JP2023043511A - 整腸用食品組成物 - Google Patents

整腸用食品組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023043511A
JP2023043511A JP2021151185A JP2021151185A JP2023043511A JP 2023043511 A JP2023043511 A JP 2023043511A JP 2021151185 A JP2021151185 A JP 2021151185A JP 2021151185 A JP2021151185 A JP 2021151185A JP 2023043511 A JP2023043511 A JP 2023043511A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
food composition
intestinal regulation
coccomyxa
intestinal
bacteria
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021151185A
Other languages
English (en)
Inventor
裕章 福田
Hiroaki Fukuda
さやか 土田
Sayaka Tsuchida
一成 牛田
Kazunari Ushida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Chubu University
Original Assignee
Denso Corp
Chubu University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp, Chubu University filed Critical Denso Corp
Priority to JP2021151185A priority Critical patent/JP2023043511A/ja
Publication of JP2023043511A publication Critical patent/JP2023043511A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】整腸効果が高い整腸用食品組成物を提供すること。【解決手段】整腸用食品組成物は、微細藻類コッコミクサ由来物質を有効成分として含む。整腸用食品組成物は、例えば、難分解性の炭水化物及び食物繊維の少なくとも一方をさらに含む。微細藻類コッコミクサ由来物質は、例えば、細胞壁と、前記細胞壁に内包されている物質とを含む。細胞壁は、例えば、アルジナンを含む。微細藻類コッコミクサ由来物質は、例えば、食物繊維の分解又は発酵に関与する細菌群を賦活化する。【選択図】図4

Description

本開示は整腸用食品組成物に関する。
いわゆる整腸効果は、以下のようにしてもたらされる。大腸内で食物繊維が発酵することにより、大腸内で酪酸等の短鎖脂肪酸(SCFA)や乳酸が増え、大腸内が酸性環境となる。酸性環境は悪玉菌の増殖を抑制する。また、酪酸は、大腸の蠕動運動や水分吸収を活発化させる。その結果、腸内環境が改善され、整腸効果がもたらされる。
また、大腸内に存在する一部の有用細菌は、大腸の腸管免疫系に直接作用して免疫力を向上させる。有用細菌として、乳酸菌や一部のクロストリジウム菌等が挙げられる。
食物繊維は整腸効果をもたらす。乳酸菌等の酵素は食物繊維の発酵を促すとされている。食物繊維や酵素を摂取できる商品が開発されている(特許文献1)。また、SCFAの産生や腸管免疫に作用する細菌群を摂取できる商品が開発されている(特許文献2)。
特開2001-299276号公報 特表2018-532758号公報
食物繊維を分解する能力は大腸に存在する腸内細菌で決まる。そのため、食物繊維の摂取量が一定の値を超えると、それ以上摂取量を増やしても整腸効果は頭打ちになる。また、SCFAの産生や腸管免疫に作用する細菌群を経口投与した場合、細菌群のほとんどが、大腸に至る前に、胃や小腸で分解される。そのため、SCFAの産生や腸管免疫に作用する細菌群を経口投与しても、整腸効果は生じ難い。さらに、腸内フローラは人による差異が大きく、従来技術で示した対策で期待される効果も個人差が大きく限定的である。本開示の1つの局面では、整腸効果が高い整腸用食品組成物を提供することが好ましい。
本開示の1つの局面は、微細藻類コッコミクサ由来物質を有効成分とする整腸用食品組成物である。本開示の1つの局面である整腸用食品組成物は、整腸効果が高い。
給餌試験前及び給餌試験後に実験区及び対照区から取得した豚の腸内細菌の全データを主成分分析した結果を表すグラフである。 給餌試験前及び給餌試験後に実験区及び対照区から取得した豚の腸内細菌を主成分分析して得られた主成分1の平均値を表すグラフである。 食物繊維を分解又は発酵する53属の細菌群ネットワークを表す説明図である。 主成分1の値とFibrobacterの16SrDNAコピー数割合とをプロットして得られたグラフである。 給餌試験後に実験区及び対照区から取得したサンプル中の短鎖脂肪酸を分析した結果を表すグラフである。 糞中の各短鎖脂肪酸の含有量との相関係数が0.6以上の細菌群を表す説明図である。 給餌試験後に実験区及び対照区から取得したサンプル中の腐敗産物を分析した結果を表すグラフである。 糞中の腐敗産物の含有量と負の相関関係のある細菌群を表す説明図である。 給餌試験後に実験区及び対照区から取得したサンプル中のベイロネラ科の細菌の16SrDNAコピー数割合の結果を表すグラフである。 給餌試験後に実験区及び対照区から取得したサンプル中のクロストリジウムXIVaの細菌の16SrDNAコピー数割合の結果を表すグラフである。 コッコミクサKJ株のヒト摂取試験における摂取前と摂取後の糞便中に含まれるベイロネラ科の細菌の16SrDNAコピー数割合の結果を表すグラフである。 コッコミクサKJ株のヒト摂取試験における摂取前と摂取後の糞便中に含まれるクロストリジウムXIVaの細菌の16SrDNAコピー数割合の結果を表すグラフである。
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
1.整腸用食品組成物
本開示の整腸用食品組成物は、微細藻類コッコミクサ由来物質を有効成分として含む。微細藻類コッコミクサ由来物質とは、微細藻類コッコミクサの全成分又は一部の成分である。微細藻類コッコミクサ由来物質は、例えば、コッコミクサKJ株に由来する物質である。コッコミクサKJ株は、2013年6月4日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(NITE-IPOD)(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に受託番号FERM P-22254として寄託されている。また、コッコミクサKJ株は、2015年6月2日付けで受託番号FERM BP-22254としてブダペスト条約に基づく国際寄託へ移管されている。
微細藻類コッコミクサ由来物質は、例えば、細胞壁と、その細胞壁に内包されている物質とを含む。細胞壁は、微細藻類コッコミクサの細胞壁である。細胞壁に内包されている物質は、微細藻類コッコミクサの一部である。細胞壁に内包されている物質は、例えば、整腸効果を奏する有効成分である。細胞壁は、例えば、アルジナンを含む。
微細藻類コッコミクサ由来物質は、例えば、食物繊維の分解又は発酵に関与する細菌群(以下では特定細菌群とする)を賦活化する。
例えば、特定細菌群の少なくとも一部は、短鎖脂肪酸を産生する能力を有している細菌群である。短鎖脂肪酸を産生する能力を有している細菌群として、例えば、ルミノコッカス科、ラクノスピラ科、セディメンティバクター属、ファスコラルクトバクテリウム属、アロバキュラム属等が挙げられる。ルミノコッカス科の細菌群として、例えば、オシリバクター属、フィーカリバクテリウム属、サブドリグラヌルム属等が挙げられる。ラクノスピラ科の細菌群として、例えば、パラスポロバクテリウム属、マルビンブリアンチア属、シントロフォコッカス属等が挙げられる。特定細菌群が産生する短鎖脂肪酸として、例えば、酪酸、プロピオン酸、酢酸等が挙げられる。
例えば、特定細菌群の少なくとも一部は、糞便臭の元になる腐敗産物の生成を抑制する能力を有している細菌群である。糞便臭の元になる腐敗産物の生成を抑制する能力を有している細菌群として、例えば、プレボテラ科、コリオバクテリア科、アッカーマンシア属等が挙げられる。プレボテラ科の細菌群として、例えば、プレボテラ属、パラプレボテラ属等が挙げられる。コリオバクテリア科の細菌群として、例えば、アドレクラウチア属、エンテロハブダス属等が挙げられる。
微細藻類コッコミクサ由来物質は、例えば、ベイロネラ科の細菌群、及び、クロストリジウムXIVaを賦活化する。クロストリジウムXIVaは酪酸を産生する。本開示の整腸用食品組成物は、例えば、難分解性の炭水化物及び食物繊維の少なくとも一方をさらに含む。
本開示の整腸用食品組成物は、例えば、難分解性の炭水化物及び食物繊維の少なくとも一方をさらに含むことが望ましい。難分解性の炭水化物や食物繊維の摂取により、微細藻類コッコミクサ由来物質による食物繊維の分解・発酵に関与する細菌群ネットワークの活性向上の効果を高めることができる。
なお、個人の腸内フローラを形成する細菌群は、拮抗的あるいは共生的、相補的な関係などによる相互作用ネットワークを形成しており、特定の腸内細菌を摂取しても他細菌群の緩衝的な作用によって変化し難い。そこで、各個人に存在する特有の腸内フローラにおける相互作用ネットワークを形成している細菌群全体に働きかけて活性を上げる整腸用食品組成物の実現を考えた。特に、大腸付近で働く食物繊維の分解・発酵に関与する細菌群は、大腸内での酪酸やプロピオン酸等の短鎖脂肪酸を産生するものが多く、整腸効果に大きく影響する。そこで、食物繊維の分解・発酵に関与する細菌群ネットワークの活性を上げる整腸用食品組成物を実現する。
なお、口から大腸に届く間に存在する消化器官である胃や小腸で殆どの栄養は分解・吸収されてしまうため、大腸付近で働く食物繊維の分解・発酵に関与するネットワーク細菌群に栄養素を届けるためにはカプセルに内包するなどの工夫が必要であった。一方で、野菜などに含まれる食物繊維は人の胃や小腸では分解できないため大腸まで届き、それを分解・発酵する細菌群の餌となって、乳酸や短鎖脂肪酸になる。微細藻類は、細胞壁という殻の中にタンパク質やビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれたものであり、細胞壁の主成分は食物繊維と同じである。つまり、微細藻類の殻の内側にある豊富な栄養素は、細胞壁の分解、つまり、大腸に存在する食物繊維を分解する細菌群の働きにより放出されるものであり、まさに、大腸に届く剤となり得る。しかし、クロレラなど多くの微細藻類の細胞壁は食品加工する上での高圧殺菌や加熱殺菌処理などで破壊されやすく、大腸の手前で栄養素として吸収される割合が多くなる。そこで、細胞壁にアルジナンという硬い成分を含むコッコミクサに着目し、この微細藻類を用いることで、殺菌処理後も大腸に栄養素を届けることが可能になると考えた。
2.整腸用食品組成物の製造方法
(2-1)第1の製造方法
培養したコッコミクサKJ株を用意する。コッコミクサKJ株の藻体密度は、例えば、0.2~0.5g/Lである。遠心分離機を用い、藻体密度が10~20g/Lになるまで濃縮し、濃縮液を得る。120~150℃に加熱したドラムドライヤで濃縮液を乾燥させることで、コッコミクサKJ株の乾燥粉体を得る。コッコミクサKJ株の乾燥粉体は、微細藻類コッコミクサ由来物質及び整腸用食品組成物に対応する。第1の製造方法で製造した整腸用食品組成物は、例えば、家畜用飼料としても用いることができる。原料として、コッコミクサKJ株以外の微細藻類コッコミクサを用いてもよい。
(2-2)第2の製造方法
第1の製造方法の場合と同様にして濃縮液を得る。フェオホルバイドの生成活性を抑制するために、濃縮液を加熱処理する。スプレイドライや凍結乾燥等の乾燥処理により、濃縮液からコッコミクサKJ株の乾燥粉体を得る。コッコミクサKJ株の乾燥粉体は、微細藻類コッコミクサ由来物質及び整腸用食品組成物に対応する。原料として、コッコミクサKJ株以外の微細藻類コッコミクサを用いてもよい。
3.整腸用食品組成物が奏する効果
(1A)本開示の整腸用食品組成物は、整腸効果が高い。
(1B)本開示の整腸用食品組成物が、難分解性の炭水化物及び食物繊維の少なくとも一方をさらに含む場合、整腸効果が一層高い。
(1C)微細藻類コッコミクサ由来物質は、例えば、細胞壁と、その細胞壁に内包されている物質とを含む。この場合、整腸用食品組成物を経口投与したとき、細胞壁は、内包されている物質が胃や小腸で分解又は吸収されてしまうことを抑制する。そのため、細胞壁に内包されている物質は、大腸に到達し易い。その結果、整腸用食品組成物の整腸効果が一層高い。
(1D)細胞壁は、例えば、アルジナンを含む。この場合、細胞壁は、内包されている物質が胃や小腸で分解又は吸収されてしまうことを一層抑制する。そのため、細胞壁に内包されている物質は、大腸に一層到達し易い。その結果、整腸用食品組成物の整腸効果が一層高い。
(1E)例えば、微細藻類コッコミクサ由来物質は、特定細菌群を賦活化する。この場合、整腸用食品組成物の整腸効果が一層高い。
(1F)例えば、微細藻類コッコミクサ由来物質が賦活化する特定細菌群の少なくとも一部は、短鎖脂肪酸を産生する能力を有している。この場合、整腸用食品組成物の整腸効果が一層高い。
(1G)例えば、微細藻類コッコミクサ由来物質が賦活化する特定細菌群の少なくとも一部は、糞便臭の元になる腐敗産物の生成を抑制する能力を有している。この場合、整腸用食品組成物の整腸効果が一層高い。
(1H)例えば、微細藻類コッコミクサ由来物質は、ベイロネラ科の細菌群、及び、クロストリジウムXIVaを賦活化する。この場合、整腸用食品組成物の整腸効果が一層高い。
4.実施例
(4-1)整腸用食品組成物の製造
前記第1の製造方法により、コッコミクサKJ株を原料として、整腸用食品組成物を製造した。整腸用食品組成物は、コッコミクサKJ株の乾燥粉体を含む。コッコミクサKJ株の乾燥粉体は、微細藻類コッコミクサ由来物質に対応する。コッコミクサKJ株の乾燥粉体は、細胞壁と、その細胞壁に内包されている物質とを含む。細胞壁はアルジナンを含む。製造した整腸用食品組成物を、後述する給餌試験で使用した。
(4-2)給餌試験の実施
体重30Kg前後の子豚10匹を実験区と対照区との2群に分けた。実験区及び対照区はそれぞれ5匹から成る。実験区と対照区とのそれぞれについて、2020年12月18日から2021年3月12日まで、給餌試験を行った。給餌試験のときに実験区に与えた飼料は、ベース飼料に0.5%w/wの整腸用食品組成物を混ぜた混合飼料であった。ベース飼料は穀物を含む濃厚飼料であり、具体的にはスーパーホークであった。給餌試験のときに対照区に与えた飼料はベース飼料のみであった。
(4-3)腸内フローラの解析
給餌試験前の2020年12月10日と、給餌試験後の2021年3月12日とにそれぞれ、実験区の5匹及び対照区の5匹から糞便のサンプルを取得した。排便後5分以内にサンプルを専用の容器に回収し、内容物が変化しないように凍結させた。
次に、振盪組織ホモジナイザー装置(Precellys Evolution、Bertin社製)により、取得した糞便中の細菌を破壊し、GENE PREP STAR PI-48(クラボウ製)を用いてDNAを抽出した。抽出したDNAの16SrDNAのV3-V4領域(約430bp)をPCRで増幅させた。次に、Miseqによるアンプリコンシーケンス解析を行い、RDP微生物同定データベースにより、増幅した遺伝子を同定した。
(4-4)腸内フローラの解析結果
前記「(4-3)腸内フローラの解析」の結果に基づき、体調を崩した2匹を除いた8匹について腸内細菌の全データを主成分分析した。その結果を図1に示す。図1における「試験前」とは給餌試験前に取得したサンプルを意味する。「試験後」とは給餌試験後に取得したサンプルを意味する。
図1に示すように、給餌試験前に取得したサンプルでは、実験区と対照区との両方において、主成分1が-1~0の間に納まっていた。給餌試験後に取得したサンプルでは、実験区の主成分1は、対照区の主成分1に比べてプラス方向に移動していた。
図2は、給餌試験前及び給餌試験後に実験区及び対照区から取得した豚の腸内細菌を主成分分析して得られた主成分1の平均値を表す。実験区では、対照区に比べて、主成分1のプラス方向への移動度が大きくなった。プラス方向への移動度とは、給餌試験後に取得したサンプルの主成分1が、給餌試験前に取得したサンプルの主成分1に比べて、プラス方向に移動している度合いである。
主成分1のプラス方向への移動度に影響している細菌群から、因子負荷量の大きい上位18属、及び、その18属との相関係数が0.7以上の細菌群をピックアップした。ピックアップした細菌群の中で相関係数が0.8以上であるの細菌群のネットワークを構築したところ、図3に示すように、食物繊維を分解又は発酵する53属の細菌群ネットワークを見出した。
この53属の細菌群において主成分分析を再度実施した。次に、主成分1の値とFibrobacterの16SrDNAコピー数割合とをプロットした。その結果を図4に示す。Fibrobacterは、図3に示す細菌群ネットワークに存在して食物繊維を分解する細菌である。図4は、子豚の成長とともに大腸内のFibrobacterが多くなり、主成分1のプラス方向の細菌群が多くなること、及び、主成分1のプラス方向への移動度は実験区において顕著に大きくなることを示す。よって、図4は、コッコミクサKJ株が、食物繊維を分解又は発酵する細菌群を賦活化する成分(以下では有効成分とする)を含むことを示している。
なお、有効成分を大腸に届けるためには、有効成分が胃や小腸で分解又は吸収されることを抑制することが好ましい。例えば、有効成分が細胞壁に内包されている場合、有効成分は胃や小腸で分解又は吸収され難い。細胞壁がアルジナンを含む場合、有効成分は胃や小腸で一層分解又は吸収され難い。アルジナンは、微細藻類コッコミクサの細胞壁に含まれる。前記「(4-1)整腸用食品組成物の製造」で製造した整腸用食品組成物は、アルジナンを含む細胞壁と、その細胞壁に内包されている物質とを含む。
給餌試験前の2020年12月10日と、給餌試験後の2021年3月12日とに取得したサンプルについて行った腸内フローラの解析の結果に基づき、図3に示す細菌群ネットワークに含まれる細菌群の16SrDNAコピー割合を求めた。その結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023043511000002
Figure 2023043511000003
細菌群ネットワークに含まれる53属のうち51属において、実験区の細菌群の16SrDNAコピー割合が高い傾向が見られた。
(4-5)糞便中の成分分析
給餌試験後の2021年3月12日に、実験区の5匹及び対照区の5匹から糞便のサンプルを取得した。排便後5分以内にサンプルを専用の容器に回収し、内容物が変化しないように凍結させた。糞便中のSCFA及び腐敗産物を、HPLCにより分析した。SCFAとは、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸である。腐敗産物とは、フェノール、4-エチルフェノール、インドール、p-クレゾール、及びスカトールである。
上記の分析結果のうち、サンプル中の短鎖脂肪酸を分析した結果を図5に示す。実験区で全ての短鎖脂肪酸の含有量が高くなる傾向が見られた。
糞中の各短鎖脂肪酸の含有量との相関係数が0.6以上の細菌群を図6に示す。図6中の「※」印は、主成分1の細菌群ネットワークに含まれる細菌を示す。実験区で糞中の短鎖脂肪酸の含有量が高くなった理由は、コッコミクサKJ株の摂取により、食物繊維を分解又は発酵する細菌群が賦活化したためであると推測される。
次に、上記の分析結果のうち、サンプル中の腐敗産物を分析した結果を図7に示す。実験区で全ての腐敗産物の含有量が低くなる傾向が見られた。糞中の腐敗産物の含有量と負の相関関係のある細菌群を図8に示す。
図8に示す細菌群のうち、Alloprovetella属以外の細菌群は主成分1の細菌群ネットワークに含まれる細菌である。実験区で糞中の腐敗産物の含有量が低くなった理由は、コッコミクサKJ株の摂取により、食物繊維を分解又は発酵する細菌群が賦活化したためであると推測される。腐敗産物は糞便臭の原因物質である。上記の分析結果から、整腸用食品組成物の摂取により糞便臭を抑制できることが確認できた。
また、細菌群ネットワークに含まれる53属以外にも、実験区において16SrDNAコピー割合が高くなる細菌群が見られた。その結果を図9と図10に示す。図9のベイロネラ科の細菌には乳酸を資化してプロピオン酸等のSCFAを産生する細菌が多く存在する。図10のクロストリジウムXIVaは、酪酸産生能のある細菌群が含まることが知られており、これら細菌群の増加も糞便中のSCFAの増加に影響したと考えられる。
豚試験以外にも、コッコミクサKJ株のヒトへの摂取試験も行った。31名の被験者に対して、1.5gのコッコミクサKJ株の錠剤を毎日摂取して貰い、摂取前と30日間の摂取後の糞便中の腸内細菌叢の変化を解析した。その結果、コッコミクサKJ株の摂取によりベイロネラ科の細菌とクロストリジウムXIVaが増加した。その結果を図11と図12に示す。
なお、実施例において豚を用いた試験を行った理由は以下のとおりである。ヒトの腸内細菌叢は、食事や生活習慣などの影響を受けるため、変化やバラツキが生じやすく統計的な解析が難しい。
一方、豚については、与える飼料や生活場を共通にコントロールできるため、腸内細菌叢の変化やバラツキが抑えられ、統計的解析により効果を検証するのに適している。特に、大腸付近で働く食物繊維の分解・発酵に関与する細菌群を賦活化させるといったサプリメント的な使い方の整腸用食品組成物については、摂取割合も1%未満と限られているため、腸内細菌叢の変化やバラツキが抑えられる豚での試験が適している。
ヒトと豚の腸内細菌叢については、フィルミクテス門とバクテロイデス門、プロテオバクテリア門の3細菌が優勢化する共通点があり(参照:ブタ腸管マイクロバイオーム研究から考えるブタの抗菌性成長促進剤(AGP)代替法の開発、東北畜産学会報 68(1):1 ~ 7. 2018)、各腸内細菌の役割も非常に似ていることがNatureでも報告されている(参照:Dirty pigs are healthy pigs. Study finds link between outdoor living and immune health. Nature 2009)。
そこで、ヒトと類似した腸内細菌叢を持つ豚を主に用いて、微細藻類コッコミクサ由来物質を有効成分とする整腸用食品組成物の効果を検証した。
5.他の実施形態
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(5-1)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
(5-2)上述した整腸用食品組成物の他、当該整腸用食品組成物を構成要素とするシステム、整腸用食品組成物の製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。

Claims (9)

  1. 微細藻類コッコミクサ由来物質を有効成分とする整腸用食品組成物。
  2. 請求項1に記載の整腸用食品組成物であって、
    難分解性の炭水化物及び食物繊維の少なくとも一方をさらに含む整腸用食品組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の整腸用食品組成物であって、
    前記微細藻類コッコミクサ由来物質は、細胞壁と、前記細胞壁に内包されている物質とを含む整腸用食品組成物。
  4. 請求項3に記載の整腸用食品組成物であって、
    前記細胞壁はアルジナンを含む整腸用食品組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の整腸用食品組成物であって、
    前記微細藻類コッコミクサ由来物質は、食物繊維の分解又は発酵に関与する細菌群を賦活化する整腸用食品組成物。
  6. 請求項5に記載の整腸用食品組成物であって、
    前記細菌群の少なくとも一部は、短鎖脂肪酸を産生する能力を有している整腸用食品組成物。
  7. 請求項5又は6に記載の整腸用食品組成物であって、
    前記細菌群の少なくとも一部は、糞便臭の元になる腐敗産物を抑制する能力を有している整腸用食品組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の整腸用食品組成物であって、
    前記微細藻類コッコミクサ由来物質は、ベイロネラ科の細菌群、及び、クロストリジウムXIVaを賦活化する整腸用食品組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の整腸用食品組成物であって、
    前記微細藻類コッコミクサ由来物質は、コッコミクサKJ株に由来する物質である整腸用食品組成物。
JP2021151185A 2021-09-16 2021-09-16 整腸用食品組成物 Pending JP2023043511A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021151185A JP2023043511A (ja) 2021-09-16 2021-09-16 整腸用食品組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021151185A JP2023043511A (ja) 2021-09-16 2021-09-16 整腸用食品組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023043511A true JP2023043511A (ja) 2023-03-29

Family

ID=85725323

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021151185A Pending JP2023043511A (ja) 2021-09-16 2021-09-16 整腸用食品組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023043511A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Franz et al. Enterococci as probiotics and their implications in food safety
DE60316772T2 (de) Von menschen oder tieren verwendbare diätetische und/oder pharmazeutische zubereitungen auf basis von probiotischen mikroorganismen
JP5149346B2 (ja) ペットのヘリコバクター種治療用ペットフード組成物
Kantas et al. A feed additive containing Bacillus toyonensis (Toyocerin®) protects against enteric pathogens in postweaning piglets
Geary et al. Effect on weaner pig performance and diet microbiology of feeding a liquid diet acidified to pH 4 with either lactic acid or through fermentation with Pediococcus acidilactici
Snel et al. Dietary strategies to influence the gastro-intestinal microflora of young animals, and its potential to improve intestinal health
CN104611273A (zh) 丁酸梭菌ucn-12菌株及其组合物和应用
WO2019147799A1 (en) Bacillus combination for administration to animals
WO2007058027A1 (ja) バチルス・チューリンゲンシスを含む有害菌の防除剤
Harimurti et al. Probiotics in poultry
RU2708161C1 (ru) Кормовая комплексная биологически активная добавка для животных и птиц
EP1715755A1 (en) Use of live bacteria for growth promotion in animals
JP3648233B2 (ja) 飼料組成物
JP2019064997A (ja) 健康増進組成物
Moarrab et al. Effect of synbiotic on performance, intestinal morphology, fecal microbial population and blood metabolites of suckling lambs
KR102305149B1 (ko) 가축용 보조사료 조성물 및 이의 제조방법
Ushakova et al. Mechanisms of the effects of probiotics on symbiotic digestion
US20020156046A1 (en) Sorbic acid product as addition to feedstuffs in agricultural livestock rearing
KR20200080867A (ko) 발효된 주스박을 유효성분으로 포함하는 조성물
Sharma et al. Microbial and functional feed supplement to improve livestock and poultry productivity with special reference to synbiotics: a review
JP2023043511A (ja) 整腸用食品組成物
Corduk et al. Effects of novel feed additives on performance, carcass traits and E. coli, aerobic bacteria and yeast counts in broilers
Loh et al. Effects of fermented products on performance, faecal pH, Enterobacteriaceae and lactic acid bacteria counts and interrelationships, and plasma cholesterol concentration in rats
JP5970483B2 (ja) 胞子欠損B.テクサスポルス(B.texasporus)細胞、及び効率的且つ費用対効果の高い不活性化のための方法、及びその使用
Amoah The effects of Re-3, a Direct-Fed Microbial (DFM) product on the growth performance, blood profile and carcass characteristics of pigs.

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20240524

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240528