JP2023043819A - 虚像表示装置及び虚像表示方法 - Google Patents

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貴之 野本
Takayuki Nomoto
守 竹之内
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Abstract

Figure 2023043819000001
【課題】レーザ光を回折する空間位相変調器を用いて表示画像を生成する構成において、0次光の影響を適切に低減する。
【解決手段】レーザ光源(11)と、レーザ光を回折する空間位相変調器(13)と、空間位相変調器(13)の回折光出射面側に設けられた回折光学素子(14)と、空間位相変調器(13)を制御する制御部(3)と、を備え、回折光学素子(14)は規則性を持つ段差によって位相差を生じさせ、制御部(3)は、表示像に対応した位相分布から規則性に基づく位相差を減算して得られた位相画像を空間位相変調器(13)に表示させる虚像表示装置(H)が開示される。
【選択図】図1

Description

本開示は、虚像表示装置及び虚像表示方法に関する。
イメージを投影する装置であって、入射波面の異なる領域のそれぞれに位相シフトをもたらすための装置において、0次光を再生領域と装置との間に焦点が合わさるようにするブロック手段を設ける技術が知られている。
特表2009-536747号公報
ところで、レーザ光を回折する空間位相変調器を用いて表示画像を生成する構成では、空間位相変調器で回折しない0次光が発生するという課題がある。
しかしながら、上記のような従来技術では、0次光をブロックするブロック手段を光学系に対して適切に位置付ける必要があり、製造上の課題がある。また、0次光をブロックするブロック手段が、再生領域における表示画像に像として現れ、表示画像の品質に影響するという課題がある。
そこで、本開示は、レーザ光を回折する空間位相変調器を用いて表示画像を生成する構成において、0次光の影響を適切に低減することを目的とする。
1つの側面では、表示像を虚像として表示する虚像表示装置(H)であって、
レーザ光を出射するレーザ光源(11)と、
前記レーザ光を回折する空間位相変調器(13)と、
前記空間位相変調器(13)の回折光出射面側に設けられた回折光学素子(14)と、
前記空間位相変調器(13)を制御する制御部(3)と、を備え、
前記回折光学素子(14)は規則性を持つ段差によって位相差を生じさせ、
前記制御部(3)は、前記表示像に対応した位相分布から前記規則性に基づく位相差を減算して得られた位相画像を前記空間位相変調器(13)に表示させる、
ことを特徴とする虚像表示装置が提供される。
また、他の側面では、表示像を虚像として表示する虚像表示装置(H)であって、
レーザ光を出射するレーザ光源(11)と、
前記レーザ光を回折する空間位相変調器(13)と、
前記空間位相変調器(13)の回折光出射面側に設けられた回折光学素子(14)と、
前記空間位相変調器(13)を制御する制御部(3)と、を備え、
前記回折光学素子(14)は、所定の方向に不連続に並ぶ段差によって位相差を生じさせ、
予め測定された前記段差に基づく位相差を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部(3)は、前記表示像に対応した位相分布から、前記記憶部に記憶された位相差を減算して得られた位相画像を前記空間位相変調器(13)に表示させる、
ことを特徴とする虚像表示装置が提供される。
さらに、他の側面では、表示像を虚像として表示する虚像表示方法であって、
レーザ光を出射するレーザ光源(11)と、前記レーザ光を回折する空間位相変調器(13)と、前記空間位相変調器(13)の回折光出射面側に設けられ、所定の方向に不連続に並ぶ段差によって位相差を生じさせる回折光学素子(14)と、前記空間位相変調器(13)を制御する制御部(3)と、前記制御部(3)が読み出し可能なデータを記憶する記憶部と、を配置するステップと、
前記段差に基づく位相差を測定して前記記憶部に記憶させるステップと、
前記制御部(3)が、前記表示像に対応した位相分布から、前記記憶部に記憶された位相差を減算して得られた位相画像を前記空間位相変調器(13)に表示させるステップと、を含む、
ことを特徴とする虚像表示方法が提供される。
本開示によれば、レーザ光を回折する空間位相変調器を用いて表示画像を生成する構成において、0次光の影響を適切に低減することが可能となる。
本実施例によるヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の側面視による概略図である。 本実施例によるヘッドアップディスプレイ装置の概略的な断面図である。 表示器の構成を側方からの断面視で示す概略図である。 空間位相変調器側とは逆側から視た回折光学素子の平面図である。 図3のラインA-Aに沿った断面図である。 段差の深さに関する好ましい関係式の説明図である。 空間位相変調器から生じうる0次光の影響の説明図であり、比較例の場合を説明する図である。 空間位相変調器の異常時に空間位相変調器から生じうる0次光の影響の説明図であり、比較例の場合を説明する図である。 空間位相変調器から生じうる0次光の影響の説明図であり、本実施例の場合を説明する図である。 空間位相変調器の異常時に空間位相変調器から生じうる0次光の影響の説明図であり、本実施例の場合を説明する図である。 位相差と輝度レベルの関係の説明図である。 CGHに基づくパターンから求めた輝度レベルの一例を示す説明図である。 本実施例における空間位相変調器で表示させる画像の位相の調整方法の一例を示す説明図である。 第1変形例による回折光学素子を説明する説明図である。 空間位相変調器から生じうる0次光の影響の説明図であり、第1変形例による回折光学素子を用いた場合を説明する図である。 第1変形例における空間位相変調器で表示させる画像の位相の調整方法の一例を示す説明図である。 第2変形例による回折光学素子を説明する説明図である。 回折光学素子のピッチと、空間位相変調器のピクセルピッチとの関係の、1次光の位置に対する影響の説明図である。 第3変形例(第4変形例)による回折光学素子を説明する説明図である。 空間位相変調器から生じうる0次光の影響の説明図であり、第3変形例(第4変形例)による回折光学素子を用いた場合を説明する図である。 空間位相変調器の異常時に空間位相変調器から生じうる0次光の影響の説明図であり、第3変形例(第4変形例)の場合を説明する図である。 第3変形例(第4変形例)における空間位相変調器で表示させる画像の位相の調整方法の一例を示す説明図である。
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。なお、図面では、見やすさのために、複数存在する同一属性の部位には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。
[ヘッドアップディスプレイ装置の構成]
図1は、本実施例によるヘッドアップディスプレイ装置Hが搭載された車両10の側面視による概略図である。図1Aは、本実施例によるヘッドアップディスプレイ装置Hの概略的な断面図である。図1及び図1Aには、右手座標系で直交する3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)が定義されている。ここでは、X軸は、車両10の左右方向(幅方向)に対応し、Z軸は、車両10の前後方向に対応し、Y軸は、車両10の上下方向に対応する。
ヘッドアップディスプレイ装置Hは、図1に示すように、車両10のインストルメントパネル7内部に配設される。ヘッドアップディスプレイ装置Hは、投射する表示光PLを車両10のウインドシールドWSで車両10の搭乗者P(例えば運転者)の方向に反射させ、虚像Vの表示を行う。すなわち、ヘッドアップディスプレイ装置Hは、後述する液晶表示器20から発せられる表示光PLをウインドシールドWS(投影部材)に出射(投射)し、この出射によって得られた表示像(虚像)Vを搭乗者Pに視認させる。これにより、搭乗者Pは、虚像Vを風景と重畳させて視認できる。
ヘッドアップディスプレイ装置Hは、ケース4内に、表示器1、反射鏡2、制御部3等が収容される。ケース4は、インストルメントパネル7の上面側に出射口41を有し、出射口41を介して表示光PLがケース4内からウインドシールドWSに向けて出射される。なお、出射口41は、透明性の防塵カバーでカバーされてよい。
表示器1は、表示光PLを出射する。本実施例では、表示器1は、後述するように、計算機生成ホログラム(CGH:Computer-Generated Hologram)を構成する干渉縞を含む表示光PLを出射する。この場合、表示光PLが搭乗者Pの網膜(スクリーン)で結像して、虚像VがウインドシールドWSの前方に見える。表示器1の詳細は、図2以降を参照して後述する。
反射鏡2は、例えば凹面鏡の形態であり、表示器1からの表示光PLを拡大しつつ表示光PLを反射して表示光PLをウインドシールドWSに向かうように方向付ける。すなわち、反射鏡2は、表示光PLを折り返しつつ拡大する。
制御部3は、例えば制御回路基板の形態であり、表示器1を制御する。例えば、制御部3は、搭乗者Pに各種車両情報が虚像Vを介して伝達されるように、各種車両情報に応じた表示光PLを適切なタイミングで生成する。虚像Vを介して伝達される車両情報の種類や表示器1の制御方法は任意であってよい。
なお、図1及び図1Aに示す例では、ヘッドアップディスプレイ装置Hは、反射鏡2を有するが、反射鏡2は省略されてもよい。また、ケース4内には、他の光学系が追加的に配置されてもよい。例えば、表示光PLは、スクリーンを介してウインドシールドWSに投影されてもよい。
[表示器の構成]
図2は、表示器1の構成を側方からの(X方向に沿った側方からの)断面視で示す概略図である。
表示器1は、レーザ光源11と、コリメート部12と、空間位相変調器13(SLM: Spatial Light Modulator)と、回折光学素子14(DOE : Diffractive Optical Element)とを含む。
レーザ光源11は、例えば、緑色のレーザ光を出射するレーザダイオードを含んでなる。なお、本実施例では、一例として、レーザ光源11は、単一(1色)で設けられるが、複数設けられてもよい。例えば、RGB用の3つの光源が利用されてもよい。
コリメート部12は、レーザ光源11の光を平行光にし、空間位相変調器13に向けて出射する。コリメート部12は、レーザ光源11の光を実質的に平面波の形態で空間位相変調器13に入射させてよい。
空間位相変調器13は、CGHに基づく干渉縞を表示する反射型の変調器(空間光変調器)である。空間位相変調器13は、上述した制御部3による制御下で動作する。空間位相変調器13は、例えば、LCOS-SLM(Liquid Crystal on Silicon-Spatial Light Modulator)が用いられる。なお、空間位相変調器13が反射させるレーザ光には、搭乗者Pに向かう車両情報の伝達用の光だけでなく、車両情報の伝達に使用されない0次光が含まれうる。
回折光学素子14は、空間位相変調器13の反射面側(回折光出射面側)を覆うように設けられる。回折光学素子14は、断面形状が矩形の規則性を持つ段差(凹凸)を有するラミナー型回折格子であり、この段差によって位相差を生じさせる。回折光学素子14は、空間位相変調器13からの0次光に対して機能し、0次光に基づいて1次光を形成する。すなわち、回折光学素子14は、空間位相変調器13からの0次光の影響であって、搭乗者Pに視認される虚像Vに対する0次光の影響を低減する機能を有する。
図3は、空間位相変調器13側とは逆側から視た回折光学素子14の平面図であり、図4は、図3のラインA-Aに沿った断面図である。図3では、理解しやすさを考慮して、回折光学素子14のうちの、凹部14aの範囲がハッチングで示されている。図4Aは、回折光学素子14における光路差の説明図である。
本実施例では、一例として、回折光学素子14は、図3に示すように、Y方向に交互に凹凸が形成される形態である。具体的には、回折光学素子14は、X方向に延在する凹条部の形態である凹部14aと、X方向に延在する凸条部の形態である凸部14bとを、Y方向に交互に有する。
図4に示すように、凹部14a及び凸部14bは、空間位相変調器13のピクセル13pに対応して設けられる。すなわち、回折光学素子14のピッチPt1は、空間位相変調器13のピクセルピッチPt2に対応する。なお、この場合、回折光学素子14のピッチPt1は、Y方向のピッチである。本実施例では、凹部14a及び凸部14bのそれぞれのY方向の幅は同じであり、回折光学素子14のピッチPt1は、凹部14a及び凸部14bのそれぞれのY方向の幅と実質的に同じである。
また、本実施例では、凹部14a及び凸部14bのそれぞれは、Y方向の中心が、対応する空間位相変調器13の一のピクセル13pの中心に一致するように配置される。
なお、図4に示す例では、回折光学素子14は、空間位相変調器13のZ方向正側(反射面側)の表面に、接着層15を介して固定されている。接着層15は、例えば、透光性を有する光硬化樹脂などの接着剤により形成されてよい。
本実施例では、凹部14a及び凸部14bは、Z方向で深さΔdの段差を形成する。なお、深さΔdは、凹部14aのZ方向の寸法d1と、凸部14bのZ方向の寸法d2との間の差である。すなわちΔd=d2-d1である。この場合、図4Aに示すように、レーザ光源11(図4Aでは図示せず)からのレーザ光が回折光学素子14を通過して空間位相変調器13で反射する際に、光路差が生まれる。具体的には、凹部14aを通るレーザ光(図4AのLa参照)と、凸部14bを通るレーザ光(図4AのLb参照)との間には、回折光学素子14における屈折率n1、及び、ケース4内の媒体(すなわち空気)の屈折率n2を用いて、(n2-n1)×Δdの光路差が生まれる。本実施例では、レーザ光源11からのレーザ光は空間位相変調器13で反射する際に回折光学素子14を2度通過するため、反射の際の光路差ΔLdは、その2倍であり、ΔLd=(n2-n1)×Δd×2となる。
このようにレーザ光源11からのレーザ光が回折光学素子14を通過して空間位相変調器13で反射する場合、凹部14aを通るレーザ光と、凸部14bを通るレーザ光との間に生じる位相差(すなわち段差の深さΔdに起因して生じる位相差)が、π/2のN倍(Nは奇数)になるとき、0次光の光量の最小化(及びそれに伴う一次光の光量の最大化)が生じる。
従って、凹部14aのZ方向の寸法d1及び凸部14bのZ方向の寸法d2は、好ましくは、Δdが、以下の関係になるように設定される。
(n2-n1)×Δd×2=N×λ/2
すなわちΔd=0.25Nλ/(n2-n1) 式(1)
ここで、Nは、奇数であり、n1は、上述したように、回折光学素子14における屈折率であり、n2は、ケース4内の媒体(すなわち空気)の屈折率である。また、λは、レーザ光源11からのレーザ光の波長である。なお、以下の実施例では、一例として、N=1として、説明を続けるが、Nは、N=3やN=5等の他の奇数であってもよい。なお、N=1の場合が最良の形態である。
このような式(1)を満たす深さΔdを有する回折光学素子14を用いる場合、空間位相変調器13から生じうる0次光は、回折光学素子14により回折して1次光として、回折光学素子14から出射される。
このようにして本実施例によれば、空間位相変調器13の反射面側に回折光学素子14を設けることで、空間位相変調器13から生じうる0次光の影響を低減できる。
次に、図5から図8を参照し、比較例と対比して本実施例の効果を説明する。図5から図8の説明において、Y方向を上下方向と称し、Y方向正側を上側とする場合がある。なお、図5から図8では、虚像V(虚像V1等)は、XY平面内で示されているが、これは、説明の都合上で、厳密な位置関係を示すものでない。実際には、虚像V(虚像V1等)は、XY平面に対して傾斜してもよい。
図5は、空間位相変調器13から生じうる0次光の影響の説明図であり、比較例の場合を説明する図である。図5では、比較例によるヘッドアップディスプレイ装置により表示される文字“CGH”を含む虚像V1が模式的に示されている。図5では、見やすさを考慮して、右側に、白黒(ネガポジ)を反転させた虚像V1(R)も併せて模式的に示されている。
比較例は、本実施例とは異なり、空間位相変調器13に回折光学素子14が設けられない構成である。すなわち、比較例は、本実施例に対して、空間位相変調器13に回折光学素子14が設けられない点だけが異なる。この場合、空間位相変調器13から生じる0次光は、図5の丸領域L0内に模式的に示すように、虚像視認可能領域FVの中央に集中する。これは、0次光が搭乗者Pの網膜(スクリーン)で結像するためである。このような0次光は、搭乗者Pに伝達されるべき文字情報“CGH”の近傍に結像すると、虚像V1の品質を低下させてしまう虞がある。
図6は、空間位相変調器13の異常時に空間位相変調器13から生じうる0次光の影響の説明図であり、比較例の場合を説明する図である。
空間位相変調器13になんらかの異常が発生すると、空間位相変調器13の反射面において全反射が生じうる。この場合、全反射による0次光は、図6の丸領域L0内に模式的に示すように、虚像視認可能領域FVの中央に集中する。その結果、虚像V2の虚像視認可能領域FVの中央に集中する0次光の強度が増す。この場合、比較的強度の高い0次光が搭乗者Pの網膜で結像すると、搭乗者Pの目にとっても好ましくない。
図7は、空間位相変調器13から生じうる0次光の影響の説明図であり、本実施例の場合を説明する図である。図7には、本実施例によるヘッドアップディスプレイ装置Hにより表示される文字“CGH”を含む虚像V3が模式的に示されている。図5の場合と同様、図7では、見やすさを考慮して、右側に、白黒(ネガポジ)を反転させた虚像V3(R)も併せて模式的に示されている。
本実施例によれば、上述したように、空間位相変調器13に回折光学素子14が設けられるので、上述した比較例で生じる不都合を低減できる。具体的には、空間位相変調器13から生じる0次光は、回折光学素子14により1次光として出射され、当該1次光は、図7の丸領域L1内に模式的に示すように、虚像V3の虚像視認可能領域FVの中央から離れた上下位置(例えば虚像視認可能領域FVの外側の上下位置)で結像される。従って、このような1次光は、上述した0次光とは異なり、搭乗者Pに伝達されるべき文字情報“CGH”の近傍に結像することがない。従って、本実施例によれば、0次光に起因して生じうる虚像V3の品質の低下を低減できる。特に図7に示す例では、回折光学素子14により形成される1次光の像は、虚像視認可能領域FVの外側で結像されるので、0次光に起因して生じうる虚像V3の品質の低下を効果的に低減できる。
図8は、空間位相変調器13の異常時に空間位相変調器13から生じうる0次光の影響の説明図であり、本実施例の場合を説明する図である。
比較例の場合と同様、本実施例の場合も、空間位相変調器13になんらかの異常が発生すると、空間位相変調器13の反射面において全反射が生じうる。しかしながら、本実施例によれば、比較例とは異なり、空間位相変調器13に回折光学素子14が設けられるので、上述した比較例で生じる不都合を低減できる。具体的には、異常時の空間位相変調器13から生じる0次光は、回折光学素子14により1次光として出射される。そして、当該1次光は、図8の丸領域L1内に模式的に示すように、虚像V4の虚像視認可能領域FVの中央から離れた上下位置(例えば虚像視認可能領域FVの外側の上下位置)で結像される。このようにして、図8に示す例では、回折光学素子14により形成される1次光の像は、虚像視認可能領域FVの外側で結像される。すなわち、図8に示す例では、回折光学素子14により形成される1次光の像が、搭乗者Pの網膜で結像することを防止できる。また、このような1次光の像は、上下に分散されるので、そのそれぞれの像に係る強度も比較例に比べて低減される(理論上は比較例に比べて1/2になる)。従って、回折光学素子14により形成される1次光が搭乗者Pの網膜で結像した場合でも比較例に比べて搭乗者Pの目に対する影響を低減できる。
このようにして本実施例によれば、空間位相変調器13に回折光学素子14を設けることで、0次光の影響を低減でき、搭乗者Pに視認される虚像Vの品質を効果的に高めることができる。また、空間位相変調器13の異常時においても0次光の影響を低減できる。
次に、図9から図11を参照して、空間位相変調器13で表示させる画像(位相画像)の生成方法について説明する。
本実施例では、上述したように、空間位相変調器13に回折光学素子14が設けられるので、回折光学素子14で生じる位相差分だけ、空間位相変調器13で表示させる画像の位相を調整する。
図9は、位相差と輝度レベルの関係の説明図であり、図10は、CGHに基づくパターン(以下、「CGHパターン」とも称する)から求めた輝度レベルの一例を示す説明図である。図11は、空間位相変調器13で表示させる画像の位相の調整方法の一例を示す説明図である。
位相型のCGHでは、CGHパターン(位相分布)が位相情報として算出される。空間位相変調器13においてCGHパターンを表示する際には、与える位相差を画素の輝度レベルに変換して入力する。例えば空間位相変調器13の輝度レベルが8ビットの分解能を有するとき、図9に模式的に示すように、0-255までの各輝度レベルl(エル)に、0から2πの各位相差Δθが対応付けられる。
図10には、説明用に、表示像(虚像)Vに対応したCGHパターンPT1(位相分布)の一部の位相情報100が抜き出して示されている。図10では、5×4のピクセル13pの範囲における位相情報100が示されている。
本実施例では、空間位相変調器13に回折光学素子14が設けられ、回折光学素子14において位相差が発生するので、空間位相変調器13と回折光学素子14の組み合わせを一体としてCGHとみなすことができる。すなわち、回折光学素子14は固定の位相情報を有し、空間位相変調器13のCGHパターンも位相情報であるので、両者を画素レベルで位置を合わせることにより、1つの位相情報を持つCGHとみなすことができる。
この場合、空間位相変調器13に出力されるCGHパターンは、出力画像のCGHパターンから、回折光学素子14の位相差に基づくパターン(固定の位相情報)を減算することで、生成されてもよい。例えば、図10に示す5×4のピクセル13pの範囲では、図11に模式的に示すように、出力画像のCGHパターンPT1から、回折光学素子14の位相差に基づくパターンPT2を減算することで、空間位相変調器13に出力されるCGHパターンPT3(位相画像)が得られる。なお、回折光学素子14の位相差に基づくパターンPT2は、図11に示すように、凹部14a及び凸部14bにそれぞれ対応してπ/2の位相差(すなわち輝度レベル“64”の差)を有する。
これにより、CGH再生の際はこの逆の操作が行われ、元画像のCGHパターン(出力画像のCGHパターンPT1)を用いて所望の画像(虚像V)を得ることができる。
次に、図12以降を参照して、上述した実施例に対して好適に実現可能な各種変形例について説明する。
図12は、第1変形例による回折光学素子14Aを説明する説明図である。図12は、前出の図3と同様、空間位相変調器13側とは逆側から視た回折光学素子14Aの平面図である。
第1変形例による回折光学素子14Aは、上述した実施例による回折光学素子14に対して、凹部14a及び凸部14bの配置パターンが異なる。具体的には、上述した実施例による回折光学素子14では、規則性を持つ段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)は、Y方向(第1の方向の一例)に対し位相差π/2を有するのに対して、第1変形例による回折光学素子14Aは、規則性を持つ段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)は、Y方向のみならず、X方向(第2の方向の一例)に対しても位相差π/2を有する。
第1変形例による回折光学素子14Aでは、凹部14a及び凸部14bのそれぞれは、空間位相変調器13の各ピクセル13pに対応して位置付けられる。すなわち、一のピクセルには、凹部14a及び凸部14bのうちの一方が対応付けられる。この場合、平面視で(Z方向に視て)、一のピクセルの中心に、凹部14a及び凸部14bのうちの一方の中心が一致するように、凹部14a及び凸部14bのそれぞれは、空間位相変調器13の各ピクセル13pに対応して位置付けられる。
図13は、空間位相変調器13から生じうる0次光の影響の説明図であり、第1変形例による回折光学素子14Aを用いた場合を説明する図である。図13には、第1変形例による回折光学素子14Aを用いて表示される文字“CGH”を含む虚像V5が模式的に示されている。図5の場合と同様、図13では、見やすさを考慮して、右側に、白黒(ネガポジ)を反転させた虚像V5(R)も併せて模式的に示されている。
第1変形例によれば、上述したように、空間位相変調器13に回折光学素子14が設けられるので、上述した比較例で生じる不都合を低減できる。具体的には、空間位相変調器13から生じる0次光は、回折光学素子14により1次光として出射され、当該1次光は、図13の丸領域L1内に模式的に示すように、虚像V5の虚像視認可能領域FVの中央から離れた4隅の位置(例えば虚像視認可能領域FVの外側の上下位置)で結像される。すなわち、Y方向に対応する上下方向のみならず、X方向にも離れた4つに分散される。従って、このような1次光は、上述した0次光とは異なり、搭乗者Pに伝達されるべき文字情報“CGH”の近傍に結像することがない。従って、本実施例によれば、0次光に起因して生じうる虚像V5の品質の低下を低減できる。同様に、図13に示す例では、回折光学素子14により形成される1次光の像は、虚像視認可能領域FVの外側で結像されるので、0次光に起因して生じうる虚像V5の品質の低下を効果的に低減できる。
また、第1変形例によれば、空間位相変調器13の異常時に回折光学素子14により形成される1次光の像は、同様に、4隅の位置に分散されるので、そのそれぞれの像に係る強度も、図5及び図6に示した比較例に比べて低減される(理論上は、比較例に比べて1/4になる)。従って、回折光学素子14により形成される1次光が搭乗者Pの網膜で結像した場合でも比較例に比べて搭乗者Pの目に対する影響を低減できる。
図14は、第1変形例における空間位相変調器13で表示させる画像の位相の調整方法の一例を示す説明図である。図14には、前出の図11と同様、図10に示した5×4のピクセル13pの範囲の位相情報を用いた例が示されている。第1変形例では、図14に模式的に示すように、出力画像のCGHパターンPT1から、回折光学素子14Aの位相差に基づくパターンPT2Aを減算することで、空間位相変調器13に出力されるCGHパターンPT3Aが得られる。なお、回折光学素子14の位相差に基づくパターンPT2Aは、図14に示すように、X方向及びY方向のそれぞれで隣り合う凹部14a及び凸部14bにそれぞれ対応してπ/2の位相差(すなわち輝度レベル“64”の差)を有する。この場合も、CGH再生の際はこの逆の操作が行われ、元画像のCGHパターン(出力画像のCGHパターンPT1)を用いて所望の画像(虚像V5)を得ることができる。
図15は、第2変形例による回折光学素子14Bを説明する説明図である。図15は、前出の図4と同様、YZ平面で切断した際の回折光学素子14B及び空間位相変調器13の断面図である。
第2変形例による回折光学素子14Bは、上述した実施例による回折光学素子14に対して、凹部14a及び凸部14bの配置パターンが異なる。具体的には、上述した実施例による回折光学素子14では、規則性を持つ段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)は、Y方向のピッチPt1が空間位相変調器13のピクセル13pのピクセルピッチPt2と同じであるのに対して、第2変形例による回折光学素子14Bでは、規則性を持つ段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)は、Y方向のピッチPt1が空間位相変調器13のピクセル13pのピクセルピッチPt2と異なる。第2変形例による回折光学素子14Bでは、規則性を持つ段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)は、Y方向のピッチPt1が空間位相変調器13のピクセル13pのピクセルピッチPt2の2倍である。
図16は、回折光学素子14BのY方向のピッチPt1と、空間位相変調器13のピクセル13pのピクセルピッチPt2との関係の、1次光の位置に対する影響の説明図である。
図16には、第2変形例による回折光学素子14Bにより形成される1次光の像の位置(虚像V6での位置)が、丸範囲Eg3に示されている。図16には、対比として、上述した実施例による回折光学素子14により形成される1次光の像の位置(虚像V6での位置)が、丸範囲Eg1に示され、比較例による0次光の像の位置(虚像V6での位置)が、丸範囲Eg0に示されている。
このように、回折光学素子14BのY方向のピッチPt1が大きいほど、1次光の結像位置が虚像V6の虚像視認可能領域FVの中央に近づく傾向となる。従って、回折光学素子14BのY方向のピッチPt1は、好ましくは、上述した実施例のように、空間位相変調器13のピクセルピッチPt2と一致する。ただし、丸範囲Eg3に示されるような結像位置が許容されるような構成であれば、第2変形例による回折光学素子14Bのように、回折光学素子14BのY方向のピッチPt1を比較的大きくしてもよい。この場合、回折光学素子14BのY方向のピッチPt1が増加することにより、回折光学素子14Bの製造コストの低減を図ることができる。
なお、図示しないが、上述した第1変形例による回折光学素子14Aについても、X方向のピッチ及び/又はY方向のピッチが、空間位相変調器13のピクセルピッチPt2の2倍等に変更されてもよい。
このようにして回折光学素子14、14A、14Bのように、凹部14a及び凸部14bの配置パターンのバリエーションは多様であり、ピッチPt1についても多様に変更できる。また、一の回折光学素子において、領域ごとにピッチが異なってもよい。ただし、一般的に、一の回折光学素子において、凹部14a及び凸部14bの数が少ないほうが、組付け性や生産性の観点から有利である。従って、回折光学素子14、14A、14Bを比べると、回折光学素子14Aの製造難易度が最も高く、回折光学素子14Bの製造難易度が最も低いことになる。
図17は、第3変形例による回折光学素子14Cを説明する説明図である。図17は、前出の図3と同様、空間位相変調器13側とは逆側から視た回折光学素子14Cの平面図である。図17において、斜線によりハッチングされた領域として図示されたものが凹部14aであり、ハッチングされていない領域として図示されたものが凸部14bである。
第3変形例による回折光学素子14Cは、上述した実施例による回折光学素子14、14A、14Bに対して、凹部14a及び凸部14bの配置パターンが異なる。具体的には、上述した実施例による回折光学素子14、14A、14Bでは、規則性を持つ段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)は、Y方向(第1の方向の一例)、又はY方向及びX方向(第2の方向の一例)に連続して並んでいる。これに対して、第3変形例による回折光学素子14Cでは、規則性を持つ段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)は、Y方向及びX方向(第2の方向の一例)に不連続に並んでいる。この並びは、再現性のある不連続な配列であり、例えば疑似乱数(疑似乱数列)に基づいて並んでいる。この疑似乱数は、疑似乱数アルゴリズム(疑似乱数生成法)を用いて算出されたものである。この疑似乱数は、同一条件(疑似乱数アルゴリズム及び初期シード値が同一)であれば同じ疑似乱数が得られるため、再現性がある。擬似乱数アルゴリズムは、例えば、線形合同法、線形帰還シフトレジスタ、メルセンヌ・ツイスタ、などの種々の疑似乱数アルゴリズムを用いてよい。
第3変形例による回折光学素子14Cでは、Z方向の深さが異なる2パターンの段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)がY方向及びX方向に不連続に並んでいる。ただし、Z方向の深さが異なる段差は、3パターン以上であってもよい。この場合には、Z方向の深さが異なる3パターン以上の段差がY方向及びX方向に不連続に並ぶこととなる。あるいは、回折光学素子14Cの各領域のZ方向の寸法を疑似乱数に基づいて不連続に定めてもよい。
第3変形例による回折光学素子14Cでは、凹部14a及び凸部14bのそれぞれは、空間位相変調器13の各ピクセル13pに対応して位置付けられる。すなわち、一のピクセルには、凹部14a及び凸部14bのうちの一方が対応付けられる。この場合、平面視で(Z方向に視て)、一のピクセルの中心に、凹部14a及び凸部14bのうちの一方の中心が一致するように、凹部14a及び凸部14bのそれぞれは、空間位相変調器13の各ピクセル13pに対応して位置付けられる。
図18は、空間位相変調器13から生じうる0次光の影響の説明図であり、第3変形例による回折光学素子14Cを用いた場合を説明する図である。図18には、第3変形例による回折光学素子14Cを用いて表示される文字“CGH”を含む虚像V8が模式的に示されている。図5の場合と同様、図18では、見やすさを考慮して、右側に、白黒(ネガポジ)を反転させた虚像V8(R)も併せて模式的に示されている。
第3変形例によれば、上述したように、空間位相変調器13に回折光学素子14Cが設けられるので、上述した比較例で生じる不都合を低減できる。具体的には、空間位相変調器13から生じる0次光は、回折光学素子14Cにより1次光として出射され、当該1次光は、図18に模式的に示すように、虚像V8の虚像視認可能領域FV内又は虚像視認可能領域FV外に拡散して結像される。このような1次光は、上述した0次光とは異なり、搭乗者Pに伝達されるべき文字情報“CGH”の近傍に結像されたとしても、搭乗者Pは不快に感じることがない。従って、第3変形例によれば、0次光に起因して生じうる虚像V8の品質の低下を低減できる。
図19は、空間位相変調器13の異常時に空間位相変調器13から生じうる0次光の影響の説明図であり、第3変形例の場合を説明する図である。
比較例の場合と同様、第3変形例の場合も、空間位相変調器13になんらかの異常が発生すると、空間位相変調器13の反射面において全反射が生じうる。しかしながら、第3変形例によれば、比較例とは異なり、空間位相変調器13に回折光学素子14Cが設けられるので、上述した比較例で生じる不都合を低減できる。具体的には、異常時の空間位相変調器13から生じる0次光は、回折光学素子14Cにより1次光として出射される。そして、当該1次光は、図19に模式的に示すように、虚像V9の虚像視認可能領域FV内又は虚像視認可能領域FV外に拡散して結像される。すなわち、図19に示す例では、回折光学素子14Cにより形成される1次光の像が、搭乗者Pの網膜で結像されたとしても、その1次光の像は、拡散されているので、そのそれぞれの像に係る強度も比較例に比べて大幅に低減される。従って、回折光学素子14により形成される1次光の搭乗者Pの目に対する影響を低減できる。
図20は、第3変形例における空間位相変調器13で表示させる画像の位相の調整方法の一例を示す説明図である。図20には、前出の図11と同様、図10に示した5×4のピクセル13pの範囲の位相情報を用いた例が示されている。第3変形例では、図20に模式的に示すように、出力画像のCGHパターンPT1から、回折光学素子14Cの位相差に基づくパターンPT2Cを減算することで、空間位相変調器13に出力されるCGHパターンPT3Cが得られる。なお、回折光学素子14Cの位相差に基づくパターンPT2Cは、図20に示すように、X方向及びY方向に不連続に並ぶ凹部14a及び凸部14bにそれぞれ対応して所定の位相差(例えば輝度レベル“128”の差)を有する。この場合も、CGH再生の際はこの逆の操作が行われ、元画像のCGHパターン(出力画像のCGHパターンPT1)を用いて所望の画像(虚像V8)を得ることができる。
つぎに、第4変形例について説明する。ただし、第4変形例による回折光学素子14Dは、第3変形例による回折光学素子14Cと構成が類似するため、第3変形例と共通する部分については、第3変形例の説明及び図面(図17~図20)を援用する場合がある。
図17に示すように、第4変形例による回折光学素子14Dでは、第3変形例による回折光学素子14Cと同様に、凹部14a及び凸部14bによる段差がY方向及びX方向に不連続に並んでいる。従って、第3変形例による回折光学素子14Cと同様に、0次光に起因して生じうる虚像V8の品質の低下を低減できる。ただし、第3変形例による回折光学素子14Cでは、凹部14a及び凸部14bの並びが再現性のある不連続な配列であったのに対し、第4変形例による回折光学素子14Dでは、凹部14a及び凸部14bの並びが再現性のない不連続な配列となっている。つまり、第4変形例では、回折光学素子14Dの位相差に基づくパターンPT2Dを算出するためのアルゴリズムが存在しない。
そこで、第4変形例では、回折光学素子14Dの段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)に基づく位相差のパターンPT2Dを予め測定し、これを記憶部(不図示)に記憶させる。この記憶部は、制御部3に内蔵されたものであってもよいし、制御部3の外部に設けられるものであってもよい。
第4変形例の制御部3は、出力画像のCGHパターンPT1から、記憶部に記憶されたパターンPT2Dを減算することで、空間位相変調器13に出力されるCGHパターンPT3Dを得る。このような第4変形例によれば、回折光学素子14Dの段差(凹部14a及び凸部14bによる段差)の並びが再現性のない不連続な配列であっても、第3変形例と同様の効果を得ることが可能になる。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施例では、回折光学素子14において、凹部14a及び凸部14bは、Y方向に交互に配置されるが、凹部14a及び凸部14bは、X方向に交互に配置されてもよい。すなわち、凹部14a及び凸部14bは、Y方向に延在する凹条部及び凸条部の形態であり、X方向に交互に配置されてもよい。これは、図3に示すような構成を、90度回転させた構成に対応する。この場合も、Y方向とX方向の関係が逆になるだけであり、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施例では、凹部14a及び凸部14bは、X方向に平行に延在するが、X方向に対して傾斜する方向に延在してもよい。
また、上述した実施例では、回折光学素子14は、0次光が有意に発生しないように、式(1)を満たすような深さΔdを有するように構成されているが、これに限られない。例えば、深さΔdが式(1)を満たさない場合でも、ずれ量が比較的小さい場合は、図5及び図6に示した比較例に比べて有意な効果が得られる。具体的には、例えば、回折光学素子14において生じる位相差がπ/2に対して、±π/4の程度ずれであれば、図5及び図6に示した比較例に比べて有意な効果が得られる。従って、回折光学素子14において生じる位相差は、π/2に対して若干のずれを有してもよい。
また、上述した実施例では、空間位相変調器13は、LCOS-SLM等であり、干渉縞画像を表示することで位相差を生じさせるものであるが、同様の位相差を有する画像(位相画像)を表示できる構成であれば、その構成の詳細は任意である。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーの各ミラーを、面と直交する垂直方向(奥行方向)に物理的に可動することにより、各ミラーで反射するレーザ光の光路長を可変する方式が利用されてもよい。
また、上述した実施例では、単色のレーザ光により虚像Vが生成されるが、複数の色のレーザ光を利用して複数色の虚像V又はフルカラーの虚像Vを生成する構成にも適用できる。例えば、フルカラーの虚像Vを生成する構成としては、例えば、図示しないが、R/G/Bの3原色を切り替え可能に構成されたレーザ光源11を利用して、3原色を時分割に切り替え表示(フィールドシーケンシャル駆動)する構成であってもよい。この場合、回折光学素子14は、R/G/Bの3原色に対して共通に用いられる。この際、式(1)のλの値を、3原色に係る3種類の波長のうちのどの波長に設定するかは、任意であり、例えば、3つの光の波長の平均波長を用いてもよいし、視感度の高い波長(緑)を用いてもよい。
また、フルカラーの虚像Vを生成する構成としては、図示しないが、R/G/Bの各色用の3つの表示器1を備え、これら3つの光をダイクロイックプリズムなどで合成する構成であってもよい。この場合、回折光学素子14は、空間位相変調器13とともに、R/G/Bのそれぞれに対して別々に設けられるので、それぞれの波長を式(1)のλとして、各回折光学素子14の深さΔdが設定されてもよい。
また、上述した実施例では、回折光学素子14は、空間位相変調器13に接着剤により貼付される構成であるが、これに限られない。例えば、回折光学素子14と空間位相変調器13は、僅かな隙間を介して離間してもよい。
また、上述した実施例は、虚像表示装置の一例として、ヘッドアップディスプレイ装置Hに関するものであるが、例えば、ヘッドマウントディスプレイのような他の虚像表示装置にも適用できる。
また、上述した実施例では、空間位相変調器13が反射型の場合を説明したが、空間位相変調器13が透過型であってもよい。空間位相変調器13が透過型の場合は、回折光学素子14は空間位相変調器13の出射面に貼付される。また、レーザ光源11からのレーザ光は空間位相変調器13を通過した後に回折光学素子14を1度通過するため、段差の深さΔdに起因して生じる位相差がπ/2のN倍(Nは奇数)になるとき、0次光の光量の最小化(及びそれに伴う一次光の光量の最大化)が生じる。従って、凹部14aのZ方向の寸法d1及び凸部14bのZ方向の寸法d2は、好ましくは、Δdが、以下の関係になるように設定される。
(n2-n1)×Δd=N×λ/2
すなわちΔd=0.5Nλ/(n2-n1) 式(2)
1 表示器
2 反射鏡
3 制御部
4 ケース
7 インストルメントパネル
10 車両
11 レーザ光源
12 コリメート部
13 空間位相変調器
13p ピクセル
14 回折光学素子
14A 回折光学素子
14B 回折光学素子
14C 回折光学素子
14D 回折光学素子
14a 凹部
14b 凸部
15 接着層
20 液晶表示器
41 出射口
H ヘッドアップディスプレイ装置

Claims (8)

  1. 表示像を虚像として表示する虚像表示装置(H)であって、
    レーザ光を出射するレーザ光源(11)と、
    前記レーザ光を回折する空間位相変調器(13)と、
    前記空間位相変調器(13)の回折光出射面側に設けられた回折光学素子(14)と、
    前記空間位相変調器(13)を制御する制御部(3)と、を備え、
    前記回折光学素子(14)は規則性を持つ段差によって位相差を生じさせ、
    前記制御部(3)は、前記表示像に対応した位相分布から前記規則性に基づく位相差を減算して得られた位相画像を前記空間位相変調器(13)に表示させる、
    ことを特徴とする虚像表示装置。
  2. 前記回折光学素子(14)のピッチは、前記空間位相変調器(13)のピクセルピッチに対応する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の虚像表示装置。
  3. 前記回折光学素子(14)の規則性を持つ段差は、前記レーザ光源(11)の波長λの位相差を、π/2の奇数倍、生じさせる、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の虚像表示装置。
  4. 前記回折光学素子(14)の規則性を持つ段差は、第1の方向に対し前記レーザ光源(11)の波長λの位相差を、π/2の奇数倍、生じさせる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の虚像表示装置。
  5. 前記回折光学素子(14)の規則性を持つ段差は、
    前記第1の方向と直交する第2の方向に対しても前記レーザ光源(11)の波長λの位相差を、π/2の奇数倍、生じさせる、
    ことを特徴とする請求項4に記載の虚像表示装置。
  6. 前記規則性は、所定の方向の前記段差のパターンが疑似乱数アルゴリズムに基づいて不連続に並ぶものであり、
    前記制御部(3)は、前記規則性に基づく位相差を、前記疑似乱数アルゴリズムに基づいて算出し、前記表示像に対応した位相分布から前記規則性に基づく位相差を減算して得られた位相画像を前記空間位相変調器(13)に表示させる、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の虚像表示装置。
  7. 表示像を虚像として表示する虚像表示装置(H)であって、
    レーザ光を出射するレーザ光源(11)と、
    前記レーザ光を回折する空間位相変調器(13)と、
    前記空間位相変調器(13)の回折光出射面側に設けられた回折光学素子(14)と、
    前記空間位相変調器(13)を制御する制御部(3)と、を備え、
    前記回折光学素子(14)は、所定の方向に不連続に並ぶ段差によって位相差を生じさせ、
    予め測定された前記段差に基づく位相差を記憶する記憶部をさらに備え、
    前記制御部(3)は、前記表示像に対応した位相分布から、前記記憶部に記憶された位相差を減算して得られた位相画像を前記空間位相変調器(13)に表示させる、
    ことを特徴とする虚像表示装置。
  8. 表示像を虚像として表示する虚像表示方法であって、
    レーザ光を出射するレーザ光源(11)と、前記レーザ光を回折する空間位相変調器(13)と、前記空間位相変調器(13)の回折光出射面側に設けられ、所定の方向に不連続に並ぶ段差によって位相差を生じさせる回折光学素子(14)と、前記空間位相変調器(13)を制御する制御部(3)と、前記制御部(3)が読み出し可能なデータを記憶する記憶部と、を配置するステップと、
    前記段差に基づく位相差を測定して前記記憶部に記憶させるステップと、
    前記制御部(3)が、前記表示像に対応した位相分布から、前記記憶部に記憶された位相差を減算して得られた位相画像を前記空間位相変調器(13)に表示させるステップと、を含む、
    ことを特徴とする虚像表示方法。
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