JP2023037579A - 保護素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】大規模なアーク放電が発生しにくく、絶縁ケースのサイズを小型軽量化することができ、高電圧大電流対応の過電流遮断と遮断信号による遮断機能を両立すること。【解決手段】ヒューズエレメント50と、絶縁ケース260と、第1端子91と、第2端子92とを有し、さらに、ヒューズエレメント50に近接若しくは接触させた状態で配置され、開口部若しくは分離部が形成された絶縁部材60と、ヒューズエレメント50を分断するように移動可能な遮蔽部材220と、遮蔽部材220を押圧する押圧手段230と、絶縁ケース260と遮蔽部材220との間に係止され、遮蔽部材220の移動を抑える係止部材270と、係止部材270若しくは固定部材を加熱し軟化させる発熱体80と、給電部材90とを有し、絶縁ケース260はさらに、絶縁部材60と、遮蔽部材220と、押圧手段230と、係止部材270と、発熱体80と、給電部材90の一部とを収容する。【選択図】図16

Description

本発明は、保護素子に関する。
従来、電流経路に定格を超える電流が流れたときに、発熱して溶断し、電流経路を遮断するヒューズエレメントがある。ヒューズエレメントを備える保護素子(ヒューズ素子)は、家電製品から電気自動車など幅広い分野で使用されている。
例えばリチウムイオン電池は、モバイル機器用途から電気自動車(EV)、蓄電池など幅広い用途で使用されており、大容量化が進んでいる。リチウムイオン電池の大容量化にともない、電圧は数百ボルトの高電圧仕様となり、電流も数百アンペアから数千アンペアの大電流仕様が要求されている。
例えば、特許文献1には、主に自動車用電気回路等に用いられるヒューズエレメントとして、両端部に位置する端子部の間に連結された2つのエレメントと、当該エレメントの略中央部に設けられた溶断部と、を備えるヒューズエレメントが記載されている。特許文献1には、ケーシングの内部に2枚組のヒューズエレメントが格納され、ヒューズエレメントとケーシングとの間に、消弧材を封入したヒューズが記載されている。
特開2017-004634号公報
高電圧かつ大電流の電流経路に設置される保護素子においては、ヒューズエレメントが溶断されると、アーク放電が発生しやすい。大規模なアーク放電が発生すると、ヒューズエレメントが収納されている絶縁ケースが破壊されてしまう場合がある。このため、ヒューズエレメントの材料として、銅などの低抵抗でかつ高融点の金属を用いてアーク放電の発生を抑えることが行われている。また、絶縁ケースの材料として、セラミックスなどの堅牢でかつ高耐熱性の材料を用いること、さらに絶縁ケースのサイズを大きくすることが行われている。
また、これまでの高電圧大電流(100V/100A以上)の電流ヒューズは過電流遮断のみであり、遮断信号による遮断機能を両立するものはなかった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、ヒューズエレメントの溶断時に大規模なアーク放電が発生しにくく、絶縁ケースのサイズを小型軽量化することが可能であると共に、高電圧大電流対応の過電流遮断と遮断信号による遮断機能を両立する保護素子を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
〔本発明の態様1〕
ヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを収容する絶縁ケースと、第1端子と、第2端子とを有し、さらに、前記ヒューズエレメントに近接若しくは接触させた状態で配置され、開口部若しくは分離部が形成された絶縁部材と、前記ヒューズエレメントを分断するように、前記絶縁部材の前記開口部若しくは前記分離部へ挿入される挿入方向に移動可能な遮蔽部材と、前記遮蔽部材を前記遮蔽部材の挿入方向に押圧する押圧手段と、前記絶縁ケースと前記遮蔽部材との間に係止され、前記遮蔽部材の移動を抑える係止部材と、前記係止部材若しくは前記係止部材を固定する固定部材を加熱し軟化させる発熱体と、前記発熱体に電流を通電する給電部材と、を有し、前記ヒューズエレメントは、互いに対向する第1端部と第2端部を有し、前記第1端子は、一方の端部が前記第1端部と接続し他方の端部が前記絶縁ケースから外部に露出し、前記第2端子は、一方の端部が前記第2端部と接続し他方の端部が前記絶縁ケースから外部に露出しており、前記絶縁ケースはさらに、前記絶縁部材と、前記遮蔽部材と、前記押圧手段と、前記係止部材と、前記発熱体と、前記給電部材の一部とを収容する、保護素子。
〔本発明の態様2〕
前記発熱体が発熱し、前記係止部材若しくは前記固定部材が軟化することによって、前記押圧手段の押圧力により前記遮蔽部材が前記係止部材若しくは前記固定部材を分離しながら移動し、さらに前記遮蔽部材が前記絶縁部材の前記開口部若しくは前記分離部を移動して前記ヒューズエレメントを切断することによって、前記ヒューズエレメントの通電を遮断する、態様1に記載の保護素子。
〔本発明の態様3〕
前記遮蔽部材は、前記ヒューズエレメントを切断し、切断された前記ヒューズエレメントの各部分同士を前記ヒューズエレメントの通電方向において遮蔽する、態様2に記載の保護素子。
〔本発明の態様4〕
前記押圧手段はバネである、態様1~3のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様5〕
前記絶縁部材、前記遮蔽部材および前記絶縁ケースのうち少なくとも一つは、耐トラッキング指標CTIが500V以上の材料で形成されている、態様1~4のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様6〕
前記絶縁部材、前記遮蔽部材および前記絶縁ケースのうち少なくとも一つは、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂からなる群より選ばれる一種の樹脂材料で形成されている、態様1~5のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様7〕
前記ヒューズエレメントは、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体であり、前記低融点金属層は錫を含み、前記高融点金属層は銀もしくは銅を含む、態様1~6のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様8〕
前記ヒューズエレメントは、前記高融点金属層を2層以上有し、前記低融点金属層を1層以上有し、前記低融点金属層が前記高融点金属層の間に配置された積層体である、態様7に記載の保護素子。
〔本発明の態様9〕
前記ヒューズエレメントは、銀もしくは銅を含む単層体である、態様1~8のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様10〕
前記ヒューズエレメントは、前記第1端部と前記第2端部の間に溶断部を有し、前記第1端部および前記第2端部の前記第1端部から前記第2端部に向かう通電方向の断面積より、前記溶断部の前記通電方向の断面積の方が小さい、態様1~9のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様11〕
前記ヒューズエレメントは、第1の可溶導体と、前記第1の可溶導体よりも融点の低い第2の可溶導体とを有し、前記第1の可溶導体と前記第2の可溶導体とが、通電において直列に接続される、態様1~10のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様12〕
前記第2の可溶導体は、2つの前記第1の可溶導体の間に配置される、態様11に記載の保護素子。
〔本発明の態様13〕
前記発熱体の発熱により、前記遮蔽部材が移動し、前記第2の可溶導体が切断される、態様11または12に記載の保護素子。
〔本発明の態様14〕
前記絶縁ケースは、前記ヒューズエレメントの前記遮蔽部材とは反対側に近接若しくは接触させた状態で配置される内底面を有し、前記内底面は、前記絶縁部材の前記開口部若しくは前記分離部に沿って延びる溝を有し、前記遮蔽部材の挿入方向の先端は、前記溝内に挿入可能である、態様1~13のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様15〕
板状の前記ヒューズエレメントの面に対し垂直方向に並列に積層された複数の前記ヒューズエレメントと、複数の前記ヒューズエレメントの間に接触若しくは近接して配置された複数の前記絶縁部材と、を有し、複数の前記絶縁部材の各々の前記開口部若しくは前記分離部が垂直方向から見て互いに重なり、前記遮蔽部材が全ての前記開口部若しくは前記分離部内を移動可能である、態様1~14のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様16〕
複数の前記絶縁部材は、複数の前記ヒューズエレメントの前記遮蔽部材側の最外層の外側に配置される前記絶縁部材を含み、前記絶縁ケースは、複数の前記ヒューズエレメントの前記遮蔽部材とは反対側の最外層の外側に近接若しくは接触させた状態で配置される内底面を有し、前記内底面は、前記絶縁部材の前記開口部若しくは前記分離部に沿って延びる溝を有し、全ての前記開口部若しくは前記分離部及び前記溝内を前記遮蔽部材が移動可能である、態様15に記載の保護素子。
〔本発明の態様17〕
板状の前記ヒューズエレメントの面に対し垂直方向に並列に積層された複数の前記ヒューズエレメントと、複数の前記ヒューズエレメントの間および外側に接触若しくは近接して配置された複数の前記絶縁部材と、を有し、複数の前記絶縁部材の各々の前記開口部若しくは前記分離部が垂直方向から見て互いに重なり、前記遮蔽部材が全ての前記開口部若しくは前記分離部内を移動可能である、態様1~16のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様18〕
前記絶縁ケースは、板状の前記ヒューズエレメントの面に対する垂直方向において、前記ヒューズエレメントの両側に配置される少なくとも2つの保持部材を有し、2つの前記保持部材のうち、一方若しくは両方は、前記絶縁部材と一体に形成される、態様1~17のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様19〕
前記係止部材は、前記遮蔽部材の挿入方向において、前記絶縁ケースと前記遮蔽部材との間に挟み込まれて係止され、前記ヒューズエレメントの通電方向および前記遮蔽部材の挿入方向と直交する幅方向から見て、若しくは通電方向から見て、前記係止部材の前記発熱体から前記係止部材に向かう方向の寸法よりも、前記係止部材の挿入方向の寸法が大きい、態様1~18のいずれか1つに記載の保護素子。
〔本発明の態様20〕
前記遮蔽部材は、前記遮蔽部材の挿入方向を向く第1段部を有し、前記絶縁ケースは、挿入方向において前記第1段部とは反対側を向く第2段部を有し、前記係止部材の挿入方向を向く一対の端面は、前記第1段部と前記第2段部とに挟まれ、挿入方向から見て、前記第1段部と前記第2段部とは互いに重ならない、態様1~19のいずれか1つに記載の保護素子。
本発明によれば、ヒューズエレメントの溶断時に大規模なアーク放電が発生しにくく、絶縁ケースのサイズを小型軽量化することが可能であると共に、高電圧大電流対応の過電流遮断と遮断信号による遮断機能を両立する保護素子を提供することが可能となる。
本発明とは技術思想の一部が異なる第1参考例に係る保護素子の斜視図である。 図1に示した保護素子の内部が見えるように一部を除去した斜視図である。 図1に示した保護素子の分解斜視図である。 (a)は、第1端子及び第2端子とヒューズエレメント積層体を構成する可溶性導体シート1個とを模式的に示す平面図であり、(b)は、ヒューズエレメント積層体、第2絶縁部材、第1端子、及び、第2端子を模式的に示す平面図であり、(c)は、(b)で示した平面図のX-X’線に沿った断面図である。 (a)は、図1のV-V’線に沿った断面図であり、(b)は、係止部材近傍の拡大図である。 遮蔽部材がヒューズエレメントを切断して下がりきった状態の保護素子の断面図である。 (a)は係止部材の変形例を有する保護素子の断面図であり、(b)は、係止部材近傍の拡大図である。 発熱体の構造の一例を示すものであり、(a)は上面平面図であり、(b)は印刷前の絶縁基板の上面平面図、(C)は抵抗層印刷後の上面平面図、(d)は絶縁層印刷後の上面平面図、(e)は電極層印刷後の上面平面図、(f)は下面平面図である。 発熱体へ給電する給電部材の引き出し方法を説明するための保護素子の斜視図であり、(a)は2個の発熱体を直列につなぐ場合であり、(b)は2個の発熱体を並列につなぐ場合である。 第1参考例の変形例の模式図であり、(a)は保持部材10Bの変形例である保持部材10BBの斜視図であり、(b)は保持部材10Bの変形例である保持部材10BBと、第1絶縁部材60A及び第2絶縁部材60Bの変形例である第1絶縁部材61A及び第2絶縁部材61Bの斜視図である。 (a)は変形例の第2絶縁部材61Bの斜視図であり、(b)は第1絶縁部材61Aの斜視図である。 第2参考例に係る保護素子の内部が見えるように一部を除去して模式的に示した斜視図であり、(b)は遮蔽部材の下側斜視図である。 第2参考例に係る保護素子の、図5(a)に対応する断面図である。 遮蔽部材がヒューズエレメントを分断して下がりきった状態の保護素子の断面図である。 ヒューズエレメント積層体、第1端子及び第2端子を第1保持部材に設置された状態を模式的に示した斜視図である。 実施形態に係る保護素子を示す断面図(幅方向と垂直な断面図)である。 実施形態に係る保護素子を示す断面図(幅方向と垂直な断面図)であり、遮蔽部材がヒューズエレメントを分断して下がりきった状態を表す。 実施形態に係る保護素子の一部を模式的に示す断面図(幅方向と垂直な断面図)である。 実施形態に係る保護素子の一部を模式的に示す断面図(幅方向と垂直な断面図)であり、遮蔽部材が下方移動した状態を表す。 実施形態の変形例に係る保護素子の一部を模式的に示す断面図(幅方向と垂直な断面図)である。 実施形態の変形例に係る保護素子の一部を模式的に示す断面図(幅方向と垂直な断面図)であり、遮蔽部材が下方移動した状態を表す。 実施形態の変形例に係る保護素子の一部を示す断面図(X-Z断面図)である。 実施形態の変形例に係るヒューズエレメントの模式図であり、図4(a)に対応する平面図である。
以下、本発明とは技術思想の一部が異なる参考例について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(保護素子(第1参考例))
図1~図5は、第1参考例に係る保護素子を示した模式図である。以下の説明で用いる図面において、Xで示す方向はヒューズエレメントの通電方向である。Yで示す方向はX方向と直交する方向であり、幅方向ともいう。本参考例においては、幅方向(Y方向)のうち一方側が-Y側に相当し、他方側が+Y側に相当する。ただしこれに限らず、幅方向一方側が+Y側に相当し、幅方向他方側が-Y側に相当することとしてもよい。Zで示す方向は、X方向およびY方向に直交する方向であり、厚さ方向ともいう。厚さ方向は、上下方向と言い換えてもよい。上下方向(Z方向)のうち、上方は+Z側に相当し、下方は-Z側に相当する。
なお本参考例において、上方および下方とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係は、これらの名称で示される配置関係以外の配置関係であってもよい。
図1は、第1参考例に係る保護素子を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す保護素子の内部が見えるように一部を除去して模式的に示した斜視図である。
図3は、図1に示す保護素子を模式的に示す分解斜視図である。図4(a)は、第1端子及び第2端子とヒューズエレメント積層体を構成する可溶性導体シート1個とを模式的に示す平面図であり、(b)は、ヒューズエレメント積層体、第2絶縁部材、第1端子、及び、第2端子を模式的に示す平面図であり、(c)は、(b)で示した平面図のX-X’線に沿った断面図である。図5(a)は、図1のV-V’線に沿った断面図であり、(b)は、係止部材の近傍の拡大図である。
図1~図5に示す保護素子100は、絶縁ケース10と、ヒューズエレメント積層体40と、第1絶縁部材60Aと、第2絶縁部材60Bと、遮蔽部材20と、押圧手段30と、係止部材70と、発熱体80と、給電部材90a、90bと、第1端子91と、第2端子92とを有する。なお、第1絶縁部材60Aおよび第2絶縁部材60Bは、単に、絶縁部材60A、60Bと言い換えてもよい。
本参考例の保護素子100において、通電方向は、使用時において電気が流れる方向(X方向)を意味し、すなわち、第1端子91と第2端子92とを結ぶ方向に相当する。なお、通電方向のうち、第1端子91から第2端子92へ向かう方向を第2端子92側(-X側)と呼び、第2端子92から第1端子91へ向かう方向を第1端子91側(+X側)と呼ぶ場合がある。また通電方向の断面積は、通電方向に対して直交する方向の面(Y-Z面)の面積を意味する。
図1~図5に示す保護素子100においては、第1絶縁部材60Aと第2絶縁部材60Bとが異なる構成を有する部材である例を示したが、これらの第1絶縁部材60Aと第2絶縁部材60Bとが同じ構成を有する部材であってもよい。
本参考例の保護素子100は、電流経路を遮断させる機構として、可溶性導体シート50(図4(c)参照)に定格電流を超えた過電流が流れた場合に可溶性導体シート50が溶断されて電流経路を遮断させる過電流遮断と、過電流以外の異常が発生した場合に発熱体80に電流を通電して遮蔽部材20の移動を抑制している係止部材70を溶融し、押圧手段30によって下方に押圧力を付与されている遮蔽部材20を移動させてヒューズエレメント50を切断して電流経路を遮断させるアクティブ遮断とを有する。
(絶縁ケース)
絶縁ケース10は、略長円柱状(Y-Z面の断面がX方向のどの位置でも長円)である。絶縁ケース10は、カバー10Aと保持部材10Bとからなる。
カバー10Aは、両端が開口した長円筒形状である。カバー10Aの開口部における内側の縁部は、面取りされた傾斜面21とされている。カバー10Aの中央部は、保持部材10Bが収容される収容部22とされている。
保持部材10Bは、Z方向で下側に配置する第1保持部材10BaとZ方向で上側に配置する第2保持部材10Bbとからなる。
図3に示すように、第1保持部材10Baの通電方向(X方向)における両端部(第1端部10Baa、第2端部10Bab)には端子載置面111が設けられている。
また、図3に示すように、第1保持部材10Baの両端部(第1端部10Baa、第2端部10Bab)には給電部材載置面12が設けられている。給電部材載置面12のZ方向の位置(高さ)が発熱体80の位置(高さ)とほぼ同じ高さにあることで給電部材90の引き回し距離の短縮を図っている。
保持部材10Bの内部には、内圧緩衝空間15(図5(a)、図6参照)が形成されている。内圧緩衝空間15は、ヒューズエレメント積層体40の溶断時に発生するアーク放電によって生成する気体による保護素子100の内圧の急激な上昇を抑える作用がある。
カバー10Aおよび保持部材10Bは、耐トラッキング指標CTI(トラッキング(炭化導電路)破壊に対する耐性)が500V以上の材料で形成されていることが好ましい。
耐トラッキング指標CTIは、IEC60112に基づく試験により求めることができる。
カバー10Aおよび保持部材10Bの材料としては、樹脂材料を用いることができる。
樹脂材料は、セラミック材料よりも熱容量が小さく融点も低い。このため、保持部材10Bの材料として樹脂材料を用いると、ガス化冷却(アブレーション)によるアーク放電を弱める特性や、溶融飛散した金属粒子が保持部材10Bに付着する際に、保持部材10Bの表面が変形したり付着物が凝集したりすることで、疎らとなり伝導パスを形成し難い特性があり好ましい。
樹脂材料としては、例えば、ポリアミド系樹脂またはフッ素系樹脂を用いることができる。ポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミドであってもよいし、半芳香族ポリアミドであってもよい。脂肪族ポリアミドの例としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66を挙げることができる。半芳香族ポリアミドの例としては、ナイロン6T、ナイロン9T、ポリフタルアミド(PPA)樹脂を挙げることができる。フッ素系樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレンを挙げることができる。また、ポリアミド系樹脂およびフッ素系樹脂は耐熱性が高く、燃焼しにくい。特に、脂肪族ポリアミドは燃焼してもグラファイトが生成しにくい。このため、脂肪族ポリアミドを用いて、カバー10Aおよび保持部材10Bを形成することで、ヒューズエレメント積層体40の溶断時のアーク放電に生成したグラファイトによって、新たな電流経路が形成されることをより確実に防止できる。
(ヒューズエレメント積層体)
ヒューズエレメント積層体は、厚さ方向に並列配置された複数個の可溶性導体シート(複数個の可溶性導体シートをまとめてヒューズエレメントということがある)と、複数個の可溶性導体シートの各々の間、及び、複数個の可溶性導体シートのうちの最下部に配置された可溶性導体シートの外側に近接若しくは接触させた状態で配置され、第1開口部若しくは第1分離部が形成された複数の第1絶縁部材とを有する。ヒューズエレメント積層体はヒューズエレメントと第1絶縁部材とからなる。
ヒューズエレメント積層体40は、厚さ方向(Z方向)に並列配置された6個の可溶性導体シート50a、50b、50c、50d、50e、50fを有する。可溶性導体シート50a~50fの各々の間には、第1絶縁部材60Ab、60Ac、60Ad、60Ae、60Afが配置されている。第1絶縁部材60Aa~60Afは、可溶性導体シート50a~50fの各々に近接もしくは接触させた状態で配置されている。近接させた状態は、第1絶縁部材60Ab~60Afと可溶性導体シート50a~50fとの距離が0.5mm以下の状態であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以下の状態である。
また、可溶性導体シート50a~50fのうちの最下部に配置された可溶性導体シート50aの外側には第1絶縁部材60Aaが配置されている。さらに、可溶性導体シート50a~50fのうちの最上部に配置された可溶性導体シート50fの外側には第2絶縁部材60Bが配置されている。可溶性導体シート50a~50fの幅(Y方向の長さ)は、第1絶縁部材60Aa~60Afおよび第2絶縁部材60Bの幅よりも狭くなっている。
ヒューズエレメント積層体40は、複数個の可溶性導体シートが6個の例であるが、6個に限定されず、複数個であればよい。
可溶性導体シート50a~50fの各々は、互いに対向する第1端部51及び第2端部52と、第1端部51及び第2端部52の間に位置する溶断部53とを有する。厚さ方向に並列配置された可溶性導体シート50a~50fのうちの下から3つの可溶性導体シート50a~50cの第1端部51は、第1端子91の下面に接続し、上から3つの可溶性導体シート50d~50fの第1端部51は、第1端子91の上面に接続されている。また、可溶性導体シート50a~50fのうちの下から3つの可溶性導体シート50a~50cの第2端部52は、第2端子92の下面に接続し、上から3つの可溶性導体シート50d~50fの第2端部52は、第2端子92の上面に接続されている。なお、可溶性導体シート50a~50fと第1端子91及び第2端子92の接続位置はこれに限定されるものではない。例えば、可溶性導体シート50a~50fの第1端部51の全てが、第1端子91の上面に接続されていてもよいし、第1端子91の下面に接続されていてもよい。また、可溶性導体シート50a~50fの第2端部52の全てが、第2端子92の上面に接続されていてもよいし、第2端子92の下面に接続されていてもよい。
可溶性導体シート50a~50fの各々は、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体であってもよいし、単層体であってもよい。低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体は低融点金属層の周囲を高融点金属層で覆った構造でもよい。
積層体の低融点金属層はSnを含む。低融点金属層は、Sn単体であってもよいし、Sn合金であってもよい。Sn合金は、Snを主成分とする合金である。Sn合金は、合金に含まれる金属の中でSnの含有量が最も多い合金である。Sn合金の例としては、Sn-Bi合金、In-Sn合金、Sn-Ag-Cu合金を挙げることができる。高融点金属層は、AgもしくはCuを含む。高融点金属層は、Ag単体であってもよいし、Cu単体であってもよいし、Ag合金であってもよいし、Cu合金であってもよい。Ag合金は合金に含まれる金属の中でAgの含有量が最も多い合金であり、Cu合金は、合金に含まれる金属の中でCuの含有量が最も多い合金である。積層体は、低融点金属層/高融点金属層の2層構造であってもよいし、高融点金属層を2層以上有し、低融点金属層が1層以上で、低融点金属層が高融点金属層の間に配置された3層以上の多層構造であってもよい。
単層体の場合は、AgもしくはCuを含む。単層体は、Ag単体であってもよいし、Cu単体であってもよいし、Ag合金であってもよいし、Cu合金であってもよい。
可溶性導体シート50a~50fの各々は、溶断部53に貫通孔54(54a、54b、54c)を有していてもよい。図に示す例では、貫通孔は3個であるが、個数に制限はない。貫通孔54を有することによって、第1端部51および第2端部52の断面積より、溶断部53の断面積が小さくなる。溶断部53の断面積が小さくなることによって、可溶性導体シート50a~50fの各々に定格を超える大電流が流れた場合には、溶断部53の発熱量が大きくなるため、溶断部53が溶断部となって溶断しやすくなる。第1端部51及び第2端部52側よりも溶断部53を溶断され易くする構成としては貫通孔に限らず、幅狭にしたり部分的に厚みを薄くするなどの構成とすることもできる。ミシン目の様な切込み形状でもよい。
また、可溶性導体シート50a~50fの各々において、溶断され易く構成された溶断部53は遮蔽部材20の凸状部20aによって切断され易い。
可溶性導体シート50a~50fの厚さは、過電流によって溶断され、かつ、遮蔽部材20によって物理的に切断される厚さとされている。具体的な厚さは可溶性導体シート50a~50fの材料や個数(枚数)、また押圧手段30の押圧力(応力)に依存するが、例えば、可溶性導体シート50a~50fが銅箔である場合は目安として、0.01mm以上0.1mm以下の範囲とすることができる。また、可溶性導体シート50a~50fがSnを主成分とする合金の周囲をAgでめっきした箔である場合は目安として、0.1mm以上1.0mm以下の範囲とすることができる。
第1絶縁部材60Aa~60Afの各々は、互いに隙間(第1分離部)64を介して対向した第1絶縁片63aと第2絶縁片63bからなる。第2絶縁部材60Bも同様に、互いに隙間(第2分離部)65を介して対向した第3絶縁片66aと第4絶縁片66bからなる。図示する例では、第1絶縁部材60Aa~60Af及び第2絶縁部材60Bの隙間64、65は、2つの部材(第1絶縁片63a及び第2絶縁片63b及び第3絶縁片66a及び第4絶縁片66b)に分離する分離部(第1分離部、第2分離部)であるが、遮蔽部材20の凸状部20aが移動(通過)可能な開口部(第1開口部、第2開口部)であってもよい。なお、第1分離部64および第2分離部65は、単に、分離部64、65と言い換えてもよい。また、第1開口部および第2開口部は、単に、開口部と言い換えてもよい(後述する変形例の第1開口部64Aおよび第2開口部65Aを参照)。
第1絶縁片63aおよび第2絶縁片63bはそれぞれY方向の両端側に、ヒューズエレメントの遮断時に発生するアーク放電に伴う圧力上昇を絶縁ケースの押圧手段収容空間へ効率良く逃がすための通気孔67を有する。図示した例では、第1絶縁片63aおよび第2絶縁片63bはそれぞれY方向の両端側に通気孔67を3個ずつ有するが、個数に制限はない。
アーク放電により発生した上昇圧力は、通気孔67を通り、押圧手段支持部20bと第2保持部材10Bbとの間に設けられた四隅の隙間(不図示)を介して、絶縁ケース10の押圧手段30を収容する空間へと効率良く逃がされる。そして、その結果、遮蔽部材20の遮蔽動作がスムーズに行われると共に、第1絶縁部材60Aa~60Afと第2絶縁部材60Bの破壊が防止される。
隙間64、65は、可溶性導体シート50a~50fの第1端部51と第2端部52との間に配置する溶断部53に対向する位置にある。すなわち、第1絶縁部材60Aa~60Afおよび第2絶縁部材60Bは、可溶性導体シート50a~50fの溶断部53に対向する位置で分離されている。
第1絶縁部材60Aa~60Afおよび第2絶縁部材60Bは、耐トラッキング指標CTIが500V以上の材料で形成されていることが好ましい。
第1絶縁部材60Aa~60Afおよび第2絶縁部材60Bの材料としては、樹脂材料を用いることができる。樹脂材料の例は、カバー10Aおよび保持部材10Bの場合と同じである。
ヒューズエレメント積層体40は、例えば、次のようにして製造することができる。
第1絶縁部材60Aa~60Afと第2絶縁部材60Bに設けられた凸部に対応した位置決め凹部と第1端子91と第2端子92の位置決め固定部を有する治具を用い、第1絶縁部材60Aaの上に、可溶性導体シート50a~50fと第1絶縁部材60Ab~60Afとを、それぞれ厚さ方向に交互に積層し、最上部に配置された可溶性導体シート50fの上面に第2絶縁部材60B配置して、積層体を得る。
(遮蔽部材)
遮蔽部材20は、ヒューズエレメント積層体40側に向いた凸状部20aと、押圧手段30の下部を収容して支持する凹部20baを有する押圧手段支持部20bとを有する。
遮蔽部材20は、押圧手段30の押圧力を下方に付与された状態で、係止部材70によって下方への移動が抑えられている。そのため、係止部材70が発熱体80の発熱によって加熱され軟化温度以上の温度で軟化されると、遮蔽部材20は下方へ移動可能になる。このとき、軟化された係止部材70はその材料の種類や加熱状況等によって、遮蔽部材20によって物理的に切断され、あるいは、熱的に溶断され、あるいは遮蔽部材20による物理的切断と熱的溶断が合わさった作用を受ける。
遮蔽部材20は係止部材70による下方への移動抑制が外れると、下方へ移動して可溶性導体シート50a~50fを物理的に切断する。
遮蔽部材20では、凸状部20aの先端20aaが尖っており、可溶性導体シート50a~50fを切断しやすい形状とされている。
図6に、 遮蔽部材20がヒューズエレメント積層体40の隙間64、65を移動し、凸状部20aによって可溶性導体シート50a、50b、50c、50d、50e、50fを切断し、遮蔽部材20が下がりきった状態の保護素子の断面図を示す。
遮蔽部材20がヒューズエレメント積層体40の隙間65、64を移動して下がっていき、遮蔽部材20の凸状部20aによって可溶性導体シート50f、50e、50d、50c、50b、50aを順に切断すると、切断面同士が凸状部20aによって遮蔽されて絶縁され、各可溶性導体シートを介した通電経路が物理的に確実に遮断される。これによって、アーク放電が迅速に消滅(消弧)する。
また、遮蔽部材20がヒューズエレメント積層体40の隙間65、64を移動して下方に下がりきった状態では、遮蔽部材20の押圧手段支持部20bが第2絶縁部材60Bからヒューズエレメント積層体40を押圧し、可溶性導体シートと第1絶縁部材60Aa~60Af及び第2絶縁部材60Bとが密着するので、その間にアーク放電が継続できる空間がなくなり、アーク放電が確実に消滅する。
凸状部20aの厚み(X方向の長さ)は、第1絶縁部材60Aa~60Af及び第2絶縁部材60Bの隙間64、65のX方向の幅よりも小さい。この構成によって、凸状部20aは隙間64、65をZ方向下方に移動可能となる。
例えば、可溶性導体シート50a~50fが銅箔である場合は、凸状部20aの厚みと隙間64、65のX方向の幅との差は例えば、0.05~1.0mmとすることができ、0.2~0.4mmとすることが好ましい。0.05mm以上であると、切断された最小厚み0.01mmの場合の可溶性導体シート50a~50fの端部が第1絶縁部材60Aa~60Af及び第2絶縁部材60Bと凸状部20aの隙間に入り込んでも凸状部20aの移動がスムーズとなり、アーク放電がより迅速かつ確実に消滅される。これは、上記差が0.05mm以上であると、凸状部20aが引掛りにくいためである。また、上記差が1.0mm以下であると、隙間64、65が、凸状部20aを移動させるガイドとして機能する。したがって、可溶性導体シート50a~50fの溶断時に移動する凸状部20aの位置ずれが防止され、アーク放電がより迅速かつ確実に消滅される。可溶性導体シート50a~50fがSnを主成分とする合金の周囲をAgでめっきした箔である場合は、凸状部20aの厚みと隙間64、65のX方向の幅との差は例えば、0.2~2.5mmとすることができ、0.22~2.2mmとすることが好ましい。
凸状部20aの幅(Y方向の長さ)は、ヒューズエレメント積層体40の可溶性導体シート50a~50fの幅より広い。この構成によって、凸状部20aが可溶性導体シート50a~50fの各々を切断することが可能である。
凸状部20aのZ方向の長さLは、Z方向下方に下がりきったときに、凸状部20aの先端20aaが、第1絶縁部材60Aa~60AfのうちZ方向で最下部に配置する第1絶縁部材60Aaよりも下方まで到達できる長さを有する。凸状部20aは最下部に配置する第1絶縁部材60Aaよりも下がるときには、保持部材10Baの内底面13に形成された挿入孔14に挿入される。
この構成によって、凸状部20aが可溶性導体シート50a~50fの各々を切断することが可能となる。
(押圧手段)
押圧手段30は、遮蔽部材20をZ方向下方に押圧した状態で遮蔽部材20の凹部20baに収容されている。
押圧手段30としては、例えば、バネ、ゴムなど、弾性力を付与できる公知の手段を用いることができる。
保護素子100においては、押圧手段30としてバネが用いられている。バネ(押圧手段)30は、遮蔽部材20の凹部20baに縮められた状態で保持されている。
押圧手段30として用いるバネの材料としては、公知のものを用いることができる。
押圧手段30として用いられるバネとしては、円筒状のものを用いてもよいし、円錐状のものを用いてもよい。円錐状のバネを用いると収縮長を短くできるため、押圧時の高さを抑制して保護素子の小型化を図ることができる。また、円錐状のバネは、複数個重ねて応力の増強を図ることも可能である。
押圧手段30として円錐状のバネを用いる場合、外径の小さい側を可溶性導体シート50a~50fの各々の溶断部(切断部)53側に向けて配置してもよいし、外径の大きい側を可溶性導体シート50a~50fの各々の溶断部53側に向けて配置してもよい。
押圧手段30として円錐状のバネを用いる場合、外径の小さい側を可溶性導体シート50a~50fの各々の溶断部(切断部)53側に向けて配置することにより、例えば、バネが金属などの導電性材料で形成されている場合に、可溶性導体シート50a~50fの各々の溶断部53の切断時に発生するアーク放電の継続をより効果的に抑制できる。これは、アーク放電の発生場所と、バネを形成している導電性材料との距離が確保されやすくなるためである。
また、押圧手段30として円錐状のバネを用い、外径の大きい側を可溶性導体シート50a~50fの各々の溶断部53側に向けて配置した場合、押圧手段30から遮蔽部材20により均等に弾性力を付与でき、好ましい。
(係止部材)
係止部材70は、第2絶縁部材60Bの隙間65を橋渡しし、遮蔽部材20の移動を抑える。
保護素子100においては、3個の係止部材70(70A、70B、70C)を備えるが、3個に限定されない。
係止部材70Aは第2絶縁部材60Bの溝60Ba1及び溝60Ba2に載置(挿入)され、係止部材70Bは第2絶縁部材60Bの溝60Bb1及び溝60Bb2に載置(挿入)され、係止部材70Cは第2絶縁部材60Bの溝60Bc1及び溝60Bc2に載置(挿入)される。
また、遮蔽部材20の凸状部20aの先端20aaには係止部材70の形状と位置に対応した溝があり(図12(b)参照)、その溝が係止部材70を挟み込む様に安定して保持する。
3個の係止部材70A、70B、70Cは同じ形状である。係止部材70Aについて図を用いて形状を説明すると、係止部材70Aは第2絶縁部材60Bに形成された溝に載置されて支持される支持部70Aaと、支持部から下方に延びてその先端70Abaが最上部の可溶性導体シート50fに近接若しくは接触する突出部70Abとを有する。係止部材70では、すべての係止部材70が同じ形状であるが、異なる形状のものが含まれてもよい。
係止部材70A、70B、70Cの上に発熱体80A、80Bが載置されている。発熱体80A、80Bに電流が通電されると、発熱体80A、80Bが発熱し、係止部材70に伝熱して係止部材70は昇温し軟化温度以上の温度において軟化する。ここで、軟化温度とは、固相と液相が混在あるいは共存する温度あるいは温度範囲を意味する。係止部材70が軟化温度以上の温度になると、外力により変形するくらい柔らかくなる。
軟化した係止部材70は押圧手段30の押圧力によって押圧された遮蔽部材20の凸状部20aによって物理的に切断されやすくなる。係止部材70が切断されると、遮蔽部材20の凸状部20aは、隙間65、64をZ方向下方に挿入されていく。
凸状部20aが隙間65、64をZ方向下方に挿入されていく際に、凸状部20aが可溶性導体シートを切断しながら、突き進んで最下位置まで到達する。これによって凸状部20aは可溶性導体シート50a~50fをその溶断部53で第1端子91側と第2端子92側とに遮蔽する。これによって可溶性導体シート50a~50fが切断される際に発生するアーク放電は迅速かつ確実に消滅させることができる。
発熱体80A、80Bの発熱が係止部材70を介して可溶性導体シート50fが加熱され、さらに他の可溶性導体シートも加熱されて、可溶性導体シート50a~50fは物理的に切断されやすい。また、発熱体80A、80Bの発熱の大きさによっては可溶性導体シート50fが熱的に溶断され得る。この場合は、凸状部20aはそのまま突き進んで最下位置まで到達する。
係止部材70では、突出部70Abが可溶性導体シート50fに接触している。そのため、可溶性導体シートに定格電流を越えた過電流が流れると、可溶性導体シート50fに接触している係止部材70は伝熱して昇温し、軟化温度以上の温度において軟化する。
また、大きな過電流が流れ瞬時に可溶性導体シート50fが溶断した場合は、発生したアーク放電が係止部材70にも流れ、係止部材70は軟化温度以上の温度において軟化する。
軟化した係止部材70は押圧手段30の押圧力によって押圧された遮蔽部材20の凸状部20aによって物理的に切断されやすくなる。係止部材70が切断されると、遮蔽部材20の凸状部20aは、隙間65、64をZ方向下方に挿入されていく。
この場合、可溶性導体シートは定格電流を越えた過電流が流れて熱的に溶断されており、凸状部20aはそのまま隙間65、64をZ方向下方に挿入されていく。この際、凸状部20aは可溶性導体シート50a~50fをその溶断部で第1端子91側と第2端子92側とに遮蔽する。これによって可溶性導体シート50a~50fが切断される際に発生するアーク放電は迅速かつ確実に消滅させることができる。
仮に可溶性導体シートが未だ熱的に溶断されていないときでも、凸状部20aが隙間65、64をZ方向下方に挿入されていく際に、凸状部20aが可溶性導体シートを切断しながら、突き進んで最下位置まで到達する。これによって凸状部20aは可溶性導体シート50a~50fをその溶断部で第1端子91側と第2端子92側とに遮蔽する。これによって可溶性導体シート50a~50fが遮断される際に発生するアーク放電は迅速かつ確実に消滅させることができる。
図7(a)に係止部材70の変形例である係止部材71を有する保護素子を示す。図7(b)は、係止部材71の近傍の拡大図である。
係止部材71は、第2絶縁部材60Bに形成された溝に載置されて支持される支持部71Aaのみを有し、可溶性導体シート50fに接触する突出部を有さない構成である。
係止部材71は可溶性導体シート50fに接触する部分を有さないため、可溶性導体シートに定格電流を越えた過電流が流れても軟化されず、発熱体80によってのみ軟化される。ただし、高電圧に伴うアーク放電が発生した場合に於いては、アーク放電が係止部材71に達し係止部材71を溶断させ、凸状部20aによる可溶性導体シート50a~50fをその溶断部で第1端子91側と第2端子92側とに遮蔽する。
係止部材70、71の材料は可溶性導体シートと同じ材料のものとすることができるが、発熱体80の通電によって迅速に軟化するため、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体であることが好ましい。例えば、融点217℃のSnを主成分とする合金の周囲を、融点962℃のAgでめっきしたものを用いることができる。
(発熱体)
発熱体80は係止部材70の上面に接触するように載置される。発熱体80に電流を通電させることによって発熱し、その熱によって係止部材70を加熱して軟化、溶融する。
係止部材70の溶融によって、押圧手段30によってZ方向下方に押圧力が付与されている遮蔽部材20はヒューズエレメント積層体40の隙間に挿入され、可溶性導体シート50を切断し、ヒューズエレメント積層体40を第1端子91側と第2端子92側に遮蔽する。
保護素子100においては、2個の発熱体80(80A、80B)を備えるが、2個に限定されない。
図8に発熱体80の模式図を示す。図8(a)は発熱体80のおもて面(押圧手段30側の面)の平面図であり、図8(b)は絶縁基板の平面図であり、図8(c)~(e)はそれぞれ、絶縁基板のおもて面側の3層を順に積層し、下の層も見えるように示した透過平面図である。図8(c)は絶縁基板上に抵抗層を積層した状態、(d)は(c)にさらに絶縁層を積層した状態、(e)は(d)にさらに電極層を積層した状態、の平面図である。図8(f)は発熱体80の裏面(ヒューズエレメント積層体40側の面)の平面図である。
発熱体80A、80Bはそれぞれ、絶縁基板80-3のおもて面80-3A(押圧手段30側の面)に平行に離間して配置する2つの抵抗層80-1(80-1a、80-1b)と、抵抗層80-1を覆う絶縁層80-4と、絶縁基板80-3上に形成され、抵抗層80-1aの両端に電気的に接続する発熱体電極80-5a及び発熱体電極80-5bと、抵抗層80-1bの両端に電気的に接続する発熱体電極80-5c及び発熱体電極80-5dと、絶縁基板80-3の裏面80-3B(ヒューズエレメント積層体40側の面)に形成された電極層80-2(80-2a、80-2b)と、を有する。抵抗層は、発熱体80A、80Bそれぞれに2つずつ備えるが、これは180度回転して搭載してもよいように配慮したフェールセーフ設計であり、2つが必須ではない。
抵抗層80-1は、通電すると発熱する導電性を有する材料、例えばニクロム、W、Mo、Ru等、又は、これらを含む材料からなる。抵抗層80-1は、これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを絶縁基板80-3上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成する。絶縁基板80-3は、例えば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する基板である。絶縁層80-4は、抵抗層80-1の保護を図るために設けられる。絶縁層80-4の材料としては、例えば、セラミックス、ガラスなどの絶縁材料を用いることができる。絶縁層80-4は、絶縁材料のペーストを塗布し、焼成する方法によって形成することができる。
発熱体80A、80Bのそれぞれのおもて面の発熱体電極80-5a~dと、裏面の電極層80-2a~bは、絶縁基板80-3により電気的に絶縁されている。
発熱体80A、80Bとしては図8に示したものに限らず、公知のものを用いることができる。
発熱体80A、80Bは、保護素子100の通電経路となる外部回路に異常が発生する等によって通電経路を遮断する必要が生じた場合に、外部回路に設けられた電流制御素子によって通電され発熱される。
(給電部材)
図9は、発熱体80A、80Bへ給電する給電部材の引き出し方法を説明するための保護素子の斜視図であり、(a)は発熱体80A、80Bを直列につなぐ場合であり、(b)は発熱体80A、80Bを並列につなぐ場合である。本参考例では、給電部材の少なくとも一部が、電線(配線部材)により構成される。ただしこれに限らず、特に図示しないが、給電部材の少なくとも一部が、導電性を有する板状部材や棒状部材などにより構成されていてもよい。
図9(a)においては、給電部材90aが発熱体80Aの発熱体電極80-5c(図8参照)に接続され、発熱体80Bの発熱体電極80-5a(図8参照)に給電部材90bが接続され、給電部材90Aが発熱体80Aの発熱体電極80-5d(図8参照)及び発熱体80Bの発熱体電極80-5b(図8参照)に接続されている。また、発熱体80Aの電極層80-2は係止部材70(70A、70B、70C)を介して発熱体80Bの電極層80-2に接続されている。この構成では、「給電部材90a~発熱体80Aの発熱体電極80-5c~発熱体80Aの抵抗層80-1a~発熱体80Aの発熱体電極80-5d~給電部材90A~発熱体80Bの発熱体電極80-5b~発熱体80Bの抵抗層80-1b~発熱体80Bの発熱体電極80-5a~給電部材90b」の経路で給電して発熱体80A、80Bを発熱させる。この発熱によって係止部材70(70A、70B、70C)が溶融され、遮蔽部材20がヒューズエレメント積層体40の隙間64、65に挿入される。遮蔽部材20がヒューズエレメント積層体40の隙間64、65に挿入されることによって給電部材90Aが切断され、発熱体80A、80Bへの給電が遮断され、発熱体80A、80Bの発熱が停止する。
図9(b)においては、給電部材90cが発熱体80Aの発熱体電極80-5cに接続され、発熱体80Aの発熱体電極80-5dに給電部材90eが接続されている。また、給電部材90dが発熱体80Bの発熱体電極80-5aに接続され、発熱体電極80-5b(図8参照)に給電部材90fが接続されている。この構成では、「給電部材90c~発熱体80Aの発熱体電極80-5c~発熱体80Aの抵抗層80-1a~発熱体80Aの発熱体電極80-5d~給電部材90e」の第1の経路と、「給電部材90d~発熱体80Bの発熱体電極80-5a~発熱体80Bの抵抗層80-1b~発熱体80Bの発熱体電極80-5b~給電部材90f」の第2の経路とが並列で構成されている。第1の経路及び第2の経路で給電して発熱体80A、80Bを発熱させる。この発熱によって係止部材70(70A、70B、70C)が溶融され、遮蔽部材20がヒューズエレメント積層体40の隙間64、65に挿入される。この構成では、遮蔽部材20がヒューズエレメント積層体40の隙間64、65に挿入されることによって発熱体80A、80Bへの給電が遮断されずに、発熱体80A、80Bの発熱が継続する。よって、別途システム制御(タイマー等)により適宜電流制御素子への通電を停止することにより、遮断後の保護素子100の発熱体80A、80Bの発熱を停止することができる。
(第1端子、第2端子)
第1端子91は、一方の端部が可溶性導体シート50a~50fの第1端部51と接続し、他方の端部が絶縁ケース10の外部に露出している。また、第2端子92は、一方の端部が可溶性導体シート50a~50fの第2端部52と接続し、他方の端部が絶縁ケース10の外部に露出している。
第1端子91と第2端子92とは、略同形であってもよいし、それぞれ異なる形状であってもよい。第1端子91および第2端子92の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、0.3mm以上1.0mm以下の範囲内にあってもよい。第1端子91の厚みと第2端子92の厚みとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1端子91は、外部端子孔91aを備えている。また、第2端子92は、外部端子孔92aを備えている。外部端子孔91a、外部端子孔92aのうち、一方は電源側に接続するために用いられ、他方は負荷側に接続するために用いられる。もしくは、外部端子孔91a、外部端子孔92aは、負荷の内部の通電経路に接続されるために用いられてもよい。外部端子孔91aおよび外部端子孔92aは、平面視略円形の貫通孔とすることができる。
第1端子91および第2端子92としては、例えば、銅、黄銅、ニッケルなどからなるものを用いることができる。第1端子91および第2端子92の材料として、剛性強化の観点からは黄銅を用いることが好ましく、電気抵抗低減の観点からは銅を用いることが好ましい。第1端子91と第2端子92とは、同じ材料からなるものであってもよいし、異なる材料からなるものであってもよい。
(保護素子の製造方法)
本参考例の保護素子100は、次のようにして製造することができる。
先ず、治具にて位置決めされたヒューズエレメント積層体40と、第1端子91および第2端子92とを用意する。そして、ヒューズエレメント積層体40の可溶性導体シート50a~50fの各々の第1端部51と第1端子91とをハンダ付けによって接続する。
また、第2端部52と第2端子92とをハンダ付けによって接続する。ハンダ付けに使用されるハンダ材料としては、公知のものを用いることができ、抵抗率と融点および環境対応鉛フリーの観点からSnを主成分とするものを用いることが好ましい。可溶性導体シート50a~50fの第1端部51と第1端子91との接続および可溶性導体シート50a~50fの第2端部52と第2端子92との接続は、ハンダ付けに限定されるものではなく、溶接による接合など公知の接合方法を用いてもよい。
次に、係止部材70A、70B、70Cを用意する。係止部材70A、70B、70Cのそれぞれを、図3に示した第2絶縁部材60Bの溝60Ba1及び溝60Ba2、溝60Bb1及び溝60Bb2、及び、溝60Bc1及び溝60Bc2のそれぞれに配置する。また、第2絶縁部材60Bと同じ形状の治具を用いてもよい。
次に、図8(a)及び図8(b)に示した発熱体80A、80Bとハンダペーストを用意する。そして、係止部材70A、70B、70Cと発熱体80A、80Bの接続部位にハンダペーストを適量塗布した後、図9(a)に示すように、第2絶縁部材60Bの所定の位置に発熱体80A、80Bを配置する。発熱体80A、80Bはその裏側が係止部材70A、70B、70Cの上に載置する。オーブンやリフロー炉等で加熱し係止部材70A、70B、70Cと発熱体80A、80Bをハンダ接続する。
次に、給電部材90a、90b、90Aを用意する。給電部材90aを給電部材載置面12に配置し、給電部材90aを発熱体80Aの発熱体電極80-5cにハンダ付けすることによって接続する。また、給電部材90bを給電部材載置面12に配置し、給電部材90bを発熱体80Bの発熱体電極80-5aにハンダ付けすることによって接続する。また、給電部材90Aを発熱体80Aの発熱体電極80-5d及び発熱体80Bの発熱体電極80-5bにハンダ付けすることによって接続する。給電部材90a、90b、90Aと発熱体80A、80Bとは、溶接による接合によって接続されていてもよく、公知の接合方法を用いることができる。
次に、第2保持部材10Bb、遮蔽部材20、及び、押圧手段30を用意する。そして、押圧手段30を遮蔽部材20の凹部20baに配置し、第2保持部材10Bbに収容する。
次に、遮蔽部材20の先端20aaに設けられた溝に係止部材70A、70B、70Cを嵌め込み押圧手段30を圧縮しながら、第1保持部材10Baの第1端部10Baa及び第2端部10Babのそれぞれに2個ずつ形成された凹部17に、第2保持部材10Bbの対応箇所に形成された4個の凸部(不図示)を係合して、保持部材10Bを形成する。
次に、カバー10Aを用意する。そして、カバー10Aの収容部22に、保持部材10Bを挿入する。次いで、保持部材10Bの端子接着剤注入口16に接着剤を注入して、端子載置面111と第1端子91および第2端子92との隙間を埋める。また、ケース接着剤注入口であるカバー10Aの楕円状側面の傾斜面21に接着剤を注入して、カバー10Aと保持部材10Bとを接着させる。接着剤としては、例えば、熱硬化性樹脂を含む接着剤を用いることができる。こうして、カバー10A内が密閉された絶縁ケース10が形成される。
以上の工程により、本参考例の保護素子100が得られる。
本参考例の保護素子100では、ヒューズエレメント50(複数個の可溶性導体シート50a~50f)に定格電流を超えた過電流が流れた場合にヒューズエレメント50が熱的に溶断されて電流経路を遮断させる他、発熱体80に電流を通電して遮蔽部材20の移動を抑制している係止部材70を溶融し、押圧手段30によって遮蔽部材20を移動させて、ヒューズエレメント50を物理的に切断して電流経路を遮断させることが可能である。
本参考例の保護素子100では、押圧手段30による押圧力が付与されている遮蔽部材20の移動を係止部材70によって抑制する構成であるため、電流経路の遮断時以外は、ヒューズエレメント50(複数個の可溶性導体シート50a~50f)に押圧手段30と遮蔽部材20とによる切断押圧力がかからない。そのため、ヒューズエレメント50の経時劣化が抑制され、また、電流経路の遮断が必要でないときにヒューズエレメント50が昇温した際に押圧力が付与された状態であることに起因する断線を防止できる。
本参考例の保護素子100では、ヒューズエレメント積層体40が厚さ方向に並列配置された複数個の可溶性導体シート50a~50fを含み、その可溶性導体シート50a~50fの各々がその間に配置された第1絶縁部材60Aa~60Af及び第2絶縁部材60Bと近接もしくは接触(密着)して絶縁されている。このため、可溶性導体シート50a~50fの各々に流れる電流値が小さくなり且つ可溶性導体シート50a~50fを取り巻く空間が極めて狭くなり、溶断することによって発生するアーク放電の規模が小さくなりやすくなる。つまり、溶断空間が狭いとその空間内の気体が少なくなり、アーク放電中に電流が流れる経路となる「空間内の気体が電離して発生するプラズマ」の量も少なくなり、アーク放電を早期に消弧し易くなる。よって、本参考例の保護素子100によれば、絶縁ケース10のサイズを小型軽量化することが可能となる。
本参考例の保護素子100において、可溶性導体シート50a~50fのうちの最下部に配置された可溶性導体シート50aと絶縁ケース10の第1保持部材10Baとの間に第1絶縁部材60Aaが配置し、また、可溶性導体シート50a~50fのうちの最上部に配置された可溶性導体シート50fと絶縁ケース10の第2保持部材10Bbとの間の各々に第2絶縁部材60Bが配置されていると、可溶性導体シート50a、50fが第1保持部材10Ba、第2保持部材10Bbと直接接触しないので、アーク放電によって、これらの絶縁ケース10の内部表面に導電路となる炭化物が形成されにくくなるので、絶縁ケース10のサイズを小型にしてもリーク電流が発生しにくくなる。
本参考例の保護素子100において、第1絶縁部材60Aa~60Afおよび第2絶縁部材60Bが可溶性導体シート50a~50fの第1端部51と第2端部52との溶断部53に対向する位置で分離されていると、可溶性導体シート50a~50fが溶断部53で溶断したときに、第1絶縁部材60Aa~60Afおよび第2絶縁部材60Bの表面の連続的な溶融飛散物の付着を抑制することができる。このため、可溶性導体シート50a~50fの溶断によって発生したアーク放電を早期に消弧させることができる。
本参考例の保護素子100において、第1絶縁部材60Aa~60Af、第2絶縁部材60B、遮蔽部材20、絶縁ケース10のカバー10A、および保持部材10Bのうち少なくとも一つは、耐トラッキング指標CTIが500V以上の材料で形成されていると、アーク放電によって、これらの部品の表面に導電路となる炭化物が形成されにくくなるので、絶縁ケース10のサイズを小型にしてもリーク電流がより発生しにくくなる。
本参考例の保護素子100において、第1絶縁部材60Aa~60Af、第2絶縁部材60B、遮蔽部材20、絶縁ケース10のカバー10A、および保持部材10Bのうち少なくとも一つは、ポリアミド系樹脂またはフッ素系樹脂で形成されていると、ポリアミド系樹脂またはフッ素系樹脂は、絶縁性と耐トラッキング性とが優れるので、小型化と軽量化を両立しやすくなる。
本参考例の保護素子100において、可溶性導体シート50a~50fの各々が、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体であり、低融点金属層がSnを含み、高融点金属層がAgもしくはCuを含むと、低融点金属層が溶融することによって高融点金属がSnによって溶解されるので、可溶性導体シート50a~50fの溶断温度が低くなる。また、AgやCuはSnよりも物理的強度が高いため、低融点金属層に高融点金属層を積層した可溶性導体シート50a~50fの物理的強度は、低融点金属層単体の物理的強度よりも高くなる。さらには、AgやCuはSnよりも電気抵抗率が低く、低融点金属層に高融点金属層を積層した可溶性導体シート50a~50fの電気抵抗値は、低融点金属層単体の電気抵抗値よりも低くなる。即ち、より大電流対応のヒューズエレメントとなる。
本参考例の保護素子100において、可溶性導体シート50a~50fの各々が、高融点金属層を2層以上有し、低融点金属層を1層以上有し、低融点金属層が高融点金属層の間に配置された積層体であると、外側に高融点金属層があるので、可溶性導体シート50a~50fの強度が高くなる。特に、可溶性導体シート50a~50fの第1端部51と第1端子91および第2端部52と第2端子92とをハンダ付けで接続する場合には、ハンダ付け時の加熱による可溶性導体シート50a~50fの変形が起こりにくくなる。
本参考例の保護素子100において、可溶性導体シート50a~50fの各々が、銀もしくは銅を含む単層体であると、高融点金属層と低融点金属層の積層体である場合と比較して、電気抵抗率が小さくなりやすい。このため、銀もしくは銅を含む単層体からなる可溶性導体シート50a~50fは、高融点金属層と低融点金属層の積層体からなる可溶性導体シート50a~50fと同じ面積で同等の電気抵抗を有する場合でも、厚みを薄くすることができる。可溶性導体シート50a~50fの厚みが薄いと、可溶性導体シート50a~50fが溶断したときの溶融飛散物量も厚みに比例して少なくなり、遮断後の絶縁抵抗が高くなる。
本参考例の保護素子100において、可溶性導体シート50a~50fの各々は、溶断部53に貫通孔54が設けられていて、第1端部51および第2端部52の通電方向の断面積より溶断部53の通電方向の断面積が小さくなるようにされた溶断部を有しているので、電流経路に定格を超える電流が流れたとき溶断する部位が安定する。なお、本参考例の保護素子100においては溶断部53に貫通孔54を設けているが、溶断部53の断面積が小さくする方法に特に制限はない。例えば、溶断部53の両端部を凹状に切り取ることや部分的に厚みを薄くすることによって、溶断部53の断面積を小さくしてもよい。
(変形例)
図10は、第1参考例の変形例の模式図であり、(a)は保持部材10Bの変形例である保持部材10BBの斜視図であり、(b)は第1絶縁部材60A及び第2絶縁部材60Bの変形例である第1絶縁部材61A及び第2絶縁部材61Bが遮蔽部材20の凸状部20aが移動(通過)可能な開口部を有する構成の斜視図である。図11(a)に第2絶縁部材の斜視模式図、(b)に第1絶縁部材の斜視模式図を示す。なお、6個の第1絶縁部材は同じ形状を有するものであるため、図11(b)に示す第1絶縁部材はその共通する構成を示すものである。
なお、この変形例におけるヒューズエレメント積層体は、第1絶縁部材以外は図4で示した構成と同様である。従って、以下の説明においては図4で示した部材と共通する部材については同じ符号で記載する。
図10及び図11に示す第1絶縁部材61Aa~61Afの各々は第1開口部64Aを有し、第2絶縁部材61Bは第2開口部65Aを有する。また、第1開口部64Aと第2開口部65AのY方向の長さは、可溶性導体シート50a~50f及び遮蔽部材20の凸状部20aのY方向の長さよりも大きい。これにより、可溶性導体シート50a~50fが遮断された後、凸状部20aが第1開口部64Aと第2開口部65Aに挿入され可溶性導体シート50a~50fの溶断部が確実に遮蔽される。
第1絶縁部材61Aa~61Afの各々および第2絶縁部材61BはそれぞれY方向の両端側に、ヒューズエレメントの遮断時に発生するアーク放電に伴う圧力上昇を絶縁ケースの押圧手段収容空間へ効率良く逃がすための通気孔67Aを有する。図示した例では、第1絶縁部材61Aa~61Afの各々および第2絶縁部材61BはそれぞれY方向の両端側であって第1開口部64Aあるいは第2開口部65Aを挟んで左右に、通気孔67Aを5個ずつ有するが、個数に制限はない。
アーク放電により発生した上昇圧力は、通気孔67Aを通り、押圧手段支持部20bと第2保持部材10BBbとの間に設けられた四隅の隙間(不図示)を介して、絶縁ケース10の押圧手段30を収容する空間へと効率良く逃がされる。そして、その結果、遮蔽部材20の遮蔽動作がスムーズに行われると共に、第1絶縁部材61Aa~61Afと第2絶縁部材61Bの破壊が防止される。
第1開口部64A、第2開口部65Aは、可溶性導体シート50a~50fの第1端部51と第2端部52との間に配置する溶断部53に対向する位置にある。
第1絶縁部材61Aa~61Afおよび第2絶縁部材61Bの材料については、第1絶縁部材60Aa~60Afおよび第2絶縁部材60Bの材料と同様のものが好ましく、また、同様の種類の材料を用いることができる。
図10(a)及び図10(b)に示す保持部材10BB(Z方向で上側に配置する第2保持部材10BBbとZ方向で下側に配置する第1保持部材10BBa)は、第1絶縁部材及び第2絶縁部材の変形例に対応する形状とされている。
(保護素子(第2参考例))
図12~図15は、第2参考例に係る保護素子を示す模式図である。第2参考例に係る保護素子は、電流経路を遮断させる機構として、発熱体によるアクティブ遮断機構を有さず、可溶性導体シートに定格電流を超えた過電流が流れた場合に可溶性導体シートが溶断されて電流経路を遮断させる過電流遮断機構のみによる点が第1参考例に係る保護素子に対する主な相違点である。具体的には、第2参考例に係る保護素子は、発熱体及び給電部材を有さない点が第1参考例に係る保護素子に対する主な相違点である。
以下の図面において、第1参考例に係る保護素子と同様又はほぼ同様の構成部材については同じ符号を付与して説明を省略する。
図12(a)は、図2に対応する図であり、保護素子の内部が見えるように一部を除去して模式的に示した斜視図であり、(b)は遮蔽部材の斜視図である。図13は、第2参考例に係る保護素子の、図5(a)に対応する断面図である。図14は、図6に対応する断面図であり、遮蔽部材がヒューズエレメントを切断して下がりきった状態の保護素子の断面図である。図15は、ヒューズエレメント積層体、第1端子及び第2端子を第1保持部材に設置された状態を模式的に示した斜視図である。
図12~図15に示す保護素子200は、絶縁ケース11と、ヒューズエレメント積層体140と、第1絶縁部材160Aと、遮蔽部材120と、押圧手段30と、係止部材170と、を有する。なお、本参考例の保護素子200において、通電方向は、使用時において電気が流れる方向(X方向)を意味し、通電方向の断面積は、通電方向に対して直交する方向の面(Y-Z面)の面積を意味する。
(絶縁ケース)
絶縁ケース11は、略長円柱状(Y-Z面の断面がX方向のどの位置でも長円)である。絶縁ケース11は、カバー110Aと保持部材110Bとからなる。
保護素子200は発熱体及び給電部材を有さないため、それに伴って、カバー110A及び保持部材110Bは発熱体用の部位や給電部材用の部位を備えない点がカバー10A及び保持部材10Bに対する差異である。
保持部材110Bは、Z方向で下側に配置する第1保持部材110BaとZ方向で上側に配置する第2保持部材110Bbとからなる。
カバー110A及び保持部材110Bの外形は、小型でアーク放電による内圧上昇に耐える様に略長円柱状とし材料使用量を抑えているが、保護素子の定格電圧・定格電流・遮断容量に応じアーク放電による破壊が起きない限りにおいて、外形は略長円柱状に限らず直方体などの任意の形状を取ることができる。
保持部材110Bの内部には、内圧緩衝空間15(図14参照)が形成されている。内圧緩衝空間15は、ヒューズエレメント積層体140の溶断時に発生するアーク放電によって生成する気体による保護素子200の内圧の急激な上昇を抑える作用がある。
カバー110Aと保持部材110Bの材料としては、カバー10A及び保持部材10Bと同様の材料を用いることができる。
(ヒューズエレメント積層体)
ヒューズエレメント積層体140は、厚さ方向に並列配置された複数個の可溶性導体シート50(複数個の可溶性導体シートをまとめてヒューズエレメント50ということがある)と、複数個の可溶性導体シート50の各々の間、及び、複数個の可溶性導体シート50のうちの最下部及び最上部に配置された可溶性導体シート50の外側に近接若しくは接触させた状態で配置され、第1開口部が形成された複数の第1絶縁部材160A(160Aa~160Ag)とを有する。ヒューズエレメント積層体140はヒューズエレメントと第1絶縁部材とからなる。
複数個の可溶性導体シート50は図4で示したものと同じ構成を有するものであり、上述した特徴の説明は省略する。また、複数の第1絶縁部材160A(160Aa~160Ag)はすべて同じ構成を有する部材であり、図10(b)で示した第1絶縁部材61Aと同じ構成を有するものであり、上述した特徴の説明は省略する。
図12~図15に示した保護素子200においては、保護素子100が備える第2絶縁部材60Bに対応する箇所に第1絶縁部材を備える点で相違する。保護素子200においても、最上部に配置する第1絶縁部材に替えて、第1絶縁部材とは異なる構成の絶縁部材を備えてもよい。
ここで、保護素子100においては、第2絶縁部材60Bは発熱体80を配置する箇所を備えるなどで第1絶縁部材60Aと相違する。しかし、第1絶縁部材60Aと同様な構成で代用することも可能であり、この場合には第2絶縁部材60Bと第1絶縁部材60Aとは構成上の差異はなくなり、この場合には保護素子100もヒューズエレメント積層体40もヒューズエレメントと第1絶縁部材とからなるものとなる。
ヒューズエレメント積層体140は、厚さ方向(Z方向)に並列配置された6個の可溶性導体シート50a、50b、50c、50d、50e、50fを有する。可溶性導体シート50a~50fの各々の間には、第1絶縁部材160Ab、160Ac、160Ad、160Ae、160Afが配置されている。第1絶縁部材160Ab~160Afは、可溶性導体シート50a~50fの各々に近接もしくは接触させた状態で配置されている。近接させた状態は、第1絶縁部材160Ab~160Afと可溶性導体シート50a~50fとの距離が0.5mm以下の状態であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以下の状態である。
また、可溶性導体シート50a~50fのうちの最下部に配置された可溶性導体シート50aの外側には第1絶縁部材160Aaが配置されている。さらに、可溶性導体シート50a~50fのうちの最上部に配置された可溶性導体シート50fの外側には第1絶縁部材160Agが配置されている。可溶性導体シート50a~50fの幅(Y方向の長さ)は、第1絶縁部材160Aa~160Agの幅よりも狭くなっている。
ヒューズエレメント積層体140は、複数個の可溶性導体シートが6個の例であるが、6個に限定されず、複数個であればよい。
また、可溶性導体シート50a~50fの各々において、溶断され易く構成された溶断部53は遮蔽部材120の凸状部120aによって切断され易い。
可溶性導体シート50a~50fの厚さは、過電流によって溶断される厚さとされている。具体的な厚さは可溶性導体シート50a~50fの材料や個数(枚数)、また押圧手段30の押圧力(応力)に依存するが、例えば、可溶性導体シート50a~50fが銅箔である場合は目安として、0.01mm以上0.1mm以下の範囲とすることができる。
また、可溶性導体シート50a~50fがSnを主成分とする合金の周囲をAgでめっきした箔である場合は目安として、0.1mm以上1.0mm以下の範囲とすることができる。
第1絶縁部材160Aa~160Agの各々は、X方向における中央部に遮蔽部材120の凸状部120aが移動(通過)可能な第1開口部64Aを有する。
第1絶縁部材160Aa~160Agはヒューズエレメントの遮断時に発生するアーク放電に伴う圧力上昇を絶縁ケースの押圧手段収容空間へ効率良く逃がすための通気孔67Aを有する。図示した例では、第1絶縁部材160Aa~160Agは、それぞれY方向の両端側の、第1開口部64Aを挟んで左右に、通気孔67Aを5個ずつ有するが、個数に制限はない。
アーク放電により発生した上昇圧力は、通気孔67Aを通り、押圧手段支持部120bと第2保持部材110Bbとの間に設けられた四隅の隙間(不図示)を介して、絶縁ケース11の押圧手段30を収容する空間へと効率良く逃がされる。そして、その結果、遮蔽部材120の遮蔽動作がスムーズに行われると共に、第1絶縁部材160Aa~160Agの破壊が防止される。
第1開口部64Aは、可溶性導体シート50a~50fの第1端部51と第2端部52との間に配置する溶断部53に対向する位置にある。
(遮蔽部材)
遮蔽部材120は、ヒューズエレメント積層体140側に向いた凸状部120aと、押圧手段30の下部を収容して支持する凹部120baを有する押圧手段支持部120bとを有する。凸状部120aの先端に係止部材170を挟むための挟み溝120aAを有する。遮蔽部材120では、挟み溝120aAを3個有するが、個数に制限はない。
遮蔽部材120は、押圧手段30の押圧力を下方に付与された状態で、係止部材170によって下方への移動が抑えられている。係止部材170はその突出部170bが可溶性導体シート50fに接触しているため、可溶性導体シートに定格電流を越えた過電流が流れると、係止部材170は伝熱して昇温し、軟化温度以上の温度において軟化する。また、大きな過電流が流れ瞬時に可溶性導体シート50fが溶断した場合は、発生したアーク放電が係止部材170にも流れ、係止部材170は軟化温度以上の温度において軟化する。軟化した係止部材170は押圧手段30の押圧力によって押圧された遮蔽部材120の凸状部120aによって物理的に切断されやすくなる。
係止部材170が切断されて係止部材170による下方への移動抑制が外れると、遮蔽部材120は下方へ移動して可溶性導体シート50a~50fを物理的に切断する。
遮蔽部材120では、凸状部120aの先端120aaが尖っており、可溶性導体シート50a~50fを切断しやすい形状とされている。
図14に、遮蔽部材120がヒューズエレメント積層体140の第1開口部64Aを移動し、凸状部120aによって可溶性導体シート50a、50b、50c、50d、50e、50fを切断し、遮蔽部材120が下がりきった状態の保護素子の断面図を示す。
遮蔽部材120がヒューズエレメント積層体140の第1開口部64Aを移動して下がっていき、遮蔽部材120の凸状部120aによって可溶性導体シート50f、50e、50d、50c、50b、50aを順に切断すると、切断面同士が凸状部120aによって遮蔽されて絶縁され、各可溶性導体シートを介した通電経路が物理的に確実に遮断される。これによって、アーク放電が迅速に消滅(消弧)する。
また、遮蔽部材120がヒューズエレメント積層体140の第1開口部64Aを移動して下方に下がりきった状態では、遮蔽部材120の押圧手段支持部120bが第1絶縁部材160Agからヒューズエレメント積層体140を押圧し、可溶性導体シートと第1絶縁部材160Aa~160Agとが密着するので、その間にアーク放電が継続できる空間がなくなり、アーク放電が確実に消滅する。
凸状部120aの厚み(X方向の長さ)は、第1絶縁部材160Aa~160Agの第1開口部64AのX方向の幅よりも小さい。この構成によって、凸状部120aは第1開口部64AをZ方向下方に移動可能となる。
例えば、可溶性導体シート50a~50fが銅箔である場合は、凸状部120aの厚みと第1開口部64AのX方向の幅との差は例えば、0.05~1.0mmとすることができ、0.2~0.4mmとすることが好ましい。0.05mm以上であると、切断された最小厚み0.01mmの場合の可溶性導体シート50a~50fの端部が第1絶縁部材160Aa~160Agと凸状部120aの隙間に入り込んでも凸状部120aの移動がスムーズとなり、アーク放電がより迅速かつ確実に消滅される。これは、上記差が0.05mm以上であると、凸状部120aが引掛りにくいためである。また、上記差が1.0mm以下であると、第1開口部64Aが、凸状部120aを移動させるガイドとして機能する。したがって、可溶性導体シート50a~50fの溶断時に移動する凸状部120aの位置ずれが防止され、アーク放電がより迅速かつ確実に消滅される。可溶性導体シート50a~50fがSnを主成分とする合金の周囲をAgでめっきした箔である場合は、凸状部120aの厚みと第1開口部64AのX方向の幅との差は例えば、0.2~2.5mmとすることができ、0.22~2.2mmとすることが好ましい。
凸状部120aの幅(Y方向の長さ)は、ヒューズエレメント積層体140の可溶性導体シート50a~50fの幅より広い。この構成によって、凸状部120aが可溶性導体シート50a~50fの各々を切断することが可能である。
凸状部120aのZ方向の長さLは、Z方向下方に下がりきったときに、凸状部120aの先端120aaが、第1絶縁部材160Aa~160AgのうちZ方向で最下部に配置する第1絶縁部材160Aaよりも下方まで到達できる長さを有する。凸状部120aは最下部に配置する第1絶縁部材160Aaよりも下がるときには、保持部材110Baの内底面に形成された挿入孔114に挿入される。
この構成によって、凸状部120aが可溶性導体シート50a~50fの各々を切断することが可能となる。
(押圧手段)
押圧手段30は、遮蔽部材120をZ方向下方に押圧した状態で遮蔽部材120の凹部120baに収容されている。
押圧手段30は、保護素子100が備えるものと同様なものを用いることができる。
(係止部材)
係止部材170の構成(形状や材料)としては係止部材70と同じものを用いてもよい。保護素子200においては、3個の係止部材170を備えるが、3個に制限されない。
係止部材170は、遮蔽部材120の凸状部120aの先端120aaに備える挟み溝120aAに差し込まれた状態で保持される。
係止部材170は、T字状の形状を有し、第1腕部170aaと第2腕部170abとからなる横延部(支持部)170aと、横延部170aの中央部から下方に延びる縦延部(突出部)170bとを有する。
保護素子200においては、横延部170aは第1腕部170aa及び第2腕部170abのそれぞれが、第1絶縁部材160Agの第1開口部64Aを挟んで遮蔽部材側の面160AgSに支持されており、縦延部170bはその下端が可溶性導体シート50fの遮蔽部材側の面50fSに支持されている。図示する例では、第1絶縁部材160Agの遮蔽部材側の面160AgSには係止部材170が載置される溝を有さないが、係止部材170が載置される溝を有してもよい。
縦延部170bが可溶性導体シート50fの遮蔽部材側の面50fSに支持されていると、可溶性導体シート50fに定格電流を越えた過電流が流れる際に、可溶性導体シート50fに接触している係止部材170は伝熱して昇温し、軟化温度以上の温度において軟化する。
保護素子200においては、横延部170a、及び、縦延部170bの両方の部位が支持されているが、いずれか一方が支持されていてもよい。ただし、可溶性導体シート50fに定格電流を越えた過電流が流れる際に軟化するように縦延部170bが可溶性導体シート50fの遮蔽部材側の面50fSに接触して支持されている方が好ましい。縦延部170bが可溶性導体シート50fの遮蔽部材側の面50fSに接触していない場合は、遮蔽部材側の面50fSに近接している方が好ましい。
3個の係止部材170はすべて同じ形状であるが、異なる形状のものが含まれてもよい。
係止部材170が軟化温度以上の温度になると、外力により変形するくらい柔らかくなる。
軟化した係止部材170は押圧手段30の押圧力によって押圧された遮蔽部材120の凸状部120aによって物理的に切断されやすくなる。係止部材170が切断されると、遮蔽部材120の凸状部120aは、第1開口部64AをZ方向下方に挿入されていく。
凸状部120aが第1開口部64AをZ方向下方に挿入されていく際に、凸状部120aが可溶性導体シートを切断しながら、突き進んで最下位置まで到達する。これによって凸状部120aは可溶性導体シート50a~50fをその溶断部53で第1端子91側と第2端子92側とに遮蔽する。これによって可溶性導体シート50a~50fが切断される際に発生するアーク放電は迅速かつ確実に消滅させることができる。
係止部材170では、縦延部170bが可溶性導体シート50fに接触している。そのため、可溶性導体シートに定格電流を越えた過電流が流れると、可溶性導体シート50fに接触している係止部材170は伝熱して昇温し、軟化温度以上の温度において軟化する。
また、大きな過電流が流れ瞬時に可溶性導体シート50fが溶断した場合は、発生したアーク放電が係止部材170にも流れ、係止部材170は軟化温度以上の温度において軟化する。
軟化した係止部材170は押圧手段30の押圧力によって押圧された遮蔽部材120の凸状部120aによって物理的に切断されやすくなる。係止部材170が切断されると、遮蔽部材120の凸状部120aは、第1開口部64AをZ方向下方に挿入されていく。
この場合、可溶性導体シートは定格電流を越えた過電流が流れて熱的に溶断されており、凸状部120aはそのまま第1開口部64AをZ方向下方に挿入されていく。この際、凸状部120aは可溶性導体シート50a~50fをその溶断部で第1端子91側と第2端子92側とに遮蔽する。これによって可溶性導体シート50a~50fが切断される際に発生するアーク放電は迅速かつ確実に消滅させることができる。
仮に可溶性導体シートが未だ熱的に溶断されていないときでも、凸状部120aが第1開口部64AをZ方向下方に挿入されていく際に、凸状部120aが可溶性導体シートを切断しながら、突き進んで最下位置まで到達する。これによって凸状部120aは可溶性導体シート50a~50fをその溶断部で第1端子91側と第2端子92側とに遮蔽する。これによって可溶性導体シート50a~50fが遮断される際に発生するアーク放電は迅速かつ確実に消滅させることができる。
第2参考例に係る保護素子200は、発熱体及び給電部材を有さない点以外は第1参考例に係る保護素子100と同様又は類似する部材が多いため、その製造方法の説明は省略する。
本参考例の保護素子200では、ヒューズエレメント50(複数個の可溶性導体シート50a~50f)に定格電流を超えた過電流が流れた場合にヒューズエレメント50が熱的に溶断されて電流経路を遮断させる。
本参考例の保護素子200では、押圧手段30による押圧力が付与されている遮蔽部材120の移動を係止部材170によって抑制する構成であるため、電流経路の遮断時以外は、ヒューズエレメント50(複数個の可溶性導体シート50a~50f)に押圧手段30と遮蔽部材120とによる切断押圧力がかからない。そのため、ヒューズエレメント50の経時劣化が抑制され、また、電流経路の遮断が必要でないときにヒューズエレメント50が昇温した際に押圧力が付与された状態であることに起因する断線を防止できる。
本参考例の保護素子200では、ヒューズエレメント積層体140が厚さ方向に並列配置された複数個の可溶性導体シート50a~50fを含み、その可溶性導体シート50a~50fの各々がその間に配置された第1絶縁部材160Ab~160Af及び可溶性導体シート50a、50fの外方に配置された第1絶縁部材160Aa~160Agと近接もしくは接触(密着)して絶縁されている。このため、可溶性導体シート50a~50fの各々に流れる電流値が小さくなり且つ可溶性導体シート50a~50fを取り巻く空間が極めて狭くなり、溶断することによって発生するアーク放電の規模が小さくなりやすくなる。よって、本参考例の保護素子200によれば、絶縁ケース11のサイズを小型軽量化することが可能となる。
本参考例の保護素子200において、可溶性導体シート50a~50fのうちの最下部に配置された可溶性導体シート50aと絶縁ケース11の第1保持部材110Baとの間に第1絶縁部材160Aaが配置し、また、可溶性導体シート50a~50fのうちの最上部に配置された可溶性導体シート50fと絶縁ケース11の第2保持部材110Bbとの間の各々に1絶縁部材160Agが配置されていると、可溶性導体シート50a、50fが第1保持部材110Ba、第2保持部材110Bbと直接接触しないので、アーク放電によって、これらの絶縁ケース11の内部表面に導電路となる炭化物が形成されにくくなるので、絶縁ケース11のサイズを小型にしてもリーク電流が発生しにくくなる。
本参考例の保護素子200において、第1絶縁部材160Aa~160Agが可溶性導体シート50a~50fの第1端部51と第2端部52との溶断部53に対向する位置で開口を有すると、可溶性導体シート50a~50fが溶断部53で溶断したときに、第1絶縁部材160Aa~160Agの表面の連続的な溶融飛散物の付着を抑制することができる。このため、可溶性導体シート50a~50fの溶断によって発生したアーク放電を早期に消弧させることができる。
本参考例の保護素子200において、第1絶縁部材160Aa~160Ag、遮蔽部材120、絶縁ケース11のカバー110A、および保持部材110Bのうち少なくとも一つが、耐トラッキング指標CTIが500V以上の材料で形成されていると、アーク放電によって、これらの部品の表面に導電路となる炭化物が形成されにくくなるので、絶縁ケース11のサイズを小型にしてもリーク電流がより発生しにくくなる。
本参考例の保護素子200において、第1絶縁部材160Aa~160Ag、遮蔽部材120、絶縁ケース11のカバー110A、および保持部材110Bのうち少なくとも一つが、ポリアミド系樹脂またはフッ素系樹脂で形成されていると、ポリアミド系樹脂またはフッ素系樹脂は、絶縁性と耐トラッキング性とが優れるので、小型化と軽量化を両立しやすくなる。
本参考例の保護素子200において、可溶性導体シート50a~50fの各々が、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体であり、低融点金属層がSnを含み、高融点金属層がAgもしくはCuを含むと、低融点金属層が溶融することによって高融点金属がSnによって溶解されるので、可溶性導体シート50a~50fの溶断温度が低くなる。また、AgやCuはSnよりも物理的強度が高いため、低融点金属層に高融点金属層を積層した可溶性導体シート50a~50fの物理的強度は、低融点金属層単体の物理的強度よりも高くなる。さらには、AgやCuはSnよりも電気抵抗率が低く、低融点金属層に高融点金属層を積層した可溶性導体シート50a~50fの電気抵抗値は、低融点金属層単体の電気抵抗値よりも低くなる。即ち、より大電流対応のヒューズエレメントとなる。
本参考例の保護素子200において、可溶性導体シート50a~50fの各々が、高融点金属層を2層以上有し、低融点金属層を1層以上有し、低融点金属層が高融点金属層の間に配置された積層体であると、外側に高融点金属層があるので、可溶性導体シート50a~50fの強度が高くなる。特に、可溶性導体シート50a~50fの第1端部51と第1端子91および第2端部52と第2端子92とをハンダ付けで接続する場合には、ハンダ付け時の加熱による可溶性導体シート50a~50fの変形が起こりにくくなる。
本参考例の保護素子200において、可溶性導体シート50a~50fの各々が、銀もしくは銅を含む単層体であると、高融点金属層と低融点金属層の積層体である場合と比較して、電気抵抗率が小さくなりやすい。このため、銀もしくは銅を含む単層体からなる可溶性導体シート50a~50fは、高融点金属層と低融点金属層の積層体からなる可溶性導体シート50a~50fと同じ面積で同等の電気抵抗を有する場合でも、厚みを薄くすることができる。可溶性導体シート50a~50fの厚みが薄いと、可溶性導体シート50a~50fが溶断したときの溶融飛散物量も厚みに比例して少なくなり、遮断後の絶縁抵抗が高くなる。
本参考例の保護素子200において、可溶性導体シート50a~50fの各々は、溶断部53に貫通孔54が設けられていて、第1端部51および第2端部52の通電方向の断面積より溶断部53の通電方向の断面積が小さくなるようにされた溶断部を有しているので、電流経路に定格を超える電流が流れたとき溶断する部位が安定する。なお、本参考例の保護素子200においては溶断部53に貫通孔54を設けているが、溶断部53の断面積が小さくする方法に特に制限はない。例えば、溶断部53の両端部を凹状に切り取ることや部分的に厚みを薄くすることによって、溶断部53の断面積を小さくしてもよい。
(保護素子(実施形態))
本発明の実施形態に係る保護素子250について、図16~図19を参照して説明する。実施形態の保護素子250は、主に、係止部材270および発熱体80の配置等を含む各構成が、前述の第1、第2参考例と異なる。なお本実施形態の各図において、第1、第2参考例と同様又はほぼ同様の構成部材については、同じ符号や同じ名称を付すなどして説明を省略する場合がある。
図16は、本実施形態の保護素子250を示す断面図であり、具体的には、保護素子250を幅方向(Y方向)と垂直な断面(X-Z断面)として表す断面図である。
保護素子250は、絶縁ケース260と、ヒューズエレメント(可溶性導体シート)50と、第1端子91と、第2端子92と、絶縁部材60と、遮蔽部材220と、押圧手段230と、発熱体80と、係止部材270と、給電部材90と、を有する。
(絶縁ケース)
絶縁ケース260は、上下方向(Z方向)に積層して配置される少なくとも2つ(本実施形態では3つ)の保持部材260Ba、260Bb、260Bcと、これらの保持部材260Ba、260Bb、260Bcを収容する筒状のカバー260Aと、を有する。カバー260Aは、複数の保持部材260Ba、260Bb、260Bcの外側に嵌め合わされる。
少なくとも2つの保持部材260Ba、260Bbは、上下方向において、ヒューズエレメント50の両側に配置される。具体的に、3つの保持部材260Ba、260Bb、260Bcのうち、最も下方に配置される第1保持部材260Baは、ヒューズエレメント50の下方に配置される。また、3つの保持部材260Ba、260Bb、260Bcのうち、第2保持部材260Bbは、ヒューズエレメント50の上方に配置される。3つの保持部材260Ba、260Bb、260Bcのうち、第3保持部材260Bcは、最も上方に配置される。
第1保持部材260Baは、その底壁の上面に配置されて上側を向く内底面13を有する。すなわち、絶縁ケース260は、内底面13を有する。内底面13は、絶縁部材60の開口部若しくは分離部に沿って延びる溝14を有する。溝14は、幅方向(Y方向)に沿って延び、上側に開口する。
第2保持部材260Bbは、発熱体収容凹部261を有する。発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁のうち、通電方向(X方向)の内側(中央側)を向く内面に配置される。具体的に、発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁の内面のうち、上端部に位置する。発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁の内面のうち、発熱体収容凹部261の下側に隣接する部分よりも、通電方向の外側に凹む。
発熱体収容凹部261の配置は、通電方向(X方向)の内側(中央側)を向く内面に限定されず、例えば、第2保持部材260Bbの側壁のうち、通電方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)の内側(中央側)を向く内面に配置されても良い。
発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁の内面において、互いに通電方向に向かい合って一対設けられる。すなわち、一対の発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁の内面のうち、通電方向の第1端子91側(+X側)の端部と、第2端子92側(-X側)の端部とに配置される。
発熱体収容凹部261は、一対に限定されず、片方に一つ配置されても良い。
図18は、図16の保護素子250の一部を模式的に示す断面図であり、具体的には、幅方向と垂直な断面(X-Z断面)を表している。図18に示すように、第2保持部材260Bb(すなわち絶縁ケース260)は、第2段部263を有する。第2段部263は、発熱体収容凹部261の下端部に配置され、上側を向く。第2段部263は、一対の発熱体収容凹部261に、それぞれ(すなわち一対)設けられる。
発熱体収容凹部261が片方に一つ配置されている場合は、発熱体収容凹部261に第2段部263が一つ設けられる。
図16に示すように、第3保持部材260Bcは、押圧手段収容凹部262を有する。押圧手段収容凹部262は、第3保持部材260Bcの頂壁の下面に配置され、上側に凹む。
図16は押圧手段230が円錐バネであり、その上側の径が下側の径より小さい場合であるが、円錐バネの上側の径が下側の径より広い場合や円柱バネの場合は、押圧手段収容凹部262は無くても良い。
絶縁ケース260は、ヒューズエレメント50と、第1端子91の一部と、第2端子92の一部と、絶縁部材60と、遮蔽部材220と、押圧手段230と、発熱体80と、係止部材270と、給電部材90の一部とを収容する。
(ヒューズエレメント)
ヒューズエレメント50は、上下方向(厚さ方向)に並んで複数設けられる。本実施形態では、4つのヒューズエレメント50が上下方向に並列配置される。上下方向に隣り合うヒューズエレメント50間、および、最上部に位置するヒューズエレメント50(50f)の上側(外側)には、それぞれ、絶縁部材60が配置される。
また、最下部に位置するヒューズエレメント50(50a)の下側(外側)には、第1保持部材260Baの内底面13が近接若しくは接触した状態で配置される。すなわち、内底面13は、ヒューズエレメント50の遮蔽部材220とは反対側(つまり下側)に近接若しくは接触させた状態で配置される。より詳しくは、内底面13は、複数のヒューズエレメント50の遮蔽部材220とは反対側の最外層(ヒューズエレメント50a)の外側に近接若しくは接触させた状態で配置される。
ヒューズエレメント50は、通電方向に延びる板状である。ヒューズエレメント50の一対の面(おもて面および裏面)は、上下方向を向く。なお上下方向は、ヒューズエレメント50の面に対して垂直な方向であることから、垂直方向と言い換えてもよい。複数のヒューズエレメント50は、垂直方向に並列に積層されている。
ヒューズエレメント50は、互いに対向する第1端部51と第2端部52とを有する。すなわち、言い換えると、ヒューズエレメント50は、通電方向の両端部に配置される第1端部51と第2端部52とを有する。
(第1端子、第2端子)
第1端子91は、一方の端部が第1端部51と接続し他方の端部が絶縁ケース260から外部に露出する。具体的に、第1端子91の他方の端部は、絶縁ケース260から通電方向の第1端子91側(+X側)に突出する。
また第2端子92は、一方の端部が第2端部52と接続し他方の端部が絶縁ケース260から外部に露出する。具体的に、第2端子92の他方の端部は、絶縁ケース260から通電方向の第2端子92側(-X側)に突出する。
(絶縁部材)
絶縁部材60は、上下方向に並んで複数設けられる。本実施形態では、4つの絶縁部材60が上下方向に並列配置される。各絶縁部材60は、各ヒューズエレメント50に近接若しくは接触させた状態で配置される。絶縁部材60には、幅方向(Y方向)に延びる開口部若しくは分離部が形成されている。
複数の絶縁部材60は、複数のヒューズエレメント50の間および外側に接触若しくは近接して配置されている。詳しくは、複数の絶縁部材60は、複数のヒューズエレメント50の遮蔽部材220側(つまり上側)の最外層(ヒューズエレメント50f)の外側(上側)に配置される絶縁部材60を含む。
ただしこれに限らず、特に図示しないが、最上部に位置する絶縁部材60は、第2保持部材260Bbと一体に形成されて、第2保持部材260Bbの一部を構成していてもよい。この場合、複数の絶縁部材60は、複数のヒューズエレメント50の間に接触若しくは近接して配置される。
複数の絶縁部材60の各々の開口部若しくは分離部は、垂直方向から見て、互いに重なる。
(遮蔽部材)
遮蔽部材220は、ヒューズエレメント50の上方に配置される。遮蔽部材220は、後述する係止部材270による下方移動の規制が解除されることで、押圧手段230の押圧力(応力、若しくは付勢力と言い換えてもよい)により、ヒューズエレメント50を分断するように、絶縁部材60の開口部若しくは分離部に挿入されつつ下方に移動可能である。
なお、遮蔽部材220が移動する上下方向は、遮蔽部材220が絶縁部材60の開口部若しくは分離部に挿入される方向でもあることから、挿入方向と言い換えてよい。すなわち、遮蔽部材220は、挿入方向に移動可能である。
遮蔽部材220は、凸状部220aと、押圧手段支持部220bと、を有する。
凸状部220aは、通電方向(X方向)と垂直な面(Y-Z面)方向に広がる板状である。凸状部220aの上端部は、押圧手段支持部220bと接続される。押圧手段支持部220bは、上下方向(Z方向)と垂直な面(X-Y面)方向に広がる略板状である。
凸状部220aは、押圧手段支持部220bから下方に向けて突出する。詳しくは、凸状部220aは、絶縁部材60の開口部若しくは分離部、および、ヒューズエレメント50に向けて挿入方向に突出する。
凸状部220aは、凸状部220aの下端部に配置され幅方向(Y方向)に延びる先端220aaを有する。なお、先端220aaは、刃部220aaと言い換えてもよい。幅方向と垂直な断面(X-Z断面)において、先端220aaは、下方に向けて凸となるV字状をなしている。
押圧手段支持部220bは、凹部220baと、第1段部225と、を有する。すなわち、遮蔽部材220は、第1段部225を有する。凹部220baは、押圧手段支持部220bの上面から下方に凹む。
図18に示すように、第1段部225は、押圧手段支持部220bの外側面から突出する。具体的に、本実施形態では第1段部225が、押圧手段支持部220bの外側面のうち、通電方向(X方向)の両外側を向く部分に、それぞれ(つまり一対)設けられる。
第1段部225は、遮蔽部材220の挿入方向を向いており、具体的には下側を向く。挿入方向(上下方向)において、第1段部225と第2段部263とは、互いに反対側を向く。挿入方向から見て、第1段部225と第2段部263とは、互いに重ならない。
(押圧手段)
図16に示すように、押圧手段230は、遮蔽部材220の上方に配置される。具体的に、押圧手段230は、押圧手段支持部220bの上面と、第3保持部材260Bcの下面との間に配置される。押圧手段230は、弾性変形可能な圧縮コイルバネ等のバネ(付勢部材)であり、本実施形態では、下方へ向かに従い拡径する略円錐状をなしている。
押圧手段230の下部は、押圧手段支持部220bの上面に設けられた凹部220baに配置(収容)される。押圧手段230の上部は、第3保持部材260Bcの下面に設けられた押圧手段収容凹部262に配置(収容)される。
押圧手段230は、遮蔽部材220を遮蔽部材220の挿入方向(下方)に押圧する。具体的に、押圧手段230は、上下方向に収縮して弾性変形させられた状態で保護素子250内に組み付けられ、復元変形力による押圧力(応力、付勢力)によって、押圧手段支持部220bを下方に向けて押圧する。
(発熱体、給電部材)
図16および図18に示すように、発熱体80は、板状であり、その一対の面(おもて面および裏面)が通電方向(X方向)を向く。発熱体80は、発熱体収容凹部261に配置(収容)される。発熱体80は、一対の発熱体収容凹部261に、それぞれ(つまり一対)設けられる。本実施形態において発熱体80は、係止部材270を加熱し、軟化させる。
発熱体収容凹部261が、第2保持部材260Bbの側壁のうち、通電方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)の内側(中央側)を向く内面に配置されている場合、発熱体80は発熱体収容凹部261に合わせた向きで配置される。すなわちこの場合、発熱体80の一対の面は、幅方向(Y方向)を向く。
発熱体収容凹部261が片方に一つ配置されている場合は、発熱体収容凹部261に発熱体80が一つ設けられる。
給電部材90は、発熱体80に電流を通電する。
(係止部材)
本実施形態の係止部材270は、例えば、四角形板状のはんだ素材にAgめっきをすること等により形成されている。係止部材270は、発熱体80と隣り合って配置される。係止部材270と発熱体80とは、互いに対向して配置されており、本実施形態ではこれら部材が対向する方向が、通電方向(X方向)である。係止部材270の一対の面(おもて面および裏面)は、通電方向(X方向)を向く。幅方向(Y方向)から見て、係止部材270の挿入方向(Z方向)の寸法L2は、係止部材270の通電方向の寸法(発熱体80から係止部材270に向かう方向の寸法)L1よりも大きい。なお特に図示しないが、本実施形態では、係止部材270の幅方向(Y方向)の寸法が、寸法L1、L2よりも大きい。すなわち、係止部材270は、幅方向を長手方向とする長方形板状である。
発熱体収容凹部261が、第2保持部材260Bbの側壁のうち、通電方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)の内側(中央側)を向く内面に配置されている場合、係止部材270は発熱体収容凹部261に合わせた向きで配置される。すなわちこの場合、係止部材270の一対の面は、幅方向(Y方向)を向き、係止部材270と発熱体80とが対向する方向は、幅方向(Y方向)である。またこの場合、通電方向(X方向)から見て、係止部材270の挿入方向(Z方向)の寸法L2は、係止部材270の幅方向(Y方向)の寸法(発熱体80から係止部材270に向かう方向の寸法)L1よりも大きい。
係止部材270は、一対の発熱体80と隣接するように配置されて、一対設けられる。各係止部材270の一対の面(おもて面および裏面)のうち一方は、発熱体80に近接又は接触して配置される。係止部材270の一対の面のうち他方は、遮蔽部材220の押圧手段支持部220bの外側面に近接又は接触して配置される。
発熱体収容凹部261が片方に一つ配置されている場合は、係止部材270は一つの発熱体80と隣接するように配置される。
また、係止部材270の挿入方向(上下方向)を向く一対の端面は、第1段部225と第2段部263とに挟まれる。すなわち、係止部材270は、挿入方向において、遮蔽部材220の押圧手段支持部220bと、絶縁ケース260の第2保持部材260Bbとの間に挟まれて、支持されている。このようにして係止部材270は、遮蔽部材220の挿入方向において、絶縁ケース260と遮蔽部材220との間に挟み込まれて係止される。すなわち、係止部材270は、絶縁ケース260と遮蔽部材220との間に係止され、遮蔽部材220の移動を抑える。
図17および図19は、保護素子250またはその一部を示す断面図(X-Z断面図)であり、遮蔽部材220が挿入方向に下方移動した状態を表している。
給電部材90から発熱体80に給電すると、発熱体80が発熱する。発熱体80が発熱すると、この熱により係止部材270が軟化する。係止部材270が軟化することによって、押圧手段230の押圧力により遮蔽部材220が係止部材270を分離しながら移動する。具体的には、例えば図19に示すように、軟化した係止部材270は、発熱体80側と遮蔽部材220側とに分離させられる。これにより、遮蔽部材220の下方移動が可能となる。
係止部材270による遮蔽部材220の下方移動の規制が解除されると、遮蔽部材220は、押圧手段230の押圧力により下方へ移動する。遮蔽部材220は、絶縁部材60の開口部若しくは分離部を移動してヒューズエレメント50を切断することによって、ヒューズエレメント50の通電を遮断する。また遮蔽部材220は、ヒューズエレメント50を切断し、切断されたヒューズエレメント50の各部分同士をヒューズエレメント50の通電方向において遮蔽する。
図17に示すように、本実施形態では、遮蔽部材220が下方移動することで、凸状部220aの先端220aaが、溝14内に配置される。すなわち、遮蔽部材220の挿入方向の先端220aaは、溝14内に挿入可能である。遮蔽部材220は、全ての絶縁部材60の開口部若しくは分離部内を移動可能であり、本実施形態ではさらに、溝14内を移動可能である。
ここで、図20および図21に示すものは、本実施形態の変形例の保護素子250の一部を示す断面図(X-Z断面図)である。この変形例では、前述した係止部材270の代わりに、例えば銅板等からなる一対の係止部材271と、例えばはんだ等からなり、一対の係止部材271間に配置されてこれらの係止部材271を固定する固定部材272と、を用いている。この変形例では、発熱体80が、固定部材272を加熱し、軟化させる。
固定部材272が軟化することによって、押圧手段230の押圧力により遮蔽部材220が固定部材272を分離しながら移動する。具体的には、例えば図21に示すように、軟化した固定部材272は、固定部材272を挟む一対の係止部材271のうち、一方の係止部材271側と他方の係止部材271側とに分離させられる。これにより、遮蔽部材220の下方移動が可能となる。
本実施形態の保護素子250では、ヒューズエレメント50に定格電流を超えた過電流が流れた場合にヒューズエレメント50が熱的に溶断されて電流経路を遮断させる他、発熱体80に電流を通電して遮蔽部材220の移動を抑制している係止部材270若しくは固定部材272を軟化させ、押圧手段230の押圧力によって遮蔽部材220を移動させて、ヒューズエレメント50を物理的に切断して電流経路を遮断させることが可能である。
また本実施形態では、ヒューズエレメント50と絶縁部材60とが近接若しくは接触しており、好ましくは密着する。このため、ヒューズエレメント50と絶縁部材60との間にアーク放電が継続できる空間がなくなり、アーク放電が確実に消滅する。本実施形態において係止部材270、271は、ヒューズエレメント50付近には配置されておらず、絶縁ケース260と遮蔽部材220との間に設けられていて、これら部材に係止されることで遮蔽部材220の下方移動を規制している。
したがって、係止部材270、271をヒューズエレメント50や絶縁部材60など、保護素子250の通電時(通常の使用時)に温度上昇する可能性のある部材から離して配置することができる。このため、各部材の温度上昇によって係止部材270、271の機能が影響を受けるようなことが抑えられる。
また、押圧手段230の押圧力が、係止部材270、271を介してヒューズエレメント50や絶縁部材60に伝わることもないため、ヒューズエレメント50や絶縁部材60の機能についても長期にわたり良好に維持される。
また、遮蔽部材220の凸状部220aの先端220aaを、ヒューズエレメント50および絶縁部材60により近づけて配置することが可能になる。これにより、絶縁ケース260の上下方向(挿入方向、厚さ方向)の外形寸法を小さく抑えることができ、保護素子250の小型化が可能となる。
以上より本実施形態によれば、ヒューズエレメント50の溶断時に大規模なアーク放電が発生しにくく、絶縁ケース260のサイズを小型軽量化することが可能であると共に、高電圧大電流対応の過電流遮断と遮断信号による遮断機能を両立する保護素子250を提供することが可能となる。
また本実施形態では、発熱体80の発熱によって係止部材270若しくは固定部材272が軟化することで、遮蔽部材220が押圧手段230の押圧力によって係止部材270若しくは固定部材272を分離させつつ、下方へ移動する。遮蔽部材220の下方への移動規制が安定して解除されるため、ヒューズエレメント50の通電をより確実に遮断できる。
また本実施形態では、遮蔽部材220が下方移動したときに、凸状部220aの先端220aaが絶縁ケース260の内底面13の溝14内に挿入される。これにより、内底面13に近接若しくは接触されるヒューズエレメント50を、遮蔽部材220によって確実に切断することができる。
また本実施形態では、幅方向(Y方向)から見て、係止部材270の通電方向の寸法(発熱体80から係止部材270に向かう方向の寸法)L1よりも、係止部材270の挿入方向の寸法L2が大きい。若しくは、通電方向(X方向)から見て、係止部材270の幅方向の寸法(発熱体80から係止部材270に向かう方向の寸法)L1よりも、係止部材270の挿入方向の寸法L2が大きい。
上記構成によれば、係止部材270の挿入方向のせん断力が高められるため、絶縁ケース260と遮蔽部材220との間で、係止部材270を安定して保持(係止)できる。
また本実施形態では、係止部材270、271の挿入方向を向く一対の端面が、第1段部225と第2段部263とに挟持されており、挿入方向から見て、第1段部225と第2段部263とが、互いに重ならない。
上記構成によれば、係止部材270若しくは係止部材271を固定する固定部材272が軟化し、押圧手段230の押圧力によって遮蔽部材220が下方移動したときに、係止部材270、271を保持していた第1段部225と第2段部263とが、挿入方向において確実にすれ違う。このため、第1段部225および第2段部263によって、遮蔽部材220の下方移動が妨げられるようなことがなく、ヒューズエレメント50の電流の遮断が確実に行われる。
(変形例)
図22は、実施形態の変形例の保護素子250の一部を示す断面図(X-Z断面図)である。この変形例では、絶縁ケース260の2つの保持部材260Ba、260Bbのうち、一方若しくは両方が、絶縁部材60と一体に形成される。図示の例では、2つの保持部材260Ba、260Bbのうち一方(保持部材260Bb)が、絶縁部材60と一体に形成されている。また、ヒューズエレメント50は単層(1つ)のみ設けられる。
上記構成では、絶縁部材60が保持部材260Ba、260Bbと一体化している。このため、部品点数を削減して保護素子250の製造を容易化したり、製造コストを削減したりすることができる。
(変形例)
図23は、実施形態の変形例に係るヒューズエレメント550の模式図であり、図4(a)に対応する平面図である。
この変形例では、ヒューズエレメント550が、第1の可溶導体555と、第1の可溶導体555よりも融点の低い第2の可溶導体553とを有する。また、第1の可溶導体555と第2の可溶導体553とは、通電において直列に接続される。すなわち、第1の可溶導体555と第2の可溶導体553とは、電気的に直列に接続されており、この変形例では通電方向(X方向)に並んで配置される。
また、第1の可溶導体555と第2の可溶導体553とは、挿入方向(Z方向)に並んで配置されていてもよい。詳しくは、図示しないが、ヒューズエレメント550は、2つの第1の可溶導体555の通電方向(X方向)の内側(中央側)の先端付近を重ね、その重なりの隙間を第2の可溶導体553で接続しても良い。すなわち、2つの第1の可溶導体555の各先端部と、これらの先端部間に位置する1つの第2の可溶導体553とが、挿入方向(Z方向)から見て重なって配置されており、第1の可溶導体555と第2の可溶導体553とが、通電において(電気的に)直列に接続されていてもよい。
この構造により、電気抵抗率が第1の可溶導体555よりも高い第2の可溶導体553の通電距離を短くしてヒューズエレメント550の電気抵抗上昇を抑制できる。
また、第2の可溶導体553は、2つの第1の可溶導体555の間に配置される。
上記構成によれば、ヒューズエレメント550の通電方向の中央部に第2の可溶導体553を配置して、ヒューズエレメント550を中央部から溶断させることができる。
この変形例では、ヒューズエレメント550の電流経路に定格を超える電流が流れたとき、第1の可溶導体555よりも先に第2の可溶導体553が溶断するため、ヒューズエレメント550の電流を遮断する部分の位置が安定する。これにより、定格電流の1.5~2倍の通電から10倍以上での爆発的な遮断にわたって、絶縁部材60や絶縁ケース260の破損無くヒューズエレメント550の通電を遮断することが可能になる。
また、発熱体80の発熱により遮蔽部材220が移動し、第2の可溶導体553が切断される。
上記構成によれば、遮蔽部材220の下方移動により、ヒューズエレメント550の中でも融点の低い第2の可溶導体553が切断される。過電流が流れた際に第2の可溶導体553の溶断に時間を要した場合でも、遮蔽部材220によってヒューズエレメント550を確実に切断することができる。
また、ヒューズエレメント550が2つの第1の可溶導体555の先端付近を重ね第2の可溶導体553で接続した構成の場合は、遮蔽部材220の下方移動により、第1の可溶導体555が切断される。この場合、第1の可溶導体555の切断部分は、第1の可溶導体555の切断部分以外の部分よりも断面積が小さいことが好ましい。
本発明の保護素子は、上述した実施形態に限定されるものではない。
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例および参考例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
10,11,260…絶縁ケース
20,120,220…遮蔽部材
30,230…押圧手段
50,550…ヒューズエレメント
51…第1端部
52…第2端部
60,60A,60B,160A…絶縁部材
64,65…分離部
64A,65A…開口部
70,70A,70B,70C,71,170,270,271…係止部材
80…発熱体
90,90a,90b,90c,90d,90e,90f,90A…給電部材
91…第1端子
92…第2端子
100,200,250…保護素子
272…固定部材
555…第1の可溶導体
553…第2の可溶導体

Claims (20)

  1. ヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを収容する絶縁ケースと、第1端子と、第2端子とを有し、
    さらに、前記ヒューズエレメントに近接若しくは接触させた状態で配置され、開口部若しくは分離部が形成された絶縁部材と、
    前記ヒューズエレメントを分断するように、前記絶縁部材の前記開口部若しくは前記分離部へ挿入される挿入方向に移動可能な遮蔽部材と、
    前記遮蔽部材を前記遮蔽部材の挿入方向に押圧する押圧手段と、
    前記絶縁ケースと前記遮蔽部材との間に係止され、前記遮蔽部材の移動を抑える係止部材と、
    前記係止部材若しくは前記係止部材を固定する固定部材を加熱し軟化させる発熱体と、
    前記発熱体に電流を通電する給電部材と、を有し、
    前記ヒューズエレメントは、互いに対向する第1端部と第2端部を有し、前記第1端子は、一方の端部が前記第1端部と接続し他方の端部が前記絶縁ケースから外部に露出し、前記第2端子は、一方の端部が前記第2端部と接続し他方の端部が前記絶縁ケースから外部に露出しており、
    前記絶縁ケースはさらに、前記絶縁部材と、前記遮蔽部材と、前記押圧手段と、前記係止部材と、前記発熱体と、前記給電部材の一部とを収容する、保護素子。
  2. 前記発熱体が発熱し、前記係止部材若しくは前記固定部材が軟化することによって、前記押圧手段の押圧力により前記遮蔽部材が前記係止部材若しくは前記固定部材を分離しながら移動し、
    さらに前記遮蔽部材が前記絶縁部材の前記開口部若しくは前記分離部を移動して前記ヒューズエレメントを切断することによって、前記ヒューズエレメントの通電を遮断する、請求項1に記載の保護素子。
  3. 前記遮蔽部材は、前記ヒューズエレメントを切断し、切断された前記ヒューズエレメントの各部分同士を前記ヒューズエレメントの通電方向において遮蔽する、請求項2に記載の保護素子。
  4. 前記押圧手段はバネである、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  5. 前記絶縁部材、前記遮蔽部材および前記絶縁ケースのうち少なくとも一つは、耐トラッキング指標CTIが500V以上の材料で形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  6. 前記絶縁部材、前記遮蔽部材および前記絶縁ケースのうち少なくとも一つは、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂からなる群より選ばれる一種の樹脂材料で形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  7. 前記ヒューズエレメントは、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体であり、前記低融点金属層は錫を含み、前記高融点金属層は銀もしくは銅を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  8. 前記ヒューズエレメントは、前記高融点金属層を2層以上有し、前記低融点金属層を1層以上有し、前記低融点金属層が前記高融点金属層の間に配置された積層体である、請求項7に記載の保護素子。
  9. 前記ヒューズエレメントは、銀もしくは銅を含む単層体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  10. 前記ヒューズエレメントは、前記第1端部と前記第2端部の間に溶断部を有し、前記第1端部および前記第2端部の前記第1端部から前記第2端部に向かう通電方向の断面積より、前記溶断部の前記通電方向の断面積の方が小さい、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  11. 前記ヒューズエレメントは、第1の可溶導体と、前記第1の可溶導体よりも融点の低い第2の可溶導体とを有し、
    前記第1の可溶導体と前記第2の可溶導体とが、通電において直列に接続される、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  12. 前記第2の可溶導体は、2つの前記第1の可溶導体の間に配置される、請求項11に記載の保護素子。
  13. 前記発熱体の発熱により、前記遮蔽部材が移動し、前記第2の可溶導体が切断される、請求項11に記載の保護素子。
  14. 前記絶縁ケースは、前記ヒューズエレメントの前記遮蔽部材とは反対側に近接若しくは接触させた状態で配置される内底面を有し、
    前記内底面は、前記絶縁部材の前記開口部若しくは前記分離部に沿って延びる溝を有し、
    前記遮蔽部材の挿入方向の先端は、前記溝内に挿入可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  15. 板状の前記ヒューズエレメントの面に対し垂直方向に並列に積層された複数の前記ヒューズエレメントと、
    複数の前記ヒューズエレメントの間に接触若しくは近接して配置された複数の前記絶縁部材と、を有し、
    複数の前記絶縁部材の各々の前記開口部若しくは前記分離部が垂直方向から見て互いに重なり、前記遮蔽部材が全ての前記開口部若しくは前記分離部内を移動可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  16. 複数の前記絶縁部材は、複数の前記ヒューズエレメントの前記遮蔽部材側の最外層の外側に配置される前記絶縁部材を含み、
    前記絶縁ケースは、複数の前記ヒューズエレメントの前記遮蔽部材とは反対側の最外層の外側に近接若しくは接触させた状態で配置される内底面を有し、
    前記内底面は、前記絶縁部材の前記開口部若しくは前記分離部に沿って延びる溝を有し、
    全ての前記開口部若しくは前記分離部及び前記溝内を前記遮蔽部材が移動可能である、請求項15に記載の保護素子。
  17. 板状の前記ヒューズエレメントの面に対し垂直方向に並列に積層された複数の前記ヒューズエレメントと、
    複数の前記ヒューズエレメントの間および外側に接触若しくは近接して配置された複数の前記絶縁部材と、を有し、
    複数の前記絶縁部材の各々の前記開口部若しくは前記分離部が垂直方向から見て互いに重なり、前記遮蔽部材が全ての前記開口部若しくは前記分離部内を移動可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  18. 前記絶縁ケースは、板状の前記ヒューズエレメントの面に対する垂直方向において、前記ヒューズエレメントの両側に配置される少なくとも2つの保持部材を有し、
    2つの前記保持部材のうち、一方若しくは両方は、前記絶縁部材と一体に形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  19. 前記係止部材は、前記遮蔽部材の挿入方向において、前記絶縁ケースと前記遮蔽部材との間に挟み込まれて係止され、
    前記ヒューズエレメントの通電方向および前記遮蔽部材の挿入方向と直交する幅方向から見て、若しくは通電方向から見て、前記係止部材の前記発熱体から前記係止部材に向かう方向の寸法よりも、前記係止部材の挿入方向の寸法が大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
  20. 前記遮蔽部材は、前記遮蔽部材の挿入方向を向く第1段部を有し、
    前記絶縁ケースは、挿入方向において前記第1段部とは反対側を向く第2段部を有し、
    前記係止部材の挿入方向を向く一対の端面は、前記第1段部と前記第2段部とに挟まれ、
    挿入方向から見て、前記第1段部と前記第2段部とは互いに重ならない、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
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