JP2023038963A - 吸水性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸水性樹脂組成物に含まれる架橋重合体の分解物を用いて新たな吸水性樹脂組成物を製造することで省資源及び環境負荷低減に寄与することができる吸水性樹脂組成物の製造方法を提供すること。【解決手段】水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b1)を構成単位として有する架橋重合体(A1)に電磁波を照射して当該架橋重合体(A1)を分解することによって得られる反応性分解物と、架橋剤(b2)と、を含有する反応性組成物を重合して架橋重合体(A2)を含む含水ゲルを得る重合工程を有する、吸水性樹脂組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、吸水性樹脂組成物の製造方法に関する。
衛生用品の使用量が増加するにつれて、使用後の衛生用品のごみ処理問題が深刻な問題となりつつある。衛生用品、特に紙おむつは社会が少子高齢化する時代に欠かせない用品として急激に普及し、その消費は急増している。
使用後の衛生用品のごみ処理に関し、紙おむつなどは、通常、焼却処理されているが、おむつ中の水分の割合は約8割近くであるため、焼却には大きな燃焼エネルギーが必要となる。このため処理には焼却炉自体に大きな負荷がかかり、結果として焼却炉の寿命を短くする原因に繋がる。また、焼却処理は大気汚染や地球の温暖化に繋がり、環境に負荷をかける要因にもなるため、改善が強く望まれている。
上記課題に対し、使用済み衛生用品から部材を回収し、再利用するための検討が進められている。通常、衛生用品はパルプ繊維と吸水性樹脂粒子から構成される吸収体を含み、部材として再利用するためにはパルプ繊維と吸水性樹脂粒子を分離する必要がある。しかし、使用済み衛生用品の吸収体中の吸水性樹脂粒子は水を吸収して膨潤したゲル状態となるため、そのままでは分離が難しい。そこで、吸水性樹脂粒子を分解して可溶化し、パルプ繊維と吸水性樹脂粒子の可溶化成分を分離する技術が提案されており、例えば、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品をオゾン含有水溶液で処理することで、吸水性樹脂粒子を分解・可溶化した後、パルプ繊維を回収する技術(特許文献1及び2)がある。また、吸水性樹脂粒子を分解して可溶化する技術としては、分解方法として過酸化水素等の酸化剤を使用する技術、更に電磁波を照射する方法(特許文献3~6)が知られている。
特開2016-881号公報 特開2017-209675号公報 特開平4-317784号公報 特開平6-313008号公報 特開2003-321574号公報 米国特許2021-54164号公報
前述した使用済み衛生用品の再利用技術は、パルプ繊維を回収し、再生パルプとして利用することが目的であり、吸水性樹脂粒子の分解・可溶化成分は廃棄されるか又は固形燃料等でリサイクルされている場合がほとんどであり、リサイクルの観点からは十分とは言い難い。
また、吸水性樹脂粒子をマイクロ波照射によって、そのモノマー成分であるアクリル酸への分解例もあるが、実際にその分解物を使って新たな吸水性樹脂組成物を製造する検討まではなされていない。
本発明の目的は、吸水性樹脂組成物に含まれる架橋重合体の分解物を用いて新たな吸水性樹脂組成物を製造することで省資源及び環境負荷低減に寄与することができる吸水性樹脂組成物の製造方法を提供することである。
本発明は、
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b1)を構成単位として有する架橋重合体(A1)に電磁波を照射して当該架橋重合体(A1)を分解することによって得られる反応性分解物と、架橋剤(b2)と、を含有する反応性組成物を重合して架橋重合体(A2)を含む含水ゲルを得る重合工程を有する、吸水性樹脂組成物の製造方法である。
また、本発明は、
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b2)を含む単量体組成物を重合して架橋重合体(A3)を含む含水ゲルを得る重合工程と、
前記含水ゲルを細断して粒子状の含水ゲルを得る細断工程と、
前記細断工程を得た含水ゲルを表面架橋する表面架橋工程と、を有し、
前記細断工程で、水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b1)を構成単位として有する架橋重合体(A1)に電磁波を照射して当該架橋重合体(A1)を分解することによって得られる反応性分解物を前記含水ゲルと混練する、吸水性樹脂組成物の製造方法である。
本発明によれば、吸水性樹脂組成物に含まれる架橋重合体の分解物を用いて新たな吸水性樹脂組成物を製造することで省資源及び環境負荷低減に寄与することができる吸水性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
<第1の実施形態>
第1の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b1)を構成単位として有する架橋重合体(A1)に電磁波を照射して当該架橋重合体(A1)を分解することによって得られる反応性分解物と、架橋剤(b2)と、を含有する反応性組成物を重合して架橋重合体(A2)を含む含水ゲルを得る重合工程を有する。
第1の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法によれば、吸水性樹脂組成物に含まれる架橋重合体の分解物を用いて新たな吸水性樹脂組成物を製造することで省資源及び環境負荷低減に寄与することができる吸水性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
〔重合工程〕
[反応性組成物]
(反応性分解物)
前記反応性分解物は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b1)を構成単位として有する架橋重合体(A1)に電磁波を照射して当該架橋重合体(A1)を分解することによって得られる。
前記水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007~0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003-165883号公報の0009~0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005-75982号公報の0041~0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。
これらの内、吸収性能等の観点から好ましいのはアニオン性ビニルモノマー、カルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、より好ましいのはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、更に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、特に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)、とりわけ好ましいのはアクリル酸(塩)である。
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩及びアンモニウム(NH)塩等が挙げられる。これらの塩の内、吸収性能等の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、更に好ましいのはアルカリ金属塩、特に好ましいのはナトリウム塩である。
前記架橋剤(b1)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031~0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003-165883号公報の0028~0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005-75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005-95759号公報の0015~0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。
前記架橋重合体(A1)は、一般には、パルプ繊維とともに衛生用品の構成成分である吸水性樹脂組成物に含有されるものである。衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁製品、ペットシート等が挙げられる。衛生用品の製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等に記載のもの)と同様である。なお、前記衛生用品は、使用済であっても未使用であってもよい。
前記架橋重合体(A1)に電磁波を照射する際は、衛生用品から前記吸水性樹脂組成物を分離させた後で前記架橋重合体(A1)を含む前記吸水性樹脂組成物に電磁波を照射してもよいし、衛生用品から前記吸水性樹脂組成物を分離させずに衛生用品に電磁波を照射してもよい。前記架橋重合体(A1)の分解性の観点からは衛生用品から前記吸水性樹脂組成物を分離させた後で前記吸水性樹脂組成物に電磁波を照射するのが好ましい。
前記吸水性樹脂組成物の衛生用品からの分離は、公知の方法により行うことができる。衛生用品から前記吸水性樹脂組成物を分離する公知の方法としては、例えば、使用済おむつからパルプを回収するために、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、及び過マンガン酸カリウム水溶液を用いることで、吸水性樹脂組成物の結合を切断することによる水溶化の方法(特開2021-001783号公報)、過ヨウ素酸塩を含む分解剤を用いる方法(特開2001-316519号公報)、アルカリ水溶液を用いて加水分解することで水溶化する方法(特開2020-049398)、不活化水溶液としてクエン酸などの酸を用いることで、前記吸水性樹脂組成物中の中和部分を未中和状態へと変換し、パルプとの分離を促進する方法(特開2019-085686)、粉砕したおむつを水の入った槽に入れ、パルプと前記吸水性樹脂組成物との比重及び沈降速度の差を利用することで分離方法(特開2002-273731)も挙げられる。
前記吸水性樹脂組成物に照射する電磁波は、前記架橋重合体(A1)を分解して解重合することができれば特に限定されない。当該電磁波としては、マイクロ波が例示できる。
前記吸水性樹脂組成物は、架橋物であり保水しているが、電磁波を照射することで前記架橋重合体(A1)が有する特定の結合を選択的に切断することにより解重合される。従来の強アルカリ性物質などの化学力又は物理力により分解する場合は、主に切断される結合は炭素-酸素結合など限定的であり、炭素-炭素結合を積極的に切断するには至らず、前記架橋重合体(A1)の主鎖部分が十分に分解されることがないため、オリゴマー体までに分解することは困難である。一方、本願の電磁波照射による分解では、特定の結合を選択的に切断できるため、解重合によって生成された反応性分解物の分子量を制御しやすい。そして解重合によって生成された反応性分解物は照射前の吸水性樹脂組成物が保持していた水に溶解又は懸濁することとなる。
分解効率、反応性分解物の再利用の観点から、電磁波を照射する吸水性樹脂組成物が含有する水分量は、吸水性樹脂組成物の重量に基づいて、20重量%以上が好ましく、反応性分解物の再利用の観点から、500重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは、400重量%以下である。水分量が500重量%以下であることで反応性分解物を再利用する際に、反応性分解物の水溶液又は懸濁液を脱水処理することなく使用することが可能となる。
前記吸水性樹脂組成物に照射する電磁波の出力は、架橋重合体(A1)を効率的に分解処理する観点から、200W以上が好ましく、500W以上がより好ましく、同様の観点から、1500W以下が好ましく、1000W以下がより好ましい。
前記電磁波の照射時間は特に限定されないが、架橋重合体(A1)を効率的に分解処理する観点から、2分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、経済性の観点から、120分以下が好ましく、60分以下がより好ましい。
前記電磁波を照射する際の前記吸水性樹脂組成物の温度は特に限定されないが、架橋重合体(A1)を効率的に分解処理する観点から、30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、再利用の観点及び炭素収率の観点から、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。
前記吸水性樹脂組成物への前記電磁波の照射は、前記架橋重合体(A1)を効率的に分解処理する観点から、ラジカル源の存在下で行われることが好ましい。当該ラジカル源としてはアスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸誘導体、プロオキシダント類、次亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、オゾン、過酸化水素が例示でき、経済性の観点から、過酸化水素が好ましい。
アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体としては、公知のものであれば特に制限はないが、アスコルビン酸としては、L体、D体及びDL体のいずれであってもよく、入手容易性の観点から、L-アスコルビン酸が好ましい。また、アスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸及びその一部を化学修飾や置換した誘導体を意味する。アスコルビン酸誘導体の具体例としては、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸グリコシド等が挙げられる。また、これらのアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体の金属塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等)や有機塩(アンモニウム、アミン等)も使用可能であり、本発明のアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体に含まれる。これらのアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよいし、更に鉄イオン、銅イオンなどと組み合わせ使用してもよい。
前記分解工程で得られる前記架橋重合体(A1)の反応性分解物は、前記架橋重合体(A1)の構成モノマーである(a1)、それらの重合物などの混合物として得られる。再利用の観点からは、前記架橋重合体(A1)の構成モノマー、該構成モノマーの水溶性重合体であることが好ましい。
前記分解工程で得られる前記架橋重合体(A1)の反応性分解物の数平均分子量は、分解生成物を架橋重合体(A2)の原料として再利用する観点から、好ましくは50以上、より好ましくは70以上であり、モノマーやオリゴマーと反応する際の反応効率の観点から、好ましくは500000以下、より好ましくは100000以下、特に好ましくは10000以下である。なお、本明細書において、前記分解工程で得られる前記架橋重合体(A1)の反応性分解物の数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定する。
前記反応性組成物は、前記反応性分解物以外に、前記反応性分解物と共重合可能なその他のビニルモノマーを含有していてもよい。前記その他のビニルモノマーとしては、前記水溶性ビニルモノマー(a1)、加水分解により前記水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)[以下、ビニルモノマー(a2)ともいう。]、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)が例示できる。
ビニルモノマー(a2)は特に限定はなく、公知{例えば、特許第3648553号公報の0024~0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005-75982号公報の0052~0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基[1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-CO-O-CO-)基、アシル基及びシアノ基等]を有するビニルモノマー}のビニルモノマー等が使用できる。
なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解するビニルモノマーを意味する。また、ビニルモノマー(a2)における加水分解性とは、水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され、水溶性になる性質を意味する。ビニルモノマー(a2)の加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれで行っても良いが、得られる吸水性樹脂組成物の吸収性能の観点から、重合後が好ましい。
前記反応性組成物が前記水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は前記ビニルモノマー(a2)を含有する場合、前記水溶性ビニルモノマー(a1)の含有量、及び前記ビニルモノマー(a2)の含有量の合計100質量部に対する前記反応性分解物の含有量は、リサイクル効率の観点から、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、吸水性能の観点から、70質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
前記ビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報の0028~0029段落に開示されている疎水性ビニルモノマー、特開2003-165883号公報の0025段落及び特開2005-75982号公報の0058段落に開示されているビニルモノマー等)の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、具体的には例えば下記の(i)~(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8~30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン、並びにジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2~20の脂肪族エチレン性モノマー
アルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);並びにアルカジエン(ブタジエン及びイソプレン等)等。
(iii)炭素数5~15の脂環式エチレン性モノマー
モノエチレン性不飽和モノマー(ピネン、リモネン及びインデン等);並びにポリエチレン性ビニルモノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
前記反応性組成物中の前記反応性分解物の物質量及びその他のビニルモノマーの物質量の合計に対するビニルモノマー(a3)の物質量の割合(モル%)は、吸収性能等の観点から、0~5が好ましく、更に好ましくは0~3、特に好ましくは0~2、とりわけ好ましくは0~1.5であり、吸収性能等の観点から、前記ビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
(架橋剤(b2))
前記架橋剤(b2)としては特に限定はなく、前記架橋剤(b1)と同様のものが使用できる。
前記反応性組成物中の前記架橋剤(b2)の含有量は、吸収性能等の観点から、前記反応性分解物、前記反応性組成物がその他のビニルモノマーを含有する場合は前記反応性分解物とその他のビニルモノマーの、合計100モル部に対して、0.001~5モル部が好ましく、0.005~1モル部がより好ましい。
前記反応性組成物の重合方法としては、公知の溶液重合や、公知の逆相懸濁重合が挙げられる。前記反応性組成物の重合方法の内、好ましいのは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましいのは水溶液重合法であり、保水量が大きく、且つ水可溶性成分量の少ない吸水性樹脂組成物が得られ、重合時の温度コントロールが不要である点から、水溶液断熱重合法が最も好ましい。
前記反応性組成物を水溶液重合で重合する場合、水と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの2種以上の混合物を挙げられる。前記反応性組成物を水溶液重合で重合する場合、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量を基準として40以下が好ましく、更に好ましくは30以下である。
重合に触媒を用いる場合、従来公知のラジカル重合用触媒が使用可能であり、例えば、アゾ化合物[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸及び2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物[過酸化ベンゾイル、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド及びジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等]及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム及びアスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素及び有機過酸化物等の酸化剤との組み合わせよりなるもの)等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
ラジカル重合触媒の使用量(重量%)は、前記反応性分解物、前記その他のビニルモノマーを用いる場合は前記反応性分解物と前記その他のビニルモノマーの、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
重合時には、必要に応じて連鎖移動剤等の重合コントロール剤を併用しても良く、これらの具体例としては、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、アルキルメルカプタン、ハロゲン化アルキル、チオカルボニル化合物等が挙げられる。これらの重合コントロール剤は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
重合コントロール剤の使用量(重量%)は、前記反応性分解物、前記その他のビニルモノマーを用いる場合は前記反応性分解物と前記その他のビニルモノマーの、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
前記重合工程において、前記反応性組成物を、有機ヨウ素化合物、有機テルル化合物、有機アンチモン化合物及び有機ビスマス化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機典型元素化合物の存在下で重合することにより、吸水時のゲル強度、荷重下吸収量及びゲル通液速度を向上させることができる。
前記有機典型元素化合物としては、ラジカル重合のドーマント種として働く有機典型元素化合物であれば制限はなく、WO2011/016166にドーマント種として記載の有機ヨウ素化合物、WO2004/014848に記載の有機テルル化合物、WO2006/001496に記載の有機アンチモン化合物及びWO2006/062255に記載の有機ビスマス化合物等を用いることができる。
前記有機典型元素化合物の使用量は、吸水時のゲル強度、荷重下吸収量及びゲル通液速度を向上させる観点から前記反応性分解物、前記その他のビニルモノマーを用いる場合は前記反応性分解物と前記その他のビニルモノマーの、重量に基づいて、好ましくは0.0005~0.1重量%、更に好ましくは0.005~0.05重量%である。
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法をとる場合は、必要に応じて、従来公知の分散剤又は界面活性剤の存在下に重合を行っても良い。また、逆相懸濁重合法の場合、従来公知のキシレン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行うことができる。
重合開始温度は、使用する触媒の種類によって適宜調整することができるが、0~100℃が好ましく、更に好ましくは2~80℃である。
重合に溶媒(有機溶媒及び水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A2)の重量に基づいて、0~10が好ましく、更に好ましくは0~5、特に好ましくは0~3、最も好ましくは0~1である。この範囲であると、吸水性樹脂組成物の吸収性能が更に良好となる。
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体(A2)の重量に基づいて、0~20が好ましく、更に好ましくは1~10、特に好ましくは2~9、最も好ましくは3~8である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
前記の重合方法により架橋重合体(A2)が水を含んだ含水ゲル状物(以下、含水ゲルともいう)を得ることができる。
前記その他のビニルモノマーとしてアクリル酸やメタクリル酸等の酸基含有モノマーを用いる場合、含水ゲルを塩基で中和しても良い。酸基の中和度は、50~80モル%であることが好ましい。中和度が50モル%未満の場合、得られる含水ゲル重合体の粘着性が高くなり、製造時及び使用時の作業性が悪化する場合がある。更に得られる吸水性樹脂組成物の保水量が低下する場合がある。一方、中和度が80%を超える場合、得られた樹脂のpHが高くなり人体の皮膚に対する安全性が懸念される場合がある。
なお、中和は、吸水性樹脂組成物の製造において、架橋重合体(A2)の重合以降のいずれの段階で行ってもよく、例えば、含水ゲルの状態で中和する等の方法が好ましい例として例示される。
中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を通常使用できる。
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、加熱乾燥式水分計[株式会社エー・アンド・デイ社製MS-70、設定温度:120℃、設定時間:45分、加熱前の雰囲気温湿度:25±2℃、50±10%RH]により加熱したときの測定試料の重量減量から求められる。
〔細断工程〕
第1の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、必要に応じて、前記含水ゲルを細断する細断工程を有してもよい。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm~10cmが好ましく、更に好ましくは100μm~2cm、特に好ましくは1mm~1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。また、細断後のゲルの重量平均粒子径(D50)は10μm~5000μmが好ましく、更に好ましくは100μm~4000μm、特に好ましくは200μm~3000μmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。上記ゲル重量平均粒子径はWO2011/126079に記載の手法で測定することができる。
細断は、公知の方法で行うことができ、細断装置(例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機)等を使用して細断できる。
〔乾燥工程〕
第1の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、前記含水ゲルを乾燥し、含水ゲル中の溶媒(水を含む)を留去し、前記架橋重合体(A2)を含有する吸水性樹脂組成物を得る乾燥工程を有してもよい。
前記乾燥工程における乾燥方法としては、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
前記乾燥工程での乾燥温度は、100~300℃であり、好ましくは150~250℃である。乾燥温度が高いと乾燥時間が短くなる結果、生産性が向上するが、乾燥温度が高いと、吸水性樹脂組成物の熱劣化により保水能や荷重下吸収量及び通液速度が低下する恐れおよび吸水性樹脂組成物の色調が悪化する恐れがある。乾燥温度が100℃未満では、吸水性樹脂組成物を十分に乾燥することができず、生産性が低下してしまう。
前記乾燥工程において、高温多湿の環境下における長期間保管後の色味の変化を抑制しながら、可溶分の変化を抑制する観点から、乾燥時間は60分以内が好ましく、40分以内がより好ましい。また、乾燥時間は、一般には10分以上が好ましい。乾燥時間が短いと、未乾燥物が生成し、後の粉砕工程に詰まりが生じ得る。
〔粉砕工程〕
第1の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、前記乾燥工程で得られた吸水性樹脂組成物を粉砕し、前記架橋重合体(A2)を含有する粒子状の吸水性樹脂組成物を得る粉砕工程を有していてもよい。
前記粉砕工程において、前記架橋重合体(A2)を含有する吸水性樹脂組成物を粉砕する方法については、特に限定はなく、粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕された吸水性樹脂組成物は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
〔表面架橋工程〕
前記吸水性樹脂組成物は、架橋重合体(A2)の表面が表面架橋剤(d)により架橋された構造を有することが好ましい。架橋重合体(A2)の表面を架橋することにより前記吸水性樹脂組成物のゲル強度を向上させることができ、前記吸水性樹脂組成物の望ましい保水量と荷重下における吸収量とを満足させることができる。表面架橋剤(d)は、無機物でも有機物でも用いることができる。表面架橋剤(d)としては、公知(特開昭59-189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン化合物及び多価イソシアネート化合物等、特開昭58-180233号公報及び特開昭61-16903号公報の多価アルコール、特開昭61-211305号公報及び特開昭61-252212号公報に記載のシランカップリング剤、特表平5-508425号公報に記載のアルキレンカーボネート、特開平11-240959号公報に記載の多価オキサゾリン化合物等)の有機表面架橋剤等が使用できる。これらの表面架橋剤(d)のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル化合物、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、更に好ましいのは多価グリシジル化合物及び多価アルコール、特に好ましいのは多価グリシジル化合物、最も好ましいのはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。表面架橋剤(d)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記架橋重合体(A2)の表面を前記表面架橋剤(d)によって架橋する場合、第1の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、前記乾燥工程で得られた、前記架橋重合体(A2)を含有する吸水性樹脂組成物を表面架橋する表面架橋工程を有する。
前記表面架橋剤(d)の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、架橋重合体(A2)の重量に基づいて、0.001~3が好ましく、更に好ましくは0.005~2、特に好ましくは0.01~1.5である。
架橋重合体(A2)の表面架橋は、架橋重合体(A2)を含有する吸水性樹脂組成物と表面架橋剤(d)とを混合し、加熱することで行うことができる。架橋重合体(A2)を含有する吸水性樹脂組成物と表面架橋剤(d)との混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の混合装置を用いて架橋重合体(A2)を含有する吸水性樹脂組成物と表面架橋剤(d)とを均一混合する方法が挙げられる。この際、表面架橋剤(d)は、水及び/又は任意の溶剤で希釈して使用しても良い。
架橋重合体(A2)と表面架橋剤(d)とを混合する際の温度は特に限定されないが、10~150℃が好ましく、更に好ましくは20~100℃、特に好ましくは25~80℃である。
架橋重合体(A2)と表面架橋剤(d)とを混合した後、通常、加熱処理を行う。加熱温度は、吸水性樹脂組成物の耐壊れ性の観点から好ましくは100~180℃、更に好ましくは110~175℃、特に好ましくは120~170℃である。180℃以下の加熱であれば蒸気を利用した間接加熱が可能であり設備上有利であり、100℃未満の加熱温度では吸収性能が悪くなる場合がある。また、加熱時間は加熱温度により適宜設定することができるが、吸収性能の観点から、好ましくは5~60分、更に好ましくは10~40分である。表面架橋して得られる吸水性樹脂組成物を、最初に用いた表面架橋剤と同種又は異種の表面架橋剤を用いて、更に表面架橋することも可能である。
架橋重合体(A2)の表面を表面架橋剤(d)により架橋した後、必要により篩別して粒度調整する。得られた粒子の平均粒経は、好ましくは100~600μm、更に好ましくは200~500μmである。微粒子の含有量は少ない方が好ましく、100μm以下の粒子の含有量は3重量%以下であることが好ましく、150μm以下の粒子の含有量が3重量%以下であることが更に好ましい。
なお、第1の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、第1の実施形態に係る細断工程及び表面架橋工程の代わりに、後述の第2の実施形態に係る細断工程及び表面架橋工程を有してもよい。すなわち、第1の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b1)を構成単位として有する架橋重合体(A1)に電磁波を照射して当該架橋重合体(A1)を分解することによって得られる反応性分解物と、架橋剤(b2)と、を含有する反応性組成物を重合して架橋重合体(A2)を含む含水ゲルを得る重合工程と、
前記含水ゲルを細断して粒子状の含水ゲルを得る細断工程と、
前記細断工程を得た含水ゲルを表面架橋する表面架橋工程と、を有し、
前記細断工程で、前記反応性分解物を添加する、吸水性樹脂組成物の製造方法であってよい。
<第2の実施形態>
第2の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b2)を含む単量体組成物を重合して架橋重合体(A3)を含む含水ゲルを得る重合工程と、
前記含水ゲルを細断して粒子状の含水ゲルを得る細断工程と、
前記細断工程を得た含水ゲルを表面架橋する表面架橋工程と、を有し、
前記細断工程で、水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b1)を構成単位として有する架橋重合体(A1)に電磁波を照射して当該架橋重合体(A1)を分解することによって得られる反応性分解物を前記含水ゲルと混練する。
第2の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法によれば、吸水性樹脂組成物に含まれる架橋重合体の分解物を用いて新たな吸水性樹脂組成物を製造することで省資源及び環境負荷低減に寄与することができる吸水性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
〔重合工程〕
本実施形態に係る水溶性ビニルモノマー(a1)は、第1の実施形態に係る水溶性ビニルモノマー(a1)と同様なので説明を省略する。本実施形態に係るビニルモノマー(a2)は、第1の実施形態に係るビニルモノマー(a2)と同様なので説明を省略する。本実施形態に係る架橋剤(b2)は、第1の実施形態に係る架橋剤(b1)と同様のものを用いることができる。
前記水溶性ビニルモノマー(a1)又は前記ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ1種を単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としても良い。また、前記水溶性ビニルモノマー(a1)及び前記ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、前記水溶性ビニルモノマー(a1)及び前記ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比[(a1)/(a2)]は、75/25~99/1が好ましく、更に好ましくは85/15~95/5、特に好ましくは90/10~93/7、最も好ましくは91/9~92/8である。この範囲内であると、吸収性能が更に良好となる。
前記単量体組成物は、前記水溶性ビニルモノマー(a1)、及び前記ビニルモノマー(a2)以外に、前記水溶性ビニルモノマー(a1)、及び前記ビニルモノマー(a2)と共重合可能なその他のビニルモノマー(a4)を含有していてもよい。前記その他のビニルモノマー(a4)としては、第1の実施形態に係るビニルモノマー(a3)と同様のものが例示できる。
前記単量体組成物中の前記ビニルモノマー(a4)の含有量は、吸収性能等の観点から、前記水溶性ビニルモノマー(a1)及び前記ビニルモノマー(a2)の合計モル数に基づいて、0~5モル%が好ましく、更に好ましくは0~3モル%、特に好ましくは0~2モル%、とりわけ好ましくは0~1.5モル%であり、吸収性能等の観点から、前記ビニルモノマー(a4)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
前記単量体組成物中の前記架橋剤(b2)の含有量は、吸収性能等の観点から、前記水溶性ビニルモノマー(a1)及び前記ビニルモノマー(a2)の合計、前記ビニルモノマー(a4)を用いる場合は前記水溶性ビニルモノマー(a1)、前記ビニルモノマー(a2)、前記ビニルモノマー(a4)の合計の、合計100モル部に対して、0.001~5モル部が好ましく、0.005~1モル部がより好ましい。
前記単量体組成物の重合方法としては、公知の溶液重合や、公知の逆相懸濁重合が挙げられる。
前記単量体組成物の重合方法の内、好ましいのは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましいのは水溶液重合法であり、保水量が大きく、且つ水可溶性成分量の少ない吸水性樹脂組成物が得られ、重合時の温度コントロールが不要である点から、水溶液断熱重合法が最も好ましい。
前記単量体組成物を水溶液重合で重合する場合、水と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの2種以上の混合物を挙げられる。前記単量体組成物を水溶液重合で重合する場合、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量を基準として40以下が好ましく、更に好ましくは30以下である。
重合に触媒を用いる場合、第1の実施形態に係る吸水性樹脂組成物の製造方法で使用可能な前記ラジカル重合用触媒が使用可能である。
ラジカル重合触媒の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の、ビニルモノマー(a4)を用いる場合は、水溶性ビニルモノマー(a1)、ビニルモノマー(a2)、及びビニルモノマー(a4)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
重合時には、必要に応じて、第1の実施形態に係る吸水性樹脂組成物の製造方法で用いることができる連鎖移動剤等の重合コントロール剤を併用しても良い。
重合コントロール剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の、ビニルモノマー(a4)を用いる場合は、水溶性ビニルモノマー(a1)、ビニルモノマー(a2)、及びビニルモノマー(a4)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
前記重合工程において、前記単量体組成物を、第1の実施形態に係る吸水性樹脂組成物の製造方法で用いることができる有機典型元素化合物の存在下で重合することにより、吸水時のゲル強度、荷重下吸収量及びゲル通液速度を向上させることができる。
前記有機典型元素化合物の使用量は、吸水時のゲル強度、荷重下吸収量及びゲル通液速度を向上させる観点から水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の、ビニルモノマー(a4)を用いる場合は、水溶性ビニルモノマー(a1)、ビニルモノマー(a2)、及びビニルモノマー(a4)の、合計重量に基づいて、好ましくは0.0005~0.1重量%、更に好ましくは0.005~0.05重量%である。
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法をとる場合は、必要に応じて、従来公知の分散剤又は界面活性剤の存在下に重合を行っても良い。また、逆相懸濁重合法の場合、従来公知のキシレン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行うことができる。
重合開始温度は、使用する触媒の種類によって適宜調整することができるが、0~100℃が好ましく、更に好ましくは2~80℃である。
重合に溶媒(有機溶媒及び水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A3)の重量に基づいて、0~10が好ましく、更に好ましくは0~5、特に好ましくは0~3、最も好ましくは0~1である。この範囲であると、吸水性樹脂組成物の吸収性能が更に良好となる。
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体(A3)の重量に基づいて、0~20が好ましく、更に好ましくは1~10、特に好ましくは2~9、最も好ましくは3~8である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
前記の重合方法により架橋重合体(A3)が水を含んだ含水ゲル状物(以下、含水ゲルともいう)を得ることができる。
前記ビニルモノマー(a4)としてアクリル酸やメタクリル酸等の酸基含有モノマーを用いる場合、含水ゲルを塩基で中和しても良い。酸基の中和度は、50~80モル%であることが好ましい。中和度が50モル%未満の場合、得られる含水ゲル重合体の粘着性が高くなり、製造時及び使用時の作業性が悪化する場合がある。更に得られる吸水性樹脂組成物の保水量が低下する場合がある。一方、中和度が80%を超える場合、得られた樹脂のpHが高くなり人体の皮膚に対する安全性が懸念される場合がある。
なお、中和は、吸水性樹脂組成物の製造において、架橋重合体(A3)の重合以降のいずれの段階で行ってもよく、例えば、含水ゲルの状態で中和する等の方法が好ましい例として例示される。
中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を通常使用できる。
〔細断工程〕
第2の実施形態に係る細断工程で含水ゲルと混練する反応性分解物は、前記第1の実施形態に係る反応性分解物と同様なので説明を省略する。
前記反応性分解物の添加方法としては特に限定はなく、前記含水ゲルに前記反応性分解物を添加してから前記含水ゲルを細断し、前記含水ゲルと前記反応性分解物を混練する方法、及び/又は前記反応性分解物を添加しながら前記含水ゲルを細断し、前記反応性分解物と前記含水ゲルを混練する方法が例示できる。また、含水ゲルを細断した後、前記反応性分解物を添加してから、及び/又は前記反応性分解物を添加しながら、さらに含水ゲルを細断することで前記含水ゲルと前記反応性分解物を混練する方法も前記細断工程における前記反応性分解物の添加方法に含まれる。
また、前記反応性分解物を水及び/又は溶剤と同時に添加しても良い。反応性分解物を水及び/又は溶剤と同時に添加する場合、反応性分解物溶液又は懸濁液を添加することができ、作業性等の観点から水溶液又は水懸濁液を添加することが好ましく、水懸濁液を添加することが更に好ましい。懸濁液を添加する場合、噴霧又は滴下して添加することが好ましい。
第2の実施形態に係る細断工程で添加する反応性分解物の添加量は、リサイクル効率の観点から、前記架橋重合体(A1)100重量部に対して、1部以上が好ましく、5重量部以上がより好ましく、吸水性能の観点から、70重量部以下が好ましく、50重量部以下がより好ましい。
前記含水ゲルと前記反応性分解物を混練する方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の混合装置を用いて前記含水ゲルと前記反応性分解物とを均一混合する方法が挙げられる。
第2の実施形態に係る細断工程のその他の条件は、第1の実施形態に係る細断工程と同様なので説明を省略する。
〔乾燥工程〕
第2の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、前記含水ゲルを乾燥し、含水ゲル中の溶媒(水を含む)を留去し、前記架橋重合体(A3)を含有する吸水性樹脂組成物を得る乾燥工程を有してもよい。本実施形態に係る乾燥工程は、第1の実施形態に係る乾燥工程と同様なので説明を省略する。
〔粉砕工程〕
本実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法は、前記乾燥工程で得られた吸水性樹脂組成物を粉砕し、前記架橋重合体(A3)を含有する粒子状の吸水性樹脂組成物を得る粉砕工程を有していてもよい。本実施形態に係る粉砕工程は、第1の実施形態に係る粉砕工程と同様なので説明を省略する。
〔表面架橋工程〕
第2の実施形態の前記細断工程で添加された前記反応性分解物は、架橋重合体(d)によって前記架橋重合体(A3)と架橋する。架橋することで、前記反応性分解物が再度溶出することが無くなるとともに、前記架橋重合体(A3)が吸水しゲル状へと変化した際も架橋構造を有することでゲル強度が維持される。第2の実施形態の吸水性樹脂組成物の製造方法で用いることができる表面架橋剤(d)は、第1の実施形態で用いることができる表面架橋剤(d)と同様なので説明を省略する。
前記表面架橋剤(d)の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、前記反応性分解物と前記架橋重合体(A3)の合計重量に基づいて、0.001~3が好ましく、更に好ましくは0.005~2、特に好ましくは0.01~1.5である。
前記表面架橋工程における表面架橋の方法や条件は、第1の実施形態に係る表面架橋工程の表面架橋の方法や条件と同様なので説明を省略する。
前記反応性分解物と架橋重合体(A3)を表面架橋剤(d)により架橋した後、必要により篩別して粒度調整する。得られた粒子の平均粒経は、好ましくは100~600μm、更に好ましくは200~500μmである。微粒子の含有量は少ない方が好ましく、100μm以下の粒子の含有量は3重量%以下であることが好ましく、150μm以下の粒子の含有量が3重量%以下であることが更に好ましい。
<吸水性樹脂組成物>
前記第1の実施形態の製造方法及び前記第2の実施形態の製造方法で得られる吸水性樹脂組成物は、その性能を損なわない範囲で残留溶媒や残存架橋成分等の他の成分を多少含んでも良い。
前記他の成分のその他の例としては、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、通液性向上剤、無機質粉末及び有機質繊維状物等が挙げられる。その量は前記吸水性樹脂組成物の重量に基づいて、通常、5重量%以下である。
前記吸水性樹脂組成物の形状は特に限定されないが、吸収性能を向上させる観点から、粒子状が好ましい。粒子状の前記吸水性樹脂組成物(以下、吸水性樹脂組成物粒子ともいう)の重量平均粒子径(μm)は、好ましくは250~600であり、より好ましくは300~500、更に好ましくは340~460である。重量平均粒子径が250μmを下回ると通液性能が悪化し、600μmを上回ると吸収速度が悪化するため、この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JISZ8801-1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿、の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
前記吸水性樹脂組成物粒子に含まれる微粉の含有量は少ないほど通液性能が良好となるため、全吸水性樹脂組成物粒子の合計重量に占める150μm未満の粒子径を有する吸水性樹脂組成物粒子の重量割合(重量%)は3以下であり、好ましくは1以下である。150μm未満の粒子径を有する吸水性樹脂組成物粒子の重量割合は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するグラフを用いて求めることができる。
吸水性樹脂組成物粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
前記吸水性樹脂組成物は、前記架橋重合体(A2)及び/又は前記架橋重合体(A3)を含有する。また、前記吸水性樹脂組成物は、前記架橋重合体(A2)及び前記架橋重合体(A3)以外に、前記架橋重合体(A1)を含有していてもよい。前記吸水性樹脂組成物中の前記架橋重合体(A1)~(A3)の合計含有量は、十分な保水能を有する吸水性樹脂組成物を得る観点から、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましい。前記吸水性樹脂組成物中の前記架橋重合体(A1)~(A3)の合計含有量は、99.5重量%以下が好ましく、99重量%以下がより好ましい。
前記吸水性樹脂組成物の保水量(g/g)は、吸収量の観点から好ましくは25以上であり、28以上が更に好ましく、32以上が特に好ましい。また、上限値は、べとつきの観点から、60以下が好ましく、55以下が更に好ましく、50以下が特に好ましい。保水量は、架橋剤(b2)、表面架橋剤(d)の使用量(重量%)で適宜調整することができる。前記吸水性樹脂組成物の保水量(g/g)は実施例に記載の方法で測定することができる。
前記吸水性樹脂組成物の荷重下吸収量(g/g)は、荷重下でのオムツの吸収量の観点から好ましくは10以上であり、15以上が更に好ましく、特に好ましくは、20以上である。荷重下吸収量は保水量と相反することが経験的に知られており、オムツの構成により高保水量が求められる場合と高荷重下吸収量が求められる場合とがある。前記吸水性樹脂組成物の荷重下吸収量(g/g)は実施例に記載の方法で測定することができる。
前記吸水性樹脂組成物の可溶分(重量%)は、通液性能や吸水速度の観点から、好ましくは吸水性樹脂組成物に対して20%未満であり、15%未満がさらに好ましい。可溶分が20%を超えると吸水時に可溶分が溶出していまい、ゲルブロッキングが生じ、通液性能や吸水倍率に悪影響を与えることとなり好ましくない。前記吸水性樹脂組成物の可溶分(重量%)は、実施例に記載の方法で測定することができる。
<吸収体>
前記吸水性樹脂組成物を用いて吸収体を得ることができる。吸収体としては、前記吸水性樹脂組成物を単独で用いても良く、他の材料と共に用いて吸収体としても良い。当該他の材料としては繊維状物等が挙げられる。繊維状物と共に用いた場合の吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等)と同様である。
上記繊維状物として好ましいのは、セルロース系繊維、有機系合成繊維及びセルロース系繊維と有機系合成繊維との混合物である。
セルロース系繊維としては、例えばフラッフパルプ等の天然繊維、ビスコースレーヨン、アセテート及びキュプラ等のセルロース系化学繊維が挙げられる。このセルロース系天然繊維の原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、メカニカルパルプ及びCTMP等)及び漂白方法等は特に限定されない。
有機系合成繊維としては、例えばポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維及び熱融着性複合繊維(融点の異なる上記繊維の少なくとも2種を鞘芯型、偏芯型、並列型等に複合化された繊維、上記繊維の少なくとも2種をブレンドした繊維及び上記繊維の表層を改質した繊維等)が挙げられる。
これらの繊維状物の内で好ましいのは、セルロース系天然繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエステル系繊維、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維であり、更に好ましいのは、得られた吸水剤の吸水後の形状保持性に優れるという点で、フラッフパルプ、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維である。
上記繊維状物の長さ、太さについては特に限定されず、長さは1~200mm、太さは0.1~100デニールの範囲であれば好適に使用することができる。形状についても繊維状であれば特に限定されず、細い円筒状、スプリットヤーン状、ステープル状、フィラメント状及びウェブ状等が例示される。
前記吸水性樹脂組成物粒子を、繊維状物と共に吸収体とする場合、前記吸水性樹脂組成物粒子と繊維の重量比率(吸水性樹脂組成物粒子の重量/繊維状物の重量)は40/60~95/5が好ましく、更に好ましくは50/50~90/10である。
<吸収性物品>
前記吸水性樹脂組成物を用いて吸収性物品を得ることができる。具体的には、上記吸収体を用いる。吸収性物品としては、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品のみならず、結露防止剤、農業・園芸用保水剤、廃血液固化剤、使い捨てカイロ等の各種産業分野用における各種水性液体の吸収や保持剤用途、ゲル化剤用途等の各種用途に使用されるものとして適用可能である。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等に記載のもの)と同様である。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。なお、分解生成物の数平均分子量は以下の方法により測定した。
<反応性分解物の数平均分子量>
反応性分解物の数平均分子量の測定方法としては、例えば、多角度光散乱検出器(昭光サイエンティフィック(株)製DAWN HELEOS II)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー(株)製、1200シリーズ)(以下、GPC-MALSと略記する)を使用し、溶剤として0.5M酢酸と0.2M硝酸ナトリウムを含む水溶液を用い、サンプル濃度は0.2重量%とし、カラム固定相にはポリマー系充填剤(昭光サイエンティフィック(株)製OHpak SB-806M HQ)を用い、カラム温度は40℃として測定される。
<製造例1>
水溶性ビニルモノマー(a1){アクリル酸}157部、内部架橋剤(b){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.6305部及び脱イオン水344.7部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.63部、2%アスコルビン酸水溶液1.1774部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.355部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
次にこの含水ゲル(1)502.3部をミンチ機で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.4部を添加して混合後にした。続いて目皿径16mmのミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)を使い、4回混練細断後、通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この時の乾燥粒子体の重量平均粒子径は392μmであった。この乾燥体粒子100部を高速攪拌しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5.00部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋して、吸水性樹脂組成物(R-1)を得た。
吸水性樹脂組成物(R-1)1.000部を分解用試験管にはかり取り、次いで超純水8.986部を全量吸水させ、そのまま60分間静置した後に、過酸化水素(35%水溶液 東京化成工業社製)0.014部を入れて試験管のふたを閉じ、マイクロ波照射を以下の条件で実施した。すなわち、マイクロ波照射の出力を500Wとし、照射時間5分間で室温から200℃までの昇温を行った後、更に200℃で5分間200℃を自動的に保持する条件で行い、反応性分解物(Z-1) を得た。
<実施例1>
アクリル酸152.4部、架橋剤(b){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.550部、脱イオン水548.9部、及び反応性分解物(Z-1)45.7部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.63部、2%アスコルビン酸水溶液1.1774部、2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.355部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が63℃に達した後、63±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。次にこの含水ゲル(1)751.8部をミンチ機で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液125.60部を添加して混合し、含水ゲル粒子を得た。更に含水ゲル粒子を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整することにより、乾燥体粒子(1)を得た。この乾燥体粒子(1)100部を高速攪拌しながら、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の7.00部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋して、吸水性樹脂組成物(P-1)を得た。
<実施例2>
実施例1において、脱イオン水548.9部を491.1部に、反応性分解物(Z-1)45.7部を152.4部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、本発明の吸水性樹脂組成物(P-2)を得た。
<実施例3>
実施例1において、脱イオン水548.9部を173.5部に、反応性分解物(Z-1)45.7部を762.0部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、本発明の吸水性樹脂組成物(P-3)を得た。
<実施例4>
実施例1において、脱イオン水548.9部を12.7部に、反応性分解物(Z-1)45.7部を1066.8部に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、本発明の吸水性樹脂組成物(P-4)を得た。
<実施例5>
アクリル酸152.4部、架橋剤(b){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.550部及び脱イオン水548.9部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.63部、2%アスコルビン酸水溶液1.1774部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.355部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が63℃に達した後、63±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。次にこの含水ゲル(1)706.0部をミンチ機で細断しながら、反応性分解物(Z-1)45.7部及び48.5%水酸化ナトリウム水溶液125.60部を添加して混合し、含水ゲル粒子を得た。更に含水ゲル粒子を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整することにより、乾燥体粒子(1)を得た。この乾燥体粒子(1)100部を高速攪拌しながら、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の7.00部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋して、本発明の吸水性樹脂組成物(P-5)を得た。
<比較例1>
製造例1で得られた吸水性樹脂組成物(R-1)を比較用の吸水性樹脂組成物とした。
<比較例2>
アクリル酸152.4部、架橋剤(b){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.550部及び脱イオン水548.9部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.63部、2%アスコルビン酸水溶液1.1774部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.355部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が63℃に達した後、63±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。次にこの含水ゲル(1)706.0部をミンチ機で細断しながら、48.5%水酸化ナトリウム水溶液125.60部を添加して混合し、含水ゲル粒子を得た。更に含水ゲル粒子を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整することにより、乾燥体粒子(1)を得た。この乾燥体粒子(1)100部を高速攪拌しながら、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の7.00部及び反応性分解物(Z-1)45.7部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋して、比較用の吸水性樹脂組成物(R-2)を得た。
<評価方法>
〔吸水性樹脂組成物の保水量の測定方法〕
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に吸水性樹脂組成物1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後引き上げて、15分間吊るして水切りした。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。
吸水性樹脂組成物の保水量(g/g)=(h1)-(h2)
なお、(h2)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバックの重量である。
〔吸水性樹脂組成物の荷重下吸収量の測定方法〕
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、30メッシュふるいと60メッシュふるいを用いて250~500μmの範囲にふるい分けした吸水性樹脂組成物0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この吸水性樹脂組成物の上に分銅(重量:200.0g、外径:24.5mm)を乗せた。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量した後、生理食塩水(食塩濃度0.9%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に吸水性樹脂組成物及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、60分静置した。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、これを斜めに傾けて底部に付着した水を一箇所に集めて水滴として垂らすことで余分な水を除去した後、吸水性樹脂組成物及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式から荷重下吸収量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。
吸水性樹脂組成物の荷重下吸収量(g/g)={(M2)-(M1)}/0.16
評価結果を表1に示す。
Figure 2023038963000001
表1に示す結果から明らかなように、実施例に示した吸水性樹脂組成物の電磁分解物を用いて、本発明の製造方法により得られた吸水性樹脂組成物は、比較例に示した表面架橋以降の工程に分解物を添加して得た吸水性樹脂組成物に比べ、いずれも保水量及び荷重下吸収量が優れていることが分かる。また、吸水性樹脂組成物の分解物を添加していない比較例1と本願実施例を比較しても、吸収特性が同等であることが分かる。
本結果から、本発明は、吸水性樹脂組成物の廃棄物である吸水性樹脂組成物の分解物を表面架橋工程以前の工程に添加し、原料として再利用しても、得られた吸水性樹脂組成物は良好な吸収特性を発揮するため、省資源及び環境負荷低減の観点から、効率的な製造方法といえる。

Claims (7)

  1. 水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b1)を構成単位として有する架橋重合体(A1)に電磁波を照射して当該架橋重合体(A1)を分解することによって得られる反応性分解物と、架橋剤(b2)と、を含有する反応性組成物を重合して架橋重合体(A2)を含む含水ゲルを得る重合工程を有する、吸水性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記反応性組成物が、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)を含有する、請求項1に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記反応性組成物中の前記反応性分解物の含有量が、前記水溶性ビニルモノマー(a1)の含有量、及び前記ビニルモノマー(a2)の含有量の合計100質量部に対して1質量部以上70質量部以下である、請求項2に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記反応性分解物の数平均分子量が50以上500000以下である請求項1~3の何れか1項に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記含水ゲルを細断して粒子状の含水ゲルを得る細断工程と、
    前記細断工程を得た含水ゲルを表面架橋する表面架橋工程と、を有し、
    前記細断工程で、前記反応性分解物を前記含水ゲルと混練する、請求項1~4の何れか1項に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
  6. 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b3)を含む単量体組成物を重合して架橋重合体(A1)を含む含水ゲルを得る重合工程と、
    前記含水ゲルを細断して粒子状の含水ゲルを得る細断工程と、
    前記細断工程を得た含水ゲルを表面架橋する表面架橋工程と、を有し、
    前記細断工程で、水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b1)を構成単位として有する架橋重合体(A1)に電磁波を照射して当該架橋重合体(A1)を分解することによって得られる反応性分解物を前記含水ゲルと混練する、吸水性樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記反応性分解物の数平均分子量が50以上500000以下である請求項6に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
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