JP2023030776A - グラム陰性菌用不活化剤とグラム陰性菌不活化方法 - Google Patents

グラム陰性菌用不活化剤とグラム陰性菌不活化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 グラム陰性菌の不活化に有効なグラム陰性菌用不活化剤と、その不活化剤の使用方法を提供する。【解決手段】本発明のグラム陰性菌用不活化剤はpH値12.1~13.2、酸化還元電位がマイナス電位、溶存水素濃度200~1500ppbの高アルカリ電解液である。好ましくは、pH12.5~13.1、酸化還元電位-300~-1100mV、溶存水素濃度400~1300ppbの高アルカリ電解液の細菌用不活化剤である。より好ましくは遊離塩素0ppmである。前記グラム陰性菌用不活化剤を、霧状或いは泡状にして、又はマイクロサイズのミストにしてスプレーや噴霧機器から空間に噴霧して、グラム陰性菌から保護する保護対象物に付着させる方法、又は、保護対象物を前記グラム陰性菌用不活化剤に浸漬して、又は当該グラム陰性菌用不活化剤内で洗浄して、又は保護対象物に塗布して、グラム陰性菌用不活化剤を保護対象物に付着させる方法である。【選択図】図1

Description

本発明は細菌、特に、グラム陰性菌の感染を効果的に不活化できる、新規の電解水(グラム陰性菌用不活化剤)と、その不活化剤を使用したグラム陰性菌不活化方法に関する。
地球環境中には無数の細菌が生息し、様々な動植物と共存している。細菌はウイルスとは違い、栄養があれば自ら成長したり増えたりすることができる。細菌は形態によって球菌、杆菌、らせん菌に大別され、グラム染色によってグラム陽性菌とグラム陰性菌とに大別される。ブドウ球菌、連鎖球菌などはグラム陽性菌であり、ペニシリンなどに対する感受性が高い。大腸菌、サルモネラ菌、レジオネラ菌などはグラム陰性菌である。
細菌は感染する。感染経路は大別して、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染である。グラム陰性菌も感染する。
グラム陰性菌は、細菌系統の大部分を占める重要な細菌である。大腸菌の特定の株は、消化管、尿路、または身体の他の部分で感染症を引き起こす可能性がある。大腸菌感染は、汚染された食物を食べたり、感染した動物に触れたり、プールで汚染水を飲み込んだりして腸内で起こる。腸管の感染症は、時には重度または出血で、下痢や腹痛を引き起こす可能性がある。レジオネラ属は、土壌や湖などの自然環境に生息している。その宿主であるアメーバは、多量のレジオネラ菌が存在する噴水などの人工水循環装置で増殖する。したがって、レジオネラを含む微小水滴または固体粒子を吸入することによって感染が起こる。サルモネラ菌は、人間、牛、豚、鶏、その他の家畜の腸に生息し、川や下水などの自然界に生息している。牛肉、豚肉、鶏肉、魚などの肉も、これらの細菌汚染の原因である。
抗菌薬(抗生剤、抗生物質)は細菌感染に対して有効である。抗生剤は細菌の細胞壁を破壊することで細菌を死滅させる薬剤であるが、グラム陰性菌は外膜がカプセル様の膜や層で覆われた構造となっているものが多いため、グラム陽性菌よりも病原性が高い傾向にある。多剤耐性グラム陰性細菌は世界中の医療に脅威を与える。抗生物質の普及が耐性生物の開発につながる懸念があり、その使用に制限を設けるべきであることが示唆されている。
感染症にはワクチンで予防できるものがある。ワクチンで予防できる細菌感染症には、肺炎球菌感染症、インフルエンザ桿菌(Hib)感染症、破傷風、百日咳などがある。病原体(細菌やウイルス)が付着した手で鼻や口などに触れると、病原体が体内に侵入し、感染が成立する。病原体の付着した手でさまざまなものに触れ、周りの人がそれらに触れることで感染が拡がっていく。手を洗うことで、手についた病原体が体に侵入するのを防ぐだけでなく、周りの人に感染を拡げることを防ぐこともできる。手洗いは、きわめて有効な感染対策である。消毒剤での手洗いは感染対策に特に有効である。
社会の一部では、消毒剤として遊離塩素次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)を推奨している。しかし、塩素は刺激臭を有し腐食性であり、潜在的な健康被害のために永く使用することは現実的ではないかもしれない。一方、一部で従来使用されている表面消毒剤、第四級アンモニウム化合物(QAC)およびエタノールは、製造業者の指示に従って使用しなかった場合に不完全な阻害活性を有する。また、その普及が耐性微生物を生み出す可能性につながる懸念もあり、その使用に限界を設けるべきであることが提案されている。
抗ウイルス用消毒剤として、アルコール類を主体とした消毒剤にカテキン類を配合した消毒剤(特許文献1)、ヨウ素類を用いた消毒剤(特許文献2)等もあるが、これらは細菌を十分に不活化させるものではない。
特開平9-110615号公報 特表2000-516142号公報
本発明の解決課題は、細菌、特に、グラム陰性菌の除菌、滅菌等に有効なグラム陰性菌用不活化剤とグラム陰性菌不活化方法を提供することにある。
[本発明のグラム陰性菌用不活化剤]
本発明のグラム陰性菌用不活化剤は、高アルカリ電解液(強アルカリ電解液)であり、pH12.1~13.2、好ましくはpH12.5~13.1のグラム陰性菌用不活化剤である。酸化還元電位(ORP)-300~-1100mV、溶存水素濃度200~1500ppb、好ましくは、酸化還元電位(ORP)-700~-900mV、溶存水素濃度400~1300ppbである。いずれの場合も遊離塩素0ppmが望ましい。遊離塩素0ppmであることは、本発明のグラム陰性菌用不活化剤として必須(必要不可欠)の要件ではないが、遊離塩素0ppmであると非刺激性であり、防錆性の高アルカリ電解液となること、本発明のグラム陰性菌用不活化剤は、後記するように、グラム陰性菌から保護する対象物に付着させて使用することが効果的であること等の面から、遊離塩素0ppmであるとより好ましいグラム陰性菌用不活化剤となる。本発明では、水道水に通常含まれている程度、例えば、0.01~10ppm程度の遊離塩素であれば含まれていてもグラム陰性菌の不活化に弊害はない。
[本発明のグラム陰性菌不活化方法]
本発明のグラム陰性菌不活化方法は、本発明のグラム陰性菌用不活化剤をグラム陰性菌から保護する対象物(保護対象物)へ付着させることによりグラム陰性菌を不活化させる方法であり、その付着手段は、グラム陰性菌用不活化剤を保護対象物に塗布する、又は保護対象物をグラム陰性菌用不活化剤に浸漬する、又は保護対象物をグラム陰性菌用不活化剤内で洗浄する、又はグラム陰性菌用不活化剤をマイクロサイズの微細粒子(ミスト)にして空間噴霧して保護対象物に付着させることにより、グラム陰性菌を不活化する方法である。
本発明のグラム陰性菌用不活化剤は、グラム陰性菌を不活化できるため、グラム陰性菌の感染防止に有効である。pH12.1~13.2、好ましくはpH12.5~13.1と高pH(強アルカリ)であるため腐食しにくい非腐食性でもある。きわめて低い酸化還元電位(ORP)-300~-1100mV、好ましくは-700~-900mVであるため酸化防止という効果もある。溶存水素濃度200~1500ppb、好ましくは400~1300ppbと高濃度であるため食材の鮮度維持という効果もある。純水を使用して生成されるため無臭でもある。遊離塩素0ppm(塩素が含まれていない)の場合は、非刺激性であり、防錆性もある。
本発明のグラム陰性菌不活化方法は、本発明のグラム陰性菌用不活化剤を保護対象物に付着させることで、保護対象物に付着するグラム陰性菌を不活化できる。グラム陰性菌用不活化剤を霧状や泡状或いはマイクロサイズのミストにして空間噴霧して付着させる場合は、保護対象物が存在する空間に噴霧したり、保護対象物が噴霧空間内を通過したりするだけで保護対象物に付着させることができ、グラム陰性菌を手軽に不活化させることができる。不活化剤が無色、無臭であるため保護対象物に付着させても、保護対象物への着色、臭いの付着がない。
本実験によるグラム陰性菌の不活化に対するSAIW電解液の抑制効果の説明図。 歩行通過型噴霧器の外観図。 図2の歩行通過型噴霧器の構成図。 大容量空間噴霧器の構成図。 (a)車イス通行型全身噴霧器の正面図、(b)は(a)の加圧室部分の説明図。 SAIW電解液生成の原理説明図。
[本発明の開発に先立つ試験及び研究]
本件発明者らは、本発明の開発に先立って、3種類のグラム陰性菌(大腸菌、サルモネラ菌、レジオネラ菌)の不活化に対する高アルカリ性水溶液(高アルカリ電解液:SAIW電解液)の有効性についての試験と研究(以下、併せて「本試験」という。)を重ねた。
[本試験の目的]
本試験の目的は塩素系化学物質の前記したような懸念がなく、無色、無臭、非刺激性および非腐食性の新しい高アルカリ電解液(SAIW電解液)の、前記3種のグラム陰性菌に対する不活性化と消毒剤としての抗グラム陰性菌効果を評価し、新たな消毒剤としての可能性を探ることにあった。グラム陰性菌の感染経路が主に接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染であることから、それら感染経路での感染を防ぐことを意識して研究を行った。また、動物や人間を用いた生体内安全性について確認することにもあった。
[試験の結果]
本試験の結果、SAIW電解液は、テストした3種のグラム陰性菌に対して非常に短い接触時間で強力な抗菌効果を示し(図1)、感染性を大幅に排除できることが確認された。
[SAIW電解液]
新しい高アルカリ電解液であるSAIW電解液は、本件出願人が開発した電解アルカリ水生成装置を使用して、本件出願人が生成した高アルカリ電解液である。前記電解アルカリ水生成装置は特許第4967050号、特許第6057267号、特許第6448043号として登録されている。この高アルカリ電解液は本件出願人がSAIW(Super Alkali Ion Water:本件出願人の登録商標)と命名していることから、以下の説明では、この高アルカリ電解液を「SAIW電解液」という。
[本試験に基づく本発明のグラム陰性菌用不活化剤の開発]
本試験により、SAIW電解液は3種のグラム陰性菌株(大腸菌、サルモネラ菌及びレジオネラ菌)に対して効率的な抗菌性を示した。大腸菌、サルモネラ菌及びレジオネラ菌の元々の感染性はすべて、30秒治療以内に検出レベルが低下した。このことから、SAIW電解液はグラム陰性菌の感染を強く阻害することが確認できた。その詳細は後記する。この確認は、少なくとも、部分的には、グラム陰性菌の感染力がSAIW電解液によって排除されたことを裏付けていると思われる。このことから、本件発明者らは、グラム陰性菌は非常に繊細であり、生物学的不活化性は生理学的pHの近くで効率的に発揮されることを見出した。また、マウスを用いた急性吸入毒性試験とヒトボランテイアによる皮膚パッチテストを行った結果、SAIW電解液は非常に安全な抗グラム陰性菌消毒剤としての可能性を示した。このことから、本件発明者らは、本発明のグラム陰性菌用不活化剤を完成させた。
[本発明のグラム陰性菌不活化方法の開発]
科学的に確認された消毒剤の効果的かつ安全な空間噴霧することはこれまで行われていない。また、米国疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)およびWHO(World Health Organization)のガイドラインに基づいて品質、有効性、安全性が確認され、空間噴霧用の消毒剤として承認されている医薬品や準医薬品はない。したがって、空間噴霧できるSAIW電解液は抗グラム陰性菌効果を備えた新規で非常に安全な代替品として有望と考えられることから、本発明のグラム陰性菌不活化方法を完成させた。
[材料と試験方法]
[高アルカリ電解液の準備]
本試験で使用する高アルカリ電解水の生成には、前記特許のいずれの電解アルカリ水生成装置も使用可能であり、それ以外の電解アルカリ水生成装置を使用することもできるが、本試験では、水道水中の不純物をRO膜(逆浸透膜)により除去した純水を用いて、本件出願人が開発した前記特許の電解アルカリ水生成装置により生成した高アルカリ電解水(SAIW電解液)を使用した。このSAIW電解液の生成に当たっては、生成タンク31(図6)の陰極チャンバー32(図6)に純水を供給し、陽極チャンバー33(図6)に電解質タンク34(図6)から食品添加物グレードの炭酸カリウムを供給し、陽イオン交換膜35(図6)を用いて製造した。この場合、高pH値の強アルカリイオン水を生成するため、陰極チャンバーに32(図6)に供給する純水の量を、低いpH値のアルカリイオン水を生成する場合に陰極チャンバー32に供給する純水の量よりも少なくした。他の生成条件は電解イオン化水を生成する場合の通常の生成条件と同様である。この高アルカリ電解液は溶存水素濃度が高い強アルカリ電解液であり、成分は99.83%の純水と0.17%の水酸化カリウムを含む。水酸化カリウムはpH値によっても異なる。例えば、pH12.1前後の場合は0.1%程度、pH13.2前後の場合は0.98%程度である。
[SAIW電解液とその安定性]
SAIW電解液は、塩素系の化学物質を一切使用せず、基本的には水のみを含む電解水である。水酸化カリウムをごくわずかな量(0.17%)しか含まず、遊離塩素0ppmである。生成に純水を使用するため無色、無臭、非刺激性、非腐食性および無錆性であり、安全である。希釈により水や塩水に簡単に戻り、環境に優しい電解水である。製造直後は、極めて低い酸化還元電位(ORP)-700~-900mV、高い溶存水素濃度423ppb、pH12.5(±3%)であった。pHが非常に高く、微生物タンパク質を変性させるのに十分であると考えられる。実際、後記する実験によって、強力な抗細菌効果を非常に短い時間での処理によって達成することができた。平均pH値は、密封時に180日間以上も安定しており、開封しても48日以上安定している。
本発明におけるSAIW電解液は前記数値に限定されるものではない。pHが12.1よりも低いとグラム陰性菌不活化効果が減少し、13.2よりも高いと不活化効果は高まるが皮膚への刺激が強く安全性が低下する。pHが12.1~13.2であれば抗グラム陰性菌効果は達成できる。酸化還元電位(ORP)は-1100mVよりも低いとグラム陰性菌不活化効果が減少して、-300mVよりも高いと皮膚への安全性が低下する傾向にあるが、pHが前記数値の範囲内であれば抗グラム陰性菌効果は達成できる。溶存水素濃度は200ppbよりも低いと抗酸化作用が減少傾向となり、1500ppbよりも高いと皮膚の安全性が低下する。pHが前記数値の範囲内であれば、抗グラム陰性菌効果は達成できる。したがって、本発明のグラム陰性菌用不活化剤としてのSAIW電解液は、pH12.1~13.2、好ましくはpH12.5~13.1、酸化還元電位-300~-1100mV、好ましくは-700~-900mV、溶存水素濃度200~1500ppb、好ましくは400~1300ppbであってもよい。
[グラム陰性菌不活性]
大腸菌またはレジオネラ菌溶液の100ulを20℃で、10mlのSAIW電解液で30、300、900秒間処理した後、生存細胞の数を決定した。生菌の測定には、B-CYEα寒天培地(栄研)を用いた平板スメア培養法(35℃、7日間)を用いた。試験溶液を培地で10倍希釈することにより、試料の影響を受けずに生存細胞数を測定できることを事前に確認した。また、100ulのサルモネラ菌溶液を10mlのSAIW電解液に加え、20℃で30、300、および900秒間処理した。次いで、各1mlを膜フィルター(直径0.45μm)を通して濾過し、滅菌精製水で洗浄した。この濾紙を養液中寒天培地と密に接触させ、35℃で2日間培養し、1ml当たりの生存細胞数を測定した。同じ操作を陽性対照として150ppm次亜塩素酸ナトリウムを用いて行った。
[マウスにおけるSAIW電解液の急性吸入毒性]
5匹の雌雄ICRマウスを用いてSAIW電解液の急性吸入毒性効果を調べた。動物はSAIW電解液の元の溶液の噴霧に晒された。全身暴露は、山下らの方法に従って0.5m実験槽を用いた超音波加湿器を用いて行った。
暴露の方法は以下の通りであった。まず、20秒間噴霧し、10分間隔で3回行い、その後30分の回収時間を行った。次いで、20秒の噴霧を10分間隔で3回行い、10分後に、最終20秒の噴霧を5分間隔で4回行った。噴霧総量は20.7gであった。結果は、5匹の雄マウスと5匹の雌マウスでは異常も死亡も認められなかったことを示した。体重に関しては、5匹中4匹の雄(0.2、0.4、0.5、0.8g)、5匹中1匹の雌(0.4g)で暴露1日後に減少が見られた。平均減少量は0.25gで、範囲は0.2~0.8gであった。しかし、これらのマウスは、曝露後2日又は3日後に体重増加も示し、14日間の平均増加は、雄6.58g、雌4.86gで、対照マウスと基本的に同じ傾向を示した。14日後、未暴露マウスとの間に重量差はなかった。研究期間中、オスの食物摂取量は4.2~5.4g/動物/日であり、雌の摂取量は3.8~4.4g/動物/日で、対照マウスと同じレベルであった。病理組織学的検査では、剖検的に異常は見られず、雌雄ともに変化は見られなかった。暴露直後に体重減少が半数のマウスで見られたが、一時的であった。更に、病理的異常と死亡例も見られなかった。以上の結果から、SAIW電解液は急性吸入毒性を有しないと結論付けられた。唯一の変化は一過性の減量であった。
[ヒトにおける皮膚パッチテスト]
ボランティア(20歳から60歳までの22人の日本人男性と女性)に、SAIW電解液とコントロールを24時間継続して適用することによるクローズドパッチテストを実施した。その結果、皮膚刺激性指数はゼロであることを確認した。したがって、SAIW電解液は非常に安全な抗グラム陰性菌消毒剤としての可能性を示したと言える。
[実験の結論]
本研究の結論として、SAIW電解液は、非常に効果的で安全な消毒剤であると言える。実験に使用したSAIW電解液は純水とごくわずかな量の水酸化カリウム(0.17%)で構成されており、塩素を含まないため塩素臭も刺激臭もなく、危険や応急処置の必要性が少ない物質である。SAIW電解液は広く利用可能であり、電気があるところならどこでも簡単に作ることができるので、生成箇所に制約がなく、地理的な条件にも有利性がある。さらに、SAIW電解液が数ヶ月の長期にわたって非常に化学的に安定であることが示されている。SAIW電解液は河川や土地を汚染せず、水生生物や土地の生活に影響を与える心配もない。SAIW電解液は水で希釈され、pHが中性に近くなり、自然の水に戻るように、環境に優しく、持続可能な消毒剤である。重要なことに、マウスを用いたヒトおよび急性吸入毒性試験における皮膚刺激試験において非常に安全であることも示されている。これらのデータは、多くの点でSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を達成するための条件を満たしていることを示唆している。
(グラム陰性菌不活化方法)
本研究で示されたヒトや動物における安全性プロファイルを考えると、本発明のグラム陰性菌用不活化剤(SAIW電解液)を使用してグラム陰性菌を不活化する方法は、グラム陰性菌から保護したい対象物(保護対象物)にSAIW電解液を付着することである。付着方法としては、保護対象物をSAIW電解液に浸漬する、保護対象物をSAIW電解液で洗浄する、保護対象物にSAIW電解液塗布したり噴霧したりして付与することが考えられる。保護対象物にSAIW電解液を噴霧する方法は、鳥インフルエンザ、古典的な豚熱(豚コレラ)、農場での家畜飼育中に起こる口蹄疫などの際の大量殺処分を防ぐのに役立つ可能性がある。
(噴霧による不活化方法の実施例)
本発明のグラム陰性菌不活化方法は、本発明のグラム陰性菌用不活化剤をグラム陰性菌から保護する対象物(保護対象物)へ付着させることによりグラム陰性菌を不活化させる方法である。付着方法(付着手段)は各種あり、グラム陰性菌用不活化剤を保護対象物に塗布する方法、保護対象物をグラム陰性菌用不活化剤に浸漬する方法、保護対象物をグラム陰性菌用不活化剤内で洗浄する方法、グラム陰性菌用不活化剤を霧状、泡状、マイクロサイズの微細粒子(ミスト)にして噴霧して保護対象物に付着させる方法等である。
保護対象物へのグラム陰性菌用不活化剤の塗布は、グラム陰性菌用不活化剤を含む刷毛、ローラ等を保護対象物に接触させることにより行うことができる。
保護対象物へのグラム陰性菌用不活化剤の浸漬は、グラム陰性菌用不活化剤を貯めた容器内に保護対象物を浸漬させることにより行うことができる。
保護対象物へのグラム陰性菌用不活化剤の噴霧は、スプレーやその他の各種噴霧機器によりグラム陰性菌用不活化剤を霧状、泡状或いはマイクロサイズの微細粒子(ミスト)にして、保護対象物に噴霧することができる。噴霧機器としては汎用の手動プッシュ式スプレー、足踏み式スプレー、電池やその他の電源で動作する自動噴霧スプレー、その他の噴霧器等を使用することができる。
(噴霧器による実施例1)
グラム陰性菌用不活化剤をマイクロサイズの微細粒子(ミスト)にして噴霧して保護対象物に付着させる方法の実施例1を図2、図3に示す。
図2、図3は歩行通過型噴霧器でグラム陰性菌用不活化剤をミストにして噴霧する場合の例であり、保護対象物である人や動物が歩行して図2、図3のスロープ1から二枚の仕切り板2の間の通路3の上を通過する間に、貯留タンク4内のグラム陰性菌用不活化剤(SAIW電解液)が自動的にミスト化されて通路3の下から噴霧されて、保護対象物に噴霧できるようにしたものである。
図2の歩行通過型噴霧器は、図3のように、SAIW電解液を貯留する貯留タンク4、噴霧タンク5、噴霧タンク5内のSAIW電解液をミスト化する超音波発振器6、ミストが上昇する整流管7、上昇するミスト10を空中噴霧させる加圧用ファン8及び噴霧補助ファン9を備えている。
(噴霧器による実施例2)
図4は霧化したミスト10を室内空間や屋外空間にミスト化して噴霧し保護対象物に付着させる大容量噴霧器の一例である。この噴霧器は、グラム陰性菌用不活化剤(SAIW電解液)を貯留する貯留タンク11、貯留タンク11内のSAIW電解液を汲み上げる汲み上げポンプ12、汲み上げポンプ12で汲み上げたSAIW電解液をミスト化する超音波発振器13、ミストが上昇する整流管14、上昇するミスト10を空中噴霧させる加圧用ファン15、これら機器に電源供給する電源部16を備えている。上昇するミスト10が空中噴霧されている室内或いは屋外に保護対象物が留置或いは通過することにより、保護対象物が付着するようにしてある。
(噴霧器による実施例3)
図5(a)(b)は車イス通行型噴霧器の一例であり、人が乗った車イスが二枚の仕切り板21の間の通路22の上を車イス23が通過する間に、グラム陰性菌用不活化剤(SAIW電解液)を自動的にミスト化して通路22の下から上方に噴霧して、車イス23とそれに乗った人に噴霧できるようにしたものである。
図5(a)の車イス通行型噴霧器は、図5(b)のように、SAIW電解液を貯留できるミスト生成室24、その上の加圧室25、加圧ファン26、ミスト生成室24の下部に貯留されたSAIW電解液に超音波を送ってSAIW電解液をミスト化する超音波発振器27、ミスト生成室24から発生するミストを整流させる整流板28、ミストが上向きに噴出する上向き噴出口29、ミストが下向きに墳出する下向き噴出口30を備えている。
前記実施例は、あくまでも、本発明のグラム陰性菌用不活化剤とグラム陰性菌不活化方法の実施例の一部であるため、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決できる範囲内で変更可能である。
1 スロープ
2 仕切り板
3 通路
4 貯留タンク
5 噴霧タンク
6 超音波発振器
7 整流管
8 加圧用ファン
9 噴霧補助ファン
10 ミスト
11 貯留タンク
12 汲み上げポンプ
13 超音波発振器
14 整流管
15 加圧用ファン
16 電源部
21 仕切り板
22 通路
23 車イス
24 ミスト生成室
25 加圧室
26 加圧ファン
27 超音波発振器
28 整流板
29 上向き噴出口
30 下向き噴出口
31 生成タンク
32 陰極チャンバー
33 陽極チャンバー
34 電解質タンク
35 陽イオン交換膜

Claims (12)

  1. 高アルカリ電解液であり、
    pH12.1~13.2のグラム陰性菌用不活化剤。
  2. 請求項1記載のグラム陰性菌用不活化剤において、
    酸化還元電位がマイナス電位である、
    グラム陰性菌用不活化剤。
  3. 請求項1記載のグラム陰性菌用不活化剤において、
    酸化還元電位が-300~-1100mVである、
    グラム陰性菌用不活化剤。
  4. 請求項1記載のグラム陰性菌用不活化剤において、
    溶存水素濃度200~1500ppbである、
    グラム陰性菌用不活化剤。
  5. 請求項1記載のグラム陰性菌用不活化剤において、
    酸化還元電位がマイナス電位、溶存水素濃度200~1500ppbである、
    グラム陰性菌用不活化剤。
  6. 請求項1記載のグラム陰性菌用不活化剤において、
    酸化還元電位が-300~-1100mV、溶存水素濃度200~1500ppbである、
    グラム陰性菌用不活化剤。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のグラム陰性菌用不活化剤において、
    遊離塩素0ppmである、
    グラム陰性菌用不活化剤。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のグラム陰性菌用不活化剤を霧状、泡状、マイクロサイズのミストにして、グラム陰性菌から保護する保護対象物に付着させるグラム陰性菌不活化方法。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のグラム陰性菌用不活化剤を霧状、泡状、マイクロサイズのミストにして空間飛散させて、グラム陰性菌から保護する保護対象物に付着させるグラム陰性菌不活化方法。
  10. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のグラム陰性菌用不活化剤に、グラム陰性菌から保護する保護対象物を浸漬して、当該グラム陰性菌用不活化剤を保護対象物に付着させるグラム陰性菌不活化方法。
  11. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のグラム陰性菌用不活化剤内で、グラム陰性菌から保護する保護対象物を洗浄して、当該グラム陰性菌用不活化剤を保護対象物に付着させるグラム陰性菌不活化方法。
  12. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のグラム陰性菌用不活化剤を、グラム陰性菌から保護する保護対象物に塗布して、当該グラム陰性菌用不活化剤を保護対象物に付着させるグラム陰性菌不活化方法。
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