JP2023051645A - 車体構造 - Google Patents

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Takuma Inami
伸之 中山
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Abstract

【課題】フロアパネルから上方へ大きく膨出するフロアトンネルが無い車体構造において、車体の捻れ剛性を十分に向上させる。【解決手段】車体構造Aは、乗員空間R1のフロアを構成する第1フロアパネル41と、ダッシュパネル50と、乗員空間R1の車両後方に設けられた第2フロアパネル42と、第1フロアパネル41の後部と第2フロアパネル42の前部とを接続する接続パネル43と、乗員空間R1の車幅方向中央部において第1フロアパネル41から上方に離れて配設され、前後方向に延びるセンターフレーム80とを備えている。センターフレーム80の前部はダッシュパネル50に連結されている。センターフレーム80の後部は接続パネル43に連結されている。【選択図】図6

Description

本開示は、自動車の車体構造に関する。
従来の自動車のフロアパネルの車両左右方向中央部には、トンネル部が車両前後方向に延びるように形成されている。トンネル部は、車両前側のエンジンルームから後部まで延びる排気管、車両前側のエンジンの動力を後輪に伝達するプロペラシャフト等を収容する部分であることから、シートクッションの底部よりも上方まで大きく膨出している。
例えば、特許文献1に開示されているように、トンネル部の上面部の左右両側には、それぞれ左側及び右側トンネルフレームが車両前後方向に延びるように設けられているものが知られている。各トンネルフレームは、下方向に開放した断面を有しており、その左右両側にはそれぞれフランジ部が形成されている。両フランジ部がトンネル部の上面部に接合されることにより、トンネル部とトンネルフレームとで車両前後方向に延びる閉断面構造が構成されている。
特開2009-101815号公報
ところで、特許文献1のようにトンネル部を備えた自動車では、トンネル部によって車体の剛性を向上させることができるのに加えて、トンネル部とトンネルフレームとによって車両前後方向に延びる閉断面構造を構成することによっても、車体の剛性を向上させることができるが、トンネル部の無い自動車では、どのようにして車体の剛性を向上させるかが問題であった。
すなわち、一般のトンネル部は、上述したようにシートクッションの底部よりも上方へ大きく膨出するものであることから、そのようなトンネル部を設けることのみによっても車体の剛性をある程度向上させることができるのであるが、そのトンネル部が無い自動車ではそもそも車体の剛性が低下し易いのに加えて、特許文献1のトンネルフレームを設けることが不可能であることも剛性の面で不利である。
そこで、フロアパネル自体を補強すべく、フロアパネルの上面部や下面部に特許文献1のトンネルフレームのような補強部材を接合し、フロアパネルに部分的な閉断面構造を構成する方法が考えられる。しかし、フロアパネルは車体の下部に位置しているので、車体全体として見た時、特に車体の捻れ剛性を高めるにはフロアパネルの剛性を向上させただけでは不十分である。仮に、フロアパネルの補強構造のみで車体の捻れ剛性を高めようとすると、補強部材による補強構造がかなり大がかりなものになって重量が嵩み、効率が悪い。要するに、車体の捻れ剛性を特許文献1のものと同程度、若しくはそれ以上にしようすると、フロアパネルから上方に離れた部分において特許文献1のような補強構造が必要になるが、上述したようにトンネル部が無い構造のフロアパネルとする以上、その補強構造は採用し得ない。
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、フロアパネルから上方へ大きく膨出するフロアトンネルが無い車体構造において、車体の捻れ剛性を十分に向上させることにある。
上記目的を達成するために、本開示の第1の側面では、自動車に設けられる車体構造を前提とすることができる。車体構造は、乗員が着座するシートが設けられた乗員空間のフロアを構成する第1フロアパネルと、前記第1フロアパネルの前部から上方へ延び、前記乗員空間の車両前部を仕切るダッシュパネルと、前記第1フロアパネルよりも上方に位置付けられ、前記乗員空間の車両後方に設けられた荷室空間のフロアを構成する第2フロアパネルと、前記第1フロアパネルの後部と前記第2フロアパネルの前部とを接続する接続パネルと、前記乗員空間の車幅方向中央部において前記第1フロアパネルから上方に離れて配設され、車両前後方向に延びるセンターフレームとを備えている。前記センターフレームの前部は前記ダッシュパネルに連結されている。また、前記センターフレームの後部は前記接続パネルに連結されている。
この構成によれば、ダッシュパネルと接続パネルとがセンターフレームによって連結される。このとき、センターフレームは第1フロアパネルから上方に離れているので、第1フロアパネル、ダッシュパネル、接続パネル及びセンターフレームが一体化して側面視で閉断面構造が構成される。これにより、フロアトンネルの無い第1フロアパネルを有していながら、車体の捻れ剛性を十分に向上させることができる。
本開示の第2の側面に係るセンターフレームの前部は、前記ダッシュパネルにおける前記第1フロアパネルから上方に離れた部分に連結されている。
この構成によれば、センターフレームのダッシュパネルへの連結部分が第1フロアパネルから上方に離れることになるので、センターフレームと第1フロアパネルとの上下方向の間隔を少なくとも前部において拡大させることができ、センターフレームを設けることによる車体の捻れ剛性の向上効果をより一層高めることができる。
本開示の第3の側面に係るセンターフレームの後部は、前記接続パネルにおける前記第1フロアパネルから上方に離れた部分に連結されている。
この構成によれば、センターフレームの接続パネルへの連結部分が第1フロアパネルから上方に離れることになるので、センターフレームと第1フロアパネルとの上下方向の間隔を少なくとも後部において拡大させることができ、センターフレームを設けることによる車体の捻れ剛性の向上効果をより一層高めることができる。
本開示の第4の側面に係る車体構造は、前記ダッシュパネルよりも車両前方の左右両側にそれぞれ設けられ、前輪のサスペンション装置を支持する前輪用サスペンション支持部材と、前記センターフレームの前部と左側の前記前輪用サスペンション支持部材とを連結する左側フロントフレームと、前記センターフレームの前部と右側の前記前輪用サスペンション支持部材とを連結する右側フロントフレームとをさらに備えている。
この構成によれば、左右の前輪用サスペンション支持部材をそれぞれセンターフレームの前部に連結することで、前輪用サスペンション支持部材の剛性を高めることができ、車両の操縦安定性が向上する。また、ダッシュパネル周辺を含む車両前側の剛性も同時に高めることができる。
本開示の第5の側面に係る車体構造は、前記接続パネルよりも車両後方の左右両側にそれぞれ設けられ、後輪のサスペンション装置を支持する後輪用サスペンション支持部材と、前記センターフレームの後部と左側の前記後輪用サスペンション支持部材とを連結する左側リヤフレームと、前記センターフレームの後部と右側の前記後輪用サスペンション支持部材とを連結する右側リヤフレームとをさらに備えている。
この構成によれば、左右の後輪用サスペンション支持部材をそれぞれセンターフレームの後部に連結することで、後輪用サスペンション支持部材の剛性を高めることができ、車両の操縦安定性が向上する。また、接続パネル周辺を含む車両後側の剛性も同時に高めることができる。
以上説明したように、乗員空間のフロアから上方に離れて配設されるセンターフレームの前部をダッシュパネルに連結し、後部を接続パネルに連結しているので、フロアパネルから上方へ大きく膨出するフロアトンネルが無いフロアパネルを備えた車体構造であっても、車体の捻れ剛性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る車体構造を備えた自動車の側面図である。 自動車を上部構造体と下部構造体とに分割した状態を示す斜視図である。 車体構造の一部を上方から見た斜視図である。 車体構造の一部の平面図である。 図4におけるV-V線の断面図である。 図4におけるVI-VI線の断面図である。 図4におけるVII-VII線の断面図である。 乗員空間側フロアパネル及びその近傍を拡大して示す斜視図である。 シートレール及びその近傍を拡大して示す断面図である。 シートレールの一部及びその近傍を拡大して示す平面図である。 シートレールの取付部分及びその近傍を拡大して示す斜視図である。 センターフレームの屈曲部及びその近傍の断面図である。 センターフレームを構成する後側フレーム部材の前部近傍の断面図である。 接続部材の斜視図である。 接続部材を別の方向から見た斜視図である。 接続部材の側面図である。 空調装置及びその近傍の断面図である。 ダッシュパネル及びその近傍を車両後側から見た斜視図である。 冷却経路の概略図である。 冷却水の供給配管及び排出配管のレイアウトを後方から見た図である。 冷却水の供給配管及び排出配管のレイアウトを左側方から見た図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る車体構造Aを備えた自動車1を左から見た側面図である。この実施形態の説明では、車両前後方向を単に「前後方向」といい、車両前側を単に「前側」といい、車両「後側」を単に後というものとする。また、車幅方向は車両の左右方向であり、車両左側を単に「左側」といい、車両右側を単に「右側」というものとする。
(自動車の全体構造)
自動車1は、乗用自動車であり、自動車1の前後方向中間部には、乗員が乗車するための乗員空間R1が設けられている。乗員空間R1には、前席を構成するフロントシート(前席用シート)FSと、後席を構成するリヤシート(後席用シート)RSとが設けられている。フロントシートFSは、乗員空間R1の右側(又は左側)に配置される運転席と、乗員空間R1の左側(又は右側)に配置される助手席とを含んでいる。リヤシートRSも乗員空間R1の右側と左側とにそれぞれ配置されている。図示しないが、リヤシートRSの後方に、3列目シートが配置されていてもよい。また、リヤシートRSは必須なものではなく、省略してもよい。
乗員空間R1の左側方及び右側方には、それぞれフロントドアFDと、リヤドアRDが配設されている。リヤシートRSが無い自動車1の場合、リヤドアRDは省略可能である。
自動車1の乗員空間R1よりも前方には、前側空間R2が設けられている。この前側空間R2には、パワートレインPTが必要に応じて搭載可能になっている。前側空間R2にパワートレインPTが搭載される場合には、前側空間R2を例えばパワートレイン格納室、モータルーム、エンジンルーム等を呼ぶこともできる。前側空間R2の上部には、ボンネットフードBFが設けられている。
自動車1の乗員空間R1よりも後方には、荷物等の収容が可能な荷室空間R3が設けられている。荷室空間R3は、トランクリッドTRにより開閉可能になっている。自動車1の乗員空間R1よりも後方かつ荷室空間R3の下方には、後側空間R4が設けられている。この後側空間R4には、自動車1の動力を発生するパワートレインPTが必要に応じて搭載可能になっている。後側空間R4にパワートレインPTが搭載される場合には、後側空間R4を例えばパワートレイン格納室、モータルーム、エンジンルーム等と呼ぶこともできる。
前側空間R2と後側空間R4の両方にパワートレインPTを搭載してもよいし、一方にのみパワートレインPTを搭載してもよい。前側空間R2にのみパワートレインPTを搭載する場合には、当該パワートレインPTで前輪FTのみを駆動する前輪駆動車となり、また、後側空間R4にのみパワートレインPTを搭載する場合には、当該パワートレインPTで後輪RTのみを駆動する後輪駆動車となる。さらに、前側空間R2と後側空間R4の両方にパワートレインPTを搭載して前輪FTと後輪RTとを駆動する場合には4輪駆動車となる。
パワートレインPTは、駆動輪を駆動するための走行用モータM(図2に示す)を少なくとも含んでおり、必要に応じて、減速機や変速機等も含んでいる。従って、自動車1は電動車である。走行用モータMは、その回転中心が左右方向に延びるように配設されている。パワートレインPTは、走行用モータMの他にも例えば制御部等を含んでいてもよい。パワートレインPTには、内燃機関が含まれていてもよい。走行用モータMに電力を供給するためのバッテリユニットY(図1にも示す)は、自動車1の下部に搭載されている。例えば内燃機関が発生する動力を利用してバッテリユニットYの充電を行ってもよいし、内燃機関が発生する動力によって前輪FTと後輪RTとの少なくとも一方を駆動してもよい。
自動車1のタイプは、図1に一例として示すような4ドア車でなくてもよく、例えばリヤドアRDのない自動車であってもよい。また、図示しないが、ハッチバック車のように、後側空間R4をテールゲートで開閉可能にした自動車に本発明を適用することもできる。
図2に示すように、自動車1は、下部構造体2と、上部構造体3とを備えており、下部構造体2及び上部構造体3によって車体構造Aが構成されている。図2では、上部構造体3が本来備えている、ドアFD、RD、ボンネットフードBF、フェンダ、ウインドガラス、ルーフ、センターピラー、リヤピラー、バンパー、前後の灯火装置、インストルメントパネル、前後のシート等が取り外された状態を示している。また、図2では、下部構造体2が本来備えている、前輪FT、後輪RT、サスペンション装置等が取り外された状態を示している。
下部構造体2は、バッテリユニットYを備えている。バッテリユニットYは、前側バッテリFB及び後側バッテリRBと、前側バッテリFB及び後側バッテリRBを囲む枠型フレーム10とを有している。また、下部構造体2は、枠型フレーム10の前部から前方へ向かって延びるフロント支持フレーム20と、枠型フレーム10の後部から後方へ向かって延びるリヤ支持フレーム30とを備えている。
図示しないが、一般的な電気自動車の場合、バッテリユニットを車体とは別体としてフロア下に着脱可能にしている場合が多いが、本実施形態では、バッテリFB、RBだけではなく、そのバッテリFB、RBを囲む枠型フレーム10にフロント支持フレーム20及びリヤ支持フレーム30を一体化しておき、フロント支持フレーム20及びリヤ支持フレーム30もバッテリFB、RBと共に、上部構造体3に対して着脱可能になっている。
具体的には、本実施形態の自動車1は、バッテリFB、RBを有する下部構造体2と、乗員空間R1や荷室空間R3を形成する上部構造体3とに上下分割可能に構成されている。上下分割可能とは、溶接や接着等を用いることなく、下部構造体2を上部構造体3に対してボルト及びナットやネジ等の締結部材を利用して一体化することである。これにより、自動車1がユーザの手に渡ってから整備や修理を行う際に、必要に応じて下部構造体2を上部構造体3から分離することができるので、メンテナンス性が良好になる。
ここで、自動車の車体構造として、ラダーフレームタイプの車体構造が知られている。ラダーフレームタイプの車体構造の場合、ラダーフレームとキャビンとに上下分割可能になっているが、ラダーフレームは前後方向に連続して延びているものであることから、前面衝突時及び後面衝突時に主に衝突荷重を受ける。側面衝突時には、ラダーフレームは補助的に衝突荷重を受けるだけであり、主に衝突荷重を受けるのはキャビンである。このように、ラダーフレームタイプの車体構造では、前面衝突時及び後面衝突時と、側面衝突時とで衝突荷重を受ける部材が分かれているのが通常である。
これに対し、本実施形態の自動車1の場合、フロント支持フレーム20及びリヤ支持フレーム30を有する下部構造体2と上部構造体3とが分割可能になっているが、前面衝突時及び後面衝突時と、側面衝突時の両方の場合で、衝突荷重を下部構造体2及び上部構造体3で受けることにより、当該衝突荷重を両構造体2、3に分散して吸収可能している点で、従来のラダーフレームタイプの車体構造とはその技術的思想が大きく相違している。以下、下部構造体2及び上部構造体3の構造について順に説明する。
(下部構造体)
まず、下部構造体2について説明する。下部構造体2は、バッテリFB、RB、枠型フレーム10、フロント支持フレーム20及びリヤ支持フレーム30の他にも、パワートレインPT、前輪FT、後輪RT、図4に仮想線で示す前側サスペンション装置SP1、SP2及び後側サスペンション装置SP3、SP4も備えている。前側サスペンション装置SP1、SP2及び後側サスペンション装置SP3、SP4の形式は特に問わないし、前側サスペンション装置SP1、SP2及び後側サスペンション装置SP3、SP4の形式に応じて車体構造を変更することも可能である。
図2に示すように、バッテリユニットYの骨格となる枠型フレーム10は、前側バッテリFB及び後側バッテリRBやハーネス類等を囲んで保護するための部材である。この枠型フレーム10は、後述する乗員空間側フロアパネル41の下方において、乗員空間側フロアパネル41の左端部近傍から右端部近傍に渡るとともに、乗員空間側フロアパネル41の前端部近傍から後端部近傍に渡るように大型に形成されている。このように、枠型フレーム10を乗員空間側フロアパネル41の下方領域の広範囲に設けることで、大容量のバッテリFB、RBを自動車1に搭載することが可能になる。バッテリFB、RBは、例えばリチウムイオン電池や全固体電池等であってもよいし、他の二次電池であってもよい。また、バッテリFB、RBは、いわゆるバッテリセルであってもよいし、複数のバッテリセルを収容したバッテリパックであってもよい。
枠型フレーム10は、左側方メンバ11と、右側方メンバ12と、前側メンバ13と、後側メンバ14とを備えている。左側方メンバ11、右側方メンバ12、前側メンバ13及び後側メンバ14は、例えばアルミニウム合金製の押出材等で構成されているが、その他にもアルミニウム合金製板材や鋼板のプレス成形材で構成されていてもよい。以下の説明で「押出材」という場合はアルミニウム合金製の押出材であり、また、「プレス成形材」という場合はアルミニウム合金製板材や鋼板のプレス成形材である。また、各部材は、例えば鋳物、ダイキャスト等で構成されていてもよい。
左側方メンバ11、右側方メンバ12、前側メンバ13及び後側メンバ14の各々の長手方向に直交する方向の断面形状は、全て矩形状とされている。また、左側方メンバ11、右側方メンバ12、前側メンバ13及び後側メンバ14は、全て同じ高さに配置されていて、略水平に延びている。また、上部構造体3に下部構造体2を結合する際には、前側メンバ13をダッシュパネル50の下部に締結部材で締結固定し、左側方メンバ11及び右側方メンバ12を左右のサイドシル60にそれぞれ締結部材で締結固定する。また、後側メンバ14は後述する接続パネル43に締結部材で締結固定する。
左側方メンバ11は、下部構造体2の左端部に設けられ、前後方向に延びている。右側方メンバ12は、下部構造体2の右端部に設けられ、前後方向に延びている。左側方メンバ11及び右側方メンバ12は、それぞれ、後述する左右のサイドシル60の車幅方向内側に配置される。また、前側メンバ13は、バッテリユニットYの前部に設けられ、左側方メンバ11の前端部から右側方メンバ12の前端部まで左右方向に延びている。前側メンバ13の左端部と、左側方メンバ11の前端部とが接続され、前側メンバ13の右端部と、右側方メンバ12の前端部とが接続されている。後側メンバ14は、バッテリユニットYの後部に設けられ、左側方メンバ11の後端部から右側方メンバ12の後端部まで左右方向に延びている。後側メンバ14の左端部と、左側方メンバ11の後端部とが接続され、後側メンバ14の右端部と、右側方メンバ12の後端部とが接続されている。
枠型フレーム10の下部には、底板となるカバー部材15が取り付けられている。枠型フレーム10はカバー部材15によって下方から閉塞されている。カバー部材15は、略水平に延びており、左側方メンバ11、右側方メンバ12、前側メンバ13及び後側メンバ14の下面に固定されるとともに、後述するようにサイドシル60にも固定されている。尚、枠型フレーム10の上部は、図示しない蓋体で閉塞してもよいし、後述する乗員空間側フロアパネル41で閉塞してもよい。尚、枠型フレーム10内に収容されているバッテリFB、RBの電力は、図示しない走行制御回路を介して走行用モータMに供給されるようになっている。さらに、図示しない充電ソケットを介してバッテリFB、RBの充電が可能になっている。
図5は、車体構造Aの左右方向中央部の断面を示している。この図5に示すように、枠型フレーム10の内側には、左右方向に延びる補強部材として、第1~第3バッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cが設けられている。第1~第3バッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cの高さは全て同じであり、前側メンバ13や後側メンバ14の高さと同じである。第1~第3バッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cは、押出材で構成されていてもよいし、プレス成形材で構成されていてもよい。この実施形態では、3本のバッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cが設けられているが、枠型フレーム10の前後方向の寸法に応じてバッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cの数を増減することができる。
第1~第3バッテリ側クロスメンババッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cは、前後方向に互いに間隔をあけて配置されており、第1バッテリ側クロスメンバ10Aが最も前に、第3バッテリ側クロスメンバ10Cが最も後に位置付けられている。各バッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cの下部は、カバー部材15の上面に固定されている。また、各バッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cの左端部は、左側方メンバ11の内面(右側面)に固定され、各バッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cの右端部は、右側方メンバ12の内面(左側面)に固定されている。つまり、バッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cは、左側方メンバ11と右側方メンバ12とを繋ぐ部材である。
枠型フレーム10の内側には、前後方向に延びる補強部材として、前部中央メンバ16と、第1~第3後部中央メンバ17~19とが設けられている。前部中央メンバ16と、第1~第3後部中央メンバ17~19とは、前後方向に延びるバッテリフレームと呼ぶこともでき、バッテリユニットYは、前部中央メンバ16、第1~第3後部中央メンバ17~19等からなるバッテリフレームを有する構造となっている。バッテリフレームには、左側方メンバ11、右側方メンバ12、前側メンバ13及び後側メンバ14が含まれていてもよい。
前部中央メンバ16及び第1~第3後部中央メンバ17~19は、略同じ高さに配置され、枠型フレーム10の左右方向中央に設けられている。前部中央メンバ16及び第1~第3後部中央メンバ17~19の下端部がカバー部材15の上面に取り付けられている。前部中央メンバ16及び第1~第3後部中央メンバ17~19は、前側メンバ13から後側メンバ14まで延びている。
前部中央メンバ16は、前側メンバ13と第1バッテリ側クロスメンバ10Aとの間に配置されており、前部中央メンバ16の前端部が前側メンバ13の左右方向中央部に固定され、前部中央メンバ16の後端部が第1バッテリ側クロスメンバ10Aの左右方向中央部に固定されている。したがって、前側メンバ13は、左側方メンバ11及び右側方メンバ12の前端部と前部中央メンバ16の前端部とを繋ぐように延びる部材である。
第1後部中央メンバ17は、第1バッテリ側クロスメンバ10Aと第2バッテリ側クロスメンバ10Bとの間に配置されており、第1後部中央メンバ17の前端部が第1バッテリ側クロスメンバ10Aの左右方向中央部に固定され、第1後部中央メンバ17の後端部が第2バッテリ側クロスメンバ10Bの左右方向中央部に固定されている。また、第2後部中央メンバ18は、第2バッテリ側クロスメンバ10Bと第3バッテリ側クロスメンバ10Cとの間に配置されており、第2後部中央メンバ18の前端部が第2バッテリ側クロスメンバ10Bの左右方向中央部に固定され、第2後部中央メンバ18の後端部が第3バッテリ側クロスメンバ10Cの左右方向中央部に固定されている。また、第3後部中央メンバ19は、第3バッテリ側クロスメンバ10Cと後側メンバ14との間に配置されており、第3後部中央メンバ19の前端部が第3バッテリ側クロスメンバ10Cの左右方向中央部に固定され、第3後部中央メンバ19の後端部が後側メンバ14の左右方向中央部に固定されている。したがって、第1~第3バッテリ側クロスメンバ10A、10B、10Cと、前部中央メンバ16及び第1~第3後部中央メンバ17~19とが、枠型フレーム10の内側において格子状に配設されて互いに連結されることになるので、枠型フレーム10の補強効果、ひいては下部構造体2の補強効果がより一層高まる。
平面視で前後方向に延びる仮想直線を想定したとき、前部中央メンバ16及び第1~第3後部中央メンバ17~19は、その仮想直線上に配置されるように各々の左右方向の位置が設定されている。つまり、前部中央メンバ16の後方への仮想延長線上に、第1~第3後部中央メンバ17~19が位置するように設けられている。尚、前部中央メンバ16及び第1~第3後部中央メンバ17~19は、前後方向に連続した1つの部材で構成されていてもよい。この場合、1本のメンバが前側メンバ13から後側メンバ14まで延びることになる。
図2に示すように、フロント支持フレーム20は左右一対設けられており、上部構造体3の下方において略水平に直線状に延びている。各フロント支持フレーム20は、例えば押出材やプレス成形材等で構成することができる。この実施形態では、各フロント支持フレーム20を押出材で構成しているので、前後方向に直交する方向の断面形状は前端部から後端部まで略等しくなっている。
左側のフロント支持フレーム20は、枠型フレーム10の前部を構成している前側メンバ13の左右方向中央よりも左寄りの部位に接続されており、この接続部位は、枠型フレーム10の左側方メンバ11よりも右側に位置している。また、右側のフロント支持フレーム20は、前側メンバ13の左右方向中央よりも右寄りの部位に接続されており、この接続部位は、枠型フレーム10の右側方メンバ12よりも左側に位置している。左右のフロント支持フレーム20の高さは略同じである。
前側のパワートレインPTは、フロント支持フレーム20に対して図示しないマウント部材を介して取り付けられている。この場合、フロント支持フレーム20は、走行用モータMをバッテリユニットYの前方で支持する前側モータ支持フレームとなる。下部構造体2には、パワートレインPTの出力(走行用モータMの回転力)を左右の前輪FTにそれぞれ伝達するドライブシャフトS1が左右に設けられている。
また、図4に仮想線で示す前側サスペンション装置SP1、SP2の一部を構成している左右のサスペンションアームは、左右のフロント支持フレーム20に対してそれぞれ上下方向に揺動自在に支持されている。フロント支持フレーム20はパワートレインPTを支持することなく、サスペンションアームを支持するための部材であってもよい。
図2に示すように、リヤ支持フレーム30はフロント支持フレーム20と同様に左右一対設けられており、略水平に直線状に後方へ向かって延びている。各リヤ支持フレーム30は、例えば押出材やプレス成形材等で構成することができる。この実施形態では、各リヤ支持フレーム30を押出材で構成している。
左側のリヤ支持フレーム30は、枠型フレーム10の後部を構成している後側メンバ14の左右方向中央よりも左寄りの部位に接続されており、この接続部位は、枠型フレーム10の左側方メンバ11よりも右側に位置している。また、右側のリヤ支持フレーム30は、後側メンバ14の左右方向中央よりも右寄りの部位に接続されており、この接続部位は、枠型フレーム10の右側方メンバ12よりも左側に位置している。
後側のパワートレインPTは、リヤ支持フレーム30に対して図示しないマウント部材を介して取り付けられている。この場合、リヤ支持フレーム30は、走行用モータMをバッテリユニットYの後方で支持する後側モータ支持フレームとなる。下部構造体2には、パワートレインPTの出力(走行用モータMの回転力)を左右の後輪RTにそれぞれ伝達するドライブシャフトS2が左右に設けられている。
また、図4に仮想線で示す後側サスペンション装置SP3、SP4の一部を構成している左右のサスペンションアームは、左右のリヤ支持フレーム30に対してそれぞれ上下方向に揺動自在に支持されている。リヤ支持フレーム30はパワートレインPTを支持することなく、サスペンションアームを支持するための部材であってもよい。
(上部構造体)
次に、上部構造体3について説明する。上部構造体3は、フロア構成部材40と、ダッシュパネル50と、左右一対のサイドシル60とを備えている。フロア構成部材40は、下部構造体2の枠型フレーム10及びリヤ支持フレーム30の上方に配置される部材である。このフロア構成部材40は、乗員が着座するフロントシートFS及びリアシートRS(図1に示す)が設けられた乗員空間R1のフロアを構成する乗員空間側フロアパネル(第1フロアパネル)41と、荷室空間R3のフロアを構成する荷室空間側フロアパネル(第2フロアパネル)42と、乗員空間側フロアパネル41の後部と荷室空間側フロアパネル42の前部とを接続する接続パネル43とを備えている。接続パネル43により、キックアップ部が構成されている。
フロア構成部材40は、例えば鋼板等をプレス成形した部材で構成することができる。乗員空間側フロアパネル41、荷室空間側フロアパネル42及び接続パネル43は、一体成形されていてもよいし、別々も部材を成形した後、それらを接続してもよい。また、本実施形態では、乗員空間側フロアパネル41、荷室空間側フロアパネル42及び接続パネル43と3つの部分に分けて説明しているが、これらパネル41~43を含むフロア構成部材40をフロアパネルと呼んでもよい。また、乗員空間側フロアパネル41のみをフロアパネルと呼んでもよい。
乗員空間側フロアパネル41は、乗員空間R1の前部から後部、及び乗員空間R1の左側部から右側部まで延びている。本実施形態に係る乗員空間側フロアパネル41は、トンネル部が無い、フロアトンネルレス構造である。すなわち、従来の自動車のフロアパネルの車幅方向中央部には、上方へ向けて大きく膨出し、かつ、前後方向に延びるトンネル部が設けられているのが一般的である。このトンネル部は、例えば車両前部のエンジンルームに搭載されているエンジンから後方へ向けて延びる排気管を通したり、車両前部のエンジンルームに搭載されているエンジンの出力を後輪に伝達するプロペラシャフトを通したりするための部分である。排気管やプロペラシャフトの直径は、例えば10cm以上ある場合が多く、しかも、排気管やプロペラシャフトとフロアパネルとの干渉を未然に防止するために、排気管やプロペラシャフトとフロアパネルとの間には、少なくとも数cm以上の隙間を設ける必要がある。さらに、トンネル部の内面にはインシュレータ等が配設されることもある。これらの要因により、トンネル部のフロアパネルからの膨出高さは、例えば15cm以上または20cm以上となる場合があり、シートとの位置関係で言うと、トンネル部の上端がシートレール上のシートクッションの下端やシートクッションの上下方向中央部よりも高くなる。このように上方へ大きく膨出したトンネル部の無い構造がトンネルレス構造である。
乗員空間側フロアパネル41は、上述したように当該乗員空間側フロアパネル41の上面からの高さが15cm以上、または20cm以上のトンネル部を備えていないが、例えば当該乗員空間側フロアパネル41の上面からの高さが5cm以下または10cm以下の低い膨出部であれば備えていてもよい。このような高さの低い膨出部の場合は、その内部に排気管やプロペラシャフトを通すことができないので、トンネル部として機能するものではない。よって、乗員空間側フロアパネル41の上面からの高さが5cm以下または10cm以下の低い膨出部を備えていても、トンネルレス構造のフロアパネルである。また、乗員空間側フロアパネル41には、上方へ突出して前後方向に延びるリブ等が設けられていてもよい。このようなリブの高さは数cm程度であることから、リブが設けられていても、トンネルレス構造のフロアパネルである。
本実施形態では、パワートレインPTが走行用モータMを含むものであるため、前側空間R2に内燃機関を搭載する必要がなく、よって、排気管を車両後方まで導かなくてもよい。また、後側空間R4にパワートレインPTを搭載すれば、そのパワートレインPTで後輪RTを駆動することもでき、プロペラシャフトを省略できる。よって、乗員空間側フロアパネル41をトンネルレス構造とすることができる。
図3にも示すように、乗員空間側フロアパネル41における前後方向中間部には、下方へ向けて膨出するように形成された窪み部41aが形成されている。窪み部41aは、リヤシートRSに着座した後席乗員の足を載置可能な底面部41bを有している。底面部41bは略水平に形成されている。窪み部41aの前側部分は、後側へ向かって次第に深くなるように形成されている。窪み部41aは乗員空間側フロアパネル41の左側部から右側部まで連続して形成することができる。
窪み部41aの底面部41bは、後述するサイドシル60の下部と略同じ高さとされており、これにより、底面部41bの高さを十分に低くすることができる。窪み部41aと、リヤシートRSのシートクッションとの前後方向の位置関係は、リヤシートRSに着座した後席乗員が足を真下に下ろした時に、足が自然と底面部41bに載置されるように設定されている。窪み部41aの前部の位置は、リヤシートRSに着座した後席乗員が足を斜め前に動かした時に、足が底面部41bに載置されるように設定されている。つまり、後席乗員が足を多少前後に動かしても、足を底面部41bに載置できるように、窪み部41aの位置及び前後方向の寸法が設定されている。これにより、後席乗員の足元スペースを拡大させることができ、居住性が向上する。また、窪み部41aの深さは、例えば5cm以上または10cm以上とすることができる。
窪み部41aの左右方向中央部には、前後方向に延びるフロアフレーム41cが設けられている。フロアフレーム41cの下部は、窪み部41aの底面部41bに固定される。フロアフレーム41cを設けることで、乗員空間側フロアパネル41における窪み部41aが形成された部分を補強することができる。
また、乗員空間側フロアパネル41の窪み部41aよりも後側には、前後方向に延びるリヤ補強部材47が設けられている。リヤ補強部材47は、乗員空間側フロアパネル41の上面に接合されている。このリヤ補強部材47は必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
荷室空間側フロアパネル42は、乗員空間側フロアパネル41よりも上方に位置付けられている。荷室空間側フロアパネル42の下方には、後側空間R4が位置している。つまり、荷室空間R3と後側空間R4とを仕切るように、荷室空間側フロアパネル42が配置されている。荷室空間側フロアパネル42の前後方向の寸法は、乗員空間側フロアパネル41の前後方向の寸法よりも短く設定されている。
荷室空間側フロアパネル42が乗員空間側フロアパネル41よりも上方に配置されているので、接続パネル43は上下方向に延びることになる。接続パネル43は鉛直であってもよいし、上側へ行くほど後に位置するように傾斜していてもよい。
図7にも示すように、ダッシュパネル50は、前側空間R2及び乗員空間R1の隔壁となる部材であり、乗員空間側フロアパネル41の前部から上方へ延びるとともに、左右方向にも延びており、乗員空間R1の前部を仕切っている。
図4に示すように、左右のサイドシル60は、それぞれ乗員空間側フロアパネル41の左右両端部において前後方向に延びるように配設される。左のサイドシル60の上下方向中間部に乗員空間側フロアパネル41の左端部が接続されており、サイドシル60の上側部分は乗員空間側フロアパネル41の接続部位から上方へ突出し、またサイドシル60の下側部分は乗員空間側フロアパネル41の接続部位から下方へ突出している。乗員空間側フロアパネル41の下方にはバッテリFB、RBを含むバッテリユニットYが配設されるので、車両側面視では、サイドシル60の下側部分と、バッテリFB、RBとが重複するように配置される。また、右のサイドシル60も同様に乗員空間側フロアパネル41の右端部と接続されている。
図3に示すように、上部構造体3は、左右一対のヒンジピラー70を備えている。右のヒンジピラー70は、右のサイドシル60の前端部から上方に延びている。また、左のヒンジピラー70は、左のサイドシル60の前端部から上方に延びている。左右のヒンジピラー70には、それぞれ左右のフロントドアFD(図1に示す)が回動可能に取り付けられている。ダッシュパネル50の左縁部は、左のヒンジピラー70の右側面に接続されている。また、ダッシュパネル50の右縁部は、右のヒンジピラー70の左側面に接続されている。尚、図示しないが、センターピラーやリヤピラー等も上部構造体3に設けられている。
上部構造体3におけるダッシュパネル50よりも前方の左側には、左前輪FTのサスペンション装置(フロントサスペンション装置)SP1(図4に仮想線で示す)を支持する左側の前輪用サスペンション支持部材51Aが設けられている。また、上部構造体3におけるダッシュパネル50よりも前方の右側には、右前輪FTのサスペンション装置(フロントサスペンション装置)SP2(図4に仮想線で示す)を支持する右側の前輪用サスペンション支持部材51Bが設けられている。サスペンション装置SP1、SP2の形式は特に限定されるものではないが、例えば前輪FTを上下方向に揺動自在に支持するサスペンションアーム、ショックアブソーバ、スプリング等を備えている。前輪用サスペンション支持部材51A、51Bには、サスペンションアームの車体側の端部や、ショックアブソーバの上端部等が取り付けられる。前輪用サスペンション支持部材51A、51Bは、例えばアルミダイキャスト製とすることができるが、これに限られるものではなく、鋼板等を組み合わせて構成されていてもよい。
図6等に示すように、ダッシュパネル50よりも前方の左側には、左側の前輪用サスペンション支持部材51Aを固定するための3つの左側固定フレーム52Aが設けられている。3つの左側固定フレーム52Aは上下方向に互いに間隔をあけて配置されており、3つの左側固定フレーム52Aの前部は前輪用サスペンション支持部材51Aに固定されている。一方、最も上、及び上下方向中間に配置されている左側固定フレーム52Aの後部は、左側のヒンジピラー70ないしダッシュパネル50の左側に固定されている。また、最も下に配置されている左側固定フレーム52Aの後部は、左のサイドシル60に固定されている。
図3に一部のみ示しているように、ダッシュパネル50よりも前方の右側には、右側の前輪用サスペンション支持部材51Bを固定するための3つの右側固定フレーム52Bが設けられている。3つの右側固定フレーム52Bは上下方向に互いに間隔をあけて配置されており、3つの右側固定フレーム52Bの前部は前輪用サスペンション支持部材51Bに固定されている。一方、最も上、及び上下方向中間に配置されている右側固定フレーム52Bの後部は、右側のヒンジピラー70ないしダッシュパネル50の右側に固定されている。また、最も下に配置されている右側固定フレーム52Bの後部は、右のサイドシル60に固定されている。
図2に示すように、左側の前輪用サスペンション支持部材51Aの前部には、前方へ向けて延びる左側クラッシュカン53Aが固定されている。また、右側の前輪用サスペンション支持部材51Bの前部には、前方へ向けて延びる右側クラッシュカン53Bが固定されている。左側クラッシュカン53Aの前部と右側クラッシュカン53Bの前部には、左右方向に延びるバンパーレインフォースメント140が取り付けられている。
図4に示すように、上部構造体3は、左側フロントフレーム54A及び右側フロントフレーム54Bを備えている。すなわち、ダッシュパネル50よりも前方には、後述するセンターフレーム80の前部と左側の前輪用サスペンション支持部材51Aとを連結する左側フロントフレーム54Aと、センターフレーム80の前部と右側の前輪用サスペンション支持部材51Bとを連結する右側フロントフレーム54Bとが設けられている。左側フロントフレーム54Aは、前側へ行くほど左側に位置するように傾斜している。右側フロントフレーム54Bは、前側へ行くほど右側に位置するように傾斜している。左右の前輪用サスペンション支持部材51A、51Bをそれぞれセンターフレーム80の前部に連結することで、前輪用サスペンション支持部材51A、51Bの剛性を高めることができ、車両の操縦安定性が向上する。また、ダッシュパネル50の周辺を含む車両前側の剛性も同時に高めることができる。
上部構造体3は、乗員空間側フロアパネル41の後部よりも後方、かつ左側で前後方向に延びる左側リヤサイドフレーム112Aと、乗員空間側フロアパネル41の後部よりも後方、かつ右側で前後方向に延びる右側リヤサイドフレーム112Bとを備えている。左側リヤサイドフレーム112Aの前部は、左側のサイドシル60の後部に接続されている。右側リヤサイドフレーム112Bの前部は、右側のサイドシル60の後部に接続されている。また、左側リヤサイドフレーム112Aの前後方向中間部と、右側リヤサイドフレーム112Bの前後方向中間部とは、左右方向に延びる荷室側クロスメンバ(連結メンバ)105によって連結されている。
上部構造体3における接続パネル43よりも後方の左側には、左後輪RTのサスペンション装置(リヤサスペンション装置)SP3(図4に仮想線で示す)を支持する左側の後輪用サスペンション支持部材110Aが設けられている。後輪用サスペンション支持部材110Aは、左側リヤサイドフレーム112Aに固定されている。また、上部構造体3における接続パネル43よりも後方の右側には、右後輪RTのサスペンション装置(リヤサスペンション装置)SP4(図4に仮想線で示す)を支持する右側の後輪用サスペンション支持部材110Bが設けられている。後輪用サスペンション支持部材110Bは、右側リヤサイドフレーム112Bに固定されている。サスペンション装置SP3、SP4の形式は特に限定されるものではないが、例えば後輪RTを上下方向に揺動自在に支持するサスペンションアーム、ショックアブソーバ、スプリング等を備えている。
後輪用サスペンション支持部材110Aの上部には、左側のサスペンション装置SP3が有するスプリングやショックアブソーバの上部が連結されている。図3に示すように、後輪用サスペンション支持部材110Aの上部は、スプリングやショックアブソーバからの荷重が入力する左側荷重入力部110aである。また、後輪用サスペンション支持部材110Bの上部には、右側のサスペンション装置SP4が有するスプリングやショックアブソーバの上部が連結されている。後輪用サスペンション支持部材110Bの上部は、スプリングやショックアブソーバからの荷重が入力する右側荷重入力部110bである。左側荷重入力部110a及び右側荷重入力部110bは、荷室空間側フロアパネル42の左右両側にも固定されている。さらに、左側荷重入力部110a及び右側荷重入力部110bは、荷室側クロスメンバ105によって連結されている。荷室側クロスメンバ105は、荷室空間側フロアパネル42の上面に接合されており、荷室空間側フロアパネル42と荷室側クロスメンバ105とによって車幅方向に延びる閉断面構造が構成されている。
また、図2に示すように、左側荷重入力部110a及び右側荷重入力部110bの下方には、後部クロスメンバ44Eが設けられている。後部クロスメンバ44Eは乗員空間側フロアパネル41の後部に接合されている。
上部構造体3は、例えば前部車体構造と後部車体構造とに分けることが可能である。図4に示すように、上部構造体3における乗員空間側フロアパネル41よりも後側を後部車体構造とすることができる。上部構造体3の接続パネル43よりも後方には、センターフレーム80の後部と左側の後輪用サスペンション支持部材110Aとを連結する左側リヤフレーム111Aと、センターフレーム80の後部と右側の後輪用サスペンション支持部材110Bとを連結する右側リヤフレーム111Bとが設けられている。左右の後輪用サスペンション支持部材110A、110Bをそれぞれセンターフレーム80の後部に連結することで、後輪用サスペンション支持部材110A、110Bの剛性を高めることができ、車両の操縦安定性が向上する。また、接続パネル43の周辺を含む車両後側の剛性も同時に高めることができる。
左側リヤフレーム111A及び右側リヤフレーム111Bは、荷室空間側フロアパネル42の下方に配置されている。図6に示すように、左側リヤフレーム111Aの後部は、後輪用サスペンション支持部材110Aの上部、即ち左側荷重入力部110aに固定されている。左側リヤフレーム111Aは、後輪用サスペンション支持部材110Aの上部から前方へ向けて前側へ行くほど下に位置するように側面視で傾斜するとともに、図4に示すように前側へ行くほど車幅方向中央部に接近するように平面視で傾斜している。また、右側リヤフレーム111Bの後部は、後輪用サスペンション支持部材110Bの上部、即ち、右側荷重入力部110bに固定されている。右側リヤフレーム111Bは、後輪用サスペンション支持部材110Bの上部から前方へ向けて前側へ行くほど下に位置するように側面視で傾斜するとともに、図4に示すように前側へ行くほど車幅方向中央部に接近するように平面視で傾斜している。したがって、左側リヤフレーム111A及び右側リヤフレーム111Bは、それぞれ後側へ行くほど車幅方向外方に位置するように配置されており、左側リヤフレーム111A及び右側リヤフレーム111Bの間隔は、前側へ行くほど狭くなっている。
また、左側リヤフレーム111Aの後部は、左側リヤサイドフレーム112Aの前後方向中間部にも接続されている。これにより、左側リヤフレーム111Aは、センターフレーム80の後部から左側リヤサイドフレーム112Aに延び、センターフレーム80の後部と左側リヤサイドフレーム112Aとを連結する左側連結フレームとなる。左側リヤフレーム111Aは、左側荷重入力部110aと後部クロスメンバ44Eも連結する左側リヤ連結フレームである。すなわち、左側リヤフレーム111Aの前部は、左側荷重入力部110aにも固定され、また、左側リヤフレーム111Aの後部は、後部クロスメンバ44Eにも固定されている。
また、右側リヤフレーム111Bの後部は、右側リヤサイドフレーム112Bの前後方向中間部にも接続されている。これにより、右側リヤフレーム111Bは、センターフレーム80の後部から右側リヤサイドフレーム112Bに延び、センターフレーム80の後部と右側リヤサイドフレーム112Bとを連結する右側連結フレームとなる。右側リヤフレーム111Bは、右側荷重入力部110bと後部クロスメンバ44Eも連結する右側リヤ連結フレームである。すなわち、右側リヤフレーム111Bの前部は、右側荷重入力部110bにも固定され、また、右側リヤフレーム111Bの後部は、後部クロスメンバ44Eにも固定されている。
左側リヤフレーム111Aは左側荷重入力部110aへ向かって上向きに傾斜するように配置される。よって、リヤサスペンション装置SP3からの上向き荷重は、左側リヤフレーム111Aに対して引っ張り方向に入力するので、圧縮方向の荷重が入力した場合に比べて左側リヤフレーム111Aの撓み変形が起こりにくく、よって、リヤサスペンション装置SP3からの荷重入力に起因した振動や騒音が抑制される。右側リヤフレーム111Bについても同様である。
図18に示すように、左のリヤドライブシャフトS2の前方に、左側リヤフレーム111Aが配置されている。左のリヤドライブシャフトS2は、前後方向から見たとき、左側リヤフレーム111Aの一部と重複するように配置されている。具体的には、左のリヤドライブシャフトS2の左右方向中間部の高さは、左側リヤフレーム111Aの前部と後部の間の部分の高さと略一致している。
また、右のリヤドライブシャフトS2の前方に、右側リヤフレーム111Bが配置されている。右のリヤドライブシャフトS2は、前後方向から見たとき、右側リヤフレーム111Bの一部と重複するように配置されている。具体的には、右のリヤドライブシャフトS2の左右方向中間部の高さは、右側リヤフレーム111Bの前部と後部の間の部分の高さと略一致している。
図3や図6に示すように、乗員空間側フロアパネル41は、前部クロスメンバ44A、中間クロスメンバ44B、窪み部前側クロスメンバ44C、窪み部後側クロスメンバ44D及び後部クロスメンバ44Eを有している。前部クロスメンバ44A、中間クロスメンバ44B、窪み部前側クロスメンバ44C、窪み部後側クロスメンバ44D及び後部クロスメンバ44Eは、左右方向に延びるとともに乗員空間側フロアパネル41の上面に固定されている。従って、前部クロスメンバ44A、中間クロスメンバ44B、窪み部前側クロスメンバ44C、窪み部後側クロスメンバ44D及び後部クロスメンバ44Eは、乗員空間R1において平面視で後述するセンターフレーム80と交差するように配設される。
前部クロスメンバ44Aは、乗員空間側フロアパネル41の前部に配設されている。前部クロスメンバ44Aの前部は、ダッシュパネル50の下部とも接合されている。中間クロスメンバ44Bは、前部クロスメンバ44Aの後方、かつ、窪み部41aよりも前方に配設されており、中間クロスメンバ44Bと乗員空間側フロアパネル41とにより閉断面が構成されている。後部クロスメンバ44Eは、乗員空間側フロアパネル41の後部に配設されている。後部クロスメンバ44Eは、接続パネル43にも固定されている。
窪み部前側クロスメンバ44Cは、中間クロスメンバ44Bの後方において窪み部41aの前部に沿って左右方向に延びるように配設されている。窪み部後側クロスメンバ44Dは、窪み部前側クロスメンバ44Cの後方において窪み部41aの後部に沿って左右方向に延びるように配設されている。窪み部前側クロスメンバ44Cと乗員空間側フロアパネル41とにより閉断面が構成され、また、窪み部後側クロスメンバ44Dと乗員空間側フロアパネル41とにより閉断面が構成されている。窪み部前側クロスメンバ44C及び出部後側クロスメンバ44Dを設けることで、窪み部41aが形成された部分を補強することができる。窪み部41aの内部に設けられているフロアフレーム41cの前部は、窪み部前側クロスメンバ44Cの左右方向中央部に接続され、また、フロアフレーム41cの後部は、窪み部後側クロスメンバ44Dの左右方向中央部に接続されている。
図8に示すように、上部構造体3は、左側のフロントシートFSを支持する左右一対の左側シートレール90と、右側のフロントシートFSを支持する左右一対の右側シートレール91とを備えている。左側シートレール90は、左側のフロントシートFSの前後方向の位置を調整するためのものであり、乗員空間側フロアパネル41の左側に配設されて前後方向に延びている。また、右側シートレール91は、右側のフロントシートFSの前後方向の位置を調整するためのものであり、乗員空間側フロアパネル41の右側に配設されて前後方向に延びている。
左側シートレール90は、中間クロスメンバ44Bと窪み部前側クロスメンバ44Cとの上方に位置付けられており、中間クロスメンバ44Bと窪み部前側クロスメンバ44Cとに取り付けられている。すなわち、図9にも示すように、左側シートレール90は、中間クロスメンバ44Bから窪み部前側クロスメンバ44Cまで延びており、左側シートレール90の前部が中間クロスメンバ44Bに取り付けられ、左側シートレール90の後部が窪み部前側クロスメンバ44Cに取り付けられている。
右側シートレール91も同様に、中間クロスメンバ44Bから窪み部前側クロスメンバ44Cまで延びており、右側シートレール91の前部が中間クロスメンバ44Bに取り付けられ、右側シートレール91の後部が窪み部前側クロスメンバ44Cに取り付けられている。
図10に示すように、中間クロスメンバ44Bは、左側シートレール90の前部と右側シートレール91の前部とが左右方向に互いに離れた状態で取り付けられる前部共通ブラケット45を有している。尚、図10では、センターフレーム80を省略している。図11に示すように、前部共通ブラケット45は、左右方向に長い形状とされており、中間クロスメンバ44Bの上面に固定されている。前部共通ブラケット45の左右方向中央部は、中間クロスメンバ44Bの左右方向中央部に位置している。前部共通ブラケット45の左右方向中央部には、後述する第2連結部材102の下部が挿入される中央固定部45a(図10及び図11にのみ示す)が設けられている。前部共通ブラケット45の中央固定部45aよりも左側には、左側シートレール90の前部がボルトやビス等の締結部材(図示せず)によって固定される左側固定部45b(図4及び図11にのみ示す)が設けられている。前部共通ブラケット45の中央固定部45aよりも右側には、右側シートレール91の前部が締結部材(図示せず)によって固定される右側固定部45c(図4及び図11にのみ示す)が設けられている。尚、図3~5、図11では、シートレールを省略している。
また、窪み部前側クロスメンバ44Cは、左側シートレール90の後部と右側シートレール91の後部とが左右方向に互いに離れた状態で取り付けられる後部共通ブラケット46を有している。図11に示すように、後部共通ブラケット46は、左右方向に長い形状とされており、窪み部前側クロスメンバ44Cの上面に固定されている。後部共通ブラケット46の左右方向中央部は、窪み部前側クロスメンバ44Cの左右方向中央部に位置している。後部共通ブラケット46の左右方向中央部には、後述する連結部材の下部が挿入された状態で固定される中央固定部46a(図10及び図11にのみ示す)が設けられている。後部共通ブラケット46の中央固定部46aよりも左側には、左側シートレール90の後部が締結部材(図示せず)によって固定される左側固定部46b(図4及び図11にのみ示す)が設けられている。後部共通ブラケット46の中央固定部46aよりも右側には、右側シートレール91の後部が締結部材(図示せず)によって固定される右側固定部46c(図4及び図11にのみ示す)が設けられている。
図8等に示すように、上部構造体3は、ダッシュパネル50から接続パネル43まで連続したセンターフレーム80を備えている。このセンターフレーム80は左右方向中央部に位置するとともに、バッテリユニットYの前部中央メンバ16及び第1~第3後部中央メンバ17~19も左右方向中央部に位置している。すなわち、平面視で、前部中央メンバ16及び第1~第3後部中央メンバ17~19とセンターフレーム80とが互いに重複する位置関係となるように、前部中央メンバ16及び第1~第3後部中央メンバ17~19と、センターフレーム80との配設位置が設定されている。
また、センターフレーム80は、乗員空間R1の左右方向中央部において乗員空間側フロアパネル41から上方に離れて配設されており、前後方向に延びている。センターフレーム80の下面と、乗員空間側フロアパネル41の上面との距離は、最も離れている部分で、例えば10cm以上または20cm以上に設定することができる。センターフレーム80の左側方には、左側のフロントシートFS及びリヤシートRSが配設され、一方、センターフレーム80の右側方には、右側のフロントシートFS及びリヤシートRSが配設されている。
センターフレーム80を乗員空間側フロアパネル41から上方に離して配置していることで、センターフレーム80の下面と、乗員空間側フロアパネル41の上面との間に例えば部品等を配設することができる。また、センターフレーム80の下面と、乗員空間側フロアパネル41の上面との間を、物品収容部として利用することもできる。図5及び図6に示すように、この実施形態に係るセンターフレーム80は、前後方向中間部に上下方向に屈曲する屈曲部80Aを有している。センターフレーム80に屈曲部80Aを設けることで、例えば、センターフレーム80の後側部分を当該センターフレーム80の前側部分よりも低くすることができるので、後席乗員の居住性を向上させることができる。また、センターフレーム80の前側部分を当該センターフレーム80の後側部分よりも高くすることができるので、センターフレーム80の前側部分の下方に大型の部品や物品、複数の部品等を配置することが可能になる。屈曲部80Aは、センターフレーム80の前後方向中央部よりも前寄りの部位に形成されている。屈曲部80Aの形成位置は、図示した位置に限られるものではなく、例えばセンターフレーム80の前後方向中央部であってもよいし、センターフレーム80の前後方向中央部よりも後寄りの部位であってもよい。
すなわち、センターフレーム80は、前後方向に延びる前側フレーム部材81と、該前側フレーム部材81の車両後方に配設され、後方へ向けて延びる後側フレーム部材82と、前側フレーム部材81の後部と後側フレーム部材82の前部とを接続する接続部材83とを有している。前側フレーム部材81及び後側フレーム部材82は、中空状、即ち前後方向に延びる筒状をなしており、例えば押出材で構成することができる。前側フレーム部材81及び後側フレーム部材82を中空状にすることで、軽量かつ高剛性な部材になる。後述する空調風の送風手段としてセンターフレーム80を使用する場合、後側フレーム部材82の後部は空調風が漏れないように閉塞されていてもよい。
前側フレーム部材81及び後側フレーム部材82の車幅方向に沿った鉛直断面は、矩形状となっており、このため、前側フレーム部材81及び後側フレーム部材82は、左右方向に延びる上壁部及び下壁部と、上下方向に延びる左右両側壁部とを有している。尚、前側フレーム部材81及び後側フレーム部材82の断面形状は矩形状に限られるものではなく、五角形以上の多角形であってもよいし、円形、楕円形であってもよい。
後側フレーム部材82の長手方向の寸法は、前側フレーム部材81の長手方向の寸法よりも長く設定されている。したがって、前側フレーム部材81と後側フレーム部材82との接続部分は、乗員空間R1の前後方向中央部よりも前方に位置している。尚、センターフレーム80は、前側フレーム部材81と後側フレーム部材82との2分割構造に限られるものではなく、前部から後部まで1つの部材で構成されていてもよいし、3分割構造であってもよい。
前側フレーム部材81は、水平面に対して第1の傾斜角度で傾斜し、直線状に延びている。一方、後側フレーム部材82は、水平面に対して第1の傾斜角度よりも小さな第2の傾斜角度で傾斜し、直線状に延びている。つまり、後側フレーム部材82が前側フレーム部材81とは異なる傾斜角度で傾斜していることにより、前側フレーム部材81と後側フレーム部材82との接続部分で下方向へ向けて屈曲する屈曲部80Aが構成される。この実施形態では、後側フレーム部材82が後側へ向かって下降傾斜するように配置されている。
図12及び図13に示すように、後側フレーム部材82の内部には、当該内部空間を上通路と下通路とに仕切るための第1仕切壁部82aが車幅方向かつ前後方向に延びるように設けられている。さらに、後側フレーム部材82の内部には、車幅方向左側の左通路と車幅方向右側の右通路とに仕切るための第2仕切壁部82bが上下方向かつ前後方向に延びるように設けられている。第1仕切壁部82a及び第2仕切壁部82bは、一体成形されている。第1仕切壁部82a及び第2仕切壁部82bにより、後側フレーム部材82の内部には、4つの通路、即ち左上通路T11、右上通路T12、左下通路T13及び右下通路T14が形成される。第1仕切壁部82a及び第2仕切壁部82bは、センターフレーム80の内部に設けられたリブとして機能する。尚、第1仕切壁部82aと、第2仕切壁部82bとは必要に応じて設ければよく、一方または両方を省略してもよい。また、仕切壁部は3つ以上設けてもよい。
また、前側フレーム部材81の内部にも後側フレーム部材82の内部と同様に、第1仕切壁部81aが車幅方向かつ前後方向に延びるように設けられており、この第1仕切壁部81aにより、前側フレーム部材81の内部空間が上通路と下通路とに仕切られている。また、車幅方向左側の左通路と車幅方向右側の右通路とに仕切る第2仕切壁部81bも前側フレーム部材81の内部に設けられている。第1仕切壁部81a及び第2仕切壁部81bにより、前側フレーム部材81の内部には、後側フレーム部材82と同様に、左上通路T11、右上通路T12、左下通路T13及び右下通路T14が形成される。
図14~図16に示すように、接続部材83は、前側フレーム部材81の後部と後側フレーム部材82の前部とを互いに連通可能に接続する筒状をなしており、前側フレーム部材81の後部と後側フレーム部材82の前部とが接続部材83に挿入された状態で接続されている。具体的には、接続部材83は、左右方向に延びる上壁部83a及び下壁部83bと、上下方向に延びる左壁部83c及び右壁部83dとを有している。上壁部83aは、左壁部83cの上部から右壁部83dの上部まで延びており、また、下壁部83bは、左壁部83cの下部から右壁部83dの下部まで延びている。接続部材83の下壁部83bの前後方向の寸法は、上壁部83aの前後方向の寸法よりも長く設定されている。上壁部83aと下壁部83bの前後方向の寸法の相違に対応するように、左壁部83c及び右壁部83dの前後方向の寸法は、下側へ行くほど長くなっている。
接続部材83の内部には、左壁部83cの上下方向中間部から右壁部83dの上下方向中間部まで左右方向に延びる第1連結壁部83eと、上壁部83aの左右方向中間部から下壁部83bの左右方向中間部まで延びる第2連結壁部83fとが設けられている。第1連結壁部83e及び第2連結壁部83fは、上壁部83a、下壁部83b、左壁部83c及び右壁部83dと一体成形されている。
第2連結壁部83fの前側には、前側フレーム部材81の後部が差し込まれる前側切欠部83gが形成されている。また、第2連結壁部83fの後側には、後側フレーム部材82の前部が差し込まれる後側切欠部83hが形成されている。前側フレーム部材81と後側フレーム部材82とが接続部材83によって接続されると、前側フレーム部材81の左上通路T11、右上通路T12、左下通路T13及び右下通路T14は、それぞれ、後側フレーム部材82の左上通路T11、右上通路T12、左下通路T13及び右下通路T14と連通する。
接続部材83を省略しながら、屈曲部80Aを設けることもできる。この場合、センターフレーム80の屈曲部80Aは、当該センターフレーム80を曲げ加工することによって形成できる。例えば、センターフレーム80を押出加工する際に曲げ加工も同時に施してもよいし、押出加工後に曲げ加工を施してもよい。
図17に示すように、上部構造体3は、乗員空間R1へ送風する空調風を生成する空調装置120を備えている。この空調装置120は、前側フレーム部材81の前部よりも前方に配設されており、センターフレーム80の前方に位置している。空調装置120の詳細については後述する。
また、図18に示すように、センターフレーム80は、当該センターフレーム80の前部を構成する左側フレーム構成部材84A及び右側フレーム構成部材84Bを有しており、これにより、センターフレーム80の前部は左右方向に分岐した形状になっている。左側フレーム構成部材84A及び右側フレーム構成部材84Bは、左右方向に互いに間隔をあけて設けられている。左側フレーム構成部材84Aの後部は、前側フレーム部材81の前後方向中間部の左側面に固定されている。左側フレーム構成部材84Aは、前側フレーム部材81への固定部分から前方へ向かって前側へ行くほど左に位置するように平面視で傾斜している。左側フレーム構成部材84Aの前部は、ダッシュパネル50における乗員空間側フロアパネル41から上方に離れた部分に連結されている。左側フレーム構成部材84Aの前部に、左側フロントフレーム54Aの後部が接続されている。具体的には、図18に示すように、左側フロントフレーム54Aの後部は、左側接続部54aを有している。左側接続部54aは、左側フロントフレーム54Aを左側フレーム構成部材84Aの前部に接続するための部材であり、ダッシュパネル50に固定されている。左側フロントフレーム54Aの前部は、左側の前輪用サスペンション支持部材51Aまで延び、当該左側の前輪用サスペンション支持部材51Aに固定される。
また、右側フレーム構成部材84Bの後部は、前側フレーム部材81の前後方向中間部の右側面に固定されている。右側フレーム構成部材84Bは、前側フレーム部材81への固定部分から前方へ向かって前側へ行くほど右に位置するように平面視で傾斜している。右側フレーム構成部材84Bの前部は、ダッシュパネル50における乗員空間側フロアパネル41から上方に離れた部分に連結されている。右側フレーム構成部材84Bの前部に、右側フロントフレーム54B(図4に示す)の後部が接続されている。具体的には、右側フロントフレーム54Bの後部は、図18に示すように右側接続部54bを有している。右側接続部54bは、右側フロントフレーム54Bを右側フレーム構成部材84Bの前部に接続するための部材であり、ダッシュパネル50に固定されている。右側のフロントフレーム54Bの前部は、右側の前輪用サスペンション支持部材51Bまで延び、当該右側の前輪用サスペンション支持部材51Bに固定される。
上部構造体3は、複数の連結部材101~103を備えている。連結部材101~103は、乗員空間側フロアパネル41から上方へ延び、上部がセンターフレーム80に固定され、センターフレーム80を乗員空間側フロアパネル41に連結するための部材である。連結部材101~103は、第1連結部材101、第2連結部材102及び第3連結部材103を含んでおり、これらは例えば押出材等で構成されている。連結部材101~103の数は、複数に限定されるものではなく、1つであってもよい。
第1~第3連結部材101~103のうち、第1連結部材101が乗員空間R1において最も前に配設されており、この第1連結部材101は、ダッシュパネル50から後方に離れている。第1連結部材101の下部は、乗員空間側フロアパネル41におけるダッシュパネル50から後方に離れた部位に固定され、第1連結部材101の上部は、センターフレーム80におけるダッシュパネル50から後方に離れた部位に固定されている。これにより、センターフレーム80、第1連結部材101、乗員空間側フロアパネル41及びダッシュパネル50により、側面視で閉断面構造が構成されている。つまり、センターフレーム80、第1連結部材101、乗員空間側フロアパネル41及びダッシュパネル50が接続されることで、環状構造となる。
また、図3等に示すように、第2連結部材102は、第1連結部材101から後方に離れて配設されている。第1連結部材101の下部と第2連結部材102の下部とは、乗員空間側フロアパネル41の前後方向に互いに離れた部位にそれぞれ固定されている。また、第1連結部材101の上部と第2連結部材102の上部とは、センターフレーム80の前後方向に互いに離れた部位にそれぞれ固定されている。したがって、センターフレーム80、第1連結部材101、乗員空間側フロアパネル41及び第2連結部材102により、側面視で閉断面構造が構成されている。また、第3連結部材103は、第2連結部材102から後方に離れて配設されている。
図18に示すように、第1連結部材101は、左側部材(左側連結部材)101Aと右側部材(右側連結部材)101Bとを有している。左側部材101A及び右側部材101Bの下部は、前部クロスメンバ44Aに固定されているが、乗員空間側フロアパネル41の本体部分に対して直接固定されていてもよい。左側部材101Aは、前部クロスメンバ44Aから上方へ向けて上側へ行くほど左に位置するように正面視で傾斜して延びている。左側部材101Aの上部は、センターフレーム80の左側フレーム構成部材84Aの前部に固定されている。左側部材101Aの上部は左側接続部54aに固定されていてもよい。この場合、左側部材101Aは、左側接続部54aと乗員空間側フロアパネル41とを連結する。
また、右側部材101Bは、前部クロスメンバ44Aから上方へ向けて上側へ行くほど右に位置するように正面視で傾斜して延びている。右側部材101Bの上部は、センターフレーム80の右側フレーム構成部材84Bの前部に固定されている。右側部材101Bの上部は右側接続部54bに固定されていてもよい。この場合、右側部材101Bは、右側接続部54bと乗員空間側フロアパネル41とを連結する。また、左側フレーム構成部材84Aの前部と、右側フレーム構成部材84Bの前部とは左右方向に離れているので、左側部材101Aと右側部材101Bとは、下部を除いた大部分が左右方向に離れることになり、左側部材101Aと右側部材101Bとの左右方向の間隔は上側へ行くほど広くなっている。
図示しないが、第1連結部材101は、左側フロントフレーム54Aの後部を乗員空間側フロアパネル41に連結してもよい。この場合、第1連結部材101の左側部材101Aの上部が左側フロントフレーム54Aの後部に固定され、左側部材101Aの下部が乗員空間側フロアパネル41に固定されることになる。また、第1連結部材101は、右側フロントフレーム54Bの後部を乗員空間側フロアパネル41に連結してもよい。この場合、第1連結部材101の右側部材101Bの上部が右側フロントフレーム54Bの後部に固定され、右側部材101Bの下部が乗員空間側フロアパネル41に固定されることになる。
第2連結部材102の左右方向の寸法は、前後方向の寸法よりも長く設定されているが、センターフレーム80の左右方向の寸法以下となっている。これにより、第2連結部材102の左右両側がセンターフレーム80から左右方向にはみ出さなくなる。また、第2連結部材102の断面は、左側部材101Aまたは右側部材101Bの断面よりも大きく設定されている。
第2連結部材102の下部は、中間クロスメンバ44Bが有している前部共通ブラケット45における左側シートレール90と右側シートレール91との間に固定されている。具体的には、第2連結部材102の下部が前部共通ブラケット45の左右方向中央部に設けられている中央固定部45aに挿入された状態で固定されている。つまり、左側シートレール90と右側シートレール91とが取り付けられる共通ブラケット45は、高い強度を有する部材となり、しかも、車幅方向の寸法がある程度長くなるので、クロスメンバ44Bの本体部分への固定範囲が大きく確保されて固定強度も高まる。このように強度が高く、かつ、固定強度の高い共通ブラケット45に第2連結部材102の下部を固定することで、第2連結部材102によるセンターフレーム80の連結強度をより一層高めることができる。尚、第2連結部材102の下部は、乗員空間側フロアパネル41の本体部分に対して直接固定されていてもよいし、中間クロスメンバ44Bに対して直接固定されていてもよい。
第2連結部材102の上部は、センターフレーム80の屈曲部80Aに固定されている。具体的には、第2連結部材102の上部は、接続部材83の下壁部83bに対して固定されている。したがって、第2連結部材102は、センターフレーム80の屈曲部80Aから乗員空間側フロアパネル41に向かって延びることになる。接続部材83の下壁部83bの前後方向の寸法は、上壁部83aの前後方向の寸法よりも長いので、第2連結部材102との接合面積を広く確保することができる。接続部材83を省略する場合には、第2連結部材102の上部をセンターフレーム80に直接固定すればよい。
第3連結部材103は、第2連結部材102と同様に左右方向に長い断面を有している。第3連結部材103の下部は、窪み部前側クロスメンバ44Cに固定されている。第3連結部材103の上部は、センターフレーム80の後側フレーム部材82の下壁部に対して固定されている。図8にも示すように、第3連結部材103は、フロアフレーム41cの前部にも固定されている。
図4に示すように、センターフレーム80の後部は接続パネル43及び後部クロスメンバ44Eに連結されている。具体的には、センターフレーム80の後部には、後部連結部材104が固定されており、この後部連結部材104の下部には後部クロスメンバ44Eの左右方向中央部が固定されている。後部連結部材104により、センターフレーム80の後部と後部クロスメンバ44Eが繋がれている。
後部連結部材104の後側は、接続パネル43に固定されている。したがって、センターフレーム80の後部は後部連結部材104を介して接続パネル43にも連結される。後部連結部材104の下部は、乗員空間側フロアパネル41の後部にも固定されている。すなわち、ダッシュパネル50と接続パネル43とがセンターフレーム80によって連結される。このとき、センターフレーム80は乗員空間側フロアパネル41から上方に離れているので、乗員空間側フロアパネル41、ダッシュパネル50、接続パネル43及びセンターフレーム80が一体化して側面視で閉断面構造が構成される。これにより、フロアトンネルレス構造の乗員空間側フロアパネル41を有していながら、車体の捻れ剛性を十分に向上させることができる。
さらに、後部連結部材104の下部には、左側リヤフレーム111Aの前部及び右側リヤフレーム111Bの前部が固定されている。これにより、センターフレーム80の後部と左側の後輪用サスペンション支持部材110Aとが左側リヤフレーム111Aにより連結され、また、センターフレーム80の後部と右側の後輪用サスペンション支持部材110Bとが右側リヤフレーム111Bにより連結される。よって、後輪用サスペンション支持部材110A、110Bの剛性を高めることができ、車両の操縦安定性が向上する。また、接続パネル43及びその周辺を含む車両後側の剛性も同時に高めることができる。
図5に示すように、後側のパワートレインPTが有する走行用モータMは、図示しないマウント部材等を介してリヤ支持フレーム30に支持されており、センターフレーム80の後部よりも車両後方に配設されている。後側の走行用モータMの高さは、リヤ支持フレーム30への取り付け高さによって任意に設定することが可能である。この実施形態では、後側の走行用モータMの上部から下部に亘る少なくとも一部の高さがセンターフレーム80の後部の高さと同一となるように、後側の走行用モータMの高さが設定されている。さらに、後側の走行用モータMの回転中心の高さ、即ち走行用モータMの上下方向中央部の高さは、センターフレーム80の後部よりも低く設定されている。このように後側のパワートレインPTを配置していることで、例えば車両後方から作用した衝撃荷重が走行用モータMに入力されて当該走行用モータMが車両前方へ移動しようとすると、センターフレーム80の後部に対して車両前方への荷重が作用する。このとき、センターフレーム80の後部が後部クロスメンバ44Eや接続パネル43等に連結されて乗員空間側フロアパネル41と一体化されているので、走行用モータMの前方への移動がセンターフレーム80によって阻止される。走行用モータMの前方への移動は、乗員空間側フロアパネル41や後部クロスメンバ44Eによっても阻止される。
次に、図17に基づいて、前側のパワートレインPTのレイアウトについて説明する。前側のパワートレインPTは、図示しないマウント部材等を介してフロント支持フレーム20に支持されている。前側の走行用モータMの高さは、フロント支持フレーム20への取り付け高さによって任意に設定することが可能である。前側のパワートレインPTは、第1連結部材101の前方に配置されている。第1連結部材101と、パワートレインPTとの間には、空調装置120の少なくとも一部が配置されている。
空調装置120は、空調用空気が通過する冷却器(熱交換器)121と、該冷却器121を収容する空調ケーシング122とを有している。冷却器121は、空調風を冷却するためのエバポレータ等からなる冷却用熱交換器である。これに限らず、冷却器121の代わりに、空調風を加熱するヒータコアや凝縮器等からなる加熱用熱交換器を用い、他の部分に冷却器を配設してもよい。この実施形態の冷却器121は、ダッシュパネル50よりも前方に配設されている。尚、図示しないが、冷媒を圧縮する圧縮機や、冷媒を減圧する膨張弁等も空調装置120の一部を構成している。
冷却器121の上下方向中央部は、前側の走行用モータMの回転中心よりも上に配置されている。すなわち、例えば自動車1が前方から衝突してパワートレインPTに対して後向きの衝撃荷重が加わると、その衝撃荷重の大きさによってはパワートレインPTが後退し始める。前側のパワートレインPTを上述したように配置していることで、パワートレインPTの後方には、前後方向に延びるセンターフレーム80が連結部材101~103によって乗員空間側フロアパネル41に連結された状態で配置されることになる。したがって、センターフレーム80及び連結部材101~103によってパワートレインPTの後退が抑制される。また、パワートレインPTの後方には、乗員空間側フロアパネル41も位置しているので、乗員空間側フロアパネル41によってもパワートレインPTの後退が抑制される場合がある。
次に、空調装置120の具体的な構成例について説明する。空調装置120の空調ケーシング122の内部には、上記冷却器121の他に、図示しない加熱器と、冷却器121を通過した冷風と加熱器を通過した温風との混合割合を変更して所望温度の空調風を生成するためのエアミックスダンパ122aと、生成された所望温度の空調風を車室の各部に分配するための吹出方向切替ダンパ122bとが収容されている。吹出方向切替ダンパ122bの動作により、空調風をフロントウインドガラスFG(図1に示す)の内面に供給したり、乗員の上半身に供給したり、乗員の足元近傍に供給することができる。吹出方向切替ダンパ122bの動作については従来から周知である。
空調ケーシング122の前側部分は、冷却器121及びエアミックスダンパ122aを収容する部分であり、ダッシュパネル50よりも前方に配置されている。一方、空調ケーシング122の後側部分は、吹出方向切替ダンパ122bを収容する部分であり、ダッシュパネル50を貫通して乗員空間R1に配置されている。このため、冷却器121やエアミックスダンパ122aは、吹出方向切替ダンパ122bよりもパワートレインPTに接近することになる。尚、空調ケーシング122の前側部分をダッシュパネル50よりも後方に配置してもよい。
空調ケーシング122の後側部分は、当該空調ケーシング122の内部で生成された空調風が吹き出すダクト形状をなす吹出部122cを有している。空調ケーシング122は、吹出部122cと、センターフレーム80の内部とを連通させ、吹出部122cから吹き出す空調風をセンターフレーム80の内部に導入させる導風ダクト122dも有している。導風ダクト122dは、後述する制御装置130の上方に配置されており、前後方向に延びている。導風ダクト122dの前部が吹出部122cに接続される一方、導風ダクト122dの後部がセンターフレーム80の前側フレーム部材81の前部に接続されている。これにより、空調装置120によって生成された空調風は、導風ダクト122dを介してセンターフレーム80の内部に導入される。導風ダクト122dは、センターフレーム80の一部を構成する部材であってもよい。
センターフレーム80が前後方向に延びているので、空調風を乗員空間R1における前後方向の所望の箇所に導くことができる。この場合に、導風ダクト122dが制御装置130の上方に配置されていて左右方向に所定の幅を有しているので、直射日光が導風ダクト122dによっても遮られ、制御装置130により一層届き難くなる。また、センターフレーム80を空調ダクトとして利用することで、空調ダクトを別途設けずに済み、空調ダクトを別途設ける場合に比べて乗員空間R1を広くできる。
図18に示すように、センターフレーム80の上壁部における導風ダクト122dから後方に離れた部分には、左上通路T11及び右上通路T12内の空調風を上方へ送風するための上側送風部80bが設けられている。上側送風部80bは、センターフレーム80の上壁部においてフロントシートFSの背もたれ部よりも後方に位置しており、左右両側にそれぞれ設けられている。左側の上側送風部(左側送風部)80bは、左上通路T11内に連通する筒状をなし、右側の上側送風部(右側送風部)80bは、右上通路T12内に連通する筒状をなしている。上側送風部80bの下流端は、リヤシートRSに着座している乗員に向くように、上方へ開放されている。
図5に示すように、センターフレーム80の下壁部における導風ダクト122dから後方に離れた部分には、左下通路T13及び右下通路T14内の空調風を下方へ送風するための下側送風部80cが設けられている。下側送風部80cは、フロントシートFSのシートクッション部よりも後方に位置しており、センターフレーム80の下壁部の左右両側にそれぞれ設けられている。左側の下側送風部80cは、左下通路T13内に連通する筒状をなし、右側の下側送風部80cは、右下通路T14内に連通する筒状をなしている。下側送風部80cは、窪み部41aへ向けて下方へ延びるリヤ足下ダクトで構成されており、センターフレーム80から下方へ延びた後、車幅方向外側へ向けて屈曲している。リヤ足下ダクトは、リヤヒートダクトと呼ぶこともできる。
また、センターフレーム80は車体の捻れ剛性を向上させることができる程度に大きな断面を有しているので、内部を流通する空調風量を増大させたとしても、送風音は低く抑えられる。特に、センターフレーム80が直線に近い形状で延びているので、内部の通路も同様に直線に近い形状になり、このことによっても送風音を低く抑えることができる。さらに、センターフレーム80に断熱材等を設けていない場合には、センターフレーム80の内部を流通する空調風の熱が当該センターフレーム80の壁部に伝達されて、当該壁部の外面から乗員空間R1に放射される。これにより、輻射熱を利用した快適な空調が可能になる。尚、センターフレーム80に断熱材を設けてもよい。
(制御装置のレイアウト)
車体構造Aは、自動車1に搭載される被制御部を制御する制御装置130(図9及び図17、図21等に示す)を備えている。被制御部は、例えばパワートレインPT、ブレーキ装置、電子制御サスペンション装置、灯火装置、ナビゲーション装置、ヘッドアップディスプレイ装置、オーディオ装置、車内モニター、テレビ等を挙げることができる。これら被制御部を制御する制御装置130は、高性能なCPU、メモリ等を含んでいるので、大型化するとともに、高熱に弱く、衝撃にも弱い。制御装置130には、発熱対策として、冷却水が流通するウォータジャケット等も設けられている。また、車内のエンターテイメント機能(動画再生機能、音楽再生機能)等を搭載する場合があり、この場合も制御装置130が大型化する。
本実施形態の制御装置130は、乗員空間R1においてセンターフレーム80の前部の下方に配置されている。上述したように、センターフレーム80の前部の高さは、センターフレーム80の後部に比べて高くなっているので、大型の制御装置130であっても配置可能である。図17に仮想線で示すように、センターフレーム80の前部の上方には、計器類が取り付けられるインストルメントパネルIPが配置されている。インストルメントパネルIPは、乗員空間R1の左側から右側まで左右方向に延びている。また、インストルメントパネルIPの前部は、フロントウインドガラスFG(図1に示す)の下部に達している。
制御装置130の前方には、第1連結部材101を構成している左側部材101A及び右側部材101Bが配置されている。また、制御装置130の後方には、第2連結部材102が配置されている。これにより、第1連結部材101と第2連結部材102との間に、制御装置130が配置されることになり、第1連結部材101と制御装置130との間、第2連結部材102と制御装置130との間には、それぞれ隙間が設けられている。
乗員空間R1内のセンターフレーム80の下方に制御装置130が配置されるので、例えば外部からの直射日光はセンターフレーム80によって遮られて制御装置130に届き難くなる。よって、制御装置130を熱的に有利な場所に配置できる。また、インストルメントパネルIPが制御装置130の上方に配置されることになるので、直射日光がインストルメントパネルIPによっても遮られ、制御装置130により一層届き難くなる。また、制御装置130がインストルメントパネルIPによって覆われることで、外部から見えにくくなり、セキュリティ上も好ましい。
また、制御装置130の上方には導風ダクト122dが配設されている。空調風の熱は導風ダクト122dの壁部に伝達されて、当該壁部の外面から制御装置130へ向けて輻射熱として放射される。このとき、導風ダクト122dの内部には乗員空間R1が快適となるように温度調整された空調風が流れているので、導風ダクト122dからの輻射熱は制御装置130の温度上昇を抑制するように作用する。また、導風ダクト122dによって直射日光を遮ることもできる。
また、例えば前方から衝撃荷重が作用した場合を想定すると、センターフレーム80が前後方向に延びているので、センターフレーム80によって衝撃荷重の少なくとも一部が吸収されるとともに、その近傍の車体の変形が抑制される。つまり、センターフレーム80の下方に配置されている制御装置130が前方からの衝撃荷重に対して守られることになる。後方からの衝撃荷重に対しても同様である。特に、左側部材101Aと右側部材101Bとにより、センターフレーム80の少なくとも2箇所を乗員空間側フロアパネル41に強固に連結することができるので、制御装置130の保護性能を高めることができる。
また、車両の側方から衝撃荷重が作用した場合を想定すると、制御装置130が車幅方向中央部に対応するように配置されているので、側方からの衝撃荷重が制御装置130に直接的に伝わり難くなり、側方からの衝撃荷重に対しても制御装置130が守られることになる。加えて、第1連結部材101と第2連結部材102との間に制御装置130が配置されるので、制御装置130に対して前後方向の衝撃荷重が作用し難くなり、保護性能がより一層向上する。
(冷却経路)
次に、冷却経路について説明する。図19は、自動車1が備えている冷却経路の概略構造を示した図である。冷却器121は、例えば空調装置120の冷却用熱交換器で構成することができるが、これに限らず、空調装置120とは別に設けられた専用の冷却器であってもよい。冷却器121には、熱交換媒体としての冷却水の通路が形成されており、この通路を流通する冷却水は冷却器121の内部の低温冷媒と熱交換することによって冷却される。車体構造Aは、冷却器121で冷却された冷却水を制御装置130が有するウォータジャケット(図示せず)に供給するための供給配管131と、制御装置130に供給された冷却水を排出させるための排出配管132とを備えている。供給配管131には冷却水を制御装置130に送るためのポンプPが設けられている。排出配管132から排出された冷却水は、冷却器121を通過して冷却された後にポンプPに吸入される。このようにして冷却水を循環させることにより、制御装置130が冷却される。制御装置130を冷却した冷却水は、バッテリFB、RBの冷却に使用された後、走行用モータMの冷却に使用されてから、冷却器121に戻る。尚、冷却水の代わりに冷媒を用いてもよい。
図17に示すように、冷却器121は、前側のパワートレインPTよりも後方に配設さされており、ダッシュパネル50に近くなっている。これにより、冷却器121を前側のパワートレインPTよりも制御装置130に近接させることができる。従って、供給配管131の長さが短くて済むとともに、配管経路がシンプルになるので、冷却水を制御装置130に供給する時の圧力損失が低減されるとともに、冷却器121から制御装置130に至る間で冷熱の損失が少なくなるので、制御装置130を効率よく冷却できる。
また、図20に示すように、供給配管131及び排出配管132は、ダッシュパネル50を貫通して延びるとともに、左側部材101Aと右側部材101Bとの間に配設されている。左側部材101Aと右側部材101Bとの間に供給配管131及び排出配管132を配設することで、供給配管131及び排出配管132に乗員の足等が当たり難くなり、供給配管131及び排出配管132の損傷が抑制される。供給配管131及び排出配管132は、空調装置120の下方を前後方向に延びている。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、ダッシュパネル50と接続パネル43とをセンターフレーム80によって連結できる。このとき、センターフレーム80は乗員空間側フロアパネル41から上方に離れているので、乗員空間側フロアパネル41、ダッシュパネル50、接続パネル43及びセンターフレーム80が一体化して側面視で閉断面構造を構成できる。これにより、フロアトンネルレス構造の乗員空間側フロアパネル41を有していながら、車体の捻れ剛性を十分に向上させることができる。
特に、センターフレーム80のダッシュパネル50への連結部分が乗員空間側フロアパネル41から上方に離れ、また、センターフレーム80の接続パネル43への連結部分が乗員空間側フロアパネル41から上方に離れることになるので、センターフレーム80と乗員空間側フロアパネル41との上下方向の間隔を拡大させることができる。これにより、センターフレーム80を設けることによる車体の捻れ剛性の向上効果をより一層高めることができる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明は、例えば電動車の車体構造として利用することができる。
1 自動車
41 乗員空間側フロアパネル(第1フロアパネル)
42 荷室空間側フロアパネル(第2フロアパネル)
43 接続パネル
50 ダッシュパネル
80 センターフレーム
A 車体構造
R1 乗員空間
R3 荷室空間

Claims (5)

  1. 自動車に設けられる車体構造において、
    乗員が着座するシートが設けられた乗員空間のフロアを構成する第1フロアパネルと、
    前記第1フロアパネルの前部から上方へ延び、前記乗員空間の車両前部を仕切るダッシュパネルと、
    前記第1フロアパネルよりも上方に位置付けられ、前記乗員空間の車両後方に設けられた荷室空間のフロアを構成する第2フロアパネルと、
    前記第1フロアパネルの後部と前記第2フロアパネルの前部とを接続する接続パネルと、
    前記乗員空間の車幅方向中央部において前記第1フロアパネルから上方に離れて配設され、車両前後方向に延びるセンターフレームとを備えている車体構造。
  2. 請求項1に記載の車体構造において、
    前記センターフレームの前部は、前記ダッシュパネルにおける前記第1フロアパネルから上方に離れた部分に連結されている車体構造。
  3. 請求項1または2に記載の車体構造において、
    前記センターフレームの後部は、前記接続パネルにおける前記第1フロアパネルから上方に離れた部分に連結されている車体構造。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の車体構造において、
    前記ダッシュパネルよりも車両前方の左右両側にそれぞれ設けられ、前輪のサスペンション装置を支持する前輪用サスペンション支持部材と、
    前記センターフレームの前部と左側の前記前輪用サスペンション支持部材とを連結する左側フロントフレームと、
    前記センターフレームの前部と右側の前記前輪用サスペンション支持部材とを連結する右側フロントフレームとをさらに備えている車体構造。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の車体構造において、
    前記接続パネルよりも車両後方の左右両側にそれぞれ設けられ、後輪のサスペンション装置を支持する後輪用サスペンション支持部材と、
    前記センターフレームの後部と左側の前記後輪用サスペンション支持部材とを連結する左側リヤフレームと、
    前記センターフレームの後部と右側の前記後輪用サスペンション支持部材とを連結する右側リヤフレームとをさらに備えている車体構造。
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