JP2024033725A - 光干渉測距センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】副干渉計に用いられる光カプラの数を削減することにより製造コストを軽減し、高精度な光干渉測距センサを提供することである。【解決手段】光干渉測距センサ100は、連続的に波長を変化させながら光を投光する光源110と、測定光と参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計120と、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計150と、第2干渉信号に基づいて第1干渉信号を補正しつつ、センサヘッド130から計測対象物Tまでの距離を算出する処理部170と、を備え、副干渉計151は、第1ポートP1に入射された光のうち、第3ポートP3に出射される第1光路L1と、第1ポートP1に入射された光のうち、第4ポートP4に出射されて第2ポートP2に入射され、さらに、第3ポートP3に出射される第2光路L1と、を有する、光カプラ151aを含む。【選択図】図11

Description

本発明は、光干渉測距センサに関する。
近年、非接触で計測対象物までの距離を計測する光測距センサが普及している。例えば、光測距センサとして、波長掃引光源から投光される光から、参照光と測定光とに基づく干渉光を生成し、当該干渉光に基づいて計測対象物までの距離を計測する光干渉測距センサが知られている。
このような光干渉測距センサでは、干渉光をサンプリングクロックに基づいてアナログデジタル変換することによって波長掃引による非線形性を補正し、高精度な計測を実現している。特許文献1では、基準干渉計ブロック(副干渉計)において2つの光カプラを用いて異なる光路長の2つの光路を形成し、それぞれ伝搬した波長掃引光の干渉に基づいてサンプリングクロックが生成されることが開示されている。
特開2021-32734号公報
しかしながら、特許文献1に開示される基準干渉計ブロック(副干渉計)では、異なる光路長の2つの光路を形成するために2つの光カプラを用いており、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
そこで、本発明は、副干渉計に用いられる光カプラの数を削減することにより製造コストを軽減し、高精度な光干渉測距センサを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光干渉測距センサは、連続的に波長を変化させながら光を投光する光源と、光源から投光された光が供給され、センサヘッドにより計測対象物に照射して反射される測定光と、測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計と、光源から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計と、第2干渉信号に基づいて第1干渉信号を補正しつつ、センサヘッドから計測対象物までの距離を算出する処理部と、を備え、副干渉計は、第1ポートに入射された光源から投光された光のうち、第3ポートに出射される第1光路と、第1ポートに入射された光源から投光された光のうち、第4ポートに出射されて第2ポートに入射され、さらに、第3ポートに出射される第2光路と、を有する、光カプラを含む。
この態様によれば、副干渉計は、1つの光カプラを備え、当該光カプラによって、第1ポートに入射された光のうち、第3ポートに出射される第1光路と、第4ポートに出射されて第2ポートに入射され、さらに、第3ポートに出射される第2光路とを形成する。すなわち、副干渉計は、1つの光カプラを用いて異なる光路長の2つの光路を形成することができている。その結果、副干渉計に用いられる光カプラの数を削減することにより製造コストを軽減し、高精度な光干渉測距センサを実現することができる。
上記態様において、第3ポートから出射される光信号に基づいて生成される第2干渉信号のうち閾値以上の高周波成分を逓減させるローパスフィルタを、さらに備えてもよい。
この態様によれば、副干渉計において、ローパスフィルタは、第4ポートに出射されて第2ポートに入射されることが繰り返された後に第3ポートに出射される光の影響により第2干渉信号に現れる高周波成分を逓減する。その結果、副干渉計によって生成される第2干渉信号は、不要なピークが抑制されるため、より高精度な光干渉測距センサを実現することができる。
本発明の一態様に係る光干渉測距センサは、連続的に波長を変化させながら光を投光する光源と、光源から投光された光が供給され、センサヘッドにより計測対象物に照射して反射される測定光と、測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計と、光源から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計と、第2干渉信号に基づいて第1干渉信号を補正しつつ、センサヘッドから計測対象物までの距離を算出する処理部と、を備え、副干渉計は、光源から投光された光を、直列に配置された第1光学素子及び第2光学素子を順に透過させる第1光路と、光源から投光された光の一部を第2光学素子で第1光学素子側に反射させ、さらに、第2光学素子で反射された光を第1光学素子で第2光学素子側に反射させて、第2光学素子を透過させる第2光路と、を有する。
この態様によれば、副干渉計は、第1光学素子及び第2光学素子を備え、光源から投光された光を、当該第1光学素子及び第2光学素子を順に透過させる第1光路と、当該光の一部を第2光学素子で第1光学素子側に反射させ、さらに、第2光学素子で反射された光を第1光学素子で第2光学素子側に反射させて、第2光学素子を透過させる第2光路とを形成する。すなわち、副干渉計は、光カプラを備えず、第1光学素子及び第2光学素子を用いて異なる光路長の2つの光路を形成することができている。その結果、副干渉計に用いられる光カプラの数を削減することにより製造コストを軽減し、高精度な光干渉測距センサを実現することができる。
上記態様において、第2光学素子を透過する光信号に基づいて生成される第2干渉信号のうち閾値以上の高周波成分を逓減させるローパスフィルタを、さらに備えてもよい。
この態様によれば、副干渉計において、ローパスフィルタは、第2光学素子で第1光学素子側に反射させて、さらに第1光学素子で第2光学素子側に反射させることが繰り返された後に第2光学素子を透過する光の影響により第2干渉信号に現れる高周波成分を逓減する。その結果、副干渉計によって生成される第2干渉信号は、不要なピークが抑制されるため、より高精度な光干渉測距センサを実現することができる。
本発明の一態様に係る光干渉測距センサは、連続的に波長を変化させながら光を投光する光源と、光源から投光された光が供給され、センサヘッドにより計測対象物に照射して反射される測定光と、測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計と、光源から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計と、第2干渉信号に基づいて第1干渉信号を補正しつつ、センサヘッドから計測対象物までの距離を算出する処理部と、を備え、副干渉計は、第1ポートに入射された光源から投光された光のうち、第3ポートから出射された光を第1反射部で反射させて、さらに第3ポートに入射させて、第2ポートから出射させる第1光路と、第1ポートに入射された光源から投光された光のうち、第4ポートから出射された光を第2反射部で反射させて、さらに第4ポートに入射させて、第2ポートから出射させる第2光路と、を有する、光カプラを含む。
この態様によれば、副干渉計は、1つの光カプラを備え、当該光カプラによって、第1ポートに入射された光のうち、第3ポートに出射されて第1反射部により反射され、再び第3ポートに入射されて第2ポートから出射させる第1光路と、第4ポートに出射されて第2反射部により反射され、再び第4ポートに入射されて第2ポートから出射させる第2光路とを形成する。すなわち、副干渉計は、1つの光カプラを用いて異なる光路長の2つの光路を形成することができている。その結果、副干渉計に用いられる光カプラの数を削減することにより製造コストを軽減し、高精度な光干渉測距センサを実現することができる。
上記態様において、第3ポートから第1反射部までの光路長と、第4ポートから第2反射部までの光路長とは異なってもよい。
この態様によれば、第3ポートから第1反射部までの光路長と、第4ポートから第2反射部までの光路長とは異なっているため、副干渉計は、適切に、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成することができる。
上記態様において、光カプラに入射される光は、分岐比が略同一となるように第3ポートと第4ポートとに分岐されてもよい。
この態様によれば、第3ポートと第4ポートとの分岐比が略同一であるため、第1光路及び第2光路を辿る2つの光に基づいて生成される第2干渉信号は、適切な信号強度を有することができる。その結果、高精度な光干渉測距センサを実現することができる。
本発明によれば、副干渉計に用いられる光カプラの数を削減し、低コストで実現可能な光干渉測距センサを提供することができる。
本開示に係る変位センサ10の概要を示す外観模式図である。 本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。 本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1の概要を示す機能ブロック図である。 本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。 本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される原理を説明するための図である。 本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される別の原理を説明するための図である。 センサヘッド20の概略構成を示す斜視図である。 センサヘッド20の内部構造を示す模式図である。 コントローラ30における信号処理について説明するためのブロック図である。 コントローラ30における処理部59によって実行される、計測対象物Tまでの距離を算出する方法を示すフローチャートである。 波形信号(電圧vs時間)がスペクトル(電圧vs周波数)に周波数変換される様子を示す図である。 スペクトル(電圧vs周波数)がスペクトル(電圧vs距離)に距離変換される様子を示す図である。 スペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークを検出し、それに対応する距離値が算出される様子を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る光干渉測距センサ100の構成概要を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る副干渉計の具体的構成を示す図である。 副干渉計151において、リング状の光路(第2光路L2)に分岐されることが繰り返されることにより、第2干渉信号に複数のピークが含まれる様子を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る副干渉計の具体的構成を示す図である。 副干渉計152において、直線状の折り返し光路(第2光学素子152cと第1光学素子152bとの間)で反射することが繰り返されることにより、第2干渉信号に複数のピークが含まれる様子を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る副干渉計の具体的構成を示す図である。 光カプラ153aにおける第3ポートP3と第4ポートP4との分岐比に応じて生成される第2干渉信号の信号強度を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る副干渉計の他の具体的構成を示す図である。 測定光と参照光とを用いて干渉光を発生させる干渉計のバリエーションを示す図である。
以下、本発明の好適な各実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する各実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
[変位センサの概要]
先ず、本開示に係る変位センサの概要について説明する。
図1は、本開示に係る変位センサ10の概要を示す外観模式図である。図1に示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20とコントローラ30とを備え、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を計測する。
センサヘッド20とコントローラ30とは、光ファイバ40で接続されており、センサヘッド20には対物レンズ21が取り付けられている。また、コントローラ30は、表示部31と、設定部32と、外部インタフェース(I/F)部33と、光ファイバ接続部34と、外部記憶部35とを含み、さらに、内部には、計測処理部36を有する。
センサヘッド20は、コントローラ30から出力される光を計測対象物Tに照射し、当該計測対象物Tからの反射光を受光する。センサヘッド20は、コントローラ30から出力されて光ファイバ40を介して受光した光を反射させ、上述した計測対象物Tからの反射光と干渉させるための参照面を、内部に有している。
なお、センサヘッド20には対物レンズ21が取り付けられているが、当該対物レンズ21は着脱可能な構成となっている。対物レンズ21は、センサヘッド20と計測対象物Tとの距離に応じて、適切な焦点距離を有する対物レンズに交換可能であって、又は可変焦点の対物レンズを適用してもよい。
さらに、センサヘッド20を設置する際には、ガイド光(可視光)を計測対象物Tに照射して、当該変位センサ10の計測領域内に計測対象物Tが適切に位置するようにセンサヘッド20及び/又は計測対象物Tを設置してもよい。
光ファイバ40は、コントローラ30に配置される光ファイバ接続部34に接続されて延伸し、当該コントローラ30とセンサヘッド20とを接続する。これにより、光ファイバ40は、コントローラ30から投光される光をセンサヘッド20に導き、さらに、センサヘッド20からの戻り光をコントローラ30へ導くように構成されている。なお、光ファイバ40は、センサヘッド20及びコントローラ30に着脱可能であって、長さ、太さ及び特性等において種々の光ファイバを適用することができる。
表示部31は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等で構成される。表示部31には、変位センサ10の設定値、センサヘッド20からの戻り光の受光量、及び変位センサ10によって計測された計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)等の計測結果が表示される。
設定部32は、例えば、機械式ボタンやタッチパネル等をユーザが操作することによって、計測対象物Tを計測するために必要な設定が行われる。これらの必要な設定の全部又は一部は、予め設定されていてもよいし、外部I/F部33に接続された外部接続機器(図示せず)から設定されてもよい。また、外部接続機器は、ネットワークを介して有線又は無線で接続されていてもよい。
ここで、外部I/F部33は、例えば、Ethernet(登録商標)、RS232C、及びアナログ出力等で構成される。外部I/F部33には、他の接続機器に接続されて当該外部接続機器から必要な設定が行われたり、変位センサ10によって計測された計測結果等を外部接続機器に出力したりしてもよい。
また、コントローラ30が外部記憶部35に記憶されたデータを取り込むことにより、計測対象物Tを計測するために必要な設定が行われてもよい。外部記憶部35は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の補助記憶装置であって、計測対象物Tを計測するために必要な設定等が予め記憶されている。
コントローラ30における計測処理部36は、例えば、連続的に波長を変化させながら光を投光する波長掃引光源、センサヘッド20からの戻り光を受光して電気信号に変換する受光素子、及び電気信号を処理する信号処理回路等を含む。計測処理部36では、センサヘッド20からの戻り光に基づいて、最終的には、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)が算出されるように制御部及び記憶部等を用いて様々な処理がなされている。これらの処理についての詳細は後述する。
図2は、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。図2に示されるように、当該手順は、ステップS11~S14を含む。
ステップS11では、センサヘッド20を設置する。例えば、センサヘッド20から計測対象物Tにガイド光を照射して、それを参考にして、センサヘッド20を適切な位置に設置する。
具体的には、コントローラ30における表示部31に、センサヘッド20からの戻り光の受光量を表示し、ユーザは、当該受光量を確認しながら、センサヘッド20の向き及び計測対象物Tとの距離(高さ位置)等を調整してもよい。基本的には、センサヘッド20からの光を計測対象物Tに対して垂直に(より垂直に近い角度で)照射できれば、当該計測対象物Tからの反射光の光量が大きく、センサヘッド20からの戻り光の受光量も大きくなる。
また、センサヘッド20と計測対象物Tとの距離に応じて、適切な焦点距離を有する対物レンズ21に交換してもよい。
さらに、計測対象物Tを計測するに際して適切な設定ができない場合(例えば、計測に必要な受光量を得られない、又は対物レンズ21の焦点距離が不適切である等)には、エラー又は設定未完了等を、表示部31に表示したり、外部接続機器に出力したりして、ユーザに通知するようにしてもよい。
ステップS12では、計測対象物Tを計測するに際して種々の計測条件を設定する。例えば、センサヘッド20が有する固有の校正データ(線形性を補正する関数等)を、ユーザがコントローラ30における設定部32を操作することによって設定する。
また、各種パラメータを設定してもよい。例えば、サンプリング時間、計測範囲、及び計測結果を正常とするか異常とするかの閾値等が設定される。さらに、計測対象物Tの反射率及び材質等の計測対象物Tの特性に応じて測定周期が設定され、及び計測対象物Tの材質に応じた測定モード等が設定されるようにしてもよい。
なお、これらの計測条件及び各種パラメータの設定は、コントローラ30における設定部32を操作することによって設定されるが、外部接続機器から設定されてもよいし、外部記憶部35からデータを取り込むことによって設定されてもよい。
ステップS13では、ステップS11で設置されたセンサヘッド20で、ステップS12で設定された計測条件及び各種パラメータに従って、計測対象物Tを計測する。
具体的には、コントローラ30の計測処理部36において、波長掃引光源から光が投光され、センサヘッド20からの戻り光を受光素子で受光し、信号処理回路によって周波数解析、距離変換及びピーク検出等がなされて、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)が算出される。具体的な計測処理についての詳細は、後述する。
ステップS14では、ステップS13で計測された計測結果を出力する。例えば、ステップS13で計測された計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)等を、コントローラ30における表示部31に表示したり、外部接続機器に出力したりする。
また、ステップS13で計測された計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)が、ステップS12で設定された閾値に基づいて、正常の範囲内であるか異常かについても計測結果として表示又は出力されてもよい。さらに、ステップS12で設定された計測条件、各種パラメータ及び測定モード等も共に表示又は出力されてもよい。
[変位センサを含むシステムの概要]
図3は、本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1の概要を示す機能ブロック図である。図3に示されるように、センサシステム1は、変位センサ10と、制御機器11と、制御信号入力用センサ12と、外部接続機器13とを備える。なお、変位センサ10は、制御機器11及び外部接続機器13とは、例えば、通信ケーブル又は外部接続コード(例えば、外部入力線、外部出力線及び電源線等を含む)で接続され、制御機器11と制御信号入力用センサ12とは信号線で接続される。
変位センサ10は、図1及び図2を用いて説明したように、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を計測する。そして、変位センサ10は、その計測結果等を制御機器11及び外部接続機器13に出力してもよい。
制御機器11は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)であって、変位センサ10が計測対象物Tを計測するに際して、当該変位センサ10に対して各種の指示を与える。
例えば、制御機器11は、制御機器11に接続された制御信号入力用センサ12からの入力信号に基づいて、測定タイミング信号を変位センサ10に出力してもよいし、ゼロリセット命令信号(現在の計測値を0に設定するための信号)等を変位センサ10に出力してもよい。
制御信号入力用センサ12は、変位センサ10が計測対象物Tを計測するタイミングを指示するオン/オフ信号を、制御機器11に出力する。例えば、制御信号入力用センサ12は、計測対象物Tが移動する生産ラインの近傍に設置され、計測対象物Tが所定の位置に移動してきたことを検知して、制御機器11にオン/オフ信号を出力すればよい。
外部接続機器13は、例えば、PC(Personal Computer)であって、ユーザが操作することによって、変位センサ10に対して様々な設定を行うことができる。
具体例としては、測定モード、動作モード、測定周期、及び計測対象物Tの材質等が設定される。
測定モードの設定として、制御機器11内部で周期的に計測開始する「内部同期計測モード」、又は制御機器11外部からの入力信号に応じて計測開始する「外部同期計測モード」等が選択される。
動作モードの設定として、実際に計測対象物Tを計測する「運転モード」、又は計測対象物Tを計測するための計測条件を設定する「調整モード」等が選択される。
測定周期は、計測対象物Tを測定する周期であり、計測対象物Tの反射率に応じて設定すればよいが、仮に、計測対象物Tの反射率が低い場合であっても、測定周期を長くして適切に測定周期を設定すれば、計測対象物Tを適切に測定することができる。
計測対象物Tについて、反射光の成分として拡散反射が比較的多い場合に適した「粗面モード」、反射光の成分として鏡面反射が比較的多い場合に適した「鏡面モード」、又はこれらの中間的な「標準モード」等が選択される。
このように、計測対象物Tの反射率及び材質に応じて、適切な設定を行うことによって、より高精度に計測対象物Tを計測することができる。
図4は、本開示に係る変位センサ10が用いられるセンサシステム1によって計測対象物Tが計測される手順を示すフローチャートである。図4に示されるように、当該手順は、上述した外部同期計測モードの場合の手順であって、ステップS21~S24を含む。
ステップS21では、センサシステム1は、計測される対象である計測対象物Tを検知する。具体的には、制御信号入力用センサ12は、生産ライン上において、計測対象物Tが所定の位置に移動してきたことを検知する。
ステップS22では、センサシステム1は、ステップS21で検知された計測対象物Tを変位センサ10によって計測するように計測指示する。具体的には、制御信号入力用センサ12は、制御機器11にオン/オフ信号を出力することにより、ステップS21で検知された計測対象物Tを測定するタイミングを指示し、制御機器11は、当該オン/オフ信号に基づいて、変位センサ10に測定タイミング信号を出力して、計測対象物Tを計測するように計測指示する。
ステップS23では、変位センサ10によって計測対象物Tが計測される。具体的には、変位センサ10は、ステップS22で受け取った計測指示に基づいて、計測対象物Tを計測する。
ステップS24では、センサシステム1は、ステップS23で計測された計測結果を出力する。具体的には、変位センサ10は、計測処理の結果を、表示部31に表示したり、外部I/F部33を経由して制御機器11又は外部接続機器13等に出力したりする。
なお、ここでは、図4を用いて、制御信号入力用センサ12によって計測対象物Tが検知されることにより計測対象物Tを計測する外部同期計測モードの場合についての手順を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、内部同期計測モードの場合は、ステップS21及びS22に代わって、予め設定された周期に基づいて測定タイミング信号が生成されることにより、計測対象物Tを計測するように変位センサ10に指示する。
次に、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される原理を説明する。
図5Aは、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される原理を説明するための図である。図5Aに示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20及びコントローラ30を備える。センサヘッド20は、対物レンズ21と、複数のコリメートレンズ22a~22cとを含み、コントローラ30は、波長掃引光源51と、光増幅器52と、複数のアイソレータ53及び53a~53bと、複数の光カプラ54及び54a~54eと、減衰器55と、複数の受光素子(例えば、フォトディテクタ(PD))56a~56cと、複数の増幅回路57a~57cと、複数のアナログデジタル(AD)変換部(例えば、アナログデジタルコンバータ)58a~58cと、処理部(例えば、プロセッサ)59と、バランスディテクタ60と、補正信号生成部61とを含む。
波長掃引光源51は、波長を掃引したレーザ光を投光する。波長掃引光源51としては、例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を電流で変調する方式を適用すれば、共振器長が短いためにモードホップを起こしにくく、波長を変化させることが容易であり、低コストで実現することができる。
光増幅器52は、波長掃引光源51から投光される光を増幅する。光増幅器52は、例えば、EDFA(erbium-doped fiber amplifier)を適用し、例えば、1550nm専用の光増幅器であってもよい。
アイソレータ53は、入射した光を一方向に透過させる光学素子であって、戻り光によって発生するノイズの影響を防ぐために、波長掃引光源51の直後に配置されてもよい。
このように、波長掃引光源51から投光された光は、光増幅器52によって増幅され、アイソレータ53を介して、光カプラ54によって主干渉計と副干渉計とに分岐される。例えば、光カプラ54では、主干渉計と副干渉計とに分岐する光の割合は、主干渉計側に90%以上分岐させるようにしてもよい。
主干渉計に分岐された光は、さらに、1段目の光カプラ54aによって、センサヘッド20の方向と2段目の光カプラ54bの方向とに分岐される。
1段目の光カプラ54aによってセンサヘッド20の方向に分岐された光は、センサヘッド20において、光ファイバの先端からコリメートレンズ22a及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射される。そして、当該光ファイバの先端(端面)が参照面となり、当該参照面で反射した光と、計測対象物Tで反射した光とが干渉し、干渉光が生成されて、1段目の光カプラ54aに戻り、その後、受光素子56aで受光されて電気信号に変換される。
1段目の光カプラ54aによって2段目の光カプラ54bの方向に分岐された光は、アイソレータ53aを介して2段目の光カプラ54bに向かい、当該2段目の光カプラ54bによって、さらにセンサヘッド20の方向と3段目の光カプラ54cの方向とに分岐される。光カプラ54bからセンサヘッド20の方向に分岐された光は、1段目と同様に、センサヘッド20において、光ファイバの先端からコリメートレンズ22b及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射される。そして、当該光ファイバの先端(端面)が参照面となり、当該参照面で反射した光と、計測対象物Tで反射した光とが干渉し、干渉光が生成されて、2段目の光カプラ54bに戻り、当該光カプラ54bによってアイソレータ53a及び受光素子56bそれぞれの方向へ分岐される。光カプラ54bから受光素子56bの方向へ分岐された光は、受光素子56bで受光されて電気信号に変換される。一方、アイソレータ53aは、前段の光カプラ54aから後段の光カプラ54bへ光を透過し、後段の光カプラ54bから前段の光カプラ54aへの光を遮断するため、光カプラ54bからアイソレータ53aの方向へ分岐された光は、遮断される。
2段目の光カプラ54bによって3段目の光カプラ54cの方向に分岐された光は、アイソレータ53bを介して3段目の光カプラ54cに向かい、当該3段目の光カプラ54cによって、さらにセンサヘッド20の方向と減衰器55の方向とに分岐される。光カプラ54cからセンサヘッド20の方向に分岐された光は、1段目及び2段目と同様に、センサヘッド20において、光ファイバの先端からコリメートレンズ22c及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射される。そして、当該光ファイバの先端(端面)が参照面となり、当該参照面で反射した光と、計測対象物Tで反射した光とが干渉し、干渉光が生成されて、3段目の光カプラ54cに戻り、当該光カプラ54cによってアイソレータ53b及び受光素子56cそれぞれの方向へ分岐される。光カプラ54cから受光素子56cの方向へ分岐された光は、受光素子56cで受光されて電気信号に変換される。一方、アイソレータ53bは、前段の光カプラ54bから後段の光カプラ54cへ光を透過し、後段の光カプラ54cから前段の光カプラ54bへの光を遮断するため、光カプラ54cからアイソレータ53bの方向へ分岐された光は、遮断される。
なお、3段目の光カプラ54cによってセンサヘッド20でない方向に分岐された光は、計測対象物Tの計測に用いられないため、反射して戻ってこないように、例えば、ターミネータ等の減衰器55によって減衰されるとよい。
このように、主干渉計では、3段の光路(3チャネル)を有し、それぞれセンサヘッド20の光ファイバの先端(端面)から計測対象物Tまでの距離の2倍(往復)を光路長差とした干渉計であり、それぞれ光路長差に応じた3つの干渉光を生成している。
受光素子56a~56cは、上述したように主干渉計からの干渉光を受光し、当該受光した受光量に応じた電気信号を生成する。
増幅回路57a~57cは、それぞれ受光素子56a~56cから出力される電気信号を増幅する。
AD変換部58a~58cは、それぞれ増幅回路57a~57cによって増幅された電気信号を受信して、当該電気信号に関してアナログ信号からデジタル信号に変換する(AD変換)。ここで、AD変換部58a~58cは、副干渉計における補正信号生成部61からの補正信号に基づいて、AD変換する。
副干渉計では、波長掃引光源51の掃引時における波長の非線形性を補正するために、副干渉計にて干渉信号を取得し、Kクロックと呼ばれる補正信号を生成する。
具体的には、光カプラ54によって副干渉計に分岐された光は、光カプラ54dによって、さらに分岐される。ここで、分岐された各光の光路は、例えば、光カプラ54dと光カプラ54eとの間において異なる長さの光ファイバを用いて光路長差を有するように構成されて、当該光路長差に応じた干渉光が光カプラ54eから出力される。そして、バランスディテクタ60は、光カプラ54eからの干渉光を受光し、その逆位相の信号との差分を取ることによってノイズを除去しつつ、光信号を増幅して電気信号に変換する。
なお、光カプラ54d及び光カプラ54eは、いずれも50:50の割合で光を分岐すればよい。
補正信号生成部61は、バランスディテクタ60からの電気信号に基づいて、波長掃引光源51の掃引時における波長の非線形性を把握し、当該非線形に応じたKクロックを生成し、AD変換部58a~58cに出力する。
波長掃引光源51の掃引時における波長の非線形性から、主干渉計においてそれぞれAD変換部58a~58cに入力されるアナログ信号の波の間隔は等間隔ではない。AD変換部58a~58cでは、波の間隔が等間隔になるように、上述したKクロックに基づいてサンプリング時間を補正してAD変換(サンプリング)される。
なお、Kクロックは、上述したように、主干渉計のアナログ信号をサンプリングするために用いられる補正信号であるため、主干渉計のアナログ信号よりも高周波に生成される必要がある。具体的には、副干渉計における光カプラ54dと光カプラ54eとの間で設けられた光路長差を、主干渉計における光ファイバの先端(端面)と計測対象物Tとの間で設けられた光路長差よりも長くしてもよいし、補正信号生成部61で周波数を逓倍(例えば、8倍等)して高周波化してもよい。
処理部59は、それぞれAD変換部58a~58cによって非線形性が補正されつつAD変換されたデジタル信号を取得し、当該デジタル信号に基づいて、計測対象物Tの変位(計測対象物Tまでの距離)を算出する。具体的には、処理部59では、高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transform)を用いてデジタル信号を周波数変換し、それらを解析することによって距離が算出される。処理部59における詳細な処理については後述する。
なお、処理部59では、高速処理が要求されることから、FPGA(field-programmable gate array)等の集積回路で実現される場合が多い。
また、ここでは、主干渉計において3段の光路を設けて、センサヘッド20によってそれぞれの光路から計測対象物Tに対して測定光が照射され、それぞれから得られる干渉光(戻り光)に基づいて、計測対象物Tまでの距離等が計測される(マルチチャネル)。主干渉計におけるチャネルは、3段に限定されるものではなく、1段又は2段であってもよいし、4段以上であってもよい。
図5Bは、本開示に係る変位センサ10によって計測対象物Tが計測される別の原理を説明するための図である。図5Bに示されるように、変位センサ10は、センサヘッド20及びコントローラ30を備える。センサヘッド20は、対物レンズ21と、複数のコリメートレンズ22a~22cとを含み、コントローラ30は、波長掃引光源51と、光増幅器52と、複数のアイソレータ53及び53a~53bと、複数の光カプラ54及び54a~54jと、減衰器55と、複数の受光素子(例えば、フォトディテクタ(PD))56a~56cと、複数の増幅回路57a~57cと、複数のアナログデジタル(AD)変換部(例えば、アナログデジタルコンバータ)58a~58cと、処理部(例えば、プロセッサ)59と、バランスディテクタ60と、補正信号生成部61とを含む。図5Bに示された変位センサ10は、主に、光カプラ54f~54jを備えている点で、図5Aに示された変位センサ10の構成とは異なり、当該異なる構成による原理について、図5Aと比較しながら詳しく説明する。
波長掃引光源51から投光された光は、光増幅器52によって増幅され、アイソレータ53を介して、光カプラ54によって主干渉計側と副干渉計側とに分岐されるが、主干渉計側に分岐された光は、さらに、光カプラ54fによって測定光と参照光とに分岐される。
測定光は、図5Aで説明したように、1段目の光カプラ54aによってコリメートレンズ22a及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射され、当該計測対象物Tで反射する。ここで、図5Aでは、光ファイバの先端(端面)を参照面として、当該参照面で反射した光と計測対象物Tで反射した光とが干渉し、干渉光が生成されていたが、図5Bでは、光が反射する参照面を設けていない。すなわち、図5Bでは、図5Aのように参照面で反射する光が発生しないため、計測対象物Tで反射された測定光が1段目の光カプラ54aに戻ることなる。
同様に、1段目の光カプラ54aから2段目の光カプラ54bの方向に分岐された光は、当該2段目の光カプラ54bによってコリメートレンズ22b及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射され、当該計測対象物Tで反射して2段目の光カプラ54bに戻る。2段目の光カプラ54bから3段目の光カプラ54cの方向に分岐された光は、当該3段目の光カプラ54cによってコリメートレンズ22c及び対物レンズ21を通過して計測対象物Tに照射され、当該計測対象物Tで反射して3段目の光カプラ54cに戻る。
一方、光カプラ54fによって分岐された参照光は、さらに、光カプラ54gによって光カプラ54h、54i及び54jに分岐される。
光カプラ54hでは、光カプラ54aから出力される計測対象物Tで反射された測定光と、光カプラ54gから出力される参照光とが干渉し、干渉光が生成されて、受光素子56aで受光されて電気信号に変換される。換言すれば、光カプラ54fによって測定光と参照光とに分岐され、当該測定光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54a、コリメートレンズ22a、対物レンズ21を介して計測対象物Tで反射し、光カプラ54hまで到達する光路)と、当該参照光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54gを介して光カプラ54hまで到達する光路)との光路長差に応じた干渉光が生成されて、当該干渉光が受光素子56aで受光されて電気信号に変換される。
同様に、光カプラ54iでは、測定光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54a、54b、コリメートレンズ22b、対物レンズ21を介して計測対象物Tで反射し、光カプラ54iまで到達する光路)と、参照光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54gを介して光カプラ54iまで到達する光路)との光路長差に応じた干渉光が生成されて、当該干渉光が受光素子56bで受光されて電気信号に変換される。
光カプラ54jでは、測定光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54a、54b、54c、コリメートレンズ22c、対物レンズ21を介して計測対象物Tで反射し、光カプラ54jまで到達する光路)と、参照光の光路(光カプラ54fから、光カプラ54gを介して光カプラ54jまで到達する光路)との光路長差に応じた干渉光が生成されて、当該干渉光が受光素子56cで受光されて電気信号に変換される。なお、受光素子56a~56cは、例えば、バランスフォトディテクタであってもよい。
このように、主干渉計では、3段の光路(3チャネル)を有し、それぞれ計測対象物Tで反射されて光カプラ54h、54i及び54jに入力される測定光と、光カプラ54f及び54gを介してそれぞれ光カプラ54h、54i及び54jに入力される参照光との光路長差に応じた3つの干渉光を生成している。
なお、測定光と参照光との光路長差は、3チャネルにおいてそれぞれ異なるように、例えば、光カプラ54gと、各光カプラ54h、54i及び54jとの光路長を異なるように設定してもよい。
そして、それぞれから得られる干渉光に基づいて、計測対象物Tまでの距離等が計測される(マルチチャネル)。
[センサヘッドの構造]
ここで、変位センサ10に用いられるセンサヘッドの構造について説明する。
図6Aは、センサヘッド20の概略構成を示す斜視図であり、図6Bは、センサヘッドの内部構造を示す模式図である。
図6Aに示されるように、センサヘッド20は、レンズホルダ23に対物レンズ21及びコリメートレンズが格納されている。例えば、レンズホルダ23のサイズは、対物レンズ21を囲う一辺の長さが20mm程度であり、光軸方向への長さが40mm程度である。
図6Bに示されるように、レンズホルダ23には、1つの対物レンズ21及び3つのコリメートレンズ22a~22cが格納されている。光ファイバからの光は、光ファイバアレイ24を介して3つのコリメートレンズ22a~22cに導かれるように構成されており、さらに、3つのコリメートレンズ22a~22cを通過した光は、対物レンズ21を介して計測対象物Tに照射される。
このように、これらの光ファイバ、コリメートレンズ22a~22c及び光ファイバアレイ24は、対物レンズ21とともに、レンズホルダ23によって保持されて、センサヘッド20を構成している。
また、センサヘッド20を構成するレンズホルダ23は、高強度で、また高精度に加工できる金属(例えば、A2017)で作製されていてもよい。
図7は、コントローラ30における信号処理について説明するためのブロック図である。図7に示されるように、コントローラ30は、複数の受光素子71a~71eと、複数の増幅回路72a~72cと、複数のAD変換部74a~74cと、処理部75と、差動増幅回路76と、補正信号生成部77とを備える。
コントローラ30では、図5Aで示されたように、波長掃引光源51から投光された光を光カプラ54によって主干渉計と副干渉計とに分岐し、それぞれより得られる主干渉信号及び副干渉信号を処理することによって、計測対象物Tまでの距離値を算出している。
複数の受光素子71a~71cは、図5Aに示された受光素子56a~56cに相当し、主干渉計からの主干渉信号をそれぞれ受光して、電流信号としてそれぞれ増幅回路72a~72cに出力する。
複数の増幅回路72a~72cは、電流信号を電圧信号に変換(I-V変換)して増幅する。
複数のAD変換部74a~74cは、図5Aに示されたAD変換部58a~58cに相当し、後述する補正信号生成部77からのKクロックに基づいて、電圧信号をデジタル信号に変換する(AD変換)。
処理部75は、図5Aに示された処理部59に相当し、AD変換部74a~74cからのデジタル信号をFFTを用いて周波数に変換し、それらを解析して、計測対象物Tまでの距離値を算出する。
複数の受光素子71d~71e及び差動増幅回路76は、図5Aに示されたバランスディテクタ60に相当し、副干渉計における干渉光をそれぞれ受光して、一方は位相の反転した干渉信号を出力し、2つの信号の差分を取ることによってノイズを除去しつつ、干渉信号を増幅して電圧信号に変換する。
補正信号生成部77は、図5Aに示された補正信号生成部61に相当し、電圧信号をコンパレータで2値化し、Kクロックを生成し、AD変換部74a~74cに出力する。Kクロックは、主干渉計のアナログ信号よりも高周波に生成される必要があるため、補正信号生成部77で周波数を逓倍(例えば、8倍等)して高周波化してもよい。
図8は、コントローラ30における処理部59によって実行される、計測対象物Tまでの距離を算出する方法を示すフローチャートである。図8に示されるように、当該方法は、ステップS31~S34を含む。
ステップS31では、処理部59は、下記FFTを用いて、波形信号(電圧vs時間)をスペクトル(電圧vs周波数)に周波数変換する。図9Aは、波形信号(電圧vs時間)がスペクトル(電圧vs周波数)に周波数変換される様子を示す図である。
Figure 2024033725000002
ステップS32では、処理部59は、スペクトル(電圧vs周波数)をスペクトル(電圧vs距離)に距離変換する。図9Bは、スペクトル(電圧vs周波数)がスペクトル(電圧vs距離)に距離変換される様子を示す図である。
ステップS33では、処理部59は、スペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークに対応する距離値を算出する。図9Cは、スペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークを検出し、それに対応する距離値が算出される様子を示す図である。図9Cに示されるように、ここでは、3チャネルにおいて、それぞれスペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークが検出され、それぞれピークに対応する距離値が算出される。
ステップS34では、処理部59は、ステップS33で算出された距離値を平均化する。具体的には、処理部59は、ステップS33で3チャネルにおいてそれぞれスペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークが検出され、それに対応する距離値が算出されているため、それらを平均化して、当該平均化した算出結果を計測対象物Tまでの距離として出力する。
なお、ステップS34では、処理部59は、ステップS33で算出された距離値を平均化する際に、SNRが閾値以上である距離値平均化することが好ましい。例えば、3チャンネルのうち、いずれかのチャンネルにおいて、そのスペクトル(電圧vs距離)に基づいてピークが検出されたものの、SNRが閾値未満の場合には、当該スペクトルに基づいて算出される距離値は、信頼性が低いと判断し、採用しない。
次に、本開示に関して、より特徴的な構成、機能及び性質を中心に、具体的な実施形態として詳細に説明する。なお、以下に示される光干渉測距センサは、図1~図9を用いて説明した変位センサ10に相当し、当該光干渉測距センサに含まれる基本的な構成、機能及び性質の全部又は一部は、図1~図9を用いて説明した変位センサ10に含まれる構成、機能及び性質と共通している。
<第1実施形態>
[光干渉測距センサの構成]
図10は、本発明の第1実施形態に係る光干渉測距センサ100の構成概要を示す模式図である。図10に示されるように、光干渉測距センサ100は、波長掃引光源110と、主干渉計120と、センサヘッド130と、第1フォトディテクタ140と、副干渉計150と、第2フォトディテクタ160と、処理部170とを備え、計測対象物Tまでの距離を計測する。
波長掃引光源110は、連続的に波長を変化させながら光を投光する。すなわち、波長掃引光源110から投光される光は、継続して波長が変化している。そして、波長掃引光源110から投光された光は、例えば、光カプラ等の光分岐部を介して、主干渉計120と副干渉計150とに供給される。
主干渉計120は、波長掃引光源110から投光された光を、光ファイバを介してセンサヘッド130に供給し、さらに、センサヘッド130からの戻り光を第1フォトディテクタ140に導く。
具体的には、主干渉計120からセンサヘッド130に導かれた光は、測定光として、例えば、センサヘッド130に配置されたコリメートレンズや対物レンズを介して、計測対象物Tに照射される。そして、当該計測対象物Tでの反射光がセンサヘッド130に戻る。
また、主干渉計120からセンサヘッド130に導かれた光の一部は、参照光として、例えば、主干渉計120とセンサヘッド130とを接続する光ファイバの先端に設けられた参照面で反射される。そして、上述した測定光と当該参照光とが干渉することにより、測定光及び参照光の光路長差に応じた干渉光が生成される(第1干渉信号)。
このように、主干渉計120は、波長掃引光源110から投光された光が供給され、センサヘッド130により計測対象物Tに照射して反射される測定光と、測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づいて第1干渉信号を生成する。なお、波長掃引光源110から投光された光が供給され、第1干渉信号を生成するということから、主干渉計120及びセンサヘッド130を含めて主干渉計と言うこともできる。
第1フォトディテクタ140は、主干渉計120によって生成された第1干渉信号を受光し、処理部170は、後述する第2干渉信号に基づいて当該第1干渉信号を補正しつつ、計測対象物Tまでの距離を算出する。
副干渉計150は、波長掃引光源110から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する。副干渉計150の具体的な構成については、後述する。
第2フォトディテクタ160は、副干渉計150によって生成された第2干渉信号を受光する。
処理部170は、主干渉計120によって生成されて第1フォトディテクタ140で受光した第1干渉信号を、副干渉計150によって生成されて第2フォトディテクタ160で受光した第2干渉信号に基づいて補正しつつ、計測対象物Tまでの距離を算出する。
具体的には、波長掃引光源110の掃引時における波長の非線形性から、第1フォトディテクタ140で受光する第1干渉信号は、アナログ信号の波の間隔は等間隔ではない。このため、当該アナログ信号をAD変換する際に、例えば、補正信号(Kクロック)を用いて、波の間隔が等間隔になるようにリニアライズ補正するとよい。
ここで、補正信号(Kクロック)は、補正信号生成部(図5A、図5B及び図7等)によって、第2干渉信号に基づいて生成される。第2干渉信号は、掃引時における波長の非線形性から、第1干渉信号と同様に非線形であるため、補正信号生成部は、当該第2干渉信号に基づいて掃引時における波長の非線形性を把握し、第1干渉信号のアナログ信号を適切にAD変換(サンプリング)する補正信号(Kクロック)を生成することができる。
[副干渉計の具体的構成]
以下に、副干渉計150の具体的な構成について、詳しく説明する。
図11は、本発明の第1実施形態に係る副干渉計の具体的構成を示す図である。図11に示されるように、図10で示された副干渉計150の具体的構成として、副干渉計151は、1つの光カプラ151aを備える。
なお、光カプラ151aは、第1ポートP1~第4ポートP4を有する2×2の光カプラであって、第2ポートP2に接続される光ファイバと、第4ポートP4に接続される光ファイバとは融着されることでリング状の光路を形成している(リング型)。
波長掃引光源110から投光された光が副干渉計151に供給され、当該光は、光カプラ151aの第1ポートP1に入射される(L0)。
第1ポートP1に入射された光は、第3ポートP3と第4ポートP4とに分岐されて出射されるが、ここで、第1ポートP1に入射された光のうち、第3ポートP3から出射される光の光路を第1光路L1とする。
一方で、第1ポートP1に入射された光のうち、第4ポートP4に分岐されて出射された光は、再び第2ポートP2から光カプラ151aに入射される。そして、当該入射された光のうち、第3ポートP3から出射される光の光路を第2光路L2とする。
このように、副干渉計151は、第1光路L1を辿って光カプラ151aの第3ポートP3から出射された光と、第2光路L2を辿って光カプラ151aの第3ポートP3から出射された光とに基づいて、当該第1光路L1と第2光路L2との光路長差に応じた第2干渉信号を生成する。
以上のように、本発明の第1実施形態に係る光干渉測距センサ100によれば、副干渉計151は、1つの光カプラ151aを備え、当該光カプラ151aによって、第1ポートP1に入射された光のうち、第3ポートP3に出射される第1光路L1と、第4ポートP4に出射されて第2ポートP2に入射され、さらに、第3ポートP3に出射される第2光路L2とを形成する。すなわち、副干渉計151は、1つの光カプラ151aを用いて異なる光路長の2つの光路L1及びL2を形成することができている。その結果、副干渉計150に用いられる光カプラの数を削減することにより製造コストを軽減し、高精度な光干渉測距センサ100を実現することができる。
なお、本実施形態における副干渉計151では、リング状の光路が形成されていることにより、第4ポートP4から出射されて第2ポートP2に入射された光は、第3ポートP3と第4ポートP4とに分岐されるが、ここで、第4ポートP4に分岐されて出射された光は、再び第2ポートP2に入射されることになり、これが繰り返される。すなわち、第1光路L1と異なる光路長となる第2光路L2、さらに、リング状の光路を1周、2周、3周・・・して、それぞれ第3ポートP3から出射される光があり、それぞれ第1光路L1との光路長差に応じたピークが第2干渉信号に含まれてしまう可能性がある。
図12は、副干渉計151において、リング状の光路(第2光路L2)に分岐されることが繰り返されることにより、第2干渉信号に複数のピークが含まれる様子を示す図である。図12(A)に示されるように、第2干渉信号において、第1光路L1と第2光路L2(1周)との光路長差に応じたピークf1(信号強度I1)が現れており、第1光路L1と第2光路L2(2周)との光路長差に応じたピークf2(信号強度I2)が現れている。以降も同様に、第1光路L1と第2光路L2(3周)との光路長差に応じたピークf3が現れることになる。
ここで、副干渉計151としては、第2干渉信号のうち閾値以上の高周波成分を逓減させるローパスフィルタを備えるとよい。例えば、光カプラ151aの第3ポートP3の後段に、周波数f1を超える高周波成分を逓減させるローパスフィルタを備える。
これにより、第1光路L1と、第2光路L2(2周以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)を抑制することができ、第1光路L1と第2光路L2(1周)との光路長差に応じたピークf1(信号強度I1)を適切に処理できる第2干渉信号を生成することができる。
さらに、上述したローパスフィルタの機能に応じて、光カプラ151aにおける第3ポートP3と第4ポートP4との分岐比を設定してもよい。図12(B)では、第1光路L1と第2光路L2(1周)との光路長差に基づいて生成される第2干渉信号の信号強度、及び上述した第2干渉信号に含まれるピークf1(信号強度I1)と、ピークf2(信号強度I2)とのピーク強度比(I1/I2)を示している。
ローパスフィルタの機能に応じて、第1光路L1と、第2光路L2(2周以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)を抑制することができている場合には、第2干渉信号の信号強度が大きくなるように、光カプラ151aにおける第3ポートP3と第4ポートP4との分岐比を設定すればよい。例えば、第3ポートP3側の分岐比は、20%~50%程度(最適値は、約35%)となるように設定すればよい。すなわち、光カプラ151aにおける第3ポートP3と第4ポートP4との分岐比を、35:65となるように設定する。
一方で、ローパスフィルタの機能に応じて、第1光路L1と、第2光路L2(2周以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)を抑制することが十分にできていない場合には、第2干渉信号に含まれる、第1光路L1と、第2光路L2(2周以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)の影響を受けないように、光カプラ151aにおける第3ポートP3と第4ポートP4との分岐比を設定すればよい。
具体的には、ピークf1(信号強度I1)とピークf2(信号強度I2)とのピーク強度比(I1/I2)が大きくなるように、第3ポートP3の側の分岐比を小さくするとよい(例えば、20%未満)。そして、第3ポートP3の側の分岐比を小さくすることにより第2干渉信号の信号強度が小さくなることについては、光増幅器等を備え、光量を大きくするとよい。
以降、第2及び第3実施形態について説明するが、第2及び第3実施形態に係る光干渉測距センサは、図10を用いて説明した光干渉測距センサ100の構成と共通するが、副干渉計150の具体的構成が異なる。各実施形態では、第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略又は簡略化し、本発明の第1実施形態と異なる副干渉計150の具体的構成について詳しく説明する。
<第2実施形態>
図13は、本発明の第2実施形態に係る副干渉計の具体的構成を示す図である。図13に示されるように、図10で示された副干渉計150の具体的構成として、副干渉計152は、光
ファイバ152aを備え、さらに、当該光ファイバ152aに、第1光学素子152b及び第2光学素子152cを備える。
なお、光ファイバ152aは、波長掃引光源110から投光されて副干渉計152に供給された光を伝搬し、その光の一部を透過して一部を反射する、例えば、ビームスプリッタなどの第1光学素子152b及び第2光学素子152cを直列に配置し、直線状の光路を形成している(直線型)。なお、ここでは、光ファイバ152aは直線状であるため、副干渉計152は、直線型を形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、光ファイバ152aの少なくとも一部を曲線状や折れ線状としてもよい。
波長掃引光源110から投光された光が副干渉計152に供給され、当該光は、光ファイバ152aを伝搬する(L0)。
第1光学素子152bまで伝搬された光は、当該第1光学素子152bを透過し、さらに、光ファイバ152aを伝搬する。そして、第2光学素子152cまで伝搬した光のうち、その光の一部は、当該第2光学素子152cを透過する。これを第1光路L1とする。
一方で、第2光学素子152cまで伝搬した光のうち、その一部は、当該第2光学素子152cで第1光学素子152b側に反射し、さらに、当該第2光学素子152cで反射した光は第1光学素子152bで第2光学素子152c側に反射する。そして、第2光学素子152cまで伝搬した光のうち、その光の一部は、当該第2光学素子152cを透過する。これを第2光路L2とする。
このように、副干渉計152は、第1光路L1を辿って第2光学素子152cを透過した光と、第2光路L2を辿って第2光学素子152cを透過した光とに基づいて、当該第1光路L1と第2光路L2との光路長差に応じた第2干渉信号を生成する。
以上のように、本発明の第2実施形態に係る光干渉測距センサ100によれば、副干渉計152は、第1光学素子152b及び第2光学素子152cを備え、光源110から投光された光を、当該第1光学素子152b及び第2光学素子152cを順に透過させる第1光路L1と、光の一部を第2光学素子152cで第1光学素子152b側に反射させ、さらに、第2光学素子152cで反射された光を第1光学素子152bで第2光学素子152c側に反射させて、第2光学素子152cを透過させる第2光路L2とを形成する。すなわち、副干渉計152は、光カプラを備えず、第1光学素子152b及び第2光学素子152cを用いて異なる光路長の2つの光路L1及びL2を形成することができている。その結果、副干渉計150に用いられる光カプラの数を削減することにより製造コストを軽減し、高精度な光干渉測距センサ100を実現することができる。
なお、本実施形態における副干渉計152では、第1光学素子152bと第2光学素子152cとの間で光が反射して折り返し光路が形成されていることにより、第2光学素子152cまで伝搬した光のうち一部の光は、第2光学素子152cで第1光学素子152b側に反射され、さらに、当該第1光学素子152bで第2光学素子152c側に反射される。そして、再び第2光学素子152cまで伝搬することになり、これが繰り返される。すなわち、第1光路L1と異なる光路長となる第2光路L2、さらに、折り返し光路を1往復、2往復、3往復・・・して、それぞれ第2光学素子152cを透過する光があり、それぞれ第1光路L1との光路長差に応じたピークが第2干渉信号に含まれてしまう可能性がある。
図14は、副干渉計152において、直線状の折り返し光路(第2光学素子152cと第1光学素子152bとの間)で反射することが繰り返されることにより、第2干渉信号に複数のピークが含まれる様子を示す図である。図14(A)に示されるように、第2干渉信号において、第1光路L1と第2光路L2(1往復)との光路長差に応じたピークf1(信号強度I1)が現れており、第1光路L1と第2光路L2(2往復)との光路長差に応じたピークf2(信号強度I2)が現れている。以降も同様に、第1光路L1と第2光路L2(3往復)との光路長差に応じたピークf3が現れることになる。
ここで、副干渉計152としては、第2干渉信号のうち閾値以上の高周波成分を逓減させるローパスフィルタを備えるとよい。例えば、第2光学素子152cの後段に、周波数f1を超える高周波成分を逓減させるローパスフィルタを備える。
これにより、第1光路L1と、第2光路L2(2往復以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)を抑制することができ、第1光路L1と第2光路L2(1往復)との光路長差に応じたピークf1(信号強度I1)を適切に処理できる第2干渉信号を生成することができる。
さらに、上述したローパスフィルタの機能に応じて、第1光学素子152b及び第2光学素子152cにおける透過率を設定してもよい。図14(B)では、第1光路L1と第2光路L2(1往復)との光路長差に基づいて生成される第2干渉信号の信号強度、及び上述した第2干渉信号に含まれるピークf1(信号強度I1)と、ピークf2(信号強度I2)とのピーク強度比(I1/I2)を示している。
ここでは、第1光学素子152bの透過率を70%に設定(固定)した場合について、説明する。ローパスフィルタの機能に応じて、第1光路L1と、第2光路L2(2往復以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)を抑制することができている場合には、第2干渉信号の信号強度が大きくなるように、第2光学素子152cの透過率を設定すればよい。例えば、第2光学素子152cの透過率は、50%~80%程度(最適値は、約65%)となるように設定すればよい。すなわち、第1光学素子152bの透過率を70%、及び第2光学素子152cの透過率を65%となるように設定する。
一方で、ローパスフィルタの機能に応じて、第1光路L1と、第2光路L2(2往復以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)を抑制することが十分にできていない場合には、第2干渉信号に含まれる、第1光路L1と、第2光路L2(2往復以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)の影響を受けないように、第2光学素子152cの透過率を設定すればよい。
具体的には、ピークf1(信号強度I1)とピークf2(信号強度I2)とのピーク強度比(I1/I2)が大きくなるように、第2光学素子152cの透過率を大きくするとよい(例えば、80%以上)。そして、第2光学素子152cの透過率を大きくすることにより第2干渉信号の信号強度が小さくなることについては、光増幅器等を備え、光量を大きくするとよい。
<第3実施形態>
図15は、本発明の第3実施形態に係る副干渉計の具体的構成を示す図である。図15に示されるように、図10で示された副干渉計150の具体的構成として、副干渉計153は、1つの光カプラ153aを備え、さらに、第1反射部153b及び第2反射部153cを備える。
なお、光カプラ153aは、第1ポートP1~第4ポートP4を有する2×2の光カプラであって、第3ポートP3に接続される光ファイバの端部には第1反射部153b、第4ポートP4に接続される光ファイバの端部には第2反射部153cが備えられている。
波長掃引光源110から投光された光が副干渉計151に供給され、当該光は、光カプラ153aの第1ポートP1に入射される(L0)。
第1ポートP1に入射された光は、第3ポートP3と第4ポートP4とに分岐されて出射されるが、第3ポートP3から出射された光は、第1反射部153bで反射されて、さらに第3ポートP3に入射する。そして、当該第3ポートP3に入射された光は、第2ポートP2から出射する。これを第1光路L1とする。
一方で、第1ポートP1に入射された光のうち、第4ポートP4に分岐されて出射された光は、第2反射部153cで反射されて、さらに第4ポートP4に入射する。そして、当該第4ポートP4に入射された光は、第2ポートP2から出射する。これを第2光路L2とする。
ここで、第3ポートP3から第1反射部153bまでの光路長と、第4ポートP4から第2反射部153cまでの光路長とは異なるように設定されている。具体的には、第3ポートP3に接続される光ファイバと、第4ポートP4に接続される光ファイバとを異なる長さに設定するとよい。
このように、副干渉計153は、第1光路L1を辿って光カプラ153aの第2ポートP2から出射された光と、第2光路L2を辿って光カプラ153aの第2ポートP2から出射された光とに基づいて、当該第1光路L1と第2光路L2との光路長差に応じた第2干渉信号を生成する。
以上のように、本発明の第3実施形態に係る光干渉測距センサ100によれば、副干渉計153は、1つの光カプラ153aを備え、当該光カプラ153aによって、第1ポートP1に入射された光のうち、第3ポートP3に出射されて第1反射部153bにより反射され、再び第3ポートP3に入射されて第2ポートP2から出射させる第1光路L1と、第4ポートP4に出射されて第2反射部153cにより反射され、再び第4ポートP4に入射されて第2ポートP2から出射させる第2光路L2とを形成する。すなわち、副干渉計153は、1つの光カプラ153aを用いて異なる光路長の2つの光路を形成することができている。その結果、副干渉計150に用いられる光カプラの数を削減することにより製造コストを軽減し、高精度な光干渉測距センサを実現することができる。
なお、本実施形態に係る副干渉計153では、本発明の第1実施形態で説明した副干渉計151での第1光路L1と、第2光路L2(2周以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)や本発明の第2実施形態で説明した副干渉計152での第1光路L1と、第2光路L2(2往復以降)との光路長差に応じた不要なピーク(f2、f3など)は生成されない。
図16は、光カプラ153aにおける第3ポートP3と第4ポートP4との分岐比に応じて生成される第2干渉信号の信号強度を示す図である。図16に示されるように、第2干渉信号の信号強度が大きくなるように、光カプラ153aにおける第3ポートP3と第4ポートP4との分岐比を設定すればよい。例えば、第3ポートP3側の分岐比は、50%程度となるように設定すればよい。すなわち、光カプラ153aにおける第3ポートP3と第4ポートP4との分岐比を、50:50となるように設定する。
また、本実施形態において、副干渉計153は、第1反射部153b及び第2反射部153cを備えていたが、これらの反射部は、例えば、光ファイバの端部を蒸着窯に入れて金属を蒸着する金属蒸着で実現されるとよいが、これに限定されるものではない。
その他の方法として、例えば、光ファイバの端部を金属でメッキしたり、光ファイバの端部にガラス用のはんだを付けしたり、光ファイバの端部に銀ペーストを付けたりする方法が考えられる。
さらに、ファイバブラッググレーティング(FBG)を取り付ける方法を用いてもよい。図17は、本発明の第3実施形態に係る副干渉計の他の具体的構成を示す図である。図17に示されるように、図10で示された副干渉計150の具体的構成として、副干渉計153は、1つの光カプラ153aを備え、さらに、FBG153dが形成されている。
光カプラ153aは、第1ポートP1~第4ポートP4を有する2×2の光カプラであって、第3ポートP3に接続される光ファイバと、第4ポートP4に接続される光ファイバとは融着されることでリング状の光路を形成し、その一部に、FBG153dを形成している。なお、FBG153dは、第3ポートP3からFBG153dまでの光路長と、第4ポートP4からFBG153dまでの光路長とが異なるような位置に形成されるとよい。
第3ポートP3から出射された光は、FBG153dで反射されて、さらに第3ポートP3に入射して第2ポートP2から出射する(第1光路L1)。一方で、第4ポートP4から出射された光は、FBG153dで反射されて、さらに第4ポートP4に入射して第2ポートP2から出射する(第2光路L2)。
このように、副干渉計153は、1つの光カプラ153aを備え、FBG153dを形成することにより、第1光路L1と第2光路L2との光路長差に応じた第2干渉信号を生成することができる。
[干渉計の変形例]
上述した各実施形態では、光干渉測距センサ100は、主干渉計120(センサヘッド130を含む)において光ファイバの先端を参照面とすることで参照光を発生させるフィゾー干渉計を用いていたが、干渉計は、これに限定されるものではない。
図18は、測定光と参照光とを用いて干渉光を発生させる干渉計のバリエーションを示す図である。図18(a)では、主干渉計120を経由する光路において、光ファイバの先端(端面)を参照面とする参照光と、センサヘッドから照射され計測対象物Tで反射される測定光との光路長差に基づいて干渉光が生成される。上述した各実施形態に係る光干渉測距センサ100の主干渉計120の構成であり(フィゾー干渉計)、当該参照面は、光ファイバと空気との屈折率の違いによって光が反射するように構成されていてもよい(フレネル反射)。また、光ファイバの先端に反射膜をコーティングしてもよいし、光ファイバの先端に無反射コーティングを施して、別途、レンズ面等の反射面を配置してもよい。
図18(b)では、主干渉計120を経由する光路において、計測対象物Tに測定光を導く測定光路Lmと、参照光を導く参照光路Lrとを形成し、参照光路Lrの先には参照面が配置されている(マイケルソン干渉計)。参照面は、光ファイバの先端に反射膜をコーティングしてもよいし、光ファイバの先端に無反射コーティングを施して、別途、ミラー等を配置してもよい。当該構成では、測定光路Lmの光路長と参照光路Lrの光路長とで光路長差を設けることによって干渉光が生成される。
図18(c)では、主干渉計120を経由する光路において、計測対象物Tに測定光を導く測定光路Lmと、参照光を導く参照光路Lrとを形成し、参照光路Lrには、バランスディテクタが配置されている(マッハツェンダ干渉計)。当該構成では、測定光路Lmと参照光路Lrの光路長とで光路長差を設けることによって、干渉光が生成される。
このように、主干渉計は、各実施形態で説明したフィゾー型干渉計に限定されるものではなく、例えば、マイケルソン干渉計やマッハツェンダ干渉計であってもよいし、測定光と参照光との光路長差を設定することによって干渉光を発生させることができれば、どのような干渉計を適用してもよいし、これらの組み合わせ等やその他の構成を適用してもよい。
なお、本発明の各実施形態では、光干渉測距センサ100は、シングルチャネルとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、波長掃引光源110から投光された光を、複数の光カプラ等を用いて分岐させて、多段式の光干渉測距センサとして構成してもよい。本発明は、多段式の光干渉測距センサに適用することも可能である。
以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。各実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
[附記1]
連続的に波長を変化させながら光を投光する光源(110)と、
前記光源から投光された光が供給され、センサヘッドにより計測対象物に照射して反射される測定光と、前記測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計(120)と、
前記光源から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計(150,151)と、
前記第2干渉信号に基づいて前記第1干渉信号を補正しつつ、前記センサヘッドから前記計測対象物までの距離を算出する処理部(170)と、を備え、
前記副干渉計(151)は、
第1ポート(P1)に入射された前記光源から投光された光のうち、第3ポート(P3)に出射される第1光路(L1)と、
前記第1ポート(P1)に入射された前記光源から投光された光のうち、第4ポート(P4)に出射されて第2ポート(P2)に入射され、さらに、前記第3ポート(P3)に出射される第2光路(L2)と、を有する、
光カプラ(151a)を含む、
光干渉測距センサ(100)。
[附記2]
連続的に波長を変化させながら光を投光する光源(110)と、
前記光源から投光された光が供給され、センサヘッドにより計測対象物に照射して反射される測定光と、前記測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計(120)と、
前記光源から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計(150,152)と、
前記第2干渉信号に基づいて前記第1干渉信号を補正しつつ、前記センサヘッドから前記計測対象物までの距離を算出する処理部(170)と、を備え、
前記副干渉計(152)は、
前記光源から投光された光を、直列に配置された第1光学素子(152b)及び第2光学素子(152c)を順に透過させる第1光路(L1)と、
前記光源から投光された光の一部を前記第2光学素子(152c)で前記第1光学素子(152b)側に反射させ、さらに、前記第2光学素子(152c)で反射された光を前記第1光学素子(152b)で前記第2光学素子(152c)側に反射させて、前記第2光学素子(152c)を透過させる第2光路(L2)と、を有する、
光干渉測距センサ(100)。
[附記3]
連続的に波長を変化させながら光を投光する光源(110)と、
前記光源から投光された光が供給され、センサヘッドにより計測対象物に照射して反射される測定光と、前記測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計(120)と、
前記光源から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計(150,153)と、
前記第2干渉信号に基づいて前記第1干渉信号を補正しつつ、前記センサヘッドから前記計測対象物までの距離を算出する処理部(170)と、を備え、
前記副干渉計(153)は、
第1ポート(P1)に入射された前記光源から投光された光のうち、第3ポート(P3)から出射された光を第1反射部(153b)で反射させて、さらに第3ポート(P3)に入射させて、第2ポート(P2)から出射させる第1光路(L1)と、
前記第1ポート(P1)に入射された前記光源から投光された光のうち、第4ポート(P4)から出射された光を第2反射部(153c)で反射させて、さらに第4ポート(P4)に入射させて、第2ポート(P2)から出射させる第2光路(L2)と、を有する、
光カプラ(153a)を含む、
光干渉測距センサ(100)。
1…センサシステム、10…変位センサ、11…制御機器、12…制御信号入力用センサ、13…外部接続機器、20…センサヘッド、21…対物レンズ、22a~22c…コリメートレンズ、23…レンズホルダ、24…光ファイバアレイ、30…コントローラ、31…表示部、32…設定部、33…外部インタフェース(I/F)部、34…光ファイバ接続部、35…外部記憶部、36…計測処理部、40…光ファイバ、51…波長掃引光源、52…光増幅器、53,53a~53b…アイソレータ、54,54a~54e…光カプラ、55…減衰器、56a~56c…受光素子、58…AD変換部、59…処理部、60…バランスディテクタ、61…補正信号生成部、71a~71e…受光素子、72a~72c…増幅回路、74a~74c…AD変換部、75…処理部、76…差動増幅回路、77…補正信号生成部、100…光干渉測距センサ、110…波長掃引光源、120…主干渉計、130…センサヘッド、140,160…フォトディテクタ、150~153…副干渉計、170…処理部、151a,153a…光カプラ、152a…光ファイバ、152b,152c…光学素子、153b,153c…反射部、153d…FBG、P1~P4…ポート、L1…第1光路、L2…第2光路、Lm…測定光路、Lr…参照光路、T…計測対象物

Claims (7)

  1. 連続的に波長を変化させながら光を投光する光源と、
    前記光源から投光された光が供給され、センサヘッドにより計測対象物に照射して反射される測定光と、前記測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計と、
    前記光源から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計と、
    前記第2干渉信号に基づいて前記第1干渉信号を補正しつつ、前記センサヘッドから前記計測対象物までの距離を算出する処理部と、を備え、
    前記副干渉計は、
    第1ポートに入射された前記光源から投光された光のうち、第3ポートに出射される第1光路と、
    前記第1ポートに入射された前記光源から投光された光のうち、第4ポートに出射されて第2ポートに入射され、さらに、前記第3ポートに出射される第2光路と、を有する、
    光カプラを含む、
    光干渉測距センサ。
  2. 前記第3ポートから出射される光信号に基づいて生成される前記第2干渉信号のうち閾値以上の高周波成分を逓減させるローパスフィルタを、さらに備える、
    請求項1に記載の光干渉測距センサ。
  3. 連続的に波長を変化させながら光を投光する光源と、
    前記光源から投光された光が供給され、センサヘッドにより計測対象物に照射して反射される測定光と、前記測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計と、
    前記光源から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計と、
    前記第2干渉信号に基づいて前記第1干渉信号を補正しつつ、前記センサヘッドから前記計測対象物までの距離を算出する処理部と、を備え、
    前記副干渉計は、
    前記光源から投光された光を、直列に配置された第1光学素子及び第2光学素子を順に透過させる第1光路と、
    前記光源から投光された光の一部を前記第2光学素子で前記第1光学素子側に反射させ、さらに、前記第2光学素子で反射された光を前記第1光学素子で前記第2光学素子側に反射させて、前記第2光学素子を透過させる第2光路と、を有する、
    光干渉測距センサ。
  4. 前記第2光学素子を透過する光信号に基づいて生成される前記第2干渉信号のうち閾値以上の高周波成分を逓減させるローパスフィルタを、さらに備える、
    請求項3に記載の光干渉測距センサ。
  5. 連続的に波長を変化させながら光を投光する光源と、
    前記光源から投光された光が供給され、センサヘッドにより計測対象物に照射して反射される測定光と、前記測定光とは少なくとも一部異なる光路を辿る参照光とに基づく第1干渉信号を生成する主干渉計と、
    前記光源から投光された光が供給され、異なる光路長の光路を辿る2つの光に基づいて第2干渉信号を生成する副干渉計と、
    前記第2干渉信号に基づいて前記第1干渉信号を補正しつつ、前記センサヘッドから前記計測対象物までの距離を算出する処理部と、を備え、
    前記副干渉計は、
    第1ポートに入射された前記光源から投光された光のうち、第3ポートから出射された光を第1反射部で反射させて、さらに第3ポートに入射させて、第2ポートから出射させる第1光路と、
    前記第1ポートに入射された前記光源から投光された光のうち、第4ポートから出射された光を第2反射部で反射させて、さらに第4ポートに入射させて、第2ポートから出射させる第2光路と、を有する、
    光カプラを含む、
    光干渉測距センサ。
  6. 前記第3ポートから前記第1反射部までの光路長と、前記第4ポートから前記第2反射部までの光路長とは異なる、
    請求項5に記載の光干渉測距センサ。
  7. 前記光カプラに入射される光は、分岐比が略同一となるように前記第3ポートと前記第4ポートとに分岐される、
    請求項5に記載の光干渉測距センサ。
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