JP2023030539A - 検査装置及び検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】検査画像と参照画像との位置ずれに起因する擬似欠陥の検出を低減できる。【解決手段】実施形態によれば、検査装置1は、撮像機構10と、第1輪郭線を抽出する画像取得回路214と、展開回路211と、パターンのエッジをクラス分類するクラス分類回路212と、クラス毎に参照パラメータ222を推定する参照パラメータ推定回路216と、参照パラメータに基づいてリサイズ処理及びコーナー丸め処理を実行し、リサイズ処理及びコーナー丸め処理後のパターンから第2輪郭線を抽出する参照画像生成回路213と、第1輪郭線と第2輪郭線との位置ずれ量を画素毎に算出し、クラス毎に位置ずれ量の誤差量を算出する比較回路と、クラス毎の誤差量を用いて位置ずれ量を補正する補正回路217とを含む。【選択図】図1
Description
本発明は、試料上に形成されたパターンの欠陥検査をするための検査装置及び検査方法に関する。
半導体デバイスの製造工程では、露光装置(「ステッパ―」または「スキャナー」とも呼ばれる)を用いた縮小露光により、回路パターンが半導体基板上に転写される。露光装置では、回路パターンを半導体基板(以下、「ウェハ」とも表記する)上に転写するために、原画パターン(以下、単に「パターン」とも表記する)が形成されたマスク(「レチクル」とも呼ばれる)が用いられる。
例えば、最先端のデバイスでは、数nmの線幅の回路パターンの形成が要求される。回路パターンの微細化に伴い、マスクにおける原画パターンも微細化している。また、回路パターンの微細化にともない、OPC(Optical Proximity Correction)あるいはSRAF(Sub Resolution Assist Feature)等の超解像技術が導入され、原画パターンが複雑化している。このため、マスクの検査装置には、微細で複雑な原画パターンに対応した高い欠陥検出性能が求められる。
欠陥検査方式には、マスクを撮像した画像に基づく検査画像と、設計データに基づく参照画像とを比較するD-DB(Die to Database)方式と、マスク上に形成された同一パターンからなる複数の領域の画像を比較するD-D(Die to Die)方式とがある。
マスク上に形成されているパターンは、パターン形成(描画)プロセスに起因して、設計データに対して寸法がシフトしている場合がある。D-DB方式の場合、寸法シフトが発生すると、検査画像のパターンのエッジ位置が、参照画像のエッジ位置と一致しなくなる。参照画像と検査画像との間に位置ずれが生じると、位置ずれ箇所が擬似欠陥として検出される場合がある。
例えば、特許文献1には、検査画像のパターンの輪郭と参照画像の輪郭との位置ずれ量に基づいて、欠陥を検出する技術が開示されている。
寸法シフトに対応するため、参照画像を作成する際、パターンのエッジ位置を移動させるリサイズ処理及びパターンのコーナー部分を丸めるコーナー丸め処理等の補正が施される。
検査画像と参照画像との位置ずれ量は、パターンのエッジ位置(例えば、コーナー部分と直線部分等)により異なる。すなわち、検査画像と参照画像との一致度は、パターンのエッジ位置により異なる。このため、パターン全体を同じ基準(閾値)で検査することは難しい。
本発明はこうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、検査装置において、パターンのエッジ形状によるクラス分類を行い、クラス分類に基づいて、検査画像と参照画像との位置ずれ量を補正し、パターン全体を同じ基準で検査できる。これにより、位置ずれに起因する擬似欠陥の検出を低減できる検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、検査装置は、試料の撮像機構と、撮像機構が撮像した試料の画像データから第1輪郭線を抽出する画像取得回路と、設計データから展開画像を生成する展開回路と、展開画像内のパターンのエッジをクラス分類するクラス分類回路と、分類されたクラス毎に、リサイズ量及びコーナー丸め量を含む参照パラメータを推定する参照パラメータ推定回路と、参照パラメータに基づいてパターンのリサイズ処理及びコーナー丸め処理を実行し、リサイズ処理及びコーナー丸め処理後のパターンから第2輪郭線を抽出する参照画像生成回路と、第1輪郭線と第2輪郭線とを比較して第1輪郭線と第2輪郭線との位置ずれ量を画素毎に算出し、クラス毎に位置ずれ量の誤差量を算出する比較回路と、画素毎に対応するクラスの誤差量を用いて位置ずれ量を補正する補正回路とを含む。
本発明の第2の態様によれば、検査方法は、試料を撮像した画像データから第1輪郭線を抽出する工程と、設計データから展開画像を生成する工程と、展開画像からパターンのエッジをクラス分類する工程と、分類されたクラス毎に、リサイズ量及びコーナー丸め量を含む参照パラメータを推定する工程と、参照パラメータに基づいてパターンのリサイズ処理及びコーナー丸め処理を実行する工程と、リサイズ処理及びコーナー丸め処理後のパターンから第2輪郭線を抽出する工程と、第1輪郭線と第2輪郭線とを比較して第1輪郭線と第2輪郭線との位置ずれ量を画素毎に算出する工程と、クラス毎に位置ずれ量の誤差量を算出する工程と、画素毎に対応するクラス毎の誤差量を用いて位置ずれ量を補正する工程とを含む。
本発明の検査装置及び検査方法によれば、検査画像と参照画像とを比較する際に、パターンをクラス分類して位置ずれ量を補正することができる。これにより、位置ずれに起因する擬似欠陥の検出を低減できる。
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。実施形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示している。図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法及び比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。本発明の技術的思想は、構成要素の形状、構造、配置等によって特定されるものではない。
以下では、試料の検査装置として、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM(Scanning Electron Microscope)」と表記する)を用いて測定対象パターンの電子線画像(以下、「SEM画像」あるいは「実画像」とも表記する)を撮像する検査装置について説明する。なお、検査装置は、光学顕微鏡を用いてパターンの光学画像を撮像してもよいし、受光素子を用いて、試料を反射または透過した光の光学画像を撮像してもよい。また、本実施形態では、検査対象となる試料がマスクである場合について説明するが、試料は、ウェハ、または液晶表示装置などに使用される基板等、表面にパターンが設けられている試料であればよい。
1.検査装置の全体構成
まず、図1を用いて、検査装置の全体構成の一例について説明する。図1は、検査装置1の全体構成を示す図である。
まず、図1を用いて、検査装置の全体構成の一例について説明する。図1は、検査装置1の全体構成を示す図である。
図1に示すように、検査装置1は、撮像機構10と制御機構20とを含む。
撮像機構10は、試料室11及び鏡筒12を含む。鏡筒12は、試料室11の上に設置されている。例えば、鏡筒12は、試料室11に対し垂直に延伸する円筒形状を有している。試料室11及び鏡筒12は、互いに接する面が開口している。試料室11と鏡筒12とにより形成される空間は、ターボ分子ポンプ等を用いて真空(減圧)状態に保持される。
試料室11内には、ステージ13、ステージ駆動機構14、及び検出器15が設けられている。
ステージ13の上には、試料(マスク)300が載置される。ステージ13は、ステージ13の表面に平行なX方向、及びステージ13の表面に平行であり且つX方向と交差するY方向に移動可能である。また、ステージ13は、ステージ13の表面に垂直なZ方向に移動可能であってもよいし、Z方向を回転軸として、XY平面上で回転軸周りに回転可能であってもよい。
ステージ駆動機構14は、ステージ13を、X方向及びY方向に移動させるための駆動機構を有する。なお、ステージ駆動機構14は、例えば、ステージ13をZ方向に移動させる機構を有していてもよいし、Z方向を回転軸として、ステージ13をXY平面上で回転軸周りに回転させる機構を有していてもよい。
検出器15は、試料から放出された二次電子または反射電子等を検出する。検出器15は、検出した二次電子または反射電子等の信号、すなわちSEM画像のデータを、画像取得回路214に送信する。
鏡筒12内には、SEMの構成要素である電子銃16及び電子光学系17が設けられている。
電子銃16は、試料室11に向かって電子線を射出するように設置されている。
電子光学系17は、電子銃16から射出された電子線を、試料300の所定の位置に収束させて照射する。例えば、電子光学系17は、複数の集束レンズ101及び102と、複数の走査コイル103及び104と、対物レンズ105とを含む。電子銃16から射出された電子線は、加速された後に集束レンズ101及び102、並びに対物レンズ105によって、ステージ13上に載置された試料300の表面に電子スポットとして集束される。走査コイル103及び104は、試料300上における電子スポットの位置を制御する。
制御機構20は、制御回路21、記憶装置22、表示装置23、入力装置24、及び通信装置25を含む。
制御回路21は、検査装置1の全体を制御する。より具体的には、制御回路21は、撮像機構10を制御してSEM画像を取得する。また、制御回路21は、制御機構20を制御して、生成した参照画像と検査画像とを比較し、欠陥を検出する。すなわち、制御回路21は、欠陥検査を実行するためのプロセッサである。例えば、制御回路21は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。例えば、CPUは、非一時的な記憶媒体としてのROMあるいは記憶装置22に格納されたプログラムをRAMに展開する。そして、制御回路21は、RAMに展開されたプログラムをCPUにより解釈及び実行して、検査装置1を制御する。なお、制御回路21は、例えば、マイクロプロセッサなどのCPUデバイスであってもよいし、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であってもよい。また、制御回路21は、少なくとも一部の機能が、特定用途集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Alley)、または、グラフィック処理ユニット(GPU:Graphics Processing Unit)等の他の集積回路によって担われる専用回路(専用プロセッサ)を含んでいてもよい。
制御回路21は、展開回路211、クラス分類回路212、参照画像生成回路213、画像取得回路214、及び比較回路215を含む。なお、これらは、CPU、ASIC、FPGA、または、GPUなどの集積回路が実行するプログラムによって構成されてもよいし、それらの集積回路が備えるハードウェアまたはファームウェアによって構成されてもよいし、それらの集積回路によって制御される個別の回路によって構成されてもよい。以下では、制御回路21が、実行するプログラムによって、展開回路211、クラス分類回路212、参照画像生成回路213、画像取得回路214、及び比較回路215の機能を実現する場合について説明する。
展開回路211は、例えば、記憶装置22に保持されている設計データ221を図形毎のデータに展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード及び図形寸法などを解釈する。そして、展開回路211は、設計データ221を、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして、2値または多値(例えば8bit)の画像(以下、「CAD画」または「展開画像」とも表記する)に展開する。展開回路211は、展開画像の画素毎に図形が占める占有率を演算する。このようにして、演算された各画素内の図形占有率が画素値である。例えば、展開画像が8ビットの階調データで表される場合、各画素の画素値は、0~255の階調値で表される。画素値が0の場合、図形占有率は、0%であり、画素値が255の場合、図形占有率は、100%である。
クラス分類回路212は、展開画像の各パターンのエッジを、エッジの形状に基づいてクラス分類する。例えば、クラス分類回路212は、パターンのエッジを、直線部分、90度コーナー部分、及び270度コーナー部分の3つに分類する。なお、クラスの個数及び種類は任意に設定可能である。
参照画像生成回路213は、クラス分類された展開画像に基づいて、参照画像を生成する。より具体的には、参照画像生成回路213は、参照パラメータ222に基づいて、展開画像のリサイズ処理及びコーナー丸め処理を実行する。参照パラメータ222は、リサイズ量及びコーナー丸め量を含む。リサイズ量は、リサイズ処理に用いられる。コーナー丸め量は、コーナー丸め処理に用いられる。参照パラメータ222は、クラス毎に設定される。参照画像生成回路213は、リサイズ処理及びコーナー丸め処理後の展開画像から輪郭線(以下、「参照輪郭線」と表記する)を抽出して参照画像(輪郭画像)を生成する。輪郭線は、各画素の輪郭点を結ぶ線である。輪郭点の抽出については、後述する。参照画像生成回路213は、生成した参照画像を、比較回路215及び記憶装置22に送信する。
参照画像生成回路213は、参照パラメータ推定回路216を含む。参照パラメータ推定回路216は、各クラスの参照パラメータ222を推定する。より具体的には、試料300内には、参照パラメータ222の推定に用いられる複数の推定領域が設定されている。推定領域は、検査装置1の利用者(オペレータ)が設定してもよいし、設計データ221に基づいて、制御回路21が設定してもよい。参照パラメータ推定回路216は、推定領域内のパターンのエッジのクラス分類に基づいて、参照パラメータ222、すなわち、リサイズ量及びコーナー丸め量を推定する。そして、参照パラメータ推定回路216は、推定結果に基づいて、参照パラメータマップを生成する。なお、参照パラメータ推定回路216は、過去に、今回の検査対象の試料300と同一または類似の試料の検査を実行している場合、記憶装置22に記憶されている過去の検査の参照パラメータ222を用いてもよい。例えば、同一または類似の試料とは、今回の検査対象である試料300と、マスク名、マスクシリーズ、またはパターンの種類及び最小寸法のいずれかが同一の試料である。過去の参照パラメータ222を使用するか否かは、オペレータが判断してもよいし、参照パラメータ推定回路216が判断してもよい。
画像取得回路214は、撮像機構10の検出器15からSEM画像のデータを取得する。画像取得回路214は、SEM画像(実画像)から輪郭線(以下、「実画輪郭線」と表記する)を抽出して検査画像(輪郭画像)を生成する。
比較回路215は、適切なアルゴリズムを用いて、検査画像と参照画像とを比較する。より具体的には、比較回路215は、検査画像と参照画像とのアライメントを行う。比較回路215は、アライメント結果に基づいて、試料300面内における検査画像の歪み量を測定し、歪み係数を算出する。比較回路215は、アライメント結果と歪み量とに基づいて、各画素の位置ずれ量を算出する。位置ずれ量は、参照輪郭線と実画輪郭線との間の距離(相対ベクトルの大きさ)を示す。比較回路215は、補正回路217によって補正された位置ずれ量が予め設定された閾値を超えた場合には、試料300の対応する座標位置に欠陥があると判定する。例えば、比較回路は、各画素の補正された位置ずれ量の判定に、共通の閾値を用いる。
比較回路215は、参照パラメータ222の推定処理において、クラス毎に位置ずれ量の誤差量(以下、「クラスの誤差量」と表記する)を算出する。換言すれば、比較回路215は、クラス分類された領域(以下、「クラス領域」と表記する)毎に、エッジを含む各画素の参照輪郭線と実画輪郭線との間の距離(相対ベクトルの大きさ)の誤差を算出する。比較回路215は、クラスの誤差量として、例えば、クラス領域内のエッジを含む画素の位置ずれ量の平均平方二乗誤差(RMSE:Root Mean Square Error)を算出する。なお、各クラスの誤差量として、他の誤差の算出方法が用いられてもよい。
比較回路215は、補正回路217を含む。補正回路217は、画素毎に対応するクラスの誤差量を用いて位置ずれ量の補正を行う。より具体的には、補正回路217は、参照パラメータの推定処理において、クラスの誤差量(例えばRMSE)に基づいて、各クラスの補正係数を設定する。なお、補正係数は、全クラス共通であってもよい。そして、補正回路217は、位置ずれ量を補正するために、クラス毎に、クラスの誤差量と補正係数とを変数として有する補正関数を設定する。補正回路217は、検査画像と参照画像との比較工程において、画素が属するクラスの補正関数を用いて、各画素の位置ずれ量を補正する。例えば、補正後の位置ずれ量は、補正前の位置ずれ量よりも小さい。
記憶装置22は、欠陥検査に関するデータ及びプログラムを記憶する。例えば、記憶装置22は、設計データ221、参照パラメータ222、検査条件のパラメータ223、及び検査データ224等を記憶する。設計データ221は、試料300の設計データである。参照パラメータ222には、各クラスのリサイズ量及びコーナー丸め量が含まれる。検査条件のパラメータ223には、例えば、撮像機構10の撮像条件、クラス分類に関する情報、クラスの誤差量、補正係数、及び欠陥検出条件(アルゴリズム)が含まれる。検査データ224には、例えば、検査画像と参照画像との位置ずれ量に関する情報、画像データ(展開画像、参照画像、SEM画像、及び検査画像)、検出された欠陥に関するデータ(座標及びサイズ等)が含まれる。また、記憶装置22は、非一時的な記憶媒体として、欠陥検査プログラム225を記憶する。欠陥検査プログラム225は、制御回路21に欠陥検査を実行させるためのプログラムである。
なお、記憶装置22は、外部ストレージとして、磁気ディスク記憶装置(HDD:Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(SSD)等の各種記憶装置を含んでいてもよい。更に、記憶装置22は、例えば、非一時的な記憶媒体としてCD(Compact Disc)またはDVD(Digital Versatile Disc)等に記憶されたプログラムを読み込むためのドライブを含んでいてもよい。
表示装置23は、例えば、表示画面(例えば、LCD(Liquid Crystal Display)またはEL(Electroluminescence)ディスプレイ等)等を含む。表示装置23は、制御回路21の制御により、例えば、欠陥検出結果を表示する。
入力装置24は、キーボード、マウス、タッチパネル、またはボタンスイッチなどの入力装置である。
通信装置25は、外部装置との間でデータの送受信を行うために、ネットワークに接続するための装置である。通信には、各種の通信規格が用いられ得る。例えば、通信装置25は、外部装置から設計データを受信し、欠陥検査の結果等を外部装置に送信する。
2.欠陥検査工程の全体の流れ
次に、図2を用いて、欠陥検査工程の全体の流れの一例について説明する。図2は、欠陥検査工程のフローチャートである。
次に、図2を用いて、欠陥検査工程の全体の流れの一例について説明する。図2は、欠陥検査工程のフローチャートである。
図2に示すように、検査工程は、大まかに、検査画像取得工程(ステップS1)と、参照画像生成工程(ステップS2)と、比較工程(ステップS3)とを含む。
2.1 検査画像取得工程
まず、ステップS1の検査画像取得工程の一例について説明する。
まず、ステップS1の検査画像取得工程の一例について説明する。
画像取得回路214は、撮像機構10から、試料300のSEM画像を取得する(ステップS11)。
次に、画像取得回路214は、取得したSEM画像のノイズを除去するため、フィルタ処理を実行する(ステップS12)。
次に、画像取得回路214は、フィルタ処理後のSEM画像から各パターンの実画輪郭線を抽出する(ステップS13)。すなわち、画像取得回路214は、検査画像(輪郭画像)を生成する。
画像取得回路214は、生成した検査画像を比較回路215及び記憶装置22に送信する。
2.2 参照画像取得工程
次に、参照画像取得工程の一例について説明する。
次に、参照画像取得工程の一例について説明する。
まず、検査装置1は、通信装置25を介して、設計データ221を取得する(ステップS21)。取得された設計データ221は、例えば、記憶装置22に記憶される。
次に、展開回路211は、記憶装置22に記憶された設計データ221を読み出す。そして、展開回路211は、設計データ221を、例えば8bitの画像データ(展開画像)に展開(変換)する展開処理を実行する(ステップS22)。展開回路211は、展開画像をクラス分類回路212及び記憶装置22に送信する。
次に、クラス分類回路212は、展開画像のパターンのエッジのクラス分類を実行する(ステップS23)。
次に、参照画像生成回路213は、各クラスの参照パラメータ222に基づいて、リサイズ処理及びコーナー丸め処理を実行する(ステップS24)。
次に、参照画像生成回路213は、リサイズ処理及びコーナー丸め処理が施された展開画像からパターンの参照輪郭線を抽出する(ステップS25)。すなわち、参照画像生成回路213は、参照画像(輪郭画像)を生成する。参照画像生成回路213は、生成した参照画像を比較回路215及び記憶装置22に送信する。
2.3 比較工程
次に、比較工程の一例について説明する。まず、比較回路215は、検査画像と参照画像とを用いてアライメントを実行する(ステップS31)。すなわち、比較回路215は、検査画像内のパターンと、参照画像内のパターンとの位置合わせを行う。このとき、比較回路215は、実画輪郭線の位置と参照輪郭線の位置との相対ベクトルを求める。そして、比較回路215は、各パターンにおける相対ベクトルの平均値を、参照画像に対する検査画像のアライメントシフト量として、算出する。
次に、比較工程の一例について説明する。まず、比較回路215は、検査画像と参照画像とを用いてアライメントを実行する(ステップS31)。すなわち、比較回路215は、検査画像内のパターンと、参照画像内のパターンとの位置合わせを行う。このとき、比較回路215は、実画輪郭線の位置と参照輪郭線の位置との相対ベクトルを求める。そして、比較回路215は、各パターンにおける相対ベクトルの平均値を、参照画像に対する検査画像のアライメントシフト量として、算出する。
次に、比較回路215は、検査画像の歪み量を測定し、歪み係数を算出する(ステップS32)。例えば、ステージ移動精度あるいは試料300の歪み等により、設計データ221に基づく座標情報と、撮像された画像から算出されたパターンの座標との間に位置ずれが生じる場合がある。比較回路215は、例えば、試料300面内における局所的なアライメントシフト量の分布等から検査画像の歪み量を測定し、歪み係数を算出する。
次に、比較回路215は、相対ベクトルと歪み係数とに基づいて、画素毎に実画輪郭線と参照輪郭線との間の位置ずれ量を算出する(ステップS33)。
次に、補正回路217は、画素毎に対応するクラスの誤差量を用いて画素の位置ずれ量を補正する(ステップS34)。換言すれば、補正回路217は、画素毎に対応するクラスの補正関数に基づいて、画素の位置ずれ量を補正する。
次に、比較回路215は、補正した位置ずれ量に基づいて、欠陥を検出する(ステップS35)。補正した位置ずれ量が閾値を超えた場合、輪郭位置が欠陥と判定される。制御回路21は、欠陥検査の結果を、記憶装置22に保存した後、例えば、表示装置23に表示してもよく、通信装置25を介して外部装置(例えば、レビュー装置等)に出力してもよい。
3.参照パラメータの推定処理
次に、図3を参照して、参照パラメータ222の推定処理の一例について説明する。図3は、参照パラメータ222の推定処理のフローチャートである。
次に、図3を参照して、参照パラメータ222の推定処理の一例について説明する。図3は、参照パラメータ222の推定処理のフローチャートである。
参照パラメータ222の推定処理は、試料300の検査前の作業として、図2で説明した検査工程の前に実行されてもよいし、図2において、参照画像生成工程の途中に実行されてもよい。検査工程の前に実行される場合には、所定の調整用パターンなどを使用すると好適である。以下では、過去の参照パラメータ222を使用せずに、参照パラメータ222の推定処理を実行する場合について説明する。
図3に示すように、参照パラメータ222の推定処理として、ステップS101~S104が実行される。各ステップの詳細について説明する。
[ステップS101]
まず、展開回路211は、設計データ221に基づいて、推定領域の展開画像を生成する。次に、クラス分類回路212は、推定領域内のパターン(図形パターン)のエッジのクラス分類を実行する。推定領域におけるクラス分類の一例を図4に示す。図4の例では、図形パターンのエッジは、形状に基づいて、3つのクラス領域A~Cに分類されている。クラス領域Aは、図形パターンの90度コーナー部分を含む。クラス領域Bは、図形パターンのエッジの直線部分を含む。クラス領域Cは、図形パターンの270度コーナー部分を含む。各クラス領域の大きさ(画素数)は、任意である。
まず、展開回路211は、設計データ221に基づいて、推定領域の展開画像を生成する。次に、クラス分類回路212は、推定領域内のパターン(図形パターン)のエッジのクラス分類を実行する。推定領域におけるクラス分類の一例を図4に示す。図4の例では、図形パターンのエッジは、形状に基づいて、3つのクラス領域A~Cに分類されている。クラス領域Aは、図形パターンの90度コーナー部分を含む。クラス領域Bは、図形パターンのエッジの直線部分を含む。クラス領域Cは、図形パターンの270度コーナー部分を含む。各クラス領域の大きさ(画素数)は、任意である。
[ステップS102]
次に、参照パラメータ推定回路216は、クラス毎に最適な参照パラメータを推定し、推定領域の参照パラメータマップを生成する。参照パラメータマップの一例を図5に示す。図5に示すように、参照パラメータ推定回路216は、クラス領域と、これに対応する参照パラメータ222とを示す参照パラメータマップを生成する。例えば、クラス領域Aでは、リサイズ量として250が設定され、コーナー丸め量として2.2が設定される。クラス領域Bでは、リサイズ量として250が設定され、コーナー丸め量として0が設定される。クラス領域Cでは、リサイズ量として250が設定され、コーナー丸め量として1.8が設定される。
次に、参照パラメータ推定回路216は、クラス毎に最適な参照パラメータを推定し、推定領域の参照パラメータマップを生成する。参照パラメータマップの一例を図5に示す。図5に示すように、参照パラメータ推定回路216は、クラス領域と、これに対応する参照パラメータ222とを示す参照パラメータマップを生成する。例えば、クラス領域Aでは、リサイズ量として250が設定され、コーナー丸め量として2.2が設定される。クラス領域Bでは、リサイズ量として250が設定され、コーナー丸め量として0が設定される。クラス領域Cでは、リサイズ量として250が設定され、コーナー丸め量として1.8が設定される。
参照パラメータの推定には、目的関数(誤差関数)を最小にする、最小二乗法や共役勾配法などの推定方法を用いることができる。
[ステップS103]
次に、参照画像生成回路213は、参照パラメータマップに基づいて、推定領域のパターンのリサイズ処理及びコーナー丸め処理を実行する。そして、参照画像生成回路213は、リサイズ処理及びコーナー丸め処理された展開画像から参照輪郭線を抽出する。図形パターンと参照輪郭線との関係の一例を図6に示す。図6に示すように、クラス毎に設定(推定)された参照パラメータに基づいて、リサイズ処理及びコーナー丸め処理が実行される。そして、リサイズ処理及びコーナー丸め処理された展開画像から参照輪郭線が抽出される。図6の例では、参照輪郭線が図形パターンに対して収縮しているが、これに限定されない。参照輪郭線は、図形パターンに対して膨張していてもよい。
次に、参照画像生成回路213は、参照パラメータマップに基づいて、推定領域のパターンのリサイズ処理及びコーナー丸め処理を実行する。そして、参照画像生成回路213は、リサイズ処理及びコーナー丸め処理された展開画像から参照輪郭線を抽出する。図形パターンと参照輪郭線との関係の一例を図6に示す。図6に示すように、クラス毎に設定(推定)された参照パラメータに基づいて、リサイズ処理及びコーナー丸め処理が実行される。そして、リサイズ処理及びコーナー丸め処理された展開画像から参照輪郭線が抽出される。図6の例では、参照輪郭線が図形パターンに対して収縮しているが、これに限定されない。参照輪郭線は、図形パターンに対して膨張していてもよい。
[ステップS104]
次に、画像取得回路214は、図2の検査画像取得工程と同様の手順にて、推定領域の実画輪郭線を抽出する。なお、実画輪郭線の抽出は、ステップS101またはステップS103の前に実行されてもよい。輪郭位置の抽出の仕方は、従来の手法で構わない。例えば、ソーベルフィルタ等を用いてX方向及びY方向に微分フィルタ処理を行い、それぞれの微分値から実画の傾き方向を求める。そして実画の傾き方向の階調値プロファイルを求め、そのピーク位置を輪郭線(実画輪郭線)上の輪郭位置として抽出する。
次に、画像取得回路214は、図2の検査画像取得工程と同様の手順にて、推定領域の実画輪郭線を抽出する。なお、実画輪郭線の抽出は、ステップS101またはステップS103の前に実行されてもよい。輪郭位置の抽出の仕方は、従来の手法で構わない。例えば、ソーベルフィルタ等を用いてX方向及びY方向に微分フィルタ処理を行い、それぞれの微分値から実画の傾き方向を求める。そして実画の傾き方向の階調値プロファイルを求め、そのピーク位置を輪郭線(実画輪郭線)上の輪郭位置として抽出する。
[ステップS105]
次に、比較回路215は、画素毎に実画輪郭線と参照輪郭線とを比較する。実画輪郭線と参照輪郭線との関係の一例を図7に示す。図7に示すように、比較回路215は、推定領域の実画輪郭線と参照輪郭線とを比較し、画素毎に実画輪郭線と参照輪郭線との間の位置ずれ量(相対ベクトルの大きさ)を算出する。
次に、比較回路215は、画素毎に実画輪郭線と参照輪郭線とを比較する。実画輪郭線と参照輪郭線との関係の一例を図7に示す。図7に示すように、比較回路215は、推定領域の実画輪郭線と参照輪郭線とを比較し、画素毎に実画輪郭線と参照輪郭線との間の位置ずれ量(相対ベクトルの大きさ)を算出する。
[ステップS106]
次に、比較回路215は、クラスの誤差量を算出する。クラスの誤差量を算出する処理は、試料300の検査前の作業として、図2で説明した検査工程の前に実行されてもよいし、図2において、比較工程の途中に実行されてもよい。検査工程の前に実行される場合には、所定の調整用パターンなどを使用すると好適である。クラスの誤差量の一例を図8に示す。図8に示すように、比較回路215は、クラス毎に、クラス領域内の画素毎の位置ずれ量のRMSEを算出し、これをクラスの誤差量としている。例えば、クラス領域Aの誤差量は0.21である。クラス領域Bの誤差量は0.12である。クラス領域Cの誤差量は0.30である。比較回路215は、各クラスの誤差量を、記憶装置22に保存する。
次に、比較回路215は、クラスの誤差量を算出する。クラスの誤差量を算出する処理は、試料300の検査前の作業として、図2で説明した検査工程の前に実行されてもよいし、図2において、比較工程の途中に実行されてもよい。検査工程の前に実行される場合には、所定の調整用パターンなどを使用すると好適である。クラスの誤差量の一例を図8に示す。図8に示すように、比較回路215は、クラス毎に、クラス領域内の画素毎の位置ずれ量のRMSEを算出し、これをクラスの誤差量としている。例えば、クラス領域Aの誤差量は0.21である。クラス領域Bの誤差量は0.12である。クラス領域Cの誤差量は0.30である。比較回路215は、各クラスの誤差量を、記憶装置22に保存する。
参照パラメータ推定とクラスの誤差量算出を検査工程の前に実施する場合、推定の際に最適化された目的関数(誤差関数)の最終結果を誤差量として保存すると、全体の処理量を抑制できるため、好適である。
[ステップS107]
次に、補正回路217は、クラスの誤差量に基づいて、各クラスの補正係数を算出する。なお、補正係数は、オペレータが設定してもよい。そして、補正回路217は、クラスの誤差量及び補正係数に基づいて、クラス毎に補正関数を設定する。
次に、補正回路217は、クラスの誤差量に基づいて、各クラスの補正係数を算出する。なお、補正係数は、オペレータが設定してもよい。そして、補正回路217は、クラスの誤差量及び補正係数に基づいて、クラス毎に補正関数を設定する。
4.補正処理
次に、図9を参照して、図2のステップS34で説明した補正回路217による位置ずれ量の補正の一例について説明する。図9は、補正処理の一例を示す図である。
次に、図9を参照して、図2のステップS34で説明した補正回路217による位置ずれ量の補正の一例について説明する。図9は、補正処理の一例を示す図である。
図9に示すように、クラス領域A、B、及びCの補正前の位置ずれ量をそれぞれL1、L2、及びL3と表記する。クラス領域A、B、及びCの補正後の位置ずれ量をそれぞれL1’、L2’、及びL3’と表記する。そして、クラス領域A、B、及びCの補正係数をそれぞれk1、k2、及びk3と表記する。例えば、クラス領域A、B、及びCの誤差量が、それぞれ0.21、0.12、及び0.30である場合、各画素の補正後の位置ずれ量はそれぞれ下記の補正関数で表せられる。
(クラス領域A):L1’=max(0,L1-0.21k1)
(クラス領域B):L2’=max(0,L2-0.12k2)
(クラス領域C):L3’=max(0,L3-0.30k3)
例えば、クラス領域Aに対応するいずれかの画素において、位置ずれ量がL1=1であり、補正係数がk1=1である場合、補正関数を用いて補正された位置ずれ量はL1’=0.79となる。また、例えば、クラス領域Aの位置ずれ量がL1=0.1である場合、0.1-0.21×1=-0.11となるため、補正された位置ずれ量はL1’=0となる。
(クラス領域B):L2’=max(0,L2-0.12k2)
(クラス領域C):L3’=max(0,L3-0.30k3)
例えば、クラス領域Aに対応するいずれかの画素において、位置ずれ量がL1=1であり、補正係数がk1=1である場合、補正関数を用いて補正された位置ずれ量はL1’=0.79となる。また、例えば、クラス領域Aの位置ずれ量がL1=0.1である場合、0.1-0.21×1=-0.11となるため、補正された位置ずれ量はL1’=0となる。
比較回路215は、補正された位置ずれ量と閾値とを比較して、欠陥の判定をする。
例えば、欠陥判定の閾値が0.5である場合、0.79は0.5より大きいため、この画素は欠陥であると判定される。他の画素についても同様の処理が実行される。
5.リサイズ処理
次に、図10を参照して、リサイズ処理の一例について説明する。図10は、リサイズ処理の一例を示す図である。図10において、パターンは、設計データ221上のパターン(図形)を可視化しているもので、展開画像の各画素は、図形の占有率に相当する階調値を持っている。従って、展開画像の階調値の合計はその領域の図形の面積に比例する。図10の例では、図形を膨張させる方向にリサイズ処理を行っているが、図形を収縮させる場合は図形を予め階調反転させてからリサイズ処理を行い、処理後に再度反転させると好適である。図10の例では、ソーベルフィルタを用いてリサイズ処理を実行する場合について説明する。なお、リサイズ処理に用いられるフィルタは、ソーベルフィルタに限定されない。
次に、図10を参照して、リサイズ処理の一例について説明する。図10は、リサイズ処理の一例を示す図である。図10において、パターンは、設計データ221上のパターン(図形)を可視化しているもので、展開画像の各画素は、図形の占有率に相当する階調値を持っている。従って、展開画像の階調値の合計はその領域の図形の面積に比例する。図10の例では、図形を膨張させる方向にリサイズ処理を行っているが、図形を収縮させる場合は図形を予め階調反転させてからリサイズ処理を行い、処理後に再度反転させると好適である。図10の例では、ソーベルフィルタを用いてリサイズ処理を実行する場合について説明する。なお、リサイズ処理に用いられるフィルタは、ソーベルフィルタに限定されない。
図10に示すように、参照画像生成回路213は、図5を用いて説明した参照パラメータ222のリサイズ量に基づいて、画素毎にリサイズ処理を実行する。例えば、参照画像生成回路213は、1画素単位でリサイズ処理を繰り返す。1画素単位のリサイズ処理とは、例えば、エッジ位置を1画素分だけ移動させるリサイズ量を100と定義した場合、1回のリサイズ処理の上限をリサイズ量100としたリサイズ処理である。例えば、図5の参照パラメータマップに示すように、参照パラメータ222のリサイズ量が250である場合、3回のリサイズ処理を実行する。パターンエッジを含む注目画素を中心とした3×3の展開画像において、ソーベルフィルタを用いて注目画素における輪郭の法線方向を求める。より具体的には、参照画像生成回路213は、展開画像に対して、ソーベルフィルタのX方向及びY方向のカーネルとの畳み込み演算をそれぞれ行う。そして、参照画像生成回路213は、注目画素において、X方向に対する演算値及びY方向に対する演算値を合成して得られた輪郭ベクトルの法線角度θを算出する。例えば、ソーベルフィルタ処理後のX方向の値をFx、Y方向の値をFyとすると、θ=atan(Fy/Fx)という式で表される。
次に、参照画像生成回路213は、3×3の展開画像の画素値(階調値)の合計(すなわち3×3画素の総面積)が同じであり、ソーベルフィルタで求めた輪郭ベクトルと境界線が垂直となる半平面を形成する。
次に、参照画像生成回路213は、注目画素において、半平面をリサイズ量の方向に最大1画素分以下のリサイズ量(本例では、リサイズ量100以下)だけ移動させる。すなわち、参照画像生成回路213は、リサイズ量に応じて、注目画素の画素値を補正し、1画素単位のリサイズ処理を実行する。リサイズ量は、X方向及びY方向の2つの成分を持っている。図におけるリサイズ量は、X方向のリサイズ量をRx、Y方向のリサイズ量をRyとすると、(Rx・cosθ,Ry・sinθ)というベクトルで表される。
参照画像生成回路213は、各画素のリサイズ量が予め設定された閾値以下(例えば0)になるまで、膨張処理、リサイズ処理、及びリサイズ量の減算処理を繰り返す。膨張処理は、リサイズ量として1以上が設定されている画素の隣接画素のうち、リサイズ量が0である画素にリサイズ量を付与し、リサイズ量が付与されている画素を増加(膨張)させる処理である。リサイズ量の減算処理は、1画素分のリサイズ処理後、リサイズ量から1画素分のリサイズ量を減算する処理である。
6.輪郭点の抽出
次に、図11を参照して、展開画像における輪郭点の抽出の一例について説明する。
図11は、展開画像における輪郭点の抽出の一例を示す図である。図11において、パターンは設計データ221上のパターン(図形)を可視化しているもので、展開画像の各画素は、図形の占有率に相当する階調値を持っている。従って、展開画像の階調値の合計はその領域の図形の面積に比例する。
次に、図11を参照して、展開画像における輪郭点の抽出の一例について説明する。
図11は、展開画像における輪郭点の抽出の一例を示す図である。図11において、パターンは設計データ221上のパターン(図形)を可視化しているもので、展開画像の各画素は、図形の占有率に相当する階調値を持っている。従って、展開画像の階調値の合計はその領域の図形の面積に比例する。
図11に示すように、図10と同様にして、ソーベルフィルタを用いて注目画素の輪郭ベクトルが求められ、これに対応する半平面が形成される。そして、半平面の境界線上のX方向及びY方向の中点となる位置に、輪郭点が設定される。輪郭位置は、各輪郭画素内においてサブ画素単位で設定される。
7.コーナー丸め処理
次に、図12~図14を参照して、コーナー丸め処理の一例について説明する。図12は、コーナー丸め処理に用いられる等方フィルタの一例を示す図である。図13は、等方フィルタの一例を示す図である。図14は、折れ線関数の一例を示す図である。
次に、図12~図14を参照して、コーナー丸め処理の一例について説明する。図12は、コーナー丸め処理に用いられる等方フィルタの一例を示す図である。図13は、等方フィルタの一例を示す図である。図14は、折れ線関数の一例を示す図である。
例えば、参照画像生成回路213は、図5を用いて説明したクラス領域毎に設定された参照パラメータ222のコーナー丸め量に基づいて、画素毎に等方フィルタによるフィルタ処理と、フィルタ処理の結果を用いた折れ線関数の演算とによるコーナー丸め処理を実行する。例えば、等方フィルタによるフィルタ処理の結果に折れ線関数を適用することにより、対象画素のコーナー丸め処理(画素値の補正)が行われる。
図12に示すように、例えば、注目画素に対応するクラス領域のコーナー丸め量をRとした場合、コーナー丸め量Rに対し、半径r=Rとした等方フィルタによるフィルタ処理(畳み込み演算)を行う。より具体的には、例えば、コーナー丸め量Rが1.5<R≦2.5である場合、等方フィルタfのサイズは、注目画素を中心とした5×5画素のカーネルで表される。ここで、注目画素の座標を(0,0)とすると、各画素の座標は、紙面左下から紙面右上に向かって、(x,y)=(-2,2)~(2,-2)で表される。
参照画像生成回路213は、まず、式(1)の演算を行い、等方フィルタfと注目画素との畳み込み演算を行う。ここで、Iは、注目画素の画素値を示す。I’は、演算値を示す。
次に、参照画像生成回路213は、式(2)及び式(3)の演算を行い、折れ線関数の係数k1及びk2を算出する。係数k1は、X座標が0である等方フィルタfの合計値(面積)を表している。係数k2は、X座標が1以上であり且つ上限がN(Nは、等方フィルタのX座標の最大値)である等方フィルタfの合計値(面積)を表している。
次に、参照画像生成回路213は、式(4)の折れ線関数Lの演算を行い、コーナー丸め処理後の注目画素の画素値を算出する。ここで、Imaxは、最大画素値を示しており、例えば、画素値が0~255で表される場合、Imax=255である。
図13に示すように、例えば、図5の参照パラメータマップに示すクラス領域Aのコーナー丸め量が、R=2.2である場合について説明する。5×5画素の等方フィルタfにおいて、例えば、座標(-2,2)、(2,2)、(-2,-2)、及び(2,-2)の値を0.0068とする。座標(-1,2)、(1,2)、(-2,1)、(2,1)、(-2,-1)、(2,-1)、(-1,-2)、及び(1,-2)の値を0.4326とする。座標(0,2)、(-2,0)、(2,0)、及び(0,-2)の値を0.6812とする。そして、他の座標の値を1とする。このような場合、k1=4.3624及びk2=5.4252である。従って、Imax=255である場合の折れ線関数Lは、図14に示すグラフで表される。
図13で説明した5×5画素の等方フィルタを用いたコーナー丸め処理の具体例について、図15を用いて説明する。図15は、1つのクラス領域におけるコーナー丸め処理前後の各画素の画素値の一例を示す図である。なお、図15の例では、クラス領域外の左右及び上下の画素には同じ値が続いている。
図15に示すように、例えばコーナー検出画素の座標(4,4)を中心画素とした7×7画素をクラス領域とした場合、座標(4,4)の画素値165は、コーナー丸め処理により、0となる。より具体的には、注目画素の座標が座標(4,4)である場合、式(1)に示す等方フィルタによる畳み込み演算の結果、I’=1335となる。これは、式(4)に示すImax×K2=1383よりも小さいため、座標(4,4)の画素値は0となる。また、注目画素の座標が座標(4,5)である場合、等方フィルタによる畳み込み演算の結果、I’=1906となる。これは、Imax×K2=1383よりも大きく、Imax(K1+K2)=2496よりも小さい。このため、座標(4,5)の画素値196は、120となる。他の座標も同様の処理を行う。この結果、座標(4,6)の画素値196は、187となる。座標(5,4)の画素値216は、126となる。座標(6,4)の画素値216は、202となる。なお、図15の例では、クラス領域内の他の画素の画素値は、変動していない。
8.本実施形態に係る効果
欠陥検査において、検査画像(実画輪郭線)と参照画像(参照輪郭線)とを比較する際、パターンの寸法シフトにより、実画輪郭線と参照輪郭線との間に位置ずれが発生する。位置ずれ量は、パターンのエッジの形状により異なる。このため、エッジを含む各画素の位置ずれ量を同じ閾値で判定した場合、エッジの形状に依存性して、擬似欠陥の検出頻度が異なってくる。
欠陥検査において、検査画像(実画輪郭線)と参照画像(参照輪郭線)とを比較する際、パターンの寸法シフトにより、実画輪郭線と参照輪郭線との間に位置ずれが発生する。位置ずれ量は、パターンのエッジの形状により異なる。このため、エッジを含む各画素の位置ずれ量を同じ閾値で判定した場合、エッジの形状に依存性して、擬似欠陥の検出頻度が異なってくる。
これに対し、本実施形態に係る構成であれば、検査装置は、参照画像の生成において、パターンのエッジを形状に基づいてクラス分類し、クラス毎に異なるリサイズ量及びコーナー丸め量を設定できる。検査装置は、画素毎に算出された実画輪郭線と参照輪郭線との間の位置ずれ量に基づいて、クラス別の誤差量を算出できる。検査装置は、各画素の位置ずれ量を、対応するクラスの誤差量に基づいて補正できる。そして、検査装置は、補正した位置ずれ量と閾値とを比較して欠陥判定ができる。これにより、各画素の補正された位置ずれ量を同じ閾値で判定できる。従って、欠陥検査による擬似欠陥の抽出を低減でき、欠陥検査の信頼性を向上できる。
9.変形例等
上述の実施形態では、検査装置において参照画像を生成する場合について説明したが、参照画像の生成方法は、検査装置に限定されない。データに基づいて参照画像を生成する装置、例えば、測定装置等、他の装置に適用されてもよい。
上述の実施形態では、検査装置において参照画像を生成する場合について説明したが、参照画像の生成方法は、検査装置に限定されない。データに基づいて参照画像を生成する装置、例えば、測定装置等、他の装置に適用されてもよい。
上述の実施形態において、パターンのクラス分類に、機械学習等を利用してもよい。すなわち、AI(artificial intelligence)がパターンを学習して、クラスを設定してもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…検査装置、10…撮像機構、11…試料室、12…鏡筒、13…ステージ、14…ステージ駆動機構、15…検出器、16…電子銃、17…電子光学系、20…制御機構、21…制御回路、22…記憶装置、23…表示装置、24…入力装置、25…通信装置、101、102…集束レンズ、103、104…走査コイル、105…対物レンズ、211…展開回路、212…クラス分類回路、213…参照画像生成回路、214…画像取得回路、215…比較回路、216…参照パラメータ推定回路、217…補正回路、221…設計データ、222…参照パラメータ、223…検査条件パラメータ、224…検査データ、225…欠陥検査プログラム、300…試料
Claims (10)
- 試料の撮像機構と、
前記撮像機構が撮像した前記試料の画像データから第1輪郭線を抽出する画像取得回路と、
設計データから展開画像を生成する展開回路と、
前記展開画像内のパターンのエッジをクラス分類するクラス分類回路と、
分類されたクラス毎に、リサイズ量及びコーナー丸め量を含む参照パラメータを推定する参照パラメータ推定回路と、
前記参照パラメータに基づいて前記パターンのリサイズ処理及びコーナー丸め処理を実行し、前記リサイズ処理及び前記コーナー丸め処理後の前記パターンから第2輪郭線を抽出する参照画像生成回路と、
前記第1輪郭線と前記第2輪郭線とを比較して前記第1輪郭線と前記第2輪郭線との位置ずれ量を画素毎に算出し、前記クラス毎に前記位置ずれ量の誤差量を算出する比較回路と、
前記画素毎に対応する前記クラスの前記誤差量を用いて前記位置ずれ量を補正する補正回路と
を備える、検査装置。 - 前記補正回路は、前記クラス毎に前記誤差量を変数として有する関数を設定する、
請求項1に記載の検査装置。 - 前記クラス分類回路は、前記パターンのエッジの形状に基づいて、クラス領域を設定する、
請求項1または2に記載の検査装置。 - 前記比較回路は、補正された前記位置ずれ量が閾値を超えた場合に、欠陥と判定する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査装置。 - 前記参照パラメータ推定回路は、前記クラス分類及び前記参照パラメータに基づくマップを生成する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検査装置。 - 試料を撮像した画像データから第1輪郭線を抽出する工程と、
設計データから展開画像を生成する工程と、
前記展開画像からパターンのエッジをクラス分類する工程と、
分類されたクラス毎に、リサイズ量及びコーナー丸め量を含む参照パラメータを推定する工程と、
前記参照パラメータに基づいて前記パターンのリサイズ処理及びコーナー丸め処理を実行する工程と、
前記リサイズ処理及び前記コーナー丸め処理後の前記パターンから第2輪郭線を抽出する工程と、
前記第1輪郭線と前記第2輪郭線とを比較して前記第1輪郭線と前記第2輪郭線との位置ずれ量を画素毎に算出する工程と、
前記クラス毎に前記位置ずれ量の誤差量を算出する工程と、
前記画素毎に対応する前記クラスの前記誤差量を用いて前記位置ずれ量を補正する工程と
を備える検査方法。 - 前記クラス毎に前記誤差量を変数として有する関数を設定る工程を更に備える、
請求項6に記載の検査方法。 - 前記クラス分類する工程は、前記パターンのエッジの形状に基づいて、クラス領域を設定する工程を含む、
請求項6または7に記載の検査方法。 - 補正された前記位置ずれ量が閾値を超えた場合に欠陥と判定する工程を更に備える、
請求項6乃至8のいずれか一項に記載の検査方法。 - 前記参照パラメータを推定する工程は、前記クラス分類及び前記参照パラメータに基づくマップを生成する工程を含む、
請求項6乃至9のいずれか一項に記載の検査方法。
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