JP2023048268A - 海藻類の陸上養殖装置と養殖方法 - Google Patents

海藻類の陸上養殖装置と養殖方法 Download PDF

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Abstract

【課題】広い養殖面積を必要としない、生産性の高い海藻養殖技術を開発することを目的とする。【解決手段】海藻を陸上で養殖する方法であって、透光性の側壁を有する水槽の中に種苗を入れて、該水槽の側壁側から当該海藻成長に適した人工光を照射し、水槽の底部からガスを散気して、養殖する海藻の陸上養殖方法。【選択図】図2

Description

本発明は、海藻の陸上養殖技術に関する。
海藻の養殖の多くは、沿岸域で行われているが、高齢化による人員確保、開発による環境の破壊、海洋汚染、食害等のため、食用として利用してきた海藻資源の安定供給が困難になっている。また、天候、水温、栄養塩濃度などによる影響により、毎年安定した生産を維持することが困難であった。
このような課題を解決するために、海藻の養殖が可能な陸上養殖装置が提案されている。しかしながら、海水かけ流しや循環ろ過装置を用いる必要があり、太陽光を必要とするため装置的にシンプルでなく価格も高くなった。また、屋外またはビニールハウス等での養殖であるため、夏の暑さなど作業環境が悪かった。
例えば、陸上での海藻養殖は、沖縄県での海ぶどう養殖、高知県でのアオノリ養殖等が行われている。これらは太陽光を用いるため水深を深くすることができず、またより多くの光を受けるため養殖装置の面積を大きくする必要があり、海岸そばの広い敷地が必要である。海水のかけ流しを用いており、大量の海水を汲み上げ、その際、液肥を大量に使用し、一部はそのまま流出するので海洋の汚染を招いている。また、液肥等による雑菌防止のため循環ろ過が必要となっている。
特許文献1には、溶解ガス、光、温度、栄養源、衛生環境の人工環境下で最も藻類の成長に最適な環境制御を行い促成栽培する装置と方法であって、藻類の藻体を種苗として栽培する水槽(1)と、水槽中の培養水に気体を溶解させるガス溶解拡散装置(3-a,3-b)と、波長と照度を制御した光を水槽に照射する光照射装置(10,11)と、水槽中の培養水の温度を一定範囲に制御する温度制御装置(20)と、藻類の成長に不可欠な必須栄養源を含んだ栄養液を水槽に添加する栄養塩類添加装置(17)と、水槽中の培養水の除菌濾過を行う浄化装置(12)と、各装置の制御用計測装置とから構成される海藻栽培装置が開示されている。
特許文献2には、養殖用海水を貯留し、少なくとも底部に湾曲壁面を有する養殖水槽と、養殖水槽内に新たな養殖用海水を供給する養殖用海水供給装置とを備える海藻類の陸上養殖装置を使用して、養殖水槽の湾曲壁面に沿うように養殖用海水を旋回させて攪拌する養殖装置が開示されている。
特許文献3には、養殖用海水51を収容する養殖槽111及び前記養殖用海水上に位置固定された撹拌機201を備えた海藻類の陸上養殖装置において、前記撹拌機は垂直軸周りの回転によって縦方向及び横方向の旋回流を生じさせる水掻き羽根251を有し、前記縦方向及び横方向の旋回流により前記養殖槽の底部に停滞している海藻の種苗31を水面に向けて浮き上がらせることを特徴とする海藻類の陸上養殖装置が開示されている。
国際公開第2005/102031号公報 特開2012-213351号公報 特開2021-10369号号公報
広い養殖面積を必要としない、生産性の高い海藻養殖技術を開発することを目的とする。
鋭意検討を進めた結果、側面から光を照射する縦型の養殖装置にすることで設置面積を小さくすることができる海藻の養殖装置を完成するに至った。
すなわち、本発明は次により構成される。
(1)海藻を陸上で養殖する方法であって、透光性の側壁を有する水槽の中に種苗を入れて、該水槽の側壁側から当該海藻成長に適した人工光を照射し、水槽の底部からガスを散気して、養殖する海藻の陸上養殖方法。
(2)途中で、蒸発した水を補給し、また、成長に伴って海藻に吸収されて低下した海水中の成分を添加することを特徴とする(1)記載の海藻の陸上養殖方法。
(3)海藻の成長に適した温度にコントロールすることを特徴とする(1)または(2)記載の海藻の陸上養殖方法。
(4)養殖水槽、人工照明装置、通気装置を備えた海藻の陸上養殖装置であって、
養殖水槽は、側壁が少なくとも、人工照明の光が照射される部分は透光性である縦型水槽であり、
人工照明装置は、養殖水槽の側面に沿って配置されており、
通気装置は、散気管が養殖水槽の底部に配置されていること、
を特徴とする海藻陸上養殖装置。
(5)養殖水槽は、円筒形又は角筒形であり、
円筒形の養殖水槽は高さが底部径よりも大きい水槽であり、
角筒形の養殖水槽は高さが底部の短辺よりも大きい水槽であることを特徴とする(4)記載の海藻陸上養殖装置。
(6)養殖水槽は、深さが30cm以上であることを特徴とする(4)又は(5)記載の海藻陸上養殖装置。
(7)海藻定着材が、養殖水槽の内に設置されていることを特徴とする(4)~(6)のいずれかに記載の海藻陸上養殖装置。
(8)養殖水槽内に設置された海藻定着材が円筒形であることを特徴とする(4)~(7)のいずれかに記載の海藻陸上養殖装置。
(9)空調設備を備えた屋内に設置されることを特徴とする(4)~(8)のいずれかに記載の海藻陸上養殖装置。
(10)海藻が、海ブドウ、ミル、ヒジキ、アカモク、ワカメ、昆布、海苔、もずく、ダルス、カギケノリ、トサカノリのいずれかであることを特徴とする(4)~(9)のいずれかに記載の海藻陸上養殖装置。
(11)(4)~(10)のいずれかに記載された海藻陸上養殖装置を用いた次の工程からなる海藻の陸上養殖方法。
種苗定着工程:海藻の種苗を固定した海藻定着材を水槽内にセットする。
海水充填工程:水槽内に海水を充填する(種苗定着工程の前に行うことも可能)。
育成工程:人工照明を照射し、散気管に送気して散気して海藻を成長させる。
水量補充サブ工程:蒸発によって、不足した水量を補給する。
成分補充サブ工程:海藻の成長に伴い吸収された水分中の低下した成分を添加する。
収穫工程:水槽から成長した海藻を取り出して収穫する。
1.側面に透光性部分を有する背の高い縦長の養殖用の水槽を使用し、側面から人工光を照射して、上部から下部までの水槽全体で海藻を養殖できるので、面積当たりの生産量が向上した。底部から、散気することによって、海水に二酸化炭素などのガス成分が補給されるとともに、海水が攪拌され水槽内の環境が均一化する。本養殖装置では、母藻マットなどの海藻を定着させて成長させる方法の他、水中に浮遊させて成長させる方法に用いることができる。屋内で養殖することにより、自然環境に影響されずに、温度と光をコントロールできるので、海藻を通年養殖することができる。
2.上部の開口面積が小さいので、海水の蒸発が少なく、補充する水量が少ない、省水量の養殖装置を実現した。同じ海水を継続して使用できるので、新たな海水を導入することに伴う雑菌や雑海藻、ウニ、カニなどの生物が混入せず、汚染の少ないきれいな海藻を養殖することができる。また、海水を継続使用することにより、重金属の含有量の少ない海藻を養殖することができる。
3.海藻の成長にしたがって吸収された窒素、リン、ミネラルなどの成長に必要な養分を追加するだけなので、流出による余分な成分を必要としない。また、添加する成分の量と種類を調整することにより、海藻中の含有成分をコントロールすることができる。
4.海藻に適した波長の光と温度コントロールによって、多種類の海藻を養殖することができる。
5.円筒形の養殖装置は、周面から光を照射することにより、高密度な養殖を行うことができる。成長に従い広がることができる。
6.薄型で縦型の角筒形の養殖装置は、強い光を必要とせずに、縦方向に広面積で養殖を行うことができる。薄型なので、前面照射、背面反射とすることによって、光を効率的に利用することができる。
7.養殖できる海藻は、波長や温度をコントロールすることによって、緑藻、褐藻、紅藻いずれも栽培できる。例えば、海ブドウ、ミル、ヒジキ、アカモク、ワカメ、昆布、海苔、もずく、ダルス、カギケノリ、トサカノリ等を挙げることができる。海藻は、生では日持ちが悪く、生育地から離れた消費地では、乾燥処理されたものが多いが、本発明によって、消費地近く、極端には店先で養殖することができるので、新鮮な生の海藻を消費者に提供することができる。
養殖水槽の概略例を示す図。 養殖装置の概略を示す図。 実施例1の養殖機器構成を示す図。 実施例1の養殖工程を示す図。 実施例1の養殖装置を示す図。 海ブドウの成長速度を示す図。
本発明は、養殖水槽の側面から光を照射して海藻を養殖することにより、水槽の設置面積当たりの海藻の生産量を飛躍的の増大させたものである。
すなわち、本発明は、海藻を陸上で養殖する方法であって、透光性の側壁を有する水槽の中に種苗を入れて、該水槽の側壁側から当該海藻成長に適した人工光を照射し、水槽の底部からガスを散気して、養殖する海藻の陸上養殖方法である。
そして、この養殖方法を実現する装置が、養殖水槽、人工照明装置、通気装置を備えた海藻の陸上養殖装置である。養殖水槽は、縦長の縦型水槽であり、側部の一部が透光部材で形成されている。人工照明装置は、養殖水槽の側面に沿って配置されている。水槽の透光性の側部から光が水槽内に照射される。通気装置は、散気管が養殖水槽の底部に配置されていて、送気するとそこから泡が上昇し、水槽内を攪拌し、ガス成分の補給と水槽内の成分を均一にすることができる。
本発明は、この養殖装置を用いて、水槽内に海藻の種苗を固定した海藻定着材(浮遊性の海藻の場合は定着材は不要)を水槽内にセットし(種苗定着工程)、水槽内に海水を充填し(この海水充填は最初に行うこともできる)(海水充填工程)、水槽の側面から人工照明を照射し、散気管に送気して底から散気して海藻を成長させ(この生長期間に、蒸発によって、不足した水量を補給、海藻の成長に伴い吸収されて低下した水中の成分を補給)(育成工程)、成長した海藻を水槽から取り出して収穫する(収穫工程)。
海藻によっては、根元を残して、収穫し、根元部分(海藻定着材)を水槽に戻して、養殖を繰り返すことができる。
海藻の成長に適した光の波長、温度を選択することにより、海藻の生産性はさらに向上させることができる。
この養殖装置は、縦型で海水のかけ流しが不要であるので、コンパクトにでき、室内に設置することもできる。この養殖装置は、都会のビル内等にも設置することができ、場所を選ばない。消費地近傍で海藻を養殖して提供することが可能となる。例えば、朝収穫した生の海藻を夕方に店先で提供することもでき、鮮度の良い海藻が提供できる。あるいは、レストランで養殖した海藻を出すことも可能である。
この養殖水槽は、高密度培養が可能である。例えば、100Lの水槽内で5kg以上の海藻を収穫することも可能である。
屋内で養殖することにより、自然環境に影響されずに、温度と光をコントロールできるので、海藻を通年養殖することができる。
養殖水槽の上部の開口面積が小さいので、海水の蒸発が少なく、補充する水量が少ない、省水量の養殖装置である。同じ海水を継続して使用できるので、新たな海水を導入することに伴う雑菌や雑海藻、ウニ、カニなどの生物が混入せず、汚染の少ないきれいな海藻を養殖することができる。また、海水を継続使用することにより、最初に海水に含まれている重金属以外を養殖中に海藻が吸収しないので、重金属の含有量の少ない海藻を養殖することができる。
さらに、海藻の成長にしたがって吸収された窒素、リン、ミネラルなどの成長に必要な養分を追加するだけなので、流出による余分な成分を必要としない。また、添加する成分の量と種類を調整することにより、海藻中の含有成分をコントロールすることができる。
海藻に適した波長の光と温度コントロールによって、多種類の海藻を養殖することができる。
円筒形の養殖装置は、周面から光を照射することにより、高密度な養殖を行うことができる。成長に従い広がることができる。
<養殖用水槽>
本発明で用いる養殖用水槽は、側面に一部が透明などの透光性を備えている。本発明では、側面から海藻の成長用の光を照射するので、側面が透光性である必要がある。さらに、透明部分があると海藻の成長状態など水槽内を観察することができる。
側面から光を照射するので、水槽の高さ方向に海藻の生長を利用することができ、縦長の水槽にすることで、水槽の設置面積当たりの、海藻生産量を向上させることができる。海藻の生長に限れば、水槽の深さに限定はないが、水圧や作業性を考慮して、水槽の大きさ、深さを決定する。
深さは30~1000cmが適している、人が立ち姿勢で作業しやすい高さは150cm程度である。
水を抜いた状態で手作業で扱える水槽は、個別管理や作業性に優れている。大型の水槽は、装置産業的に管理することに適している。
水槽の形状は、円筒形あるいは角筒形が適している。
図1に養殖水槽の概略例を示す。(a)円筒形水槽(丸形水槽)、(b)角筒形水槽(角形水槽)の例である。円筒形養殖水槽11は、円筒体の高さHが底径Dより大きく形成されている。角筒形養殖水槽12は、奥行きD2より高さHが大きく形成され、幅D1の制限はない。両水槽とも、側下部に排水口15を設けると、排水が容易である。給水は給水パイプ等で上面から行う。
円筒形の水槽は、プラスチック製のバケツ型の水槽などを用いると使いやすい。プラスチックの一体成型品を養殖水槽に用いると、水圧による変形も少なく、設置面積当たりの容量が大きく、海藻を成長させることができる。特に、海藻の生長にしたがって、中心部から周辺に向かって広がる空間が確保できるので、成長しやすい。
プラスチックの場合、同種の材料で成形されるので、全体に透明あるいは透光性となる。この場合、照明を周囲全体に配置することもでき、あるいは、4方向など自由にできる。
バケツ型の水槽は、個別管理でき、水槽ごとに養殖する海藻の種類を変えることができ、施設内で複数の種類の海藻を養殖できる。また、養殖する海藻の種類を変更することも容易である。そして、水中ヒータを用いることにより、適温管理も個別にできるので、市場動向などに適した養殖を行うことができる。
本発明は、水の交換をすることなく繰り返して養殖できる。
養殖水槽が縦型(底面の最長部よりも水深が長い)であり、底面の最長部が100cm以下で水深が30cm~10m以下を用いることで効率よい養殖が可能である。円筒と角筒型(多面体)のどちらでも効率よく養殖することは可能である。
大がかりな機械や器具を用いない場合、作業のしやすさから考えると直径15cm~100cm(好ましくは25cm~80cm)である。例えば、底部を回しながら容易に移動させることできる。据え付けも、方向性がないので容易である。
角筒形の水槽は、短辺と長辺を有する底辺が長方形の薄型の水槽が適している。
薄型なので、一面から光を照射することで、海藻の生長に必要な光を供給することができる。光を照射する面に透明あるいは透光性の素材(ガラス、アクリルなど)を用いて形成する。
背面側に光反射性の材料を用いると、光の有効性が向上する。
コンブやワカメなど縦長に成長する海藻の養殖に適している。
広い幅の薄型に形成できるので、海藻定着材として、種苗を定着させたロープ材料が適している。
<照明>
本発明で用いる照明は、LED照明が適している。LEDは、波長の選択ができるので、養殖対象の海藻に合わせて選択することができる。海藻は生息深度に応じて、利用できる光の波長が異なるので、それに合わせた光の波長を発生させるLEDを利用する。
照明装置は、蛍光管型、あるいは、LEDを面上に配置した面上型、発光用のLEDは、ライン上に連続して並べたライン状LEDがあるので、必要な形状と面積に作成することができる。
水槽の発光体と反対側に反射体を設けると、透過光が反射して海藻の光利用率が向上する。
円筒形の養殖用水槽に対しては、蛍光管タイプでは、蛍光管を立てて周囲に立てる。あるいは、湾曲面にLEDを並べた面状発光体を用いることができる。
光源を水槽内に配置することも可能であるが、水密性の処理追加や水槽内が狭くなるので、水槽の外側に光源を配置するのが適している。
海藻は主に生息する水深に応じて、緑藻、褐藻、紅藻に分類され、水深に応じて光合成に利用できる波長が異なるので、それぞれに応じた波長の光を発するLEDを選択して、光源とする。
太陽光や人工光を上面から照射した場合、水深が深くなると光強度が小さくなり水深を1m以上にすることは現実的でなかったが、側面照明では、水深の制限はない。
人工光は養殖水槽の側面から照射される。LEDとしては市販白色LEDも用いることが可能である。赤色LED(600~750nm)、青色LED(400~500nm)を組み合わせて用いて光を調整することができる。浅い水深に生育する緑藻類は、通常用いられている、白色LEDを使用することができる。
光の強度は、養殖水槽表面当たり、20~400μmol/m/sの範囲を採用する。ただし海藻の種類に応じた好適な光強度にすることでより効率的に養殖できる。例えば緑藻類である海ぶどうであれば50~250μmol/m/s、褐藻類のヒジキであれば40~200μmol/m/sが好適である。
人工光は、側面に対して水平、垂直のどちらを用いることもできる。また、人工光は、明暗周期又は連続照射をコントロールできる。一般に紅藻類、褐藻類は明暗周期を好む海藻が多い。緑藻類は、海ぶどうのように連続照射が好適な海藻もある。
<通気>
海藻の生長には、光合成に用いる海水中に溶けている二酸化炭素が必要であり、生命の維持には酸素が必要である。本発明では、水槽の底部に通気管を配置して、底部から散気させる。底部から散気された空気は、上昇して、水槽内に上昇流を発生させて、水槽内を攪拌するので、水槽内のガス等が均一になる。通常は、空気をコンプレッサーで送ればよいが、二酸化炭素を加えて、二酸化炭素を高濃度にして、成長を促進させることもできる。
通気には、海藻の生長に利用された二酸化炭素や酸素を補給機能と水槽内の水を攪拌して、水槽内の成分環境を均一化する機能がある。
通気するガス材は空気を主とし、二酸化炭素を添加することができる。
水深が浅い広い面積の養殖装置で通気して効率よく供給するためには、撹拌等が必要であるが、縦型にすることで養殖装置の底面に散気管をつけるだけで効率よい空気の供給が可能である。
縦型なので効率よく空気を拡散できるため、空気の通気量が少なくて済む。水槽の形状、大きさにもよるが0.001~0.8vvm(好ましくは0.002~0.3vvm)の範囲で通気されるのが好適である。
<海藻定着材>
海藻定着材は、生長させる海藻の元となる海藻の幼苗や一部を固定する材料である。海藻の種類に応じて、ネット、マット、ボード、多孔体、ロープなどを用いる。養殖の母材として、生長した海藻の一部を定着させるものや海中から採苗して育てるもの、海藻の破片を浮遊させるものなどがある。定着材の種類、形状、数は、海藻の種類や水槽の形状、養殖方法などによって、選択される。円筒水槽を利用する場合は、定着材を筒型に成形すると使いやすい。
浮遊させるものでは、定着材に付着させて浮遊させるタイプと、定着材を用いずに海藻の一部そのものを浮遊させるタイプがある。
海ブドウでは、海藻をネット状の定着材に固定する。アカモクは、定着材を用いずに海藻の一部を浮遊させることができる。ワカメでは、幼体を定着材に固定、あるいは、水中に浮遊させることもできる。海苔等では、海で採苗して育苗した材料を養殖に用いる場合がある。
浅瀬に生息する海藻によっては、潮の干満にしたがって、外気に曝されたほうが生長に適しているタイプの海藻がある。そのような海藻では、養殖の過程で、水槽から取り出す、あるいは、水槽からいったん水を抜くなどの作業を行う際に、海藻定着材を操作することができる。例えば、ロープや、ネットは、展開して、効率よく空気にさらすことができる。その際、乾燥しすぎる場合は、霧吹きや、シャワーをする。
<養殖用水>
天然の海水あるいは人工海水を用いることができる。
本発明では、基本的には、蒸発した水分を補給する以上の水量を必要としないので、水槽に充填する海水と補給用水が必要となる。海水は、異物等を取り除くためにろ過する方が好ましい。
補給用水は、蒸発によって塩分濃度が高まっているので、海水に限られず、真水を用いることもできる。
海藻に適した養分に調整した人工海水も利用することができる。
海藻の成長に伴って、窒素、リンなどの肥料分とミネラルなどの養分が海藻に吸収されるので、不足する成分を別途補給することになる。
海水を養殖に再利用することもできる。
この養殖システムは、かけ流し方式にも対応できるが、水交換不要または回分式で養殖することができる。ろ過循環を必要としない。海水のかけ流し方式では、大量の海水を汲み上げ、その際、添加した液肥も流失するので海洋の汚染を招いている。
<栄養成分>
養殖を継続すると海藻の生育に伴い養分が吸収されるので、減少した窒素、リン、ミネラル等を補給する。
その補給量は、海藻の種類により、異なるが、例えば海ぶどうの場合は、以下の範囲で窒素、リン、鉄イオンをコントロールすると安定的に生育することができる。また、硝酸態窒素(NO3-N)は0.1~10ppm(好ましくは1~5ppm)、リン酸態リンは0.02~3ppm(好ましくは0.1~2ppm)、鉄イオンは0.01~0.3ppm(好ましくは0.02~0.2ppm)が好適である。その他のミネラルイオンは、不足した場合容積の5%以下の海水を補給することで代替することもできる。
このシステムは、窒素、リン、ミネラルを必要量のみ添加してコントロールすることで、雑菌や雑微細藻の汚染をコントロールすることが可能である。何らかの障害でバランスが崩れた場合、養殖水槽外に紫外線殺菌装置を備え付け、養殖水槽と紫外線殺菌装置を循環させることで雑菌汚染や雑微細藻汚染を防ぐことができる。
また、光合成に利用される二酸化炭素を通気成分に添加して養殖効率をアップすることができる。
なお、養殖水槽内の海水の成分は、海藻が生長するにしたがって吸収され、減少し、必要な成分を補充添加するが、補充されない重金属などは枯渇するので、海藻中の重金属濃度はこれ以上蓄積されず、重金属低濃度の海藻が得られる。また、雑菌、雑藻、雑生物の混入も制限されるので、清潔できれいな海藻を得ることができる。
例えば、海水かけ流しでは、養殖海水の重金属濃度は変化せず、連続して海藻に吸収され、雑菌や雑生物(食害生物など)が侵入するリスクが絶えない。
<温度管理>
海藻の生育に適した温度管理を行う。陸上養殖なので、適した生育環境を整えることによって、どこででもいろいろな種類の海藻が養殖できる。
養殖施設全体をコントロールする場合は、室内全体の空調コントロールで調整することができる。養殖水槽単位にコントロールする場合は、個別にヒータを設定することができる。熱源として、通気温度をコントロールすることもできる。水槽の周りに断熱材を配置して、温度を一定に保つこともできる。
この養殖水槽は、縦型、かけ流しが不要でありコンパクトにできるので、室内に設置することが容易であり、室内を空調でコントロールすることで通年にわたり、養殖して収穫をすることができる。一般に海藻の収穫は時期が限定されるが、生育環境を調整して、季節に限られない養殖ができる。この養殖装置は、都会のビル内等にも設置することができ、場所と時期を選ばないので、朝収穫した生の海藻を店先で販売できることも可能になり、鮮度の良い海藻の提供も可能になる。
<養殖用海藻>
本発明の養殖装置は、光を側面から照射するので、縦長に生育する海藻も容易に養殖できる。光の波長が調整できるので、緑藻、褐藻、紅藻など生育水深に限らずに養殖できる。
したがって、本発明では、様々な種類の海藻を養殖することができる。
例えば、海ブドウ、ミル、ヒジキ、アカモク、ワカメ、コンブ、ノリ、モズク、ダルス、カギケノリ、トサカノリなどである。
海ブドウは、イワズタ科イワズタ属に属する海藻であり、食用されている。沖縄県や鹿児島県では海ぶどうやグリーンキャビアと呼ばれ、一般的には海ブドウと称される。主に、潮間帯の下部から漸深帯の砂地に生育する。
長さ2-5m程度まで成長する。匍匐茎(ランナー)を伸ばし、匍匐茎の途中から直立する茎が生え、1mm程度の粒がつく。この直立する粒がついた茎が食用になる部位で、球状の小枝(葉のような形状)がブドウのように密生している。
生で、醤油や三杯酢等をタレのように浸けながら食べる。沖縄県や鹿児島県奄美地方では陸上養殖が行われており、日本全国への発送も行われている。ビニールハウス中で天然光を用い、水槽内で海水かけ流し式で養殖されており、異物混入、腸炎ビブリオ菌対策等が課題である。
生産地が、沖縄や鹿児島県奄美なので、空輸の必要があり新鮮な海ブドウの提供が困難であるが、本発明によって、東京など大消費地近郊でも新鮮な海ブドウが提供できる。
ミルは、緑藻の一種で、世界の熱帯から温帯の海に広く分布し、浅い海中(干潮線より下)の岩礁上などに生育する。枝の断面は円形で、規則的に二叉分岐して扇状に広がり、高さ40cmほどになる。色は深緑色。表面はビロード状に見え、紡錘形の細胞状構造が多数あるため触るとざらついている。
ミルは、海藻定着材があってもなくても養殖可能である。
ヒジキは、褐藻類ホンダワラ科ホンダワラ属の海藻の1種である。波の荒い海岸近くの岩場の潮間帯付近に繁茂し、春から初夏に胞子嚢を付けて成熟する。長さは50センチメートルから100センチメートルとなり、付着器は匍匐し糸状根となり、岩上に付着する。付着器からは1本から数本の主枝(茎)を伸ばし、主枝から葉と小枝を出す。主枝は円柱状で太さ3ミリメートルから4ミリメートル、葉はへら形で葉縁に鋸歯をもつ。
ヒジキは、有明海、瀬戸内海、伊勢湾等で海面養殖が行われている。ロープにヒジキ種苗を挟み込み沖出しすることで養殖されている。
干ひじきとして販売されることが多い。生ヒジキは、日持ちが短いので、本発明によって、ヒジキが大型化する前に収穫することが可能であり、海から離れた場所でも、生ひじきを味わうことができる。
アカモクは、ワカメなどと同じ褐藻類の海藻である。褐藻綱ヒバマタ目ホンダワラ科に属する海藻である。北海道(東部を除く)から日本全土の漸深帯(浅海)に分布し、朝鮮半島、中国及びベトナム北部にまで分布する。1年生で、秋から冬に生長し、4-7mの長さに達する。収穫した赤褐色の生の段階で強い粘りを持つことが特徴であり、腐敗を防ぐため収穫してすぐに茹で上げ、鮮明な緑色のものが販売商品として流通している。付着器は仮盤状で、この付着器から分枝しない茎が1本生じ、数mの長さになる。この茎には縦の溝が数本あり、また短い刺を生じる。枝は茎につく葉の葉腋から生じ、茎と同様に葉をつける。
本発明を用い、アカモク種苗から養殖するとボール状の生アカモクを得ることができる。野菜のように食することが可能になる。
ワカメは、褐藻綱コンブ目チガイソ科の海藻である。日本などで食用とされ、天然物のほか、海中養殖も行われている北海道から九州にかけての海岸、朝鮮半島南部の両岸の低潮線付近から下に生育する。根状の部分で岩などに固着し、葉状部を水中に伸ばし、長さは2mにも達する。葉状部の中心には主軸があって、それを中心に左右に広く伸び、大きく羽状に裂ける。海苔と同じく、古くから日本人に親しまれてきた海藻である。
ワカメは、有明海、伊勢湾、鳴門、三陸等で海面養殖されている。種糸に遊走子を付着させ新芽にまで育てたのち、ロープに巻き付け海面養殖している。
春先から初夏に収穫される生ワカメをさっと湯がいて食べると、乾物とは違ったおいしさがあるが、日持ちが短い。本発明では、小さなワカメも養殖することができ、スプラウト状態の生ワカメを手軽に食べることができる。
コンブは、オクロ植物褐藻綱コンブ目コンブ科に属する数種の海藻の一般的な名称である。生物学が生まれる以前からの名称であるため、厳密な定義はできないが、葉の長細い食用の種がコンブと呼ばれる傾向がある。マコンブやリシリコンブ、ミツイシコンブなどのように、コンブ科植物の種の標準和名に用いる。他方、食品など日常的には昆布やこんぶ(こぶ)の表記も使われる。
日本列島では北海道沿岸を中心に三陸海岸などに分布し、寒流の親潮海域を代表する海藻であり、また重要な食用海藻である。海中養殖もおこなわれている。
比較的寒冷地が生育地であるが、本発明では、養殖温度をコントロールできるので、生育地では食べられている湯通しした若い昆布や、刺身昆布を消費地でも食べることができるようになる。
紅藻の海苔は、スサビノリ、アサクサノリなどの種類があり、食用として親しまれている。「生海苔」や「板海苔」などが食べられている。海苔はタンパク質、食物繊維、ビタミン、カルシウム、EPA、タウリン、ベーターカロテン、アミノ酸などが豊富に含まれており、栄養に富んでいる。
有明海、瀬戸内海を中心に東京湾等でも商業規模での養殖が可能となっている。
海苔の養殖は、秋から冬にかけての寒い時期が主であるが、本発明では、周年養殖ができるので、生海苔をいつでも提供することができる。
モズクは、褐藻綱ナガマツモ目モズク科の海藻。枝分かれのある糸状藻類である。モズク科やナガマツモ科に属する海藻の総称としても使われており、多くの種の和名に「モズク」と付いている。日本国内で食用として流通するのは厳密にはナガマツモ科に属するオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus)とイシモズク(Sphaerotrichia divaricata)が9割以上を占める。
長さは数十cmほどもあるが、幅は1-数mmほどしかなく、各所で枝分かれする。表面には多糖類が分泌されており、手で触れるとぬめりがある。おもに熱帯から温帯の浅い海に分布する。日本沿岸では冬から春にかけて、光が届く潮下帯の岩礁に生えるが、夏には他の海藻類と同様に枯れてしまう。
海中に自生している時は褐色だが、他の褐藻類と同様熱湯に通すと緑色が出てくる。噛むとワカメのような歯ざわりがあるが、表面の多糖類のため、ぬるぬるとした食感が先に立つ。
本発明でもずく養殖する場合、盤状体の状態で増殖する。この盤状態は活性物質フコキサンチンを多く含むことが知られているので、効率的なフコキサンチンの生産にもなる。
紅藻のダルスは、ダルス科ダルス属に分類される紅藻類の海藻で、大西洋北部沿岸に自生する。太平洋北部沿岸で自生し、日本でも北海道の一部で養殖実験が行われている。
石やコンブの茎などに仮根を吸着させる着生植物である。平らな単条の葉から徐々に成長し不規則に叉状分岐した葉を形成し、長さ50cm、幅3-8cmに成長する。
ヨウ素などのミネラルやビタミン、抗酸化物質、タンパク質などが豊富に含まれている。6月から9月に収穫する。
本発明により、スプラウト状のダルスを養殖することができる。
紅藻のカギケノリは、牛の飼料として利用すると牛のげっぷから生ずるメタンガスを8割以上削減することが知られており、地球温暖化防止のため世界中で研究されている。日本国内でも幅広く分布しているが、養殖技術の開発が待たれている。オーストラリア等で海面養殖開発が進んでおり、カギケノリを養殖して牛の飼料にすることが期待されている。
本発明により、牛のげっぷからのメタン発生を抑制できるカギケノリを養殖することができる。
トサカノリは、紅藻類トサカノリ科の海藻。本州中部以南の太平洋沿岸、瀬戸内海、九州地方に分布し、低潮線以下の岩上に生育する。高さ15~30cm、体は扁平、肉質で不規則に叉状に分岐し、紅色で全体にニワトリのとさかを思わせる。サラダなどに食用される。
本発明を用いることで、生トサカノリを養殖することが可能になる。
<養殖装置>
養殖装置の概略を図2に示す。(a)概略、(b)平面図、(c)定着材の例である。この概略図は、本養殖装置の基本構成を示している。
縦型の養殖水槽1、人工照明装置2、水槽の内部に養殖用海藻の元を固定する海藻定着材4、養殖水槽の底部に散気管32を配置した通気装置3から構成される。養殖水槽1内には、水深WLまで、海水が収容されている。
図示の円筒形養殖水槽は、少なくとも側壁が透明である。底面の直径Dに対して深さ(高さ)Hが大きく形成されている。水深WLも直径Dよりも通常は深い。
人工照明装置2は、直管タイプのLED照明21が6個円筒形養殖水槽11の外周に配置した図が示されている。必要な光量に応じて、出力、本数が決定される。LED照明21の背面に反射板を設けて、水槽内部に向かう光を増加させて、無駄な光の散逸を防止することもできる。
光合成に必要な光を深い養殖水槽の側面から供給することによって、養殖できる容積を確保している。
LED照明は、水槽の曲面に沿った湾曲面状に形成することもでき、任意の形状に設定することができる。
散気管32には穴が多数設けられている。散気管32に送気するエアコンプレッサー31を養殖水槽1の外側において、送気パイプ33でつないで、送気する。養殖水槽1が複数ある場合は、送気パイプ33を分岐して、送ることができる。
送気された空気は、縦管34から散気管32へ送られ、穴から泡となって水中を上昇し、海水の上昇流も発生し、水槽内の海水が攪拌されて、養分やガス濃度が均一になる。泡が、海水の攪拌動力となり、他の動力は、基本的に必要としない。送気する空気量を増減することにより、攪拌力の調整をすることができる。
散気管は、ホース、金属パイプ、塩ビパイプなどを使用することができ、水槽に合わせて、円形、方形、直線、波状などの形状にすることができる。重い方が水槽の底で安定しやすい。縦パイプも同様である。円筒水槽では縦パイプを心棒として海藻定着材を安定させることに利用できる。
さらに、必要に応じて、攪拌用にスクリューなどを配置することも可能である。
図示の定着材は、メッシュ材をロール状にした海藻定着材4である。ロールの上下にロール蓋43を設けて、メッシュ材を巻き付ける固定材としている。内側の定着材41bと外側の定着材41aの間に母藻を挟み込む、あるいは、母藻をメッシュの目に差し込むなどして固定する。図示の例は、メッシュ材を二重にしているが、母材の固定方法によっては一重でも十分である。
中心部を縦管34が通過している。縦管34を利用して海藻定着材4が水槽の中心に据えられている。海藻定着材に固定された海藻母材から新芽が伸びて、光を受けて、円筒形の養殖水槽の周面に向かって成長する。成長に従って広がることができる。
例えば、食用海藻海ぶどう(イワヅタ目のクビレヅタ)やひじきは、ネットの内側に母材を入れ、ネットの目を通して成長させることができる。ネットの網の目は、海ブドウは6~10mm、ヒジキは5~9mmが好ましい。海藻の種類によりネットの網の目の大きさを決める。
収穫の際には、養殖水槽から、海藻定着材を取り出して、刈り取ることができる。収穫後に残った元の部分は、元気な部分は養殖用の母材として再利用もできる。
海藻定着材の材料、形状、構造は、海藻の種類と養殖水槽の形状や養殖方法によって影響を受ける。
なお、アカモクの場合は、定着材を用いないで養殖するとボール状に養殖することができる。
食用海藻海ぶどうの養殖例である。
<養殖装置構成>
養殖装置の構成材を図3に示す。
(a)養殖水槽1;円筒形、高さ137cm、底面外径41cm、上面外径50cm、槽容積180リットル、排水栓、
(b)海水量:175リットル
(c)海藻定着材4:円筒形二重メッシュ材(高さ62cm、長さ85cm、直径25cm、網目8mm)×2
(d)LED照明21:長さ120cmの18W白色LEDライト4本、養殖水槽の側面に立設、光強度は、養殖水槽表面で150μmol/m/s
(e)温度:空調温度は27℃
(f)通気:散気管32直径35cm、空気流量9L/分、塩ビ製(縦管も含む)
(g)仕込み元海藻量:1.5kg/m
<養殖方法>
養殖工程を図4に示す。
2枚のメッシュ材定着材41a、41bの間に海ぶどうの養殖用の母藻51を挟み込み上下にロール蓋43に巻き付けて、円筒形に丸めてロール状母藻マット42を作成し、円筒形養殖水槽11に縦管34を通して、2個縦に重ねて入れ固定した。
養殖用の海水は、採取した海水をフィルターを通してろ過して利用した。
養殖水槽の底部の散気管から空気を9L/分で供給し、給気と泡の上昇に伴い水槽内の攪拌を行った。この攪拌によって、栄養塩などが水槽内に分散される。
空調温度を27℃に設定した室内で、白色LEDライトを養殖水槽の側面から連続照射した。
養殖水槽内の水は交換せず、蒸発分のみ水道水を添加した。
2日に一回、窒素(NH4-N、NO3-N)、リン(PO4-P)、鉄イオン濃度を測定した。NO3-Nは1~8ppmになるように硝酸ナトリウムを添加した。PO4-Pは、0.05~3ppmになるようにリン酸2ナトリウムを添加した。また、鉄イオン濃度は塩化鉄を用いて0.02~0.2ppmにコントロールした。
養殖した海藻5の状態を図4(e)に示す。ロール状母藻マットから、外側に向かって旺盛に成長している。24日間養殖を行った海ぶどうの重量の変化を図6に示す。
対照区として、同様の養殖水槽に窒素と硝酸ナトリウムとリン酸2ナトリウムを添加せずに養殖した。条件は、実施例で示した栽培装置と同一条件で海ぶどうの栽培を行った。
なお、実施例1では、養殖装置として図5に示すように、円筒形養殖水槽11を複数並べて、LED管も横方向に複数段とし、両側に配置した。通気装置3は、エアコンプレッサー31から送気パイプを延ばし、各水槽へ導入した。給水装置35は、海水槽からパイプやホースを延ばして上から各水槽へ給水した。
<結果>
成長を観察するために、海ぶどうの重量を二日置きに測定した。
実施例では15.2kgに増加した。生産密度(海藻の重さ/水槽の体積)は、8.6%であった。対照区における海ぶどうの栽培では重量は24日間で5kgに増加した。
食用海藻アカモクの養殖例である。
<養殖装置構成>
養殖装置は実施例1から定着材を除いて構成した。
<養殖方法>
アカモクの母藻を2kg/mを養殖水槽に投入した。
空気の供給量は、8L/分に設定した。
空調温度を20℃に設定した室内で、白色LEDライトを養殖水槽の側面から連続照射した。
養殖水槽内の水は交換せず、蒸発分のみ水道水を添加した。
2日に一回、窒素(NH4-N、NO3-N)、リン(PO4-P)を測定した。NO3-Nは1~8ppmになるように硝酸ナトリウムを添加した。PO4-Pは、0.05~3ppmになるようにリン酸2ナトリウムを添加した。また、鉄イオン濃度は塩化鉄を用いて0.02~0.2ppmにコントロールした。
35日間養殖を行った。
<結果>
アカモクは、ボール状の形状で7.2kgに増加した。生産密度(海藻の重さ/水槽の体積)は、4.0%であった。
1 養殖水槽
11 円筒形養殖水槽
12 角型形養殖水槽
15 排水口
2 人工照明装置
21 LED照明
3 通気装置
31 エアコンプレッサー
32 散気管
33 送気パイプ
34 縦管
35 給水装置
4 海藻定着材
41 メッシュ定着材
42 ロール状母藻マット
43 ロール蓋
5 海藻
51 海ブドウ母藻

Claims (11)

  1. 海藻を陸上で養殖する方法であって、透光性の側壁を有する水槽の中に種苗を入れて、該水槽の側壁側から当該海藻成長に適した人工光を照射し、水槽の底部からガスを散気して、養殖する海藻の陸上養殖方法。
  2. 途中で、蒸発した水を補給し、また、成長に伴って海藻に吸収されて低下した海水中の成分を添加することを特徴とする請求項1記載の海藻の陸上養殖方法。
  3. 海藻の成長に適した温度にコントロールすることを特徴とする請求項1または2記載の海藻の陸上養殖方法。
  4. 養殖水槽、人工照明装置、通気装置を備えた海藻の陸上養殖装置であって、
    養殖水槽は、側壁が少なくとも、人工照明の光が照射される部分は透光性である縦型水槽であり、
    人工照明装置は、養殖水槽の側面に沿って配置されており、
    通気装置は、散気管が養殖水槽の底部に配置されていること、
    を特徴とする海藻陸上養殖装置。
  5. 養殖水槽は、円筒形又は角筒形であり、
    円筒形の養殖水槽は高さが底部径よりも大きい水槽であり、
    角筒形の養殖水槽は高さが底部の短辺よりも大きい水槽であることを特徴とする請求項4記載の海藻陸上養殖装置。
  6. 養殖水槽は、深さが30cm以上であることを特徴とする請求項4又は5記載の海藻陸上養殖装置。
  7. 海藻定着材が、養殖水槽の内に設置されていることを特徴とする請求項4~6のいずれかに記載の海藻陸上養殖装置。
  8. 養殖水槽内に設置された海藻定着材が円筒形であることを特徴とする請求項4~7のいずれかに記載の海藻陸上養殖装置。
  9. 空調設備を備えた屋内に設置されることを特徴とする請求項4~8のいずれかに記載の海藻陸上養殖装置。
  10. 海藻が、海ブドウ、ミル、ヒジキ、アカモク、ワカメ、昆布、海苔、もずく、ダルス、カギケノリ、トサカノリのいずれかであることを特徴とする請求項4~9のいずれかに記載の海藻陸上養殖装置。
  11. 請求項4~10のいずれかに記載された海藻陸上養殖装置を用いた次の工程からなる海藻の陸上養殖方法。
    種苗定着工程:海藻の種苗を固定した海藻定着材を水槽内にセットする。
    海水充填工程:水槽内に海水を充填する(種苗定着工程の前に行うことも可能)。
    育成工程:人工照明を照射し、散気管に送気して散気して海藻を成長させる。
    水量補充サブ工程:蒸発によって、不足した水量を補給する。
    成分補充サブ工程:海藻の成長に伴い吸収された水分中の低下した成分を添加する。
    収穫工程:水槽から成長した海藻を取り出して収穫する。
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