JP2023050340A - 音響解析システム及び音響解析プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、例えばBIMモデルを用いて建造物内の騒音レベル等を解析する音響解析システム及び音響解析プログラムに関する。
建造物内での騒音レベルは、その居住性において重要な要素を占めており、このため、工事の前段階から建造物内での騒音レベルを解析し、必要に応じて構造を再検討する等の騒音対策を施す必要がある。例えば、室内騒音の予測に関して、住宅内の界壁だけでなく、設計者が想定した音の伝搬経路(部屋、廊下、吹き抜け等)上の構造物による影響を間取り図上で検出し、出入り口等の開口部の面積やターゲットとの距離等から開口部を介した騒音レベルを計算する住宅設計システムの先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
先行技術のシステムは、標準的な構造を有する住宅の騒音予測にはある程度対応するものの、多種多様な構造を有する建造物に広く対応していない。すなわち近年、騒音レベルの解析対象は、建造物(例えば、ホテル、集合住宅、病院、工場、スタジオ等)の目的や種類によって構造が多様化している上、建造物に設けられた対象室(例えば、講堂、会議室、食堂、宴会場、機械室等)で発生する騒音の波長域や大きさは種々に異なるため、住宅内の生活騒音だけに対応したシステムでは限界がある。
そこで本発明は、各種の建造物に対応した音響解析技術を提供するものである。
本発明は、音響解析システム及び音響解析プログラムを提供する。本発明の音響解析システムは、解析対象となる建造物のBIMモデルを使用し、解析用モデルを生成する(生成手段)。解析用モデルは、建造物内に居室及び居室以外の複数の室空間を定義した3次元構造モデルとなる。また、音響解析システムは、解析用モデルに定義した複数の室空間のうち、所定の音源室から受音室にまで音が伝搬する伝搬経路上に存在する各種のパラメータを解析用モデルから抽出し、それらを用いて音源室を音源とした受音室の音圧レベルを算出する(算出手段)。そして、音響解析システムは、算出結果を出力する(出力手段)。音響解析プログラムは、以上の各機能を実行するステップをコンピュータに実行させるものである。
BIMモデルは、建造物の構造及び仕様を3次元データで表したものであり、設計段階で作成されている。BIMモデルを使用することにより、ここから生成した解析用モデルにおいても、建造物の各部屋の面積や容積、サッシ間の距離等を簡便に利用することができる。また、解析用モデルの生成にBIMモデルを使用することで、建造物の界壁の構造や界床・天井の構造等も容易に利用することができる。これにより、実際の建造物内で音が伝搬する場合と同様の条件での音響解析が可能となり、算出結果の信頼性を高めることができる。
また、解析用モデルにおいては、「室空間」を対象に音が伝搬する際の計算が行われる。このため、本発明の音響解析システムは、建造物内の居室だけでなく、居室以外の天井裏や空きスペース等の空間にも「室空間」を定義する。そして、定義された複数の「室空間」の中から「音源室」及び「受音室」に該当するものを任意に設定すると、「音源室」から「受音室」にまで音が伝搬する伝搬経路上に存在する各種パラメータ(例えば、仕上げ材、サッシ、床、天井等の各マテリアルの音響透過損失、吸音率等)を解析用モデルから抽出する。これにより、各種パラメータを用いて解析モデル中の任意の「音源室」で発生させた音が「受音室」に伝搬する際の音響解析が可能となり、「音源室」を音源とした「受音室」での音圧レベルが算出される。合わせて、途中の伝搬経路上に存在する「室空間」ごとの音圧レベルも算出されることで、建造物内の音源室から周囲の室空間へどのように音が伝搬していくかを解析することが可能となる。
そして、算出結果の出力は、解析値をまとめたレポート形式としたり、解析値をプロットした図表形式としたりすることができる。このような算出結果を参照することで、解析対象となる建造物内での騒音対策(遮音性が十分な設計又は過剰な設計であるか、要求性能に達しているか否か等の検討)に資することができる。
特に、建造物が大きな室空間を有する場合、「音源室」となる対象の室空間(例えば、講堂、会議室、食堂、宴会場、機械室等)から界壁・界床・天井を介した他の居室に対しての騒音の回り込みは、騒音対策が必要とされる課題となっているため、本発明による音響解析が騒音対策には極めて有用となる。
好ましくは、解析用モデルの生成に際して、建造物内の居室が音圧レベルを算出可能な対象であるか否かのチェックを行うこととする。「受音室」の対象となる居室に対して音響解析が可能となるためには所定の条件があり、対象となる居室が所定条件を満たしていることを確認した場合に、居室以外のあらゆる空間に室空間を定義して解析用モデルを生成する。
実際の建造物には、居室の設計によって音響(遮音)解析に適さない場合もある。このような場合は事前チェックを行い、対象となる居室が解析に適している場合にのみ解析用モデルを生成することとする。このような事前チェックは、本発明において解析用モデルの生成に実際の建造物のBIMモデルを使用しているからこそ、容易に実現可能となる。
本発明では、音源室から受音室に至るまでに音が通過する通過要素の数を音圧レベルの算出条件として設定することができる。これは、解析用モデルに複数の室空間を定義したことで可能となる。すなわち、解析用モデルにおいて室空間と室空間との間には、界壁や床、天井等の音が通過する通過要素(通過部材)が存在することになるが、途中でいくつの通過要素を音が通過するかの条件によって、音響解析上の伝搬経路も異なってくる。このため、本発明では、通過要素の数(1~n)を任意に設定することで、音の伝搬経路を解析用モデル上で探索し、音圧レベルの算出を行うこととする。
これにより、特に遮音性等の音響解析に熟練していなくても、任意に通過要素の数を設定するだけで、音源室から受音室に至る音の伝搬経路を考慮した音圧レベルの算出が可能となる。
さらに、算出条件の設定には、設定した通過要素の数に応じて、音源室から受音室まで建造物内部を伝搬する内部騒音の他に、外壁面に沿う配置の通過要素を通じて音源室から受音室に伝搬する回り込み音、及び、建造物外部から受音室に入り込む外部暗騒音の少なくとも一方を設定することができる。
すなわち、騒音対策では、鉄道・道路交通騒音、屋外設備機器による内部騒音だけでなく、外壁面に沿う配置の通過要素としてサッシ、開口部(ガラリ・換気口)等から室内に回り込む騒音や外部から入り込む騒音についても対策の必要性が高まっている。このため本発明では、通過要素がある程度の数以上(例えば4~5以上)に設定されると、回り込み音や外部暗騒音を算出条件に設定して受音室での音圧レベルを算出する。これにより、各種の騒音対策に万全を期することができる。
本発明において、「音源室」及び「受音室」となる室空間の位置は、解析用モデルから生成した2次元のモデル(間取り図、断面図等)上でそれぞれ設定することができる。これにより、算出条件の設定をより直感的に行うことができ、音響解析の利便性を高めることができる。
本発明の音響解析システムは、データベースを備えることができる。データベースには、上記のような各種の通過要素(仕上げ材、サッシ、床、天井等)に対するそれぞれの音響透過損失、吸音率等のパラメータが予め登録されている。これにより、騒音解析に際して音の伝搬経路上に存在するパラメータをデータベースで参照し、容易に抽出することで、精度よく音圧レベルの算出を行うことができる。
データベースに登録されている複数種類の素材は、その中から任意のものを選択することができ、以前にパラメータを用いられた素材の選択が変更されると、変更後の素材のパラメータを用いて音圧レベルを改めて算出し、変更後の算出結果として出力することができる。これにより、算出結果を参照しながら選択する素材を適宜に変更していくことで、例えば、受音室での音圧レベルが要求性能を満たす素材を容易に選定することができる。
また、データベースには、各種の騒音源情報も登録されている。騒音源の情報には、音源室で発生し得る騒音の他に、建造物外部で発生し得る外部騒音(鉄道・道路交通騒音等)の情報も含まれる。このため、建造物内外の様々な任意の場所で騒音を発生させた場合の音響解析(解析用モデル内の騒音伝搬解析)を行うことができる。
音響解析の算出結果は、音源室から受音室に至るまでに複数ある伝搬経路上の音圧レベルの変化を伝搬経路別に複数の推移グラフに表示した形式とすることで、表示された複数の推移グラフから選択された任意の推移グラフに対応する伝搬経路上に存在するパラメータを一覧に表示して出力可能である。
これにより、例えば、デバイスの画面上に音圧レベルの変化をグラフ表示し、対象のグラフをGUIでクリック操作することにより、音源室から受音室(観測点)までの伝搬経路上にある構造物(通過要素)のパラメータがポップアップ表示されるといった態様が実現可能となる。
また、算出結果は、上記のようなグラフ表示形式の他に、コンター図の表示態様により出力することもできる。この場合、解析用モデルから得られる建造物の平面図、断面図又は立体図の少なくともいずれかに対し、音源室を音源とした他の室空間での音圧レベルの分布をコンター図として可視化することができる。2次元だけでなく3次元の立体図(BIMモデル)でもコンター表示が可能であるため、騒音が建造物内で空間的に広がる様子を視覚的に認識できる。これにより、建造物内での遮音効果が明確となり、騒音対策の検討に大きく寄与することができる。
このように、本発明では音響解析に建造物のBIMモデルを使用することで、実際の構造モデルを利用することができ、建造物内の界壁だけでなく、界床・天井等の構造を考慮した音響解析を行うことができる。また、音響解析の算出結果より、通過要素の材料変更で対策を取ることができるものと、構造的に対策が必要であるものとの判別が付きやすくなり、騒音対策に要する工数を低減することができる。
以上のように本発明によれば、各種の建造物に対応した音響解析技術を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態では、音響解析システム及び音響解析プログラムの好適な一例を挙げているが、本発明の形態は例示のものに限らない。
〔システムの構成例〕
図1は、音響解析システム100の構成例を示すブロック図である。音響解析システム100は、例えばコンピュータ機器102をハードウエアとして構成されており、当該コンピュータ機器102が一実施形態の音響解析プログラムを実行することで機能する。コンピュータ機器102は、本体102aの他に液晶表示装置等のディスプレイ102b、入力装置のキーボード102c、マウス102d等を有する。なお、コンピュータ機器102は、いわゆるデスクトップ型に限らず、ノートブック型(ラップトップ型)でもよいし、タブレット型等でもよい。
図1は、音響解析システム100の構成例を示すブロック図である。音響解析システム100は、例えばコンピュータ機器102をハードウエアとして構成されており、当該コンピュータ機器102が一実施形態の音響解析プログラムを実行することで機能する。コンピュータ機器102は、本体102aの他に液晶表示装置等のディスプレイ102b、入力装置のキーボード102c、マウス102d等を有する。なお、コンピュータ機器102は、いわゆるデスクトップ型に限らず、ノートブック型(ラップトップ型)でもよいし、タブレット型等でもよい。
音響解析システム100は、コンピュータ機器102のハードウエア資源を用いて実現されるいくつかの機能要素を含む。機能要素としては、例えば、制御部110や入力処理部112、出力処理部114、画像処理部116といった基本要素の他に、音響解析システム100の処理に特化した解析用モデル生成処理部120、解析条件設定処理部130、音響解析処理部140といったコア要素がある。また、ハードウエア資源である記憶媒体150にはデータベース160が構築されており、このデータベース160もまた音響解析システム100を構成する。記憶媒体150は、コンピュータ機器102の内蔵機器又は周辺機器で構成される。
〔基本要素〕
制御部110は、音響解析システム100内での処理全体を制御する。また、入力処理部112及び出力処理部114は、キーボード102cやマウス102d等のデバイスとの間で信号を入出力したり、各種の通信プロトコルを用いて外部接続先との間でデータ信号を入出力したりする処理を行う。また、出力処理部114は、音響解析システム100の解析結果を出力する処理を実行し、画像処理部116は、出力処理部114の出力結果をディスプレイ102bに画像として表示する際の画像処理を実行する。
制御部110は、音響解析システム100内での処理全体を制御する。また、入力処理部112及び出力処理部114は、キーボード102cやマウス102d等のデバイスとの間で信号を入出力したり、各種の通信プロトコルを用いて外部接続先との間でデータ信号を入出力したりする処理を行う。また、出力処理部114は、音響解析システム100の解析結果を出力する処理を実行し、画像処理部116は、出力処理部114の出力結果をディスプレイ102bに画像として表示する際の画像処理を実行する。
〔コア要素〕
解析用モデル生成処理部120は、建造物のBIMモデルを用いて解析用モデルを生成する処理を実行する。使用するBIMモデルは、音響解析システム100において解析の対象となる建造物の3次元構造モデルである。なお、BIMモデルは、音響解析システム100とは別のBIMツール(例えば、REVIT:登録商標)を用いて作成されている。解析条件設定処理部130は、音響解析(遮音計算)の実行に際して適用される各種の解析条件を設定する処理を実行する。音響解析処理部140は、設定された解析条件の下で解析用モデルを用いた音響解析処理を実行する。なお、解析用モデルの生成や解析条件の設定、音響解析処理の詳細については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
解析用モデル生成処理部120は、建造物のBIMモデルを用いて解析用モデルを生成する処理を実行する。使用するBIMモデルは、音響解析システム100において解析の対象となる建造物の3次元構造モデルである。なお、BIMモデルは、音響解析システム100とは別のBIMツール(例えば、REVIT:登録商標)を用いて作成されている。解析条件設定処理部130は、音響解析(遮音計算)の実行に際して適用される各種の解析条件を設定する処理を実行する。音響解析処理部140は、設定された解析条件の下で解析用モデルを用いた音響解析処理を実行する。なお、解析用モデルの生成や解析条件の設定、音響解析処理の詳細については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
また、データベース160には、「物性値データベース」及び「音源データベース」が内部に構築されている。「物性値データベース」には、音響解析(遮音計算)に用いられるパラメータとして、音の伝搬経路上に位置する構造部材(例えば、壁・床・天井・屋根・ドア・窓・カーテンウォール等)ごとの音響透過損失、吸音率等の物性値データが予め登録されている。「音源データベース」には、音響解析に必要な音源データとして、騒音源情報(例えば、機械動作音、話し声、AV機器音、楽器演奏音、交通騒音等)が登録されている。音響解析処理部140は、解析処理の実行に際してデータベース160を参照し、適宜に騒音源情報や該当するパラメータを抽出して計算に使用することができる。なお、データベース160に登録されるデータ構成は上記に限られない。
〔アドイン形式〕
本実施形態では、音響解析システム100とは別の構成としてBIMツール実行処理部170をコンピュータ機器102に実装することができる。BIMツール実行処理部170は、コンピュータ機器102において上記のBIMツールを実行する要素であり、例えば建造物設計者等のユーザにより使用される。ハードウエア構成上、同じコンピュータ機器102に音響解析システム100とBIMツール実行処理部170とが共存している場合、本実施形態の音響解析システム100はBIMツールのアドインとして使用することができる。なお、音響解析システム100は常にアドイン形式で使用される必要はなく、音響解析(遮音計算)に特化したツールとして構築されてもよい。この場合、BIMツール実行処理部170の構成はコンピュータ機器102に実装されなくてもよい。
本実施形態では、音響解析システム100とは別の構成としてBIMツール実行処理部170をコンピュータ機器102に実装することができる。BIMツール実行処理部170は、コンピュータ機器102において上記のBIMツールを実行する要素であり、例えば建造物設計者等のユーザにより使用される。ハードウエア構成上、同じコンピュータ機器102に音響解析システム100とBIMツール実行処理部170とが共存している場合、本実施形態の音響解析システム100はBIMツールのアドインとして使用することができる。なお、音響解析システム100は常にアドイン形式で使用される必要はなく、音響解析(遮音計算)に特化したツールとして構築されてもよい。この場合、BIMツール実行処理部170の構成はコンピュータ機器102に実装されなくてもよい。
〔音響解析処理〕
図2は、音響解析システム100が実行する音響解析処理の手順例を示すフローチャートである。本実施形態の音響解析プログラムは、図2の手順をコンピュータ機器102に実行させるものである。以下、手順例に沿って説明する。
図2は、音響解析システム100が実行する音響解析処理の手順例を示すフローチャートである。本実施形態の音響解析プログラムは、図2の手順をコンピュータ機器102に実行させるものである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS100:解析用モデル生成処理部120は、今回の解析対象となる構造物のBIMモデルを取得する。BIMモデルは、上記のようにBIMツール実行処理部170において生成されたものを利用することができる。同一のハードウエア環境内にBIMツール実行処理部170が実装されていない場合、入力処理部112を通じて外部機器等からBIMモデルを取得することができる。
ステップS102:解析用モデル生成処理部120は、解析用モデル生成処理を実行する。この処理は、さらに以下のような詳細手順を含んでいる。
(1)取得したBIMモデル複製し、解析用モデルの素地とする。
(2)モデルチェックを実行し、対象とする居室が音響解析(遮音計算)可能であるか否かを確認する。例えば、建造物内部が曲線で構成されている、床インスタンスが存在しない等に該当する場合、音響解析不可となる。それ以外の場合は音響解析可能であり、モデルチェック完了となる。
(3)解析用モデル(遮音計算専用)内に複数の室空間を定義する。室空間は、構造物内の居室の他に、居室以外のあらゆる空間(例えば、天井裏、床下、廊下、通路等)に定義される。
なお、モデルチェックでエラーとなった場合は、音響解析システム100がここで一旦処理を抜け、ディスプレイ102bにエラーメッセージの出力処理を実行する。一方、エラーとならなかった場合、モデルチェック完了のメッセージ出力処理を実行し、次のステップS104に進む。
(1)取得したBIMモデル複製し、解析用モデルの素地とする。
(2)モデルチェックを実行し、対象とする居室が音響解析(遮音計算)可能であるか否かを確認する。例えば、建造物内部が曲線で構成されている、床インスタンスが存在しない等に該当する場合、音響解析不可となる。それ以外の場合は音響解析可能であり、モデルチェック完了となる。
(3)解析用モデル(遮音計算専用)内に複数の室空間を定義する。室空間は、構造物内の居室の他に、居室以外のあらゆる空間(例えば、天井裏、床下、廊下、通路等)に定義される。
なお、モデルチェックでエラーとなった場合は、音響解析システム100がここで一旦処理を抜け、ディスプレイ102bにエラーメッセージの出力処理を実行する。一方、エラーとならなかった場合、モデルチェック完了のメッセージ出力処理を実行し、次のステップS104に進む。
ステップS104:解析条件設定処理部130は、解析条件設定処理を実行する。この処理では、音響解析に必要な計算条件が設定される。例えば、以下の条件が挙げられる。
(1)計算対象の設定:内部騒音(壁・床・扉・天井等)、サッシ回込み音、外部暗騒音を条件に設定。
(2)通過要素(通過部材)数の設定:音源室から音源室までの音の伝搬経路上に存在する音の通過要素の数(例えば、1~5)を条件に設定。
(3)音源室及び受音室の設定:平面図から指定されるもの(複数選択可)。
(4)騒音源の設定:直接入力、又はサンプルリスト(話し声、演奏音、交通騒音)から指定される騒音源を条件に設定。
(1)計算対象の設定:内部騒音(壁・床・扉・天井等)、サッシ回込み音、外部暗騒音を条件に設定。
(2)通過要素(通過部材)数の設定:音源室から音源室までの音の伝搬経路上に存在する音の通過要素の数(例えば、1~5)を条件に設定。
(3)音源室及び受音室の設定:平面図から指定されるもの(複数選択可)。
(4)騒音源の設定:直接入力、又はサンプルリスト(話し声、演奏音、交通騒音)から指定される騒音源を条件に設定。
ステップS106:音響解析処理部140は、音響(遮音)解析処理を実行する。この処理では、設定された解析条件の下で、解析用モデルを用いた音響解析(遮音計算)が行われる。音響解析は、音源室を音源とした受音室での音圧レベル(dBA)の算出を基本とするが、この他にも、例えば室内騒音レベル(NC値、N値)、室間音圧レベル差(D値)等が算出される。なお、音響解析処理についてはさらに後述する。
ステップS108:出力処理部114及び画像処理部116は、結果出力処理を実行する。この処理では、音響解析の結果(例えば、受音室での音圧レベル算出結果)をディスプレイ102bに表示する。算出結果の出力例については、別の図面を用いてさらに説明する。
ステップS110:音響解析システム100は、ケーススタディを実行するか否かを判断する。ケーススタディの有無は、例えば、受音室の音圧レベルが目標の遮音性能の範囲に収まっているかを基準として、ユーザが判断することができる。音響解析システム100は、この処理において、例えばディスプレイ102b上に「ケーススタディを実行しますか?」のダイアログメッセージとともに、「はい」「いいえ」等の選択肢をボタン表示し、ユーザに操作入力を要求する。その結果、ユーザから「はい」の操作入力がなされると、ケーススタディあり(Yes)と判断し、ステップS104以降を再度実行する。ユーザから「いいえ」の操作入力がなされると、ケーススタディなし(No)と判断し、本処理を終了する。なお、ケーススタディなし(No)と判断した後に最終的な結果出力処理を改めて行ってもよい。また、ケーススタディの結果は、音響解析システム100が元のBIMモデルに対して自動的に反映させることができる。
〔解析用モデル生成例〕
図3は、解析用モデルの生成例を示す図である。上記の解析用モデル生成処理(図2のステップS102)において、解析用モデルAMDは、BIMツール側で設計されたBIMモデルBMDを複製して生成する(図3(A)→図3(B))。したがって、解析用モデルAMDには、実際に建造予定である建造物(例えばホテル、住宅、病院、工場、スタジオ等)の3次元構造全体が詳細に反映されていることになる。また、構造体に用いられる各種部材の仕様についても、解析用モデルAMDには詳細に反映されることになる。
図3は、解析用モデルの生成例を示す図である。上記の解析用モデル生成処理(図2のステップS102)において、解析用モデルAMDは、BIMツール側で設計されたBIMモデルBMDを複製して生成する(図3(A)→図3(B))。したがって、解析用モデルAMDには、実際に建造予定である建造物(例えばホテル、住宅、病院、工場、スタジオ等)の3次元構造全体が詳細に反映されていることになる。また、構造体に用いられる各種部材の仕様についても、解析用モデルAMDには詳細に反映されることになる。
〔モデルチェック実行例〕
図4は、解析用モデルAMDの生成に際してモデルチェックの実行例を示した図である。上記のように、解析用モデルAMDの生成に際しては、BIMモデルBMDから複製したものについて、音響解析(遮音計算)が可能であるかのモデルチェックを実行する。図4の例では、対象となる建造物の代表的な1フロアの平面図を用いている。今回の建造物内の間取りが全フロアで共通している場合、このようなモデルチェックの手法が好適に用いられる。
図4は、解析用モデルAMDの生成に際してモデルチェックの実行例を示した図である。上記のように、解析用モデルAMDの生成に際しては、BIMモデルBMDから複製したものについて、音響解析(遮音計算)が可能であるかのモデルチェックを実行する。図4の例では、対象となる建造物の代表的な1フロアの平面図を用いている。今回の建造物内の間取りが全フロアで共通している場合、このようなモデルチェックの手法が好適に用いられる。
〔対象範囲の指定〕
また、モデルチェックを実行する対象室の範囲は、全ての居室を指定する方法(全部屋)、任意の居室を指定する方法(部屋指定)、階層と矩形枠で囲った範囲を指定する方法(レベル・長方形エリア指定)等があり、この中では「部屋指定」を用いて対象の居室を特定する方法が最も効率的である。図4の例は「部屋指定」の方法を用いており、ここでは平面図中に着色を施したエリアを対象範囲に指定している。
また、モデルチェックを実行する対象室の範囲は、全ての居室を指定する方法(全部屋)、任意の居室を指定する方法(部屋指定)、階層と矩形枠で囲った範囲を指定する方法(レベル・長方形エリア指定)等があり、この中では「部屋指定」を用いて対象の居室を特定する方法が最も効率的である。図4の例は「部屋指定」の方法を用いており、ここでは平面図中に着色を施したエリアを対象範囲に指定している。
今回の建造物内には、代表的な1フロア内に複数の居室R1~R13がある他、各室に通じる廊下CD、居室以外のリネン室RNやその他の室空間(符号なし)、EVホールEH、EVシャフト(符号なし)等がある。この例では、建造物の正面に面した4つの居室R1~R4と、これらに通じる廊下CD、及びEVホールEHを対象範囲にしている。これは、特に全ての居室R1~R13を対象としなくても、構造上で代表的な居室R1~R4までを対象として音響解析を実行すれば、建造物全体の遮音性能を十分に評価できるからである。
そして、対象範囲について上記の解析用モデル生成処理(図2のステップS102)で述べた計算条件を満たすか否かを確認し、計算条件を満たすことが確認されると、モデルチェック完了となる。
〔室空間定義例〕
図5は、解析用モデルAMDに複数の室空間を定義する例を示した図である。室空間の定義は、上記の解析用モデル生成処理(図2のステップS102)で行われるものである。モデルチェックが完了すると、対象となる居室R1~R4に室空間が定義されるとともに、居室R1~R4以外のあらゆる空間、例えば天井裏AT1~AT4や床下空間UF1~UF4にも室空間が定義される。なお、天井裏AT1~AT4や床下空間UF1~UF4は、他の上層階や下層階の居室から見れば床下空間あるいは天井裏となる。ここでは代表的な1フロアの一部の居室R1~R4についてのみ室空間を定義する例を示しているが、室空間の定義は、解析用モデルAMDの全体(全フロア及び全居室)に対して行われる。
図5は、解析用モデルAMDに複数の室空間を定義する例を示した図である。室空間の定義は、上記の解析用モデル生成処理(図2のステップS102)で行われるものである。モデルチェックが完了すると、対象となる居室R1~R4に室空間が定義されるとともに、居室R1~R4以外のあらゆる空間、例えば天井裏AT1~AT4や床下空間UF1~UF4にも室空間が定義される。なお、天井裏AT1~AT4や床下空間UF1~UF4は、他の上層階や下層階の居室から見れば床下空間あるいは天井裏となる。ここでは代表的な1フロアの一部の居室R1~R4についてのみ室空間を定義する例を示しているが、室空間の定義は、解析用モデルAMDの全体(全フロア及び全居室)に対して行われる。
〔通過要素数の設定〕
図6は、音源室から受音室までの音の通過要素の数の設定例を示す図である。例えば、ある居室R1を音源室NSに設定し、隣接する居室R2を受音室NRに設定した場合を考える。この場合、音源室NSから受音室NRまでの間に音が通過する要素(部材)の数は、例えば最小の「1」から「5」までを任意に設定することができる。通過要素の数は、上記の解析条件設定処理(図2のステップS104)で行われる。例えばユーザ操作により、通過要素の数(例えば1~5)が設定されると、その数に応じて音の伝搬経路が解析条件設定処理部130により自動的に探索され、計算条件に組み込まれる。また、伝搬経路は平面経路(図6中(A))及び断面経路(図6中(B))について探索される。
図6は、音源室から受音室までの音の通過要素の数の設定例を示す図である。例えば、ある居室R1を音源室NSに設定し、隣接する居室R2を受音室NRに設定した場合を考える。この場合、音源室NSから受音室NRまでの間に音が通過する要素(部材)の数は、例えば最小の「1」から「5」までを任意に設定することができる。通過要素の数は、上記の解析条件設定処理(図2のステップS104)で行われる。例えばユーザ操作により、通過要素の数(例えば1~5)が設定されると、その数に応じて音の伝搬経路が解析条件設定処理部130により自動的に探索され、計算条件に組み込まれる。また、伝搬経路は平面経路(図6中(A))及び断面経路(図6中(B))について探索される。
〔平面経路の探索例〕
図6中(A):例えば、平面経路において通過要素の数が「1」の場合、伝搬経路TR1が自動探索される。伝搬経路TR1には、音源室NSから受音室NRまでの間に1つの通過要素として界壁WLが存在する。
図6中(A):例えば、平面経路において通過要素の数が「1」の場合、伝搬経路TR1が自動探索される。伝搬経路TR1には、音源室NSから受音室NRまでの間に1つの通過要素として界壁WLが存在する。
また、平面経路において通過要素の数が「2」の場合、伝搬経路TR1に加えて伝搬経路TR2が探索される。伝搬経路TR2は、音源室NSから廊下CDを経由して受音室NRに至る経路である。この伝搬経路TR2には、2つの通過要素として音源室NSの扉DRと受音室NRの扉DRが存在する。
次に、平面経路において通過要素の数が「3」の場合、さらに追加して伝搬経路TR3が探索される。伝搬経路TR3は、音源室NSから廊下CDを経由し、さらに別の居室R3を経由して受音室NRに至る経路である。この伝搬経路TR3には、3つの通過要素として音源室NSの扉DR、居室R3の扉DR、及び居室R3と受音室NRとの間の界壁WLが存在する。
そして、平面経路において通過要素の数が「4」の場合、さらに追加して伝搬経路TR4が探索される。伝搬経路TR4は、音源室NSから廊下CDを経由し、さらに別の居室R4,R3を経由して受音室NRに至る経路である。この伝搬経路TR4には、4つの通過要素として音源室NSの扉DR、居室R3の扉DR、居室R4と居室R3との界壁WL、及び居室R3と受音室NRとの界壁WLが存在する。
〔外部回り込み音及び外部暗騒音〕
本実施形態では、外部回り込み音DN及び外部暗騒音WNを計算条件に設定することもできる。このうち外部回り込み音DNは、音源室NSからサッシを通じて建造物外部から受音室NRに回り込む音である。また、外部暗騒音WNは、建造物の周辺環境から受音室NRに入り込む暗騒音(交通騒音、市街地騒音等)である。
本実施形態では、外部回り込み音DN及び外部暗騒音WNを計算条件に設定することもできる。このうち外部回り込み音DNは、音源室NSからサッシを通じて建造物外部から受音室NRに回り込む音である。また、外部暗騒音WNは、建造物の周辺環境から受音室NRに入り込む暗騒音(交通騒音、市街地騒音等)である。
〔断面経路〕
図6中(B):例えば、断面経路において通過要素の数が「1」の場合、伝搬経路TR1が自動探索される。断面経路においても伝搬経路TR1には、音源室NSから受音室NRまでの間に1つの通過要素として界壁WLが存在する。
図6中(B):例えば、断面経路において通過要素の数が「1」の場合、伝搬経路TR1が自動探索される。断面経路においても伝搬経路TR1には、音源室NSから受音室NRまでの間に1つの通過要素として界壁WLが存在する。
ここで、断面経路において通過要素の数を「2」とした場合に追加の伝搬経路は探索されず、伝搬経路TR1のみとなる。これは、断面経路では構造的に通過要素の数が奇数となるためである。
次に、断面経路において通過要素の数が「3」の場合、伝搬経路TR1に加えて伝搬経路TR5,TR7の2本が探索される。このうち伝搬経路TR5は、音源室NSから天井裏AT1,AT2を経由して受音室NRに至る経路である。この伝搬経路TR5には、3つの通過要素として音源室NSの天井CLと界壁WL、及び受音室NRの天井CLが存在する。また、伝搬経路TR7は、音源室NSから床下空間UF1,UF2を経由して受音室NRに至る経路である。この伝搬経路TR7には、3つの通過要素として音源室NSの床FLと界壁WL、及び受音室NRの床FLが存在する。なお、断面経路において通過要素の数を「4」とした場合、追加の伝搬経路は探索されない。
そして、断面経路において通過要素の数が「5」の場合、さらに追加して伝搬経路TR6,TR8の2本が探索される。このうち伝搬経路TR6は、音源室NSから天井裏AT1を経由して上階の居室R03,R04を通り、さらに天井裏AT2を経由して受音室NRに至る経路である。この伝搬経路TR6には、5つの通過要素として音源室NSの天井CL、上階の床FL、上階の居室R03と居室R04との界壁WL、上階の床FL、及び受音室NRの天井CLが存在する。また、伝搬経路TR8は、音源室NSから床下空間UF1を経由して下階の居室R01,R02を通り、さらに床下空間UF2を経由して受音室NRに至る経路である。この伝搬経路TR8には、5つの通過要素として音源室NSの床FL、下階の天井CL、下階の居室R01と居室R02との界壁WL、下階の天井CL、及び受音室NRの床FLが存在する。
〔音響解析例〕
以上のように、解析用モデルAMDにおいて各種の計算条件が設定されると、上記の音響解析処理(図2のステップS106)で遮音計算が行われる。本実施形態では、例えば以下の数式を用いる計算手法を好適に採用することができる。
〔各種パラメータ等の定義〕
〔内部伝搬音計算式〕
〔外部暗騒音計算式〕
〔外部回り込み音計算式〕
以上のように、解析用モデルAMDにおいて各種の計算条件が設定されると、上記の音響解析処理(図2のステップS106)で遮音計算が行われる。本実施形態では、例えば以下の数式を用いる計算手法を好適に採用することができる。
〔各種パラメータ等の定義〕
〔パラメータ抽出〕
上記の計算式で用いられる各種のパラメータは、解析用モデルAMDから得られる構造寸法や、伝搬経路上の通過要素に用いられる素材(マテリアル)の物性値に該当する。上記のように、各種素材の物性値は予めデータベース160に登録されているため、音響解析の計算に際してデータベース160を参照し、必要なパラメータを容易に抽出してくることができる。なお、設計された素材の物性値がデータベース160に存在しない場合、音響解析システム100がその旨のメッセージ(「物性値取得エラー」)をディスプレイ102bに表示し、既存のテンプレートを提示してユーザに適宜の吸音率、透過損失を選択させることができる。
上記の計算式で用いられる各種のパラメータは、解析用モデルAMDから得られる構造寸法や、伝搬経路上の通過要素に用いられる素材(マテリアル)の物性値に該当する。上記のように、各種素材の物性値は予めデータベース160に登録されているため、音響解析の計算に際してデータベース160を参照し、必要なパラメータを容易に抽出してくることができる。なお、設計された素材の物性値がデータベース160に存在しない場合、音響解析システム100がその旨のメッセージ(「物性値取得エラー」)をディスプレイ102bに表示し、既存のテンプレートを提示してユーザに適宜の吸音率、透過損失を選択させることができる。
〔結果出力例〕
図7は、音響解析処理の結果出力例を示すコンター図である。音響解析処理の計算結果は、2次元の平面図(図7(A))及び断面図(図7(B))に対してコンター表示することができる。
図7は、音響解析処理の結果出力例を示すコンター図である。音響解析処理の計算結果は、2次元の平面図(図7(A))及び断面図(図7(B))に対してコンター表示することができる。
この例では、平面図、断面図共に居室R1~R4の音圧レベルの差が色の階調差で示されている。なお、図ではグレー階調となっているが、実際にはカラー階調が用いられる(これ以降も同じ。)。例えば、音源室NSである居室R1の音圧レベルを最大で表すと、受音室NRである居室R2の音圧レベルが2番目に大きく、他の居室R3,R4と離れていくほど音圧レベルは小さくなっていることが分かる。
〔他の結果出力例(1)〕
図8は、2次元の平面図及び断面図についての他の結果出力例を示すコンター図である。上記の結果出力処理(図2のステップS108)では、音響解析の計算結果をフロア全体に反映させた平面図(左側ウインドウ)、及び建造物全体に反映させた断面図(右側ウインドウ)に表示することもできる。これにより、音源室を音源とする騒音が建造物内でどのように広がっていくかを可視化し、遮音性能の評価に資することができる。
図8は、2次元の平面図及び断面図についての他の結果出力例を示すコンター図である。上記の結果出力処理(図2のステップS108)では、音響解析の計算結果をフロア全体に反映させた平面図(左側ウインドウ)、及び建造物全体に反映させた断面図(右側ウインドウ)に表示することもできる。これにより、音源室を音源とする騒音が建造物内でどのように広がっていくかを可視化し、遮音性能の評価に資することができる。
〔他の結果出力例(2)〕
また、図9は、音響解析処理の結果を3次元の透視図(ワイヤーフレーム図)で表した結果出力例を示すコンター図である。この例は、判読容易のために1フロアだけを抜き出したものであるが、3次元の結果出力は、解析用モデルAMD全体に反映させたコンター表示にすることができる。したがって、音源室NSである居室R1からの騒音の拡がりは、建造物の平面方向及び断面方向の両方にわたって立体的に表示される。このような3次元のコンター図表示とすることにより、音源室を音源とする騒音が建造物内でどのように広がっていくかを立体的に可視化し、さらに遮音性能の評価に資することができる。
また、図9は、音響解析処理の結果を3次元の透視図(ワイヤーフレーム図)で表した結果出力例を示すコンター図である。この例は、判読容易のために1フロアだけを抜き出したものであるが、3次元の結果出力は、解析用モデルAMD全体に反映させたコンター表示にすることができる。したがって、音源室NSである居室R1からの騒音の拡がりは、建造物の平面方向及び断面方向の両方にわたって立体的に表示される。このような3次元のコンター図表示とすることにより、音源室を音源とする騒音が建造物内でどのように広がっていくかを立体的に可視化し、さらに遮音性能の評価に資することができる。
〔音圧レベル計算レポート出力例〕
図10は、音響解析処理の結果を音圧レベル計算レポートに表示した出力例を示す図である。音響解析処理の計算結果は、先のコンター図(図7~図9)の他に、レポート形式で出力することもできる。音圧レベル計算レポートは、例えば以下の項目を含む。
図10は、音響解析処理の結果を音圧レベル計算レポートに表示した出力例を示す図である。音響解析処理の計算結果は、先のコンター図(図7~図9)の他に、レポート形式で出力することもできる。音圧レベル計算レポートは、例えば以下の項目を含む。
図10の上段に示されているように、設定値一覧(音源・吸音率・透過損失)とともに、各居室R1~R4や廊下CD別の音圧レベル(dBA)がオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示される。また、受音室NRでの音圧レベル(dBA)が伝搬経路ごとにオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示されるとともに、それらの合成値及び騒音等級(NC値、N値)が数値表示される。さらに、音源室音圧レベル(dBA)及び受音室音圧レベル(dBA)がオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示されるとともに、遮音等級として室間音圧レベル差(D値)が数値表示される。
そして、図10の下段に示されているように、音圧レベル(NC値)、音圧レベル(N値)及び音圧レベル差(D値)のグラフがそれぞれレポート表示される。計算レポートは、例えばCSV等の表計算ファイル形式で出力したり、ディスプレイ102bに表示したりすることができる。
〔残響時間計算レポート〕
図11は、音響解析処理の結果を残響時間計算レポートに表示した出力例を示す図である。残響時間計算レポートは、例えば以下の項目を含む。すなわち、内装仕上げ(部位)ごとの表面積(m2)及び吸音率がオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示されるとともに、ここから吸音力(m2)がオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示される。また、空気吸音率及び音場係数が設定条件としてオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示されるとともに、残響時間(sec)がオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示される。図示していないが、最適残響時間(sec)と室容積(m3)との関係を表すグラフがレポートに添付されてもよい。
図11は、音響解析処理の結果を残響時間計算レポートに表示した出力例を示す図である。残響時間計算レポートは、例えば以下の項目を含む。すなわち、内装仕上げ(部位)ごとの表面積(m2)及び吸音率がオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示されるとともに、ここから吸音力(m2)がオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示される。また、空気吸音率及び音場係数が設定条件としてオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示されるとともに、残響時間(sec)がオクターブバンド中心周波数(Hz)別に数値表示される。図示していないが、最適残響時間(sec)と室容積(m3)との関係を表すグラフがレポートに添付されてもよい。
〔ケーススタディ実行例〕
図12は、算出結果を用いたケーススタディの実行例を示す図である。ここでは、音響解析の算出結果として伝搬経路別の騒音レベル推移グラフ(寄与度グラフ)を表示し、騒音伝搬に寄与度が高い伝搬経路上にある通過要素の物性値を変更することができる。このような騒音レベル推移グラフ(図12(A))は、例えば先の音圧レベル計算レポート(図10)に含めることができる。
図12は、算出結果を用いたケーススタディの実行例を示す図である。ここでは、音響解析の算出結果として伝搬経路別の騒音レベル推移グラフ(寄与度グラフ)を表示し、騒音伝搬に寄与度が高い伝搬経路上にある通過要素の物性値を変更することができる。このような騒音レベル推移グラフ(図12(A))は、例えば先の音圧レベル計算レポート(図10)に含めることができる。
〔騒音レベル推移グラフ(寄与度グラフ)〕
図12中(A):左側の騒音レベル推移グラフは、音源室から経由室、そして受音室に至るまでの騒音レベルの推移を伝搬経路別にプロットしたものである。右側の平面図及び断面図は、計算対象の音源室、経由室及び受音室と音の伝搬経路を表示したものである。騒音レベル推移グラフ中の各曲線は、対応する伝搬経路上の騒音レベル(dBA)の推移を表す。
図12中(A):左側の騒音レベル推移グラフは、音源室から経由室、そして受音室に至るまでの騒音レベルの推移を伝搬経路別にプロットしたものである。右側の平面図及び断面図は、計算対象の音源室、経由室及び受音室と音の伝搬経路を表示したものである。騒音レベル推移グラフ中の各曲線は、対応する伝搬経路上の騒音レベル(dBA)の推移を表す。
ケーススタディでは、例えばグラフ中の破線で囲った伝搬経路TR1,TR2,TR3の寄与度が高いことに着目することができる。このような騒音レベル推移グラフは、例えばディスプレイ102bの画面上に表示させることができ、ユーザがマウス102d等でグラフ上の曲線をクリック操作すると、該当する伝搬経路TR1,TR2,TR3が平面図又は断面図中で強調表示される。また、図示しないレポート(騒音レベル計算シート)上で該当する伝搬経路の行にカーソルが移動する。
図12中(B):ケーススタディ用画面が表示され、下段には、該当する伝搬経路上に存在する通過要素(居室、廊下、扉、界壁、床、天井等)の物性値一覧M1が表示されるとともに、通過要素ごとに物性値を変更するメニューが表示(例えば、クリックによるプルダウン表示)される。物性値一覧M1でユーザが物性値を変更すると、上段の受音室別音圧レベル一覧M2に計算結果が即座に反映される。このようにして、騒音レベル推移グラフで寄与の大きい伝搬経路上にある通過要素の素材を画面上で適宜に変更し、物性値等の計算条件を変更した後の計算結果を即座に確認することができる。また、変更後の通過要素の物性値は、上記のようにBIMモデルに対して自動的に反映させることができる。
本実施形態の音響解析システム100によれば、以下の有用性が発揮される。
(1)遮音設計に必要な情報(音の伝搬経路、透過部位、内装仕上げ、各部の面積・容積、サッシ間距離等)をBIMモデルベースの解析用モデルから抽出し、室内騒音レベルを自動計算することができる。
(2)また、BIMツールを実装したハードウエア環境で同時使用する場合は、BIMツール上で室内騒音レベルの自動計算が可能なアドインツール(音響解析プログラム)となる。
(3)従来の2次元図面から各種の計算条件を拾い出し、表計算する手法と比較すると、遮音設計業務を大幅(8割以上)に省力化することができる。
(4)BIMツール側で作成したBIMモデルと解析用モデルとの間では、ケーススタディを通じて物性値を自動的にリンクさせることができる。このため、BIMモデルの作成時には、特に通過要素(使用部材)への音響情報の入力が不要となり、通常のモデリングルールだけでよいことになる。これにより、遮音設計を気にすることなく構造設計が可能となり、さらに業務効率化を図ることができる。
(1)遮音設計に必要な情報(音の伝搬経路、透過部位、内装仕上げ、各部の面積・容積、サッシ間距離等)をBIMモデルベースの解析用モデルから抽出し、室内騒音レベルを自動計算することができる。
(2)また、BIMツールを実装したハードウエア環境で同時使用する場合は、BIMツール上で室内騒音レベルの自動計算が可能なアドインツール(音響解析プログラム)となる。
(3)従来の2次元図面から各種の計算条件を拾い出し、表計算する手法と比較すると、遮音設計業務を大幅(8割以上)に省力化することができる。
(4)BIMツール側で作成したBIMモデルと解析用モデルとの間では、ケーススタディを通じて物性値を自動的にリンクさせることができる。このため、BIMモデルの作成時には、特に通過要素(使用部材)への音響情報の入力が不要となり、通常のモデリングルールだけでよいことになる。これにより、遮音設計を気にすることなく構造設計が可能となり、さらに業務効率化を図ることができる。
(5)音響解析においては、平面図上で音源室及び受音室を選択し、計算条件を設定するだけで、自動的に音圧(騒音)レベルや音圧レベル差、残響時間を算出することができるので、遮音設計に熟練していないユーザにも容易に操作が可能となる。
(6)計算結果は、レポート形式の他にも可視化された2次元ビュー(図7、図8)や3次元ビュー(図9)にして出力できるので、建造物内での音が伝搬していく様子を直感的に把握することが可能になる。
(7)また、計算レポートから騒音レベル寄与度の大きい伝搬経路を特定することができ(図12)、ケーススタディを通じてBIMモデルに最適な遮音性能を付与することができる。
(6)計算結果は、レポート形式の他にも可視化された2次元ビュー(図7、図8)や3次元ビュー(図9)にして出力できるので、建造物内での音が伝搬していく様子を直感的に把握することが可能になる。
(7)また、計算レポートから騒音レベル寄与度の大きい伝搬経路を特定することができ(図12)、ケーススタディを通じてBIMモデルに最適な遮音性能を付与することができる。
(8)室内を伝搬する騒音だけでなく、外部回り込み音や外部暗騒音の計算条件も考慮することができるので、より現実に即した遮音設計が可能となる。これにより、建造物の完成後も、その実地環境において確実な遮音性能を発揮することができる。
本発明は、上述した一実施形態に制約されることなく、種種に変形して実施可能である。一実施形態で挙げた建造物はあくまで一例であり、様々な構造や目的を有する建造物に対しても本発明を適用可能である。
一実施形態では、計算効率の観点から対象範囲の指定を「部屋指定」としたが、「全部屋」を指定して計算を実行してもよい。
また、モデルチェックにおいてエラーとなった場合は、原因を出力することで設計条件の変更を促すこととしてもよい。この場合、ユーザは建造物の設計を変更し、音響解析の対象となる居室を設定した上で本発明を適用することができる。
その他、システムの構成例(図1)や手順例(図2)は好適例に過ぎず、これらを適宜変更して本発明を実施可能である。
100 音響解析システム
120 解析用モデル生成処理部
130 解析条件設定処理部
140 音響解析処理部
160 データベース
120 解析用モデル生成処理部
130 解析条件設定処理部
140 音響解析処理部
160 データベース
Claims (11)
- 解析対象となる建造物の構造及び仕様を3次元データで表したBIMモデルを用いて、建造物内に居室及び居室以外の複数の室空間を定義した解析用モデルを生成する生成手段と、
前記生成手段で定義した複数の室空間のうち、所定の音源室から受音室にまで音が伝搬する伝搬経路上に存在するパラメータを前記解析用モデルから抽出し、前記パラメータを用いて少なくとも前記音源室を音源とした前記受音室の音圧レベルを算出する算出手段と、
前記算出手段の算出結果を出力する出力手段と
を備えた音響解析システム。 - 請求項1に記載の音響解析システムにおいて、
前記生成手段は、前記解析用モデルの生成に際して室空間を定義する居室が音圧レベルを算出可能な対象であるか否かを確認し、可能であれば居室以外の空間に室空間を定義することを特徴とする音響解析システム。 - 請求項1又は2に記載の音響解析システムにおいて、
前記音源室から前記受音室に至るまでに音が通過する通過要素の数を音圧レベルの算出条件として設定する設定手段
をさらに備えた音響解析システム。 - 請求項3に記載の音響解析システムにおいて、
前記設定手段は、
設定した前記通過要素の数に応じて、前記音源室から前記受音室まで建造物内部を伝搬する内部騒音の他に、外壁面に沿う配置の前記通過要素を通じて前記音源室から前記受音室に伝搬する回り込み音、及び、建造物外部から前記受音室に入り込む外部暗騒音の少なくとも一方を音圧レベルの算出条件として設定することを特徴とする音響解析システム。 - 請求項3又は4に記載の音響解析システムにおいて、
前記設定手段は、
3次元の前記解析用モデルから生成した2次元のモデル上で前記音源室及び前記受音室の位置を設定可能であることを特徴とする音響解析システム。 - 請求項1から5のいずれかに記載の音響解析システムにおいて、
前記BIMモデルで表される建造物の構造及び仕様に基づいて、前記音源室から前記受音室に至るまでに音が通過する通過要素に使用する素材ごとのパラメータが予め登録されたデータベースをさらに備え、
前記算出手段は、
前記データベースを参照して前記伝搬経路上に存在するパラメータを抽出することを特徴とする音響解析システム。 - 請求項6に記載の音響解析システムにおいて、
前記算出手段は、
前記データベースに登録されている複数種類の素材から任意の種類の素材を選択して音圧レベルの算出に用いるパラメータを変更可能であり、
前記出力手段は、
前記算出手段による変更後のパラメータを用いて算出された音圧レベルを変更後の算出結果として出力可能であることを特徴とする音響解析システム。 - 請求項6又は7に記載の音響解析システムにおいて、
前記データベースは、
前記音源室及び建造物外部で発生し得る騒音源の情報を予め登録しており、
前記算出手段は、
前記データベースに登録された騒音源の情報を用いて前記解析用モデルの任意の室空間を所定の音源室に設定して音圧レベルを算出可能であることを特徴とする音響解析システム。 - 請求項1から8のいずれかに記載の音響解析システムにおいて、
前記出力手段は、
前記音源室から前記受音室に至るまでに複数ある前記伝搬経路上の音圧レベルの変化を前記伝搬経路別に複数の推移グラフに表示して出力し、当該複数の推移グラフから選択された任意の推移グラフに対応する前記伝搬経路上に存在するパラメータを一覧に表示して出力可能であることを特徴とする音響解析システム。 - 請求項1から9のいずれかに記載の音響解析システムにおいて、
前記出力手段は、
前記解析用モデルから得られる建造物の平面図、断面図又は立体図の少なくともいずれかに対し、前記音源室を音源とした他の室空間での音圧レベルの分布をコンター図の表示態様により出力可能であることを特徴とする音響解析システム。 - コンピュータに、
解析対象となる建造物の構造及び仕様を3次元データで表したBIMモデルを用いて、建造物内に居室及び居室以外の複数の室空間を定義した解析用モデルを生成する生成ステップと、
前記生成ステップで定義した複数の室空間のうち、所定の音源室から受音室にまで音が伝搬する伝搬経路上に存在するパラメータを前記解析用モデルから抽出し、前記パラメータを用いて少なくとも前記音源室を音源とした前記受音室の音圧レベルを算出する算出ステップと、
前記算出ステップでの算出結果を出力する出力ステップと
を実行させる音響解析プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021160392A JP2023050340A (ja) | 2021-09-30 | 2021-09-30 | 音響解析システム及び音響解析プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=85806077
Family Applications (1)
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