以下、本発明の実施形態に係る積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ1について説明する。図1は、積層セラミックコンデンサ1の外観斜視図である。図2は図1の積層セラミックコンデンサ1を矢印IIの方向から見たときの矢視図である。図3は図2の積層セラミックコンデンサ1を矢印IIIの方向から見たときの矢視図である。図4は図2の積層セラミックコンデンサ1を矢印IVの方向から見たときの矢視図である。図5は、図4の積層セラミックコンデンサ1のV-V線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、積層セラミック電子部品本体としての積層セラミックコンデンサ本体2と、金属端子100と、外装材3と、ヒューズ200と、を有する。積層セラミックコンデンサ本体2およびヒューズ200は、外装材3によって覆われているため、図1~図4には図示されていない。図5に、積層セラミックコンデンサ本体2およびヒューズ200が示されている。
図5に加えて、図6~図9を用いて、積層セラミックコンデンサ本体2について説明する。図6は、外装材3に覆われる前であって、金属端子100が取り付けられる前の、積層セラミックコンデンサ本体2の外観を示す外観斜視図である。図7は、図6の積層セラミックコンデンサ本体2のVII-VII線に沿った断面図である。図8は、図7の積層セラミックコンデンサ本体2のVIII-VIII線に沿った断面図である。図9は、図7の積層セラミックコンデンサ本体2のIX-IX線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ本体2は、積層体10と、外部電極40と、を有する。
図6~図9には、XYZ直交座標系が示されている。図6に示すように、積層セラミックコンデンサ本体2および積層体10の長さ方向Lは、X方向と対応している。積層セラミックコンデンサ本体2および積層体10の幅方向Wは、Y方向と対応している。積層セラミックコンデンサ本体2および積層体10の高さ方向Tは、Z方向と対応している。ここで、図7に示す断面はLT断面とも称される。図8に示す断面はWT断面とも称される。図9に示す断面はLW断面とも称される。なお、図1~図5、図11、図12においても、同様のXYZ直交座標系が示されている。
図6~図9に示すように、積層体10は、高さ方向Tに相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、高さ方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、高さ方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む。
積層体10は、略直方体形状を有している。なお、積層体10の長さ方向Lの寸法は、幅方向Wの寸法よりも必ずしも長いとは限らない。積層体10の角部および稜線部には、丸みがつけられていることが好ましい。角部は、積層体の3面が交わる部分であり、稜線部は、積層体の2面が交わる部分である。なお、積層体10を構成する表面の一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
積層体10の寸法は、特に限定されないが、積層体10の長さ方向Lの寸法をL寸法とすると、L寸法は、0.2mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層体10の高さ方向Tの寸法をT寸法とすると、T寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層体10の幅方向Wの寸法をW寸法とすると、W寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。
図7および図8に示すように、積層体10は、内層部11と、高さ方向Tにおいて内層部11を挟み込むように配置された第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13と、を有する。なお、内層部11は、有効層部ともいう。
内層部11は、複数のセラミック層としての複数の誘電体層20と、複数の内部導体層としての複数の内部電極層30と、を含む。内層部11は、高さ方向Tにおいて、最も第1の主面TS1側に位置する内部電極層30から最も第2の主面TS2側に位置する内部電極層30までを含む。内層部11では、複数の内部電極層30が誘電体層20を介して対向して配置されている。内層部11は、静電容量を発生させ実質的にコンデンサとして機能する部分である。
複数の誘電体層20は、誘電体材料により構成される。誘電体材料は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックであってもよい。また、誘電体材料は、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものであってもよい。
誘電体層20の厚みは、0.5μm以上72μm以下であることが好ましい。積層される誘電体層20の枚数は、10枚以上700枚以下であることが好ましい。なお、この誘電体層20の枚数は、内層部11の誘電体層の枚数と第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13の誘電体層の枚数との総数である。
複数の内部電極層30(内部導体層30)は、複数の第1の内部電極層31(第1の内部導体層31)および複数の第2の内部電極層32(第2の内部導体層32)を有する。複数の第1の内部電極層31は、複数の誘電体層20上に配置されている。複数の第2の内部電極層32は、複数の誘電体層20上に配置されている。複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32は、積層体10の高さ方向Tに誘電体層20を介して交互に配置されている。第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、誘電体層20を挟むようにして配置されている。
第1の内部電極層31は、第2の内部電極層32に対向する第1の対向部31Aと、第1の対向部31Aから第1の端面LS1に引き出される第1の引き出し部31Bとを有している。第1の引き出し部31Bは、第1の端面LS1に露出している。
第2の内部電極層32は、第1の内部電極層31に対向する第2の対向部32Aと、第2の対向部32Aから第2の端面LS2に引き出される第2の引き出し部32Bとを有している。第2の引き出し部32Bは、第2の端面LS2に露出している。
本実施形態では、第1の対向部31Aと第2の対向部32Aが誘電体層20を介して対向することにより容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。
第1の対向部31Aおよび第2の対向部32Aの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、矩形形状のコーナー部が丸められていてもよいし、矩形形状のコーナー部が斜めに形成されていてもよい。第1の引出き出し部31Bおよび第2の引き出し部32Bの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、矩形形状のコーナー部が丸められていてもよいし、矩形形状のコーナー部が斜めに形成されていてもよい。
第1の対向部31Aの幅方向Wの寸法と第1の引き出し部31Bの幅方向Wの寸法は、同じ寸法で形成されていてもよく、どちらか一方の寸法が小さく形成されていてもよい。第2の対向部32Aの幅方向Wの寸法と第2の引き出し部32Bの幅方向Wの寸法は、同じ寸法で形成されていてもよく、どちらか一方の寸法が狭く形成されていてもよい。
第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成される。合金を用いる場合、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、例えばAg-Pd合金等により構成されてもよい。
第1の内部電極層31および第2の内部電極層32のそれぞれの厚みは、例えば、0.2μm以上3.0μm以下程度であることが好ましい。第1の内部電極層31および第2の内部電極層32の枚数は、合わせて5枚以上350枚以下であることが好ましい。
第1の主面側外層部12は、積層体10の第1の主面TS1側に位置する。第1の主面側外層部12は、第1の主面TS1と最も第1の主面TS1に近い内部電極層30との間に位置する複数のセラミック層としての誘電体層20の集合体である。すなわち、第1の主面側外層部12は、第1の主面TS1と、複数の内部電極層30のうち最も第1の主面TS1側に位置する内部電極層30との間に位置する複数の誘電体層20から形成されている。第1の主面側外層部12で用いられる誘電体層20は、内層部11で用いられる誘電体層20と同じものであってもよい。
第2の主面側外層部13は、積層体10の第2の主面TS2側に位置する。第2の主面側外層部13は、第2の主面TS2と最も第2の主面TS2に近い内部電極層30との間に位置する複数のセラミック層としての誘電体層20の集合体である。すなわち、第2の主面側外層部13は、第2の主面TS2と、複数の内部電極層30のうち最も第2の主面TS2側に位置する内部電極層30との間に位置する複数の誘電体層20から形成されている。第2の主面側外層部13で用いられる誘電体層20は、内層部11で用いられる誘電体層20と同じものであってもよい。
以上のように、積層体10は、積層された複数の誘電体層20と、誘電体層20上に積層された複数の内部電極層30と、を有する。すなわち、積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層20と内部電極層30とが交互に積層された積層体10を有する。
なお、積層体10は、対向電極部11Eを有する。対向電極部11Eは、第1の内部電極層31の第1の対向部31Aと第2の内部電極層32の第2の対向部32Aが対向する部分である。対向電極部11Eは、内層部11の一部として構成されている。図7には、対向電極部11Eの長さ方向Lの範囲が示されている。図8には、対向電極部11Eの幅方向Wの範囲が示されている。図9には、対向電極部11Eの幅方向Wおよび長さ方向Lの範囲が示されている。なお、対向電極部11Eは、コンデンサ有効部ともいう。
なお、積層体10は、側面側外層部を有する。側面側外層部は、第1の側面側外層部WG1と、第2の側面側外層部WG2を有する。第1の側面側外層部WG1は、対向電極部11Eと第1の側面WS1との間に位置する誘電体層20を含む部分である。第2の側面側外層部WG2は、対向電極部11Eと第2の側面WS2との間に位置する誘電体層20を含む部分である。図8および図9には、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2の幅方向Wの範囲が示されている。なお、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2は、Wギャップまたはサイドギャップともいう。
なお、積層体10は、端面側外層部を有する。端面側外層部は、第1の端面側外層部LG1と、第2の端面側外層部LG2を有する。第1の端面側外層部LG1は、対向電極部11Eと第1の端面LS1との間に位置する誘電体層20および第1の引き出し部31Bを含む部分である。第2の端面側外層部LG2は、対向電極部11Eと第2の端面LS2との間に位置する誘電体層20および第2の引き出し部32Bを含む部分である。図7および図9には、第1の端面側外層部LG1および第2の端面側外層部LG2の長さ方向Lの範囲が示されている。なお、第1の端面側外層部LG1および第2の端面側外層部LG2は、Lギャップまたはエンドギャップともいう。
外部電極40は、第1の端面LS1側に配置された第1の外部電極40Aと、第2の端面LS2側に配置された第2の外部電極40Bと、を有する。
第1の外部電極40Aは、少なくとも、第1の端面LS1上に配置されていることが好ましい。本実施形態においては、第1の外部電極40Aは、第1の端面LS1上と、第1の主面TS1上の一部と、第2の主面TS2上の一部と、第1の側面WS1上の一部と、第2の側面WS2上の一部と、に配置されている。また、本実施形態においては、第1の外部電極40Aは、第1の端面LS1上において、第1の内部電極層31に接続されている。なお、第1の外部電極40Aは、例えば、第1の端面LS1から第1の主面TS1の一部まで延びて配置されていてもよい。言い換えれば、第1の外部電極40Aの断面形状がL字状(不図示)であってもよい。第1の外部電極40Aのうち、第1の端面LS1上に配置されている部分は、後述の第1の接合材5Aを介して、後述の引き出し端子500と接続される。
なお、第1の主面TS1、第2の主面TS2、第1の側面WS1、第2の側面WS2にも第1の外部電極40Aが設けられる場合には、これらの面に設けられる第1の外部電極40Aの長さ方向Lの長さL1は、積層体10のL寸法の10%以上40%以下(例えば、20μm以上4000μm以下)であることが好ましい。
また、第1の主面TS1、第2の主面TS2にも第1の外部電極40Aが設けられる場合には、これらの面に設けられる第1の外部電極40Aの幅方向Wの長さW1は、積層体10のW寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。また、第1の側面WS1、第2の側面WS2にも第1の外部電極40Aが設けられる場合には、これらの部分に設けられる第1の外部電極40Aの高さ方向Tの長さT1は、積層体10のT寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。
第2の外部電極40Bは、少なくとも、第2の端面LS2上と、第1の主面TS1上の一部と、に配置されていることが好ましい。本実施形態においては、第2の外部電極40Bは、第2の端面LS2上と、第1の主面TS1上の一部と、第2の主面TS2上の一部と、第1の側面WS1上の一部と、第2の側面WS2上の一部と、に配置されている。また、本実施形態においては、第1の外部電極40Aは、第2の端面LS2上において、第2の内部電極層32に接続されている。なお、第2の外部電極40Bは、例えば、第2の端面LS2から第1の主面TS1の一部まで延びて配置されていてもよい。言い換えれば、第2の外部電極40Bの断面形状がL字状(不図示)であってもよい。第2の外部電極40Bのうち、第1の主面TS1上に配置されている部分は、後述の第2の接合材5Bを介して、後述の第2の金属端子100Bと接続される。
なお、第1の主面TS1、第2の主面TS2、第1の側面WS1、第2の側面WS2にも第2の外部電極40Bが設けられる場合には、これらの面に設けられる第2の外部電極40Bの長さ方向Lの長さL2は、積層体10のL寸法の10%以上40%以下(例えば、20μm以上4000μm以下)であることが好ましい。
また、第1の主面TS1、第2の主面TS2にも第2の外部電極40Bが設けられる場合には、これらの面に設けられる第2の外部電極40Bの幅方向Wの長さW1は、積層体10のW寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。また、第1の側面WS1、第2の側面WS2にも第2の外部電極40Bが設けられる場合には、これらの部分に設けられる第2の外部電極40Bの高さ方向Tの長さT1は、積層体10のT寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。
なお、図6に示すように、本実施形態においては、積層体10の表面のうち、外部電極40から露出している部分の長さ方向Lの長さL3は、積層体のL寸法の20%以上80%以下(例えば、40μm以上8000μm以下)であることが好ましい。言い換えると、第1の外部電極40Aと、第2の外部電極40Bの離間距離L3は、積層体のL寸法の20%以上80%以下(例えば、40μm以上8000μm以下)であることが好ましい。
前述のとおり、積層体10内においては、第1の内部電極層31の第1の対向部31Aと第2の内部電極層32の第2の対向部32Aとが誘電体層20を介して対向することにより容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層31が接続された第1の外部電極40Aと第2の内部電極層32が接続された第2の外部電極40Bとの間でコンデンサの特性が発現する。
第1の外部電極40Aは、第1の下地電極層50Aと、第1の下地電極層50A上に配置された第1のめっき層60Aと、を有する。
第2の外部電極40Bは、第2の下地電極層50Bと、第2の下地電極層50B上に配置された第2のめっき層60Bと、を有する。
第1の下地電極層50Aは、第1の端面LS1上に配置されている。第1の下地電極層50Aは、第1の内部電極層31に接続されている。本実施形態においては、第1の下地電極層50Aは、第1の端面LS1上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
第2の下地電極層50Bは、第2の端面LS2上に配置されている。第2の下地電極層50Bは、第2の内部電極層32に接続されている。本実施形態においては、第2の下地電極層50Bは、第2の端面LS2上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
本実施形態の第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層である。焼付け層は、金属成分と、ガラス成分もしくはセラミック成分のどちらか一方を含んでいるか、その両方を含んでいることが好ましい。金属成分は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。ガラス成分は、例えば、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。セラミック成分は、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いてもよいし、異なる種のセラミック材料を用いてもよい。セラミック成分は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、(Ba,Ca)TiO3、SrTiO3、CaZrO3等から選ばれる少なくとも1つを含む。
焼き付け層は、例えば、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体に塗布して焼き付けたものである。焼き付け層は、内部電極層および誘電体層を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時焼成したものでもよく、内部電極層および誘電体層を有する積層チップを焼成して積層体を得た後に積層体に導電性ペーストを塗布して焼き付けたものでもよい。なお、内部電極層および誘電体層を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼付け層は、ガラス成分の代わりにセラミック材料を添加したものを焼き付けて形成することが好ましい。この場合、添加するセラミック材料として、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いることが特に好ましい。焼き付け層は、複数層であってもよい。
第1の端面LS1に位置する第1の下地電極層50Aの長さ方向の厚みは、第1の下地電極層50Aの高さ方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、10μm以上200μm以下程度であることが好ましい。
第2の端面LS2に位置する第2の下地電極層50Bの長さ方向の厚みは、第2の下地電極層50Bの高さ方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、10μm以上200μm以下程度であることが好ましい。
第1の主面TS1または第2の主面TS2の少なくも一方の面の一部にも第1の下地電極層50Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの高さ方向の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの長さ方向Lおよび幅方向Wの中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくも一方の面の一部にも第1の下地電極層50Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの幅方向の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの長さ方向Lおよび高さ方向Tの中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
第1の主面TS1または第2の主面TS2の少なくも一方の面の一部にも第2の下地電極層50Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの高さ方向の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの長さ方向Lおよび幅方向Wの中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくも一方の面の一部にも第2の下地電極層50Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの幅方向の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの長さ方向Lおよび高さ方向Tの中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層に限らず、薄膜層であってもよい。薄膜層は、スパッタリング法または蒸着法等の薄膜形成法により形成された、金属粒子が堆積された層である。薄膜層は、例えば、Mg、Al、Ti、W、Cr、Cu、Ni、Ag、Co、MoおよびVからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。これにより、積層体10に対する外部電極40の固着力を高めることができる。薄膜層は、単層であってもよいし、複数層によって形成されていてもよい。例えば、NiCrの層と、NiCuの層の2層構造によって形成されていてもよい。
下地電極としての薄膜層を、スパッタリング法によるスパッタ電極により形成する場合、このスパッタ電極は、積層体10の第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部に形成されることが好ましい。スパッタ電極は、例えば、Ni、Cr、Cu等から選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。スパッタ電極の厚みは50nm以上400nm以下であることが好ましく、50nm以上130nm以下であることがさらに好ましい。
下地電極層として、積層体10の第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にスパッタ電極を形成し、その一方、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には焼き付け層を形成してもよい。あるいは、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には下地電極層を形成せずに、後述するめっき層を積層体10に直接形成してもよい。なお、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上に焼き付け層を形成する場合、焼き付け層は、第1の端面LS1および第2の端面LS2だけでなく、第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にも延びて配置されていてもよい。この場合、スパッタ電極は、焼き付け層上にオーバーラップするように配置されてもよい。
第1のめっき層60Aは、第1の下地電極層50Aを覆うように配置されている。
第2のめっき層60Bは、第2の下地電極層50Bを覆うように配置されている。
第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、例えば、Cu、Ni、Sn、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、それぞれ複数層により形成されていてもよい。第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、Niめっき層の上にSnめっき層が形成された2層構造が好ましい。
第1のめっき層60Aは、第1の下地電極層50Aを覆うように配置されている。本実施形態においては、第1のめっき層60Aは、第1のNiめっき層61Aと、第1のNiめっき層61A上に位置する第1のSnめっき層62Aと、を有する。
第2のめっき層60Bは、第2の下地電極層50Bを覆うように配置されている。本実施形態においては、第2のめっき層60Bは、第2のNiめっき層61Bと、第2のNiめっき層61B上に位置する第2のSnめっき層62Bと、を有する。
Niめっき層は、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bが、積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100とを接合する後述の接合材5としてのはんだによって侵食されることを防止する。また、Snめっき層は、積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100とを接合する後述の接合材5としてのはんだのぬれ性を向上させる。これにより、積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100の接合を容易にする。第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60BのそれぞれをNiめっき層とSnめっき層との2層構造とする場合、Niめっき層とSnめっき層それぞれの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態の第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bは、例えば導電性粒子と熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂層を有していてもよい。下地電極層(第1の下地電極層50A、第2の下地電極層50B)として導電性樹脂層を設ける場合、導電性樹脂層は、焼き付け層を覆うように配置されてもよいし、焼き付け層を設けずに積層体10上に直接配置されてもよい。導電性樹脂層が焼き付け層を覆うように配置される場合、導電性樹脂層は、焼き付け層とめっき層(第1のめっき層60A、第2のめっき層60B)との間に配置される。導電性樹脂層は、焼き付け層上を完全に覆っていてもよいし、焼き付け層の一部を覆っていてもよい。
熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂層は、例えばめっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミックコンデンサ1に物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層は、緩衝層として機能する。よって、導電性樹脂層は、積層セラミックコンデンサ1のクラック発生を抑制する。
導電性粒子を構成する金属は、Ag、Cu、Ni、Sn、Biまたは、それらを含む合金であってもよい。導電性粒子は、好ましくはAgを含む。導電性粒子は、例えばAgの金属粉である。Agは、金属の中でもっとも比抵抗が低いため、電極材料に適している。また、Agは貴金属であるため、酸化しにくく、対候性が高い。よって、Agの金属粉は、導電性粒子として好適である。
また、導電性粒子は、金属粉の表面にAgコーティングされた金属粉であってもよい。金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用する際には、金属粉は、Cu、Ni、Sn、Biまたはそれらの合金粉であることが好ましい。Agの特性は保ちつつ、母材の金属を安価なものにするために、Agコーティングされた金属粉を用いることが好ましい。
さらに、導電性粒子は、Cu、Niに酸化防止処理を施したものであってもよい。また、導電性粒子は、金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングした金属粉であってもよい。金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングされたものを使用する際には、金属粉は、Ag、Cu、Ni、Sn、Biまたはそれらの合金粉であることが好ましい。
導電性粒子の形状は、特に限定されない。導電性粒子は、球形状、扁平状などのものを用いることができるが、球形状金属粉と扁平状金属粉とを混合して用いることが好ましい。
導電性樹脂層に含まれる導電性粒子は、主に導電性樹脂層の通電性を確保する役割を担う。具体的には、複数の導電性粒子どうしが接触することにより、導電性樹脂層内部に通電経路が形成される。
導電性樹脂層を構成する樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの公知の種々の熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。その中でも、耐熱性、耐湿性、密着性などに優れたエポキシ樹脂は、最も適切な樹脂のひとつである。また、導電性樹脂層の樹脂は、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤は、フェノール系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、活性エステル系、アミドイミド系など公知の種々の化合物であってもよい。
なお、導電性樹脂層は、複数層で形成されていてもよい。導電性樹脂層の最も厚い部分の厚みは、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bを設けずに、積層体10上に後述の第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bが直接配置される構成であってもよい。すなわち、積層セラミックコンデンサ1は、第1の内部電極層31と、第2の内部電極層32とに、直接電気的に接続されるめっき層を含む構成であってもよい。このような場合、前処理として積層体10の表面に触媒を配設した後で、めっき層が形成されてもよい。
この場合においても、めっき層は、複数層であることが好ましい。下層めっき層および上層めっき層はそれぞれ、例えば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、BiまたはZnなどから選ばれる少なくとも1種の金属またはこれらの金属を含む合金を含むことが好ましい。下層めっき層は、はんだバリア性能を有するNiを用いて形成されることがより好ましい。上層めっき層は、はんだ濡れ性が良好なSnまたはAuを用いて形成されることがより好ましい。なお、例えば、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32がNiを用いて形成される場合は、下層めっき層は、Niと接合性のよいCuを用いて形成されることが好ましい。なお、上層めっき層は必要に応じて形成されればよく、外部電極40は、下層めっき層のみで構成されてもよい。また、めっき層は、上層めっき層を最外層としてもよいし、上層めっき層の表面にさらに他のめっき層を形成してもよい。
下地電極層を設けずに配置するめっき層の1層あたりの厚みは、2μm以上10μm以下であることが好ましい。なお、めっき層は、ガラスを含まないことが好ましい。めっき層の単位体積あたりの金属割合は、99体積%以上であることが好ましい。
なお、めっき層を積層体10上に直接形成する場合は、下地電極層の厚みを削減することができる。よって、下地電極層の厚みを削減した分、積層セラミックコンデンサ本体2の高さ方向Tの寸法を低減させて、積層セラミックコンデンサ本体2の低背化を図ることができる。あるいは、下地電極層の厚みを削減した分、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32の間に挟まれる誘電体層20の厚みを厚くし、素体厚みの向上を図ることができる。このように、めっき層を積層体10上に直接形成することで、積層セラミックコンデンサの設計自由度を向上させることができる。
なお、積層体10と外部電極40を含む積層セラミックコンデンサ本体2の長さ方向の寸法をL寸法とすると、L寸法は、0.2mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ本体2の高さ方向の寸法をT寸法とすると、T寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ本体2の幅方向の寸法をW寸法とすると、W寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態においては、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の端面LS1側の第1の表面S1は、第1の端面LS1上に配置された第1の外部電極40Aの表面によって構成されている。積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側の第2の表面S2は、第2の端面LS2上に配置された第2の外部電極40Bの表面によって構成されている。
図1~図5に加えて、図10を用いて、外装材3について説明する。図10は、図5に示す積層セラミックコンデンサのX部拡大図である。
外装材3は、高さ方向Tに相対する第1の主面MTS1および第2の主面MTS2と、高さ方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面MWS1および第2の側面MWS2と、高さ方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面MLS1および第2の端面MLS2と、を含む。外装材3の第1の端面MLS1は、外装材3の表面における、積層体10の第1の端面LS1側の表面である。外装材3の第2の端面MLS2は、外装材3の表面における、積層体10の第2の端面LS2側の表面である。
外装材3の第1の側面MWS1、第2の側面MWS2、第1の端面MLS1、および第2の端面MLS2には、高さ方向Tの中央部付近に、パーティングラインPLを有する。パーティングラインPLは、外装材3を成型する際に用いられる金型の分割面に対応するラインである。外装材3の表面には、パーティングラインPLを境界にした抜き勾配が設けられている。
外装材3の第1の側面MWS1は、第1の主面側の表面MWS1Aと、第2の主面側の表面MWS1Bと、を有する。外装材3の第2の側面MWS2は、第1の主面側の表面MWS2Aと、第2の主面側の表面MWS2Bと、を有する。外装材3の第1の端面MLS1は、第1の主面側の表面MLS1Aと、第2の主面側の表面MLS1Bと、を有する。外装材3の第2の端面MLS2は、第1の主面側の表面MLS2Aと、第2の主面側の表面MLS2Bと、を有する。これらの第1の主面側の表面と第2の主面側の表面は、パーティングラインPLを境界として分かれて配置されている。
第1の主面側の表面MWS1A、MWS2A、MLS1A、MLS2Aそれぞれは、パーティングラインPLから第1の主面TS1に近づくについて外装材3のLW断面の断面積が小さくなるような抜き勾配が設けられている。第2の主面側の表面MWS1B、MWS2B、MLS1B、MLS2Bそれぞれは、パーティングラインPLをから第2の主面TS2に近づくについて、外装材3のLW断面の断面積が小さくなるような抜き勾配が設けられている。
外装材3は、積層セラミックコンデンサ本体2と、金属端子100の一部と、ヒューズ200と、を覆う。具体的には、外装材3は、積層セラミックコンデンサ本体2の全体と、金属端子100を構成する後述の第1の金属端子100Aの一部と、金属端子を構成する後述の第2の金属端子100Bの一部と、ヒューズ200の全体と、を覆うように配置されている。
外装材3の第2の主面MTS2は所定の平坦度を有する平面状に構成されていることが好ましい。これにより、実装基板に積層セラミックコンデンサ1を搭載する際に用いる実装機のマウンターの吸着不良を防止することができる。よって、確実に実装基板に積層セラミックコンデンサ1を搭載することが可能となる。その結果、実装不良の発生を抑制することが可能となる。
外装材3は、積層セラミックコンデンサ本体2と、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部とを覆う第1の外装材3Aと、第1の外装材3Aの少なくとも一部を覆う第2の外装材3Bと、を有する。
第2の外装材3Bは、ヒューズ200が配置されている位置に対応して、第1の外装材3Aにおける、第1の主面TS1側の表面、第2の主面TS2側の表面、第1の側面WS1側の表面、または第2の側面WS2側の表面の、少なくともいずれかの表面に配置されていることが好ましい。ただし、第2の外装材3Bは、ヒューズ200が配置されている位置に対応して、第1の外装材3Aにおける、第1の端面LS1側の表面または第2の端面LS2側の表面に配置されていてもよい。本実施形態においては、ヒューズ200は、第1の外装材3Aの第2の主面TS2側の表面Fに配置されている。よって、第2の外装材3Bは、第1の外装材3Aの第2の主面TS2側の表面Fを覆うように配置されている。
本実施形態においては、第1の外装材3Aは熱硬化性樹脂である。第2の外装材3Bは熱可塑性樹脂である。第1の外装材3Aは、例えば、熱硬化型エポキシ樹脂であってもよい。第2の外装材3Bは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレンであってもよい。これにより、通常時においては、ヒューズ200が外装材3により被覆されているため、沿面放電を抑制することができる。そして、過電流が生じた際には、熱溶融する熱可塑性樹脂である第2の外装材3Bにより覆われているヒューズ200を適切に断線させることができる。
なお、第1の外装材3Aおよび第2の外装材3Bは、異なる種類の熱硬化性樹脂であってもよい。この場合、第2の外装材3Bの耐熱温度は、第1の外装材3Aの耐熱温度よりも低い。例えば、第1の外装材3Aは、熱硬化型エポキシ樹脂であってもよい。第2の外装材3Bは、熱硬化型エポキシ樹脂よりも耐熱温度が低い熱硬化性樹脂であってもよい。第2の外装材3Bは、例えばポリウレタンであってもよい。
なお、第1の外装材3Aおよび第2の外装材3Bは、異なる種類の熱可塑性樹脂であってもよい。この場合、第2の外装材3Bの融点は、第1の外装材3Aの融点よりも低い。例えば、第1の外装材3Aは、ポリアミドであってもよい。第2の外装材3Bは、ポリアミドよりも融点が低い熱可塑性樹脂であってもよい。第2の外装材3Bは、例えばポリエチレンであってもよい。
このように、第2の外装材3Bの耐熱温度は、第1の外装材3Aの耐熱温度よりも低いことが好ましい。第1の外装材3Aの耐熱温度は、200℃以上400℃以下であることが好ましく、250℃以上350℃以下であることがより好ましい。第2の外装材3Bの耐熱温度は、70℃以上200℃未満であることが好ましく、70℃以上150℃以下であることがより好ましい。これにより、通常時においては、ヒューズ200が外装材3により被覆されているため、沿面放電を抑制することができる。そして、過電流が生じた際には、耐熱温度が低い樹脂である第2の外装材3Bにより覆われているヒューズ200を適切に断線させることができる。なお、熱硬化性樹脂の耐熱温度は、ガラス転移温度により定義される。熱可塑性樹脂の耐熱性は、融点により定義される。
外装材3を構成する第1の外装材3Aおよび第2の外装材3Bは、樹脂により形成されることが好ましい。例えば、トランスファーモールド法やインジェクションモールド法等によってエンジニアリングプラスチックがモールドされることにより、第1の外装材3Aおよび第2の外装材3Bが形成されてもよい。特に、第1の外装材3Aの材料は、熱硬化型エポキシ樹脂からなることが好ましい。これにより、第1の外装材3Aと、積層セラミックコンデンサ本体2および金属端子100との密着性を確保し、耐電圧および耐湿性能の向上効果を得ることができる。第1の外装材3Aおよび第2の外装材3Bは、例えば、液状や粉状のシリコーン系やエポキシ系などの樹脂が塗装されることにより形成されてもよい。
以上のように、外装材3が、外部電極40および金属端子100といった導体金属部分を広い範囲で覆うことにより、導体間の絶縁表面距離(沿面距離)を確保することができる。また、外装材3によって導体金属部分を広い範囲で覆うことにより、表面放電リスクを回避することができる。
なお、外装材3の形状は特に限定されない。例えば、角錐台等の切頭錐体であってもよい。なお、外装材3の角部の形状は、特に限定されることなく、丸められていてもよい。
図1~図5に加えて、図10を用いて、金属端子100について説明する。
金属端子100は、第1の金属端子100Aと、第2の金属端子100Bと、を有する。本実施形態においては、金属端子100は、第1の金属端子100Aとヒューズを介して接続される引き出し端子500をさらに有する。
第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、積層セラミックコンデンサ1が実装されるべき後述の実装基板(図11の実装基板310を参照)の実装面に実装される金属端子である。第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、例えば板状のリードフレームである。なお、本実施形態においては、積層体10の第1の主面TS1は、積層セラミックコンデンサ1が実装されるべき実装基板の実装面と対向する面である。
図10に示すように、引き出し端子500は、第1の外部電極40Aに接続される第1の接合部510と、第1の接合部510に接続され、実装基板の実装面から遠ざかるように延びる、ヒューズ200を介して第1の金属端子100Aと接続される第1のヒューズ連結部520と、を有する。本実施形態においては、引き出し端子500は、断面略直線状の金属板により構成されており、第1のヒューズ連結部520の端部P1は、僅かに折り曲げられている。また、本実施形態においては、第1の接合部510は、第1の端面LS1と対向し、第1の外部電極40Aの第1の端面LS1側の第1の表面S1に接続されている。しかしながら、引き出し端子の態様は、これに限らない。例えば、第1の接合部510は、第1の主面TS1と対向し、第1の外部電極40Aの第1の主面TS1側の表面に接続されていてもよい。この場合、引き出し端子500は、断面略L字状の金属板により構成されていてもよい。
図5および図10に示すように、第1の金属端子100Aは、ヒューズ200を介して引き出し端子500と接続される第2のヒューズ連結部120Aと、第2のヒューズ連結部120Aと接続され、積層セラミックコンデンサ本体2から遠ざかるように長さ方向Lに延びる第1の延長部130Aと、第1の延長部130Aに接続され、実装基板の実装面側に向かって延びる第1の立ち下がり部140Aと、第1の立ち下がり部140Aに接続され、実装基板の実装面に沿う方向に延びる第1の実装部150Aと、を有する。本実施形態においては、第2のヒューズ連結部120Aの端部P2は、僅かに折り曲げられている。
なお、引き出し端子500の第1のヒューズ連結部520の端部P1と、第1の金属端子100Aの第2のヒューズ連結部120Aの端部P2との離間距離は、500μm以上2000μm以下であることが好ましい。これにより、ヒューズが切れた後において、絶縁破壊が発生することを抑制することができる。なお、引き出し端子500の第1のヒューズ連結部520の端部P1および第1の金属端子100Aの第2のヒューズ連結部120Aの端部P2は、第1の外装材3Aの表面Fからは突出して配置されることが好ましい。
図5に示すように、第2の金属端子100Bは、第1の主面TS1と対向し、第2の外部電極40Bに接続される第2の接合部110Bと、第2の接合部110Bに接続され、実装基板の実装面から遠ざかるように延び、第2の端面LS2と対向する第2の立ち上がり部120Bと、第2の立ち上がり部120Bに接続され、積層セラミックコンデンサ本体2から遠ざかるように長さ方向Lに延びる第2の延長部130Bと、第2の延長部130Bに接続され、実装基板の実装面側に向かって延びる第2の立ち下がり部140Bと、第2の立ち下がり部140Bに接続され、実装基板の実装面に沿う方向に延びる第2の実装部150Bと、を有する。
なお、第1の立ち下がり部140Aおよび第2の立ち下がり部140Bは、積層セラミックコンデンサ1の外装材3と実装基板の実装面との間に隙間を設けることが可能な程度に、実装基板の実装面に向かって延びていることが好ましい。
なお、図4に示すように、第1の金属端子100Aは、第1の切り欠き180Aを有していてもよい。第2の金属端子100Bは、第2の切り欠き180Bを有していてもよい。
なお、図5に示すように、第1の金属端子100Aの第1の実装部150Aと第2の金属端子100Bの第2の実装部150Bとの離間距離L4は、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の外部電極40Aと第2の外部電極40Bとの離間距離L3よりも長い。
なお、前述の外装材3は、引き出し端子500の全体を覆うように配置されている。また、外装材3は、第1の金属端子100Aのうち、第2のヒューズ連結部120Aの全体と、第1の延長部130Aの少なくとも一部と、を覆うように配置されている。また、外装材3は、第2の金属端子100Bのうち、第2の接合部110Bの全体と、第2の立ち上がり部120Bの全体と、第2の延長部130Bの少なくとも一部と、を覆うように配置されている。
なお、本実施形態においては、第1の金属端子100Aの第1の延長部130Aは、外装材3の第1の端面MLS1から突出して一部が露出している。第2の金属端子100Bの第2の延長部130Bは、外装材3の第2の端面MLS2から突出して一部が露出している。より具体的には、第1の金属端子100Aの第1の延長部130Aは、外装材3の第1の端面MLS1のパーティングラインPLから突出して一部が露出している。第2の金属端子100Bの第2の延長部130Bは、外装材3の第2の端面MLS2のパーティングラインPLから突出して一部が露出している。
第1の金属端子100A、第2の金属端子100B、および引き出し端子500は、端子本体と、端子本体の表面に配置されるめっき膜を有する。
端子本体は、Ni、Fe、Cu、Ag、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。例えば、端子本体の母材の金属を、Fe-42Ni合金やFe-18Cr合金やCu-8Sn合金とすることができる。また、放熱性の観点からは、端子本体の母材の金属を、熱伝導率の高い無酸素銅やCu系合金とすることができる。このように、端子本体の材料を熱伝導の良い銅系にすることで、低ESR化や低熱抵抗化を実現することができる。また、本実施形態においては、端子本体の母材の金属を、はんだのぬれ性が低いステンレスやアルミとすることもできる。少なくとも、端子本体の母材の金属の表面は、最外表面のめっき膜よりも、はんだのぬれ性が低い表面となっている。端子本体の厚みは、0.05mm以上0.5mm以下程度であることが好ましい。
めっき膜は、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜と、上層めっき膜よりも下層に配置された下層めっき膜を有していることが好ましい。例えば、めっき膜は、下層めっき膜の上に上層めっき膜が形成された2層構造であってもよい。下層めっき膜は、Ni、Fe、Cu、Ag、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。さらに好ましくは、下層めっき膜は、Ni、Fe、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなる。下層めっき膜を、高融点のNi、Fe、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金により形成することにより、金属端子100の耐熱性を向上させることができる。下層めっき膜の厚みは0.2μm以上5.0μm以下程度であることが好ましい。上層めっき膜は、Sn、Ag、Auまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。さらに好ましくは、上層めっき膜は、SnまたはSnを主成分として含む合金からなる。上層めっき膜をSnまたはSnを主成分として含む合金により形成することにより、外部電極40と、金属端子100とのはんだ付け性を向上させることができる。上層めっき膜の厚みは、1.0μm以上5.0μm以下程度であることが好ましい。
なお、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜は、端子本体の母材の金属の表面よりも、はんだのぬれ性が高い表面となっている。また、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜は、下層めっき膜の表面よりもはんだのぬれ性が高い表面となっている。例えば、下層めっき膜は、Niめっき膜であることが好ましい。上層めっき膜は、Snめっき膜であることが好ましい。
なお、第1の金属端子100A、第2の金属端子100Bおよび引き出し端子500は、表面の一部において、めっき膜の最外表面のめっき膜よりも内側の材料が表面に露出している露出面を有していてもよい。表面の一部に露出面を設けることにより、その部分にはんだがのりにくくなるため、はんだスプラッシュ等の問題が生じることを抑制することができる。
ここで、露出面は、下層めっき膜が露出する表面であってもよい。下層めっき膜は、上層めっき膜よりもはんだのぬれ性が低い。また、露出面は、端子本体の母材が露出する表面であってもよい。端子本体の母材表面は、上層めっき膜よりもはんだのぬれ性が低い。
なお、露出面は、端子本体にめっき膜を形成後、除去加工を行うことにより形成されてもよい。除去加工は、例えば、研削や研磨等による機械的な除去加工、レーザートリミングによる除去加工、水酸化ナトリウム等のめっき剥離剤による除去加工等の各種の除去加工であってもよい。また、めっき膜を形成する前に、露出面としたい部分をレジストで覆ってもよい。この場合は、めっき膜の形成後、レジストを除去することにより、露出面が形成される。
接合材5は、第1の接合材5Aと、第2の接合材5Bと、を有する。
図5に示すように、引き出し端子500は、第1の接合材5Aを介して第1の外部電極40Aに接続される。第2の金属端子100Bは、第2の接合材5Bを介して第2の外部電極40Bに接続される。
接合材5は、はんだであることが好ましい。例えば、Pbフリーはんだであってもよい。Pbフリーはんだとしては、例えばSn-Sb系、Sn-Ag-Cu系、Sn-Cu系、Sn-Bi系などの鉛フリーはんだが好ましい。例えば、Sn-10Sb~Sn-15Sbはんだを用いることができる。
ヒューズ200は、第1の外部電極40Aと第1の金属端子100Aとの間を電気的に接続する。本実施形態においては、ヒューズ200は、引き出し端子500の第1のヒューズ連結部520と、第1の金属端子100Aの第2のヒューズ連結部120Aとの間を連結することにより、第1の外部電極40Aと第1の金属端子100Aとの間を電気的に接続する。なお、第1のヒューズ連結部520の端部P1と、ヒューズ200とは、例えばワイヤボンディングにより電気的に接続されてもよい。第2のヒューズ連結部120Aの端部P2と、ヒューズ200とは、例えばワイヤボンディングにより電気的に接続されてもよい。ただし、電気的に接続する方法は、これに限らない。
図10に示すように、ヒューズ200は、外装材3に埋設されている。ヒューズ200の少なくとも一部は、第1の外装材3Aからは露出し、かつ第2の外装材3Bに覆われている。より詳細には、ヒューズ200の少なくとも一部は、第1の外装材3Aからは突出して露出し、その突出して露出した部分は、第2の外装材3Bに囲まれるように埋設されている。例えば、ヒューズ200のうち、第1の外装材3Aから突出して露出している部分については、第1の外装材3Aとの接触面積よりも、第2の外装材3Bとの接触面積の方が大きいことが好ましい。本実施形態においては、ヒューズ200は、第1の外装材3Aの表面F上に配置されており、ヒューズ200の表面の大部分が、第2の外装材3Bに覆われている。
ヒューズ200の長さは、500μm以上2000μm以下であることが好ましい。これにより、ヒューズが切れた後において、絶縁破壊が発生することを抑制することができる。
なお、第1の外装材3Aを覆う第2の外装材3Bの厚みtは、ヒューズ200の近傍において、10μm以上1000μm以下であることが好ましい。外装材3に埋設されているヒューズ200の表面と、第2の外装材3Bの外表面とを結ぶ最短距離dは、10μm以上1000μm以下であることが好ましい。
ヒューズ200は、第1の金属端子100Aの端子本体を構成する金属よりも融点の低い金属により構成されている。ヒューズ200の材質は、例えばAg、Al、Snおよび、これらの金属の合金であってもよい。なお、第2の外装材3Bの耐熱温度は、ヒューズ200の溶断温度よりも低いことが好ましい。第1の外装材3Aの耐熱温度は、ヒューズ200の溶断温度よりも高いことが好ましい。
これにより、通常時においては、ヒューズ200が外装材3により被覆されているため、沿面放電を抑制することができる。そして、過電流が生じた際には、耐熱性の低い第2の外装材3Bにより覆われているヒューズ200を適切に断線させることができる。
なお、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bの2つの外部電極のうち、ヒューズ200と電気的に接続されている方が、第1の外部電極40Aであると考えることができる。なお、第1の外部電極40Aと第1の金属端子100Aとの間にヒューズ200を設けるとともに、第2の外部電極40Bと第2の金属端子100Bとの間にもヒューズ200を設けてもよい。
なお、本実施形態においては、ヒューズ200は、外装材3の第2の主面MTS2側に設けられているが、これに限らない。ヒューズ200は、外装材3の第1の主面MTS1側、第1の側面MWS1側、第2の側面MWS2側、第1の端面MLS1側、または第2の端面MLS2側のいずれに配置されてもよい。第2の外装材3Bは、ヒューズ200を覆うように、第1の外装材3Aにおける、第1の主面TS1側の表面、第2の主面TS2側の表面、第1の側面WS1側の表面、第2の側面WS2側の表面、第1の端面LS1側の表面、または第2の端面LS2側の表面の、少なくともいずれかの表面に配置される。なお、第2の外装材3Bは、ヒューズ200とともに、第1の外装材3Aの表面全体を覆ってもよい。この場合は、ディッピングにより第2の外装材3Bが形成されてもよい。
なお、外装材3および金属端子100を含む積層セラミックコンデンサ1の長さ方向の寸法をL寸法とすると、L寸法は、3.2mm以上20mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ1の積層方向の寸法をT寸法とすると、T寸法は、1.0mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ1の幅方向の寸法をW寸法とすると、W寸法は、1.5mm以上20mm以下であることが好ましい。
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。まず、積層セラミックコンデンサ本体2の製造方法について説明する。
誘電体層20用の誘電体シートおよび内部電極層30用の導電性ペーストが準備される。誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストは、バインダおよび溶剤を含む。バインダおよび溶剤は、公知のものであってもよい。
誘電体シート上に、内部電極層30用の導電性ペーストが、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより所定のパターンで印刷される。これにより、第1の内部電極層31のパターンが形成された誘電体シートおよび、第2の内部電極層32のパターンが形成された誘電体シートが準備される。
内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第1の主面TS1側の第1の主面側外層部12となる部分が形成される。その上に、第1の内部電極層31のパターンが印刷された誘電体シートおよび第2の内部電極層32のパターンが印刷された誘電体シートが順次積層されることにより、内層部11となる部分が形成される。この内層部11となる部分の上に、内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第2の主面TS2側の第2の主面側外層部13となる部分が形成される。これにより、積層シートが作製される。
積層シートが静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスされることにより、積層ブロックが作製される。
積層ブロックが所定のサイズにカットされることにより、積層チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより積層チップの角部および稜線部に丸みがつけられてもよい。
積層チップが焼成されることにより、積層体10が作製される。焼成温度は、誘電体層20や内部電極層30の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
積層体10の両端面に第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bとなる導電性ペーストが塗布される。本実施形態においては、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層である。ガラス成分と金属とを含む導電性ペーストが、例えばディッピングなどの方法により、積層体10に塗布される。その後、焼き付け処理が行われ、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bが形成される。この時の焼き付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
なお、焼成前の積層チップと、積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼付け層は、ガラス成分の代わりにセラミック材料を添加したものを焼き付けて形成することが好ましい。このとき、添加するセラミック材料として、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いることが特に好ましい。この場合は、焼成前の積層チップに対して、導電性ペーストを塗布し、積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストを同時に焼き付けて、焼き付け層が形成された積層体10を形成する。
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bとして薄膜層を形成する場合は、積層体10の第1の主面TS1上の一部および第2の主面TS2上の一部に、薄膜層を形成してもよい。薄膜層は、例えば、スパッタリング法によりスパッタ電極であってもよい。第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bとして、積層体10の第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にスパッタ電極を形成する場合は、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には焼き付け層を形成してもよい。あるいは、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には下地電極層を形成せずに、後述するめっき層を積層体10に直接形成してもよい。
その後、第1の下地電極層50Aの表面に、第1のめっき層60Aが形成される。また、第2の下地電極層50Bの表面に、第2のめっき層60Bが形成される。本実施形態では、めっき層として、Niめっき層およびSnめっき層が形成される。Niめっき層およびSnめっき層は、例えばバレルめっき法により、順次形成される。
このような製造工程により、積層セラミックコンデンサ本体2が製造される。
次に、第1の金属端子100A、第2の金属端子100Bおよび引き出し端子500の製造方法について説明する。
第1の金属端子100A、第2の金属端子100Bおよび引き出し端子500を構成する端子本体にめっき膜が施される。その後、はんだを付着させたくない部分において、めっき膜の少なくとも最外表面を構成する膜が剥離される。これにより、はんだのぬれ性が低い表面が露出する露出面が形成される。あるいは、はんだを付着させたくない部分の表面をレジスト等でマスキングした状態の端子本体に対してめっき処理が施される。これにより、はんだのぬれ性が低い表面が露出する露出面が形成されてもよい。
次に、積層セラミックコンデンサ本体2と、引き出し端子500および第2の金属端子100Bとを接合する工程について説明する。
第1の外部電極40Aと引き出し端子500は、第1の接合材5Aによって接合される。第2の外部電極40Bと第2の金属端子100Bは、第2の接合材5Bによって接合される。本実施形態においては、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bは、はんだである。例えば、リフローによるはんだ付けで接合される場合、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bは、例えば270℃以上290℃以下の温度で30秒以上加熱される。
このリフロー時の加熱により、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bが溶融する。その後、第1の接合材5Aが固化し、積層セラミックコンデンサ本体2と、引き出し端子500とが接合される。また、第2の接合材5Bが固化し、積層セラミックコンデンサ本体2と、第2の金属端子100Bとが接合される。
次に、積層セラミックコンデンサ本体2と、第1の接合材5Aおよび第2の接合材5Bと、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部と、引き出し端子500と、ヒューズ200とを、外装材3で覆う工程について説明する。
外装材3は、例えば、トランスファーモールド工法によって形成される。具体的には、積層セラミックコンデンサ本体2が金型内に配置される。その後、金型内に樹脂が充填され、樹脂が硬化することにより外装材3が形成される。
なお、この工程では、第1金型と、第2金型が用いられる。まず、引き出し端子500および第2の金属端子100Bが接続された積層セラミックコンデンサ本体2と、第1の金属端子100Aとがそれぞれ、第1の金型にセットされる。その際、引き出し端子500の第1のヒューズ連結部520の端部P1と、第1の金属端子100Aの第2のヒューズ連結部120Aの端部P2は、第1の金型に設けられた溝に収められる。
次に、第1の金型に、第1の外装材3Aを構成する樹脂が注入され、第1の外装材3Aが成型される。
第1の外装材3Aによりモールドされた成型品は、第1の金型から取り出される。取り出された成型品からは、金属端子100の一部が露出している。具体的には、第1の延長部130Aの一部と、第1の立ち下がり部140Aと、第1の実装部150Aと、第2の延長部130Bの一部と、第2の立ち下がり部140Bと、第2の実装部150Bとが、第1の外装材3Aから露出している。さらに、成形時に第1の金型に設けられた溝に配置されていた部分である、第1のヒューズ連結部520の端部P1と、第2のヒューズ連結部120Aの端部P2とが、第1の外装材3Aの表面Fから突出して露出している。
その後、ヒューズ200が、第1のヒューズ連結部520の端部P1と、第2のヒューズ連結部120Aの端部P2の間を接続するように配置される。ヒューズ200は、第1の外装材3Aの表面F上に配置されてもよい。
ヒューズ200第1のヒューズ連結部520の端部P1との間、ヒューズ200と第2のヒューズ連結部120Aの端部P2との間はそれぞれ、例えばワイヤボンディングにより接合される。これにより、第1のヒューズ連結部520の端部P1と、第2のヒューズ連結部120Aの端部P2との間が、ヒューズ200により連結される。
その後、ヒューズが接合された状態の半製品が、第2の金型にセットされる。
次に、第2の金型に、第2の外装材3Bを構成する樹脂が注入され、第2の外装材3Bが成型される。これにより、第1の外装材3Aの表面Fから突出して露出したヒューズ200が、第2の外装材3Bにより覆われる。
なお、第2の金型は使用せずに、第2の外装材3Bは、樹脂のディッピングや塗装により形成されてもよい。この場合においても、第2の外装材3Bは、少なくともヒューズ200を覆うように形成される。
最後に、金属端子100に不要部分がある場合、打ち抜き金型等を用いて、不要部分がカットされる。そして、曲げ金型等を用いて、金属端子100が所望の形状に折り曲げられる。このように、金属端子100は、曲げ加工により形成されていてもよい。すなわち、屈曲形成されている金属端子100の各接続部は、曲げ加工により形成されていてもよい。なお、一部の曲げ加工は、外装材3のモールド前に行われる。
以上の製造方法により、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1が製造される。
図11に、積層セラミックコンデンサ1の実装構造300を示す。図11は、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1が実装基板310に実装された実装構造300を示す外観斜視図である。
外装材3に覆われて完成品となった積層セラミックコンデンサ1は、その後、部品として、基板実装用接合材320を介して、実装基板310にリフロー実装される。
具体的には、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、実装基板310の実装面311に配置されている配線部材312に対して、基板実装用接合材320を介して接合される。第2の金属端子100Bは、実装基板310の実装面311に配置されている配線部材312に対して、基板実装用接合材320を介して接合される。
なお、図11に示すように、実装状態において、外装材3の表面にヒューズ200が露出していない。よって、沿面放電を抑制しつつ、過電流が生じた際には、前述のとおりヒューズ200を機能させることができる。
以下、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図12は、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の変形例を示す図であり、図2に対応する図である。
本変形例においては、金属端子の構成が、上記実施形態とは異なる。本変形例の金属端子は、第1の金属端子100Cと、第2の金属端子100Dと、を有する。
第1の金属端子100Cのうち、外装材3の内部に配置されている部分の構成は、上記実施形態の第1の金属端子100Aの構成と同じである。第2の金属端子100Dのうち、外装材3の内部に配置されている部分の構成は、上記実施形態の第2の金属端子100Bの構成と同じである。
第1の金属端子100Cは、第1の延長部130Cと、第1の立ち下がり部140Cと、第1の実装部150Cと、を有する。第1の延長部130Cは、外装材3の第1の端面LS1側の表面MLS1から突出してすぐに、第1の立ち下がり部140Cに接続されている。第1の延長部130Cと第1の立ち下がり部140Cの接続部は、略直角に曲げられることにより形成されている。第1の立ち下がり部140Cは、実装面に向かって、実装面に略直交する方向に延びる。第1の実装部150Cは、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央側に向かって、実装面に沿って延びる。
第2の金属端子100Dは、第2の延長部130Dと、第2の立ち下がり部140Dと、第2の実装部150Dと、を有する。第2の延長部130Dは、外装材3の第2の端面LS2側の表面MLS2から突出してすぐに、第2の立ち下がり部140Dに接続されている。第2の延長部130Dと第2の立ち下がり部140Dの接続部は、略直角に曲げられることにより形成されている。第2の立ち下がり部140Dは、実装面に向かって、実装面に略直交する方向に延びる。第2の実装部150Dは、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央側に向かって、実装面に沿って延びる。
これにより、第1の金属端子100Cおよび第2の金属端子100Dを含む積層セラミックコンデンサ1の長さ方法の寸法L8を短くすることができる。よって、積層セラミックコンデンサ1を実装基板に実装する際に必要となる実装面積を小さくすることができる。
なお、この場合においても、第1の金属端子100Cの第1の実装部150Cの端部と第2の金属端子100Dの第2の実装部150Dの端部との離間距離L7は、図5に示される積層セラミックコンデンサ本体2の第1の外部電極40Aと第2の外部電極40Bとの離間距離L3よりも長いことが好ましい。
なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサ本体2は、複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32が、積層体10の高さ方向Tに交互に配置されていたが、積層セラミックコンデンサ本体2の構成は、これに限らない。複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32は、積層体10の幅方向Wに交互に配置されていてもよい。
この場合、第1の内部電極層31の第1の引き出し部を、第1の端面LS1側の第1の主面TS1に引き出し、第1の外部電極40Aを、第1の主面TS1上の第1の端面LS1側のみに配置してもよい。すなわち、第1の端面LS1には、第1の外部電極40Aを設けなくてもよい。この場合、積層セラミックコンデンサ本体2の第1の端面LS1側の第1の表面S1は、積層体10の第1の端面LS1によって構成される。また、第2の内部電極層32の第2の引き出し部を、第2の端面LS2側の第1の主面TS1に引き出し、第2の外部電極40Bを、第1の主面TS1上の第2の端面LS2側のみに配置してもよい。すなわち、第2の端面LS2には、第2の外部電極40Bを設けなくてもよい。この場合、積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側の第1の表面S1は、積層体10の第2の端面LS2によって構成される。
なお、本実施形態においては、1つの積層セラミックコンデンサ本体2が外装材3に覆われて、積層セラミックコンデンサ1が構成されている例を説明したが、これに限らない。複数の積層セラミック電子部品本体としての積層セラミックコンデンサ本体2が外装材3に覆われて、積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ1が構成されていてもよい。例えば、並列に配置された複数の積層セラミックコンデンサ本体2が外装材3に覆われて、積層セラミックコンデンサ1が構成されていてもよい。例えば、2段以上積み重ねられた積層セラミックコンデンサ本体2が外装材3に覆われて、積層セラミックコンデンサ1が構成されていてもよい。
なお、積層セラミックコンデンサ本体の構成は、図6~図9に示す構成に限定されない。例えば、積層セラミックコンデンサ本体は、図13A、図13B、図13Cに示すような、2連構造、3連構造、4連構造の積層セラミックコンデンサであってもよい。
図13Aに示す積層セラミックコンデンサ本体2は、2連構造の積層セラミックコンデンサ本体2であり、内部電極層30として、第1の内部電極層33および第2の内部電極層34に加えて、第1の端面LS1および第2の端面LS2のどちらにも引き出されない浮き内部電極層35を備える。図13Bに示す積層セラミックコンデンサ本体2は、浮き内部電極層35として、第1の浮き内部電極層35Aおよび第2の浮き内部電極層35Bを備えた、3連構造の積層セラミックコンデンサ本体2である。図13Cに示す積層セラミックコンデンサ本体2は、浮き内部電極層35として、第1の浮き内部電極層35A、第2の浮き内部電極層35Bおよび第3の浮き内部電極層35Cを備えた、4連構造の積層セラミックコンデンサ本体2である。このように、内部電極層30として、浮き内部電極層35を設けることにより、積層セラミックコンデンサ本体2は、対向電極部が複数に分割された構造となる。これにより、対向する内部電極層30間において複数のコンデンサ成分が形成され、これらのコンデンサ成分が直列に接続された構成となる。よって、それぞれのコンデンサ成分に印加される電圧が低くなり、積層セラミックコンデンサ本体2の高耐圧化を図ることができる。なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサ本体2は、4連以上の多連構造であってもよいことはいうまでもない。
なお、積層セラミックコンデンサ本体2は、2個の外部電極を備える2端子型のものであってもよいし、多数の外部電極を備える多端子型のものであってもよい。
なお、上述した実施形態では、積層セラミック電子部品として、誘電体セラミックを用いた積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明の積層セラミック電子部品はこれに限定されず、圧電体セラミックを用いた圧電部品、半導体セラミックを用いたサーミスタ、磁性体セラミックを用いたインダクタ等の種々の積層セラミック電子部品にも適用可能である。圧電体セラミックとしてはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミック等が挙げられ、半導体セラミックとしてはスピネル系セラミック等が挙げられ、磁性体セラミックとしてはフェライト等が挙げられる。
本実施形態の積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ1によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態の積層セラミック電子部品1は、積層された複数のセラミック層20と、セラミック層20上に積層された複数の内部導体層30とを含み、高さ方向に相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、高さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、高さ方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む積層体10と、第1の端面LS1側に配置される第1の外部電極40Aと、第2の端面LS2側に配置される第2の外部電極40Bと、を有する積層セラミック電子部品本体2と、第1の外部電極40Aと電気的に接続される第1の金属端子100Aと、第2の外部電極40Bと電気的に接続される第2の金属端子100Bと、積層セラミック電子部品本体2と、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部とを覆う外装材3と、を備える積層セラミック電子部品1であって、第1の外部電極40Aと第1の金属端子100Aとの間を電気的に接続するヒューズ200をさらに備え、外装材3は、積層セラミック電子部品本体2と、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部とを覆う第1の外装材3Aと、第1の外装材3Aの少なくとも一部を覆う第2の外装材3Bと、を有し、ヒューズ200は、外装材3に埋設され、その少なくとも一部は、第1の外装材3Aからは突出して露出しており、その突出して露出した部分は、第2の外装材3Bに囲まれるように埋設されている。これにより、沿面放電を抑制しつつ、過電流が生じた際の対策がなされた積層セラミック電子部品1を提供することができる。
例えば、ヒューズ200の一部が外装材3から露出している構成の場合は、過電流の際に断線させることはできる。しかしながら、このような構成の場合、ヒューズ200の一部が外装材3から露出しているため、沿面放電の観点からは、好ましい構成とはいえない。一方、本実施形態においては、第2の外装材3Bが、ヒューズ200の熱で劣化する樹脂により被覆されている。よって、沿面放電が抑制されつつ、過電流の際にはヒューズ効果が発揮される。なお、積層セラミックコンデンサは、その構造上、定格以上の過電圧が印加された際、一般的にショート故障となる。よって、積層セラミックコンデンサを外装材3でモールドし、かつヒューズを設けることは、沿面放電および過電流対策の観点から、非常に有用である。
(2)本実施形態の第1の外装材3Aは熱硬化性樹脂であり、第2の外装材3Bは熱可塑性樹脂である。これにより、通常時においては、ヒューズ200が外装材3により被覆されているため、沿面放電を抑制することができる。そして、過電流が生じた際には、熱可塑性樹脂である第2の外装材3Bにより覆われているヒューズ200を適切に断線させることができる。
(3)(2)において、本実施形態の第1の外装材は、熱硬化型エポキシ樹脂である。これにより、第1の外装材3Aと、積層セラミックコンデンサ本体2および金属端子100との密着性を確保し、耐電圧および耐湿性能の向上効果を得ることができる。
(4)本実施形態の第1の外装材3Aおよび第2の外装材3Bは、異なる種類の熱硬化性樹脂であり、第2の外装材3Bの耐熱温度は、第1の外装材3Aの耐熱温度よりも低い。これにより、通常時においては、ヒューズ200が外装材3により被覆されているため、沿面放電を抑制することができる。そして、過電流が生じた際には、耐熱温度が低い樹脂である第2の外装材3Bにより覆われているヒューズ200を適切に断線させることができる。
(5)(4)において、本実施形態の第1の外装材3Aは、熱硬化型エポキシ樹脂である。これにより、第1の外装材3Aと、積層セラミックコンデンサ本体2および金属端子100との密着性を確保し、耐電圧および耐湿性能の向上効果を得ることができる。
(6)本実施形態の第1の外装材3Aおよび第2の外装材3Bは、異なる種類の熱可塑性樹脂であり、第2の外装材3Bの融点は、第1の外装材3Aの融点よりも低い。これにより、通常時においては、ヒューズ200が外装材3により被覆されているため、沿面放電を抑制することができる。そして、過電流が生じた際には、融点の低い熱可塑性樹脂である第2の外装材3Bにより覆われているヒューズ200を適切に断線させることができる。
(7)本実施形態の積層セラミック電子部品1において、第2の外装材3Bの外表面と、外装材3に埋設されているヒューズ200の表面とを結ぶ最短距離は、10μm以上1000μm以下である。これにより、通常時においては、ヒューズ200が外装材3により被覆されているため、沿面放電を抑制することができる。そして、過電流が生じた際には、第2の外装材3Bにより覆われているヒューズ200を適切に断線させることができる。
(8)本実施形態のヒューズ200は、第1の金属端子100Aの端子本体を構成する金属よりも融点の低い金属により構成されている。これにより、過電流が生じた際には、外装材3に埋設されたヒューズ200を適切に断線させることができる。
(9)本実施形態の第2の外装材3Bは、第1の外装材3Aにおける、第1の主面TS1側の表面、第2の主面TS2側の表面、第1の側面WS1側の表面、または第2の側面WS2側の表面の少なくともいずれかの表面に配置されている。これにより、適切な位置にヒューズ200を配置して、ヒューズ200を第2の外装材によって覆うことができる。
(10)本実施形態の第2の外装材3Bの耐熱温度は、ヒューズ200の溶断温度よりも低い。これにより、通常時においては、ヒューズ200が外装材3により被覆されているため、沿面放電を抑制することができる。そして、過電流が生じた際には、耐熱性の低い第2の外装材3Bにより覆われているヒューズ200を適切に断線させることができる。
(11)本実施形態の第2の外装材3Bの耐熱温度は、ヒューズ200の溶断温度よりも低く、第1の外装材3Aの耐熱温度は、ヒューズ200の溶断温度よりも高い。これにより、通常時においては、ヒューズ200が外装材3により被覆されているため、沿面放電を抑制することができる。そして、過電流が生じた際には、耐熱性の低い第2の外装材3Bにより覆われているヒューズ200を適切に断線させることができる。
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、上記実施形態において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。