JP2023040467A - 上半身用衣服 - Google Patents
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Abstract
【課題】ファン付衣服のインナーウェアとして着用した場合に、ファン付衣服による身体冷却効果を高めることができる上半身用衣服を提供する。【解決手段】着用者の上半身に着用される上半身用衣服1において、通気性を有する生地で形成され、着用者の背中を覆う後見頃12と、後見頃12の外側に重なって設けられ、着用者の背中上部を覆う空気案内布20と、後見頃12と空気案内布20との間に下方から空気を取り込むための空気取込口1aとを備えることにより、着用者の背面側にファン2aを有するファン付衣服2の内側に着用した際に、ファン2aから取り込まれた空気が、空気取込口1aから後見頃12と空気案内布20との間に取り込まれるようにした。これにより、ファン2aから取り込まれた空気が着用者の背中上部に当たりやすいようにして、着用者の身体を効果的に冷却することができる。【選択図】 図1
Description
本発明は、着用者の上半身に着用される上半身用衣服に関する。
熱中症予防等の観点から、ファンを備えたファン付衣服が急速に普及してきている。このようなファン付衣服としては、例えば、特許文献1の図1に示される冷却衣服1のように、着用者の背面側腰付近の左右にファン(風発生装置2)が取り付けられたものが一般的である。ファン(風発生装置2)を駆動させると、同文献の図10にも示されるように、外部の空気が冷却衣服1内に取り込まれ、着用者の背中付近を通って襟元や袖口等から排出される。このように、ファン付衣服の内部に空気の流れを発生させることによって、着用者の身体から熱を奪い、冷却することができる。
このようなファン付衣服を着用する際には、その下(内側)にインナーウェア(他の衣服の内側に着用される衣服のこと。以下同じ。)を着用することが通常である。ファン付衣服のインナーウェアとしては、近年、コンプレッションウェアと呼ばれるストレッチ素材で形成された衣服(例えば、特許文献2の図1に示されるコンプレッションウェア1や、特許文献3の図3に示されるコンプレッションウェア1)が人気を集めている。コンプレッションウェアは、着用者の身体にフィットして着圧を与えることによって、筋肉をサポートする効果があると言われている。また、作業や運動を行った後の疲労回復を早める効果があるとも言われている。ところが、このような従来のインナーウェアでは、ファン付衣服の身体冷却効果を高めるような工夫は特段なされていなかった。
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、ファン付衣服のインナーウェアとして着用した場合に、ファン付衣服による身体冷却効果を高めることができる上半身用衣服を提供するものである。
上記課題は、
着用者の上半身に着用される上半身用衣服であって、
通気性を有する生地で形成され、着用者の背中を覆う後見頃と、
後見頃の外側(着用者の身体が配される側の反対側。以下同じ。)に重なって設けられ、着用者の背中上部を覆う空気案内布と、
後見頃と空気案内布との間に下方から空気を取り込むための空気取込口と
を備え、
着用者の背面側にファンを有するファン付衣服の内側に着用した際に、ファンから取り込まれた空気が、空気取込口から後見頃と空気案内布との間に取り込まれるようにした
ことを特徴とする上半身用衣服
を提供することによって解決される。
着用者の上半身に着用される上半身用衣服であって、
通気性を有する生地で形成され、着用者の背中を覆う後見頃と、
後見頃の外側(着用者の身体が配される側の反対側。以下同じ。)に重なって設けられ、着用者の背中上部を覆う空気案内布と、
後見頃と空気案内布との間に下方から空気を取り込むための空気取込口と
を備え、
着用者の背面側にファンを有するファン付衣服の内側に着用した際に、ファンから取り込まれた空気が、空気取込口から後見頃と空気案内布との間に取り込まれるようにした
ことを特徴とする上半身用衣服
を提供することによって解決される。
本発明者は、ファン付衣服のファンから取り込まれた空気を、着用者の背中上部(特に、首の付け根から左右の肩甲骨上端の中間点付近にかけての部分)に当てることにより、着用者の身体を効果的に冷却できることを見出した。本発明に係る上半身用衣服を着用し、その外側にファン付衣服を着用すると、ファンから取り込まれた空気が、空気取込口から後見頃と空気案内布との間に取り込まれ、通気性を有する後見頃を通じて着用者の背中上部に当たりやすくなる。これにより、着用者の身体を効果的に冷却することができる。すなわち、本発明に係る上半身用衣服は、ファン付衣服用インナーウェアとして優れた機能を有している。ただし、本発明に係る上半身用衣服は、ファン付衣服用インナーウェアにその用途を限定されるものではなく、ファン付衣服以外の衣服のインナーウェアとしてや、アウターウェア(最も外側に着用される衣服のこと。以下同じ。)としても着用することができる。
後見頃は、空気案内布に重なる部分を、メッシュ生地で形成すると好ましい。これにより、ファン付衣服のファンから取り込まれた空気が、着用者の背中上部により当たりやすくなる。後見頃は、空気案内布に重なる部分以外の部分もメッシュ生地で形成してもよい。
上記の上半身用衣服においては、後見頃と空気案内布との間に取り込まれた空気を、着用者の首の付け根付近から送出するための空気送出口を備えることが好ましい。これにより、空気取込口から空気送出口へと通じる空気の流路が確保されるため、後見頃と空気案内布との間により多くの空気を取り込むことができる。したがって、着用者の身体をより効果的に冷却することができる。加えて、空気送出口から送出された空気が着用者の首に当たることによっても身体冷却効果を得ることができる。
また、上記の上半身用衣服においては、空気案内布を、後見頃に対して弛みのある状態とすることが好ましい。これにより、後見頃と空気案内布との間に空間を確保しやすくなるとともに、空気取込口を広く開口させやすくなるため、ファン付衣服のファンから取り込まれた空気を、後見頃と空気案内布との間により取り込みやすくすることができる。
さらに、上記の上半身用衣服においては、後見頃と空気案内布との間に空間を確保するスペーサーを保持するためのスペーサー保持部をさらに備えることも好ましい。これにより、ファン付衣服のファンから後見頃と空気案内布との間に取り込まれた空気が、着用者の背中上部にしっかりと当たるようにすることができる。
上記の上半身用衣服は、着用時に着用者の身体の少なくとも一部に着圧がかかるコンプレッションウェアであることが好ましい。これにより、筋肉をサポートする効果や、疲労回復を早める効果を得ることができる。
以上のように、本発明によって、ファン付衣服のインナーウェアとして着用した場合に、ファン付衣服による身体冷却効果を高めることができる上半身用衣服を提供することが可能になる。
本発明の好適な実施形態について、図面を用いてより具体的に説明する。本発明に係る上半身用衣服は、上半身に着用するものであれば、衣服としての種類を特に限定されない。以下においては、上半身用衣服の例として、コンプレッションウェア及びポロシャツを挙げている。上半身用衣服は、このほかにも、例えば、Tシャツや、布帛シャツ等であってもよい。上半身用衣服の襟元の形状も特に限定されない。上半身用衣服の襟元の形状としては、例えば、丸首(クルーネック)、ハイネック(ジップアップタイプ又はジップ無しタイプ)、ポロ襟、Uネック、Vネック、ヘンリーネック、タートルネック等を採用することができる。
1.第一実施形態
図1は、第一実施形態の上半身用衣服1をファン付衣服2の内側に着用した状態を示す図である。図1においては、着用者の身体及び上半身用衣服1を実線で示しており、ファン付き衣服20を破線で示している。図2~図4は、第一実施形態の上半身用衣服1の六面図である。図2(a)は正面図であり、図2(b)は背面図であり、図3は右側面図であり、図4(a)は平面図であり、図4(b)は底面図である。左側面図は、右側面図と同一(対称)にあらわれるため省略している。図5は、第一実施形態の上半身用衣服1を、図2におけるA-A平面で切断した断面図である。
図1は、第一実施形態の上半身用衣服1をファン付衣服2の内側に着用した状態を示す図である。図1においては、着用者の身体及び上半身用衣服1を実線で示しており、ファン付き衣服20を破線で示している。図2~図4は、第一実施形態の上半身用衣服1の六面図である。図2(a)は正面図であり、図2(b)は背面図であり、図3は右側面図であり、図4(a)は平面図であり、図4(b)は底面図である。左側面図は、右側面図と同一(対称)にあらわれるため省略している。図5は、第一実施形態の上半身用衣服1を、図2におけるA-A平面で切断した断面図である。
第一実施形態の上半身用衣服1は、図1に示すように、着用者の身体にフィットするコンプレッションウェアである。コンプレッションウェアは、着用者の身体の少なくとも一部に着圧を与えることにより、着用者の筋肉をサポートする効果や、疲労回復を早める効果を奏することが知られている。この上半身用衣服1は、図2に示すように、衣服本体10と、空気案内布20とで構成されている。衣服本体10は、着用者の胸部及び腹部を覆うための前身頃11と、着用者の背中(より具体的には、首の付け根から腰にかけての部分。後掲の図6も参照。)を覆うための後見頃12と、着用者の胴体側部を覆うための左右一対の脇身頃13と、左右一対の袖14と、襟15とを備えている。後見頃12は、高い通気性を有するメッシュ生地で形成されている。袖14は、ラグランスリーブの長袖としている。襟15は、丸首を採用している。
空気案内布20は、後見頃12の上側部分(着用者の背中上部を覆う部分)の外側に重なっている。後見頃12と空気案内布20との間には、図5に示すように、空気を案内するための空気案内用間隙Gが形成されている。空気案内用間隙Gの下端(空気案内布20の下端縁20a)には、空気取込口1aが設けられている。この空気取込口1aは、空気案内用間隙Gに下方から空気を取り込むためのものである。また、空気案内用間隙Gの上端(空気案内布20の上端縁20b)には、空気送出口1bが設けられている。この空気送出口1bは、空気案内用間隙Gに取り込まれた空気を、着用者の首の付け根(第7頸椎近傍のこと。以下同じ。)付近から送出するためのものである。
この上半身用衣服1を、図1に示すように、着用者の背面側にファン2aを有するファン付衣服2の内側に着用すると、ファン2aから取り込まれた空気が、空気取込口1aを通じて空気案内用間隙G(図5)に取り込まれ、通気性を有する後見頃12を通じて着用者の背中上部に当たりやすくなる。着用者の背中上部(特に、首の付け根から左右の肩甲骨上端の中間点付近にかけての部分)に空気が当たると、着用者の身体を効果的に冷却することができる。したがって、ファン付衣服2の身体冷却効果を高めることができる。
空気取込口1aから空気案内用間隙Gに取り込まれた空気は、空気送出口1bから送出される。すなわち、空気取込口1aから空気送出口1bへと通じる空気の流路が確保されているため、空気案内用間隙G内に空気が滞留することを防いで(空気案内用間隙G内に取り込まれた空気を速やかに送出して)、空気案内用間隙Gにより多くの空気を取り込むことができる。したがって、着用者の身体をより効果的に冷却することができる。また、空気送出口1bは、図1に示すように、着用者の首の付け根付近に配されるため、空気送出口1bから送出された空気は着用者の首の後ろ側(首筋)に当たりやすくなっている。これにより、着用者の首筋からも熱を奪うことができ、さらなる身体冷却効果を得ることができる。
空気案内布20は、着用者の背中上部の少なくとも一部を覆うことができるようになっていれば、その大きさや形状を特に限定されない。空気案内布20は、着用者の背中上部のうち、特に、首の付け根から左右の肩甲骨上端の中間点付近にかけての部分(以下、「集中冷却部位」と呼ぶことがある。)を覆うようになっていることが好ましい。これにより、空気案内用間隙Gに取り込まれた空気が、集中冷却部位にしっかりと当たるようにすることができ、ファン付衣服2の身体冷却効果をより高めることができる。
図6は、第一実施形態の上半身用衣服1から空気案内布20を取り外した状態を示す図である。第一実施形態における空気案内布20は、図6に示すように、下端縁20a(点P1から点P2にかけての区間)がその上端縁20b(点P3から点P4にかけての区間)よりも長い裾広がりの形状をしている。空気案内布20の左右端縁20c(点P1から点P3にかけての区間、及び、点P2から点P4にかけての区間)は、それぞれ下端縁20a及び上端縁20bに対して傾斜している。
空気案内布20は、空気案内布20における点P1~点P6が、それぞれ、衣服本体10における点Q1~点Q6に重なる状態で、衣服本体10に取り付けられる。空気案内布20の一対の左右端縁20cは、それぞれ、衣服本体10における左右一対の後見頃12の袖ぐり12a(点Q1から点Q3にかけての区間、及び、点Q2から点Q4にかけての区間)に沿った箇所に固定される。左右端縁20cを衣服本体10に固定する方法は、特に限定されない。左右端縁20cは、例えば、縫合や、シームレス加工等によって衣服本体10に固定される。シームレス加工としては、例えば、溶着(例えば、熱溶着、超音波溶着、レーザー溶着等)や、接着(例えば、接着剤や粘着剤を用いたもの)等が挙げられる。第一実施形態においては、縫合によって左右端縁20cを衣服本体10に固定している。左右端縁20cを衣服本体10に固定するタイミングも特に限定されず、衣服本体10の製造(縫製)工程の途中であっても、衣服本体10が完成してからであってもよい。後述する上端縁20bの固定方法についても同様とする。
空気案内布20の下端縁20aは、その両端点(点P1及び点P2)近傍のみで衣服本体10に固定されており、その略全区間が解放された(固定されていない)状態となっている。この解放された区間は、空気取込口1aとして機能する。このように、下端縁20aの略全域に空気取込口1aを形成することで、空気取込口1aが大きく開きやすくなり、空気案内用間隙G(図5)により多くの空気を取り込むことができる。ただし、下端縁20aの一部のみに空気取込口1aを形成する(下端縁20aを部分的に衣服本体10に固定する)こともできる。この場合、固定箇所によっては、空気取込口1aが2箇所以上形成されることがある。
空気案内布20の上端縁20bは、その両端区間(点P3から点P5にかけての区間、及び、点P4から点P6にかけての区間)が、それぞれ、衣服本体10における点Q3から点Q5にかけての区間、及び、点Q4から点Q6にかけての区間に固定(縫合)されており、その中央区間(点P5から点P6にかけての区間)が解放された状態となっている。この解放された区間は、空気送出口1bとして機能する。ただし、空気送出口1bは、上端縁20bの略全域に形成しても(上端縁20bの略全域を解放された状態としても)よい。上端縁20bを部分的に衣服本体10に固定する場合、固定箇所によっては、空気送出口1bが2箇所以上形成されることがある。
上記のような構成を採用したことにより、空気案内用間隙G(図5)は、その横幅(左右方向の幅)が上方に向かってだんだん狭く(下方に向かってだんだん広く)なるトンネル状に形成されている。したがって、空気案内用間隙Gに取り込まれた空気が、集中冷却部位に集中的に当たりやすくすることができる。
空気案内布20は、後見頃12に対して弛みのない状態としてもよい。ただし、この場合には、上半身用衣服1を着用した際に、空気案内布20が後見頃12にぴったりと重なりがちになり、空気取込口1aや空気送出口1bが開きにくくなるおそれがある。また、空気案内用間隙G(図5)内に空間を確保しにくくなるおそれもある。このため、空気案内布20の寸法は、後見頃12における空気案内布20に重なる部分の寸法よりも大きくすることが好ましい。
具体的には、空気案内布20における空気取込口1aの左右端点間の長さW1(図6)を、後見頃12における空気取込口1aの左右端点間の長さW2よりも大きくすることが好ましい。また、空気案内布20における空気送出口1bの左右端点間の長さW3を、後見頃12における空気送出口1bの左右端点間の長さW4よりも大きくすることが好ましい。これにより、図2及び図3にも示すように、空気案内布20が、後見頃12に対して弛みのある状態となる。したがって、上半身用衣服1を着用した際にも、空気取込口1aや空気送出口1bが開きやすくなる。また空気案内用間隙G(図5)内に空間を確保しやすくなる。
長さW1(図6)と長さW2との差S1(=W1-W2)や、長さW3と長さW4との差S2(=W3-W4)は、いずれも特に限定されない。ただし、差S1や差S2が小さすぎると、上記の効果を得にくくなる。このため、差S1や差S2は、それぞれ、0.5cm以上とすると好ましく、0.8cm以上とするとより好ましい。ただし、差S1や差S2が大きすぎると、上半身用衣服1をアウターウェアとして着用した際に、空気案内布20が垂れ下がってしまい、見た目が悪くなるおそれがある。このため、差S1や差S2は、それぞれ、5cm以下とすると好ましく、3cm以下とするとより好ましい。差S1と差S2とは、略同一であってもよいし、異なっていてもよい。第一実施形態においては、差S1及び差S2を、共に1~2cm程度としている。
空気案内布20には、空気取込口1aを開いた状態に維持するための骨材を設けてもよい。これにより、空気案内用間隙G(図5)に確実に空気を取り込むことができる。骨材は、その具体的な種類を限定されず、例えば、樹脂製の線材(ワイヤー)や、金属性の線材や、発泡パイピングや、立体メッシュや、クッション材等を採用することができる。なかでも、樹脂製のワイヤーであって、形状を自在に変形することができ、しかもその形状を保持することができるもの(以下、「樹脂製形状保持ワイヤー」と呼ぶことがある)を骨材として用いることが好ましい。樹脂製形状保持ワイヤーは、通常、空気案内布20の下端縁20a(図6)に沿って取り付けられる。この樹脂製形状保持ワイヤーを、例えば、着用者の背中から後方へ突出するようにアーチ状に湾曲させることで、空気取込口1aを開いた状態に維持することができる。この場合には、樹脂製形状保持ワイヤーの曲率を調節することによって、空気取込口1aの開き具合を調節することもできる。あるいは、樹脂製形状保持ワイヤーをのばして略真っ直ぐな状態とすれば、嵩張りにくい状態で上半身用衣服1を収納することもできる。
樹脂製形状保持ワイヤー(骨材)は、下端縁20a(における空気取込口1aを形成している箇所)の略全区間に設けてもよいが、そうすると、空気案内布20がゴワゴワしてしまい、上半身用衣服1の着心地や見た目が悪くなるおそれがある。このため、樹脂製形状保持ワイヤーは、空気案内布20の下端縁20a(における空気取込口1aを形成している箇所)の中間区間にのみ設けることが好ましい。樹脂製形状保持ワイヤーを設ける区間の長さは、5~15cm程度とすることが好ましく、8~12cm程度とすることがより好ましい。
樹脂製形状保持ワイヤー(骨材)は、空気案内布20の上端縁20b(空気送出口1b)に沿った箇所にも設けることができる。この場合も、樹脂製形状保持ワイヤーは、上端縁20b(における空気送出口1bを形成している箇所)の略全区間に設けてもよいが、中間区間にのみ設けることが好ましい。樹脂製形状保持ワイヤーを設ける区間の長さは、2~10cm程度とすることが好ましく、3~6cm程度とすることがより好ましい。
衣服本体10の素材(衣服本体10を形成する生地の組成)は、特に限定されない。上半身用衣服1をコンプレッションウェアとする場合には、衣服本体10を伸縮性の高い素材で形成することが好ましい。具体的には、衣服本体10を、ポリウレタンの含有割合が3%(質量パーセント。以下同じ。)以上の生地で形成することが好ましい。衣服本体10は、ポリウレタンの含有割合が5%の生地で形成することがより好ましく、ポリウレタンの含有割合が8%以上の生地で形成することがさらに好ましい。
ただし、衣服本体10の素材として、ポリウレタンの含有割合が高すぎるものを用いると、上半身用衣服1の耐久性を高めにくくなるおそれがある。このため、衣服本体10は、ポリウレタンの含有割合が30%以下の生地で形成することが好ましく、ポリウレタンの含有割合が25%以下の生地で形成することがより好ましい。第一実施形態の上半身用衣服1においては、衣服本体10を、ポリウレタンの含有割合が10~20%程度の生地で形成している。
後見頃12は、その全体のうち、少なくとも空気案内布20に重なる部分を、メッシュ生地で形成することが好ましい。これにより、空気案内用間隙Gに取り込まれた空気が、着用者の背中上部により当たりやすくすることができる。第一実施形態においては、後見頃12の略全体を、比較的目の粗いメッシュ生地(具体的には、各網目の長手方向の長さが5~15mm程度のストレッチメッシュ生地)で形成している。これにより、後見頃12の通気性をさらに高めることができる。
空気案内布20を形成する生地も、その具体的な種類を特に限定されない。空気案内布20は、伸縮性生地で形成しても、非伸縮性生地(例えば、布帛)で形成してもよい。空気案内布20は、後見頃12よりも低い通気性を有する生地で形成することが好ましい。というのも、空気案内布20の通気性が高すぎると、空気案内用間隙G(図5)に取り込まれた空気が空気案内布20を通じて着用者の身体とは反対側(空調衣服20側)に逃げてしまうおそれがあるからである。第一実施形態の上半身用衣服1においては、空気案内布20を、衣服本体10と同様に、ポリウレタンの含有割合が10~20%程度の伸縮性生地(ジャージー生地)で形成している。
以上のように、第一実施形態の上半身用衣服1は、ファン付衣服2のインナーウェアとして着用した場合に、ファン付衣服2の身体冷却効果を高めることができる。ただし、既に述べたように、本発明に係る上半身用衣服1は、その用途をファン付衣服用インナーウェアに限定されるものではない。本発明に係る上半身用衣服1は、ファン付衣服2以外の衣服のインナーウェアとしてや、アウターウェアとしても着用することができる。また、本発明に係る上半身用衣服1は、ファン付衣服2以外の送風手段(例えば、手持ち式のファンや、ファンを胴体に取り付けるための手段を備えた胴体取付式のファンや、ファン付バッグ等)と共に使用することもできる。
2.第二実施形態
図7は、第二実施形態の上半身用衣服1の正面図及び背面図である。図7(a)は正面図であり、図7(b)は背面図である。図8は、スペーサー3の例を示す斜視図である。第二実施形態の上半身用衣服1は、ジップアップハイネックタイプのコンプレッションウェアである。第二実施形態における空気案内布20は、図7(b)に示すように、その左右端縁20cの下側部分が後見頃12の脇縁12bに沿った箇所にも縫い合わされており、背面視が略六角形状となっている。
図7は、第二実施形態の上半身用衣服1の正面図及び背面図である。図7(a)は正面図であり、図7(b)は背面図である。図8は、スペーサー3の例を示す斜視図である。第二実施形態の上半身用衣服1は、ジップアップハイネックタイプのコンプレッションウェアである。第二実施形態における空気案内布20は、図7(b)に示すように、その左右端縁20cの下側部分が後見頃12の脇縁12bに沿った箇所にも縫い合わされており、背面視が略六角形状となっている。
第二実施形態の上半身用衣服1は、図7に示すように、スペーサー3(図8)を保持するためのスペーサー保持部1cを備えている。このスペーサー保持部1cに、スペーサー3側に設けられた被保持部3aを保持させると、スペーサー3が後見頃12と空気案内布20との間に配される。これにより、例えば、上半身用衣服1の外側(あるいは、ファン付衣服2の外側)にフルハーネス型墜落制止用器具を着用したとしても、後見頃12と空気案内布20との間に空間を確保することができる。したがって、空気取込口1aから空気案内用間隙G(図5)に取り込まれた空気が、着用者の背中上部にしっかりと当たるようにすることができる。
スペーサー保持部1cは、着脱可能な状態でスペーサー3を保持することができれば、その種類を特に限定されない。スペーサー保持部1cとしては、例えば、面ファスナや、内部にスペーサー3を入れることができるポケット(例えば、メッシュポケット等)や、ボタン(例えば、スナップボタンや、ボタンとボタンホールとのいずれか一方等)や、ゴムバンドや、紐等を採用することができる。スペーサー保持部1cは、上半身用衣服1のどの部位にスペーサー3を保持させるかを限定されない。すなわち、スペーサー保持部1cは、例えば、後見頃12にスペーサー3を保持させるものであっても、空気案内布20にスペーサー3を保持させるものであっても、後見頃12と空気案内布20との両方にスペーサー3を保持させるものであってもよい。
第二実施形態においては、スペーサー保持部1c及び被保持部3a(図8)として、面ファスナ(第一面ファスナ1c及び第二面ファスナ3a)を採用している。このため、第一面ファスナ1cに対する第二面ファスナ3aの接着位置を変えることで、着用者の体格やハーネスのデザイン等に合わせてスペーサー3の取り付け位置を手軽に調節することができる。第一面ファスナ1cは、後見頃12のオモテ側に、上下方向に延在して設けられている。第一面ファスナ1cの上側部分は空気案内布20と重なっている一方、下側部分は空気案内布20から露出している。このため、スペーサー3を、空気取込口1aの内外に亘って(空気取込口1aを跨ぐように)配することができる。これにより、空気取込口1aが閉じることを防ぐ(空気取込口1aが開いた状態を維持する)ことができ、より確実に空気案内用間隙G(図5)に空気を取り込むことができる。
第一面ファスナ1cと第二面ファスナ3aとは、どちらを雄側面ファスナ(フック状の係合部を多数有する面ファスナ)とし、どちらを雌側面ファスナ(ループ状の被係合部を多数有する面ファスナ)とするかを限定されない。ただし、第一面ファスナ1cを雌側面ファスナとし、第二面ファスナ3aを雄側面ファスナとすると、第二面ファスナ3aにおける第一面ファスナ1cからはみ出た部分(第二面ファスナ3aにおける第一面ファスナ1cに接着されなかった部分)が、後見頃12を介して着用者の背中に当たり、着用者に痛みや違和感を与えるおそれがある。このため、第一面ファスナ1cを雄側面ファスナとし、第二面ファスナ3aを雌側面ファスナとすることが好ましい。
スペーサー3は、その具体的な構造を特に限定されない。スペーサー3は、筒状のもの(断面形状を問わない)のほか、3次元的に広がるメッシュ構造を有する立体メッシュ(例えば、立体編物を利用したもの等)等であってもよい。スペーサー3を使用しない場合には、スペーサー3の代わりに保冷材等をスペーサー保持部1cに保持させてもよい。これ以外の構成については、第一実施形態と同様のものを採用することができる。
3.第三実施形態
図9は、第一実施形態の上半身用衣服1の正面図及び背面図である。図9(a)は正面図であり、図9(b)は背面図である。第三実施形態の上半身用衣服1は、襟付きのシャツであり、より具体的には、ポロシャツである。第三実施形態の上半身用衣服1は、脇身頃を備えておらず、前身頃11と後見頃12とが直接縫い合わされている。また、袖14はセットインスリーブの半袖である。空気案内布20は、背面視が略四角形状となっている。この場合には、例えば、空気取込口1aの左右端部と空気送出口1bの左右端部とを繋ぐステッチ1dを設けて、空気案内布20を後見頃12に縫い留めることにより、空気案内用間隙G(図5)が裾広がり状となるようにすることもできる。後見頃12は、空気案内布20と重なっていない部分の大半が非メッシュ生地で形成されている。これにより、上半身用衣服1の外観を一般的なポロシャツに近づけることができる。これ以外の構成については、第一実施形態又は第二実施形態と同様のものを採用することができる。
図9は、第一実施形態の上半身用衣服1の正面図及び背面図である。図9(a)は正面図であり、図9(b)は背面図である。第三実施形態の上半身用衣服1は、襟付きのシャツであり、より具体的には、ポロシャツである。第三実施形態の上半身用衣服1は、脇身頃を備えておらず、前身頃11と後見頃12とが直接縫い合わされている。また、袖14はセットインスリーブの半袖である。空気案内布20は、背面視が略四角形状となっている。この場合には、例えば、空気取込口1aの左右端部と空気送出口1bの左右端部とを繋ぐステッチ1dを設けて、空気案内布20を後見頃12に縫い留めることにより、空気案内用間隙G(図5)が裾広がり状となるようにすることもできる。後見頃12は、空気案内布20と重なっていない部分の大半が非メッシュ生地で形成されている。これにより、上半身用衣服1の外観を一般的なポロシャツに近づけることができる。これ以外の構成については、第一実施形態又は第二実施形態と同様のものを採用することができる。
1 上半身用衣服
1a 空気取込口
1b 空気送出口
1c 第一面ファスナ(スペーサー保持部)
1d ステッチ
10 衣服本体
11 前身頃
12 後見頃
12a 袖ぐり
12b 脇縁
13 脇身頃
14 袖
15 襟
20 空気案内布
20a 下端縁
20b 上端縁
20c 左右端縁
2 ファン付衣服
2a ファン
3 スペーサー
3a 第二面ファスナ(被保持部)
1a 空気取込口
1b 空気送出口
1c 第一面ファスナ(スペーサー保持部)
1d ステッチ
10 衣服本体
11 前身頃
12 後見頃
12a 袖ぐり
12b 脇縁
13 脇身頃
14 袖
15 襟
20 空気案内布
20a 下端縁
20b 上端縁
20c 左右端縁
2 ファン付衣服
2a ファン
3 スペーサー
3a 第二面ファスナ(被保持部)
Claims (6)
- 着用者の上半身に着用される上半身用衣服であって、
通気性を有する生地で形成され、着用者の背中を覆う後見頃と、
後見頃の外側に重なって設けられ、着用者の背中上部を覆う空気案内布と、
後見頃と空気案内布との間に下方から空気を取り込むための空気取込口と
を備え、
着用者の背面側にファンを有するファン付衣服の内側に着用した際に、ファンから取り込まれた空気が、空気取込口から後見頃と空気案内布との間に取り込まれるようにした
ことを特徴とする上半身用衣服。
- 後見頃における空気案内布に重なる部分が、メッシュ生地で形成された請求項1記載の上半身用衣服。
- 後見頃と空気案内布との間に取り込まれた空気を、着用者の首の付け根付近から送出するための空気送出口を備えた請求項1又は2記載の上半身用衣服。
- 空気案内布が、後見頃に対して弛みのある状態とされた請求項1~3いずれか記載の上半身用衣服。
- 後見頃と空気案内布との間に空間を確保するスペーサーを保持するためのスペーサー保持部を備えた請求項1~4いずれか記載の上半身用衣服。
- 着用時に着用者の身体の少なくとも一部に着圧がかかるコンプレッションウェアである請求項1~5いずれか記載の上半身用衣服。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021147447A JP2023040467A (ja) | 2021-09-10 | 2021-09-10 | 上半身用衣服 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021147447A JP2023040467A (ja) | 2021-09-10 | 2021-09-10 | 上半身用衣服 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023040467A true JP2023040467A (ja) | 2023-03-23 |
Family
ID=85632545
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021147447A Pending JP2023040467A (ja) | 2021-09-10 | 2021-09-10 | 上半身用衣服 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023040467A (ja) |
-
2021
- 2021-09-10 JP JP2021147447A patent/JP2023040467A/ja active Pending
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