JP2023033247A - ポリアミドイミド前駆体組成物、その製造方法、およびその用途 - Google Patents

ポリアミドイミド前駆体組成物、その製造方法、およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】無色透明な光学的物性が低下せず、かつ、光学ムラのない優れた視認性を有し、耐熱性および機械的物性に優れ、柔軟性および曲げ特性に優れる、強化ガラスを代替するためのポリアミドイミドフィルムを得ることができる、ポリアミドイミド前駆体組成物、その製造方法、およびその用途を提供する。【解決手段】ジアミンから誘導された構造単位、二無水物から誘導された構造単位、および二酸二塩化物から誘導された構造単位を含むポリアミドイミド前駆体組成物を提供する。前記ジアミンは、例えばp-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-オキシジアニリン等であり、前記二無水物は、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等であり、前記二酸二塩化物は、例えば1,1’-ビフェニル-4,4’-ジカルボニルジクロライド、1,4-ナフタレンジカルボン酸ジクロライド等である。【選択図】なし

Description

本開示は、ポリアミドイミド前駆体組成物、その製造方法、およびその用途に関する。
近年、ディスプレイ装置の軽量化、スリム化、およびフレキシブル化が重要視されている。既存のディスプレイ装置に広く用いられてきたガラス基板は、重く、割れやすく、柔軟ではなく、連続工程が難しいという短所を有しているため、ガラス基板の代わりに、軽く、柔軟で、連続工程が可能な長所を有する高分子基板をフレキシブルディスプレイ装置に適用するための研究が活発に行われている。中でも、合成しやすく、耐熱性および耐薬品性などに優れた高分子であるポリアミドイミド(Polyamideimide、PAI)が主に用いられている。
次世代ディスプレイ装置の基板素材は、優れた光学的物性だけでなく、フォルダブルまたはフレキシブルディスプレイ装置に適用するための柔軟性および機械的物性の向上が伴わなければならない。さらに、フレキシブルデバイスは高温工程を伴うが、特にLTPS(low temperature polysilicon)工程を用いるOLED(organic light emitting diode)デバイスの場合、工程温度が350℃以上500℃に近接するため、優れた耐熱性が求められる。
一方、通常のポリアミドイミドの色は褐色または黄色を帯びるが、これは、ポリアミドイミドの分子内(intra molecular)および分子間(inter molecular)相互作用による電荷移動錯体(Charge Transfer Complex、CTC)が主な原因である。これは、ポリアミドイミドフィルムの光透過率を低下させ、複屈折を高めてディスプレイ装置の視感性に影響を及ぼす。
これを解決するためには、多様な構造の単量体を組み合わせるか変更してCTC効果を減少させることで、無色透明なポリアミドイミドを製造することができる。しかし、光学的物性と耐熱性は、互いにトレードオフ(trade-off)関係にあり、このような試みは、ポリアミドイミドの光学的物性が良くなっても、機能性が低下したり耐熱性が劣化したりする極めて一般的な結果を得ざるを得なかった。そこで、ポリアミドイミドの耐熱性および機械的物性が大幅に低下しない範囲内で色の透明度および光学的特性を向上させる研究が続いているが、これらを全て満たすには限界がある。
大韓民国公開特許公報第10-2020-0083797号
一実施形態は、ジアミンから誘導された構造単位、二無水物から誘導された構造単位、および二酸二塩化物から誘導された構造単位を含むポリアミドイミド前駆体組成物を提供する。
他の一実施形態は、優れた光学的特性および優れた耐熱性が同時に実現されるポリアミドイミドフィルムを提供する。
また他の一実施形態は、前記一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの製造方法を提供する。
さらに他の一実施形態は、前記一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物の製造方法を提供する。
さらに他の一実施形態は、前記一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムを含むディスプレイ装置およびディスプレイ装置用カバーウィンドウを提供する。
一実施形態は、ジアミンから誘導された構造単位、二無水物から誘導された構造単位、および二酸二塩化物から誘導された構造単位を含むポリアミドイミド前駆体を含むポリアミドイミド前駆体組成物であって、
前記ジアミンから誘導された構造単位は、下記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位を含み、前記二無水物から誘導された構造単位は、下記化学式2で表される化合物から誘導された構造単位を含み、前記二酸二塩化物から誘導された構造単位は、下記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位および下記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位を含む、ポリアミドイミド前駆体組成物を提供する。
[化学式1]
Figure 2023033247000001
[化学式2]
Figure 2023033247000002
[化学式3]
Figure 2023033247000003
[化学式4]
Figure 2023033247000004
他の一実施形態は、前記一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物から形成されたポリアミドイミドフィルムを提供する。
また他の一実施形態は、前記一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物を基板に塗布した後に熱処理するステップを含むポリアミドイミドフィルムの製造方法を提供する。
さらに他の一実施形態は、前記一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物の製造方法を提供する。
さらに他の一実施形態は、前記一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムを含むディスプレイ装置用カバーウィンドウおよびディスプレイ装置を提供する。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物を利用すると、光学的特性および耐熱性に優れたポリアミドイミドフィルムを形成することができる。具体的に、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物から形成されたポリアミドイミドフィルムは、視認性に劣化を引き起こすムラ現象、特に位相差によるレインボー現象を顕著に改善することができる。また、強化ガラスと類似レベルの機械的強度を有する厚さ範囲においても無色透明な光学的物性を実現することができる。さらに、広い可視光線領域帯で低い厚さ方向位相差(Rth)を有することで、反射外観を画期的に改善させることができる。それとともに、上記で言及した高強度特性はいうまでもなく、曲げ特性に優れるため屈曲による割れやクラックを防止することができる。したがって、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、フォルダブルディスプレイ装置またはフレキシブルディスプレイ装置などの光学用途として有用に適用することができる。
以下、本開示の一実施形態を本明細書に記載された技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。ただし、一実施形態は、種々の他の形態で実現されてもよく、ここで説明する特定の実施形態に限定されるものではない。また、特許請求の範囲により限定される保護範囲を制限しようとするものでもない。
また、本明細書で用いられる技術用語および科学用語は、他の定義がなければ、本明細書に記載された技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有してもよい。
本明細書の全般にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味し得る。
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「これらの組み合わせ」とは、構成物の混合または共重合を意味し得る。
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「Aおよび/またはB」とは、AおよびBを同時に含む態様を意味してもよく、AおよびBの中から択一された態様を意味してもよい。
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「重合体」は、オリゴマー(oligomer)および重合体(polymer)を含んでもよく、同種重合体および共重合体を含んでもよい。前記共重合体は、交互重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、分岐共重合体、架橋共重合体、またはこれらを全て含んでもよい。
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「ポリアミック酸」は、アミック酸(amic acid)モイエティを有する構造単位を含む重合体を意味し、「ポリアミドイミド」は、アミドモイエティおよびイミドモイエティを有する構造単位を含む重合体を意味し得る。
以下、本明細書において、特に定義しない限り、ポリアミドイミドフィルムは、ポリアミドイミドを含むフィルムであってもよく、具体的に、ジアミン化合物溶液に二無水物化合物と二酸二塩化物を溶液重合してポリアミック酸を製造した後、高温で閉環脱水させてイミド化することで製造される高耐熱性フィルムであってもよい。
以下、本明細書において、特に定義しない限り、「ムラ現象」は、特定の角度で引き起こされ得る光による歪み現象を全て包括する意味として解釈されてもよい。例えば、ポリアミドイミドフィルムを含むディスプレイ装置において、画面が黒く見えるブラックアウト現象、ホットスポット現象、または虹色のムラを有するレインボー現象などの光による歪みが挙げられる。
以下、本明細書において、特に定義しない限り、層、膜、薄膜、領域、板などの部分が他の部分の「上部に」または「上に」存在するとする際、これは、他の部分の「真上に」存在する場合だけでなく、その間にまた他の部分が存在する場合も含んでもよい。
以下、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物を説明する。
従来、ディスプレイ装置用カバーウィンドウとして用いられていた高価の強化ガラスを代替するための素材としてポリイミド系フィルムが注目されているが、ポリイミド系フィルムは、光により歪みが発生しやすいという問題がある。しかし、ディスプレイ装置の最外側に形成されるカバーウィンドウは、光により発生する現象が直接的に目に見えるため、光により歪みが発生しないようにすることが非常に重要である。そこで、光の歪みによる問題を根本的に解決できるポリイミド系フィルムを製造するための前駆体組成物の開発が必要である。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、ジアミンから誘導された構造単位、二無水物から誘導された構造単位、および二酸二塩化物から誘導された構造単位を含み、この際、前記ジアミンから誘導された構造単位は、下記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位を含み、前記二無水物から誘導された構造単位は、下記化学式2で表される化合物から誘導された構造単位を含み、前記二酸二塩化物から誘導された構造単位は、下記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位および下記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位を含む。
[化学式1]
Figure 2023033247000005
[化学式2]
Figure 2023033247000006
[化学式3]
Figure 2023033247000007
[化学式4]
Figure 2023033247000008
一実施形態に係る前記ポリアミドイミド前駆体組成物は、ポリアミドイミドフィルム形成用組成物であってもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物に含まれる前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位は、前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位および前記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位の全体100モル%を基準として、50モル%超過90モル%未満の量で含まれてもよい。または、例えば、55モル%超過90モル%未満、60モル%超過90モル%未満、50モル%超過88モル%以下、または50モル%超過85モル%以下で含まれてもよい。または、前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位と前記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位のモル比は1.1:1~9:1、1.1:1~8:1、1.1:1~7:1、1.1:1~6:1、1.5:1~8:1、1.5:1~7:1、または1.5:1~6:1であってもよい。一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、IPCを超過する量でTPCを添加することで、低い厚さ方向位相差を実現するとともに優れた引張強度などを実現することができる。これにより、強化ガラスと同等または優れた光学的物性および機械的物性の実現が可能である。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物に含まれる前記二無水物から誘導された構造単位と前記二酸二塩化物から誘導された構造単位のモル比は5:95~95:5であってもよく、または、例えば、5:95~80:20、10:90~60:40、5:95~50:50、5:95~40:60、10:90~40:60、または5:95~35:65であってもよい。ただし、必ずしも前記モル比に限定されるものではない。前記二無水物は、具体的に、化学式2で表される化合物であってもよく、前記二酸二塩化物は、具体的に、化学式3で表される化合物および化学式4で表される化合物であってもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物に含まれる前記二酸二塩化物から誘導された構造単位は、例えば、ジアミンから誘導された構造単位100モル%を基準として5モル%~95モル%、20モル%~95モル%、40モル%~90モル%、50モル%~95モル%、60モル%~95モル%、60モル%~90モル%、または65モル%~95モル%で含まれてもよいが、必ずしも前記範囲に限定されるものではない。前記ジアミンは、具体的に、化学式1で表される化合物であってもよく、前記二酸二塩化物は、具体的に、化学式3で表される化合物および化学式4で表される化合物であってもよい。
また、前記ジアミンは、必要に応じて、p-PDA(p-フェニレンジアミン)、m-PDA(m-フェニレンジアミン)、4,4’-ODA(4,4’-オキシジアニリン)、3,4’-ODA(3,4’-オキシジアニリン)、BAPP(2,2-ビス(4-[4-アミノフェノキシ]-フェニル)プロパン)、TPE-Q(1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン)、TPE-R(1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン)、BAPB(4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル)、BAPS(2,2-ビス(4-[4-アミノフェノキシ]フェニル)スルホン)、m-BAPS(2,2-ビス(4-[3-アミノフェノキシ]フェニル)スルホン)、HAB(3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル)、TB(3,3’-ジメチルベンジジン)、m-TB(2,2’-ジメチルベンジジン)、TFMB(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)、6FAPB(1,4-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン)、6FODA(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル)、APB(1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン)、1,4-ND(1,4-ナフタレンジアミン)、1,5-ND(1,5-ナフタレンジアミン)、DABA(4,4’-ジアミノベンズアニリド)、6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、および5-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾオキサゾールなどから選択される1つまたは2つ以上と混合して用いてもよく、これに制限されない。
また、前記二無水物は、必要に応じて、PMDA(ピロメリット酸二無水物)、BPDA(3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)、BTDA(3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)、ODPA(4,4’-オキシジフタル酸無水物)、BPADA(4,4’-(4,4’-イソプロピルビフェノキシ)ビフタル酸無水物)、DSDA(3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物)、6FDA(2,2’-ビス-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物)、TMHQ(p-フェニレンビストリメリット酸モノエステル無水物)、ESDA(2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物)、NTDA(ナフタレンテトラカルボン酸二無水物)、またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
また、前記二酸二塩化物は、必要に応じて、BPC(1,1’-ビフェニル-4,4’-ジカルボニルジクロライド)、NPC(1,4-ナフタレンジカルボン酸ジクロライド)、NTC(2,6-ナフタレンジカルボン酸ジクロライド)、NEC(1,5-ナフタレンジカルボン酸ジクロライド)、またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、アミド系溶媒および炭化水素系溶媒を含む混合溶媒をさらに含んでもよい。一実施形態に係る混合溶媒をさらに含むポリアミドイミド前駆体組成物は、下記式1を満たしてもよい。特定の理論に拘るものではないが、このような条件を満たすポリアミドイミド前駆体組成物は、フィルムの形成時に薄膜工程への適用が有利であり、硬化時にポリアミドイミドフィルムのパッキング密度を阻害し、無定形(amorphous)にして光学的物性が向上するものであってもよい。
[式1]
6,000≦VPAI≦14,000
前記式1中、
PAIは、前記ポリアミドイミド前駆体組成物の総重量に対して、固形分含量が17重量%であるときのポリアミドイミド前駆体組成物の粘度であり、前記粘度は、ブルックフィールド回転粘度計により、25℃で52Zスピンドルを用いてトルク80%、2分を基準として測定された粘度(単位:cp)である。
一実施形態に係る前記ポリアミドイミド前駆体組成物の粘度(VPAI)は7,000cp~14,000cp、8,000cp~14,000cp、9,000cp~14,000cp、9,500cp~14,000cp、または14,000cp以下であってもよい。これにより、高含量の固形分を含むポリアミドイミド前駆体組成物を薄膜工程にさらに容易に適用することができ、無色透明な性能、光学的物性、および耐熱性にさらに優れたポリアミドイミドフィルムを提供することができる。この際、前記固形分は、前記ポリアミック酸および/またはポリアミドイミドであってもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、ポリアミック酸(以下、ポリアミドイミド前駆体とも称する)および/またはポリアミドイミドの重合溶媒として用いることができず、ポリアミドイミドとの親和性がほぼない無極性溶媒を含むことで、光学的物性および耐熱性を同時に改善させることができる。具体的に、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、ポリアミドイミド前駆体(ポリアミック酸および/またはポリアミドイミド)と、極性溶媒と、無極性溶媒と、を含んでもよい。前記極性溶媒は、親水性溶媒であってもよく、例えば、ポリアミック酸および/またはポリアミドイミドとの親和性があってもよく、例えば、アミド系溶媒であってもよい。また、前記無極性溶媒は、ポリアミック酸および/またはポリアミドイミドとの親和性がほぼなくてもよく、例えば、炭化水素系溶媒であってもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、アミド系溶媒と炭化水素系溶媒を含む混合溶媒を用いることで、重合体と重合体との間の分子間相互作用(intermolecular interaction)および/または重合体と溶媒との間の相互作用をさらに効果的に阻害させることができ、硬化時に分子間のパッキング密度が顕著に低下して光学的物性および機械的物性が同時にさらに向上することができる。さらに、前記混合溶媒を用いることで、ポリアミドイミド前駆体組成物は、高い固形分含量を有し、かつ、組成物の粘度を低くすることができる。そこで、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、固形分を高い含量で含み、かつ、低い粘度を有することで、溶液工程により薄膜をさらに容易に形成することができ、機械的物性および耐熱性が低下せず、かつ、黄色度に優れたポリアミドイミドフィルムを形成するための組成物を提供することができる。
一実施形態において、前記アミド系溶媒は、アミドモイエティを含む化合物を意味する。前記アミド系溶媒は、環式化合物または鎖式化合物であってもよく、具体的には、鎖式化合物であってもよい。前記鎖式化合物は、具体的には、2~15の炭素数を有してもよく、より具体的には、3~10の炭素数を有してもよい。前記アミド系溶媒は、N,N-ジアルキルアミドモイエティを含んでもよく、前記ジアルキル基は、それぞれ独立して存在するか、互いに縮合して環を形成するか、または前記ジアルキル基のうち少なくとも1つのアルキル基が分子内の他の置換基と縮合して環を形成してもよく、例えば、前記ジアルキル基のうち少なくとも1つのアルキル基がアミドモイエティのカルボニル炭素に連結されたアルキル基と縮合して環を形成してもよい。ここで、前記環は4~7員環であってもよく、例えば5~7員環であってもよく、例えば5員または6員環であってもよい。前記アルキル基は、例えばC1-10アルキル基、例えばC1-8アルキル基、例えば、メチルまたはエチルなどであってもよい。より具体的に、前記アミド系溶媒は、ポリアミック酸重合に一般的に用いられるものであれば制限されないが、例えば、ジメチルプロピオンアミド、ジエチルプロピオンアミド、ジメチルアセチルアミド、ジエチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドン、エチルピロリドン、オクチルピロリドン、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、具体的には、ジメチルプロピオンアミドを含んでもよい。
一実施形態において、前記炭化水素系溶媒は、前述したように無極性溶媒であってもよい。前記炭化水素系溶媒は、炭素と水素とからなる化合物であってもよい。例えば、前記炭化水素系溶媒は、芳香族または脂肪族であってもよく、例えば、環式化合物または鎖式化合物であってもよいが、具体的には、環式化合物であってもよい。ここで、前記炭化水素系溶媒が環式化合物である場合、単環または多環式環を含んでもよく、前記多環式環は、縮合環または非縮合環であってもよいが、具体的には、単環であってもよい。前記炭化水素系溶媒は、3~15の炭素数を有してもよく、例えば、6~15の炭素数を有してもよく、例えば、6~12の炭素数を有してもよい。前記炭化水素系溶媒は、置換もしくは非置換のC3-15シクロアルカン、置換もしくは非置換のC6-15芳香族化合物、またはこれらの組み合わせであってもよい。ここで、前記シクロアルカンは、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、前記芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。前記炭化水素系溶媒は、少なくとも1つのC1-5アルキル基で置換もしくは非置換のシクロアルカン、少なくとも1つのC1-5アルキル基で置換もしくは非置換の芳香族化合物、またはこれらの組み合わせであってもよく、ここで、前記シクロアルカンおよび芳香族化合物は、それぞれ前述したとおりである。前記C1-5アルキル基は、例えばC1-3アルキル基、例えばC1-2アルキル基であってもよく、より具体的にはメチル基であってもよいが、これに限定されない。また、前記炭化水素系溶媒は、必要に応じて、酸素をさらに含んでもよい。例えば、前記炭化水素系溶媒が酸素を含む場合、ケトン基やヒドロキシ基を含んでもよく、例えば、シクロペンタノン、クレゾール、またはこれらの組み合わせであってもよい。具体的に、前記炭化水素系溶媒は、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、シクロペンタノン、クレゾール、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、これに限定されない。
一実施形態において、前記ポリアミドイミド前駆体組成物は、ジメチルプロピオンアミドを含むアミド系溶媒と、トルエン、ベンゼン、およびシクロヘキサンなどから選択される炭化水素系溶媒と、を含む混合溶媒を含んでもよい。
一実施形態において、前記炭化水素系溶媒は、ポリアミック酸またはポリアミドイミド重合後に追加されてもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、単にポリアミック酸の重合ステップにおいて混合溶液を添加することとは異なる分子間挙動および相互作用を示すことができる。例えば、ポリアミック酸を重合するステップにおいて、前記炭化水素系溶媒を混合する場合、重合を妨害する要因として作用し、高分子量のポリアミック酸を得ることができないことがある。これに対し、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物においては、十分な高分子量のポリアミック酸および/またはポリアミドイミドを得た後に、炭化水素系溶媒が混合されることで、重合体間の分子間相互作用および/または重合体と溶媒との強い相互作用を弱くする触媒の役割をすることができ、その後の硬化時に目的とする光学的物性を得ることができる。ここで、前記アミド系溶媒と炭化水素系溶媒を順次用いることで、ポリアミドイミド前駆体であるポリアミック酸と溶媒の相互作用をさらに適切な範囲に調節することができる。ここで、前記調節は、阻害を意味し得る。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物に含まれる前記炭化水素系溶媒は、前記アミド系溶媒の重量に対して5重量%~100重量%で含まれてもよく、または、例えば、10重量%~100重量%、15重量%~100重量%、20重量%~100重量%、20重量%~90重量%、35重量%~85重量%で含まれてもよい。アミド系溶媒と炭化水素系溶媒が前記重量関係を有することで、さらに優れた光学的物性を実現するとともに、優れたジアミンと二無水物の反応性を維持することができ、ポリアミドイミド前駆体組成物の硬化時に分子間のパッキング密度を適切に阻害し、無定形(amorphous)にすることができる。これにより、耐熱性および機械的物性を低下させず、かつ、黄色度がさらに改善されたポリアミドイミドフィルムを提供することができる。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物に含まれるポリアミドイミドの重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、10,000g/mol以上、具体的には20,000g/mol以上であってもよく、より具体的には25,000g/mol~80,000g/molであってもよい。上述した範囲の重量平均分子量を有することで、光学的物性および機械的強度にさらに優れ、カールの発生がさらに少ないフィルムを提供することができる。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物の固形分含量は、ポリアミドイミド前駆体組成物の総重量を基準として40重量%以下、10重量%~40重量%、35重量%以下、30重量%以下、10重量%~25重量%、または15重量%~25重量%の範囲を満たしてもよく、残量は、有機溶媒であってもよい。ここで、固形分は、前記ポリアミック酸および/またはポリアミドイミドであってもよい。前記ポリアミドイミド前駆体組成物は、固形分含量が前記範囲である場合にも、低い粘度を有するため、工程上の利点を提供することができる。通常、厚さ方向位相差の絶対値とモジュラスのような機械的物性は、互いにトレードオフ(trade-off)関係にあるため、これらの物性を同時に改善させることが難しかったが、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、これらの物性を同時に改善させることができる。
通常、ポリアミドイミドの場合、固形分の濃度が高くなるほど、粘度も高くなる傾向があり、例えば、前記ポリアミック酸および/またはポリアミドイミドが通常のアミド系溶媒単独に溶解される場合、溶液の粘度は、約15,000cp以上と高い。ここで、前記溶液の粘度は、溶液の総重量に対して、固形分含量が17重量%であるときの粘度を意味する。薄膜を溶液工程、例えば、コーティング工程により製造する際に、粘度が高いため高分子の流れが良くないと、気泡の除去が難しく、コーティング時にムラが発生し得る。これに対し、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、17重量%以上の高含量の固形分を含んでも、組成物の粘度を顕著に低くすることができる。これにより、溶液工程、例えば、コーティング工程時に発生する不良を効果的に防止することができるため、さらに向上した光学的物性を実現することができる。それのみならず、コーティング工程時に発生する不良なしに高い固形分含量を有するため、商業的にも有利である。
以下、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムを説明する。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、前記一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物から形成されてもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物から形成されることで、ジアミンから誘導された構造単位、二無水物から誘導された構造単位、および二酸二塩化物から誘導された構造単位を含んでもよく、具体的に、前記ジアミンから誘導された構造単位は、前記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位を含み、前記二無水物から誘導された構造単位は、前記化学式2で表される化合物から誘導された構造単位を含み、および前記二酸二塩化物から誘導された構造単位は、前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位および前記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位を含んでもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、前記化学式1~化学式4で表される化合物からそれぞれ誘導された構造単位を含むことで、優れた透明性を有し、光の歪みを低下させることができる。また、多様な角度から眺めた際に、虹色のムラが形成されるレインボームラを顕著に改善するなど、従来のポリアミドイミドフィルムに比べて優れた光学的物性を有することができる。また、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、前記化学式1~化学式4で表される化合物からそれぞれ誘導された構造単位を含むことで、リジッドな構造からなるポリアミドイミド重合体を含むポリアミドイミドフィルムに比べて光の歪み現象がさらに改善されることができる。例えば、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムにおいて、前記二無水物から誘導された構造単位は、リジッドな構造単位を含まなくてもよい。例えば、2つの無水物基が1つの環に縮合した二無水物に由来した構造単位を含まなくてもよい。前記環は、単環または縮合環であってもよく、芳香族環、脂肪族環、またはこれらの組み合わせであってもよい。具体的に、前記二無水物から誘導された構造単位は、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導された構造単位、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(CBDA)から誘導された構造単位、またはこれらの組み合わせを含まなくてもよい。
これにより、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、30μm以上の厚さにおいても、透明、かつ、低い厚さ方向位相差を実現することができ、視認性をさらに向上させることができるため、前記ポリアミドイミドフィルムを含むカバーウィンドウは、ユーザの目の疲労をさらに減らすことができる。また、30μm以上の厚さにおいても、上述したように優れた光学的特性だけでなく、モジュラスなどの機械的強度をさらに向上させることができるため、動的曲げ(dynamic bending)特性がさらに向上し、繰り返し折り畳んで広げる動作を繰り返すフォルダブルディスプレイ装置またはフレキシブルディスプレイ装置のカバーウィンドウに適用するのに好適である。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、ASTM E111に準じたモジュラスが4.0GPa以上であってもよい。または、例えば、4.0GPa~6.0GPa、4.5GPa~6.0GPa、4.0GPa~5.5GPa、4.5GPa~5.5GPa、5.0GPa~6.0GPa、または5.0GPa~5.5GPaであってもよいが、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムのモジュラスは、必ずしも上記の限定された範囲の値に限定されるものではない。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、550nmの波長における厚さ方向位相差(Rth)の絶対値が1000nm以下であってもよい。または、例えば、500nm~1000nm、600nm~1000nm、800nm~1000nm、または900nm~1000nmであってもよいが、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの厚さ方向位相差値は、必ずしも上記の限定された範囲の値に限定されるものではない。前記厚さ方向位相差値は、フィルムを加熱する前の常温(normal temperature)で測定してもよく、前記常温は、人為的に温度調節をしていない状態の温度であってもよい。例えば、前記常温は20℃~40℃、20℃~30℃、または23℃~26℃であってもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、前記モジュラスと厚さ方向位相差を同時に満たすことができ、これにより、ディスプレイ装置用カバーウィンドウに適用するのに十分な機械的物性、耐久性、および光学的物性を提供することができる。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、ASTM E313に準じた黄色度(YI)が4.0以下であってもよい。または、例えば、3.8以下、3.5以下、1.0以上4.0以下、1.0以上3.8以下、1.5以上3.8以下、2.0以上4.0以下、2.5以上3.8以下、2.8以上4.0以下、または2.5以上4.0以下であってもよいが、必ずしも前記範囲に限定されるものではない。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、破断伸びが10%以上であってもよい。または、例えば、11%以上、13%以上、14%以上、10%以上20%以下、10%以上17%以下、または12%以上17%以下であってもよいが、必ずしも前記範囲に限定されるものではない。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、厚さが30μm~80μm、40μm~80μm、40μm~60μm、または50μm~80μmであってもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、上述した範囲の厚さ方向位相差、黄色度、および/またはモジュラスを満たすことで、光によるイメージの歪みを防止し、さらに向上した視認性を付与することができる。また、フィルムの中央部および辺部に全体的にさらに均一な機械的物性(モジュラスなど)および光学的物性(厚さ方向位相差など)を示すことができ、フィルムのロス(loss)をさらに減少させることができる。また、前記ポリアミドイミドフィルムは、柔軟で、曲げ(bending)特性に優れるため、所定の変形が繰り返し起こっても、フィルムの変形および/または損傷が発生せず、本来の形態にさらに容易に戻ることができる。また、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムを含むカバーウィンドウは、さらに優れた視認性を有することができ、折り畳み跡および微細クラックの発生を防止することができるため、フォルダブルディスプレイ装置またはフレキシブルディスプレイ装置にさらに優れた耐久性および長期寿命性を付与することができる。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムに含まれる構造単位のモル%、モル比は、前述したものをそのまま適用することができる。
以下、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの製造方法を説明する。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの製造方法は、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物を基板に塗布した後に熱処理するステップを含んでもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの製造方法において、前記熱処理するステップの熱処理は、280℃以上350℃以下の温度で10分~60分間行ってもよい。相対的に低い温度で硬化する場合には、フィルムが熱履歴を少なく受けるため、相対的に黄色度が低くなる傾向があり得るが、ガラス転移温度(Tg)以下で硬化する場合には、分子構造のオリエンテーション(orientation)問題により厚さ方向位相差が高くなる問題が発生し得る。一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、280℃~350℃または300℃~350℃の温度で熱処理することで、高分子鎖をさらに等方性(isotropic)を有するように配列させ、厚さ方向位相差を低減させることができる。また、前記熱処理は、例えば、10分~50分、10分~40分、10分~30分、または10分~20分間行われてもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。また、前記熱硬化は、例えば、別の真空オーブンまたは不活性気体で充填されたオーブンなどで行われてもよい。
また、前記熱処理ステップ以前に、必要に応じて、乾燥ステップをさらに行ってもよい。前記乾燥ステップは、50℃~150℃、50℃~130℃、60℃~100℃、または約80℃の温度で行われてもよいが、必ずしも前記範囲に制限されるのではない。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの製造方法において、必要に応じて、前記ポリアミドイミド前駆体組成物を基板上に塗布した後、常温に放置する放置ステップをさらに含んでもよい。前記放置ステップにより、フィルム表面の光学的物性をさらに安定的に維持させることができる。特定の理論に拘るものではないが、従来のポリアミドイミド前駆体組成物(またはポリアミドイミドフィルム形成用組成物)は、硬化前にこのような放置ステップが行われると、溶媒が空気中の水分を吸収し、内部に水分が拡散し、ポリアミック酸および/またはポリアミドイミドと衝突してフィルム表面から白濁が発生し、凝集現象が発生してコーティング不均一性が発生し得る。これに対し、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、空気中に長時間放置しても、白濁現象および凝集現象がなく、向上した光学的物性を有するフィルムを確保可能であるという長所を実現することができる。前記放置ステップは、常温および/または高湿条件で行われてもよい。ここで、前記常温は40℃以下であってもよく、例えば30℃以下であってもよく、例えば25℃以下であってもよく、より具体的には15℃~25℃であってもよく、20℃~25℃であることが特に好ましい。また、前記高湿とは、例えば50%以上、例えば60%以上、例えば70%以上、例えば80%以上の相対湿度であってもよい。前記放置するステップは、1分から3時間、例えば10分から2時間、例えば20分から1時間行われてもよい。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの製造方法においては、前記ポリアミドイミド前駆体組成物に難燃剤、接着力向上剤、無機粒子、酸化防止剤、紫外線防止剤、および可塑剤などから選択される1つまたは2つ以上の添加剤を混合してポリアミドイミドフィルムを製造してもよい。
また、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの製造方法において、前記ポリアミドイミドフィルムを形成するための前記塗布は、当該分野で通常用いられるものであれば制限なく用いられてもよい。その非限定的な一例としては、ナイフコーティング(knife coating)、ディップコーティング(dip coating)、ロールコーティング(roll coating)、スロットダイコーティング(slot die coating)、リップダイコーティング(lip die coating)、スライドコーティング(slide coating)、およびカーテンコーティング(curtain coating)などが挙げられ、これに対して同種または異種を1回以上順次適用可能であることはいうまでもない。
前記基板は、当該分野で通常用いられるものであれば制限なく用いられてもよく、その非限定的な一例としては、ガラス;ステンレス;またはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロハン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリトリフルオロエチレンなどのプラスチックフィルム;などを用いてもよい。
以下、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物の製造方法を説明する。
一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、
前記化学式1で表される化合物を含むジアミンおよび溶媒を混合し、ジアミン溶液を製造するステップ(ステップA)と、
前記ジアミン溶液に、前記化学式2で表される化合物を含む二無水物、および前記化学式3で表される化合物および前記化学式4で表される化合物を含む二酸二塩化物を反応させ、ポリアミドイミド前駆体を製造するステップ(ステップB)と、を含む製造方法により製造されてもよい。
一実施形態に係る製造方法に関しては、前述した詳細な説明をそのまま適用することができる。
一実施形態において、前記ポリアミドイミド前駆体組成物が混合溶媒を含む場合には、
アミド系溶媒下で、前記化学式1で表される化合物を含むジアミン、前記化学式2で表される化合物を含む二無水物、および前記化学式3で表される化合物および前記化学式4で表される化合物を含む二酸二塩化物を反応させ、ポリアミック酸溶液を製造するステップ(ステップi)と、
炭化水素系溶媒を投入するステップ(ステップii)と、を含む方法により製造されてもよい。
一実施形態において、前記ステップiiは、下記式1を満たすように炭化水素系溶媒を投入して粘度を調節するステップであってもよい。
[式1]
6,000≦VPAI≦14,000
前記式1中、
PAIは、前記ポリアミドイミド前駆体組成物の総重量に対して、固形分含量が17重量%であるときのポリアミドイミド前駆体組成物の粘度であり、前記粘度は、ブルックフィールド回転粘度計により、25℃で52Zスピンドルを用いてトルク80%、2分を基準として測定された粘度(単位:cp)である。
一実施形態に係る前記ステップiは、ジアミン、二無水物、二酸二塩化物を混合してポリアミック酸を重合するステップであり、アミド系溶媒下でジアミンを溶解するステップ、二酸二塩化物を添加して溶解するステップ、二無水物を添加して溶解するステップ、および前記反応溶液を5時間~7時間撹拌して反応させるステップを含んでもよい。
一実施形態に係る前記ステップiiは、上述した炭化水素系溶媒を追加投入して撹拌させた後、アミド系溶媒と炭化水素系溶媒を含む混合溶媒を追加投入するステップであってもよく、これにより、ポリアミドイミド前駆体組成物の粘度範囲が前記式1を満たしてもよい。具体的に、常温(25℃)で、前記ステップiのアミド系溶媒の重量に対して5重量%~100重量%、または、例えば、10重量%~100重量%、15重量%~100重量%、20重量%~100重量%、20重量%~90重量%、または35重量%~85重量%の炭化水素系溶媒を追加投入して15時間~20時間撹拌する撹拌ステップと、撹拌が完了した後、前記式1を満たすようにアミド系溶媒と炭化水素系溶媒を含む混合溶媒を添加するステップと、を含む。特定の理論に拘るものではないが、このような条件を満たすポリアミドイミド前駆体組成物は、硬化時にポリアミドイミドフィルムのパッキング密度を阻害し、無定形(amorphous)にすることができる。これにより、機械的物性および耐熱性を低下させず、かつ、黄色度がさらに改善されたポリアミドイミドフィルムを提供することができる。
また、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物は、単にポリアミック酸の重合ステップにおいて混合溶液を添加することとは異なる分子間挙動および相互作用を示すことができる。例えば、ポリアミック酸を重合するステップにおいて、前記炭化水素系溶媒を含む場合、重合を妨害する要因として作用し、高分子量のポリアミック酸を得ることができないことがある。これに対し、一実施形態に係るポリアミドイミド前駆体組成物においては、十分な高分子量のポリアミック酸および/またはポリアミドイミドを得た後に、炭化水素系溶媒が混合されることで、高分子量のポリアミック酸を得ることができる。また、前記炭化水素系溶媒が重合体間の分子間相互作用および/または重合体と溶媒との強い相互作用を弱くする触媒の役割をすることができ、その後の硬化時に目的とする光学的物性を得ることができる。
以下、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの用途を説明する。
一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムの用途の一態様は、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムを含む多層構造体であってもよい。例えば、前記ポリアミドイミドフィルムと、前記ポリアミドイミドフィルム上に位置するコーティング層と、を含むディスプレイ装置用カバーウィンドウであってもよい。また、前記多層構造体は、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムと互いに異なる組成の単量体を含むポリアミドイミドフィルムと、2層以上のコーティング層と、を含んでもよい。
この際、前記コーティング層の非限定的な例としては、ハードコーティング層、帯電防止層、指紋防止層、防汚層、スクラッチ防止層、低屈折層、反射防止層、衝撃吸収層、またはこれらの組み合わせであってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。この際、前記コーティング層の厚さは1μm~500μm、2μm~450μm、または2μm~200μmであってもよいが、これに限定されない。
一実施形態に係る前記多層構造体は、基板上に形成された一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムおよび半導体層を含んでもよい。前記半導体層の非限定的な一例としては、低温ポリシリコン(LTPS)、低温多結晶酸化物(LTPO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、およびインジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)などが挙げられ、例えば、LTPSおよび/またはLTPOを含んでもよい。LTPS(low temperature polysilicon)および/またはLTPO(low temperature polycrystalline oxide)を用いるディスプレイ装置の場合、工程温度が350℃以上500℃以下に近接したりもする。このような高温工程においては、耐熱性に優れたポリアミドイミドであるとしても、加水分解による熱分解が起こりやすい。したがって、LTPSおよび/またはLTPO用フレキシブルデバイスを製造するためには、高温工程においても加水分解による熱分解が起こらない優れた耐熱性を有する素材が求められる。一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、優れた光学的特性および耐熱性を同時に有することで、LTPSおよび/またはLTPO用ディスプレイ装置に活用することができる。
他の一態様は、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムを含むディスプレイ装置であってもよい。
前述したように、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムは、優れた光学的物性および機械的物性を有し、具体的には、多様な角度からも十分な位相差を示すことができるため、広い視野角の確保が求められる多様な産業分野にその応用が可能である。
一例として、ディスプレイ装置は、優れた光学的物性が求められる分野であれば特に制限されず、それに合うディスプレイパネルを選択して提供することができる。具体的には、フレキシブルディスプレイ装置に適用可能であり、その非限定的な一例としては、液晶表示装置、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などの各種画像表示装置などが挙げられが、これに制限されない。
また、一実施形態に係るポリアミドイミドフィルムを含むディスプレイ装置は、表示される表示品質に優れるだけでなく、光による歪み現象が顕著に低減されることで、特に虹色のムラが発生するレインボー現象が顕著に改善され、優れた視認性によりユーザの目の疲労感を最小化させることができる。特に、ディスプレイ装置の画面サイズが大きくなるにつれ、側面から画面を見る場合が多くなるが、一実施形態に係るカバーウィンドウ用ポリアミドイミドフィルムをディスプレイ装置に適用する場合、側面から見ても視認性に優れるため、大型ディスプレイ装置に有用に適用することができる。
以下、一実施形態の実施例および実験例を下記に具体的に例示して説明する。ただし、後述する実施例および実験例は、一実施形態の一部を例示するものにすぎないため、一実施形態が1つの実施例および実験例に限定されるものではない。
下記実験において、フィルムの物性は次のように測定した。
<測定方法>
1.位相差(Rth)
AxoScan(OPMF、Axometrics Inc.)を用いて測定した。550nmの波長に対して厚さ方向位相差(Rth)を測定し、550nmの波長における厚さ方向位相差を絶対値で示した。単位はnmである。
2.黄色度(Yellow Index、YI)
ASTM E313の規格に準じて、分光光度計(Nippon Denshoku社、COH-5500)を用いて測定した。
3.モジュラスおよび破断伸び
ASTM E111に準じて、厚さ50μm、長さ50mm、および幅10mmの試験片を25℃で50mm/minで引っ張る条件で、Instron社のUTM 3365を用いて測定した。モジュラスの単位はGpaであり、破断伸びの単位は%である。
4.粘度(VPAI
粘度は、Plate rheometer(Brookfield社、LVDV-III Ultra)により、ポリアミドイミド前駆体組成物(固形分の濃度:17重量%)0.5μLを容器に入れ、スピンドルを下げ、rpmを調節してトルクが80%となる時点で2分間待機した後、トルクの変化がないときの粘度値を測定した。この際、前記粘度は、52Zスピンドルを用いて、25℃の温度条件で測定した。単位はcpである。
<実施例1>
ポリアミドイミド前駆体組成物の製造
窒素雰囲気下で、反応器にジメチルプロピオンアミド(N,N-dimethylpropionamide、DMPA)および2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)-benzidine、TFMB)を入れ、十分に撹拌させた後、塩化テレフタロイル(Terephthaloyl chloride、TPC)を入れ、6時間撹拌して溶解および反応させた。その後、過量のメタノールを用いて沈殿および濾過させて得た反応生成物を50℃で6時間以上真空乾燥し、白色粉末を得た。その次に、上記のような条件でTFMBと塩化イソフタロイル(Isophthaloyl chloride、IPC)を反応させて6時間撹拌した後、同様の方法で沈殿および乾燥させた後に白色粉末を得た。得られた白色粉末を窒素雰囲気下で反応器にDMPAとともに入れて溶解させた後、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene dianhydride、BPAF)を入れ、12時間撹拌して溶解および反応させ、ポリアミック酸樹脂組成物を製造した。この際、各単量体のモル比は下記表1のとおりであり、固形分含量を15重量%となるように調節し、ポリアミドイミド前駆体組成物としてポリアミドイミドフィルム形成用組成物を製造した。
ポリアミドイミドフィルムの製造
ガラス基板(1.0T)の一面に、得られた前記ポリアミドイミドフィルム形成用組成物をメイヤーバーで塗布し、窒素雰囲気下で、80℃で15分間乾燥させた後、300℃で15分間加熱して硬化し、ガラス基板から剥離し、厚さ50μmのポリアミドイミドフィルムを製造した。
<実施例2~実施例5>
TFMB、BPAF、TPC、およびIPCのモル比を下記表1のように変更したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で実施例2~実施例5のポリアミドイミド前駆体組成物をそれぞれ製造し、前記実施例1と同様の方法で厚さ50μmの実施例2~実施例5のポリアミドイミドフィルムをそれぞれ製造した。
<比較例1>
実施例1において、TPCの代わりに2,5-フランジカルボニルジクロライド(2,5-Furandicarbonyl dichloride、FDCACl)を用いたことを除いては、前記実施例1と同様の方法で比較例1のポリアミドイミド前駆体組成物を製造し、前記実施例1と同様の方法で厚さ50μmの比較例1のポリアミドイミドフィルムを製造した。
Figure 2023033247000009
<実験例1>光学的物性および機械的物性の評価
前記実施例1~実施例5および比較例1によるポリアミドイミドフィルムのモジュラス、厚さ方向位相差(Rth)、黄色度(YI)、および破断伸びを前記測定方法により測定し、下記表2に示した。
Figure 2023033247000010
前記表2から確認できるように、二酸二塩化物としてTPCを含まない比較例1の場合、実施例のポリアミドイミドフィルムに比べて、モジュラスおよび破断伸びが減少するだけでなく、黄色度が顕著に高くなり、ディスプレイ装置用ポリアミドイミドフィルムとして用いるのに適していなかった。
<実施例6>
ポリアミドイミド前駆体組成物の製造
窒素雰囲気下で、反応器にジメチルプロピオンアミド(N,N-dimethylpropionamide、DMPA)および2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジジン(2,2’-Bis(trifluoromethyl)-benzidine、TFMB)を入れ、十分に撹拌させた後、塩化テレフタロイル(Terephthaloyl chloride、TPC)を入れ、6時間撹拌して溶解および反応させた。その後、過量のメタノールを用いて沈殿および濾過させて得た反応生成物を50℃で6時間以上真空乾燥し、白色粉末を得た。その次に、上記のような条件でTFMBと塩化イソフタロイル(Isophthaloyl chloride、IPC)を反応させて6時間撹拌した後、同様の方法で沈殿および乾燥させ、白色粉末を得た。得られた粉末を窒素雰囲気下で反応器にDMPAとともに入れて溶解させた後、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene dianhydride、BPAF)を入れ、12時間撹拌して溶解および反応させ、ポリアミック酸樹脂組成物を製造した。この際、各単量体のモル比は下記表3のとおりである。
その次に、25℃でトルエン(Toluene)を投入し、18時間撹拌した。その後、組成物の総重量を基準として固形分含量が17重量%となり、組成物中のトルエン含有量がDMPA:トルエン=70重量%:30重量%となるようにDMPAとトルエンの混合溶媒を添加し、ポリアミドイミド前駆体組成物を製造した。この際、各単量体のモル比は下記表3のとおりである。
ポリアミドイミドフィルムの製造
ガラス基板(1.0T)の一面に、得られた前記ポリアミドイミド前駆体組成物をメイヤーバーで塗布し、窒素雰囲気下で、80℃で15分間乾燥させた後、300℃で15分間加熱して硬化し、ガラス基板から剥離し、実施例6による厚さ50μmのポリアミドイミドフィルムを製造した。
<実施例7~実施例11および参照例1~参照例4>
TFMB、BPAF、TPC、およびIPCのモル比、およびトルエンの含量を下記表3のように変更したことを除いては、前記実施例6と同様の方法で実施例7~実施例11および参照例1~参照例4のポリアミドイミド前駆体組成物をそれぞれ製造し、前記実施例6と同様の方法で厚さ50μmの実施例7~実施例11および参照例1~参照例4のポリアミドイミドフィルムをそれぞれ製造した。
Figure 2023033247000011
<実験例2>光学的物性および機械的物性の評価
前記実施例6~実施例11および参照例1~参照例4によるポリアミドイミドフィルムの粘度、黄色度(YI)、厚さ方向位相差(Rth)、およびモジュラスを前記測定方法により測定し、下記表4に示した。
Figure 2023033247000012
上記の実施例および実験例は一実施形態の全般的な理解のために提供されたものにすぎず、一実施形態は上記の実施例に限定されない。本明細書に記載された技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。
したがって、一実施形態の思想は、説明された実施例に限定されて決まってはならず、後述の特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形を有するものは、いずれも一実施形態の思想の範囲に属するといえる。

Claims (23)

  1. ジアミンから誘導された構造単位、二無水物から誘導された構造単位、および二酸二塩化物から誘導された構造単位を含むポリアミドイミド前駆体を含むポリアミドイミド前駆体組成物であって、
    前記ジアミンから誘導された構造単位は、下記化学式1で表される化合物から誘導された構造単位を含み、前記二無水物から誘導された構造単位は、下記化学式2で表される化合物から誘導された構造単位を含み、前記二酸二塩化物から誘導された構造単位は、下記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位および下記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位を含む、ポリアミドイミド前駆体組成物。
    [化学式1]
    Figure 2023033247000013
    [化学式2]
    Figure 2023033247000014
    [化学式3]
    Figure 2023033247000015
    [化学式4]
    Figure 2023033247000016
  2. 前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位は、前記化学式3で表される化合物から誘導された構造単位および前記化学式4で表される化合物から誘導された構造単位の全体100モル%を基準として、50モル%超過90モル%未満の量で含まれる、請求項1に記載のポリアミドイミド前駆体組成物。
  3. 前記二無水物から誘導された構造単位と前記二酸二塩化物から誘導された構造単位のモル比が5:95~95:5である、請求項1に記載のポリアミドイミド前駆体組成物。
  4. 前記ポリアミドイミド前駆体組成物の固形分は、
    前記ポリアミドイミド前駆体組成物の総重量に対して10重量%~40重量%で含まれる、請求項1に記載のポリアミドイミド前駆体組成物。
  5. アミド系溶媒および炭化水素系溶媒を含む混合溶媒をさらに含む、請求項1に記載のポリアミドイミド前駆体組成物。
  6. 下記式1を満たす、請求項5に記載のポリアミドイミド前駆体組成物。
    [式1]
    6,000≦VPAI≦14,000
    前記式1中、
    PAIは、前記ポリアミドイミド前駆体組成物の総重量に対して、固形分含量が17重量%であるときのポリアミドイミド前駆体組成物の粘度であり、前記粘度は、ブルックフィールド回転粘度計により、25℃で52Zスピンドルを用いてトルク80%、2分を基準として測定された粘度(単位:cp)である。
  7. 前記アミド系溶媒は、ジメチルプロピオンアミドを含む、請求項5に記載のポリアミドイミド前駆体組成物。
  8. 前記炭化水素系溶媒は、環状炭化水素系溶媒である、請求項5に記載のポリアミドイミド前駆体組成物。
  9. 前記環状炭化水素系溶媒は、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載のポリアミドイミド前駆体組成物。
  10. 前記炭化水素系溶媒は、前記アミド系溶媒の重量に対して5重量%~100重量%で含まれる、請求項5に記載のポリアミドイミド前駆体組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載のポリアミドイミド前駆体組成物から形成されたポリアミドイミドフィルム。
  12. 前記ポリアミドイミドフィルムは、ASTM E111に準じたモジュラスが4.0GPa以上であり、550nmの波長における厚さ方向位相差(Rth)の絶対値が1000nm以下である、請求項11に記載のポリアミドイミドフィルム。
  13. 前記ポリアミドイミドフィルムは、厚さが30μm~100μmであり、ASTM E313に準じた黄色度(YI)が4.0以下である、請求項11に記載のポリアミドイミドフィルム。
  14. 前記ポリアミドイミドフィルムは、破断伸びが10%以上である、請求項11に記載のポリアミドイミドフィルム。
  15. 請求項1~10のいずれか一項に記載のポリアミドイミド前駆体組成物を基板に塗布した後に熱処理するステップを含む、ポリアミドイミドフィルムの製造方法。
  16. 前記熱処理するステップの前に、50℃~150℃で乾燥するステップをさらに含む、請求項15に記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
  17. 前記熱処理は、280℃~350℃の温度で10分~60分間行う、請求項15に記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
  18. アミド系溶媒下で、下記化学式1で表される化合物を含むジアミン、下記化学式2で表される化合物を含む二無水物、および下記化学式3で表される化合物および下記化学式4で表される化合物を含む二酸二塩化物を反応させ、ポリアミック酸溶液を製造するステップ(ステップi)と、
    炭化水素系溶媒を投入するステップ(ステップii)と、
    を含む、請求項5に記載のポリアミドイミド前駆体組成物の製造方法。
    [化学式1]
    Figure 2023033247000017
    [化学式2]
    Figure 2023033247000018
    [化学式3]
    Figure 2023033247000019
    [化学式4]
    Figure 2023033247000020
  19. 前記ステップiiは、
    前記ステップiのアミド系溶媒の重量に対して5重量%~100重量%の炭化水素系溶媒を投入して撹拌するステップと、
    アミド系溶媒と炭化水素系溶媒を含む混合溶媒を追加投入するステップと、を含む、請求項18に記載のポリアミドイミド前駆体組成物の製造方法。
  20. 前記ステップiiは、下記式1を満たすように炭化水素系溶媒を投入して粘度を調節するステップである、請求項18に記載のポリアミドイミド前駆体組成物の製造方法。
    [式1]
    6,000≦VPAI≦14,000
    前記式1中、
    PAIは、前記ポリアミドイミド前駆体組成物の総重量に対して、固形分含量が17重量%であるときのポリアミドイミド前駆体組成物の粘度であり、前記粘度は、ブルックフィールド回転粘度計により、25℃で52Zスピンドルを用いてトルク80%、2分を基準として測定された粘度(単位:cp)である。
  21. 請求項11に記載のポリアミドイミドフィルムと、
    前記ポリアミドイミドフィルム上に位置するコーティング層と、
    を含む、ディスプレイ装置用カバーウィンドウ。
  22. 前記コーティング層は、ハードコーティング層、帯電防止層、指紋防止層、防汚層、スクラッチ防止層、低屈折層、反射防止層、衝撃吸収層、またはこれらの組み合わせである、請求項21に記載のディスプレイ装置用カバーウィンドウ。
  23. 請求項11に記載のポリアミドイミドフィルムを含むディスプレイ装置。
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