JP2023031725A - 一分子型FRETバイオセンサー、及びRab39Bの活性を制御する薬剤のスクリーニング方法 - Google Patents

一分子型FRETバイオセンサー、及びRab39Bの活性を制御する薬剤のスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、Rab39BのFRETバイオセンサーを提供することである。【解決手段】本発明は、蛍光共鳴エネルギー移動の原理に基づく一分子型FRETバイオセンサーであって、前記一分子型FRETバイオセンサーが、アミノ末端より、アクセプター蛍光タンパク質領域及びドナー蛍光タンパク質の一方と、リガンド領域と、リンカー領域と、アクセプター蛍光タンパク質領域及びドナー蛍光タンパク質の他方と、センサー領域と、をこの順で含み、前記センサー領域に、Rab39Bが配置され、前記リガンド領域に、UACAのCC4ドメインが配置された、一分子型FRETバイオセンサーを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、一分子型FRETバイオセンサー、及びRab39Bの活性を制御する薬剤のスクリーニング方法に関する。
製薬等の分野では、各種分子の認識機構を利用したバイオセンサーの利用が注目されている。
このようなバイオセンサーとして、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動、Fluorescence resonance energy transfer)を利用した、FRETバイオセンサーが知られる(例えば、特許文献1)。
FRETとは、励起状態にあるドナー蛍光分子(エネルギー供与体)からアクセプター蛍光分子(エネルギー受容体)へ励起エネルギーが無放射的に共鳴移動する現象を意味する。
このような現象を利用することで、目的分子の構造変化等を高感度で検出でき得る。
国際公開第2012/043477号
他方で、目的分子に応じたFRETバイオセンサーの構成の最適化には未だ困難が伴う。
例えば、知的発達障害を主徴とする脆弱X染色体症候群や、若年性パーキンソン病に関与し得るタンパク質である「Rab39B」のFRETバイオセンサーに対するニーズがある。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、Rab39BのFRETバイオセンサーの提供を目的とする。
本発明者らが検討した結果、一分子型FRETバイオセンサーを構成する各領域(所定のセンサー領域、蛍光タンパク質領域、リンカー領域、及び所定のリガンド領域)の順序を調整することにより、上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下を提供する。
(1) 蛍光共鳴エネルギー移動の原理に基づく一分子型FRETバイオセンサーであって、
前記一分子型FRETバイオセンサーが、アミノ末端より、アクセプター蛍光タンパク質領域及びドナー蛍光タンパク質の一方と、リガンド領域と、リンカー領域と、アクセプター蛍光タンパク質領域及びドナー蛍光タンパク質の他方と、センサー領域と、をこの順で含み、
前記センサー領域に、Rab39Bが配置され、
前記リガンド領域に、UACAのCC4ドメインが配置された、
一分子型FRETバイオセンサー。
(2) 前記一分子型FRETバイオセンサーが、アミノ末端より、アクセプター蛍光タンパク質領域と、リガンド領域と、リンカー領域と、ドナー蛍光タンパク質領域と、センサー領域と、をこの順で含み、
前記アクセプター蛍光タンパク質領域と前記リガンド領域との間、及び/又は、前記ドナー蛍光タンパク質領域と前記センサー領域との間に、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるグリシンリンカーを含む、(1)に記載の一分子型FRETバイオセンサー。
(3) 前記一分子型FRETバイオセンサーが、アミノ末端より、ドナー蛍光タンパク質領域と、リガンド領域と、リンカー領域と、アクセプター蛍光タンパク質領域と、センサー領域と、をこの順で含み、
前記ドナー蛍光タンパク質領域と前記リガンド領域との間、及び/又は、前記アクセプター蛍光タンパク質領域と前記センサー領域との間に、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるグリシンリンカーを含む、(1)に記載の一分子型FRETバイオセンサー。
(4) (1)から(3)のいずれか1項に記載の一分子型FRETバイオセンサーを用いた、Rab39Bの活性を制御する薬剤のスクリーニング方法。
本発明によれば、Rab39BのFRETバイオセンサーが提供される。
本発明のバイオセンサーの構造の概要を示す図である。 本発明のバイオセンサーの構造の概要を示す図である。 「pRaichu-A804」のプラスミドの構造を示す図である。 「pRaichu-A804-GL」のプラスミドの構造を示す図である。 「pRaichu-A804」及び「pRaichu-A804-GL」から得られるFRETバイオセンサーの構造を示す図である。 実施例で作製したFRETバイオセンサーによる蛍光スペクトルを示す図である。 実施例で作製したFRETバイオセンサーによる蛍光スペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
<一分子型FRETバイオセンサー>
本発明のバイオセンサーは、蛍光共鳴エネルギー移動の原理に基づく一分子型FRETバイオセンサーであって、該一分子型FRETバイオセンサーが、アミノ末端より、アクセプター蛍光タンパク質領域及びドナー蛍光タンパク質の一方と、リガンド領域と、リンカー領域と、アクセプター蛍光タンパク質領域及びドナー蛍光タンパク質の他方と、センサー領域と、をこの順で含み、センサー領域に、Rab39Bが配置され、リガンド領域に、UACAのCC4ドメインが配置されたものである。
本発明のバイオセンサーは、以下の2つの態様を包含する。
本発明の第1の態様に係る一分子型FRETバイオセンサー(以下、「本発明の第1のバイオセンサー」ともいう。)は、アミノ末端より、アクセプター蛍光タンパク質領域と、リガンド領域と、リンカー領域と、ドナー蛍光タンパク質領域と、センサー領域と、をこの順で含む。
本発明の第2の態様に係る一分子型FRETバイオセンサー(以下、「本発明の第2のバイオセンサー」ともいう。)は、アミノ末端より、ドナー蛍光タンパク質領域と、リガンド領域と、リンカー領域と、アクセプター蛍光タンパク質領域と、センサー領域と、をこの順で含む。
本発明の第1のバイオセンサーの構造の概要を図1(A)に示す。本発明の第2のバイオセンサーの構造の概要を図1(B)に示す。
本発明において「蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の原理に基づく」とは、励起状態にあるドナー蛍光分子(エネルギー供与体)から、近傍のアクセプター蛍光分子(エネルギー受容体)へ励起エネルギーが無放射的に共鳴移動する現象を利用することを意味する。
本発明において「一分子型FRETバイオセンサー」とは、センサー領域の構造変化によるセンサー領域とリガンド領域との結合に伴い、ドナー蛍光タンパク質がアクセプター蛍光タンパク質に近接し、その結果生じたFRETを利用したバイオセンサーを意味する。
生じたFRETによりアクセプター蛍光タンパク質からの蛍光に基づき、目的分子(本発明においてはRab39B)の構造変化等を検出できる。
本発明のバイオセンサーにおいて、各領域は1つずつ含まれていてもよく、複数含まれていてもよい。本発明の効果が奏されやすいという観点から、各領域は1つずつ含まれることが好ましい。
以下、本発明のバイオセンサーを構成する各領域について説明する。
(センサー領域)
本発明において「センサー領域」とは、様々な環境(GTP加水分解促進因子の活性化、GTP交換因子の活性化等)の変化に対応して構造が変化する部分を意味する。
本発明におけるセンサー領域は、Rab39Bが配置される領域である。
センサー領域を構成するRab39Bは、全長配列であってもよく、部分配列であってもよい。本発明の効果が奏されやすいという観点から、センサー領域は、Rab39Bの全長配列からなることが好ましい。
Rab39Bの由来は特に限定されず、ヒト、非ヒト動物(マウス、ラット等)が挙げられる。
なお、配列番号1は、マウスRab39Bをコードする塩基配列(全長)である。
(ドナー蛍光タンパク質領域)
ドナー蛍光タンパク質領域を構成するドナー蛍光タンパク質としては、FRETを生じさせるために通常用いられる蛍光タンパク質を採用できる。
例えば、ドナー蛍光タンパク質としては、CFP、mTFP1、及びそれらの変異体(CyPet、ECFP、SECFP、Turquoise)や円順列置換体(mTFP1-cp105、mTFP1-cp159、mTFP1-cp175、mTFP1-cp227等)等が挙げられる。
ドナー蛍光タンパク質は、FRETを生じさせることができれば、全長配列であってもよく、部分配列であってもよい。
(アクセプター蛍光タンパク質領域)
アクセプター蛍光タンパク質領域を構成するアクセプター蛍光タンパク質としては、FRETを生じさせるために通常用いられる蛍光タンパク質を採用できる。
例えば、アクセプター蛍光タンパク質としては、YFP、及びその変異体(Ypet、EYFP、Venus等)や円順列置換体(Venus-cp159、Venus-cp173、Venus-cp195、Venus-cp229等)等が挙げられる。
アクセプター蛍光タンパク質は、FRETを生じさせることができれば、全長配列であってもよく、部分配列であってもよい。
(蛍光タンパク質の組み合わせ)
ドナー蛍光タンパク質及びアクセプター蛍光タンパク質の好ましい組み合わせは、SECFP及びYPet、ECFP及びVenus、ECFP及びYPet、Turquoise及びVenus、並びに、Turquoise及びYPet等である。
(リガンド領域)
本発明において「リガンド領域」とは、センサー領域の構造変化に対応してセンサー領域と結合する部分を意味する。
本発明におけるリガンド領域は、UACAのCC4ドメインが配置される領域である。UACAのCC4ドメインは、Rab39B結合領域として知られる(Biochemical and Biophysical Research Communications 435 (2013) 113-119)。
リガンド領域を構成するUACAのCC4ドメインは、全長配列であってもよく、部分配列であってもよい。本発明の効果が奏されやすいという観点から、リガンド領域は、UACAのCC4ドメインの全長配列からなることが好ましい。
UACAのCC4ドメインの由来は特に限定されないが、本発明の効果が奏されやすいという観点から、センサー領域を構成するRab39Bと同じ由来であることが好ましい。
UACAのCC4ドメインの由来としては、ヒト、非ヒト動物(マウス、ラット等)が挙げられる。
なお、配列番号2は、マウスUACAのCC4ドメイン、すなわち、マウスUACA全長(NM_001357408.1(UACA transcript variant 4、4079塩基長)のCDSに相当する。)に対して1029番目から1210番目のアミノ酸をコードする塩基配列である。
(リンカー領域)
本発明のバイオセンサーには、ドナー蛍光タンパク質領域と、リガンド領域との間に、これらの領域を繋ぐリンカー領域が介在する。
リンカー領域を構成するリンカーとしては、本発明の効果が奏されやすいという観点から、「EVリンカー」(国際公開第2012/043477号)と呼ばれるリンカーが好ましい。
EVリンカーは、52アミノ酸残基以上400アミノ酸残基以下を含むポリペプチドであって、全アミノ酸残基数の少なくとも45%がグリシン及びアラニンの少なくともいずれかであり、アラニンを全アミノ酸残基数の少なくとも10%含むリンカーである。
リンカー領域を構成するリンカーの好ましい例としては、配列番号3で表されるものが挙げられる。
(その他の構成)
本発明のバイオセンサーは、以下の構成を備えるものであってもよい。
本発明のバイオセンサーは、目的に応じて、上記領域以外の任意の領域を含んでいてもよい。このような領域としては、ペプチドタグ、細胞内局在シグナルに関連するタンパク質等が挙げられる。
本発明の効果が奏されやすいという観点から、本発明のバイオセンサーにおけるセンサー領域のカルボキシ末端側には、その他の領域が配置されないこと(すなわち、バイオセンサーのカルボキシ末端側の端部にセンサー領域が配置されること)が好ましい。
本発明の第1のバイオセンサーにおいて、応答範囲(ダイナミックレンジ)の広いFRETバイオセンサーが得られやすいという観点から、配列番号4で表されるアミノ酸配列(GGSGGGGSGGGGSGG)からなるグリシンリンカーが、アクセプター蛍光タンパク質領域とリガンド領域との間、及びドナー蛍光タンパク質領域とセンサー領域との間のいずれかに介在することが好ましく、両方に介在することがより好ましい。
本発明の第2のバイオセンサーにおいて、応答範囲(ダイナミックレンジ)の広いFRETバイオセンサーが得られやすいという観点から、配列番号4で表されるアミノ酸配列(GGSGGGGSGGGGSGG)からなるグリシンリンカーが、ドナー蛍光タンパク質領域とリガンド領域との間、及びアクセプター蛍光タンパク質領域とセンサー領域との間のいずれかに介在することが好ましく、両方に介在することがより好ましい。
本発明の第1のバイオセンサーは、アミノ末端より、アクセプター蛍光タンパク質領域と、グリシンリンカーと、リガンド領域と、リンカー領域と、ドナー蛍光タンパク質領域と、グリシンリンカーと、センサー領域と、をこの順で含み、かつ各領域の間には他の領域が介在しないことが最も好ましい。
かかる態様のバイオセンサーの概要を図2(A)に示す。
本発明の第2のバイオセンサーは、アミノ末端より、ドナー蛍光タンパク質領域と、グリシンリンカーと、リガンド領域と、リンカー領域と、アクセプタータンパク質領域と、グリシンリンカーと、センサー領域と、をこの順で含み、かつ各領域の間には他の領域が介在しないことが最も好ましい。
かかる態様のバイオセンサーの概要を図2(B)に示す。
本発明は、本発明のバイオセンサーをコードする遺伝子、該遺伝子を含む発現ベクター、該発現ベクターを有するトランスジェニック非ヒト動物等を包含する。
これらの遺伝子、発現ベクター、非ヒト動物は、従来知られる方法によって作製できる。
<一分子型FRETバイオセンサーの評価>
本発明のバイオセンサーが所望の機能を有するかどうかは、実施例に示した方法によって評価できる。
<Rab39Bの活性を制御する薬剤のスクリーニング方法>
本発明のバイオセンサーを用いてFRETを検出することで、Rab39Bの活性を測定することができる。
したがって、本発明のバイオセンサーによれば、Rab39Bの活性を制御する薬剤のスクリーニングを行うことができる。
FRETの検出方法としては、FRETによる励起エネルギーの移動が検出できれば特に限定されないが、例えば、FRETバイオセンサーを発現した細胞やトランスジェニック非ヒト動物の顕微鏡観察、各種装置(フローサイトメーター、分光光度計、蛍光ELISAリーダー等)を用いた方法が挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<FRETバイオセンサーの作製>
以下の方法で、FRETバイオセンサーを発現する2種類のプラスミド、すなわち、「pRaichu-A804」及び「pRaichu-A804-GL」を作製した。
「pRaichu-A804」及び「pRaichu-A804-GL」のプラスミドの構造をそれぞれ図3及び4に示す。「pRaichu-A804」及び「pRaichu-A804-GL」から得られるFRETバイオセンサーの構造を図5に示す。
なお、本例で作製したバイオセンサーは、いずれも、本発明の第1のバイオセンサーに相当する。
(プラスミド「pRaichu-A804」の作製)
「pRaichu-A804」は、松田道行教授(京都大学)より恵与されたプラスミド「3550NES」を出発材料として、一部領域を入れ替えることで作製した。
まず、「3550NES」は、Erkリン酸化酵素(EKAREV)の活性を可視化するFRETセンサーを発現するプラスミドである(Komatsu et al. Molecular Biology of the Cell Vol. 22, 4647-4656 (2011))。
本例では、「3550NES」の各ドメインを以下のように置き換えた。
「pRaichu-A804」では、UACAのCC4ドメインとSECFPの間に、EKAREV由来のEVリンカーが存在する。
(1)SECFPをコードする塩基配列を、マウスRab39Bをコードする塩基配列(配列番号1)に置き換えた。
(2)WWドメインをコードする塩基配列を、マウスUACAのCC4ドメインをコードする塩基配列(配列番号2)に置き換えた。
(3)EKAR_substrate領域(Erkリン酸化酵素でリン酸化される部位を含む領域)をコードする塩基配列を、SECFPをコードする塩基配列(配列番号5)に置き換えた。
本例でプラスミドに挿入した各配列の詳細は表1に示すとおりである。
Figure 2023031725000001
なお、マウスRab39B及びUACAのCC4ドメインとしては、表2に示すプライマーを用いたPCR産物をプラスミドに挿入した。
Figure 2023031725000002
(プラスミド「pRaichu-A804-GL」の作製)
「pRaichu-A804-GL」は、「pRaichu-A804」において、15アミノ酸からなるグリシンリンカー(GGSGGGGSGGGGSGG、配列番号4)を2箇所に挿入することで作製した。
具体的に、グリシンリンカーは、「Rab39B」と「SECFP」の間、及び「UACAのCC4ドメイン」と「Ypet」との間にそれぞれ挿入した。
グリシンリンカーとしては、化学合成によりこのリンカーをコードする塩基配列、及びその相補鎖を含むプライマーを得て、これらを用いたPCR産物をプラスミドに挿入した。
(対照プラスミドの作製)
「pRaichu-A804」及び「pRaichu-A804-GL」のそれぞれについて、配列番号1の野生型Rab39Bの代わりに、恒常活性型又は優勢劣性型のRab39Bを組み込んだプラスミドも作製した。
なお、以下、「pRaichu-A804」及び「pRaichu-A804-GL」について、野生型を「WT型」、恒常活性型を「CA型」、優勢劣性型を「DN型」ともいう。
<FRETバイオセンサーの評価-1>
以下の方法で、各FRETバイオセンサーのダイナミックレンジを評価した。
なお、以下の方法は、「Nakamura and Matsuda “In vivo imaging of signal transduction cascades with probes based on Forster resonance energy transfer (FRET)” in Current Protocol in Cell Biology Chapter 14, Unit 14.10」を参考にした。
(遺伝子導入)
浮遊細胞用の6ウェルプレートに、1×10cells/mlの哺乳類細胞(293F細胞)を、1ウェルあたり1.5mlずつ播いた。
次いで、市販のキットを用いて、上記プラスミドを哺乳類細胞内に遺伝子導入し、FRETバイオセンサーを発現させた。
(ダイナミックレンジの評価)
以下の方法で、蛍光分光光度計により、遺伝子導入した各細胞を用いて、蛍光スペクトルを取得した。なお、蛍光分光光度計としては、「FP-750」(日本分光株式会社製)を用いた。
まず、各FRETバイオセンサーを発現させた細胞に、ドナー蛍光タンパク質(SECFP)を励起するために、433nmの波長の光を照射した。
生じた蛍光のスペクトルを得るために、出てくる光について、450nmから550nmまで1nmずつの刻みで強度を計測した。
その結果、図6及び図7のように、各FRETバイオセンサーの蛍光スペクトルが得られた。493nm付近のピークがドナー蛍光タンパク質(SECFP)由来の蛍光を示しり、524nm付近のピークがアクセプター蛍光タンパク質(YPet)由来の蛍光を示す。
上記検出結果に基づき、SECFP(493nmの蛍光)とYPet(524nmの蛍光)との強度比(YPet/SECFP)を算出した。
次いで、蛍光強度(Intensity)の値を、励起波長が500nmの点で規格化し、スペクトルのピーク値を比較し、各FRETバイオセンサーの応答範囲(ダイナミックレンジ)を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2023031725000003
表3に示されるとおり、いずれのFRETバイオセンサーも、イメージングに使用できるほどに充分なダイナミックレンジを有していた。特に、「pRaichu-A804-GL」は、顕著に高いダイナミックレンジを有していた。
<FRETバイオセンサーの評価-2>
以下の方法で、各FRETバイオセンサーの、Rab39Bの不活性化因子に対する応答性を評価した。
哺乳類細胞(293F細胞)に、「pRaichu-A804」又は「pRaichu-A804-GL」と、「RabGAP-5」とを共発現させた。「RabGAP-5」は、Rab39Bの不活性化因子である(Genes to Cells (2006) 11, 1023-1037)。
次いで、上記<FRETバイオセンサーの評価-1>と同様に蛍光スペクトルを取得した。
その結果、いずれのプラスミドを用いた場合でも、「YPet/SECFP」が顕著に低下した。この結果は、各FRETバイオセンサーが、Rab39Bの不活性化因子に応答したことを意味する。

Claims (4)

  1. 蛍光共鳴エネルギー移動の原理に基づく一分子型FRETバイオセンサーであって、
    前記一分子型FRETバイオセンサーが、アミノ末端より、アクセプター蛍光タンパク質領域及びドナー蛍光タンパク質の一方と、リガンド領域と、リンカー領域と、アクセプター蛍光タンパク質領域及びドナー蛍光タンパク質の他方と、センサー領域と、をこの順で含み、
    前記センサー領域に、Rab39Bが配置され、
    前記リガンド領域に、UACAのCC4ドメインが配置された、
    一分子型FRETバイオセンサー。
  2. 前記一分子型FRETバイオセンサーが、アミノ末端より、アクセプター蛍光タンパク質領域と、リガンド領域と、リンカー領域と、ドナー蛍光タンパク質領域と、センサー領域と、をこの順で含み、
    前記アクセプター蛍光タンパク質領域と前記リガンド領域との間、及び/又は、前記ドナー蛍光タンパク質領域と前記センサー領域との間に、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるグリシンリンカーを含む、請求項1に記載の一分子型FRETバイオセンサー。
  3. 前記一分子型FRETバイオセンサーが、アミノ末端より、ドナー蛍光タンパク質領域と、リガンド領域と、リンカー領域と、アクセプター蛍光タンパク質領域と、センサー領域と、をこの順で含み、
    前記ドナー蛍光タンパク質領域と前記リガンド領域との間、及び/又は、前記アクセプター蛍光タンパク質領域と前記センサー領域との間に、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるグリシンリンカーを含む、請求項1に記載の一分子型FRETバイオセンサー。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の一分子型FRETバイオセンサーを用いた、Rab39Bの活性を制御する薬剤のスクリーニング方法。

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