JP2023050748A - 鋼帯尾端部の巻取装置及び方法並びに鋼帯の連続処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】 板エッジ傷や擦り傷を発生させることなく、コイル尾端部の巻きずれ発生を防止できる鋼帯尾端部の巻取装置及び方法を提供する。【解決手段】 鋼帯Sを連続処理する鋼板製造設備の出側にシャー10を有するラインの鋼帯尾端部の巻取装置であって、該巻取装置は、1本のデフレクターロール1と2本の押さえロール2A、2Bとを備え、前記2本の押さえロールは、前記デフレクターロールに対し内向き傾斜角θを有し、該内向き傾斜角θの範囲が1°以上20°以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼帯を連続処理する鋼板製造設備のラインにおいて、鋼帯尾端部をコイル状に巻き取る際に、板エッジ傷や擦り傷を発生させることなくコイル尾端部の巻きずれの発生を防止することが可能な鋼帯尾端部の巻取装置及び方法並びに鋼帯の連続処理設備に関する。
一般に鋼帯を連続処理する鋼板製造設備のラインにおいて、コイル状に巻かれた鋼帯は、ペイオフリールにより払い出され、処理終了後にテンションリールによって再びコイル状に巻き取られる。この際、連続通板を行うため、鋼板製造設備の入側と出側にはそれぞれシャー(入側のシャーを入側シャー、出側のシャーを出側シャーともいう。)が設けられ、先行する鋼帯(先行材)の尾端部と後行する鋼帯(後行材)の先端部は、切り捨て部を入側シャーで切断除去後、先行材尾端と後行材先端が溶接される。そして、処理の完了した鋼帯は鋼板製造設備の出側シャーで先行材と後行材に切断分離されて個別にコイル状に巻き取られる。なお、シャーで切断することをシャーカットともいう。
図5に示すように、従来一般に、巻取装置では、鋼板製造設備(図示せず)の出側に設けられたシャー(出側シャー)10からテンションリール15までの間に、鋼帯Sの進行方向を変更するためのデフレクターロール1及びデフレクターロール1上の鋼帯Sを押さえる押さえロール2が各1本ずつ設置されている。
連続通板中の鋼帯Sには、ブライドルロールによって、張力がかかっている。巻き取られている鋼帯Sに一定の張力がかかっている場合は、基本的に、巻きずれを起こすことなくコイル状に巻き取られていく。しかし、シャー10で切断される直前は張力の急激な変化を防ぐため、張力が下がり、切断された後はシャー10からテンションリール15まで、押さえロール2とデフレクターロール1で挟持されているだけの鋼帯Sの尾端部にほとんど張力がかからなくなる。このため、鋼帯Sのバタつきやコイルの形状の影響等によりコイル尾端部は巻きずれを起こすことがある。コイル尾端部の巻きずれは、コイル輸送中などにエッジ(板幅方向端)の折れ等を発生させるため防がなくてはならない欠陥である。
そこで、従来よりマグネットや拘束装置及びEPC(エッジ・ポジション・コントロール)を用いてコイル尾端部の巻きずれの発生を防止しようとしている。
例えば、テンションリール15と出側のシャー10の間に鋼帯Sの幅方向の動きを拘束する装置(図示せず)を設置することで、コイル尾端部の巻きずれを防止する技術が開示され(特許文献1)、また、テンションリール15と出側のシャー10との間にマグネットコンベア(図示せず)を複数個配置し、シャーカット後も常に磁力によるバックテンション(後方張力)を鋼帯Sに作用させることで、鋼帯Sのバタツキ、蛇行を拘束しながらコイル尾端部の巻きずれを防止する技術が開示されている(特許文献2)。
特開2007-175713号公報 特開2005-254309号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている蛇行防止技術では、巻きずれを防止する装置と板エッジ(鋼帯の幅方向端)が触れる可能性が高く、板エッジ傷が発生してコイルの耳荒れ等を起こす場合や、巻きずれを防止する装置の交換頻度が高まる場合があるという問題があった。
また、特許文献2に開示されている技術では、マグネットコンベアを使用することで、シャーカット後にも一定のバックテンションを鋼帯に与えることができるが、鋼帯とマグネットコンベア間に滑りが生じ、擦り傷を鋼帯につける場合があるという問題があった。
本発明は、上記従来技術における問題を解決し、板エッジ傷や擦り傷を発生させることなく、コイル尾端部の巻きずれ発生を防止できる鋼帯尾端部の巻取装置及び方法並びに鋼帯の連続処理設備を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討し、その結果、前記押さえロールを分割して2本のロールとし、各押さえロールがデフレクターロールに対し特定の範囲の内向き傾斜角を有するものとすることにより、板エッジ傷や擦り傷を発生させることなく、コイル尾端部の巻きずれを防止できることを知見し、本発明をなした。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 鋼帯を連続処理する鋼板製造設備の出側にシャーを有するラインの鋼帯尾端部の巻取装置であって、
該巻取装置は、1本のデフレクターロールと2本の押さえロールとを備え、
前記2本の押さえロールは、前記デフレクターロールに対し内向き傾斜角θを有し、該内向き傾斜角θの範囲が1°以上20°以下であることを特徴とする鋼帯尾端部の巻取装置。
[2] 前記2本の押さえロールの内向き傾斜角θをそれぞれ独立に可変とすることを特徴とする[1]に記載の鋼帯尾端部の巻取装置。
[3] 前記2本の押さえロールの鋼帯への押付圧をそれぞれ独立に可変とすることを特徴とする[1]又は[2]に記載の鋼帯尾端部の巻取装置。
[4] 前記2本の押さえロールをそれぞれ駆動式とすることを特徴とする[1]~[3]のいずれか一つに記載の鋼帯尾端部の巻取装置。
[5] 前記2本の押さえロールの回転速度をそれぞれ独立に可変とすることを特徴とする[4]に記載の鋼帯尾端部の巻取装置。
[6] [1]~[5]のいずれか一つに記載の鋼帯尾端部の巻取装置を用いる鋼帯尾端部の巻取方法であって、
前記2本の押さえロールの内向き傾斜角θを1~20°の範囲とすることを特徴とする鋼帯尾端部の巻取方法。
[7] 前記2本の押さえロールの鋼帯への押付圧を0.05~0.55MPaの範囲とすることを特徴とする[6]に記載の鋼帯尾端部の巻取方法。
[8] 前記2本の押さえロールのロール周速度の鋼帯進行方向成分を鋼帯尾端部進行速度±15%以内の範囲とすることを特徴とする[6]又は[7]に記載の鋼帯尾端部の巻取方法。
[9] 前記シャーで鋼帯尾端部を切断する準備状態となった時点で前記2本の押さえロールの鋼帯への押付圧を付与することを特徴とする[6]~[8]のいずれか一つに記載の鋼帯尾端部の巻取方法。
[10] [1]~[5]のいずれか一つに記載の鋼帯尾端部の巻取装置を有することを特徴とする鋼帯の連続処理設備。
本発明によれば、鋼帯を連続処理する鋼板製造設備の出側にシャーを有するラインにおいて、鋼帯尾端部に対し、2本の押さえロールの内向き傾斜角θにより、常にライン幅中心方向の力を及ぼすことができ、擦り傷を発生させることなく、巻きずれ発生を防止することができる。
本発明に係る巻取装置の一例の概略を示す側面図である。 本発明に係る巻取装置の一例の概略を示す平面図である。 本発明に係る巻取装置の一例の概略を示す俯瞰図である。 内向き傾斜角θと巻きずれ発生率及び擦り傷発生率の関係を示すグラフである。 従来の巻取装置の一例を模式で示す側面図である。
以下、図面を参照し、まず、本発明に係る鋼帯尾端部の巻取装置(以下、本発明装置ともいう。)の実施形態について説明する。
[装置の概要]
例えば図1、図2及び図3にそれぞれ側面図、平面図及び俯瞰図で概略を示すように、本発明装置は、鋼帯Sを連続処理する鋼板製造設備(図示せず)の出側にシャー10を有するラインの鋼帯尾端部の巻取装置であって、該巻取装置は、1本のデフレクターロール1と、デフレクターロール1上の鋼帯Sに押付圧をかける2本の押さえロール2A、2Bとを備える。デフレクターロール1の下流にはテンションリール15を有する。
鋼帯Sの板厚は0.4~2.0mmの範囲、板幅は700~1850mmの範囲である。
テンションリール15の回転速度は0~310rpmの範囲である。シャー10からデフレクターロール1までの距離は6~10mの範囲である。
デフレクターロール1の直径(ロール径)は800~1200mmの範囲、胴長(ロール幅)は、鋼帯Sの全幅と接触させるため鋼帯Sの最大板幅より大きくされ、鋼帯Sの最大板幅に対する比率が110~120%の範囲である。
[2本の押さえロール]
本発明装置では、従来が1本の押さえロール2としている(図5参照)のとは違って、2本の押さえロール2A、2Bとしている(図1~図3参照)。
2本の押さえロール2A、2Bは、フラットロールであり、1本の押さえロール2を胴長(ロール幅)方向に2分割したものであってもよい。押さえロール2A、2Bの材質は、鋼帯Sに擦り傷を生じさせにくいゴムライニングロールが好ましい。2本の押さえロール2A、2Bのライン幅方向の配置間隔(ライン幅中心LC側のロール端同士の間隔)はライン幅中心LC側の軸受(図示せず)の設置スペース確保のため100~200mmの範囲である。
押さえロール2A、2Bは、必ずしも同一のロール寸法でなくてもよいが、同一のロール寸法にすると鋼帯Sへの押圧力と接触面積(摩擦力に反映される)の対応関係が両ロールで同じとなって、摩擦力の制御が容易であるため、同一のロール寸法とするのが好ましい。また、押さえロール2A、2Bの直径(ロール径)は、鋼帯の塑性変形を抑止するためにデフレクターロールの直径が大きく設計されている為、デフレクターロール1のそれより小さくされ、デフレクターロール1のそれに対する比率が0.2~1.0の範囲である。また、押さえロール2A、2Bの胴長(ロール幅)は、後述の内向き傾斜角θを付した状態で鋼帯Sの板幅端から外側にはみ出る寸法とされる。
[内向き傾斜角θ]
2本の押さえロール2A、2Bは、デフレクターロール1の上側で、ライン幅中心LCの両側に位置し、デフレクターロール1に対し内向き傾斜角θを有する(図2及び図3参照)。ここで、内向き傾斜角θとは、押さえロール2A、2Bをそれぞれ、デフレクターロール1の直上の位置から、ライン幅中心LC側のロール端が鋼帯S進行方向の上流側に変位するように、回転させた場合の回転角度を意味する。なお、この回転の中心とする位置は押さえロール2A、2Bそれぞれの胴長のほぼ中心点(中心点からの胴長方向距離が0±0.1×胴長以内)の位置とするのが、装置の簡素化の点から好ましい。
内向き傾斜角θの付与により、2本の押さえロール2A、2Bはそれぞれ、鋼帯Sとの接触面を介した摩擦により鋼帯Sにライン幅中心LC方向の力FA、FBを及ぼす。鋼帯Sの板幅中心SCがライン幅中心LCから例えば押さえロール2A側に偏った状態(図2、図3)では、FA>FBとなり、その結果生じる板幅中心SCからライン幅中心LCへの方向の力F(以下単に力Fともいう。)が、板幅中心SCのライン幅中心LCからの偏りを打ち消すように作用するため、巻きずれは抑制される。逆に、板幅中心SCがライン幅中心LCから押さえロール2B側に偏った状態(図示せず)では、FA<FBとなり、その結果生じる力Fが、板幅中心SCのライン幅中心LCからの偏りを打ち消すように作用するため、巻きずれは抑制される。
[内向き傾斜角θの範囲]
内向き傾斜角θが過小であると力F(図2、図3参照)が弱すぎて巻きずれの抑制効果に乏しく、逆に内向き傾斜角θが過大であると力Fが強すぎて鋼帯Sの擦り傷が発生すると考えられる。そこで、本発明者らは、図5の従来の巻取装置を、図1~図3に示した形態に改造した(1本の押さえロール2に代えて、2本の押さえロール2A、2Bとした)実機を用い、内向き傾斜角θの適正範囲を求める実験(実機実験)を行った。
なお、この実機では、後述する好ましい形態として、2本の押さえロール2A、2Bの内向き傾斜角θをそれぞれ独立に可変とした。また、2本の押さえロール2A、2Bの鋼帯への押付圧をそれぞれ独立に可変とした。また、2本の押さえロール2A、2Bをそれぞれ駆動式とし、両者の回転速度をそれぞれ独立に可変とした。
供試材は、処理量の割合が全体の約5%と最も高い種類(鋼種=低炭素鋼、板厚=1.0mm、板幅=1000mm)の鋼帯Sとし、巻き取り条件の一部はこの供試材用に従来から設定されている条件(シャー10からデフレクターロール1までの距離=6m及び10mの2通り、デフレクターロール1は、被覆材質=ハイパロン、直径=800mm、胴長=2100mm)とした。
この条件下で、2本の押さえロール2A、2Bは、材質=ゴムライニングロール(従来の1本のみの場合と同じ、以下、同従来という。)、直径=300mm(同従来)、胴長=900mm(従来の1本のみの場合は2100mm)とした。
なお、ここでの運転条件としては、2本の押さえロール2A、2Bとも、内向き傾斜角θ及び押付圧はそれぞれ同じ値に揃え、無駆動状態(同従来)で運転し、押付圧=0.2MPa(同従来)とした。
押さえロール2A、2Bは鋼帯S先端部がテンションリール15に巻付いた時点で鋼帯Sと接触させて押付圧を付与する(同従来)ようにした。
そして、内向き傾斜角θを0~45°の範囲内で複数水準変化させ、巻き取り後にコイル尾端部の巻きずれ発生率及び擦り傷発生率を調査した。
巻きずれ発生率及び擦り傷発生率は、内向き傾斜角θの水準毎に、コイル総数の内、次工程の検査ラインでコイル尾端部に巻きずれ有及び擦り傷有とそれぞれ判定されたコイル数の、コイル総数に対する百分率で表した。
上記実機実験の結果を、内向き傾斜角θに対する巻きずれ発生率及び擦り傷発生率の関係のグラフにして図4に示す。図4より、巻きずれ発生率は、内向き傾斜角θが0°では20%と高いが、1°以上になると10%以下(本実施形態での許容範囲)に低減し、さらに7°以上になるとほぼ0%となる。一方、擦り傷発生率は、内向き傾斜角θが20°以下ではほぼ0%であるが、20°を超えると顕著に増大する。この結果に基づき、内向き傾斜角θを1°以上20°以下の範囲に限定した。なお、好ましくは7°以上20°以下である。
また、本発明では、鋼帯Sを板エッジ側から拘束することはないから、板エッジ傷が発生することはない。
[内向き傾斜角θの2本独立可変]
本発明装置では、2本の押さえロール2A、2Bの内向き傾斜角θ(以下、略して角θともいう。)をそれぞれ独立に可変とすることが好ましい。これによれは、角θを2本同一とした状態で、ライン幅方向の左右いずれか一方の側への板エッジの偏りが、コイルの巻き取り順が後のものほど増大する傾向が生じた場合、偏りがある側の角θを反対側のそれよりも大きくした状態とすることで、前記板エッジの偏りの増大傾向を、減少傾向に反転させることができる。
[押付圧の2本独立可変]
本発明装置では、2本の押さえロール2A、2Bの鋼帯への押付圧をそれぞれ独立に可変とすることが好ましい。これによれば、押付圧を2本同一とした状態で、ライン幅方向の左右いずれか一方の側への板エッジの偏りが、コイルの巻き取り順が後のものほど増大する傾向が生じた場合、偏りがある側の押付圧を反対側のそれよりも大きくした状態とすることで、前記板エッジの偏りの増大傾向を、減少傾向に反転させることができる。
[押さえロールの駆動式化]
本発明装置では、2本の押さえロール2A、2Bをそれぞれ駆動式(無駆動運転も可能)とすることが好ましい。これによれば、無駆動運転時に押さえロールとの滑りによる鋼帯の擦り傷の発生があった場合、駆動運転に切り換えて、回転速度の調整により滑りを軽減し、擦り傷の発生を防止することができる。
[回転速度の2本独立可変]
上記の押さえロールの駆動式化に係る本発明装置では、さらに、2本の押さえロール2A、2Bの回転速度をそれぞれ独立に可変とすることが好ましい。これによれば、回転速度を2本同一とした状態で、ライン幅方向の左右いずれか一方の側への板エッジの偏りが、コイルの巻き取り順が後のものほど増大する傾向が生じた場合、偏りがある側の回転速度を反対側のそれよりも大きくした状態とすることで、前記板エッジの偏りの増大傾向を、減少傾向に反転させることができる。
次に、本発明に係る鋼帯尾端部の巻取方法(以下、本発明方法ともいう。)の実施形態について説明する。本発明方法は、前述の本発明装置を用いるものである。
[内向き傾斜角θの範囲]
本発明方法では、内向き傾斜角θ(略して角θ)を1~20°の範囲とする。これにより、図4に示したように、角θが1°以上で巻きずれ発生率が10%以下(本実施形態での許容範囲)になり、一方、角θが20°以下で擦り傷発生率がほぼ0%となる。さらに、角θが7°以上で巻きずれ発生率がほぼ0%となるから、角θは、7~20°の範囲が好ましい。
[押付圧の範囲]
本発明方法では、2本の押さえロール2A、2Bの鋼帯Sへの押付圧を0.05~0.55MPaの範囲とすることが好ましい。押付圧が0.05MPa未満では、巻きずれ防止効果が不十分となる場合があり、0.55MPa超では擦り傷が発生する場合がある。
[押さえロールのロール周速度]
本発明方法では、2本の押さえロール2A、2Bのロール周速度の鋼帯進行方向成分を鋼帯尾端部進行速度±15%以内の範囲とすることが好ましい。押さえロール2A、2Bのロール周速度の鋼帯進行方向成分が鋼帯尾端部進行速度±15%以内の範囲を外れると、押さえロールと鋼帯との滑りが過大となって擦り傷が発生する場合がある。ここで、押さえロールのロール周速度の鋼帯進行方向成分は、「円周率×押さえロールの直径×回転速度×cos(内向き傾斜角θ)」の式(「式1」という。)で算出される。鋼帯尾端部進行速度は、「円周率×公称コイル外径×テンションリール15の回転速度」の式で算出される。押さえロール2A、2Bの回転速度及びテンションリール15の回転速度は、それぞれのロールに付設した回転計(図示せず)により測定される。押さえロールの交換及び角θの変更によらずに、式1の値を調整するには、押さえロールが無駆動式の場合、回転速度を直接操作できないが、押付圧を変えることにより回転速度が変わって式1の値を調整できる。押さえロールが駆動式の場合は、回転速度を直接操作することによっても式1の値を調整できる。
[押付圧付与のタイミング]
本発明方法では、シャー10で鋼帯尾端部を切断する準備状態となった時点で2本の押さえロール2A、2Bの鋼帯Sへの押付圧を付与することが好ましい。
前記準備状態となる前は鋼帯Sに一定の張力がかかっていて、巻きずれはほとんど起こらず、前記準備状態後なってから、シャーカットの際に鋼帯Sの張力が急に0とならないように、鋼帯Sの張力が低下し、巻きずれが起こりやすくなる。よって、巻きずれ防止のためには押付圧は前記準備状態となった時点で付与してもよい。一方、擦り傷防止のためには押付圧はできるだけかけないに越したことはない。よって、鋼帯Sには前記準備状態となった時点で押付圧を付与することが好ましい。なお、前記準備状態となる時点は、現在巻取り中の先行材と後行材のつなぎ目(溶接点、図示せず)がシャー10を通過する予定時刻より所定の時間差だけ前の時点として設定してもよい。
[本発明に係る連続処理設備]
本発明に係る鋼帯の連続処理設備は、上述の本発明装置を有することにより、擦り傷及び巻きずれのない連続処理製品を得ることができる。
実施例として、前記実機を用いて、巻き取り条件を種々変え、前記実機実験の場合と同様に巻きずれ発生率及び擦り傷発生率を調査した。
[本発明例1]
本発明例1として、鋼帯Sを前記実機実験の場合とは別の種類(鋼種=590MPa級高張力鋼板、板厚=1.8mm、板幅=920mm)とし、内向き傾斜角θ(略して、角θ)を5°及び15°の2水準とし、それ以外は前記実機実験と同様の条件として巻き取りを行った。その結果、角θが5°の場合、巻きずれ発生率及び擦り傷発生率はそれぞれ4%及び0%、角θが15°の場合、共に0%といずれも良好な結果であった。
[本発明例2]
本発明例2として、本発明例1において、鋼帯Sを前記実機実験の場合と同様とし、鋼帯に押付圧を付与するタイミングをシャー10での切断の準備状態となった時点とし、それ以外は本発明例1と同様の条件とした。その結果、角θが5°の場合、巻きずれ発生率及び擦り傷発生率はそれぞれ4%及び0%、角θが15°の場合、共に0%といずれも良好な結果であった。
[本発明例3]
本発明例3として、本発明例2において、鋼帯Sを本発明例2の場合とは別の、巻きずれの発生しやすい種類(鋼種=SUS409、板厚=1.0mm、板幅=950mm)とし、角θを10°とし、それ以外は本発明例3と同様の条件とした。その結果、巻きずれ発生率は10%(許容範囲の上限)、擦り傷発生率は0%といずれも良好な結果であった。このときの巻きずれは、板幅中心SCがライン幅中心LCから押さえロール2A側に偏って発生する傾向であった。
[本発明例4]
本発明例4として、本発明例3において押さえロール2Aの角θを10°から15°へ増加させ、それ以外は本発明例3と同様の条件とした。その結果、本発明例3と比べて、擦り傷発生率は0%と変わらず、巻きずれ発生率は5%と改善した。
[本発明例5]
本発明例5として、本発明例3において押さえロール2Aの押付圧を20%増とし、それ以外は本発明例3と同様の条件とした。その結果、本発明例3と比べて、擦り傷発生率は0%と変わらず、巻きずれ発生率は7%と改善した。
[本発明例6]
本発明例6として、本発明例3において押さえロール2Aを駆動運転とし、そのロール周速度を押さえロール2Bと同方向で押さえロール2Bの10%増とし、それ以外は本発明例3と同様の条件とした。その結果、本発明例3と比べて、擦り傷発生率は0%と変わらず、巻きずれ発生率は8%と改善した。
[比較例1]
本発明例1において、角θを0°及び25°の2水準とし、それ以外は本発明例1と同様の条件とした。その結果、角θが0°の場合、擦り傷発生率は0%であったが、巻きずれ発生率が20%と許容範囲(10%以下)を逸脱した。一方、角θが25度の場合、巻きずれ発生率は0%であったが、擦り傷発生率が12%と高かった。
1 デフレクターロール
2、2A、2B 押さえロール
10 シャー(出側シャー)
15 テンションリール
F、FA、FB 力
LC ライン幅中心
S 鋼帯
SC 板幅中心
θ 内向き傾斜角

Claims (10)

  1. 鋼帯を連続処理する鋼板製造設備の出側にシャーを有するラインの鋼帯尾端部の巻取装置であって、
    該巻取装置は、1本のデフレクターロールと2本の押さえロールとを備え、
    前記2本の押さえロールは、前記デフレクターロールに対し内向き傾斜角θを有し、該内向き傾斜角θの範囲が1°以上20°以下であることを特徴とする鋼帯尾端部の巻取装置。
  2. 前記2本の押さえロールの内向き傾斜角θをそれぞれ独立に可変とすることを特徴とする請求項1に記載の鋼帯尾端部の巻取装置。
  3. 前記2本の押さえロールの鋼帯への押付圧をそれぞれ独立に可変とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼帯尾端部の巻取装置。
  4. 前記2本の押さえロールをそれぞれ駆動式とすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の鋼帯尾端部の巻取装置。
  5. 前記2本の押さえロールの回転速度をそれぞれ独立に可変とすることを特徴とする請求項4に記載の鋼帯尾端部の巻取装置。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の鋼帯尾端部の巻取装置を用いる鋼帯尾端部の巻取方法であって、
    前記2本の押さえロールの内向き傾斜角θを1~20°の範囲とすることを特徴とする鋼帯尾端部の巻取方法。
  7. 前記2本の押さえロールの鋼帯への押付圧を0.05~0.55MPaの範囲とすることを特徴とする請求項6に記載の鋼帯尾端部の巻取方法。
  8. 前記2本の押さえロールのロール周速度の鋼帯進行方向成分を鋼帯尾端部進行速度±15%以内の範囲とすることを特徴とする請求項6又は7に記載の鋼帯尾端部の巻取方法。
  9. 前記シャーで鋼帯尾端部を切断する準備状態となった時点で前記2本の押さえロールの鋼帯への押付圧を付与することを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の鋼帯尾端部の巻取方法。
  10. 請求項1~5のいずれか一項に記載の鋼帯尾端部の巻取装置を有することを特徴とする鋼帯の連続処理設備。
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