JP2023050712A - 水硬性硬化体の製造方法、水硬性硬化体 - Google Patents

水硬性硬化体の製造方法、水硬性硬化体 Download PDF

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Abstract

【課題】蒸気養生を用いつつも、塩分浸透抵抗性に優れ、且つ収縮が小さい水硬性硬化体を製造する方法を提供する。【解決手段】この方法は、普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントの1種以上のポルトランドセメント、メタカオリン、シリカフューム、水、化学混和剤、及び細骨材を混合して、フレッシュな水硬性組成物を得る混合工程と、フレッシュな水硬性組成物に対して40℃~70℃の温度で1時間以上の蒸気養生を行って水硬性硬化体を得る硬化工程とを有する。混合工程では、ポルトランドセメント、メタカオリン、シリカフュームの合計使用量を100質量部とすると、70質量部~95質量部のポルトランドセメントと、3質量部~20質量部のメタカオリンと、2質量部~15質量部のシリカフュームが使用される。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り ・令和3年6月1日に、令和3年度土木学会全国大会第76回年次学術講演会の講演予稿集にて公開 ・令和3年9月9日に、令和3年度土木学会全国大会第76回年次学術講演会にて公開
本発明は、モルタルやコンクリート等に代表される水硬性硬化体の製造方法及び水硬性硬化体に関する。
インフラの長期的供用や人手不足等の観点から、鉄筋コンクリート(RC)構造物の長寿命化が求められている。このため、工場等で高度な品質管理環境下において製造されたモルタルやコンクリート等のセメント系二次製品の需要が高まっている。以後、上記のモルタルやコンクリート等のセメント系二次製品を「水硬性硬化体」と称することがある。
水硬性硬化体の多くを占める鉄筋コンクリート(RC)の経年劣化現象の一つとして、塩害が挙げられる。塩害は、劣化因子である塩化物イオンが水硬性硬化体内に侵入して鉄筋腐食を促進させ、水硬性硬化体の耐久性を低下させる現象である。以後、かかる塩化物イオンの水硬性硬化体内部への侵入を「塩分浸透」と称し、当該塩分浸透を遮蔽又は抑制する抵抗力を「塩分浸透抵抗性」と称する場合がある。
モルタルやコンクリート等の水硬性硬化体における塩分浸透抵抗性を向上させる目的で、セメントの一部に高炉スラグ微粉末等の潜在水硬性を有する混和材や、シリカフューム等のポゾラン反応性を有する混和材(以後、当該混和材を「ポゾラン」と称する場合がある。)を用いる方法が知られている。
また、下記の特許文献1には、塩化物浸透抵抗性、中性化抵抗性、乾燥収縮抑制、凍害抵抗性及び圧縮強度の全てを十分高水準に達成し得る高耐久性モルタルとして、結合材、シリカフューム、メタカオリン、水、細骨材及び化学混和剤を含む高耐久性モルタルとそれを含むコンクリートが記載されている。
特開2016-88777号公報
水硬性硬化体の製造に際しては、モルタルやコンクリート等を早期に硬化させて型枠使用期間を短くすることで、製造装置の回転率を高めることが好ましい。一方、混和材としてポゾランを含む場合にはモルタルやコンクリート等の硬化に要する時間が長くなる。かかる観点から、ポゾランの硬化反応を促進させるために、モルタルやコンクリート等に対して蒸気養生等を行う方法が知られている。
しかしながら、蒸気養生を経た水硬性硬化体にはひび割れが発生することがあり、その原因の一つが、モルタルやコンクリートの収縮によるものであると考えられている。モルタルやコンクリートの収縮には自己収縮と乾燥収縮という2つの収縮が知られている。
ポゾランを用いて塩分浸透抵抗性を高めた上で、更に収縮を低減することも可能にした水硬性硬化体の材料については、これまで十分な検討がなされていない。本発明は、高い塩分浸透抵抗性と小さい収縮性という両特性を満足させる水硬性硬化体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメント、特定のメタカオリン、シリカフューム、水、化学混和剤、及び細骨材を混合して、未だ固まらないフレッシュな水硬性組成物を得る混合工程と、かかる未だ固まらないフレッシュな水硬性組成物に対して、40℃~70℃の温度で1時間以上の蒸気養生を行って水硬性硬化体を得る硬化工程を含む水硬性硬化体の製造方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る水硬性硬化体の製造方法は、
普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントの1種以上のポルトランドセメント、メタカオリン、シリカフューム、水、化学混和剤、及び細骨材を混合して、フレッシュな水硬性組成物を得る混合工程と、
前記フレッシュな水硬性組成物に対して40℃~70℃の温度で1時間以上の蒸気養生を行って水硬性硬化体を得る硬化工程と、を有し、
前記メタカオリンは、SiO2を45質量%~60質量%、Al23を35質量%~50質量%含み、BET比表面積が10m2/g~15m2/gであり、
前記シリカフュームは、BET比表面積が10m2/g~25m2/gであり、
前記混合工程における前記ポルトランドセメントの使用量は、前記ポルトランドセメント、前記メタカオリン、及び前記シリカフュームの合計使用量を100質量部としたときに、70質量部~95質量部であり、
前記混合工程における前記メタカオリンの使用量は、前記ポルトランドセメント、前記メタカオリン、及び前記シリカフュームの合計使用量を100質量部としたときに、3質量部~20質量部であり、
前記混合工程における前記シリカフュームの使用量は、前記ポルトランドセメント、前記メタカオリン、及び前記シリカフュームの合計使用量を100質量部としたときに、2質量部~15質量部であることを特徴とする。
上記方法によれば、高い塩分浸透抵抗性と低い収縮性とを両立した水硬性硬化体が得られる。詳細は実施例を参照して後述される。
前記水硬性組成物は、粗骨材を更に含むものとしても構わない。
また、本発明に係る水硬性硬化体は、上記製造方法により製造され、当該水硬性硬化体の内部に鋼材が配置されることを特徴とする。この水硬性硬化体は、中空構造を有するものとしても構わない。一例としてボックスカルバートが挙げられる。
本発明によれば、塩分浸透抵抗性に優れ、且つ収縮の小さい水硬性硬化体を効率的に製造することができる。
混合工程における、ポルトランドセメント、メタカオリン、及びシリカフュームの使用量の比率を示すチャート図である。
本発明の水硬性硬化体の製造方法は、ポルトランドセメント、特定のメタカオリン、シリカフューム、水、化学混和剤及び細骨材を混合して、未だ固まらないフレッシュな水硬性組成物を得る混合工程と、未だ固まらないフレッシュな水硬性組成物に対して40℃~70℃の温度で1時間以上の蒸気養生を行って水硬性硬化体を得る硬化工程を含む。
[ポルトランドセメント]
前記混合工程で用いられるポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメント及び早強ポルトランドセメントの1種以上であり、モルタルやコンクリート等を早期に硬化させて型枠使用期間を短くして製造装置の回転率を上げる観点からは、早強ポルトランドセメントが好ましい。ポルトランドセメントに特別な品質は要求されず、市販品を用いればよい。
前記混合工程におけるポルトランドセメントの使用量は、ポルトランドセメント、メタカオリン、及びシリカフュームの合計使用量(以下、「粉末合計使用量」と称することがある。)を100質量部としたときに、70質量部~95質量部であり、好ましくは75質量部~90質量部であり、より好ましくは77.5質量部~85質量部である。
ポルトランドセメントの使用量が上記範囲に設定されることで、1日材齢の圧縮強度が25N/mm2以上の水硬性硬化体が得られる。水硬性硬化体の圧縮強度は、例えばJIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠した方法で測定できる。
[メタカオリン]
前記混合工程で用いられるメタカオリンとは、カオリンと呼ばれる積層構造の鉱物(水酸化ケイ酸アルミニウム)を焼成して得られる鉱物質粉末であり、ポゾラン反応性を示す。メタカオリンの主成分は、SiO2とAl23であり、その含有量は原料のカオリン鉱物の生成環境によって異なる。
前記メタカオリンは、SiO2の含有率が45質量%~60質量%であり、好ましくは47.5質量%~57.5質量%であり、より好ましくは50質量%~55質量%である。メタカオリンに含まれるSiO2の含有率が45質量%未満である場合には、圧縮強度及び塩分浸透抵抗性の増加が期待できない。また、メタカオリンに含まれるSiO2の含有率が60質量%を上回る場合には、硬化体の強度が低下する。
また、メタカオリンは、Al23の含有率は35質量%~50質量%であり、好ましくは37.5質量%~47.5質量%であり、より好ましくは35質量%~45質量%である。メタカオリンに含まれるAl23の含有率が35質量%未満である場合には、圧縮強度及び塩分浸透抵抗性の増加が期待できない。また、メタカオリンに含まれるAl23の含有率が50質量%を上回る場合には、硬化体の強度が低下する。
SiO2含有率及びAl23含有率が上記範囲内のメタカオリンを用いることで、簡便な製造方法でありながら、塩分浸透抵抗性に優れ、且つ収縮の小さい水硬性硬化体(セメント系二次製品)を得ることができる。
メタカオリンのBET比表面積は10m2/g~15m2/gであり、好ましくは10.5m2/g~14.5m2/gであり、より好ましくは11m2/g~14m2/gである。前記メタカオリンのBET比表面積が10m2/g未満の場合、反応性が低下し、圧縮強度及び塩分浸透抵抗性の増加が期待できない。また、メタカオリンのBET比表面積が15m2/gを超える場合、流動性が低下するため、施工性が低下する。メタカオリンのBET比表面積は、例えば、JIS Z 8830「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に準拠した方法で測定できる。
前記混合工程におけるメタカオリンの使用量は、ポルトランドセメント、メタカオリン、及びシリカフュームの合計使用量(粉末合計使用量)を100質量部としたときに、3質量部~20質量部であり、好ましくは5質量部~15質量部であり、より好ましくは7.5質量部~12.5質量部である。
[シリカフューム]
前記混合工程で用いられるシリカフュームのBET比表面積は、好ましくは10m2/g~25m2/gであり、より好ましくは10m2/g~22.5m2/gであり、特に好ましくは10m2/g~20m2/gである。シリカフュームのBET比表面積が10m2/g未満の場合、反応性が低下し、圧縮強度及び塩分浸透抵抗性の増加が期待できない。また、シリカフュームのBET比表面積が25m2/gを超える場合、流動性が低下するため、施工性が低下する。シリカフュームのBET比表面積は、例えば、JIS Z 8830「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に準拠した方法で測定できる。
前記混合工程におけるシリカフュームの使用量は、ポルトランドセメント、メタカオリン、及びシリカフュームの合計使用量(粉末合計使用量)を100質量部としたときに、2質量部~15質量部であり、好ましくは5質量部~15質量部であり、より好ましくは7.5質量部~12.5質量部である。
メタカオリン及びシリカフュームの使用量をそれぞれ上述した範囲内とすることで、1日材齢の圧縮強度が25N/mm2以上の水硬性硬化体が得られる。
[水]
前記混合工程で用いられる水としては、水道水が利用できる。前記混合工程における水の使用量は、ポルトランドセメント、メタカオリン、及びシリカフュームの合計使用量(粉末合計使用量)を100質量部としたときに、好ましくは30質量部~55質量部であり、より好ましくは32.5質量部~52.5質量部であり、特に好ましくは35質量部~50質量部である。水の使用量が粉末合計使用量100質量部に対して30質量部未満である場合には、流動性が低下し、施工性が低下する。また、水の使用量が粉末合計使用量100質量部に対してが55質量部を上回る場合には、十分な圧縮強度が得られない。
[化学混和剤]
化学混和剤とは、界面活性作用及び/又は水和調整作用を利用して、水硬性組成物の性質を変化させるために導入される混和剤である。すなわち、前記混合工程で用いられる化学混和剤は、JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」において対象とされる、AE剤、高性能減水剤、硬化促進剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤及び流動化剤から選ばれる1種以上である。
前記混合工程で用いられる化学混和剤には、高性能減水剤が含まれるのが好ましい。高性能減水剤は、典型的には、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、及びポリカルボン酸系等の高性能減水剤から選ばれる1種以上である。これらの中では、フレッシュな水硬性組成物の流動性を向上し、硬化後の水硬性硬化体の圧縮強度を向上させる観点から、ポリカルボン酸系の高性能減水剤が好ましい。
化学混和剤として高性能減水剤を含む場合、前記混合工程における高性能減水剤の添加量は、ポルトランドセメント、メタカオリン、及びシリカフュームの合計使用量(粉末合計使用量)を100質量部としたときに、好ましくは0.2質量部~1.4質量部であり、より好ましくは0.3質量部~1.2質量部であり、特に好ましくは0.4質量部~1.0質量部である。高性能減水剤の添加量が粉末合計使用量100質量部に対して0.2質量部未満である場合には、流動性が低下し、施工性が低下する。また、高性能減水剤の添加量が粉末合計使用量100質量部に対して1.4質量部を上回る場合には、水硬性組成物の凝結が遅延する。
[骨材]
前記混合工程で用いられる細骨材は、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、硅砂、スラグ細骨材、及び軽量細骨材等から選ばれる1種以上を利用することができる。また、前記細骨材としては、天然骨材の他に再生骨材を用いることができる。
前記混合工程において、更に粗骨材を混合しても構わない。前記粗骨材としては、川砂利、山砂利、陸砂利、海砂利、砕石、スラグ粗骨材、及び軽量粗骨材等から選ばれる1種以上を利用することができる。また、前記粗骨材としては、前記細骨材と同様に、天然骨材の他に再生骨材を用いることができる。
前記細骨材及び前記粗骨材の使用量は、特に限定されず、モルタルやコンクリート等における一般的な配合量であればよい。例えば、前記細骨材の使用量と前記粗骨材の使用量を合計した量は、ポルトランドセメント、メタカオリン、及びシリカフュームの合計使用量(粉末合計使用量)との質量比(骨材/粉末原料)が好ましくは1~7となる量であり、より好ましくは2~6となる量である。
以下、本発明の水硬性硬化体の製造方法における工程を説明する。
[混合工程]
前記混合工程は、前記の各材料を混合して、フレッシュな水硬性組成物を得る工程である。この混合工程では、パン型ミキサ、二軸ミキサ等の慣用のミキサを用いることができる。
混合工程での混合方法は、特に限定されるものではなく、全ての材料を一括してミキサに投入して混合してもよく、ポルトランドセメント、メタカオリン、シリカフューム、骨材をミキサに投入して空練りを行った後に、水及び化学混和剤を投入して混合しても構わない。
この混合工程によって得られたフレッシュな水硬性組成物は、所定の型枠内に充填された後に硬化工程に移される。
なお、この混合工程における、ポルトランドセメント、メタカオリン、及びシリカフュームの使用量の比率は、上述した範囲内で設定される。すなわち、ポルトランドセメント、メタカオリン、シリカフュームの合計使用量を100質量部とすると、ポルトランドセメントが70質量部~95質量部、メタカオリンが3質量部~20質量部、シリカフュームが2質量部~15質量部となるような範囲内の比率で、これらが混合される。この比率は、図1に示すハッチング領域αに対応する。
[硬化工程]
前記硬化工程は、前記混合工程で得られたフレッシュな水硬性組成物に対して、好ましくは1時間以上にわたって気中養生を行った後、40℃~70℃の温度で1時間以上の蒸気養生を行って水硬性硬化体を得る工程である。
前記硬化工程では、まず前記混合工程で得られたフレッシュな水硬性組成物を5℃~30℃の常温環境下で1時間以上にわたって気中養生が行われる。この気中養生によって、型枠内の水硬性組成物の硬化が進行する。
その後、前記硬化工程では、型枠内の水硬性組成物に対して40℃~70℃の温度環境下で1時間以上にわたって蒸気養生が行われる。この際、養生温度までは10℃/時間~30℃/時間の昇温速度で昇温が行われる。この蒸気養生によって、メタカオリンやシリカフュームのポゾラン反応が促進され、より緻密化した水硬性硬化体を得ることができる。これにより、水硬性硬化体の塩分浸透抵抗性を向上することができる。
前記蒸気養生は、大気圧下で行われる常圧蒸気養生であっても構わないし、オートクレーブを用いて行われる高圧蒸気養生であっても構わない。
前記蒸気養生を終えた型枠内の水硬性組成物は、3℃/時間~40℃/時間の降温速度で常温まで降温が行われる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例で利用された材料は以下の通りである。
[使用材料]
(1)ポルトランドセメント(C1):太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント、ブレーン比表面積3,370cm2/g、密度:3.16g/cm3
(2)メタカオリン(M1):SiO2 53.1質量%、Al23 42.3質量%、BET比表面積13.6m2/g、密度:2.64g/cm3
(3)メタカオリン(M2):SiO2 51.2質量%、Al23 43.1質量%、BET比表面積11.4m2/g、密度:2.73g/cm3
(4)メタカオリン(M3):SiO2 38.3質量%、Al23 55.2質量%、BET比表面積8.0m2/g、密度:2.75g/cm3
(5)シリカフューム(SF):BET比表面積15.6m2/g、密度2.25g/cm3
(6)高炉スラグ微粉末(BS):ブレーン比表面積4,210cm2/g、密度:2.91g/cm3
(7)細骨材(FA):山砂、表乾密度2.57g/cm3
(8)水:千葉県佐倉市上水道水
(9)化学混和剤(CA):ポリカルボン酸エーテル系高性能減水剤、BASFジャパン社製 マスターグレニウム8000S(タイプM)
上記の材料を用いて、下記表1に示す水硬性組成物を調整した。具体的には、以下の方法で水硬性組成物を調整した。
(処理手順1)
容量5リットルのホバートミキサに、下記表1に示す粉体原料と細骨材を投入して低速で15秒間空練りを行った後、混練水を当該ホバートミキサに投入して低速で60秒間混練した。
(処理手順2)
次に、ホバートミキサの内壁に付着した材料を掻き落とした後、高速で60秒間混練した。
(処理手順3)
次に、得られたフレッシュ状態の水硬性組成物をホバートミキサ内で180秒間静置した後、更に低速で60秒間混練した。なお、処理手順1~3が混合工程に対応する。
(処理手順4)
処理手順1において混練水が注水された時点から30分が経過した後の水硬性組成物を、φ5cm×10cmのスチール製の型枠に充填し、20℃の温度で3時間の前養生を行なった。その後、20℃/時間の昇温速度で65℃まで昇温した後、65℃環境中で3時間の蒸気養生を行った。次に、10℃/時間の降温速度で室温(20℃)まで降温し、所定の圧縮強さ試験及び塩分浸透深さ測定の試験材齢まで封緘状態で静置した。静置時における相対湿度は60%であった。この処理手順4を経て得られた供試体を、「供試体A1」と称する。
(処理手順5)
処理手順4とは別に、処理手順1において混練水が注水された時点から30分が経過した後の水硬性組成物を、中央部に埋込型ひずみ計(東京測器研究所社製KM-30)を埋設するようにして40×40×160mmの型枠に充填した。この水硬性組成物についても前記の処理手順4に記載した、φ5×10cmの型枠に充填した水硬性組成物と同様の方法で養生を行った後、封緘状態で6ヶ月間静置した。この処理手順5を経て得られた供試体を、「供試体B」と称する。処理手順4及び処理手順5における養生処理が硬化工程に対応する。
[検証1:塩分浸透深さの検証]
JSCE-G 572(土木学会基準「浸せきによるコンクリート中の塩化物イオンの見掛けの拡散係数試験方法」)に準じた方法で塩分浸透深さを計測した。具体的には、以下の手順で行われた。
処理手順4で得られたφ5×10cmの水硬性硬化体(供試体A1)を、打込み面に対して水平な方向に切断して、φ5×5cmの円柱供試体を得た。この供試体を供試体A2と称する。円柱供試体(供試体A2)が材齢14日に達する前に、供試体A2の側面に塩分が浸透しないようにするためのエポキシ樹脂を塗布した後、前記切断面を上にした状態で供試体A2を10質量%の塩化ナトリウム溶液内に浸漬した。
供試体A2の浸漬の開始から6ヶ月の経過後に、塩化ナトリウム溶液から供試体A2を取り出して軸方向に割裂した後、割裂面に0.1mol/リットルの硝酸銀溶液を噴霧して切断面から蛍光を発する部分までの深さを電子ノギスで測定した。なお、この蛍光を発する部分は塩化ナトリウム溶液由来の塩素が浸透した領域である。塩分浸透深さの測定結果を表2に示す。
[検証2:圧縮強さの検証]
処理手順4で得られたφ5×10cmの水硬性硬化体(供試体A1)を用い、材齢1日及び14日での圧縮強さを、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠した方法で測定した。圧縮強さの測定結果を表2に示す。
[検証3:全収縮ひずみの検証]
処理手順5で得られたφ5×10cmの水硬性硬化体(供試体B)を用い、材齢6ヶ月での全収縮ひずみ(乾燥収縮+自己収縮)を、埋込型ひずみ計(東京測器研究所社製 KM-30)を用いて測定した。全収縮ひずみの測定結果を表2に示す。
Figure 2023050712000002
Figure 2023050712000003
表2から、本発明の水硬性硬化体の製造方法から得られた実施例1~6については、材齢1日での圧縮強さが25N/mm2、及び材齢14日での圧縮強さが50N/mm2を超えつつ、材齢6ヶ月での塩分浸透深さが4.0mm未満、及び全収縮ひずみが800×10-6未満であり、優れた塩分浸透抵抗性と低収縮性を有していることが分かる。
実施例1~5を対比すると、セメントに対するメタカオリン及びシリカフュームの混合比率を高めることで、塩分浸透抵抗性と低収縮性の双方について優れた水硬性硬化体が得られることが分かる。
一方で、実施例2と比較例3を対比すると、両者は、粉体原料100質量部に対して、セメントを90質量部とし、メタカオリン及びシリカフュームの合計量を10質量部としている点で共通する。比較例3はシリカフュームを混合せずにメタカオリンの投入量を10質量部にしたのに対し、実施例2はシリカフューム及びメタカオリンの双方の投入量を5質量部ずつにしている点が相違する。
しかし、比較例3の場合、材齢1日での圧縮強さが20N/mm2未満であり、材齢14日での圧縮強さが50N/mm2未満であり、材齢6ヶ月での塩分浸透深さが15mmを超え、全収縮ひずみが900×10-6を超えていた。これに対して、実施例2の場合は、材齢1日での圧縮強さが30N/mm2を超え、材齢14日での圧縮強さが55N/mm2を超え、材齢6ヶ月での塩分浸透深さが7mm未満であり、全収縮ひずみが610×10-6未満であった。つまり、実施例2と比較例3とでは、得られた水硬性硬化体について、塩分浸透抵抗性と低収縮性の双方に関して大きな差異が生じている。この結果から、塩分浸透抵抗性と低収縮性の双方について優れた水硬性硬化体を得るためには、混合工程において、メタカオリンに加えてシリカフュームを混合することが重要であることが分かる。
なお、実施例3と比較例2を対比すると、両者は、混合工程におけるセメント、メタカオリン、及びシリカフュームのそれぞれの混合比率は共通するが、メタカオリンに含まれるSiO2、及びAl23の含有量が異なっている。すなわち、比較例2で用いられたメタカオリン(M3)は、実施例2で用いられたメタカオリン(M1)と比べて、SiO2 の含有量とAl23の含有量の相対的な大小関係が逆転している。具体的には、実施例2で用いられたメタカオリン(M1)は、SiO2が50%を超える含有量であり、Al23が50%未満の含有量であるため、SiO2がAl23よりも多く含まれている。これに対し、比較例3で用いられたメタカオリン(M3)は、Al23が50%を超える含有量であり、SiO2が50%未満の含有量であるため、Al23がSiO2よりも多く含まれている。
実施例3の場合、材齢1日での圧縮強さが35N/mm2を超え、材齢14日での圧縮強さが60N/mm2を超え、材齢6ヶ月での塩分浸透深さが5mm未満であり、全収縮ひずみが550×10-6未満であった。これに対し、比較例2の場合、材齢1日での圧縮強さが17N/mm2未満であり、材齢14日での圧縮強さが50N/mm2未満であり、材齢6ヶ月での塩分浸透深さが15mmを超え、全収縮ひずみが800×10-6を超えていた。
この結果から、混合工程で用いるメタカオリンとしては、SiO2がAl23よりも多く含まれていることが必要となると考えられる。この理由としては、SiO2由来のケイ酸カルシウム水和物が多く含まれることで、硬化体の強度をより高めることにつながったものと推察される。。
なお、比較例3と比較例4を対比すると、混合工程で用いるメタカオリンの使用量を多くすると、塩分浸透深さや全収縮ひずみを低下させる効果は得られるものの、圧縮強さを低下させてしまうことが分かる。
また、比較例1と、比較例6及び比較例7とを対比すると、混合工程においてポゾランの一種である高炉スラグを混合することで、塩分浸透深さを低下させる効果は得られるが、圧縮強さが低下し、全圧縮ひずみは大幅に上昇することが確認される。
上記方法で得られた水硬性硬化体は、コンクリート等の柱、各種の二次製品の用途に利用することも可能である。例えば、上記方法で得られた水硬性硬化体の内部に鉄筋等の鋼材を配置することで、柱、梁、桁、スラブ等の形状を問わない様々な構造のプレキャストコンクリート部材に用いることもできるし、水硬性硬化体の内部に空洞や凹部形状を形成することで中空構造としたボックスカルバートとすることもできる。また、各種の二次製品として、例えば、壁高欄、遮音壁、ガードフェンス、境界ブロック、L型擁壁等の用途にも、利用してもよい。これらの用途に利用される場合、水硬性組成物による収縮低減効果に加えて、特に、耐塩害効果があるため、鋼材の腐食を効果的に抑制することができる。

Claims (4)

  1. 普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントの1種以上のポルトランドセメント、メタカオリン、シリカフューム、水、化学混和剤、及び細骨材を混合して、フレッシュな水硬性組成物を得る混合工程と、
    前記フレッシュな水硬性組成物に対して40℃~70℃の温度で1時間以上の蒸気養生を行って水硬性硬化体を得る硬化工程と、を有し、
    前記メタカオリンは、SiO2を45質量%~60質量%、Al23を35質量%~50質量%含み、BET比表面積が10m2/g~15m2/gであり、
    前記シリカフュームは、BET比表面積が10m2/g~25m2/gであり、
    前記混合工程における前記ポルトランドセメントの使用量は、前記ポルトランドセメント、前記メタカオリン、及び前記シリカフュームの合計使用量を100質量部としたときに、70質量部~95質量部であり、
    前記混合工程における前記メタカオリンの使用量は、前記ポルトランドセメント、前記メタカオリン、及び前記シリカフュームの合計使用量を100質量部としたときに、3質量部~20質量部であり、
    前記混合工程における前記シリカフュームの使用量は、前記ポルトランドセメント、前記メタカオリン、及び前記シリカフュームの合計使用量を100質量部としたときに、2質量部~15質量部であることを特徴とする、水硬性硬化体の製造方法。
  2. 前記水硬性組成物は、粗骨材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の水硬性硬化体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法により製造された水硬性硬化体であって、当該水硬性硬化体の内部に鋼材が配置されることを特徴とする水硬性硬化体。
  4. 中空構造を有することを特徴とする請求項3に記載の水硬性硬化体。
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