JP2023042138A - 因果探索装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】因果探索処理の精度を維持しつつ、一度の因果探索処理の処理対象となる顧客の属性数を減らして因果探索処理の負荷を軽減する。【解決手段】因果探索装置10は、手続き完了した顧客のうち、手続き用WEBページ群を訪問しWEBで手続き完了したB群と、手続き用WEBページ群を訪問したがWEB以外で手続き完了したA群とを抽出し、WEBでの手続き完了までの動線に沿った複数の層にA群を層化する層化部12と、A群の各層およびB群を構成するCV層の属性情報から得られる各層の属性ごとの特徴量に基づき、CV層の属性とは相関が無いがA群のいずれかの層の属性と相関が有る相関属性をA群の各層について抽出する属性抽出部13と、A群の各層についての相関属性、およびA群の各層とCV層それぞれの属性ごとの特徴量に基づき、A群の各層について相関属性間の因果探索を実行する因果探索部14と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、対象となる顧客の属性間の因果探索を行う因果探索装置に関する。なお、属性間の因果探索とは、属性間の因果関係を探索(推定)することであり、属性間の因果関係とは、2つの属性において一方が原因で他方が結果になっている関係を意味する。
近年、顧客は、店舗で行っていた契約手続きと同様の契約手続きをウェブページ(以下「WEBページ」ともいう)上でも実行可能になってきている。ただし、契約手続きが必要だった顧客がWEBページを訪れたとしても、必ずしもWEBページで契約手続きを実行するとは限らず、WEBページを離脱して実在の店舗で契約手続きを行う場合がある。このように顧客がWEBページを離脱した要因が何であるのかを突き止めるために、WEBページを離脱して実在の店舗で契約手続きを行った顧客に特有の属性を抽出し、それら特有の属性間の因果関係を分析することが有効である。このような因果関係を分析する際には、因果探索(又は、原因探索ともいう)という技術が用いられる(特許文献1)。
特許第6154523号公報
しかしながら、上記の因果探索処理では、処理対象となる顧客の属性数が多くなると、処理負荷が非常に高くなり、その結果、想定された時間内に因果探索処理が終了しない等の不都合が起こりうる。一方で、因果探索処理の処理対象となる顧客の属性数を単に減らすだけでは、因果探索処理の精度の低下が懸念される。
本開示は、上記課題を解決するために成されたものであり、因果探索処理の精度を維持しつつ、一度の因果探索処理の処理対象となる顧客の属性数を減らすことで、因果探索処理の負荷を軽減することを目的とする。
本開示に係る因果探索装置は、ある手続きを完了した複数の顧客から、顧客ごとの手続き完了場所に関する情報および特定の手続き場所への訪問有無情報に基づいて、前記特定の手続き場所を訪問し前記特定の手続き場所で手続き完了した第1顧客群と、前記特定の手続き場所を訪問したが前記特定の手続き場所以外で手続き完了した第2顧客群とを抽出し、顧客ごとの訪問履歴情報に基づいて、前記特定の手続き場所で手続き完了するまでの動線に沿って定められた複数の層に、前記第2顧客群を層化する層化部と、前記層化部により層化された前記第2顧客群の各層の顧客、および、前記層化部により抽出された前記第1顧客群を構成するコンバージョン層の顧客、のそれぞれの属性情報を取得し、取得された前記属性情報に基づいて得られる前記第2顧客群の各層および前記コンバージョン層それぞれの属性ごとの特徴量に基づいて、前記コンバージョン層の顧客の属性とは相関が無いが前記第2顧客群のいずれかの層の顧客の属性と相関が有る属性である相関属性を、前記第2顧客群の各層について抽出する属性抽出部と、前記属性抽出部により抽出された前記第2顧客群の各層についての相関属性、および、前記第2顧客群の各層および前記コンバージョン層それぞれの属性ごとの特徴量に基づいて、前記第2顧客群の各層について、前記相関属性の間の因果探索を実行する因果探索部と、を備える。
なお、上記の「コンバージョン層」とは、例えば、特定の手続き場所で手続き完了したことで「顧客見込み」から「顧客」へ変換(コンバージョン)した顧客から成る層を意味する。
上記の因果探索装置では、層化部が、ある手続きを完了した複数の顧客から、顧客ごとの手続き完了場所に関する情報および特定の手続き場所への訪問有無情報に基づいて、特定の手続き場所を訪問し特定の手続き場所で手続き完了した第1顧客群と、特定の手続き場所を訪問したが特定の手続き場所以外で手続き完了した第2顧客群とを抽出し、顧客ごとの訪問履歴情報に基づいて、特定の手続き場所で手続き完了するまでの動線に沿って定められた複数の層に、第2顧客群を層化する。これにより、第2顧客群は、特定の手続き場所で手続き完了するまでの動線に沿って定められた複数の層に層化(グループ分け)される。次に、属性抽出部が、第2顧客群の各層の顧客および第1顧客群を構成するコンバージョン層の顧客のそれぞれの属性情報を取得し、取得された属性情報に基づいて得られる第2顧客群の各層およびコンバージョン層それぞれの属性ごとの特徴量に基づいて、コンバージョン層の顧客の属性とは相関が無いが第2顧客群のいずれかの層の顧客の属性と相関が有る属性である相関属性を、第2顧客群の各層について抽出する。これにより、第2顧客群の各層およびコンバージョン層それぞれの属性情報に基づいて、後の「因果探索」の対象となる相関属性(コンバージョン層の顧客の属性とは相関が無いが第2顧客群のいずれかの層の顧客の属性と相関が有る属性)が、第2顧客群の各層について適切に抽出される。さらに、因果探索部が、抽出された第2顧客群の各層についての相関属性、および、第2顧客群の各層およびコンバージョン層それぞれの属性ごとの特徴量に基づいて、第2顧客群の各層について、相関属性の間の因果探索を実行する。以上のように、第2顧客群の各層について適切に抽出された相関属性を対象として、第2顧客群の層ごとに因果探索が実行されるため、因果探索処理の精度を一定レベル以上に維持することができるとともに、一度の因果探索処理の処理対象となる顧客の属性数を減らすことで、因果探索処理の負荷を軽減することができる。
本開示によれば、因果探索処理の精度を維持しつつ、一度の因果探索処理の処理対象となる顧客の属性数を減らすことで、因果探索処理の負荷を軽減することができる。
発明の実施形態に係る因果探索装置の機能ブロック構成図である。 (a)は、顧客ごとの手続き完了場所などに関する情報の一例を示す表であり、(b)は、顧客ごとのWEB訪問履歴情報の一例を示す表であり、(c)は、顧客ごとの属性情報の一例を示す表である。 因果探索装置において実行される処理内容を示すフロー図である。 層と相関のある属性の抽出処理のサブルーチンを示すフロー図である。 A群(第2顧客群)およびB群(第1顧客群)の抽出を説明するための図である。 各群のWEB訪問履歴情報の取得を説明するための図である。 層化係数の決定を説明するための図である。 A群の層化を説明するための図である。 層情報テーブルの生成を説明するための図である。 層情報付き属性テーブルの生成を説明するための図である。 属性ごとの特徴量の導出を説明するための図である。 属性ごとの該当人数の割合の算出を説明するための図である。 相関属性の抽出を説明するための図である。 該当人数が少なすぎる属性の除外を説明するための図である。 各層の相関属性の一例を示す図である。 因果探索を説明するための図である。 因果グラフの生成・出力を説明するための図である。 因果探索装置のハードウェア構成例を示す図である。
添付図面を参照しながら、因果探索装置の一実施形態を説明する。なお、以下では、「手続き」として、ある対象サービスの契約手続きの例で説明するものとし、顧客による契約手続きは、手続き完了場所として、WEB上で行うこともできるし、実在の店舗で行うこともできるとする。
図1に示すように、一実施形態に係る因果探索装置10は、顧客データ保持部11、層化部12、属性抽出部13、因果探索部14、およびグラフ生成出力部15を備える。以下、各部の機能について説明する。
顧客データ保持部11は、以下に説明するような、顧客ごとの、手続き完了場所に関する情報、手続き用WEBページ群への訪問有無情報、手続き用WEBページ群のうち訪問した訪問ページ情報、顧客の属性情報などを保持したデータベースである。上記の各種の情報は、取得することの了解を得た顧客の端末ログ、アプリケーションログ、加入者情報などから予め取得され、顧客データ保持部11により保持される。
上記の各種情報の保持形態は、さまざまな形態を採り得るが、図2(a)~図2(c)を用いて一例を説明する。図2(a)に示すように、顧客ごとの手続き完了場所に関する情報および手続き用WEBページ群への訪問有無情報は、イベント発生時間(ここでは契約手続き完了時刻)の情報とともに、顧客識別情報(顧客ID)をキーとして、顧客データ保持部11により保持される。上記の「手続き完了場所に関する情報」は、例えば、顧客がWEB上で契約手続きした場合、WEBと記録され、顧客が実在の店舗で契約手続きした場合、REALと記録される。上記の「手続き用WEBページ群への訪問有無情報」は、例えば、訪問有りの場合、「1」と記録され、訪問無しの場合、「0」と記録される。ここでの「手続き用WEBページ群」には、顧客が対象サービスの契約手続きを行う場合に一連の流れの中で訪問すると想定されるさまざまなWEBページが含まれ、例えば、対象サービスの料金プランに関するページ、料金プランの比較に関するページ、契約手続き開始ページ、契約手続き中のページ、契約手続き完了ページ、FAQ(Frequently Asked Questions)に関するページなどが含まれる。図2(a)に示す情報は、手続き関連情報11Aと総称する。図2(b)に示すように、顧客ごとの訪問ページ情報は、イベント発生時間(ここでは該当のWEBページに訪問した時刻)の情報とともに、顧客IDをキーとして、顧客データ保持部11により保持される。図2(b)に示す情報は、訪問関連情報11Bと総称する。図2(c)に示す、顧客ごとの属性情報11Cは、さまざまな属性ごとの列に、当該属性の内容又は当該属性を有するか否かのフラグが、顧客IDをキーとして顧客データ保持部11により保持される。例えば、属性A、Bについては、当該属性を有することを示すフラグ「1」又は当該属性を有しないことを示すフラグ「0」が保持され、属性Cについては、YYY、ZZZ、XXXなどの当該属性Cの内容が保持される。なお、図2(a)、(b)に示す「イベント発生時間」の情報は、対応する契約手続き完了およびWEBページ訪問が一連の動作として行われたか否かを判断するために用いられ、例えば、WEBページ訪問の時刻と契約手続完了時刻とが所定の時間間隔以上離れていれば、それらは一連の動作として行われなかったと判断される。
図1へ戻り、層化部12は、ある対象サービスの契約手続きを完了した複数の顧客から、顧客ごとの手続き完了場所に関する情報および手続き用WEBページ群への訪問有無情報に基づいて、手続き用WEBページ群を訪問し手続き用WEBページ群で手続き完了した顧客から成る第1顧客群(以下「B群」という)と、手続き用WEBページ群を訪問したが手続き用WEBページ群以外で手続き完了した顧客から成る第2顧客群(以下「A群」という)とを抽出し、顧客ごとの訪問履歴情報に基づいて、手続き用WEBページ群において手続き完了するまでの動線に沿って定められた複数の層に、A群に属する顧客(以下「A群」と略称)を層化する機能部である。詳細は後述するが、層化部12は、B群に属する顧客(以下「B群」と略称)が手続き用WEBページ群で手続き完了するまでの動線を求め、得られたB群の動線と予め定められた基準となる基準動線の両方を基礎として、A群を層化するための複数の層(以下「層化変数」ともいう)を定め、それら複数の層をA群の層化に用いる。ただし、上記のようにB群の動線を基礎とすることは必須ではなく、予め定められた基準動線のみを基礎として、層化変数を定めてもよい。また、層化変数を定める処理を省略し、予め定められた基準動線に対応する複数の層をA群の層化に用いてもよい。
属性抽出部13は、層化部12により層化されたA群の各層の顧客、および、層化部12により抽出されたB群を構成する層であるコンバージョン層(以下「層CV」ともいう)の顧客、のそれぞれの属性情報を取得し、取得された属性情報に基づいて得られるA群の各層およびコンバージョン層それぞれの属性ごとの特徴量に基づいて、コンバージョン層の顧客の属性とは相関が無いがA群のいずれかの層の顧客の属性と相関が有る属性である相関属性を、A群の各層について抽出する機能部である。詳細は後述するが、属性抽出部13は、A群の各層およびコンバージョン層それぞれの属性情報について、当該属性情報に係る属性を持つ顧客数を集計し、得られた顧客数(集計値)をそれぞれの属性の特徴量として取得する。このとき、集計で得られた顧客数をそのまま特徴量とする以外に、予め定めた係数を顧客数に乗算する等の所定の演算を行った演算結果を特徴量として取得してもよい。また、属性抽出部13は、ある属性を持つ顧客数が予め定められた下限基準を下回る属性については、相関属性から除外する。このような属性抽出に関する処理例は後に詳述する。
因果探索部14は、属性抽出部13により抽出されたA群の各層についての相関属性、および、A群の各層およびコンバージョン層それぞれの属性ごとの特徴量に基づいて、A群の各層について、相関属性の間の因果探索を実行する機能部である。
グラフ生成出力部15は、因果探索部14による因果探索によって得られた層ごとの因果探索結果から、当該因果探索結果を表す有向非巡回グラフ(Directed Acyclic Graph(DAG))を生成し出力する機能部である。
次に、図3のフロー図に沿って、因果探索装置10において実行される処理を順に説明する。図3の処理は、例えば、所定の周期的なタイミングで実行開始されてもよいし、因果探索装置10のオペレータにより所定の開始操作等が行われたことをトリガーに実行開始されてもよい。
層化部12は、対象とするサービスの契約手続きを完了した複数の顧客(以下「手続き完了顧客」という)に関する図2(a)の手続き関連情報11Aを顧客データ保持部11から読み出すことで取得し(ステップS1)、手続き関連情報11Aに基づいて以下のようにして、手続き完了顧客からA群とB群とを抽出する(ステップS2)。即ち、図5に示すように、層化部12は、手続き関連情報11Aにおいて、手続き完了場所が「REAL(WEB以外の実在する店舗など)」であり且つ手続き用WEBページ群への訪問有無情報が「1(訪問有り)」である顧客(顧客IDが0000001の顧客)をA群として抽出し、手続き完了場所が「WEB」であり且つ手続き用WEBページ群への訪問有無情報が「1(訪問有り)」である顧客(顧客IDが0000010の顧客)をB群として抽出する。なお、上記以外の顧客、即ち、手続き完了場所が「REAL」であり且つ手続き用WEBページ群への訪問有無情報が「0(訪問無し)」である顧客(顧客IDが0000002の顧客)は、抽出の対象外とされる。
次に、層化部12は、抽出されたA群とB群それぞれについて、図2(b)の訪問関連情報11Bを顧客データ保持部11から読み出すことで、図6に示すA群とB群それぞれの訪問関連情報11Bを取得する(ステップS3)。
次に、層化部12は、後述するステップS6の層化で用いるべき層化変数が決まっているか否かを判断する(ステップS4)。ここでは、例えば、対象となる対象サービスが同一の因果探索処理(図3)を連続的に繰り返し実行する際に、2回目以降において1回目の処理で決定された層化変数を流用可能である場合などに、用いるべき層化変数が決まっていると判断され、上記以外の場合、用いるべき層化変数が決まっていないと判断される。ステップS4で層化変数が決まっていると判断されれば、後述するステップS6へ進み、一方、層化変数が決まっていないと判断されれば、以下のようにして層化変数を決定する(ステップS5)。図7に示すように、事前に定められた主要動線(枠組み)にB群のWEB訪問履歴情報を当てはめる。ここでは、主要動線として、層A、層B、層C、層D、層CVという枠組みが事前に定められ、層Aは料金プランに関するページの層、層Bは料金プランを比較するページの層、層CはWEB手続き開始ページの層、層DはWEB手続き中のページの層、層CVはWEB手続き完了ページの層であると、WEBページのカテゴリごとに各層は決められている。上記以外のページ(例えばFAQに関するページ)は主要動線(枠組み)に含まれておらず、以下の層化変数の決定処理では考慮されない。図7の左側にB群に属する顧客ID「0000010」、「0000011」の顧客の訪問履歴情報が例示されており、訪問ページ例において、「aa、aaa」は料金プランに関するページであり、「bbb」は料金プランを比較するページであり、「ccc」はWEB手続き開始ページであり、「dd、ddd」はWEB手続き中のページであり、「cvpage」はWEB手続き完了ページであるとする。このとき、図7に示すように、顧客ID「0000010」の顧客が契約完了するまでの動線は「層A→層D→層CV」と判明し、顧客ID「0000011」の顧客が契約完了するまでの動線は「層A→層B→層C→層D→層CV」と判明する。以上のようなB群に属する顧客の動線を包括的に含んだ動線「層A→層B→層C→層D→層CV」が、B群が契約完了するまでの動線として導かれ、層化変数として、「層A、層B、層C、層D、層CV」の5つが決定される。
次に、層化部12は、ステップS5で決定した又は既に決められた層化変数を用いて、以下のようにA群を層化する(ステップS6)。このとき、複数の層をまたがって訪問している場合には、当該複数の層のうち、層CVに近い方を採用するという規則のもと、図8に示すように、顧客IDが「0000001」の顧客は、層Aに割り当てられたページのみを訪問しているため、層Aに層化され、顧客IDが「0000003」の顧客は、層CVに最も近いページとして、層Bに割り当てられたページを訪問しているため、層Bに層化される。同様に、顧客IDが「0000004」の顧客は層Cに層化され、顧客IDが「0000005」の顧客は層Dに層化される。
次に、層化部12は、顧客ごとの層化の結果(層化された層の情報)を顧客IDに対応付けて記録した図9右側に示す層情報テーブルを生成し(ステップS7)、属性抽出部13に渡す。
次に、属性抽出部13は、図2(c)の顧客の属性情報11Cを顧客データ保持部11から読み出すことで取得し(ステップS8)、層化部12から受け取った層情報テーブル(図9)と顧客の属性情報とを突合することにより、図10に示す層情報付き属性テーブルを生成する(ステップS9)。図10に示すように、層情報付き属性テーブルには、顧客が属する層および当該顧客が持つさまざまな属性に関する情報が、顧客IDをキーにして保持される。
次に、属性抽出部13は、層CVの顧客の属性とは相関が無いがA群のいずれかの層の顧客の属性と相関が有る属性である「相関属性」をA群の各層について抽出する抽出処理を実行する(ステップS10)。ステップS10における抽出処理は、図4のサブルーチンにより表される。まず、属性抽出部13は、層A~層Dおよび層CVのそれぞれについて、層に属する総人数および各属性を持つ人数を層ごとに集計し、各属性を持つ人数(集計値)を当該層における当該属性の特徴量とする(ステップS10A)。これにより、図11に示すように、層ごとの、層に属する総人数および各属性を持つ人数(当該属性の特徴量)が求められる。
次に、属性抽出部13は、図12の右上に示す式に数値を代入することで、各属性を持つ人数の割合を層ごとに算出する(ステップS10B)。例えば、層Aにおける属性Aについては、人数の割合は(9000/13800)となり、65.2%が求められる。このようにして、層ごとに各属性について、図12に示すような人数の割合が求められる。
次に、属性抽出部13は、層A~層Dにおける各属性の人数の割合と層CVにおける各属性の人数の割合とを比較し、層A~層Dにおける各属性のうち、人数の割合が層CVにおける人数の割合の2倍以上となった属性を、相関属性として抽出する(ステップS10C)。例えば、図13に示すように、「属性A:1」については、層Aにおける人数の割合34.8%および層Bにおける人数の割合27.7%が、層CVにおける人数の割合13.2%の2倍以上であるため、「属性A:1」は、層Aおよび層Bと相関のある相関属性として抽出される。同様に、「属性B:0」については、層A~層Dそれぞれの人数の割合が、層CVにおける人数の割合1.3%の2倍以上であるため、「属性B:0」は、層A~層Dと相関のある相関属性として抽出される。なお、ここでは、相関属性の抽出条件として、「人数の割合が層CVにおける人数の割合の2倍以上」という条件を用いたが、この条件は一例であり、例えば「人数の割合が層CVにおける人数の割合の5倍以上」といった別の条件を用いてもよい。
さらに、属性抽出部13は、ステップS10Cで抽出された相関属性から、当該属性を持つ人数が予め定められた下限基準を下回る属性を除外する(ステップS10D)。ここでは、一例として、属性抽出部13は、抽出された相関属性のうち、属性を持つ人数が層の総人数の1%以下である属性を除外する。図14に示す層Dに関する「属性B:0」は、当該属性を持つ人数61人が層Dの総人数1149人の1%以下であるため、相関属性から除外される。なお、ここでの条件「当該属性を持つ人数が層の総人数の1%以下」は一例であり、例えば「当該属性を持つ人数が層の総人数の3%以下」といった別の条件を用いてもよい。
以上のような図4の処理によって、層A~層Dそれぞれに関する属性のうち、図15に示す属性が、相関属性(層CVとは相関がないが当該層と相関があり属性を持つ人数が充分な属性)として抽出される。なお、図15には、図11~図14で図示しなかった属性C~Gに係る相関属性も示している。
次に、因果探索部14は、層ごとに因果探索を実行する(ステップS11)。図16を用いて、例えば、層Aについての因果探索を説明すると、因果探索部14は、層Aに係る相関属性である「層A:1」、「層B:0」、「層C:XXX」に、「層:A」を加えた計4つの属性を対象として因果探索を実行する。その結果、図16の下段中央に示す、候補となる計12通りの属性間の因果関係のうち、因果探索の結果、図16の下段右側に示す計6つの因果関係が得られる。
次に、グラフ生成出力部15は、因果探索によって得られた層ごとの因果探索結果から、当該因果探索結果を表す有向非巡回グラフ(Directed Acyclic Graph(DAG))を生成し(ステップS12)、出力する(ステップS13)。例えば、層Aについては、図17に示すように、因果探索により得られた計6つの因果関係を表す有向非巡回グラフが生成され、出力される。
以上説明した因果探索装置10の一実施形態によれば、A群の各層および層CVそれぞれの属性ごとの特徴量に基づいてA群の各層について適切に抽出された相関属性を対象として、A群の層ごとに因果探索が実行されるため、因果探索処理の精度を一定レベル以上に維持することができるとともに、一度の因果探索処理の処理対象となる顧客の属性数を減らすことで、因果探索処理の負荷を軽減することができる。
また、因果探索がA群の層ごとに実行され、一度の因果探索処理の処理対象となる顧客の属性数を減らせることに伴い、属性間の因果関係を表す有向非巡回グラフが巨大になることを回避でき、属性間の因果関係を判別可能なグラフを出力することができる。
また、上記の実施形態では、「手続き」として、WEB上でも実在の店舗でも実行可能な、ある対象サービスの契約手続きの例で説明した。この場合、A群(手続き用WEBページ群を訪問したが手続き用WEBページ群以外で手続き完了した顧客群)に関する、手続き完了するまでの動線における脱落場所および顧客の属性などの分析に、因果探索の結果を有効に利用することができる。
また、層化部12は、予め定められた基準となる基準動線に基づいて、A群を層化するための複数の層(層化変数)を定めることで、例えば、FAQページなどの「手続きとは直接関連しない参考情報のページ」への訪問履歴などが基礎とされることを未然に防止し、予め定められた基準動線に基づく適切な層化変数の設定を行うことができる。
また、層化部12は、予め定められた基準動線に加え、B群が手続き用WEBページ群で手続き完了するまでの動線、をさらに基礎として、A群を層化するための複数の層(層化変数)を定めることで、実際に手続き用WEBページ群で手続き完了したB群の動線を用いて、より実態に即した、より適切な層化変数を定めることができる。
また、属性抽出部13は、A群の各層およびCV層それぞれの属性情報について、当該属性情報に係る属性を持つ顧客数を集計し、得られた顧客数に基づいて、それぞれの属性の特徴量を取得することで、属性を持つ顧客数(集計値)に基づいて、比較的簡易な処理でそれぞれの属性の特徴量を取得することができる。
また、属性抽出部13が、ある属性を持つ顧客数が予め定められた下限基準を下回る属性を、相関属性から除外することで、属性を持つ顧客数が極めて少ない属性が相関属性として抽出される事態を未然に防止でき、相関属性の抽出処理の適正化を図ることができる。
また、上記の実施形態では、因果探索装置10が、顧客ごとの、手続き完了場所に関する情報、特定の手続き場所への訪問有無情報、訪問履歴情報、および属性情報を保持した顧客データ保持部11を備えた例を説明した。このように、因果探索装置10が顧客データ保持部11を、その内部に備えたことで、図3の処理実行時に、必要となるさまざまな情報を外部から取得する必要が無くなり、処理の迅速化に寄与することができる。
(用語の説明、ハードウェア構成(図18)の説明など)
なお、上記の実施形態、変形例の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)、送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
例えば、本開示の一実施の形態における因果探索装置は、本実施形態における処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図18は、本開示の一実施の形態に係る因果探索装置10のハードウェア構成例を示す図である。上述の因果探索装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。因果探索装置10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
因果探索装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、その他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。 また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
10…因果探索装置、11…顧客データ保持部、12…層化部、13…属性抽出部、14…因果探索部、15…グラフ生成出力部、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…バス。

Claims (7)

  1. ある手続きを完了した複数の顧客から、顧客ごとの手続き完了場所に関する情報および特定の手続き場所への訪問有無情報に基づいて、前記特定の手続き場所を訪問し前記特定の手続き場所で手続き完了した第1顧客群と、前記特定の手続き場所を訪問したが前記特定の手続き場所以外で手続き完了した第2顧客群とを抽出し、顧客ごとの訪問履歴情報に基づいて、前記特定の手続き場所で手続き完了するまでの動線に沿って定められた複数の層に、前記第2顧客群を層化する層化部と、
    前記層化部により層化された前記第2顧客群の各層の顧客、および、前記層化部により抽出された前記第1顧客群を構成するコンバージョン層の顧客、のそれぞれの属性情報を取得し、取得された前記属性情報に基づいて得られる前記第2顧客群の各層および前記コンバージョン層それぞれの属性ごとの特徴量に基づいて、前記コンバージョン層の顧客の属性とは相関が無いが前記第2顧客群のいずれかの層の顧客の属性と相関が有る属性である相関属性を、前記第2顧客群の各層について抽出する属性抽出部と、
    前記属性抽出部により抽出された前記第2顧客群の各層についての相関属性、および、前記第2顧客群の各層および前記コンバージョン層それぞれの属性ごとの特徴量に基づいて、前記第2顧客群の各層について、前記相関属性の間の因果探索を実行する因果探索部と、
    を備える因果探索装置。
  2. 前記層化部は、
    ある手続きを完了した複数の顧客から、顧客ごとの手続き完了場所に関する情報および手続き用ウェブページ群への訪問有無情報に基づいて、前記手続き用ウェブページ群を訪問し前記手続き用ウェブページ群で手続き完了した第1顧客群と、前記手続き用ウェブページ群を訪問したが前記手続き用ウェブページ群以外で手続き完了した第2顧客群とを抽出し、顧客ごとの訪問履歴情報に基づいて、前記手続き用ウェブページ群で手続き完了するまでの動線に沿って定められた複数の層に、前記第2顧客群を層化する、
    請求項1に記載の因果探索装置。
  3. 前記層化部は、予め定められた基準となる基準動線に基づいて、前記第2顧客群を層化するための前記複数の層を定める、
    請求項2に記載の因果探索装置。
  4. 前記層化部は、前記第1顧客群の顧客が前記手続き用ウェブページ群で手続き完了するまでの動線、をさらに基礎として、前記複数の層を定める、
    請求項3に記載の因果探索装置。
  5. 前記属性抽出部は、前記第2顧客群の各層および前記コンバージョン層それぞれの属性情報について、当該属性情報に係る属性を持つ顧客数を集計し、得られた顧客数に基づいて、それぞれの属性の特徴量を取得する、
    請求項1~4の何れか一項に記載の因果探索装置。
  6. 前記属性抽出部は、ある属性を持つ顧客数が予め定められた下限基準を下回る当該属性を、前記相関属性から除外する、
    請求項5に記載の因果探索装置。
  7. 顧客ごとの、手続き完了場所に関する情報、特定の手続き場所への訪問有無情報、訪問履歴情報、および、属性情報を保持した顧客データ保持部、
    をさらに備える請求項1~6の何れか一項に記載の因果探索装置。
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