以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。以下の実施形態において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。又、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。
以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について、図1~図4を参照しつつ説明する。本実施形態では、車両用空調装置1は、内燃機関(エンジンEG)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両に適用されている。当該ハイブリッド車両は、プラグインハイブリッド車両であり、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給された電力を、車載バッテリ(バッテリ81)に充電可能に構成されている。
このプラグインハイブリッド車両は、車両走行開始前の車両停車時に外部電源から電力をバッテリ81に充電しておくことで、バッテリ81の蓄電残量SOCが予め定めた走行用基準残量以上になっているときには、EV運転モードとなる。EV運転モードとは、主に走行用電動モータの駆動力によって走行する運転モードである。
一方、車両走行中にバッテリ81の蓄電残量SOCが走行用基準残量よりも低くなっているときには、HV運転モードとなる。HV運転モードは、主にエンジンEGの駆動力によって走行する運転モードである。
より詳細には、EV運転モードは、主に走行用電動モータが出力する駆動力によって車両を走行させる運転モードであるが、車両走行負荷が高負荷となった際にはエンジンEGを作動させて走行用電動モータを補助する。つまり、走行用電動モータから出力される走行用の駆動力(モータ側駆動力)がエンジンEGから出力される走行用の駆動力(内燃機関側駆動力)よりも大きくなる運転モードである。
換言すると、EV運転モードは、内燃機関側駆動力に対するモータ側駆動力の駆動力比(即ち、モータ側駆動力/内燃機関側駆動力)が、少なくとも0.5より大きくなっている運転モードであると表現できる。
一方、HV運転モードは、主にエンジンEGが出力する駆動力によって車両を走行させる運転モードであるが、車両走行負荷が高負荷となった際には走行用電動モータを作動させてエンジンEGを補助する。つまり、内燃機関側駆動力がモータ側駆動力よりも大きくなる運転モードである。換言すると、HV運転モードは、上述した駆動力比が、少なくとも0.5より小さくなっている運転モードであると表現できる。
本実施形態のプラグインハイブリッド車両では、このようにEV運転モードとHV運転モードとを切り替えることによって、車両走行用の駆動力をエンジンEGだけから得る通常の車両に対してエンジンEGの燃料消費量を抑制し、車両燃費を向上させている。又、このようなEV運転モードとHV運転モードとの切り替え、および、駆動力比の制御は、図2に示す駆動力制御装置70によって制御される。
更に、当該プラグインハイブリッド車両において、エンジンEGから出力される駆動力は、車両走行用として利用されるだけでなく、発電機80を作動させるためにも用いられる。そして、発電機80にて発電された電力及び外部電源から供給された電力は、バッテリ81に蓄えることができる。バッテリ81に蓄えられた電力は、走行用電動モータだけでなく、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給できる。
次に、第1実施形態に係る車両用空調装置1の具体的構成について、図1、図2を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態に係る車両用空調装置1は、冷凍サイクル装置10と、室内空調ユニット30と、図2に示す空調制御装置50等を有している。
当該車両用空調装置1は、バッテリ81から供給される電力による車室内の空調に加えて、車両走行前の車両停車時に外部電源からの電力によって車室内の空調(例えば、プレ空調)を実行することができる。
先ず、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されている。当該室内空調ユニット30は、その外殻を形成するケーシング31内に、送風機32、蒸発器15、ヒータコア36等を収容している。
ケーシング31は、或る程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。そして、ケーシング31は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成している。具体的には、ケーシング31内には、空気が互いに並列に流れる第1空気通路31a及び第2空気通路31bが形成されている。
第1空気通路31aは、内外気二層流モード時に外気が流れる外気側通路であり、空気通路の一部を構成する。第2空気通路31bは、内外気二層流モード時に内気が流れる内気側通路であり、空気通路における他の一部を構成する。第1空気通路31a及び第2空気通路31bは、仕切板31cによって仕切られている。
ケーシング31内の送風空気流れ最上流側には、内外気切替箱20が配置されている。内外気切替箱20は、ケーシング31の空気通路に対して、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する。
より具体的には、内外気切替箱20には、第1内気導入口21A、第2内気導入口21B、第1外気導入口22A及び第2外気導入口22Bが形成されている。第1内気導入口21A及び第2内気導入口21Bは、それぞれ内気導入口として機能し、ケーシング31の空気通路内に内気を導入させる。又、第1外気導入口22A及び第2外気導入口22Bは、それぞれ外気導入口として機能し、ケーシング31の空気通路の内部に外気を導入させる。
更に、内外気切替箱20の内部には、第1内外気切替ドア23A、及び第2内外気切替ドア23Bが配置されている。第1内外気切替ドア23Aは、第1内気導入口21A及び第1外気導入口22Aの開口面積を連続的に調整することで、ケーシング31内へ導入させる内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる。
第2内外気切替ドア23Bは、第2内気導入口21B及び第2外気導入口22Bの開口面積を連続的に調整することで、ケーシング31内へ導入させる内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる。
従って、第1内外気切替ドア23A及び第2内外気切替ドア23Bは、ケーシング31内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させ、吸込口モードを切り替える。換言すれば、内外気切替箱20は、第1内外気切替ドア23A及び第2内外気切替ドア23Bによって、第1空気通路31a及び第2空気通路31bに導入される内気と外気との比率を調整する内外気切替部を構成する。
より具体的には、第1内外気切替ドア23Aは、電動アクチュエータ62Aによって駆動され、第2内外気切替ドア23Bは、電動アクチュエータ62Bによって駆動される。電動アクチュエータ62A、及び電動アクチュエータ62Bは、図2に示す空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
又、当該車両用空調装置1においては、第1内外気切替ドア23A及び第2内外気切替ドア23Bの作動を制御することで、複数の吸込口モードを実現することができる。複数の吸込口モードとしては、全内気モード、全外気モード、内外気二層流モード、及び内外気混入モードがある。
全内気モードでは、第1内外気切替ドア23A及び第2内外気切替ドア23Bの作動を制御して、第1内気導入口21A及び第2内気導入口21Bを全開とすると共に、第1外気導入口22A及び第2外気導入口22Bを全閉とする。これにより、ケーシング31内の第1空気通路31a及び第2空気通路31bに対して内気が導入される。つまり、ケーシング31内に導入される送風空気において、内気の導入割合が最大となる。
全外気モードでは、第1内外気切替ドア23A及び第2内外気切替ドア23Bの作動を制御して、第1内気導入口21A及び第2内気導入口21Bを全閉とすると共に第1外気導入口22A及び第2外気導入口22Bを全開とする。これにより、ケーシング31内の第1空気通路31aおよび第2空気通路31bに対して外気が導入される。つまり、ケーシング31内に導入される送風空気において、外気の導入割合が最大となる。
内外気二層流モードでは、第1内外気切替ドア23A及び第2内外気切替ドア23Bの作動を制御して、第1内気導入口21A及び第2外気導入口22Bを全開とすると共に第1外気導入口22A及び第2内気導入口21Bを全閉とする。これにより、ケーシング31内の第1空気通路31aに対して外気が導入されると共に第2空気通路31bに対して内気が導入される。
そして、内外気混入モードでは、全内気モードと全外気モードとの間で、第1内気導入口21A、第2内気導入口21B、第1外気導入口22A及び第2外気導入口22Bの開口面積を連続的に調整する。これにより、ケーシング31内の第1空気通路31a及び第2空気通路31bへの内気と外気の導入比率を連続的に変化させる。
内外気切替箱20の空気流れ下流側には、送風機32(ブロア)が配置されている。当該送風機32は、内外気切替箱20を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する。具体的には、送風機32は、第1ファン32a及び第2ファン32bを共通の電動モータ32cにて駆動する電動送風機により構成されている。
送風機32の電動モータ32cは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(送風能力)が制御される。従って、この電動モータ32cは、送風機32の送風能力を変更することができる。
第1ファン32a及び第2ファン32bは、遠心多翼ファン(即ち、シロッコファン)である。第1ファン32aは、第1空気通路31aに配置されており、第2ファン32bは、第2空気通路31bに配置されている。
第1ファン32aは、第1内気導入口21Aからの内気、及び第1外気導入口22Aからの外気を第1空気通路31aに対して送風する。一方、第2ファン32bは、第2内気導入口21Bからの内気、及び第2外気導入口22Bからの外気を第2空気通路31bに対して送風する。
図1に示すように、送風機32の空気流れ下流側には、蒸発器15が配置されている。蒸発器15は、第1空気通路31a及び第2空気通路31bの全域に亘って配置されている。蒸発器15は、その内部を流通する冷媒(熱媒体)と送風機32から送風された送風空気とを熱交換させて、送風空気を冷却する。
具体的には、蒸発器15は、圧縮機11、凝縮器12、気液分離器13及び膨張弁14等と共に、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置10を構成している。ここで、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置10の主要な構成について説明する。
圧縮機11は、エンジンルーム内に配置されており、冷凍サイクル装置10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。当該圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構11aを電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機として構成されている。
電動モータ11bは、インバータ61から出力される交流電圧によって、その作動(回転数)が制御される交流モータである。又、インバータ61は、空調制御装置50から出力される制御信号に応じた周波数の交流電圧を出力する。そして、電動モータ11bの回転数制御によって、圧縮機11の冷媒吐出能力が変更される。
凝縮器12は、内部を流通する冷媒と、室外送風機としての送風ファン12aから送風された車室外空気(外気)とを熱交換させることで、圧縮機11から吐出された冷媒を放熱させて凝縮させる室外熱交換器(放熱器)である。当該凝縮器12は、エンジンルーム内に配置されている。
送風ファン12aは、電動式送風機によって構成されている。送風ファン12aは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって稼働率(即ち、回転数)が制御される。従って、送風ファン12aの送風空気量は、空調制御装置50によって制御される。
気液分離器13は、凝縮器12にて凝縮された冷媒を気液分離して余剰冷媒を蓄えると共に、液相冷媒だけを下流側に流すレシーバである。膨張弁14は、気液分離器13から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧部である。蒸発器15は、膨張弁14にて減圧膨張された冷媒を蒸発させて、冷媒に吸熱作用を発揮させる室内熱交換器である。これにより、蒸発器15は、送風空気を冷却する冷却用熱交換器として機能する。
以上が第1実施形態に係る冷凍サイクル装置10の主要構成の説明である。以下、室内空調ユニット30の説明に戻る。
ケーシング31内の第1空気通路31a及び第2空気通路31bにおいて、蒸発器15の空気流れ下流側には、加熱用冷風通路、冷風バイパス通路が並列に形成されている。加熱用冷風通路、冷風バイパス通路は、蒸発器15を通過した後の送風空気が流れる空気通路である。
加熱用冷風通路には、ヒータコア36が配置されている。そして、加熱用冷風通路において、ヒータコア36に対する送風空気流れ方向下流側に、PTCヒータ37が配置されている。ヒータコア36及びPTCヒータ37は、蒸発器15通過後の空気を加熱する加熱部として機能する。
第1空気通路31aおよび第2空気通路31bにおいて、加熱用冷風通路及び冷風バイパス通路の空気流れ下流側には、混合空間35A、混合空間35Bが形成されている。混合空間35Aは、第1空気通路31aにおいて、加熱用冷風通路及び冷風バイパス通路から流出した空気を混合させる。混合空間35Bは、第2空気通路31bにおいて、加熱用冷風通路及び冷風バイパス通路から流出した空気を混合させる。
そして、ヒータコア36は、エンジンEGを冷却するエンジン冷却水(以下、単に冷却水という。)を熱媒体として、蒸発器15通過後の送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。エンジンEGは、廃熱によって冷却水を加熱する熱源として機能する。
具体的には、ヒータコア36とエンジンEGは、冷却水配管によって接続されて冷却水回路40を構成する。冷却水回路40においては、ヒータコア36とエンジンEGとの間を冷却水が循環する。
そして、冷却水回路40には、冷却水を循環させる為の冷却水ポンプ40aが配置されている。冷却水ポンプ40aは、電動式の水ポンプであり、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(冷却水循環流量)が制御される。
PTCヒータ37は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して、ヒータコア36通過後の空気を加熱する補助加熱部としての電気ヒータである。尚、当該PTCヒータ37を作動させる為に必要な消費電力は、冷凍サイクル装置10の圧縮機11を作動させる為に必要な消費電力よりも少ない。
より具体的には、PTCヒータ37は、複数(例えば、3本)のPTC素子から構成されている。各PTC素子の正極側はバッテリ81側に接続され、負極側はスイッチ素子を介して、グランド側へ接続されている。スイッチ素子は各PTC素子の通電状態(ON状態)と非通電状態(OFF状態)とを切り替えるものである。スイッチ素子の作動は、空調制御装置50から出力される制御信号によって制御される。
空調制御装置50は、各PTC素子の通電状態と非通電状態とを独立に切り替えるようにスイッチ素子の作動を制御する。これにより、車両用空調装置1は、通電状態となり加熱能力を発揮するPTC素子の本数を切り替えて、PTCヒータ37全体としての加熱能力を変化させることができる。
冷風バイパス通路は、蒸発器15通過後の空気を、ヒータコア36、PTCヒータ37を通過させることなく、混合空間35A、混合空間35Bに導く為の空気通路である。従って、混合空間35A、混合空間35Bにて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路を通過する空気及び冷風バイパス通路を通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、第1空気通路31aにおける蒸発器15の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路及び冷風バイパス通路の入口側に、エアミックスドア39Aを配置している。そして、第2空気通路31bにおける蒸発器15の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路及び冷風バイパス通路の入口側に、エアミックスドア39Bを配置している。
エアミックスドア39A、エアミックスドア39Bは、第1空気通路31a及び第2空気通路31bにおいて、加熱用冷風通路および冷風バイパス通路へ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させる。これにより、エアミックスドア39A、エアミックスドア39Bは、混合空間35A、混合空間35B内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整することができる。
より具体的には、エアミックスドア39A、エアミックスドア39Bは、何れもヒータコア36の熱交換面と略平行にスライド移動するスライドドアである。エアミックスドア39A及びエアミックスドア39Bは、リンク機構等を介して、共通するエアミックスドア用の電動アクチュエータ63によって連動して操作される。
この為、第1空気通路31a側におけるエアミックスドア39Aの開度と、第2空気通路31b側におけるエアミックスドア39Bの開度は、概ね同等となる。エアミックスドア用の電動アクチュエータ63は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
ケーシング31の送風空気流れ最下流部には、連通路31dが形成されている。連通路31dは、第1空気通路31aと第2空気通路31bとを連通している。更に、連通路31dには、連通ドア38が配置されている。連通ドア38は、連通路31dを開閉するドア部材である。
そして、連通ドア38は、電動アクチュエータ65によって駆動される。当該電動アクチュエータ65は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
ここで、吸込口モードが全内気モード、全外気モード及び内外気混入モードの何れかである場合、連通ドア38が連通路31dを開くように制御され、第1空気通路31aと第2空気通路31bとが連通する。
一方、吸込口モードが内外気二層流モードである場合、連通ドア38が連通路31dを閉じるように制御される。この場合、第1空気通路31aと第2空気通路31bとが連通せずに仕切られる。
更に、ケーシング31の送風空気流れ最下流部には、複数の吹出口が配置されている。複数の吹出口は、混合空間35A、混合空間35Bから空調対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す為の開口部である。具体的に、複数の吹出口としては、フェイス吹出口24、フット吹出口25及びデフロスタ吹出口26が設けられている。
具体的には、フェイス吹出口24及びデフロスタ吹出口26は、第1空気通路31aの送風空気流れ最下流部に配置されている。フット吹出口25は、第2空気通路31bの送風空気流れ最下流部に配置されている。
そして、フェイス吹出口24は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す上半身側吹出口である。つまり、フェイス吹出口24は、車室内空間における上部に向かって送風空気を吹き出す為、上側吹出口として機能する。
フット吹出口25は、乗員の足元(下半身)に向けて空調風を吹き出す足元側吹出口(下半身側吹出口)である。デフロスタ吹出口26は、車両前面に配置された窓ガラスWの内側面に向けて空調風を吹き出す窓ガラス側吹出口である。
又、フェイス吹出口24、フット吹出口25及びデフロスタ吹出口26の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイスドア24a、フットドア25a及びデフロスタドア26aが配置されている。フェイスドア24aは、フェイス吹出口24の開口面積を調整する。フットドア25aは、フット吹出口25の開口面積を調整する。そして、デフロスタドア26aは、デフロスタ吹出口26の開口面積を調整する。
フェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aは、吹出口モードを切り替える吹出口モードドアを構成しており、図示しないリンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回転操作される。尚、電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
吹出口モードとしては、フェイスモード(FACE)、バイレベルモード(B/L)、フットモード(FOOT)、及びフットデフロスタモード(F/D)がある。フェイスモード(FACE)では、フェイス吹出口24を全開してフェイス吹出口24から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出す。バイレベルモード(B/L)では、フェイス吹出口24とフット吹出口25の両方を開いて車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出す。
フットモード(FOOT)では、フット吹出口25を全開すると共にデフロスタ吹出口26を小開度だけ開口して、フット吹出口25から主に空気を吹き出す。フットデフロスタモード(F/D)では、フット吹出口25及びデフロスタ吹出口26を同程度開口し、フット吹出口25及びデフロスタ吹出口26の双方から空気を吹き出す。
当該車両用空調装置1においては、乗員が後述する操作パネル60をマニュアル操作することで、デフロスタモード(DEF)とすることもできる。デフロスタモード(DEF)では、デフロスタ吹出口26を全開してデフロスタ吹出口26から車両前面の窓ガラスWの内面に空気を吹き出す。
吸込口モードが内外気二層流モードである場合において、フェイス吹出口24及びデフロスタ吹出口26からの合計吹出風量をフット吹出口25からの吹出風量よりも大きくする場合、連通ドア38が連通路31dを開ける。例えば、フェイスモード、フットデフロスタモード、デフロスタモードの場合が想定される。これにより、第1空気通路31aの空気に加えて、第2空気通路31bの空気もフェイス吹出口24及びデフロスタ吹出口26から吹き出すことが可能になる。
吸込口モードが内外気二層流モードである場合において、フット吹出口25からの吹出風量をフェイス吹出口24及びデフロスタ吹出口26からの合計吹出風量よりも大きくする場合(例えば、フットモード)、連通ドア38が連通路31dを開ける。これにより、第2空気通路31bの空気に加えて、第1空気通路31aの空気もフット吹出口25から吹き出すことが可能になる。
そして、当該車両用空調装置1は、図示しない電熱デフォッガを備えている。電熱デフォッガは、車室内窓ガラスの内部或いは表面に配置された電熱線であって、窓ガラスを加熱することで防曇或いは窓曇り解消を行う。この電熱デフォッガについても空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
次に、第1実施形態に係る車両用空調装置1の制御系について、図2を参照しつつ説明する。図2に示すように、プラグインハイブリッド車両は、空調制御装置50と、駆動力制御装置70と、電力制御装置71と、ドメイン制御装置75とを搭載している。
空調制御装置50、駆動力制御装置70、電力制御装置71は、CPU、ROM及びRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。空調制御装置50、駆動力制御装置70、電力制御装置71は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行うことで、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
駆動力制御装置70の出力側には、エンジンEGを構成する各種エンジン構成機器及び走行用電動モータへ交流電流を供給する走行用インバータ等が接続されている。各種エンジン構成機器としては、具体的に、エンジンEGを始動させるスタータ、エンジンEGに燃料を供給する燃料噴射弁(インジェクタ)の駆動回路(何れも図示せず)等が接続されている。
又、駆動力制御装置70の入力側には、バッテリ81の端子間電圧VBを検出する電圧計、バッテリ81へ流れ込む電流ABin或いはバッテリ81から流れる電流ABoutを検出する電流計が接続されている。
更に、駆動力制御装置70の入力側には、種々のエンジン制御用のセンサ群が接続されている。エンジン制御用のセンサ群は、アクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ、車速Vvを検出する車速センサ(何れも図示せず)等を含んでいる。
空調制御装置50の出力側には、送風機32、圧縮機11の電動モータ11b用のインバータ61、送風ファン12a、PTCヒータ37、冷却水ポンプ40a等が接続されている。又、空調制御装置50の出力側には、更に、第1内外気切替ドア23A、第2内外気切替ドア23B、エアミックスドア、フェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aに対する電動アクチュエータがそれぞれ接続されている。
そして、空調制御装置50の入力側には、種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。空調制御用のセンサ群は、内気温センサ51、外気温センサ52、日射センサ53、吐出温度センサ54、吐出圧力センサ55、蒸発器温度センサ56、冷却水温度センサ57、窓表面湿度センサ58及び上流側温度センサ59等を含んでいる。
内気温センサ51は、車室内温度である内気温Trを検出する。外気温センサ52は、外気温Tamを検出する。日射センサ53は、車室内の日射量Tsを検出する。吐出温度センサ54は、圧縮機11から吐出された冷媒の吐出冷媒温度Tdを検出する。吐出圧力センサ55は、圧縮機11から吐出された冷媒の吐出冷媒圧力Pdを検出する。
蒸発器温度センサ56は、蒸発器15における冷媒蒸発温度TEを検出する。冷却水温度センサ57は、エンジンEGから流出した冷却水の冷却水温度Twを検出する。第1実施形態においては、蒸発器温度センサ56は蒸発器15の熱交換フィン温度を検出している。勿論、蒸発器温度センサ56として、蒸発器15のその他の部位の温度を検出する温度センサを採用してもよいし、蒸発器15を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度センサを採用してもよい。
窓表面湿度センサ58は、窓近傍湿度センサ、窓ガラス近傍空気温度センサ、及び窓ガラス表面温度センサで構成されている。窓近傍湿度センサは、車両前面の窓ガラスWの近傍の車室内空気の相対湿度(以下、窓近傍相対湿度と言う。)を検出する。窓ガラス近傍空気温度センサは、車両前面の窓ガラスWの近傍の車室内空気の温度を検出する。窓ガラス表面温度センサは、車両前面の窓ガラスWの表面温度を検出する。
空調制御装置50は、窓近傍湿度センサ、窓ガラス近傍空気温度センサ、及び窓ガラス表面温度センサの検出値に基づいて、車両前面の窓ガラスWの車室内側表面における相対湿度(以下、窓表面相対湿度RHWと言う。)を算出する。
従って、窓表面湿度センサ58は、窓近傍湿度検出部として機能する。窓表面相対湿度RHWは、窓ガラスが曇る可能性を表す指標である。具体的には、窓表面相対湿度RHWの値が大きい程、窓ガラスが曇る可能性が高いことを意味する。
そして、上流側温度センサ59は、ケーシング31の空気通路の内部において、蒸発器15に対して送風空気の流れ方向上流側を流れる送風空気の温度(以下、上流側温度Teuと言う。)を検出する。上流側温度センサ59は上流側温度検出部として機能する。
具体的には、上流側温度センサ59は、ケーシング31の空気通路において、内外気切替箱20と蒸発器15の間に配置されている。従って、上流側温度センサ59は、蒸発器15にて吸熱される直前の送風空気の温度を検出することができる。
更に、空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60が接続されている。操作パネル60は、現在の車両用空調装置1の作動状態等を表示する表示部と、種々の空調操作スイッチ等を有している。従って、空調制御装置50には、各空調操作スイッチからの操作信号が夫々入力される。
種々の空調操作スイッチとしては、具体的に、エアコンスイッチ、オートスイッチ、吹出口モードの切替スイッチ、デフロスタスイッチ、送風機32の風量設定スイッチ、車室内温度設定スイッチが含まれている。
エアコンスイッチは、圧縮機11の起動及び停止を切り替える際に乗員によって操作される操作スイッチである。エアコンスイッチには、エアコンスイッチの操作状況に応じて点灯・消灯するエアコンインジケータが設けられている。
オートスイッチは、車両用空調装置1の自動空調制御を設定或いは解除する際に乗員によって操作される操作スイッチである。デフロスタスイッチは、デフロスタモードを設定する際に乗員によって操作される操作スイッチである。車室内温度設定スイッチは、目標温度としての車室内設定温度Tsetを設定する際に乗員によって操作される操作スイッチである。
更に、操作パネル60の空調操作スイッチには、エコノミースイッチが含まれている。エコノミースイッチは、環境への負荷の低減を優先させる際に乗員によって操作される操作スイッチである。エコノミースイッチを投入することにより、車両用空調装置1の作動モードが、空調の省動力化を優先させるエコノミーモード(略してエコモード)に設定される。
又、エコノミースイッチを投入することにより、EV運転モード時に、走行用電動モータを補助するために作動させるエンジンEGの作動頻度を低下させる信号が駆動力制御装置70に出力される。
図2に示すように、空調制御装置50及び駆動力制御装置70は、電気的に接続されて相互に通信可能に構成されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号或いは操作信号に基づいて、他方の制御装置が出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。
例えば、空調制御装置50が駆動力制御装置70へエンジンEGの要求信号を出力することによって、エンジンEGの作動を要求することが可能となっている。尚、駆動力制御装置70では、空調制御装置50からのエンジンEGの作動を要求する要求信号(作動要求信号)を受信すると、エンジンEGの作動の要否を判定し、その判定結果に応じてエンジンEGの作動を制御する。
更に、空調制御装置50には、電力制御装置71が電気的に接続されている。電力制御装置71は、車両外部の電源から供給される電力やバッテリ81に蓄えられた電力に応じて、車両における各種電気機器に配分する電力の決定等を行う。空調制御装置50には、電力制御装置71から出力される出力信号(空調用に使用を許可する空調使用許可電力を示すデータ等)が入力される。
図2に示すように、空調制御装置50には、ドメイン制御装置75が相互に通信可能に接続されている。ドメイン制御装置75は、ハイブリッド車両に搭載された複数の制御装置のうちの1つである。一般的に、車両には複数のドメイン制御装置が搭載されており、それぞれ異なるドメインに属する車載装備の制御を統括している。
ドメイン制御装置75は、ハイブリッド車両の車載装備のうちで、車両用空調装置1が属するドメインにおける車載装備の制御を統括する制御装置である。ドメイン制御装置75は、空調制御装置50よりも上位の制御装置であるということもできる。
又、車両用空調装置1が属するドメインにおける車載装備には、無線通信部76と、測位部77が含まれている。無線通信部76は、インターネット、携帯電話網等の公衆回線網及び基地局を含むネットワーク網Nを介して、サーバ装置90と無線通信を行う。
無線通信部76は、サーバ装置90と相互通信可能である。従って、空調制御装置50は、ネットワーク網Nに存在する各種情報を、無線通信部76等を介して取得することができる。ネットワーク網Nは通信網に相当し、無線通信部76は通信部として機能する。
測位部77は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機と慣性センサとを備える。GNSS受信機は、GNSSを構成する測位衛星が送信する測位信号を受信する受信機である。
具体的には、GNSS受信機は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムのうちで、少なくとも1つの衛星測位システムの各測位衛星から、測位信号を受信可能である。
そして、慣性センサは、車両用空調装置1が搭載されたハイブリッド車両の角速度を計測するジャイロセンサや、ハイブリッド車両の加速度を計測する加速度センサにより構成される。
測位部77は、GNSS受信機による測位信号と慣性センサによる計測結果との組み合わせによって、ハイブリッド車両の現在位置を逐次決定する。即ち、測位部77は、ハイブリッド車両の位置を特定する機能を有する。測位部77は、得られた車両位置情報を無線通信部76からサーバ装置90へと送信可能である。
ここで、サーバ装置90について説明する。サーバ装置90は、制御部91と、無線通信部92と、データ格納部93とを有している。サーバ装置90は、例えば、管理センタに設置されたホストコンピュータによって提供される。サーバ装置90は、1台のコンピュータ又は複数のコンピュータによって構成される。
制御部91は、CPU、ROM及びRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、サーバ装置90における各種制御を行う。
無線通信部92は、上述したネットワーク網Nを介して、ハイブリッド車両の無線通信部76と無線通信を行う。無線通信部92は、ハイブリッド車両の無線通信部76と相互通信可能に構成されている。従って、サーバ装置90は、ネットワーク網Nを介して、ハイブリッド車両の車両位置情報を受信することができる。
データ格納部93は、制御部91による演算処理結果や、無線通信部92が受信したデータ等を記憶して蓄積する記憶装置である。第1実施形態に係るデータ格納部93には、屋外空気の相対湿度に関する情報(以下、外気側相対湿度情報と言う。)が、位置情報に対応付けて格納されている。
従って、ハイブリッド車両の現在位置情報を受信した場合、サーバ装置90は、現在位置情報を用いて、ハイブリッド車両の現在位置における外気側相対湿度情報を、データ格納部93から特定して、空調制御装置50に提供することができる。
ここで、空調制御装置50は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェア及びソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、空調制御装置50のうち、各種空調センサ群の検出値や無線通信部76を用いて、ケーシング31の空気通路の内部において、蒸発器15に対して送風空気の流れ方向上流側を流れる送風空気の湿度(以下、上流側湿度Heuと言う。)を取得する構成が上流側湿度取得部50aを構成している。
そして、空調制御装置50のうち、蒸発器15に付着した凝縮水が蒸発し始める温度(以下、蒸発開始温度Twbと言う。)を決定する構成が蒸発開始温度決定部50bを構成している。尚、蒸発開始温度Twbは、蒸発器15に対して送風空気の流れ方向上流側における湿球温度ということもできる。
又、空調制御装置50のうち、蒸発開始温度Twb等の指標を用いて、凝縮水の蒸発による臭気の発生し易さを評価する為の基準値(以下、基準値Svと言う。)を決定する構成が基準値決定部50cを構成している。
そして、空調制御装置50のうち、圧縮機11の電動モータ11bに接続されたインバータ61から出力される交流電圧の周波数を制御して、圧縮機11の作動を制御する構成が圧縮機制御部50dを構成している。当該圧縮機制御部50dは、空調制御装置50のうち、基準値Sv等を用いて圧縮機11の作動の有無を決定する構成も含んでいる。
更に、空調制御装置50のうち、内外気二層流モードにおいて、第1空気通路31aを流れる外気の相対湿度(以下、外気側相対湿度Hoと言う。)と、第2空気通路31bを流れる内気の相対湿度(以下、内気側相対湿度Hiと言う。)に関して、何れが強い臭気を発生させると推定されるかを判定する構成が臭気判定部50eを構成している。
続いて、上記構成における第1実施形態の車両用空調装置1の作動について、図3、図4を参照しつつ説明する。図3は、第1実施形態の車両用空調装置1のメインルーチンとしての制御処理を示すフローチャートである。
この制御処理は、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器にバッテリ81や外部電源等から電力が供給された状態で、車両用空調装置1の作動スイッチが投入されるとスタートする。尚、図3、図4中の各制御ステップは、空調制御装置50が有する各種の機能実現部を構成している。
先ず、ステップS1では、フラグ、タイマ等の初期化、及び上述した電動アクチュエータを構成するステッピングモータの初期位置合わせ等のイニシャライズが行われる。尚、このイニシャライズでは、フラグや演算値のうち、前回の車両用空調装置1の作動終了時に記憶された値は維持される。
次に、ステップS2では、操作パネル60の操作信号等を読み込んでステップS3へ進む。具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチによって設定される車室内設定温度Tset、吸込口モードスイッチの設定信号等がある。
続いて、ステップS3において、空調制御に用いられる車両環境状態の信号が読み込まれる。車両環境状態の信号には、内気温センサ51~上流側温度センサ59の各種センサ群の検出信号や、外部電源からの電力の供給状態を示す電力状態信号等が含まれている。尚、電力状態信号が、外部電源から車両に電力を供給可能な状態(プラグイン状態)を示す場合には、外部電源フラグがオンされ、外部電源から車両に電力を供給できない状態(プラグアウト状態)を示す場合には、外部電源フラグがオフされる。
又、このステップS3では、駆動力制御装置70の入力側に接続されたセンサ群の検出信号、及び駆動力制御装置70から出力される制御信号等の一部も、駆動力制御装置70から読み込まれる。
次に、ステップS4では、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。従って、ステップS4は目標吹出温度決定部を構成している。目標吹出温度TAOは、以下の数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset-Kr×Tr-Kam×Tam-Ks×Ts+C…(F1)
ここで、Tsetは車室内温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気温センサ51によって検出された車室内温度(内気温)、Tamは外気温センサ52によって検出された外気温、Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
尚、目標吹出温度TAOは、車室内を所望の温度に保つために車両用空調装置1が生じさせる必要のある熱量に相当するもので、車両用空調装置1に要求される空調負荷(空調熱負荷)として捉えることができる。
続くステップS5~ステップS13では、空調制御装置50に接続された各種機器の制御状態が決定される。先ず、ステップS5では、エアミックス開度SWを、目標吹出温度TAO、蒸発器温度センサ56によって検出された冷媒蒸発温度TE、冷却水温度Twに基づいて算出する。エアミックス開SWは、エアミックスドア(即ち、エアミックスドア39A、エアミックスドア39B)の目標開度である
具体的には、まず、次の数式F2により仮のエアミックス開度SWddを算出する。
SWdd=[{TAO-(TE+2)}/{MAX(10,Tw-(TE+2))}]×100(%)…(F2)
尚、数式F2の{MAX(10,Tw-(TE+2))}とは、10及びTw-(TE+2)のうち大きい方の値を意味している。
次に、仮のエアミックス開度SWddに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、エアミックス開度SWを決定する。この制御マップでは、仮のエアミックス開度SWddに凡そ比例するようにエアミックス開度SWを決定する。
次に、ステップS6では、送風機32による送風量(具体的には、電動モータに印加するブロワモータ電圧)を決定する。
車両用空調装置1の自動空調制御が設定されている場合、次の数式F3によりブロワレベルが算出され、算出されたブロワレベル、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、自動空調制御の送風機電圧(ブロワモータ電圧)が決定される。ブロワレベルは、送風機32の送風能力を決定するために電動モータに印加する送風機電圧に対応する値である。
ブロワレベル=MIN(f1A(TAO),f2A(TW))…(F3)
尚、数式F3のMIN(f1A(TAO),f2A(TW))とは、f1A(TAO)及びf2A(TW)のうち小さい方の値を意味している。
ここで、仮ブロワレベルf1A(TAO)は、目標吹出温度TAOに基づいて決定される値である。具体的には、仮ブロワレベルf1A(TAO)は、決定された目標吹出温度TAOに基づいて予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。仮ブロワレベルf1A(TAO)に係る制御マップは、目標吹出温度TAOに対する仮ブロワレベルf1A(TAO)の値がバスタブ状の曲線を描くように構成されている。
そして、暖機時上限ブロワレベルf2A(TW)は、エンジンEGの暖機時(冷却水温度Twが低温の時)におけるブロワレベルの上限値である。暖機時上限ブロワレベルf2A(TW)は、冷却水温度センサ57が検出した冷却水温度Tw(水温)に基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。
続いて、ステップS7では、吸込口モード(即ち、内外気切替箱20の切替状態)を決定する。車両用空調装置1の自動空調制御が解除されている場合、マニュアル操作にて決定された吸込口モードに応じた外気導入率が決定される。外気導入率は、内外気切替箱20からケーシング31内に導入される導入空気(外気及び内気)のうち外気が占める比率である。
例えば、マニュアル吸込口モードが全内気モード(RECモード)の場合、外気導入率は0%に決定され、全外気モード(FRSモード)の場合、外気導入率は100%に決定される。
車両用空調装置1の自動空調制御にて冷房運転が設定されている場合、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、外気導入率が決定される。具体的には、目標吹出温度TAOが低い場合、外気導入率は小さく、目標吹出温度TAOが高い場合、外気導入率は大きく決定される。そして、決定された外気導入率に応じて第1内外気切替ドア23A及び第2内外気切替ドア23Bの開度が変更される。
例えば、外気導入率が0%超50%未満または50%超75%未満に設定された場合、吸込口モードが内外気混入モードとなるように第1内外気切替ドア23A及び第2内外気切替ドア23Bの開度が制御される。又、内外気混入モード時の外気率が50%以上75%未満に設定された場合、内外気二層流モードとなるように第1内外気切替ドア23A及び第2内外気切替ドア23Bの開度が制御される。内外気混入モード及び内外気二層流モードと外気率との関係は、室内空調ユニット30の仕様に応じて適宜変更可能である。
一方、車両用空調装置1の自動空調制御にて暖房運転が設定されている場合、窓表面相対湿度RHWに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、外気導入率が決定される。
具体的には、窓表面相対湿度RHWが低い場合、外気導入率は小さく、窓表面相対湿度RHWが高い場合、外気導入率は大きく決定される。これにより、窓ガラスWが曇る可能性が高いほど、内気よりも湿度の低い外気の導入率を高くして車室内空間の湿度を低下させることができる。
次に、ステップS8では、吹出口モード(即ち、フェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aの切替状態)を決定する。吹出口モードは、ステップS4で算出した目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。
具体的には、吹出口モードは、目標吹出温度TAOが低温域から高温域へと上昇するにつれて、フェイスモード→バイレベルモード→フットモードへと順次切り替えて設定される。従って、夏季は主にフェイスモード、春秋季は主にバイレベルモード、そして冬季は主にフットモードが選択され易くなる。この制御マップでは、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅が設定されている。
続いて、ステップS9では、蒸発器15による送風空気の冷却が不要となった場合における圧縮機11の作動態様が決定される。蒸発器15による送風空気の冷却が不要となった場合とは、例えば、エアコンスイッチが操作され、圧縮機11の作動を停止する場合等を挙げることができる。尚、蒸発器15による送風空気の冷却を継続する場合には、ステップS9を省略して、次のステップS10へ進むように構成することも可能である。
この場合において圧縮機11の作動を継続させた場合、圧縮機11が冷媒吐出能力を発揮する為、蒸発器15において送風空気が冷却される。この時、蒸発器15の表面には、送風空気の冷却に伴って凝縮した凝縮水が付着していくことになる。従って、圧縮機11の作動を継続させた場合は、凝縮水の蒸発による臭気の発生を抑制することができる。
一方、圧縮機11の作動を停止させた場合、蒸発器15の冷却性能が徐々に低下することになり、蒸発器15の温度が上昇していく。これにより、蒸発器15に付着した凝縮水が蒸発していき、臭気が発生することが考えられる。その一方で、送風空気の冷却が不要となった時点で圧縮機11の作動を停止させる為、車両用空調装置1における省動力効果を発揮させることができる。
ステップS9では、圧縮機11の作動を継続させるか停止させるかの決定を、蒸発器15を取り巻く環境(即ち、蒸発器15にて熱交換される送風空気の状態)に応じて適切に行う。これにより、当該車両用空調装置1は、凝縮水の蒸発による臭気の発生を抑制しつつ、省動力効果を充分に発揮させている。
以下、ステップS9における処理内容について、図4を参照しつつ詳細に説明する。図4に示すように、先ず、ステップS21では、ステップS7で決定された吸込口モードを特定する。
吸込口モードが全内気モードであると特定された場合、ステップS22で、窓表面湿度センサ58の検出値を用いて上流側湿度Heuを算出する。又、吸込口モードが全外気モードであると特定された場合、ステップS23で、無線通信部76を利用して上流側湿度Heuを取得する。そして、吸込口モードが内外気二層流モードであると特定された場合には、ステップS24に移行する。
次のステップS22では、内気温センサ51及び窓表面湿度センサ58の検出値を用いて、蒸発器15で熱交換される送風空気の相対湿度を示す上流側湿度Heuを算出する。ステップS22においては、吸込口モードが全内気モードである為、内気温センサ51及び窓表面湿度センサ58を用いて、蒸発器15上流側の相対湿度を特定する。
具体的に、ステップS22では、先ず、窓表面湿度センサ58で検出される窓ガラスW近傍の相対湿度と、窓ガラスW近傍の温度を用いて、車室内の絶対湿度が算出される。そして、算出した車室内における空気の絶対湿度と、内気温センサ51で検出された内気温Trを用いて、全内気モードにおける上流側湿度Heuが算出される。
一方、ステップS23においては、ネットワーク網Nを介してサーバ装置90から車室外の空気の相対湿度を用いて、全外気モードにおける蒸発器15上流側の相対湿度を取得する。ステップS23では、全外気モードである為、車室外の空気の相対湿度の情報を用いて、全外気モードにおける上流側湿度Heuを特定することができる。
具体的に、ステップ23では、先ず、測位部77で特定された車両の現在位置を示す現在位置情報と共に、外気側相対湿度情報を要求する旨を示す情報要求信号が、無線通信部76を介して、ネットワーク網N上のサーバ装置90へ出力される。
サーバ装置90においては、制御部91によって、現在位置情報に基づいて、データ格納部93のうちで、車両の現在位置対応付けられた外気側相対湿度情報が特定される。特定された外気側相対湿度情報は、データ格納部93から読み出され、無線通信部92を介して、データを要求した車両に対して出力される。
このような過程を経ることで、ステップS23では、無線通信部76を介して、車両の現在位置に係る外気側相対湿度情報が、ネットワーク網N上のサーバ装置90から取得される。受信した外気側相対湿度情報を用いて、全外気モードにおける上流側湿度Heuが取得される。
そして、ステップS24~ステップS26では、吸込口モードが内外気二層流モードにおける上流側湿度Heuが決定される。上述したように、内外気二層流モードでは、第1空気通路31aに対して外気が導入されると共に第2空気通路31bに対して内気が導入される。この為、第1空気通路31aにおける蒸発器15上流側の相対湿度と、第2空気通路31bにおける蒸発器15上流側の相対湿度をそれぞれ評価する必要がある。
この為、ステップS24では、第1空気通路31aにおける蒸発器15上流側の相対湿度を、無線通信部76を用いて取得する。内外気二層流モードでは、第1空気通路31aを外気が流れる為、ステップS23と同様に、外気側相対湿度情報を用いて取得することができる。ステップS24で取得した外気側相対湿度情報の外気側相対湿度Hoは、第1空気通路31aにおける蒸発器15上流側の相対湿度を意味する。
そして、ステップS25では、内気温センサ51及び窓表面湿度センサ58の検出値を用いて、第2空気通路31bにおける蒸発器15上流側の相対湿度を算出する。第2空気通路31bを内気が流れる為、ステップS22と同様の方法で算出することができる。ステップS25で算出された相対湿度は、第2空気通路31bにおける蒸発器15上流側の相対湿度を意味し、以下、内気側相対湿度Hiと呼ぶ。
ステップS26では、次の数式F4により、第1空気通路31a側に相当する外気側相対湿度Hoと、第2空気通路31b側に相当する内気側相対湿度Hiを比較して、内外気二層流モードにおける上流側湿度Heuが決定される。
上流側湿度Heu=MIN(Ho,Hi)…(F4)
尚、数式F4のMIN(Ho,Hi)とは、ステップS24で取得した外気側相対湿度Hoと、ステップS25で算出した内気側相対湿度Hiのうち小さい方の値を意味している。
つまり、ステップS26では、外気側相対湿度Hoと内気側相対湿度Hiのうち、小さいほうの値が内外気二層流モードにおける上流側湿度Heuに決定される。このように決定することで、内外気二層流モードにおいて、蒸発器15に付着した凝縮水が蒸発しやすく、蒸発に伴い臭気が発生しやすいと推定される方が、内外気二層流モードにおける上流側湿度Heuに決定される。
次のステップS27では、ステップS22~ステップS26にて決定された上流側湿度Heuを用いて、蒸発開始温度Twbを算出する。蒸発開始温度Twbは、蒸発器15に付着した凝縮水が蒸発し始める温度を意味しており、蒸発器15上流側における湿球温度に相当する。
蒸発器15上流側における相対湿度である上流側湿度Heuと、蒸発器15上流側における空気の温度である上流側温度Teuとを用いた湿球温度の算出方法は公知である為、詳細な説明は省略する。蒸発開始温度Twbは、蒸発器15の上流側における空気の温度及び湿度の観点から、凝縮水の蒸発し易さを評価した指標となる。
そして、ステップS28では、蒸発器15を通過する送風空気の風量(即ち、ブロワ風量)に基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、補正係数αを決定する。補正係数αは、蒸発器15に付着した凝縮水の蒸発のし易さを、蒸発器15に対する風量の観点で補正するものである。即ち、補正係数αは、凝縮水の蒸発による臭気の発生し易さに対する風量の影響の大きさを示している。
ステップS28の制御マップは、ブロワ風量が少ないときは補正係数αを大きくし、ブロワ風量が多いときは補正係数αを小さくするように構成されている。図4に示す例においては、ブロワ風量≦150(m3/h)であれば補正係数αは7となり、ブロワ風量≧500(m3/h)であれば補正係数αは0となる。150(m3/h)<ブロワ風量<500(m3/h)であれば、ブロワ風量が多い程、補正係数αは0~7の範囲で多くなる。
ここで、ブロワ風量(即ち、蒸発器15を通過する送風空気の量)が多い程、蒸発器15に付着した凝縮水は蒸発し易く、凝縮水の蒸発に伴う臭気も多く発生する。即ち、ブロワ風量が少ない場合に、圧縮機11の作動を停止して蒸発器15の温度を上げても、凝縮水の蒸発に伴う臭気の発生量は少なくなる。
従って、上述のように決定される補正係数αは、凝縮水の蒸発による臭気の発生量に対して強い相関を有しており、特に、蒸発器15を通過する風量の観点で評価した指標である。
続くステップS29では、ステップS27で算出した蒸発開始温度Twbと、ステップS28で決定した補正係数αを用いて、圧縮機11の作動を継続させるか停止させるかを決定する為の基準値Svを算出する。具体的には、基準値Svは、蒸発開始温度Twbに対して補正係数αを加算することで算出される。
ここで、蒸発開始温度Twbは、凝縮水の蒸発による臭気の発生し易さを、蒸発器15上流側の温度及び湿度の観点で評価している。そして、補正係数αは、凝縮水の蒸発による臭気の発生し易さを、蒸発器15を通過する送風空気の風量の観点で評価している。従って、基準値Svは、凝縮水の蒸発による臭気の発生し易さを、蒸発器15の環境に応じて評価した指標と言うことができる。
次のステップS30では、上流側温度センサ59で検出された上流側温度Teuが算出した基準値Svよりも大きいか否かが判定される。換言すると、ステップS30では、圧縮機11の作動を停止させた場合において、凝縮水の蒸発による臭気の発生し易さが評価されている。
上流側温度Teuが基準値Svよりも大きいと判定された場合、圧縮機11の作動を停止させると、凝縮水の蒸発により発生する臭気が乗員の許容範囲を超えて不快感を与えると判断できる。この場合には、ステップS31に進み、圧縮機11の作動を継続するオン設定に決定する。圧縮機11のオン設定を行った後、ステップS33に進む。
圧縮機11のオン設定によって、圧縮機11の作動が継続することになる為、蒸発器15に付着した凝縮水が蒸発することを抑制でき、臭気の発生を抑制することができる。
一方、上流側温度Teuが基準値Svよりも大きくないと判定された場合、圧縮機11の作動を停止させたとしても、凝縮水の蒸発により発生する臭気が乗員の許容範囲内であると判断できる。この場合には、ステップS32に進み、圧縮機11の作動を停止するオフ設定に決定する。圧縮機11のオフ設定を終了すると、ステップS33に進む。
この場合、圧縮機11の作動が停止する為、車両用空調装置1に省動力効果を発揮させることができる。この時、圧縮機11の作動停止に伴って、蒸発器15にて凝縮水が蒸発して臭気が発生するが、臭気の発生量は乗員の許容範囲内であり、乗員に不快感を与えることを抑制できる。
次のステップS33では、蒸発器15から吹き出される送風空気の目標温度である目標蒸発器温度TEOを決定する。ステップS33では、次の数式F5により目標蒸発器温度TEOが決定される。
TEO=MIN(TAO,Sv-β)…(F5)
尚、数式F5のSv-βは、ステップS29で算出した基準値Svから予め定められた変動余裕代βを減算した値である。変動余裕代βは、蒸発器15の温度に対する外乱の影響や制御性に応じて定められる値であって、例えば、実験値として得られた3を用いることができる。
そして、数式F5のMIN(TAO,Sv-β)とは、ステップ4で算出した目標吹出温度TAOと、上述した基準値Svから変動余裕代βを減算した値のうち小さい方の値を意味している。
ステップS31にて、圧縮機11の作動が許容された場合(即ち、オン設定)、上述のように定められた目標蒸発器温度TEOに基づいて、圧縮機11の冷媒吐出能力(具体的には、圧縮機11の回転数)が決定される。当該車両用空調装置1では、目標蒸発器温度TEOに冷媒蒸発温度TEを近づけるように、圧縮機11の回転数が決定される。
目標蒸発器温度TEOとして、基準値Svから変動余裕代βを減算した値を用いることによって、当該車両用空調装置1は、外乱等の影響によって蒸発器15に温度変動が生じた場合であっても、想定以上に強い強度の臭気が発生することを防止することができる。
再び図3を参照しつつ、第1実施形態の車両用空調装置1のメインルーチンのステップS10以後の処理について説明する。ステップS10では、蒸発器15による送風空気の冷却が必要な場合における圧縮機11の回転数が決定される。従って、エアコンスイッチがオンになっている場合には、ステップS10にて、圧縮機11の回転数が決定される。具体的には、この場合の目標蒸発器温度TEOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された冷房モード用の制御マップを参照して決定される。
この制御マップでは、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、目標蒸発器温度TEOが上昇するように決定される。更に、目標蒸発器温度TEOは、蒸発器15の着霜を抑制可能な範囲(具体的には、1℃以上)の値に決定される。そして、蒸発器温度センサ56によって検出された冷媒蒸発温度TEが目標蒸発器温度TEOに近づくように、圧縮機11の回転数が決定される。
次のステップS11では、PTCヒータ37や電熱デフォッガの作動状態を決定する。PTCヒータ37の作動状態としては、PTCヒータ37の作動本数が決定される。PTCヒータ37の作動本数は、外気温Tam、仮のエアミックス開度SWdd、冷却水温度Twに応じて決定される。
具体的には、外気温が26℃よりも高いと判定された場合、PTCヒータ37による吹出温アシストは必要無いと判断される為、PTCヒータ37の作動本数は0本に決定される。外気温が26℃よりも低いと判定された場合は、仮のエアミックス開度SWddに基づいてPTCヒータ37作動の要否が決定される。
仮のエアミックス開度SWddを予め定めた基準開度と比較して、仮のエアミックス開度SWddが第1基準開度(本実施形態では、100%)以下であれば、PTCヒータ37の作動本数は0本に決定される。仮のエアミックス開度SWddが第2基準開度(本実施形態では、110%)以上であれば、冷却水温度Twに応じてPTCヒータ37の作動本数が決定される。
ヒータコア36で空気を十分に加熱できる程度に冷却水温度Twが高い場合、PTCヒータ37の作動本数は0本に決定される。そして、冷却水温度Twが低いほどPTCヒータ37の作動本数を増加させる。
尚、電熱デフォッガの作動態様については、車室内の湿度及び温度から窓ガラスWに曇りが発生する可能性が高い場合、或いは窓ガラスWに曇りが発生している場合は、電熱デフォッガを作動させるように決定される。
次のステップS12では、空調制御装置50から駆動力制御装置70へ出力される要求信号を決定する。この要求信号としては、エンジンEGの作動要求信号(エンジンオン要求信号)や、EV/HV運転モードの要求信号等がある。
ここで、プラグインハイブリッド車両では、車両走行用の駆動力をエンジンEG、走行用電動モータからも得ることができる。この為、エンジンEGの作動を停止させ、走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得ることがある。この場合、車両用空調装置1にて車室内の暖房を行う際に、冷却水の温度が暖房用の熱源として充分な温度にまで上昇していない場合が想定される。
そこで、車両用空調装置1は、走行用の駆動力を出力させるためにエンジンEGを作動させる必要がない走行条件であっても、所定条件を満たした場合には、エンジンEGの作動を要求する要求信号(作動要求信号)を、駆動力制御装置70に対して出力する。
これにより、駆動力制御装置70によって、エンジンEGが作動することになる為、冷却水回路40の冷却水温度Twを、暖房用の熱源として充分な温度となるまで上昇させることができる。
次に、ステップS13では、冷却水ポンプ40aを作動させるか否かを決定する。上述したように、冷却水ポンプ40aは、冷却水回路40にてヒータコア36とエンジンEGとの間で冷却水を循環させる装置である。
冷却水ポンプ40aを作動させるか否かは、冷却水回路40における冷却水温度Tw、蒸発器15における冷媒蒸発温度TE、送風機32の作動状態に応じて決定される。具体的には、冷却水温度Twが冷媒蒸発温度TEよりも高く、送風機32が作動している場合は、冷却水ポンプ40aを作動させるように決定される。その他の場合には、冷却水ポンプ40aを停止するように決定される。
これにより、冷却水ポンプ40aが作動して、冷却水が冷却水回路40内を循環するので、ヒータコア36を流れる冷却水とヒータコア36を通過する空気とを熱交換させて送風空気を加熱することができる。
次に、ステップS14では、上述のステップS5~S14で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置50より各種機器に対して制御信号および制御電圧が出力される。各種機器には、送風機32と、送風ファン12aと、インバータ61と、電動アクチュエータ62Aと、電動アクチュエータ62Bと、電動アクチュエータ63と、電動アクチュエータ64と、電動アクチュエータ65と、PTCヒータ37と、冷却水ポンプ40aが含まれている。更に、空調制御装置50から駆動力制御装置70に対して、ステップS12にて決定された要求信号が送信される。
続いて、ステップS15では、制御周期τの間待機し、制御周期τの経過を判定するとステップS2に戻るようになっている。尚、当該車両用空調装置1においては制御周期τを250msとしている。これは、車室内の空調制御は、エンジン制御等と比較して遅い制御周期であってもその制御性に悪影響を与えないからである。これにより、車両内における空調制御のための通信量を抑制して、エンジン制御等のように高速制御を行う必要のある制御系の通信量を十分に確保することができる。
図3~図4を参照しつつ説明したように、当該車両用空調装置1は、圧縮機11のオン設定とオフ設定とを、ステップS30にて基準値Svと上流側温度Teuとを比較して切り替えている。
ここで、基準値Svは、蒸発開始温度Twbに補正係数αを加算して算出される。蒸発開始温度Twbは、蒸発器15上流側の相対湿度を示す上流側湿度Heuを用いて算出される。補正係数αは、蒸発器15を通過する送風空気の風量に応じて定められている。
従って、基準値Svは、凝縮水の蒸発による臭気の発生し易さを、蒸発器15の環境に応じて評価した指標と言うことができる。上流側温度Teuは、上流側温度センサ59によって検出された、蒸発器15上流側における空気の温度である。
即ち、当該車両用空調装置1は、ステップS30にて、蒸発器15の現在の環境において、凝縮水の蒸発による臭気の発生し易さを評価して判定することで、圧縮機11のオン設定とオフ設定とを適切に変更する。これにより、当該車両用空調装置1は、凝縮水の蒸発による臭気の抑制と、圧縮機11の停止による省動力効果を適切に両立させることができる。
又、蒸発開始温度Twbの算出に用いられる上流側湿度Heuは、ステップS21~ステップS27において、吸込口モードに応じた態様で取得される。吸込口モードの違いによって、蒸発器15上流側の空気における内気・外気の構成が相違する。
この為、ステップS21~ステップS27にて、吸込口モードに応じて上流側湿度Heuを取得することで、蒸発器15上流側の空気の状態を蒸発開始温度Twbに反映させることができる。これにより、当該車両用空調装置1は、ステップS30における圧縮機11のオン設定、オフ設定に関する制御応答性を向上させることができる。
吸込口モードが全内気モードの場合、上流側湿度Heuは、窓表面湿度センサ58で検出された窓ガラスW近傍の相対湿度を用いて算出される。この結果、当該車両用空調装置1は、ステップS30の判断処理に対して、窓ガラスW近傍の空気の状態を反映させることができ、精度の良い防曇を実現することができる。
吸込口モードが全外気モードの場合、上流側湿度Heuは、現在位置における外気側相対湿度情報を、無線通信部76を介して、ネットワーク網N上のサーバ装置90から取得して定められる。プラグインハイブリッド車両に搭載された無線通信部76等の構成を用いることで、専用のセンサを配置することなく、窓ガラスWの防曇に貢献できる。
又、吸込口モードが内外気二層流モードの場合には、第1空気通路31a側の外気側相対湿度Hoと、第2空気通路31b側の内気側相対湿度Hiのうち小さい方が上流側湿度Heuに決定される。つまり、臭気が発生しやすい状態を基準として、蒸発開始温度Twbが算出される為、予想外に強い臭気が発生することを防止することができる。
尚、第1実施形態において、ステップS21~ステップS26を実行する際の空調制御装置50は上流側湿度取得部50aとして機能している。又、ステップS27を実行する際の空調制御装置50は蒸発開始温度決定部50bとして機能している。そして、ステップS28~ステップS29を実行する際の空調制御装置50は基準値決定部50cとして機能している。又、ステップS30~ステップS33を実行する際の空調制御装置50は圧縮機制御部50dとして機能している。ステップS26を実行する際の空調制御装置50は臭気判定部50eとして機能している。
以上説明したように、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、圧縮機11及び蒸発器15を含む冷凍サイクル装置10と、送風機32の作動を制御することによって、ケーシング31内を流れる送風空気の温度を調整して、車室内に供給することができる。
図4に示すように、蒸発器15に付着した凝縮水が蒸発し始める温度である蒸発開始温度Twbと、凝縮水の蒸発による臭気の発生量に相関を有する補正係数αを加算して、基準値Svが算出される。蒸発開始温度Twbは、送風空気の流れに関して蒸発器15の上流側における相対湿度である上流側湿度Heuを用いて算出されている。
そして、当該車両用空調装置1では、上流側温度センサ59で検出された上流側温度Teuが基準値Svよりも大きい場合には、圧縮機11の作動が継続される。上流側温度Teuが基準値Svよりも大きい場合とは、圧縮機11の作動を停止させると、凝縮水の蒸発により発生する臭気が乗員の許容範囲を超えて不快感を与えると想定される。
この為、当該車両用空調装置1は、臭気による乗員の快適性が低下することが懸念される場合には、圧縮機11を作動させることで、凝縮水の蒸発に伴う臭気の発生を抑制し、乗員の快適性の低下を防止することができる。
又、当該車両用空調装置1では、上流側温度Teuが基準値Svよりも小さい場合は、圧縮機11の作動を停止させたとしても、凝縮水の蒸発により発生する臭気が乗員の許容範囲内であると想定される。
この為、当該車両用空調装置1は、圧縮機11の作動を停止させることで、車両用空調装置1の省動力効果を発揮させることができる。この時、圧縮機11が停止して凝縮水が蒸発した場合でも、臭気の発生量は許容範囲内になる為、乗員の快適性を維持することができる。
即ち、当該車両用空調装置1は、蒸発器15における凝縮水の蒸発に関して、蒸発器15を取り巻く環境を高い精度で示す基準値Svを用いて、圧縮機11の作動の継続及び停止に関する判断を状況に応じて適切に行うことができる。これにより、車両用空調装置1は、臭気による乗員の快適性の低下を軽減させつつ、高い省動力効果を発揮することができ、特に、蒸発器15による送風空気の冷却が不要になった場合に有効に作用する。
又、図4のステップS28に示すように、補正係数αは、蒸発器15を通過する送風空気の風量が大きいほど小さくなるように決定される。送風空気の風量が小さい場合、蒸発器15における凝縮水が蒸発しにくい状態であり、臭気の発生量が少ないと考えられる。補正係数αの値を送風空気の風量に応じて定めることで、圧縮機11の作動及び停止に関する判断精度を高めることができる。
そして、この場合における目標蒸発器温度TEOは、基準値Svから所定値としての変動余裕代βを減算した値として用いされる。これにより、外乱等による蒸発器15の温度変動が起こった場合であっても、蒸発器15の温度を低く維持しておくことができ、想定以上に強い強度の臭気が発生することを防止することができる。
図4に示すように、吸込口モードが全内気モードである場合、上流側湿度Heuは、窓表面湿度センサ58により検出された窓ガラスW近傍の相対湿度を用いて算出される。これにより、全内気モードにおける蒸発器15上流側の相対湿度を精度よく算出することができ、圧縮機11の作動の継続及び停止に関する判断精度を高めることができる。
又、当該車両用空調装置1は、窓ガラスW近傍の相対湿度を用いることで、上述した判断精度に窓ガラスWの曇り易さを反映させることができ、精度のよい防曇を実現することができる。
そして、吸込口モードが全外気モードである場合、上流側湿度Heuとして、無線通信部76によって、ネットワーク網N上のサーバ装置90から取得した外気側相対湿度情報の外気側相対湿度Hoが用いられる。
これにより、当該車両用空調装置1は、車両に搭載されている無線通信部76を用いることで、専用の検出部を配置することなく、全外気モードにおける上流側湿度Heuを取得することができる。従って、車両用空調装置1は、圧縮機11の作動の継続及び停止に関する判断精度を高めると共に、精度のよい防曇を実現することができる。
吸込口モードが内外気二層流モードの場合、第1空気通路31a側における蒸発器15上流側の相対湿度は、無線通信部76によって、ネットワーク網N上のサーバ装置90から取得される。第2空気通路31b側における蒸発器15上流側の相対湿度は、窓表面湿度センサ58により検出された窓ガラスW近傍の相対湿度を用いて算出される。
内外気二層流モードにおける上流側湿度Heuは、第1空気通路31a側の外気側相対湿度Hoと、第2空気通路31b側の内気側相対湿度Hiのうちで小さい方に定められる。即ち、内外気二層流モードにおいて、蒸発器15に付着した凝縮水が蒸発しやすい状況を示し、強い臭気を発生させると推定される方が上流側湿度Heuに決定される。
このように決定することで、当該車両用空調装置1は、内外気二層流モードにおいて、臭気が強く発生すると推定される方を基準とした空調制御を行うことができるので、予想外に強い臭気が発生して、乗員に不快感を与えることを防止することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る車両用空調装置1について、図5を参照しつつ説明する。第2実施形態に係る車両用空調装置1は、上述した第1実施形態に対して、空調制御に関する制御処理の内容を一部変更したものである。
具体的には、第2実施形態では、図3に示すメインルーチンにおけるステップS9の制御処理の内容が第1実施形態と相違している。従って、その他の構成及び制御処理の内容については、第1実施形態と同様である為、その説明を省略する。
第2実施形態に係る車両用空調装置1において、ステップS9に移行すると、図5に示す制御処理が開始される。先ず、ステップS51では、吸込口モードが全内気モードであるか否かが判定される。
吸込口モードが全内気モードである場合には、ステップS52に進み、窓表面湿度センサ58の検出値を用いて、上流側湿度Heuが算出される。このステップS52の処理内容は、第1実施形態におけるステップS22と同様である為、再度の説明を省略する。
一方、吸込口モードが全内気モードではない場合(例えば、全外気モードや内外気二層流モードである場合)、ステップS53に進む。ステップS53では、無線通信部76を介して、車両の現在位置における外気側相対湿度Hoをサーバ装置90から取得して、上流側湿度Heuとして定める。ステップS53の処理内容は、第1実施形態におけるステップS23と同様である為、再度の説明を省略する。
次のステップS54では、ステップS52又はステップS53で取得された上流側湿度Heuを用いて、蒸発開始温度Twbが算出される。ステップS54における蒸発開始温度Twbの算出は、第1実施形態のステップS27と同様に行われる為、再度の説明を省略する。
その後のステップS55~ステップS59における処理内容は、第1実施形態におけるステップS28~ステップS32の処理内容と同様である。従って、ステップS55~ステップS59に関する処理内容の説明は省略する。
これにより、第2実施形態に係るステップS51~ステップS59によれば、第1実施形態と同様に、圧縮機11の作動を継続させるか、圧縮機11の作動を停止させるかの決定を、蒸発器15を取り巻く環境に応じて適切に行うことができる。即ち、当該車両用空調装置1も、凝縮水の蒸発による臭気の発生を抑制しつつ、省動力効果を充分に発揮させることができる。
次のステップS60では、蒸発器15による送風空気の冷却が不要になった場合の目標蒸発器温度TEOが決定される。ステップS61では、目標蒸発器温度TEOは、ステップS56で算出した基準値Svから予め定められた変動余裕代βを減算して算出される。
そして、第2実施形態に係る車両用空調装置1において、圧縮機11の作動が継続される場合(即ち、オン設定)、目標蒸発器温度TEOに基づいて、圧縮機11の冷媒吐出能力が決定される。当該車両用空調装置1では、目標蒸発器温度TEOに冷媒蒸発温度TEを近づけるように、圧縮機11の回転数が決定され、ステップS10に進む。
従って、第2実施形態では、目標蒸発器温度TEOとして、基準値Svから変動余裕代βを減算した値を用いられる為、外乱等の影響によって蒸発器15に温度変動が生じた場合であっても、想定以上に強い強度の臭気が発生することを防止することができる。
上述したように、第2実施形態に係る車両用空調装置1においては、吸込口モードが全内気モードではない場合には、サーバ装置90から外気側相対湿度情報を取得して、上流側湿度Heuとする。つまり、吸込口モードが内外気二層流モードである場合も、サーバ装置90から取得した外気側相対湿度情報の外気側相対湿度Hoにより、上流側湿度Heuが特定される。
この点、内外気二層流モードにおいて、第1空気通路31aには外気が導入され、第1空気通路31aには、吹出口としてフェイス吹出口24が配置されている。即ち、内外気二層流モードにおいては、第1空気通路31aを通過した外気が、フェイス吹出口24から車室の上部に位置する乗員の上半身(例えば、頭部)へ吹き出される。この為、内外気二層流モードでは、乗員は、第1空気通路31a側において、凝縮水の蒸発にて発生した臭気を感じやすい。
従って、第2実施形態に係る車両用空調装置1によれば、第1空気通路31a側の流れる外気に関する外気側相対湿度Hoを上流側湿度Heuとして用いることで、第1空気通路31a側の状況を基準として、圧縮機11の作動の継続及び停止を判断できる。即ち、当該車両用空調装置1は、臭気による乗員の快適性の低下を軽減させつつ、高い省動力効果を発揮することができる。
尚、第2実施形態において、ステップS51~ステップS53を実行する際の空調制御装置50は上流側湿度取得部50aとして機能している。又、ステップS54を実行する際の空調制御装置50は蒸発開始温度決定部50bとして機能している。そして、ステップS55~ステップS56を実行する際の空調制御装置50は基準値決定部50cとして機能している。又、ステップS57~ステップS60を実行する際の空調制御装置50は圧縮機制御部50dとして機能している。
以上説明したように、第2実施形態に係る車両用空調装置1によれば、ステップS9の制御内容を変更した場合であっても、第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
第2実施形態に係る車両用空調装置1は、内外気二層流モードにおける上流側湿度Heuとして、乗員の上半身に向かって供給される第1空気通路31aを流れる外気の外気側相対湿度Hoを用いる。
これにより、当該車両用空調装置1は、内外気二層流モードにおいて、乗員が臭気を感じやすい側の状況を基準として、圧縮機11の作動の継続及び停止に関する判断を行うことができる。従って、当該車両用空調装置1は、臭気による乗員の快適性の低下を軽減させつつ、高い省動力効果を発揮することができる。
(他の実施形態)
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した各実施形態を適宜組み合わせても良いし、上述した実施形態を種々変形することも可能である。
(1)上述した実施形態では、ヒータコア36は、エンジン冷却水を熱源として蒸発器15通過後の送風空気を加熱する構成であったがこの態様に限定されるものではない。例えば、冷凍サイクル装置10を、外気から熱を汲み上げるヒートポンプ装置として構成して、ヒータコア36にて、冷凍サイクル装置10が外気から汲み上げた熱を利用して蒸発器15通過後の送風空気を加熱してもよい。
又、送風空気を加熱する為の構成は、ヒータコア36とPTCヒータ37に限定されるものではなく、他の加熱装置を採用することができる。この加熱装置の熱源として、当該車両の車載機器の廃熱を利用しても良い。
(2)上述した実施形態では、室内空調ユニット30のケーシング31に第1空気通路31a及び第2空気通路31bが形成されており、内外気混入モードと内外気二層流モードとを切り替え可能になっているが、この態様に限定されるものではない。例えば、ケーシング31内の空気通路が仕切られておらず、内外気二層流モードが設定されない室内空調ユニットにおいても同様の作用効果を奏することができる。
(3)上述した実施形態では、ハイブリッド車両の車両走行用の駆動力について詳細を述べていないが、パラレル型のハイブリッド車両に車両用空調装置1を適用してもよい。パラレル型のハイブリッド車両とは、エンジンEG及び走行用電動モータの双方から直接駆動力を得て走行可能なハイブリッド車両を意味する。
又、シリアル型のハイブリッド車両に車両用空調装置1を適用してもよい。シリアル型のハイブリッド車両とは、エンジンEGを発電機80の駆動源として用い、発電された電力をバッテリ81に蓄え、バッテリ81に蓄えられた電力が供給されることで作動する走行用電動モータから駆動力を得て走行するハイブリッド車両を意味する。
(4)上述した実施形態においては、無線通信部76によりサーバ装置90から、車両の現在位置における外気側相対湿度情報(即ち、外気側相対湿度Ho)を取得して、上流側湿度Heuとして用いたが、この態様に限定されるものではない。例えば、車両の現在位置における外気の相対湿度を検出する為の外気湿度センサを配置した構成とすることも可能である。
(5)そして、上述した実施形態においては、全内気モードにおける上流側湿度Heuの算出や内外気二層流モードにおける内気側相対湿度Hiの算出の際に、窓近傍相対湿度を用いていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、窓表面湿度センサ58で検出された窓表面相対湿度RHWを用いて、上述した場合における上流側湿度Heuや内気側相対湿度Hiを算出してもよい。
(6)又、上述した実施形態においては、全内気モード、全外気モード、内外気二層流モードについて説明したが、内外気混入モードにおいて、上流側湿度Heuを取得して圧縮機11の作動の継続及び停止に関する判断を行うように構成しても良い。
この場合、内外気混入モードにおける上流側湿度Heuは、例えば、内気側相対湿度Hi、外気側相対湿度Ho、第1空気通路31a及び第2空気通路31bに対する内気及び外気の導入比率を用いて算出することができる。内気側相対湿度Hi、外気側相対湿度Hoについては、ステップS24、ステップS25と同様の手法で取得しても良い。