JP2023030949A - 軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両駆動用モータ又は車両駆動用モータに接続された変速機に含まれた回転軸をハウジングに対して転がり軸受で支持する軸受装置において、転がり軸受に備わる軌道輪の量産性及び絶縁被膜の信頼性の低下を避けつつ軌道輪のコストを抑える。【解決手段】転がり軸受1は、回転軸21とハウジング10の一方に取り付けられた軌道輪3を有する。一方の軌道輪3のうち、一方の部材10に嵌合するはめあい面3bは、絶縁被膜7からなる。そのはめあい面3bとハウジング10とがすきまばめされている。【選択図】図1
Description
この発明は、車両駆動用モータ等に含まれた回転軸とハウジングとの間に転がり軸受を備える軸受装置に関し、特に転がり軸受の軌道輪を絶縁することに関する。
一般に、電気自動車(EV)、電動ハイブリッド車(HV)等の自動車、産機用車両は、駆動用モータと変速機とを含む駆動系を備えている。その駆動用モータ又は変速機の回転軸は、転がり軸受によって支持されている。
駆動用モータや、これに接続された変速機に転がり軸受を組み込む場合、その転がり軸受が介在する回転軸とハウジング間に電位差が生じることがある。駆動用モータは、高効率化のためにインバータ制御の周波数を高くする必要があるが、周波数が高くなると、その転がり軸受に電流が流れやすくなる。
回転軸とハウジングの一方に取り付けられた軌道輪のはめあい面が導電性であると、前述の電位差による電流が転がり軸受に流れて軌道面と転動体の弾性接触域で放電が起こり、軌道輪や転動体に電食が発生することがある。これを防止するため、従来、軌道輪のはめあい面を絶縁被膜で構成することが行われている(特許文献1)。
電食の防止には転がり軸受の高インピーダンス化が有効である。特許文献1に開示された軸受装置は、転がり軸受の軌道輪の本体を金属輪とし、その金属輪の反軌道面側の外周又は内周には、軌道輪のはめあい面の下地面と、その下地面から径方向に凹んだ窪みとを形成し、その窪みの形状に倣うように金属輪の下地面側の周面を絶縁被膜で覆ったり、その窪みを埋めるように下地面側の周面を絶縁被膜で覆ったりすることにより、軌道輪と、嵌め合い相手の回転軸又はハウジングとの間のキャパシタンスを小さくして高インピーダンス化を図っている。
しかしながら、特許文献1のように金属輪に全周溝状の窪みを一本又は複数本形成したり、分散配置で窪みを多数形成したりして、その窪みに倣わせた形で絶縁被膜を構成した場合、軌道輪のはめあい面から凹んだ窪み被覆部が絶縁被膜の全周に又は多数形成され、その窪み被覆部と、嵌め合い相手のはめあい面との間に隙間が生じるので、軌道輪と嵌め合い相手間の熱伝導性が悪くなり、転がり軸受の放熱性に悪影響を及ぼす懸念がある。
また、絶縁被膜に窪み被覆部が形成されるので、絶縁被膜の成形が難しくなり、量産性が低くなる。
また、その窪み被覆部には隅部や角部の屈曲部があるため、その屈曲部で応力集中し、絶縁被膜が割れたり、剥がれたりし易く、信頼性が低くなる。
また、金属輪の下地面側の周面に窪みを加工する必要があるので、軌道輪のコストが高くなる。
一方、金属輪に窪みを形成せず、絶縁被膜の膜厚を全面的に厚くすることにより、キャパシタンスを小さくすることも可能だが、絶縁被膜の素材使用量が多くなるので、軌道輪のコストが高くなり、また、放熱性が低下する懸念もある。
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、車両駆動用モータ又は車両駆動用モータに接続された変速機に含まれた回転軸をハウジングに対して転がり軸受で支持する軸受装置において、転がり軸受に備わる軌道輪の量産性及び絶縁被膜の信頼性の低下を避けつつ軌道輪のコストを抑えることにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、車両駆動用モータ又は車両駆動用モータに接続された変速機に含まれた回転軸と、前記回転軸の周囲に設けられたハウジングと、前記ハウジングに対して前記回転軸を支持する転がり軸受とを備え、前記転がり軸受は、内方の軌道輪と、外方の軌道輪と、前記内方の軌道輪と前記外方の軌道輪の間に介在する複数の転動体と、これら複数の転動体を保持する保持器とを有し、前記内方の軌道輪と前記外方の軌道輪のうちの一方の軌道輪は、前記回転軸と前記ハウジングのうちの一方の部材に取り付けられており、前記一方の軌道輪のうち、前記一方の部材に嵌合するはめあい面が、絶縁被膜からなる軸受装置において、前記はめあい面と前記一方の部材とが、すきまばめされている構成を採用した。
上記構成によれば、一方の軌道輪のはめあい面を構成する絶縁被膜と、嵌め合い相手である一方の部材とがすきまばめされているので、そのはめあいすきまに基づいて絶縁被膜と一方の部材との接触面積を減らすこと、すなわちキャパシタンスを小さくして高インピーダンス化を実現することができる。このため、絶縁被膜に窪み被覆部の形成を不要にしつつ絶縁被膜の膜厚を薄くすることが可能になり、これにより、一方の軌道輪の量産性や絶縁被膜の信頼性の低下を避けつつ軌道輪のコストを抑えることができる。
ここで、この発明における車両駆動用モータとは、電気エネルギを変換して車両の駆動源となる回転を出力する電気機器と、車両の回生ブレーキ時に入力回転を電気エネルギに変換する電気機器との少なくとも一方に該当するものを意味する。
また、この発明における変速機とは、入力回転速度を変換して出力側に伝える装置を意味し、その速度変換の比率(減速比、変速比)が連続的に変えられる無段変速装置と、その速度変換の比率が固定されている固定比変速装置とを包含する概念であり、その固定比変速装置には、その速度変換の比率が1種類しかない減速機又は増速機と呼ばれるものが含まれる。
前記はめあい面と前記一方の部材との間に0.005mm以上のはめあいすきまが設定されているとよい。このようにすると、車両駆動用モータ又は車両駆動用モータに接続された変速機に含まれた回転軸を支持する用途に実績のある軸受サイズにおいて、一方の軌道輪のはめあい面と一方の部材との間にはめあいすきまが無い場合に比して接触面積を凡そ半分以下に低減して、高インピーダンス化を実現することができる。その分、絶縁被膜を薄くして低コスト化を図ることが可能である。
より好ましくは、前記はめあいすきまが0.02mm以上であるとよい。このようにすると、前述の接触面積を凡そ7割低減することができ、絶縁被膜を一層薄くすることができる。
前記絶縁被膜の膜厚が0.05mm以下であるとよい。このように絶縁被膜の膜厚を0.05mm以下に薄くすると、一方の軌道輪のはめあい面と一方の部材との接触部に作用するラジアル荷重による絶縁被膜の変形を小さくして前述の接触面積の拡大を抑え、高インピーダンスを確保することができる。
前記絶縁被膜が、セラミックス、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びエポキシ樹脂の中の少なくとも一つを含有する焼成膜であるとよい。これら材料は、絶縁抵抗、絶縁破壊電圧、機械的強度、加工性などの点で絶縁被膜の材料として好適である。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、車両駆動用モータ又は車両駆動用モータに接続された変速機に含まれた回転軸をハウジングに対して転がり軸受で支持する軸受装置において、転がり軸受に備わる軌道輪の量産性及び絶縁被膜の信頼性の低下を避けつつ軌道輪のコストを抑えることができる。
この発明の一例としての実施形態に係る軸受装置を添付図面の図1~図6に基づいて説明する。
図1~図3に示すこの軸受装置は、ハウジング10と、車両駆動用モータ20の回転軸21と、ハウジング10に対して回転軸21を支持する転がり軸受1とを備える。
この軸受装置は、車両の駆動系に組み込まれる回転伝達装置の一部として用いられている。図3に例示する回転伝達装置は、車両駆動用モータ20と、車両駆動用モータ20に接続された変速機30とを備える。変速機30は、複数の回転軸31~33と、これら各回転軸31~33に設けられた歯車34~36と、回転軸31,32,33を支持する複数の転がり軸受37,38とを備える。車両駆動用モータ20のモータシャフトからなる回転軸21は、回転軸31と連結されており、両軸21,31は、一体に回転する。車両駆動用モータ20が駆動源となる場合、車両駆動用モータ20の出力軸となる回転軸21から変速機30の回転軸31に入力され、変速機30は、回転軸31に入力された回転を減速して回転軸33から出力する歯車減速機となる。車両駆動用モータ20が回生ブレーキとなる場合、変速機30は、走行車輪側から回転軸33に入力された回転を増速して回転軸31から車両駆動用モータ20の回転軸21に出力する歯車増速機となる。
回転軸21を支持する転がり軸受1と、回転軸31~32を支持する転がり軸受37は、それぞれ深溝玉軸受になっている。回転軸33を支持する転がり軸受38は、円すいころ軸受になっている。
図1、図2に示すように、転がり軸受1は、内方の軌道輪2と、外方の軌道輪3と、内方の軌道輪2と外方の軌道輪3との間に介在する複数の転動体4と、これら複数の転動体4を保持する保持器5とを有する。
なお、以下では、この転がり軸受1の軸受中心軸(図示省略、以下、同じ。)に沿った方向を「軸方向」という。また、軸方向に直交する方向を「径方向」という。また、軸受中心軸回りの円周に沿った方向を「周方向」という。図1において、軸受中心軸は、回転輪とする内方の軌道輪2の中心軸である。図1は、軸受中心軸を含む仮想平面の断面を示す。軸方向は、図1において左右方向に相当し、径方向は、図1において上下方向に相当する。
内方の軌道輪2は、転動体4と接触する軌道面2aを外周側に有し、回転軸21に嵌合されるはめあい面2bを内周側に有する環状部材からなる。
外方の軌道輪3は、転動体4と接触する軌道面3aを内周側に有し、はめあい面3bを外周側に有する環状部材からなる。
転動体4は、鋼球からなる。
保持器5は、内外の軌道面2a,3a間に介在する複数の転動体4を所定の周方向間隔に保つ環状の軸受部品からなる。
ハウジング10は、回転軸21の周囲に設けられたはめあい面10aを有する。このはめあい面10aは、円筒面状に形成されている。ハウジング10は、例えば、アルミニウム系材料によって形成される。
内方の軌道輪2の全体は、鋼によって形成されている。
外方の軌道輪3は、軌道面3aを内周側に有する金属輪6と、金属輪6の外周及び両側面を被覆する絶縁被膜7とからなる。
金属輪6は、鋼によって形成されている。
絶縁被膜7は、絶縁性を有する非金属材製のコーティング層からなる。絶縁被膜7は、金属輪6の円筒面状の外径面に全面的に倣っている。絶縁被膜7の膜厚は、全面的に均一になっている。なお、図1においては、絶縁被膜7を分かり易くするため、その膜厚を大きく誇張している。
絶縁被膜7は、絶縁抵抗、絶縁破壊電圧、機械的強度、加工性などの点から、例えば、セラミックス、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、及びエポキシ樹脂の中の少なくとも一つを含有する焼成膜であることが好ましい。セラミックスやエポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂の場合、塗工した材料を加熱して焼成膜を形成することができる。エポキシ樹脂やポリアミドイミド樹脂の場合、硬化剤を含めて焼成することも可能である。
セラミックスとしては、例えば、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)などが挙げられる。例えば、金属輪6の外周にセラミックス被膜を形成し、そのセラミックス被膜にPPS,PAI等の絶縁性の合成樹脂を含侵させて絶縁被膜7を構成することができる。
また、絶縁被膜7は、例えば、PPS、PAI及びエポキシ樹脂の中の少なくとも一つをマトリックス樹脂とし、このマトリックス樹脂の強化に貢献する繊維材を含む合成樹脂組成物であってもよい。
絶縁被膜7の膜厚は、例えば、0.0010mm以上、1.0mm以下にすることができる。膜厚を不必要に厚くすると、コスト高になるので、1.0mm以下にすることが好ましい。
特に、PAIを主成分とした焼成膜又はPAIをマトリックス樹脂とした焼成膜を絶縁被膜7とする場合、膜厚の均一性等を考慮すると、絶縁被膜7の膜厚が0.005mm以上、0.100mm以下であることが好ましい。この場合、外方の軌道輪3のクリープによる摩耗や絶縁性を考慮すると、絶縁被膜7の膜厚が0.010mm以上、0.050mm以下であることがより好ましい。
外方の軌道輪3のはめあい面3bは、絶縁被膜7からなる。このはめあい面3bは、外方の軌道輪3の外径を規定する円筒面状に形成されている。
外方の軌道輪3のはめあい面3bは、ハウジング10のはめあい面10aと嵌合されている。内方の軌道輪2のはめあい面2bは、回転軸21と嵌合されている。
外方の軌道輪3のはめあい面3bの最大外径は、ハウジング10のはめあい面10aの最小内径よりも小さい。すなわち、外方の軌道輪3のはめあい面3bは、回転軸21とハウジング10のうちの一方の部材としてのハウジング10とすきまばめされている。外方の軌道輪3のはめあい面3bと、ハウジング10のはめあい面10aとの間に設定されているはめあいすきまは、はめあい面10aの最小内径とはめあい面3bの最大値との差分に相当する。
一方の部材としてのハウジング10と、この嵌め合い相手である一方の軌道輪としての外方の軌道輪3とが径方向に接触し得る部位は、互いのはめあい面3b、はめあい面10aのみである。そのはめあい面3bを構成する絶縁被膜7は、駆動用モータ20からの漏れ電流が流れる回路を絶縁被膜7で断ち、内外の軌道輪2,3と転動体4間における放電を防いで内外の軌道輪2,3、転動体4の電食を防止する。
図4に示すように、外方の軌道輪3のはめあい面3bと、ハウジング10のはめあい面10aとの間では、その周方向の大部分の領域において、両はめあい面3b,10a間にすきまgaが生じる一方、その周方向の残部において、両はめあい面3b,10aが接触する。両はめあい面3b,10aの接触部は、転がり軸受1に負荷されるラジアル荷重によって変形させられる。このため、両はめあい面3b,10aの接触部は、ラジアル荷重の方向(図4において下方向)と直交する平面に沿った方向に幅Waをもって生じる。
絶縁被膜7が前述のラジアル荷重で大きく変形する程、接触部の幅Waが大きくなる。接触部の幅Waが大きくなる程、両はめあい面3b,10aの接触面積が大きくなる。ラジアル荷重による絶縁被膜7の変形を抑えるため、絶縁被膜7の膜厚は、0.05mm以下であることが好ましい。
ここで、絶縁被膜7による静電容量Cは、次の[数1]で表すことができる。
[数1]において、ε0は真空の誘電率、εmは絶縁被膜の材料の誘電率、Sは両はめあい面3b,10aの接触面積、dは絶縁被膜7の膜厚である。[数1]から、静電容量Cを小さくすること、すなわちインピーダンスを高くするには、接触面積Sを小さくすればよいことが分かる。
仮に、ハウジング10のはめあい面10aの内径をより小さくして図5に示すはめあい面10bに変更した場合、外方の軌道輪3のはめあい面3bと、ハウジング10のはめあい面10bとの間のはめあいすきまが図4例よりも小さくなり、すきまgbが総じて小さくなるので、両はめあい面3b,10bの接触部の幅Wbが図4例の幅Waよりも大きくなり、したがって、接触面積が図4例よりも大きくなり、高インピーダンス化にとって不利となる。なお、図4、図5においては、はめあいすきまの違いによる接触面積の変化を分かり易くするため、幅Wa、Wbを誇張している。
車両駆動用モータや変速機の回転軸支持用途に実績のある軸受サイズを想定し、はめあいすきまと接触面積の関係を計算した。その計算結果を図6に示す。ここで、計算モデルは、型番6207(軸受外径φ72mm)に設定した。
図6のグラフから明らかなように、はめあいすきまが0.005mm以上のとき、はめあいすきまが無い場合に比して、接触面積を凡そ半分以上減らすことができる。特に、はめあいすきまが0.020mm以上である場合、接触面積を約7割も減らすことができる。
このことから、図1に示す外方の軌道輪3のはめあい面3bとハウジング10のはめあい面10aとの間に0.005mm以上、より好ましくは0.020mm以上のはめあいすきまを設定することにより、車両駆動用モータ等の回転軸支持用途に実績のある軸受サイズにおいて、両はめあい面3b,10aの接触面積を5割以上、より好ましくは7割以上減らして両はめあい面3b,10a間の高インピーダンス化を実現可能なことが分かる。したがって、同じ静電容量を得るとしても、はめあいすきまを0.005mm以上にすると絶縁被膜7の膜厚を5割以上低減し、特に、はめあいすきまを0.020m以上にすると絶縁被膜7の膜厚を7割以上低減して、絶縁被膜7の低コスト化を図ることが可能である。
図1~図4に示すこの軸受装置は、上述のようなものであり、車両駆動用モータ20に含まれた回転軸21と、回転軸21の周囲に設けられたハウジング10と、ハウジング10に対して回転軸21を支持する転がり軸受1とを備え、転がり軸受1が内方の軌道輪と、外方の軌道輪と、内方の軌道輪と外方の軌道輪の間に介在する複数の転動体と、これら複数の転動体を保持する保持器とを有し、内方の軌道輪と外方の軌道輪のうちの一方の軌道輪3は、回転軸とハウジングのうちの一方の部材(ハウジング10)に取り付けられており、一方の軌道輪3のうち、一方の部材10に嵌合するはめあい面3bが絶縁被膜7からなるものであって、一方の軌道輪3のはめあい面3bと一方の部材10とがすきまばめされているので、そのはめあいすきまに基づいて絶縁被膜と一方の部材との接触面積を減らして静電容量(キャパシタンス)を小さくし、高インピーダンス化を実現することができる。これにより、この軸受装置は、金属輪6の外周に高インピーダンス化のための窪み加工を無くし、また絶縁被膜7の膜厚を薄くして、一方の軌道輪3の量産性及び絶縁被膜7の信頼性の低下を避けつつ一方の軌道輪3のコストを抑えることができる。
また、この軸受装置は、一方の軌道輪3のはめあい面3bと一方の部材10との間に0.005mm以上のはめあいすきまが設定されていることにより、車両駆動用モータ20の回転軸21を支持する用途に実績のある軸受サイズにおいて、一方の軌道輪3のはめあい面3bと一方の部材10との間にはめあいすきまが無い場合に比して接触面積を凡そ半分以下に低減して、高インピーダンス化を実現し、その分、絶縁被膜7を薄くして低コスト化を図ることができる。
特に、この軸受装置は、一方の軌道輪3のはめあい面3bと一方の部材10との間のはめあいすきまが0.02mm以上であることにより、前述の接触面積を凡そ7割低減して、絶縁被膜7を一層薄くすることができる。
また、この軸受装置は、絶縁被膜7の膜厚が0.05mm以下であることにより、一方の軌道輪3のはめあい面3bと一方の部材10との接触部に作用するラジアル荷重による絶縁被膜7の変形を小さくして前述の接触面積の拡大を抑え、高インピーダンスを確保することができる。
また、この軸受装置は、絶縁被膜7がセラミックス、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びエポキシ樹脂の中の少なくとも一つを含有する焼成膜であることにより、絶縁被膜7の良好な絶縁抵抗、絶縁破壊電圧、機械的強度、加工性などを得ることができる。
図示例では、車両駆動用モータ20の回転軸21を支持する転がり軸受1の外方の軌道輪3とハウジング10間で高インピーダンス化を図ったが、内方の軌道輪と回転軸間で高インピーダンス化を図る場合も考えられる。この場合、一方の軌道輪としての内方の軌道輪のはめあい面を絶縁被覆で構成し、内方の軌道輪のはめあい面と、一方の部材としての回転軸とをすきまばめし、その膜厚やはめあいすきまを同様に設定すればよいだけなので、その図示説明を省略する。また、図示例では、車両駆動用モータ20の回転軸21を支持する軸受装置にこの発明を適用したが、この発明は、変速機30の回転軸31~33を支持する転がり軸受37、38の軌道輪のはめあい面を絶縁被覆で構成する場合にも転がり軸受1の場合と同様に適用すればよいだけのことなので、その図示説明を省略する。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,37,38 転がり軸受
2 内方の軌道輪
3 外方の軌道輪
3b はめあい面
4 転動体
5 保持器
7 絶縁被覆
10 ハウジング
20 車両駆動用モータ
30 変速機
21,31~33 回転軸
2 内方の軌道輪
3 外方の軌道輪
3b はめあい面
4 転動体
5 保持器
7 絶縁被覆
10 ハウジング
20 車両駆動用モータ
30 変速機
21,31~33 回転軸
Claims (5)
- 車両駆動用モータ又は車両駆動用モータに接続された変速機に含まれた回転軸と、前記回転軸の周囲に設けられたハウジングと、前記ハウジングに対して前記回転軸を支持する転がり軸受とを備え、
前記転がり軸受は、内方の軌道輪と、外方の軌道輪と、前記内方の軌道輪と前記外方の軌道輪の間に介在する複数の転動体と、これら複数の転動体を保持する保持器とを有し、
前記内方の軌道輪と前記外方の軌道輪のうちの一方の軌道輪は、前記回転軸と前記ハウジングのうちの一方の部材に取り付けられており、
前記一方の軌道輪のうち、前記一方の部材に嵌合するはめあい面が、絶縁被膜からなる軸受装置において、
前記はめあい面と前記一方の部材とが、すきまばめされていることを特徴とする軸受装置。 - 前記はめあい面と前記一方の部材との間に0.005mm以上のはめあいすきまが設定されている請求項1に記載の軸受装置。
- 前記はめあいすきまが0.02mm以上である請求項2に記載の軸受装置。
- 前記絶縁被膜の膜厚が0.05mm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の軸受装置。
- 前記絶縁被膜が、セラミックス、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びエポキシ樹脂の中の少なくとも一つを含有する焼成膜である請求項1から4のいずれか1項に記載の軸受装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021136377A JP2023030949A (ja) | 2021-08-24 | 2021-08-24 | 軸受装置 |
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