WO2023286128A1 - ウイルス用不活化剤とウイルス不活化方法 - Google Patents

ウイルス用不活化剤とウイルス不活化方法 Download PDF

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Abstract

本発明のウイルス用不活化剤はpH値12.1~13.2、酸化還元電位がマイナス電位、溶存水素濃度200~1500ppbの高アルカリ電解液である。好ましくは、pH12.5~13.1、酸化還元電位-300~-1100mV、溶存水素濃度200~1500ppbの高アルカリ電解液のウイルス用不活化剤である。より好ましくは遊離塩素0ppmである。前記ウイルス用不活化剤を、霧状或いは泡状にして、又はマイクロサイズのミストにしてスプレーや噴霧機器から空間に噴霧して、ウイルスから保護する保護対象物に付着させる方法、又は、保護対象物を前記ウイルス用不活化剤に浸漬して、又は当該ウイルス用不活化剤内で洗浄して、又は保護対象物に塗布して、ウイルス用不活化剤を保護対象物に付着させる方法である。

Description

ウイルス用不活化剤とウイルス不活化方法
 本発明は新型コロナウイルスやその他のウイルスを不活化できる、新規の電解水(ウイルス用不活化剤)と、その不活化剤を使用したウイルス不活化方法に関する。
 地球環境中には無数の微生物が生息し、様々な動植物と共存している。ウイルスは病院、学校、家庭、交通機関などの屋内環境で発生し、人間の健康に大きな影響を与える感染症の最も一般的な原因である。ウイルス感染は、人から人へ直接感染するか、汚染された空間や物質的な表面を介して間接的に起こる。
 昨今、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)や変異型ウイルスが世界中に拡大することに伴い、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者数が急拡大し、コロナ禍が世界中に蔓延している。SARS-CoV-2はパンデミックを引き起こし、世界中に経済的、社会的混乱を引き起こしている。SARS-CoV-2は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)および死亡などの重篤な症状を引き起こす可能性がある。
 細菌感染症に対して有効な抗生物質はウイルス性疾患に対して効果がなく、その予防および制御はワクチンおよび抗ウイルス薬に大きく依存している。各国政府や地方自治体はワクチン接種を進めているが、ワクチンの絶対量が不足しており、接種は十分進んでいるとは言えない。さらにインド株など、最近の急速な変異ウイルスの流行は、現行のワクチンがこのまま有効に使い続けられるかどうかという点についても、問題を提起している。このような現況において、ほとんどのウイルス性疾患の拡大は、ウイルス感染を避けることによって効果的に抑制されている。
 各国の政府や自治体は、ウイルス感染防止のために、国民に対して不要不急の外出の自粛、各種業界の営業時間の短縮要請、テレワークの推進、マスクの着用、3密(密閉、密接、密集)の回避、手洗い、消毒の徹底等々の各種対策を講じているが、いずれによっても、コロナ禍には歯止めがかからず、むしろ、死亡者の続出、医療体制のひっ迫、経済活動の低迷といった各種問題が拡大し、コロナ禍が世界中で大きな脅威となっている。
 ウイルスは細菌と異なり、自己増殖能がないため人などの動物や植物、細菌などの細胞に寄生して増殖する。このため、細菌に対する抗生物質のような、抗ウイルス薬として有効なものが少なく、消毒剤などによる感染防止手段の必要性が高い。消毒剤は、屋外や屋内などの一般的な環境にいる人々とともに病院やケアホームなどの患者や老人など、脆弱な人々から感染症を予防するための不可欠かつ非常に効果的な手段として長い間使用されてきた。
 社会の一部では、消毒剤として遊離塩素次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)を推奨している。しかし、塩素は刺激臭を有し腐食性であり、潜在的な健康被害のために永く使用することは現実的ではないかもしれない。一方、一部で従来使用されている表面消毒剤、第四級アンモニウム化合物(QAC)およびエタノールは、製造業者の指示に従って使用しなかった場合に不完全な阻害活性を有する。また、その普及が耐性微生物を生み出す可能性につながる懸念もあり、その使用に限界を設けるべきであることが提案もされている。
 抗ウイルス用消毒剤として、アルコール類を主体とした消毒剤にカテキン類を配合した消毒剤(特許文献1)、ヨウ素類を用いた消毒剤(特許文献2)等もあるが、これらは、ウイルスを十分に不活化させるものではない。コロナウイルス不活化剤としては特許文献3、4もあるが、それらは本件特許発明のウイルス用不活化剤とは異なる。
特開平9-110615号公報 特表2000-516142号公報 特開2007-39396号公報 特許第6795720号公報
 本発明の解決課題は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)およびその他のエンベロープ型(ヒトコロナウイルスOC43、インフルエンザAウイルス、HSV-1、変異型ウイルス)および非エンベロープ型(ネコカリシウイルスおよびイヌパルボウイルス)の不活化に有効なウイルス用不活化剤と、その不活化方法を提供することにある。
 [本発明のウイルス用不活化剤]
 本発明のウイルス用不活化剤は、高アルカリ電解液(強アルカリ電解液)であり、pH12.1~13.2、好ましくはpH12.5~13.1のウイルス用不活化剤である。酸化還元電位(ORP)-300~-1100mV、溶存水素濃度200~1500ppb、好ましくは、酸化還元電位(ORP)-700~-900mV、溶存水素濃度400~1300ppbである。いずれの場合も遊離塩素0ppmが望ましい。遊離塩素0ppmであることは、本発明のウイルス用不活化剤として必須(必要不可欠)の要件ではないが、遊離塩素0ppmであると非刺激性であり、防錆性の高アルカリ電解液となること、本発明のウイルス用不活化剤は、後記するように、ウイルスから保護する対象物に付着させて使用することが効果的であること等の面から、遊離塩素0ppmであるとより好ましいウイルス用不活化剤となる。本発明では、水道水に通常含まれている程度、例えば、0.01~10ppm程度の遊離塩素であれば含まれていてもウイルスの不活化に弊害はない。
 [本発明のウイルス不活化方法]
 本発明のウイルス不活化方法は、本発明のウイルス用不活化剤をウイルスから保護する対象物(保護対象物)へ付着させることによりウイルスを不活化させる方法であり、その付着手段は、ウイルス用不活化剤を保護対象物に塗布する、又は保護対象物をウイルス用不活化剤に浸漬する、又は保護対象物をウイルス用不活化剤内で洗浄する、又はウイルス用不活化剤をマイクロサイズの微細粒子(ミスト)にして空間噴霧して保護対象物に付着させることにより、ウイルスを不活化する方法である。
 本発明のウイルス用不活化剤は、各種ウイルス、特に、コロナウイルスを不活化できるため、コロナウイルスの感染防止に有効である。pH12.1~13.2、好ましくはpH12.5~13.1と高pH(強アルカリ)であるため腐食しにくい非腐食性でもある。きわめて低い酸化還元電位(ORP)-300~-1100mV、好ましくは-700~-900mVであるため酸化防止という効果もある。溶存水素濃度200~1500ppb、好ましくは400~1300ppbと高濃度であるため食材の鮮度維持という効果もある。純水を使用して生成されるため無臭でもある。遊離塩素0ppm(塩素が含まれていない)の場合は、非刺激性であり、防錆性もある。
 本発明のウイルス不活化方法は、本発明のウイルス用不活化剤を保護対象物に付着させることで、保護対象物に付着するウイルスを不活化できる。ウイルス用不活化剤を霧状や泡状或いはマイクロサイズのミストにして空間噴霧して付着させる場合は、保護対象物が存在する空間に噴霧したり、保護対象物が噴霧空間内を通過したりするだけで保護対象物に付着させることができ、ウイルスを手軽に不活化させることができる。不活化剤が無色、無臭であるため保護対象物に付着させても、保護対象物への着色、臭いの付着がない。
(a)(b)は本実験によるSARS-CoV-2の効率的な不活性化を示す説明図、(c)はSARS-CoV-2の細胞への結合及び侵入阻害を示す説明図。 本実験によるエンベロープ型ウイルス及び非エンベロープ型ウイルスの不活化に対するSAIW電解液の抑制効果の説明図。 歩行通過型噴霧器の外観図。 図3の歩行通過型噴霧器の構成図。 大容量空間噴霧器の構成図。 (a)車イス通行型全身噴霧器の正面図、(b)は(a)の加圧室部分の説明図。 SAIW電解液生成の原理説明図。
 [本発明の開発に先立つ試験及び研究]
 本件発明者らは、本発明の開発に先立って、SARS-CoV-2、その他のエンベロープ型(ヒトコロナウイルスOC43、インフルエンザAウイルス、HSV-1)及び非エンベロープ型(ネコカリシウイルスおよびイヌパルボウイルス)ウイルスの不活化に対する高アルカリ性水溶液(高アルカリ電解液)の有効性についての試験と研究(以下、併せて「本試験」という。)を重ねた。
 [本試験の目的]
 本試験の目的は、無色、無臭、非刺激性および非腐食性の新しい高アルカリ電解液の抗ウイルス活性を評価することであった。このため、様々なエンベロープ型、非エンベロープ型ウイルスの不活性化に対する消毒剤としての高アルカリ電解液の有効性を検討した。とりわけ、SARS-CoV-2の現在のパンデミックの大きな要因の一つとして空気感染が挙げられていることから、その空気中での感染を防ぐことを意識して研究を行った。その結果、新しい高アルカリ電解液(SAIW電解液)による短期処理により、SARS-CoV-2とテストしたすべてのウイルスの感染性が大幅に排除された。また、標的細胞へのSARS-CoV-2の結合と侵入がSAIW電解液処理によって著しく抑制されることを示すことができた。
 前記、新しい高アルカリ電解液は、本件出願人が開発した電解アルカリ水生成装置を使用して、本件出願人が生成した高アルカリ電解液である。前記電解アルカリ水生成装置は特許第4967050号、特許第6057267号、特許第6448043号として登録されている。この高アルカリ電解液は本件出願人がSAIW(SuperAlkali Ion Water:本件出願人の登録商標)と命名していることから、以下の説明では、この高アルカリ電解液を「SAIW電解液」という。
 [本試験に基づく本発明のウイルス用不活化剤の開発]
 本試験により、SAIW電解液は新型コロナウイルスの感染を強く阻害し、SARS-CoV-2が数十秒のレベルで細胞を標的とする結合を強く阻害することが確認できた。その詳細は後記する。この確認は、少なくとも部分的には、SARS-CoV-2をはじめとする各種コロナウイルスや様々な変異型ウイルスの感染力がSAIW電解液によって排除されたことを裏付けていると思われる。このことから、本件発明者らは、ウイルスは非常に繊細であり、そのような生物学的活性は生理学的pHの近くで効率的に発揮されるので、適切な検出法があれば、タンパク質および他の成分が変性される前に病原体の致命的な生物学的変化が起こる可能性があることを見出し、本発明のウイルス用不活化剤を完成させた。
 [本試験に基づく本発明のウイルス不活化方法の開発]
 ウイルス用不活化剤を、科学的に確認された消毒剤の効果的かつ安全な空間噴霧することはこれまで行われていない。また、米国疾病予防管理センター(CDC:Centers for DiseaseControl and Prevention)およびWHO(World Health Organization)のガイドラインに基づいて品質、有効性、安全性が確認され、空間噴霧用の消毒剤として承認されている医薬品や準医薬品はない。したがって、空間噴霧できるSAIW電解液は抗菌効果を備えた新規で非常に安全な代替品として有望と考えられることから、本発明のウイルス不活化方法を完成させた。
 [材料と試験方法]
 [高アルカリ電解液の準備]
 本試験で使用する高アルカリ電解水の生成には、前記特許のいずれの電解アルカリ水生成装置も使用可能であり、それ以外の電解アルカリ水生成装置を使用することもできるが、本試験では、水道水中の不純物をRO膜(逆浸透膜)により除去した純水を用いて、本件出願人が開発した前記特許の電解アルカリ水生成装置により生成した高アルカリ電解水(SAIW電解液)を使用した。このSAIW電解液の生成に当たっては、生成タンク31(図7)の陰極チャンバー32(図7)に純水を供給し、陽極チャンバー33(図7)に電解質タンク34(図7)から食品添加物グレードの炭酸カリウムを供給し、陽イオン交換膜35(図7)を用いて製造した。この場合、高pH値の強アルカリイオン水を生成するため、陰極チャンバーに32(図7)に供給する純水の量を、低いpH値のアルカリイオン水を生成する場合に陰極チャンバー32に供給する純水の量よりも少なくした。他の生成条件は電解イオン化水を生成する場合の通常の生成条件と同様である。この高アルカリ電解液は溶存水素濃度が高い強アルカリ電解液であり、成分は99.83%の純水と0.17%の水酸化カリウムを含む。水酸化カリウムはpH値によっても異なる。例えば、pH12.1前後の場合は0.1%程度、pH13.2前後の場合は0,98%程度である。
 [SAIW電解液とその安定性]
 SAIW電解液は、塩素系の化学物質を一切使用せず、基本的には水のみを含む電解水である。水酸化カリウムをごくわずかな量(0.17%)しか含まず、遊離塩素0ppmである。生成に純水を使用するため無色、無臭、非刺激性、非腐食性および無錆性であり、安全である。希釈により水や塩水に簡単に戻り、環境に優しい電解水である。製造直後は、極めて低い酸化還元電位(ORP)-700~-900mV、高い溶存水素濃度423ppb、pH12.5(±3%)であった。pHが非常に高く、微生物タンパク質を変性させるのに十分であると考えられる。実際、後記する実験によって、強力な抗ウイルス効果を非常に短い時間での処理によって達成することができた。平均pH値は、密封時に180日間以上も安定しており、開封しても48日以上安定している。
 本発明におけるSAIW電解液は前記数値に限定されるものではない。pHが12.1よりも低いとウイルス不活化効果が減少し、13.2よりも高いと不活化効果は高まるが皮膚への刺激が強く安全性が低下するが、pHが12.1~13.2であれば抗ウイルス効果は達成できる。酸化還元電位(ORP)は-1100mVよりも低いと不活化効果が減少して、-300mVよりも高いと皮膚への安全性が低下する傾向にあるが、pHが前記数値の範囲内であれば抗ウイルス効果は達成できる。溶存水素濃度は200ppbよりも低いと抗酸化作用が減少傾向となり、1500ppbよりも高いと皮膚の安全性が低下するがpHが前記数値の範囲内であれば、抗ウイルス効果は達成できる。したがって、本発明のウイルス用不活化剤としてのSAIW電解液は、pH12.1~13.2、好ましくはpH12.5~13.1、酸化還元電位-300~-1100mV、好ましくは-700~-900mV、溶存水素濃度200~1500ppb、好ましくは400~1300ppbであってもよい。
 [細胞とウイルス]
 全ての細胞培養は、5%COの存在下で37℃に維持された。VeroE6/TMPRSS2(松山ら、2020年、PNAS117:7001-7003)およびMRC(ヒト胎児線維芽細胞、ATCC#CCL-171)細胞を、ダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)で10%の胎児ウシ血清(FBS)を補充した。MDCK(NBL-2、イヌ腎臓、健康科学研究資源銀行#JCRB 9029)、HEp-2(ヒト喉頭癌、大新薬住友製薬有限公司)、CRFK(クランデルリースネコ腎臓、住友大新薬株式会社)細胞株を使用して培養した。イヌパルボウイルス(CPV)を用いたいくつかの実験では、CRFK細胞は10%FBSを含有するDMEMを用いて維持した。
 実験にはSARS-CoV-2、OMC-510株を使用した。このウイルスは、COVID-19の患者咽頭から直接分離された、臨床分離株である。ヒトコロナウイルスOC43(HCoV-OC43,ATCC#VR-759)はMRCで伝播し、プラーク形成アッセイによりウイルス感染価を定量した。インフルエンザAウイルスH1N1 A/PR/8/34(ATCC VR-1469)および単純ヘルペスウイルス1種KOS(HSV-1、ATCC#VR-1493)の感染性をそれぞれMDCKおよびHep-2細胞を用いて測定した。ネコカリシウイルスF-9(FCV,ATCC#VR-782)及びイヌパルボウイルス(CPV)は、CRFK細胞を用いて培養した。
 ウイルスの感染率は、従来、それぞれの細胞を用いて、リード・ミュンク式(インフルエンザウイルス、HSV-1、およびFCV)を用いたプラーク形成アッセイ(SARS-CoV-2およびHCoV-OC43用)または50%組織培養感染性用量(TCID50)アッセイにより決定された。
 [抗ウイルスアッセイ]
 一般的に、SAIW電解液の抗ウイルス不活性を調べるウイルスの処理は、室温で0.5~5分間行った。ウイルス:SAIW電解液は1:10(HCoV-OC43およびCPVを除く)の割合で混合することによって行った。インキュベーション後、混合物を培地(CPVを除く)で10倍希釈し、反応を中和し、各培養細胞に接種し、プラーク形成アッセイまたはTCID50アッセイによりウイルス力価を決定した。
 HCoV-OC43については、0.2%FBSを含むDMEMを有するウイルス試料の30μlを30μlのSAIW電解液と混合した。インキュベーション(0.5、1、および5分)後、180μlのSCDLP培地を添加して反応を中和し、96ウェルプレートでMRC5細胞に100μlの混合物を添加した。細胞を、曝露後60分にリン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄し、0.2%FBSを補充したDMEMで培養した。HCoV-OC43感染によって引き起こされた細胞死は、メタノールで細胞を固定し、その後メチレンブルーで染色することによって感染後96時間で測定した。
 CPVの抗ウイルスアッセイでは、100μlのウイルスサンプルを900μlのSAIW電解液と混合し、0.5分および3分のインキュベーション後、混合物を200mMリン酸緩衝液で10倍希釈し、pH7.0反応を中和した。混合物の連続希釈はPBSにより調製し、5%FBSを含有するDMEMを有するCRFK細胞に50μlの希釈液を接種した。ウイルス力価は、感染後7日目に培養上清のウイルスヘマグルチネーション活性によってTCIID50を判定した。
 [プラーク減少アッセイ]
 2.5×10PFUウイルスを含むSARS-COV-2の25μlは、室温で0.5、1、2、および5分間、SAIW電解液(または滅菌水)の225μlでインキュベートし、インキュベーション後、30μlのDMEMを10%FBSで補って中和した。次いで、混合物の10倍の連続希釈液の200μlを、プラーク形成アッセイに供した。
 [結合およびエントリーアッセイ]
 VeroE6/TMPRSS2細胞は、アッセイの1日前に5×10/wellの密度で6ウェルプレートに播種されていた。1.25×10PFUウイルスを含むSARS-CoV-2の25μlを、室温で2分間225μlのSAIW電解液(または滅菌水)でインキュベートし、氷上で2mlのDMEM(結合)または37℃(エントリー)でVeroE6/TMPRSS2細胞培養に加えた。曝露後、細胞を冷たいPBSで3回洗浄し、非結合または非内在性ウイルスを除去し、全RNAを高速遺伝子RNA基本キット(日本ジェネティックス株式会社)を用いて抽出した。細胞関連SARS-CoV-2RNAは、(iTaqユニバーサルプローブワンステップキット(バイオラッドラボラトリーズ))とウイルス特異的プライマー/プローブを用いたqRT-PCR分析により検出された。
 [マウスを用いた急性吸入毒性試験]
 SAIW電解液の急性吸入毒性を以下のように検討した。試験動物として、5匹の雄と5匹の雌、合計10匹のICRマウスを試験に供した。試験材料は液体であるため、未希釈溶液を試験用の投与サンプルとして使用した。試験は、山下らの方法に従って0.5m(H120×D60×W70cm)の実験槽を用いて全身露光を行った。マウスは、実験室のタンクの中央に置かれた金網で作られた雄と雌のケージに収容された。露光は、次の順序で強い設定で超音波加湿器を使用して行った。
 (1)噴霧を10分間隔で20秒間3回行い、
 (2)30分の回収時間を設けた。
 (3)また、20秒の噴霧を10分間隔で3回行い、
 (4)10分後に、20秒の噴霧を5分間隔で4回行った。
 曝露後、動物の生死および一般状態が14日間観察され、その間に体重および食物摂取を測定した。観察が終わったら、解剖を行い、様々な臓器の肉眼観察と肺の病理組織学的検査を行った。本研究は、薬品安全試験センター(埼玉県吉見研究所)の動物のケア及び使用規範に従って適切に実施された。
 [スキンパッチテスト]
 被験者は、20歳から60歳の日本人22名(女性17名、男性5名)で、試験に同意した。この方法は閉じたパッチテストを用い、観察期間は3日間であった。日本の閣僚条例の良き臨床基準とヘルシンキ宣言の倫理原則に従って、「化粧品、準医薬品製造販売ガイドブック」と「皮膚刺激、感作試験実施方法および皮膚財産の測定と評価」に準拠した設計で研究を行った。皮膚試験用パッチテープを適量の試験溶液(約0.03ml)で満たし、被検者の背面に貼付し、24時間後にデジタルカメラで画像を撮影し、医師が基準に従って皮膚を評価した(剥離後1時間、24時間)。
 [データ分析]
 すべての定量実験は3回行った。
 [SAIW電解液によるSARS-CoV-2の不活化]
 本研究では、SARS-CoV-2の感染性に対するSAIW電解液の処理効果を調べた。SARS-CoV-2を、2分間、10倍の体積のSAIW電解液で曝露すると、ベロ細胞の培養上清中のウイルスRNAのレベルは、感染後48時間の対照ウイルスサンプルと比較して10,000倍以上減少した(図1(a))。
 SAIW電解液によるSARS-CoV-2の短時間の前処理は、ビリオン(ウイルス粒子)の表面タンパク質を変性させることが予想されたので、次にSAIW電解液処理ウイルスのプラーク減少アッセイを行った。図1(b)は、0.5分(30秒)の処理でも、SARS-CoV-2感染によって形成されたプラーク(ウイルスによる斑点)は観察されなかったが、対照の滅菌水による前処理では多数のプラークが得られた。このことは、SAIW電解液は、SARS-CoV-2感染の吸着プロセスに作用している可能性を示唆した。
 次に、ウイルス結合と侵入ステップの効率をさらに評価した。VeroE6/TMPRSS2細胞は、SAIW電解液および滅菌水(コントロール:対照)で処理されたSARS-CoV-2を、氷上(結合アッセイ)または37℃(エントリーアッセイ)で2時間処理した。コールドPBSで洗浄して非結合または非内在化ウイルスを除去した後、細胞関連ウイルスRNAを定量的逆転写PCR(RT-qPCR)分析によって検出した。結果は、滅菌水処理ウイルスと比較した場合、SAIW電解液での処理はウイルス結合およびその後の侵入(エントリー)プロセスの効率を著しく低下させた(図1(c))。
 図1(c)の処理は、以下のようにして行った。
 1.ウイルス(2.5×10PFU)とSAIW電解液もしくはコントロール滅菌水を1:9の割合で混合し、2分間インキュベーション。
 2.VeroE6/TMPRSS2細胞(5×10個)に加え、氷上(binding assay)もしくは37℃(entry assay)にて2時間インキュベーション。
 3.ウイルス液を取り除き、コールドPBSにて細胞を3回洗浄。
 4.溶解液にて細胞とウイルスを破砕し、RNA抽出カラムにてtotalRNAを検出。
 5.定量PCRにてウイルスRNAを検出。
 図1(a)~図1(c)のデータをまとめると、SAIW電解液による処理は、ウイルスの受容体結合活性のほぼ完全な喪失を誘導することにより、SARS-CoV-2の感染性を抑制したことを示した。
 [他のエンベロープおよび非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス効果]
 SARS-CoV-2以外の3種のエンベロープ型ウイルス(HCoV-OC43、インフルエンザAウイルス、HSV-1)および2つの非エンベロープ型ウイルス(ヒトノロウイルスの代用として使用されるネコカリシウイルス(FCV)、イヌパルボウイルス(CPV))を含む追加の計5つのウイルス種に対するSAIW電解液の不活性化に対する有効性を検討した。
 各ウイルスの感染性に対するSAIW電解液の影響を、一般的な手順で評価した。図2に示すように、SAIW電解液は、試験されたすべてのウイルスに対して劇的な抑制効果を示した。プラーク形成またはPCR定量法の結果、HCoV-OC43(1×10)、インフルエンザAウイルス(1×10)、HSV-1(1×10)、FCV(1×10)、CPV(6.3×10)という当初のウイルス感染価が、懸濁液中で30秒以内に検出不能になったことが明らかになった。予想通り、接触時間を増やしても結果は大きく変わらなかった。
 [マウスにおけるSAIW電解液の急性吸入毒性]
 5匹の雌雄ICRマウスを用いてSAIW電解液の急性吸入毒性効果を調べた。動物はSAIW電解液の元の溶液の噴霧に晒された。全身暴露は、山下らの方法に従って0.5m実験槽を用いた超音波加湿器を用いて行った。
 暴露の方法は以下の通りであった。まず、20秒間噴霧し、10分間隔で3回行い、その後30分の回収時間を行った。次いで、20秒の噴霧を10分間隔で3回行い、10分後に、最終20秒の噴霧を5分間隔で4回行った。噴霧総量は20.7gであった。結果は、5匹の雄マウスと5匹の雌マウスでは異常も死亡も認められなかったことを示した。体重に関しては、5匹中4匹の雄(0.2、0.4、0.5、0.8g)、5匹中1匹の雌で暴露1日後に減少(0.4g)が見られた。平均減少量は0.25グラムで、範囲は0.2~0.8グラムであった。しかし、これらのマウスは、曝露後2日又は3日後に体重増加も示し、14日間の平均増加は、雄6.58g、雌4.86gで、コントロールマウスと基本的に同じ傾向を示した。14日後、未暴露マウスとの間に重量差はなかった。研究期間中、オスの食物摂取量は4.2~5.4g/動物/日であり、雌の摂取量は3.8~4.4g/動物/日で、対照マウスと同じレベルであった。病理組織学的検査では、剖検的に異常は見られず、雌雄ともに変化は見られなかった。暴露直後に体重減少が半数のマウスで見られたが、一時的であった。更に、病理的異常と死亡例も見られなかった。以上の結果から、SAIW電解液は急性吸入毒性を有しないと結論付けられた。唯一の変化は一過性の減量であった。
 [ヒトにおける皮膚パッチテスト]
 ボランティア(20歳から60歳までの22人の日本人男性と女性)に、SAIW電解液とコントロールを24時間継続して適用することによるクローズドパッチテストを実施した。その結果、皮膚刺激性指数はゼロであることを確認した。したがって、SAIW電解液は非常に安全な抗ウイルスおよび抗菌消毒剤としての可能性を示したと言える。
 [実験の結果]
 実験(プラーク形成またはPCR測定)の結果、実験対象物をSAIW電解液で処理することにより、SARS-CoV-2、インフルエンザAウイルス、ヒトコロナウイルス、HSV-1、ネコカリシウイルス(FCV)およびイヌパルボウイルス(CPV)の最初のウイルス感染価が30秒以内に検出不能になったことが明らかになった。また、SARS-CoV-2のベロ細胞への結合およびその後のエントリー(侵入)効率は有意に低下させることが分かった。マウスを用いた急性吸入毒性試験とヒトボランティアによる皮膚パッチテストを行った結果、SAIW電解液は非常に安全な抗ウイルスおよび抗菌消毒剤としての可能性を示した。
 SAIW電解液は、短時間の暴露後に調べたすべてのウイルスの感染性を効果的に不活化(2-7-log10減少)させることを示した。また、SAIW電解液はSARS-CoV-2ウイルスの結合と標的細胞への侵入能力を破壊することによってウイルスの不活化を引き起こすことを示した。さらに、SAIW電解液はマウスに急性吸入毒性を示さなかった。
 [pH変化によるウイルス粒子の変性のメカニズム]
 pHを変化させることによるウイルス粒子の変性のメカニズムは、M.ぺルツがタバコモザイクウイルス(TMV)を用いて研究を行っている(ペルツ・MF.タンパク質の静電効果.科学:201(4362)1187-91.ドイ:10.1126/science.694508.)。それ以来、わが国では、四方が、電子顕微鏡を用いた研究において、TMV粒子の均質性と分散性が、異なる水素イオン濃度の溶液中で、可変的であることを示した(シカタ・E.1958年タバコモザイクウイルスに対する異なるpH値の影響:北海道大学農学部日本文学会3(1)、154-161.)。
 TMVの精製物をコロディオンフィルムに取り付け、種々のpHの下で観察したところ、中性域のpH6.8では、ウイルス粒子が均一に散乱していた。しかし水素イオン濃度が低くなるとそれらの粒子は凝集を引き起こさなかったが、桿(ロッド)状のウイルス粒子の崩壊を引き起こし、そのため溶液中のTMV粒子の均質性を低下させた。
 pH12.4になるとウイルスロッドの構造破壊、感染性と抗原性の両方の完全な消失が起こり、小球状堆積物が生成された。同様の研究は、精製された非エンベロープ型のポリオウイルスで行われている。
 同様の研究は、片桐、愛川、ひ沼らによっても行われている。この研究によれば、pH10.0でのウイルス粒子の処理は、ウイルスキャプシドからキャプシドタンパク質VP4に富む微量成分を遊離させた。ただこの条件下では、残りのキャプシド構造はウイルスRNAを含まない無傷の空のキャプシドと同じH抗原性を示した。しかし、pH12.0では、より小さい成分に分解され、H抗原性も示さなくなった(片桐S,愛川S,ひ沼Y,1971.J Gen virol.13(1):101‐9.ドイ:10.1099/0022‐1317‐13‐1‐101.)。
 これら研究の結果は、TMVとポリオウイルス粒子の基本構造とポリオウイルス表面タンパク質の強い抗原性がアルカリ処理によって著しく損なわれることを示している。これらのタンパク質の変性はアミノ酸とその残基の化学に影響を与えることができるpHの変化によって引き起こされた可能性が強い。アミノ酸のイオン化可能なグループはpHの変化が発生したときにイオン化される可能性があり、pHがより酸性またはより塩基性の条件に変化すると、重大な変化を引き起こす可能性がある。酸によって誘発されるタンパク質のアンフォールディングは、多くの場合pH2~5で発生するが、塩基によって誘発されるアンフォールディングには通常、10以上のpHが必要である。
 本件発明者らの本研究では、SAIW電解液は試験されたすべてのウイルスの感染を強く阻害し、SARS-CoV-2が標的細胞に結合することを数十秒の処理で強く阻害した。これらの基本データは、少なくとも部分的には、SARS-CoV-2をはじめとする様々なウイルスの感染力が、SAIW電解液の短い処理によって消失した理由を説明すると思われる。ウイルスによる感染という事象は非常に繊細であり、そのような生物学的活性は生理学的pHの近くで効率的に発揮されるので、適切な方法であれば、タンパク質および他の成分が変性される前に、これら病原体の致命的な生物学的変化が起こる可能性があると思われる。
 コロナウイルスに対するSAIW電解液の作用機序は次のように考えられる。SAIW電解液の処理によりHが低下すると、解離性アミノ酸の電化状態が変化し、ウイルスや細菌タンパクの変性や立体構造変化が生じ、微生物の感染性に致命的な障害を引き起こすことが原因と考えられる。
 [実験の結論]
 本研究の結論として、SAIW電解液は、非常に効果的で安全な消毒剤であると言える。実験に使用したSAIW電解液は純水とごくわずかな量の水酸化カリウム(0.17%)で構成されており、塩素を含まないため塩素臭も刺激臭もなく、危険や応急処置の必要性が少ない物質である。SAIW電解液は広く利用可能であり、電気があるところならどこでも簡単に作ることができるので、生成箇所に制約がなく、地理的な条件にも有利性がある。さらに、SAIW電解液が数ヶ月の長期にわたって非常に化学的に安定であることが示されている。SAIW電解液は河川や土地を汚染せず、水生生物や土地の生活に影響を与える心配もない。SAIW電解液は水で希釈され、pHが中性に近くなり、自然の水に戻るように、環境に優しく、持続可能な消毒剤である。重要なことに、マウスを用いたヒトおよび急性吸入毒性試験における皮膚刺激試験において非常に安全であることも示されている。これらのデータは、多くの点でSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を達成するための条件を満たしていることを示唆している。
 (ウイルス不活化方法)
 本研究で示されたヒトや動物における安全性プロファイルを考えると、本発明のウイルス用不活化剤(SAIW電解液)を使用してウイルスを不活化する方法は、ウイルスから保護したい対象物(保護対象物)にSAIW電解液を付着することである。付着方法としては、保護対象物をSAIW電解液に浸漬する、保護対象物をSAIW電解液で洗浄する、保護対象物にSAIW電解液塗布したり噴霧したりして付与することが考えられる。保護対象物にSAIW電解液を噴霧する方法は、鳥インフルエンザ、古典的な豚熱(豚コレラ)、農場での家畜飼育中に起こる口蹄疫などの際の大量虐殺を防ぐのに役立つ可能性がある。
 (噴霧によるウイルス不活化方法の実施例)
 本発明のウイルス不活化方法は、本発明のウイルス用不活化剤をウイルスから保護する対象物(保護対象物)へ付着させることによりウイルスを不活化させる方法である。付着方法(付着手段)は各種あり、ウイルス用不活化剤を保護対象物に塗布する方法、保護対象物をウイルス用不活化剤に浸漬する方法、保護対象物をウイルス用不活化剤内で洗浄する方法、ウイルス用不活化剤をマイクロサイズの微細粒子(ミスト)にして噴霧して保護対象物に付着させる方法等である。
 保護対象物へのウイルス用不活化剤の塗布は、ウイルス用不活化剤を含む刷毛、ローラ等を保護対象物に接触させることにより行うことができる。
 保護対象物へのウイルス用不活化剤の浸漬は、ウイルス用不活化剤を貯めた容器内に保護対象物を浸漬させることにより行うことができる。
 保護対象物へのウイルス用不活化剤の噴霧は、スプレーや各種噴霧機器によりウイルス用不活化剤を霧状や泡状或いはマイクロサイズの微細粒子(ミスト)にして、保護対象物に噴霧することができる。噴霧機器としては汎用の手動プッシュ式スプレー、足踏み式スプレー、電池やその他の電源で動作する自動噴霧スプレー、その他の噴霧器等を使用することができる。
 (噴霧器による実施例1)
 ウイルス用不活化剤をマイクロサイズの微細粒子(ミスト)にして噴霧して保護対象物に付着させる方法の実施例1を図3、図4に示す。
 図3、図4は歩行通過型噴霧器でミストにして噴霧する場合の例であり、保護対象物である人や動物が歩行して図3、図4のスロープ1から二枚の仕切り板2の間の通路3の上を通過する間に、貯留タンク4内のウイルス用不活化剤(SAIW電解液)が自動的にミスト化されて通路3の下から空間(空中)に噴霧されて、保護対象物に噴霧(付着)できるようにしたものである。
 図3の歩行通貨型噴霧器は、図4のように、SAIW電解液を貯留する貯留タンク4、噴霧タンク5、噴霧タンク5内のSAIW電解液をミスト化する超音波発振器6、ミストが上昇する整流管7、上昇するミストを空間に噴霧させる加圧用ファン8及び噴霧補助ファン9を備えている。
 (噴霧器による実施例2)
 図5は霧化したミスト10を室内空間や屋外空間にミスト化して噴霧し保護対象物に付着させる大容量噴霧器の一例である。この噴霧器は、ウイルス用不活化剤(SAIW電解液)を貯留する貯留タンク11、貯留タンク11内のSAIW電解液を汲み上げる汲み上げポンプ12、汲み上げポンプ12で汲み上げたSAIW電解液をミスト化する超音波発振器13、ミストが上昇する整流管14、上昇するミストを空間噴霧させる加圧用ファン15、これら機器に電源供給する電源部16を備えている。上昇するミストが空間噴霧されている室内或いは屋外に保護対象物が留置或いは通過することにより、保護対象物が付着するようにしてある。
 (噴霧器による実施例3)
 図6(a)(b)は車イス通行型噴霧器の一例であり、人が乗った車イスが二枚の仕切り板21の間の通路22の上を車イス23が通過する間に、ウイルス用不活化剤(SAIW電解液)を自動的にミスト化して通路22の下から上方に噴霧(空間噴霧)して、車イス23とそれに乗った人に噴霧できるようにしたものである。
 図6(a)の車イス通行型噴霧器は、図6(b)のように、SAIW電解液を貯留できるミスト生成室24、その上の加圧室25、加圧ファン26、ミスト生成室24の下部に貯留されたSAIW電解液に超音波を送ってSAIW電解液をミスト化する超音波発振器27、ミスト生成室24から発生するミストを整流させる整流板28、ミストが上向きに噴出する上向き噴出口29、ミストが下向きに墳出する下向き噴出口30を備えている。
 前記実施例は、あくまでも、本発明のウイルス用不活化剤とウイルス不活化方法の実施例の一部であるため、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決できる範囲内で変更可能である。
  1  スロープ
  2  仕切り板
  3  通路
  4  貯留タンク
  5  噴霧タンク
  6  超音波発振器
  7  整流管
  8  加圧用ファン
  9  噴霧補助ファン
  10 ミスト
  11 貯留タンク
  12 汲み上げポンプ
  13 超音波発振器
  14 整流管
  15 加圧用ファン
  16 電源部
  21 仕切り板
  22 通路
  23 車イス
  24 ミスト生成室
  25 加圧室
  26 加圧ファン
  27 超音波発振器
  28 整流板
  29 上向き噴出口
  30 下向き噴出口
  31 生成タンク
  32 陰極チャンバー
  33 陽極チャンバー
  34 電解質タンク
  35 陽イオン交換膜

 

Claims (12)

  1.  高アルカリ電解液であり、
     pH12.1~13.2のウイルス用不活化剤。
  2.  請求項1記載のウイルス用不活化剤において、
     酸化還元電位がマイナス電位である、
     ウイルス用不活化剤。
  3.  請求項1記載のウイルス用不活化剤において、
     酸化還元電位が-300~-1100mVである、
     ウイルス用不活化剤。
  4.  請求項1記載のウイルス用不活化剤において、
     溶存水素濃度200~1500ppbである、
     ウイルス用不活化剤。
  5.  請求項1記載のウイルス用不活化剤において、
     酸化還元電位がマイナス電位、溶存水素濃度200~1500ppbである、
     ウイルス用不活化剤。
  6.  請求項1記載のウイルス用不活化剤において、
     酸化還元電位が-300~-1100mV、溶存水素濃度200~1500ppbである、
     ウイルス用不活化剤。
  7.  請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のウイルス用不活化剤において、
     遊離塩素0ppmである、
     ウイルス用不活化剤。
  8.  請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のウイルス用不活化剤を霧状、泡状、マイクロサイズのミストにして、ウイルスから保護する保護対象物に付着させるウイルス不活化方法。
  9.  請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のウイルス用不活化剤を霧状、泡状、マイクロサイズのミストにして空間飛散させて、ウイルスから保護する保護対象物に付着させるウイルス不活化方法。
  10.  請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のウイルス用不活化剤に、ウイルスから保護する保護対象物を浸漬して、当該ウイルス用不活化剤を保護対象物に付着させるウイルス不活化方法。
  11.  請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のウイルス用不活化剤内で、ウイルスから保護する保護対象物を洗浄して、当該ウイルス用不活化剤を保護対象物に付着させるウイルス不活化方法。
  12.  請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のウイルス用不活化剤を、ウイルスから保護する保護対象物に塗布して、当該ウイルス用不活化剤を保護対象物に付着させるウイルス不活化方法。

     
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