JP2023030735A - 電動弁制御装置、調整装置、電動弁制御プログラム及び調整プログラム - Google Patents

電動弁制御装置、調整装置、電動弁制御プログラム及び調整プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】電動弁の個体毎のステップ誤差を減ずるようにステッピングモータを制御する。【解決手段】電動弁制御装置200は、ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置であって、電動弁の個体毎に設定されるステップ番号のオフセット値を記憶するオフセット値記憶部222と、ステップ移動コマンドを受信する受信部210と、ステップ移動コマンドに基づいて順次切り替えられるステップ番号をオフセット値に基づいて補正し、補正されたステップ番号に対応する励磁パターンを特定する回転制御部218と、特定された励磁パターンによってステッピングモータに駆動電流を印加する回転指示部214と、を備える。【選択図】図14

Description

本発明は電動弁に関し、特にステッピングモータの制御方法に関する。
自動車用空調装置は、一般に、圧縮機、凝縮器、膨張装置、蒸発器等を冷凍サイクルに配置して構成される。冷凍サイクルには、膨張装置としての膨張弁など、冷媒の流れを制御するために各種制御弁が設けられている。近年の電気自動車等の普及に伴い、駆動部としてステッピングモータを備える電動弁が広く採用されつつある。
このような電動弁として、弁開度を検出するための磁気センサを備えるものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。ロータとともに回転する作動ロッドの一端に弁体が設けられ、他端にマグネット(センサマグネット)が設けられる。そのセンサマグネットと軸線方向に対向するように磁気センサが設けられる。ロータの回転運動は、ねじ送り機構により弁体の軸線運動に変換される。ロータの回転に伴う磁束の変化を磁気センサで捉えることによりセンサマグネットの回転角度ひいては弁体の軸線方向位置を検出でき、弁開度を算出できる。
電動弁内において上下動する弁体には、制御の基準となる基準位置が設定される。ロータが弁閉方向への回転を続けて「原点」ともよばれる基準位置に至ったとき、ロータはストッパにより回転を規制される(たとえば、特許文献2参照)。また、特許文献3と4に示すように、弁体の回転によって弁開度を変化させる電動弁も知られている。
特開2018-135908号公報 特開2020-204344号公報 特開2017-106686号公報 特開2003-113948号公報
電動弁を制御する電動弁制御装置に接続する外部装置は、原点を基準とするステップ番号によって弁開度を制御する。たとえば、外部装置がロータを弁開点に合わせようとする場合に、弁開点に相当するステップ番号を含むステップ移動コマンドを電動弁制御装置へ送る。電動弁制御装置は、そのステップ番号まで順次ステップを切り替えてロータを回転させる。
しかし、現実の電動弁は機械的に個体差があり、同じステップ番号までロータを回転させても、電動弁毎に弁開度が少し異なる。弁開度が異なれば、電動弁を通過する冷媒の流量もばらつく。つまり、電動弁の流量特性が均一でない。このような流量誤差は、理想の冷凍サイクルを実現する妨げとなる。
流量誤差は、外部装置で指示するステップ番号で想定されている理想の弁開度と、そのステップ番号で実際に起きている弁開度とに差があることに起因する。見方を変えて弁開度を基準とすると、実際にその弁開度を招いているステップ番号が、その弁開度を招くべき理想のステップ番号からずれていることになる。したがって、ステップ誤差の問題ととらえることができる。
本発明の主たる目的は、電動弁の個体毎のステップ誤差を減ずるようにステッピングモータを制御する技術を提供することにある。
本発明のある態様における電動弁制御装置は、ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置であって、電動弁の個体毎に設定されるステップ番号のオフセット値を記憶するオフセット値記憶部と、ステップ移動コマンドを受信する受信部と、ステップ移動コマンドに基づいて順次切り替えられるステップ番号をオフセット値に基づいて補正し、補正されたステップ番号に対応する励磁パターンを特定する回転制御部と、特定された励磁パターンによってステッピングモータに駆動電流を印加する回転指示部と、を備える。
本発明のある態様における調整装置は、ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置に接続され、所定ステップにおける電動弁の実際の流量と理想の流量との差である流量誤差を、電動弁における1ステップ当たりの流量変化量で除してステップ誤差を算出し、ステップ誤差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定するオフセット値算出部と、特定されたオフセット値を電動弁制御装置に設定するオフセット値設定部と、を備える。
本発明のある態様における調整装置は、ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置に接続され、電動弁における実際の弁開点のステップ番号と理想の弁開点のステップ番号の差を算出し、当該ステップ番号の差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定するオフセット値算出部と、特定されたオフセット値を電動弁制御装置に設定するオフセット値設定部と、を備える。
本発明のある態様における電動弁制御プログラムは、ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御するコンピュータに、電動弁の個体毎に設定されるステップ番号のオフセット値を記憶する機能と、ステップ移動コマンドを受信する機能と、ステップ移動コマンドに基づいて順次切り替えられるステップ番号をオフセット値に基づいて補正し、補正されたステップ番号に対応する励磁パターンを特定する機能と、特定された励磁パターンによってステッピングモータに駆動電流を印加する機能と、を発揮させる。
本発明のある態様における調整プログラムは、ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置に接続可能なコンピュータに、所定ステップにおける電動弁の実際の流量と理想の流量との差である流量誤差を、電動弁における1ステップ当たりの流量変化量で除してステップ誤差を算出し、ステップ誤差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定する機能と、特定されたオフセット値を電動弁制御装置に設定する機能と、を発揮させる。
本発明のある態様における調整プログラムは、ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置に接続可能なコンピュータに、電動弁における実際の弁開点のステップ番号と理想の弁開点のステップ番号の差を算出し、当該ステップ番号の差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定する機能と、特定されたオフセット値を電動弁制御装置に設定する機能と、を発揮させる。
本発明によれば、電動弁の個体毎のステップ誤差を減ずるようにステッピングモータを制御することができる。
実施形態に係る電動弁を表す断面図である。 ステータおよびその周辺の構成を表す図である。 ロータの構成を表す図である。 磁気センサとセンサマグネットおよびセンサマグネットから発生する磁力線の関係を示す模式図である。 センサマグネットの平面図である。 センサマグネットのセンサ値と感知角との関係を示すグラフである。 角度値(デューティー比)とステップの関係を示すグラフである。 ロータの移動範囲の模式図である。 理想の流量特性を示す図である。 実際の流量特性を示す図である。 図11(A)は、原点の状態を示す概略図である。図11(B)は、弁開点の状態を示す概略図である。図11(C)は、弁開状態を示す概略図である。 実測点における誤差の概要を示す図である。 オフセット値の概要を示す図である。 調整装置および電動弁制御装置の機能ブロック図である。 調整処理過程を示すシーケンス図である。 電動弁制御装置の処理過程を示すフローチャートである。
[実施形態]
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。また、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図1は、実施形態に係る電動弁を表す断面図である。
電動弁1は、図示しない自動車用空調装置の冷凍サイクルに適用される。この冷凍サイクルには、循環する冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された冷媒を絞り膨張させて霧状に送出する膨張弁、霧状の冷媒を蒸発させてその蒸発潜熱により車室内の空気を冷却する蒸発器等が設けられている。電動弁1は、その冷凍サイクルの膨張弁として機能する。
電動弁1は、弁本体2とモータユニット3とを組み付けて構成される。弁本体2は、弁部を収容したボディ5を有する。ボディ5は、「バルブボディ」として機能する。ボディ5は、第1ボディ6と第2ボディ8とを同軸状に組み付けて構成される。第1ボディ6および第2ボディ8は、ともにステンレス鋼(以下「SUS」と表記する)からなる。第2ボディ8には弁座24が設けられるため、耐摩耗性に優れた材質が選定されている。第1ボディ6は第2ボディ8よりも溶接性に優れ、第2ボディ8は第1ボディ6よりも加工性に優れている。
第1ボディ6は、外径が下方に向けて段階的に縮径する段付円筒状をなす。第1ボディ6の上端部の外径がやや縮径され、段差による係止部52が構成されている。第1ボディ6の下部外周面には、電動弁1を図示しない配管ボディに組み付けるための雄ねじ10が形成されている。なお、配管ボディには、凝縮器側から延びる配管や、蒸発器につながる配管などが接続されるが、その詳細については説明を省略する。第1ボディ6における雄ねじ10のやや上方の外周面には、環状溝からなるシール収容部12が形成され、シールリング14(Oリング)が嵌着されている。
第1ボディ6の下部には、円穴状の凹状嵌合部16が設けられている。第2ボディ8は有底円筒状をなし、その上部が凹状嵌合部16に圧入されている。第2ボディ8の下部外周面には環状溝からなるシール収容部18が形成され、シールリング20が嵌着されている。第2ボディ8の底部を軸線方向に貫通するように弁孔22が設けられ、その弁孔22の上端開口部に弁座24が形成されている。第2ボディ8の側部に入口ポート26が設けられ、下部に出口ポート28が設けられている。第1ボディ6および第2ボディ8の内方に弁室30が形成されている。入口ポート26と出口ポート28とは、弁室30を介して連通している。
ボディ5の内方には、モータユニット3のロータ60から延びる作動ロッド32が挿通されている。作動ロッド32は、弁室30を貫通する。作動ロッド32は、非磁性金属からなる棒材を切削加工して得られ、その下部にニードル状の弁体34が一体に設けられている。弁体34が弁室30側から弁座24に着脱することにより弁部を開閉する。
第1ボディ6の上部中央には、ガイド部材36が立設されている。ガイド部材36は、非磁性金属からなる管材を段付円筒状に切削加工して得られ、その軸線方向中央部の外周面に雄ねじ38が形成されている。ガイド部材36の下端部が大径となっており、その大径部40が第1ボディ6の上部中央に圧入され、同軸状に固定されている。ガイド部材36は、その内周面により作動ロッド32を軸線方向に摺動可能に支持する一方、その外周面によりロータ60の回転軸62を回転摺動可能に支持する。
作動ロッド32における弁体34のやや上方にばね受け42が設けられ、ガイド部材36の底部にもばね受け44が設けられている。ばね受け42,44間に、弁体34を閉弁方向に付勢するスプリング46(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
一方、モータユニット3は、ロータ60とステータ64とを含む三相ステッピングモータとして構成されている。モータユニット3は、有底円筒状のキャン66を有し、そのキャン66の内方にロータ60を配置し、外方にステータ64を配置して構成されている。キャン66は、弁体34およびその駆動機構が配置される空間を覆うとともにロータ60を内包する有底円筒状の部材であり、冷媒の圧力が作用する内方の圧力空間(内部空間)と作用しない外方の非圧力空間(外部空間)とを画定する。
キャン66は、非磁性金属(本実施形態ではSUS)からなり、その下部が第1ボディ6の上端部に外挿されるようにして同軸状に組み付けられている。キャン66は、その下端が係止部52に係止されることによりその挿入量が規制される。キャン66の下端と第1ボディ6との境界に沿って全周溶接が施されることにより(図示略)、ボディ5とキャン66との固定およびシールが実現されている。ボディ5とキャン66とに囲まれた空間が、上記圧力空間を形成している。
ステータ64は、積層コア70の内周部に複数の突極を等間隔に配置して構成される。積層コア70は、環状のコアが軸線方向に積層されて構成される。各突極には、コイル73(電磁コイル)が装着されたボビン74が組み付けられている。これらコイル73およびボビン74により「コイルユニット75」が構成される。本実施形態では、三相電流を供給するためのモータユニット3つのコイルユニット75が、積層コア70の中心軸に対して120度ごとに設けられている(詳細後述)。
ステータ64は、モータユニット3のケース76と一体に設けられている。すなわち、ケース76は、耐食性を有する樹脂材の射出成形(「インサート成形」または「モールド成形」ともいう)により得られる。ステータ64は、その射出成形によるモールド樹脂によって被覆されている。ケース76は、そのモールド樹脂からなる。以下、ステータ64とケース76とのモールド成形品を「ステータユニット78」とも称する。
ステータユニット78は、中空構造を有し、キャン66を同軸状に挿通しつつボディ5に組み付けられている。第1ボディ6における係止部52のやや下方の外周面には、環状溝からなるシール収容部80が形成され、シールリング82(Oリング)が嵌着されている。第1ボディ6の上部外周面とケース76の下部内周面とに間にシールリング82が介装されることにより、キャン66とステータ64との間隙への外部雰囲気(水など)の侵入が防止されている。
ロータ60は、回転軸62に組み付けられた円筒状のロータコア102と、ロータコア102の外周面に設けられたロータマグネット104と、ロータコア102の上端面に設けられたセンサマグネット106を備える。ロータコア102は、回転軸62に組み付けられている。ロータマグネット104は、その周方向に複数極に磁化(着磁)されている。センサマグネット106も複数極に磁化(着磁)されている。ロータマグネット104およびセンサマグネット106は、ロータコア102に一体成型されたマグネット部に後工程で着磁して得られたものであるが、その詳細については後述する。
回転軸62は、有底円筒状の円筒軸であり、その開口端を下にしてガイド部材36に外挿されている。回転軸62の下部内周面に雌ねじ108が形成され、ガイド部材36の雄ねじ38と噛合している。これらのねじ部によるねじ送り機構109によって、ロータ60の回転運動が作動ロッド32の軸線運動に変換される。それにより弁体34が軸線方向、つまり弁部の開閉方向に移動(昇降)する。
作動ロッド32の上部が縮径され、その縮径部110が回転軸62の底部112を貫通している。縮径部110の先端部には環状のストッパ114が固定されている。一方、縮径部110の基端と底部112との間には、作動ロッド32を下方(つまり閉弁方向)に付勢するスプリング116が介装されている。このような構成により、開弁時には、ストッパ114が底部112に係止される態様で作動ロッド32がロータ60と一体変位する。一方、閉弁時には、弁体34が弁座24から受ける反力によりスプリング116が押し縮められる。このときのスプリング116の弾性反力により弁体34を弁座24に押し付けることができ、弁体34の着座性能(弁閉性能)を高められる。
モータユニット3は、キャン66の外側に回路基板118を有する。回路基板118は、ケース76の内方に固定されている。本実施形態では、回路基板118の下面に制御部や通信部として機能する各種回路が実装されている。具体的には、モータを駆動するための駆動回路、駆動回路に制御信号を出力する制御回路(マイクロコンピュータ)、制御回路が外部装置又は調整装置と通信するための通信回路、各回路およびモータ(コイル)に電力を供給するための電源回路等が実装されている。ケース76の上端は、蓋体77により閉止されている。ケース76における蓋体77の下方の空間に回路基板118が配設されている。
回路基板118におけるセンサマグネット106との対向面には、磁気センサ119が設けられている。磁気センサ119は、キャン66の底部端壁を介してセンサマグネット106と軸線方向に対向する。ロータ60の回転に伴ってセンサマグネット106による磁束が変化する。磁気センサ119は、この磁束の変化を捉えることでロータ60の変位量(本実施形態ではロータ60の回転角度)を検出する。制御部は、そのロータ60の変位量に基づいて弁体34の軸線方向位置ひいては弁開度を算出する。
それぞれのボビン74からはコイル73につながる一対の端子117が延出し、回路基板118に接続されている。回路基板118からは電源端子、グランド端子および通信端子(これらを総称して「接続端子81」ともいう)が延出し、それぞれケース76の側壁を貫通して外部に引き出されている。ケース76の側部にコネクタ部79が一体に設けられ、そのコネクタ部79の内方に接続端子81が配置されている。
ロータ60の下方にはストッパ90が形成される。特許文献2に示すようにストッパ90の構成は既知である。作動ロッド32が弁閉位置に至ると、ロータ60にはスプリング116による弾性反力がかかり、弁閉が安定維持される。最終的には、ストッパ90がガイド部材36の一部として形成される図示しない突部(係止部)に当接することにより、ロータ60の弁閉方向への回転が完全に規制される。以下、ストッパ90が突部と当接したときのステップをステップの「原点」とする。また、本実施形態においてはステップの原点において弁体34が「基準位置」にあるものとする。
図2は、ステータ64およびその周辺の構成を表す図である。図2(A)は図1のA-A矢視断面に対応し、ステータユニット78の断面図である。図2(B)はステータ64のみ(樹脂モールド前の状態)を表す図である。なお、図2(A)には参考のため、キャン66およびロータ60を示している(二点鎖線参照)。
モータユニット3が三相のモータであるため、図2(A)に示すように、ロータ60の軸線Lの周りに等間隔でコイルユニット75が設けられている。図2(B)にも示すように、積層コア70の内周部に軸線Lに対して120度の間隔でスロット120a~120c(これらを特に区別しないときは「スロット120」と総称する)が設けられている。各スロット120には、その中央から半径方向内向きに突出する突極122a~122c(「突極122」と総称する)が形成され、それぞれU相コイル73a、V相コイル73b、W相コイル73c(「コイル73」と総称する)が組み付けられている。互いに隣接するスロット120の間にも、横断面U字状のスリット124が形成され、磁路の最適化が図られている。
ロータマグネット104は、キャン66を介して突極122a~122cと対向する。本実施形態では図2(A)に示すように、ロータマグネット104が雄ねじ10極に磁化されているが、その極数については適宜設定できる。
次に、ロータ60におけるマグネットの構成について詳細に説明する。
図3は、ロータ60の構成を表す図である。図3(A)は斜視図、図3(B)は正面図、図3(C)は平面図、図3(D)は図3(C)のB-B矢視断面図である。図中の「N」はN極、「S」はS極を示す。なお、同図においては、説明の便宜上、回転軸62(図1参照)の表記を省略している。
ロータ60は、ロータコア102の外周面に沿ってロータマグネット104を有し、ロータコア102の軸端部にセンサマグネット106を有する(図3(A),図3(D))。ロータマグネット104は円筒状をなし、外周面10極着磁とされている(図3(B),図3(C))。一方、センサマグネット106は環状をなし、平面2極着磁とされている。
図3(D)に示したように、ロータマグネット104の内周面が環状溝140に嵌合し、センサマグネット106の下面が環状溝144に嵌合している。すなわち、環状溝140は、ロータコア102からのロータマグネット104の脱落を防止する脱落防止構造として機能する。同様に、環状溝144は、ロータコア102からのセンサマグネット106の脱落を防止する脱落防止構造として機能する。
以上の構成を前提として、次に、磁気センサ119がロータ60の回転角度を検出する方法について説明する。なお、以下においては、図1の上下方向を「開閉方向」または「上下方向」とよぶ。
図4は、磁気センサ119とセンサマグネット106およびセンサマグネット106から発生する磁力線の関係を示す模式図である。
図4は、磁気センサ119およびセンサマグネット106を側面から見たときの模式図である。図4に示すようにセンサマグネット106(永久磁石)のNからSに磁力線が発生する。センサマグネット106の直上に位置する磁気センサ119は、センサマグネット106から発生する磁力線を検出する既知構成のロータリーセンサである。磁気センサ119は、磁力線の方向に基づいて、センサマグネット106(ロータ60)の回転角を検出する(詳細後述)。なお、本実施形態において、磁気センサ119はセンサマグネット106の回転角を検出可能であるが、磁気センサ119により、センサマグネット106までの距離、いいかえれば、作動ロッド32の開閉方向における移動量を直接検出することはできないものとして説明する。
図5は、センサマグネット106の平面図である。
ステータ64のコイル73に後述の方法にて駆動電流を流すことにより、ロータ60に回転駆動力が与えられる。ロータ60を閉弁方向(下方向)に回転させると(以下、「下降回転」とよぶ)、ロータ60に連動して作動ロッド32(弁体34)は閉弁方向、すなわち、図1の図面下方向に移動する。ロータ60を開弁方向に回転させると(以下、「上昇回転」とよぶ)、ロータ60と連動して作動ロッド32(弁体34)は開弁方向、すなわち、図1の図面上方に移動する。
ロータ60の回転に連動して、センサマグネット106も回転する。センサマグネット106の回転にともなって、センサマグネット106の磁界方向MAも変化する。図5に示すようにXY座標系(図1における水平面に対応)を設定したとき、磁界方向MAがX軸となす角度をθとする。磁気センサ119は、特許文献1の角度センサに示す既知の方法にて、センサマグネット106の回転角度θを検出する。
図6は、センサマグネット106のセンサ値と感知角との関係を示すグラフである。
横軸は、磁気センサ119の計測対象であるセンサマグネット106の回転角度θを示す(以下、「感知角」とよぶことがある)。縦軸は、磁気センサ119のセンサ値である。この例におけるセンサ値は、アークタンジェント値である。図6に示すように、磁気センサ119は感知角に対応してノコギリ型の波形を示すセンサ値を検出する。磁気センサ119は、アナログ信号であるセンサ値を、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)によってパルスのデューティー比に置き換えて、変調されたデジタル信号を示す電流を出力する。このとき、センサ値を「下限値DA~上限値TA」に正規化して、パルスにおけるデューティー比が定められる。下限値DA、上限値TAは任意に設定可能である。下限値DAは、0であってもよい。以下、パルスのデューティー比を「角度値」とよぶことがある。制御回路は、磁気センサ119の仕様に則って、デジタル信号のパルスから読み取られるデューティー比(角度値)に基づき、実際のロータ角度(感知角)を特定できる。
図7は、角度値(デューティー比)とステップの関係を示すグラフである。
本実施形態において、弁体34を最上位点から最下位点まで移動させるとき、ロータ60は合計4回転する。詳細は後述するが、制御回路は3相のコイル73に供給する駆動電流を変化させることにより、各コイル73の磁界方向を変化させることでロータ60を回転させる。本実施形態においては、制御回路はロータ60をu1度単位で回転させる(詳細後述)。以下、この単位回転量のことを「ステップ」とよぶ。360度×4回転÷u1度=1440/u1=SM4より、制御回路は作動ロッド32の動作範囲においてロータ60に合計SM4ステップ分の回転を指示することになる。ロータ60の4回転に対応して、角度値はDA~TAの間で4回変化する。
ステップ0が原点に相当し、ステップnは、原点から数えてn番目のステップを表す。図示したSM1は、機械角が1周したときのステップの順番を表し、SM2は、機械角が2周したときのステップの順番を表し、SM3は、機械角が3周したときのステップの順番を表し、SM4は、機械角が4周したときのステップの順番を表す。機械角は、ロータ60などの回転体の実空間における角度を指す。
制御回路はU相コイル73aに所定レベルの駆動電流を流す。このとき、V相コイル73bおよびW相コイル73cについても同様に所定レベルの駆動電流が流される。各コイル73に駆動電流を流すことによりコイル73における磁界を変化させ、ロータ60を回転させる。U相コイル73a、V相コイル73bおよびW相コイル73cそれぞれに与える駆動電流の電流値の組み合わせを「励磁パターン」とよぶ。本実施形態における励磁パターンはN種類である。ある励磁パターンP1を1つ隣りの励磁パターンP2に変化させることが「1ステップ」の回転、いいかえれば、単位回転量分の回転指示に対応する。
励磁パターンの変化により、いいかえれば、1ステップずつ励磁パターンを変更することにより、指示角α(理想的なロータ角度)が制御される。指示角αの変化に同期して、ロータ60が回転し、感知角θも変化する。励磁パターンを変化させたあと、磁気センサ119により検出される角度値から感知角θを算出することで、制御回路は、感知角θ(実際のロータ角度)が指示角αに追従している状態であるか否かを判定する。感知角θが指示角αに追従している状態を「同調」といい、感知角θが指示角αに追従できていない状態を「脱調」という。
N種類の励磁パターンにはそれぞれパターンIDが付与される。パターンID=N1の励磁パターン(以下、「励磁パターン(N1)」のように表記する)におけるU相コイル73a、V相コイル73bおよびW相コイル73cそれぞれの駆動電流値をIU(N1)、IV(N1)、IW(N1)とする。すなわち、励磁パターン(N1)とは[IU(N1)、IV(N1)、IW(N1)]の組み合わせを意味する。駆動電流IU(N1)、IV(N1)およびIW(N1)により各コイル73に磁界を生じさせて、ロータ60を励磁パターン(N1)に応じた指示角αへ誘導する。
N種類のパターンIDは、電気角の1周分のN個のステップに対応している。電気角は、N個のパターンIDを0~360度の範囲に均等に割り当てた理論値である。原点から最上位までの各ステップnは、循環して順次パターンIDに対応付けられる。また、連続するパターンIDは、連続的に変化する励磁パターンに対応する。
制御回路が、ステップnからステップn+1に移すとき、励磁パターン(N1)から励磁パターン(N1+1)へ切り替える。これにより、駆動電流値[IU(N1+1)、IV(N1+1)、IW(N1+1)]で、各コイル73による磁界を変化させ、ロータ60を単位回転量だけ上昇回転させる。反対に、制御回路が、ステップnからステップn-1に移すとき、励磁パターン(N1)から励磁パターン(N1-1)に切り替える。これにより、駆動電流値[IU(N1-1)、IV(N1-1)、IW(N1-1)]で、各コイル73による磁界を変化させ、ロータ60を単位回転量だけ下降回転させる。
図3に示した構造のロータ60の場合、ロータマグネット104がN極とS極の対を5個有するので、ロータ60の1周(機械角の360度)において電気角は5周する。つまり、電気角の1周は、機械角の72度に相当する。また、電気角の1周にはN個のステップが含まれるので、1ステップの変化で回転する機械角は、u1=72/N度となる。また、図7に関連して説明したように、弁体34を最上位点から原点まで移動させる間にロータ60を4周させる場合、全域にわたる移動で4×5×N個だけステップを進めることになる。つまり、図7に示したSM4は、4×5×Nである。同様にSM1は、5×Nであり、SM2は、2×5×Nであり、SM3は、3×5×Nである。
本実施形態においては、ストッパ90がガイド部材36(より厳密にはガイド部材36の突部)と当接するときのロータ60の位置を原点(基準位置)とし、制御回路はこのときの角度値および励磁パターンを「原点情報(基準情報)」として記録する。電動弁1の製造時において、電動弁1に固有の原点情報(基準情報)が回路基板118の不揮発性メモリに記録される。そして、制御回路は、原点(弁閉位置)を基準するステップnにより、作動ロッド32の移動量、すなわち、電動弁1の弁開度を調整する。
図8は、ロータ60の移動範囲の模式図である。
図8の右方向はロータ60の開方向(上昇方向)、左方向は閉方向(下降方向)を示す。ステップ0の原点は、ストッパ90が回転規制を受け、ロータ60がそれ以上の下降回転をできなくなる限界位置である。ステップMは、弁体34が上昇を開始する弁開点である。Mの値は、所定の共通値である。原点から弁開点までの範囲では、スプリング116の弾性反力により弁体34が弁座24に押し付けられるため、弁閉状態は維持される。ロータ60が原点0から上昇回転を続け、弁開点Mを超えたとき弁体34は弁座24から離脱し、開弁状態となる。弁開点Mを超えたあともロータ60の上昇回転が続くと弁開度は徐々に拡大し、入口ポート26から出口ポート28への流量が増加する。
流量特性に関する要求仕様では、第1計測ステップN1における流量が定められ、第1計測ステップN2における流量が定められている。ここでいう流量は、冷媒の流量あるいは冷媒の代わりに計測に用いられる空気の流量である。
図9は、理想の流量特性を示す図である。
この図は、流量特性に関する要求仕様に従った理想の流量特性を示している。原点から弁開方向へステップを進めるものとして、電動弁1の理想の流量特性について説明する。
原点から理想の弁開点Mまでは、流量は0である。弁開点Mで流量が0より大きくなりはじめ、ステップnが進むにつれて流量が増す。ステップnと流量の関係を示す流量線は、電動弁1の流量特性を表す。この図では、要求仕様に沿った理想の流量特性を表している。
要求仕様では、理想の弁開点Mを中央点として、所定幅のステップの公差が設けられている。また、第1計測ステップN1における流量について、理想の流量(以下、「理想の第1流量」という)を中央点として、所定幅の流量の公差が設けられている。第2計測ステップN2における流量についても、理想の流量(以下、「理想の第2流量」という)を中央点として、所定幅の流量の公差が設けられている。
第1計測ステップN1における理想の第1流量R1を示す点を「第1理想点」という。また、第2計測ステップN2における理想の第2流量R2を示す点を「第2理想点」という。この図では、理想の弁開点Mと第1理想点を結ぶ直線と、第1理想点と第2理想点を結ぶ直線とで流量線を表しているが、さらに多くの計測ステップの理想点を設ければ、流量線は曲線に近い形状になる。
図10は、実際の流量特性を示す図である。
実際の流量特性は、個体毎に誤差が生じる。図示した実際の流量特性Aを有する電動弁1の場合、第1計測ステップにおいて計測される流量は、理想の流量より大きい。反対に、図示した実際の流量特性Bを有する電動弁1の場合、第1計測ステップにおいて計測される流量は、理想の流量より小さい。
本実施形態では、流量線の形状は、個体差が小さく、すべての電動弁1においてほぼ同じであると想定する。つまり、図示した流量線の傾きは、一定であるものとする。この想定によれば、理想の流量特性Aの場合、弁開点Mが理想よりも小さいステップ番号で現れる。反対に、理想の流量特性Bの場合、弁開点Mが理想よりも大きいステップ番号で現れる。このように、流量の誤差のみならず、弁開点Mのステップ誤差も生じる。見方を変えれば、実際の弁開点Mのずれが、流量誤差を乗じさせているとも言える。
図11(A)は、原点の状態を示す概略図である。
図11(A)~図11(C)では、電動弁1の構造を簡略化している。原点では、回転軸62が最も下に位置し、弁体34が弁座24に接している。従って、流量は、0である。この状態で回転軸62が上昇回転すると、回転軸62が上方へ移動する。
図11(B)は、弁開点の状態を示す概略図である。
弁開点Mでは、上昇した回転軸62がストッパ114に接している。弁開点Mは、弁体34が弁座24から離れる直前であって、ここから冷媒や空気の流れが始まる。更に回転軸62が上昇すると、回転軸62がストッパ114を持ち上げる。このとき、作動ロッド32は、ストッパ114と一体に持ち上がる。
図11(C)は、弁開状態を示す概略図である。
弁開状態では、弁開点のときのストッパ114が第2ストロークだけ上方へ変位し、作動ロッド32も同じく上方へ第2ストロークだけ変位する。そのため、弁体34が弁座24から離れて、第2ストロークの隙間ができる。これにより、流量が0より大きくなる。さらに回転軸62が上昇回転すると、それにつれて流量が増える。
このように、原点から弁開点Mに至る間に、回転軸62が図示した第1ストロークだけ上昇する。第1ストロークは、原点における回転軸62の上端とストッパ114の間の長さである。第1ストローク分の軸線運動に相当する回転運動を生じさせるステップ数が、弁開点Mのステップ番号となる。
ただし、第1ストロークには、個体差がある。電動弁1の組み立てにおいて、ストッパ114が上寄りに設置されると、第1ストロークは長くなる。反対に、ストッパ114が下寄りに設置されると、第1ストロークは短くなる。第1ストロークが長いと、弁開点のステップ番号が大きくなり、第1ストロークが短いと、弁開点のステップ番号が小さくなる。このように、電動弁1の組み立ての誤差によって、弁開点のステップ番号はばらつく。
図12は、実測点における誤差の概要を示す図である。
図10に示した実際の流量特定Aに着目して、電動弁1に生じる誤差について説明する。上述したように、実際の流量特定Aを示す流量線は、理想の流量特定を示す流量線の上側に表される。以下で、第1計測ステップN1で計測された実際の第1流量r1を示す点を「第1実測点」という。第1実測点は、第1理想点より上側に位置し、計測対象の電動弁1は、第1計測ステップN1において、第1流量r1から理想の第1流量R1を引いた分の流量誤差Δβが生じている。つまり、流量誤差Δβは、以下の式1で定まる。
流量誤差Δβ=実際の第1流量r1-理想の第1流量R1 (式1)
実際の流量特定Aの場合に、流量誤差Δβは正の値となるが、実際の流量特定B(図10参照)の場合には、流量誤差Δβは負の値となる。
また、実際の流量特定Aを示す流量線は、理想の流量特定を示す流量線の左側にあるとみることができる。理想の流量線上で実際の第1流量r1と同じ流量になる点を推定する。この点を、「第1推定点」という。第1推定点における第1推定ステップn1は、理想的に第1流量r1となると推定されるステップを意味する。第1実測点は、第1推定点より左側に位置し、計測対象の電動弁1は、実際の第1流量r1のレベルにおいて、第1計測ステップN1から第1推定ステップn1を引いた分のステップ誤差Δγが生じている。つまり、ステップ誤差Δγは、以下の式2で定まる。
ステップ誤差Δγ=第1計測ステップN1-第1推定ステップn1 (式2)
実際の流量特定Aの場合に、ステップ誤差Δγは負の値となるが、実際の流量特定B(図10参照)の場合には、ステップ誤差Δγは正の値となる。
第1計測ステップN1における流量線の傾きをGで表すと、以下の式3で表される関係が成り立つ。傾きGは、1ステップ当たりの流量変化量を示す。
流量誤差Δβ=-傾きG×ステップ誤差Δγ (式3)
傾きGは、製造段階の前に予め求めておくものとする。簡単な求め方としては、図10に示した理想の流量特性を示す流量線の傾きを用いる。本実施形態では、流量線の形状には、個体差がなく一定であるものとするので、実際の流量特性Aを示す流量線の傾きと実際の流量特性Bを示す流量線の傾きは、理想の流量特性を示す流量線の傾きと一致する。第1計測ステップN1の前後のステップで、流量を計測してそれらの計測結果に基づいて、第1計測ステップN1における流量線の傾きを求めておくようにしてもよい。
図13は、オフセット値の概要を示す図である。
本実施形態では、ロータ回転の制御に用いられるステップ番号を補正する。ステップ番号にオフセット値を加えることによって補正されたステップ番号を用いて回転を制御すれば、理想の流量特性に近い振舞で電動弁1を動作させることができる。
具体的には、電動弁1の個体毎に、ステップ誤差Δγと等しい値のオフセット値を定める。回転を制御する場合に、オフセット値が加えられたステップ番号で励磁パターンを特定して各相のコイルに駆動電流を印加する。たとえば、弁開点Mのステップ番号が50で、実際の流量特性Aのステップ誤差が-5であったとする。外部装置からステップ番号の50へ移動コマンドが発せられた場合に、そのままステップ番号の50へ移動させると、弁開状態となってしまう。これに対して、オフセット値の-5を加えてステップ番号の45へ移動させれば、理想の弁開点Mと同じ状態になる。反対に、実際の流量特性Bのステップ誤差が5であったとすれば、オフセット値の5を加えてステップ番号の55へ移動させて理想の弁開点Mと同じ状態する。
外部装置から指定されるステップ番号は、理想の流量特性を前提としている。そのため、実際の流量特性に適するようにステップ番号を改める処理を行う。図13で、理想の流量特性の線上から実際の流量特性Aの線上へオフセット値(-)の矢印が伸びているのは、理想を前提とするパラメータ(理想のステップ番号)を、実際に適したパラメータに変換することを表している。たとえば、実際の流量特性Aを示す電動弁1が第1計測ステップN1への移動を指示された場合に、図示した第1補正点のステップに移動すれば、望み通りに理想の第1流量R1が得られる。
ステップのオフセット値は、以下の式(4)で定まる。
ステップ番号のオフセット値=ステップ誤差Δγ (式4)
式3を用いて式4を書き替えると、式5が求められる。
ステップ番号のオフセット値
=-流量誤差Δβ/傾きG
=(理想の第1流量R1-実際の第1流量r1)/傾きG (式5)
式5によれば、実際の流量特性Aを示す電動弁1では、理想の第1流量R1より実際の第1流量r1が大きいので、ステップ番号のオフセット値が負の値となる。反対に、実際の流量特性Bを示す電動弁1では、実際の第1流量r1より理想の第1流量R1が大きいので、ステップ番号のオフセット値が正の値となる。ここまでの説明は、製造段階での調整処理に関連する。
このように、電動弁1の個体毎に、製造段階で流量の計測が行われて、それぞれのオフセット値が設定される。ステップ番号のオフセット値は、電動弁制御装置の不揮発性の記憶領域に記憶される。そして、電動弁1が出荷されて、自動車用空調装置などに実装された段階で、電動弁1は、自ら保持するステップ番号のオフセット値を用いて、命令されたステップ番号を改めながら動作する。これにより、各電動弁1ともに、その電動弁1独自の組み立て誤差による流量特性への影響を打ち消して、外部装置側から見て理想の流量特性と同様の挙動を実現する。実質的に、電動弁1の流量特性を均一化することができる。
なお、実装段階では、電動弁制御装置は、以下の式6に従ってステップ番号を補正する。
補正後のステップ番号
=補正前のステップ番号+ステップ番号のオフセット値 (式6)
図14は、調整装置300および電動弁制御装置200の機能ブロック図である。
本実施形態では、製造段階で電動弁制御装置200に接続された調整装置300において、ステップ番号のオフセット値を求めて、それを電動弁制御装置200に設定する。個々の電動弁制御装置200に対してそれぞれに適したステップ番号のオフセット値を定めるようにするので、電動弁1の個体毎に組み立ての影響を吸収した調整を行える。このように個体毎に適した調整を行えば、量産される製品の品質を安定させることに繋がる。電動弁1の組み立て精度を極端に高めなくても対処できるので、製造コストの低減に資する面もある。
調整装置300の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。図示した各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
調整装置300は、データ処理部302、通信部304およびデータ格納部306を含む。通信部304は、電動弁制御装置200に接続する通信路を介した通信処理を担当する。データ格納部306は各種データを格納する。データ処理部302は、通信部304により取得されたデータおよびデータ格納部306に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部302は、通信部304およびデータ格納部306のインターフェースとしても機能する。
通信部304は、データおよびコマンド(たとえば、ステップ移動コマンドやオフセット値書き込みコマンドなど)を送信する送信部312とデータを受信する受信部310を含む。
データ処理部302は、指示部318、流量取得部320、オフセット値算出部322およびオフセット値設定部324を有する。指示部318は、電動弁制御装置200に対して原点探索などの各種指示を行う。流量取得部320は、電動弁1がセットされている測定装置から電動弁1の出口ポート28における流量を取得する。あるいは、作業員によって入力された流量を取得する。つまり、調整装置300を測定装置に接続し、受信部310で測定装置から通信によって流量を取得してもよいし、作業員が測定装置に表示された流量を読み取って、調整装置300の入力部(不図示)へ入力するようにしてもよい。
オフセット値算出部322は、流量の計測結果に基づいてステップ番号のオフセット値を算出する。具体的には、オフセット値算出部322は、所定の計測ステップにおける電動弁の実際の流量と理想の流量との差である流量誤差を、電動弁1における1ステップ当たりの流量変化量で除してステップ誤差を算出し、ステップ誤差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定する。オフセット値設定部324は、電動弁制御装置200にステップ番号のオフセット値を設定する。
電動弁制御装置200の各構成要素は、回路基板118上における制御回路(マイクロコンピュータ)、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェア(制御回路)と、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバおよびアプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
電動弁制御装置200は、データ処理部202、通信部204、データ格納部206およびロータインタフェース部208を含む。
通信部204は、接続端子81を介して外部装置又は調整装置に対するインターフェースとして機能する。ロータインタフェース部208は、磁気センサ119およびコイルユニット75に対するインターフェースとして機能する。データ処理部202は、データ格納部206に格納されているデータおよび通信部204、ロータインタフェース部208から取得された各種データに基づいて各種処理を実行する。データ処理部202は、通信部204、ロータインタフェース部208およびデータ格納部206のインターフェースとしても機能する。
通信部204は、製造段階で使用される調整装置又は実装段階で使用される外部装置からデータおよびコマンド(たとえば、ステップ移動コマンドやオフセット値書き込みコマンドなど)を受信する受信部210と、外部装置又は調整装置にデータを送信する送信部212を含む。
ロータインタフェース部208は、回転指示部214および回転検出部216を含む。回転指示部214は、励磁パターンによってステッピングモータに駆動電流を印加する。具体的には、回転指示部214は、励磁パターンに応じて、U相コイル73a、V相コイル73bおよびW相コイル73cそれぞれに励磁パターンで特定される大きさの駆動電流を出力する。回転検出部216は、磁気センサ119から受けた電流のパルスからデューティー比を読み取る。
データ処理部202は、回転制御部218を含む。回転制御部218は、原点情報(基準情報)およびステップ番号のオフセット値などに基づいて回転指示部214を制御する。具体的には、回転制御部218は、ステップ移動コマンドに基づいて順次切り替えられるステップ番号をオフセット値に基づいて補正し、補正されたステップ番号に対応する励磁パターンを特定する。
データ格納部206は、基準情報記憶部220とオフセット値記憶部222を含む。基準情報記憶部220は、電動弁1の個体毎に設定される原点情報(基準情報)を記憶する。オフセット値記憶部222は、電動弁1の個体毎に設定されるステップ番号のオフセット値を記憶する。基準情報記憶部220とオフセット値記憶部222は不揮発性メモリに構成される記憶領域である。
図15は、調整処理過程を示すシーケンス図である。
調整処理は、たとえば製造段階の最後に実行される。したがって、電動弁制御装置200を含む電動弁1の組み立ては完了しているものとする。また、電動弁1は、冷凍サイクルの全部または一部を実現する測定装置にセットされている。測定装置は、入口ポート26に圧縮された冷媒又は空気を送り込む機能と、出口ポート28から出る冷媒又は空気の流量を計測する機能を有している。この例で、調整装置300は、測定装置と接続しており、測定装置を制御し、測定装置から計測データを取得することができる。
調整装置300の指示部318は、電動弁制御装置200に対して原点探索を指示する(S8)。このとき、調整装置300の送信部312から原点探索コマンドが送信される。電動弁制御装置200はこのコマンドに従って、原点の位置に弁体34を合わせる原点探索の動作を行う。
測定装置の運転を開始する(S10)。調整装置300が測定装置を制御して運転を開始させてもよいし、作業員が測定装置を操作して運転を開始させてもよい。また、先に測定装置の運転を開始させてから、上述の原点探索の処理(S8)を行うようにしてもよい。
測定装置内の冷媒又は空気の状態が安定した段階で、調整装置300の指示部318は、電動弁制御装置200へステップ移動を指示する(S12)。具体的には、調整装置300の送信部312が、移動先のステップ番号を含むステップ移動コマンドを電動弁制御装置200へ送信する。このとき、所定の計測ステップ(たとえば、第1計測ステップ)の番号が指定される。
電動弁制御装置200の受信部210がステップ移動コマンドを受信すると、回転制御部218は、指定された移動先のステップ番号へのステップ移動を開始する(S14)。具体的には、回転制御部218は、指定されたステップ番号へ向かって順次ステップ番号を切り替えて、ステップ番号に対応する励磁パターンを回転指示部214に指示する。回転指示部214は、励磁パターンに従って各相のコイルに対する駆動電流を切り替える。移動先のステップ番号までステップを移動させると、電動弁制御装置200の送信部212は、移動完了通知を調整装置300へ送信する(S16)。
調整装置300の受信部310が移動完了通知を受信すると、調節装置300の流量取得部320は、電動弁1の出口ポート28から出る冷媒又は空気の流量を、測定装置から取得する(S18)。流量取得部320は、作業員が手作業で入力した冷媒又は空気の流量を取得してもよい。そして、測定装置の運転を停止する(S20)。調整装置300が測定装置を制御して運転を停止させてもよいし、作業員が測定装置を操作して停止を開始させてもよい。また、測定装置の運転を停止させずに、これ以降の処理を行ってもよい。
オフセット値算出部322は、取得した流量を上述した式5に適用して、ステップ番号のオフセット値を算出する(S22)。オフセット値算出の処理を終えると、オフセット値設定部324は、電動弁制御装置200にステップ番号のオフセット値を設定する。具体的には、送信部312が、ステップ番号のオフセット値を付加されたオフセット値書き込みコマンドを、電動弁制御装置200へ送信する(S24)。
電動弁制御装置200の受信部210がオフセット値書き込みコマンドを受信すると、回転制御部218は、受信したオフセット値書き込みコマンドに付加されたオフセット値をオフセット値記憶部に記憶させる(S26)。
図16は、電動弁制御装置200の処理過程を示すフローチャートである。
ここでは、ステップ番号のオフセット値を設定された電動弁制御装置200を使用する実装段階での処理過程を説明する。
受信部210が、外部装置から移動先のステップ番号を含むステップ移動コマンドを受信すると(S30のY)、回転制御部218は、ステップ移動コマンドに従って回転方向と回転速度を決める(S32)。回転制御部218は、回転方向と回転速度に従って、今すぐステップを進めるか否かを判定する(S34)。ステップを進める場合には(S34のY)、回転制御部218は、回転方向に従って次のステップ番号を特定する(S36)。回転制御部218は、ステップ番号を補正する(S38)。具体的には、回転制御部218は、式6に従って、次のステップ番号に、オフセット値記憶部222から読み取ったステップ番号のオフセット値を加えて、補正されたステップ番号を算出する。回転制御部218は、ステップnと励磁パターンの対応関係に従って、補正されたステップ番号の励磁パターンを特定する(S40)。そのとき回転指示部214の通電がOFFになっていれば、回転制御部218は、回転指示部214の通電をONにする。また、回転制御部218は、回転指示部214に励磁パターンを指示し、回転指示部214は、励磁パターンに応じた値に駆動電流を変更する。つまり、励磁パターンに応じた各相の駆動電流が、モータユニット3のコイルに印加される。
回転制御部218は、移動先のステップ番号まで処理したか否かを判定する(S44)。未だ移動先のステップ番号まで処理していない場合には(S44のN)、S34の処理に戻って上述した処理を繰り返す。移動先のステップ番号まで処理した場合には(S44のY)、回転制御部218は、回転指示部214の通電をOFFにする(S46)。または、回転制御部218は、回転指示部214の通電を所定の待機電流の値に変更し、維持する。これにより、弁停止となりロータ60の姿勢が保持される。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
[変形例1]
実際の弁開点のステップ番号と理想の弁開点のステップ番号との差を、ステップ番号のオフセット値としてもよい。ステップ番号のオフセット値は、以下の式7で求められる。
ステップ番号のオフセット値
=実際の弁開点のステップ番号-理想の弁開点のステップ番号 (式7)
調整処理で、測定装置の運転を開始させた後に、調整装置300は、電動弁制御装置200に、弁開点Mよりも小さいステップ番号を指定してステップ移動コマンドを送る。電動弁制御装置200は、そのステップへ移動するようにモータ制御を行う。そこから、調整装置300は、1ステップずつ上昇回転するようにステップ番号を増やしてステップ移動コマンドを送る。電動弁制御装置200は、1ステップずつモータユニット3を上昇回転させる。調整装置300は、1ステップずつ測定装置から流量を取得し、最初に流量が0より大きくなるステップを特定し、そのステップ番号またはそのステップ番号から1を引いたステップ番号を実際の弁開点のステップ番号とする。そして、調整装置300は、式7に従って、ステップ番号のオフセット値を算出する。つまり、オフセット値算出部322は、電動弁1における実際の弁開点のステップ番号と理想の弁開点のステップ番号の差を算出し、当該ステップ番号の差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定する。電動弁制御装置200を使用する実装段階での処理過程については、実施形態の場合と同様である。
この変形例では、調整処理に要する時間が長くなるが、より正確なオフセット値を求めることができる。
[変形例2]
特許文献3および4に示されているように、ロータの回転運動を直接伝達して弁体を回転させる方式の電動弁(たとえば、ボールバルブ)がある。この方式では、弁体を回転せることによって、弁体内の通路を流れる媒体の流量を調整する。この方式の電動弁は、ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構を有する。実施形態に例示した電動弁では、ロータの回転運動が弁体の軸線運動に変換されるが、この方式の電動弁では、ロータの回転運動がそのまま弁体の回転として伝達され、弁体の開口の形状に基づく弁の開閉作動を生じさせる。この回転方式の電動弁でも、ロータの回転角度に応じて流量が変化し、ステップ数と流量が相関関係を示す。したがって、実施形態の電動弁と同様に、実施形態および変形例1で示した技術を適用することが可能である。
上記実施形態では、磁気センサ119をセンサマグネット106と軸線方向に対向させる構成を例示した(図1参照)。変形例においては、センサマグネットの側方(径方向外側)に磁気センサを配置してもよい。すなわち、両者を径方向に対向させてもよい。センサマグネットの外周面に着磁してもよい。その極数については、例えば弁本体2極とするなど適宜設定できる。
上記実施形態では、ロータマグネット104とセンサマグネット106とが軸線方向に離隔する構成を例示した。変形例においては、ロータマグネットとセンサマグネットとを一体に構成してもよい。マグネット部成形工程において、ロータマグネット部とセンサマグネット部とを一体成形してもよい。その場合、磁気センサが磁束を確実に検出できるよう、センサマグネットの面積(外径)を大きくしてもよい。センサマグネットがロータコアの外周にはみ出すことになるため、センサマグネットとロータマグネットを射出成形しやすくなる。
各実施形態では、ステータのコアとして積層コア(積層磁心)を例示した。変形例においては、圧粉コアその他のコアを採用してもよい。圧粉コアは、「圧粉磁心」とも呼ばれ、軟磁性材料を粉末にし、非導電性の樹脂等でコーティングした紛体と、樹脂バインダとを混練し、圧縮成型・加熱することで得られる。
各実施形態では、回路基板の下面に駆動回路、制御回路、通信回路および電源回路が実装される構成を例示したが、実装される回路については適宜変更できる。例えば、駆動回路および電源回路を実装する一方、制御回路を電動弁の外部に設置してもよい。また、各回路を回路基板の上面に実装してもよい。
各実施形態では、モータユニットとして、PM型ステッピングモータを採用したが、ハイブリッド型ステッピングモータを採用してもよい。また、上記実施形態では、モータユニットを三相モータとしたが、二相,四相、五相などその他のモータとしてもよい。ステータにおける電磁コイルの数も3つや6つに限らず、モータの相数に合わせて適宜設定してよい。
各実施形態の電動弁は、冷媒として代替フロン(HFC-134a)など使用する冷凍サイクルに好適に適用されるが、二酸化炭素のように作動圧力が高い冷媒を用いる冷凍サイクルに適用することも可能である。その場合には、冷凍サイクルに凝縮器に代わってガスクーラなどの外部熱交換器が配置される。
各実施形態では、上記電動弁を膨張弁として構成したが、膨張機能を有しない開閉弁や流量制御弁として構成してもよい。
各実施形態では、上記電動弁を自動車用空調装置の冷凍サイクルに適用する例を示したが、車両用に限らず電動膨張弁を搭載する空調装置に適用可能である。また、冷媒以外の流体の流れを制御する電動弁として構成することもできる。
本実施形態における1は電気自動車に限らず、各種の自動車に応用可能である。
センサマグネット106を両面4極着磁(片面弁本体2極の両面着磁)としてもよい。上面と下面で磁極の極性を反転させることで磁束を強化できる。この場合、ロータ60が閉弁方向に変位してセンサマグネット106と磁気センサ119との距離が大きくなっても、磁気センサ119の感度を良好に維持できる。
1 電動弁、2 弁本体、3 モータユニット、5 ボディ、6 第1ボディ、8 第2ボディ、10 雄ねじ、12 シール収容部、14 シールリング、16 凹状嵌合部、18 シール収容部、20 シールリング、22 弁孔、24 弁座、26 入口ポート、28 出口ポート、30 弁室、32 作動ロッド、34 弁体、36 ガイド部材、38 雄ねじ、40 大径部、42 ばね受け、44 ばね受け、46 スプリング、52 係止部、60 ロータ、62 回転軸、64 ステータ、66 キャン、70 積層コア、73 コイル、73a U相コイル、73b V相コイル、73c W相コイル、74 ボビン、75 コイルユニット、76 ケース、77 蓋体、78 ステータユニット、79 コネクタ部、80 シール収容部、81 接続端子、82 シールリング、90 ストッパ、102 ロータコア、104 ロータマグネット、106 センサマグネット、108 雌ねじ、109 ねじ送り機構、110 縮径部、112 底部、114 ストッパ、116 スプリング、117 端子、118 回路基板、119 磁気センサ、120 スロット、122 突極、124 スリット、140 環状溝、144 環状溝、200 電動弁制御装置、202 データ処理部、204 通信部、206 データ格納部、208 ロータインタフェース部、210 受信部、212 送信部、214 回転指示部、216 回転検出部、218 回転制御部、220 基準情報記憶部、222 オフセット値記憶部、300 調整装置、302 データ処理部、304 通信部、306 データ格納部、310 受信部、312 送信部、318 指示部、320 流量取得部、322 オフセット値算出部、324 オフセット値設定部

Claims (7)

  1. ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、前記ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置であって、
    前記電動弁の個体毎に設定されるステップ番号のオフセット値を記憶するオフセット値記憶部と、
    ステップ移動コマンドを受信する受信部と、
    前記ステップ移動コマンドに基づいて順次切り替えられる前記ステップ番号を前記オフセット値に基づいて補正し、補正された前記ステップ番号に対応する前記励磁パターンを特定する回転制御部と、
    特定された前記励磁パターンによって前記ステッピングモータに前記駆動電流を印加する回転指示部と、を備えることを特徴とする電動弁制御装置。
  2. 前記受信部は、前記オフセット値を付加されたオフセット値書き込みコマンドを受信し、
    前記回転制御部は、受信した前記オフセット値書き込みコマンドに付加された前記オフセット値を、前記オフセット値記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の電動弁制御装置。
  3. ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、前記ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置に接続され、
    所定ステップにおける前記電動弁の実際の流量と理想の流量との差である流量誤差を、前記電動弁における1ステップ当たりの流量変化量で除してステップ誤差を算出し、前記ステップ誤差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定するオフセット値算出部と、
    特定された前記オフセット値を前記電動弁制御装置に設定するオフセット値設定部と、を備えることを特徴とする調整装置。
  4. ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、前記ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置に接続され、
    前記電動弁における実際の弁開点のステップ番号と理想の弁開点のステップ番号の差を算出し、当該ステップ番号の差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定するオフセット値算出部と、
    特定された前記オフセット値を前記電動弁制御装置に設定するオフセット値設定部と、を備えることを特徴とする調整装置。
  5. ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、前記ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御するコンピュータに、
    前記電動弁の個体毎に設定されるステップ番号のオフセット値を記憶する機能と、
    ステップ移動コマンドを受信する機能と、
    前記ステップ移動コマンドに基づいて順次切り替えられる前記ステップ番号を前記オフセット値に基づいて補正し、補正された前記ステップ番号に対応する前記励磁パターンを特定する機能と、
    特定された前記励磁パターンによって前記ステッピングモータに前記駆動電流を印加する機能と、を発揮させることを特徴とする電動弁制御プログラム。
  6. ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、前記ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置に接続可能なコンピュータに、
    所定ステップにおける前記電動弁の実際の流量と理想の流量との差である流量誤差を、前記電動弁における1ステップ当たりの流量変化量で除してステップ誤差を算出し、前記ステップ誤差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定する機能と、
    特定された前記オフセット値を前記電動弁制御装置に設定する機能と、を発揮させることを特徴とする調整プログラム。
  7. ステップに対応する励磁パターンによって印加される駆動電流によってロータを回転させるステッピングモータと、前記ロータの回転運動によって弁開度を変化させる機構とを有する電動弁を制御する電動弁制御装置に接続可能なコンピュータに、
    前記電動弁における実際の弁開点のステップ番号と理想の弁開点のステップ番号の差を算出し、当該ステップ番号の差に基づいて、ステップ番号のオフセット値を特定する機能と、
    特定された前記オフセット値を前記電動弁制御装置に設定する機能と、を発揮させることを特徴とする調整プログラム。
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