JP2023032640A - 吸音構造、自動車用内装部品および自動車 - Google Patents

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卓朗 岩田
Takuro Iwata
進 三浦
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Abstract

【課題】300Hz以下の周波数域を含む広い周波数帯域で高い吸音性能を発揮することを可能とする手段を提供する。【解決手段】吸音構造は、樹脂または金属からなる格子板と、前記格子板に積層されるとともに、前記格子板の格子点の少なくとも一部に対向する部位で前記格子板に固定された多孔質体シートと、前記多孔質体シートを間にして前記格子板に対向する基材とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、吸音構造、自動車用内装部品および自動車に関する。
自動車内には多くの音源がある。車内および車外における騒音からの静粛性が要求されることから、自動車には様々な防音・吸音対策が施されている。特に、エンジンやトランスミッション、駆動系のような大きな音を発生する部分(固有音源)については、吸遮音性能に優れる専用の防音カバーが使用されている。また、車内騒音の静粛化が車の価値(高級感)に直結することから、自動車における低騒音化部品の要求は非常に高い。例えば、自動車の車室内においても、エンジン振動、吸排気音、路面刺激などで空洞共振が誘起され、こもり音やロードノイズとして問題となる場合があり、このような騒音を低減する対策が不可欠である。これまでも、自動車の内装におけるルーフトリム等の内装用部品に様々な吸音部品が使用されているが、さらなる性能の向上が求められている。
このような吸音部品には、様々な構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2003-316364号公報
しかしながら、特許文献1等に記載された技術を用いても、300Hz以下の周波数域で十分な吸音性能を発揮することができるわけではないことが本発明者らの検討により判明した。そこで本発明は、300Hz以下の周波数域を含む広い周波数帯域で高い吸音性能を発揮することを可能とする手段を提供することを目的とする。
本発明に係る吸音構造は、樹脂または金属からなる格子板と、前記格子板に積層されるとともに、前記格子板の格子点の少なくとも一部に対向する部位で前記格子板に固定された多孔質体シートと、前記多孔質体シートを間にして前記格子板に対向する基材とを備える。
本発明によれば、多孔質体シートに音が入射すると、多孔質体シートの格子板に固定されていない部位が音の入射する方向に変位して音の低周波数成分を打ち消す振動を生じる。その結果、特に300Hz以下の低周波数帯域の吸音性能が向上しうる。また、多孔質体シートの振動と基材の振動とが影響を及ぼし合い、基材を設けない場合に比べて、吸音性能をより向上させることが可能となる。よって、300Hz以下の周波数域を含む広い周波数帯域で高い吸音性能を発揮することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る吸音構造の概略を模式的に示す斜視図である。 図1に示した吸音構造の断面構成の一例を示す模式図である。 図1に示した吸音構造の断面構成の他の例を示す模式図である。 図1に示した吸音構造の断面構成のその他の例を示す模式図である。 図1に示した吸音構造の断面構成のその他の例を示す模式図である。 図1に示した吸音構造に音が入射したときの振動について説明するための図である。 吸音率の測定に使用した装置の構成を模式的に示す図である。 実施例1、2および比較例1、2の吸音構造について吸音率を測定した結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%の条件で行う。
<実施形態>
[吸音構造の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る吸音構造1の概略を模式的に示す斜視図であり、図2は、吸音構造1の断面構成の一例を表している。吸音構造1は、基材30、多孔質体シート10および格子板20をこの順に有する積層構造を有している。以下の説明では、基材30、多孔質体シート10および格子板20の積層方向をZ方向、これに交差する方向をX方向およびY方向と言う場合もある。図2は、吸音構造1のXZ断面の構成の一例を表している。本明細書中、「吸音」は、反射音を少なくする、または音(音響)を吸収することを意味する。
この吸音構造1は、軽量であることが好ましい。この観点から、吸音構造1全体としての密度は、好ましくは1g/cm以下であり、より好ましくは0.5g/cm以下であり、さらに好ましくは0.3g/cm以下であり、特に好ましくは0.2g/cm以下である。また、吸音構造1は、薄型であることが好ましい。この観点から、吸音構造1の全体としての厚さは、好ましくは50mm以下であり、より好ましくは30mm以下であり、さらに好ましくは20mm以下である。
(多孔質体シート)
多孔質体シート10は、基材30と格子板20との間に配置されている。この格子板20に積層された多孔質体シート10は、例えば、四角形の平面(XY平面)形状を有している。多孔質体シート10には複数の連通孔が設けられている。多孔質体シート10の構成材料について特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例えば、繊維体;樹脂発泡体;金属製、セラミック製、ガラス製等;の多孔質体シートを挙げることができる。これらのうち、軽量であることから樹脂発泡体が好ましい。
繊維体としては、その表面及び内部に空隙を有する繊維の集合体であれば特に限定されず、織布またはフェルトなどの不織布のいずれも用いられうる。また、繊維体は、樹脂繊維などの有機繊維から構成されるものであっても、ガラス繊維などの無機繊維から構成されるものであってもよい。
樹脂発泡体としては、例えば、ポリウレタン発泡体(以下、ウレタンフォームともいう)、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体等のポリオレフィン発泡体;ポリスチレン発泡体;ポリアミド発泡体;ポリエチレンテレフタレート(PET)発泡体、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル発泡体;(メタ)アクリル発泡体;フェノール発泡体;ポリ塩化ビニル発泡体;ポリイミド発泡体;シリコーン樹脂発泡体;尿素樹脂発泡体;メラミン樹脂発泡体;エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)発泡体;スチレンブタジエンゴム(SBR)発泡体;ニトリルブタジエンゴム(NBR)発泡体;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)発泡体;エチレン-アクリル酸共重合体発泡体;エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)発泡体;等の樹脂発泡体が挙げられる。なかでも、吸音性能の観点から、ポリウレタン発泡体が好ましい。なお、これらの発泡体としては、軟質発泡体、半硬質発泡体、硬質発泡体のいずれも用いることができる。
多孔質体シート10の厚さは特に限定されないが、吸音効果の観点から、好ましくは1mm~100mmであり、より好ましくは5mm~50mmである。多孔質体シート10の密度も特に制限されないが、3kg/m~150kg/mであると軽量化の観点から好ましい。
(格子板)
多孔質体シート10を支持する格子板20は、例えば、多孔質体シート10とほぼ同じ大きさの四角形の平面(XY平面)形状を有している。格子板20は、例えば、複数の格子点21および複数の開口部22を有している。
開口部22は、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に配置されており、格子板20をZ方向に貫通する穴である。開口部22は、例えば、正方形の平面形状を有している。開口部22の平面形状は、長方形、六角形または三角形等の他の形状であってもよい。
開口部22の大きさについても特に制限されない。例えば、開口部22の平面形状が正方形であるとき、その一辺の長さは、例えば、1mm~50mmであり、好ましくは2mm~40mmであり、さらに好ましくは3mm~39mmである。このようにすることで、低周波数帯域、特に300Hz以下の周波数域の吸音特性が向上しうる。
また、開口部22の1つあたりの面積(開口面積)は、特に制限されないが、高い吸音特性を得る観点から、好ましくは10mm~1500mmである。開口面積が10mm以上であると200Hz以下の吸音率が向上しうる。また、開口面積が1500mm以下であると、200~300Hzの周波数域の吸音率が向上しうる。
格子点21は、X方向に延在する板部分とY方向に延在する板部分との交点部分であり、例えば、4つの開口部22の中央部に存在する。格子板20には、その格子点21の少なくとも一部に、多孔質体シート10を固定するための固定部材21aが設けられている(図2)。換言すれば、多孔質体シート10は、格子板20の格子点21の少なくとも一部に対向する部位で格子板20に固定されており、残りの部位は音の入射する方向に振動可能となっている。詳細は後述するが、これにより、多孔質体シート10に膜振動(または板振動)が生じ、低周波数帯域の吸音性能を向上させることが可能となる。
固定部材21aは、格子板20の一方の面(多孔質体シート10側のXY平面)に設けられている。この固定部材21aは、格子点21全域に設けられていてもよく、格子点21の一部に設けられていてもよい。固定部材21aは、格子板20の全ての格子点21に設けられていてもよく、一部の格子点21に設けられていてもよい。固定部材21aは、格子板20の格子点21以外の部分に設けられていてもよい。固定部材21aは、例えば、両面テープまたは接着剤等により構成されている。固定部材21aは、ねじおよびビス等の固定具であってもよい。
本発明の効果をより顕著に得るためには、例えば、固定部材21aを以下のように配置するのが好ましい。固定部材21aを帯状に設けるとき、隣り合う固定部材21aの距離は、例えば、200mm以下であり、好ましくは100mm以下である。固定部材21aを格子状に設けるとき、隣り合う行間および列間の固定部材21aの距離は、例えば、200mm以下であり、好ましくは100mm以下である。固定部材21aを点状に設けるとき、隣り合う固定部材21aの距離は、例えば、200mm以下であり、好ましくは100mm以下である。
格子板20は、樹脂または金属により構成されている。これにより、格子板20のヤング率を所望の値に調整しやすくなり、吸音構造1の吸音特性を向上させることが可能となる。
格子板20を構成する樹脂材料としては、特に制限されないが、従来公知の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられうる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂、スチレン-ブタジエン樹脂等が例示される。また、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、アルキルレゾルシン樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル等が用いられうる。なお、これらの樹脂を生成するウレタン樹脂プレポリマー、尿素樹脂プレポリマー(初期縮合体)、フェノール樹脂プレポリマー(初期縮合体)、ジアリルフタレートプレポリマー、アクリルオリゴマー、多価イソシアナート、メタクリルエステルモノマー、ジアリルフタレートモノマー等のプレポリマー、オリゴマー、モノマー等の樹脂前駆体が用いられてもよい。なかでも、成形が容易であるという観点からは、熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、特にポリオレフィン樹脂は軽量であって、かつ耐久性に優れ、安価であるという利点から、好ましい。
金属材料としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、クロム、およびこれらの合金等を挙げることができる。金属材料としてSUS(ステンレス鋼)等を用いるようにしてもよい。
格子板20の厚さは、特に制限されないが、例えば、0.1mm~10mmであり、好ましくは0.5mm~5mmである。0.1mm以上であると本発明の効果がより容易に得られうる。また、10mm以下であると軽量化の観点から好ましい。
吸音構造1は、複数の格子板20を有していてもよい。たとえば、複数の格子板20の位置をずらすことにより、各々の格子板20の開口部22が重なる領域の大きさを調整することができる。これにより、吸音構造1の吸音特性を調整することが可能となる。
(基材)
基材30は、多孔質体シート10を間にして格子板20に対向している。基材30は、例えば、格子板20および多孔質体シート10とほぼ同じ大きさの四角形の平面(XY平面)形状を有している。基材30のXY平面の大きさは、格子板20および多孔質体シート10のXY平面の大きさよりも大きくなっていてもよい。基材30は、例えば、ルーフトリム等の自動車用内装部品の一部であってもよい。詳細は後述するが、吸音構造1に、このような基材30を設けることにより、吸音性能をより向上させることが可能となる。
基材30は、例えば、ファブリック等の繊維体により構成されている。繊維体としては、例えば、不織布、織布またはフェルト等が挙げられる。基材30の厚みは、例えば、0.1mm~20mmであり、好ましくは0.5mm~10mmであり、より好ましくは1mm~7mmである。
多孔質体シート10のうち、基材30側の面(XY平面)の全面が基材30に接していてもよく(図2)、基材30側の面の一部が基材30に接していてもよい。多孔質体シート10に接するように基材30を設けることにより、吸音構造1を薄型化することが可能となる。
図3、図4および図5は、吸音構造1の断面(XZ断面)構成の他の例を表している。例えば、多孔質体シート10と基材30との間の少なくとも一部に、空気層40が設けられていてもよい(図3)。このとき、多孔質体シート10と基材30との間には、例えば、空気層40とともにスペーサー41が配置されている。換言すれば、スペーサー41により、多孔質体シート10と基材30との間に、空気層40が形成される。空気層40の厚み(Z方向の大きさ)は、例えば、0.1mm~50mmであり、好ましくは0.5mm~20mmであり、より好ましくは1mm~15mmである。スペーサー41は、例えば、アクリル樹脂等の樹脂材料または金属材料により構成されている。多孔質体シート10と基材30との間には、枠状のスペーサー41が1つ設けられていてもよく、複数のスペーサー41が離間して設けられていてもよい。多孔質体シート10と基材30との間に空気層40を設けることにより、基材30とともに空気層40も多孔質体シート10の膜振動に連成するので、より高い吸音性能を得ることが可能となる。
吸音構造1には、多孔質体シート10と基材30とを接着する接着部材50が設けられていてもよい(図4)。接着部材50は、例えば、両面テープまたは接着剤等により構成されており、多孔質体シート10と基材30との間に設けられている。このような接着部材50を設けることにより、多孔質体シート10と基材30との間の位置ずれの発生を抑えることが可能となる。接着部材50は、多孔質体シート10と基材30とが接する部分のうち、少なくとも一部に設けられていればよい。
格子板20、多孔質体シート10および基材30の少なくともいずれか一つが、支持部材60により支持されていてもよい(図5)。支持部材60を用いて、格子板20、多孔質体シート10または基材30を支持することにより、設置方向にかかわらず、自重による吸音構造1の脱落の発生を抑えることが可能となる。また、例えば、基材30と、格子板20および多孔質体シート10とを各々支持することにより、スペーサー(例えば、図4のスペーサー41)を使用せずに、多孔質体シート10と基材30との間に空気層40を設けることができる。
[吸音構造体の作用効果]
次に、吸音構造1の作用効果について説明する。
例えば、多孔質体シートに音が入射すると、音波はその細孔中で周壁との摩擦や粘性抵抗などの影響を受け、音のエネルギーの一部が熱エネルギーとして消費されることで吸音される。しかし、このようにして生じる多孔質体シートの吸音性能は、低周波数域で小さくなり、車体内の空洞共振に由来する振動などの300Hz以下の低周波数域では多孔質体シートによる十分な吸音特性を得ることが困難となる。例えば、低周波数域での吸音率を高めるためには、多孔質体シートの厚さを増加させる必要が生じる。
また、構成材料の密度が大きくなるにつれて、防音性能が向上するので、防音性能を向上させるためには防音材の密度を大きくする、すなわち、重量を増加させる必要が生じる。
これに対して、本実施形態の吸音構造1では、多孔質体シート10が、格子板20の格子点21の少なくとも一部に対向する部位で格子板20に固定されている。これにより、軽量、薄型であっても、300Hz以下の周波数域で優れた吸音性能を有しうる。
図6は、音Sが入射したときの吸音構造1の振動を模式的に表している。吸音構造1では、基材30側から多孔質体シート10に音Sが入射すると、多孔質体シート10のうち、格子板20に固定されていない部位が、音Sの入射する方向に変位して音の低周波数成分を打ち消す膜振動が生じる。これにより、音の低周波数成分が減衰するので、吸音構造1では、低周波数帯域の吸音性能を向上させることが可能となる。吸音構造1では、特に、300Hz以下の周波数帯域(例えば、50Hz~300Hzまたは100Hz~300Hz)で高い吸音性能を発揮することができる。なお、格子板20側から多孔質体シート10に音が入射した場合にも、上記と同様の吸音効果が得られる。このように、吸音構造1では、多孔質体シート10に膜振動を発生させることにより、厚みおよび密度を大きくすることなく、低周波数帯域の吸音性能を向上させることができる。
また、吸音構造1には、基材30が設けられているので、多孔質体シート10の膜振動と基材30(あるいは、基材30および空気層40)の振動とが影響を及ぼし合う。即ち、多孔質体シート10の膜振動が、基材30および空気層40と連成する。これにより、基材30が設けられていない吸音構造に比べて、より高い吸音性能を得ることが可能となる。よって、吸音構造1では、300Hz以下の周波数域を含む広い周波数帯域で高い吸音性能を発揮することが可能となる。
<適用例>
本形態に係る吸音構造は、種々の音源由来の騒音を吸収する用途に好適に用いられうる。なかでも、本形態に係る吸音構造は非常に軽量に構成することが可能である。本形態に係る吸音構造は、このように軽量化が可能であることから、車両に搭載されて用いられることが好ましい。適用部位の一例として、車室内において、ダッシュインシュレーター、ダッシュパネル、フロアのカーペット、スペーサー、ドアのドアトリム、ドアトリム内の吸音構造、コンパートメント内の吸音構造、インストパネル、インストセンターボックス、インストアッパーボックス、エアコンの筐体、ルーフトリム、ルーフトリム内の吸音構造、サンバイザー、後席向けエアコンダクト、電池搭載車両における電池冷却システムの冷却ダクト、冷却ファン、センターコンソールのトリム、コンソール内の吸音構造、パーセルトリム、パーセルパネル、シートのヘッドレスト、フロントシートのシートバック、リアシートのシートバックなどに適用可能である。さらに、トランクにおいては、トランクフロアのトリム、トランクボード、トランクサイドのトリム、トリム内の吸音構造、ドラフターカバーなどに適用可能である。また、車両の骨格内やパネル間にも適用することができ、例えば、ピラーのトリム、フェンダーに適用可能である。なかでも、300Hz以下の周波数域の吸音性能に優れ、軽量であり、全体の厚さを薄くすることができることから、自動車用内装部品に用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
《吸音率の測定》
図7は、使用した吸音率の測定装置の概略図である。吸音率は、ほぼ、JIS A 1405-2(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定-第2部:伝達関数法)に従って測定した。デスク400上に、インピーダンス管200および吸音構造のサンプル100を配置して吸音率を測定した。インピーダンス管200にスピーカー201(フォステクス社製、FE103En)および2つのマイクロフォン202(ブリュエル・ケアー社製、5957)を取り付けた。サンプル100は、スペーサー301により保持した。サンプル100の背後に、スペーサー302を設け、10mmの空気層を形成した。スペーサー302と反射板304との間に5mmのギャップ303を設けた。なお、上記の他、測定には、計測機のフロントエンド(シーメンス株式会社製、LMS SCADAS III)、計測ソフト(シーメンス株式会社製、LMS TEST.Lab 14A)、計測コンピューター(デル株式会社製、PRECISION M4800)およびスピーカーアンプ(ボーズ合同会社製、1702)を使用した。
[実施例1]
多孔質体シートとして、厚さ10mmのウレタンフォーム(密度:約32.1kg/m、流れ抵抗:約36000Ns/m)を90mm×90mmにカットしたものを準備した。
厚さ1.0mmのポリプロピレン(PP)板(アクリルアイ株式会社製、密度:0.9g/cm)を90mm×90mmにカットした。このPP板を、開口部が一辺15mmの正方形であり、開口部の間隔が7mmとなるようにカットして格子板を作製した。
厚さ5.0mmの雑フェルトを150mm×150mmにカットして基材を作製した。
上記の基材に、多孔質体シートおよび格子板をこの順に積層させ、格子板に格子状に設けた両面テープで多孔質体シートと格子板とを固定した。多孔質体シートと基材とは固定しなかった。これにより、実施例1の吸音構造を得た。
[実施例2]
多孔質体シートと基材との間に厚さ10.0mmのスペーサーを設けることにより、厚さ10.0mmの空気層を形成した。このことを除き、上記実施例1と同様にして実施例2の吸音構造を作製した。
[比較例1]
基材を設けなかったことを除き、上記実施例1と同様にして比較例1の吸音構造を作製した。即ち、比較例1の吸音構造は、多孔質体シートおよび格子板のみを有している。
[比較例2]
多孔質体シートおよび格子板を設けなかったことを除き、上記実施例1と同様にして比較例2の吸音構造を作製した。即ち、比較例2の吸音構造は、基材のみを有している。
上記実施例および比較例の仕様を下記の表1に示す。リファレンスでは、サンプル100(図7)の位置に何も設けずに、吸音率を測定した。
Figure 2023032640000002
図8は、上記実施例1、2および比較例1、2の吸音構造を用いて、測定した吸音率の結果を表している。図8に示すように、実施例1、2の吸音構造は、300Hz以下の低周波数帯域を含む広い周波数帯域にわたり、比較例1、2の吸音構造と比較して、より高い吸音率を示すことがわかった。比較例1と比較すると、実施例1、2では、800Hz以上の周波数帯域の吸音率が向上している。比較例2と比較すると、実施例1、2では、全周波数帯域で吸音率の向上が確認されるが、600Hz以下、中でも、300Hz以下の低周波数帯域での吸音率が顕著に向上している。700Hz以上の周波数帯域では、実施例1に比べて、実施例2の吸音構造が、より高い吸音率を示している。
このように、実施例1、2では、300Hz以下の低周波数帯域を含む広い周波数帯域で、高い吸音性能が得られることが確認できた。なお、図8には示していないが、多孔質体シート単体および格子板単体の吸音構造では、比較例1よりも吸音性能が低くなることを確認している。
以上、実施形態および実施例を用いて本発明の吸音構造について説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができる。例えば、上記実施形態および実施例で説明した吸音構造体の各部の構成、形状および大きさ等は一例であり、他の構成、形状および大きさ等であってもよい。
1 吸音構造
10 多孔質体シート
20 格子板
21 格子点
21a 接着位置(固定位置)
22 開口部
30 基材
40 空気層
41 スペーサー
50 接着部材
60 支持部材。

Claims (8)

  1. 樹脂または金属からなる格子板と、
    前記格子板に積層されるとともに、前記格子板の格子点の少なくとも一部に対向する部位で前記格子板に固定された多孔質体シートと、
    前記多孔質体シートを間にして前記格子板に対向する基材と
    を備える、吸音構造。
  2. 前記多孔質体シートの少なくとも一部が前記基材に接する、請求項1に記載の吸音構造。
  3. 前記多孔質体シートと前記基材とを接着する接着部材をさらに有する、請求項2に記載の吸音構造。
  4. 前記多孔質体シートと前記基材との間の少なくとも一部に空気層を有する、請求項1に記載の吸音構造。
  5. 前記多孔質体シートと前記基材との間に、前記空気層とともにスペーサーを有する、請求項4に記載の吸音構造。
  6. 前記格子板、前記多孔質体シートおよび前記基材の少なくともいずれか一つが、支持部材により支持されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸音構造。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の吸音構造を有する、自動車用内装部品。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の吸音構造、または請求項7に記載の内装部品を有する、自動車。
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