JP2023035890A - 車載電池管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の移動による周辺環境の変化に配慮しつつ、車両に搭載された電池の管理を行う車載電池管理システムを提供する。【解決手段】車載電池管理システムは、車両に搭載された電池(B)と、温度調整機器(10)と、物理量検出部(63a)と、作動制御部(60b)と、環境情報取得部(60a)とを有している。温度調整機器は、電池の温度を調整する為の作動を行う際に作動音を発生させる。作動制御部は、基準作動条件を満たす場合に、温度調整機器を作動させる。作動制御部は、推定状況特定部(60c)と、判定部(60d)と、を備え、判定部により車両の推定状況が温度調整機器の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であると判定された場合、基準作動条件を満たしていない状況であっても、温度調整機器を作動させる。【選択図】図4
Description
本開示は、車両に搭載された電池を管理する車載電池管理システムに関する。
従来、ハイブリッド車や電気自動車等において、電池の温度管理や電池の充放電の管理に関する技術が開発されている。電池の温度管理や電池の充放電を管理する為に、これらの車両には、様々な車載機器が搭載されている。これらの車載機器には、作動に際して作動音を発生させるものが含まれており、作動音の低減が望まれている。
或る装置を構成する構成機器の作動音の低減に関する技術として、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載された電子機器は、構成機器として、筐体内部を空冷する為のファンを有しており、電子機器の温度に応じて、ファンの回転数を変更するように構成されている。
ここで、車両に搭載された構成機器の作動を制御する為に、特許文献1に記載された技術を適用した場合について考察する。特許文献1に記載された技術は、電子機器のように予め定められた位置で使用されることが前提となっているが、車両に搭載された構成機器の場合、車両の移動に伴い、各構成機器を取り巻く状況が大きく変化する。
この為、特許文献1の技術のように、装置の温度を条件として構成機器の作動状態を変化させる態様を採用した場合、車両のおかれた状況によっては、構成機器の作動音が目立ってしまう場合が想定される。
本開示は、上記点に鑑み、車両の移動による周辺環境の変化に配慮しつつ、車両に搭載された電池の管理を行う車載電池管理システムを提供することを目的とする。
本開示の第1態様に係る車載電池管理システムは、車両に搭載された電池(B)と、温度調整機器(10)と、物理量検出部(63a)と、作動制御部(60b)と、環境情報取得部(60a)と、を有している。温度調整機器は、電池の温度を調整する為の作動を行う際に作動音を発生させる。物理量検出部は電池の温度に相関を有する物理量を検出する。作動制御部は、電池の温度に相関を有する物理量を用いて定められた基準値(KTB)と、物理量検出部で検出された検出値とを用いて定められた基準作動条件を満たす場合に、温度調整機器を作動させる。環境情報取得部は、現在における車両の位置情報を含む環境情報を取得する。
作動制御部は、推定状況特定部(60c)と、判定部(60d)と、を備え、判定部により車両の推定状況が作動音抑制状況であると判定された場合、基準作動条件を満たしていない状況であっても、温度調整機器を作動させる。推定状況特定部は、環境情報取得部で取得した環境情報を用いて、予め定められた期間を経過した後の車両の状況である推定状況を特定する。判定部は、推定状況特定部で特定された車両の推定状況が、温度調整機器の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する。
車載電池管理システムによれば、環境情報に基づいて、予め定められた期間を経過した後の車両の状況である推定状況が作動音抑制状況である場合には、基準作動条件を満たしていない状況であっても、事前に温度調整機器が作動される。これにより、予め定められた期間を経過した後の状況を踏まえて、温度調整機器による電池の温度調整が事前に行われることになる為、予め定められた期間を経過した時点で電池の温度調整を行うことを抑制することができる。即ち、車載電池管理システムによれば、環境情報等に基づき作動音抑制状況を推定し、電池の温度調整を事前に行うことで、作動音抑制状況における温度調整機器の作動を防止することができる。これにより、車載電池管理システムは、作動音抑制状況における温度調整機器の作動音による周辺への影響を抑えつつ、車両に搭載された電池を管理することができる。
又、本開示の第2態様に係る車載電池管理システムは、電池(B)と、モータ(MGb)と、内燃機関(ENG)と、を有する車両(C)に適用される。モータは、電池に蓄えられた電力を用いて駆動力を発生させる。内燃機関は、作動に伴って作動音を発生させると共に、電池に対する充電を行う。
そして、車載電池管理システムは、物理量検出部(63b)と、充電制御部(60e)と、環境情報取得部(60a)と、を有している。物理量検出部は、車両に搭載された電池の充電率に相関を有する物理量を検出する。充電制御部は、電池の充電率に相関を有する物理量を用いて定められた基準値と、物理量検出部で検出された検出値とを用いて定められた基準作動条件を満たす場合に、電池を充電する為に内燃機関を作動させる。環境情報取得部は、現在における車両の位置情報を含む環境情報を取得する。
充電制御部は、推定部(60f)と、状況判定部(60g)と、を備え、状況判定部により車両の推定状況が作動音抑制状況であると判定された場合、基準作動条件を満たしていない状況であっても、内燃機関を作動させる。推定部は、環境情報取得部で取得した環境情報を用いて、予め定められた期間を経過した後の車両の状況である推定状況を特定する。状況判定部は、推定部で特定された車両の推定状況が、内燃機関の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する。
車載電池管理システムによれば、環境情報に基づいて、予め定められた期間を経過した後の車両の状況である推定状況が作動音抑制状況である場合には、基準作動条件を満たしていない状況であっても、事前に内燃機関が作動される。これにより、予め定められた期間を経過した後の状況を踏まえて、内燃機関の作動による電池の充電が事前に行われることになる為、予め定められた期間を経過した時点での内燃機関の作動を抑制することができる。即ち、車載電池管理システムによれば、環境情報等に基づき作動音抑制状況を推定し、電池の充電を事前に行うことで、作動音抑制状況における内燃機関の作動を防止して、作動音による周辺への影響を抑えつつ、車両に搭載された電池を管理することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
先ず、本開示における第1実施形態について、図面を参照して説明する。第1実施形態に係る車載電池管理システム1は、内燃機関(エンジンENG)及び電動モータから走行量の駆動力を得る車両(所謂、ハイブリッド車両C)に搭載されている。
先ず、本開示における第1実施形態について、図面を参照して説明する。第1実施形態に係る車載電池管理システム1は、内燃機関(エンジンENG)及び電動モータから走行量の駆動力を得る車両(所謂、ハイブリッド車両C)に搭載されている。
図1に示すように、第1実施形態の車載電池管理システム1は、冷凍サイクル装置10と、高温側熱媒体回路40と、低温側熱媒体回路50と、を有している。冷凍サイクル装置10は、車載電池管理システム1において、車室内へ送風される送風空気を冷却或いは加熱する。更に、冷凍サイクル装置10は、バッテリBを冷却する。
即ち、車載電池管理システム1は、ハイブリッド車両において、空調対象空間である車室内の空調を行うと共に、車載機器であるバッテリBを冷却する車載機器冷却機能付きの空調装置としても機能する。又、車載電池管理システム1は、冷凍サイクル装置10によって生成された冷熱によってバッテリBを冷却することができるようになっている。従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10における送風空気とは異なる冷却対象物は、バッテリBである。
ここで、ハイブリッド車両Cについて、図2を参照して説明する。本実施形態に係るハイブリッド車両Cとして、外部電源によってバッテリBに充電可能なプラグインハイブリッド車両を採用する。図2に示すように、ハイブリッド車両Cは、第2モータジェネレータMGb及びエンジンENGの一方または両方を駆動源として走行する。具体的には、ハイブリッド車両Cは、バッテリB、第2モータジェネレータMGb、エンジンENG、第1モータジェネレータMGa、インバータ装置INV及び制御装置60を備える。第2モータジェネレータMGbは走行用のモータに相当する。
バッテリBは、インバータ装置INVに接続される。バッテリBとインバータ装置INVとの間には、それぞれシステムメインリレーが設けられている。車両の始動スイッチまたは始動ボタン等の始動指示部(図示せず)がユーザによりオフからオンに操作されたときに、後述する制御装置60が起動され、システムメインリレーがオフからオンに切り替えられる。これにより、バッテリBがインバータ装置INVに接続され、ハイブリッド車両Cの制御システムが起動状態であるReadyONとなる。
車両の始動指示部がオンからオフに操作されたときには、制御装置60が起動停止され、システムメインリレーがオンからオフに切り替えられる。これにより、バッテリBとインバータ装置INVとの接続が切断され、ハイブリッド車両の制御システムが起動停止状態であるReadyOFFとなる。
インバータ装置INVは、第1モータジェネレータMGa用のインバータ(図示せず)と、第2モータジェネレータMGb用のインバータ(図示せず)とを含んでいる。これにより、バッテリBは、第2モータジェネレータMGbと第1モータジェネレータMGaとに電力を供給する。第1モータジェネレータMGa用のインバータは第1モータジェネレータMGaを駆動し、第2モータジェネレータMGb用のインバータは第2モータジェネレータMGbを駆動する。
バッテリBは、端子間電圧が例えば200ボルト程度の高圧バッテリである。バッテリBは、1つまたは複数の電池モジュールを有する。電池モジュールは、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池等の複数の二次電池である電池セルを有し、複数の電池セルを直列または並列に電気的に接続することにより構成される。バッテリBは、複数の電池モジュールを電気的に直列に接続して構成される電池パックであってもよい。
この種のバッテリは、低温になると入出力に制限がかかり、高温になると出力が低下しやすい。この為、バッテリの温度は、バッテリの充放電容量を充分に活用することができる適切な温度範囲内(本実施形態では、5℃以上、かつ、55℃以下)に維持されている必要がある。
又、この種のバッテリは、バッテリの温度が高温になるほど、バッテリを構成するセルの劣化が進行しやすい。換言すると、バッテリの温度を或る程度低い温度に維持することで、バッテリの劣化の進行を抑制することができる。
そして、第1モータジェネレータMGa及び第2モータジェネレータMGbのそれぞれは、電動機と発電機との両方の機能を有する。第1モータジェネレータMGaはバッテリBからの電力で駆動され、エンジンENGを始動させる始動モータとしての機能も有している。第2モータジェネレータMGbはバッテリBから電力が供給されて駆動され車両を駆動するために用いられる。具体的には、第2モータジェネレータMGbの駆動力が動力分割機構PSMを介して駆動輪WHに伝達され、駆動輪WHが駆動される。第2モータジェネレータMGbは、車両の制動時に回生発電してバッテリBに電力を供給することでバッテリBを充電する発電機としても用いられる。
エンジンENGは、動力分割機構PSMに接続されており、エンジンENGの駆動力により駆動輪WHを駆動することができる。また、エンジンENGの駆動力は、動力分割機構PSMを介して第1モータジェネレータMGaに伝達されることで、第1モータジェネレータMGaが駆動され発電する。その発電電力はインバータ装置INVで交流から直流に変換された後、バッテリBに供給され、バッテリBが充電される。
このように構成されたハイブリッド車両Cは、バッテリBから供給された電力により第2モータジェネレータMGb等を駆動して走行するEV走行と、少なくともエンジンENGを駆動して走行するエンジン走行とを使い分けることができる。上述したように、エンジン走行時には、第1モータジェネレータMGaの駆動により発電し、発電により生じた電力は、インバータ装置INVを介することで、バッテリBに充電される。
上述したように、車載電池管理システム1は、このように構成されたハイブリッド車両Cに搭載されており、冷凍サイクル装置10における温度調整対象物は、送風空気及びバッテリBである。
まず、図1を参照して、冷凍サイクル装置10の構成について説明する。冷凍サイクル装置10は、車室内の空調およびバッテリBの温度調整のために、車室内へ送風される送風空気、高温側熱媒体回路40を循環する高温側熱媒体、および低温側熱媒体回路50を循環する低温側熱媒体の温度を調整する。冷凍サイクル装置10は、車室内の空調およびバッテリBの温度調整のために、後述する各運転モードに応じて、冷媒回路を切替可能に構成されている。従って、冷凍サイクル装置10は、温度調整機器の一部に相当する。
冷凍サイクル装置10では、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)を採用している。冷凍サイクル装置10は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成する。冷媒には、圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されている。冷凍機油は、液相冷媒に相溶性を有するPAGオイルである。冷凍機油の一部は、冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11は、冷凍サイクル装置10において、冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。圧縮機11は、制御装置60から出力される制御信号によって、回転数(即ち、冷媒吐出能力)が制御される。
圧縮機11の吐出口には、水冷媒熱交換器12の冷媒通路の入口側が接続されている。水冷媒熱交換器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と高温側熱媒体回路40を循環する高温側熱媒体とを熱交換させる高温側水冷媒熱交換器である。水冷媒熱交換器12では、高圧冷媒の有する熱を熱媒体に放熱させて、高温側熱媒体を加熱する。
水冷媒熱交換器12の冷媒通路の出口には、第1冷媒継手部13aの流入口側が接続されている。第1冷媒継手部13aは、互いに連通する3つの流入出口を有する三方継手である。さらに、冷凍サイクル装置10は、後述するように、第2冷媒継手部13b~第6冷媒継手部13fを有している。第2冷媒継手部13b~第6冷媒継手部13fの基本的構成は、第1冷媒継手部13aと同様である。
第1冷媒継手部13aの一方の流出口には、暖房用膨張弁14aの入口側が接続されている。第1冷媒継手部13aの他方の流出口には、除湿用通路22aを介して、第2冷媒継手部13bの一方の流入口側が接続されている。
除湿用通路22aは、後述する並列除湿暖房モード時等に冷媒を流通させる冷媒流路を形成する。除湿用通路22aには、除湿用開閉弁15aが配置されている。除湿用開閉弁15aは、除湿用通路22aを開閉する電磁弁である。除湿用開閉弁15aは、制御装置60から出力される制御電圧によって、その作動が制御される。
更に、冷凍サイクル装置10は、後述するように、暖房用開閉弁15bを有している。暖房用開閉弁15bの基本的構成は、除湿用開閉弁15aと同様である。除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bは、冷媒通路を開閉することによって、冷凍サイクル装置10の冷媒回路を切り替えることができる。従って、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bは、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部である。
暖房用膨張弁14aは、後述する暖房モード時等に、水冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した高圧冷媒を減圧させると共に、下流側へ流出させる冷媒の流量(質量流量)を調整する暖房用減圧部である。暖房用膨張弁14aは、制御装置60から出力される制御信号(具体的には、制御パルス)によって、その作動が制御される電動式の可変絞り機構である。
暖房用膨張弁14aは、弁体部が絞り通路を全開にすることで流量調整作用及び冷媒減圧作用を殆ど発揮することなく単なる冷媒通路として機能する全開機能を有している。また、暖房用膨張弁14aは、絞り通路を全閉にすることで、冷媒通路を閉塞する全閉機能を有している。
更に、冷凍サイクル装置10は、後述するように、冷房用膨張弁14b及び冷却用膨張弁14cを備えている。冷房用膨張弁14b及び冷却用膨張弁14cの基本的構成は暖房用膨張弁14aと同様である。従って、冷房用膨張弁14b及び冷却用膨張弁14cは、全開機能及び全閉機能を有している。
暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14b、および冷却用膨張弁14cは、上述した全閉機能によって、冷凍サイクル装置10の冷媒回路を切り替えることができる。従って、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14b、および冷却用膨張弁14cは、冷媒回路切替部としての機能を兼ね備えている。
暖房用膨張弁14aの出口には、室外熱交換器16の冷媒入口側が接続されている。室外熱交換器16は、暖房用膨張弁14aから流出した冷媒と外気ファン16aにより送風された外気とを熱交換させる室外熱交換部である。
そして、外気ファン16aは、室外熱交換器16に対して外気を送風するように配置されている。外気ファン16aは、制御装置60から出力される制御電圧によって回転数(すなわち、送風能力)が制御される電動送風機である。即ち、外気ファン16aは、室外熱交換器16に対する外気の風速(風量)を調整することができる。
室外熱交換器16の冷媒出口には、第3冷媒継手部13cの流入口側が接続されている。第3冷媒継手部13cの一方の流出口には、暖房用通路22bを介して、第4冷媒継手部13dの一方の流入口側が接続されている。暖房用通路22bは、後述する暖房モード時等に冷媒を流通させる冷媒流路を形成する。暖房用通路22bには、暖房用開閉弁15bが配置されている。暖房用開閉弁15bは、暖房用通路22bを開閉する。
第3冷媒継手部13cの他方の流出口には、第2冷媒継手部13bの他方の流入口側が接続されている。第3冷媒継手部13cの他方の流出口と第2冷媒継手部13bの他方の流入口とを接続する冷媒通路には、逆止弁17が配置されている。逆止弁17は、第3冷媒継手部13c側から第2冷媒継手部13b側へ冷媒が流れることを許容し、第2冷媒継手部13b側から第3冷媒継手部13c側へ冷媒が流れることを禁止する。
第2冷媒継手部13bの流出口には、第5冷媒継手部13eの流入口側が接続されている。第5冷媒継手部13eの一方の流出口には、冷房用膨張弁14bの入口側が接続されている。第5冷媒継手部13eの他方の流出口には、冷却用膨張弁14cの入口側が接続されている。
冷房用膨張弁14bは、後述する冷房モード時等に、冷媒を減圧させると共に、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する冷房用減圧部である。冷房用膨張弁14bの出口には、室内蒸発器18の冷媒入口側が接続されている。
室内蒸発器18は、後述する室内空調ユニット30の空調ケース31内に配置されている。室内蒸発器18は、冷房用膨張弁14bにて減圧された低圧冷媒と車室内へ送風される送風空気とを熱交換させる冷却用熱交換器である。室内蒸発器18では、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって、送風空気を冷却する。室内蒸発器18の冷媒出口には、第6冷媒継手部13fの一方の流入口側が接続されている。
冷却用膨張弁14cは、後述するバッテリ冷却モード時等に、冷媒を減圧させると共に、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する冷却用減圧部である。冷却用膨張弁14cの出口には、チラー20の冷媒通路入口側が接続されている。
チラー20は、冷却用膨張弁14cにて減圧された低圧冷媒と低温側熱媒体回路50を循環する低温側熱媒体を流通させる熱媒体通路とを熱交換させる低温側水冷媒熱交換器である。チラー20では、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって、低温側熱媒体を冷却する。チラー20の冷媒通路の出口には、第6冷媒継手部13fの他方の流入口側が接続されている。
第6冷媒継手部13fの流出口には、蒸発圧力調整弁19の入口側が接続されている。蒸発圧力調整弁19は、室内蒸発器18の着霜を抑制するために、室内蒸発器18における冷媒蒸発圧力を、予め定めた設定圧力以上に維持するように弁開度を変化させる可変絞り機構である。
蒸発圧力調整弁19の出口には、第4冷媒継手部13dの他方の流入口側が接続されている。第4冷媒継手部13dの流出口には、アキュムレータ21の入口側が接続されている。アキュムレータ21は、内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰液相冷媒を蓄える低圧側の気液分離器である。アキュムレータ21の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
次に、車載電池管理システム1を構成する高温側熱媒体回路40について説明する。高温側熱媒体回路40は、高温側熱媒体を循環させる回路である。高温側熱媒体回路40では、高温側熱媒体として、エチレングリコール水溶液を採用している。高温側熱媒体回路40には、水冷媒熱交換器12の熱媒体通路、高温側ポンプ41、ヒータコア42等が配置されている。
高温側ポンプ41は、高温側熱媒体を吸入して圧送する高温側の熱媒体圧送部である。高温側ポンプ41は、高温側熱媒体を水冷媒熱交換器12の熱媒体通路の入口側へ圧送する。高温側ポンプ41は、制御装置60から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、圧送能力)が制御される電動水ポンプである。
水冷媒熱交換器12の熱媒体通路の出口には、ヒータコア42の熱媒体入口側が接続されている。ヒータコア42は、室内空調ユニット30の空調ケース31内に配置されている。ヒータコア42は、水冷媒熱交換器12にて加熱された高温側熱媒体と送風空気とを熱交換させる加熱用熱交換部である。ヒータコア42では、高温側熱媒体の有する熱を送風空気に放熱させて、送風空気を加熱する。ヒータコア42の熱媒体出口には、高温側ポンプ41の吸入口側が接続されている。
従って、本実施形態では、水冷媒熱交換器12及び高温側熱媒体回路40の各構成機器によって、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を熱源として、送風空気を加熱する空調用の送風空気加熱部が形成されている。
続いて、車載電池管理システム1を構成する低温側熱媒体回路50について説明する。低温側熱媒体回路50は、低温側熱媒体を循環させる回路である。低温側熱媒体回路50では、低温側熱媒体として、高温側熱媒体と同種の流体を採用している。低温側熱媒体回路50は、後述する各種運転モードに応じて、熱媒体回路を切替可能に構成されている。
低温側熱媒体回路50には、低温側ポンプ51、バイパス通路52、ラジエータ54、熱媒体三方弁55、電気ヒータ56、チラー20の熱媒体通路、バッテリ用熱交換部57等が配置されている。
低温側ポンプ51は、低温側熱媒体を吸入して圧送する低温側の熱媒体圧送部である。低温側ポンプ51は、低温側熱媒体を熱媒体継手部53の流入口側へ圧送する。低温側ポンプ51の基本的構成は、高温側ポンプ41と同様である。熱媒体継手部53の基本的構成は、冷凍サイクル装置10の第1冷媒継手部13a等と同様である。
熱媒体継手部53の一方の流出口には、ラジエータ54が配置されている。ラジエータ54は、外気と熱媒体継手部53から流出した低温側熱媒体とを熱交換させる外気熱交換部である。熱媒体継手部53の他方の流出口には、バイパス通路52が接続されている。バイパス通路52は、低温側ポンプ51から圧送された低温側熱媒体を、ラジエータ54を迂回させて流す熱媒体流路を形成する。
ラジエータ54の熱媒体出口には、熱媒体三方弁55の一方の流入口側が接続されている。バイパス通路52の出口部には、熱媒体三方弁55の他方の流入口側が接続されている。
熱媒体三方弁55は、ラジエータ54を流通させる低温側熱媒体の流量とバイパス通路52を流通させる低温側熱媒体の流量との流量比を連続的に調整可能な三方式の流量調整弁である。熱媒体三方弁55は、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
熱媒体三方弁55は、流量比を調整することによって、ラジエータ54及びバイパス通路52のいずれか一方にのみ低温側熱媒体を流通させることができる。従って、熱媒体三方弁55は、低温側熱媒体回路50の回路構成を切り替える熱媒体回路切替部である。
熱媒体三方弁55の流出口には、チラー20の熱媒体通路の入口側が接続されている。チラー20の熱媒体通路の出口には、バッテリ用熱交換部57の入口側が接続されている。
チラー20の熱媒体通路の出口からバッテリ用熱交換部57の入口へ至る熱媒体流路には、電気ヒータ56が配置されている。電気ヒータ56は、制御装置60から供給される電力によって発熱して、低温側熱媒体を加熱する熱媒体加熱部である。本実施形態では、電気ヒータ56として、PTC素子(すなわち、正特性サーミスタ)を有するPTCヒータを採用している。
バッテリ用熱交換部57は、バッテリBを構成する複数の電池セルと低温側熱媒体とを熱交換させる熱交換部である。バッテリ用熱交換部57は、複数の電池セルを収容するバッテリBのケース内に形成されている。さらに、バッテリ用熱交換部57の熱媒体出口には、低温側ポンプ51の吸入口側が接続されている。
従って、本実施形態では、冷凍サイクル装置10の各構成機器および低温側熱媒体回路50の各構成機器によって、バッテリBの温度を調整する温度調整機器が形成される。更に、温度調整機器は、バッテリBに充電可能な電力や、既にバッテリBに蓄えられている電力を消費してバッテリBの温度を調整する。
次に、車載電池管理システム1の室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、車室内の空調のために適切な温度に調整された送風空気を、車室内の適切な箇所へ吹き出すために、複数の構成機器を一体化したユニットである。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されている。
室内空調ユニット30は、送風空気の空気通路を形成する空調ケース31内に、室内送風機32、室内蒸発器18、ヒータコア42等を収容することによって形成されている。空調ケース31は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。
空調ケース31の送風空気流れ最上流側には、内外気切替装置33が配置されている。内外気切替装置33は、空調ケース31内へ内気(即ち、車室内空気)と外気(即ち、車室外空気)とを切替導入する。内外気切替装置33は、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置33の送風空気流れ下流側には、室内送風機32が配置されている。室内送風機32は、内外気切替装置33を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する。室内送風機32は、制御装置60から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、送風能力)が制御される。
室内送風機32の送風空気流れ下流側には、室内蒸発器18及びヒータコア42が、送風空気流れに対して、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器18は、ヒータコア42よりも、送風空気流れ上流側に配置されている。空調ケース31内には、室内蒸発器18通過後の送風空気を、ヒータコア42を迂回させて流す冷風バイパス通路35が形成されている。
空調ケース31内の室内蒸発器18の送風空気流れ下流側であって、かつ、ヒータコア42および冷風バイパス通路35の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア34が配置されている。
エアミックスドア34は、室内蒸発器18通過後の送風空気のうち、ヒータコア42側を通過させる送風空気の風量と冷風バイパス通路35を通過させる送風空気の風量との風量割合を調整する。エアミックスドア34の駆動部は、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
ヒータコア42及び冷風バイパス通路35の送風空気流れ下流側には、混合空間36が配置されている。混合空間36は、ヒータコア42にて加熱された送風空気と冷風バイパス通路35を通過して加熱されていない送風空気とを混合させる空間である。従って、室内空調ユニット30では、エアミックスドア34の開度調整によって、混合空間36にて混合された送風空気(即ち、空調風)の温度を調整することができる。
空調ケース31の送風空気流れ最下流部には、空調風を車室内の様々な箇所へ向けて吹き出すための複数の開口穴が形成されている。複数の開口穴には、それぞれの開口穴を開閉する吹出モードドアが配置されている。吹出モードドアの駆動部は、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。従って、室内空調ユニット30では、吹出モードドアが開閉する開口穴を切り替えることによって、車室内の適切な箇所へ適切な温度に調整された空調風を吹き出すことができる。
続いて、車載電池管理システム1の制御系について、図3を参照して説明する。制御装置60は、CPU、ROM及びRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路等を有している。制御装置60は、図3に示すように、バッテリBに接続されている。制御装置60とバッテリBは、互いに電力の授受を行うことができる。つまり、制御装置60は、バッテリBから電力を供給されることも、バッテリBへ電力を供給することもできる。
制御装置60は、ROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、その出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。制御対象機器には、圧縮機11、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14b、冷却用膨張弁14c、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15b、外気ファン16a、室内送風機32、内外気切替装置33、エアミックスドア34が含まれている。更に、制御対象機器には、高温側ポンプ41、低温側ポンプ51、熱媒体三方弁55、電気ヒータ56、インバータ装置INV、動力分割機構PSMが含まれている。
図3に示すように、制御装置60の入力側には、制御用センサ群が接続されている。制御用センサ群は、内気温センサ62a、外気温センサ62b、日射センサ62c、高圧圧力センサ62d、空調風温度センサ62e、蒸発器温度センサ62f、チラー温度センサ62g、室外器温度センサ62hを有している。制御装置60には、制御用センサ群の検出信号が入力される。
内気温センサ62aは、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ62bは、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温検出部である。日射センサ62cは、車室内へ照射される日射量Asを検出する日射量検出部である。
高圧圧力センサ62dは、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の圧力である高圧冷媒圧力Pdを検出する高圧冷媒圧力検出部である。空調風温度センサ62eは、混合空間36から車室内へ送風される送風空気の温度である送風空気温度TAVを検出する空調風温度検出部である。
蒸発器温度センサ62fは、室内蒸発器18における冷媒蒸発温度(蒸発器温度)Tefinを検出する蒸発器温度検出部である。本実施形態の蒸発器温度センサ62fでは、具体的に、室内蒸発器18の熱交換フィン温度を検出している。チラー温度センサ62gは、チラー20の冷媒通路から流出した冷媒の温度であるチラー側冷媒温度Tcを検出するチラー出口側冷媒温度検出部である。
室外器温度センサ62hは、室外熱交換器16を流通する冷媒の温度である室外器冷媒温度T1を検出する室外器温度検出部である。本実施形態の室外器温度センサ62hは、具体的に、室外熱交換器16の出口側冷媒の温度を検出している。
更に、制御装置60には、制御用センサ群として、バッテリ温度センサ63a、電流電圧センサ63b、低温側熱媒体温度センサ63cが接続されている。制御装置60には、バッテリ温度センサ63a~低温側熱媒体温度センサ63cの検出信号が入力される。
バッテリ温度センサ63aは、バッテリBの温度であるバッテリ温度TBを検出する電池温度検出部である。本実施形態のバッテリ温度センサ63aは、複数の温度センサを有し、バッテリBの複数の箇所の温度を検出している。この為、制御装置60では、バッテリBを形成する各電池セルの温度差を検出することができる。さらに、バッテリ温度TBとしては、複数の温度センサの検出値の平均値を採用している。
電流電圧センサ63bは、バッテリBの内部電流を検出する電流検出部とバッテリBの端子間電圧を検出する電圧検出部を一体化させた検出部である。もちろん、別体として形成された電流検出部と電圧検出部とを採用してもよい。低温側熱媒体温度センサ63cは、バッテリ用熱交換部57へ流入する低温側熱媒体の温度である低温側熱媒体温度TWLを検出する熱媒体温度検出部である。
又、制御装置60には、空調用の操作パネル61が接続されている。操作パネル61は、車室内前部の計器盤付近に配置されており、ユーザにより操作される各種操作スイッチを有している。制御装置60には、各種操作スイッチからの操作信号が入力される。
そして、制御装置60には、ナビゲーション装置70が接続されている。ナビゲーション装置70は、現在地取得部71、記憶部72、提示制御部73、ナビゲーション部74及び設定操作部75を有している。現在地取得部71は、GPSアンテナを用いて、ハイブリッド車両Cの現在地の情報を取得する。GPSは、Global Positioning Systemのことである。現在地取得部71は、GPS以外の手段を用いてハイブリッド車両Cの現在地の情報を取得してもよい。
記憶部72は、道路の形状、高低差、傾斜度を含む地図情報を記憶する。地図情報には、各道路に定められた制限速度情報、住宅地、商業地域、工業地域等の用途地域情報が含まれており、これらの情報は、地点ごとに対応付けられている。
尚、地図情報は、記憶部72に既に記憶されているものに限定されることはなく、広域通信網に接続可能な通信機器(後述する通信ユニット80等)を介して取得してもよい。通信機器は、ナビゲーション装置70と一体型の通信モジュールでもよいし、ナビゲーション装置70と接続される携帯電話などでもよい。
提示制御部73は、図示しないディスプレイを用いて乗員に情報を提供する。例えば、提示制御部73は、ディスプレイ上に、記憶部72にて記憶されている地図情報を表示させ、表示させた地図上において現在地取得部71により取得された車両の現在地の情報を表示させる。提示制御部73は、スピーカを用いて、ディスプレイ上に表示されている地図情報に関連する情報等を音声で出力してもよい。
ナビゲーション部74は、設定操作部75等の操作によって設定された目的地までの走行経路を、記憶部72の地図情報を用いて検索する。設定操作部75は乗員によって操作される。乗員が設定操作部75を操作することによって、ディスプレイ上に表示された複数の情報のうちいずれか選択して設定することができる。設定操作部75はタッチパッドやタッチパネル等の接触型入力装置である。
例えば、設定操作部75で所定の操作を行うことで、ナビゲーション装置70は、目的地及び目的地までの走行ルートの設定等を行う。設定操作部75は音声入力装置等の非接触型入力装置であってもよい。
図3に示すように、制御装置60には、通信ユニット80が接続されている。通信ユニット80は、インターネット、携帯電話網等の公衆回線網及び基地局を含むネットワークを介して、種々の情報を通信して取得する。従って、制御装置60は、ハイブリッド車両Cの現在位置に対応する気象情報や、現在位置周辺の道路交通情報等を取得することができる。
更に、本実施形態の制御装置60は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものである。そして、制御装置60のうち、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、制御装置60のうち、ナビゲーション装置70、通信ユニット80等を用いて、ハイブリッド車両Cの現在位置に係る環境情報を取得する構成は環境情報取得部60aに相当する。環境情報には、ハイブリッド車両Cの現在地における地図情報、気象情報、道路交通情報等が含まれる。
又、制御装置60のうち、バッテリBを冷却する為に冷凍サイクル装置10等の作動を制御する構成は、作動制御部60bに相当する。作動制御部60bは、原則的に、バッテリ温度TBと基準バッテリ温度KTBにより定められた基準作動条件を満たした場合に、冷凍サイクル装置10によるバッテリBの冷却を行う。
そして、制御装置60のうち、ナビゲーション装置70で設定された目的地及び走行経路と、取得した環境情報を用いて、予め定められた期間を経過した後のハイブリッド車両Cの状況である推定状況を特定する構成は、推定状況特定部60cに相当する。
又、推定状況特定部60cで特定されたハイブリッド車両Cの推定状況が、冷凍サイクル装置10等の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する構成は判定部60dに相当する。ここで、バッテリBの冷却に際して、冷凍サイクル装置10を作動させた際に生じる作動音には、圧縮機11の作動音や、外気ファン16aの作動音が含まれている。
そして、制御装置60のうち、バッテリBを充電する為にエンジン走行を行うように制御する構成は、充電制御部60eに相当する。充電制御部60eは、原則的に、バッテリBの充電率SOCと基準充電率KSOCにより定められた基準作動条件を満たした場合に、エンジン走行によるバッテリBの充電を行う。
そして、制御装置60のうち、エンジン走行によるバッテリBの充電に際して、ナビゲーション装置70で設定された目的地及び走行経路と、取得した環境情報を用いて、ハイブリッド車両Cの推定状況を特定する構成は、推定部60fに相当する。
又、制御装置60のうち、エンジン走行によるバッテリBの充電に際して、推定部60fで特定されたハイブリッド車両Cの推定状況が、エンジン走行で生じる作動音を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する構成は状況判定部60gに相当する。ここで、エンジン走行により生じる作動音には、エンジンENGの作動音や排気音が含まれている。
次に、上述のように構成された車載電池管理システム1の作動について説明する。前述の如く、車載電池管理システム1は、車室内の空調、及びバッテリBの温度調整を行うことができる。その為に、車載電池管理システム1では、冷凍サイクル装置10の冷媒回路を切り替えて、各種運転モードを実行する。
車載電池管理システム1の運転モードとしては、車室内の空調を行うための空調用運転モードと、バッテリBの温度調整を行うための温度調整用運転モードがある。車載電池管理システム1では、空調用運転モードと温度調整用運転モードとを適宜組み合わせて実行することができる。
このため、車載電池管理システム1では、バッテリBの温度調整を行うことなく、車室内の空調のみを行うことができる。又、車室内の空調を行うことなく、バッテリBの温度調整を行うことができる。また、車室内の空調を行うと同時にバッテリBの温度調整を行うことができる。
まず、空調用運転モードについて説明する。本実施形態の空調用運転モードには、冷房モード、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モード、暖房モードがある。冷房モードは、送風空気を冷却して車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行う運転モードである。直列除湿暖房モードは、冷却されて除湿された送風空気を再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行う運転モードである。並列除湿暖房モードは、冷却されて除湿された送風空気を直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行う運転モードである。暖房モードは、送風空気を加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行う運転モードである。
空調用運転モードの切り替えは、制御装置60に記憶されている空調用の制御プログラムが実行されることによって行われる。空調用の制御プログラムは、操作パネルによって、車室内空調の自動制御運転が設定された際に実行される。空調用の制御プログラムでは、各種センサ群が検出した検出信号や操作パネルの操作信号に基づいて、運転モードを切り替える。
空調用の制御プログラムでは、主に夏季のように比較的外気温が高い場合に冷房モードに切り替える。また、主に春季あるいは秋季に直列除湿暖房モードに切り替える。また、主に早春季あるいは晩秋季のように直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で送風空気を加熱する必要のある場合に並列除湿暖房モードに切り替える。また、主に冬季のように比較的外気温が低い場合に、暖房モードへ切り替える。以下に空調用の各運転モードの詳細作動を説明する。
(a)冷房モード
冷房モードの冷凍サイクル装置10では、冷媒は、冷房モードの冷媒回路が構成されている。冷房モードの冷媒回路では、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、全開となっている暖房用膨張弁14a、室外熱交換器16、絞り状態の冷房用膨張弁14b、室内蒸発器18、蒸発圧力調整弁19、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環する。
冷房モードの冷凍サイクル装置10では、冷媒は、冷房モードの冷媒回路が構成されている。冷房モードの冷媒回路では、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、全開となっている暖房用膨張弁14a、室外熱交換器16、絞り状態の冷房用膨張弁14b、室内蒸発器18、蒸発圧力調整弁19、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環する。
冷房モードの高温側熱媒体回路40では、高温側ポンプ41から圧送された高温側熱媒体が、水冷媒熱交換器12の熱媒体通路、ヒータコア42、高温側ポンプ41の吸入口の順に循環する。
従って、冷房モードでは、水冷媒熱交換器12及び室外熱交換器16を、冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮器(換言すると、放熱器)として機能させ、室内蒸発器18を、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
その結果、冷房モードの冷凍サイクル装置10では、水冷媒熱交換器12にて、高温側熱媒体が加熱される。更に、室内蒸発器18にて、送風空気が冷却される。又、冷房モードの高温側熱媒体回路40では、水冷媒熱交換器12にて加熱された熱媒体が、ヒータコア42へ供給される。
また、冷房モードの室内空調ユニット30では、室内送風機32から送風された送風空気が、室内蒸発器18にて冷却される。室内蒸発器18にて冷却された送風空気は、エアミックスドア34の開度調整によって、空調風の目標温度として算定された目標吹出温度TAOに近づくように温度調整される。そして、温度調整された送風空気が車室内へ吹き出されることによって、車室内の冷房が実現される。
(b)直列除湿暖房モード
直列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、直列除湿暖房モードの冷媒回路が構成される。この冷媒回路において、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、絞り状態の暖房用膨張弁14a、室外熱交換器16、絞り状態の冷房用膨張弁14b、室内蒸発器18、蒸発圧力調整弁19、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環する。
直列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、直列除湿暖房モードの冷媒回路が構成される。この冷媒回路において、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、絞り状態の暖房用膨張弁14a、室外熱交換器16、絞り状態の冷房用膨張弁14b、室内蒸発器18、蒸発圧力調整弁19、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環する。
直列除湿暖房モードの高温側熱媒体回路40では、高温側ポンプ41から圧送された高温側熱媒体が、水冷媒熱交換器12の熱媒体通路、ヒータコア42、高温側ポンプ41の吸入口の順に循環する。
従って、直列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、水冷媒熱交換器12を凝縮器として機能させ、室内蒸発器18を蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。更に、室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも高い場合には、室外熱交換器16を凝縮器として機能させる。又、室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも低い場合には、室外熱交換器16を蒸発器として機能させる。
その結果、直列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、水冷媒熱交換器12にて、高温側熱媒体が加熱される。更に、室内蒸発器18にて、送風空気が冷却される。又、直列除湿暖房モードの高温側熱媒体回路40では、水冷媒熱交換器12にて加熱された熱媒体がヒータコア42へ供給される。
そして、直列除湿暖房モードの室内空調ユニット30では、室内送風機32から送風された送風空気が、室内蒸発器18にて冷却されて除湿される。室内蒸発器18にて冷却されて除湿された送風空気は、エアミックスドア34の開度調整によって、目標吹出温度TAOに近づくように温度調整される。そして、温度調整された送風空気が車室内へ吹き出されることによって、車室内の除湿暖房が実現される。
(c)並列除湿暖房モード
並列除湿暖房モードは、冷却されて除湿された送風空気を直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行う運転モードである。
並列除湿暖房モードは、冷却されて除湿された送風空気を直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行う運転モードである。
並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、並列除湿暖房モードの冷媒回路が構成される。この冷媒回路において、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、絞り状態の暖房用膨張弁14a、室外熱交換器16、暖房用通路22b、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環する。同時に、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、除湿用通路22a、絞り状態の冷房用膨張弁14b、室内蒸発器18、蒸発圧力調整弁19、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環する。つまり、室外熱交換器16と室内蒸発器18が、冷媒の流れに対して並列的に接続される冷媒回路に切り替えられる。
そして、並列除湿暖房モードの高温側熱媒体回路40では、高温側ポンプ41から圧送された高温側熱媒体が、水冷媒熱交換器12の熱媒体通路、ヒータコア42、高温側ポンプ41の吸入口の順に循環する。
従って、並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、水冷媒熱交換器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器16及び室内蒸発器18を蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。その結果、並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、水冷媒熱交換器12にて、高温側熱媒体が加熱される。更に、室内蒸発器18にて、送風空気が冷却される。
又、並列除湿暖房モードの高温側熱媒体回路40では、水冷媒熱交換器12にて加熱された熱媒体が、ヒータコア42へ供給される。
また、並列除湿暖房モードの室内空調ユニット30では、室内送風機32から送風された送風空気が、室内蒸発器18にて冷却されて除湿される。室内蒸発器18にて冷却されて除湿された送風空気は、エアミックスドア34の開度調整によって、目標吹出温度TAOに近づくように温度調整される。そして、温度調整された送風空気が車室内へ吹き出されることによって、車室内の除湿暖房が実現される。
更に、並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、暖房用膨張弁14aの絞り開度を、冷房用膨張弁14bの絞り開度よりも減少させることができる。これによれば、室外熱交換器16における冷媒蒸発温度を、室内蒸発器18における冷媒蒸発温度よりも低い温度に低下させることができる。
従って、並列除湿暖房モードでは、直列除湿暖房モードよりも室外熱交換器16における冷媒の外気からの吸熱量を増加させて、水冷媒熱交換器12における冷媒から熱媒体への放熱量を増加させることができる。その結果、並列除湿暖房モードでは、直列除湿暖房モードよりもヒータコア42における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
(d)暖房モード
暖房モードの冷凍サイクル装置10では、暖房モードの冷媒回路が構成される。暖房モードの冷媒回路において、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、絞り状態の暖房用膨張弁14a、室外熱交換器16、暖房用通路22b、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環する。
暖房モードの冷凍サイクル装置10では、暖房モードの冷媒回路が構成される。暖房モードの冷媒回路において、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、絞り状態の暖房用膨張弁14a、室外熱交換器16、暖房用通路22b、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環する。
暖房モードの高温側熱媒体回路40では、高温側ポンプ41から圧送された高温側熱媒体が、水冷媒熱交換器12の熱媒体通路、ヒータコア42、高温側ポンプ41の吸入口の順に循環する。
従って、暖房モードの冷凍サイクル装置10では、水冷媒熱交換器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器16を蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。その結果、暖房モードの冷凍サイクル装置10では、水冷媒熱交換器12にて、高温側熱媒体が加熱される。
又、暖房モードの高温側熱媒体回路40では、水冷媒熱交換器12にて加熱された熱媒体がヒータコア42へ供給される。
また、暖房モードの室内空調ユニット30では、室内送風機32から送風された送風空気が、室内蒸発器18を通過する。室内蒸発器18を通過した送風空気は、エアミックスドア34の開度調整によって、目標吹出温度TAOに近づくように温度調整される。そして、温度調整された送風空気が車室内へ吹き出されることによって、車室内の暖房が実現される。
次に、車載電池管理システム1における温度調整用の運転モードについて説明する。温度調整用の運転モードは、所謂、バッテリ冷却モードであり、冷凍サイクル装置10にて冷却された低温側熱媒体によって、バッテリBを冷却する運転モードである。バッテリ冷却モードにおいては、バッテリBを冷却する際のバッテリ温度TBの目標値である目標冷却温度TBOが設定される。目標冷却温度TBOは、バッテリ温度TBの適正温度範囲の範囲内であって、下限値よりも高い値(具体的には、25℃~30℃)に設定される。
バッテリ冷却モードでは、空調中のように冷凍サイクル装置10の圧縮機11が作動している際には、制御装置60が、冷却用膨張弁14cを絞り状態とする。更に、空調用運転モードが暖房モードになっている際には、制御装置60は、除湿用開閉弁15aを開き、暖房用開閉弁15bを開く。
この為、バッテリ冷却モードの冷凍サイクル装置10では、冷却用膨張弁14cで減圧された低圧冷媒がチラー20の冷媒通路へ流入する。チラー20の冷媒通路から流出した冷媒は、蒸発圧力調整弁19を介して、アキュムレータ21へ流入する。
また、暖房モードを実行中のバッテリ冷却モードでは、冷媒が圧縮機11、水冷媒熱交換器12、絞り状態の暖房用膨張弁14a、室外熱交換器16、暖房用通路22b、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環するように、冷媒回路が構成される。この時、冷媒が、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、除湿用通路22a、絞り状態の冷却用膨張弁14c、チラー20、蒸発圧力調整弁19、アキュムレータ21、圧縮機11の順に流れて循環する冷媒回路も構成される。つまり、室外熱交換器16とチラー20が、冷媒の流れに対して並列的に接続される冷媒回路に切り替えられる。
また、制御装置60は、予め定めたバッテリ冷却モード用の絞り開度となるように、冷却用膨張弁14cの絞り開度を制御する。制御装置60は、室外熱交換器16における放熱量が適正な値になるように、外気ファン16aの送風量を制御する。
そして、バッテリ冷却モードの低温側熱媒体回路50では、低温側ポンプ51から圧送された低温側熱媒体が、熱媒体三方弁55の流量比調整に応じて、バイパス通路52及びラジエータ54へ流入する。バイパス通路52から流出した低温側熱媒体及びラジエータ54から流出した低温側熱媒体は、熱媒体三方弁55にて合流して、チラー20の熱媒体通路、低温側ポンプ51の吸入口の順に循環する。
さらに、制御装置60は、バッテリ温度TBが、予め定められた目標冷却温度TBOに近づくように、熱媒体三方弁55の作動を制御する。
その他の作動は、空調中の各運転モードと同様である。従って、空調中のバッテリ冷却モードの冷凍サイクル装置10では、水冷媒熱交換器12或いは室外熱交換器16を凝縮器として機能させ、少なくともチラー20を蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。その結果、空調中のバッテリ冷却モードの冷凍サイクル装置10では、チラー20にて低温側熱媒体が冷却される。
また、空調中のバッテリ冷却モードの低温側熱媒体回路50では、チラー20にて冷却された低温側熱媒体の全部又は一部が、バッテリ用熱交換部57へ流入して、バッテリBの各電池セルから吸熱する。これにより、バッテリ温度TBが目標冷却温度TBOに近づくように、バッテリBが冷却される。
続いて、非空調中のバッテリ冷却モードについて説明する。非空調中のバッテリ冷却モードでは、冷媒が、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、全開状態の暖房用膨張弁14a、室外熱交換器16、冷却用膨張弁14c、チラー20、蒸発圧力調整弁19、アキュムレータ21、圧縮機11の順に循環する冷媒回路が構成される。
その他の作動は、空調中のバッテリ冷却モードと同様である。従って、非空調中のバッテリ冷却モードの冷凍サイクル装置10では、室外熱交換器16を凝縮器として機能させ、チラー20を蒸発器として機能させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。その結果、非空調中のバッテリ冷却モードの冷凍サイクル装置10では、チラー20にて低温側熱媒体が冷却される。
又、非空調中のバッテリ冷却モードの低温側熱媒体回路50では、空調中のバッテリ冷却モードと同様に、チラー20にて冷却された低温側熱媒体の全部又は一部が、バッテリBのバッテリ用熱交換部57へ流入して、バッテリBの各電池セルから吸熱する。これにより、バッテリ温度TBが目標冷却温度TBOに近づくように、バッテリBが冷却される。
ここで、本開示に係る車載電池管理システム1は、ハイブリッド車両Cに搭載されている。従って、車載電池管理システム1を取り巻く環境は、ハイブリッド車両Cの走行移動に伴って様々に変化する。ここで、ハイブリッド車両Cを取り巻く環境の中には、より静かな環境が要求され、作動音等の発生を抑制することが好ましい状況が存在する。
例えば、地域の用途種別の観点によれば、住宅地や市街地といった地域では、工業地域や商業地域と比較して、静粛であることが要求される。又、時間帯の観点によれば、夜間(深夜及び早朝を含む)の時間帯においては、日中の時間帯よりも静粛であることが要求される。このように、周辺環境によっては、第三者への影響等を踏まえて、できるだけ静粛な環境を維持することが望ましい場合がある。
一方、車載電池管理システム1のバッテリ冷却モードでは、上述したように、圧縮機11や外気ファン16aの作動を伴う。できるだけ静粛な環境が望まれている周辺環境において、バッテリBの冷却が行われると、圧縮機11等の作動音が問題になる場合がある。
この為、第1実施形態に係る車載電池管理システム1では、取り巻く周辺環境の変化を推定し、推定された周辺環境に対応したバッテリBの冷却を行う為に、バッテリBの冷却に関するバッテリ管理制御を実行している。
次に、第1実施形態の車載電池管理システム1におけるバッテリ管理制御について、図4を参照して説明する。図4は、第1実施形態に係るバッテリ管理制御の制御内容を示すフローチャートである。
第1実施形態に係るバッテリ管理制御は、制御プログラムとして制御装置60のROMに格納されており、CPUによって実行される。バッテリ管理制御は、車載電池管理システム1の起動(即ち、ハイブリッド車両Cの制御システムが起動状態となった時点)と同時に実行される。
図4に示すように、先ず、ステップS1では、ハイブリッド車両Cの状態が走行又は充電であるか否かが判定される。ここで、ステップS1におけるハイブリッド車両Cの充電状態とは、図示しないコネクタを介して外部電源からの電力の供給を受けてバッテリBの充電を行っている状態を意味する。
ハイブリッド車両Cの状態が走行状態又は充電状態である場合、ステップS2に処理を進める。一方、ハイブリッド車両Cの状態が走行状態又は充電状態ではない場合、そのまま、バッテリ管理制御を終了する。
ステップS2では、バッテリ温度センサ63aで検出されたバッテリ温度TBが、予め定められた基準バッテリ温度KTBよりも高いか否かが判断される。即ち、ステップS2では、バッテリBの冷却が必要であるか否かが判定されており、換言すると、冷凍サイクル装置10を用いたバッテリBの冷却に関する基準作動条件を満たすか否かが判断されている。
バッテリ温度TBが基準バッテリ温度KTBよりも高い場合、現時点でバッテリBの冷却が必要であると判定し、ステップS3に処理を移行する。一方、バッテリ温度TBが基準バッテリ温度KTBよりも高くない場合、現時点ではバッテリBの冷却の必要性は高くない為、ステップS7に処理を進める。
ステップS3においては、電池冷却要求量が算出される。電池冷却要求量は、バッテリBの充放電に際し、バッテリ温度TBを予め定められた適切な温度範囲内とする為の冷却要求量である。電池冷却要求量は、充放電に伴うバッテリBの発熱量や、バッテリBを構成する電池セルの熱マス等を用いて算出される。
バッテリBの発熱量については、ナビゲーション装置70にて目的地と走行経路が設定されていた場合、走行経路上の高低差、走行経路の距離、走行経路における平均車速等を用いて算出される。この時、通信ユニット80にて取得した道路交通情報を加味して、バッテリBの発熱量を算出しても良い。電池冷却要求量を算出した後、ステップS4に処理を移行する。
ステップS4では、電池冷却要求量を満たす冷却能力を発揮させる為に必要な外気ファン16aの送風量を決定する。外気ファン16aの送風量は、バッテリ冷却モードにおける室外熱交換器16の放熱量に相関を有する。
続くステップS5では、電池冷却要求用を満たす冷却能力を発揮させる為に必要な圧縮機11の冷媒吐出量を決定する。即ち、バッテリ冷却モードにおける圧縮機11の回転数が決定される。
ステップS6に移行すると、バッテリBに関する通常冷却運転が実行される。即ち、決定された外気ファン16aの送風量、圧縮機11の回転数を用いて、上述したバッテリ冷却モードでの運転が行われる。その後、バッテリ管理制御の制御プログラムを一旦、終了する。
上述したステップS3~ステップS6では、基準作動条件を満たした場合のバッテリBの冷却に関する制御であったが、本実施形態では、基準作動条件を満たしていない場合であっても、所定の場合には、事前にバッテリBの冷却を行う事前冷却運転を実行する。以下、ステップS7から続く事前冷却運転に関する制御内容について説明する。
先ず、ステップS7では、ナビゲーション装置70の現在地取得部71を用いて、ハイブリッド車両Cの現在位置を示す位置情報を取得する。この現在地に係る位置情報の取得と同時に、現在地に関する環境情報を通信ユニット80により取得する。この場合の環境情報には、現在地周辺の道路交通情報(渋滞情報等を含む)、気象情報が含まれている。
ステップS8においては、ナビゲーション装置70で設定された目的地に向かって、予め定められた走行経路を走行する過程における走行負荷、所要時間を、ナビゲーション装置70の地図情報や、通信ユニット80で取得した環境情報を用いて推定する。走行負荷は、走行経路における高低差、距離、渋滞情報、平均車速等を用いて推定することができる。所要時間は、走行経路における渋滞情報、平均車速から推定することができる。
ここで、ハイブリッド車両Cの走行負荷を推定することができれば、EV走行時におけるハイブリッド車両CのバッテリBの充放電量の推移を推定することができ、バッテリ温度TBの変化を推定することができる。
ステップS9では、到着時バッテリ温度を推定する。到着時バッテリ温度とは、ナビゲーション装置70で設定された走行経路を走行し、目的地に到達したと仮定した場合のバッテリ温度TBである。EV走行時におけるバッテリBの充放電量の推移から、到着時バッテリ温度を推定することができる。又、バッテリBの充放電量の推移を基にしている為、バッテリ温度TBが基準バッテリ温度KTBよりも高くなる時点と、その時点におけるハイブリッド車両Cの位置及び環境情報を特定することもできる。
ステップS10においては、推定バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも高いか否かが判断される。推定バッテリ温度とは、ナビゲーション装置70で設定された目的地に向かって、予め定められた走行経路を走行する過程における走行負荷等の推移から推定されるバッテリ温度を意味しており、到着時バッテリ温度を含んでいる。
推定バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも高い場合、現在地から目的地に向かって予め定められた走行経路を走行する過程で基準作動条件を満たすと推定される。即ち、現在地から目的地へと走行する過程で、バッテリ冷却モードへ切り替える必要性があると考えられる。
推定バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも高い場合、ステップS11に処理を進める。推定バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも高くない場合、ステップS2に処理を戻す。
ステップS11では、基準バッテリ温度KTBよりも推定バッテリ温度が高くなった時点のハイブリッド車両Cの状態である予測状態が停車相当であるか否かが判断される。停車相当とは、ハイブリッド車両Cが停車している状態、及び、ハイブリッド車両Cが直ちに停止することができるような速度で走行している状態を含んでいる。
即ち、ステップS11では、ハイブリッド車両Cの状態として作動音抑制状況であるか否かが判断されている。ハイブリッド車両Cの予測状態が停車相当である場合、ステップS14に処理を進める。一方、ハイブリッド車両Cの予測状態が停車相当ではない場合、ステップS12に処理を進める。
ステップS12においては、基準バッテリ温度KTBよりも推定バッテリ温度が高くなった時点のハイブリッド車両Cの位置である予測位置が住宅地又は市街地であるか否かが判断される。ハイブリッド車両Cの予測位置が住宅地又は市街地であるか否かを判断する際、予測位置に対応する地図情報に定められている指定地域に関する情報を用いて判断する。又、この判断を行う際に、予測位置周辺の道路の法定速度や、予測位置周辺の人口密度を参照しても良い。
これにより、ステップS12では、ハイブリッド車両Cの位置という観点で作動音抑制状況にあたるか否かが判断されている。ハイブリッド車両Cの予測位置が住宅地又は市街地である場合、作動音抑制状況にあたると考えられる為、ステップS14に処理を進める。一方、ハイブリッド車両Cの予測位置が住宅地及び市街地ではない場合、ステップS13に処理を進める。
ステップS13では、基準バッテリ温度KTBよりも推定バッテリ温度が高くなった時点の時間帯である予測時間帯が夜間であるか否かが判断される。通信ユニット80等を用いて現在時刻を特定することができるので、車載電池管理システム1は予測時間帯を特定することができる。ここで、夜間は、一般的には日没から日の出までの間を指すが、日の出の後でも早朝の時間帯を含めても良い。
これにより、ステップS13では、時間帯という観点において、作動音抑制状況であるか否かが判断されている。予測時間帯が夜間である場合は、ステップS14に処理を進める。一方、予測時間帯が夜間ではない場合、ステップS2に処理を戻す。
ステップS14においては、事前冷却運転の運転終了に関する基準値である終了基準値の補正を行う。ここで、ステップS15で実行される事前冷却運転では、通常のバッテリ冷却モードと同様に、目標冷却温度TBOになるように制御が行われ、バッテリ温度TBが目標冷却温度TBOとなることで終了する。
ステップS14では、終了基準値として定められている目標冷却温度TBOを、EV走行時におけるバッテリBの充放電量の推移に伴う推定バッテリ温度、環境情報等の変化を用いて補正する。具体的には、到着時バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも低くなるように、目標冷却温度TBOを補正する。
上述したように、到着時バッテリ温度を含む推定バッテリ温度の変化を推定している為、目標冷却温度TBOをより低い値に補正することで、到着時バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも低くなるように定めることができる。
又、ナビゲーション装置70の地図情報等を参照することで、現在地から目的地へ向かう走行経路において、住宅地又は市街地といった作動音抑制状況にあたる地域を特定することができる。換言すると、現在地から目的地へ向かう走行経路上を走行する過程で、地域性の観点で作動音抑制状況に該当する時間帯を推定することができる。従って、ハイブリッド車両Cが住宅地又は市街地を走行する前に、事前冷却運転を終了するように、事前冷却運転の終了条件を定めることができる。
尚、地域性の観点から定められる事前冷却運転の終了条件としては、上述した目標冷却温度TBOを更に補正した値を用いても良いが、他の態様を採用することもできる。例えば、住宅地又は市街地に進入する際の到達時刻を推定し、推定した到達時刻と現在時刻が一致した時点で事前冷却運転を終了するように構成しても良い。又、現在地取得部71で取得した現在地が住宅地又は市街地との境界と一致した場合に、事前冷却運転を終了するように構成しても良い。
ステップS15では、事前冷却運転が行われる。事前冷却運転は、現時点では、基準作動条件を満たさず、バッテリBを冷却する必要性はないが、EV走行による環境変化を推定して、将来的に作動音抑制状況におけるバッテリBの冷却が必要になる場合に、先んじてバッテリBの冷却を行うものである。事前冷却運転では、目標冷却温度TBO等の設定を除いて、上述したバッテリ冷却モードが実行される。
続いて、第1実施形態に係るバッテリ管理制御の作動例の一つについて、図5を参照して説明する。図5に示す作動例においては、先ず、ハイブリッド車両CはEV走行にて、通常走行区間を走行しており、冷凍サイクル装置10も作動していない状態であるものとする。
図5に示す現時点では、バッテリ温度TBは基準バッテリ温度KTBよりも低い為、通常冷却運転でバッテリBを冷却する必要はない。従って、ステップS7に移行し、位置情報の取得等が行われる。
ステップS8、ステップS9を経て、到着時バッテリ温度が推定され、推定バッテリ温度の変化が特定される。ここで、図5においては、バッテリ温度TBにおける破線が推定バッテリ温度の変化を示し、実線がバッテリ温度TBの実際の変化を示している。
従って、図5に示す作動例の場合、バッテリ温度TBの破線の状態から、到着時バッテリ温度及び、騒音抑制区間における推定バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも高いことがわかる。即ち、図5に示す作動例では、現時点から事前冷却運転が開始される。
事前冷却運転では、ステップS14にて終了基準値としての目標冷却温度TBOが補正されている為、通常冷却運転の際よりも、更に低い温度になるようにバッテリBが冷却される。又、事前冷却運転は、作動音抑制状況の一例である騒音抑制区間に進入する前に終了される。
これにより、現在地から目的地へ向かうEV走行の間で、作動音抑制状況における冷凍サイクル装置10を用いたバッテリBの冷却を抑制して、圧縮機11や外気ファン16aの作動音の発生を防止できる。又、現在地から目的地までのEV走行において、バッテリ温度TBが基準バッテリ温度KTBよりも低い状態を保つことができる為、バッテリBの劣化を抑制した適切な管理を実現することができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る車載電池管理システム1によれば、ステップS7~ステップS9で推定されたハイブリッド車両Cの推定状況が、ステップS11~ステップS13で判断される作動音抑制状況である場合には、事前冷却運転が実行される。
これにより、将来的にバッテリBの冷却が必要になる状況を踏まえて、冷凍サイクル装置10によるバッテリBの冷却が事前に行われることになる為、作動音抑制状況でのバッテリBの冷却を抑制することができる。
即ち、車載電池管理システム1によれば、環境情報等に基づき作動音抑制状況を推定し、事前冷却運転を事前に行うことで、作動音抑制状況における冷凍サイクル装置10によるバッテリBの冷却を防止することができる。そして、車載電池管理システム1は、作動音による周辺への影響を抑えつつ、ハイブリッド車両Cに搭載されたバッテリBを管理することができる。
又、第1実施形態に係る車載電池管理システム1は、ステップS9~ステップS13において、バッテリ温度TBが基準バッテリ温度KTBと一致する推定時刻を特定し、推定時刻に係るハイブリッド車両Cの状況を推定状況として判断している。
これにより、バッテリBの冷却が必要になると推定される時点の状況をもって、作動音抑制状況であるか否かの判断が行われることになる為、冷凍サイクル装置10を用いたバッテリBの冷却の必要性と、周辺環境に与える影響の大きさを適切に判断できる。
そして、事前冷却運転に際しては、ステップS14で補正された終了基準値(即ち、目標冷却温度TBO)に基づく制御が行われる。ステップS14における目標冷却温度TBOの補正では、到着時バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも低くなるように、目標冷却温度TBOが補正される。
これにより、車載電池管理システム1によれば、事前冷却運転の終了後から目的地の到着までの間でバッテリBの冷却の必要性が高まることはなく、現在地から目的地までの周辺環境に配慮しつつ、冷却制御の観点でバッテリBの管理を行うことができる。
ステップS12において、ハイブリッド車両Cの予測位置を判断する際には、ナビゲーション装置70の地図情報や、通信ユニット80で取得される情報を用いて、予測位置が住宅地又は市街地であるか否かが判断される。
これにより、地図情報に定められた指定地域に関する情報や周辺道路の法定速度、通信ユニット80から取得される予測位置に係る人口密度等が勘案される為、予測位置が市街地等であるか否かの判断精度を向上させることができる。即ち、車載電池管理システム1によれば、地域性の観点において、周辺環境に及ぼす影響とバッテリBの冷却に関する必要性とを精度よく比較して、バッテリBの管理を行うことができる。
又、ステップS14においては、事前冷却運転の終了条件を、ハイブリッド車両Cが住宅地又は市街地を避けて事前冷却運転を実行するように定めている。この為、車載電池管理システム1では、住宅地又は市街地に及ぼす影響を考慮すると同時に、バッテリBの適切な温度管理を実現することができる。
(第2実施形態)
次に、上述した実施形態と異なる第2実施形態について、図6、図7を参照して説明する。第2実施形態では、周辺環境の変化の推定に応じたバッテリBの管理として、バッテリBの充電を行うように構成されている点が上述した実施形態と相違している。その他の基本的構成等については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
次に、上述した実施形態と異なる第2実施形態について、図6、図7を参照して説明する。第2実施形態では、周辺環境の変化の推定に応じたバッテリBの管理として、バッテリBの充電を行うように構成されている点が上述した実施形態と相違している。その他の基本的構成等については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
先ず、第2実施形態に係る車載電池管理システム1は、上述した第1実施形態と同様、ハイブリッド車両Cに搭載されている。この為、ハイブリッド車両Cは、バッテリBの電力供給により第2モータジェネレータMGbで生じた駆動力にて走行するEV走行と、エンジンENGで生じた駆動力により走行するエンジン走行を行うことができる。エンジン走行に際して、エンジンENGの駆動力を、動力分割機構PSMを介して第1モータジェネレータMGaに伝達して発電し、発電された電力をインバータ装置INVで交流から直流に変換することで、バッテリBを充電することができる。
ハイブリッド車両CのEV走行時において、バッテリBの充電率SOCが予め定められた基準値を下回った場合、エンジン走行に移行して第1モータジェネレータMGaを用いたバッテリBの充電を並行して行うように構成されている。
第2実施形態に係るバッテリ管理制御は、EV走行時におけるバッテリBの充電率SOCの変化に関して、走行に伴う周辺環境の変化と、エンジン走行を用いたバッテリBの充電とを適切に制御するように定められている。
第2実施形態の車載電池管理システム1におけるバッテリ管理制御について、図6を参照して説明する。図6は、第2実施形態に係るバッテリ管理制御の制御内容を示すフローチャートである。尚、第2実施形態においても、ナビゲーション装置70には、ハイブリッド車両Cの目的地が設定されており、目的地へ向かう走行経路も設定されているものとする。
第2実施形態に係るバッテリ管理制御は、制御プログラムとして制御装置60のROMに格納されており、CPUによって実行される。バッテリ管理制御は、車載電池管理システム1の起動(即ち、ハイブリッド車両Cの制御システムが起動状態となった時点)と同時に実行される。
先ず、ステップS21においては、ハイブリッド車両Cの車両状態が走行状態であるか否かが判断される。ステップS21の判断処理は上述したステップS1と同様であり、現在地取得部71で取得される位置情報の変化を用いて判断することができる。
ハイブリッド車両Cの車両状態が走行状態である場合、ステップS22に進む。そうでない場合、そのまま、第2実施形態に係るバッテリ管理制御の制御プログラムを一旦、終了する。
ステップS22では、ナビゲーション装置70の現在地取得部71を用いて、走行状態であるハイブリッド車両Cに関する位置情報を取得する。この時、通信ユニット80を用いて、現在地周辺の環境情報(道路交通情報、気象情報)を取得する。
ステップS23においては、ステップ23で取得した現在地に関する位置情報と、ナビゲーション装置70の地図情報等を用いて、現在地周辺における騒音規制区域を特定する。騒音規制区域の特定に関しては、第1実施形態におけるステップS12と同様に、地図情報に定められている指定地域に関する情報を用いて特定する。又、騒音規制区域を特定に際して、現在地周辺の道路の法定速度や、現在地周辺の人口密度を参照しても良い。
ステップS24では、現在地から目的地へ向かう際に、設定された走行経路をハイブリッド車両Cが走行する際の走行負荷を予測する。この場合の走行負荷の予測は、上述したステップS8と同様に、ナビゲーション装置70の地図情報や、通信ユニット80で取得した環境情報を用いて推定される。走行負荷は、走行経路における高低差、距離、渋滞情報、平均車速等を用いて推定することができる。
ステップS25では、現在地から目的地へ向かって走行経路をEV走行した場合に、騒音規制区域を通過する為に必要な必要電力量が算出される。必要電力量は、ステップS23で特定された騒音規制区域に関する情報と、ステップS24で推定された走行負荷を用いて算出される。
ステップS26においては、現時点におけるバッテリBの充電率SOCがステップS25で算出された必要電力量よりも大きいか否かが判断される。現時点におけるバッテリBの充電率SOCが必要電力量よりも大きい場合、EV走行によって騒音規制区域を通過できると考えられる為、ステップS27に処理を移行する。現時点におけるバッテリBの充電率SOCが必要電力量よりも大きくない場合、ステップS30に処理を進める。
ここで、現時点におけるバッテリBの充電率が必要電力量よりも小さい場合は、騒音規制区域を走行している最中に、エンジン走行を利用したバッテリBの充電を行う必要が生じる場合がある。エンジンENGの作動音や排気音が生じる為、エンジン走行はEV走行に比べて、作動音の観点で周辺環境に与える影響が大きい。従って、ステップS26の判断処理の結果に応じて、ステップS30の事前充電走行を行うことで、周辺環境への影響と、バッテリBの管理を両立させることができる。
ステップS27では、EV走行を継続して、エンジン走行による作動音の発生を抑制する為に必要な作動音抑制条件に関する判定を行う。ステップS27で判断される作動音抑制条件とは、換言すると、EV走行にて騒音規制区域を通過する過程で、余裕をもってEV走行を継続できるか否かを判断する為の条件である。
例えば、バッテリBの充電率が、電力量に余裕が生じるように、必要電力量よりも大きく定められた基準値よりも大きいか否かという条件を挙げることができる。この条件を満たした場合、偶発的に大きな走行負荷が生じた場合でも、EV走行に必要な電力量を確保することができ、騒音規制区間をEV走行のまま通過できると考えられる。
又、走行経路をEV走行する際の要求出力の推定値が予め定められた基準値よりも小さいか否かを作動音抑制条件の一つとして挙げることができる。要求出力の推定値は、バッテリBの充電率を大きく減少させる事象であり、実際には推定値よりも大きく減少させることも考えられる。
そうすると、要求出力の推定値が基準値よりも大きい場合とは、実際のバッテリBの出力の結果、EV走行に必要な電力量を確保することができず、騒音規制区間の途中でバッテリBの充電が必要になることが考えられる。従って、要求出力の推定値が基準値よりも小さいという作動音抑制条件を定めることで、要求出力の過大に起因する電力量不足を抑制し、騒音規制区間をEV走行のまま通過できる状態を担保できる。
尚、作動音抑制条件としては、上述した例に限定されることなく、騒音規制区域をEV走行で通過する為に必要であると考えられる条件であれば、種々の条件を採用することができる。例えば、EV走行時におけるバッテリBの充電率SOCを減少させる事項に関して定めたものでも良く、ハイブリッド車両Cの車速や、冷凍サイクル装置10の作動(例えば、空調作動)の有無でも良い。
又、ステップS27において、余裕をもってEV走行できるか否かを判断する際に、「推定した必要動力に対して、予め定められた安全率を示す定数をかけた値と比較する」ことで判断するように構成しても良い。
ステップS28では、ステップS27で判定した複数の作動音抑制条件の判定結果において、全ての作動音抑制条件を充足しているか否かが判断される。つまり、騒音規制区域をEV走行で余裕をもって通過できるか否かが判断されている。全ての作動音抑制条件を充足している場合、ステップS29に移行して、EV走行を継続する。一方、少なくとも一つの作動音抑制条件を充足していない場合、騒音規制区域をEV走行で走行している間にバッテリBの充電が必要になる可能性がある為、ステップS30に移行する。
ステップS30では、現時点をもって事前充電走行を開始する。事前充電走行とは、騒音規制区域を走行中にバッテリBの充電を行う必要がないように、事前にエンジン走行を利用したバッテリBの充電を行うことである。従って、事前充電走行の開始と同時に、EV走行からエンジン走行に切り替えられる。
又、事前充電走行におけるエンジンENGの駆動力は、動力分割機構PSMを介して第1モータジェネレータMGaに伝達され発電に用いられ、発電された電力は、インバータ装置INVで交流から直流に変換することで、バッテリBに充電される。事前充電走行は、バッテリBの充電率SOCが少なくとも騒音抑制区間を通過できる電力量になるまで継続される。バッテリBの充電率SOCが騒音抑制区間を通過可能な電力量になった後は、適切なタイミング(例えば、騒音抑制区間に進入する前)で事前充電走行を終了する。
続いて、第2実施形態に係るバッテリ管理制御の作動例の一つについて、図7を参照して説明する。図7に示す作動例においては、先ず、ハイブリッド車両CはEV走行にて、通常走行区間を走行しており、冷凍サイクル装置10も作動していない状態であるものとする。
尚、図7におけるEV走行能力は、バッテリBの充電率SOCに対応しており、予め定められた走行経路上をEV走行が可能な距離を示す。そして、図7における通常走行とは、第2実施形態に係るバッテリ管理制御を実行することなく、EV走行を継続した場合のハイブリッド車両Cの走行態様を示す。
図7に示すように、現時点においては、バッテリBの充電率SOCが基準値以上である為、EV走行が継続される。通常走行時のEV走行は、騒音抑制区間に進入しても継続され、騒音抑制区間の途中で、バッテリBの充電率SOCが基準値よりも小さくなり、エンジンENGを利用したバッテリBの充電が開始される。
この為、通常走行の場合、騒音抑制区間において、エンジンENGの作動音、排気音が発生することになる為、バッテリBの管理上は問題ないが、騒音抑制区間に係る走行経路の周辺に対して、作動音に起因する影響を及ぼしてしまうことが考えられる。
一方、図7に示すバッテリ管理制御においては、区間種別とEV走行能力の記載からもわかるように、バッテリBの充電率SOCが必要電力量よりも少ない。従って、ステップS26の判断処理にて、ステップS30の事前充電走行に移行して、エンジンENGを用いたバッテリBの充電が開始される。事前充電走行は、騒音抑制区間をEV走行で通過可能な状態になり、騒音抑制区間に進入する前に終了する為、ハイブリッド車両Cが通常走行区間を走行している間に行われる。この為、事前充電走行時のエンジンENGの作動音等が周辺環境に与える影響は少ない。
そして、バッテリ管理制御では、事前充電走行を終了するとEV走行に復帰する。この為、騒音抑制区間では、ハイブリッド車両CはEV走行を継続する。この時、バッテリBの充電率SOCは、事前充電走行によって十分な電力量を蓄えているため、騒音抑制区間にてバッテリBの充電が必要になることはない。
これにより、現在地から目的地へ向かうEV走行の間で、作動音抑制区間におけるエンジンENGを利用したバッテリBの充電を抑制して、エンジンENGの作動音や排気音の発生を防止できる。又、現在地から目的地までの走行経路に沿った周辺環境の変化に適切に対応して、EV走行と、バッテリBの充電を伴うエンジン走行を使い分けることができるので、周辺環境への配慮と、バッテリBの充電率SOCの管理を両立させることができる。
以上説明したように、第2実施形態に係る車載電池管理システム1によれば、ステップS22~ステップS24で特定されたバッテリBの充電率が、ステップS25で特定された必要電力量よりも小さい作動音抑制状況である場合には、事前充電走行が開始される。即ち、充電率SOCに従って定められた基準作動条件を満たしていない場合でも、ステップS26の条件を満たした場合には、エンジンENGの駆動力を利用してバッテリBの充電が行われる。
これにより、車載電池管理システム1は、将来的な作動音抑制区間での充電率SOCの不足を予測して、事前にエンジンENGを用いたバッテリBの充電を行うことができる為、作動音抑制区間におけるエンジンENGの作動音の発生を抑制することができる。又、バッテリBの充電を事前におこなうことで、エンジンENGの作動音や排気音による周辺環境に与える影響を抑えつつ、ハイブリッド車両Cに搭載されたバッテリBの充電率SOCを管理することができる。
(第3実施形態)
続いて、上述した実施形態と異なる第3実施形態について、図8、図9を参照して説明する。第3実施形態では、周辺環境の変化の推定に応じたバッテリBの管理として、第1実施形態と同様に、バッテリBの冷却を行うように構成されている。
続いて、上述した実施形態と異なる第3実施形態について、図8、図9を参照して説明する。第3実施形態では、周辺環境の変化の推定に応じたバッテリBの管理として、第1実施形態と同様に、バッテリBの冷却を行うように構成されている。
第1実施形態においては、予め定められた基準に基づいて、作動音抑制状況であるか否かを判定していたが、第3実施形態では、作動音抑制状況であるか否かの判定基準について、ユーザ等の意図を反映させることができる構成となっている。その他の基本的構成等については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
第3実施形態に係る車載電池管理システム1は、第1実施形態と同様に、内燃機関(エンジンENG)及び電動モータから走行量の駆動力を得るハイブリッド車両Cに搭載されている。又、車載電池管理システム1は、冷凍サイクル装置10、室内空調ユニット30、高温側熱媒体回路40、低温側熱媒体回路50、制御装置60等を有している。第3実施形態における冷凍サイクル装置10、室内空調ユニット30、高温側熱媒体回路40、低温側熱媒体回路50の構成は第1実施形態と同様である。
第3実施形態に係る車載電池管理システム1の制御系について、図8を参照して説明する。図8に示すように、第3実施形態に係る車載電池管理システム1の制御装置60には、制御対象機器として、第1実施形態と同様の機器が接続されている。又、第3実施形態に係る制御装置60の入力側には、第1実施形態と同様の制御用センサ群が接続されている。
図8に示すように、制御装置60に対しては、制御対象機器としてナビゲーション装置70が接続されている。上述したように、ナビゲーション装置70は、現在地取得部71、記憶部72、提示制御部73、ナビゲーション部74及び設定操作部75を有する。
ここで、第3実施形態に係る車載電池管理システム1においては、ナビゲーション装置70の設定操作部75を用いて、上述した作動音抑制状況であると判定する為の条件を任意に設定することができる。
第3実施形態にて作動音抑制状況であると判定する為の条件として、ユーザが設定可能な条件には、抑制状態条件、抑制地域条件、抑制時間帯条件が含まれている。抑制状態条件は、ハイブリッド車両Cの状態として作動音抑制状況であるか否かを判断する為の条件である。抑制状態条件を満たした場合、ハイブリッド車両Cの状態として作動音抑制状況に該当すると判断される。例えば、抑制状態条件として、ハイブリッド車両Cの走行速度の下限値を基準値として定めることができ、ハイブリッド車両Cの走行速度が基準値を下まわった場合には、ハイブリッド車両Cの状態としての作動音抑制状況であると判定される。
抑制地域条件は、ハイブリッド車両Cの位置という観点で作動音抑制状況にあたるか否かを判断する為の条件である。抑制地域条件を満たした場合、ハイブリッド車両Cの位置として作動音抑制状態に該当すると判断される。
そして、抑制地域条件は、地域ごとに対応付けられた地域的特性を用いて定められる。地域ごとに対応付けられた地域的特性には、例えば、法定速度、当該地域の用途種別(農業用地、工業用地、住宅地等)、人口密度等が含まれる。又、地域ごとに対応付けられた地域的特性は、行政によって定められた特性に限定されるものではなく、ハイブリッド車両Cのディーラや、車載電池管理システム1のメーカ、及びハイブリッド車両Cのユーザが特定の地域に対応付けたものであってもよい。
そして、抑制時間帯条件は、時間帯という観点において、作動音抑制状況であるか否かを判断する為の条件である。抑制時間帯条件を満たした場合、時間帯の観点において作動音抑制状態に該当すると判断される。
抑制時間帯条件として、例えば、24時間のうちから任意の時間帯を定めることができ、定められた時間帯に該当する場合には作動音抑制状況であると判定される。尚、抑制時間帯条件で設定可能な事項は、時間帯に限定されるものではなく、年月日や曜日、祝祭日等の設定を時間的特性として付加することも可能である。
尚、第1実施形態のステップS11において、ハイブリッド車両Cの予測状態が停車相当であるか否かを判断している。ステップS11で判断している条件は、抑制状態条件の一例に相当し、第3実施形態における抑制状態条件の初期設定に相当する。
そして、第1実施形態のステップS12では、ハイブリッド車両Cの予測位置が住宅地又は市街地であるか否かを判断している。ステップS12で判断している条件は、抑制地域条件の一例に相当し、第3実施形態における抑制地域条件の初期設定に相当する。
更に、第1実施形態のステップS13においては、予測時間帯が夜間であるか否かを判断している。ステップS13で判断している条件は、抑制時間帯条件の一例に相当し、第3実施形態における抑制時間帯条件の初期設定に相当する。
図8に示すように、第3実施形態に係る制御装置60のうち、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
具体的には、第3実施形態に係る制御装置60は、環境情報取得部60a、作動制御部60b、推定状況特定部60c、判定部60d、充電制御部60e、推定部60f、状況判定部60gを有している。環境情報取得部60a~状況判定部60gは、基本的に上述した実施形態と同様の構成である。第3実施形態に係る制御装置60は、環境情報取得部60a~状況判定部60gに加えて、抑制条件設定部60hを有している。
抑制条件設定部60hは、制御装置60のうち、ナビゲーション装置70の設定操作部75を用いて設定された条件(抑制地域条件等)を設定して、状況判定部60gで判定する際の条件として有効化する構成である。
続いて、第3実施形態に係る車載電池管理システム1におけるバッテリ管理制御について、図9を参照して説明する。図9は、第3実施形態に係るバッテリ管理制御の制御内容を示すフローチャートである。
第3実施形態に係るバッテリ管理制御は、第1実施形態と同様に、制御プログラムとして制御装置60のROMに格納されており、CPUによって実行される。バッテリ管理制御は、車載電池管理システム1の起動(即ち、ハイブリッド車両Cの制御システムが起動状態となった時点)と同時に実行される。
図9に示すように、第3実施形態に係るバッテリ管理制御において、ステップS31~ステップS40の処理内容は、第1実施形態におけるステップS1~ステップS10と同様である。従って、ステップS31~ステップS40に関する説明は省略する。
ステップS40では、推定バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも高いか否かが判断される。推定バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも高い場合、現在地から目的地に向かって予め定められた走行経路を走行する過程で基準作動条件を満たすと推定される。即ち、現在地から目的地へと走行する過程で、バッテリ冷却モードへ切り替える必要性があると考えられる。
推定バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも高い場合、ステップS41に処理を進める。推定バッテリ温度が基準バッテリ温度KTBよりも高くない場合、そのままバッテリ管理制御を終了する。この場合、車載電池管理システム1が起動状態であれば、バッテリ管理制御の実行が再び開始される。
ステップS41に移行すると、作動音抑制状況であるかを判定する為の条件について、ナビゲーション装置70の設定操作部75を用いたユーザ設定が行われたか否かが判断される。例えば、抑制状況条件、抑制地域条件、抑制時間帯条件の少なくとも一つについてユーザ設定が行われている場合、ステップS42に処理を移行する。そうでない場合は、ステップS42をスキップして、ステップS43に処理を移行する。
ステップS42では、ユーザ設定に関する設定有効化処理が行われる。設定有効化処理を行うことで、追加又は変更された抑制状況条件、抑制地域条件、抑制時間帯条件が、状況判定部60gにおける判定条件として設定される。設定有効化処理を終了すると、ステップS43に処理を移行する。
ステップS43においては、ハイブリッド車両Cの予測状態と、現時点で設定されている抑制状態条件とを比較して、抑制状態条件を満たすか否かが判定される。ステップS43では、ハイブリッド車両Cの状態としての観点において、作動音抑制状況であるか否かが判断されている。抑制状態条件を満たし、ハイブリッド車両Cの状態として作動音抑制状況に該当する場合、ステップS46に処理を移行する。一方、抑制状態条件を満たしていない場合、ステップS44に処理を移行する。
ステップS44に移行すると、ハイブリッド車両Cの予測位置と、現時点で設定されている抑制地域条件とを比較して、抑制地域条件を満たすか否かが判定される。ステップS44においては、ハイブリッド車両Cの位置と地域的特性の観点から作動音抑制状況であるか否かが判断される。抑制地域条件を満たし、地域的特性の観点から作動音抑制状態であると判断された場合、ステップS46に処理を進める。一方、抑制地域条件を満たしていない場合、ステップS45に処理を移行する。
ステップS45では、基準バッテリ温度KTBよりも推定バッテリ温度が高くなった時点の時間帯である予測時間帯と、現時点で設定されている抑制時間帯条件とを比較して、抑制時間帯条件を満たすか否かが判定される。ステップS45においては、基準バッテリ温度KTBよりも推定バッテリ温度が高くなった時点の時間帯という観点で、作動音抑制状況であるか否かが判定されている。抑制時間帯条件を満たし、作動音抑制状況に該当する場合、ステップS46に処理を移行する。一方、抑制時間帯条件を満たしていない場合、そのままバッテリ管理制御を終了する。この場合、車載電池管理システム1が起動状態であれば、バッテリ管理制御の実行が再び開始される。
ステップS46の終了基準値の補正、ステップS47の事前冷却運転の処理内容については、第1実施形態のステップ14、ステップS15と同様である。この為、終了基準値の補正、事前冷却運転に関する再度の説明は省略する。ステップS47の事前冷却運転を終了すると、バッテリ管理制御を終了する。この場合、車載電池管理システム1が起動状態であれば、バッテリ管理制御の実行が再び開始される。
以上説明したように、第3実施形態に係る車載電池管理システム1によれば、作動音抑制状況と判定する為の条件を任意に設定することを可能にした場合でも、上述した実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を得ることができる。
又、作動音抑制状況であると判定する為の条件を任意に設定可能に構成したことで、車載電池管理システム1を搭載したハイブリッド車両Cが利用される種々の環境に細やかに対応することができ、周辺環境に配慮したバッテリBの管理を実現することができる。
例えば、抑制地域条件を適切に設定することで、乳幼児や老人が多く居住する地域等の地域的特性に配慮したバッテリBの冷却を実現することができる。又、抑制時間帯条件を適切に設定することで、時間帯に配慮したバッテリBの冷却を実現することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
(a)上述した実施形態では、車載電池管理システム1は、冷凍サイクル装置10、高温側熱媒体回路40、低温側熱媒体回路50を有する構成であったが、この態様に限定されるものではない。冷凍サイクル装置10の構成、高温側熱媒体回路40及び低温側熱媒体回路50の有無等については、冷凍サイクル装置10の冷却性能を用いて、バッテリBを冷却することができれば、種々の態様を採用することができる。
(b)又、上述した実勢形態では、図2に示すように、動力分割機構PSM、第1モータジェネレータMGa、第2モータジェネレータMGbを有するハイブリッド車両Cであったが、ハイブリッド車両Cのハイブリッドシステムはこの態様に限定されない。即ち、エンジンENGの駆動力を利用してバッテリBを充電可能なハイブリッドシステムであれば、車載電池管理システム1を搭載したハイブリッド車両Cに適用することができる。
(c)そして、環境情報として取得する情報の種類についても、上述した実施形態に限定されるものではない。バッテリBの温度やバッテリBの充電率に影響を与えることが想定される情報であれば、種々の情報を環境情報に含めることができる。
(d)又、上述した第3実施形態では、作動音抑制状況であるか否かを判断する為の条件について、ナビゲーション装置70の設定操作部75を用いて、ユーザにより設定する構成としていたが、この態様に限定されるものではない。即ち、上述した抑制状態条件、抑制地域条件、抑制時間帯条件を設定する主体は、車載電池管理システム1及びハイブリッド車両Cのユーザに限定されるものではない。例えば、抑制状態条件等を設定する主体は、車載電池管理システム1のメーカや、ハイブリッド車両Cのディーラであってもよいし、行政であっても良い。
(e)そして、抑制状態条件、抑制地域条件、抑制時間帯条件を設定する際には、それぞれの条件の詳細までを設定する必要はない。即ち、設定操作部75を用いてユーザ等の意思が入力されていれば、その意思を反映した条件を生成して設定する構成とすることも可能である。この際に、外部情報を利用して、ユーザの意思を反映した条件を生成しても良い。外部情報としては、ナビゲーション装置70の地図情報、通信ユニット80で取得した環境情報に加えて、行政による規制情報を利用することができる。
本明細書に開示された車載電池管理システムの特徴を以下の通り示す。
(項目1)
車両に搭載された電池(B)と、
前記電池の温度を調整する為の作動を行う際に作動音を発生させる温度調整機器(10)と、
前記電池の温度に相関を有する物理量を検出する物理量検出部(63a)と、
前記電池の温度に相関を有する物理量を用いて定められた基準値(KTB)と、前記物理量検出部で検出された検出値とを用いて定められた基準作動条件を満たす場合に、前記温度調整機器を作動させる作動制御部(60b)と、
現在における前記車両の位置情報を含む環境情報を取得する環境情報取得部(60a)と、を有し、
前記作動制御部は、
前記環境情報取得部で取得した前記環境情報を用いて、予め定められた期間を経過した後の前記車両の状況である推定状況を特定する推定状況特定部(60c)と、
前記推定状況特定部で特定された前記車両の前記推定状況が、前記温度調整機器の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する判定部(60d)と、を備え、
前記判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定された場合、前記基準作動条件を満たしていない状況であっても、事前に前記温度調整機器を作動させる車載電池管理システム。
(項目2)
前記推定状況特定部は、前記環境情報取得部で取得した前記環境情報を用いて、前記物理量検出部で検出された検出値が前記基準値と一致する推定時刻を特定し、前記推定時刻における前記車両の状況を前記推定状況として特定する項目1に記載の車載電池管理システム。
(項目3)
前記作動制御部は、前記判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定され、且つ、前記基準作動条件を満たしていない状況である場合に、前記電池の温度に相関を有する物理量を用いて、前記温度調整機器の作動の終了条件として定められた終了基準値を、前記推定状況特定部で特定された前記推定状況を用いて補正する項目1又は2に記載の車載電池管理システム。
(項目4)
前記作動制御部は、前記判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定され、且つ、前記基準作動条件を満たしていない状況である場合に、前記作動音抑制状況における前記温度調整機器の運転を避けるように、前記温度調整機器の運転を行う項目1ないし3の何れか一つに記載の車載電池管理システム。
(項目5)
前記作動音抑制状況であると判定する為の条件を設定する抑制条件設定部(60h)を有し、
前記判定部は、前記抑制条件設定部で設定された条件を充足する場合に、前記作動音抑制状況であると判定する項目1ないし4の何れか一つに記載の車載電池管理システム。
(項目6)
前記作動音抑制状況は、地域に対して関連付けられた地域的特性を用いた条件により定められている項目1ないし5の何れか一つに記載の車載電池管理システム。
(項目7)
前記作動音抑制状況は、時間的特性を用いた条件により定められている項目1ないし5の何れか一つに記載の車載電池管理システム。
(項目8)
電池(B)と、電池に蓄えられた電力を用いて駆動力を発生させるモータ(MGb)と、作動に伴って作動音を発生させると共に、前記電池に対する充電を行う内燃機関(ENG)と、を有する車両(C)に適用される車載電池管理システムであって、
前記車両に搭載された前記電池の充電率に相関を有する物理量を検出する物理量検出部(63b)と、
前記電池の充電率に相関を有する物理量を用いて定められた基準値と、前記物理量検出部で検出された検出値とを用いて定められた基準作動条件を満たす場合に、前記電池を充電する為に前記内燃機関を作動させる充電制御部(60e)と、
現在における前記車両の位置情報を含む環境情報を取得する環境情報取得部(60a)と、を有し、
前記充電制御部は、
前記環境情報取得部で取得した前記環境情報を用いて、予め定められた期間を経過した後の前記車両の状況である推定状況を特定する推定部(60f)と、
前記推定部で特定された前記車両の前記推定状況が、前記内燃機関の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する状況判定部(60g)と、を備え、
前記状況判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定された場合、前記基準作動条件を満たしていない状況であっても、事前に前記内燃機関を作動させる車載電池管理システム。
(項目1)
車両に搭載された電池(B)と、
前記電池の温度を調整する為の作動を行う際に作動音を発生させる温度調整機器(10)と、
前記電池の温度に相関を有する物理量を検出する物理量検出部(63a)と、
前記電池の温度に相関を有する物理量を用いて定められた基準値(KTB)と、前記物理量検出部で検出された検出値とを用いて定められた基準作動条件を満たす場合に、前記温度調整機器を作動させる作動制御部(60b)と、
現在における前記車両の位置情報を含む環境情報を取得する環境情報取得部(60a)と、を有し、
前記作動制御部は、
前記環境情報取得部で取得した前記環境情報を用いて、予め定められた期間を経過した後の前記車両の状況である推定状況を特定する推定状況特定部(60c)と、
前記推定状況特定部で特定された前記車両の前記推定状況が、前記温度調整機器の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する判定部(60d)と、を備え、
前記判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定された場合、前記基準作動条件を満たしていない状況であっても、事前に前記温度調整機器を作動させる車載電池管理システム。
(項目2)
前記推定状況特定部は、前記環境情報取得部で取得した前記環境情報を用いて、前記物理量検出部で検出された検出値が前記基準値と一致する推定時刻を特定し、前記推定時刻における前記車両の状況を前記推定状況として特定する項目1に記載の車載電池管理システム。
(項目3)
前記作動制御部は、前記判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定され、且つ、前記基準作動条件を満たしていない状況である場合に、前記電池の温度に相関を有する物理量を用いて、前記温度調整機器の作動の終了条件として定められた終了基準値を、前記推定状況特定部で特定された前記推定状況を用いて補正する項目1又は2に記載の車載電池管理システム。
(項目4)
前記作動制御部は、前記判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定され、且つ、前記基準作動条件を満たしていない状況である場合に、前記作動音抑制状況における前記温度調整機器の運転を避けるように、前記温度調整機器の運転を行う項目1ないし3の何れか一つに記載の車載電池管理システム。
(項目5)
前記作動音抑制状況であると判定する為の条件を設定する抑制条件設定部(60h)を有し、
前記判定部は、前記抑制条件設定部で設定された条件を充足する場合に、前記作動音抑制状況であると判定する項目1ないし4の何れか一つに記載の車載電池管理システム。
(項目6)
前記作動音抑制状況は、地域に対して関連付けられた地域的特性を用いた条件により定められている項目1ないし5の何れか一つに記載の車載電池管理システム。
(項目7)
前記作動音抑制状況は、時間的特性を用いた条件により定められている項目1ないし5の何れか一つに記載の車載電池管理システム。
(項目8)
電池(B)と、電池に蓄えられた電力を用いて駆動力を発生させるモータ(MGb)と、作動に伴って作動音を発生させると共に、前記電池に対する充電を行う内燃機関(ENG)と、を有する車両(C)に適用される車載電池管理システムであって、
前記車両に搭載された前記電池の充電率に相関を有する物理量を検出する物理量検出部(63b)と、
前記電池の充電率に相関を有する物理量を用いて定められた基準値と、前記物理量検出部で検出された検出値とを用いて定められた基準作動条件を満たす場合に、前記電池を充電する為に前記内燃機関を作動させる充電制御部(60e)と、
現在における前記車両の位置情報を含む環境情報を取得する環境情報取得部(60a)と、を有し、
前記充電制御部は、
前記環境情報取得部で取得した前記環境情報を用いて、予め定められた期間を経過した後の前記車両の状況である推定状況を特定する推定部(60f)と、
前記推定部で特定された前記車両の前記推定状況が、前記内燃機関の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する状況判定部(60g)と、を備え、
前記状況判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定された場合、前記基準作動条件を満たしていない状況であっても、事前に前記内燃機関を作動させる車載電池管理システム。
1 車載電池管理システム
10 冷凍サイクル装置
60 制御装置
60a 環境情報取得部
60b 作動制御部
60c 推定状況特定部
60d 判定部
B バッテリ
C ハイブリッド車両
10 冷凍サイクル装置
60 制御装置
60a 環境情報取得部
60b 作動制御部
60c 推定状況特定部
60d 判定部
B バッテリ
C ハイブリッド車両
Claims (8)
- 車両に搭載された電池(B)と、
前記電池の温度を調整する為の作動を行う際に作動音を発生させる温度調整機器(10)と、
前記電池の温度に相関を有する物理量を検出する物理量検出部(63a)と、
前記電池の温度に相関を有する物理量を用いて定められた基準値(KTB)と、前記物理量検出部で検出された検出値とを用いて定められた基準作動条件を満たす場合に、前記温度調整機器を作動させる作動制御部(60b)と、
現在における前記車両の位置情報を含む環境情報を取得する環境情報取得部(60a)と、を有し、
前記作動制御部は、
前記環境情報取得部で取得した前記環境情報を用いて、予め定められた期間を経過した後の前記車両の状況である推定状況を特定する推定状況特定部(60c)と、
前記推定状況特定部で特定された前記車両の前記推定状況が、前記温度調整機器の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する判定部(60d)と、を備え、
前記判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定された場合、前記基準作動条件を満たしていない状況であっても、事前に前記温度調整機器を作動させる車載電池管理システム。 - 前記推定状況特定部は、前記環境情報取得部で取得した前記環境情報を用いて、前記物理量検出部で検出された検出値が前記基準値と一致する推定時刻を特定し、前記推定時刻における前記車両の状況を前記推定状況として特定する請求項1に記載の車載電池管理システム。
- 前記作動制御部は、前記判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定され、且つ、前記基準作動条件を満たしていない状況である場合に、前記電池の温度に相関を有する物理量を用いて、前記温度調整機器の作動の終了条件として定められた終了基準値を、前記推定状況特定部で特定された前記推定状況を用いて補正する請求項1に記載の車載電池管理システム。
- 前記作動制御部は、前記判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定され、且つ、前記基準作動条件を満たしていない状況である場合に、前記作動音抑制状況における前記温度調整機器の運転を避けるように、前記温度調整機器の運転を行う請求項1に記載の車載電池管理システム。
- 前記作動音抑制状況であると判定する為の条件を設定する抑制条件設定部(60h)を有し、
前記判定部は、前記抑制条件設定部で設定された条件を充足する場合に、前記作動音抑制状況であると判定する請求項1に記載の車載電池管理システム。 - 前記作動音抑制状況は、地域に対して関連付けられた地域的特性を用いた条件により定められている請求項1に記載の車載電池管理システム。
- 前記作動音抑制状況は、時間的特性を用いた条件により定められている請求項1に記載の車載電池管理システム。
- 電池(B)と、電池に蓄えられた電力を用いて駆動力を発生させるモータ(MGb)と、作動に伴って作動音を発生させると共に、前記電池に対する充電を行う内燃機関(ENG)と、を有する車両(C)に適用される車載電池管理システムであって、
前記車両に搭載された前記電池の充電率に相関を有する物理量を検出する物理量検出部(63b)と、
前記電池の充電率に相関を有する物理量を用いて定められた基準値と、前記物理量検出部で検出された検出値とを用いて定められた基準作動条件を満たす場合に、前記電池を充電する為に前記内燃機関を作動させる充電制御部(60e)と、
現在における前記車両の位置情報を含む環境情報を取得する環境情報取得部(60a)と、を有し、
前記充電制御部は、
前記環境情報取得部で取得した前記環境情報を用いて、予め定められた期間を経過した後の前記車両の状況である推定状況を特定する推定部(60f)と、
前記推定部で特定された前記車両の前記推定状況が、前記内燃機関の作動音の発生を抑制するべき作動音抑制状況であるか否かを判定する状況判定部(60g)と、を備え、
前記状況判定部により前記車両の前記推定状況が前記作動音抑制状況であると判定された場合、前記基準作動条件を満たしていない状況であっても、事前に前記内燃機関を作動させる車載電池管理システム。
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- 2022-08-09 JP JP2022127036A patent/JP2023035890A/ja active Pending
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