JP2023030594A - 生体音検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体音を分離して検出できる生体音検出装置を提供すること。【解決手段】生体音検出装置10は、筐体20、検出部30、媒質40、および複数の素子50を備える。検出部30は、筐体20とともに収容空間を提供し、生体音である音響信号を検出する。媒質40は、収容空間に配置され、空気よりも水に近い音響インピーダンスを有する。複数の素子50は、検出部30および媒質40を介して伝わる音響信号を電気信号に変換する。複数の素子50は、媒質40よりも音響インピーダンスが大きく、検出部30との対向面をなす表面膜52をそれぞれ有する。複数の素子50は、素子50の並び方向に直交する法線を基準とした音響信号の全反射角度が互いに異なる。【選択図】図2
Description
この明細書における開示は、生体音検出装置に関する。
特許文献1は、生体音収集用マイクロホンを開示している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
特許文献1に記載の生体音収集用マイクロホン、つまり生体音検出装置では、筐体と、第1の生体音伝播部とにより提供される収容空間に、第2の生体音伝播部が充填されている。このため、収容空間を提供する筐体および第1の生体音伝播部のうち、第1の生体音伝播部を介して、生体音が第2の生体音伝播部に伝わる。しかしながら、生体音を分離することができない。たとえば、臓器ごとの音(音響信号)を分離して検出することができない。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、生体音検出装置にはさらなる改良が求められている。
開示されるひとつの目的は、生体音を分離して検出できる生体音検出装置を提供することにある。
ここに開示された生体音検出装置は、
筐体(20)と、
筐体とともに収容空間を提供し、生体音である音響信号を検出する検出部(30)と、
収容空間に配置され、空気よりも水に近い音響インピーダンスを有する媒質(40)と、
収容空間に配置され、検出部および媒質を介して伝わる音響信号を電気信号に変換する複数の素子(50、50A、50B、50C)と、を備え、
複数の素子は、媒質よりも音響インピーダンスが大きく、検出部との対向面をなす表面膜(52、52A、52B、52C)をそれぞれ有し、
複数の素子は、複数の素子の並び方向に直交する法線を基準とした音響信号の全反射角度が互いに異なる。
筐体(20)と、
筐体とともに収容空間を提供し、生体音である音響信号を検出する検出部(30)と、
収容空間に配置され、空気よりも水に近い音響インピーダンスを有する媒質(40)と、
収容空間に配置され、検出部および媒質を介して伝わる音響信号を電気信号に変換する複数の素子(50、50A、50B、50C)と、を備え、
複数の素子は、媒質よりも音響インピーダンスが大きく、検出部との対向面をなす表面膜(52、52A、52B、52C)をそれぞれ有し、
複数の素子は、複数の素子の並び方向に直交する法線を基準とした音響信号の全反射角度が互いに異なる。
開示された生体音検出装置によれば、複数の素子が表面膜をそれぞれ有している。表面膜は、媒質よりも音響インピーダンスが大きく、音響信号に対して全反射角度を有する。複数の素子において、並び方向に直交する法線を基準とする音響信号の全反射角度が互いに異なる。これにより、全反射角度が互いに等しい構成に較べて、指向性を狭めることができる。この結果、生体音を分離して検出できる生体音検出装置を提供することができる。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)
先ず、図1に基づき、本実施形態に係る生体音検出装置の配置について説明する。
先ず、図1に基づき、本実施形態に係る生体音検出装置の配置について説明する。
<生体音検出装置の配置>
図1に示すように、生体音検出装置10は、一例として移動体に配置される。移動体は、車両、飛行体、船舶、建機などである。移動体は、乗員110が着座するシート100を備える。シート100は、着座部101と、背もたれ部102を有する。着座部101は、乗員110の臀部および太腿部等を支持する。背もたれ部102は、乗員110の背中を支持する。移動体は、シートベルト103を備える。シートベルト103は、乗員110をシート100に拘束する。
図1に示すように、生体音検出装置10は、一例として移動体に配置される。移動体は、車両、飛行体、船舶、建機などである。移動体は、乗員110が着座するシート100を備える。シート100は、着座部101と、背もたれ部102を有する。着座部101は、乗員110の臀部および太腿部等を支持する。背もたれ部102は、乗員110の背中を支持する。移動体は、シートベルト103を備える。シートベルト103は、乗員110をシート100に拘束する。
本実施形態の生体音検出装置10は、シート100の着座部101、背もたれ部102、およびシートベルト103の少なくともひとつに配置される。図1では、生体音検出装置10が、背もたれ部102に配置される例を示している。生体音検出装置10は、乗員110の生体音を検出する。乗員110が、生体に相当する。生体音は、生体の各部分から生じる音響信号である。生体音は、心音、心臓以外の臓器の音(たとえば肺音)、呼吸音、血流音(たとえば動脈の血流である心弾道)などの生体音全般である。生体音検出装置10は、シート100を構成する部材を介して、生体音を検出する。
<生体音検出装置>
次に、図2に基づき、生体音検出装置について説明する。図2は、生体音検出装置を示す部分断面図である。
次に、図2に基づき、生体音検出装置について説明する。図2は、生体音検出装置を示す部分断面図である。
図2に示すように、生体音検出装置10は、生体音検出センサ11と、信号処理部12を備えている。生体音検出センサ11は、筐体20と、検出部30と、媒質40と、複数の素子50を備えている。
筐体20は、検出部30とともに、生体音検出センサ11の他の要素を収容する収容空間を提供する。筐体20の構成材料は、特に限定されない。筐体20は、たとえば金属、セラミック、ガラス、樹脂などを材料として形成されている。本実施形態の筐体20は、ケース21と、カバー22を有している。ケース21は、一面が開口する箱状をなしている。カバー22は、ケース21の開口の一部を覆うように設けられている。カバー22は、蓋部と称されることがある。
検出部30は、筐体20とともに収容空間を提供する。検出部30は、筐体20に設けられている。検出部30は、筐体20に固定されている。本実施形態の検出部30は、カバー22に設けられている。検出部30は、カバー22の開口を閉塞するように設けられている。検出部30は、カバー22とともに、ケース21の開口を閉塞している。検出部30の内面および筐体20の内面が、収容空間を規定(区画)している。
収容空間は、上記した構成に限定されない。たとえば筐体20がケース21のみを有し、検出部30がケース21の開口を閉塞する構成としてもよい。つまり、カバー22を排除した構成としてもよい。筐体20と検出部30との固定構造は、特に限定されない。媒質40を保持するために、必要に応じてシーリング等を施してもよい。なお、ケース21とカバー22との固定構造も、特に限定されない。必要に応じてシーリング等を施してもよい。
検出部30は、筐体20の構成材料よりも水に近い音響インピーダンスを有する固体材料を用いて形成されている。検出部30は、水にほぼ一致する音響インピーダンスを有する材料を用いるとよい。具体的には、水に対する音響インピーダンスの比が0.5~5の範囲内となる材料を用いるとよい。より好ましくは、水に対する音響インピーダンスの比が0.8~2の範囲内となる材料を用いるとよい。これにより、検出部30の界面における反射ロスを低減することができる。
本実施形態の検出部30は、シリコーンゴムを用いて形成されている。シリコーンゴムの音響インピーダンスは、1.44×106kg/(s・m2)である。水の音響インピーダンスは、1.53×106kg/(s・m2)である。人体の音響インピーダンスは、水にほぼ等しい。人体の音響インピーダンスは、1.99×106kg/(s・m2)である。
筐体20がたとえば金属製の場合、その音響インピーダンスは水の10倍以上である。これにより生体音は、検出部30にて検出され、筐体20にて反射される。生体音は、検出部30を通じて収容空間の媒質40に伝わる。このように、検出部30は、生体音を検出して媒質40に伝達する。検出部30は、収容空間を提供する壁部材のうち、生体音を局所的に伝達する部分である。
媒質40は、収容空間に配置されている。媒質40は、筐体20の内面および検出部30の内面に接触している。媒質40は、検出部30と素子50との伝搬経路に配置されている。媒質40は、検出部30を介して入力する生体音を、素子50に伝達する。本実施形態では、媒質40が、収容空間のほぼ全域に充填されている。
媒質40は、空気よりも水に近い音響インピーダンスを有している。媒質40は、空気よりも大きく、筐体20を構成する材料よりも小さい音響インピーダンスを有している。媒質40は、水にほぼ一致する音響インピーダンスを有するとよい。具体的には、水に対する音響インピーダンスの比が0.5~2の範囲内となる材料を用いるとよい。より好ましくは、水に対する音響インピーダンスの比が0.8~1.25の範囲内となる材料を用いるとよい。これにより、検出部30と媒質40との界面における反射ロス、つまり検出部30から素子50までの生体音(音響信号)の伝搬経路における反射ロスを低減することができる。
媒質40として、たとえば水やシリコーンオイルなどの液体材料、超音波ゲルなどを用いることができる。シリコーンオイルの音響インピーダンスは、1.41×106kg/(s・m2)である。超音波ゲルの音響インピーダンスは、1.41×106kg/(s・m2)である。水の音響インピーダンスは、上記したとおりである。本実施形態では、媒質40として水を採用している。なお、空気の音響インピーダンスは、4.39×102kg/(s・m2)である。
複数の素子50は、生体音を電気信号に変換する。各素子50は、検出部30および媒質40を介して伝わる生体音を電気信号に変換する。図2に示す白抜き矢印は、生体音(音響信号)を示している。各素子50は、媒質40によって覆われている。各素子50は、電気信号を独立して出力する。素子50の詳細については、後述する。
信号処理部12は、複数の素子50の出力信号(電気信号)について所定の処理を実行する。信号処理部12は、生体音を分離するための処理として差分処理を実行する。信号処理部12は、2つの素子50の出力信号を用いて差分処理を実行する。信号処理部12は、出力信号の少なくともひとつについて増幅などの補正処理を実行し、補正した出力信号を用いて差分処理を実行してもよい。
<素子>
次に、図2に基づき、素子50について説明する。
次に、図2に基づき、素子50について説明する。
図2に示すように、素子50は、素子本体51と、表面膜52を有している。素子本体51には、生体音を電気信号に変換する要素(変換器)が形成されている。素子本体51は、筐体20に固定されている。一例として、本実施形態の素子本体51は、ケース21の底壁211に固定されている。
変換器の変換様式は、特に限定されない。たとえば抵抗変化型でもよいし、静電容量変化型でもよい。起電力を生じる圧電型でもよい。素子本体51は、たとえばMEMS技術を用いて形成されている。MEMSとは、Micro Electro Mechanical Systemsの略称である。MEMS技術を用いることで、素子50、ひいては生体音検出装置10の体格を小型化することができる。
表面膜52は、素子本体51の一面上に設けられている。表面膜52は、素子50において、検出部30と対向する対向面をなしている。表面膜52は、素子本体51を保護する機能も果たす。表面膜52は、媒質40よりも音響インピーダンスが大きい材料を用いて成膜されている。表面膜52は、媒質40との界面において全反射角度を有する。生体音(音響信号)は、入射角が所定角度よりも大きい角度において全反射し、素子50(素子本体51)に伝わらない。所定角度は、臨界角と称されることがある。
本実施形態の生体音検出装置10は、2つの素子50を備えている。素子50のひとつである素子50Aは、素子本体51Aと、表面膜52Aを有している。素子50の他のひとつである素子50Bは、素子本体51Bと、表面膜52Bを有している。複数の素子50は、素子50A(第1素子)と、素子50B(第2素子)を含んでいる。
2つの素子50A、50Bは、所定の方向からの音響信号(生体音)に対して、後述する法線NA、NBに対する入射角θが互いに略等しくなるように設けられている。つまり、法線NA、NBが略平行となるように、設けられている。2つの素子50A、50Bは、X方向に並んで配置されている。X方向に直交するY方向において、2つの素子50A、50Bは、検出部30に対向している。Y方向からの平面視において、2つの素子50A、50Bは、検出部30に内包されるように配置されている。Y方向において、素子50A、50Bは、検出部30と並んでいる。素子本体51A、51Bは、たとえば互いに共通の構造を有している。図2に示すZ方向は、X方向およびY方向の両方向に直交する方向である。
<表面膜>
次に、図3~図5に基づき、表面膜52について説明する。
次に、図3~図5に基づき、表面膜52について説明する。
本実施形態では、表面膜52A、52Bの音響インピーダンスが互いに異なっている。音響インピーダンスは、材料固有の値である。一例として、表面膜52Aの材料をナイロンとし、表面膜52Bの材料をポリエチレンとしている。表面膜52A、52Bは、その材料が異なる点を除けば、互いに共通の構造を有している。
表面膜52A、52Bは、たとえばY方向の平面視において略矩形状、たとえば略正方形をなしている。表面膜52A、52Bは、たとえば膜厚がほぼ均一の平坦な膜である。表面膜52A、52Bそれぞれの厚み方向は、Y方向に略平行である。表面膜52A、52Bは、略直方体状をなしている。表面膜52A、52Bは、平面により構成されている。
図3は、複数の素子50に共通の法線と、各素子50の法線との関係を示している。図3に示すように、複数の素子50に共通の法線NLは、複数の素子50の並び方向であるX方向に直交する。法線NLは、素子50と検出部30との並び方向(対向方向)であるY方向に略平行である。素子50Aの法線NAは、素子50Aにおける検出部30との対向面に直交する。本実施形態の法線NAは、Y方向に略平行である。素子50Bの法線NBは、素子50Bにおける検出部30との対向面に直交する。本実施形態の法線NBは、Y方向に略平行である。つまり本実施形態では、法線NA、NBが、法線NLと平行である。
図4は、表面膜52A、つまり素子50Aと、媒質40との界面において、生体音である音響信号の入射角θ(deg)とエネルギー伝搬損失(dB)との関係を示している。図4は、素子50Aのエネルギー減衰特性を示している。素子50Aにおいて、入射角θは、法線NAに対する入射角である。
媒質40を構成する水の音響インピーダンスは、上記したとおりである。表面膜52Aを構成するナイロンの音響インピーダンスは、2.91×106kg/(s・m2)である。上記した全反射角度は、エネルギー伝搬損失が所定の閾値を上回る入射角θである。入射角θが0~90degにおいて、全反射角度はたとえば36deg程度~90degである。本実施形態では、法線NAが法線NLと平行である。このため、法線NLを基準とする全反射角度も、法線NA同様、36~90degとなる。
図5は、表面膜52B、つまり素子50Bと媒質40との界面において、入射角θ(deg)とエネルギー伝搬損失(dB)との関係を示している。つまり、図5は、素子50Bのエネルギー減衰特性を示している。素子50Bにおいて、入射角θは、法線NBに対する入射角である。
媒質40を構成する水の音響インピーダンスは、上記したとおりである。表面膜52Bを構成するポリエチレンの音響インピーダンスは、1.75×106kg/(s・m2)である。入射角θが0~90degにおいて、全反射角度はたとえば52deg程度~90degである。本実施形態では、法線NBが法線NLと平行である。このため、法線NLを基準とする全反射角度も、法線NB同様、52~90degとなる。よって、法線NLを基準とする全反射角度が、表面膜52Aと表面膜52Bとで互いに異なる。
<指向性>
次に、図6および図7に基づき、生体音検出装置10の指向性について説明する。
次に、図6および図7に基づき、生体音検出装置10の指向性について説明する。
素子50が表面膜52Aのみを有する場合、図4に示したように、入射角θが0~35degの指向性を有することとなる。また、素子50が表面膜52Bのみを有する場合、図5に示したように、入射角θが0~51degの指向性を有することとなる。このように単一の膜を用いた場合、指向性を狭くすることが困難である。つまり、複数の生体音から特定の生体音を分離し、検出することが困難である。
これに対して、本実施形態の生体音検出センサ11は、表面膜52Aを有する素子50Aと、表面膜52Aとは音響インピーダンスが異なる表面膜52Bを有する素子50Bを備えている。法線NLを基準とする音響信号(生体音)の全反射角度が互いに異なる点を利用して、指向性を絞る(狭くする)ことができる。
図6は、図4に示した素子50Aの減衰特性と、図5に示した素子50Bの減衰特性との差分領域を示している。差分領域では、素子50A、50Bのエネルギー減衰に差が生じる。この差分領域を用いることで、狭い指向性、具体的には入射角θが36~51degの指向性を実現することができる。なお、入射角θが0~35deg、52~90degにおいては、素子50A、50Bのエネルギー減衰に差が生じない。
上記したように、信号処理部12は、生体音を分離するための処理として差分処理を実行する。具体的には、全反射角度の大きい素子50Bの出力信号から、素子50Aの出力信号を差し引く。図4、図5に示したようにエネルギー伝搬損失のスケールが異なる場合、増幅処理など、必要に応じて補正した出力信号を用いてもよい。差分処理により得られる差分信号は、入射角θが36~51degの方向からの生体音を含む。入射角θが0~35deg、52~90degの方向からの生体音は、差分処理によってキャンセルされる。
つまり、複数の素子50を備える生体音検出装置10は、図7に示すように、入射角θが36~51degの指向性をもつ。また、法線NLを軸とする軸周りの方向、つまりφ方向において、0~360degの指向性をもつ。図7は、生体音検出装置10の指向性を示す図である。図7では、指向性を分かりやすくするために、φ方向を立体的に示している。検出部30は、生体音を検出し、媒質40を介して素子50に伝えるように、素子50との位置関係において上記指向性を考慮した大きさを有している。
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態の生体音検出装置10によれば、空気よりも水に近い音響インピーダンスを有する媒質40が収容空間に配置されている。生体音は、検出部30から媒質40を介して素子50に伝わる。これにより、検出部30から素子50までの伝搬経路において、界面での反射ロスを低減することができる。なお、乗員110(生体)、乗員110の服、およびシート100の表皮部材は、水に近い音響インピーダンスを有している。このため、生体から素子50までの伝搬経路において反射ロスを低減することができる。以上により、素子50が検出する生体音(音響信号)の強度の低下を抑制しつつ、走行ノイズなど移動体のノイズ環境下においても、生体音を検出することができる。
本実施形態の生体音検出装置10によれば、空気よりも水に近い音響インピーダンスを有する媒質40が収容空間に配置されている。生体音は、検出部30から媒質40を介して素子50に伝わる。これにより、検出部30から素子50までの伝搬経路において、界面での反射ロスを低減することができる。なお、乗員110(生体)、乗員110の服、およびシート100の表皮部材は、水に近い音響インピーダンスを有している。このため、生体から素子50までの伝搬経路において反射ロスを低減することができる。以上により、素子50が検出する生体音(音響信号)の強度の低下を抑制しつつ、走行ノイズなど移動体のノイズ環境下においても、生体音を検出することができる。
本実施形態では、生体音検出装置10が備える2つの素子50(50A、50B)が、表面膜52をそれぞれ有している。表面膜52は、媒質40よりも音響インピーダンスが大きく、音響信号(生体音)に対して全反射角度を有する。そして、2つの素子50A、50Bにおいて、法線NLを基準とする音響信号の全反射角度が互いに異なっている。これにより、全反射角度が互いに等しい構成に較べて、生体音検出装置10の指向性を狭めることができる。よって、生体音を分離して検出することができる。
本実施形態の生体音検出装置10(生体音検出センサ11)は、上記した指向性を考慮して、乗員110(生体)に対して所定の位置および向きで配置される。これにより、乗員110との位置関係において、所望の生体音を選択的に検出することができる。たとえば、心音を選択的に検出することができる。
本実施形態では、表面膜52A、52Bの音響インピーダンスを異ならせることで、2つの素子50A、50Bにおいて法線NLを基準とする音響信号の全反射角度を互いに異ならせている。表面膜52の構成材料(物質)を調整すればよいため、簡素な構造で、生体音を分離して検出することが可能となる。
生体音検出装置10は、生体音検出センサ11と信号処理部12を備えてもよいし、生体音検出センサ11のみを備えてもよい。本実施形態のように信号処理部12を備えると、生体音検出装置10内で素子50A、50Bの出力信号の差分処理を実行することができる。
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、生体音検出装置10が2つの素子50(50A、50B)を備えていた。これに代えて、3つ以上の素子50を備えてもよい。
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、生体音検出装置10が2つの素子50(50A、50B)を備えていた。これに代えて、3つ以上の素子50を備えてもよい。
図8は、本実施形態に係る生体音検出装置10において、素子周辺を示す部分断面図である。図8は、図3に対応している。
図8に示すように、生体音検出装置10は、3つの素子50A、50B、50Cを備えている。素子50A、50Bは、先行実施形態と同様の構成を有している。素子50Cの表面膜52Cは、表面膜52A、52Bとは音響インピーダンスが異なっている。表面膜52Cは、表面膜52A、52Bとは異なる材料を用いて形成されている。つまり、表面膜52Cの全反射角度は、表面膜52A、52Bとは異なる。一例として、表面膜52Cの全反射角度は、表面膜52A、52Bよりも大きい。
図9は、素子50A、50B、50Cの減衰特性の差分領域を示している。3つの素子50A、50B、50Cの減衰特性が互いに異なるため、全反射角度の大小関係により、2つの差分領域ができる。第1差分領域は、先行実施形態に示した差分領域に相当する。つまり、素子50Aと素子50Bの差分領域である。第2差分領域は、素子50Bと素子50Cの差分領域である。
信号処理部12は、素子50Bの出力信号から素子50Aの出力信号を差し引く差分処理と、素子50Cの出力信号から素子50Bの出力信号を差し引く差分処理を実行する。
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、空間分解能が向上する。つまり、マルチチャネルとなる。これにより、複数の生体音を独立して検出することが可能となる。図8では、3つの素子を備える例を示したが、4つ以上の素子を備える構成としてもよい。これにより、空間分解能を高めることができる。
本実施形態によれば、空間分解能が向上する。つまり、マルチチャネルとなる。これにより、複数の生体音を独立して検出することが可能となる。図8では、3つの素子を備える例を示したが、4つ以上の素子を備える構成としてもよい。これにより、空間分解能を高めることができる。
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、表面膜52A、52Bが平面により構成されていた。これに代えて、表面膜52A、52Bの表面の一部を曲面もしくは近似曲面としてもよい。
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、表面膜52A、52Bが平面により構成されていた。これに代えて、表面膜52A、52Bの表面の一部を曲面もしくは近似曲面としてもよい。
図10は、本実施形態に係る生体音検出装置10において、表面膜52A、52Bを示す斜視図である。図11は、表面膜52A、52Bを示す平面図である。図11は、図10に示すFront view方向とSide view方向のそれぞれから見た平面図である。
本実施形態の生体音検出装置10は、先行実施形態(図3)に記載の構成同様、2つの素子50A、50Bを備えている。2つの素子50A、50Bにおいて、表面膜52A、52Bの形状が先行実施形態とは異なる。この点を除けば、生体音検出装置10は、先行実施形態に記載の生体音検出装置10と同様の構成を有している。
<表面膜>
図10および図11に示すように、表面膜52A、52Bは、共通の構造を有している。表面膜52A、52Bは、表面の一部に曲面を有している。表面膜52A、52Bの表面(外面)は、曲面と平面とにより構成されている。表面膜52A、52Bは、X方向の平面視において略半円形をなしている。表面膜52A、52Bは、一定径でX方向に延びている。表面膜52A、52Bは、略半円の柱状をなしている。
図10および図11に示すように、表面膜52A、52Bは、共通の構造を有している。表面膜52A、52Bは、表面の一部に曲面を有している。表面膜52A、52Bの表面(外面)は、曲面と平面とにより構成されている。表面膜52A、52Bは、X方向の平面視において略半円形をなしている。表面膜52A、52Bは、一定径でX方向に延びている。表面膜52A、52Bは、略半円の柱状をなしている。
表面膜52A、52Bは、端面521、522と、外周面523を有している。端面521、522は平面であり、外周面523は曲面である。表面膜52A、52Bは、検出部30側、つまりY方向から見て同じ向きに配置されている。
<指向性>
次に、図11および図12に基づき、生体音検出装置10の指向性について説明する。図12は、本実施形態の生体音検出装置10の指向性を示している。表面膜52A、52Bは、図10のXII-XII線に沿う断面形状を示している。図12では、指向性を分かりやすくするために、ψ方向を立体的に示している。
次に、図11および図12に基づき、生体音検出装置10の指向性について説明する。図12は、本実施形態の生体音検出装置10の指向性を示している。表面膜52A、52Bは、図10のXII-XII線に沿う断面形状を示している。図12では、指向性を分かりやすくするために、ψ方向を立体的に示している。
図11の上段に示すように、表面膜52A、52Bは、Front view方向、つまりX方向から見ると略半円形である。このため、生体音がどのような方向から入射しようとも、対向面内に入射角θ=0degとなる部分が存在する。よって、全θに対して、素子50A、50Bにエネルギー伝搬損失の差、つまり減衰差は生じない。これにより、φ方向の指向性を絞ることができる。
図11の下段に示すように、表面膜52A、52Bは、Side view方向、つまりZ方向から見ると矩形状をなしている。このため、先行実施形態同様、θ=36~51degにおいて、素子50A、50Bにエネルギー伝搬損失の差、つまり減衰差が生じる。
以上より、生体音検出装置10は、図12に示すようにφ=0deg、θ=36~51deg、および、φ=180deg、θ=36~51degに指向性を有する。
ただし、曲面を採用することで、指向性の回転軸が新たに生じる。具体的には、図12に破線で示す基準線SLが新たな回転軸である。基準線SLは、法線NLに直交する。基準線SLは、半円形状の端面521、522に直交する。基準線SLは、半円に対応する円の中心を通る。図12に示すように、生体音検出装置10は、基準線SLを軸とする軸周りの方向、つまりψ方向において、0~180degの指向性をもつ。ψ方向は、半円の周方向である。
<第3実施形態のまとめ>
本実施形態の生体音検出装置10によれば、2つの素子50A、50Bの表面膜52A、52Bについて、先行実施形態同様に音響インピーダンスを互いに異ならせるとともに、表面の一部を曲面としている。このように、曲面を設けることで素子50A、50Bの減衰差が生じないようにし、指向性を絞ることができる。特に、検出部30との対向面の一部を曲面とするため、検出部30との対向方向において指向性を絞ることができる。つまり、実質的に、より狭い指向性を実現できる。
本実施形態の生体音検出装置10によれば、2つの素子50A、50Bの表面膜52A、52Bについて、先行実施形態同様に音響インピーダンスを互いに異ならせるとともに、表面の一部を曲面としている。このように、曲面を設けることで素子50A、50Bの減衰差が生じないようにし、指向性を絞ることができる。特に、検出部30との対向面の一部を曲面とするため、検出部30との対向方向において指向性を絞ることができる。つまり、実質的に、より狭い指向性を実現できる。
<変形例>
曲面を有する表面膜52A、52Bの形状は、上記した例に限定されない。たとえば図13に示す例では、図10に示した構造において端面521側の端部を曲面にしている。図13は、変形例を示す斜視図であり、図10に対応している。図13に示すように、表面膜52A、52Bは、端面521の代わりに、端面521Aを有している。端面522および外周面523は、図10に示した構成と同様である。端面521Aは、曲面である。端面521Aは、球面の略1/4に相当する形状をなしている。
曲面を有する表面膜52A、52Bの形状は、上記した例に限定されない。たとえば図13に示す例では、図10に示した構造において端面521側の端部を曲面にしている。図13は、変形例を示す斜視図であり、図10に対応している。図13に示すように、表面膜52A、52Bは、端面521の代わりに、端面521Aを有している。端面522および外周面523は、図10に示した構成と同様である。端面521Aは、曲面である。端面521Aは、球面の略1/4に相当する形状をなしている。
図14は、図11に対応している。図14は、図13に示すFront view方向とSide view方向それぞれから見た平面図である。図14の上段に示すように、Front view方向、つまりX方向から見た形状は、図10と同様である。図14の下段に示すように、Side view方向、つまりZ方向から見た形状は、曲面を含む。これにより、端面521A側、つまりφ=0deg、θ=36~51degにおいて、減衰差を生じないようにすることができる。
図15は、図13に示す表面膜52A、52Bを備えた生体音検出装置10の指向性を示している。表面膜52A、52Bは、図13のXV-XV線に沿う断面形状を示している。図15は、図12に対応しており、ψ方向を立体的に示している。図15に示すように、この変形例の構成によれば、φ=180deg、θ=36~51degに指向性を有する。ψ方向において、0~180degの指向性をもつ。このように、図10に示した構成に対して、指向性をさらに狭めることができる。
表面膜52が有する曲面形状および曲面の位置は、上記した例に限定されない。曲面を表面の一部として有することで、素子50A、50Bの減衰差を生じないようにし、これにより指向性を狭めることができる。また、曲面に代えて、曲面を多面で近似した近似曲面を採用しても、同様の効果を奏することができる。つまり、表面膜52A、52Bは、互いに相似形状であり、検出部30側から見て同じ向きで配置され、それぞれの表面の一部に曲面もしくは近似曲面を含めばよい。相似形状であれば、大きさが異なってもよい。
生体音検出装置10が備える素子50の数は2つに限定されない。3つ以上の素子50に上記した構成を適用してもよい。
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、各素子50の表面膜52を、単一の物質で構成していた。これに代えて、複数の素子50のうちの一部において、表面膜52を、音響インピーダンスが異なる2つ以上の物質で構成してもよい。
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、各素子50の表面膜52を、単一の物質で構成していた。これに代えて、複数の素子50のうちの一部において、表面膜52を、音響インピーダンスが異なる2つ以上の物質で構成してもよい。
図16は、本実施形態に係る生体音検出装置10において、表面膜52A、52Bを示す斜視図である。本実施形態の生体音検出装置10も、先行実施形態(図3)に記載の構成同様、2つの素子50A、50Bを備えている。2つの素子50A、50Bにおいて、表面膜52Aの材料構成が先行実施形態とは異なる。この点を除けば、生体音検出装置10は、先行実施形態に記載した生体音検出装置10と同様の構成を有している。
<表面膜>
図16に示すように、表面膜52A、52Bは、共通の形状を有している。表面膜52A、52Bは、図13に示した表面膜52A、52Bと同様の形状を有している。つまり、表面膜52A、52Bは、端面521Aと、端面522と、外周面523を有している。
図16に示すように、表面膜52A、52Bは、共通の形状を有している。表面膜52A、52Bは、図13に示した表面膜52A、52Bと同様の形状を有している。つまり、表面膜52A、52Bは、端面521Aと、端面522と、外周面523を有している。
表面膜52Aは、2つの物質524、525により構成されている。表面膜52Bは、物質525により構成されている。物質524、525は、音響インピーダンスが互いに異なる。本実施形態では、物質524がナイロン、物質525がポリエチレンである。つまり、本実施形態の表面膜52Aは、先行実施形態に示した表面膜52Aの材料と表面膜52Bの材料を用いて構成されている。表面膜52Bは、先行実施形態同様、単一物質により構成されている。
表面膜52Aにおいて、物質525は主たる部分をなし、物質524は一部分に設けられている。物質524は、一定径の柱状部分に設けられ、外周面523の一部をなしている。物質524は、表面膜52Aの延設方向(X方向)において、一定径の柱状部分の一端から他端にわたって設けられている。物質524は、外周面523において、検出部30側の頂点を含む位置に設けられている。物質524は、Z方向において、表面膜52Aの幅に対し、十分に狭い幅を有している。
<指向性>
次に、図17に基づき、生体音検出装置10の指向性について説明する。図17は、本実施形態の生体音検出装置10の指向性を示している。表面膜52A、52Bは、図16のXVII-XVII線に沿う断面形状を示している。
次に、図17に基づき、生体音検出装置10の指向性について説明する。図17は、本実施形態の生体音検出装置10の指向性を示している。表面膜52A、52Bは、図16のXVII-XVII線に沿う断面形状を示している。
表面膜52A、52Bは、上記したように共通の形状を有しており、その大部分において同じ物質525により構成されている。物質525により構成された部分では、素子50A、50Bの減衰差が生じない。
一方、表面膜52Aにおいて物質524により構成された部分と、当該部分に対応する表面膜52Bの部分とにおいて、音響インピーダンスの相違により減衰差が生じる。ただし、物質524の配置を表面膜52Aの一部に制限しているため、図13に示した例に較べて、指向性を狭めることができる。具体的には、ψ方向の指向性を狭めることができる。これにより、生体音検出装置10は、ψ=90deg、φ=180deg、θ=36~51degに指向性を有する。
<第4実施形態のまとめ>
本実施形態の生体音検出装置10によれば、2つの素子50A、50Bのうち、素子50Aの表面膜52Aを、音響インピーダンスの異なる2つの物質524、525で構成している。これによれば、2つの素子50A、50Bにおいて減衰差の生じるエリアを絞ることができる。これにより、単一の物質よりなる表面膜52A、52Bの音響インピーダンスが異なる構成に較べて、指向性を狭めることができる。
本実施形態の生体音検出装置10によれば、2つの素子50A、50Bのうち、素子50Aの表面膜52Aを、音響インピーダンスの異なる2つの物質524、525で構成している。これによれば、2つの素子50A、50Bにおいて減衰差の生じるエリアを絞ることができる。これにより、単一の物質よりなる表面膜52A、52Bの音響インピーダンスが異なる構成に較べて、指向性を狭めることができる。
<変形例>
表面膜52Aにおいて、2つの物質524、525の配置は、上記した例に限定されない。
表面膜52Aにおいて、2つの物質524、525の配置は、上記した例に限定されない。
表面膜52Aが物質524、525により構成され、表面膜52Bが物質525により構成される例を示したが、これに限定されない。表面膜52Aが物質524により構成され、表面膜52Bが物質524、525により構成されてもよい。
表面膜52A、52Bの形状は、上記した例に限定されない。図10に示した構成に適用してもよい。たとえば図18に示すように、平面のみによって構成される表面膜52A、52Bに、上記した構成を適用してもよい。図18は、素子50A、50Bを検出部30側、つまりY方向から見た平面図である。表面膜52A、52Bは、Y方向の平面視において略正方形をなす直方体である。図16に示した構成同様、表面膜52Aは2つの物質524、525により構成され、表面膜52Bは物質525により構成されている。物質524は、表面膜52Aにおいて対向面の一部をなしている。物質524は、X方向において、表面膜52Aの一端から途中まで設けられている。物質524は、Z方向において、表面膜52Aの幅に対し、十分に狭い幅を有している。
図19は、図18に示す表面膜52A、52Bを備えた生体音検出装置10の指向性を示している。表面膜52A、52Bは、図18のXIX-XIX線に沿う断面形状を示している。図19に示すように、この変形例の構成によれば、φ=0deg、θ=36~51degと、φ=180deg、θ=36~51degとに指向性を有する。このように、物質524の配置を表面膜52Aの一部に制限することで、図3に示した例に較べて、指向性を狭めることができる。具体的には、φ方向の指向性を狭めることができる。
生体音検出装置10が備える素子50の数は2つに限定されない。3つ以上の素子50を備える構成に適用してもよい。たとえば、図8に示したように3つの素子50を備える構成において、素子50のひとつの表面膜52を3つの物質で構成し、残りの素子50の表面膜52を単一物質で構成してもよい。
つまり、複数の素子50のうちの一部において、表面膜52が音響インピーダンスの異なる2つ以上の物質で構成されていればよい。
(第5実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、音響インピーダンスが異なる物質を用いることで、狭い指向性を実現した。これに代えて、表面膜52の配置により、狭い指向性を実現してもよい。
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、音響インピーダンスが異なる物質を用いることで、狭い指向性を実現した。これに代えて、表面膜52の配置により、狭い指向性を実現してもよい。
図20は、本実施形態に係る生体音検出装置10において、素子50の周辺を示す部分断面図である。図20は、図3に対応している。本実施形態の生体音検出装置10も、先行実施形態(図3)に記載の構成同様、2つの素子50A、50Bを備えている。素子50A、50Bの表面膜52A、52Bは、共通の材料(物質)を用いて形成されている。つまり、表面膜52A、52Bの音響インピーダンスは互いに等しい。表面膜52A、52Bは、全反射角度を有している。表面膜52A、52Bは、第1実施形態同様、膜厚がほぼ均一の平坦な膜である。
また、表面膜52がなす対向面と法線NLとのなす角度が、素子50A、50Bで異なっている。素子50Aにおいて、表面膜52Aの表面と法線NLとのなす角はA1である。一方、素子50Bにおいて、表面膜52Bの表面と法線NLとのなす角はA2である。角度A1、A2は互いに異なる角度である。たとえば角度A2は、角度A1よりも大きい。一例として、本実施形態では、素子本体51A、51Bの上面が傾斜面とされ、上面に積層された表面膜52A、52Bの表面もZX平面に対して傾斜している。傾斜方向が異なることで、角度A1、A2が異なっている。
<第5実施形態のまとめ>
上記したように、表面膜52A、52Bによる対向面と法線NLとのなす角度A1、A2が互いに異なるため、所定方向から入射する生体音(音響信号)の入射角が素子50A、50Bで互いに異なる。具体的には、素子50Aにおいて、法線NAに対する入射角はθaとなる。一方、素子50Bにおいて、法線NBに対する入射角はθbとなる。入射角θbは、入射角θaとは異なる。このように、同じ方向からの生体音、つまり共通の生体音に対して、2つの素子50A、50Bの入射角θa、θbが異なる。
上記したように、表面膜52A、52Bによる対向面と法線NLとのなす角度A1、A2が互いに異なるため、所定方向から入射する生体音(音響信号)の入射角が素子50A、50Bで互いに異なる。具体的には、素子50Aにおいて、法線NAに対する入射角はθaとなる。一方、素子50Bにおいて、法線NBに対する入射角はθbとなる。入射角θbは、入射角θaとは異なる。このように、同じ方向からの生体音、つまり共通の生体音に対して、2つの素子50A、50Bの入射角θa、θbが異なる。
したがって、素子50A、50Bの出力信号は、法線NLとのなす角度A1、A2の違いに応じた差が生じる。素子50A、50Bの出力信号に差が生じるため、狭い指向性を実現することができる。
本実施形態では、表面膜52A、52Bによる対向面と法線NLとのなす角度A1、A2を異ならせることで、2つの素子50A、50Bにおいて法線NLを基準とする音響信号(生体音)の全反射角度を互いに異ならせている。対向面と法線NLとのなす角度を調整すればよいため、簡素な構造で、生体音を分離して検出することが可能となる。
角度A1、A2の調整は、素子本体51の傾斜構造に限定されない。たとえば、素子50を支持する筐体20の支持形状によって、角度A1、A2が異なるように調整してもよい。
生体音検出装置10が備える素子50の数は2つに限定されない。3つ以上の素子50に上記した構成を適用してもよい。
本実施形態では、表面膜52A、52Bの材料を共通とする例を示したが、これに限定されない。表面膜52A、52Bの材料を異ならせてもよい。つまり。音響インピーダンスが異なる表面膜52A、52Bを採用しつつ、法線NLとのなす角度が互いに異なるようにしてもよい。材料の相違と角度の相違との組み合わせにより、より狭い指向性を実現してもよい。
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
空間的に相対的な用語「内」、「外」、「裏」、「下」、「低」、「上」、「高」などは、図示されているような、ひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係を説明する記載を容易にするためにここでは利用されている。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用または操作中の装置の異なる向きを包含することを意図することができる。例えば、図中の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の「下」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、用語「下」は、上と下の両方の向きを包含することができる。この装置は、他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、この明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
生体音検出装置10の適用は、移動体の乗員110の生体音検出に限定されるものではない。たとえば、電子聴診器などに用いてもよい。
複数の素子50が、共通の収容空間に収容される例を示したがこれに限定されない。たとえば図21に示すように、素子50ごとに収容空間を分けてもよい。つまり、ひとつの収容空間にひとつの素子50が配置された生体音検出センサ11を複数備えてもよい。図21では、生体音検出装置10が、素子50Aを含む生体音検出センサ11Aと、素子50Bを含む生体音検出センサ11Bを備えている。
複数の素子50において、素子本体51を独立して設ける例を示したが、これに限定されない。たとえば図22に示すように、素子50A、50Bの素子本体51A、51Bを一体的に設けてもよい。素子本体51A、51Bを一体化しても、各素子50は、電気信号を独立して出力するように構成される。
図23に示すように、信号処理部12を、生体音検出センサ11の収容空間に配置してもよい。
10…生体音検出装置、11、11A、11B…生体音検出センサ、12…信号処理部、20…筐体、21…ケース、211…底壁、22…カバー、30…検出部、40…媒質、50、50A、50B、50C…素子、51、51A,51B、51C…素子本体、52、52A、52B、52C…表面膜、521、521A、522…端面、523…外周面、524、525…物質、100…シート、101…着座部、102…背もたれ部、103…シートベルト、110…乗員
Claims (6)
- 筐体(20)と、
前記筐体とともに収容空間を提供し、生体音である音響信号を検出する検出部(30)と、
前記収容空間に配置され、空気よりも水に近い音響インピーダンスを有する媒質(40)と、
前記収容空間に配置され、前記検出部および前記媒質を介して伝わる前記音響信号を電気信号に変換する複数の素子(50、50A、50B、50C)と、を備え、
複数の前記素子は、前記媒質よりも音響インピーダンスが大きく、前記検出部との対向面をなす表面膜(52、52A、52B、52C)をそれぞれ有し、
複数の前記素子は、複数の前記素子の並び方向に直交する法線を基準とした前記音響信号の全反射角度が互いに異なる、生体音検出装置。 - 複数の前記素子において、前記表面膜の音響インピーダンスが互いに異なる、請求項1に記載の生体音検出装置。
- 複数の前記素子のうちの一部において、前記表面膜が、音響インピーダンスが異なる2つ以上の物質で構成されている、請求項1に記載の生体音検出装置。
- 複数の前記素子において、
前記表面膜は、互いに相似形状であり、同じ向きで配置され、
前記表面膜それぞれの表面の一部は、曲面もしくは近似曲面である、請求項2または請求項3に記載の生体音検出装置。 - 複数の前記素子において、前記対向面と前記法線とのなす角度が互いに異なる、請求項1に記載の生体音検出装置。
- 複数の前記素子の出力信号の差分をとる信号処理部(12)を備える、請求項1~5いずれか1項に記載の生体音検出装置。
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- 2021-08-23 JP JP2021135815A patent/JP2023030594A/ja active Pending
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