JP2023052802A - 接続コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】プライミングの操作が良好であり、プライミング後における液体の暴露や漏出も抑えられる、新規な構造の接続コネクタを提供する。【解決手段】液体流路12を形成する複数の接続ポート14,16,18と、少なくとも一つの接続ポート18を他の接続ポート14,16に対して連通及び遮断する切換弁20とを、有している接続コネクタ10において、切換弁20で連通及び遮断される接続ポート18には、内部の液体流路12を外部空間に連通せしめるエア通路62が設けられていると共に、エア通路62におけるエアの通過を許容し且つ液体の通過を阻止するフィルタ64が設けられている。【選択図】図5

Description

本発明は、医療分野における液体流路に用いられる接続コネクタに関するものである。
従来から、医療分野における液体流路では、薬液などの液体の投与中または投与後に別の液体を投与する場合など、メインとなる流路に対してサブの流路を接続する場合に、複数の接続ポートを有する接続コネクタが用いられる。具体的には、例えば特開2010-148757号公報(特許文献1)の図1,2に記載された三方活栓が知られている。
一般に、三方活栓は、二つの接続ポート間に形成されるメインの液体流路に対して、別の一つの接続ポートで形成されるサブの液体流路を連通および遮断する切換弁を有している。そして、例えば抗がん剤を投与する場合には、メインの液体流路を通じて前投薬の薬液が投与されるとともに、当該前投薬の前後または投与中に、サブの液体流路を通じて抗がん剤が投与される。
ところで、抗がん剤は薬液バッグ等に封入されており、当該薬液バッグから延びるチューブの先端に設けられた雄コネクタを、三方活栓においてサブの液体流路を構成する雌コネクタへ接続することによって、メインの液体流路に接続される。
ここにおいて、抗がん剤の薬液流路を三方活栓へ接続する際には、流路内の残留空気の混入を防止する目的でプライミング操作が行われる。プライミング操作は、例えば薬液バッグから延びるチューブの先端の雄コネクタに、空気抜きフィルタを備えたプライミングキャップを装着した状態で、抗がん剤を薬液バッグから流出させてプライミングキャップから空気を排出させることによって実行される。あるいは、チューブ上に設けた混注管へチューブ先端の雄コネクタを接続して循環ラインを形成し、当該循環ラインに抗がん剤を循環流動させることで空気を医療用バッグ内に排出させる方法も提案されている。
ところが、このような従来のプライミングの方法では、何れも、プライミングの終了後に、プライミングキャップを取り外したり、循環ラインから雄コネクタを外したりした後、雄コネクタをメインの液体流路に接続し直す必要があった。そのために、プライミング操作が面倒であり、また、プライミング後に取り外した雄コネクタにおいて抗がん剤の外部への暴露や漏出のおそれもあった。
特開2010-148757号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題とするところは、プライミングの操作が良好であり、プライミング後における液体の暴露や漏出も抑えられる、新規な構造の接続コネクタを提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明の第1の態様は、液体流路を形成する複数の接続ポートと、少なくとも一つの該接続ポートを他の該接続ポートに対して連通及び遮断する切換弁とを、有している接続コネクタにおいて、前記切換弁で連通及び遮断される前記接続ポートには、内部の前記液体流路を外部空間に連通せしめるエア通路が設けられていると共に、該エア通路におけるエアの通過を許容し且つ液体の通過を阻止するフィルタが設けられていることを特徴とするものである。
本態様に従う構造とされた接続コネクタによれば、接続ポートに接続された液体流路から液体を流入させることで、混入した空気がフィルタを通じて外部空間に排出されて、プライミングが達成される。それ故、本態様では、プライミングの終了後に雄コネクタを取り外したり接続し直したりする必要もなく、プライミングの操作が容易になると共に、プライミング後の液体の暴露や漏出も抑えられる。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る接続コネクタにおいて、相互に連通された第一及び第二の接続ポートによる液体流路に対して、第三の接続ポートが前記切換弁によって連通及び遮断されることで混注部が構成されているものである。
本態様に従う構造とされた接続コネクタは、例えば三方活栓に適用されることから、液体流路に対して混注部を通じて液体を追加的に投与することができる。
本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る接続コネクタにおいて、前記切換弁で連通及び遮断される前記接続ポートには、開口部分を封止する弾性弁が設けられており、該弾性弁を貫通して外部から中空の接続針が挿通される接続部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた接続コネクタによれば、接続針の挿通前における接続ポートの開口部分の封止が弾性弁により達成されて異物などの混入が防止されるとともに、液体の投与後に接続針を抜去することで弾性弁により接続ポートの開口部分の再封止も達成される。
本発明の第4の態様は、前記第1~第3の何れかの態様に係る接続コネクタであって、前記切換弁で連通及び遮断される前記接続ポートにおいて、他の接続ポートへの接続側端部に近い位置に前記エア通路が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた接続コネクタによれば、エア通路が他の接続ポートへの接続側端部に近い位置、即ち接続ポートの開口部位又は封止部位から遠い位置に設けられることから、雄コネクタとの間の気泡の抜け性の悪化や、接続ポート内に流動せしめられた液体によるエア通路の閉塞などのおそれが低減され得る。
本発明の第5の態様は、前記第1~第4の何れかの態様に係る接続コネクタにおいて、前記エア通路には、外部への開口部を覆うキャップが着脱可能に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた接続コネクタによれば、プライミング後にエア通路の開口部にキャップを装着することで、エア通路を通じての液体の暴露や漏出、接続ポート内への空気の再混入などがより確実に防止され得る。
本発明に従う構造とされた接続コネクタによれば、プライミングの操作が容易になると共に、プライミング後に雄コネクタを取り外したり接続し直す必要もなく、プライミング後の液体の暴露や漏出が抑えられる。
本発明の1実施形態としての接続コネクタを示す平面図。 図1に示された接続コネクタにおける底面図。 図1に示された接続コネクタにおける右側面図。 図3におけるIV-IV断面図。 図2におけるV-V断面図。 図1に示された接続コネクタにおける混注部に雄コネクタを接続した状態を示す縦断面図。 図6に示された接続コネクタにおいてエア通路の外部への開口部を覆うキャップが取り付けられた状態を示す縦断面図。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1~5には、本発明に係る接続コネクタの1実施形態として三方活栓10が示されている。この三方活栓10は、液体流路12を形成する第一の接続ポート14と第二の接続ポート16と第三の接続ポート18とを有しているとともに、これら3つの接続ポート14,16,18のうちの少なくとも一つを他の接続ポートに対して連通および遮断する切換弁20を備えている。なお、以下の説明において、上下方向とは、図1中の紙面手前奥方向をいう。
より詳細には、三方活栓10は、ホルダ22にコック24が取り付けられた構造とされている。
このホルダ22は、上下方向に延びる略筒形状のホルダ本体26を備えているとともに、当該ホルダ本体26の上下方向中央部分からは、周上の3か所において、管体が径方向外方に突出して形成されており、これら3つの管体により第一、第二、第三の接続ポート14,16,18が構成されている。本実施形態では、第一の接続ポート14がホルダ本体26から、図1中の右方に突出している一方、第二の接続ポート16がホルダ本体26から、図1中の左方に突出している。また、第三の接続ポート18がホルダ本体26から、図1中の上方に突出している。すなわち、第一の接続ポート14と第二の接続ポート16とがホルダ本体26を介して略直線状に延びているとともに、第三の接続ポート18が、ホルダ本体26から、これら第一および第二の接続ポート14,16に対して直交する方向に延び出している。そして、これら第一、第二、第三の接続ポート14,16,18が、ホルダ本体26の内周面に開口している。なお、本実施形態では、ホルダ本体26の内周面における下端部分において、内周側に突出する環状の係止爪27が設けられている。
ここにおいて、本実施形態では、第一の接続ポート14が雌ルアーとされており、例えばシリンジや雄コネクタなどの雄ルアーが外部から接続可能とされている。特に、第一の接続ポート14の径方向外方端(ホルダ本体26からの突出方向先端)の開口部における外周面には、雄ねじ部28が形成されており、ルアーロックタイプのシリンジや雄コネクタなどが接続可能とされている。
また、第二の接続ポート16は雄ルアーとされており、例えばコネクタなどの雌ルアーに対して接続可能とされている。特に、第二の接続ポート16には、略筒状のロックアダプタ30が外挿装着されており、当該ロックアダプタ30の内周面には雌ねじ部32が形成されている。これにより、第二の接続ポート16には、ルアーロックタイプの雌コネクタなどが接続可能とされている。本実施形態では、第二の接続ポート16の外周面に突部が設けられているとともに、ロックアダプタ30の内周面に突部が設けられており、これら両突部が係合することで、第二の接続ポート16からのロックアダプタ30の脱落が防止されている。また、ロックアダプタ30の外周面には凹凸が付されており、第二の接続ポート16の雌コネクタへの接続時に、使用者がロックアダプタ30を把持し易いようになっている。
さらに、第三の接続ポート18は、例えばシリンジや雄コネクタなどの雄ルアーが外部から接続可能とされている。特に、第三の接続ポート18の径方向外方端(ホルダ本体26からの突出方向先端)の開口部には、医療用コネクタ34が取り付けられている。この医療用コネクタ34の構造は何等限定されるものではないが、本実施形態では、医療用コネクタ34のハウジング36が、外内のハウジング38,40からなる分割構造とされており、これら外内のハウジング38,40に弾性弁42が挟まれて支持されている。そして、当該弾性弁42を挟んだ状態で外内のハウジング38,40が第三の接続ポート18の開口部に固定されることで、医療用コネクタ34の開口部分が弾性弁42により封止されている。要するに、第三の接続ポート18の開口部分が、医療用コネクタ34の弾性弁42により封止されている。なお、本実施形態では、外側ハウジング38の外周面に雄ねじ部44が設けられており、医療用コネクタ34(第三の接続ポート18)に対して、ルアーロックタイプのシリンジや雄コネクタが接続可能とされている。また、医療用コネクタ34の第三の接続ポート18への取付構造は何等限定されるものではないが、例えば医療用コネクタ34及び/又は第三の接続ポート18には、取り付けられることで相互に脱離不能とされるロック機構が設けられてもよい。
さらに、第三の接続ポート18の内部には、切換弁20(コック24)が嵌合装着されるホルダ本体26の内周面から、第三の接続ポート18内を開口部(弾性弁42)に向かって突出する案内壁45が形成されている。案内壁45は、第一および第二の接続ポート14,16間を繋ぐ液体流路12に対して直交する平面上に広がっており、第三の接続ポート18の内部流路を二分するようになっている。そして、図4に示されるように、切換弁20(後述する連通溝52)により第一~第三の接続ポート14,16,18が相互に連通された状態では、第一および第二の接続ポート14,16間を繋ぐ液体流路12を流動する液体が、案内壁45の表面に沿って第三の接続ポート18内の液体流路12を回り込むように案内されることで、第三の接続ポート18内における液体(混注液を含む)の滞留が防止されるようになっている。なお、図5~7では、図2におけるV-V断面線が、第三の接続ポート18の中心軸を側方に外れた位置とされることで、案内壁45を避けて図示されている。
更にまた、弾性弁42の中央部分にはスリット46が設けられており、当該スリット46に、後述する雄コネクタ66の接続針68が挿通されることで、雄コネクタ66と第三の接続ポート18(三方活栓10)とが相互に連通状態とされるとともに、スリット46から接続針68が抜去されることでスリット46が閉鎖されて医療用コネクタ34(第三の接続ポート18)の開口部分が封止されるようになっている。
一方、コック24は、上下方向に延びる略筒形状の挿入部48を備えているとともに、当該挿入部48の軸方向中間部分には、上下方向と直交する方向に広がる中間板部50が形成されている。かかる挿入部48の外径寸法は、ホルダ本体26の内径寸法と略等しいか僅かに大きくされている。そして、挿入部48において、中間板部50の形成位置における外周面には、外周側に開口して周方向に延びる連通溝52が形成されている。この連通溝52は、コック24がホルダ22に取り付けられた状態において、ホルダ本体26の内周面における第一、第二、第三の接続ポート14,16,18の開口位置と上下方向で略等しい位置に形成されており、略半周の周方向長さをもって形成されているとともに、溝幅寸法(上下方向寸法)が、ホルダ本体26の内周面における第一、第二、第三の接続ポート14,16,18の開口幅と略等しい大きさとされている。
また、挿入部48の上端には、周上の3か所において、径方向外方に突出するレバー54,54,54が設けられている。これらレバー54,54,54は、連通溝52と周上で対応する位置に形成されており、即ち、連通溝52の周方向両端部と対応する位置において一対のレバー54,54が相互に反対向きに突出しているとともに、連通溝52の周方向中央部分において1つのレバー54が突出している。要するに、3つのレバー54,54,54のうち、2つのレバー54,54が同一直線上に位置するように突出しているとともに、残りの1つのレバー54が、これら2つのレバー54,54に対して直交する方向に突出している。
さらに、挿入部48の下端における外周面には、下方に向かって外径寸法が次第に小さくなるテーパ面56が設けられているとともに、当該テーパ面56の上方には、外周側に開口する環状の係止溝58が設けられている。かかるテーパ面56や係止溝58が設けられることにより、挿入部48の下端部分が比較的薄肉とされており、当該挿入部48の下端部分が径方向で弾性変形可能となっている。
かかる構造とされたコック24の挿入部48が、ホルダ22のホルダ本体26に対して上方から略圧入状態で挿入されることで、コック24がホルダ22に対して取り付けられている。本実施形態では、挿入部48の下端部分のテーパ面56がホルダ本体26の内周面の係止爪27に当接することで挿入部48の下端部分が内周側に弾性変形させられるとともに、係止爪27がテーパ面56を乗り越えることで挿入部48の下端部分が弾性的に復元変形して、係止爪27が係止溝58に係止され、ホルダ22からのコック24の脱落が防止されるようになっている。かかるコック24のホルダ22への取付状態では、ホルダ22に対してコック24が、上下方向に延びるホルダ本体26の中心軸回りに回動可能とされている。
ここにおいて、図1~5に示される状態では、コック24の上端から突出するレバー54,54,54が、ホルダ22から突出する第一、第二、第三の接続ポート14,16,18と対応する位置に設けられている。すなわち、連通溝52の周方向両端部に対して、ホルダ本体26の内周面における第一および第二の接続ポート14,16の開口部が接続されているとともに、連通溝52の周方向中央部分に対して、ホルダ本体26の内周面における第三の接続ポート18の開口部が接続されている。したがって、図1~5に示される状態では、第一、第二、第三の接続ポート14,16,18が、連通溝52によって連通されている。
なお、かかる図1~5に示された状態からコック24をホルダ22に対して中心軸回りに180度回動させる(即ち、図1中上方に突出するレバー54を図1中下方に突出するように回動させる)ことにより、第一の接続ポート14と第二の接続ポート16との連通状態は維持される一方、ホルダ本体26の内周面における第三の接続ポート18の開口部が、挿入部48において連通溝52が形成されていない部分により閉塞されるようになっている。すなわち、第一の接続ポート14と第二の接続ポート16とを含んでメインの液体流路12が構成されるとともに、当該液体流路12に対しての第三の接続ポート18の連通および遮断を切り換える切換弁20が、コック24の挿入部48における周上において連通溝52が設けられている部分と設けられていない部分とを含んで構成されている。要するに、相互に連通された第一の接続ポート14と第二の接続ポート16とを含んでなる液体流路12に対して、切換弁20を切り換えることで、サブの流路となる第三の接続ポート18が適宜連通されたり遮断されたりされるようになっており、液体流路12に対して、必要に応じて、第三の接続ポート18を通じて液体が混注されるようになっている。したがって、本実施形態では、切換弁20を切り換えることによって液体流路12に対して連通および遮断される混注部が、第三の接続ポート18により構成されている。
尤も、かかる切換弁20は、第三の接続ポート18の連通および遮断を切り換えるだけでなく、第一の接続ポート14および第二の接続ポート16における連通および遮断を切り換えることも可能である。すなわち、コック24においてレバー54が延びる方向のポートが連通される(換言すれば、レバー54が突出していない方向のポートが遮断される)ことから、例えば図1の状態からコック24を反時計回りに90度回転させることで第一の接続ポート14のみ遮断することが可能であるし、図1の状態からコック24を時計回りに90度回転させることで第二の接続ポート16のみ遮断することが可能である。すなわち、切換弁20は、第一、第二、第三の接続ポート14,16,18のうち、少なくとも一つの接続ポートを他の接続ポートに対して連通および遮断することが可能とされている。
かかる三方活栓10において、本実施形態のホルダ本体26には、周上の一部(図2中の上方)が厚肉とされた厚肉部60が設けられている。すなわち、当該厚肉部60は、ホルダ本体26において第三の接続ポート18が突出する方向と同方向に設けられており、厚肉部60が、第三の接続ポート18から下方に連続して延び出している。本実施形態では、かかる厚肉部60が略半円形状をもって形成されており、厚肉部60の下端がホルダ本体26の下端と上下方向で略等しい位置にある。
そして、この厚肉部60の略中央部分には、上下方向で貫通する円形の貫通孔62が形成されている。すなわち、貫通孔62の上方端が第三の接続ポート18の内面に開口しており、第三の接続ポート18の内部空間と外部空間とが、貫通孔62により連通されている。これにより、本実施形態では、第三の接続ポート18の内部空間を外部空間に連通するエア通路が貫通孔62により構成されている。特に、本実施形態では、かかる貫通孔62の、第三の接続ポート18の内面における開口部が、第三の接続ポート18における医療用コネクタ34と反対側の端部、即ち他の接続ポート(第一および第二の接続ポート14,16)へ接続される側の端部に近い位置に設けられている。なお、貫通孔62は、内径寸法が略一定のストレート形状とされてもよいし、例えば第三の接続ポート18に向かって次第に小径となるテーパ形状とされてもよい。
ここにおいて、当該貫通孔62の内部には、略円柱状のフィルタ64が設けられている。このフィルタ64は、気体の通過を許容し、且つ液体の通過を阻止する性質を有している。かかるフィルタ64としては、上記性質を有していれば何等限定されるものではないが、例えばポリエチレンなどの高分子材料と親水性、水溶性または水膨潤性ポリマーを含む材料とを焼結してなる焼結多孔体や、疎水性不織布、多孔質体等が好適に採用され得る。特に、フィルタ64として、高吸水性高分子(SAP)を含有する焼結体が採用される場合には、水分がフィルタ64に触れるまでの初期状態では気体を通過させるとともに、水分がフィルタ64に触れると水と反応して(水分を吸収して)膨潤することで気体の通過も阻止することから、後述するエア抜き、ならびに薬液などの液体の暴露および漏出防止効果が安定して発揮され得る。なお、配設前のフィルタ64の外径寸法は貫通孔62の内径寸法よりも大きくされることが好適であり、フィルタ64が径方向で圧縮された状態で貫通孔62内に配設されることで、フィルタ64が貫通孔62内で位置決めされ得るとともに、液体の不透過性の向上などが図られ得る。また、フィルタは、本実施形態の如き立体的なフィルタ64の他、例えば平面的なメンブラン構造のフィルタなども採用可能である。なお、フィルタの形状は貫通孔の形状に略対応するものであってもよいし、例えば貫通孔とフィルタとを相互にテーパ角度の異なるテーパ形状として、フィルタを貫通孔内に配設した際にテーパ嵌合により位置決め固定されるようになっていてもよい。また、フィルタ形状による固定に限るものでなく、別の部材でフィルタを固定してもよい。
以上の如き構造とされた本実施形態の三方活栓10は、例えば抗がん剤などの薬液の投与に用いられる。すなわち、コック24(切換弁20)を操作して第三の接続ポート18を遮断した状態で、第一の接続ポート14に対して、抗がん剤の副作用などを緩和或いは予防する薬液が封入されたバッグから延びるチューブの端部に設けられた雄コネクタが接続されるとともに、第二の接続ポート16に対して、患者に挿通されるカテーテルの端部から延びるチューブの端部に設けられた雌コネクタが接続される。これにより、患者に対して、抗がん剤の副作用などを緩和或いは予防する薬液が投与される(前投薬)。
その後、図6に示されるように、第三の接続ポート18の医療用コネクタ34に対して、抗がん剤が封入されたバッグから延びるチューブの端部に設けられた雄コネクタ66を接続する。
なお、雄コネクタ66の構造は何等限定されるものではないが、医療用コネクタ34への接続前において、雄コネクタ66内の流路が遮断されているものが好ましい。本実施形態の雄コネクタ66は、雄ルアーの機能を有する中空の接続針68を備えており、当該接続針68の基端が、略筒状のハウジング70に固定されている。また、かかる筒状のハウジング70の内周面には、医療用コネクタ34の雄ねじ部44と螺合する雌ねじ部78が設けられている。
かかる構造とされた雄コネクタ66を医療用コネクタ34に接続するには、先ず、医療用コネクタ34の雄ねじ部44と雄コネクタ66の雌ねじ部78とを螺合させる。これにより、接続針68の先端部分が弾性弁42を貫通して、医療用コネクタ34の内部へと挿し入れられる。すなわち、本実施形態では、弾性弁42を貫通して外部から中空の接続針68が挿通される接続部が、医療用コネクタ34を含んで構成されている。なお、雄コネクタ66と医療用コネクタ34との接続に際しては、医療用コネクタ34を上方に向けて雄コネクタ66を上方から接続すると操作が行い易いが、三方活栓10の向きは何等限定されるものではない。
ここにおいて、雄コネクタ66の基端側開口部80には、図示しない抗がん剤が封入されたバッグから延びるチューブの端部に設けられた雄コネクタが接続されており、バッグの内部空間と接続針68の内孔が連通されているとともに、当該接続針68の内孔が、接続針68の先端部分に設けられた開口部を通じて医療用コネクタ34および第三の接続ポート18内に連通されている。これにより、バッグ内に封入された抗がん剤が医療用コネクタ34および第三の接続ポート18内に流入せしめられて、抗がん剤に押し出された空気が貫通孔62を通じて外部空間に排出される。特に、使用者が、三方活栓10を上下反転させるなどして第三の接続ポート18の開口部側(医療用コネクタ34が設けられている側)を下方に向けることにより、雄コネクタ66のハウジング70および第三の接続ポート18内の気泡がコック24側に上昇して、貫通孔62を通じて外部空間に効率的に排出される。この結果、抗がん剤の投与前における医療用コネクタ34および第三の接続ポート18のプライミングが達成される。一方、貫通孔62内にはフィルタ64が設けられていることから、貫通孔62を通じての抗がん剤の暴露や漏出は防止されている。なお、プライミング時において、第一の接続ポート14と第二の接続ポート16とは連通状態であってもよいし、遮断状態であってもよく、前投薬の実施中や実施の前後にプライミングが行われ得る。
そして、上記のように第三の接続ポート18および医療用コネクタ34のプライミングが完了した後に、コック24(切換弁20)を操作して第三の接続ポート18を液体流路12に対して連通状態とすることで、気泡が液体流路12内に混入することなく、抗がん剤が患者に投与される。なお、その際、第一の接続ポート14は、切換弁20により遮断されていてもよいし、連通状態が維持されていてもよい。また、抗がん剤の投与後は、雄ねじ部44と雌ねじ部78の螺合を解除して医療用コネクタ34から雄コネクタ66を取り外すことで、スリット46が弾性的に復元変形して医療用コネクタ34の開口部分が再封止される。尤も、雄コネクタ66の医療用コネクタ34への接続後は、雄コネクタ66は医療用コネクタ34から取外し不能とされてもよく、単回使用として、抗がん剤の投与後は雄コネクタ66と医療用コネクタ34(三方活栓10)とを併せて廃棄してもよい。このような態様を採用することで、薬液の暴露や漏出がより確実に防止され得る。
なお、プライミングの完了後には、図7に示されるように、貫通孔62における外部への開口部(下方開口部)81が、キャップ82で覆われることが好ましい。すなわち、本発明に係るフィルタ64としては、気体は通過させるが液体は通過させないフィルタが採用されるが、当然として如何なる状態においても完全な液密性を有するものではなく、フィルタの液体不透過性能の限界は存在することから、液体がフィルタに対して過剰に大きな圧力で接する場合、フィルタの液体不透過性能の限界を超えれば液体(薬液)がフィルタを通過し得る。ここにおいて、貫通孔62における外部への開口部81がキャップ82で覆われることにより、貫通孔62を通じての抗がん剤などの薬液の暴露や漏出が一層確実に防止されるとともに、貫通孔62を通じて第三の接続ポート18内へ空気が混入することも防止され得る。なお、貫通孔62における外部への開口部81を覆い得る形状であればキャップ82の形状は何等限定されるものではないが、本実施形態では、ホルダ本体26の下方開口部と貫通孔62の下方開口部81とを同時に覆い得る形状とされている。すなわち、キャップ82は、ホルダ本体26の下方開口部と貫通孔62の下方開口部81とを覆う底壁部84を備えているとともに、当該底壁部84には、上方に突出する略環状の嵌合突部86と略円形の挿入突部88とが設けられている。そして、かかる嵌合突部86が、ホルダ本体26と挿入部48の下端におけるテーパ面56との環状の隙間に嵌め入れられるとともに、挿入突部88が、貫通孔62の下方開口部81に対して下方から挿入されることで、キャップ82がホルダ本体26の下方に取り付けられて、ホルダ本体26の下方開口部と貫通孔62の下方開口部81が底壁部84により覆蓋されるようになっている。キャップ82は、ホルダ本体26内と外気とが通気しないように密封可能に構成されており、ホルダ本体26内の薬剤が気化して外部に出ないようになっていることが好ましい。なお、このキャップ82は取外し可能とされており、例えば雄コネクタ66を医療用コネクタ34から取り外した後に、ホルダ本体26から取り外される。また、キャップ82は、ホルダ本体26と固定するようであってもフィルタ64を固定する別部材と固定するようであってもよい。
尤も、キャップ82は、ホルダ本体26の下方開口部と貫通孔62の開口部81に対して初めから取外し不能に取り付けられていてもよい。すなわち、上記の如き形状とされたキャップ82において挿入突部88の外周面に溝が設けられて、当該溝を通じてプライミング時に医療用コネクタ34および第三の接続ポート18内の空気が外部空間に排出されるようになっていてもよい。また、このようにキャップ82を初期から設ける態様とすることで、挿入突部88によりフィルタ64を貫通孔62内に押し込むように配設することが可能となる。上述の如きプライミングの完了後にキャップ82を嵌め込む態様であっても、又は初めからキャップ82が固定的に取り付けられている態様であっても、キャップ82が設けられることで、抗がん剤などの薬液に接触したフィルタ64に対して外部から干渉することが不能とされることから、薬液の暴露や漏出が効果的に防止され得る。
上記の如き構造とされた本実施形態の三方活栓10では、プライミングの終了後に、医療用コネクタ34(第三の接続ポート18)から雄コネクタ66を取り外すことなく、切換弁20を切り換えることで抗がん剤などの薬液が投与されることから、プライミングキャップや循環ラインなどによるプライミングのように終了後に雄コネクタを取り外して液体流路に接続し直す場合に比べて、薬液の暴露や漏出が防止され得る。
また、本実施形態では、第三の接続ポート18に弾性弁42を有する医療用コネクタ34が設けられており、第三の接続ポート18の開口部分が弾性弁42で封止されていることから、雄コネクタ66の接続前において第三の接続ポート18内に異物が混入することが防止される。また、接続針68の抜去後においても第三の接続ポート18の開口部分が弾性弁42で封止されることから、第三の接続ポート18内に残留する抗がん剤などの薬液の暴露や漏出が防止され得る。
さらに、本実施形態では、第三の接続ポート18を外部に連通する貫通孔62が、第三の接続ポート18において他の接続ポート(第一、第二の接続ポート14,16)へ接続される側の端部、即ち医療用コネクタ34が設けられる側と反対側の端部に近い位置に設けられていることから、プライミング中に貫通孔62が第三の接続ポート18内に流入せしめられる液体で閉鎖されるなどの不具合が回避されて、抗がん剤などの液体により押し出されることで第三の接続ポート18内の空気が安定して排出され得る。
更にまた、プライミング終了後に貫通孔62の外部への開口部をキャップ82で覆うことで、貫通孔62を通じた薬液の暴露や漏出、および第三の接続ポート18内への空気の混入が防止され得る。なお、キャップ82は、紐などにより三方活栓10へ連結されていてもよいし、例えば貫通孔62の開口部81へ仮止めしておいた状態からプライミング後に貫通孔62内へ押し込むようになっていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
たとえば、前記実施形態では、コック24の挿入部48の外周面に連通溝52が形成されており、当該連通溝52を含んで切換弁20が構成されていたが、かかる態様に限定されるものではなく、従来公知の活栓の構造が何れも採用され得る。さらに、切換弁は、少なくとも一つの接続ポートを一時的に遮断するような構成であればよく、例えばアクチュエータで開くようなディスク弁や破壊可能な壁などで実現してもよい。
また、前記実施形態では、本発明に係る接続コネクタとして三方活栓10を例示したが、一方活栓や二方活栓、四方活栓などであってもよいし、これらの活栓が複数連続する多連活栓であってもよい。さらに、三方活栓とされる場合でも、エア通路およびフィルタが設けられる接続ポートは、混注部とされる第三の接続ポートに限定されるものではなく、第三の接続ポートに代えて、又は加えて、メインの液体流路を構成する第一の接続ポートや第二の接続ポートに設けられてもよい。
更にまた、前記実施形態では、第三の接続ポート18に対して別体とされた医療用コネクタ34が設けられていたが、かかる医療用コネクタは必須なものではない。また、弾性弁も必須なものではなく、設けられる場合であっても、例えば第三の接続ポートに直接設けられてもよい。
さらに、前記実施形態では、ホルダ本体26に対して厚肉部60が設けられて、当該厚肉部60を貫通する貫通孔62が設けられることで、第三の接続ポート18の内部空間と外部空間とを連通するエア通路が構成されていたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、第三の接続ポートに取り付けられる医療用コネクタのハウジングや、第三の接続ポートにおいて開口部に近い側の周壁を貫通してエア通路が設けられてもよい。このような態様が採用されることで、プライミング時において三方活栓10を上下反転させるなどの操作が省略され得る。
更にまた、前記実施形態では、プライミングの終了後に貫通孔62の外部への開口部を覆うキャップ82が設けられていたが、かかるキャップは必須なものではない。なお、このようなキャップが設けられることで、抗がん剤などの薬液が接触したフィルタに対して外部からアクセスすることが不能とされることから、薬液の暴露や漏出がより確実に防止され得る。
また、第三の接続ポートに接続される雄コネクタの構造は何等限定されるものではない。
なお、前記実施形態では、液体流路12を流動する流体として抗がん剤などの薬液が例示されていたが、水や血液、輸液などであってもよい。
また、本発明に係る接続コネクタには、プライミング時における切換弁の開放方向などを示す表示手段が設けられてもよい。
10:三方活栓(接続コネクタ)、12:液体流路、14:第一の接続ポート、16:第二の接続ポート、18:第三の接続ポート(混注部)、20:切換弁、34:医療用コネクタ(接続部)、42:弾性弁、62:貫通孔(エア通路)、64:フィルタ、81:開口部、82:キャップ

Claims (1)

  1. 液体流路を形成する複数の接続ポートと、少なくとも一つの該接続ポートを他の該接続ポートに対して連通及び遮断する切換弁とを、有している接続コネクタにおいて、
    前記切換弁で連通及び遮断される前記接続ポートには、内部の前記液体流路を外部空間に連通せしめるエア通路が設けられていると共に、該エア通路におけるエアの通過を許容し且つ液体の通過を阻止するフィルタが設けられていることを特徴とする接続コネクタ。
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