JP2023051843A - ゴム組成物とタイヤ - Google Patents

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Milan Marie-Laure Stephanie
ジョエル ダニエル デルビレ ジェローム
Joel Daniel Delville Jerome
シャルル ジャコビー クラウド
Charles Jacoby Claude
カンツ カルロ
Kanz Carlo
ジャン-マリー カーズ クリスティアン
Jean-Marie Kaes Christian
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【課題】グリップ力とヒステリシスのバランスが改善されたゴム組成物を提供すること。【解決手段】ゴム組成物及びそのようなゴム組成物からなるタイヤが開示されており、ゴム組成物は、70phr~100phrの少なくとも1種のスチレンブタジエンゴム;0phr~30phrの少なくとも1種のさらなるジエン系ゴム;40phr~200phrの少なくとも1種の充填剤;少なくとも5phrの水酸化アルミニウム;及び、少なくとも0.5phrのロジン系樹脂を含む。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、ゴム組成物に関する。特に、ゴム組成物は、タイヤ、例えばタイヤトレッドに使用することができる。
発明の背景
夏用タイヤの開発、特に高性能夏用タイヤの開発においては、ドライ及び/又はウェットグリップを含むグリップと転がり抵抗とのバランスを更に改善することが課題である。同時に、出荷されるタイヤも十分な堅牢性を有していることが望ましい。
この分野では、過去数十年にわたって改善がなされてきたが、上記の特性のバランスを改善するための顕著な余地が残されている。
発明の概要
本発明は、請求項1に記載のゴム組成物及び請求項10に記載のタイヤに関する。
従属する請求項は、本発明の好ましい実施形態に関する。
本発明の目的の1つは、改善されたグリップ及び制限されたヒステリシスのバランスを有するゴム組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、十分な引張強度を有し、グリップ性が良好で、ヒステリシスが制限された高度なゴム組成物を提供することである。
本発明の更に別の目的は、制限されたヒステリシス(又は転がり抵抗のそれぞれ)で、良好なウェットグリップ及びドライグリップを可能とし、任意に十分な引張強度を有するゴム組成物を提供することである。
本発明に係るゴム組成物は、ロジン系樹脂又はロジン酸系樹脂であって、ガムロジン及び二量化ガムロジンの1種又は2種以上をベースとするものを含むことが好ましい。
本発明に係るゴム組成物は、好ましくは、スチレンブタジエンゴムを、溶液重合されたスチレンブタジエンゴムとして含む。
本発明に係るゴム組成物は、好ましくは、ジエン系ゴムを、合成ポリイソプレン及び天然ゴムの1種又は2種以上として含む。
本発明に係るゴム組成物は、好ましくは、スチレンブタジエンゴムを、-51℃~-86℃の範囲内にあるガラス転移温度を有するスチレンブタジエンゴムとして含む。
本発明に係るゴム組成物は、好ましくは、充填剤として主にシリカを含む。
本発明に係るゴム組成物は、好ましくは、メルカプトシランを、好ましくは、10phr~20phrの範囲内で含む。
本発明に係るタイヤは、好ましくは、タイヤトレッド中に本発明に係るゴム組成物を含む。
したがって、第一の好ましい態様において、本発明は、好ましくは溶液重合された、70phr~100phrの少なくとも1種のスチレンブタジエンゴム、0phr~30phrの少なくとも1種の更なるジエン系ゴム、40phr~200phrの少なくとも1種の充填剤、少なくとも5phrの水酸化アルミニウム、及び少なくとも0.5phrのロジン系樹脂を含むゴム組成物に向けられる。
材料のこの組合せにより、グリップが大幅に向上することが見出された。また、濡れた状態でも乾いた状態でも乗り心地とハンドリング特性も改善されている。転がり抵抗やヒステリシス等のそれぞれの指標は、妥当なレベルに保たれている。このようなゴム組成物の引張強度についても同様である。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、5phr~80phrの水酸化アルミニウム、好ましくは5phr~50phrの水酸化アルミニウム、又は、更により好ましくは10phr~40phrの水酸化アルミニウムを含む。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、0.5phr~15phr、好ましくは0.5~10phr、又は、より好ましくは1phr~9phr、又は、更により好ましくは1phr~5phrのロジン系樹脂を含む。特に、驚くほど少量のロジン系樹脂でも、改善されたウェットグリップ及び/又はウェットハンドリング性能を有意にサポートできることが見出された。このような少量のロジンを使用することは、コストの観点からも有利である。
好ましい実施形態において、ロジン系樹脂又はロジン酸系樹脂は、1種以上のガムロジン及び二量化ガムロジンに基づく。
好ましい実施形態において、ロジン系樹脂又はロジン酸系樹脂は、70℃~160℃の範囲内に軟化点を有する。
本明細書中では、樹脂の軟化点は、ASTM E28又はそれに準じた方法に従って決定され、これは、環球式軟化点と呼ばれることもある。
好ましい実施形態において、ロジン系樹脂又はロジン酸系樹脂は、130~180の範囲内の酸価を有する。
好ましい実施形態において、ロジン系樹脂は、ガムロジンであり、これは場合により65℃~90℃、好ましくは70℃~85℃の範囲内の軟化点を有し、好ましくは140~180の範囲内の酸価を有する。
好ましい実施形態において、ロジン系樹脂又はロジン酸系樹脂は、二量化ガムロジンであり、これは場合により130℃~160℃、好ましくは140℃~150℃の範囲内の軟化点を有し、並びに、好ましくは130~160の範囲内の酸価を有し、更により好ましくは140~150の範囲内の酸価を有する。
好ましい実施形態において、ロジン系樹脂又はロジン酸系樹脂は、主にアビエチン酸を含む。二量化している場合には、それは主に二量化アビエチン酸を含む。
好ましい実施形態において、ロジン系樹脂又はロジン酸系樹脂は、主にアビエチン酸に基づく。
上記で用いたロジン系樹脂という用語は、ロジン又はロジン樹脂に置き換えることができる。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、20phr~80phrの樹脂又は牽引樹脂、例えば炭化水素樹脂を含む。
好ましい実施態様において、樹脂又は炭化水素樹脂は、DCPD樹脂、CPD樹脂、テルペン樹脂、C5樹脂、C9樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン-α-メチルスチレン、又はそれらの組合せのうちの1種以上から選択される。これらの樹脂は、任意に変性、特に芳香族的/C9変性、及び/又は完全に又は部分的に水素化されてもよい。
好ましい実施形態において、樹脂は、DCPD樹脂、CPD樹脂、C5樹脂又はそれらの組合せのうちの1種以上から選択される。好ましくは、樹脂は、DCPD樹脂であり、更により好ましくはC9変性DCPD樹脂である。このような樹脂は、任意に、部分的又は完全に水素化される。
好ましい実施形態において、スチレン-ブタジエンゴムは、溶液重合スチレン-ブタジエンゴムであり、及び/又はジエン系ゴムは、1種以上の合成ポリイソプレン及び天然ゴムである。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、好ましくは70phr~90phrの溶液重合スチレン-ブタジエンゴム、及び10phr~30phrの天然ゴム及び/又は合成ポリイソプレンを含む。このようなゴムマトリックスが、最も好ましいことが見出された。
好ましい実施形態において、スチレン-ブタジエンゴム又は溶液重合スチレン-ブタジエンゴムは、シリカへのカップリングのために官能化される。例えば、前記ゴムは、アミノ基、チオールエステル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、及びシリル基のうちの1種以上のリストから選択される1種以上の官能基を含んでいてもよい。
特に、前記ゴムは、少なくとも1種のチオール基及び少なくとも1種のアルコキシ基を含む基で官能化(好ましくは末端官能化)されていてもよい。
好ましい実施形態において、充填剤は、主にシリカを含む。
好ましい実施態様において、充填剤は、10phr未満(好ましくは5phr未満)のカーボンブラック及び少なくとも40phrのシリカを含む。
好ましい実施態様において、ゴム組成物は、少なくとも105phr(好ましくは少なくとも115phr)のシリカ及び10phr未満(好ましくは5phr未満)のカーボンブラックを含む。
好ましい実施形態において、(溶液重合されている)スチレンブタジエンゴムは、-51℃~-86℃の範囲内、好ましくは-61℃~-86℃の範囲内のガラス転移温度を有する。
好ましい実施態様において、ゴム組成物は、35℃~60℃の範囲内のガラス転移温度を有する20phr~80phrの樹脂又は炭化水素樹脂(例えば、本明細書に言及されたもの等)を含む。特に、ガラス転移温度が比較的低いポリマーと、ガラス転移温度が比較的高い樹脂との組合せが望ましいことが見出された。
本明細書において、樹脂のガラス転移温度は、ASTM D6604又はそれに準じた方法に従って、示差走査熱量計(DSC)により、毎分10℃の温度上昇速度でピーク中点として決定される。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、-75℃~-100℃の範囲内、好ましくは-75℃~-90℃の範囲内のガラス転移温度を有する1phr~9phrの植物油を含む。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、充填剤として主にシリカを含み、組成物は、メルカプトシラン(好ましくは、3-(オクタノイルチオ)-1-プロピルトリエトキシシラン等のブロック化メルカプトシラン)を、好ましくは1phr~20phrの範囲内、より好ましくは10phr~20phrの範囲内で更に含む。
好ましい実施態様において、ゴム組成物は、更にα、ω-ビス(N,N’-ジヒドロカルビルチオカルバモイルジチオ)アルカンを、好ましくは0.5phr~5phrの範囲内、又は、更により好ましくは1phr~4phrの範囲内で更に含む。
好ましい実施態様において、α,ω-ビス(N,N’-ジヒドロカルビルチオカルバモイルジチオ)アルカンは、1,2-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイル-ジチオ)エタン;1,3-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン;1,5-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイル-ジチオ)ペンタン;1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン;1,7-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン;1,8-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン;1,9-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン及び1,10-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンからなる群から選択される。好ましくは、α、ω-ビス(N,N’-ジヒドロカルビルチオカルバモイルジチオ)アルカンは、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンである。特に、このような化合物は、ゴム化合物の磨耗特性を更に改善するのに役立つことが、発明者らによって見出されている。
好ましい実施形態において、水酸化アルミニウムは、次のうちの1つ以上を有する:i)0.2μm~5μmの範囲内のD50粒子径、及びii)1m/g~20m/gの範囲内のBET表面積。特に、より大きなサイズの粒子は、それほど望ましくない場合がある。
水酸化アルミニウムの粒径は、ISO 22412又はそれに準じた方法に基づき、動的光散乱法を用いて、マルバーン社製のZetasizerTM Nano Sで測定をする。水酸化アルミニウム粒子のBET表面積は、ISO 9277又は同等な方法にて決定する。
好ましい実施形態において、シリカは、150m/g~220m/gの範囲内のBET表面積を有する。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、少なくとも1種及び/又は1種の追加のジエン系ゴムを含む。代表的な合成ポリマーは、ブタジエンの単独重合生成物、その同族体及び誘導体、例えば、メチルブタジエン、ジメチルブタジエン及びペンタジエン、並びにブタジエン又はその同族体又は誘導体と他の不飽和モノマーとから形成されるもの等の共重合体であり得る。後者の中には、アセチレン、例えば、ビニルアセチレン;オレフィン、例えば、イソプレンと共重合してブチルゴムを形成するイソブチレン;ビニル化合物、例えば、アクリル酸、アクリロニトリル(ブタジエンと重合してNBRを形成する)、メタクリル酸及びスチレン(後者化合物はブタジエンと重合してSBRを形成する)、並びにビニルエステル及び様々な不飽和アルデヒド、ケトン及びエーテル、例えば、アクロレイン、メチルイソプロペニルケトン、ビニルエチルエーテルがある。合成ゴムの具体例としては、ネオプレン(ポリクロロプレン)、ポリブタジエン(シス-1,4-ポリブタジエンを含む)、ポリイソプレン(シス-1,4-ポリイソプレンを含む)、ブチルゴム、クロロブチルゴム又はブロモブチルゴム等のハロブチルゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、1,3-ブタジエン又はイソプレンとスチレン、アクリロニトリル及びメタクリル酸メチル等のモノマーとの共重合体、並びにエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)としても知られるエチレン/プロピレンターポリマー、特にエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーが挙げられる。使用され得るゴムのさらなる例には、アルコキシシリル末端官能化溶液重合ポリマー(SBR、PBR、IBR及びSIBR)、ケイ素結合及びスズ結合星型分岐ポリマーが含まれる。好ましいゴム又はエラストマーは、一般に、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン及びSSBRを含むSBRであり得る。
好ましい実施形態において、シス-1,4-ポリイソプレンゴム(天然又は合成があるが、天然が好ましい)、3,4-ポリイソプレンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、乳化及び溶液重合由来のスチレン/ブタジエンゴム、シス-1,4-ポリブタジエンゴム、及び乳化重合で調製されたブタジエン/アクリロニトリルコポリマー等の2種以上のゴムの組合せが使用される。
好ましい実施態様において、乳化重合由来のスチレン-ブタジエンゴム(ESBR)は、20~28%の結合スチレン含有量を有するものを用いることができ、又はいくつかの用途では、中程度から比較的高い結合スチレン含有量、すなわち30~45%の結合スチレン含有量を有するESBRを用いることができる。多くの場合、ESBRの結合スチレン含有量は、26~31%の範囲内である。乳化重合で調製されたESBRとは、スチレン及び1,3-ブタジエンが水性エマルションとして共重合されることを意味することがある。結合スチレン含有量は、例えば、5~50%まで変化し得る。一態様では、ESBRは、例えば、ターポリマー中、2~30重量%の結合アクリロニトリルの量で、ESBARとして、ターポリマーゴムを形成するためのアクリロニトリルを含んでもよい。共重合体中に2~40重量%の結合アクリロニトリルを含む、乳化重合で製造されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体ゴムも、ジエン系ゴムとして考えることができる。
好ましい実施形態において、溶液重合で調製されたSBR(SSBR)を使用することができる。そのようなSSBRは、例えば、5~50%、好ましくは9~36%、最も好ましくは26~31%の範囲の結合スチレン含有量を有することができる。SSBRは、例えば、不活性有機溶媒中のアニオン重合によって、簡便に調製することができる。より具体的には、SSBRは、開始剤として有機リチウム化合物を利用して、炭化水素溶媒中でスチレンと1,3-ブタジエンモノマーとを共重合させることによって合成することができる。更に別の実施形態では、溶液スチレンブタジエンゴムは、スズ結合ポリマーである。更に別の実施形態では、SSBRは、シリカとの適合性を改善するために官能化される。更に、又はその代替として、SSBRは、チオ官能化される。これは、化合物の剛性及び/又はそのヒステリシス挙動を改善するのに役立つ。したがって、例えば、SSBRは、ブタジエン及びスチレンのチオ官能化スズ結合溶液重合コポリマーであり得る。
好ましい実施形態において、合成又は天然のポリイソプレンゴムが使用される。合成シス-1,4-ポリイソプレン及び天然ゴムは、ゴム業界の当業者とって周知である。シス1,4-微細構造含有量は、好ましくは少なくとも90%であり、典型的には少なくとも95%又はそれ以上である。
好ましい実施形態において、シス-1,4-ポリブタジエンゴム(BR又はPBD)が使用される。適切なポリブタジエンゴムは、例えば、1,3-ブタジエンの有機溶液重合によって調製することができる。BRは、例えば、少なくとも90%のシス-1,4-微細構造含有量(「高シス」含有量)及び-95℃~-110℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有することにより、簡便に特徴付けることができる。適切なポリブタジエンゴムは、ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー社からBudene(登録商標)1207、Budene(登録商標)1208、Budene(登録商標)1223、又はBudene(登録商標)1280等が市販されている。これらの高シス-1,4-ポリブタジエンゴムは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,698,643号及び米国特許第5,451,646号に記載されているような、(1)有機ニッケル化合物と(2)有機アルミニウム化合物と(3)フッ素含有化合物の混合物を含むニッケル触媒系を用いて合成することが可能である。
本明細書で言及される場合、エラストマー又はエラストマー組成物のガラス転移温度、又はTgは、それぞれのエラストマーの、又はエラストマー組成物の場合には未硬化状態又は硬化状態でのガラス転移温度を表す。本明細書では、このようなTgは、ASTM D3418に従って、示差走査熱量計(DSC)を使用して、毎分10℃の温度変化率で測定した、ガラス転移に関連して観察されるステップの中点又は変曲点によって決定される。
本明細書中で使用される「phr」という用語は、従来の慣例に従って、「ゴム又はエラストマー100重量部当たりの各材料の重量部」を意味する。一般に、この慣例を用いると、ゴム組成物は、100重量部のゴム/エラストマーを含んでいる。請求項に記載された組成物は、請求項に記載されたゴム/エラストマーのphr値が請求項に記載されたphr範囲に従っており、組成物中の全てのゴム/エラストマーの量が合計で100部のゴムに帰することを条件に、請求項に明示的に記載した以外のゴム/エラストマーを含んでいてもよい。一例において、組成物は、SBR、SSBR、ESBR、PBD/BR、NR及び/又は合成ポリイソプレンなどの1種以上の追加のジエン系ゴムを1phr~10phr、任意に1~5phr、更に含んでいてもよい。別の例では、組成物は、5phr未満の、好ましくは3phr未満の、追加のジエン系ゴムを含むか、又はそのような追加のジエン系ゴムを本質的に含まないこともできる。「化合物」、「組成物」及び「配合物」という用語は、別段の指示がない限り、本明細書中で互換的に使用することができる。
好ましい実施形態において、ゴム組成物はまた、1種以上の追加のオイル、特に(追加の)プロセスオイルを含むことができる。プロセスオイルは、エラストマーを延伸するために典型的に使用される延伸オイルとしてゴム組成物中に含まれてもよい。プロセスオイルは、ゴム配合時に直接添加することにより、ゴム組成物に含まれてもよい。使用されるプロセスオイルは、エラストマー中に存在する伸展オイルと、配合中に添加されるプロセスオイルの両方を含み得る。適切なプロセスオイルは、芳香族系、パラフィン系、ナフテン系、植物系、及び低PCAオイル、例えば、MES、TDAE、SRAE及び重ナフテン系オイル等、当技術分野で公知の種々なオイルを含むことができる。好適な低PCAオイルは、IP346法で測定した多環芳香族(PCA)含有量が3重量%未満のものを挙げることができる。IP346法の手順は、石油及び関連製品の分析及び試験のための標準方法及び英国標準2000パーツ、2003年、第62版、英国石油協会出版(Standard Methods for Analysis & Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts, 2003, 62nd edition, published by the Institute of Petroleum, United Kingdom)に見出され得る。使用できる(非アミノ化及び非エポキシ化)植物油のいくつかの代表的な例には、大豆油、ヒマワリ油、キャノーラ(菜種)油、コーン油、ココナッツ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、及びベニバナ油が挙げられる。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、シリカを含む。ゴム化合物に使用できる一般に使用されるケイ質顔料には、例えば、従来のパイロジェニック及び沈降ケイ質顔料(シリカ)が含まれる。一実施形態では、沈降シリカが使用される。従来のケイ質顔料は、例えば、ケイ酸ナトリウム等の可溶性ケイ酸塩の酸性化によって得られるもの等の沈降シリカであってもよい。そのような従来のシリカは、例えば、窒素ガスを用いて測定されるBET表面積を有することによって特徴付けられ得る。一実施形態において、BET表面積は、1グラム当たり40~600平方メートルの範囲であり得る。別の実施形態では、BET表面積は、1グラム当たり50~300平方メートルの範囲であり得る。本明細書において、BET表面積は、ASTM D5604-96又はそれに準じた方法に従って決定される。また、従来のシリカは、ASTM D2414又はそれに準じた方法に従って適切に測定でき、100cm/100g~400cm/100g、又は、150cm/100g~300cm/100gの範囲にあるジブチルフタレート(DBP)吸収値を有することによっても特徴付けられ得る。様々な市販のシリカを使用することができ、例えば、本明細書では一例に過ぎず、これらに限定されないが、例えば、PPGインダストリーズからHi-Sil(登録商標)の下で210、315G、EZ160Gの呼称で市販されているシリカ;例えばZeoSil(登録商標) 1165 MP及びZeoSil(登録商標) Premium 200 MPの呼称でSolvay社から入手できるシリカ;及び例えばVN2及びUltrasil(登録商標) 6000GR、9100GRの呼称でEvonik AGから入手できるシリカなどである。
好ましい実施態様において、ゴム組成物は、例えば、130m/gと210m/gとの間、場合によっては、130m/gと150m/gとの間及び/又は190m/gと210m/gとの間、更には195m/gと205m/gとの間のCTAB吸着表面積を有し得る、予備シラン処理をした沈降シリカを含む。シリカ表面積を決定するためのCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)法(ASTM D6845)は当業者に既知である。
好ましい実施形態において、ゴム組成物への添加前に少なくとも1種のシラン又はシラザンで処理された表面改質された沈降シリカが採用される。適切な表面改質剤としては、アルキルシラン、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシリルポリスルフィド、オルガノメルカプトアルコキシシラン、及びヘキサメチルジシラザンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
任意に使用することができるシリカ分散助剤は、シリカの重量を基準にして0.1重量%~25重量%の範囲の量で存在することができ、0.5重量%~20重量%が好適であり、シリカの重量を基準にして1重量%~15重量%も好適である。様々な前処理された沈殿シリカは、米国特許第4,704,414号、米国特許第6,123,762号及び米国特許第6,573,324号に記載されている。米国特許第4,704,414号、米国特許第6,123,762号及び米国特許第6,573,324号の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の実施に使用するのに適した前処理されたシリカ(すなわち、予備シラン化表面処理されたシリカ)のいくつかの例には、メルカプトシランで前処理されたCiptane(登録商標)255 LD及びCiptane(登録商標) LP(PPG インダストリーズ社)シリカ、及びオルガノシランビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Si69)及びUltrasil(登録商標) VN3シリカとの反応生産物であるデグサ社のCoupsil(登録商標)8113、及びCoupsil(登録商標)6508、PPG インダストリーズ社のAgilon(登録商標)400シリカ、PPG インダストリーズ社のAgilon(登録商標)454シリカ、及びPPG インダストリーズ社のAgilon(登録商標)458シリカが含まれる。好ましい予備シラン化処理された沈降シリカの代表例としては、PPG インダストリーズ社のAgilon(登録商標)400、Agilon(登録商標)454及びAgilon(登録商標)458を含む。
予めシラン化処理された沈降シリカ上及び沈降シリカ上のヒドロキシル基と反応する部位と、前記エラストマーと相互作用する別の部位とを有する代表的なシリカカップラー(シリカカップリング剤)は、例えば、(A)その連結する架橋中に平均2~4個、又は2~2.6個、又は3.2~3.8個の範囲の硫黄原子を含むビス(3-トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド、又は(B)アルコキシオルガノメルカプトシラン、又は(C)それらの組合せから構成され得る。このようなビス(3-トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの代表例は、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドからなる。示されるように、前もってシラン化処理をした沈降シリカについては、シリカ担体は、望ましくは、アルコキシオルガノメルカプトシランであり得る。前もってシラン化処理がされていない沈降シリカの場合、シリカ担体は、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドから構成され得る。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、ゴム組成物へのシリカ担体の添加を含まない(それにより、シリカ担体を排除する)。
好ましい実施態様において、ゴム組成物は、ゴム組成物に添加された追加のシリカ担体の組合せ、特にそのポリスルフィド架橋中に平均2~4個の結合硫黄原子を含むビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを、前記ゴム組成物に付加された追加の沈殿シリカ(前もってシラン化処理がなされていない沈殿シリカ)と共に含有することを含み、ここで、前記沈殿シリカに対する前もってシラン化処理をした沈殿シリカの比率は、望ましくは少なくとも8/1、あるいは少なくとも交互に10/1である。
好ましい実施形態において、前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含むことができる。そのようなカーボンブラックの代表例としては、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、N315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990及びN991のグレードが挙げられる。これらのカーボンブラックは、ヨウ素吸収量が9~145g/kg、DBP値が34cm/100g~150cm/100gである。ヨウ素吸収値は、ASTM D1510又はそれに準じた方法に従って適切に測定できる。一般に使用されるカーボンブラックは、本明細書中では、1~100phrの範囲の量で従来の充填剤として使用することができる。しかし、好ましい実施形態は、高シリカ化合物及びそれらの特性の改善に向けられるので、好ましい実施形態において、組成物は、多くとも10phrのカーボンブラック、好ましくは多くとも5phrのカーボンブラックを含む。
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、米国特許第6,242,534号、米国特許第6,207,757号、米国特許第6,133,364号、米国特許第6,372,857号、米国特許第5,395,891号、又は米国特許第6,127,488号に開示されているものを含む架橋粒子状ポリマーゲル、及び米国特許第5,672,639号に開示されているものを含む可塑化デンプン複合充填剤を含む微粒子充填剤を含む他の充填剤をゴム組成物に使用することができる。シンジオタクチックポリブタジエンも使用できる。しかしながら、そのような他の充填剤は、本明細書中、1phr~30phrの範囲の量で、好ましくは5phr未満の量で使用され得る。
好ましい実施形態において、ゴム組成物は、従来の硫黄含有有機ケイ素化合物又はシランを含有することができる。適当な硫黄含有有機ケイ素化合物の例は式Iの通りである:
Z―Alk―Sn―Alk―Z 式I
ここでZは、以下から成る基から選択される。
Figure 2023051843000001
ここで、Rは炭素数1~4のアルキル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であり、Rは炭素数1~8のアルコキシ基、又は炭素数5~8のシクロアルコキシ基であり、Alkは炭素数1~18の二価炭化水素であり、nは2~8の整数である。一実施形態において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’-ビス(トリメトキシ又はトリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドである。一実施形態において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド及び/又は3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。したがって、式Iに関しては、Zは以下の式となり得る。
Figure 2023051843000002
ここで、Rは炭素数2~4、あるいは、炭素数2のアルコキシ基であり、Alkは炭素数2~4、あるいは、炭素数3の二価炭化水素であり、nは2~5、あるいは、2又は4の整数である。別の実施形態において、適切な硫黄含有有機ケイ素化合物は、米国特許第6,608,125号に開示された化合物を含む。一実施形態において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3-(オクタノイルチオ)-1-プロピルトリエトキシシラン、CH(CHC(=O)-S-CHCHCHSi(OCHCHを含み、これは、モメンティブパフォーマンスマテリアル社のNXT(登録商標)として市販されている。別の実施形態では、適切な硫黄含有有機ケイ素化合物には、米国特許出願公開第2003/0130535号に開示されているものが含まれる。一実施形態において、硫黄含有有機ケイ素化合物はデグサ社のSi-363である。ゴム組成物中の硫黄含有有機ケイ素化合物の量は、使用される他の添加剤のレベルに応じて変化し得る。一般的に言えば、化合物の量は、0.5phr~20phrの範囲であってもよい。
好ましい実施態様において、ゴム組成物は、0.1phr未満のコバルト塩又は0phrのコバルト塩を含む。
ゴム組成物は、ゴム配合技術において一般的に知られている方法、例えば、種々の硫黄加硫可能な構成ゴムと、例えば、硫黄供与体、活性剤及び遅延剤などの硬化助剤、並びに油、粘着付与樹脂及び可塑剤を含む樹脂、充填剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤、抗オゾン剤及びペプタイジング剤などの加工添加剤などの一般的に用いられる種々の添加剤を混合して配合できることは、当該分野の技術を有するものには容易に理解できることである。当業者に知られているように、硫黄加硫可能な材料及び硫黄加硫された材料(ゴム)の意図された使用に応じて、上記の添加剤が選択され、慣用の量で一般的に使用される。硫黄供与体のいくつかの代表的な例としては、元素状硫黄(遊離硫黄)、アミンジスルフィド、高分子ポリスルフィド及び硫黄オレフィン付加物が挙げられる。一実施形態において、硫黄加硫剤は、元素状硫黄である。硫黄加硫剤は、例えば、0.5phr~8phrの範囲の量で、或いは、1.5phr~6phrの範囲の量で使用され得る。粘着付与剤樹脂を使用する場合、粘着付与剤樹脂の典型的な量は、例えば0.5phr~10phr、通常1phr~5phrを含む。加工助剤を使用する場合、加工助剤の典型的な量、例えば1phr~50phr(これは、特に油を含み得る)を含む。抗酸化剤を使用する場合、抗酸化剤の典型的な量、例えば1phr~5phrを含み得る。代表的な抗酸化剤は、例えば、ジフェニル-p-フェニレンジアミン及び他のもの、例えばヴァンダービルト・ラバー・ハンドブック(1978)、344~346頁に開示されているものであってもよい。抗オゾン剤を使用する場合、抗オゾン剤の典型的な量、例えば1phr~5phrを含み得る。ステアリン酸を含み得る脂肪酸を使用する場合、ステアリン酸を含み得る脂肪酸の典型的な量、例えば0.5phr~3phrを含み得る。ワックスを使用する場合、ワックスの典型的な量、1phr~5phrの範囲内のレベルで使用する。多くの場合、マイクロスタリンワックスが使用される。ペプタイジング剤を使用する場合、ペプタイジング剤の典型的な量は、通常は0.1phr~1phrの範囲内である。典型的なペプタイジング剤は、例えば、ペンタクロロチオフェノール及び/又はジベンズアミドジフェニルジスルフィドであり得る。
促進剤は、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫物の特性を向上させるために好ましく使用され得るが、必ずしもそうである必要はない。一実施形態では、単一の促進剤系、すなわち一次促進剤が使用されてもよい。一次促進剤は、0.5phr~4phr、代替的に0.8phr~1.5phrの範囲の総量で使用されてもよい。別の実施形態では、加硫材を活性化して特性を向上させるために、一次促進剤と二次促進剤の組み合わせを、二次促進剤をより少ない量、例えば0.05phr~3phrで使用してもよい。これらの促進剤の組み合わせは、最終的な特性に相乗効果をもたらし、いずれかの促進剤を単独で使用した場合よりもいくらか優れていることが期待される。更に、通常の加工温度では影響を受けず、通常の加硫温度で十分な硬化が得られる遅延作用型促進剤も使用できる。また、加硫遅延剤も使用することができる。本発明で使用され得る好適な種類の促進剤は、例えば、アミン類、ジスルフィド類、グアニジン類、チオ尿素類、チアゾール類、チウラム類、スルフェンアミド類、ジチオカルバメート類、及びキサンテート類などである。一実施形態では、一次促進剤は、スルフェンアミドである。二次促進剤が使用される場合、二次促進剤は、例えば、グアニジン、ジチオカルバメート又はチウラム化合物であってよい。好適なグアニジンとしては、ジフェニルグアニジン等が挙げられる。好適なチウラム類としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
ゴム組成物の混合は、ゴム混合技術における当業者に知られている方法によって達成することができる。例えば、成分は、典型的には、少なくとも2つの段階、すなわち、少なくとも1つの非生産的段階とそれに続く生産的混合段階において混合されてもよい。硫黄加硫剤を含む最終硬化剤は、典型的には、混合が典型的には先行する非生産的混合段階の混合温度よりも低い温度、すなわち究極温度で行われる「生産的」混合段階と、従来から呼ばれている最終段階で混合されてもよい。実施形態において、ゴム組成物は、熱機械的混合工程に供されてもよい。熱機械的混合工程は、一般に、例えば140℃~190℃の間のゴム温度を製造するのに適した期間、ミキサー又は押出機で機械的に作業することを含む。熱機械加工の適切な時間は、操作条件、及び成分の量と性質の関数として変化する。例えば、熱機械加工は1分~20分の間であってもよい。
好ましい実施態様において、本発明によるゴム組成物を含むトレッドを有するタイヤが提供される。
好ましい実施形態において、タイヤは、1つ以上のトレッドキャップ層を有するトレッドを有し、ゴム組成物は、2つの半径方向最外側のトレッドキャップ層のうちの1つ以上、好ましくは半径方向最外側のトレッドキャップ層に存在する。
好ましい実施形態において、本発明によるゴム組成物は、放射状の最外のトレッドキャップの内側に放射状のトレッドキャップが使用される。ゴム組成物は、放射状の最外のトレッドキャップ層にないことが好ましい。このような実施形態では、放射状の最外のトレッドキャップ層は、本発明によるゴム組成物を含まない。対照的に、放射状の最外のトレッドキャップ層の下の放射状のトレッドキャップ層のゴム組成物は、本発明(又は一以上のその実施形態)によるゴム組成物を含む。このような配置又は構成は、第一のトレッドキャップ層が摩耗し、トレッドのラジアルリブ又はブロックの高さが減少したときに、グリップレベル、特にウェットグリップを同様のレベルに維持するのに役立ち得る。そして、トレッド高さの損失は、本発明によるゴム組成物の改良されたグリップによって少なくとも部分的に補うことができる。
ゴム組成物は、動力伝達ベルト、ホース、軌道、エアスリーブ及びコンベアベルトにも使用できる。
好ましい実施形態において、本発明によるゴム組成物は、トレッド、シェアバンド、ゴムスポーク、アンダートレッド、サイドウォール、エイペックス、フリッパ、チッパ、チェーファー、カーカス、ベルトから選択されるタイヤ部材に使用される。
本発明のタイヤ、好ましくは空気入りタイヤの加硫は、100℃~200℃の範囲の従来の温度で行うことができる。一実施形態において、加硫は110℃~180℃の範囲の温度で行われる。プレス又は成形での加熱、過熱蒸気又は熱による加熱等、通常の加硫工程を用いることもある。しかし、本発明のタイヤは、132℃~166℃の範囲の温度で硬化されることが一般に好ましい。本発明のタイヤは、143℃~154℃までの範囲の温度で硬化されることがより典型的である。このようなタイヤは、既知の様々な方法によって構築、成形、成型、および硬化させることができ、このような技術に熟練した者には容易に明らかである。
図面の簡単な説明
本発明の構造、操作、及び利点は、添付の図面と併せて以下の説明を考慮することにより、より明らかになる。
本発明の実施形態によるゴム組成物を有するゴム成分を含むタイヤの概略断面図である。
本発明の好ましい実施態様の詳細な説明
図1は、本発明の実施形態に係るタイヤ1の概略断面図である。タイヤ1は、トレッド10、インナーライナー13、4枚のベルトプライ11を含むベルト、カーカスプライ9、2つのサイドウォール2、及び2つのビード領域3、ビードフィラーエイペックス5及びビード4等の複数のタイヤ構成要素を備えている。例示的なタイヤ1は、例えばトラックや乗用車のような車両のリムに取り付けるのに適している。図1に示すように、ベルトプライ11は、オーバーレイプライ12によって覆われてもよく、及び/又は1枚以上のブレイカープライを含んでいてもよい。カーカスプライ9は、1対の軸方向に反対側の端部分6を含み、それぞれがビード4のそれぞれ1つと関連している。カーカスプライ9の各軸方向端部分6は、各軸方向端部6を固定する位置に、それぞれのビード4の周囲に折り返されてもよい。カーカスプライ9の折り返された部分6は、2つのフリッパ8の軸方向外面、及び2つのチッパ7の軸方向内面に巻き付いている可能性があり、これらもタイヤ構成と考えられる。図1に示すように、例のトレッド10は、円周方向の溝20を有することができ、各溝20は、本質的にトレッド10内のU字形の開口部を規定する。トレッド10の主要部分は、1種以上のトレッドコンパウンドで形成され得る。更に、溝20、特に溝20の底部及び/又は側壁は、残りのトレッドコンパウンドよりも高い高度及び/又は剛性を有するゴムコンパウンドによって補強することができる。このような補強材は、本明細書では溝補強材と呼ぶことができる。
図1の実施形態は、例えばエイペックス5、チッパー7、フリッパー8及びオーバーレイ12を含む複数のタイヤ構成要素を示唆しているが、そのような、そして、さらなる構成要素は、本発明のために必須ではない。また、カーカスプライ9の折り返された端部は、本発明にとって必要ではなく、又はビード領域3の反対側を通り、ビード4の軸方向外側の代わりにビード4の軸方向内側で終わってもよい。また、タイヤは、異なる数の溝20を有することもでき、例えば、4つより少ない溝となる。
本発明の好ましい実施形態によるゴム組成物は、地面又は道路に接触するトレッド又はトレッド層で使用される。一実施形態において、タイヤ1又は別のタイヤのトレッド10は、以下の表1に示される本発明の例によるゴム組成物を含む。表1の比較例1~4は、異なる量の水酸化アルミニウムを含むが、全て同じゴムマトリックスを有し、本発明の例は、適度な量の水酸化アルミニウムと、更に、ロジン系の樹脂を有する。
Figure 2023051843000003
-62℃のTgとチオール-アルコキシシラン官能化を有するトリンセオ社のSprintan(登録商標) SLR 3402
天然ゴム
160g/m2のBET表面積を有するZeosil(登録商標) 1165 MP
エクソンモービル社のOppera(登録商標) 383
ガムロジン
6m/gのBETの表面積、1.0μmのd50、2.4μmのd90、0.5μmのd10、2.4g/cmの密度を有する酸化アルミニウム
約-80℃のTgを有するヒマワリ油
モメンティブ社製のNXT(登録商標)
重量当たり10%の油及びカーボンブラックを含む1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン
10 ジヒドロキノリン及びフェニレンジアミンを含む
11 50%ビス-トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド及び50%カーボンブラック(エボニック社のX50Sとして)
12 ジフェニルグアニジン
13 N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド
表2は、上記表1に挙げた比較例及び本発明の例で得られた試験データを示す。以下の結果から明らかなように、比較的少量のロジン樹脂を添加することにより、本発明の例では、ウェットグリップが大幅に改善されている。ウェットハンドリングも比較例1(水酸化アルミニウムなし)と比較して大幅に改善されたが、本発明の例と同量の水酸化アルミニウムを含む比較例2と比較しても大幅に改善されている。ドライハンドリングも、驚くべきことに、比較例1及び3よりも大幅に改善されている。ドライブレーキは本質的には横ばいのままである。水酸化アルミニウムの添加にもかかわらず、引張強度は良好なレベルに保たれている。全体として、非限定的な本発明の例は、特性の高度なバランスを提供する。
Figure 2023051843000004
a 実験室試験、線形摩擦試験機での伝達可能な摩擦力の決定に基づく、比較例1に対して正規化した結果
b タイヤ試験、比較例1に対して正規化した結果
c タイヤ試験、比較例1に対して正規化した結果
d タイヤ試験、比較例1に対して正規化した結果
e 実験室試験、引張強度はASTM D412に準拠したリングサンプルを用いた破断時の応力である。

Claims (10)

  1. 70phr~100phrの少なくとも1種のスチレンブタジエンゴム;
    0phr~30phrの少なくとも1種のジエン系ゴム;
    40phr~200phrの少なくとも1種の充填剤;
    少なくとも5phrの水酸化アルミニウム;及び
    少なくとも0.5phrのロジン系樹脂又はロジン酸系樹脂
    を含むゴム組成物。
  2. 前記ゴム組成物は、5phr~80phrの水酸化アルミニウムを含み、及び/又は、前記ゴム組成物は、0.5phr~15phrのロジン系樹脂を含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ゴム組成物が、20phr~80phrの樹脂を含み、前記樹脂が、好ましくは、DCPD樹脂、CPD樹脂、テルペン樹脂、C5樹脂、C9樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン-αメチルスチレン樹脂又はそれらの組合せからなる群の少なくとも1種から選択される、請求項1に記載のゴム組成物。
  4. 前記ゴム組成物が、70phr~90phrのスチレンブタジエンゴム又は溶液重合スチレンブタジエンゴム、及び10phr~30phrのジエン系ゴム又は天然ゴム又は合成ポリイソプレンを更に含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  5. 前記スチレンブタジエンゴムが、シリカへのカップリングのために官能化され;及び/又は前記充填剤がシリカを含むか、又は、主として含み、前記シリカが、好ましくは、150m/g~220m/gの範囲内のBET表面積を有する、請求項1に記載のゴム組成物。
  6. 前記充填剤が、10phr未満のカーボンブラック及び40phr以上のシリカを含み;及び/又は、前記ゴム組成物が、少なくとも105phrのシリカ及び10phr未満のカーボンブラックを含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  7. 前記ゴム組成物が、35℃~60℃の範囲内のガラス転移温度を有する20phr~80phrの樹脂を含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  8. 前記ゴム組成物が、-75℃~-100℃の範囲内のガラス転移温度を有する1phr~9phrの植物油を含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  9. 前記水酸化アルミニウムが、1種以上の(i)0.2μm~5μmの範囲内のD50粒径;(ii)1m/g~20m/gの範囲内のBET表面積を有する、請求項1に記載のゴム組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載のゴム組成物を含むタイヤ。
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