JP2023033946A - 信号伝送デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】より的確に上部電極の端部での電界集中を緩和して、耐圧向上を図る。【解決手段】半導体基板10と、半導体基板の上に形成された絶縁膜20と、絶縁膜を介して半導体基板の上に形成された下部電極30と、絶縁膜を介して下部電極に対向して配置され、下部電極と共にキャパシタを構成する上部電極40と、を備える。さらに、絶縁膜内に配置され、下部電極と上部電極の積層方向を高さ方向として、下部電極の高さと上部電極の高さの中間高さの位置に配置され、フロート電位とされるフロート導電体50を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、キャパシタカプラを有する信号伝送デバイスに関するものである。
高電圧回路と低電圧回路との間を電気的に絶縁して切り離しつつ、この間で信号の伝送を行うキャパシタカプラを有する信号伝送デバイスが知られている。例えば、特許文献1に、絶縁膜を介して低電圧側の下部電極と高電圧側の上部電極とにより構成されたキャパシタカプラを備える信号伝送デバイスが提案されている。この信号伝送デバイスでは、上部電極と同じ高さの位置に金属結束リングが備えられ、上部電極に沿った表面場をより均一にできるようにしている。
キャパシタカプラを有する信号伝送デバイスを高電圧駆動のモータ等の制御を行うパワースイッチング素子のオンオフ制御に用いる場合、上部電極と下部電極との間に1kVrmsの高電界が印加される。高電界が印加されると、高電圧側の上部電極の端部に電界集中が発生し、耐圧低下の起点になる。上記した特許文献1のように、上部電極と同じ高さの位置に金属結束リングを備えた場合では、上部電極に沿った表面場をより均一にできるものの、上部電極の端部での電界集中を十分に緩和できない。
本発明は上記点に鑑みて、より的確に上部電極の端部での電界集中を緩和して、耐圧向上を図れる構造のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイスは、半導体基板(10)と、半導体基板の上に形成された絶縁膜(20)と、絶縁膜を介して半導体基板の上に形成された下部電極(30)と、絶縁膜を介して下部電極に対向して配置され、下部電極と共にキャパシタを構成する上部電極(40)と、絶縁膜内に配置され、下部電極と上部電極の積層方向を高さ方向として、下部電極の高さと上部電極の高さの中間高さの位置に配置され、フロート電位とされるフロート導電体(50)と、を有している。
このように、フロート導電体を下部電極と上部電極の中間に配置すると、フロート導電体側へ電界が分散し、上部電極の端部への電界集中が緩和される。したがって、より的確に上部電極の端部での電界集中を緩和して、耐圧向上を図れる構造のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイスとすることが可能となる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。本実施形態で説明するキャパシタカプラを有する信号伝送デバイスは、例えばモータ等の駆動に用いるパワースイッチング素子の制御に用いられ、低電圧側及び高電圧側の制御回路と共にキャパシタカプラを1チップに集積して構成される。例えば、低電圧側の制御回路やキャパシタカプラなどを形成したチップと、高電圧側の制御回路やキャパシタカプラおよびパワースイッチング素子の駆動回路などを形成したチップとが、別チップとして備えられる。そして、低電圧側のチップと高電圧側のチップの互いのキャパシタカプラ同士が接続されており、低電圧側の制御回路から信号出力が行われると、互いのキャパシタカプラを通じて信号伝送が行われる。これに基づき、高電圧側のチップに備えられた駆動回路を通じてパワースイッチング素子が駆動されるようになっている。なお、以下の説明では、低電圧側のチップに形成されたキャパシタカプラを例に挙げて説明するが、高電圧側のキャパシタカプラについても低電圧側のキャパシタカプラと同様の構造とすることができる。
第1実施形態について説明する。本実施形態で説明するキャパシタカプラを有する信号伝送デバイスは、例えばモータ等の駆動に用いるパワースイッチング素子の制御に用いられ、低電圧側及び高電圧側の制御回路と共にキャパシタカプラを1チップに集積して構成される。例えば、低電圧側の制御回路やキャパシタカプラなどを形成したチップと、高電圧側の制御回路やキャパシタカプラおよびパワースイッチング素子の駆動回路などを形成したチップとが、別チップとして備えられる。そして、低電圧側のチップと高電圧側のチップの互いのキャパシタカプラ同士が接続されており、低電圧側の制御回路から信号出力が行われると、互いのキャパシタカプラを通じて信号伝送が行われる。これに基づき、高電圧側のチップに備えられた駆動回路を通じてパワースイッチング素子が駆動されるようになっている。なお、以下の説明では、低電圧側のチップに形成されたキャパシタカプラを例に挙げて説明するが、高電圧側のキャパシタカプラについても低電圧側のキャパシタカプラと同様の構造とすることができる。
図1に示すように、信号伝送デバイスは、半導体基板10の上に、絶縁膜20を介して下部電極30や上部電極40が形成され、さらに絶縁膜20における下部電極30と上部電極40との間にフロート導電体50を備えた構成とされている。
半導体基板10は、例えばシリコン基板などによって構成されており、制御回路を構成する周辺素子、例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やMOSFETなどが作り込まれている。制御回路は、低電圧の基準電圧、具体的には接地電位(以下、GNDという)を基準として駆動され、高電圧側の駆動対象、例えばパワースイッチング素子やその駆動回路を制御するための回路である。ここでは制御回路の詳細については図示しないが、半導体基板10に対して半導体製造プロセスを行うことで周辺素子が作り込まれており、絶縁膜20内に周辺素子に繋がる配線部がパターニングされて、集積回路とされている。
絶縁膜20は、半導体基板10の表面に形成された第1膜21と、下部電極30の表面を覆いつつ第1膜21の表面に形成された第2膜22と、フロート導電体50の表面および第2膜22の表面に形成された第3膜23とを有した構成とされている。第1膜21~第3膜23は、同じ材質の絶縁材料で構成されているが、異なる材質で構成されていても良い。ここでは、第1膜21~第3膜23をTEOS(テトラエトキシシラン)によって構成している。
第1膜21~第3膜23の膜厚については任意であるが、第2膜22と第3膜23については、フロート導電体50の位置および下部電極30と上部電極40との間の距離を設定する上で膜厚が決められる。
第2膜22および第3膜23の合計膜厚により、下部電極30と上部電極40とにより構成されるキャパシタの容量値が決まるため、必要な容量値に応じて第2膜22および第3膜23の膜厚が決められる。例えば、下部電極30と上部電極40との間の間隔が4~10μm、好ましくは5~8μmとなるように第2膜22および第3膜23の膜厚を設定している。第2膜22の膜厚は、フロート導電体50の位置、つまり下部電極30と上部電極40の積層方向を高さ方向とする形成高さを決めることになる。フロート導電体50の形成位置については後述するが、下部電極30よりも上に位置し、かつ、上部電極40よりも下に位置するように、第2膜22の膜厚を設定している。
下部電極30は、キャパシタカプラを構成するキャパシタの一方の電極である。下部電極30は、第1膜21の上に形成されており、同様に第1膜21の上に形成された図2に示す引出配線31を通じて制御回路における所望部位と電気的に接続されている。この下部電極30に対して制御回路から信号出力が行われることで、上部電極40との間において信号伝送を行う。下部電極30は、低電圧の基準電圧に基づいて作動する制御回路からの制御信号が伝えられることから、低電圧が印加されることになる。
下部電極30は、図2および図3に示すように、例えば各角部が丸められた一辺が50~600μmの四角形状で構成されており、0.2~1μmの厚みで構成されている。下部電極30の構成材料については、電極材料とされる金属であればどのようなものであっても良いが、例えばAl(アルミニウム)、W(タングステン)、Cu(銅)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)などを用いることができる。
上部電極40は、図2および図3に示すように、例えば各角部が丸められた一辺が50~600μmの四角形状で構成されており、下部電極30よりも厚く、例えば3~5μmの厚みで構成されている。上部電極40は、第2膜22および第3膜23を介して下部電極30の上に形成されている。上部電極40は、下部電極30と対向して配置されており、本実施形態では、図2に示す上面視の寸法、つまり平面方向の寸法について、上部電極40が下部電極30よりも小さくされている。
上部電極40が構成する四角形の各辺と下部電極30が構成する四角形の各辺とが平行に配置され、かつ、上部電極40の中心位置と下部電極30の中心位置が一致していると好ましい。ただし、上部電極40が構成する四角形の各辺と下部電極30が構成する四角形の各辺とが平行に配置されていなくても良い。また、上部電極40の上面に対する法線方向から見て、上部電極40が下部電極30の内側に位置していれば、上部電極40の中心位置と下部電極30の中心位置が一致していなくても良い。上部電極40の構成材料についても、電極材料とされる金属であればどのようなものであっても良いが、例えばAl、W、Cu、Ti、Taなどを用いることができる。上部電極40と下部電極30の構成材料については、同材料であっても、異なる材料であっても良い。
なお、上部電極40の表面に図示しないワイヤボンディングがなされることで、上部電極40が外部に備えられるパワースイッチング素子の駆動回路が備えられたチップと電気的に接続されている。そして、上部電極50は、低電圧回路領域20が基準とする低電圧よりも高電圧の基準電圧で作動する駆動回路などに接続されることになるため、高電圧が印加されることになる。
フロート導電体50は、絶縁膜20内に配置され、下部電極30や上部電極40から電気的に絶縁分離されており、フロート電位とされている。フロート導電体50は、下部電極30と上部電極40の間に、つまり下部電極30の高さと上部電極40の高さの中間高さの位置に配置されている。フロート導電体50は、下部電極30および上部電極40それぞれから離れて形成されていれば良いが、それぞれから所定距離以上離れて形成されているのが好ましい。例えば、フロート導電体50が下部電極30および上部電極40それぞれから5μm以上離れて配置されていると好ましい。
フロート導電体50の厚みについては任意であり、本実施形態では、例えば下部電極30と同程度の厚みとされる。
本実施形態の場合、フロート導電体50は、枠体形状で構成されており、下部電極30と上部電極40のうちのいずれか小さい方よりも外側に配置されている。具体的には、図2に示すように、本実施形態のフロート導電体50は、各角部が丸められた四角形枠体形状とされている。フロート導電体50の幅、つまり半導体基板10の表面方向の寸法については任意である。ここでは、フロート導電体50の内周側の寸法が上部電極40の外周側の寸法より大きくされ、外周側の寸法が下部電極30の外周側の寸法と同一もしくはそれ以上としている。
以上のようにして、下部電極30と上部電極40とによるキャパシタにより構成されたキャパシタカプラを有する信号伝送デバイスが構成されている。このように構成された信号伝送デバイスは、図示しない制御回路から下部電極30に対して制御信号を出力することで、それが上部電極40に伝送され、ボンディングワイヤを通じて外部チップに伝えられる。これにより、制御回路からの制御信号に基づいて、外部チップに備えられた駆動回路がパワースイッチング素子を駆動する。したがって、モータ等を駆動することが可能となる。
このようなキャパシタカプラを有する信号伝送デバイスでは、下部電極30と上部電極40との間に例えば1kVrmsという高電界が印加される。この高電界の印加により、従来のようなフロート導電体50が備えられていない構造においては、高電圧側の上部電極40の端部に電界集中が発生する。図4および図5は、その様子を示す電界Sim解析画像である。これらの図に示されるように、上部電極40の下側の端部、つまり下部電極30側の端部において電界集中が発生していることが判る。このような電界集中が発生すると、絶縁破壊が生じて耐圧低下を引き起こすという課題がある。
そこで、本実施形態では、下部電極30と上部電極40との間にフロート導電体50を備えている。フロート導電体50を備えると、図6に示すように、フロート導電体50が下部電極30と上部電極40の中間電位になることで、フロート導電体50側にも電界が向き、高電圧を印加する上部電極40の端部の電界方向が分散される。このため、上部電極40の端部での最大電界強度を低減することが可能になる。したがって、上部電極40の端部での電界集中が緩和され、電界集中に基づく絶縁破壊を抑制できて、耐圧向上を図ることが可能となる。
ところで、上記したように、特許文献1において、上部電極と同じ高さの位置に金属結束リングを備えた構造が開示されている。しかしながら、上部電極と同じ高さの位置に金属結束リングを備えただけでは、上部電極の端部への電界集中を十分に緩和できない。
本実施形態のように、フロート導電体50を下部電極30と上部電極40の中間に配置すると、フロート導電体50側へ電界が分散し、上部電極40の端部への電界集中が緩和される。これは、フロート導電体50が上部電極40よりも下方位置に配置されているためであり、上部電極40よりも下方位置において電界方向をフロート導電体50側に向けられるためである。フロート導電体50が上部電極40と同じ高さにのみ配置されていると、フロート導電体50側への電界の分散が十分に生じず、上部電極40の端部への電界集中を十分に緩和できない。
したがって、特許文献1のように上部電極と同じ高さの位置に金属結束リングを備えた構造と比較して、本実施形態のように下部電極30と上部電極40との間にフロート導電体50を備えることで、上部電極40の端部への電界集中を緩和できる。よって、より的確に上部電極40の端部での電界集中を緩和して、耐圧向上を図れる構造のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイスとすることが可能となる。
また、本実施形態の信号伝送デバイスによれば、以下の効果を奏することも可能となる。
(1)本実施形態では、上部電極40の厚みを下部電極30よりも厚くしていることから、さらに電界集中による絶縁破壊を抑制できる。
下部電極30と上部電極40との間に電位差を生じさせると、図7に示すように、上部電極40の端部のうち下部電極30側となる下端と、下部電極30と反対側となる上端のそれぞれに電界集中が発生する。上部電極40の厚みが薄いと、この上部電極40の上端および下端での電界集中箇所が近づき、電界集中による絶縁破壊が生じやすくなる。
これに対して、本実施形態では、上部電極40の厚みを下部電極30より厚くして電界集中箇所を分離している。このため、上部電極40の上端と下端において発生する電界集中が重ならないようにでき、電界集中を緩和できるため、さらに電界集中による絶縁破壊を抑制することが可能となる。
(2)本実施形態では、下部電極30と上部電極40それぞれからフロート導電体50を所定距離以上、例えば5μm以上離している。このため、フロート導電体50が下部電極30から近すぎることによってGNDと同化することを抑制できると共に、上部電極40から近すぎることによって電界の分散効果が少なくなることを抑制できる。
なお、フロート導電体50と下部電極30や上部電極40との距離については、上部電極40の端部の電界集中の緩和効果が得られれば任意であるが、30μm以下にすると好ましい。フロート導電体50が下部電極30や上部電極40から遠すぎても、フロート導電体50に電界を向ける効果が薄れる。このため、フロート導電体50側へ電界が向いて、上部電極40の端部への電界集中の緩和効果が得られるように、フロート導電体50と下部電極30や上部電極40との距離を30μm以下とすると良い。
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態では、下部電極30と上部電極40との中間高さに1つのフロート導電体50を配置したが、フロート導電体50については1つに限らないし、配置場所についても上記した場所に限らない。
上記第1実施形態では、下部電極30と上部電極40との中間高さに1つのフロート導電体50を配置したが、フロート導電体50については1つに限らないし、配置場所についても上記した場所に限らない。
(a)例えば、下部電極30よりも上部電極40が小さい構造の場合、図8Aに示す位置、つまり上部電極40の外側位置にフロート導電体50を配置することができる。その場合、少なくとも下部電極30と上部電極40との中間位置にある第1導電体51と下部電極30および上部電極40の外側に位置する第2導電体52の一方を有していれば良く、上記した第1実施形態は、図8A中の第1導電体51を備えた場合を示している。また、第1導電体51と第2導電体52を共に備えていても良いし、いずれか一方もしくは両方と、上部電極40と同じ高さの第3導電体53と第4導電体54のいずれか一方もしくは両方が備えられた構成とすることもできる。つまり、フロート導電体50を複数個備えた構造とすることもできる。第1導電体51と第2導電体52を共に形成する場合、導体材料をパターニングする際に同時に形成できるため、フロート導電体50の数を製造工程の増加無しで増やすことができる。第3導電体53については上部電極40と同じ高さにおいて第1導電体51と対応する位置に形成され、第4導電体54については上部電極40と同じ高さにおいて第2導電体52と対応する位置に形成されている。このような第3導電体53や第4導電体54を備える場合も、上部電極40を形成する際に電極材料をパターニングして同時に形成できるため、フロート導電体50の数を製造工程の増加無しで増やすことができる。
(b)また、下部電極30よりも上部電極40が大きい構造の場合、図8Bに示す位置、つまり下部電極30の外側位置にフロート導電体50を配置することができる。その場合も、少なくとも下部電極30と上部電極40との中間位置にある第1導電体51もしくは下部電極30および上部電極40の外側に位置する第2導電体52を有していれば良い。そして、第1導電体51と第2導電体52を共に備えていても良いし、いずれか一方もしくは両方と、下部電極30と同じ高さの第3導電体53と第4導電体54のいずれか一方もしくは両方が備えられた構成とすることもできる。つまり、フロート導電体50を複数個備えた構造とすることもできる。第1導電体51と第2導電体52を共に形成する場合、導体材料をパターニングする際に同時に形成できるため、フロート導電体50の数を製造工程の増加無しで増やすことができる。第3導電体53については下部電極30と同じ高さにおいて第1導電体51と対応する位置に形成され、第4導電体54については下部電極30と同じ高さにおいて第2導電体52と対応する位置に形成されている。このような第3導電体53や第4導電体54を備える場合、下部電極30を形成する際に電極材料をパターニングして同時に形成できるため、フロート導電体50の数を製造工程の増加無しで増やすことができる。
(c)また、下部電極30と上部電極40を同じ大きさとする場合、図8Cに示す位置、つまり下部電極30および上部電極40の外側位置にフロート導電体50を配置することができる。その場合も、少なくとも下部電極30と上部電極40との中間位置にある第1導電体51を有していれば良い。そして、第1導電体51と第2導電体52もしくは第3導電体53のいずれか一方もしくは両方が備えられた構成とすることもできる。つまり、フロート導電体50を複数個備えた構造とすることもできる。第2導電体52は下部電極30と同じ高さにおいて、第3導電体53は上部電極40と同じ高さにおいて、それぞれ、第1導電体51と対応する位置に形成されている。これら第2導電体52や第3導電体53を備える場合、第2導電体52については下部電極30と同時に、第3導電体53については上部電極40と同時に形成できるため、フロート導電体50の数を製造工程の増加無しで増やすことができる。
なお、上記した(a)~(c)のように、フロート導電体50を複数個備える場合、各フロート導電体50の厚みや幅については任意である。また、ここではフロート導電体50を複数個備える場合において、各フロート導電体50を第1実施形態のように角部を丸めた四角形枠体形状としているが、円形枠体形状などであっても良い。
(d)さらに、複数層に形成したフロート導電体50を一体化した構造とすることもできる。例えば、図9A、図9Bに示すように、上記(a)、(b)の構造において、第1導電体51とその上または下に配置された第3導電体53とを一体化させたり、第2導電体52とその上または下に配置された第4導電体54とを一体化させたりすることができる。また、上記(c)の構造において、図9Cに示すように、上下に並んだ第1導電体51と第2導電体52および第3導電体53を一体化させることもできる。
勿論、上記(a)、(b)の構造において、第1導電体51と第3導電体53もしくは第2導電体52と第4導電体54の一方のみを一体化しても良い。また、上記(c)の構造において、第1導電体51~第3導電体53のいずれか2つのみを一体化した構造としても良い。
このように、複数層形成したフロート導電体50を一体化した構造とすることもできる。このような構造とすれば、フロート導電体50を上下方向において大きくすることができるため、より電界を分散させることが可能となって、さらに電界集中の緩和効果を得ることができる。なお、このような構造は、フロート導電体50と絶縁膜20を交互の複数回積層することで実現可能である。絶縁膜20に対してコンタクトホールを形成してからその上にコンタクトホールを埋め込むようにフロート導電体50を成膜し、さらにパターニングするという工程を繰り返すことで実現できる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してフロート導電体50のレイアウトを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してフロート導電体50のレイアウトを変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図10に示すように、本実施形態では、フロート導電体50を上部電極40のうちの各角部と対応する位置に配置し、上部電極40が構成する四角形の各辺と対応する位置には配置しないようにしている。
フロート導電体50については、上部電極40の外側を1周全周囲むように配置されている必要はなく、少なくとも一部に配置されていれば良い。上部電極40を四角形枠体形状する場合、特に各角部に電界集中しやすくなるため、その各角部と対応する位置にフロート導電体50が配置されるようにしている。
このように、フロート導電体50を上部電極40の周囲の一部にのみ配置した構造としても、フロート導電体50によって上部電極40の端部での電界集中を緩和できるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、上部電極40が構成する四角形状の各角部と対応する位置にフロート導電体50を備えることで、特に電界集中しやすい場所において、電界集中を緩和することができる。
(第2実施形態の変形例)
上記第2実施形態のように、フロート導電体50を上部電極40の周囲の一部にのみ配置した構造とする場合、その配置位置を上部電極40の構成する四角形状の各角部以外の位置にすることもできる。
上記第2実施形態のように、フロート導電体50を上部電極40の周囲の一部にのみ配置した構造とする場合、その配置位置を上部電極40の構成する四角形状の各角部以外の位置にすることもできる。
例えば、図11に示すように、上部電極40のうち、下部電極30における引出配線31が配置される部分と対応する箇所に、フロート導電体50を配置することができる。上部電極40の端部の中でも、特に下部電極30の引出配線31と対応する位置で電界集中が発生し易い。
このため、フロート導電体50を特に電界集中が発生し易い箇所をカバーできるように配置することで、電界集中を緩和でき、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。ここでは、上部電極40が構成する四角形状のうち引出配線31と対応する一辺とその一辺の両端に位置する両角部と対応した位置にフロート導電体50を配置しているが、少なくとも引出配線31と対応する位置に形成してあれば良い。
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
例えば、第1実施形態の変形例と第2実施形態およびその変形例とを組み合わせ、フロート導電体50を複数個備える場合に、フロート導電体50が上部電極40の周囲の一部のみと対応した位置に形成されるようにしても良い。
また、第1実施形態の変形例で示したように、上部電極40の方が下部電極30よりも大きくされる構造や、これらが同じ大きさとされる場合についても、第2実施形態やその変形例を適用することができる。
また、上記第1実施形態の変形例や第2実施形態とその変形例では、フロート導電体50を2層もしくは3層で構成する場合を示したが、フロート導電体50の層数については任意であり、4層以上とすることもできる。
また、上記第1、第2実施形態などでは、下部電極30と上部電極40を各角部が丸められた四角形で構成したが、他の形状、例えば円形状や他の多角形状などで構成しても良い。
なお、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
10 半導体基板
20 絶縁膜
21~23 第1~第3膜
30 下部電極
40 上部電極
50 フロート導電体
51~54 第1~第4導電体
20 絶縁膜
21~23 第1~第3膜
30 下部電極
40 上部電極
50 フロート導電体
51~54 第1~第4導電体
Claims (11)
- 半導体基板(10)と、
前記半導体基板の上に形成された絶縁膜(20)と、
前記絶縁膜を介して前記半導体基板の上に形成された下部電極(30)と、
前記絶縁膜を介して前記下部電極に対向して配置され、前記下部電極と共にキャパシタを構成する上部電極(40)と、
前記絶縁膜内に配置され、前記下部電極と前記上部電極の積層方向を高さ方向として、前記下部電極の高さと前記上部電極の高さの中間高さの位置に配置され、フロート電位とされるフロート導電体(50)と、を有したキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。 - 前記上部電極よりも前記下部電極が大きく形成されており、
前記フロート導電体は、前記上部電極の外側に配置されており、前記下部電極の高さと前記上部電極の高さの中間高さの位置に配置された第1導電体(51)に加えて、前記第1導電体と同じ高さに配置されると共に前記第1導電体の外側に配置された第2導電体(52)と前記上部電極と同じ高さに配置されると共に前記第1導電体と対応する位置の第3導電体(53)および前記第2導電体と対応する位置の第4導電体(54)のうちの少なくとも1つを有していて複数個備えられている、請求項1に記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。 - 前記上部電極の方が前記下部電極よりも大きく形成されており、
前記フロート導電体は、前記下部電極の外側に配置されており、前記下部電極の高さと前記上部電極の高さの中間高さの位置に配置された第1導電体(51)に加えて、前記第1導電体と同じ高さに配置されると共に前記第1導電体の外側に配置された第2導電体(52)と前記下部電極と同じ高さに配置されると共に前記第1導電体と対応する位置の第3導電体(53)および前記第2導電体と対応する位置の第4導電体(54)のうちの少なくとも1つを有していて複数個備えられている、請求項1に記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。 - 前記フロート導電体は、前記上部電極および前記下部電極の外側に配置されており、前記下部電極の高さと前記上部電極の高さの中間高さの位置に配置された第1導電体(51)に加えて、前記下部電極の高さ同じ高さに配置されると共に前記第1導電体と対応する位置の第2導電体(52)と前記上部電極と同じ高さに配置されると共に前記第1導電体と対応する位置の第3導電体(53)のうちの少なくとも1つを有していて複数個備えられている、請求項1に記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。
- 前記フロート導電体は、上下に並んで複数個が配置されており、該上下に並んだ複数個が電気的に絶縁されている、もしくは電気的に接続されている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。
- 前記上部電極の方が前記下部電極よりも厚くなっている、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。
- 前記フロート導電体は、前記下部電極と前記上部電極それぞれから5μm以上離れている、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。
- 前記フロート導電体は、前記下部電極と前記上部電極それぞれから30μm以内の距離にある、請求項1ないし7のいずれか1つに記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。
- 前記フロート導電体は、枠体形状で構成されており、前記半導体基板の表面に対する法線方向において、前記下部電極と前記上部電極の少なくとも一方の周囲を1周全周囲んで配置されている、請求項1ないし8のいずれか1つに記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。
- 前記下部電極と前記上部電極は、各角部が丸められた多角形状で構成されており、
前記フロート導電体は、前記下部電極と前記上部電極が構成する多角形状の前記各角部と対応する位置に形成されている、請求項1ないし8のいずれか1つに記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。 - 前記下部電極から引き出された引出配線(31)を有し、
前記フロート導電体は、前記引出配線と対応する位置に配置されている、請求項1ないし8のいずれか1つに記載のキャパシタカプラを有する信号伝送デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021139938A JP2023033946A (ja) | 2021-08-30 | 2021-08-30 | 信号伝送デバイス |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021139938A JP2023033946A (ja) | 2021-08-30 | 2021-08-30 | 信号伝送デバイス |
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JP2023033946A true JP2023033946A (ja) | 2023-03-13 |
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JP2021139938A Pending JP2023033946A (ja) | 2021-08-30 | 2021-08-30 | 信号伝送デバイス |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2023033946A (ja) |
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2021
- 2021-08-30 JP JP2021139938A patent/JP2023033946A/ja active Pending
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