JP2023032716A - 真空ポンプおよび固定部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ねじ溝ポンプ部のガス流路へのガス分子の堆積を抑制できるとともに、固定翼の最下段の近傍のガス流路へのガス分子の堆積を抑制できる真空ポンプおよび固定部品を提供する。【解決手段】ケーシング210と、ロータ軸113と、複数段の回転翼102と、ケーシング210に対して固定される複数段の固定翼123と、複数段の回転翼102および複数段の固定翼123の下流側に配置された、ねじ溝ポンプ部の一部を構成するねじ溝スペーサ131と、ねじ溝スペーサ131を支持し加熱するヒータスペーサ260と、を備えた真空ポンプ100であって、ねじ溝スペーサ13は、ねじ溝ポンプ部の一部を構成するポンプ側固定部138と、複数段の固定翼123のうち最下段の固定翼123fを支持する固定翼支持部135と、ポンプ側固定部138から固定翼支持部135への熱の移動を制限する熱抵抗増加構造137と、を備えている。【選択図】図5

Description

本発明は、真空ポンプおよび固定部品に関する。
半導体製造装置、液晶製造装置、電子顕微鏡、表面分析装置または微細加工装置等は、装置内の環境を高度の真空状態にすることが必要である。これらの装置の内部を高度の真空状態とするために、真空ポンプが用いられている。使用される真空ポンプの例として、例えば、ターボ分子ポンプとねじ溝ポンプとを組み合わせた複合ポンプが挙げられる。
ターボ分子ポンプとねじ溝ポンプとを組み合わせた真空ポンプは、例えば特許文献1に開示されるように、軸方向に交互に配列された回転翼および固定翼を有するターボポンプの下流側に、ねじ溝ポンプが配置される。吸気口より取込まれた排気ガスは、ターボ分子ポンプとねじ溝ポンプによって圧縮されて、排気口より真空ポンプの外部に排出される。
ねじ溝ポンプは、回転するロータ円筒部と、ロータを収容するケーシング側のねじ溝スぺーサにより構成される。ロータ円筒部またはねじ溝スぺーサの対向する表面には、ねじ溝が形成される。このため、ロータ円筒部がねじ溝スぺーサの内部で回転することで、気体を排気口側へ移送することができる。
排気ガスは、ターボ分子ポンプでは、分子流の挙動を示すが、ねじ溝ポンプおよびそれよりも下流の流路においては、比較的圧力が高くなっていることで、粘性流のような挙動を示す。このため、ねじ溝ポンプおよびそれよりも下流の流路の、排気ガスの流れが淀む箇所で、副生成物が析出しやすい。このため、ねじ溝スぺーサは、排気ガス中の副生成物の析出により流路が閉塞しないように、ヒータなどで高温化される。
特開2019-90398号公報
ところで、近年、真空ポンプの排気ガスの高流量化が進んでいる。これにより、ターボポンプの固定翼においても、ガスが固化して堆積する現象が発生している。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ねじ溝ポンプ部のガス流路へのガス分子の堆積を抑制できるとともに、固定翼の最下段の近傍のガス流路へのガス分子の堆積を抑制できる真空ポンプおよび固定部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る真空ポンプは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に、回転自在に支持されたロータ軸と、前記ロータ軸に固定され、前記ロータ軸と共に回転可能な複数段の回転翼と、前記ケーシングに対して固定され、かつ、前記複数段の回転翼間に配置される複数段の固定翼と、前記複数段の回転翼および前記複数段の固定翼の下流側に配置された、ねじ溝ポンプ部の一部を構成する固定部品と、前記固定部品を支持し加熱する加熱部品と、を備えた真空ポンプであって、前記固定部品は、前記ねじ溝ポンプ部の一部を構成するポンプ側固定部と、前記複数段の固定翼のうち最下段の固定翼を支持する固定翼支持部と、前記ポンプ側固定部から前記固定翼支持部への熱の移動を制限する熱抵抗増加構造と、を備えたことを特徴とする。
上記目的を達成する本発明に係る固定部品は、真空ポンプの複数段の回転翼および複数段の固定翼の下流側に配置されて、ねじ溝ポンプ部の一部を構成する固定部品であって、前記ねじ溝ポンプ部の一部を構成するポンプ側固定部と、前記複数段の固定翼のうち最下段の固定翼を支持する固定翼支持部と、前記ポンプ側固定部から前記固定翼支持部への熱の移動を制限する熱抵抗増加構造と、を備えたことを特徴とする。
上記のように構成した真空ポンプおよび固定部品は、熱抵抗増加構造により、ポンプ側固定部および固定翼支持部へ伝わる熱を適切に設定できる。このため、ねじ溝ポンプ部のガス流路にガス分子が堆積することを抑制できるとともに、固定翼の最下段の近傍のガス流路にガス分子が堆積することを抑制できる。
前記熱抵抗増加構造は、前記ポンプ側固定部から前記固定翼支持部へ向かう熱の移動経路と垂直な面における断面積を部分的に減少させた構造であってもよい。これにより、加熱部品からポンプ側固定部へ伝わった熱が、固定翼支持部へ伝わることを効果的に抑制できるため、ポンプ側固定部および固定翼支持部へ伝わる熱を適切に設定できる。
前記真空ポンプは、前記最下段の固定翼よりも上流側の固定翼に対して、熱的に大きく影響する冷却手段を有してもよい。これにより、固定翼支持部により最下段の固定翼を加熱する際に、加熱を必要としない上流側の固定翼も加熱されることによる真空ポンプ内、特に回転翼の昇温によって、排気性能が低下することを抑制できる。
前記固定部品および前記複数段の固定翼の少なくとも一部は、上流側で前記ケーシングに対して直接的または間接的に固定されてもよい。これにより、固定部品および固定翼を加熱する熱が、下流側からケーシングへ逃げることを抑制できるため、固定部品および固定翼を効果的に加熱し、ガス分子の堆積を効果的に抑制できる。
前記固定部品の熱伝導率は、前記加熱部品の熱伝導率よりも大きくてもよい。これにより、熱を伝達することが要求される固定部品では熱伝導率を大きく設定し、高温時の構造的な強度が要求される加熱部品では、熱伝導率を小さく設定して構造的な強度を優先できる。
真空ポンプの縦断面図である。 アンプ回路の回路図である。 電流指令値が検出値より大きい場合の制御を示すタイムチャートである。 電流指令値が検出値より小さい場合の制御を示すタイムチャートである。 実施形態に係る真空ポンプの縦断面図である。 図5の円に囲まれた範囲を拡大して示す縦断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の実施形態に係る真空ポンプ100は、高速回転する回転体の回転ブレードが気体分子を弾き飛ばすことによりガスを排気するターボ分子ポンプ100である。ターボ分子ポンプ100は、例えば半導体製造装置等のチャンバからガスを吸引して排気するために使用される。まず、ターボ分子ポンプ100の基本構成について説明する。
このターボ分子ポンプ100の縦断面図を図1に示す。図1において、ターボ分子ポンプ100は、円筒状の外筒127の上端に吸気口101が形成されている。そして、外筒127の内方には、ガスを吸引排気するためのタービンブレードである複数の回転翼102(102a、102b、102c・・・)を周部に放射状かつ多段に形成した回転体103が備えられている。この回転体103の中心にはロータ軸113が取り付けられており、このロータ軸113は、例えば5軸制御の磁気軸受により空中に浮上支持かつ位置制御されている。回転体103は、一般的に、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属によって構成されている。
上側径方向電磁石104は、4個の電磁石がX軸とY軸とに対をなして配置されている。この上側径方向電磁石104に近接して、かつ上側径方向電磁石104のそれぞれに対応して4個の上側径方向センサ107が備えられている。上側径方向センサ107は、例えば伝導巻線を有するインダクタンスセンサや渦電流センサなどが用いられ、ロータ軸113の位置に応じて変化するこの伝導巻線のインダクタンスの変化に基づいてロータ軸113の位置を検出する。この上側径方向センサ107はロータ軸113、すなわちそれに固定された回転体103の径方向変位を検出し、制御装置200に送るように構成されている。
この制御装置200においては、例えばPID調節機能を有する補償回路が、上側径方向センサ107によって検出された位置信号に基づいて、上側径方向電磁石104の励磁制御指令信号を生成し、図2に示すアンプ回路150(後述する)が、この励磁制御指令信号に基づいて、上側径方向電磁石104を励磁制御することで、ロータ軸113の上側の径方向位置が調整される。
そして、このロータ軸113は、高透磁率材(鉄、ステンレスなど)などにより形成され、上側径方向電磁石104の磁力により吸引されるようになっている。かかる調整は、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ独立して行われる。また、下側径方向電磁石105及び下側径方向センサ108が、上側径方向電磁石104及び上側径方向センサ107と同様に配置され、ロータ軸113の下側の径方向位置を上側の径方向位置と同様に調整している。
さらに、軸方向電磁石106A、106Bが、ロータ軸113の下部に備えた円板状の金属ディスク111を上下に挟んで配置されている。金属ディスク111は、鉄などの高透磁率材で構成されている。ロータ軸113の軸方向変位を検出するために軸方向センサ109が備えられ、その軸方向位置信号が制御装置200に送られるように構成されている。
そして、制御装置200において、例えばPID調節機能を有する補償回路が、軸方向センサ109によって検出された軸方向位置信号に基づいて、軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bのそれぞれの励磁制御指令信号を生成し、アンプ回路150が、これらの励磁制御指令信号に基づいて、軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bをそれぞれ励磁制御することで、軸方向電磁石106Aが磁力により金属ディスク111を上方に吸引し、軸方向電磁石106Bが金属ディスク111を下方に吸引し、ロータ軸113の軸方向位置が調整される。
このように、制御装置200は、この軸方向電磁石106A、106Bが金属ディスク111に及ぼす磁力を適当に調節し、ロータ軸113を軸方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持するようになっている。なお、これら上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bを励磁制御するアンプ回路150については、後述する。
一方、モータ121は、ロータ軸113を取り囲むように周状に配置された複数の磁極を備えている。各磁極は、ロータ軸113との間に作用する電磁力を介してロータ軸113を回転駆動するように、制御装置200によって制御されている。また、モータ121には図示しない例えばホール素子、レゾルバ、エンコーダなどの回転速度センサが組み込まれており、この回転速度センサの検出信号によりロータ軸113の回転速度が検出されるようになっている。
さらに、例えば下側径方向センサ108近傍に、図示しない位相センサが取り付けてあり、ロータ軸113の回転の位相を検出するようになっている。制御装置200では、この位相センサと回転速度センサの検出信号を共に用いて磁極の位置を検出するようになっている。
回転翼102(102a、102b、102c・・・)とわずかの空隙を隔てて複数枚の固定翼123(123a、123b、123c・・・)が配設されている。回転翼102(102a、102b、102c・・・)は、それぞれ排気ガスの分子を衝突により下方向に移送するため、ロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成されている。固定翼123(123a、123b、123c・・・)は、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
また、固定翼123も、同様にロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成され、かつ外筒127の内方に向けて回転翼102の段と互い違いに配設されている。そして、固定翼123の外周端は、複数の段積みされた固定翼スペーサ125(125a、125b、125c・・・)の間に嵌挿された状態で支持されている。
固定翼スペーサ125はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。固定翼スペーサ125の外周には、わずかの空隙を隔てて外筒127が固定されている。外筒127の底部にはベース部129が配設されている。ベース部129には排気口133が形成され、外部に連通されている。チャンバ(真空チャンバ)側から吸気口101に入ってベース部129に移送されてきた排気ガスは、排気口133へと送られる。
さらに、ターボ分子ポンプ100の用途によって、固定翼スペーサ125の下部とベース部129の間には、ねじ溝スぺーサ131(固定部材)が配設される。ねじ溝スぺーサ131は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、又はこれらの金属を成分とする合金などの金属によって構成された円筒状の部材であり、その内周面に螺旋状のねじ溝131aが複数条刻設されている。ねじ溝131aの螺旋の方向は、回転体103の回転方向に排気ガスの分子が移動したときに、この分子が排気口133の方へ移送される方向である。回転体103の回転翼102(102a、102b、102c・・・)に続く最下部には円筒部102dが垂下されている。この円筒部102dの外周面は、円筒状で、かつねじ溝スぺーサ131の内周面に向かって張り出されており、このねじ溝スぺーサ131の内周面と所定のギャップ量を隔てて近接されている。回転翼102および固定翼123によってねじ溝131aに移送されてきた排気ガスは、ねじ溝131aに案内されつつベース部129へと送られる。
ベース部129は、ターボ分子ポンプ100の基底部を構成する円盤状の部材であり、一般には鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属によって構成されている。ベース部129はターボ分子ポンプ100を物理的に保持すると共に、熱の伝導路の機能も兼ね備えているので、鉄、アルミニウムや銅などの剛性があり、熱伝導率も高い金属が使用されるのが望ましい。
かかる構成において、回転翼102がロータ軸113と共にモータ121により回転駆動されると、回転翼102と固定翼123の作用により、吸気口101を通じてチャンバから排気ガスが吸気される。回転翼102の回転速度は通常20000rpm~90000rpmであり、回転翼102の先端での周速度は200m/s~400m/sに達する。吸気口101から吸気された排気ガスは、回転翼102と固定翼123の間を通り、ベース部129へ移送される。このとき、排気ガスが回転翼102に接触する際に生ずる摩擦熱や、モータ121で発生した熱の伝導などにより、回転翼102の温度は上昇するが、この熱は、輻射又は排気ガスの気体分子などによる伝導により固定翼123側に伝達される。
固定翼スペーサ125は、外周部で互いに接合しており、固定翼123が回転翼102から受け取った熱や排気ガスが固定翼123に接触する際に生ずる摩擦熱などを外部へと伝達する。
なお、上記では、ねじ溝スぺーサ131は回転体103の円筒部102dの外周に配設し、ねじ溝スぺーサ131の内周面にねじ溝131aが刻設されているとして説明した。しかしながら、これとは逆に円筒部102dの外周面にねじ溝が刻設され、その周囲に円筒状の内周面を有するスペーサが配置される場合もある。
また、ターボ分子ポンプ100の用途によっては、吸気口101から吸引されたガスが上側径方向電磁石104、上側径方向センサ107、モータ121、下側径方向電磁石105、下側径方向センサ108、軸方向電磁石106A、106B、軸方向センサ109などで構成される電装部に侵入することのないよう、電装部は周囲をステータコラム122で覆われ、このステータコラム122内はパージガスにて所定圧に保たれる場合もある。
この場合には、ベース部129には図示しない配管が配設され、この配管を通じてパージガスが導入される。導入されたパージガスは、保護ベアリング120とロータ軸113間、モータ121のロータとステータ間、ステータコラム122と回転翼102の内周側円筒部の間の隙間を通じて排気口133へ送出される。
ここに、ターボ分子ポンプ100は、機種の特定と、個々に調整された固有のパラメータ(例えば、機種に対応する諸特性)に基づいた制御を要する。この制御パラメータを格納するために、上記ターボ分子ポンプ100は、その本体内に電子回路部141を備えている。電子回路部141は、EEP-ROM等の半導体メモリ及びそのアクセスのための半導体素子等の電子部品、それらの実装用の基板143等から構成される。この電子回路部141は、ターボ分子ポンプ100の下部を構成するベース部129の例えば中央付近の図示しない回転速度センサの下部に収容され、気密性の底蓋145によって閉じられている。
ところで、半導体の製造工程では、チャンバに導入されるプロセスガスの中には、その圧力が所定値よりも高くなり、或いは、その温度が所定値よりも低くなると、固体となる性質を有するものがある。ターボ分子ポンプ100内部では、排気ガスの圧力は、吸気口101で最も低く排気口133で最も高い。プロセスガスが吸気口101から排気口133へ移送される途中で、その圧力が所定値よりも高くなったり、その温度が所定値よりも低くなったりすると、プロセスガスは、固体状となり、ターボ分子ポンプ100内部に付着して堆積する。
例えば、Alエッチング装置にプロセスガスとしてSiClが使用された場合、低真空(760[torr]~10-2[torr])かつ、低温(約20[℃])のとき、固体生成物(例えばAlCl)が析出し、ターボ分子ポンプ100内部に付着堆積することが蒸気圧曲線からわかる。これにより、ターボ分子ポンプ100内部にプロセスガスの析出物が堆積すると、この堆積物がポンプ流路を狭め、ターボ分子ポンプ100の性能を低下させる原因となる。そして、前述した生成物は、排気口133付近やねじ溝スぺーサ131付近の圧力が高い部分で凝固、付着し易い状況にあった。
そのため、この問題を解決するために、従来はベース部129等の外周に図示しないヒータや環状の水冷管149を巻着させ、かつ例えばベース部129に図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)を埋め込み、この温度センサの信号に基づいてベース部129の温度を一定の高い温度(設定温度)に保つようにヒータの加熱や水冷管149による冷却の制御(以下TMSという。TMS;Temperature Management System)が行われている。
次に、このように構成されるターボ分子ポンプ100に関して、その上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bを励磁制御するアンプ回路150について説明する。このアンプ回路150の回路図を図2に示す。
図2において、上側径方向電磁石104等を構成する電磁石巻線151は、その一端がトランジスタ161を介して電源171の正極171aに接続されており、また、その他端が電流検出回路181及びトランジスタ162を介して電源171の負極171bに接続されている。そして、トランジスタ161、162は、いわゆるパワーMOSFETとなっており、そのソース-ドレイン間にダイオードが接続された構造を有している。
このとき、トランジスタ161は、そのダイオードのカソード端子161aが正極171aに接続されるとともに、アノード端子161bが電磁石巻線151の一端と接続されるようになっている。また、トランジスタ162は、そのダイオードのカソード端子162aが電流検出回路181に接続されるとともに、アノード端子162bが負極171bと接続されるようになっている。
一方、電流回生用のダイオード165は、そのカソード端子165aが電磁石巻線151の一端に接続されるとともに、そのアノード端子165bが負極171bに接続されるようになっている。また、これと同様に、電流回生用のダイオード166は、そのカソード端子166aが正極171aに接続されるとともに、そのアノード端子166bが電流検出回路181を介して電磁石巻線151の他端に接続されるようになっている。そして、電流検出回路181は、例えばホールセンサ式電流センサや電気抵抗素子で構成されている。
以上のように構成されるアンプ回路150は、一つの電磁石に対応されるものである。そのため、磁気軸受が5軸制御で、電磁石104、105、106A、106Bが合計10個ある場合には、電磁石のそれぞれについて同様のアンプ回路150が構成され、電源171に対して10個のアンプ回路150が並列に接続されるようになっている。
さらに、アンプ制御回路191は、例えば、制御装置200の図示しないディジタル・シグナル・プロセッサ部(以下、DSP部という)によって構成され、このアンプ制御回路191は、トランジスタ161、162のon/offを切り替えるようになっている。
アンプ制御回路191は、電流検出回路181が検出した電流値(この電流値を反映した信号を電流検出信号191cという)と所定の電流指令値とを比較するようになっている。そして、この比較結果に基づき、PWM制御による1周期である制御サイクルTs内に発生させるパルス幅の大きさ(パルス幅時間Tp1、Tp2)を決めるようになっている。その結果、このパルス幅を有するゲート駆動信号191a、191bを、アンプ制御回路191からトランジスタ161、162のゲート端子に出力するようになっている。
なお、回転体103の回転速度の加速運転中に共振点を通過する際や定速運転中に外乱が発生した際等に、高速かつ強い力での回転体103の位置制御をする必要がある。そのため、電磁石巻線151に流れる電流の急激な増加(あるいは減少)ができるように、電源171としては、例えば50V程度の高電圧が使用されるようになっている。また、電源171の正極171aと負極171bとの間には、電源171の安定化のために、通常コンデンサが接続されている(図示略)。
かかる構成において、トランジスタ161、162の両方をonにすると、電磁石巻線151に流れる電流(以下、電磁石電流iLという)が増加し、両方をoffにすると、電磁石電流iLが減少する。
また、トランジスタ161、162の一方をonにし他方をoffにすると、いわゆるフライホイール電流が保持される。そして、このようにアンプ回路150にフライホイール電流を流すことで、アンプ回路150におけるヒステリシス損を減少させ、回路全体としての消費電力を低く抑えることができる。また、このようにトランジスタ161、162を制御することにより、ターボ分子ポンプ100に生じる高調波等の高周波ノイズを低減することができる。さらに、このフライホイール電流を電流検出回路181で測定することで電磁石巻線151を流れる電磁石電流iLが検出可能となる。
すなわち、検出した電流値が電流指令値より小さい場合には、図3に示すように制御サイクルTs(例えば100μs)中で1回だけ、パルス幅時間Tp1に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をonにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、正極171aから負極171bへ、トランジスタ161、162を介して流し得る電流値iLmax(図示せず)に向かって増加する。
一方、検出した電流値が電流指令値より大きい場合には、図4に示すように制御サイクルTs中で1回だけパルス幅時間Tp2に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をoffにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、負極171bから正極171aへ、ダイオード165、166を介して回生し得る電流値iLmin(図示せず)に向かって減少する。
そして、いずれの場合にも、パルス幅時間Tp1、Tp2の経過後は、トランジスタ161、162のどちらか1個をonにする。そのため、この期間中は、アンプ回路150にフライホイール電流が保持される。
次に、本実施形態に係る真空ポンプ100について説明する。
真空ポンプ100は、図5および6に示すように、真空ポンプ100の外殻を形成するケーシング210が、複数の部品で構成されている。具体的には、ケーシング210は、上ケース220と、冷却スペーサ230と、アウターウォール240と、ベース部129と、を備える。ケーシング210は、ベース部129を底部とする略円筒形状から成り、その内部空間に、後述する各種内装部品が設置される。これら各部品は同軸上に配置され、ボルト等の締結部材で一体に連結されている。冷却スペーサ230およびアウターウォール240は、ボルト等により連結されて、低温の外部ユニットを構成する。
さらに、真空ポンプ100は、冷却スペーサ230およびアウターウォール240の内側に、インナースペーサ250と、ヒータスペーサ260(加熱部品)と、ねじ溝スぺーサ131と(固定部品)とが設けられている。上ケース220と冷却スペーサ230との間はシールリング271によりシールされ、インナースペーサ250とアウターウォール240との間はシールリング272によりシールされる。インナースペーサ250とヒータスペーサ260との間はシールリング273よりシールされ、ヒータスペーサ260とベース部129との間はシールリング274によりシールされている。シールリング271、272、273、274は、一般的には、Oリングが用いられる。
上ケース220の上端部側には、吸気口101が配置され、ベース部129の上流側にあるヒータスペーサ260には、排気口133が配置されている。
冷却スペーサ230は、円筒状に形成されており、その内部に、冷却するために水が流れる水冷管231が配設されている。水冷管231は、円周方向に沿って略一周配設されている。水冷管231には、真空ポンプ100の内装部品を冷却するために水が流れている。なお、水の代わりにクーラント等の各種冷却用の媒体が用いられてもよい。冷却スペーサ230は、内周面に、上流側よりも下流側で内径が大きくなる固定翼固定段差232が形成されている。固定翼固定段差232は、最下段から上流側へ3つ目の固定翼123dの上流側の面を、上流側から押圧して固定している。
冷却スペーサ230は、内装部品である複数の固定翼123のうち少なくとも1つと熱的に接触している。本実施形態において、冷却スペーサ230は、最下段から上流側に3つ目の固定翼123dおよび4つ目の固定翼123cと接触している。このため、水冷管231を流れる水により、複数の固定翼123のうちの少なくとも1つが冷却される。ここで、「熱的に接触」とは、熱交換可能に接続されていることと同義である。すなわち、複数の固定翼123の少なくとも1つは、冷却スペーサ230と熱的に接触し、両者間で直接または間接的に熱交換がなされ、その結果、複数の固定翼123の少なくとも1つが冷却スペーサ230によって冷却される構成であればよい。換言すれば、複数の固定翼の少なくとも1つと冷却スペーサ230との間に断熱部材が介在しない構成にすればよい。
アウターウォール240は、円筒状に形成されており、軸方向において、冷却スペーサ230とベース部129との間に配置される。アウターウォール240は、インナースペーサ250およびヒータスペーサ260の外周面を覆うように、インナースペーサ250およびヒータスペーサ260から離れて設けられている。
インナースペーサ250は、円筒状に形成されており、アウターウォール240の内側に配置される。インナースペーサ250は、軸方向において、冷却スペーサ230とヒータスペーサ260との間に配置される。インナースペーサ250は、冷却スペーサ230とヒータスペーサ260との間で、断熱部材として機能する。
ヒータスペーサ260は、ねじ溝スぺーサ131および最下段の固定翼123fを加熱するために設けられる。ヒータスペーサ260は、略円筒状に形成されており、アウターウォール240の内側に配置される。ヒータスペーサ260は、軸方向において、インナースペーサ250とベース部129との間に配置されており、ねじ溝スぺーサ131の外周面を覆うように設けられている。ヒータスペーサ260は、例えば高温時でも耐力の低下が少なく、熱による変形が起こり難いステンレス材料により形成される。ヒータスペーサ260には周方向に沿って複数の孔が設けられており、これらの孔に加熱源であるヒータ261が挿入されている。
ヒータ261の熱により、ヒータスペーサ260を介してねじ溝スぺーサ131が加熱されると、ガス流路を流れるガスが加熱される。これにより、ガス流路を流れるガスの液化や固化を防止でき、特に、ガス流路(特にねじ溝)内にガス分子が固体生成物として堆積することを防止できる。本真空ポンプ100は、上記ガス流路における排気性能を向上させる為、回転体103の円筒部102dとねじ溝スペーサ131との隙間は非常に狭いギャップとなっているが、上述のねじ溝スペーサ131の加熱により、ガス流路で固化し堆積するガス分子と回転体103の円筒部102dとの接触を防ぐことができる。その結果、回転体103と堆積したガス分子との接触による不具合を防止することができる。
ヒータスペーサ260は、上流側の面に、ねじ溝スぺーサ131と接する平滑な加熱側接触面262を有している。加熱側接触面262の径方向内側の端部である内縁部263は、ねじ溝スぺーサ131に形成される段差132と嵌合している。
ヒータスペーサ260に接触するねじ溝スぺーサ131は、ねじ溝ポンプ部の一部を構成するポンプ側固定部138と、ポンプ側固定部138から径方向外側へ延びるリング状の中間部134と、複数段の固定翼123のうち最下段の固定翼123fを支持する固定翼支持部135と、を備えている。
ポンプ側固定部138は、ねじ溝131aが刻設された内周面を備えている。
中間部134は、ヒータスペーサ260の加熱側接触面262と接触する平滑な固定部品側接触面136と、固定部品側接触面136の径方向内側に配置される段差132と、ポンプ側固定部138から固定翼支持部135への熱の移動を制限する熱抵抗増加構造137と、を備えている。
固定部品側接触面136は、ポンプ側固定部138の上流側の部位から径方向外側へ延びる部位の下流側を向く面に平滑に形成され、ヒータスペーサ260の加熱側接触面262と密着している。固定部品側接触面136は、ヒータスペーサ260から熱を伝達される部位である。段差132は、ヒータスペーサ260の内縁部263が嵌合する。これにより、ヒータスペーサ260とねじ溝スぺーサ131は、同軸上に正確に位置決めされる。
熱抵抗増加構造137は、ポンプ側固定部138から固定翼支持部135へ向かう熱の移動経路Mと垂直な面における断面積を部分的に減少させた構造である。なお、中間部134において、ポンプ側固定部138から固定翼支持部135へ向かう熱の移動経路Mは、径方向の内側から外側へ放射状に延びている。熱抵抗増加構造137は、中間部134において、軸方向の厚さが部分的に減少された部位に該当する。本実施形態において、軸方向の厚さが薄い熱抵抗増加構造137は、中間部134の周方向へ全周的に配置される。したがって、中間部134の熱抵抗増加構造137は、上流側から見て360度に渡る溝状に形成される。
固定翼支持部135は、中間部134の熱抵抗増加構造137よりも径方向外側から上流側に向かって突出する円筒状の部位である。固定翼支持部135の上流側の端部は、最下段の固定翼123fの外周リムに当接している。固定翼支持部135の径方向内側の面は、他の部材と接触していない。固定翼支持部135の径方向外側の面は、ヒータスペーサ260およびインナースペーサ250から離れていることが好ましい。なお、固定翼支持部135の径方向外側の面の一部が、ヒータスペーサ260に接触してもよい。固定翼支持部135は、ヒータスペーサ260の加熱側接触面262から伝わる熱を、最下段の固定翼123fへ伝達することができる。
ねじ溝スぺーサ131は、熱伝導率の高い材料により形成されることが好ましく、例えばアルミニウムにより形成される。
ヒータスペーサ260は、ボルト等によってインナースペーサ250に連結され、インナースペーサ250は、ボルト等によって冷却スペーサ230に連結されている。したがって、ヒータスペーサ260は、インナースペーサ250を介して冷却スペーサ230に連結されている。そして、複数段の固定翼123のうち最下段を含む3段の固定翼123d、123e、123fと、固定翼123d、123e、123fの間に配置される2つの固定翼スペーサ125と、ねじ溝スペーサ131とが、ヒータスペーサ260および冷却スペーサ230に挟まれて、1つの内部ユニットとして固定されている。したがって、ねじ溝スペーサ131および固定翼123の少なくとも一部は、上流側でケーシング210に対して直接的に固定されている。または、ねじ溝スペーサ131および固定翼123の少なくとも一部は、上流側で、他の部材を介してケーシング210に間接的に固定されてもよい。
次に、本実施形態に係る真空ポンプ100の作用を説明する。
本実施形態において、ねじ溝スぺーサ131の固定部品側接触面136が、ヒータスペーサ260の加熱側接触面262に接触している。固定部品側接触面136の径方向内側の部位は、熱抵抗増加構造137よりも径方向内側に配置されているため、固定部品側接触面136からポンプ側固定部138へ熱を効果的に伝えることができる。このため、ヒータ261の熱により、ヒータスペーサ260を介してねじ溝ポンプ部の一部を構成するポンプ側固定部138が加熱され、ガス流路を流れるガスが加熱される。これにより、ガス流路を流れるガスの液化や固化を防止でき、特に、ガス流路(特にねじ溝131a)内に固体生成物としてガス分子が堆積することを防止できる。本真空ポンプ100は、上記ガス流路における排気性能を向上させる為、回転体103の円筒部102dとねじ溝スペーサ131との隙間は非常に狭いギャップとなっているが、上述のねじ溝スペーサ131の加熱により、ガス流路で固化し堆積するガス分子と回転体103の円筒部102dとの接触を防ぐことができる。その結果、回転体103と堆積したガス分子との接触による不具合を防止することができる。
また、ねじ溝スぺーサ131の固定部品側接触面136の径方向外側の部位は、熱抵抗増加構造137よりも径方向外側に配置されているため、固定部品側接触面136から固定翼支持部135へ熱を効果的に伝えることができる。また、ヒータスペーサ260から、固定部品側接触面136の熱抵抗増加構造137よりも径方向内側の部位に伝わった熱は、熱抵抗増加構造137により、固定翼支持部135へ伝わることが制限される。すなわち、熱抵抗増加構造137の熱抵抗の適切な設定により、ヒータスペーサ260から固定部品側接触面136を介してねじ溝スぺーサ131に伝わる熱は、ポンプ側固定部138および固定翼支持部135へ適切に振り分けられる。このため、ヒータスペーサ260から伝わる熱により、固定翼支持部135を介して固定翼123の最下段およびその周辺が適切に加熱され、ガス流路を流れるガスが適切に加熱される。固定翼123の最下段およびその周辺の温度は、特に限定されないが、例えば150℃程度となる。これにより、近年のガスの高流量化によって、固定翼123の最下段の近傍のおいても発生する可能性が増加したガス分子の堆積を、効果的に防止できる。その結果、回転体103がガス分子により破損することも防止される。
また、固定翼支持部135とヒータスペーサ260の上部との間には、所定の隙間が設けられ、ヒータスペーサ260からの熱が固定部品側接触面136を介さずに、固定翼支持部135に熱が伝わり難い構造となっている。これにより、ヒータスペーサ260からの熱が、ねじ溝スぺーサ131のポンプ側固定部138の加熱に十分作用することなく、固定翼支持部135および固定翼123の最下段側の加熱に重点的に作用してしまうことを防止できる。
ヒータスペーサ260は、インナースペーサ250を介して、冷却スペーサ230に連結されている。しかしながら、インナースペーサ250とヒータスペーサ260の接触面積は小さく、かつインナースペーサ250はねじ溝スぺーサ131と接触していない。このため、インナースペーサ250は断熱部材として機能する。その結果、上述したヒータスペーサ260による加熱効果の低下を抑制できるとともに、冷却スペーサ230によるターボポンプの上流側の内部の冷却効果の低下を抑制できる。ターボポンプの上流側の内部の温度は、特に限定されないが、例えば100℃程度である。
また、ヒータスペーサ260のポンプ側固定部138、中間部134および固定翼支持部135は、1つの部材として形成されている。このため、ポンプ側固定部138、中間部134および固定翼支持部135において温度分布が連続的となる。その結果、ポンプ側固定部138、中間部134および固定翼支持部135における温度勾配が過度に大きくなることを抑制して、ガス分子の堆積を抑制できる。また、ポンプ側固定部138、中間部134および固定翼支持部135が1つの部材として形成されることで、複数の部材により形成することにより生じる熱伝達による損失を低減できる。
以上のように、本実施形態に係る真空ポンプ100は、ケーシング210と、ケーシング210の内部に、回転自在に支持されたロータ軸113と、ロータ軸113に固定され、ロータ軸113と共に回転可能な複数段の回転翼102と、ケーシング210に対して固定され、かつ、複数段の回転翼102間に配置される複数段の固定翼123と、複数段の回転翼102および複数段の固定翼123の下流側に配置された、ねじ溝ポンプ部の一部を構成する固定部品(ねじ溝スペーサ131)と、固定部品を支持し加熱する加熱部品(ヒータスペーサ260)と、を備えた真空ポンプ100であって、固定部品(ねじ溝スペーサ131)は、ねじ溝ポンプ部の一部を構成するポンプ側固定部138と、複数段の固定翼123のうち最下段の固定翼123fを支持する固定翼支持部135と、ポンプ側固定部138から固定翼支持部135への熱の移動を制限する熱抵抗増加構造137と、を備えている。これにより、本実施形態に係る真空ポンプ100は、熱抵抗増加構造137により、ポンプ側固定部138および固定翼支持部135へ伝わる熱を適切に設定できる。このため、ねじ溝ポンプ部のガス流路にガス分子が堆積することを抑制できるとともに、固定翼123の最下段の近傍のガス流路にガス分子が堆積することを抑制できる。
また、熱抵抗増加構造137は、ポンプ側固定部138から固定翼支持部135へ向かう熱の移動経路Mと垂直な面における断面積を部分的に減少させた構造であってもよい。これにより、加熱部品(ヒータスペーサ260)からポンプ側固定部138へ伝わった熱が、固定翼支持部135へ伝わることを効果的に抑制できるため、ポンプ側固定部138および固定翼支持部135へ伝わる熱を適切に設定できる。
また、真空ポンプ100は、最下段の固定翼123fよりも上流側の固定翼123に対して、熱的に大きく影響する冷却手段を有する。これにより、固定翼支持部135により最下段の固定翼123fを加熱する際に、加熱を必要としない上流側の固定翼123も加熱され、真空ポンプ100内、特に回転翼102の昇温によって、排気性能が低下することを抑制できる。
また、固定部品(ねじ溝スペーサ131)および複数段の固定翼123の少なくとも一部は、上流側でケーシング210に対して直接的または間接的に固定される。これにより、固定部品および固定翼123を加熱する熱が、下流側からケーシング210へ逃げることを抑制できるため、固定部品および固定翼123を効果的に加熱し、ガス分子の堆積を効果的に抑制できる。
また、固定部品(ねじ溝スペーサ131)の熱伝導率は、加熱部品(ヒータスペーサ260)の熱伝導率よりも大きい。これにより、熱を伝達することが要求される固定部品では熱伝導率を大きく設定し、高温時の構造的な強度が要求される加熱部品では、熱伝導率を小さく設定して構造的な強度を優先できる。
また、本実施における固定部品(ねじ溝スペーサ131)は、真空ポンプ100の複数段の回転翼102および複数段の固定翼123の下流側に配置されて、ねじ溝ポンプ部の一部を構成する固定部品であって、ねじ溝ポンプ部の一部を構成するポンプ側固定部138と、複数段の固定翼123のうち最下段の固定翼123fを支持する固定翼支持部135と、ポンプ側固定部138から固定翼支持部135への熱の移動を制限する熱抵抗増加構造137と、を備える。これにより、固定部品は、熱抵抗増加構造137により、ポンプ側固定部138および固定翼支持部135へ伝わる熱を適切に設定できる。このため、ねじ溝ポンプ部のガス流路にガス分子が堆積することを抑制できるとともに、固定翼123の最下段の近傍のガス流路にガス分子が堆積することを抑制できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更や組合せが可能である。例えば、上述した実施形態におけるねじ溝スぺーサ131のねじ溝131aは、ねじ溝スぺーサ131の内周面だけでなく、ねじ溝スぺーサ131の上流側の面にも形成されてもよい。すなわち、本発明は、ねじ溝ポンプ部として、本実施形態で説明したような軸方向の螺旋状溝によるホルベック型ねじ溝ポンプだけでなく、半径方向のスパイラル状溝によるシグバーン型ねじ溝ポンプにも適用できる。更には、本発明は、ホルベック型ねじ溝ポンプとシグバーン型ねじ溝ポンプを組み合わせた構造にも適用できる。
100 真空ポンプ
101 吸気口
102 回転翼
103 回転体
113 ロータ軸
123 固定翼
129 ベース部
131 ねじ溝スぺーサ
133 排気口
134 中間部
135 固定翼支持部
136 固定部品側接触面
137 熱抵抗増加構造
138 ポンプ側固定部
210 ケーシング
220 上ケース
230 冷却スペーサ
240 アウターウォール
250 インナースペーサ
260 ヒータスペーサ
261 ヒータ
262 加熱側接触面

Claims (6)

  1. ケーシングと、
    前記ケーシングの内部に、回転自在に支持されたロータ軸と、
    前記ロータ軸に固定され、前記ロータ軸と共に回転可能な複数段の回転翼と、
    前記ケーシングに対して固定され、かつ、前記複数段の回転翼間に配置される複数段の固定翼と、
    前記複数段の回転翼および前記複数段の固定翼の下流側に配置された、ねじ溝ポンプ部の一部を構成する固定部品と、
    前記固定部品を支持し加熱する加熱部品と、を備えた真空ポンプであって、
    前記固定部品は、前記ねじ溝ポンプ部の一部を構成するポンプ側固定部と、前記複数段の固定翼のうち最下段の固定翼を支持する固定翼支持部と、前記ポンプ側固定部から前記固定翼支持部への熱の移動を制限する熱抵抗増加構造と、を備えたことを特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記熱抵抗増加構造は、前記ポンプ側固定部から前記固定翼支持部へ向かう熱の移動経路と垂直な面における断面積を部分的に減少させた構造であることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  3. 前記最下段の固定翼よりも上流側の固定翼に対して、熱的に大きく影響する冷却手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の真空ポンプ。
  4. 前記固定部品および前記複数段の固定翼の少なくとも一部は、上流側で前記ケーシングに対して直接的または間接的に固定されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
  5. 前記固定部品の熱伝導率は、前記加熱部品の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
  6. 真空ポンプの複数段の回転翼および複数段の固定翼の下流側に配置されて、ねじ溝ポンプ部の一部を構成する固定部品であって、
    前記ねじ溝ポンプ部の一部を構成するポンプ側固定部と、
    前記複数段の固定翼のうち最下段の固定翼を支持する固定翼支持部と、
    前記ポンプ側固定部から前記固定翼支持部への熱の移動を制限する熱抵抗増加構造と、を備えたことを特徴とする固定部品。
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