JP2023036516A - 遠心ファン - Google Patents

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潤 山岡
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Abstract

【課題】翼間流路の出口付近における偏った空気流れの速度分布に起因した騒音の発生を抑制できる遠心ファンを提供する。【解決手段】複数枚の翼32のそれぞれにおいて、翼後縁部324は、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されている。また、遠心ファン18では、側板34の外径Dsoに対する側板34の内径Dsiの比率であるDsi/Dsoは、「0.5<Dsi/Dso<0.7」となっている。従って、遠心ファン18では、各翼32が行う主板36側の仕事量を側板34側に比して増やすことができる。これにより、翼間流路32aの途中で側板34側へ偏った空気流れを、翼間流路32aの出口付近で主板36側に再度引き寄せることができる。その結果、翼間流路32aの出口付近で空気流れの速度分布を、ファン軸心方向Daの偏りが無い分布に近づけ、遠心ファン18の低騒音化を図ることが可能である。【選択図】図2

Description

本発明は、回転することで空気を流す遠心ファンに関するものである。
特許文献1に記載された遠心ファンは、三次元形状の複数のブレード(すなわち、翼)と、主板と、側板とを備えている。その主板には、各翼のスパン方向の一端面が固定され、側板には、各翼のスパン方向の他端面が固定される。
そして、三次元形状の翼において吸込空気流れの主流が側板に沿わずに主板側に偏って吹き出すことに起因して、その吸込空気流れが偏った速度分布を生じ騒音が発生することが、特許文献1に課題として示されている。
これに対し、特許文献1の遠心ファンにおいて各翼は、その翼が有する翼後縁部の直径が側板側に比して主板側の方で大きくなるように形成されている。これにより、翼の相互間における主流速度の分布が良化し、騒音が改善するということが、特許文献1に記載されている。
国際公開第2009/139422号
一般的に、遠心ファンとして、側板の内径(すなわち、遠心ファンの吸気孔の直径)である吸込径を出口径(すなわち、側板の外径)で除して得られる比率であるファン内外径比が種々異なるものが想定される。しかしながら、特許文献1には、そのファン内外径比についての言及がない。
また、ファン内外径比が小さくなるほど、翼の相互間に形成される空気流路(別言すると、翼間流路)は長くなるので、ファン内外径比が或る程度以上に小さい遠心ファンにおいては、特許文献1に記載されていない空気流れが翼間流路に生じる。
具体的に、翼間流路の空気流れは、吸気孔付近で側板裏面(すなわち、側板の翼側の面)から剥離して一旦主板側に偏るが、その後、翼間流路の途中で側板に再付着するように流れる。そのため、翼間流路の出口では、空気流れが側板側に偏って流れ、ファンの軸方向で片側に偏った空気流れの速度分布が生じる。そして、その翼間流路の出口付近における偏った空気流れの速度分布に起因した騒音が発生してしまう。このようなことを、発明者らは新たに見出した。
本発明は上記点に鑑みて、翼間流路の出口付近における偏った空気流れの速度分布に起因した騒音の発生を抑制することが可能な遠心ファンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の遠心ファンは、
ファン軸心(CL)まわりに回転することでそのファン軸心の軸方向(Da)の一方側から空気を吸い込むと共にその吸い込んだ空気をファン軸心の径方向(Dr)の外側へ吹き出す遠心ファンであって、
ファン軸心まわりに並んで配置され、径方向の外側に翼後縁部(324)を有する複数枚の翼(32)と、
空気が吸い込まれる吸気孔(34a)が形成され、複数枚の翼に対して軸方向の一方側に設けられその複数枚の翼のそれぞれに連結された側板(34)と、
複数枚の翼のそれぞれに対し側板側とは反対側で連結され、径方向に拡がる主板(36、43、401)とを備え、
側板の内径をDsiとし且つ側板の外径をDsoとした場合に、Dsi/Dsoは、0.5<Dsi/Dso<0.7であり、
翼後縁部は、軸方向の一方側ほど径方向の内側に位置するように形成されている。
ここで、翼の相互間に形成される空気流路である翼間流路において空気流れは、上記したように、側板から一旦剥離してから側板に再付着するように軸方向の一方側に偏る。これに対し、上記の遠心ファンでは、翼後縁部が軸方向の一方側ほど径方向の内側に位置するように形成されているので、各翼が行う主板側の仕事量を側板側に比して増やし、翼間流路の出口付近で空気流れを主板側に再度引き寄せることができる。その結果、例えば翼後縁部がファン軸心と平行である場合と比較して、翼間流路の出口付近で空気流れの速度分布を、軸方向の偏りが無い分布に近づけることができ、遠心ファンの低騒音化を図ることが可能である。
また、上記の遠心ファンでは、側板の内径をDsiとし且つ側板の外径をDsoとした場合に、Dsi/Dsoは、0.5<Dsi/Dso<0.7である。そのため、翼後縁部がファン軸心に仮に平行であれば翼間流路の空気流れが翼間流路の出口付近で側板側に偏る遠心ファンに対し、翼後縁部が軸方向の一方側ほど径方向の内側に位置する上記構成を用いることができる。従って、その翼後縁部の構成を、遠心ファンの低騒音化を適切に図ることができるように用いることが可能である。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態において送風機の外観を表した斜視図である。 第1実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して示した縦断面図、すなわち、図1のII-II断面を模式的に示した断面図である。 第1実施形態において、送風機が有する遠心ファンと回転軸とを、ファン軸心方向の一方側から他方側へ向かう方向視で示した平面図である。 図2と同じ断面を示した断面図である。 第1実施形態において、遠心ファンの翼のうち翼後縁部とその周辺とを抜粋して示した斜視図である。 第1実施形態において、遠心ファンの翼のうち翼後縁部とその周辺とをファン軸心に垂直な平面で切断して得られる横断面を示した断面図であって、翼後縁部のうち側板に連結する部位での横断面を(a)に示し、且つ、翼後縁部のうち主板に連結する部位での横断面を(b)に示した図である。 第1実施形態における作用効果を確認するためのCFDによるシミュレーションの解析結果を示した図であって、「Dsi/Dso=0.72」の場合において得られた翼間流路の空気流れの速度分布を示した図である。 CFDによるシミュレーションの解析結果を図7Aと同様に示した図であって、「Dsi/Dso=0.68」の場合において得られた翼間流路の空気流れの速度分布を示した図である。 CFDによるシミュレーションの解析結果を図7Aと同様に示した図であって、「Dsi/Dso=0.55」の場合において得られた翼間流路の空気流れの速度分布を示した図である。 CFDによるシミュレーションの解析結果を図7Aと同様に示した図であって、「Dsi/Dso=0.48」の場合において得られた翼間流路の空気流れの速度分布を示した図である。 第1実施形態の送風機が発生する騒音のSPLを実線S1で示し、比較例の送風機が発生する騒音のSPLを破線S2で示した図である。 第1実施形態の送風機が発生する騒音と比較例の送風機が発生する騒音とをオーバーオール値で比較した図である。 第1実施形態において、翼後縁部の他方側直径Db2に対する主板の外径Dmoの比率であるDmo/Db2と、騒音低減効果との関係を示した図である。 第2実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して模式的に示した縦断面図であって、図2に相当する図である。 第3実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して模式的に示した縦断面図であって、図2に相当する図である。 第4実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して模式的に示した縦断面図であって、図2に相当する図である。 第5実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して模式的に示した縦断面図であって、図2に相当する図である。 第6実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して模式的に示した縦断面図であって、図2に相当する図である。 第7実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して模式的に示した縦断面図であって、図2に相当する図である。 第8実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して模式的に示した縦断面図であって、図2に相当する図である。 第9実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して模式的に示した縦断面図であって、図2に相当する図である。 第10実施形態において、ファン軸心を含む平面で送風機を切断して模式的に示した縦断面図であって、図2に相当する図である。
以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1および図2に示すように、本実施形態の送風機10は遠心式送風機であり、詳細に言えばターボ型送風機である。送風機10は、その送風機10の筐体であるケーシング12、回転軸14、電動モータ16、電子基板17、遠心ファン18、ベアリング28、およびベアリングハウジング29等を備えている。
なお、図2に示すファン軸心CLは遠心ファン18の回転中心である。また、図2の矢印Daは、ファン軸心CLの軸方向Daすなわちファン軸心方向Daを示している。また、図2の矢印Drは、ファン軸心CLの径方向Drすなわちファン径方向Drを示している。また、図2および後述の図2相当の図では、送風機10のうちファン軸心CLに対する紙面右側の図示が省略されている。
ケーシング12は、電動モータ16、電子基板17、および遠心ファン18を、送風機10外部の塵および汚れから保護する。そのために、ケーシング12は、電動モータ16、電子基板17、および遠心ファン18を収容している。また、ケーシング12は、第1ケース部材22と第2ケース部材24とから構成されている。ケーシング12は、送風機10のうち回転しない非回転部材である。
ケーシング12の第1ケース部材22は例えば樹脂で構成されており、遠心ファン18よりも大径であって略円盤形状を成している。第1ケース部材22は、第1カバー部221と第1ケース外周部222と第1周縁部223と複数本の支柱224とから構成されている。
第1ケース部材22は、遠心ファン18に対するファン軸心方向Daの一方側で遠心ファン18を覆うカバーである。従って、第1ケース部材22は、遠心ファン18の側板34に対し翼32側とは反対側に設けられている。また、遠心ファン18はケーシング12に対して回転するので、相互の干渉防止のため、第1ケース部材22は、遠心ファン18の側板34から離れて配置されている。第1ケース部材22は、本開示の側板隣接ケースに対応する。
第1ケース部材22の第1カバー部221は、ファン径方向Drに拡がった形状を成している。第1カバー部221は、遠心ファン18に対しファン軸心方向Daの一方側に配置され、ファン軸心方向Daにおける遠心ファン18の一方側を覆っている。
第1カバー部221の内周側には、第1カバー部221をファン軸心方向Daに貫通した空気吸入口221aが形成されており、空気は、この空気吸入口221aを介して遠心ファン18へ吸い込まれる。また、第1カバー部221は、その空気吸入口221aの周縁を構成するベルマウスとして設けられた吸入口形成部221bを有している。吸入口形成部221bは、その吸入口形成部221bの内側に空気吸入口221aを形成し、送風機10の外部から空気吸入口221aへ流入する空気を円滑に空気吸入口221a内へと導く。
第1ケース部材22の第1ケース外周部222は、第1カバー部221に対するファン径方向Drの外側に配置され、その第1カバー部221に連結している。第1ケース外周部222は、遠心ファン18の側板34よりもファン径方向Drの外側に配置されている。第1ケース外周部222は、本開示のケース外周部に対応する。
図1および図2に示すように、第1ケース部材22の第1周縁部223は、第1ケース外周部222に対しファン径方向Drの外側に設けられ、ファン軸心CLまわりにおいて第1ケース部材22の周縁を構成している。
第1ケース部材22が有する複数本の支柱224はそれぞれ、第1ケース外周部222からケーシング12の内側へファン軸心CLと平行に突き出ている。また、支柱224は、ファン軸心CLと平行な中心軸を有する厚肉の円筒形状を成している。支柱224の内側には、第1ケース部材22と第2ケース部材24とを結合するビス26が挿通されるビス孔が形成されている。
第1ケース部材22の各支柱224は、遠心ファン18よりもファン径方向Drの外側に配置されている。そして、第1ケース部材22および第2ケース部材24は、支柱224の先端が第2ケース部材24に突き当てられた状態で、支柱224内に挿通されたビス26によって結合されている。
第2ケース部材24は、第1ケース部材22と略同じ直径の略円盤形状を成している。第2ケース部材24は、例えば鉄やステンレス等の金属または樹脂で構成されており、電動モータ16および電子基板17を覆うモータハウジングとしても機能する。第2ケース部材24は、第2カバー部241と第2ケース外周部242と第2周縁部243とから構成されている。
第2カバー部241は、遠心ファン18および電動モータ16に対しファン軸心方向Daの他方側に配置され、ファン軸心方向Daにおける遠心ファン18および電動モータ16の他方側を覆っている。
第2ケース部材24の第2ケース外周部242は、第2カバー部241に対するファン径方向Drの外側に配置され、その第2カバー部241に連結している。第2ケース外周部242は、遠心ファン18の主板36よりもファン径方向Drの外側に配置されている。
第2ケース外周部242と第1ケース外周部222はファン軸心方向Daに相対向するように形成されている。その第2ケース外周部242と第1ケース外周部222との間には、遠心ファン18の吹出口18aから吹き出た空気をファン径方向Drの外側へ流すファン外周流路12bが形成されている。このファン外周流路12bは、遠心ファン18まわりの全周にわたって形成されている。
第2ケース部材24の第2周縁部243は、第2ケース外周部242に対しファン径方向Drの外側に設けられ、ファン軸心CLまわりにおいて第2ケース部材24の周縁を構成している。
第1周縁部223および第2周縁部243は、ケーシング12において空気を吹き出す空気吹出部を構成している。また、第1周縁部223および第2周縁部243は、ファン軸心方向Daにおける第1周縁部223と第2周縁部243との間に、遠心ファン18から吹き出た空気を吹き出す空気吹出口12aを形成している。この空気吹出口12aは、ファン外周流路12bの空気流れ下流端でもある。
詳細に言うと、その空気吹出口12aは、送風機10のファン側面に形成され、ファン径方向Drの外側を向いて開口している。そして、空気吹出口12aは、ファン軸心CLを中心としたケーシング12の全周にわたって開口し遠心ファン18からの空気を吹き出す。すなわち、送風機10は、空気吹出口12aがケーシング12の全周にわたって設けられた全周吹出送風機である。なお、支柱224が設けられている箇所では、ケーシング12からの空気の吹出しは支柱224に妨げられるので、空気吹出口12aがケーシング12の全周にわたって開口していることとは、おおよそ全周にわたって開口していることを含む意味である。
回転軸14は、例えば鉄、ステンレス、または黄銅等の金属で構成されている。回転軸14は、図2に示すように円柱形状の棒材であり、ベアリング28の内輪へ例えば圧入されている。そのため、回転軸14はベアリング28の内輪に対して固定されている。また、ベアリング28の外輪はベアリングハウジング29に対し例えば圧入されることで固定されている。そのベアリングハウジング29は、例えばアルミニウム合金、黄銅、鉄、またはステンレス等の金属で構成され、第2カバー部241に固定されている。
従って、回転軸14は、第2カバー部241に対してベアリング28を介して支持されている。すなわち、回転軸14は、第2カバー部241に対し、ファン軸心CLを中心として回転自在になっている。
それと共に、回転軸14が有するファン軸心方向Daの一方側の端部が、遠心ファン18が有する主板36の内周孔36aに嵌め入れられ、これにより、遠心ファン18は、回転軸14に対して固定されている。すなわち、遠心ファン18は、ファン軸心CLを中心として回転軸14と一体的に回転する。
電動モータ16はアウターロータ型ブラシレスDCモータである。電動モータ16は電子基板17と共に、ファン軸心方向Daにおいて遠心ファン18の主板36と第2カバー部241との間に配置されている。そして、電動モータ16は、モータロータ161とロータマグネット162とモータステータ163とを備えている。モータロータ161は鋼板等の金属で構成され、例えばその鋼板がプレス成形されることによって形成されている。
ロータマグネット162は永久磁石であって、例えばフェライトやネオジム等を含むゴムマグネットで構成されている。そのロータマグネット162はモータロータ161に一体固定されている。また、モータロータ161は、遠心ファン18のロータ連結部38に固定されている。すなわち、モータロータ161およびロータマグネット162は、ファン軸心CLを中心として遠心ファン18と一体的に回転する。
モータステータ163は、電子基板17に電気的に接続されたステータコイル163aおよびステータコア163bを含んで構成されている。モータステータ163は、ロータマグネット162に対し微小な隙間を空けて径方向内側に配置されている。そして、モータステータ163は、ベアリングハウジング29を介して第2ケース部材24の第2カバー部241に固定されている。電子基板17には不図示の複数の電気部品が実装されており、例えば、電動モータ16を回転駆動するための電気回路などが電子基板17に構成されている。
このように構成された電動モータ16では、モータステータ163のステータコイル163aへ外部電源から通電されると、そのステータコイル163aによってステータコア163bに磁束変化が生じる。そして、そのステータコア163bでの磁束変化は、ロータマグネット162を引き寄せる力を発生する。モータロータ161は、ベアリング28により回転可能に支持されている回転軸14に対して固定されているので、上記ロータマグネット162を引き寄せる力を受けてファン軸心CLまわりに回転運動をする。要するに、電動モータ16は、通電されることにより、モータロータ161が固定された遠心ファン18をファン軸心CLまわりに回転させる。
遠心ファン18は、図2、図3に示すように、送風機10に適用されるインペラである。遠心ファン18は、所定のファン回転方向DRfへファン軸心CLまわりに回転することで送風する。すなわち、遠心ファン18は、ファン軸心CLまわりに回転することにより、矢印FLaのようにファン軸心方向Daの一方側から空気吸入口221aを介して空気を吸い込む。そして、遠心ファン18は、遠心ファン18の径方向外側へ矢印FLbのように、その吸い込んだ空気を吹き出す。
具体的に、本実施形態の遠心ファン18はターボファンである。そして、遠心ファン18は、複数枚の翼32と側板34と主板36とロータ連結部38とを有している。遠心ファン18は例えば樹脂製であり、その複数枚の翼32と側板34と主板36とロータ連結部38は一体構成になっている。
複数枚の翼32は、ファン軸心CLまわりに配置されている。詳細には、複数枚の翼32は、互いの間に空気が流れる間隔を空けつつ、ファン軸心CLの周方向Dcへ並んで配置されている。翼32はファンブレードとも称される。
また、翼32はそれぞれ、翼32のうちファン軸心方向Daの一方側に設けられた翼一端部321と、翼32のうちファン軸心方向Daの一方側とは反対側の他方側に設けられた翼他端部322とを有している。複数枚の翼32は、その複数枚の翼32のうち互いに隣り合う翼32同士の間にそれぞれ、空気が流れる翼間流路32aを形成している。
側板34は、図2、図3に示すように、ファン径方向Drへ円盤状に拡がる形状を成している。そして、その側板34の径方向内側には、ケーシング12の空気吸入口221aからの空気が矢印FLaのように吸い込まれる吸気孔34aが形成されている。従って、側板34は、ファン軸心CLを中心とした環形状を成している。
また、側板34は、側板内周端部341と側板外周端部342とを有している。その側板内周端部341は、側板34のうちファン径方向Drの内側に設けられた端部であり、吸気孔34aを形成している。また、側板外周端部342は、側板34のうちファン径方向Drの外側に設けられた端部である。側板外周端部342は、側板34が有する本開示の外周端部に対応する。
また、側板34は、複数枚の翼32に対しファン軸心方向Daの一方側すなわち空気吸入口221a側に設けられている。それと共に、側板34は、その複数枚の翼32のそれぞれに連結されている。言い換えれば、側板34は、その翼32のそれぞれに対し翼一端部321にて連結されている。
また、側板34は、ファン軸心方向Daの他方側を向いた側板他方面343を有している。この側板他方面343は翼間流路32aに面しており、遠心ファン18内の気流を案内する。側板他方面343は、ファン径方向Drに拡がる湾曲面であり、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置する。そして、ファン軸心CLを含む縦断面である図2の断面において、側板他方面343の曲率半径はファン径方向Drの外側ほど大きくなる。
例えば本実施形態では、図2に示す送風機10の縦断面において、側板他方面343は、内側円弧形状343aと外側円弧形状343bと外側直線形状343cとを有している。これらの内側円弧形状343aと外側円弧形状343bと外側直線形状343cは、ファン径方向Drの内側から、内側円弧形状343a、外側円弧形状343b、外側直線形状343cの順に滑らかに連なっている。そして、外側円弧形状343bの曲率半径R2は内側円弧形状343aの曲率半径R1よりも大きく、外側直線形状343cは、ファン軸心CLに垂直な直線状になっている。
主板36は、ファン軸心CLまわりに回転可能な回転軸14に固定されているので、ケーシング12に対してファン軸心CLまわりに回転可能に支持されている。主板36は、ファン軸心CLを中心としてファン径方向Drへ円盤状に拡がった形状を成している。
また、主板36は、複数枚の翼32のそれぞれに対し側板34側とは反対側に連結されている。すなわち、主板36は、複数枚の翼32のそれぞれに対し翼他端部322にて連結されている。
また、主板36は、遠心ファン18内の気流を案内する主板案内面36bを有している。主板案内面36bは翼間流路32aに面し、側板他方面343に対しその翼間流路32aを挟んで対向している。そして、主板案内面36bは、ファン軸心方向Daの一方側を向いてファン径方向Drへ拡がる湾曲面であり、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置するように形成されている。このような形状により、主板案内面36bは、空気吸入口221aへ吸い込まれファン軸心方向Daを向いた空気流れをファン径方向Drの外側へ向くように案内する。
また、主板36を回転軸14に固定するために、主板36の径方向内側には、主板36をファン軸心方向Daへ貫通した内周孔36aが形成されている。
ロータ連結部38は、ファン軸心CLを中心とした円筒状のリブであり、主板36からファン軸心方向Daの他方側へ突き出ている。このロータ連結部38の径方向内側には、モータロータ161が嵌め込まれて格納されている。これにより、ロータ連結部38は、モータロータ161に固定される。そして、ロータ連結部38がモータロータ161に固定されることにより、遠心ファン18は、そのモータロータ161に固定されている。
また、主板36は、主板外周端部362を有している。その主板外周端部362は、主板36のうちファン径方向Drの外側に設けられた端部である。主板外周端部362と側板外周端部342は、ファン軸心方向Daにおいて互いに離れて配置されている。そして、主板外周端部362と側板外周端部342は、翼間流路32aを通過した空気が吹き出る吹出口18aを、その主板外周端部362と側板外周端部342との間に形成している。すなわち、主板外周端部362と側板外周端部342は、遠心ファン18のうち、吹出口18aが形成された空気吹出部を構成している。遠心ファン18の吹出口18aは、ファン径方向Drの外側を向いて開口しており、ファン軸心CLを中心とした遠心ファン18の全周にわたって形成されている。
本実施形態では、ファン径方向Drにおける主板外周端部362の位置は側板外周端部342の位置に揃えられている。すなわち、図2、図4に示すように、主板36の外径Dmoと側板34の外径Dsoは同じ大きさであり、遠心ファン18の外径Doutとなっている。
また、側板34の外径Dsoに対する側板34の内径Dsiの比率である側板内外径比はDsi/Dsoで算出され、本実施形態において、そのDsi/Dsoは、「0.5<Dsi/Dso<0.7」となっている。詳細にいうと、本実施形態では、そのDsi/Dsoは、「Dsi/Dso=0.55」である。なお、側板34の内径Dsiは、別言すれば、側板34に形成された吸気孔34aの直径でもある。
図2、図4に示すように、複数枚の翼32はそれぞれ、ファン径方向Drの内側に設けられた翼前縁部323と、ファン径方向Drの外側に設けられた翼後縁部324とを有している。その翼前縁部323とは、翼32のうち、吸気孔34aを通過して翼間流路32aに流れる空気の気流方向における上流側に構成された端縁部である。また、翼後縁部324とは、翼32のうち、その翼間流路32aに流れる空気の気流方向における下流側に構成された端縁部である。
翼前縁部323は、側板34と主板36とに連結し、側板34側から主板36側へと延びている。そして、翼後縁部324も、側板34と主板36とに連結し、側板34側から主板36側へと延びている。
翼前縁部323は、主板36側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されている。具体的に、翼前縁部323は、第1前縁部323aと第2前縁部323bとを含んで構成されている。その第1前縁部323aと第2前縁部323bはそれぞれ直線的に延びるように形成され、第1前縁部323aと第2前縁部323bは直列に連結されている。そして、第1前縁部323aは側板34に連結されている。第2前縁部323bは主板36に連結され、第1前縁部323aと主板36との間に設けられている。
また、第2前縁部323bがファン軸心CLに対して成す角度は、第1前縁部323aがファン軸心CLに対して成す角度よりも小さい。詳細には、図2、図4の縦断面において、第1前縁部323aは、ファン軸心CLに対して垂直な向きで直線的に延伸している。そして、第2前縁部323bは、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの外側に位置するようにファン軸心CLに対して傾いて直線的に延伸している。
従って、第2前縁部323bの一方側直径Df1の方が第2前縁部323bの他方側直径Df2よりも大きい。その第2前縁部323bの一方側直径Df1とは、第2前縁部323bがファン軸心方向Daの一方側の端にて有するファン軸心CLを中心とした直径である。また、第2前縁部323bの他方側直径Df2とは、第2前縁部323bがファン軸心方向Daの他方側の端にて有するファン軸心CLを中心とした直径である。
翼後縁部324は、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置するように延びている。具体的には、図2、図4の縦断面において、翼後縁部324は、側板34側が主板36側に対しファン径方向Drの内側に位置するようにファン軸心CLに対して傾いた直線状に形成されている。
従って、翼後縁部324の一方側直径Db1の方が翼後縁部324の他方側直径Db2よりも小さい。その翼後縁部324の一方側直径Db1とは、翼後縁部324がファン軸心方向Daの一方側の端にて有するファン軸心CLを中心とした直径である。また、翼後縁部324の他方側直径Db2とは、翼後縁部324がファン軸心方向Daの他方側の端にて有するファン軸心CLを中心とした直径である。
図2、図4に示すように、翼後縁部324の他方側直径Db2は、ファン軸心CLを中心とした翼32の最大外径でもある。その翼後縁部324の他方側直径Db2と主板36の外径Dmoとの間では、「Db2<Dmo≦1.13×Db2」の関係が成立する。詳細にいうと、本実施形態では、翼後縁部324の他方側直径Db2と主板36の外径Dmoとの関係は、「Dmo=1.06×Db2」となっている。
また、図2、図4に示すように、翼前縁部323の一部は、翼後縁部324がファン軸心方向Daに占める全幅Hbに含まれる軸方向範囲Hb1内に入っている。その軸方向範囲Hb1内に入っている翼前縁部323の一部は、詳細には、第2前縁部323bのうち主板36側の端を含む一部である。
側板他方面343のうち側板内周端部341からファン径方向Drの外側へ拡がり始める部位Psiが主板案内面36bに対しファン軸心方向Daに沿って有する軸方向高さH2と、側板34の外径Dsoは、「0.06<H2/Dso<0.20」の関係にある。詳細にいうと、本実施形態では、そのH2/Dsoは、「H2/Dso=0.082」である。
また、本実施形態の遠心ファン18では、翼後縁部324は、側板外周端部342よりもファン径方向Drの内側で側板34に連結している。それと共に、翼後縁部324は、主板外周端部362よりもファン径方向Drの内側で主板36に連結している。つまり、側板34と主板36はそれぞれ、翼後縁部324よりもファン径方向Drの外側にまで延びている。具体的に言うと、側板34の外径Dsoと翼後縁部324の一方側直径Db1との大小関係は、「Dso>Db1」であり、主板36の外径Dmoと翼後縁部324の他方側直径Db2との大小関係は、「Dmo>Db2」である。
上記したように第1ケース部材22は遠心ファン18の側板34から離れて配置されているので、その側板34は、第1ケース部材22との間にケース側板隙間34bを形成している。例えば、このケース側板隙間34bは、第1ケース部材22と遠心ファン18との干渉を防止できる範囲で出来るだけ狭い隙間となるように形成されている。
また、第1ケース外周部222は、第1カバー部221から延設されて、側板外周端部342に対しファン径方向Drの外側に重なるように設けられている。そして、第1ケース外周部222の内径Dc1は側板34の外径Dsoよりも大きい。そのため、側板外周端部342は、第1ケース外周部222に対しファン径方向Drに対向し、ケース側板隙間34bの開口端34cを第1ケース外周部222との間に形成している。ケース側板隙間34bの開口端34cはケーシング12の空気吹出口12aよりもファン径方向Drの内側に位置し、ケース側板隙間34bは、この開口端34cでファン外周流路12bに連結している。
本実施形態では図5、図6に示すように、翼後縁部324において翼32の厚みtbは一定ではない。具体的に、翼32の厚みtbは、翼後縁部324では側板34側ほど大きくなっている。例えば、翼後縁部324のうち側板34に連結する部位での翼32の厚みtbである側板側後縁厚みtb1は、翼後縁部324のうち主板36に連結する部位での翼32の厚みtbである主板側後縁厚みtb2よりも大きくなっている。
このように、翼後縁部324において翼32の厚みtbが軸方向位置に応じて変化しているので、これに合わせて、翼後縁部324の表面形状も軸方向位置に応じて変化している。なお、図6において翼32周りの空気流れは破線で表されている。
詳細には、図6に示すように、翼後縁部324は、その翼後縁部324の表面である後縁部外面324aを有している。そして、その後縁部外面324aは、翼32の正圧面と負圧面とを翼後縁部324にて連結し、ファン軸心CLに垂直な横断面において凸状に湾曲している。更に、その横断面において、後縁部外面324aの曲率半径Rbは側板34側ほど大きくなっている。例えば、翼後縁部324のうち側板34に連結する部位での後縁部外面324aの曲率半径Rbである側板側曲率半径Rb1は、翼後縁部324のうち主板36に連結する部位での上記曲率半径Rbである主板側曲率半径Rb2よりも大きくなっている。
なお、図5には、本実施形態と比較される比較例の遠心ファンが有する翼後縁部91が破線で示されている。その比較例の遠心ファンでは、翼後縁部91がファン軸心CLに平行とされ、その翼後縁部91における翼32の厚みtbが一定とされている。これらの点を除き、比較例の遠心ファンは本実施形態の遠心ファン18と同じである。
以上のように構成された遠心ファン18は、図2、図3に示すようにモータロータ161と一体にファン回転方向DRfへ回転運動する。それに伴い、遠心ファン18の翼32が空気に運動量を与えるので、遠心ファン18は、吸気孔34aから矢印FLaのように空気を吸い込み、その吸い込まれた空気は、矢印FL1、FL2、FL3のように翼間流路32aを径方向外側へと流れる。そして、遠心ファン18は、その翼間流路32aを通過した空気を吹出口18aから径方向外側へ矢印FLbのように吹き出す。その吹出口18aから吹き出された空気は、ケーシング12のファン外周流路12bを通って空気吹出口12aから送風機10の外部へ放出される。
上述したように、本実施形態によれば、図2、図4に示すように、複数枚の翼32のそれぞれにおいて、翼後縁部324は、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されている。
ここで、翼32の相互間に形成される翼間流路32aの空気流れについて説明すると、その翼間流路32aの空気流れは、翼間流路32aのうちの上流側で矢印FL1のように側板34から一旦剥離して側板他方面343上に渦WHを生じる。そして、その翼間流路32aの空気流れは、そのように側板34から一旦剥離してから矢印FL2のように進む。すなわち、その空気流れは、側板34から一旦剥離してから側板34に再付着するようにファン軸心方向Daの一方側に偏る。
これに対し、本実施形態の遠心ファン18では、上記したように、翼後縁部324が、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されているので、各翼32が行う主板36側の仕事量が側板34側に比して大きくなる。これにより、翼間流路32aの出口付近で空気流れを矢印FL3のように主板36側に再度引き寄せることができる。その結果、例えば翼後縁部324がファン軸心CLと平行である場合と比較して、翼間流路32aの出口付近で空気流れの速度分布を、ファン軸心方向Daの偏りが無い分布に近づけることができ、遠心ファン18の低騒音化を図ることが可能である。
また、遠心ファン18では、側板34の外径Dsoに対する側板34の内径Dsiの比率であるDsi/Dsoは、「0.5<Dsi/Dso<0.7」となっている。そのため、翼後縁部324がファン軸心CLに仮に平行であれば翼間流路32aの空気流れが翼間流路32aの出口付近で側板34側に偏る遠心ファンに対し、翼後縁部324がファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置する上記構成を用いることができる。従って、本実施形態の翼後縁部324の上記構成を、遠心ファン18の低騒音化を適切に図ることができるように用いることが可能である。
なお、Dsi/Dsoが例えば0.5以下である場合には、空気流れが矢印FL2のようにファン軸心方向Daの一方側に偏った後の翼間流路32aの長さが十分に長く確保される。そのため、翼後縁部324が仮にファン軸心CLに平行であったとしても、空気流れがファン軸心方向Daの一方側に偏った後、翼後縁部324に到達するまでには、そのファン軸心方向Daの一方側への空気流れの偏りが緩和される。一方、Dsi/Dsoが例えば0.7以上である場合には、翼間流路32aの空気流れは、側板34に再付着するようにファン軸心方向Daの一方側に偏る前に、翼後縁部324に到達する。要するに、矢印FL1、FL2で示される空気流れが途中で切れる。従って、翼後縁部324がファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置するという上記構成を遠心ファン18の低騒音化に有効に役立てるためには、「0.5<Dsi/Dso<0.7」という関係が必要である。
その「0.5<Dsi/Dso<0.7」という関係が必要であることは、例えばCFDによるシミュレーションでDsi/Dsoの大きさを変化させて解析結果を得ることによって確認されている。CFDとは、「Computational Fluid Dynamics」の略である。このシミュレーション例の遠心ファンでは、翼32の構成は上記比較例と同様とされている。すなわち、シミュレーション例の遠心ファンでは、翼後縁部91(図5参照)がファン軸心CLに平行とされ、その翼後縁部91における翼32の厚みtbが一定とされている。これらの点を除き、このシミュレーション例の遠心ファンは本実施形態の遠心ファン18と同じである。
そして、このCFDによるシミュレーションから得られた解析結果が図7A~図7Dに示されている。このシミュレーションでは、遠心ファンの回転数は一定とされている。なお、図7A~図7Dにおいて矢印A1、A2は、翼間流路32aの空気流れの向きを示している。また、位置P1は、側板34が翼間流路32aに面する位置を示し、位置P2は、主板36が翼間流路32aに面する位置を示している。また、図7A~図7Dにおいて、翼間流路32aにおける空気流れの速度(言い換えれば、流速)の高低は、ハッチングの差異によって表されている。
具体的に、図7Aは、「Dsi/Dso=0.72」の場合において得られた翼間流路32aの空気流れの速度分布を示している。この図7Aによれば、「Dsi/Dso=0.72」の場合には、翼間流路32aの出口付近(すなわち、図5の翼後縁部91付近)における空気流れの速度分布は、高速部分がファン軸心方向Daの他方側(すなわち、主板36側)へ偏ったものになる。
また、図7Bは、「Dsi/Dso=0.68」の場合において得られた翼間流路32aの空気流れの速度分布を示し、図7Cは、「Dsi/Dso=0.55」の場合において得られた翼間流路32aの空気流れの速度分布を示している。この図7B、図7Cによれば、「Dsi/Dso=0.68」の場合、および「Dsi/Dso=0.55」の場合には、翼間流路32aの出口付近における空気流れの速度分布は、高速部分がファン軸心方向Daの一方側(すなわち、側板34側)へ偏ったものになる。
また、図7Dは、「Dsi/Dso=0.48」の場合において得られた翼間流路32aの空気流れの速度分布を示している。この図7Dによれば、「Dsi/Dso=0.48」の場合には、翼間流路32aの出口付近における空気流れの速度分布は、ファン軸心方向Daの偏りが無いものになる。
これらの図7A~図7Dに示された空気流れの速度分布から次のようなことが言える。すなわち、図7B、図7Cのように「0.5<Dsi/Dso<0.7」の場合には、翼後縁部324が本実施形態のようにファン軸心方向Daに対して傾けられれば、翼間流路32aの出口付近での空気流れの速度分布は、ファン軸心方向Daの偏りが無いものに近付く。なぜなら、本実施形態のようにファン軸心方向Daに対して傾けられた翼後縁部324(図2参照)は、ファン軸心CLに平行とされた翼後縁部91との比較で、上記したように、翼間流路32aの出口付近で空気流れを主板36側に引き寄せるように作用するからである。従って、この場合、翼後縁部324が本実施形態のようにファン軸心方向Daに対して傾けられることは、遠心ファン18の低騒音化につながる。
その一方で、図7A、図7Dでは、翼間流路32aの出口付近における空気流れの速度分布は、高速部分が側板34側へ偏ったものではない。従って、「0.7≦Dsi/Dso」の場合、および「Dsi/Dso≦0.5」の場合には、翼間流路32aの出口付近で空気流れが主板36側に引き寄せられたとしても、その出口付近の空気流れの速度分布は、ファン軸心方向Daの偏りが無いものには近付かない。すなわち、この場合、翼後縁部324が本実施形態のようにファン軸心方向Daに対して傾けられても、そのことは遠心ファン18の低騒音化につながらない。
以上のように、図7A~図7Dの解析結果から、翼後縁部324が本実施形態のようにファン軸心方向Daに対して傾けられた構成を遠心ファン18の低騒音化に有効に役立てるためには、「0.5<Dsi/Dso<0.7」という関係が必要であると言える。
また、本実施形態の遠心ファン18と、翼後縁部91(図5参照)がファン軸心CLに平行な上記比較例の遠心ファンとを対比すると、図8に示すように、殆どの周波数域で遠心ファン18の低騒音化が実現されている。図8では、実線S1が本実施形態のSPLを示し、破線S2が比較例のSPLを示している。SPLとは、「Sound Pressure Level」の略である。
また、図9に示すように、本実施形態では比較例に対し、遠心ファン18の騒音がオーバーオール値で2dB低減された。図9の縦軸の「O.A.」はオーバーオール値の略である。
(1)また、本実施形態によれば、側板他方面343は、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置する。そして、図2、図4の縦断面において、側板他方面343の曲率半径はファン径方向Drの外側ほど大きくなる。従って、翼後縁部324がファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置する構成による騒音低減効果を得つつ、ファン軸心方向Daの一方側から遠心ファン18内に吸い込まれた空気をファン径方向Drの外側へ向くように案内することができる。
(2)また、本実施形態によれば、図2、図4に示すように、複数枚の翼32のそれぞれにおいて、翼前縁部323は、側板34側から主板36側へと延びており、主板36側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されている。従って、翼32の長さが側板34側よりも主板36側の方で長くなるので、各翼32が行う主板36側の仕事量を側板34側に比して大きくすることができる。これによっても、翼間流路32aの空気流れがファン軸心方向Daの一方側に偏ることを是正することができる。
(3)また、本実施形態によれば、側板34と主板36はそれぞれ、翼後縁部324よりもファン径方向Drの外側にまで延びている。従って、空気流れの流速が最大になる翼後縁部324をケース側板隙間34bの開口端34cから遠ざけることができる。このことは、遠心ファン18の低騒音化を図る上で有利に作用する。
また、側板34と主板36とがそれぞれ翼後縁部324よりもファン径方向Drの外側にまで延びているので、空気流れが翼間流路32aから出た直後にファン軸心方向Daに急拡大することが抑制される。これにより、その空気流れの急拡大に起因した損失を抑制し、遠心ファン18の低騒音化に寄与することができる。
例えば、翼後縁部324の他方側直径Db2に対する主板36の外径Dmoの比率であるDmo/Db2と、騒音低減効果との関係は、図10に示すようになる。すなわち、Dmo/Db2が大きいほど騒音低減効果は高くなる。この図10から判るように、側板34と主板36が翼後縁部324よりもファン径方向Drの外側にまで延びていることは、騒音低減効果を高めるように作用する。なお、図10の実験では、側板34の外径Dsoは主板36の外径Dmoと同じである。
(4)また、本実施形態によれば、翼後縁部324の他方側直径Db2と主板36の外径Dmoとの間では、「Db2<Dmo≦1.13×Db2」の関係が成立する。そして、図10によれば、Dmo/Db2が1.13を超えた場合、Dmo/Db2が大きいほど騒音低減効果は緩やかに高まるが、Dmo/Db2に対しあまり変化しない。従って、遠心ファン18の体格が必要以上に大きくなることを回避しつつ騒音低減効果を得ることが可能である。
(5)また、本実施形態によれば、第1ケース部材22の第1ケース外周部222は、遠心ファン18の側板外周端部342に対しファン径方向Drの外側に重なるように設けられている。そして、側板外周端部342は、第1ケース外周部222に対しファン径方向Drに対向し、ケース側板隙間34bの開口端34cを第1ケース外周部222との間に形成している。
従って、ケース側板隙間34bの開口端34cはケーシング12の空気吹出口12aよりもファン径方向Drの内側に位置するので、その開口端34cでの気圧が空気吹出口12aでの気圧よりも低くなる。これにより、例えば開口端34cが空気吹出口12aの外側で開放されている場合と比較して、開口端34cからケース側板隙間34bへ流入する吹出空気の逆流を抑制することが可能である。
(6)また、本実施形態によれば、図4~図6に示すように、翼後縁部324は側板34側から主板36側へと延びており、翼32の厚みtbは、翼後縁部324では側板34側ほど大きくなっている。従って、翼後縁部324に隣接する空気流れの失速域STが主板36側よりも側板34側の方で大きくなるので、この失速域STによる空気流れ損失が側板34側ほど大きくなる。このことも、翼後縁部324周りの空気流れがファン軸心方向Daの一方側に偏ることを抑制するように作用する。
(7)また、本実施形態によれば、図5、図6に示すように、ファン軸心CLに垂直な横断面(例えば、図6の断面)において、翼後縁部324の後縁部外面324aは凸状に湾曲しており、後縁部外面324aの曲率半径Rbは側板34側ほど大きくなっている。従って、翼32の正圧面と負圧面とを翼後縁部324で滑らかにつなぐことができる。そのため、翼後縁部324周りでの空気の流通抵抗が主板36側よりも側板34側の方で大きくなるという傾向を確保しつつ、正圧面と負圧面とが翼後縁部324で滑らかにつながっていない場合と比較して、その流通抵抗の全体を引き下げることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
図11に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、翼後縁部324は、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されている。但し、本実施形態では、その翼後縁部324の形状が第1実施形態に対して異なる。
具体的に、本実施形態の翼後縁部324は、1つの段差形状を有するように形成され、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に段階的に位置する。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図12に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、翼後縁部324は、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されている。但し、本実施形態では、その翼後縁部324の形状が第1実施形態に対して異なる。
具体的に、本実施形態の翼後縁部324は、複数の段差形状を有するように形成され、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に段階的に位置する。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図13に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、翼後縁部324は、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されている。但し、本実施形態では、その翼後縁部324の形状が第1実施形態に対して異なる。
具体的に、本実施形態の翼後縁部324は、その翼後縁部324のうち側板34に連結する部位を含むファン軸心方向Daの一方側の部位では、ファン軸心CLと平行に延びている。そして、翼後縁部324は、その翼後縁部324のうち主板36に連結する部位を含むファン軸心方向Daの他方側の部位では、ファン軸心方向Daの他方側ほどファン径方向Drの外側に位置するようにファン軸心CLに対し傾斜している。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図14に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、翼後縁部324は、ファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されている。但し、本実施形態では、その翼後縁部324の形状が第1実施形態に対して異なる。
具体的に、本実施形態の翼後縁部324は、曲がりながら延伸している。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図15に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、遠心ファン18の側板他方面343は、ファン軸心方向Daの他方側を向いてファン径方向Drに拡がっており、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置する。但し、本実施形態では、側板他方面343の形状が第1実施形態に対して異なる。
具体的に、図15に示す送風機10の縦断面において、側板他方面343は、内側円弧形状343aと外側直線形状343dとを有している。この外側直線形状343dは、第1実施形態における外側円弧形状343bと外側直線形状343c(図2参照)とに置き換わるものである。
図15の縦断面において、本実施形態の内側円弧形状343aと外側直線形状343dは、ファン径方向Drの内側から、内側円弧形状343a、外側直線形状343dの順に滑らかに連なっている。また、外側直線形状343dは、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置するようにファン軸心CLに対し傾斜した直線状になっている。このように、図15の縦断面において、本実施形態の側板他方面343は、1つの円弧と1つの直線とで形成されている。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第5実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図16に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、遠心ファン18の側板他方面343は、ファン軸心方向Daの他方側を向いてファン径方向Drに拡がっており、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置する。但し、本実施形態では、側板他方面343の形状が第1実施形態に対して異なる。
具体的に、図16に示す送風機10の縦断面において、側板他方面343は、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置するようにファン軸心CLに対し傾斜した1本の直線状に形成されている。このように、図16の縦断面において、本実施形態の側板他方面343は、1つの直線で形成されている。
(1)従って、翼後縁部324がファン軸心方向Daの一方側ほどファン径方向Drの内側に位置する構成による騒音低減効果を得つつ、ファン軸心方向Daの一方側から遠心ファン18内に吸い込まれた空気をファン径方向Drの外側へ向くように案内することができる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第5実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図17に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、遠心ファン18の側板他方面343は、ファン軸心方向Daの他方側を向いてファン径方向Drに拡がっており、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置する。但し、本実施形態では、側板他方面343の形状が第1実施形態に対して異なる。
具体的に、図17に示す送風機10の縦断面において、側板他方面343は、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置するように延伸する1本の円弧状に形成されている。このように、図17の縦断面において、本実施形態の側板他方面343は、1つの円弧で形成されている。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第5実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図18に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、翼前縁部323は、側板34側から主板36側へと延びており、主板36側ほどファン径方向Drの内側に位置するように形成されている。但し、本実施形態では、その翼前縁部323の形状が第1実施形態に対して異なる。
具体的に、本実施形態の翼前縁部323は、第1前縁部323aと第2前縁部323bとに加え、第3前縁部323cを有している。これらの第1前縁部323aと第2前縁部323bと第3前縁部323cは、側板34側から、第1前縁部323a、第2前縁部323b、第3前縁部323cの順番で直列に連結されている。
第3前縁部323cは主板36に連結され、第2前縁部323bと主板36との間に設けられている。また、第3前縁部323cは、図18の縦断面においてファン軸心CLと平行に形成されている。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第8実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図19に示すように、本実施形態の電動モータ16は、第1実施形態のモータロータ161(図2参照)に替えてモータロータ40を有している。また、本実施形態の遠心ファン18は、第1実施形態の主板36に替えて主板外周部43を有し、第1実施形態のロータ連結部38に替えてロータ連結部44を有している。本実施形態では、複数枚の翼32と側板34と主板外周部43とロータ連結部44は一体構成になっている。
具体的に、本実施形態のモータロータ40には、第1実施形態の内周孔36aに相当する内周孔40aが形成されており、その内周孔40aには回転軸14が嵌め入れられている。これにより、モータロータ40は回転軸14に対して直接固定され、ファン軸心CLを中心として回転軸14と一体的に回転する。
モータロータ40は、主板内周部401と筒状部402とを有している。主板内周部401は、ファン軸心CLを中心としてファン径方向Drへ円盤状に拡がった形状を成している。そして主板内周部401は、内周主板面401aを有している。この内周主板面401aは、ファン軸心方向Daの一方側を向いてファン径方向Drへ拡がる湾曲面であり、ファン径方向Drの外側ほどファン軸心方向Daの他方側に位置するように形成されている。主板内周部401はモータロータ40の一部分であるが、遠心ファン18が吸い込んだ空気を案内する機能も有するので、遠心ファン18の一部分でもある。
なお、図19では、翼32とモータロータ40の主板内周部401との間に隙間が示されているが、これは、判りやすい図示とするためである。各翼32は、主板内周部401に接触していてもよいし、図示のとおり主板内周部401に対し隙間をあけて離れていてもよい。
モータロータ40の筒状部402は、ファン軸心CLを中心とした円筒形状を成しており、主板内周部401の径方向外側端からファン軸心方向Daの他方側へ延伸している。この筒状部402の内側にはロータマグネット162が固定されている。
主板外周部43は、主板内周部401に対しファン径方向Drの外側に配置され、ファン軸心CLを中心としてファン径方向Drへ円盤状に拡がった形状を成している。詳細には、主板外周部43は、主板内周部401から続いてファン径方向Drの外側へ拡がった形状を成している。従って、主板外周部43と主板内周部401は全体として、第1実施形態の主板36(図2参照)に対応する。
また、主板外周部43は、ファン軸心方向Daの一方側を向いた外周主板面43aを有している。この外周主板面43aは、内周主板面401aから続いてファン径方向Drの外側へ拡がっている。外周主板面43aには、複数枚の翼32の翼他端部322がそれぞれ連結されている。外周主板面43aと内周主板面401aは全体として、遠心ファン18内の気流を案内する主板案内面36bを構成している。
また、主板外周部43は、ファン径方向Drの外側に設けられた端部である外周端部431を有している。この外周端部431は、第1実施形態の主板外周端部362(図2参照)に対応する。
ロータ連結部44は、ファン軸心CLを中心とした円筒形状を成しており、主板外周部43の径方向内側端からファン軸心方向Daの他方側へ延伸している。ロータ連結部44の径方向内側には、モータロータ40の筒状部402が嵌め込まれている。これにより、ロータ連結部44はモータロータ40に固定される。そして、ロータ連結部44がモータロータ40に固定されることにより、遠心ファン18は、そのモータロータ40に固定され、モータロータ40と一体に回転する。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第9実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では、図2に示すように、遠心ファン18はターボファンであるが、例えばラジアルファンなど、他の形式の遠心ファンであっても差し支えない。
(2)上述の各実施形態では、図2に示すように、電動モータ16はアウターロータ型ブラシレスDCモータであるが、そのモータ形式に限定はない。例えば、電動モータ16はインナーロータ型モータであってもよいし、ブラシ付きモータであってもよい。
(3)上述の各実施形態では、図2、図4の縦断面において、第2前縁部323bは直線的に延伸しているが、湾曲していても差し支えない。
(4)上述の第1実施形態では、図2に示すように、主板36の外径Dmoと側板34の外径Dsoは同じ大きさであるが、これは一例である。例えば、主板36の外径Dmoは、側板34の外径Dsoに対し大きくてもよいし、或いは、側板34の外径Dsoに対し小さくてもよい。
(5)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(本発明の特徴)
[請求項1]
ファン軸心(CL)まわりに回転することで該ファン軸心の軸方向(Da)の一方側から空気を吸い込むと共に該吸い込んだ空気を前記ファン軸心の径方向(Dr)の外側へ吹き出す遠心ファンであって、
前記ファン軸心まわりに並んで配置され、前記径方向の外側に翼後縁部(324)を有する複数枚の翼(32)と、
空気が吸い込まれる吸気孔(34a)が形成され、前記複数枚の翼に対して前記軸方向の前記一方側に設けられ該複数枚の翼のそれぞれに連結された側板(34)と、
前記複数枚の翼のそれぞれに対し前記側板側とは反対側で連結され、前記径方向に拡がる主板(36、43、401)とを備え、
前記側板の内径をDsiとし且つ前記側板の外径をDsoとした場合に、Dsi/Dsoは、0.5<Dsi/Dso<0.7であり、
前記翼後縁部は、前記軸方向の前記一方側ほど前記径方向の内側に位置するように形成されている、遠心ファン。
[請求項2]
前記側板は、前記軸方向の前記一方側とは反対側の他方側を向いて前記径方向に拡がる側板他方面(343)を有し、
前記側板他方面は前記径方向の外側ほど前記軸方向の前記他方側に位置し、
前記ファン軸心を含む縦断面において、前記側板他方面の曲率半径は前記径方向の外側ほど大きくなる、請求項1に記載の遠心ファン。
[請求項3]
前記側板は、前記軸方向の前記一方側とは反対側の他方側を向いて前記径方向に拡がる側板他方面(343)を有し、
前記側板他方面は前記径方向の外側ほど前記軸方向の前記他方側に位置し、
前記ファン軸心を含む縦断面において、前記側板他方面は1つの円弧または直線で形成される、請求項1に記載の遠心ファン。
[請求項4]
前記複数枚の翼はそれぞれ、前記径方向の内側に翼前縁部(323)を有し、
前記翼前縁部は、前記側板側から前記主板側へと延びると共に、前記主板側ほど前記径方向の内側に位置するように形成されている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心ファン。
[請求項5]
前記翼前縁部の一部は、前記翼後縁部が前記軸方向に占める全幅(Hb)に含まれる軸方向範囲(Hb1)内に入っている、請求項4に記載の遠心ファン。
[請求項6]
前記側板と前記主板はそれぞれ、前記翼後縁部よりも前記径方向の外側にまで延びている、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の遠心ファン。
[請求項7]
前記側板と前記主板はそれぞれ、前記翼後縁部よりも前記径方向の外側にまで延びており、
前記複数枚の翼の最大外径をDb2とし且つ前記主板の外径をDmoとした場合に、Db2<Dmo≦1.13×Db2の関係が成立する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の遠心ファン。
[請求項8]
送風機(10)の一部を構成する遠心ファンであって、
前記送風機は、前記側板に対し前記翼側とは反対側に設けられ前記側板から離れて配置される側板隣接ケース(22)を有し、
前記側板は、前記径方向の外側に設けられた外周端部(342)を有し、前記側板隣接ケースとの間にケース側板隙間(34b)を形成し、
前記側板隣接ケースは、前記側板の外周端部に対し前記径方向の外側に重なるように設けられるケース外周部(222)を有し、
前記側板の外周端部は、前記ケース外周部に対し前記径方向に対向し、前記ケース側板隙間の開口端(34c)を前記ケース外周部との間に形成する、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の遠心ファン。
[請求項9]
前記翼後縁部は、前記側板側から前記主板側へと延びており、
前記複数枚の翼の厚み(tb)はそれぞれ、前記翼後縁部では前記側板側ほど大きくなっている、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の遠心ファン。
[請求項10]
前記ファン軸心に垂直な横断面において、前記翼後縁部は、凸状に湾曲した後縁部外面(324a)を有し、該後縁部外面の曲率半径(Rb)は前記側板側ほど大きくなっている、請求項9に記載の遠心ファン。
18 遠心ファン
32 翼
324 翼後縁部
34 側板
34a 吸気孔
36 主板
Da ファン軸心方向(ファン軸心の軸方向)
Dr ファン径方向(ファン軸心の径方向)
Dsi 側板の内径
Dso 側板の外径

Claims (10)

  1. ファン軸心(CL)まわりに回転することで該ファン軸心の軸方向(Da)の一方側から空気を吸い込むと共に該吸い込んだ空気を前記ファン軸心の径方向(Dr)の外側へ吹き出す遠心ファンであって、
    前記ファン軸心まわりに並んで配置され、前記径方向の外側に翼後縁部(324)を有する複数枚の翼(32)と、
    空気が吸い込まれる吸気孔(34a)が形成され、前記複数枚の翼に対して前記軸方向の前記一方側に設けられ該複数枚の翼のそれぞれに連結された側板(34)と、
    前記複数枚の翼のそれぞれに対し前記側板側とは反対側で連結され、前記径方向に拡がる主板(36、43、401)とを備え、
    前記側板の内径をDsiとし且つ前記側板の外径をDsoとした場合に、Dsi/Dsoは、0.5<Dsi/Dso<0.7であり、
    前記翼後縁部は、前記軸方向の前記一方側ほど前記径方向の内側に位置するように形成されている、遠心ファン。
  2. 前記側板は、前記軸方向の前記一方側とは反対側の他方側を向いて前記径方向に拡がる側板他方面(343)を有し、
    前記側板他方面は前記径方向の外側ほど前記軸方向の前記他方側に位置し、
    前記ファン軸心を含む縦断面において、前記側板他方面の曲率半径は前記径方向の外側ほど大きくなる、請求項1に記載の遠心ファン。
  3. 前記側板は、前記軸方向の前記一方側とは反対側の他方側を向いて前記径方向に拡がる側板他方面(343)を有し、
    前記側板他方面は前記径方向の外側ほど前記軸方向の前記他方側に位置し、
    前記ファン軸心を含む縦断面において、前記側板他方面は1つの円弧または直線で形成される、請求項1に記載の遠心ファン。
  4. 前記複数枚の翼はそれぞれ、前記径方向の内側に翼前縁部(323)を有し、
    前記翼前縁部は、前記側板側から前記主板側へと延びると共に、前記主板側ほど前記径方向の内側に位置するように形成されている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心ファン。
  5. 前記翼前縁部の一部は、前記翼後縁部が前記軸方向に占める全幅(Hb)に含まれる軸方向範囲(Hb1)内に入っている、請求項4に記載の遠心ファン。
  6. 前記側板と前記主板はそれぞれ、前記翼後縁部よりも前記径方向の外側にまで延びている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心ファン。
  7. 前記側板と前記主板はそれぞれ、前記翼後縁部よりも前記径方向の外側にまで延びており、
    前記複数枚の翼の最大外径をDb2とし且つ前記主板の外径をDmoとした場合に、Db2<Dmo≦1.13×Db2の関係が成立する、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心ファン。
  8. 送風機(10)の一部を構成する遠心ファンであって、
    前記送風機は、前記側板に対し前記翼側とは反対側に設けられ前記側板から離れて配置される側板隣接ケース(22)を有し、
    前記側板は、前記径方向の外側に設けられた外周端部(342)を有し、前記側板隣接ケースとの間にケース側板隙間(34b)を形成し、
    前記側板隣接ケースは、前記側板の外周端部に対し前記径方向の外側に重なるように設けられるケース外周部(222)を有し、
    前記側板の外周端部は、前記ケース外周部に対し前記径方向に対向し、前記ケース側板隙間の開口端(34c)を前記ケース外周部との間に形成する、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心ファン。
  9. 前記翼後縁部は、前記側板側から前記主板側へと延びており、
    前記複数枚の翼の厚み(tb)はそれぞれ、前記翼後縁部では前記側板側ほど大きくなっている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心ファン。
  10. 前記ファン軸心に垂直な横断面において、前記翼後縁部は、凸状に湾曲した後縁部外面(324a)を有し、該後縁部外面の曲率半径(Rb)は前記側板側ほど大きくなっている、請求項9に記載の遠心ファン。
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