度が溶断温度に到達した場合、電線温度は基準温度に到達する。電線電流値Isが小さい程、期間T2は長い。
定格電流値が20Aであるヒューズがヒューズ20として用いられた場合、ヒューズ20の溶断部42は、例えば、以下のタイミングで溶断される。電流値が27Aである電流がヒューズ20を介して60秒間流れ続けた場合、ヒューズ20の溶断部42は溶断される。電流値が40Aである電流がヒューズ20を介して1.5秒間流れ続けた場合、ヒューズ20は溶断される。
発煙特性は電線Wから発煙するタイミングを示している。電線電流値がIsである電流が電線Wを流れ続けた期間がT3となった場合、電線温度が発煙温度に到達し、電線Wから発煙する。電線電流値Isが小さい程、期間T3は長い。
図13に示すように、任意の電線電流値Isについて、期間T3は、期間T1及び期間T2よりも長い。これは、電線Wの発煙温度がヒューズ20の基準温度及び温度閾値よりも高いことを意味する。前述したように、基準温度は、ヒューズ温度が溶断温度である場合の電線温度である。発煙温度が基準温度及び温度閾値よりも高いので、電線温度が発煙温度に電線温度が到達する前に、半導体スイッチ30がオフに切替わるか、又は、ヒューズ20が溶断される。このため、電線Wが発煙から保護される。
また、任意の電線電流値Isについて、期間T2は期間T1よりも長い。期間T2が期間T1よりも長いことは、ヒューズ20の基準温度が電線温度の温度閾値を超えていることを意味する。半導体スイッチ30がオンである場合において、半導体スイッチ30においてオン故障が発生していない限り、ヒューズ20の溶断部42が溶断される前に電線温度が温度閾値以上の温度となる。電線温度が温度閾値以上の温度となったとき、駆動回路31は半導体スイッチ30をオフに切替える。従って、半導体スイッチ30においてオン故障が発生していない場合、ヒューズ20の溶断部42が溶断されることはない。半導体スイッチ30においてオン故障が発生している場合においては、電線温度が発煙温度に到達する前にヒューズ20が溶断される。
(実施形態2)
実施形態1においては、電線電流の電流経路において、ヒューズ20は半導体スイッチ30の上流側に配置されている。しかしながら、ヒューズ20が配置される場所は、半導体スイッチ30の上流側に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
<電源システム1の構成>
図14は、実施形態2における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態2では、直流電源11の正極は、半導体スイッチ30のドレインに接続されている。半導体スイッチ30のソースは、ヒューズ20の一方の端子41に接続されている。ヒューズ20の他方の端子41は、電線Wの一端に接続されている。半導体スイッチ30がオンである場合、電線電流は、直流電源11の正極から、半導体スイッチ30、ヒューズ20、電線W及び負荷12の順に流れる。電線電流の電流経路において、半導体スイッチ30の下流側にヒューズ20が配置されている。電流経路において、ヒューズ20の下流側に電線Wが配置されている。
実施形態2における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
(実施形態3)
実施形態2において、電流検出部32がアナログの電流値情報を生成する方法は、半導体スイッチ30のドレインから引き込んだ電流を用いる方法に限定されない。
以下では、実施形態3について、実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態2と共通している。このため、実施形態2と共通する構成部には実施形態2と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
<電源システム1の構成>
図15は、実施形態3における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態2,3を比較した場合、スイッチ器21の構成が異なる。実施形態3におけるスイッチ器21は、半導体スイッチ30、駆動回路31及び電流検出部32に加えて、シャント抵抗33を有する。シャント抵抗33は、半導体スイッチ30のソースと、上流側に配置されているヒューズ20の端子41との間に接続されている。電流検出部32は、半導体スイッチ30のドレインの代わりに、シャント抵抗33の一端及び他端に各別に接続されている。
半導体スイッチ30がオンである場合、電線電流は、直流電源11の正極から、半導体スイッチ30、シャント抵抗33、ヒューズ20、電線W及び負荷12の順に流れる。電流検出部32は、シャント抵抗33の両端間の電圧値を検出する。シャント抵抗33の両端間の電圧値は、(電線電流値)・(シャント抵抗33の抵抗値)表される。「・」は積を示す。シャント抵抗33の抵抗値は一定値である。このため、シャント抵抗33の両端間の電圧値は、電線電流値を示す。電流検出部32は、シャント抵抗33の両端間の電圧値に基づいて、電線電流値を示すアナログの電流値情報を生成する。電流検出部32は、実施形態2と同様に、アナログの電流値情報を、マイコン22のA/D変換部81と、駆動回路31とに出力する。
実施形態3における給電制御装置10は、実施形態2における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
なお、実施の形態1における給電制御装置10のスイッチ器21は、実施の形態3と同様に構成されていてもよい。実施形態3におけるスイッチ器21は、IPDの構成とは異なる。
(実施形態4)
実施形態3において、電流検出部32が検出する電圧値は、シャント抵抗33の両端間の電圧値に限定されない。
以下では、実施形態4について、実施形態3と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態3と共通している。このため、実施形態3と共通する構成部には実施形態3と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
<電源システム1の構成>
図16は、実施形態4における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態3,4を比較した場合、給電制御装置10が有するスイッチ器21の構成が異なる。実施形態4におけるスイッチ器21は、実施形態3と同様に、半導体スイッチ30、駆動回路31及び電流検出部32を有する。実施形態4におけるスイッチ器21は、シャント抵抗33を有していない。電流検出部32は、ヒューズ20が有する2つの端子41に各別に接続されている。
実施形態1の説明で述べたように、ヒューズ20では、電流は、端子41、溶断部42及び端子41の順に流れる。溶断部42は抵抗成分を有する。溶断部42の両端間の電圧値を両端電圧値と記載する。電流検出部32は、溶断部42の両端電圧値を検出する。ヒューズ20は、実施形態3におけるシャント抵抗33の機能を兼ねている。溶断部42の両端電圧値は、(電線電流値)・(溶断部42の抵抗値)によって表される。このため、溶断部42の両端電圧値は電線電流値を示す。電流検出部32は、溶断部42の両端電圧値に基づいて、電線電流値を示すアナログの電流値情報を生成する。電流検出部32は、実施形態3と同様に、アナログの電流値情報を、マイコン22のA/D変換部81と、駆動回路31とに出力する。
電線電流値が大きい程、溶断部42の両端電圧値は高い。電線電流値が電流閾値である場合における溶断部42の両端電圧値を所定電圧値と記載する。溶断部42の両端電圧値が所定電圧値未満である場合、電線電流値は電流閾値未満である。溶断部42の両端電圧値が所定電圧値以上である場合、電線電流値は電流閾値以上である。
従って、駆動回路31は、溶断部42の両端電圧値が所定電圧値未満である場合、実施形態2、即ち、実施形態1と同様に、マイコン22の出力部80の出力電圧に応じて半導体スイッチ30をオン又はオフに切替える。駆動回路31は、溶断部42の両端電圧値が所定電圧値以上の電圧値となった場合、出力部80の出力電圧に無関係に半導体スイッチ30をオフに切替える。従って、過大な電線電流が通流することが防止される。駆動回路31は、マイコン22の出力電圧に無関係に半導体スイッチ30をオフに切替えた後、実施形態2、即ち、実施形態1と同様に、所定の条件が満たされるまで、半導体スイッチ30のオフを維持する。
実施形態4では、電流値情報が示す電線電流値は、溶断部42の両端電圧値に基づく値である。従って、電線保護処理のステップS13では、制御部83は、溶断部42の両端電圧値に基づいて温度差を算出する。電線保護処理のステップS15では、制御部83は、ステップS13で算出した温度差に基づいて電線温度を算出する。実施形態1の説明で述べたように、制御部83は、電線保護処理を周期的に実行する。結果、制御部83は、溶断部42の両端電圧値に基づいて、電線温度を繰り返し算出する。
制御部83は、算出した電線温度が温度閾値以上の温度となった場合、ステップS17を実行する。半導体スイッチ30においてオン故障が発生していない場合において、制御部83がステップS17を実行したとき、駆動回路31は半導体スイッチ30をオフに切替える。実施形態4における給電制御装置10は、実施形態2における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。なお、実施形態4におけるスイッチ器21はIPDの構成とは異なる。
(実施形態5)
実施形態1では、マイコン22は、給電制御装置10に含まれている。しかしながら、給電制御装置10の構成は、マイコン22が含まれない構成であってもよい。
以下では、実施形態5について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
<電源システム1の構成>
図17は、実施形態5における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態5における電源システム1は、実施形態1と同様に、給電制御装置10、直流電源11及び負荷12を備える。実施形態5における電源システム1は、更に、ECU(Electronic Control Unit)13を備える。実施形態5では、マイコン22は、給電制御装置10に含まれておらず、ECU13に含まれている。マイコン22の接続は実施形態1と同様である。
実施形態5における給電制御装置10及びECU13は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
なお、実施形態1~4それぞれにおける電源システム1は、ECU13を備えてもよい。この場合、実施形態5と同様に、マイコン22は、給電制御装置10に含まれておらず、ECU13に含まれている。
<変形例>
実施形態1~5において、ヒューズ20、スイッチ器21、電線W及び負荷12を含む回路の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。回路の数が2以上である場合において、全てのスイッチ器21の半導体スイッチ30がオンであるとき、直流電源11の正極から出力された電流は、複数の電流に分けられる。複数の電流それぞれは複数のスイッチ器21に入力される。各回路では、電流は、ヒューズ20、半導体スイッチ30及び電線Wを介して流れる。
複数のスイッチ器21それぞれは、電線電流値を示す電流情報をマイコン22に出力する。マイコン22の制御部83は、複数の回路それぞれについて、給電制御処理及び電線保護処理を実行する。
実施形態1において、ヒューズ20が有する端子41の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。例えば、ヒューズ20が3つの端子41を有する場合、3つの端子41は、板面が揃っている状態で、左右方向に一列に並べられる。左側の端子41及び中央の端子41に1つの溶断部42が接続される。中央の端子41及び右側の端子41に他の溶断部42が接続される。中央の端子41に直流電源11の正極が接続される。ヒューズ20が3つの端子41を有する場合、電源システム1は2つの負荷12を有する。2つの負荷12それぞれに2つの電線Wが接続されている。給電制御装置10は、2つの半導体スイッチ30及び2つの駆動回路31を有する。
一方の半導体スイッチ30のドレイン、ソース及びゲートそれぞれは、ヒューズ20の左側の端子41、一方の電線Wの一端及び一方の駆動回路31に接続される。電線Wの他端は一方の負荷12の一端に接続されている。他方の半導体スイッチ30のドレイン、ソース及びゲートそれぞれは、ヒューズ20の右側の端子41、他方の電線Wの一端及び他方の駆動回路31に接続される。電線Wの他端は他方の負荷12の一端に接続されている。2つの負荷12の他端は接地される。
一方の半導体スイッチ30がオンである場合、電流は、直流電源11の正極から、ヒューズ20の一方の溶断部42、一方の半導体スイッチ30、一方の電線W及び一方の負荷12の順に流れる。他方の半導体スイッチ30がオンである場合、電流は、直流電源11の正極から、ヒューズ20の他方の溶断部42、他方の半導体スイッチ30、他方の電線W及び他方の負荷12の順に流れる。マイコン22は、ハイレベル電圧又はローレベル電圧を2つの駆動回路31それぞれに出力する。2つの駆動回路31それぞれは、マイコン22の出力電圧に応じて、2つの半導体スイッチ30をオン又はオフに切替える。これにより、2つの負荷12への給電が各別に制御される。2つの駆動回路31それぞれは、2つの電線Wの電線電流値に基づいて2つの半導体スイッチ30をオフに切替える。マイコン22それぞれは、2つの電線Wそれぞれの電線温度に応じて、2つの駆動回路31に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。
実施形態1~5において、半導体スイッチ30は、Nチャネル型のFETに限定されない。半導体スイッチ30は、Pチャネル型のFET又はバイポーラトランジスタ等であってもよい。実施形態3,4において、ヒューズ20は、実施形態1と同様に、直流電源11の正極と、半導体スイッチ30のドレインとの間に配置されてもよい。
実施形態1~5において、電線Wの電線温度を、例えばセンサを用いて検出してもよい。この場合、マイコン22の制御部83は電線温度を算出する必要はない。電線保護処理では、制御部83は、電線温度が温度閾値以上である場合、半導体スイッチ30のオフへの切替えを出力部80に指示して、禁止フラグの値を1に変更する。
開示された実施形態1~5はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電源システム
10 給電制御装置
11 直流電源
12 負荷
20 ヒューズ
21 スイッチ器
22 マイコン
30 半導体スイッチ
31 駆動回路(切替え回路)
32 電流検出部
33 シャント抵抗
40 ハウジング
40a 開口
41 端子
42 溶断部
50 金属体
51 端子メッキ
61 第1板部分
62 第2板部分
70 絶縁基板
70a 貫通孔
71 基板メッキ
72 配線パターン
73 レジスト
80 出力部
81 A/D変換部
82 記憶部
83 制御部(処理部)
84 内部バス
A 記憶媒体
B 回路基板
C 車両
H 半田
P コンピュータプログラム

Claims (8)

  1. 電線を介した給電を制御する給電制御装置であって、
    前記電線を介して流れる電線電流の電流経路に配置されているヒューズ及び半導体スイッチと、
    前記ヒューズ及び半導体スイッチが取り付けられる回路基板と、
    処理を実行する処理部と
    を備え、
    前記ヒューズは、
    前記回路基板に半田によって接続される複数の端子と、
    前記複数の端子中の2つの端子間に接続される溶断部と
    を有し、
    前記複数の端子中の2つの端子は前記電流経路に配置され、
    前記溶断部は、前記溶断部の温度に応じて溶断され、
    前記処理部は、前記電線の電線温度に応じて前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示する
    給電制御装置。
  2. 前記処理部は、前記電線温度が温度閾値以上の温度となった場合に前記半導体スイッチのオフへの切替えを指示し、
    前記半導体スイッチがオンである場合にて、前記溶断部が溶断される前に前記電線温度が前記温度閾値以上の温度となる
    請求項1に記載の給電制御装置。
  3. 前記ヒューズは、前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆うハウジングを有し、
    前記ハウジングは、300度以上の耐熱性を有する
    請求項1又は請求項2に記載の給電制御装置。
  4. 前記回路基板は、
    絶縁基板と、
    前記絶縁基板を貫通する複数の貫通孔と、
    前記絶縁基板を覆う複数の基板メッキと
    を有し、
    前記ヒューズが有する複数の端子それぞれは、複数の貫通孔に挿入されており、前記半田によって、前記回路基板が有する前記複数の基板メッキに接続される
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電制御装置。
  5. 前記複数の端子それぞれは、
    金属体と、
    前記金属体の表面を覆う錫製の端子メッキと
    を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の給電制御装置。
  6. 前記半導体スイッチをオン又はオフに切替える切替え回路を備え、
    前記切替え回路は、前記ヒューズが有する前記溶断部の両端間の両端電圧値が所定電圧値以上の値となった場合に前記半導体スイッチをオフに切替える
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の給電制御装置。
  7. 前記処理部は、前記ヒューズが有する前記溶断部の両端間の両端電圧値に基づいて、前記電線温度を繰り返し算出する
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の給電制御装置。
  8. 前記ヒューズは、前記複数の端子の一部及び前記溶断部を覆うハウジングを有し、
    前記複数の端子それぞれは、
    一部が前記ハウジングによって覆われている長板状の第1板部分と、
    前記第1板部分に連結している第2板部分と
    を有し、
    前記複数の端子それぞれについて、前記第1板部分の一方の端部は前記ハウジングの共通の一面から突出しており、
    前記第2板部分は、前記ハウジングから突出している前記第1板部分の先端面の一部分から突出しており、
    前記回路基板は複数の貫通孔を有し、
    前記複数の端子それぞれの前記第2板部分は前記複数の貫通孔に挿入され、
    前記複数の端子それぞれの前記第1板部分は前記回路基板に当たっている
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の給電制御装置。
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