JP2023046894A - セメント硬化体およびプレキャストコンクリート版 - Google Patents

セメント硬化体およびプレキャストコンクリート版 Download PDF

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Manami Mizoguchi
竜 岸良
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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れるだけでなく、セメント組成物が施工に適した流動性を有する。【解決手段】セメント、シリカフューム、無機粉末、細骨材、硬質砂、高性能減水剤、消泡剤、および水を少なくとも含むセメント組成物の硬化体であって、圧縮強度が300N/mm2以上であり、前記細骨材の最大粒径が1.2mm以下であり、前記硬質砂の硬度が前記細骨材の硬度よりも高く、前記硬質砂の粒径は、10%重量累積粒径が1.2mm以上、90%重量累積粒径が5.0mm以下であり、前記細骨材と前記硬質砂の全量に対する前記硬質砂の含有割合が30%以上70%以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、セメント硬化体およびプレキャストコンクリート版に関する。
車道の舗装や、ゴムタイヤを備えた電車が走行する鉄道軌道などでは、タイヤの走行に伴う摩耗が問題となる。これらの舗装や軌道にコンクリートを用いた場合、特に、コンクリートが高強度であるほど摩耗に対する抵抗性が高くなり、長期にわたる供用が期待できる。このような観点から、特許文献1では、高い曲げ強度と耐摩耗性を有するコンクリート舗装が提案されている。
特開2016-179927号公報
ところで、舗装に用いられるセメント硬化体は、舗装用セメント硬化体として要求される条件を満たすだけでなく、セメント組成物の性質が施工に適していることが好ましい。特に、流動性は施工性および充填性に影響するため、セメント組成物の流動性が施工に適していることが好ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性に優れるだけでなく、セメント組成物の流動性が施工に適しているセメント硬化体およびプレキャストコンクリート版を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下の手段を講じた。すなわち、本発明のセメント硬化体は、セメント、シリカフューム、無機粉末、細骨材、硬質砂、高性能減水剤、消泡剤、および水を少なくとも含むセメント組成物の硬化体であって、圧縮強度が300N/mm以上であり、前記細骨材の最大粒径が1.2mm以下であり、前記硬質砂の硬度が前記細骨材の硬度よりも高く、前記硬質砂の粒径は、10%重量累積粒径が1.2mm以上、90%重量累積粒径が5.0mm以下であり、前記細骨材と前記硬質砂の全量に対する前記硬質砂の含有割合が30%以上70%以下であることを特徴としている。
これにより、耐摩耗性に優れるだけでなく、セメント組成物の流動性が施工に適している。
(2)本発明のセメント硬化体において、最大粒径が2.5mmより大きく、20mm以下である粗骨材をさらに含むことを特徴としている。これにより、寸法安定性が向上する。
(3)本発明のセメント硬化体において、前記硬質砂は、新モース硬度8以上であることを特徴としている。これにより、耐摩耗性が向上する。
(4)本発明のセメント硬化体において、前記硬質砂が、石英、アルミナ、およびシリコンカーバイドから選ばれる1種類以上であることを特徴としている。これにより、セメント硬化体の作製時には十分なセメント組成物の流動性が得られる。また、舗装用セメント硬化体として要求される耐摩耗性を容易に達成できる。
(5)本発明のセメント硬化体において、前記セメントは、中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメントを研磨処理した粒子を含み、前記研磨処理した粒子は、前記研磨処理した粒子の50%体積累積粒径が10~18μmであり、ブレーン比表面積が2100~2900cm/gであることを特徴としている。
これにより、セメント組成物の流動性を向上させるだけでなく、セメント硬化体の強度および耐摩耗性についても向上させることができる。
(6)本発明のセメント硬化体において、金属繊維、有機繊維、および炭素繊維から選ばれる1種以上の繊維を含み、前記繊維の含有率が4体積%以下であることを特徴としている。これにより、セメント組成物の流動性や作業性を維持しつつ、セメント硬化体の強度や破壊エネルギーを向上させることができる。
(7)本発明のプレキャストコンクリート版は、上記(1)~(6)のいずれかに記載のセメント硬化体を備えることを特徴としている。このようなプレキャストコンクリート版の製造に際し、これを構成するセメント組成物は流動性に優れるため、当該プレキャストコンクリート版の作製に適する。また、当該プレキャストコンクリート版は耐摩耗性に優れる。
このように、本発明によれば、耐摩耗性に優れるだけでなく、セメント組成物の流動性が施工に適する。そのため、セメントを施工する際に十分な施工性や充填性を有している。
ローターの回転軸に対して垂直な方向に切断した断面を部分的に含む、研磨処理装置の一例を示す正面図である。 各実施例および各比較例におけるセメント組成物の配合を表す表である。
本発明者らは、鋭意研究の結果、細骨材よりも硬度が高い硬質砂の粒径と含有割合を制御することで、耐摩耗性に優れるだけでなく、セメント組成物の流動性が施工に適しているセメント硬化体を発明した。以下に、本発明の実施形態について説明する。
[セメント硬化体の構成]
本発明のセメント硬化体は、セメント、シリカフューム、無機粉末、細骨材、硬質砂、高性能減水剤、消泡剤、および水を少なくとも含むセメント組成物の硬化体である。
(セメント)
本発明で用いるセメントは、特に限定されず、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、および低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。これらの中でも、セメント組成物の流動性が高いことから、好ましくは中庸熱ポルトランドセメント、または低熱ポルトランドセメントである。
また、本発明で用いるセメントは、中庸熱ポルトランドセメント、または低熱ポルトランドセメントを研磨処理した粒子を含み、セメントの50%体積累積粒径が10~18μm、およびセメントのブレーン比表面積が2100~2900cm/gであることが好ましい。研磨処理した粒子は、セメントの粒子の角張った表面部分が丸みを帯びた形状となり、粒径20μm以上の粗粒子、および、研磨処理によって生じた粒径20μm未満の微粒子を含むことがより好ましい。これにより、セメント組成物の流動性が高くなり、セメント硬化体の圧縮強度が高くなる。
粗粒子の粒径の上限は、特に限定されないが、研磨処理されたセメントの一般的な粒径を考慮すると、好ましくは200μm以下であり、セメント硬化体の圧縮強度がより高くなることから、より好ましくは100μm以下である。
また、微粒子の粒径の下限は、特に限定されないが、セメント組成物の流動性が高くなり、セメント硬化体を製造する際の作業性が高くなるため、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。
研磨処理したセメントの50%体積累積粒径は、好ましくは10~18μm、より好ましくは12~16μmであり、そのブレーン比表面積は、好ましくは2100~2900cm/g、より好ましくは2200~2700cm/gである。
50%体積累積粒径が10μm以上であるからセメント組成物の流動性は高くなり、18μm以下であるからセメント硬化体の圧縮強度がより高くなる。また、ブレーン比表面積が2100cm/g以上であるから、セメント硬化体の圧縮強度はより高くなり、2900cm/g以下であるから、セメント組成物の流動性が向上する。
研磨処理は、中庸熱ポルトランドセメント、または低熱ポルトランドセメントを研磨できる公知の研磨処理装置を用いて行なうことができる。研磨処理装置は、例えば、高速気流撹拌装置を用いることができる。
以下、研磨処理装置として高速気流撹拌装置を用いた場合の研磨処理について図1を用いて詳細に説明する。
本発明で用いるセメントを、研磨処理装置10の上部の投入口14から、開閉弁18を開いた状態で投入し、開閉弁18を閉じる。投入されたセメントは、循環回路13の途中に設けた開口部から循環回路13内に入り、その後、循環回路13の出口13bから、被処理物を収容する空間である衝突室17内に入る。
セメントを投入した後、固定体であるステーター16の内部に配設されているローター(回転体)11を高速回転することにより、ローター11、およびローター11に固着されたブレード12によって高速気流が発生し、衝突室17内のセメントが撹拌される。この撹拌中、セメント粒子は、衝突室17内に設けた循環回路13の入口13aから、循環回路13内に入り、衝突室17の中央部分に設けた、循環回路13の出口13bから、再び衝突室17内に投入されて循環する。なお、図1中、点線で示す矢印は、セメント粒子、研磨処理によって生じた粗粒子、および微粒子の流れを示す。
撹拌によってセメント粒子が、衝突室17の内壁面、ローター11、およびブレード12と衝突するとともに、セメント粒子同士が衝突することによって、セメント粒子が研磨され、粒子表面の角張った部分が丸みを帯びた形状になった、粒径が20μm以上の粗粒子と、粒径が20μm未満の微粒子が生じる。
ローター11の回転速度は、好ましくは3000~4200rpm、より好ましくは3500~4000rpmである。ローター11の回転速度が3000rpm以上であるから、セメント組成物の流動性が向上し、4200rpmを超えると、セメント組成物の流動性の向上効果が飽和する。
研磨処理の時間は、好ましくは10~60分間、より好ましくは20~50分間、さらに好ましくは20~40分間、さらに好ましくは20~30分間である。研磨処理の時間が10分間以上であるからセメント組成物の流動性が向上し、60分間を超えると、セメント組成物の流動性の向上効果が飽和する。
最後に、得られた研磨処理物(粗粒子と微粒子の混合物)は、排出弁19を開いて排出口15から排出される。
(シリカフューム)
本発明で用いるシリカフュームのBET比表面積は、15~25m/g、好ましくは17~23m/g、より好ましくは18~22m/gである。BET比表面積が15m/g以上とすることで、セメント硬化体の圧縮強度を向上でき、25m/g以下とすることで、セメント組成物の流動性の低下を抑制することができる。
(無機粉末)
無機粉末は、石英粉末(珪石末)、火山灰、スラグ粉末、石灰石粉末、長石類粉末、ムライト類粉末、アルミナ粉末、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末、および、分級または粉砕したフライアッシュの1種以上が挙げられる。無機粉末は、50%体積累積粒径が0.8~5μmであることが好ましい。
これらの中でも、セメント組成物の流動性が向上し、セメント硬化体の圧縮強度が高くなるから、好ましくは石英粉末またはフライアッシュである。なお、本明細書において、50%体積累積粒径が0.8~5μmの無機粉末は、セメントを含まない。
本発明で用いる無機粉末の50%体積累積粒径は、0.8~5μm、好ましくは1~5μm、より好ましくは1.1~3.5μm、さらに好ましくは1.2μm以上、3μm未満である。粒径が0.8μmよりも大きい場合では、セメント組成物の流動性が向上し、粒径が5μmよりも小さい場合にはセメント硬化体の圧縮強度が向上する。
無機粉末の50%体積累積粒径は、製品名「マイクロトラックHRA モデル9320-X100」(日機装社製)等の市販の粒度分布測定装置を用いて求めることができる。
50%体積累積粒径は、例えば、試料を分散する溶媒であるエタノール20cmに、試料0.06gを添加し、90秒間、超音波分散装置(例えば、製品名「US300」、日本精機製作所製)を用いて超音波分散した後、粒度分布測定装置を用いて、分散液中の粒子の累積粒度曲線を作成して求める。
無機粉末の最大粒径は、セメント硬化体の圧縮強度がより高くなるから、好ましくは15μm以下、より好ましくは14μm以下、さらに好ましくは13μm以下である。また、無機粉末の95%体積累積粒径は、セメント硬化体の圧縮強度がより高くなるから、好ましくは8μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは6μm以下である。
本発明で用いる無機粉末は、好ましくは石英粉末等の、SiOを主成分とする無機粉末である。無機粉末中のSiOの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。無機粉末中のSiOの含有率が50質量%以上であれば、セメント硬化体の圧縮強度がより高くなる。
本発明で用いるセメント組成物中のセメントの含有率は、セメント、シリカフューム、および無機粉末の合計を100体積%として、55~65体積%、好ましくは57~63体積%である。セメント組成物中のセメントの含有率が55体積%以上の場合、セメント硬化体の圧縮強度が向上し、65体積%以下であると、セメント組成物の流動性が向上するする。
また、本発明で用いるセメント組成物中のシリカフュームの含有率は、セメント、シリカフューム、および無機粉末の合計を100体積%として、5~25体積%、好ましくは7~25体積%である。含有率が5体積%以上の場合では、セメント硬化体の圧縮強度が向上し、25体積%以下の場合、セメント組成物の流動性が向上する。
また、本発明で用いるセメント組成物中の無機粉末の含有率は、セメント、シリカフューム、および無機粉末の合計を100体積%として、15~35体積%、好ましくは17~33体積%である。含有率が15体積%以上では、セメント硬化体の圧縮強度が向上し、35体積%以下の場合、セメント組成物の流動性が向上する。
(細骨材)
本発明で用いる細骨材は、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、再生細骨材、および、スラグ細骨材またはフライアッシュ等を焼成してなる焼成細骨材等の人工細骨材から選ばれる1種以上が挙げられる。
細骨材の最大粒径は、1.2mm以下であり、好ましくは1.1mm以下、さらに好ましくは1.0mm以下である。最大粒径が1.2mm以下であるから、セメント硬化体の圧縮強度が高くなる。
細骨材の粒度分布は、セメント組成物の流動性が向上し、セメント硬化体の圧縮強度が高くなるから、0.6mm以下の粒径の骨材の含有率は、好ましくは95質量%以上で、0.3mm以下の粒径の骨材の含有率は、好ましくは40~50質量%、および、0.15mm以下の粒径の骨材の含有率は、6質量%以下である。
セメント組成物中の細骨材の含有率は、好ましくは20~40体積%、より好ましくは22~38体積%、さらに好ましくは30~37体積%、特に好ましくは32~36体積%である。セメント組成物中の細骨材の含有率が20体積%以上であるから、セメント組成物の発熱量が小さくなるとともに、セメント硬化体の収縮量が小さくなり、40体積%以下であるから、セメント硬化体の圧縮強度がより高くなる。
(高性能減水剤)
本発明で用いる高性能減水剤は、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、およびポリカルボン酸系等の高性能減水剤から選ばれる1種以上である。これらの中でも、セメント組成物の流動性が向上し、セメント硬化体の圧縮強度が高くなるから、好ましくはポリカルボン酸系の高性能減水剤である。
高性能減水剤の配合割合は、セメント、シリカフューム、および無機粉末の合計100質量部に対し、固形分換算で、好ましくは0.2~1.5質量部、より好ましくは0.4~1.2質量部である。高性能減水剤の配合割合が0.2質量部以上であるから、減水性能が向上してセメント組成物の流動性が向上し、1.5質量部以下であるから、セメント硬化体の圧縮強度がより高くなる。
(消泡剤)
本発明で用いる消泡剤は市販品が使用でき、消泡剤の配合割合は、セメント、シリカフューム、および無機粉末の合計100質量部に対し、好ましくは0.001~0.1質量部、より好ましくは0.01~0.07質量部、さらに好ましくは0.01~0.05質量部である。消泡剤の配合割合が0.001質量部以上であるから、セメント組成物の強度発現性が向上し、0.1質量部を超えると、セメント組成物の強度発現性の向上効果は飽和する。
(硬質砂)
本発明で用いる硬質砂は、細骨材よりも硬度が高く、10%重量累積粒径が1.2mm以上、90%重量累積粒径が5.0mm以下である。硬質砂の硬度は、新モース硬度8以上であることが好ましい。硬質砂は、石英、アルミナ、およびシリコンカーバイドから選ばれる1種類以上であることが好ましい。硬質砂は、10%重量累積粒径が1.2mm以上であるから、セメント組成物の流動性が施工に適しており、90%重量累積粒径が5.0mm以下であるから、舗装用セメント硬化体として要求される耐摩耗性を有する。
硬質砂の10%重量累積粒径が1.2mm以上であることは、硬質砂が1.2mmのふるい目を通過する硬質砂が10%未満であることから確認できる。また、硬質砂の90%重量累積粒径が5.0mm以下であることは、5.0mmのふるい目を通過する硬質砂が90%より多いことから確認できる。
また、硬質砂は、次のように粒径を調整する。まず、硬質砂を、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に従って、5.0mmのふるい目を1分間に通過する硬質砂が硬質砂全体の0.1%以下となるまで、ふるい分けを行なう。5.0mmと同様に、2.5mm、1.2mmにおいても1分間に通過する硬質砂が硬質砂全体0.1%以下となるまで、ふるい分けを行なう。そして、ふるい分けしたものを10%重量累積粒径が1.2mm以上、90%重量累積粒径が5.0mm以下になるように混合する。
本発明で用いる硬質砂の含有割合は、コンクリート中の細骨材と硬質砂の全量に対して、30%以上70%以下である。硬質砂の含有割合が30%以上であるから、舗装用セメント硬化体として要求される耐摩耗性を満たし、70%以下であるから、セメント組成物の流動性が施工に適している。
上記では、硬質砂は、10%重量累積粒径が1.2mm以上、90%重量累積粒径が5.0mm以下であり、細骨材と硬質砂の全量に対する硬質砂の含有割合が30%以上70%以下であるように構成されているが、ふるいを使って以下のような構成としてもよい。
細骨材の粒度分布が、10mmのふるい目を100%通過し、5.0mmのふるい目を90%~100%通過し、2.5mmのふるい目を80%~100%通過し、1.2mmのふるい目を50%~90%通過し、0.6mmのふるい目を25%~65%通過し、0.3mmのふるい目を10%~35%通過し、0.15mmのふるい目を2%~15%通過するものとしたとき、硬質砂は、1.2mm~5.0mmの部分に相当する細骨材と置き換わるように配合される。
(繊維)
本発明で用いるセメント組成物は、セメント硬化体の曲げ強度や破壊エネルギー等が向上するから、金属繊維、有機繊維、および炭素繊維から選ばれる1種以上の繊維を含んでもよい。セメント組成物中の繊維の含有率は、好ましくは4体積%以下、より好ましくは3体積%以下、さらに好ましくは0.3~2.5体積%、特に好ましくは0.5~2.3体積%である。セメント組成物中の繊維の含有率が4体積%以下であるから、セメント組成物の流動性や作業性が低下することなく、セメント硬化体の曲げ強度や破壊エネルギー等が向上する。
金属繊維は、鋼繊維、ステンレス繊維、およびアモルファス繊維等が挙げられる。これらの中でも、鋼繊維は強度に優れ、また、コストや入手のし易さから好適である。
金属繊維の寸法は、セメント組成物中での金属繊維の材料分離を防止し、また、セメント硬化体の曲げ強度が向上するから、好ましくは直径が0.01~1.0mmm、長さが2~30mm、より好ましくは直径が0.05~0.5mm、長さが5~25mmである。また、金属繊維のアスペクト比(繊維の長さ/繊維の直径)は、好ましくは20~200、より好ましくは40~150である。
さらに、金属繊維の形状は、好ましくは直線状よりも、物理的付着力を付与できる螺旋状や波形等である。螺旋状等の形状であれば、金属繊維とマトリックスが、引き抜けながら応力を担保するため、セメント硬化体の曲げ強度が向上する。
有機繊維は、後述する本発明のセメント硬化体の製造方法における加熱に耐えればよく、例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリート繊維、およびポリプロピレン繊維等が挙げられる。
炭素繊維は、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維が挙げられる。
有機繊維および炭素繊維の寸法は、セメント組成物中での繊維の材料分離の防止や、セメント硬化体の破壊エネルギーの向上のため、好ましくは直径が0.005~1.0m、長さが2~30mmであり、より好ましくは直径が0.01~0.5mm、長さが5~25mmである。また、有機繊維および炭素繊維のアスペクト比(繊維の長さ/繊維の直径)は、好ましくは20~200、より好ましくは30~150である。
(水)
水は水道水等が使用でき、水の配合割合は、セメント、シリカフューム、および無機粉末の合計100質量部に対し、好ましくは10~20質量部、より好ましくは11~18質量部、さらに好ましくは14~16質量部である。水の配合割合が10質量部以上であるから、セメント組成物の流動性が向上し、20質量部以下であるから、セメント硬化体の圧縮強度がより高くなる。
(粗骨材)
本発明のセメント組成物は、最大粒径が2.5mmを超え、20mm以下の粗骨材を含むことができる。
粗骨材は、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、再生細骨材、および、スラグ細骨材やフライアッシュ等を焼成してなる焼成細骨材等の人工細骨材などの細骨材、並びに、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、再生粗骨材、およびスラグ粗骨材やフライアッシュ等を焼成してなる焼成粗骨材等の人工粗骨材から選ばれる1種以上が挙げられる。
粗骨材の最大粒径は、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。粗骨材の最大粒径が20mm以下であるから、セメント組成物の強度発現性が向上し、例えば、300N/mm以上の圧縮強度を発現できる。
また、粗骨材の最大粒径は、好ましくは2.5mm超、より好ましくは5mm以上である。なお、本明細書において、粗骨材の「最大粒径」とは、粗骨材全体の90質量%以上が通るふるいのうち、最小寸法のふるいの呼び寸法で示される粗骨材の粒径をいう(これは、一般に、粗骨材の最大粒径の定義として公知である)。
粗骨材の最小粒径は、好ましくは細骨材の最大粒径を超える値であり、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上、特に好ましくは4mm以上、極めて好ましくは5mm以上である。なお、本明細書中、粗骨材の最小粒径とは、粗骨材の中の最小の粒径から最大の粒径に向かって累積した場合において、粗骨材全体の15質量%に達したときの粗骨材の粒径をいう。
本発明において、セメント硬化体中の細骨材と粗骨材の合計の含有率は、好ましくは25~40体積%、より好ましくは28~38体積%、さらに好ましくは30~36体積%である。セメント硬化体中の細骨材と粗骨材の合計の含有率が25体積%以上であるから、セメント硬化体の発熱量と収縮量が小さくなり、40体積%以下であるから、セメント硬化体の強度発現性が向上する。
また、細骨材と粗骨材の合計に対する粗骨材の含有率は、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは25体積%以下である。細骨材と粗骨材の合計に対する粗骨材の含有率が40体積%以下であるから、セメント硬化体の圧縮強度等の強度発現性が向上する。
粗骨材を含むセメント組成物が硬化してなるセメント硬化体の圧縮強度は、好ましくは300N/mm以上、より好ましくは320N/mm以上、さらに好ましくは340N/mm以上、特に好ましくは360N/mm以上である。
(セメント組成物(モルタル)とセメント硬化体の物性)
セメント組成物からなるモルタル(粗骨材を含まない。)の硬化前のフロー値は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」の「11.フロー試験」に記載する方法において、15回の落下運動を省略して測定した値(以下「0打ちフロー値」という。)は、好ましくは230mm以上、より好ましくは250mm以上である。フロー値が230mm以上で、セメント硬化体を製造する際の作業性が向上する。コンクリートのスランプフロー試験はJIS A 1150:2007に準拠して試験を行った。なお、セメント組成物に粗骨材を含む場合には、0打ちフロー値は、好ましくは450mm以上、より好ましくは500mm以上である。
また、セメント硬化体の圧縮強度は、好ましくは300N/mm以上、より好ましくは350N/mm以上、さらに好ましくは400N/mm以上である。なお、セメント組成物に粗骨材を含む場合には、セメント硬化体の圧縮強度は、好ましくは300N/mm以上、より好ましくは320N/mm以上、さらに好ましくは360N/mm以上である。
[プレキャストコンクリート版の構成]
本発明のプレキャストコンクリート版は、上述したセメント硬化体を少なくとも含む。また、プレキャストコンクリート版は、セメント硬化体のほかに、プレキャストコンクリート版同士を接合する接合構造を含んでもよい。
[セメント硬化体の製造方法]
セメント硬化体の製造方法は、(A)成形工程、(B)常温養生工程、(C)加熱養生工程、および(D)高温加熱工程を経て、本発明のセメント硬化体を製造する方法である。
以下、セメント硬化体の製造方法について、(A)~(E)工程に分けて説明する。なお、(A)~(D)工程は本発明において必須の工程であり、(E)工程は任意の工程である。
(A)成形工程
成形工程は、セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る工程である。打設前のセメント組成物を混練する方法や、混練に用いる装置は特に限定されず、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、および傾胴ミキサ等を使用できる。さらに、打設や成形の方法も特に限定されない。なお、成形工程において、未硬化のセメント組成物中の気泡を低減または除去して硬化した、コンクリート構造物の強度発現性はより向上する。
セメント組成物中の気泡を低減または除去する方法は、下記(i)~(iii)の方法がある。
(i)セメント組成物の混練を減圧下で行う方法
(ii)混練後のセメント組成物を、型枠内に打設する前に減圧して脱泡する方法
(iii)セメント組成物を型枠内に打設した後、減圧して脱泡させる方法
(B)常温養生工程
常温養生工程は、未硬化の成形体を10~40℃、好ましくは15~30℃で、24時間以上、より好ましくは24~72時間、さらに好ましくは24~48時間、封緘養生または気中養生した後に脱型し、硬化した成形体を得る工程である。
養生温度が10℃以上であれば、養生時間をより短くできる。養生温度が40℃以下であるから、セメント硬化体の圧縮強度はより高くなる。また、養生時間が24時間以上であるから、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等の欠陥が生じ難くなる。
また、常温養生工程では、硬化した成形体の圧縮強度が、好ましくは20~100N/mm、より好ましくは30~80N/mmのときに、硬化した成形体を脱型する。圧縮強度が20~100N/mm以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等の欠陥が生じ難くなる。圧縮強度が100N/mm以下であるから、後述する吸水工程において、少ない労力で硬化した成形体に吸水できる。
(C)加熱養生工程
加熱養生工程は、前工程で得られた硬化した成形体に、好ましくは70℃以上100℃未満、より好ましくは75~95℃、より好ましくは80~92℃で、6時間以上の蒸気養生または温水養生と、好ましくは100~200℃、より好ましくは160~190℃で、1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る工程である。
加熱養生工程において、蒸気養生または温水養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは24時間以上、より好ましくは24~96時間、さらに好ましくは36~72時間である。また、オートクレーブ養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは8~60時間、より好ましくは12~48時間である。蒸気養生または温水養生とオートクレーブ養生の両方を行う場合(例えば、蒸気養生または温水養生を行った後に、さらにオートクレーブ養生を行う場合)、蒸気養生または温水養生における養生時間は、好ましくは6~72時間、より好ましくは12~48時間であり、オートクレーブ養生における養生時間は、好ましくは1~24時間、より好ましくは4~18時間である。
加熱養生工程において、養生温度および養生時間が前記範囲内であれば、養生時間を短縮できるとともに、セメント硬化体の圧縮強度が向上する。
(D)高温加熱工程
高温加熱工程は、加熱養生後の硬化体を、好ましくは150~200℃、より好ましくは170~190℃で、24時間以上、好ましくは24~72時間、より好ましくは36~48時間、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、セメント硬化体を得る工程である。
高温加熱工程における加熱は、通常、乾燥雰囲気下、言い換えれば、水や水蒸気を人為的に供給しない状態で行われる。加熱温度が150℃以上で加熱時間をより短縮でき、200℃以下でセメント硬化体の圧縮強度がより向上する。また、加熱時間が24時間以上であるから、セメント硬化体の圧縮強度がより向上する。
(E)吸水工程
吸水工程は、常温養生工程と加熱養生工程の間に、常温養生工程で得た硬化した成形体に吸水させる任意の工程である。
そして、硬化した成形体に吸水させる方法は、下記(i)~(v)の方法がある。
(i)成形体を減圧下で水中に浸漬する方法
(ii)成形体を沸騰している水中に浸漬したまま、水温を40℃以下に低下する方法
(iii)成形体を沸騰水中に浸漬した後、成形体を沸騰水から取り出して、40℃以下の水に浸漬させる方法
(iv)成形体を加圧下で水中に浸漬する方法
(v)成形体への水の浸透性が向上する薬剤を溶かした水溶液中に、成形体を浸漬する方法
そして、上記(i)および(ii)について、
(i)成形体を減圧下で水中に浸漬する方法は、真空ポンプや大型の減圧容器等の設備を利用する方法があり、
(ii)成形体を沸騰している水中に浸漬する方法は、高温高圧容器や熱温水水槽等の設備を利用する方法がある。そして、成形体を減圧下の水または沸騰水中に浸漬する時間は、吸水を促進するため、好ましくは3分間以上、より好ましくは8分間以上、さらに好ましくは20分間以上である。浸漬時間の上限は、セメント硬化体の圧縮強度をより高くするため、好ましくは60分間、より好ましくは45分間である。
吸水工程における吸水率は、セメント組成物が粗骨材を含まない場合、直径50mm、高さ100mmの硬化した成形体を100体積%として、その中の水の含有率は、好ましくは0.2体積%以上、より好ましくは0.3~2.0体積%、さらに好ましくは0.35~1.7体積%である。また、セメント組成物が粗骨材を含む場合、直径100mm、高さ200mmの硬化した成形体を100体積%として、その中の水の含有率は、好ましくは0.2体積%以上、より好ましくは0.3~2.0体積%、さらに好ましくは0.35~1.7体積%である。
これらの吸水率が0.2体積%以上であれば、セメント硬化体の圧縮強度はより高い。
(セメント硬化体の特徴)
上述した製造方法により得られた本発明のセメント硬化体は、高い圧縮強度を有するから、ひび割れ等が発生し難い。また、セメント硬化体は、部材の厚みを薄くするなどの部材の軽量化と、作業性の向上を図ることができる。
また、本発明のセメント硬化体は耐摩耗性に優れている。例えば、「ASTM C779」に準拠して測定した、60分経過後のセメント硬化体のすりへり深さは、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。セメント硬化体のすりへり深さが0.5mm以下であるから、舗装用セメント硬化体として要求される耐摩耗性を有する。
また、本発明のセメント硬化体は、遮水性、凍結融解抵抗性、および遮塩性に優れている。
また、本発明のセメント硬化体は寸法安定性に優れている。例えば、JIS A 1129-2:2010「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法-第2部:コンタクトゲージ方法」に準拠して測定した、40×40×160mmの供試体を6カ月間保存した場合におけるセメント硬化体の収縮ひずみは、好ましくは10×10-6以下、より好ましくは8×10-6以下、さらに好ましくは6×10-6以下である。
[実施例]
セメント硬化体の製造方法を用いた各実施例および各比較例について以下に説明する。ただし、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
(試験体の作製)
まず、打設前のセメント組成物を混練し、型枠内に打設して未硬化の成型体を得た。未硬化の成型体を養生した後に脱型し、硬化した成型体を得た。次に、硬化した成形体を、減圧したデシケーター内で、30分間水に浸漬した。なお、減圧には、アズワン社製の「アスピレーター(AS-01)」を使用した。浸漬後、加熱養生工程として、成形体を90℃で48時間蒸気養生を行なった。20℃まで降温した後、高温加熱工程として、180℃で48時間成型体を加熱した。このようにして、各実施例および各比較例の試験体を作製した。
各実施例および各比較例におけるセメント組成物は、図2に示す通りである。なお、実施例10のセメントにて記載されている「球状化」については、研磨処理を施されたセメントであることを示している。研磨処理には、高速気流撹拌装置である、商品名「ハイブリタイザーNHS-3型」(奈良機械製作所製)を用いた。
セメントには、低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)を用いた。研磨処理を行なわなかったセメントは、ブレーン比表面積が3320cm/gであり、50%重量累積粒径が15.6μmであった。研磨処理を行なったセメントは、ブレーン比表面積が2350cm/gであり、50%重量累積粒径が15.1μmであった。
シリカフュームは、BET比表面積が18m/gであるものを用いた。
無機粉末には、珪石粉末を用いた。珪石粉末は、最大粒径が12μmであり、50%体積累積粒径が2μmであり、95%体積累積粒径が5.8μmであった。
水は、水道水を用いた。
細骨材には、珪砂を用いた。珪砂は、最大粒径が1.0mmであり、0.6mm以下の粒径が98質量%であり、0.3mm以下の粒径が45質量%であり、0.15mm以下の粒径が3質量%であった。
硬質砂としては、ガーネットサンド、石英、アルミナ、シリコンカーバイド、花崗岩を用いた。ガーネットサンドは、新モース硬度10であり、最大粒径が1.2mmであった。石英は、新モース硬度8であり、最大粒径が4.7mmであり、4.7-4.0mmの粒径が11.5%であり、4.0-3.35mmの粒径が17%であり、3.35-2.8mmの粒径が32%であり、2.8mm-2.36mmの粒径が28.2%であり、2.36-2.0mmの粒径が9.2%であった。アルミナは、新モース硬度12であり、最大粒径が3.3mmであり、3.3-2.4mmの粒径が20質量%以上であり、2.4-2.0mmの粒径が45質量%以上であり、2.4-1.7mmの粒径が70質量%以上であった。シリコンカーバイドは、新モース硬度13であり、最大粒径が4.0mmであり、4.0-2.8mmの粒径が20質量%以上であり、2.8-2.4mmの粒径が45質量%以上であり、2.4-2.0mmの粒径が70質量%以上であった。花崗岩は、新モース硬度7であり、JIS A5005「コンクリート用砕石及び砕砂」において、砕砂と規定される粒径を満たしていた。また、各硬質砂において、10%重量累積粒径が1.2mm以上、90%重量累積粒径が5.0mm以下であった。
なお、本明細書における硬質砂の10%、90%重量累積粒径とは、粒径の小さな粒子から順に累積させていった場合における、粒子全体の10%、90重量%に達したときの粒径をいう。
粗骨材には、砕石を用いた。最大粒径が20mmであった。
高性能減水剤には、ポリカルボン酸系高性能減水剤である商品名「フローリックSF500U」(フローリック社製)を用いた。ポリカルボン酸系高性能減水剤は、固形分量が27.4質量%であった。
消泡剤には、商品名「マスターエア404」(BASFジャパン社製)を用いた。
繊維には、直径が0.2mmであり、長さが15mmである鋼繊維を用いた。
(試験)
各実施例および比較例に対して、フロー値、圧縮強度、すりへり深さ、収縮ひずみを計測した。
フロー値は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」の「11.フロー試験」に記載する方法において、15回の落下運動を省略して測定する0打ちフロー値を測定した。さらに、JIS A 1150:2007「コンクリートのスランプフロー試験方法」に記載する方法にて、コンクリートの動きが止まった後に広がりが最大と思われる直径と、その直行する方向の直径を測定した。
圧縮強度は、「JSCE G 505-2018(円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法(案))」に準拠して、養生後のモルタルの圧縮強さを測定した。
すりへり深さは、30×30×6cmの供試体を製造し、「ASTM C779」に準拠して、60分経過後のすりへり深さを測定した。
収縮ひずみは、40×40×160mmの供試体を製造し、日本コンクリート工学会の自己収縮試験方法(案)(超流動コンクリート研究委員会報告書(II),日本コンクリート工学会,1994)に準拠して、供試体の中心に埋込み型ひずみ計(東京測器研究所社 KM-30)および熱電対を埋設し、自己収縮ひずみを測定した。
以下の表1に示す基準に沿って、各実施例および各比較例について評価した。また、きわめて良好(A)、良好(B)、合格(C)、不合格(E)と評価した。
Figure 2023046894000002
各実施例および各比較例の各種測定結果について、以下の表2に示す。
Figure 2023046894000003
実施例は、フロー値、圧縮強度、すりへり深さ、収縮ひずみのいずれにおいても、評価が合格(C)以上であった。また、細骨材と硬質砂の全量に対してシリコンカーバイドを70%配合した実施例7では、すりへり深さの評価がきわめて良好(A)であったことから、石英、アルミナ、シリコンカーバイドのなかでは、特にシリコンカーバイドが耐摩耗性をより向上させるといえる。
粗骨材を添加した実施例8および9では、収縮ひずみの評価がきわめて良好(A)であったことから、粗骨材の添加によって寸法安定性をより向上させるといえる。また、アルミナおよびシリコンカーバイドの2種類の硬質砂を用いた実施例10では、すりへり深さと収縮ひずみの評価もきわめて良好(A)であったことから、硬質砂を2種類以上使用することによって、耐摩耗性と寸法安定性をより向上させるといえる。
また、セメントに研磨処理を施した実施例11では、圧縮強度およびすりへり深さの評価がきわめて良好(A)であったことから、セメントに研磨処理を行なうことにより、圧縮強度と耐摩耗性をより向上させるといえる。また、繊維を3%含有した実施例12では、圧縮強度およびすりへり深さの評価がきわめて良好(A)であった。繊維を4%含有した実施例13では、圧縮強度およびすりへり深さだけでなく、収縮ひずみの評価についてもきわめて良好(A)であった。そのため、繊維を含有することによって、圧縮強度、耐摩耗性、および寸法安定性についてより向上させるといえる。
これに対して、比較例では、フロー値、圧縮強度、すりへり深さ、収縮ひずみのいずれかにおいて、不合格(E)と評価を受けた。
以上のことから、本発明のセメント硬化体は、舗装用セメント硬化体として要求される耐摩耗性を満たすだけでなく、セメント組成物の流動性が施工に適している。そのため、セメントを施工する際に十分な施工性および充填性を有している。
10 研磨処理装置
11 ローター
12 ブレード
13 循環回路
13a 循環回路の入口
13b 循環回路の出口
14 投入口
15 排出口
16 ステーター
17 衝突室
18 開閉弁
19 排出弁

Claims (7)

  1. セメント、シリカフューム、無機粉末、細骨材、硬質砂、高性能減水剤、消泡剤、および水を少なくとも含むセメント組成物の硬化体であって、
    圧縮強度が300N/mm以上であり、
    前記細骨材の最大粒径が1.2mm以下であり、
    前記硬質砂の硬度が前記細骨材の硬度よりも高く、
    前記硬質砂の粒径は、10%重量累積粒径が1.2mm以上、90%重量累積粒径が5.0mm以下であり、
    前記細骨材と前記硬質砂の全量に対する前記硬質砂の含有割合が30%以上70%以下であることを特徴とするセメント硬化体。
  2. 最大粒径が2.5mmより大きく、20mm以下である粗骨材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のセメント硬化体。
  3. 前記硬質砂は、新モース硬度8以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のセメント硬化体。
  4. 前記硬質砂が、石英、アルミナ、およびシリコンカーバイドから選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のセメント硬化体。
  5. 前記セメントは、中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメントを研磨処理した粒子を含み、
    前記研磨処理した粒子は、前記研磨処理した粒子の50%体積累積粒径が10~18μmであり、
    ブレーン比表面積が2100~2900cm/gであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のセメント硬化体。
  6. 金属繊維、有機繊維、および炭素繊維から選ばれる1種以上の繊維を含み、前記繊維の含有率が4体積%以下であることを特徴としている請求項1~5のいずれか一項に記載のセメント硬化体。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のセメント硬化体を備えることを特徴とするプレキャストコンクリート版。
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