JP2023042757A - 光干渉測距センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】光カプラ間の戻り光を抑制することにより計測精度を向上させた光干渉測距センサを提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る光干渉測距センサは、連続的に波長を変化させながら光を投光する光源と、供給された光を計測対象物に導くことにより計測対象物から反射される測定光と、測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく干渉光を生成する複数の干渉計と、直列に接続された複数段の光カプラであって、光源からの光を前段から受光して、複数の干渉計のうち対応する干渉計と、後段とに光を分岐させて供給する、複数段の光カプラと、複数段の光カプラにおける後段から前段への光の供給を抑制する抑制手段と、複数の干渉計が生成する複数の干渉光に基づいて、計測対象物までの距離を算出する処理部と、を備える。【選択図】図10
Description
本発明は、光干渉測距センサに関する。
近年、非接触で計測対象物までの距離を計測する光測距センサが普及している。例えば、光測距センサとして、波長掃引光源から投光される光から、参照光と測定光とに基づく干渉光を生成し、当該干渉光に基づいて計測対象物までの距離を計測する光干渉測距センサが知られている。
特に、計測精度の向上等の観点から、干渉光を生成する干渉計を複数備えた多段式の光干渉測距センサが知られている。例えば、特許文献1には、光ビーム制御器と、光ビーム制御器からの複数の光ビームを物体光と参照光に分岐する分岐手段と、複数の物体光ビームを測定対象物に照射する照射手段と、測定対象物から散乱された物体光と参照光とを干渉させ受光器に導く干渉手段と、を備える光干渉断層撮像器が開示されている。
また、非特許文献1には、サーキュレータ等の高コストな部材を用いずに光を分岐させる光干渉測距センサが開示されている。すなわち、非特許文献1には、波長掃引光源と、複数の光カプラと、各光カプラに対応する複数の干渉計と、受光部とを備える光干渉測距センサが開示されている。当該光干渉測距センサが備える複数の光カプラは、直列に接続されており、波長掃引光源からの光の一部を前段の光カプラから後段のカプラへと順次に供給すると共に、当該光の他の一部を分岐させて、各光カプラに対応する干渉計に供給するように構成されている。
Jesse Zheng 著、「Optical Frequency-Modulated Continuos-Wave (FMCW) Interferometry」Springer、2005年1月4日、p.154
しかしながら、直列に接続された複数の光カプラにおいて光を各干渉計に分岐させる構成では、後段から前段への戻り光が生じ得るため、計測精度が低くなる場合がある。
そこで、本発明は、光カプラ間の戻り光を抑制することにより計測精度を向上させた光干渉測距センサを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光干渉測距センサは、連続的に波長を変化させながら光を投光する光源と、供給された光を計測対象物に導くことにより計測対象物から反射される測定光と、測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく干渉光を生成する複数の干渉計と、直列に接続された複数段の光カプラであって、光源からの光を前段から受光して、複数の干渉計のうち対応する干渉計と、後段とに光を分岐させて供給する、複数段の光カプラと、複数段の光カプラにおける後段から前段への光の供給を抑制する抑制手段と、複数の干渉計が生成する複数の干渉光に基づいて、計測対象物までの距離を算出する処理部と、を備える。
この態様によれば、複数段の光カプラにおいて、後段から前段への光の供給が抑制されるため、光カプラ間の戻り光を抑制することにより光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
上記態様において、抑制手段は、複数段の光カプラのうち少なくともいずれかの光カプラであって、対応する干渉計に分岐させる光の光量より、後段に分岐させる光の光量の方が大きくなるように構成された光カプラを含んでもよい。
この態様によれば、複数段の光カプラにおいて、後段から前段への光の供給が抑制されるため、後段の光カプラから前段の光カプラへ戻る光を抑制することにより、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
上記態様において、複数段の光カプラのうちi段目の光カプラについての、後段に分岐させる光の光量に対する、対応する干渉計に分岐させる光の光量の割合をRiとした場合、Ri+1≧Riとなるように設定されてもよい。
この態様によれば、干渉計毎の受光量のばらつきが低減されるため、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
上記態様において、干渉計は、測定光における計測対象物に照射して当該計測対象物で反射された第1反射光と、参照光における参照面で反射された第2反射光とに基づいて各干渉光を発生させてもよい。
この態様によれば、測定光における計測対象物に照射して当該計測対象物で反射された第1反射光と、参照光における参照面で反射された第2反射光とに基づいて各干渉光を発生させる。複数のスポットに対応して分岐されたそれぞれの光について、測定光と参照光との光路長差が異なるように設定されることにより、各ピークを適切に検出することができ、当該検出されたピークに対応する距離値に基づいて計測対象物までの距離を高精度に算出することができる。
上記態様において、i段目の光カプラからこれに対応する干渉計の参照面までの光路長をLCR,iとし、i段目の光カプラからi+1段目の光カプラまでの光路長をLCC,iとした場合、|LCR,i-(LCR,i+1+LCC,i)|が第1閾値以上となるように設定されてもよい。
この態様によれば、複数の干渉計のそれぞれで生成される複数の干渉光同士の干渉が抑制され、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
上記態様において、第1閾値は、複数の干渉光を電気信号に変換して処理部に供給する受光部の周波数帯域に基づいて設定されてもよい。
この態様によれば、受光部の周波数帯域に応じて、効果的に複数の干渉光同士の干渉を抑制し、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
上記態様において、抑制手段は、複数段の光カプラのうちの2つの光カプラの間に接続され、前段の光カプラから後段の光カプラへは光を導くが、後段の光カプラから前段の光カプラへは光を導かないように構成された遮断部を含んでもよい。
この態様によれば、後段の光カプラから前段の光カプラへの戻り光を抑制することができ、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
上記態様において、i段目の光カプラからこれに対応する干渉計の参照面までの光路長をLCR,iとし、i段目の光カプラからこれに接続された後段側の遮断部までの光路長をLCI,iとした場合、|LCR,i-LCI,i|が第1閾値以上となるように設定されてもよい。
この態様によれば、遮断部からの反射光と、干渉計が生成する干渉光との干渉が抑制され、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
上記態様において、第2閾値は、複数の干渉光を電気信号に変換して処理部に供給する受光部の周波数帯域に基づいて設定されてもよい。
この態様によれば、受光部の周波数帯域に応じて、効果的に遮断部からの反射光と、干渉計が生成する干渉光との干渉を抑制し、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
本発明によれば、光カプラ間の戻り光を抑制することにより計測精度を向上させた光干渉測距センサを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する各実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
[変位センサの概要]
先ず、本開示に係る変位センサの概要について説明する。
図1は、本開示に係る変位センサ10の概要を示す外観模式図である。図1に示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20とコントローラ30とを備え、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を計測する。
先ず、本開示に係る変位センサの概要について説明する。
図1は、本開示に係る変位センサ10の概要を示す外観模式図である。図1に示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20とコントローラ30とを備え、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を計測する。
センサヘッド20とコントローラ30とは、光ファイバ40で接続されており、センサヘッド20には対物レンズ21が取り付けられている。また、コントローラ30は、表示部31と、設定部32と、外部インタフェース(I/F)部33と、光ファイバ接続部34と、外部記憶部35とを含み、さらに、内部には、計測処理部36を有する。
センサヘッド20は、コントローラ30から出力される光を計測対象物Tに照射し、当該計測対象物Tからの反射光を受光する。センサヘッド20は、コントローラ30から出力されて光ファイバ40を介して受光した光を反射させ、上述した計測対象物Tからの反射光と干渉させるための参照面を、内部に有している。
なお、センサヘッド20には対物レンズ21が取り付けられているが、当該対物レンズ21は着脱可能な構成となっている。対物レンズ21は、センサヘッド20と計測対象物Tとの距離に応じて、適切な焦点距離を有する対物レンズに交換可能であって、又は可変焦点の対物レンズを適用してもよい。
さらに、センサヘッド20を設置する際には、ガイド光(可視光)を計測対象物Tに照射して、当該変位センサ10の計測領域内に計測対象物Tが適切に位置するようにセンサヘッド20及び/又は計測対象物Tを設置してもよい。
光ファイバ40は、コントローラ30に配置される光ファイバ接続部34に接続されて延伸し、当該コントローラ30とセンサヘッド20とを接続する。これにより、光ファイバ40は、コントローラ30から投光される光をセンサヘッド20に導き、さらに、センサヘッド20からの戻り光をコントローラ30へ導くように構成されている。なお、光ファイバ40は、センサヘッド20及びコントローラ30に着脱可能であって、長さ、太さ及び特性等において種々の光ファイバを適用することができる。
表示部31は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等で構成される。表示部31には、変位センサ10の設定値、センサヘッド20からの戻り光の受光量、及び変位センサ10によって計測された計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)等の計測結果が表示される。
設定部32は、例えば、機械式ボタンやタッチパネル等をユーザが操作することによって、計測対象物Tを計測するために必要な設定が行われる。これらの必要な設定の全部又は一部は、予め設定されていてもよいし、外部I/F部33に接続された外部接続機器(図示せず)から設定されてもよい。また、外部接続機器は、ネットワークを介して有線又は無線で接続されていてもよい。
ここで、外部I/F部33は、例えば、Ethernet(登録商標)、RS232C、及びアナログ出力等で構成される。外部I/F部33には、他の接続機器に接続されて当該外部接続機器から必要な設定が行われたり、変位センサ10によって計測された計測結果等を外部接続機器に出力したりしてもよい。
また、コントローラ30が外部記憶部35に記憶されたデータを取り込むことにより、計測対象物Tを計測するために必要な設定が行われてもよい。外部記憶部35は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の補助記憶装置であって、計測対象物Tを計測するために必要な設定等が予め記憶されている。
コントローラ30における計測処理部36は、例えば、連続的に波長を変化させながら光を投光する波長掃引光源、センサヘッド20からの戻り光を受光して電気信号に変換する受光素子、及び電気信号を処理する信号処理回路等を含む。計測処理部36では、センサヘッド20からの戻り光に基づいて、最終的には、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)が算出されるように制御部及び記憶部等を用いて様々な処理がなされている。これらの処理についての詳細は後述する。
図2は、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。図2に示されるように、当該手順は、ステップS11~S14を含む。
ステップS11では、センサヘッド20を設置する。例えば、センサヘッド20から計測対象物Tにガイド光を照射して、それを参考にして、センサヘッド20を適切な位置に設置する。
具体的には、コントローラ30における表示部31に、センサヘッド20からの戻り光の受光量を表示し、ユーザは、当該受光量を確認しながら、センサヘッド20の向き及び計測対象物Tとの距離(高さ位置)等を調整してもよい。基本的には、センサヘッド20からの光を計測対象物Tに対して垂直に(より垂直に近い角度で)照射できれば、当該計測対象物Tからの反射光の光量が大きく、センサヘッド20からの戻り光の受光量も大きくなる。
また、センサヘッド20と計測対象物Tとの距離に応じて、適切な焦点距離を有する対物レンズ21に交換してもよい。
さらに、計測対象物Tを計測するに際して適切な設定ができない場合(例えば、計測に必要な受光量を得られない、又は対物レンズ21の焦点距離が不適切である等)には、エラー又は設定未完了等を、表示部31に表示したり、外部接続機器に出力したりして、ユーザに通知するようにしてもよい。
ステップS12では、計測対象物Tを計測するに際して種々の計測条件を設定する。例えば、センサヘッド20が有する固有の校正データ(線形性を補正する関数等)を、ユーザがコントローラ30における設定部32を操作することによって設定する。
また、各種パラメータを設定してもよい。例えば、サンプリング時間、計測範囲、及び計測結果を正常とするか異常とするかの閾値等が設定される。さらに、計測対象物Tの反射率及び材質等の計測対象物Tの特性に応じて測定周期が設定され、及び計測対象物Tの材質に応じた測定モード等が設定されるようにしてもよい。
なお、これらの計測条件及び各種パラメータの設定は、コントローラ30における設定部32を操作することによって設定されるが、外部接続機器から設定されてもよいし、外部記憶部35からデータを取り込むことによって設定されてもよい。
ステップS13では、ステップS11で設置されたセンサヘッド20で、ステップS12で設定された計測条件及び各種パラメータに従って、計測対象物Tを計測する。
具体的には、コントローラ30の計測処理部36において、波長掃引光源から光が投光され、センサヘッド20からの戻り光を受光素子で受光し、信号処理回路によって周波数解析、距離変換及びピーク検出等がなされて、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)が算出される。具体的な計測処理についての詳細は、後述する。
ステップS14では、ステップS13で計測された計測結果を出力する。例えば、ステップS13で計測された計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)等を、コントローラ30における表示部31に表示したり、外部接続機器に出力したりする。
また、ステップS13で計測された計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)が、ステップS12で設定された閾値に基づいて、正常の範囲内であるか異常かについても計測結果として表示又は出力されてもよい。さらに、ステップS12で設定された計測条件、各種パラメータ及び測定モード等も共に表示又は出力されてもよい。
[変位センサを含むシステムの概要]
図3は、本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1の概要を示す機能ブロック図である。図3に示されるように、センサシステム1は、変位センサ10と、制御機器11と、制御信号入力用センサ12と、外部接続機器13とを備える。なお、変位センサ10は、制御機器11及び外部接続機器13とは、例えば、通信ケーブル又は外部接続コード(例えば、外部入力線、外部出力線及び電源線等を含む)で接続され、制御機器11と制御信号入力用センサ12とは信号線で接続される。
図3は、本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1の概要を示す機能ブロック図である。図3に示されるように、センサシステム1は、変位センサ10と、制御機器11と、制御信号入力用センサ12と、外部接続機器13とを備える。なお、変位センサ10は、制御機器11及び外部接続機器13とは、例えば、通信ケーブル又は外部接続コード(例えば、外部入力線、外部出力線及び電源線等を含む)で接続され、制御機器11と制御信号入力用センサ12とは信号線で接続される。
変位センサ10は、図1及び図2を用いて説明したように、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を計測する。そして、変位センサ10は、その計測結果等を制御機器11及び外部接続機器13に出力してもよい。
制御機器11は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)であって、変位センサ10が計測対象物Tを計測するに際して、当該変位センサ10に対して各種の指示を与える。
例えば、制御機器11は、制御機器11に接続された制御信号入力用センサ12からの入力信号に基づいて、測定タイミング信号を変位センサ10に出力してもよいし、ゼロリセット命令信号(現在の計測値を0に設定するための信号)等を変位センサ10に出力してもよい。
制御信号入力用センサ12は、変位センサ10が計測対象物Tを計測するタイミングを指示するオン/オフ信号を、制御機器11に出力する。例えば、制御信号入力用センサ12は、計測対象物Tが移動する生産ラインの近傍に設置され、計測対象物Tが所定の位置に移動してきたことを検知して、制御機器11にオン/オフ信号を出力すればよい。
外部接続機器13は、例えば、PC(Personal Computer)であって、ユーザが操作することによって、変位センサ10に対して様々な設定を行うことができる。
具体例としては、測定モード、動作モード、測定周期、及び計測対象物Tの材質等が設定される。
測定モードの設定として、制御機器11内部で周期的に計測開始する「内部同期計測モード」、又は制御機器11外部からの入力信号に応じて計測開始する「外部同期計測モード」等が選択される。
動作モードの設定として、実際に計測対象物Tを計測する「運転モード」、又は計測対象物Tを計測するための計測条件を設定する「調整モード」等が選択される。
測定周期は、計測対象物Tを測定する周期であり、計測対象物Tの反射率に応じて設定すればよいが、仮に、計測対象物Tの反射率が低い場合であっても、測定周期を長くして適切に測定周期を設定すれば、計測対象物Tを適切に測定することができる。
計測対象物Tについて、反射光の成分として拡散反射が比較的多い場合に適した「粗面モード」、反射光の成分として鏡面反射が比較的多い場合に適した「鏡面モード」、又はこれらの中間的な「標準モード」等が選択される。
このように、計測対象物Tの反射率及び材質に応じて、適切な設定を行うことによって、より高精度に計測対象物Tを計測することができる。
図4は、本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。図4に示されるように、当該手順は、上述した外部同期計測モードの場合の手順であって、ステップS21~S24を含む。
ステップS21では、センサシステム1は、計測される対象である計測対象物Tを検知する。具体的には、制御信号入力用センサ12は、生産ライン上において、計測対象物Tが所定の位置に移動してきたことを検知する。
ステップS22では、センサシステム1は、ステップS21で検知された計測対象物Tを変位センサ10によって計測するように計測指示する。具体的には、制御信号入力用センサ12は、制御機器11にオン/オフ信号を出力することにより、ステップS21で検知された計測対象物Tを測定するタイミングを指示し、制御機器11は、当該オン/オフ信号に基づいて、変位センサ10に測定タイミング信号を出力して、計測対象物Tを計測するように計測指示する。
ステップS23では、変位センサ10によって計測対象物Tが計測される。具体的には、変位センサ10は、ステップS22で受け取った計測指示に基づいて、計測対象物Tを計測する。
ステップS24では、センサシステム1は、ステップS23で計測された計測結果を出力する。具体的には、変位センサ10は、計測処理の結果を、表示部31に表示したり、外部I/F部33を経由して制御機器11又は外部接続機器13等に出力したりする。
なお、ここでは、図4を用いて、制御信号入力用センサ12によって計測対象物Tが検知されることにより計測対象物Tを計測する外部同期計測モードの場合についての手順を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、内部同期計測モードの場合は、ステップS21及びS22に代わって、予め設定された周期に基づいて測定タイミング信号が生成されることにより、計測対象物Tを計測するように変位センサ10に指示する。
次に、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される原理を説明する。
図5Aは、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される原理を説明するための図である。図5Aに示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20及びコントローラ30を備える。センサヘッド20は、対物レンズ21と、複数のコリメートレンズ22a~22cとを含み、コントローラ30は、波長掃引光源51と、光増幅器52と、複数のアイソレータ53及び53a~53bと、複数の光カプラ54及び54a~54eと、減衰器55と、複数の受光素子(例えば、フォトディテクタ(PD))56a~56cと、合波回路57と、アナログデジタル(AD)変換部(例えば、アナログデジタルコンバータ)58と、処理部(例えば、プロセッサ)59と、バランスディテクタ60と、補正信号生成部61とを含む。
図5Aは、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される原理を説明するための図である。図5Aに示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20及びコントローラ30を備える。センサヘッド20は、対物レンズ21と、複数のコリメートレンズ22a~22cとを含み、コントローラ30は、波長掃引光源51と、光増幅器52と、複数のアイソレータ53及び53a~53bと、複数の光カプラ54及び54a~54eと、減衰器55と、複数の受光素子(例えば、フォトディテクタ(PD))56a~56cと、合波回路57と、アナログデジタル(AD)変換部(例えば、アナログデジタルコンバータ)58と、処理部(例えば、プロセッサ)59と、バランスディテクタ60と、補正信号生成部61とを含む。
波長掃引光源51は、波長を掃引したレーザ光を投光する。波長掃引光源51としては、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を電流で変調する方式を適用すれば、共振器長が短いためにモードホップを起こしにくく、波長を変化させることが容易であり、低コストで実現することができる。
光増幅器52は、波長掃引光源51から投光される光を増幅する。光増幅器52は、例えば、EDFA(erbium-doped fiber amplifier)を適用し、例えば、1550nm専用の光増幅器であってもよい。
アイソレータ53は、入射した光を一方向に透過させる光学素子であって、戻り光によって発生するノイズの影響を防ぐために、波長掃引光源51の直後に配置されてもよい。
このように、波長掃引光源51から投光された光は、光増幅器52によって増幅され、アイソレータ53を介して、光カプラ54によって主干渉計と副干渉計とに分岐される。例えば、光カプラ54では、主干渉計と副干渉計とに90:10~99:1の割合で光を分岐するようにしてもよい。
主干渉計に分岐された光は、さらに、1段目の光カプラ54aによって、センサヘッド20の方向と2段目の光カプラ54bの方向とに分岐される。
1段目の光カプラ54aによってセンサヘッド20の方向に分岐された光は、センサヘッド20において、光ファイバの先端からコリメートレンズ22a及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射される。そして、当該光ファイバの先端(端面)が参照面となり、当該参照面で反射した光と、計測対象物Tで反射した光とが干渉し、干渉光が生成されて、1段目の光カプラ54aに戻り、その後、受光素子56aで受光されて電気信号に変換される。
1段目の光カプラ54aによって2段目の光カプラ54bの方向に分岐された光は、アイソレータ53aを介して2段目の光カプラ54bに向かい、当該2段目の光カプラ54bによって、さらにセンサヘッド20の方向と3段目の光カプラ54cの方向とに分岐される。光カプラ54bからセンサヘッド20の方向に分岐された光は、1段目と同様に、センサヘッド20において、光ファイバの先端からコリメートレンズ22b及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射される。そして、当該光ファイバの先端(端面)が参照面となり、当該参照面で反射した光と、計測対象物Tで反射した光とが干渉し、干渉光が生成されて、2段目の光カプラ54bに戻り、光カプラ54bによってアイソレータ53a及び受光素子56bそれぞれの方向へ分岐される。光カプラ54bから受光素子56bの方向へ分岐された光は、受光素子56bで受光されて電気信号に変換される。一方、アイソレータ53aは、抑制手段及び遮断部の一例であって、前段の光カプラ54aから後段の光カプラ54bへ光を透過し、後段の光カプラ54bから前段の光カプラ54aへの光を遮断するため、光カプラ54bからアイソレータ53aの方向へ分岐した光は、遮断される。
2段目の光カプラ54bによって3段目の光カプラ54cの方向に分岐された光は、アイソレータ53bを介して3段目の光カプラ54cに向かい、当該3段目の光カプラ54cによって、さらにセンサヘッド20の方向と減衰器55の方向とに分岐される。光カプラ54cからセンサヘッド20の方向に分岐された光は、1段目及び2段目と同様に、センサヘッド20において、光ファイバの先端からコリメートレンズ22c及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射される。そして、当該光ファイバの先端(端面)で反射した光と、計測対象物Tで反射した光とが干渉し、干渉光が生成されて、3段目の光カプラ54cに戻り、光カプラ54cからアイソレータ53b及び受光素子56cそれぞれの方向へ分岐する。アイソレータ53bは、抑制手段の一例であって、後段の光カプラ54cから前段の光カプラ54bへの光の供給を抑制する。光カプラ54cから受光素子56cの方向へ分岐した光は、受光素子56cで受光されて電気信号に変換される。
3段目の光カプラ54cによって減衰器55の方向に分岐された光は、計測対象物Tの計測に用いられないため、反射して戻ってこないように減衰される。
このように、主干渉計では、3段の光路(3チャネル)を有し、それぞれセンサヘッド20の光ファイバの先端(端面)から計測対象物Tまでの距離の2倍(往復)を光路長差とした干渉計であり、それぞれ光路長差に応じた3つの干渉光を生成している。
受光素子56a~56cは、上述したように主干渉計からの干渉光を受光し、当該受光した受光量に応じた電気信号を生成する。
合波回路57は、受光素子56a~56cから出力される電気信号を合波する。
AD変換部58は、合波回路57からの電気信号を受信して、当該電気信号に関してアナログ信号からデジタル信号に変換する(AD変換)。ここで、AD変換部58は、副干渉計における補正信号生成部61からの補正信号に基づいて、AD変換する。
副干渉計では、波長掃引光源51の掃引時における波長の非線形性を補正するために、副干渉計にて干渉信号を取得し、Kクロックと呼ばれる補正信号を生成する。
具体的には、光カプラ54によって副干渉計に分岐された光は、光カプラ54dによって、さらに分岐される。ここで、分岐された各光の光路は、例えば、光カプラ54dと光カプラ54eとの間において異なる長さの光ファイバを用いて光路長差を有するように構成されて、当該光路長差に応じた干渉光が光カプラ54eから出力される。そして、バランスディテクタ60は、光カプラ54eからの干渉光を受光し、その逆位相の信号との差分を取ることによってノイズを除去しつつ、光信号を増幅して電気信号に変換する。
なお、光カプラ54d及び光カプラ54eは、いずれも50:50の割合で光を分岐すればよい。
補正信号生成部61は、バランスディテクタ60からの電気信号に基づいて、波長掃引光源51の掃引時における波長の非線形性を把握し、当該非線形に応じたKクロックを生成し、AD変換部58に出力する。
波長掃引光源51の掃引時における波長の非線形性から、主干渉計においてAD変換部58に入力されるアナログ信号の波の間隔は等間隔ではない。AD変換部58では、波の間隔が等間隔になるように、上述したKクロックに基づいてサンプリング時間を補正してAD変換(サンプリング)される。
なお、Kクロックは、上述したように、主干渉計のアナログ信号をサンプリングするために用いられる補正信号であるため、主干渉計のアナログ信号よりも高周波に生成される必要がある。具体的には、副干渉計における光カプラ54dと光カプラ54eとの間で設けられた光路長差を、主干渉計における光ファイバの先端(端面)と計測対象物Tとの間で設けられた光路長差よりも長くしてもよいし、補正信号生成部61で周波数を逓倍(例えば、8倍等)して高周波化してもよい。
処理部59は、AD変換部58によって非線形性が補正されつつAD変換されたデジタル信号を取得し、当該デジタル信号に基づいて、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を算出する。具体的には、処理部59では、高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transform)を用いてデジタル信号を周波数変換し、それらを解析することによって距離が算出される。処理部59における詳細な処理については後述する。
なお、処理部59は、高速処理が要求されることから、FPGA(field-programmable gate array)等の集積回路で実現される場合が多い。
また、ここでは、合波回路57は、AD変換部58の前段に配置されているが、AD変換部58の後段に配置されてもよい。複数のPD56a~56cからの出力を、それぞれAD変換し、その後、合波回路57によって合波すればよい。
また、ここでは、主干渉計において3段の光路を設けて、センサヘッド20によってそれぞれの光路から計測対象物Tに対して測定光が照射され、それぞれから得られる干渉光(戻り光)に基づいて、計測対象物Tまでの距離等が計測される(マルチチャネル)。主干渉計におけるチャネルは、3段に限定されるものではなく、1段又は2段であってもよいし、4段以上であってもよい。
図5Bは、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される別の原理を説明するための図である。図5Bに示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20及びコントローラ30を備える。センサヘッド20は、対物レンズ21と、複数のコリメートレンズ22a~22cとを含み、コントローラ30は、波長掃引光源51と、光増幅器52と、複数のアイソレータ53及び53a~53bと、複数の光カプラ54及び54a~54jと、減衰器55と、複数の受光素子(例えば、フォトディテクタ(PD))56a~56cと、合波回路57と、アナログデジタル(AD)変換部(例えば、アナログデジタルコンバータ)58と、処理部(例えば、プロセッサ)59と、バランスディテクタ60と、補正信号生成部61とを含む。図5Bに示された変位センサ10は、主に、光カプラ54f~54jを備えている点で、図5Aに示された変位センサ10の構成とは異なり、当該異なる構成による原理について、図5Aと比較しながら詳しく説明する。
波長掃引光源51から投光された光は、光増幅器52によって増幅され、アイソレータ53を介して、光カプラ54によって主干渉計側と副干渉計側とに分岐されるが、主干渉計側に分岐された光は、さらに、光カプラ54fによって測定光と参照光とに分岐される。
測定光は、図5Aで説明したように、1段目の光カプラ54aによってコリメートレンズ22a及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射され、当該計測対象物Tで反射する。ここで、図5Aでは、光ファイバの先端(端面)を参照面として、当該参照面で反射した光と計測対象物Tで反射した光とが干渉し、干渉光が生成されていたが、図5Bでは、光が反射する参照面を設けていない。すなわち、図5Bでは、図5Aのように参照面で反射する光が発生しないため、計測対象物Tで反射された測定光が1段目の光カプラ54aに戻ることなる。
同様に、1段目の光カプラ54aから2段目の光カプラ54bの方向に分岐された光は、当該2段目の光カプラ54bによってコリメートレンズ22b及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射され、当該計測対象物Tで反射して2段目の光カプラ54bに戻る。2段目の光カプラ54bから3段目の光カプラ54cの方向に分岐された光は、当該3段目の光カプラ54cによってコリメートレンズ22c及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射され、当該計測対象物Tで反射して3段目の光カプラ54cに戻る。
一方、光カプラ54fによって分岐された参照光は、さらに、光カプラ54gによって光カプラ54h、54i及び54jに分岐される。
光カプラ54hでは、光カプラ54aから出力される計測対象物Tで反射された測定光と、光カプラ54gから出力される参照光とが干渉し、干渉光が生成されて、受光素子56aで受光されて電気信号に変換される。換言すれば、光カプラ54fによって測定光と参照光とに分岐され、当該測定光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54a、コリメートレンズ22a、対物レンズ21を介して計測対象物Tで反射し、光カプラ54hまで到達する光路)と、当該参照光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54gを介して光カプラ54hまで到達する光路)との光路長差に応じた干渉光が生成されて、当該干渉光が受光素子56aで受光されて電気信号に変換される。
同様に、光カプラ54iでは、測定光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54a、54b、コリメートレンズ22b、対物レンズ21を介して計測対象物Tで反射し、光カプラ54iまで到達する光路)と、参照光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54gを介して光カプラ54iまで到達する光路)との光路長差に応じた干渉光が生成されて、当該干渉光が受光素子56bで受光されて電気信号に変換される。
光カプラ54jでは、測定光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54a、54b、54c、コリメートレンズ22c、対物レンズ21を介して計測対象物Tで反射し、光カプラ54jまで到達する光路)と、参照光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54gを介して光カプラ54jまで到達する光路)との光路長差に応じた干渉光が生成されて、当該干渉光が受光素子56cで受光されて電気信号に変換される。
このように、主干渉計では、3段の光路(3チャネル)を有し、それぞれ計測対象物Tで反射されて光カプラ54h、54i及び54jに入力される測定光と、光カプラ54f及び54gを介してそれぞれ光カプラ54h、54i及び54jに入力される参照光との光路長差に応じた3つの干渉光を生成している。
なお、測定光と参照光との光路長差は、3チャネルにおいてそれぞれ異なるように、例えば、光カプラ54gと、各光カプラ54h、54i及び54jとの光路長を異なるように設定してもよい。
そして、それぞれから得られる干渉光に基づいて、計測対象物Tまでの距離等が計測される(マルチチャネル)。
[センサヘッドの構造]
ここで、変位センサ10に用いられるセンサヘッドの構造について説明する。
図6Aは、センサヘッド20の概略構成を示す斜視図であり、図6Bは、センサヘッド20の内部に配置されるコリメートレンズホルダの概略構成を示す斜視図であり、図6Cは、センサヘッドの内部構造を示す断面図である。
ここで、変位センサ10に用いられるセンサヘッドの構造について説明する。
図6Aは、センサヘッド20の概略構成を示す斜視図であり、図6Bは、センサヘッド20の内部に配置されるコリメートレンズホルダの概略構成を示す斜視図であり、図6Cは、センサヘッドの内部構造を示す断面図である。
図6Aに示されるように、センサヘッド20は、対物レンズホルダ23に対物レンズ21及びコリメートレンズが格納されている。例えば、対物レンズホルダ23のサイズは、対物レンズ21を囲う一辺の長さが10mm程度であり、光軸方向への長さが22mm程度である。
図6Bに示されるように、コリメートレンズユニット24は、コリメートレンズホルダにコリメートレンズ22が接着材を用いて固着されて構成されている。そして、光ファイバを差し込んで、その差し込み量に応じてスポット径を調整できるように構成されている。例えば、コリメートレンズ22のサイズは、直径2mm程度である。
図6Cに示されるように、3つのコリメートレンズ22a~22cがそれぞれコリメートレンズホルダに保持されてコリメートレンズユニット24a~24cを構成し、3本の光ファイバがそれぞれ3つのコリメートレンズ22a~22cに対応するようにコリメートレンズユニット24a~24cに差し込まれている。なお、3本の光ファイバそれぞれコリメートレンズホルダによって保持されていてもよい。
そして、これらの光ファイバ及びコリメートレンズユニット24a~24cは、対物レンズ21とともに、対物レンズホルダ23によって保持されて、センサヘッド20を構成している。
なお、ここでは、図6Cに示されるように、3つのコリメートレンズユニットは、センサヘッド20の光軸方向の位置において異なる光路長差を形成するために、それぞれズレて配置されている。
また、センサヘッド20を構成する対物レンズホルダ23及びコリメートレンズユニット24a~24cは、高強度で、また高精度に加工できる金属(例えば、A2017)で作製されていてもよい。
図7は、コントローラ30における信号処理について説明するためのブロック図である。図7に示されるように、コントローラ30は、複数の受光素子71a~71eと、複数の増幅回路72a~72cと、合波回路73と、AD変換部74と、処理部75と、差動増幅回路76と、補正信号生成部77とを備える。
コントローラ30では、図5で示されたように、波長掃引光源51から投光された光を光カプラ54によって主干渉計と副干渉計とに分岐し、それぞれより得られる主干渉信号及び副干渉信号を処理することによって、計測対象物Tまでの距離値を算出している。
複数の受光素子71a~71cは、図5Aに示された受光素子56a~56cに相当し、主干渉計からの主干渉信号をそれぞれ受光して、電流信号としてそれぞれ増幅回路72a~72cに出力する。
複数の増幅回路72a~72cは、電流信号を電圧信号に変換(I-V変換)して増幅する。
合波回路73は、増幅回路72a~72cから出力される電圧信号を合波し、1つの電圧信号としてAD変換部74に出力する。
AD変換部74は、図5Aに示されたAD変換部58に相当し、後述する補正信号生成部77からのKクロックに基づいて、電圧信号をデジタル信号に変換する(AD変換)。
処理部75は、図5Aに示された処理部59に相当し、AD変換部74からのデジタル信号をFFTを用いて周波数に変換し、それらを解析して、計測対象物Tまでの距離値を算出する。
複数の受光素子71d~71e及び差動増幅回路76は、図5Aに示されたバランスディテクタ60に相当し、副干渉計における干渉光をそれぞれ受光して、一方は位相の反転した干渉信号を出力し、2つの信号の差分を取ることによってノイズを除去しつつ、干渉信号を増幅して電圧信号に変換する。
補正信号生成部77は、図5Aに示された補正信号生成器61に相当し、電圧信号をコンパレータで2値化し、Kクロックを生成し、AD変換部74に出力する。Kクロックは、主干渉計のアナログ信号よりも高周波に生成される必要があるため、クロック生成部77で周波数を逓倍(例えば、8倍等)して高周波化してもよい。
なお、図7に示されたコントローラ30では、合波回路73は、AD変換部74の前段に配置されているが、AD変換部74の後段に配置されてもよい。複数の受光素子71a~71c及び複数の増幅回路72a~72cの出力を、それぞれAD変換し、その後、合波回路73によって合波すればよい。
図8は、コントローラ30における処理部59によって実行される、計測対象物Tまでの距離を算出する方法を示すフローチャートである。図8に示されるように、当該方法は、ステップS31~S35を含む。
ステップS31では、処理部59は、下記FFTを用いて、波形信号(電圧vs時間)をスペクトル(電圧vs周波数)に周波数変換する。図9Aは、波形信号(電圧vs時間)がスペクトル(電圧vs周波数)に周波数変換される様子を示す図である。
ステップS32では、処理部59は、スペクトル(電圧vs周波数)をスペクトル(電圧vs距離)に距離変換する。図9Bは、スペクトル(電圧vs周波数)がスペクトル(電圧vs距離)に距離変換される様子を示す図である。
ステップS33では、処理部59は、スペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークに対応する値(距離値,SNR)を算出する。図9Cは、スペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークに対応する値(距離値,SNR)を算出される様子を示す図である。
(1)電圧のピーク値を算出する。具体的には、図9Cに示される電圧について、当該電圧の微分値が正から負になる距離における当該距離値と電圧値との組(Dx,Vx)を作成し、それらの組において電圧値の高い順に並べる。
(D1,V1),(D2,V2),(D3,V3),・・・,(Dn,Vn)
(D1,V1),(D2,V2),(D3,V3),・・・,(Dn,Vn)
(2)マルチヘッド数を超える組み合わせを除外する。例えば、図5Aに示されたように、変位センサ10には、主干渉計において3段の光路が設けられ、センサヘッド20によってそれぞれの光路から計測対象物Tに対して測定光が照射され、それぞれから得られる干渉光(戻り光)が受光される(マルチヘッド数=3)。仮に、ピークが4つ以上存在すれば、3つを超えるピークは、ノイズ由来に基づくものであって、算出対象から除外すればよい。マルチヘッド数=3の場合には、(D1,V1),(D2,V2),(D3,V3)となる。
(3)距離順に並び替える。例えば、距離が小さい順に並べると、(D3,V3),(D1,V1),(D2,V2)となる。
(4)ピーク間の電圧を取得する。具体的には、D3とD1との中間距離であるD31の電圧V31を取得し、D1とD2との中間距離であるD12の電圧V12を取得する。そして、その平均電圧Vn=(V31+V12)/2を算出する。
(5)それぞれのSNRを算出する。具体的には、SN1=V1/Vn、SN2=V2/Vn、SN3=V3/Vnとなる。
このように、スペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークに対応する値(距離値,SNR)=(D1,SN1),(D2,SN2),(D3,SN3)が算出される。
図8に戻り、ステップS34では、処理部59は、ステップS33で算出されたピークに対応する値(距離値,SNR)のうち距離値を補正する。具体的には、図6Cで示されたように、3つのコリメートレンズユニット24a~24c(コリメートレンズ22a~22c及び各光ファイバ)は、センサヘッド20の光軸方向の位置において、それぞれズレて配置されているため、当該ズレ量(例えば、h1,h2,h3等)に応じて、それぞれピークに対応する距離値D1,D2,D3を補正する。
これにより、ピークに対応する値(補正後距離値,SNR)=(D1+h1,SN1)、(D2+h2,SN2)、(D3+h3,SN3)となる。
ステップS35では、処理部59は、ステップS34で算出されたピークに対応する値(補正後距離値,SNR)のうち距離値を平均化する。具体的には、処理部59は、ピークに対応する値(補正後距離値,SNR)のうちSNRが閾値以上の補正後距離値を平均化することが好ましく、当該平均化した算出結果を計測対象物Tまでの距離として出力する。
次に、本発明に関して、より特徴的な構成、機能及び性質を中心に、具体的な実施形態として詳細に説明する。なお、以下に示される光干渉測距センサは、図1~図9を用いて説明した変位センサ10に相当し、当該光干渉測距センサに含まれる基本的な構成、機能及び性質の全部又は一部は、図1~図9を用いて説明した変位センサ10に含まれる構成、機能及び性質と共通している。
<第1実施形態>
図10は、本発明の第1実施形態に係る光干渉測距センサ100の構成概要を示す模式図である。図10に示されるように、光干渉測距センサ100は、波長掃引光源110と、光カプラ120a~120cと、減衰器122と、干渉計130a~130cと、受光部140a~140cと、処理部150と、を備える。なお、光カプラ120a~120cを区別する必要がない場合、それぞれを単に光カプラ120と称する場合があり、干渉計130a~130cを区別する必要がない場合、それぞれを単に干渉計130と称する場合があり、受光部140a~140cを区別する必要がない場合、それぞれを単に受光部140と称する場合がある。図10に示す光干渉測距センサ100は、多段式の光干渉測距センサとして構成され、一例として、干渉計を3つ備える3段構成の光干渉測距センサとして構成されるが、干渉計の数(すなわち、段数)は、2つであっても、4つ以上であってもよい。
図10は、本発明の第1実施形態に係る光干渉測距センサ100の構成概要を示す模式図である。図10に示されるように、光干渉測距センサ100は、波長掃引光源110と、光カプラ120a~120cと、減衰器122と、干渉計130a~130cと、受光部140a~140cと、処理部150と、を備える。なお、光カプラ120a~120cを区別する必要がない場合、それぞれを単に光カプラ120と称する場合があり、干渉計130a~130cを区別する必要がない場合、それぞれを単に干渉計130と称する場合があり、受光部140a~140cを区別する必要がない場合、それぞれを単に受光部140と称する場合がある。図10に示す光干渉測距センサ100は、多段式の光干渉測距センサとして構成され、一例として、干渉計を3つ備える3段構成の光干渉測距センサとして構成されるが、干渉計の数(すなわち、段数)は、2つであっても、4つ以上であってもよい。
波長掃引光源110は、光カプラ120の第1ポートa1に直接的に又は他の部材(光増幅器52、アイソレータ53、光カプラ54等)を介して間接的に接続され、連続的に波長を変化させながら光を投光する。
光カプラ120a~120cは、互いに直列に接続された3段構成を有している。すなわち、光カプラ120aは干渉計130aに対応する1段目を構成し、光カプラ120bは干渉計130bに対応する2段目を構成し、光カプラ120cは干渉計130cに対応する3段目を構成する。
各光カプラ120は、2×2(4つ)のポートを有しており、一端における1つのポートに入力された光は、他端における2つのポートに所定の分岐比で出力される。具体的には、1段目の光カプラ120aは、第1ポートa1、第2ポートa2、第3ポートa3、及び第4ポートa4を有する。第1ポートa1又は第2ポートa2に入力された光は、所定の分岐比で、第3ポートa3及び第4ポートa4に出力される。また、第3ポートa3又は第4ポートa4に入力された光は、所定の分岐比で、第1ポートa1及び第2ポートa2に出力される。
また、2段目の光カプラ120bは、第1ポートb1、第2ポートb2、第3ポートb3、及び第4ポートb4を有する。第1ポートb1又は第2ポートb2に入力された光は、所定の分岐比で、第3ポートb3及び第4ポートb4に出力される。また、第3ポートb3又は第4ポートb4に入力された光は、所定の分岐比で、第1ポートb1及び第2ポートb2に出力される。
また、3段目の光カプラ120cは、第1ポートc1、第2ポートc2、第3ポートc3、及び第4ポートc4を有する。第1ポートc1又は第2ポートc2に入力された光は、所定の分岐比で、第3ポートc3及び第4ポートc4に出力される。また、第3ポートc3又は第4ポートc4に入力された光は、所定の分岐比で、第1ポートc1及び第2ポートc2に出力される。
1段目の光カプラ120aの第1ポートa1は、波長掃引光源110に接続されており、連続的に波長が変化する光が波長掃引光源110から直接的又は間接的に入力される。
1段目の光カプラ120aは、波長掃引光源110から第1ポートa1に入力された光を、第3ポートa3及び第4ポートa4に、所定の分岐比で分岐して出力する。1段目の光カプラ120aの第3ポートa3から出力された光は、1段目の干渉計130aに入力される。1段目の光カプラ120aの第4ポートa4から出力された光は、2段目の光カプラ120bの第1ポートb1に入力される。
2段目の光カプラ120bは、1段目の光カプラ120aから第1ポートb1に入力された光を、第3ポートb3及び第4ポートb4に、所定の分岐比で分岐して出力する。2段目の光カプラ120bの第3ポートb3から出力された光は、2段目の干渉計130bに入力される。2段目の光カプラ120bの第4ポートb4から出力された光は、3段目の光カプラ120cの第1ポートc1に入力される。
3段目の光カプラ120cは、2段目の光カプラ120bから第1ポートc1に入力された光を、第3ポートc3及び第4ポートc4に、所定の分岐比で分岐して出力する。3段目の光カプラ120cの第3ポートc3から出力された光は、3段目の干渉計130cに入力される。3段目の光カプラ120cの第4ポートc4から出力された光は、減衰器122に入力される。
干渉計130a~130cは、センサヘッド131a~131cをそれぞれ有する。センサヘッド131a~131cは、対物レンズ132a~132cをそれぞれ有する。なお、センサヘッド131a~131cのそれぞれは、光ファイバの先端と対物レンズ132a~132cとの間に配置されたコリメートレンズを有してもよい。
1段目の光カプラ120aの第3ポートa3から1段目の干渉計130aに入力された光は、光ファイバを介してセンサヘッド131aに入力される。センサヘッド131aに入力された光の一部は、測定光として、対物レンズ132aを介して計測対象物Tに照射され、計測対象物Tで反射される。そして、計測対象物Tで反射された測定光は、センサヘッド131aの対物レンズ132aによって集光されることにより、センサヘッド131aに入力される。また、センサヘッド131aに入力された光の他の一部は、参照光として、光ファイバの先端に設けられた参照面で反射される。そして、測定光及び参照光がセンサヘッド131aの参照面で干渉することにより、測定光及び参照光の光路長差に応じた第1干渉光が生成され、当該第1干渉光が干渉計130aから出力されて光カプラ120aの第3ポートa3に入力される。
2段目の光カプラ120bの第3ポートb3から2段目の干渉計130bに入力された光は、光ファイバを介してセンサヘッド131bに入力される。センサヘッド131bに入力された光の一部は、測定光として、対物レンズ132bを介して計測対象物Tに照射され、計測対象物Tで反射される。そして、計測対象物Tで反射された測定光は、センサヘッド131bの対物レンズ132bによって集光されることにより、センサヘッド131bに入力される。また、センサヘッド131bに入力された光の他の一部は、参照光として、光ファイバの先端に設けられた参照面で反射される。そして、測定光及び参照光がセンサヘッド131bの参照面で干渉することにより、測定光及び参照光の光路長差に応じた第2干渉光が生成され、当該第2干渉光が干渉計130bから出力されて光カプラ120bの第3ポートb3に入力される。
3段目の光カプラ120cの第3ポートc3から3段目の干渉計130cに入力された光は、光ファイバを介してセンサヘッド131cに入力される。センサヘッド131cに入力された光の一部は、測定光として、対物レンズ132cを介して計測対象物Tに照射され、計測対象物Tで反射される。そして、計測対象物Tで反射された測定光は、センサヘッド131cの対物レンズ132cによって集光されることにより、センサヘッド131cに入力される。また、センサヘッド131cに入力された光の他の一部は、参照光として、光ファイバの先端に設けられた参照面で反射される。そして、測定光及び参照光がセンサヘッド131cの参照面で干渉することにより、測定光及び参照光の光路長差に応じた第3干渉光が生成され、当該第3干渉光が干渉計130cから出力されて光カプラ120cの第3ポートc3に入力される。
減衰器122は、光カプラ120cの第4ポートc4から入力された光を減衰させて、当該光カプラ120cへの反射光を軽減する。当該反射光を軽減することによって、位相ノイズの影響を軽減することができ、光干渉測距センサ100は、計測対象物Tをより高精度に測距することができる。
光カプラ120cに接続される光ファイバの先に接続される光学素子としては、減衰器122に限定されるものではなく、他の光学素子であってもよい。例えば、アイソレータが接続されたり、光ファイバのファイバ先端に加工が施され、コアレスファイバ等が適用されたりしてもよい。これらの場合においても、例えば、融着接続及びAPC研磨等を適用することによって光カプラ120cへの反射光を軽減し、上述した位相ノイズの影響を軽減することが好ましい。
受光部140a~140cは、受光素子141a~141cと、AD変換部142a~141cとをそれぞれ有する。受光素子141a~141cは、例えば、フォトディテクタであって、光カプラ120a~120cの第2ポートa2~c2から出力される光を受光し、電気信号に変換する。AD変換部142a~142cは、当該電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
受光部140a~140cは、光カプラ120a~120cにそれぞれ対応しており、光カプラ120a~120cの第2ポートa2~c2から出力される光をそれぞれ受光する。
上述したとおり、1段目の干渉計130aで生成された第1干渉光は、干渉計130aから出力されて光カプラ120aの第3ポートa3に入力される。そして、1段目の光カプラ120aは、第3ポートa3に入力された第1干渉光を、第1ポートa1及び第2ポートa2に、所定の分岐比で分岐して出力する。受光部140aは、光カプラ120aの第2ポートa2から出力される光を受光して、これに基づいてデジタル信号を生成し、処理部150に供給する。
上述したとおり、2段目の干渉計130bで生成された第2干渉光は、干渉計130bから出力されて光カプラ120bの第3ポートb3に入力される。そして、2段目の光カプラ120bは、第3ポートb3に入力された第2干渉光を、第1ポートb1及び第2ポートb2に、所定の分岐比で分岐して出力する。受光部140bは、光カプラ120bの第2ポートb2から出力される光を受光して、これに基づいてデジタル信号を生成し、処理部150に供給する。
上述したとおり、3段目の干渉計130cで生成された第3干渉光は、干渉計130cから出力されて光カプラ120cの第3ポートc3に入力される。そして、3段目の光カプラ120cは、第3ポートc3に入力された第3干渉光を、第1ポートc1及び第2ポートc2に、所定の分岐比で分岐して出力する。受光部140cは、光カプラ120cの第2ポートc2から出力される光を受光して、これに基づいてデジタル信号を生成し、処理部150に供給する。
処理部150は、受光部140a~140cによって変換された各デジタル信号に基づいて計測対象物Tまでの距離を算出する。例えば、処理部150は、FPGA等の集積回路で実現されるプロセッサであって、入力された各デジタル信号を、FFTを用いて周波数変換し、それに基づいて計測対象物Tまで距離が算出される。
第1実施形態に係る光干渉測距センサ100は、複数段の光カプラ120において後段から前段への光の供給を抑制する抑制手段を含む。特に、第1実施形態に係る光干渉測距センサ100は、抑制手段として、対応する干渉計130に分岐させる光の光量より、後段に分岐させる光の光量の方が大きくなるように構成された光カプラ120を含む。例えば、1段目の光カプラ120aは、抑制手段の一例であってよく、「対応する干渉計130cに分岐させる光の光量:後段(2段目の光カプラ120b)に分岐させる光の光量」は「10:90」であってよい。また、例えば、2段目の光カプラ120bは、抑制手段の一例であってよく、「対応する干渉計130bに分岐させる光の光量:後段(3段目の光カプラ120c)に分岐させる光の光量」は「15:85」であってよい。また、例えば、3段目の光カプラ120cは、抑制手段の一例であってよく、「対応する干渉計130cに分岐させる光の光量:後段(減衰器122)に分岐させる光の光量」は「20:80」であってよい。これにより、複数段の光カプラにおいて、後段から前段への光の供給が抑制されるため、後段のカプラから前段の光カプラへ戻る光を抑制することにより、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
第1実施形態に係る光干渉測距センサ100では、波長掃引光源110から遠い光カプラ120ほど、対応する干渉計130に分岐させる光の光量の割合が相対的に高くなるように設定されてもよい。すなわち、光干渉測距センサ100が備える光カプラ120の段数をiとした場合(iは、光干渉測距センサ100が備える光カプラ120の段数をnとした場合、1~nに属するいずれかの自然数)、i段目の光カプラ120についての、後段に分岐させる光の光量に対する、対応する干渉計130に分岐させる光の光量の割合である分岐比をRiとした場合、Ri+1≧Riとなるように設定されてもよい。例えば、上述した例の場合、R1は「10/90」であり、R2は「15/85」であり、R3は「20/80」である。そのため、R3≧R2≧R1であり、Ri+1≧Riが満たされる(但し、i=1、2、3)。これにより、干渉計毎の受光量のばらつきが低減されるため、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
第1実施形態に係る光干渉測距センサ100では、i段目の光カプラ120からこれに対応する干渉計130の参照面までの光路長をLCR,iとし、i段目の光カプラ120からi+1段目の光カプラ120までの光路長をLCC,iとした場合、|LCR,i-(LCR,i+1+LCC,i)|が所定の閾値(第1閾値)以上となるように設定されてもよい(「||」は絶対値を示す記号である)。なお、光路長であるLCR,i及びLCC,iはいずれも、光路の空間的長さに屈折率を乗じて得られる値であってよい。これにより、複数の干渉計のそれぞれで生成される複数の干渉光同士の干渉が抑制され、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
特に、|LCR,i-(LCR,i+1+LCC,i)|に対する上記閾値(第1閾値)は、受光部140の周波数帯域に基づいて決定されてもよい。これにより、受光部の周波数帯域に応じて、効果的に複数の干渉光同士の干渉を抑制し、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
<第2実施形態>
図11は、本発明の第2実施形態に係る光干渉測距センサ200の構成概要を示す模式図である。第2実施形態に係る光干渉測距センサ200は、上述した第1実施形態に係る光干渉測距センサ100が備える構成に加えて、アイソレータ221a及び221bを備える。
図11は、本発明の第2実施形態に係る光干渉測距センサ200の構成概要を示す模式図である。第2実施形態に係る光干渉測距センサ200は、上述した第1実施形態に係る光干渉測距センサ100が備える構成に加えて、アイソレータ221a及び221bを備える。
アイソレータ221a及び221bは、複数段の光カプラにおいて後段から前段への光の供給を抑制する抑制手段の一例であり、特に、前段の光カプラから後段の光カプラへは光を導くが、後段の光カプラから前段の光カプラへは光を導かないように構成された遮断部の一例である。アイソレータ221a及び221bは、以下詳述するとおり、前段の光カプラ120から後段の光カプラへは光を導くが、後段の光カプラから前段の光カプラへは光を導かないように構成されている。これにより、後段の光カプラから前段の光カプラへの戻り光を抑制することができ、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
アイソレータ221aは、1段目の光カプラ120aの第4ポートa4と、2段目の光カプラ120bの第1ポートb1との間に光学的に接続されている。アイソレータ221aは、1段目の光カプラ120aから2段目の光カプラ120bへは光を導くが、2段目の光カプラ120bから1段目の光カプラ120aへは光を導かないように構成される。そのため、アイソレータ221aは、上述したように第3ポートb3から光カプラ120bに入力された第2干渉光のうち、第1ポートb1から出力されて1段目の光カプラ120aに向かう光を遮断する。
アイソレータ221bは、2段目の光カプラ120bの第4ポートb4と、3段目の光カプラ120cの第1ポートc1との間に光学的に接続されている。アイソレータ221bは、2段目の光カプラ120bから3段目の光カプラ120cへは光を導くが、3段目の光カプラ120cから2段目の光カプラ120bへは光を導かないように構成される。そのため、アイソレータ221bは、上述したように第3ポートc3から光カプラ120cに入力された第3干渉光のうち、第1ポートc1から出力されて2段目の光カプラ120cbに向かう光を遮断する。
アイソレータ221a及び221bから前段の光カプラ120へ反射光が生じ得るが、当該反射光は、前段の光カプラ120が対応する干渉計130から受光する干渉光に更に干渉し得る。そこで、第2実施形態に係る光干渉測距センサ200では、アイソレータ221a及び221bから前段の光カプラ120に向かう反射光が、干渉計130が生成する干渉光と干渉することを抑制するために、例えば以下のように設定されてもよい。すなわち、i段目の光カプラからこれに対応する干渉計の参照面までの光路長をLCR,iとし、i段目の光カプラからこれに接続された後段側のアイソレータまでの光路長をLCI,iとした場合、|LCR,i-LCI,i|が所定の閾値(第2閾値)以上となるように設定されてもよい。なお、光路長であるLCR,i及びLCI,iはいずれも、光路の空間的長さに屈折率を乗じて得られる値であってよい。これにより、アイソレータ(遮断部)からの反射光と、干渉計が生成する干渉光との干渉が抑制され、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
特に、|LCR,i-LCI,i|に対する上記閾値(第2閾値)は、受光部140の周波数帯域に基づいて決定されてもよい。これにより、受光部の周波数帯域に応じて、効果的にアイソレータ(遮断部)からの反射光と、干渉計が生成する干渉光との干渉を抑制し、光干渉測距センサの計測精度を向上させることが可能となる。
[干渉計の変形例]
上述した本実施形態では、光干渉測距センサ100は、干渉計130a~130cのそれぞれにおいて光ファイバの先端を参照面とすることで参照光を発生させるフィゾー干渉計を用いていたが、干渉計は、これに限定されるものではない。
上述した本実施形態では、光干渉測距センサ100は、干渉計130a~130cのそれぞれにおいて光ファイバの先端を参照面とすることで参照光を発生させるフィゾー干渉計を用いていたが、干渉計は、これに限定されるものではない。
図12は、測定光と参照光とを用いて干渉光を発生させる干渉計のバリエーションを示す図である。図12(a)では、分岐部121によって分岐された光路A~Cにおいて、それぞれ光ファイバの先端(端面)を参照面として、光路長差が異なるように、それぞれ光ファイバの先端位置を光軸方向にズレて配置されている。上述した本実施形態に係る光干渉測距センサ100の干渉計120の構成であり(フィゾー干渉計)、当該参照面は、光ファイバと空気との屈折率の違いによって光が反射するように構成されていてもよい(フレネル反射)。また、光ファイバの先端に反射膜をコーティングしてもよいし、光ファイバの先端に無反射コーティングを施して、別途、レンズ面等の反射面を配置してもよい。
図12(b)では、分岐部121によって分岐された光路A~Cにおいて、計測対象物Tに測定光を導く測定光路Lm1~Lm3と、参照光を導く参照光路Lr1~Lr3とを形成し、参照光路Lr1~Lr3の先にはそれぞれ参照面が配置されている(マイケルソン干渉計)。参照面は、光ファイバの先端に反射膜をコーティングしてもよいし、光ファイバの先端に無反射コーティングを施して、別途、レンズ面等の反射面を配置してもよい。当該構成では、各測定光路Lm1~Lm3の光路長を同一にし、各参照光路Lr1~Lr3において光路長差を設けることによって、各光路A~Cにおいて、光路長差が異なるようにしている。各測定光路Lm1~Lm3の光路長を同一にすることができるため、センサヘッドにおける光学設計を容易にすることができる。
図12(c)では、分岐部121によって分岐された光路A~Cにおいて、計測対象物Tに測定光を導く測定光路Lm1~Lm3と、参照光を導く参照光路Lr1~Lr3とを形成し、参照光路Lr1~Lr3には、バランスディテクタが配置されている(マッハツェンダ干渉計)。当該構成では、各測定光路Lm1~Lm3の光路長を同一にし、各参照光路Lr1~Lr3において光路長差を設けることによって、各光路A~Cにおいて、光路長差が異なるようにしている。各測定光路Lm1~Lm3の光路長を同一にすることができるため、センサヘッドにおける光学設計を容易にすることができる。
このように、干渉計は、本実施形態で説明したフィゾー型干渉計に限定されるものではなく、例えば、マイケルソン干渉計やマッハツェンダ干渉計であってもよいし、測定光と参照光との光路長差を設定することによって干渉光を発生させることができれば、どのような干渉計を適用してもよいし、これらの組み合わせ等やその他の構成を適用してもよい。
1…センサシステム、10…変位センサ、11…制御機器、12…制御信号入力用センサ、13…外部接続機器、20…センサヘッド、21…対物レンズ、22,22a~22c、コリメートレンズ、23…対物レンズホルダ、24,24a~24c…コリメートレンズユニット、30…コントローラ、31…表示部、32…設定部、33…外部インタフェース(I/F)部、34…光ファイバ接続部、35…外部記憶部、36…計測処理部、40…光ファイバ、51…波長掃引光源、52…光増幅器、53,53a~53b…アイソレータ、54,54a~54e…光カプラ、55…減衰器、56a~56c…受光素子、57…合波回路、58…AD変換部、59…処理部、60…バランスディテクタ、61…補正信号生成部、71a~71e…受光素子、72a~72c…増幅回路、73…合波回路、74…AD変換部、75…処理部、76…差動増幅回路、77…補正信号生成部、100,200…光干渉測距センサ、110…波長掃引光源、120a~120c…光カプラ、122…減衰器、130a~130c…干渉計、131a~131c…センサヘッド、132a~132c…対物レンズ、140a~140c…受光部、141a~141c…受光素子、142a~142c…AD変換部、150…処理部、221a、221b…アイソレータ、a1~a4、b1~b4、c1~c4…光カプラのポート、T…計測対象物、Lm1~Lm3…測定光路、Lr1~Lr3…参照光路
Claims (9)
- 連続的に波長を変化させながら光を投光する光源と、
供給された光を計測対象物に導くことにより前記計測対象物から反射される測定光と、前記測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく干渉光を生成する複数の干渉計と、
直列に接続された複数段の光カプラであって、前記光源からの光を前段から受光して、前記複数の干渉計のうち対応する干渉計と、後段とに光を分岐させて供給する、複数段の光カプラと、
前記複数段の光カプラにおける後段から前段への光の供給を抑制する抑制手段と、
前記複数の干渉計が生成する複数の干渉光の周波数に基づいて、前記計測対象物までの距離を算出する処理部と、を備える光干渉測距センサ。 - 前記抑制手段は、前記複数段の光カプラのうち少なくともいずれかの光カプラであって、対応する干渉計に分岐させる光の光量より、後段に分岐させる光の光量の方が大きくなるように構成された光カプラを含む、請求項1に記載の光干渉測距センサ。
- 前記複数段の光カプラのうちi段目の光カプラについての、後段に分岐させる光の光量に対する、対応する干渉計に分岐させる光の光量の割合をRiとした場合、Ri+1≧Riとなるように設定される、請求項1又は2に記載の光干渉測距センサ。
- 前記干渉計は、前記測定光における前記計測対象物に照射して当該計測対象物で反射された第1反射光と、前記参照光における参照面で反射された第2反射光とに基づいて各干渉光を発生させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光干渉測距センサ。 - i段目の光カプラからこれに対応する干渉計の参照面までの光路長をLCR,iとし、i段目の光カプラからi+1段目の光カプラまでの光路長をLCC,iとした場合、|LCR,i-(LCR,i+1+LCC,i)|が第1閾値以上となるように設定される、請求項4に記載の光干渉測距センサ。
- 前記第1閾値は、前記複数の干渉光を電気信号に変換して前記処理部に供給する受光部の周波数帯域に基づいて設定される、請求項5に記載の光干渉測距センサ。
- 前記抑制手段は、前記複数段の光カプラのうちの2つの光カプラの間に接続され、前段の光カプラから後段の光カプラへは光を導くが、後段の光カプラから前段の光カプラへは光を導かないように構成された遮断部を含む、請求項4から6のいずれか一項に記載の光干渉測距センサ。
- i段目の光カプラからこれに対応する干渉計の参照面までの光路長をLCR,iとし、i段目の光カプラからこれに接続された後段側の遮断部までの光路長をLCI,iとした場合、|LCR,i-LCI,i|が第2閾値以上となるように設定される、請求項7に記載の光干渉測距センサ。
- 前記第2閾値は、前記複数の干渉光を電気信号に変換して前記処理部に供給する受光部の周波数帯域に基づいて設定される、請求項8に記載の光干渉測距センサ。
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