JP2023042975A - 濾材の加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】濾材表面に対するしごきや濾材表面の伸びを抑制しつつ、濾材を波形に加工することができる濾材の加工方法を提供する。【解決手段】濾材の加工方法は、濾材50を第1加工部13のパンチ部材及びダイ部材で挟むことで濾材50の下面から膨出する第1膨出部51を形成する第1ステップと、濾材50を第2加工部15のパンチ部材及びダイ部材で挟むことで濾材50の下面から膨出する第2膨出部52を形成する第2ステップと、濾材50を第1加工部13と第2加工部15の間に配置された第3加工部17のパンチ部材及びダイ部材で挟むことで濾材50の上面から膨出し且つ第1膨出部51と第2膨出部52の間に位置する第3膨出部53を形成する第3ステップと、第2加工部15を第1加工部13に近づく方向に移動させることで第3膨出部53を頂部とする第1波部W1を形成する第4ステップとを含む。【選択図】図4
Description
本発明は、濾材を波形に加工する濾材の加工方法に関し、特に、波形濾材を製造するために好適に用いられ得る濾材の加工方法に関する。
濾材の一例としてワイヤーメッシュなどの金網を複数積層し焼結して一体化した金網積層焼結体からなる濾材が知られている(特許文献1)。また、波形に加工された波形濾材も知られている(特許文献2)
金網積層焼結体からなる濾材(以下「積層焼結金網濾材」という)では、用途に応じて金網の組み合わせを選択することが可能である。但し、逆洗性や洗浄性の面から、積層焼結金網濾材は、濾過対象物を含む流体(気体や液体)が流入する側の面(濾過面)を有する層(金網)の網目(メッシュ)が最も細かく、流出側に向かって層(金網)の網目が段階的に粗くなるように構成されるのが一般的である。
ところで、濾過面の面積を大きくするなどの目的で積層焼結金網濾材を波形に加工する場合、すなわち、積層焼結金網濾材に「波形」形状を付与する場合、濾過面となる濾材表面をできる限り傷つけないように、及び/又は伸ばさないようにする必要がある。具体的には、濾過面となる濾材表面をしごいたり、濾過面となる濾材表面を伸ばしたりすることを最小限に抑える必要がある。これらは、濾過面における網目の大きさのバラツキ、ひいては濾過性能のバラツキを招くからである。
板材を波形に加工するための加工方法は従来から存在するが、従来の加工方法は、板材表面に対するしごきや板材表面の伸びが発生しやすく、積層焼結金網濾材に適用することは難しいという実情がある。そのため、積層焼結金網濾材を波形に加工するための新たな加工方法が要望されている。
なお、このような要望は、積層焼結金網濾材を波形に加工する場合に限られるものではなく、濾材表面に対するしごきや濾材表面の伸びを抑制する必要がある濾材を波形に加工する場合に共通するものである。
そこで、本発明は、濾材表面に対するしごきや濾材表面の伸びを抑制しつつ、濾材を波形に加工することができる濾材の加工方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、濾材を波形に加工する濾材の加工方法が提供される。この濾材の加工方法は、濾材を第1加工部の第1パンチ部材及び第1ダイ部材で挟んで前記濾材の第1面から膨出する断面円弧状の第1膨出部を形成する第1ステップと、前記濾材を第2加工部の第2パンチ部材及び第2ダイ部材で挟んで前記濾材の前記第1面から膨出する断面円弧状の第2膨出部を形成する第2ステップと、前記濾材を前記第1加工部と前記第2加工部との間に配置された第3加工部の第3パンチ部材及び第3ダイ部材で前記濾材を挟んで前記濾材の前記第1面とは反対側の第2面から膨出し且つ前記第1膨出部と前記第2膨出部との間に位置する断面円弧状の第3膨出部を形成する第3ステップと、前記第2膨出部を挟んだ状態の前記第2加工部を前記第1膨出部を挟んだ状態の前記第1加工部に近づく方向に移動させることにより、前記濾材を変形させて前記第3膨出部を頂部とする第1波部を形成する第4ステップと、を含む。
本発明によれば、濾材表面に対するしごきや濾材表面の伸びを抑制しつつ、濾材を波形に加工することができる濾材の加工方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、濾材を加工するための濾材加工装置の第1実施形態の要部構成を模式的に示す断面図であり、図2は、図1に示された濾材加工装置の制御系構成を示すブロック図である。
図1は、濾材を加工するための濾材加工装置の第1実施形態の要部構成を模式的に示す断面図であり、図2は、図1に示された濾材加工装置の制御系構成を示すブロック図である。
第1実施形態に係る濾材加工装置10は、平板状の濾材を「波形」に加工するように、すなわち、濾材に「波形」形状を付与するように構成され、主に複数の波部を有する波形濾材を製造するために使用される。加工される濾材は、主に積層焼結金網濾材である。但し、これに限られるものではなく、濾材加工装置10は、様々な種類の金属製濾材、特に多数の微細な孔を有する金属多孔質材を含む濾材を波形に加工するために利用され得る。
本明細書においては、図1における上下方向を濾材加工装置10及び濾材の上下方向として、図1における紙面奥行方向を濾材加工装置10及び濾材の幅方向として説明する。また、図1における右側を濾材加工装置10及び濾材の前部側とし、図1における左側を濾材加工装置10及び濾材の後部側とし、図1における左右方向を濾材加工装置10及び濾材の前後方向として説明する。さらに、図1において左右方向に延びる二点鎖線は、濾材加工装置10における基準面Rであり、加工される濾材の載置位置(上下方向の位置)を示している。
図1を参照すると、濾材加工装置10は、濾材保持部11と、第1加工部13と、第2加工部15と、第3加工部17とを有している。これらは基準面Rに沿って前後方向に互いに離隔して配置されている。具体的には、濾材加工装置10の後部側から前部側に向かって、濾材保持部11、第2加工部15、第3加工部17及び第1加工部13がこの順に並んで配置されている。
また、図2を参照すると、濾材加工装置10は、制御部20と、濾材保持部11を駆動する保持部駆動機構21と、第1加工部13を駆動する第1駆動機構23と、第2加工部15を駆動する第2駆動機構25と、第3加工部17を駆動する第3駆動機構27と、オペレータが指令を入力する入力部29とを有している。制御部20は、オペレータが入力部29に所定の指令を入力することにより、保持部駆動機構21、第1駆動機構23、第2駆動機構25及び第3駆動機構27を適宜制御するように構成されている。
図1に戻り、濾材保持部11は、濾材加工装置10の後部側に配置されている。濾材保持部11は、基準面Rを挟んで上下に対向する上側保持部材111と下側保持部材112とを有している。
上側保持部材111は、基準面Rの上側に配置されている。上側保持部材111は、上下方向に移動可能に構成されている。本実施形態において、上側保持部材111は、幅方向に延びる直方体状のブロック部材として形成されており、平坦な下面を有している。
下側保持部材112は、基準面Rの下側に配置されて固定されている。本実施形態において、下側保持部材112は、上側保持部材111と同様、幅方向に延びる直方体状のブロック部材として形成されており、平坦な上面を有している。下側保持部材112の上面の上下方向の位置は、基準面Rに一致している。
濾材保持部11の上側保持部材111は、保持部駆動機構21によって上下方向に駆動される。具体的には、本実施形態において、保持部駆動機構21は、制御部20からの制御信号に基づき、上側保持部材111を下側保持部材112から離隔した解放位置(図1に示された位置)と下側保持部材112に近接した保持位置(図1に破線で示された位置)との間で移動させることが可能に構成されている。
第1加工部13は、濾材加工装置10の前部側に配置されている。第1加工部13は、3つの加工部(第1加工部13、第2加工部15及び第3加工部17)のうち、前後方向において濾材保持部11から最も離れて位置している。第1加工部13は、基準面Rを挟んで上下に対向する第1パンチ部材131と第1ダイ部材132とを有している。
第1パンチ部材131は、濾材を押圧する押圧部材であり、基準面Rの上側に配置されている。第1パンチ部材131は、上下方向に移動可能に構成されている。本実施形態において、第1パンチ部材131は、前後方向に所定の厚さTを有すると共に上下方向及び幅方向に延びる板状部材として形成されている。第1パンチ部材131の先端面(下端面)131aは、下側に凸となる凸湾曲面として形成されている。つまり、第1パンチ部材131は、下側に凸となる凸湾曲面として形成された先端面(下端面)131aと、前後方向に距離Tだけ離隔した一対の平坦面131b,131bとを有している。
第1ダイ部材132は、第1パンチ部材131の先端部を受容可能な受け部材である。第1ダイ部材132は、基準面Rの下側に配置されて固定されている。本実施形態において、第1ダイ部材132は、幅方向に延びると共に前後方向の厚さが第1パンチ部材131のそれとほぼ同じであるブロック部材として形成されている。第1ダイ部材132の上面は、下側に凹となる凹湾曲部132aと、前後方向に凹湾曲部132aを挟む一対の平坦部132b,132bとで構成されている。凹湾曲部132aは、凸湾曲面として形成された第1パンチ部材131の先端面(下端面)131aに対応するように形成されている。一対の平坦部132b,132bの上下方向の位置は、基準面Rに一致している。
第1加工部13の第1パンチ部材131は、第1駆動機構23によって上下方向に駆動される。具体的には、本実施形態において、第1駆動機構23は、制御部20からの制御信号に基づき、第1パンチ部材131を第1ダイ部材132から離隔した第1退避位置(図1に示された位置)と第1ダイ部材132に近接した第1押圧位置(図1に破線で示された位置)との間で移動させることが可能に構成されている。前記第1退避位置は、基準面Rから上方に比較的大きく離隔した位置に設定される。
第2加工部15は、3つの加工部のうち、前後方向において濾材保持部11の最も近くに位置している。第2加工部15は、基準面Rを挟んで上下に対向する第2パンチ部材151と第2ダイ部材152とを有している。第2加工部15は、前後方向に移動可能に構成されている。
第2パンチ部材151は、濾材を押圧する押圧部材であり、基準面Rの上側に配置されている。第2パンチ部材151は、上下方向に移動可能に構成されている。第2パンチ部材151は、第1パンチ部材131と同様の形状を有する。すなわち、第2パンチ部材151は、前後方向に所定の厚さTを有すると共に上下方向及び幅方向に延びる板状部材として形成されている。また、第2パンチ部材151は、下側に凸となる凸湾曲面として形成された先端面(下端面)151aと、前後方向に距離Tだけ離隔した一対の平坦面151b,151bとを有している。なお、第2パンチ部材151の上下方向の移動距離は、第1パンチ部材131のそれと比べて小さく(短く)てもよい。
第2ダイ部材152は、第2パンチ部材151の先端部を受容可能な受け部材である。第2ダイ部材152は、基準面Rの下側に配置されている。第2ダイ部材152は、第1ダイ部材132と同様に、幅方向に延びると共に前後方向の厚さが第2パンチ部材151のそれとほぼ同じであるブロック部材として形成されている。第2ダイ部材152の上面は、下側に凹となる凹湾曲部152aと、前後方向に凹湾曲部152aを挟む一対の平坦部152b,152bとで構成されている。凹湾曲部152aは、凸湾曲面として形成された第2パンチ部材151の先端面(下端面)151aに対応するように形成され、一対の平坦部152b,152bの上下方向の位置は、基準面Rに一致している。
第2加工部15(第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152)は、第2駆動機構25によって前後方向に駆動される。また、第2加工部15の第2パンチ部材151は、第2駆動機構25によって上下方向に駆動される。
具体的には、本実施形態において、第2駆動機構25は、制御部20からの制御信号に基づき、第2加工部15(第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152)を濾材保持部11と第3加工部17との間で移動させることが可能に構成されている。換言すれば、第2駆動機構25は、第2加工部15を第1加工部13に近づく方向及び第1加工部13から離れる方向に移動させることが可能に構成されている。
また、第2駆動機構25は、制御部20からの制御信号に基づき、第2パンチ部材151を第2ダイ部材152から離隔した第2退避位置(図1に示された位置)と第2ダイ部材152に近接した第2押圧位置(図1に破線で示された位置)との間で移動させることが可能に構成されている。
第3加工部17は、前後方向における第1加工部13と第2加工部15との間に設けられている。第3加工部17は、基準面Rを挟んで上下に対向する第3パンチ部材171と第3ダイ部材172とを有している。第3加工部17は、第2加工部15と同様に、前後方向に移動可能に構成されている。
第3パンチ部材171は、濾材を押圧する押圧部材であり、基準面Rの下側に配置されている。第3パンチ部材171は、上下方向に移動可能に構成されている。第3パンチ部材171は、第1パンチ部材131及び第2パンチ部材151と同様に、前後方向に所定の厚さTを有すると共に上下方向及び幅方向に延びる板状部材として形成されている。但し、第3パンチ部材171は、基準面Rの下側に配置されているため、第1パンチ部材131及び第2パンチ部材151とは上下が逆である。つまり、第3パンチ部材171は、上側に凸となる凸湾曲面として形成された先端面(上端面)171aと、前後方向に距離Tだけ離隔した一対の平坦面171b,171bとを有している。一対の平坦面171b,171bの一方は、第1加工部13側に位置し、一対の平坦面171b,171bの他方は、第2加工部15側に位置している。
第3ダイ部材172は、第3パンチ部材171の先端部を受容可能な受け部材である。第3ダイ部材172は、基準面Rの上側に配置されている。第3ダイ部材172は、上下方向に移動可能に構成されている。第3ダイ部材172は、第1ダイ部材132及び第2ダイ部材152と同様に、幅方向に延びると共に前後方向の厚さが第3パンチ部材171のそれとほぼ同じであるブロック部材として形成されている。但し、第3ダイ部材172は、基準面Rの上側に配置されているため、第1ダイ部材132及び第2ダイ部材152とは上下が逆である。つまり、第3ダイ部材172の下面は、上側に凹となる凹湾曲部172aと、前後方向に凹湾曲部172aを挟む一対の平坦部172b,172bとで構成されている。凹湾曲部172aは、凸湾曲面として形成された第3パンチ部材171の先端面(上端面)171aに対応するように形成されている。
第3加工部17(第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172)は、第3駆動機構27によって前後方向に駆動される。また、第3加工部17の第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172は、それぞれ第3駆動機構27によって上下方向に駆動される。
具体的には、本実施形態において、第3駆動機構27は、制御部20からの制御信号に基づき、第3加工部17(第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172)を第1加工部13と第2加工部15との間で移動させることが可能に構成されている。換言すれば、第3駆動機構27は、第3加工部17を第1加工部13に近づく方向及び第1加工部13から離れる方向に移動させることが可能に構成されている。
また、第3駆動機構27は、制御部20からの制御信号に基づき、第3ダイ部材172を基準面Rから離隔した離隔位置(図1に示された位置)と基準面Rに近接した近接位置(図1に破線で示された位置)との間で移動させることが可能に構成されている。前記離隔位置は、前記第1退避位置と同様に、基準面Rから上方に比較的大きく離隔した位置に設定される。前記近接位置は、前記載置位置に載置された濾材の上面に接触する位置に設定される。
さらに、第3駆動機構27は、制御部20からの制御信号に基づき、第3パンチ部材171を基準面Rから離隔した第3退避位置(図1に示された位置)と第3押圧位置(図1に破線で示される位置)との間で移動させることが可能に構成されている。前記第3押圧位置は、前記近接位置にある第3ダイ部材172に近接する位置である。
ここで、図1に示された各部の前後方向に位置が各部の前後方向の初期位置である。また、濾材加工装置10における上記各部の初期位置の間隔は、加工により濾材に付与される「波形」形状における各波部の高さ(波高さ)に応じて設定され、第1パンチ部材131、第2パンチ部材151及び第3パンチ部材171の前後方向の厚さTは、加工により濾材に付与される「波形」形状における各波部の幅(波幅)に応じて設定される。
次に、第1実施形態に係る濾材加工装置10を用いて濾材を波形に加工する(波形濾材を製造する)場合の一例について図3~図7を参照して説明する。なお、特に限定されるものではないが、加工される平板状の濾材の厚みは、例えば2mmである。また、第1パンチ部材131、第2パンチ部材151及び第3パンチ部材171の先端面(凸湾曲面)131a、151a、171aの曲率半径は、例えば6mmであり、第1ダイ部材132、第2ダイ部材152及び第3ダイ部材172の凹湾曲部132a、152a、172aの曲率半径は、例えば8mmである。
第1実施形態に係る濾材加工装置10を用いて濾材を加工する(波形濾材を製造する)場合、図3(a)に示されるように、加工される濾材50が前記載置位置(基準面R)に載置される。このとき、濾材保持部11、第1加工部13、第2加工部15及び第3加工部17は、それぞれの初期位置に位置している。そして、濾材50が載置された後に、オペレータが入力部29に加工指令を入力すると、制御部20が保持部駆動機構21、第1駆動機構23、第2駆動機構25及び第3駆動機構27を適宜制御し、これによって濾材加工装置10は、以下のように動作する。
まず、濾材加工装置10は、図3(b)に示されるように、濾材保持部11の上側保持部材111を前記解放位置から前記保持位置に移動させ、第1加工部13の第1パンチ部材131を前記第1退避位置から前記第1押圧位置に移動させ、及び第2加工部15の第2パンチ部材151を前記第2退避位置から前記第2押圧位置に移動させる。
これにより、濾材保持部11は、濾材50を上側保持部材111及び下側保持部材112によって上下から挟んで保持する。また、第1加工部13は、濾材50を第1パンチ部材131及び第1ダイ部材132によって上下から挟む。そして、第1加工部13は、凸湾曲面として形成された第1パンチ部材131の先端面(下端面)131aと第1ダイ部材132の上面の凹湾曲部132aとの協働により、濾材50の下面から下方に膨出する断面円弧状の第1膨出部51を形成する(第1ステップに相当)。さらに、第2加工部15は、濾材50を第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152によって上下から挟む。そして、第2加工部15は、凸湾曲面として形成された第2パンチ部材151の先端面(下端面)151aと第2ダイ部材152の上面の凹湾曲部152aとの協働により、濾材50の下面から下方に膨出する断面円弧状の第2膨出部52を形成する(第2ステップに相当)。濾材50において、第1膨出部51及び第2膨出部52は、前後方向に互いに離隔し、第2膨出部52は、第1膨出部51の後方に位置している。
次に、濾材加工装置10は、図3(c)に示されるように、第3加工部17の第3ダイ部材172を前記離隔位置から前記近接位置に移動させ、その後、第3加工部17の第3パンチ部材171を前記第3退避位置から前記第3押圧位置に移動させる。
これにより、第3加工部17は、濾材50を第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172によって上下から挟む。そして、第3加工部17は、凸湾曲面として形成された第3パンチ部材171の先端面(上端面)171aと第3ダイ部材172の下面の凹湾曲部172aとの協働により、濾材50の上面から上方に膨出する断面円弧状の第3膨出部53を形成する(第3ステップに相当)。濾材50において、第3膨出部53は、第1膨出部51と第2膨出部52との間に位置し、第1膨出部51及び第2膨出部52とは反対方向に膨出している。
次に、濾材加工装置10は、図4(a)に示されるように、濾材保持部11の上側保持部材111を前記保持位置から前記解放位置に移動させる。これにより、濾材保持部11による濾材50の保持が解除される。
次に、濾材加工装置10は、図4(b)に示されるように、第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152によって第2膨出部52を挟んだ状態にある第2加工部15を前方、すなわち、第1パンチ部材131及び第1ダイ部材132によって第1膨出部51を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向に移動させる。また、濾材加工装置10は、第2加工部15の移動に併せて、第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172によって第3膨出部53を挟んだ状態にある第3加工部17を前方及び上方に、すなわち、第1パンチ部材131及び第1ダイ部材132によって第1膨出部51を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向及び第3膨出部53の膨出方向に移動させる。
これにより、濾材50の第1加工部13と第2加工部15との間にある部位は、第2加工部15及び第3加工部17の移動に伴い、第3加工部17の第3パンチ部材171に巻き付くように変形する。
そして、第3加工部17が第1加工部13に隣接する第1位置まで移動し、及び第2加工部15が第3加工部17に隣接する第2位置まで移動すると、図4(c)に示されるように、濾材50の第1膨出部51と第3膨出部53との間にある部位が第3パンチ部材171の一対の平坦面171b,171bの一方に接触又は接近し、且つ濾材50の第2膨出部52と第3膨出部53との間にある部位が第3パンチ部材171の一対の平坦面171b,171bの他方に接触又は接近する。また、このとき、濾材50の第1膨出部51と第3膨出部53との間にある前記部位は、第1パンチ部材131の平坦面131bと第3パンチ部材171の平坦面171bとに挟まれ、濾材50の第2膨出部52と第3膨出部53との間にある前記部位は、第2パンチ部材151の平坦面151bと第3パンチ部材171の平坦面171bとに挟まれる。これにより、第3膨出部53を頂部とする第1波部W1が形成される(第4ステップに相当)。
次に、濾材加工装置10は、図5(a)に示されるように、第2加工部15の第2パンチ部材151を前記第2押圧位置から前記第2退避位置に移動させ、その後、第2加工部15を前記第2位置から濾材保持部11に近い第3位置まで移動させる。つまり、濾材加工装置10は、第2加工部15を第2膨出部52から解放し、第2膨出部52を挟んでいない状態の第2加工部15を第1加工部13から離れる方向に移動させる。前記第3位置は、前記第2加工部の初期位置(図3(a)参照)よりも後方の位置である。
次に、濾材加工装置10は、図5(b)に示されるように、濾材保持部11の上側保持部材111を前記解放位置から前記保持位置に移動させ、及び第2加工部15の第2パンチ部材151を前記第2退避位置から前記第2押圧位置に移動させる。
これにより、濾材保持部11は、第1波部W1を有する濾材50を上側保持部材111及び下側保持部材112によって上下から挟んで保持する。また、第2加工部15は、第1波部W1を有する濾材50を第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152によって上下から挟む。そして、第2加工部15は、凸湾曲面として形成された第2パンチ部材151の先端面(下端面)151aと第2ダイ部材152の上面の凹湾曲部152aとの協働により、濾材50の下面から下方に膨出する断面円弧状の新たな膨出部(以下「第4膨出部54」という)を形成する(第5ステップに相当)。第4膨出部54は、第2膨出部52の後方に位置する。別の言い方をすれば、第4膨出部54は、第2膨出部52を挟んで第1波部W1とは反対側に位置している。
次に、濾材加工装置10は、図5(c)に示されるように、濾材保持部11の上側保持部材111を前記保持位置から前記解除位置に移動させ、第1加工部13の第1パンチ部材131を前記第1押圧位置から前記第1退避位置に移動させる。また、濾材加工装置10は、第3加工部17の第3パンチ部材171を前記第3押圧位置から前記第3退避位置に移動させ、及び第3加工部17の第3ダイ部材172を前記近接位置から前記離隔位置に移動させ、その後、第3加工部17を後方に移動させて第3加工部17の前後方向の位置をその初期位置に戻す。つまり、濾材加工装置10は、第1波部W1を有する濾材50の濾材保持部11による保持を解除すると共に、第1加工部13を第1膨出部51から解放する。また、濾材加工装置10は、第3加工部17を第3膨出部53から解放し、第3膨出部53を挟んでいない状態の第3加工部17を第1加工部13から離れる方向に移動させる。
これにより、第1波部W1を有する濾材50は、第2加工部15(第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152)のみで挟まれた状態となる。また、第3加工部17は、その初期位置に位置する。
次に、濾材加工装置10は、図6(a)に示されるように、第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152によって第4膨出部54を挟んだ状態にある第2加工部15を前方に移動させて第2加工部15の前後方向の位置をその初期位置に戻す。
これにより、第1波部W1を有する濾材50が前方へと送られる。具体的には、第1波部W1を有する濾材50は、第1波部W1が第1加工部13に対応する位置を通過すると共に第2膨出部52が第1加工部13に対応する位置に位置するように前方に移動する。また、第2加工部15は、その初期位置に位置する。
次に、濾材加工装置10は、図6(b)に示されるように、濾材保持部11の上側保持部材111を前記解除位置から前記保持位置に移動させ、及び第1加工部13の第1パンチ部材131を前記第1退避位置から前記第1押圧位置に移動させる。
これにより、濾材保持部11は、第1波部W1を有する濾材50を上側保持部材111及び下側保持部材112によって上下から挟んで保持する。また、第1加工部13は、第1波部W1を有する濾材50の第2膨出部52を第1パンチ部材131及び第1ダイ部材132によって上下から挟む(第6ステップに相当)。なお、このとき、第1パンチ部材131の平坦面131bが第1波部W1(具体的には、第1波部W1の一部である濾材50の第2膨出部52と第3膨出部53との間にある部位)に接触又は接近する。
次に、濾材加工装置10は、図6(c)に示されるように、第3加工部17の第3ダイ部材172を前記離隔位置から前記近接位置に移動させ、その後、第3加工部17の第3パンチ部材171を前記第3退避位置から前記第3押圧位置に移動させる。
これにより、第3加工部17は、第1波部W1を有する濾材50を第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172によって上下から挟む。そして、第3加工部17は、凸湾曲面として形成された第3パンチ部材171の先端面(上端面)171aと第3ダイ部材172の下面の凹湾曲部172aとの協働により、濾材50の上面から上方に膨出する断面円弧状の新たな膨出部(以下「第5膨出部55」という)を形成する(第7ステップに相当)。第5膨出部55は、第2膨出部52と第4膨出部54との間に位置する。
次に、濾材加工装置10は、図7(a)に示されるように、濾材保持部11の上側保持部材111を前記保持位置から前記解放位置に移動させる。これにより、第1波部W1を有する濾材50の濾材保持部11による保持が解除される。
次に、濾材加工装置10は、図7(b)に示されるように、第4膨出部54を挟んだ状態にある第2加工部15を前方、すなわち、第2膨出部52を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向に移動させる。また、濾材加工装置10は、第2加工部15の移動に併せて、第5膨出部55を挟んだ状態にある第3加工部17を前方及び上方に、すなわち、第2膨出部52を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向及び第5膨出部55の膨出方向に移動させる。
これにより、第1波部W1を有する濾材50の第1加工部13と第2加工部15との間にある部位は、第2加工部15及び第3加工部17の移動に伴い、第3加工部17の第3パンチ部材171と第1加工部13の第1パンチ部材131のそれぞれに巻き付くように変形する。
そして、第3加工部17が第1加工部13に隣接する前記第1位置まで移動し、及び第2加工部15が第3加工部17に隣接する前記第2位置まで移動すると、図7(c)に示されるように、第1波部W1を有する濾材50の第2膨出部52と第5膨出部55との間にある部位が第3パンチ部材171の一対の平坦面171b,171bの一方に接触又は接近し、且つ第1波部W1を有する濾材50の第4膨出部54と第5膨出部55との間にある部位が第3パンチ部材171の一対の平坦面171b,171bの他方に接触又は接近する。また、このとき、第1波部W1を有する濾材50の第2膨出部52と第5膨出部55との間にある部位は、第1パンチ部材131の平坦面131bと第3パンチ部材171の平坦面171bとに挟まれ、及び第1波部W1を有する濾材50の第4膨出部54と第5膨出部55との間にある部位は、第2パンチ部材151の平坦面151bと第3パンチ部材171の平坦面171bとに挟まれる。これにより、第5膨出部55を頂部とする第2波部W2が形成され、同時に、第2膨出部52を頂部とする第3波部W3が形成される(第8ステップに相当)。
以降、図5~図7に示される動作が繰り返されることにより、濾材50に波部が順次形成され、図8(a)に示されるような波形濾材50Wが形成される。なお、第2加工部15及び第3加工部17の第1加工部13に近づく方向の移動量を調整することにより、図8(b)に示されるような波形濾材50Wを形成することも可能である。
以上説明したように、第1実施形態に係る濾材加工装置10は、濾材50を第1加工部13の第1パンチ部材131及び第1ダイ部材132で挟んで濾材50の下面から下方に膨出する断面円弧状の第1膨出部51を濾材50に形成し、濾材50を第2加工部15の第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152で挟んで濾材の下面から下方に膨出する断面円弧状の第2膨出部52を濾材50に形成し、及び濾材50を第3加工部17の第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172で挟んで濾材50の上面から上方に膨出する断面円弧状の第3膨出部53を濾材50に形成する。ここで、第3加工部17は、第1加工部13と第2加工部15との間に設けられており、第3膨出部53は、第1膨出部51と第2膨出部52との間に位置する。
そして、濾材加工装置10は、第2膨出部52を挟んだ状態の第2加工部15を第1膨出部51を挟んだ状態の第1加工部13に近づく方向に移動させると共に第3膨出部53を挟んだ状態の第3加工部17を第1膨出部51を挟んだ状態の第1加工部13に近づく方向及び第3膨出部53の膨出方向に移動させることにより、濾材50を変形させて第3膨出部53を頂部とする第1波部W1を形成する。
また、濾材加工装置10は、濾材50に第1波部W1を形成した後、第1波部W1を有する濾材50の第2膨出部52を第1加工部13の第1パンチ部材131及び第1ダイ部材132で挟み、第1波部W1を有する濾材50を第2加工部15の第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152で挟んで濾材50の下面から下方に膨出する断面円弧状の第4膨出部54を、第1波部W1を有する濾材50に形成し、及び第1波部W1を有する濾材50を第3加工部17の第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172で挟んで濾材50の上面から上方に膨出する断面円弧状の第5膨出部55を、第1波部W1を有する形成された濾材50に形成する。ここで、第4膨出部54は、第2膨出部52を挟んで第1波部W1とは反対側に位置し、第5膨出部55は、第2膨出部52と第4膨出部54との間に位置する。
そして、濾材加工装置10は、第4膨出部54を挟んだ状態の第2加工部15を第2膨出部52を挟んだ状態の第1加工部13に近づく方向に移動させると共に第5膨出部55を挟んだ状態の第3加工部17を第2膨出部52を挟んだ状態の第1加工部13に近づく方向及び第5膨出部55の膨出方向に移動させることにより、第1波部W1を有する濾材50を変形させて第5膨出部55を頂部とする第2波部W2及び第2膨出部52を頂部とする第3波部W3を形成するように形成されている。
このように、濾材加工装置10は、まずパンチ部材及びダイ部材で濾材50を挟むことで波部の頂部となる断面円弧状の膨出部を濾材50に形成し、形成された膨出部をパンチ部材及びダイ部材で挟んだ状態で濾材50を変形させて波部を形成する。このため、波部を形成する際に、濾材表面が(パンチ部材によって)しごかれたり、濾材表面が伸びたりすることが抑制される。したがって、濾過面となる濾材表面における網目の大きさのバラツキ、ひいては濾過性能のバラツキが抑制され得る。
ここで、上述の実施形態において、濾材加工装置10は、第1波部W1を濾材50に形成した後、第2加工部15を移動させ、第1波部W1を有する濾材50を第2加工部15の第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152で挟み、及び第1波部W1を有する濾材50を挟んだ状態にある第2加工部15を移動させることにより、第2膨出部52が第1加工部13に対応する位置に位置するように第1波部W1を有する濾材50を移動させている。つまり、濾材加工装置10は、第2加工部15を利用して濾材50を移動させている。
しかし、これに限られるものではない。濾材加工装置10は、濾材50を移動させる送り機構を有してもよい。この場合、濾材加工装置10は、第1波部W1を濾材50に形成した後、前記送り機構により、第2膨出部52が第1加工部13に対応する位置に位置するように第1波部W1を有する濾材50を移動させることができる。そして、濾材加工装置10は、第1波部W1を有する濾材50の第2膨出部52を第1加工部13の第1パンチ部材131及び第1ダイ部材132によって挟み、第2加工部15をその初期位置に移動させると共に第1波部W1を有する濾材50を第2加工部15の第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152で挟んで第4膨出部54を形成し、及び第3加工部17をその初期位置に移動させると共に第1波部W1を有する濾材50を第3加工部17の第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172で挟んで第5膨出部55を形成するように構成され得る。
また、上述の実施形態において、濾材加工装置10は、オペレータが入力部29に入力した前記加工指令に基づき濾材50を波形に加工することで波形濾材50Wを製造している。しかし、これに限られるものではなく、濾材加工装置10による一連の動作の一部が手動で行われてもよい。
[第2実施形態]
図9は、濾材を波形に加工する濾材加工装置の第2実施形態の要部構成を模式的に示す断面図であり、図10は、図9に示された濾材加工装置の制御系構成を示すブロック図である。なお、図9、図10において、第1実施形態に係る濾材加工装置と共通する要素については同一の符号が用いられている。また、以下では、主に第1実施形態に係る濾材加工装置と相違する構成や動作等について説明され、共通する構成や動作等についての説明は適宜省略される場合がある。
図9は、濾材を波形に加工する濾材加工装置の第2実施形態の要部構成を模式的に示す断面図であり、図10は、図9に示された濾材加工装置の制御系構成を示すブロック図である。なお、図9、図10において、第1実施形態に係る濾材加工装置と共通する要素については同一の符号が用いられている。また、以下では、主に第1実施形態に係る濾材加工装置と相違する構成や動作等について説明され、共通する構成や動作等についての説明は適宜省略される場合がある。
第1実施形態に係る濾材加工装置10と第2実施形態に係る濾材加工装置10との主な相違は、第2実施形態に係る濾材加工装置10は、第3加工部17が濾材50に対して取り付け及び取り外し可能に構成されていること、及び第3駆動機構27を有していないことである。
第2実施形態に係る濾材加工装置10において、第3加工部17は、図9に示されるように、幅方向の両端部に配置される一対の締結具(例えばネジ部材)173,173を含み、締結具173,173によって第3パンチ部材171を第3ダイ部材172に締結すること及び第3パンチ部材171と第3ダイ部材172を分離することが可能に構成されている。このため、第3パンチ部材171には、一対の締結具173,173が螺合する一対のネジ穴171c,171cが形成され、第3ダイ部材172には、一対の締結具173,173を挿通させる一対の挿通孔172c,172cが形成されている。但し、図9には、一対の締結具173,173の一方のみ、一対のネジ穴171c,171cの一方のみ、及び一対の挿通孔172c,172cの一方のみが示されている。
次に、第2実施形態に係る濾材加工装置10を用いて濾材を波形に加工する(波形濾材を製造する)場合の一例について、図11~図15を参照して説明する。
第2実施形態に係る濾材加工装置10を用いて濾材を加工する(波形濾材を製造する)場合においても、第1実施形態に係る濾材加工装置10を用いる場合と同様、加工される濾材50が前記載置位置(基準面R)に載置される(図11(a)参照)。このとき、濾材保持部11、第1加工部13及び第2加工部15は、それぞれの初期位置に位置しており、第3加工部17は、配置されていない(第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172が破線で示されている)。
濾材50が載置された後に、オペレータは、入力部29に第1指令を入力する。第1指令が入力されると、濾材加工装置10は、図11(b)に示されるように、濾材50を濾材保持部11の上側保持部材111及び下側保持部材112によって上下から挟んで保持する。また、濾材加工装置10は、濾材50を第1加工部13の第1パンチ部材131及び第1ダイ部材132によって上下から挟んで濾材50の下面から下方に膨出する断面円弧状の第1膨出部51を形成する(第1ステップに相当)。さらに、濾材加工装置10は、濾材50を第2加工部15の第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152によって上下から挟んで濾材50の下面から下方に膨出する断面円弧状の第2膨出部52を第1膨出部51の後方に形成する(第2ステップに相当)。
次に、オペレータは、図11(c)に示されるように、第3加工部17を濾材50の第1加工部13と第2加工部15との中間部に取り付ける。具体的には、オペレータは、濾材50の第1加工部13と第2加工部15との中間部において、第3パンチ部材171を濾材50の下面側に配置し、第3ダイ部材172を濾材50の上面側に配置し、一対の締結具173,173によって第3パンチ部材171と第3ダイ部材172とを連結する。また、オペレータは、入力部29に第2指令を入力する。第2指令が入力されると、濾材加工装置10は、図11(c)に示されるように、濾材50の濾材保持部11による保持を解除する。
次に、オペレータは、一対の締結具173,173を操作して第3パンチ部材171を第3ダイ部材172に対して締め付ける。つまり、濾材50を第3加工部17の第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172によって上下から挟む。これにより、図12(a)に示されるように、濾材50の上面から上方に膨出する第3膨出部53が形成される(第3ステップに相当)。また、このとき、第3加工部17が第2加工部15を引き寄せながら上昇して濾材50が上方に凸となるように湾曲変形する。具体的には、一対の締結具173,173により第3パンチ部材171を第3ダイ部材172に対して締め付けることにより、濾材50の上面から上方に突出する第3膨出部53が第1膨出部51と第2膨出部52との間に形成されると共に、第3加工部17が第3膨出部53の膨出方向に移動し、及び第2膨出部52を挟んだ状態にある第2加工部15が第1膨出部51を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向に移動して濾材50の第1加工部13と第2加工部15との間の部位が第3膨出部53の膨出方向に凸となるように湾曲変形する。
次に、オペレータは、入力部29に第3指令を入力する。第3指令が入力されると、濾材加工装置10は、図12(b)に示されるように、第2膨出部52を挟んだ状態にある第2加工部15を、第1膨出部51を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向に移動させる。また、このとき、第2加工部15の移動に伴い、第3加工部17が第1膨出部51を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向及び第3膨出部53の膨出方向に移動する。
これにより、濾材50の第1加工部13と第2加工部15との間にある部位は、第2加工部15(及び第3加工部17)の移動により、第3加工部17の第3パンチ部材171に巻き付くように変形する。
そして、第2加工部15が所定位置(第1実施形態における前記第2位置に相当)まで移動すると、図12(c)に示されるように、第3膨出部53を頂部とする第1波部W1が形成される(第4ステップに相当)。
次に、オペレータは、図13(a)に示されるように、第3加工部17を濾材50(第1波部W1)から取り外す。すなわち、オペレータは、一対の締結具173,173を操作して第3パンチ部材171と第3ダイ部材172とを分離する。
次に、オペレータは、入力部29に第4指令を入力する。第4指令が入力されると、濾材加工装置10は、図13(b)に示されるように、第2加工部15を第2膨出部52から解放し、第2膨出部52を挟んでいない状態の第2加工部15をその初期位置よりも濾材保持部11側の所定位置まで移動させる。
次に、オペレータは、入力部29に第5指令を入力する。第5指令が入力されると、濾材加工装置10は、図13(c)に示されるように、第1波部W1を有する濾材50を濾材保持部11の上側保持部材111及び下側保持部材112によって上下から挟んで保持すると共に、第1波部W1を有する濾材50を第2加工部15の第2パンチ部材151及び第2ダイ部材152によって上下から挟み、第1波部W1を有する濾材50の下面から下方に膨出する断面円弧状の第4膨出部54を形成する(第5ステップに相当)。
次に、オペレータは、入力部29に第6指令を入力する。第6指令が入力されると、濾材加工装置10は、図14(a)に示されるように、第1波部W1を有する濾材50の濾材保持部11による保持を解除すると共に、第1加工部13を第1膨出部51から解放する(第1パンチ部材131を前記第1押圧位置から前記第1退避位置に移動させる)。その後、濾材加工装置10は、第4膨出部54を挟んだ状態にある第2加工部15を前方に移動させて第2加工部15の前後方向の位置をその初期位置に戻す。
これにより、第1波部W1を有する濾材50が前方へと送られる。具体的には、第1波部W1を有する濾材50は、第1波部W1が第1加工部13に対応する位置を通過すると共に第2膨出部52が第1加工部13に対応する位置に位置するように前方に移動する。また、第2加工部15は、その初期位置に位置する。
次に、オペレータは、入力部29に第7指令を入力する。第7指令が入力されると、濾材加工装置10は、図14(b)に示されるように、第1波部W1を有する濾材50の第2膨出部52を第1加工部13の第1パンチ部材131及び第1ダイ部材132によって上下から挟む(第6ステップに相当)。
次に、オペレータは、図14(c)に示されるように、第3加工部17を、第1波部W1を有する濾材50の第1加工部13と第2加工部15との中間部に取り付ける。すなわち、オペレータは、第3パンチ部材171を濾材50の下面側に配置し、第3ダイ部材172を濾材50の上面側に配置し、一対の締結具173,173によって第3パンチ部材171と第3ダイ部材172とを連結する。
次に、オペレータは、一対の締結具173,173を操作して第3パンチ部材171を第3ダイ部材172に対して締め付ける。つまり、濾材50を第3加工部17の第3パンチ部材171及び第3ダイ部材172によって上下から挟む。これにより、図15(a)に示されるように、第1波部W1を有する濾材50にはその上面から上方に膨出する第5膨出部55が形成される(第7ステップに相当)。また、このとき、第3加工部17が上方に、すなわち、第5膨出部55の膨出方向に移動し、及び第4膨出部54を挟んだ状態にある第2加工部15が第2膨出部52を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向に移動し、第1波部W1を有する濾材50の第1加工部13と第2加工部15との間の部位が第5膨出部55の膨出方向に凸となるように湾曲変形する。
次に、オペレータは、入力部29に第8指令を入力する。第8指令が入力されると、図15(b)に示されるように、濾材加工装置10は、第4膨出部54を挟んだ状態にある第2加工部15を、第2膨出部52を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向に移動させる。また、このとき、第2加工部15の移動に伴い、第2膨出部52を挟んだ状態にある第1加工部13に近づく方向及び第5膨出部55の膨出方向に移動する。
これにより、第1波部W1を有する濾材50の第1加工部13と第2加工部15との間にある部位は、第2加工部15(及び第3加工部17)の移動により、第3加工部17の第3パンチ部材171と第1加工部13の第1パンチ部材131とのそれぞれに巻き付くように変形する。
そして、第2加工部15が前記所定位置まで移動すると、図15(c)に示されるように、第5膨出部55を頂部とする第2波部W2が形成され、同時に、第2膨出部52を頂部とする第3波部W3が形成される(第8ステップに相当)。
以降、図13~図15に示される動作が繰り返されることにより、濾材50に波部が順次形成され、図8(a)又は図8(b)に示されるような波形濾材50Wが形成される。
第2実施形態に係る濾材加工装置10を用いて濾材を波形に加工する場合も第1実施形態に係る濾材加工装置10を用いて濾材を加工する場合と同様の効果が得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて変形や変更が可能である。
10…濾材加工装置、13…第1加工部、15…第2加工部、17…第3加工部、20…制御部、23…第1駆動機構、25…第2駆動機構、27…第3駆動機構、50…濾材、50W…波形濾材、51…第1膨出部、52…第2膨出部、53…第3膨出部、54…第4膨出部、55…第5膨出部、131…第1パンチ部材、132…第1ダイ部材、151…第2パンチ部材、152…第2ダイ部材、171…第3パンチ部材、172…第3ダイ部材、W1…第1波部、W2…第2波部、W3…第3波部
Claims (10)
- 濾材を波形に加工する濾材の加工方法であって、
濾材を第1加工部の第1パンチ部材及び第1ダイ部材で挟んで前記濾材の第1面から膨出する断面円弧状の第1膨出部を形成する第1ステップと、
前記濾材を第2加工部の第2パンチ部材及び第2ダイ部材で挟んで前記濾材の前記第1面から膨出する断面円弧状の第2膨出部を形成する第2ステップと、
前記濾材を前記第1加工部と前記第2加工部との間に配置された第3加工部の第3パンチ部材及び第3ダイ部材で挟んで前記濾材の前記第1面とは反対の第2面から膨出し且つ前記第1膨出部と前記第2膨出部との間に位置する断面円弧状の第3膨出部を形成する第3ステップと、
前記第2膨出部を挟んだ状態の前記第2加工部を前記第1膨出部を挟んだ状態の前記第1加工部に近づく方向に移動させることにより、前記濾材を変形させて前記第3膨出部を頂部とする第1波部を形成する第4ステップと、
を含む、濾材の加工方法。 - 前記第3ステップは、締結具により前記濾材の前記第1面側に配置された前記第3パンチ部材を前記濾材の前記第2面側に配置された前記第3ダイ部材に対して締め付けることによって前記濾材を前記第3パンチ部材及び前記第3ダイ部材で挟んで前記第3膨出部を形成し、
前記第3膨出部を形成する際、前記第3加工部が前記第3膨出部の膨出方向に移動すると共に前記第2膨出部を挟んだ状態の前記第2加工部が前記第1膨出部を挟んだ状態の前記第1加工部に近づく方向に移動する、
請求項1に記載の濾材の加工方法。 - 前記第4ステップにおいて、前記第2膨出部を挟んだ状態の前記第2加工部を前記第1膨出部を挟んだ状態の前記第1加工部に近づく方向に移動させることに伴い、第3加工部が前記第1膨出部を挟んだ状態の前記第1加工部に近づく方向及び前記第3膨出部の膨出方向に移動する、請求項1又は2に記載の濾材の加工方法。
- 前記第4ステップは、さらに前記第3膨出部を挟んだ状態の前記第3加工部を前記第1膨出部を挟んだ状態の前記第1加工部に近づく方向及び前記第3膨出部の膨出方向に移動させることにより、前記第1波部を形成する、請求項1に記載の濾材の加工方法。
- 前記第4ステップは、前記濾材の前記第1加工部と前記第2加工部との間にある部位が前記第3加工部の前記第3パンチ部材に巻き付くように前記濾材を変形させる、請求項1~4のいずれか一つに記載の濾材の加工方法。
- 前記第3加工部の前記第3パンチ部材は、一方が前記第1加工部側に位置すると共に他方が前記第2加工部側に位置する一対の平坦面を有し、
前記第4ステップは、前記濾材の前記第1膨出部と前記第3膨出部との間にある部位が前記第3パンチ部材の一方の平坦面に接触し又は接近し、且つ前記濾材の前記第2膨出部と前記第3膨出部との間にある部位が前記第3パンチ部材の他方の平坦面に接触し又は接近するように前記濾材を変形させる、
請求項1~5のいずれか一つに記載の濾材の加工方法。 - 前記第1波部が形成された前記濾材を前記第2加工部の前記第2パンチ部材及び前記第2ダイ部材で挟んで前記濾材の前記第1面から膨出し且つ前記第2膨出部を挟んで前記第1波部とは反対側に位置する断面円弧状の第4膨出部を形成する第5ステップと、
前記第1波部が形成された前記濾材の前記第2膨出部を前記第1加工部の前記第1パンチ部材及び前記第1ダイ部材で挟む第6ステップと、
前記第1波部が形成された前記濾材を前記第3加工部の前記第3パンチ部材及び前記第3ダイ部材で挟んで前記濾材の前記第2面から膨出し且つ前記第2膨出部と前記第4膨出部との間に位置する第5膨出部を形成する第7ステップと、
前記第4膨出部を挟んだ状態の前記第2加工部を前記第2膨出部を挟んだ状態の前記第1加工部に近づく方向に移動させることにより、前記第1波部が形成された前記濾材を変形させて前記第5膨出部を頂部とする第2波部及び前記第2膨出部を頂部とする第3波部を形成する第8ステップと、
をさらに含む、請求項1~6のいずれか一つに記載の濾材の加工方法。 - 前記第8ステップは、前記第1波部が形成された前記濾材の前記第1加工部と前記第2加工部との間にある部位が前記第3パンチ部材と前記第1パンチ部材のそれぞれに巻き付くように前記第1波部が形成された前記濾材を変形させる、請求項7に記載の濾材の加工方法。
- 前記濾材は、金網を複数積層し焼結して一体化した積層焼結金網濾材である、請求項1~8の記載の濾材の加工方法。
- 請求項1~9のいずれか一つに記載の濾材の加工方法を用いて複数の波部を有する波形濾材を製造する、波形濾材の製造方法。
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