JP2023044638A - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、冷却性(熱伝達率)に優れる電気自動車又はハイブリッド車に用いられる潤滑油組成物を提供することである。【解決手段】下記一般式(1)で表されるエステル化合物(A)を含有する電気自動車又はハイブリッド車に用いられる潤滑油組成物。TIFF2023044638000007.tif28141[一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基であり、R2はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数2~3のアルキレン基であり、R3は炭素数4~12の鎖状脂肪族二価カルボン酸(a)からカルボキシル基を2つ除いた残基であり、nはそれぞれ独立に1~3の整数を表す。]【選択図】図1
Description
本発明は、潤滑油組成物に関する。
近年の省燃費性能向上のため、自動車用変速機には動力伝達効率の向上や小型軽量化が求められており、変速機構においても手動変速機から自動変速機、最近では無段変速機が一部の車両に搭載されるに至っている。一方、鉛畜電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、燃料電池等を搭載し、電動モーターを装着した電気自動車、あるいはこれらの電池と内燃機関とを併用したハイブリッド自動車が開発されており、これらの自動車には、変速機油と電動モーター油とが別々に使用されている。
最近、電気自動車またはハイブリッド自動車においては、これらの油の共通化や、変速機と電動モーターをパッケージ化することによる小型軽量化が要望されつつあり、手動変速機油、自動変速機油または無段変速機油としての潤滑性能に加え、電動モーター油としての絶縁性および冷却性を併せ持った新規な油が要望されてきた。
変速機油には、熱・酸化安定性、清浄分散性、摩耗防止性、焼付き防止性等が要求される。これらの要求を満たすため、変速機油としては一般に、鉱油系あるいは合成系基油に各種添加剤(酸化防止剤、清浄分散剤、摩耗防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、消抱剤、着色剤、シール膨張剤、粘度指数向上剤等)を添加したものが用いられている。このような変速機油は、体積抵抗率が低く、絶縁性が不十分なため、電動モーター油として使用した場合、電動モーターがショートする等の不具合や、動粘度が高いことに起因する冷却性不良や動力ロスが問題となる。
一方、電動モーター油は、絶縁性、冷却性等が要求され、潤滑性は必要とされないため、添加剤はほとんど含有されていない。よって、電動モーター油を変速機に用いた場合、ベアリング、歯車等が著しく摩耗するという問題がある。また、電動モーターにおいては、小型化・高回転化の進展により、潤滑油の冷却性に期待する部分が強くなっている。すなわち、電気自動車またはハイブリッド自動車等の電動モーター装着車において、変速機油としての焼付き防止性能、摩耗防止性能、低温流動性能を有し、かつ従来以上の絶縁性、冷却性を兼ね備えた自動車用変速機油組成物が求められている。
冷却性を兼ね備えた自動車用変速機油組成物として、一価アルコールと一塩基酸とのエステル及び/又は一価アルコールと多塩基酸とのエステル等の熱伝導率の高いエステル系合成油を用いることが知られている(特許文献1及び2)。
しかしながら、具体的に開示されているエステル化合物は、アゼライン酸とイソオクタノールとのエステル、ネオペンチルグリコールとイソオクタン酸とのエステル、オレイン酸とイソオクタノールとのエステルであるが、電気自動車またはハイブリッド自動車の変速機油として用いるには冷却性(熱伝達率)が十分でない問題がある。
本発明の目的は、冷却性(熱伝達率)に優れる電気自動車又はハイブリッド車に用いられる潤滑油組成物を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるエステル化合物(A)を含有する電気自動車又はハイブリッド車に用いられる潤滑油組成物である。
本発明の電気自動車又はハイブリッド車に用いられる潤滑油組成物は、冷却性(熱伝達率)に優れるため、電気自動車又はハイブリッド車における変速機と電動モーターとの兼用油として有用である。
本発明の潤滑油組成物は、下記一般式(1)で表されるエステル化合物(A)を含有する。
一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、炭素数3~12の直鎖アルキル基{例えば、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、及びn-ドデシル基等}、炭素数3~12の分岐アルキル基{例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基、tert-ペンチル基、及び2-エチルへキシル基等}等が挙げられる。これらの内、熱伝導率及び絶縁性の観点から、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、更に好ましくは炭素数1~8のアルキル基であり、摩擦低減の観点から特に好ましくは炭素数5~6のアルキル基である。また、熱伝導率の観点から、直鎖アルキル基が好ましい。
なお、熱伝達率は、密度、熱伝導率及び動粘度等から後述の数式により算出される値であり、熱伝導率が高く、動粘度が低いほど大きくなる傾向がある。
R1が有していてもよい置換基としては、水酸基、置換若しくは無置換のアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、ニトリル基、カルボニル基、及びイミノ基等が挙げられる。熱伝導率の観点から、R1は置換基を有していないアルキル基であることが好ましい。
一般式(1)中、R2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数2~3のアルキレン基であり、具体的には、エチレン基、トリメチレン基、1,2-プロピレン基(-CH(CH3)CH2-又は-CH2CH(CH3)-)等が挙げられる。これらの内、熱伝導性の観点から、エチレン基が好ましい。
一般式(1)中、nはそれぞれ独立に1~3の整数を表し、熱伝導率、摩擦低減及び熱安定性の観点から、1が好ましい。
R3は炭素数4~12の鎖状脂肪族二価カルボン酸(a)からカルボキシル基を2つ除いた残基であり、(a)として具体的には、直鎖状脂肪族二価カルボン酸{例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等}、分岐鎖状脂肪族二価カルボン酸{例えば、メチルコハク酸、2-メチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、3-メチルアジピン酸、2,4-ジメチルピメリン酸、2,6-ジメチルピメリン酸等}、置換基を有する脂肪族二価カルボン酸{例えば、リンゴ酸、酒石酸等}等が挙げられる。
これらの内、熱伝導率及び摩擦低減の観点から、炭素数6~10の鎖状脂肪族二価カルボン酸が好ましく、更に好ましくは炭素数6~10の直鎖状脂肪族二価カルボン酸であり、特に好ましくはアジピン酸である。
エステル化合物(A)は、下記一般式(2)で表される一価アルコール(b)と、前記鎖状脂肪族二価カルボン酸(a)とのジエステル化合物であってもよい。
R1-(OR2)n-OH (2)
一般式(2)中、R1、R2及びnはそれぞれ前記一般式(1)におけるR1、R2及びnと同義であり、好ましいものも同様である。
R1-(OR2)n-OH (2)
一般式(2)中、R1、R2及びnはそれぞれ前記一般式(1)におけるR1、R2及びnと同義であり、好ましいものも同様である。
一価アルコール(b)として、具体的には、
R2が炭素数2であるもの;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノノニルエーテル、エチレングリコールモノデシルエーテル、エチレングリコールモノウンデシルエーテル、エチレングリコールモノドデシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノノニルエーテル、ジエチレングリコールモノデシルエーテル、ジエチレングリコールモノウンデシルエーテル、ジエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノノニルエーテル、トリエチレングリコールモノデシルエーテル、トリエチレングリコールモノウンデシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル等が挙げられる。
R2が炭素数2であるもの;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノノニルエーテル、エチレングリコールモノデシルエーテル、エチレングリコールモノウンデシルエーテル、エチレングリコールモノドデシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノノニルエーテル、ジエチレングリコールモノデシルエーテル、ジエチレングリコールモノウンデシルエーテル、ジエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノノニルエーテル、トリエチレングリコールモノデシルエーテル、トリエチレングリコールモノウンデシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル等が挙げられる。
R2が炭素数3であるもの;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノペンチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノヘプチルエーテル、プロピレングリコールモノオクチルエーテル、プロピレングリコールモノノニルエーテル、プロピレングリコールモノデシルエーテル、プロピレングリコールモノウンデシルエーテル、プロピレングリコールモノドデシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘプチルエーテル、ジプロピレングリコールモノオクチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノニルエーテル、ジプロピレングリコールモノデシルエーテル、ジプロピレングリコールモノウンデシルエーテル、ジプロピレングリコールモノドデシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノペンチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘプチルエーテル、トリプロピレングリコールモノオクチルエーテル、トリプロピレングリコールモノノニルエーテル、トリプロピレングリコールモノデシルエーテル、トリプロピレングリコールモノウンデシルエーテル、トリプロピレングリコールモノドデシルエーテル等が挙げられる。
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノペンチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノヘプチルエーテル、プロピレングリコールモノオクチルエーテル、プロピレングリコールモノノニルエーテル、プロピレングリコールモノデシルエーテル、プロピレングリコールモノウンデシルエーテル、プロピレングリコールモノドデシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘプチルエーテル、ジプロピレングリコールモノオクチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノニルエーテル、ジプロピレングリコールモノデシルエーテル、ジプロピレングリコールモノウンデシルエーテル、ジプロピレングリコールモノドデシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノペンチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘプチルエーテル、トリプロピレングリコールモノオクチルエーテル、トリプロピレングリコールモノノニルエーテル、トリプロピレングリコールモノデシルエーテル、トリプロピレングリコールモノウンデシルエーテル、トリプロピレングリコールモノドデシルエーテル等が挙げられる。
これらの内、熱伝導率の観点から、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノノニルエーテル、エチレングリコールモノデシルエーテルが好ましく、更に好ましくはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテルであり、摩擦低減の観点から、特に好ましくはエチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルである。
エステル化合物(A)としては、熱伝導率の観点から、メチル基を2~4個有するものが好ましく、更に好ましくは2~3個であり、特に好ましくは2個である。
メチル基を2個有するエステル化合物(A)としては、一般式(1)において、R1が直鎖アルキル基であり、R2がエチレン基又はトリメチレン基であり、R3が直鎖状脂肪族二価カルボン酸からカルボキシル基を2つ除いた残基である化合物等が挙げられる。また、メチル基を3個有するエステル化合物(A)としては、一般式(1)におけるR1、R2、及びR3のうち1つが分岐を1つ有する基である化合物が挙げられる。
エステル化合物(A)における主鎖(共有結合した原子の最も長い系列)中の末端メチル基(-CH3)、メチレン基(-CH2-)、カルボニル基(-C(=O)-)及びエーテル基(-O-)の総数(主鎖の長さ)は、熱伝導率及び摩擦係数の観点から、16~30が好ましく、さらに好ましくは22~30である。
エステル化合物(A)の40℃における動粘度(JIS-K2283で測定したもの)(単位:mm2/s、以下略記する)は、潤滑性の観点から、5.0~20.0が好ましく、更に好ましくは5.0~10.0である。
エステル化合物(A)の40℃における動粘度は、合成する際のカルボン酸とアルコールの炭素数により調整することができ、例えば、炭素数が小さいものを用いると動粘度が小さくなる傾向があり、炭素数が大きいものを用いると動粘度が大きくなる傾向がある。
エステル化合物(A)の100℃における動粘度(JIS-K2283で測定したもの)(単位:mm2/s、以下略記する)は、潤滑性の観点から、1.0~10.0が好ましく、更に好ましくは1.0~5.0である。
エステル化合物(A)の100℃における動粘度は、合成する際のカルボン酸とアルコールの炭素数により調整することができ、例えば、炭素数が小さいものを用いると動粘度が小さくなる傾向があり、炭素数が大きいものを用いると動粘度が大きくなる傾向がある。
エステル化合物(A)の25℃における体積抵抗率(JIS C2101の24(体積抵抗率試験、室温25℃)に準拠して測定した値)は、絶縁性の観点から、下限としては、108Ω・cm以上が好ましく、更に好ましくは109Ω・cm以上、特に好ましくは1010Ω・cm以上である。
エステル化合物(A)の体積抵抗率は、合成する際のカルボン酸とアルコールの炭素数により調整することができ、例えば、炭素数が小さいものを用いると体積抵抗率が小さくなる傾向があり、炭素数が大きいものを用いると体積抵抗率が大きくなる傾向がある。
エステル化合物(A)の40℃における熱伝達率(後述の条件で算出)は、冷却性の観点から、2.15~2.80W/(m2/K)が好ましく、更に好ましくは2.20~2.75W/(m2/K)である。
エステル化合物(A)の40℃における熱伝達率は、例えば、炭素数が小さいものを用いると熱伝導率が小さくなり、熱伝達率が小さくなる傾向があり、炭素数が大きいものを用いると熱伝導率が大きくなり、熱伝達率が大きくなる傾向がある。
エステル化合物(A)の40℃における密度は、冷却性の観点から、900kg/m3以上が好ましく、更に好ましくは930kg/m3以上である。
密度は京都電子工業(株)製 DA-645によって測定することができる。
エステル化合物(A)の40℃における定圧比熱は、冷却性の観点から、1.8kJ/kgK以上が好ましく、更に好ましくは2.0kJ/kgK以上である。
定圧比熱はTAインスツルメント製Q-20によって測定することができる。
本発明において、エステル化合物(A)の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、前記一価アルコール(b)と前記鎖状脂肪族二価カルボン酸(a)、(a)の低級アルコールエステル及び(a)の酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種とのエステル縮合又はエステル交換反応等により合成することができる。
反応温度は、好ましくは120~160℃である。
触媒としては、水酸化ナトリウム、p-トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素、フッ化水素、塩化スズ、亜鉛、チタン、水酸化カリウム、鉱酸(硫酸、塩酸等)、塩化亜鉛、次亜リン酸、ジブチル酸化スズ等が挙げられ、p-トルエンスルホン酸、次亜リン酸等を用いるのが好ましい。また無触媒で行なうこともできる。
反応溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、トルエン、キシレン等を用いるのが好ましい。また無溶媒で行なうこともできる。
前記一価アルコール(b)の水酸基と前記鎖状脂肪族二価カルボン酸(a)のカルボキシル基とのモル比(OH/COOH)は、耐熱性の観点から、2.0/1.0~3.0/1.0が好ましく、更に好ましくは2.2/1.0~2.8/1.0である。
エステル縮合反応は、例えば酸価を指標として行うことができ、エステル化合物(A)の酸価は、好ましくは3mgKOH/g以下、より好ましくは1mgKOH/g以下である。
エステル縮合反応は、例えば水酸基価を指標として行うことができ、エステル化合物(A)の水酸基価は、好ましくは3mgKOH/g以下、より好ましくは1mgKOH/g以下である。
本発明の潤滑油組成物は、前記エステル化合物(A)以外に、基油、添加剤等を含有してもよい。
基油としては、鉱物油(溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有する高粘度指数油、イソパラフィンの水素化分解による高粘度指数油及びナフテン油等)、合成潤滑油[GTL油(Gas to Liquid)、炭化水素系合成潤滑油(ポリ-α-オレフィン系合成潤滑油等)等が挙げられる。これらの内、絶縁性の観点から、鉱物油及び合成潤滑油が好ましく、更に好ましくは鉱物油である。
基油としては、冷却性の観点から、40℃における動粘度が6~20のものが好ましく、更に好ましくは6~15である。
添加剤としては、粘度指数向上剤、清浄剤、分散剤、酸化防止剤、油性向上剤、摩擦摩耗調整剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、腐食防止剤及び流動点降下剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤が挙げられる。
(1)粘度指数向上剤:
(炭素数1~7)アルキル(メタ)アクリレート/(炭素数8~40)直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート共重合体、分散モノマー(アミンモノマー等)/(炭素数1~7)アルキル(メタ)アクリレート/(炭素数8~40)直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ヒドロキシ基含有モノマー/(炭素数1~7)アルキル(メタ)アクリレート/(炭素数8~40)直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート共重合体、櫛形ポリマー[(炭素数1~7)アルキル(メタ)アクリレート/(炭素数8~40)直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート/ポリオレフィンマクロモノマー]、エチレン/(炭素数1~18)アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体、スチレン/イソプレン水素化共重合体等;
(2)清浄剤:
塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート及びアルキルナフタレンスルフォネート等)の過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物;
(3)分散剤:
コハク酸イミド類(ビス-又はモノ-ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物及びボレート類等;
(4)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等;
(5)油性向上剤:
長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等;
(6)摩擦摩耗調整剤:
モリブデン系及び亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメート及びジンクジアルキルジチオフォスフェート等)等;
(7)極圧剤:
硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド及び硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物及び塩素系化合物(塩素化パラフィン等)等;
(8)消泡剤:
シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等;
(9)抗乳化剤:
4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)等;
(10)腐食防止剤:
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4-チオジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート等)等;
(11)流動点効果剤:
ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリビニルアセテート等。
(1)粘度指数向上剤:
(炭素数1~7)アルキル(メタ)アクリレート/(炭素数8~40)直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート共重合体、分散モノマー(アミンモノマー等)/(炭素数1~7)アルキル(メタ)アクリレート/(炭素数8~40)直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ヒドロキシ基含有モノマー/(炭素数1~7)アルキル(メタ)アクリレート/(炭素数8~40)直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート共重合体、櫛形ポリマー[(炭素数1~7)アルキル(メタ)アクリレート/(炭素数8~40)直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート/ポリオレフィンマクロモノマー]、エチレン/(炭素数1~18)アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体、スチレン/イソプレン水素化共重合体等;
(2)清浄剤:
塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート及びアルキルナフタレンスルフォネート等)の過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物;
(3)分散剤:
コハク酸イミド類(ビス-又はモノ-ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物及びボレート類等;
(4)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等;
(5)油性向上剤:
長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等;
(6)摩擦摩耗調整剤:
モリブデン系及び亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメート及びジンクジアルキルジチオフォスフェート等)等;
(7)極圧剤:
硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド及び硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物及び塩素系化合物(塩素化パラフィン等)等;
(8)消泡剤:
シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等;
(9)抗乳化剤:
4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)等;
(10)腐食防止剤:
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4-チオジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート等)等;
(11)流動点効果剤:
ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリビニルアセテート等。
潤滑油組成物中のエステル化合物(A)の含有量は、冷却性の観点から、潤滑油組成物の重量を基準として、下限としては、10重量%以上が好ましく、更に好ましくは30重量%以上であり、特に好ましくは50重量%以上であり、最も好ましくは70重量%以上であり、上限としては、100重量%以下が好ましい。
潤滑油組成物中の基油の含有量は、冷却性の観点から、潤滑油組成物の重量を基準として、上限としては、90重量%以下が好ましく、更に好ましくは70重量%以下であり、特に好ましくは50重量%以下であり、最も好ましくは30重量%以下である。
潤滑油組成物中の添加剤の含有量(複数種類含有する場合は合計量)は、冷却性を損なわない限りにおいて、必要に応じて各種添加剤を含有することができ、潤滑油組成物の重量を基準として、下限としては、0.5重量%以上が好ましく、更に好ましくは1.0重量%以上であり、上限としては、20重量%以下が好ましく、更に好ましくは15重量%以下である。
潤滑油組成物中のエステル化合物(A)と基油との重量比((A)/基油)は、冷却性、絶縁性の観点から、10/90~100/0が好ましく、更に好ましくは30/70~100/0であり、特に好ましくは50/50~100/0であり、最も好ましくは70/30~100/0である。
潤滑油組成物中のエステル化合物(A)と鉱物油との重量比((A)/鉱物油)は、冷却性、絶縁性の観点から、10/90~100/0が好ましく、更に好ましくは30/70~100/0であり、特に好ましくは50/50~100/0であり、最も好ましくは70/30~100/0である。
潤滑油組成物の25℃における熱伝導率(後述の条件で熱特性計で測定)は、冷却性の観点から、0.143W/(m・K)以上が好ましく、更に好ましくは0.145W/(m・K)以上である。
潤滑油組成物のMTM(ミニトラクション)摩擦係数(温度:100℃、10mm/s)は、0.060以下が好ましく、更に好ましくは0.055以下であり、特に好ましくは0.040以下である。
潤滑油組成物のMTM(ミニトラクション)摩擦係数(温度:100℃、100mm/s)は、0.095以下が好ましく、更に好ましくは0.090以下であり、特に好ましくは0.080以下である。
潤滑油組成物は、一価アルコール(b)及び/又は鎖状脂肪族二価カルボン酸(a)を含有してもよい。
潤滑油組成物中の一価アルコール(b)の含有量は、潤滑油組成物の重量を基準として、0.30重量%以下が好ましく、更に好ましくは0.10重量%以下である。
潤滑油組成物中の鎖状脂肪族二価カルボン酸(a)の含有量は、潤滑油組成物の重量を基準として、0.30重量%以下が好ましく、更に好ましくは0.10重量%以下である。
潤滑油組成物の水酸基価(JIS K0070に準拠して測定)は、耐熱性の観点から、1.0mgKOH/g以下が好ましい。なお、水酸基価は残存する水酸基を反応工程で十分に低減することにより調整可能である。
潤滑油組成物の酸価(JIS K 2501に準拠して測定)は、耐熱性の観点から1.0mgKOH/g以下が好ましい。なお、酸価は潤滑油組成物中に含まれるカルボン酸を中和することにより調整可能である。
本発明の潤滑油組成物は、冷却性(熱伝達率)に優れており、更に摩擦低減効果にも優れているので、ギヤ油(デファレンシャル油及び工業用ギヤ油等)、MTF、変速機油[ATF及びbelt-CVTF等]、トラクション油(トロイダル-CVTF等)、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、作動油(建設機械用作動油及び工業用作動油等)及びエンジン油等に好適に用いられる。冷却性及び摩擦低減の効果を発揮しやすいという観点から、好ましくは電気自動車又はハイブリッド車における変速機油、電動モーター油、変速機と電動モーターとの兼用油として用いられることであり、特に好ましくは電気自動車又はハイブリッド車における変速機と電動モーターとの兼用油として用いられることである。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
撹拌器、温度計、冷却管付き水分分留受器を備えた500ミリリットルの四ツ口フラスコにエチレングリコールモノメチルエーテル159.8g(2.1モル)、アジピン酸146.1g(1.0モル)、触媒として硫酸(酸及びアルコールの総量に対し0.2重量%)を仕込み、150℃まで昇温した。生成した水を除去しながらエステル化反応を約5時間行った。反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和して、その後中性になるまで水洗した。次いで180℃、2kPaで蒸留を行い、エステル化合物(A-1)を243.9g(収率90%)得た。
得られたエステル化合物(A-1)をそのまま潤滑油組成物として用いて、動粘度(40℃、100℃)、熱伝導率、熱伝達率、MTM(ミニトラクション)試験機を使った摩擦摩耗試験で得られる摩擦係数(以下においてMTM摩擦係数と略記する)(100mm/s、10mm/s)を評価した。結果を表1に示す。
撹拌器、温度計、冷却管付き水分分留受器を備えた500ミリリットルの四ツ口フラスコにエチレングリコールモノメチルエーテル159.8g(2.1モル)、アジピン酸146.1g(1.0モル)、触媒として硫酸(酸及びアルコールの総量に対し0.2重量%)を仕込み、150℃まで昇温した。生成した水を除去しながらエステル化反応を約5時間行った。反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和して、その後中性になるまで水洗した。次いで180℃、2kPaで蒸留を行い、エステル化合物(A-1)を243.9g(収率90%)得た。
得られたエステル化合物(A-1)をそのまま潤滑油組成物として用いて、動粘度(40℃、100℃)、熱伝導率、熱伝達率、MTM(ミニトラクション)試験機を使った摩擦摩耗試験で得られる摩擦係数(以下においてMTM摩擦係数と略記する)(100mm/s、10mm/s)を評価した。結果を表1に示す。
<実施例2~11、比較例1~4>
エチレングリコールモノメチルエーテルに代えて表1に記載の一価アルコール(b)又はその他の一価アルコール(b’)を2.1モル用いて、アジピン酸に代えて表1に記載の二塩基酸1.0モルを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化合物(A-2)~(A-11)及び(A’-1)~(A’-4)を得て、そのまま潤滑油組成物として用いて、動粘度(40℃、100℃)、熱伝導率、熱伝達率、MTM摩擦係数(100mm/s、10mm/s)を評価した。結果を表1に示す。
エチレングリコールモノメチルエーテルに代えて表1に記載の一価アルコール(b)又はその他の一価アルコール(b’)を2.1モル用いて、アジピン酸に代えて表1に記載の二塩基酸1.0モルを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化合物(A-2)~(A-11)及び(A’-1)~(A’-4)を得て、そのまま潤滑油組成物として用いて、動粘度(40℃、100℃)、熱伝導率、熱伝達率、MTM摩擦係数(100mm/s、10mm/s)を評価した。結果を表1に示す。
<実施例12~27、比較例5>
撹拌装置を備えたステンレス製容器に、エステル化合物(A-3)~(A-6)と、鉱物油とを表2に記載の部数で配合して、潤滑油組成物(12)~(27)及び(5’)を得て、動粘度(40℃、100℃)、熱伝導率、熱伝達率、MTM摩擦係数(100mm/s、10mm/s)を評価した。結果を表2に示す。
撹拌装置を備えたステンレス製容器に、エステル化合物(A-3)~(A-6)と、鉱物油とを表2に記載の部数で配合して、潤滑油組成物(12)~(27)及び(5’)を得て、動粘度(40℃、100℃)、熱伝導率、熱伝達率、MTM摩擦係数(100mm/s、10mm/s)を評価した。結果を表2に示す。
なお、表2中、鉱物油は下記を用いた。
鉱物油:SKルブリカンツ社製、製品名「Yubase3」、GroupIII(100℃の動粘度:3.1mm2/s、40℃の動粘度:12.3mm2/s)
鉱物油:SKルブリカンツ社製、製品名「Yubase3」、GroupIII(100℃の動粘度:3.1mm2/s、40℃の動粘度:12.3mm2/s)
<潤滑油組成物の動粘度の測定方法>
ASTM D 445の方法で100℃、40℃での動粘度を測定した。
ASTM D 445の方法で100℃、40℃での動粘度を測定した。
<熱伝導率の測定>
デカゴン社製 熱特性計KD2proを用い、シングルニードルセンサーにて室温25℃で測定した。
デカゴン社製 熱特性計KD2proを用い、シングルニードルセンサーにて室温25℃で測定した。
<熱伝達率の計算方法>
潤滑油組成物の各温度(40℃)での動粘度、熱伝導率、密度、定圧比熱から、以下の式を用いて40℃での熱伝達率を算出した。
熱伝達率(W/m2K)=(密度[kg/m3])0.33×(定圧比熱[kJ/kgK])0.33×(熱伝導率[W/mK])0.67/(動粘度[mm2/s])0.17
潤滑油組成物の各温度(40℃)での動粘度、熱伝導率、密度、定圧比熱から、以下の式を用いて40℃での熱伝達率を算出した。
熱伝達率(W/m2K)=(密度[kg/m3])0.33×(定圧比熱[kJ/kgK])0.33×(熱伝導率[W/mK])0.67/(動粘度[mm2/s])0.17
<MTM(ミニトラクション)摩擦係数>
MTM(ミニトラクション)試験機を用いて、下記測定条件で測定し、ストライベック曲線を得て、各速度:10mm/s、100mm/sにおける摩擦係数を結果として用いた。
機器:PCS Instruments MTM-2
ディスク:MTM polished disc(standard)(0.01micron)
ボール:Drilled 3/4 AISI52100precision steel ball
速度:10mm/s~3,000mm/s
温度:100℃
スライディング/ローリング比:50%
負荷:30N
MTM(ミニトラクション)試験機を用いて、下記測定条件で測定し、ストライベック曲線を得て、各速度:10mm/s、100mm/sにおける摩擦係数を結果として用いた。
機器:PCS Instruments MTM-2
ディスク:MTM polished disc(standard)(0.01micron)
ボール:Drilled 3/4 AISI52100precision steel ball
速度:10mm/s~3,000mm/s
温度:100℃
スライディング/ローリング比:50%
負荷:30N
<油膜厚さの測定>
EHD試験機(PCSインスツルメント社製)を用いた光干渉法により、一定の荷重・滑り率での油膜厚さ(nm)を算出し、各潤滑油組成物の油膜厚形成能を評価した。
EHD試験機の試験条件を以下に示す。
ディスク:EHD Silica Spacer Layer Disc
ボール:3/4’’Plain Steel Ball
荷重:30N
ボールの速度:10mm~3,000mm/s
温度:100℃
すべり率:0%
10mm/sでの油膜厚さ(nm)を測定結果とした。
測定された油膜厚さ(nm)から下記の判定基準で評価した。
◎:2.0nm以上
○:1.5nm以上2.0nm未満
△:1.0nm以上1.5nm未満
×:1.0nm未満
EHD試験機(PCSインスツルメント社製)を用いた光干渉法により、一定の荷重・滑り率での油膜厚さ(nm)を算出し、各潤滑油組成物の油膜厚形成能を評価した。
EHD試験機の試験条件を以下に示す。
ディスク:EHD Silica Spacer Layer Disc
ボール:3/4’’Plain Steel Ball
荷重:30N
ボールの速度:10mm~3,000mm/s
温度:100℃
すべり率:0%
10mm/sでの油膜厚さ(nm)を測定結果とした。
測定された油膜厚さ(nm)から下記の判定基準で評価した。
◎:2.0nm以上
○:1.5nm以上2.0nm未満
△:1.0nm以上1.5nm未満
×:1.0nm未満
表1の結果から、本発明の潤滑油組成物は、冷却性(熱伝達率)が極めて高く、さらに、低速度時のMTM摩擦係数(100℃、速度:10mm/s)は0.100未満と低く摩擦係数に優れ、高速度時のMTM摩擦係数(100℃、速度:100mm/s)も0.057以下と低くすることができ、潤滑性が高いことが分かる。特に、図2~3から、実施例4及び5の潤滑油組成物は、低速度時のMTM摩擦係数(100℃、速度:10mm/s)が0.075又は0.076と極めて低く、高速度時のMTM摩擦係数(100℃、速度:100mm/s)も0.036と極めて低く、潤滑性が極めて高いことがわかる。
また、表2の結果から、本発明の潤滑油組成物は、冷却性(熱伝達率)が極めて高く、高速度時のMTM摩擦係数及び油膜厚に優れていることがわかる。特に、実施例12~19の結果(図4~6)から、エステル化合物(A-4)及び(A-5)は、鉱物油と混合して含有量が少なくなっても、熱伝達率及び油膜厚が低下しにくく、MTM摩擦係数も高くなりにくいことがわかる。
また、表2の結果から、本発明の潤滑油組成物は、冷却性(熱伝達率)が極めて高く、高速度時のMTM摩擦係数及び油膜厚に優れていることがわかる。特に、実施例12~19の結果(図4~6)から、エステル化合物(A-4)及び(A-5)は、鉱物油と混合して含有量が少なくなっても、熱伝達率及び油膜厚が低下しにくく、MTM摩擦係数も高くなりにくいことがわかる。
本発明の潤滑油組成物は、冷却性及び潤滑性に優れていることから、ギヤ油(デファレンシャル油及び工業用ギヤ油等)、MTF、変速機油[ATF及びbelt-CVTF等]、トラクション油(トロイダル-CVTF等)、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、作動油(建設機械用作動油及び工業用作動油等)及びエンジン油等に好適に用いられる。特に、電気自動車又はハイブリッド車における変速機油、電動モーター油、変速機と電動モーターとの兼用油として有用であり、電気自動車又はハイブリッド車における変速機と電動モーターとの兼用油として極めて有用である。
Claims (8)
- 前記エステル化合物(A)の40℃における動粘度が5.0~20.0mm2/sである請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 前記エステル化合物(A)の100℃における動粘度が1.0~10.0mm2/sである請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 前記鎖状脂肪族二価カルボン酸(a)が炭素数6~10の鎖状脂肪族二価カルボン酸である請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 潤滑油組成物の重量を基準として、前記エステル化合物(A)の含有量が10重量%以上である請求項1に記載の潤滑油組成物。
- エステル化合物(A)がアジピン酸とエチレングリコールモノペンチルエーテル及び/又はエチレングリコールモノヘキシルエーテルとのジエステル化物である請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 電気自動車又はハイブリッド車における変速機と電動モーターとの兼用油である請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 更に粘度指数向上剤、清浄剤、分散剤、酸化防止剤、油性向上剤、摩擦摩耗調整剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、腐食防止剤及び流動点降下剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有してなる請求項1に記載の潤滑油組成物。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021152341 | 2021-09-17 | ||
JP2021152341 | 2021-09-17 |
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JP2022131081A Pending JP2023044638A (ja) | 2021-09-17 | 2022-08-19 | 潤滑油組成物 |
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