JP2023034420A - ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物、および成形品 - Google Patents

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Soichiro Iwahana
英伸 高尾
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Abstract

【課題】優れた機械特性と成形加工性を有するポリアリールエーテルケトン樹脂組成物、および成形品を提供すること。【解決手段】(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂100質量部と(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物0.010質量部以上0.10質量部以下からなるポリアリールエーテルケトン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明はポリアリールエーテルケトン樹脂組成物、および成形品に関する。より詳しくは、ポリアリールエーテルケトン樹脂と一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物からなるポリアリールエーテルケトン樹脂組成物、およびその成形品に関するものである。
ポリアリールエーテルケトンは耐熱性、耐薬品性、難燃性、摺動性および摩擦磨耗特性などの優れた性質を有する代表的なスーパーエンジニアリングプラスチックの1つである。その優れた物性のため、機械部品、自動車部品、航空部品、電気・電子部品等に幅広く応用され、使用条件が極めて厳しい分野の用途や金属代替の材料としての需要が拡大しており、さらに機械特性を向上させる研究が活発化している。
例えば、ポリアリールエーテルケトンの疲労特性を改良する手段として、非特許文献1にはアミン化合物を配合したポリアリールエーテルケトン樹脂組成物が開示されている。
また、ポリアリールエーテルケトンの機械特性を改良する手段として、特許文献1には、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリ(エーテルケトン)、又はポリ(エーテルケトンエーテルケトンケトン)から選択されるポリマーと、ポリ(エーテルケトンケトン)とを含む樹脂組成物が開示されている。
Polymer,51,1914-1920(2010)
国際公開第2016/062558号
非特許文献1において提案されている方法では、アミン化合物を多量に使用し、機械特性、とりわけ靭性の改良が十分ではなく、また、流動性(成形加工性)が低いという課題がある。
特許文献1において提案されている方法では、ポリ(エーテルケトンケトン)と、ポリ(エーテルエーテルケトン)やポリ(エーテルケトン)などのポリアリールエーテルケトンが非相溶であるため、機械特性、とりわけ、靭性の改良が十分ではなかった。
本発明は、前述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものである。本発明は以下の構成を有する。
[1](A)ポリアリールエーテルケトン樹脂100質量部と(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物0.010質量部以上0.10質量部以下からなるポリアリールエーテルケトン樹脂組成物。
[2]当該(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂が(A1)ポリエーテルケトンケトン樹脂5質量部以上95質量部以下と(A2)ケトン比率が50%以下のポリアリールエーテルケトン樹脂5質量部以上95質量部以下からなる[1]に記載のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物。
[3]当該(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物が、300℃で1気圧未満の蒸気圧を有する[1]または[2]に記載のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物。
[4](A)ポリアリールエーテルケトン樹脂100質量部あたり、10質量部以上400質量部以下の(C)繊維状充填材をさらに含む[1]~[3]のいずれかに記載のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物が成形されてなる成形品。
本発明によれば、優れた機械特性と成形加工性を有するポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を得ることができる。本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を成形して得られる成形品は、例えば、電機・電子機器部品、自動車部品、航空機部品、機械部品として使用することができる。
本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物は、(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂100質量部と(B)一級アミノ基を2個以上有する化合物0.010質量部以上0.10質量部以下からなる。以下に、本発明実施の好ましい形態を説明する。
(1)(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂
本発明で用いられる(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂は、アリール基をエーテル基およびケトン基で結合した反復単位を有する熱可塑性樹脂であれば特に制限されないが、下記一般式(I)の2種類の単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2023034420000001
(ここで、ArおよびArは各々アリール基を表し、ArおよびArは同一でも異なっていてもよく、ArおよびArは1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、4,4’-ビフェニレン、1,4-ビス(4-フェノキシベンゾイル)フェニレン、1,4-ナフチレン、1,5-ナフチレンおよび2,6-ナフチレンまたはアントラセニレン単位から好ましく選択できる。Xは電子求引性基を表し、カルボニル基またはスルホニル基から好ましく選択できる。Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基(例えば-CH-)、イソプロピリデン、およびヘキサフルオロイソプロピリデンのいずれかである。)
これらの単位で、X基の少なくとも50%はカルボニル基であり、より好ましくは70%以上である。また、好ましくはY基の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%は酸素原子である。
ポリアリールエーテルケトン樹脂としては、下記式(II)の単位および/または下記式(III)から(V)を有するポリエーテルエーテルケトン、下記式(VI)の単位を有するポリエーテルケトン、下記式(VII)の単位および/または式(VIII)の単位を有する(A1)ポリエーテルケトンケトン、下記式(IX)の単位から成るポリエーテルエーテルケトンケトンなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して使用することもできる。
Figure 2023034420000002
ポリアリールエーテルケトンとしては特に限定されるものではないが、例えば、ダイセル・エボニック(株)製“ベスタキープ(登録商標)”、ビクトレックス・ジャパン(株)製“VICTREX(登録商標)”、アルケマ(株)製“KEPSTAN(登録商標)”、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン(株)製“アバスパイア(登録商標)”、“キータスパイア(登録商標)”、“NovaSpire(登録商標)”などとして上市されているものを入手して用いることもできる。
また、(A2)ケトン比率が50%以下のポリアリールエーテルケトン樹脂とは、上記式(I)であらわされるXとYの合計に対するケトン基の比率が50%以下のポリアリールエーテルケトン樹脂を表す。例えば、上記式(II)の単位を有するポリエーテルエーテルケトンのケトン比率は33%であり、上記式(IX)の単位から成るポリエーテルエーテルケトンケトンのケトン比率は50%である。
(2)(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物
本発明で用いられる(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物(以下、単に「(B)アミン化合物」と記載する場合がある)としては、一級アミノ基を2個以上有していれば特に限定されるものではないが、流動性と靭性維持の観点から、一級アミノ基の数は2個以上10個以下が好ましく、より好ましくは2個以上6個以下である。一級アミノ基を1個有する、または有しないアミン化合物では、ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の機械特性を向上させることができない。一級アミノ基を11個以上有するアミン化合物では、ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の靭性の向上効果および成形加工性が低下することがある。
また、ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を(A)ポリアリールエーテルケトンの融点以上の温度で加熱する際に揮発しないアミン化合物が好ましいため、300℃で1気圧未満の蒸気圧を有するアミン化合物が好ましい。好ましくは325℃、さらに好ましくは350℃で1気圧未満の蒸気圧を有するアミン化合物である。本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の溶融混合および成形する際に、アミン化合物がポリアリールエーテルケトン樹脂組成物中にどれだけ保持されるかはその揮発性によって決まり、300℃で1気圧以上の蒸気圧を有するアミン化合物は揮発性が高く、樹脂組成物中に十分に保持されないことがある。アミン化合物の種類によっては昇華し、真の沸点を示さないので、揮発性の限界は沸点の限界ではなく蒸気圧の限界として表した。また、沸点を示す化合物については、揮発性の限界は1気圧で300℃を超える沸点として表すことができる。
好ましい(B)アミン化合物としては、例えば、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,13-ジアミノトリデカン、1,14-ジアミノテトラデカン、1,15-ジアミノペンタデカン、1,16-ジアミノヘキサデカン、1,17-ジアミノヘプタデカン、1,18-ジアミノオクタデカンなどの脂肪族アミン、2,2’-ビフェニルジアミン、4,4’-ビフェニルジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、メタ-トリジン、オルト-トリジン、3,3’-ジアミノベンジジンなどの芳香族アミン化合物などが挙げられる。中でもポリアリールエーテルケトン樹脂組成物中に保持されやすい観点から、芳香族アミン化合物が特に好ましい。
本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物に(B)アミン化合物を用いると、(B)アミン化合物のアミノ基が(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂のケトン基に結合することで架橋構造を形成し、より機械特性に優れるポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を得ることができる。
(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂が(A1)ポリエーテルケトンケトン樹脂と、(A2)ケトン比率が50%以下のポリアリールエーテルケトン樹脂からなる場合、(A1)ポリエーテルケトンケトン樹脂の離型性不良と、(A2)ケトン比率が50%以下のポリアリールエーテルケトン樹脂の靭性不良を互いに補完することができるが、両者は非相溶であるため、靭性改善効果が十分ではなかった。そこで、(B)アミン化合物を用いることで、これらの樹脂が(B)アミン化合物を介して結合し、それにより、(A1)ポリエーテルケトンケトン樹脂と、(A2)ケトン比率が50%以下のポリアリールエーテルケトン樹脂の相溶性が向上し、微分散するため、機械特性、とりわけ靭性を大きく向上させたポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を得ることができる。
ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物に用いる(B)アミン化合物量は、(A)ポリアリールエーテルケトン100質量部に対して、0.010質量部以上0.10質量部以下であり、0.020質量部以上0.09質量部以下が好ましく、0.025質量部以上0.08質量部以下がより好ましい。(B)アミン化合物量が0.010質量部未満の場合、高い靱性を得ることが難しく、0.10質量部を超える場合、(A)ポリアリールエーテルケトンが過度に架橋されるため流動性、成形加工性が低下する。
(B)アミン化合物量の測定方法としては、例えば、窒素分析を利用する方法が挙げられる。すなわち、ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物中の窒素量の分析を行い、(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂が窒素原子を含むモノマーを含む場合は、モノマーに由来する窒素原子分を除することで、ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物中の(B)アミン化合物量を測定することができる。
また(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂の測定方法としては、例えばポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を、(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂が溶解する溶媒、例えば硫酸等に溶解し、不溶分をろ過し、溶解分を貧溶媒で沈殿・回収する。回収物である(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂が溶解する溶媒として、例えばクロロホルムとジクロロ酢酸の混合溶媒やクロロフェノールとハロゲン化ベンゼン類の混合溶媒などを用いて、高速液体クロマトグラフィーなどの定性定量分析で測定することができる。
(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂が(A1)ポリエーテルケトンケトン樹脂と、(A2)ケトン比率が50%以下のポリアリールエーテルケトン樹脂からなる場合、その成形品において、含有量の多い樹脂成分が海相、含有量の少ない成分が島相を形成しており、島相の粒子径が10nm以上1000nm以下の構造を有することが好ましい。より好ましくは10nm以上500nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上300nm以下である。ここでいう粒子径とは、ISO527-1A規格の厚さ4mmのダンベルの中心部から厚み80nmの薄片を成形品の断面積方向に切削し、透過型電子顕微鏡で任意の100個の粒子を観察し、下記の式(1)から各粒子の粒子径を算出し、その平均値を求めたものである。なお、最大径とは、粒子画像の重心を通り粒子の輪郭線を構成する任意の2点間の直線距離の最大値であり、最小径とは、粒子画像の重心を通り、粒子の輪郭線を構成する任意の2点間の直線距離の最小値である。
粒子径=(最大径+最小径)/2・・・(1)。
(3)(C)繊維状充填材
本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の機械特性をさらに向上させる目的で、繊維状充填材を用いることもできる。
繊維状充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、木綿、麻繊維、ケナフ繊維、竹繊維、レーヨン、スチール繊維、アルミニウム繊維などを挙げることができる。またこれら繊維状充填材の形状は、連続繊維やチョップドストランドのような短繊維やウィスカーの形状を挙げることができる。
ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物中の繊維状充填材の含有量は、(A)ポリアリールエーテルケトン100質量部に対して、10質量部以上400質量部以下が好ましい。10質量部以上であればポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の機械特性を向上させることができ、400質量部以下であれば成形加工性を維持でき、好ましい。
繊維状充填材含有量の測定方法としては、例えば下記のように測定できる。ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を、(A)ポリアリールエーテルケトンと(B)アミン化合物がそれぞれ溶解する溶媒を用いて溶解し、不溶分をろ過し、ろ過物として(C)繊維状充填材を回収し、洗浄後重量を測定する。
また本発明では、連続した(C)繊維状充填材に、または不連続の(C)繊維状充填材が分散した強化繊維基材に、上述の(A)ポリアリールエーテルケトンと(B)アミン化合物からなるポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を含浸させてなる繊維強化樹脂基材としての形態も好適に用いることができる。
繊維強化樹脂基材としては、例として以下2つの態様を挙げることができる。第一の態様は、連続した(C)繊維状充填材にポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を含浸させてなる繊維強化樹脂基材であり、第二の態様は不連続の(C)繊維状充填材が分散した強化繊維基材に、ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を含浸させてなる繊維強化樹脂基材である。
また、本発明の繊維強化樹脂基材は、その用法や目的に応じて、所望の含浸性を選択することができる。例えば、より含浸性を高めたプリプレグや、半含浸のセミプレグ、含浸性の低いファブリックなどが挙げられる。一般的に、含浸性の高い成形材料ほど、短時間の成形で力学特性に優れる成形品が得られるため好ましい。
(4)本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の製造法
本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂と(B)アミン化合物をそれぞれドライブレンドし、押出機メインフィーダーより供給し、必要に応じて(C)繊維状充填材を押出機のサイドフィーダーより供給し、(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂の融点以上の温度で溶融混練する方法が好ましく挙げることができる。なお、融点は、例えば、示差走査熱量計を用いて測定することができる。
(5)本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の成形方法
本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形などの成形品、シート、フィルムなどの成形物品とすることができる。
また、ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を含浸させてなる繊維強化樹脂基材を任意の構成で積層した材料に対して、加熱加圧するプレス成形法、オートクレーブ内に投入して加熱加圧するオートクレーブ成形法、フィルムなどで包み込み内部を減圧にして大気圧で加圧しながらオーブン中で加熱するバッギング成形法、張力をかけながらテープを巻き付け、オーブン内で加熱するラッピングテープ法などが挙げられる。
本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物は、所望に応じて、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの繊維状充填材以外の無機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色剤などを添加することもできる。
本発明の樹脂組成物から得られる成形品は、電子部品用途、電気機器部品用途、家庭、事務電気製品部品用途、機械関連部品用途、光学機器、精密機械関連部品用途、自動車・車両関連部品用途、各種航空・宇宙用途等々に適用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。各実施例および比較例において用いた化合物を以下に示す。
<(A)ポリアリールエーテルケトン>
・ポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEKとも表記する。Victrex社製“Victrex(登録商標)”151G、ガラス転移温度:151℃、融点:346℃、溶融粘度440Pa・s)
・ポリエーテルケトンケトン(以下、PEKKとも表記する。アルケマ社製“KEPSTAN(登録商標)”7002、ガラス転移温度:157℃、融点:338℃、溶融粘度700Pa・s)。
なお、溶融粘度は、東洋精機製作所(株)製キャピログラフ1Cを用いて、L=5mm、D=0.5mmのキャピラリーを使用し、380℃で5分加熱後、100sec-1のせん断速度で測定した際の値である。
<(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物(以下アミン化合物Iとも表記する。>
・4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業(株)製、300℃での蒸気圧:0.02気圧)。
<一級アミノ基を1個有するアミン化合物(以下、アミン化合物IIとも表記する。)>
・4-フェノキシアニリン(東京化成工業(株)製、300℃での蒸気圧:0.02気圧)。
<二級アミノ基を2個有するアミン化合物(以下、アミン化合物IIIとも表記する。)>
・N,N’-ジ-p-トリルベンジジン(東京化成工業(株)製)。
<(C)繊維状充填材>
・炭素繊維“トレカ(登録商標)”カットファイバーTV14-006(東レ株式会社製。以下、CFとも表記する。)。
<ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の製造方法>
各実施例および比較例に用いられる原料のうち、CFを除く原料を表1、2または3に示す組成でドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製TEX30α)のメインフィーダーより供給し、シリンダー温度370℃、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練を行った。ダイから吐出されるガットを即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した後、160℃で12時間真空乾燥を行い、ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物のペレットを得た。
なお、CFを含むポリアリールエーテルケトン樹脂組成物を製造する場合は、CFをサイドフィーダー(スクリューの全長を1.0としたときの上流側からみて0.35の位置に設置されたもの)より供給して溶融混錬を行った。
<ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の評価方法>
ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の評価方法を説明する。評価n数は、特に断らない限り、n=3とし平均値を求めた。
(1)引張特性(引張破断伸度測定)
上記<ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の製造方法>で得たポリアリールエーテルケトン樹脂組成物のペレットを、射出成形機(住友重機社製SE75DUZ-C250)を用い、シリンダー温度380℃、金型温度160℃とする条件にて、射出速度40mm/秒、冷却時間25秒の成形条件(CFを含むポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の場合は射出速度60mm/秒、冷却時間15秒の成形条件)でISO527-1A規格で厚さ4mmのダンベルを射出成形した。得られたダンベル3個について、ISO527-1,2に準拠して引張試験を行った。引張試験条件は下記の通り。
装置:万能力学試験機(島津製作所社製オートグラフAG-20kNX)
雰囲気:23℃×50%RH
チャック間距離:115mm
標線間距離:75mm
引張速度:50mm/分。
(2)島相の粒子径(実施例7~12、比較例7~10)
上記<ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の製造方法>で得たポリアリールエーテルケトン樹脂組成物のペレットを、射出成形機(住友重機社製SE75DUZ-C250)を用いて、シリンダー温度380℃、金型温度160℃の条件で、ISO527-1A規格で厚さ4mmのダンベルを射出成形し、その成形品の中心部から厚み80nmの薄片を成形品の断面積方向に切削し、透過型電子顕微鏡で観察した。得られた画像から島相の粒子100個について画像処理ソフト「Scion Image」(Scion Corporation社製)を用いて、各々の粒子の最大径と最小径を測定して下記式(1)から粒子径を求め、粒子100個の粒子径の平均値を求めた。
粒子径=(最大径+最小径)/2・・・(1)。
(3)離型性の評価
上記<ポリアリールエーテルケトン樹脂組成物の製造方法>で得たポリアリールエーテルケトン樹脂組成物のペレットを、射出成形機(住友重機社製SE75DUZ-C250)を用い、シリンダー温度380℃、金型温度160℃とする条件にて、射出速度40mm/秒、冷却時間25秒の成形条件で、80mm×80mm×厚み3mmの角板成形品を射出成形した。
上記の条件で50回射出成形したうち、50回すべてエジェクタピンで金型から成形品が離型した場合を離型性〇とし、1回でも離型していない場合(例えば金型中に成形品が残存する等が生じた場合)は、離型性×とした。
(4)成形可否の評価
上記(1)引張特性の項にて記載の射出成形条件で射出成形を行った場合に、射出成形可能であった場合を成形可否〇、射出成形が出来なかった場合(例えば、樹脂組成物が高粘度のため、金型への充填が出来ない場合など)を成形可否×とした。
Figure 2023034420000003
Figure 2023034420000004
Figure 2023034420000005
実施例1~3と比較例1、および実施例4~6と比較例2の比較から、(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂に、0.01質量部以上0.1質量部以下の(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物を配合することで、機械特性が向上することがわかる。
比較例3および6より、(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物の配合量が0.1質量部を超えると、射出成形が出来なかった。
実施例5と、比較例4および比較例5の比較から、(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物を配合することで、機械特性が向上する効果を奏することがわかる。
実施例7~9と比較例7、あるいは実施例10~12と比較例9の比較から、PEKKとPEEK(ケトン比率33%)からなるポリアリールエーテルケトン樹脂組成物においても0.01質量部以上0.1質量部以下の一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物を配合することで、機械特性が向上することがわかる。さらに、一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物を配合することで、微分散化できていることが確認できる。
また、実施例1~3(PEKK単体)と、実施例7~12(PEEK配合)を比較することで、離型性が改善することがわかる。
また、実施例13と比較例11を比較することで、繊維状充填剤を含有する場合でも、一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物を配合することで、機械特性が向上することがわかる。
本発明のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物は、通常公知の射出成形、圧縮成形、押出成形などの任意の方法で成形することができ、機械特性、成形加工性に優れる点を活かし、各種電気電子部品、自動車部品、航空機部品などに加工することが可能である。

Claims (5)

  1. (A)ポリアリールエーテルケトン樹脂100質量部と(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物0.010質量部以上0.10質量部以下からなるポリアリールエーテルケトン樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリアリールエーテルケトン樹脂が(A1)ポリエーテルケトンケトン樹脂5質量部以上95質量部以下と(A2)ケトン比率が50%以下のポリアリールエーテルケトン樹脂5質量部以上95質量部以下からなる請求項1に記載のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物。
  3. 前記(B)一級アミノ基を2個以上有するアミン化合物が、300℃で1気圧未満の蒸気圧を有する、請求項1または2に記載のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物。
  4. (A)ポリアリールエーテルケトン樹脂100質量部あたり、10質量部以上400質量部以下の(C)繊維状充填材をさらに含む請求項1~3のいずれかに記載のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のポリアリールエーテルケトン樹脂組成物が成形されてなる成形品。
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