以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[車両の構成例]
図1及び図2は、車両1の車室内の構成例を簡略化して示す図である。なお、図1では、車両1の左右方向の右側から見た場合の車両1の車室内を簡略化して示し、図2では、車両1の前後方向の後側から見た場合の車両1の車室内を簡略化して示す。また、図1及び図2では、説明を容易にするため、ダッシュボード2、ハンドル3、ウインドシールド4、エージェント機器80以外の図示は省略する。
エージェント機器80は、車両1のダッシュボード2上に設置される小型のロボットである。図1及び図2では、人の顔型ロボットをエージェント機器80とする例を示す。なお、図1及び図2では、ダッシュボード2上にエージェント機器80を設置する例を示すが、これに限定されない。例えば、ウインドシールド4の上部にエージェント機器80を設置してもよい。また、図1及び図2では、エージェント機器80を人の顔型ロボットとする例を示すが、これに限定されない。例えば、動物の顔、仮想物の顔(例えばアニメのキャラクターの顔)、他の物体(例えばテレビ型の機器、ラジオ型の機器)をエージェント機器80としてもよい。また、他の機器(例えばスマートフォン、タブレット端末)をエージェント機器80として用いてもよい。この場合には、エージェント機器80は、表示パネルやスピーカにより構成される。
エージェント機器80は、制御部50(図3参照)からの指示に基づいて各種の動作を実行する。例えば、エージェント機器80は、制御部50の制御に基づいて、ドライバD1が運転操作をする際における運転支援に関する各種情報を出力する。例えば、エージェント機器80の態様を変化させることにより、エージェント機器80の見た目に変化を加え、その変化を視覚的に把握させ、運転支援に関する情報を出力する。具体的には、エージェント機器80からの音声出力や、エージェント機器80の顔の表情、顔の色、顔の動作の変化により、運転支援に関する情報を出力することができる。また、例えば、表示パネルにおける表示の変更や、顔の各部(例えば目、口)を駆動部(図示省略)により移動させることにより、顔の表情を変化させることができる。これにより、例えば、ドライバD1が適切な運転操作をした場合には、エージェント機器80がドライバD1を褒める動作や褒める音声を出力することにより、ドライバD1がさらに良い運転操作をしようと心がけるようになり、車両1の安全性の向上につながる。また、エージェント機器80により褒められたドライバD1は、平常心で落ち着いて、安心して運転操作を継続することができる。
また、例えば、エージェント機器80は、制御部50の制御に基づいて、音取得部10により取得された車外の音を、運転中のドライバD1に知らせる動作を実行する。運転中のドライバD1に知らせる車外の音として、例えば、警音器(クラクション)、緊急車両のサイレンや警告音、警察の笛の音、警察官による指示等が想定される。エージェント機器80は、これらの音が音取得部10により取得された場合には、これらの音を運転中のドライバD1に通知するように動作を実行する。例えば、エージェント機器80は、それらの音と同じ音を出力する動作や、この出力とともに緊急である旨の動作(例えば、びっくりした表情で大声で話す動作)を行うことができる。このように、ドライバD1が見え易い位置にエージェント機器80が設置され、エージェント機器80の顔がドライバD1に向けられることで、ドライバD1が運転操作をする際に、適切な運転支援を行うことが可能となる。また、例えば、車両1またはエージェント機器80の起動時に、起動音として規定の音(規定音)を車外に出力する場合には、エージェント機器80の顔が車外に向くように、エージェント機器80の態様を変化させることができる。エージェント機器80の顔が車外に向くようにエージェント機器80の態様を変化させた場合の例を図4乃至図6に示す。
ここで、音響特性について説明する。音の性質(音の特性)を決める要素として、音の三要素が知られている。この音の三要素は、音の高さ(周波数(Hz))、音の大きさ(音圧(dB))、音色(波形、周波数成分)により構成される。すなわち、音は、主に、この三要素の組み合わせで人間に認識される。
また、人間に認識される音として、純音及び複合音が存在する。純音は、ある1つの周波数の成分だけで構成される音を意味する。すなわち、純音の波形は、正弦波(sin波)で表すことができる。
複合音は、複数の異なる周波数の成分から構成される音を意味する。すなわち、複合音は、複数の純音が重なった音を意味する。なお、人間が日常的に接する音には、人間が発する音(例えば行動時に発する音、声)、移動物体(例えば車、電車)が発する音、楽器が発する音、自然が発する音(例えば風の音、雨の音)、騒音等が混ざることが多い。また、厳密には、純音は自然界に存在しない音と言われている。そこで、一般には、人間に認識される音は、複合音となる。すなわち、人間が日常的に接する音は、複合音に分類される。
複合音については、周波数解析(フーリエ解析)や周波数分析を利用することにより、複数の音に分解することができる。なお、周波数解析は、光や音等の波を分解して分析する分析方法であり、フーリエ解析を応用した解析方法である。例えば、公知の音響分析機器を用いて、複合音を周波数毎に分解することができる。これにより、複合音を解析することができる。なお、複合音の解析については、各種の音響解析技術、周波数解析技術、測定分析技術を用いることができる。
ここで、音楽の音(または音楽に使われる音)を意味する楽音について説明する。楽音は、一般に、楽器や人等の音源から発生する音であって、それらの音により奏でられる音を意味することが多い。また、1つの正弦波のみから構成される音は、純音(または単音)と称される。また、1つの音源から発生する音が複数の周波数を含む場合には、その音は複合音と称される。なお、音響学では複合音と称されるが、音楽では和音と称されることもある。
また、本実施形態では、上述したように、車両1またはエージェント機器80の起動時に、起動音として規定音を出力する。この規定音に基づいて、車両1の音処理機器に関する音響特性を検出し、この音響特性に基づいて、車両1の音処理機器を較正する。なお、車両1の音処理機器は、例えば、図3に示す音取得部10、音出力部60、エージェント機器80である。また、本実施形態では、予め設定されている規定音と、音出力部60から出力される規定音(出力値)と、音取得部10により取得された規定音(検出値)との関係に基づいて音の三要素の関係を求める。このように求められる音の三要素の関係を表す音処理機器の特性を、音処理機器の音響特性と称して説明する。
[音処理機器の制御装置の機能構成例]
図3は、音処理機器の制御装置100の機能構成例を示すブロック図である。
音処理機器の制御装置100は、音取得部10と、画像取得部20と、位置情報取得部30と、通信部40と、制御部50と、音出力部60と、記憶部70と、エージェント機器80とを備える。なお、音処理機器の制御装置100は、音処理機器(例えば音取得部10、音出力部60)を較正する較正処理を行うため、較正装置やキャリブレーション装置と称することもできる。
音取得部10は、車両1の外部に設けられ、制御部50の制御に基づいて、車両1の周囲の音(車外の音)を取得するものであり、取得された音に関する情報を音分析部51に出力する。音取得部10として、例えば、1または複数のマイクを用いることができる。
画像取得部20は、制御部50の制御に基づいて、被写体を撮像して画像(画像データ)を生成するものであり、生成された画像に関する情報を機器制御部53に出力する。画像取得部20は、例えば、車両1の周囲の被写体を撮像することが可能な1または複数のカメラ機器により構成される。すなわち、画像取得部20により、車両1の左右方向及び前後方向、または、全方位に存在する被写体を取得可能である。
位置情報取得部30は、制御部50の制御に基づいて、車両1が存在する位置に関する位置情報を取得するものであり、取得した位置情報を機器制御部53に出力する。位置情報取得部30は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を利用して位置情報を取得するGNSS受信機により実現できる。また、その位置情報には、GNSS信号の受信時における緯度、経度、高度等の位置に関する各データが含まれる。また、他の位置情報の取得方法により位置情報を取得してもよい。例えば、周囲に存在するアクセスポイントや基地局からの情報を用いて位置情報を導き出してもよい。また、例えば、ナビゲーション装置による位置推定技術を用いて位置情報を導き出してもよい。
通信部40は、制御部50の制御に基づいて、無線通信を利用して、他の機器との間で各種情報のやりとりを行うものである。例えば、通信部40は、所定のネットワーク(例えばインターネット)を介して各種サーバから各種情報を取得する。また、例えば、通信部40は、近距離無線通信を利用して、キー(例えばスマートキー)5(図4乃至図6参照)からの信号を受信する。
記憶部70は、各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部70には、制御部50が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、規定音、地図情報)が記憶される。また、記憶部70には、通信部40を介して取得された各種情報が記憶される。記憶部70として、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの各種記憶媒体を用いることができる。
制御部50は、記憶部70に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置により実現される。なお、車両1の車両ECU(Electronic Control Unit)を制御部50としても使用してもよく、車両ECUとは異なる処理装置を制御部50として設けてもよい。
制御部50は、機器制御処理に関する機能構成として、音分析部51と、音響特性検出部52と、機器制御部53とを備える。
音分析部51は、音取得部10により検出された車外の音の時間変化を分析し、その分析結果に基づいて、音取得部10により取得された音に関する各情報を取得するものであり、その音に関する各情報を音響特性検出部52及び機器制御部53に出力する。
具体的には、音分析部51は、音取得部10により取得された音(複合音)について所定の解析処理(例えば周波数解析)を行い、その複合音を複数の音に分解し、その複合音を構成する複数の音について、各音の三要素を取得する。また、音分析部51は、複合音を構成する各音のうちから、規定音に相当する音を抽出する。なお、規定音の抽出方法については、図7を参照して詳細に説明する。
音響特性検出部52は、音分析部51による分析結果に基づいて、音取得部10及び音出力部60の音響特性を検出し、その音響特性に基づいて、音取得部10及び音出力部60を較正するための較正データを生成するものである。そして、音響特性検出部52は、その較正データを機器制御部53に出力する。なお、音響特性の検出方法、較正データの生成方法については、図7を参照して詳細に説明する。
機器制御部53は、車両1に搭載されている各機器、例えば音処理機器を制御するものである。例えば、機器制御部53は、エージェント機器80及び音出力部60のうちの少なくとも1つから音を出力させる制御を実行する。また、例えば、機器制御部53は、音響特性検出部52により生成された較正データに基づいて、音取得部10及び音出力部60に関する較正処理を実行する。なお、音取得部10及び音出力部60に関する較正処理については、図7を参照して詳細に説明する。
音出力部60は、制御部50の制御に基づいて、車両1の外部に音を出力するものである。音出力部60として、例えば、1または複数のスピーカを用いることができる。
[車両の周囲の環境と音出力部から出力される音との関係例]
図4乃至図6は、車両1の周囲の環境と、音出力部60から出力される音91乃至93との関係を簡略化して示す図である。
図4には、昼間において、周囲に建物等が存在しない広い場所に駐車している車両1のドアを解錠するための操作を、ドライバD1がキー5を用いて行う場合の例を示す。また、車両1の近くを親子U1、U2が歩いている場合を示す。このような環境は、親子U1、U2以外の人が存在せず、周囲からの音も少ないと想定される。そこで、このような環境では、車両1の近くを歩く親子U1、U2に心地の良い音楽や軽い親しみの持てる曲を音91として出力することが好ましい。なお、キー5は、無線通信機能を備える遠隔操作装置であり、通信部40を介して制御部50との間で各種情報のやりとりを無線通信を利用して行うことが可能である。例えば、キー5は、無線通信を利用して車両1のドアを施錠または解錠することができる。
図5には、夜中において、住宅街に駐車している車両1のドアを解錠するための操作を、ドライバD1がキー5を用いて行う場合の例を示す。このように、静かな環境では、周囲の環境を考慮して、ゆったりとした印象の音や静かな曲を音92として出力することが好ましい。
図6には、大規模のショッピングモールの駐車場に駐車している車両1のドアを解錠するための操作を、ドライバD1がキー5を用いて行う場合の例を示す。この場合には、駐車場には、多数の車両301乃至309が停車している。また、駐車場には、多数の買い物客が存在することが多い。このような環境は、車両1の周囲が騒がしいことが多い。そこで、このような環境では、周囲の環境を考慮して、ドライバD1に車両1の存在や位置を知らせるためと、周囲の買い物客に車両1が動くことを知らせるため、大きな音や賑やかな曲を音93として出力することが好ましい。
[較正処理の動作例]
図7は、音処理機器の制御装置100における較正処理の一例を示すフローチャートである。また、この較正処理は、記憶部70に記憶されているプログラムに基づいて制御部50により実行される。また、この較正処理は、所定タイミングで実行される。この所定タイミングは、例えば、車両1のドライバD1がキー5を用いて車両1のドアを開錠する操作をしたタイミング、ドライバD1が運転席に座った後にキー5を用いて車両1を起動させる操作をしたタイミング、キー5を保持したドライバD1が車両1の近くまで移動してきたことが検出されたタイミング等とすることができる。ドライバD1が車両1の近くまで移動してきたか否かについては、キー5と通信部40との無線通信を利用した電波強度に基づいて検出が可能である。なお、図7では、図1乃至図6に示す例を適宜参照して説明する。
ステップS201において、音出力部60は、機器制御部53の制御に基づいて、所定時間、規定音を出力する。この所定時間は、音取得部10及び音出力部60の音響特性を適切に検出することが可能な時間であり、例えば実験データ等に基づいて適宜設定可能である。所定時間として、例えば、数秒程度の値を設定可能である。
また、規定音については、例えば、所定の音の高さ(例えば周波数:440Hz)、所定の音の大きさ(例えば音圧:70dB)、所定の音色(例えばピアノの音色)の単音を規定音として出力することができる。この規定音の各情報については、記憶部70に記憶しておき、用いることができる。このような規定音を音出力部60から出力し、その規定音を音取得部10により検出することで、より精度良く音出力部60または音取得部10の音響特性を検出することが可能になる。
また、規定音として単音を出力する代わりに、単音を組み合わせた和音を出力してもよい。例えば、所定の音の高さの組み合わせ(例えば、ドの周波数:130Hz、ミの周波数:164Hz、ソの周波数:196Hz)、所定の音の大きさ(例えば音圧:70dB)、所定の音色(例えばピアノの音色)の和音を規定音として出力することができる。これにより、規定音を聞いたドライバD1や車両1の周囲の人が心地良い気分となる音(曲)を規定音として出力することができる。
また、規定音として単音または和音を出力する代わりに、単音及び和音を時系列で変化させながら出力してもよい。例えば、ドライバD1や周囲の人が好む曲となるような音を規定音とすることができる。このように、聞いている人には同じ曲に聞こえるような規定音を車両1から出力することにより、車両1の周囲に存在する人(ドライバD1を含む)が車両1から発せられた音を聞いたときに、車両1から発せられた音だと認識することができ、他の音との混乱を防ぐことができる。
ただし、音出力部60から出力される規定音として、毎回全く異なるように聞こえる音を出力してもよい。また、音出力部60から出力される規定音として、規定音の曲の雰囲気のみを変え、聞いている人には同じ曲に聞こえるような音を出力してもよい。例えば、移調で音の高さを変更することより、曲の雰囲気のみを変更することが可能である。例えば、音のリズムを同じとし、音の高さや長さのみを変更することにより、音の雰囲気を変えることが可能となる。例えば、ハ長調の曲の全ての音を長2度上げることによってニ長調の曲とすることが可能である。このように、曲の雰囲気のみを変更しても、聞いている人には同じ曲に聞こえるような規定音を車両1から出力することが可能となる。この場合にも、上述したように、車両1の周囲に存在する人(ドライバD1を含む)が車両1から発せられた音を聞いたときに、車両1から発せられた音だと認識することができ、他の音との混乱を防ぐことができる。
ステップS202において、音取得部10は、機器制御部53の制御に基づいて、所定時間、車外の音を取得する。このように、車外の音が取得されることにより、音取得部10により規定音も検出される。この所定時間は、ステップS201で音出力部60から規定音が出力される所定時間と同じ値とすることができる。
ステップS203において、音分析部51は、音取得部10により検出された車外の音の時間変化を分析し、その分析結果に基づいて、音取得部10により取得された音に関する各情報を取得する。具体的には、音分析部51は、所定時間において、音取得部10により取得された音(複合音)について所定の解析処理を行い、その複合音を複数の音に分解する。また、音分析部51は、その複合音を構成する複数の音について、各音の三要素を取得する。また、音分析部51は、記憶部70に記憶されている規定音の三要素を取得し、この規定音の三要素と、複合音を構成する各音の三要素とを比較することにより、複合音を構成する各音のうちから、規定音に相当する音を抽出する。例えば、各音の三要素の類似度に基づいて、規定音に相当する音を抽出することができる。なお、以下では、音分析部51により抽出された規定音に相当する音を、音分析部51により抽出された規定音と称して説明する。
ステップS204において、音響特性検出部52は、音分析部51による分析結果に基づいて、音取得部10及び音出力部60の音響特性を検出し、その音響特性に基づいて、音取得部10及び音出力部60を較正するための較正データを生成する。具体的には、音響特性検出部52は、音分析部51により抽出された規定音の三要素と、音出力部60から出力された規定音の三要素とを比較し、その双方の三要素の関係性に関する情報を取得する。
例えば、音響特性検出部52は、記憶部70に記憶されている規定音の三要素を取得し、この規定音の三要素と、音分析部51により取得された規定音の三要素とを比較し、各要素の差分値を算出する。なお、所定時間における各要素の差分値を算出して用いてもよい。この場合には、例えば、所定時間における各要素の差分値の平均値や積算値を用いてもよい。そして、音響特性検出部52は、その差分値に基づいて、音出力部60及び音取得部10のうちの少なくとも1つの音響特性を検出する。
例えば、音出力部60からの出力値と、音取得部10による検出値との音響特性に関する関係(音響特性情報)を、実験等により予め取得しておき、記憶部70に記憶しておく。この音響特性情報は、音出力部60からの出力値と、音取得部10による検出値との音響特性に関する理想的な値に関する情報である。そして、音響特性検出部52は、その音響特性情報を記憶部70から取得し、上述した差分値と、その音響特性情報とを比較することにより、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出する。すなわち、音響特性に関する理想的な値と、実際の検出値との間でどの程度のズレが生じているかを確認し、この確認結果に基づいて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出する。
例えば、周波数を440Hzとし、音圧を70dBとする単音の規定音を音出力部60から出力した場合において、音取得部10による規定音の検出値が、周波数440Hz、音圧65dBとなることが、実験等で把握できている場合を想定する。この場合に、周波数を440Hzとし、音圧を70dBとする単音の規定音を音出力部60から出力した場合において、音取得部10による規定音の検出値が、周波数440Hz、音圧65dBであるときには、実験データとの比較では、正常な値となる。そこで、このような場合には、音出力部60及び音取得部10の音響特性が正常であると判定できる。この場合には、較正データを生成する必要はない。
また、周波数を440Hzとし、音圧を70dBとする単音の規定音を音出力部60から出力した場合において、音取得部10による規定音の検出値が、周波数440Hz、音圧60dBであるときには、実験データとの比較では、音圧が-5dBとなる。そこで、このような場合には、音出力部60の音響特性として音圧が低下しているか、または、音取得部10の音響特性として感度が低下していると判定できる。この場合には、音出力部60の音圧レベルを+5dBとするように、較正データを生成する。または、音取得部10の感度レベルを上げるように、較正データを生成する。
また、音取得部10により異常信号が検出されることも想定される。例えば、音取得部10による規定音の検出値が、実験データとの比較により、音出力部60からの出力値よりも第1閾値以上に高い場合(すなわち異常に高い場合)や第2閾値以下となるように低い場合(すなわち異常に低い場合)も想定される。ただし。第2閾値<第1閾値とする。このように、音取得部10による規定音の検出値が異常に高い場合や、異常に低い場合には、音取得部10が正常に機能していないことも想定される。そこで、この場合には、音取得部10の機能が正常になるように、較正データを生成する。例えば、音取得部10の感度を上げたり、下げたりする較正データを生成する。
このように、音の三要素の何れかの変化(例えば、周波数や音圧の変化)に基づいて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出し、較正データを生成することができる。
ステップS205において、機器制御部53は、ステップS204で生成された較正データに基づいて、音取得部10及び音出力部60に関する較正処理を実行する。例えば、音出力部60の音響特性として音圧が低いと判定された場合には、音出力部60の音圧レベルを上げるための較正データが生成される。この場合には、機器制御部53は、生成された較正データに基づいて、音圧レベルを上げるように、音出力部60を較正する。また、例えば、音出力部60の音響特性として音圧が高いと判定された場合には、音出力部60の音圧レベルを下げるための較正データが生成される。この場合には、機器制御部53は、生成された較正データに基づいて、音圧レベルを下げるように、音出力部60を較正する。また、例えば、音取得部10の音響特性として感度が低いと判定された場合には、音取得部10の感度レベルを上げるための較正データが生成される。この場合には、機器制御部53は、生成された較正データに基づいて、感度レベルを上げるように、音取得部10を較正する。また、例えば、音取得部10の音響特性として感度が高いと判定された場合には、音取得部10の感度レベルを下げるための較正データが生成される。この場合には、機器制御部53は、生成された較正データに基づいて、感度レベルを下げるように、音取得部10を較正する。
このように、車外に規定音を出力し、その規定音に基づいて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出し、その音響特性に基づいて、音出力部60及び音取得部10に関する較正処理を行う。これにより、その較正後には、意図した音を音出力部60から出力することが可能となる。言い換えると、音出力部60及び音取得部10が正しく機能しているか否かを確認し、この確認結果に基づいて、音出力部60及び音取得部10に関する音響特性を調整することができる。
なお、図7に示す較正処理は、所定タイミングで実行する例を示した。ただし、所定タイミングとなった場合でも、所定条件を満たす場合には、図7に示す較正処理を実行しないようにしてもよい。所定条件を満たす場合は、例えば、車両1の外部環境に一定の変化が生じない場合である。車両1の外部環境に一定の変化が生じない場合は、例えば、車両1の位置がほとんど変化していない場合(例えば、同一のショッピングモールの駐車位置を変更した場合)、車両1の位置は変化したが、車両1の周囲の環境が変化していない場合(例えば、異なるショッピングモールの駐車場に移動した場合)である。
[機器制御処理の動作例]
図8は、音処理機器の制御装置100における機器制御処理の一例を示すフローチャートである。また、この機器制御処理は、記憶部70に記憶されているプログラムに基づいて制御部50により実行される。また、この機器制御処理は、所定タイミングで実行される。この所定タイミングは、図7で示した所定タイミングと同様とすることができる。
なお、図8に示す機器制御処理は、所定タイミングで図7に示す較正処理と並列で実行するようにしてもよく、図7に示す較正処理の終了後に実行してもよい。また、所定タイミングで図8に示す機器制御処理のみを実行してもよい。この場合には、ステップS211において、エージェント機器80を起動させた直後に、図7に示す各処理(ステップS201乃至S205)を実行し、これらの各処理により音取得部10及び音出力部60に関する較正処理を実行した後に、ステップS212を実行してもよい。この場合の規定音は、例えば、周波数を440Hzとし、音圧を70dBとする単音とすることができる。なお、図8では、図1乃至図6に示す例を適宜参照して説明する。
ステップS211において、機器制御部53は、エージェント機器80を起動させる。
ステップS212において、機器制御部53は、車両1の外部環境に関する情報を取得する。車両1の外部環境に関する情報として、例えば、時間帯(例えば朝、昼、夜)、車両1が存在する場所、車両1の周囲の人の有無、車両1の周囲の人と車両1との距離、車両1の周囲の天候や気温、車両1の周囲の音等を取得する。
時間帯については、制御部50に内蔵される計時機能により取得可能である。また、車両1が存在する場所については、位置情報取得部30により取得された位置情報と、記憶部70に記憶されている地図情報とに基づいて取得可能である。なお、地図情報については、通信部40を介して外部機器から取得して用いてもよい。また、車両1が存在する場所については、他の機器、例えば、カーナビゲーションを用いて取得可能な情報に基づいて取得してもよい。
車両1の周辺の人の有無、車両1の周囲の人と車両1との距離については、画像取得部20により取得された画像に基づいて検出可能である。この場合に、画像に含まれる人の検出方法については、公知の人検出技術を用いることができる。また、人と車両1との距離の測定方法についても、公知の測定技術を用いることができる。なお、他のセンサ、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)、Sonar(Sound Navigation And Ranging)、Radar(Radio Detection and Ranging)等を用いて、車両1の周辺の人の有無、車両1の周囲の人と車両1との距離を検出してもよい。
車両1の周囲の気温については、車両1に搭載されている気温センサにより取得可能である。また、車両1の周囲の天候については、通信部40を介して外部機器(例えば、気象データ提供サーバ)から取得可能である。
車両1の周囲の音については、音取得部10により取得された音を用いることができる。例えば、音分析部51は、音取得部10により取得された車両1の外部の音について周波数解析を行い、この周波数解析により求められた値を用いることができる。
ステップS213において、機器制御部53は、車両1の外部環境に基づいて、音出力部60またはエージェント機器80から出力する出力音を決定する。この場合に、機器制御部53は、音取得部10により取得された車両1の外部の音に近接する周波数の音を避けるように音の周波数を決定する。より具体的には、音取得部10により取得された車両1の外部の音の周波数帯とは異なる周波数帯の音を出力音の候補とする。このようにすることで、例えば、車両1の近くに救急車や消防車がいる場合や、車両1の近くで人が会話している場合でも、それらの音にマスキングされない音を出力することが可能となる。また、機器制御部53は、車両1の外部の音の周波数帯とは異なる周波数帯の音のうちから、図4乃至図6で示したように、車両1の周囲の環境に応じた音を決定する。
ここで、例えば、救急車のサイレンの周波数帯は、770乃至960Hzであり、消防車のサイレンの周波数帯は、300乃至850Hzであり、人の声の周波数帯は、0.2乃至4kHzである。
そこで、例えば、車両1の外部環境に関する情報に基づいて、救急車のサイレンが聞こえる環境に車両1が存在することが検出された場合には、救急車のサイレンの周波数帯(770乃至960Hz)に近接する周波数の音を避けて出力音を決定する。より具体的には、検出された周波数帯(770乃至960Hz)とは異なる周波数帯の音を出力音の候補とする。
また、例えば、車両1の外部環境に関する情報に基づいて、消防車のサイレンが聞こえる環境に車両1が存在することが検出された場合には、消防車のサイレンの周波数帯(300乃至850Hz)に近接する周波数の音を避けて出力音を決定する。より具体的には、検出された周波数帯(300乃至850Hz)とは異なる周波数帯の音を出力音の候補とする。
また、例えば、車両1の外部環境に関する情報に基づいて、人の声が聞こえる環境に車両1が存在することが検出された場合には、人の声の周波数帯(0.2乃至4kHz)に近接する周波数の音を避けて出力音を決定する。より具体的には、検出された周波数帯(0.2乃至4kHz)とは異なる周波数帯の音を出力音の候補とする。なお、救急車、消防車、人が車両1の周囲に存在するか否かについては、音取得部10により取得された音や、画像取得部20により取得された画像に基づいて検出可能である。
例えば、図5に示すように、車両1が存在する場所が静かな住宅街であり、かつ、時間帯が夜であることが検出された場合を想定する。この場合には、車両1が静かな環境に存在するため、目立ちにくく住人の迷惑にならないような音を音出力部60から出力することが好ましい。例えば、音圧を30db乃至40dbとし、周波数を鳥の鳴き声に相当する値(例えば、フクロウは440Hz程度)とする音を決定する。このように決定して出力することで、音出力部60から出力された音92によりドライバD1のみに車両1の場所を把握させ、車両1の周囲に存在する人(車両1の周囲に存在する家の住民を含む)には気付かれないようにすることが可能である。
また、例えば、図6に示すように、車両1が存在する場所がショッピングモールの駐車場であり、かつ、時間帯が昼間であることが検出された場合を想定する。なお、ショッピングモールの駐車場は、人が密集する環境の一例である。この場合には、車両1が騒がしい環境に存在するため、車両1の周囲に存在する人に、音出力部60から出力される音93を気付かせることが好ましいことがある。例えば、夜の駐車場では、駐車場から出ようとする車両については、その車両のライトによりその車両の存在が周囲に存在する人に気づかれ易い。これに対し、昼間の駐車場では、駐車場から出ようとする車両に気づき難いことが多い。そこで、昼間の駐車場では、駐車場から出ようとする車両に気付かずに事故が起きることを防止することが重要である。
例えば、目立ち易く、かつ、車両1の周囲に存在する人にも良く聞こえ、その周囲の人に気付かれる音93を音出力部60から出力することが好ましい。例えば、規定音(周波数:440Hz、音圧:70dB)を基準として、周波数及び音圧のうちの少なくとも1つを大きな値とした音を決定する。この場合に、周波数については、車両1の周囲の環境音に近い周波数を避けた値、すなわち、車両1の周囲の環境音の周波数帯とは異なる周波数帯の値とすることが好ましい。また、音圧については、車両1の周囲の人までの距離に応じて、音圧を変更することが好ましい。例えば、車両1からの距離が一番近い人U3が適切な音で聞こえるように音圧を設定することで、人U3が車両1からの音に驚いてしまうということを防止することができる。このように決定して出力することで、音出力部60から出力された音92により、ドライバD及び車両1の周囲の人に車両1の存在を気付かせるようにすることが可能である。このように、人が密集する駐車場等において、車両1が動き出すことを車両1の周囲の人に伝えることができる。
また、例えば、図4に示すように、周囲に建物等が存在しない広い場所において車両1の近くを親子U1、U2が歩いている環境であり、かつ、時間帯が昼間であることが検出された場合を想定する。この場合には、静かな環境に車両1が存在するため、車両1の周囲に存在する親子U1、U2に、音出力部60から出力される音91が心地良く聞こえることが好ましいことがある。例えば、ドライバD1、親子U1、U2に聞こえる程度の軽い、親しみの持てる音91を音出力部60から出力することが好ましい。なお、親子U1、U2の声が検出された場合には、その声に近い周波数を避けた音、すなわち、親子U1、U2の声の周波数帯とは異なる周波数帯の出力音とすることが好ましい。
また、車両1の周囲の環境に応じて、出力音の曲の雰囲気のみを変え、聞いている人には同じ曲に聞こえるような音を決定してもよい。例えば、上述したように、移調で音の高さを変更することより、曲の雰囲気のみを変更することが可能である。これにより、上述したように、車両1の周囲に存在する人(ドライバD1を含む)が車両1から発せられた音を聞いたときに、車両1から発せられた音だと認識することができ、他の音との混乱を防ぐことができる。
ステップS214において、機器制御部53は、車両1の外部環境に基づいて決定された出力音を音出力部60から出力させる。この場合に、機器制御部53は、図4乃至図6に示すように、エージェント機器80の顔が車外に向くように、エージェント機器80の態様を変化させ、エージェント機器80が声を発しているように車外の人達に見せることが好ましい。なお、その出力音は、2回目の規定音として出力してもよく、エージェント機器80の存在を周囲の人に通知するための音として出力してもよい。また、このように決定された出力音については、必要に応じて、車両1の車室内においてエージェント機器80から出力させる出力音として用いてもよい。ただし、車両1の車室内においてエージェント機器80から出力させる音については、音出力部60から出力させる音よりも音量を下げて出力することが好ましい。
なお、図8に示す機器制御処理は、所定タイミングで実行する以外に、車両1の外部環境に基づいて、図8に示す機器制御処理のうちの一部を実行してもよい。例えば、車両1の外部環境に一定の変化が生じた場合に、ステップS212、S213の各処理を実行し、音出力部60またはエージェント機器80から出力させる出力音を決定してもよい。なお、車両1の外部環境に一定の変化が生じた場合は、例えば、車両1の位置が閾値以上移動した場合、車両1の起動時間が閾値以上となった場合、車両1の周囲に特定物体(例えば、救急車、消防車)が検出された場合、車両1の周囲の天候が急激に変化した場合(例えば集中豪雨、大雪)等である。
ここで、上述したように、ステップS212の処理の前に、図7に示す各処理(ステップS201乃至S205)を実行し、これらの各処理により音取得部10及び音出力部60に関する較正処理を実行した後に、ステップS212を実行する場合を想定する。この場合には、ステップS214において、機器制御部53は、車両1の外部環境に基づいて決定された出力音を、2回目の規定音として音出力部60から出力させる。そして、2回目の規定音について、図7に示す各処理(ステップS202乃至S205)を実行し、これらの各処理により音取得部10及び音出力部60に関する較正処理を実行してもよい。このように、車両1の外部環境を考慮せずに較正処理(ステップS201乃至S205)を実行した後に、車両1の外部環境を考慮した較正処理(ステップS211乃至S214、S202乃至S205)を実行することにより、較正処理の精度を高めることができる。
なお、車両1の外部環境を考慮して規定音を決定する例については、図9を参照して詳細に説明する。
このように、エージェント機器80の起動時に、車両1の外部環境に応じた所定音を車両1から出力することができる。また、エージェント機器80の起動時に車両1から所定音を出すことにより、これから車両1が動き出すことを車両1の周囲に通知することができる。また、この所定音は、車両1の外部環境の音とは異なる周波数の音とすることができるため、車両1の周囲の人に聞き易い音とすることができる。また、例えば、音出力部60から車外に出力される規定音の周波数を周波数Aとし、エージェント機器80の制御に用いる車外の音の周波数を周波数Bとする場合を想定する。この場合に、周波数Aを、周波数Bに対応する周波数としてもよい。
[較正処理の変形例]
図9は、音処理機器の制御装置100における較正処理の一例を示すフローチャートである。また、この較正処理は、図7に示す較正処理の変形例であるため、図7と異なる点を中心にして説明する。
なお、図9に示すステップS221乃至S223の各処理は、図8に示すステップS211乃至S213の各処理に対応する。また、図9に示すステップS224乃至S228の各処理は、図7に示すステップS201乃至S205の各処理に対応する。このため、図9に示す各処理(ステップS221乃至S228)のうち、図7、図8と共通する部分についての説明を省略する。
ステップS223において、機器制御部53は、車両1の外部環境に基づいて、音出力部60から出力する規定音を決定する。この場合に、機器制御部53は、音取得部10により取得された車両1の外部の音に近接する周波数の音を避けるように規定音の周波数を決定する。このようにすることで、例えば、車両1の近くに救急車や消防車がいる場合や、車両1の近くで人が会話している場合でも、それらの音にマスキングされない規定音を出力することが可能となる。
なお、ステップS227において、機器制御部53は、車両1の外部環境に基づいて、音取得部10の異常信号を検出してもよい。例えば、車両1の外部環境に基づいて、車両1の周囲から取得可能な音を推定することが可能である。例えば、夜中において、住宅街に駐車している車両1の音取得部10により異常な音量の音が取得された場合には、音取得部10により異常信号が検出されたと判定することも可能である。また、例えば、昼間おいて、大規模のショッピングモールの駐車場に駐車している車両1の音取得部10により周囲の音がほとんど取得できない場合には、音取得部10により異常信号が検出されたと判定することも可能である。このように、機器制御部53は、音分析部51による分析結果とともに、車両1の外部環境に基づいて、音取得部10の異常信号を検出することができる。そして、音取得部10の異常信号が検出された場合には、機器制御部53は、音取得部10の機能が正常になるように、較正データを生成する。
このように、車両1の外部環境に基づいて規定音を決定し、その規定音をエージェント機器80の起動音として出力することができる。この起動音は、例えば、ゲーム機器の起動音や、パーソナルコンピュータの起動音のように、起動時に同じような曲が流れる音(例えば未来感のある音)とすることができる。これにより、ドライバD1やその家族にとっては、車両1やエージェント機器80に対する愛着を醸成することが可能となる。また、エージェント機器80が起動する毎(車両1が起動する毎)に、同じような曲が流れることにより、未来感のある車両1を所有していることを周囲にアピールできるため、愛着に繋がる自己表現のニーズを満たすことが可能となる。また、例えば、エージェント機器80が搭載された車両を所有していない第三者が、未来感のある音を出力するエージェント機器80が搭載された車両1を見て魅力的に感じることも想定される。これにより、その第三者に対してエージェント機器80の購買意欲を促進させることができる。また、エージェント機器80を購入し、エージェント機器80を車両に新たに搭載した第三者の安全性を高めることができる。
また、車両1の外部環境に基づいて規定音を決定することができるため、車両1の周囲の状況に合わせて最適な規定音を出力することができる。これにより、車両1の周囲の人達に不快感を与えることや迷惑をかけることを防止することができる。
ここで、例えば、聴覚は、人間の記憶に対する影響力が大きいことが知られている。例えば、エージェント機器80を搭載する車両1から音が出力され、その音を車両1の周囲の人達が聞くことにより、エージェント機器80がその人達の記憶に残り易くなると考えられる。この場合には、エージェント機器80に対する車両1の周囲の人達の記憶率が向上する。これにより、エージェント機器80の存在を広く知らせることができ、エージェント機器80の購買率を向上させることができる。また、エージェント機器80が各車両に搭載されることにより、ドライバに対する運転支援をエージェント機器80が行うことができるため、各車両の安全性を高めることができる。
このように、本実施形態によれば、車両1の車内の人だけでなく、車外の人に対しても適度な音量で適切な規定音や他の音を提供することができる。また、音響特性検出部52により検出された音出力部60及び音取得部10の音響特性に基づいて、音出力部60及び音取得部10に関する較正処理を実行することができる。このため、調整不足により、音取得部10により外部の音を取得できないことや、音出力部60から異常に大きな音が出力されること等の不具合を防止することができる。
また、車両1の周囲の状況(雰囲気)と合わせた規定音、すなわち、外部環境に調和するような規定音を出力することで、車外にいる人達の感情等を刺激することができる。
[本実施形態の構成及び効果]
本実施形態に係る音処理機器の制御方法は、車外に音を出力する音出力部60と、車両1の周囲の音を取得する音取得部10とを備える車両1の音処理機器の制御方法である。この音処理機器の制御方法は、予め設定された種類の特徴量(例えば、周波数、音圧)の大きさを第1値(例えば、周波数:440Hz、音圧:70dB)とする規定音を音出力部60から出力させた際に、音取得部10により取得された音を分析し、その音に含まれる規定音の特徴量の値を第2値として取得する音分析ステップ(ステップS203)と、第1値及び第2値に基づいて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出する音響特性検出ステップ(ステップS204)と、その音響特性に基づいて、音出力部60及び音取得部10に関する較正処理を実行する較正ステップ(ステップS205)とを備える。
この構成によれば、車両1に搭載されている音出力部60及び音取得部10を用いて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出し、その音響特性に基づいてそれらを較正するため、それらの音響特性を適切に設定することができる。すなわち、音処理機器を較正するための別途の構成を新たに車両1に設置する必要がなく、車両1の音出力部60及び音取得部10(音処理機器の一例)の音響特性を適切に設定することができる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、音響特性検出ステップ(ステップS204)は、音響特性に基づいて、音出力部60の出力レベル(例えば、周波数、音圧)及び音取得部10の感度レベルのうちの少なくとも1つを較正するための較正データを生成し、較正ステップ(ステップS205)は、その較正データに基づいて、音出力部60及び音取得部10のうちの少なくとも1つを較正する。
この構成によれば、例えば、音出力部60の出力レベル及び音取得部10の感度レベルに関する較正データを生成することにより、その較正データを用いて、車両1の音出力部60及び音取得部10(音処理機器の一例)の音響特性を適切に設定することができる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、音出力部60は、車両1に設置されるエージェント機器80(車両1のドライバD1に対する運転支援に関する情報を提供する機器)の起動、または、車両1の起動を契機として、規定音を出力する。
この構成によれば、不規則なタイミングで規定音が出力されることを避けることができるため、ドライバD1に不安感を与えることが抑制される。また、所定のタイミングで規定音が出力されるため、ドライバD1から車両1やエージェント機器80に対する愛着を醸成することが可能となる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、車両1の外部環境に関する情報を取得する外部環境取得ステップ(ステップS212、S222)と、その外部環境に関する情報に基づいて、車両1に設置されるエージェント機器80(車両1のドライバD1に対する運転支援に関する情報を提供する機器)を制御する機器制御ステップ(ステップS213、S214)とをさらに備える。
この構成によれば、車両1の外部環境(例えば、環境音、会話音)に基づいて、車両1に設置されるエージェント機器80を制御することができる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、機器制御ステップ(ステップS213、S214)は、車両1の外部環境に関する情報に基づいて、エージェント機器80から出力させる音を決定し、この音をエージェント機器80から出力させる。
この構成によれば、車両1の外部環境に応じた適切な音をエージェント機器80から出力させることができる。これにより、ドライバD1や車両1の周囲に存在する人に快適な音を提供することができる。また、車両1の外部環境に応じた適切な音を音出力部60から出力させてもよい。これにより、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出するために用いる音処理機器(音出力部60及び音取得部10)と、エージェント機器80の制御に用いる音処理機器(音出力部60及び音取得部10)とを共用することが可能となる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、車両1の外部環境に関する情報を取得する外部環境取得ステップ(ステップS222)と、その外部環境に関する情報に基づいて規定音を決定する決定ステップ(ステップS223)とをさらに備え、音出力部60は、決定ステップ(ステップS223)で決定された規定音を出力する(ステップS224)。
この構成によれば、車両1の外部環境に応じた適切な規定音を音出力部60から出力させることができる。例えば、車両1の周囲の環境音に近い周波数の音を避けるように規定音を決定し、その規定音を音出力部60から出力させることができる。これにより、車両1の外部環境に鑑みて、ドライバD1や車両1の周囲に存在する人に聞こえ易い好適な周波数の規定音を出力することができる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、外部環境取得ステップ(ステップS222)は、車両1の外部環境に関する情報として、音取得部10により取得された車外の音を取得し、決定ステップ(ステップS223)は、音取得部10により取得された車外の音に基づいて規定音を決定する。
この構成によれば、車両1の外部の音に基づいて、音出力部60から出力される規定音(例えば、規定音の周波数)を決めることが可能であるため、車両1の外部の音を鑑みて、好適な規定音を出力することが可能となる。また、車両1の外部環境に応じた音を、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出するための規定音として出力するため、より精度良く音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出することが可能となる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、規定音を第1周波数の音とし、音分析ステップ(ステップS203、S226)は、音取得部10により取得された音を分析し、その音に含まれる規定音の周波数を第2周波数として取得し、音響特性検出ステップ(ステップS204、S227)は、第1周波数と第2周波数とに基づいて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出する。
この構成によれば、周波数を用いて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出し、その音響特性に基づいてそれらを較正するため、それらの音響特性を適切に設定することができる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、第1周波数を単一の周波数とする。
この構成によれば、分析がし易い単一の周波数の単音を規定音とするため、より精度良く音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出することが可能となる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、第1周波数を複数の周波数を含むようにする。
この構成によれば、精度良く音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出しつつ、ドライバD1や車両1の周囲の人にとって快適な和音を規定音として出力することが可能となる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、第1周波数を、予め設定された周波数帯に亘る周波数を含むようにする。
この構成によれば、ドライバD1や車両1の周囲の人が好むような音や曲(例えばメロディみたいな曲)を規定音とすることができるため、ドライバD1や車両1の周囲の人にとってより快適な規定音を出力することが可能となる。
また、本実施形態に係る音処理機器の制御方法では、規定音を第1音量の音とし、音分析ステップ(ステップS203、S226)は、音取得部10により取得された音を分析し、その音に含まれる規定音の音量を第2音量として取得し、音響特性検出ステップ(ステップS204、S227)は、第1音量と第2音量とに基づいて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出する。
この構成によれば、音量(所定値の音圧となる音)を用いて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出し、その音響特性に基づいてそれらを較正するため、それらの音響特性を適切に設定することができる。
また、音処理機器の制御装置100は、車外に音を出力する音出力部60と、車両1の周囲の音を取得する音取得部10とを備える車両1の音処理機器の制御装置である。音処理機器の制御装置100は、予め設定された種類の特徴量の大きさを第1値とする規定音を音出力部60から出力させた際に、音取得部10により取得された音を分析し、その音に含まれる規定音の特徴量の値を第2値として取得する音分析部51と、第1値及び第2値に基づいて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出する音響特性検出部52と、その音響特性に基づいて、音出力部60及び音取得部10に関する較正処理を実行する機器制御部53とを備える。
この構成によれば、車両に搭載されている音出力部60及び音取得部10を用いて、音出力部60及び音取得部10の音響特性を検出し、その音響特性に基づいてそれらを較正するため、それらの音響特性を適切に設定することができる。すなわち、音処理機器を較正するための別途の構成を新たに車両1に設置する必要がなく、車両1の音出力部60及び音取得部10(音処理機器の一例)の音響特性を適切に設定することができる。
なお、本実施形態で示した各処理は、各処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに基づいて実行されるものである。このため、本実施形態は、それらの各処理を実行する機能を実現するプログラム、そのプログラムを記憶する記録媒体の実施形態としても把握することができる。例えば、音処理機器の制御装置に新機能を追加するためのアップデート処理により、そのプログラムを音処理機器の制御装置の記憶装置に記憶させることができる。これにより、そのアップデートされた音処理機器の制御装置に本実施形態で示した各処理を実施させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。