JP2023030340A - 自発光型表示装置用基板および自発光型表示装置用基板の製造方法 - Google Patents

自発光型表示装置用基板および自発光型表示装置用基板の製造方法 Download PDF

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航 福島
Ko Fukushima
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【課題】高い可視光遮光性と近赤外線透過性を有することで、外光反射を抑制しつつ高精度の位置合わせが可能な自発光型表示装置用の基板を提供する。【解決手段】(A)樹脂および(B)着色材として赤色顔料および青色顔料を含有する着色膜を具備する自発光型表示装置用の基板であって、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルの主ピークより得られる半値幅より算出した前記赤色顔料の結晶子サイズが5nm以上25nm以下であることを特徴とする自発光型表示装置用基板。【選択図】 なし

Description

本発明は、自発光型表示装置用の基板および自発光型表示装置の製造方法に関する。
スマートフォン、タブレットPC、テレビなどの薄型ディスプレイを有する表示装置において、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイを搭載した製品が数多く開発されている。一般に、有機EL表示装置は、光取り出し側に、銀/マグネシウム合金などの透光性を有する第一電極を有し、光を取り出さない側に、錫インジウム酸化物(ITO)などの第二電極と、銀/銅合金などの金属反射層とを有する。
さらに、レッド/ ブルー/グリーンの各発光素子の画素間を分割するため、第一電極と第二電極との層間に絶縁層の機能を兼ね備えた微細パターン状の画素分割層が設けられる。
また次世代の表示装置として発光ダイオード(Light Emitting Diode、以後LEDと呼称する場合がある。)を画素数と同じだけ並べることでディスプレイを構成するLEDディスプレイ、特に光源となるLEDのサイズを従来の1mm程度から、100~700μmとしたミニLEDディスプレイ、100μm以下まで小型化したマイクロLEDディスプレイが注目を集めており、研究開発が盛んに行われている。
自発光型の表示装置である有機ELディスプレイやLEDディスプレイなどの表示装置は、太陽光などの外光が表示部に入射すると視認性が低下しやすいという課題があり、外光反射による悪影響を低減するため、ディスプレイを形成する駆動回路基板上に着色膜を形成する技術が近年注目されている。例えば、特許文献1にはバインダー樹脂および着色剤として赤色顔料と青色顔料を含有する黒色組成物を用いて形成した有機EL発光表示装置向けのブラックマトリクスが開示されている。
特開2013-207124号
しかしながら、図1にも例示されるとおり、自発光型表示装置用の基板には配線や電極など多くの構成を精度良く設けてゆく必要があるところ、例えば、ブラックマトリックスをフォトリソグラフィ法で形成(パターニング)するケースを例にとれば、黒色の膜が設けられた基板に対してフォトマスクのアライメントをとることは極めて困難である。すなわち、黒色の膜は可視光をほとんど通さないので、可視光によるアライメントは事実上不可能といえる。一方で、可視光に代えて近赤外線を用いる場合であっても着色材の粒子に起因して光散乱が生じ、アライメントマークの読み取りが困難になるという課題があった。
そこで、本発明は、高い可視光遮光性と近赤外線透過性を有することで、外光反射を抑制しつつ高精度の位置合わせが可能な自発光型表示装置用の基板を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、着色材として少なくとも赤色顔料と青色顔料とを用いて疑似的に黒色化し、かつ、着色膜中における赤色顔料の結晶子サイズを特定の範囲とすることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨とするところは、(A)樹脂および(B)着色材として赤色顔料および青色顔料を含有する着色膜を具備する自発光型表示装置用の基板であって、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルの主ピークより得られる半値幅より算出した前記赤色顔料の結晶子サイズが5nm以上25nm以下であることを特徴とする自発光型表示装置用基板である。
本発明の自発光型表示装置用基板は可視光領域において高い遮光性と近赤外領域(波長800~1000nm)において高い透過率を有するとともに散乱が小さいことから、有機ELやマイクロLEDなどの自発光型表示装置として用いたときに、外光反射による視認性の低下を抑制する一方で、表示装置を製造する際の近赤外線による高精度な位置合わせが可能である。
本発明の実施形態の一例を示す、平坦化層および画素分割層を具備する有機EL表示装置のTFT基板の模式的断面図である。 着色膜のヘイズの測定方法について説明するための図である。 実施例4および比較例1で作製した着色膜のX線回折プロファイルを示す図である。
本発明の自発光型表示装置用の基板が具備する着色膜は(A)樹脂および(B)着色材を含有する。
(A)樹脂は、着色膜においてバインダーとしての作用を有し、(B)着色材は可視光を吸収し、あるいは、遮蔽する作用を有する。本発明においては、前記(B)着色材として赤色顔料および青色顔料を含有し、前記赤色顔料はCuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルにおける主ピークの半値幅より求めた結晶子サイズが5nm以上25nm以下であることを特徴とする。ここで、前記赤色顔料は、前記青色顔料よりも含有量が多く、また、他の色の顔料が含まれる場合には当該他の色の顔料よりも多く含有されること(主顔料であること)が好ましく、また、前記青色顔料は、他の色の顔料が含まれる場合には当該他の色の顔料よりも多く含有されること(副顔料であること)が好ましい。(B)着色材として、耐光性に優れる顔料の中から、高い近赤外線透過性と高い可視光遮光性を両立させるため赤色顔料および青色顔料を用いて疑似的に黒色化し、さらに、赤色顔料を特定の結晶子サイズとなるように樹脂組成物および着色膜中に分散させることにより、可視光を遮光する一方で、近赤外線の透過性を大幅に向上させることができる。また、視感度が高い可視光領域における吸収の強い赤色顔料を微粒化させることで拡散反射光を低減することが可能となり、より無彩色な反射色調を達成することが可能となる。
(A)樹脂として用いることができる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、カルド樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド前駆体、ポリアミド樹脂、ノボラック樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、シロキサン樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム、ロジン、ロジン誘導体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、樹脂組成物の貯蔵安定性や着色膜の耐熱性の観点から、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン樹脂が好ましい。また、(A)樹脂においては、架橋性基を有することができ、架橋性基を含む樹脂を用いた場合は、最終的な着色膜とした時点では、架橋性基は、熱および/または光により架橋され、実質的に残存していないことが好ましい。(A)樹脂が架橋性基を有した場合の着色膜は、樹脂組成物の塗膜を形成し、ホットプレート等により塗膜を乾燥した後、熱風オーブン等により加熱処理することにより得ることができる。例えば、樹脂組成物が(A)樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合、加熱処理温度は170℃以上が好ましく、加熱処理時間は30分間以上が好ましい。
本発明における着色膜はTFTなどの駆動回路基板上に(A)樹脂、(B)着色材および(C)有機溶剤を含有する樹脂組成物を塗布し、乾燥・硬化させて作製することができる。また、フォトリソグラフィ法によるパターニングを可能とするため、該樹脂組成物に感光性を付与することは好ましく採用することができ、例として、(A)樹脂として、アルカリ可溶性樹脂を用い、また、ネガ型の感光性を持たせるために(D)光重合開始剤およびラジカル重合性化合物を更に含有せしめたり、あるいは、ポジ型の感光性を持たせるために(D’)光酸発生剤を更に含有せしめることが挙げられる。ここで、アルカリ可溶性樹脂とは、アルカリ可溶性基として水酸基および/またはカルボキシル基を有し、酸価が10mgKOH/g以上で、重量平均分子量(Mw)が500以上150,000以下である樹脂を指す。ここで、重量平均分子量(Mw)とは、テトラヒドロフランをキャリヤーとするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分析し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値を指す。また、アルカリ可溶性樹脂の酸価とは、アルカリ可溶性樹脂1gを中和するために要する水酸化カリウムのmg数を指す(単位:mgKOH/g)。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルド樹脂、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリアミド樹脂、シロキサン樹脂などが挙げられる。前記の樹脂組成物がネガ型の感光性を有する場合、パターン加工性と塗膜信頼性の観点から、アルカリ可溶性樹脂としては、アクリル樹脂、または、ポリイミド樹脂を用いることが好ましく、分散安定性の観点から、アクリル樹脂がより好ましい。一方、前記の樹脂組成物がポジ型の感光性を有する場合、パターン加工性の観点から、アルカリ可溶性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体、または、シロキサン樹脂を用いることが好ましく、パターン加工性の観点から、ポリイミド樹脂、または、ポリイミド前駆体がより好ましい。なお、アルカリ可溶性樹脂は二種以上の樹脂の混合物であっても良い。
黒色顔料は可視光のほぼ全ての波長域に吸収を有するが、このため隣接する近赤外領域においても一定の吸収を有していることが殆どである。一方で、赤色顔料、青色顔料、黄色顔料といった単色系の顔料は、色度や彩度を高めるために、他の色に対応する可視光の波長域の吸収を小さくする、好ましくはそのような波長域に吸収を持たないことが求められる。本発明に用いられる顔料としては、こうした単色系の顔料としては、近赤外領域に対応する波長域においても吸収が小さいか、好ましく、近赤外領域に対応する波長域に吸収を持たない顔料を用いるべきである。具体的には、近赤外領域(波長800~1000nm)における透過率が90%以上の顔料を用いることが好ましい。更には、顔料の粒径を小さくすることで近赤外領域での透過率が向上を見込めることから、耐熱性および分散安定性を確保できる範囲において顔料を微粒化することが好ましい。
本発明の自発光型表示装置用の基板が具備する着色膜は、(B)着色材として、少なくとも赤色顔料および青色顔料を含有する。前記(B)着色材の全量を100重量%としたとき、赤色顔料の含有量を20~80重量%とすることが好ましく、45~65重量%とすることがより好ましい。ここで、赤色顔料の含有量とは、複数種の赤色顔料を用いた場合には、赤色顔料の総和とする。また、青色顔料の含有量としては、前記(B)着色材の全量を100重量%としたとき、20~50重量%とすることが好ましく、30~50重量%とすることがより好ましい。赤色顔料および青色顔料を混合して着色材として用いることにより、耐光性を向上させ、可視光領域における遮光性と近赤外領域における高い透過性を両立することができる。赤色顔料の含有量が20重量%よりも少ない場合には、着色膜の反射色度が無彩色から赤みにずれ、着色膜に映り込んだ像が赤みを帯びて好ましくない。一方、赤色顔料の含有量が80重量%よりも多い場合には、着色膜の反射色度が無彩色から黄色みにずれ、着色膜に映り込んだ像が黄みを帯びて好ましくないことに加え、可視光遮光性も低下する問題が生じる。
本発明において、前記(B)着色材として、視感度の高い波長範囲(450nm~650nm)での透過率が低い赤色顔料を用いることで、可視光遮光性を向上させることができるため好ましい。具体的には、前記赤色顔料の、波長450~650nmにおける平均透過率T(%)と波長550nmにおける透過率TR1(%)の比TR1/TR0が0.001以上0.10以下であることが好ましく、TR1/TR0が0.01以上0.05以下であることがより好ましい。最大視感度となる555nmにおける透過率を相対的に低い、つまり吸光度の高い顔料を選択することにより、効果的に可視光遮光性を達成できるだけではなく、より漆黒性の高い反射色調の塗膜を得ることが可能となるため好ましい。ここで(B)着色材の透過率は、(A)樹脂と(B)着色材および有機溶剤からなる樹脂組成物を、透明基材上に塗布、硬化して得られた着色膜の透過率を測定することで算出する。なお、本発明においては(A)樹脂と(B)着色材からなる固形成分の総合計含有量に対して、(B)着色材の含有量が25重量%となるように配合された樹脂組成物を用い、硬化後の膜厚が2μmとなるように着色膜を形成した際の値を以て(B)着色材の透過率とする。ただし、(A)樹脂自体が着色している場合は、(A)樹脂に代えて後記する合成例1によるアクリル樹脂を用いるものとする。
本発明に用いる赤色顔料としては、赤色顔料であれば特に制限なく用いることができるが、具体的には、ピグメントレッド(以下PRと略す)1、PR2、PR3、PR4、PR5、PR6、PR7、PR8、PR9、PR12、PR14、PR15、PR16、PR17、PR21、PR22、PR23、PR31、PR32、PR37、PR38、PR41、PR47、PR48、PR48:1、PR48:2、PR48:3、PR48:4、PR49、PR49:1、PR49:2、PR50:1、PR52:1、PR52:2、PR53、PR53:1、PR53:2、PR53:3、PR57、PR57:1、PR57:2、PR58:4、PR60、PR63、PR63:1、PR63:2、PR64、PR64:1、PR68、PR69、PR81、PR81:1、PR81:2、PR81:3、PR81:4、PR83、PR88、PR90:1、PR97、PR101、PR101:1、PR104、PR108、PR108:1、PR109、PR112、PR113、PR114、PR122、PR123、PR144、PR146、PR147、PR149、PR151、PR166、PR168、PR169、PR170、PR172、PR173、PR174、PR175、PR176、PR177、PR178、PR179、PR180、PR181、PR184、PR185、PR187、PR188、PR190、PR192、PR193、PR194、PR200、PR202、PR206、PR207、PR208、PR209、PR210、PR214、PR215、PR216、PR217、PR220、PR221、PR223、PR224、PR226、PR227、PR228、PR230、PR231、PR233、PR235、PR236、PR237、PR238、PR239、PR240、PR242、PR243、PR245、PR247、PR2749、PR250、PR251、PR253、PR254、PR255、PR256、PR257、PR258、PR259、PR260、PR262、PR263、PR264、PR265、PR266、PR267、PR268、PR269、PR270、PR271、PR272、PR273、PR274、PR275、PR276、PR291などが挙げられる。着色力や顔料微細化の容易性という観点から、PR177、PR179、PR242、PR254、PR264、PR269、PR291を用いることが好ましく、ハロゲン含有量を低減させる観点からは、PR177、PR179、PR264を用いることがより好ましく、着色膜の反射色調を無彩色化させる観点からはPR179、PR264を用いることが更に好ましい。
本発明に用いる青色顔料としては、特に制限無く用いることができるが、具体的には、ピグメントブルー(以下PBと略す)1、PB1:2、PB9、PB14、PB15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:6、PB16、PB17、PB19、PB22、PB25、PB27、B28、PB29、PB33、PB35、PB36、PB56、PB56:1、PB60、PB61、PB61:1、PB62、PB63、PB64、PB67、PB68、PB71、PB72、PB73、PB74、PB75、PB76、PB77、PB78、PB79などが使用される。着色力や顔料微細化の容易性という観点から、PB15:3、PB15:6を用いることが好ましい。
本発明において、着色膜の散乱光が着色するのを抑制するため、視感度の高い波長範囲(400nm~700nm)における透過率が低い、つまり吸光度が高い赤顔料を微粒化させることが重要である。
着色膜に含有される顔料の結晶子サイズは、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルにおいて観測された最も強度の強い主ピークの半値幅から、下記式(1)に示すシェラーの式により算出することができる。
Figure 2023030340000001
上記式(1)におけるKは定数0.9であり、λは0.15418[nm]である。βは下記式(2)で表される。θは、回折ピークに対応する回折角2θの1/2の値を表す。
Figure 2023030340000002
上記式(2)における、βは回折ピークの半値幅、βは半値幅の補正値(0.13[°])である。但し、β、β及びβはラジアンで計算される。
例えば、赤色顔料PR254は回折角2θ=28.0°以上28.6°以下に、赤色顔料PR177は回折角2θ=11.9°以上12.5°以下に、青色顔料PB15:6は回折角2θ=8.9°以上9.5°以下に、黄色顔料138は回折角2θ=25.7°以上26.3°以下に、黄色顔料150は回折角2θ=8.3°以上8.9°以下に最も強度の強い主ピークが観測される。
X線回折スペクトルは、X線源をCuKα線として、広角X線回折法により測定する。X線回折装置としては、(株)BrukerAXS社製DS ADVANCEを用いることができる。測定条件は、出力は40kV/40mA、スリット系はDiv.Slit:0.3°、測定ステップ(2θ)は0.0171°、計測時間は0.5秒/ステップとする。
本発明に用いられる着色膜は、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルにおける主ピークの半値幅より求めた赤色顔料の結晶子サイズが5nm以上25nm以下であることが重要であり、5nm以上20nm以下であることがより好ましい。かかる結晶子サイズは、着色膜中における顔料の分散状態の指標であり、結晶子サイズが小さいほど、顔料が着色膜中において微分散していることを意味する。なお、赤色顔料は2種以上用いうるところ、2種以上の赤色顔料が用いられた場合には、含有量が多い方の赤色顔料の結晶子サイズが5nm以上25nm以下である。また、全ての赤色顔料種において結晶子サイズが5nm以上25nm以下であることが望ましい。着色膜における赤色顔料の結晶子サイズが25nmよりも大きい場合には、近赤外線透過性が低下し、透過散乱光が増加するため、近赤外線による位置アライメントマークの読み取りが困難になる。一方、着色膜における赤色顔料の結晶子サイズが5nm未満である場合には、顔料の分散安定化が困難となり、顔料再凝集による透過散乱光の増加や、可視光遮光性の低下の課題が生じる。着色膜における青色顔料およびその他着色材の結晶子サイズについても、赤色顔料と同様に小さいことが好ましく、その範囲としては5nm以上25nm以下である。着色膜における顔料の結晶子サイズを上記の範囲とする手段としては、樹脂中に顔料を再凝集させることなく微細な状態で安定かつ均一に分散させることが好ましく、より具体的には、結晶子サイズの小さい顔料を用いる方法や、後述するビーズミルを用いる方法により樹脂組成物を製造する方法などが挙げられる。
(B)着色材として、赤色顔料および青色顔料とともに他の着色材を含有することで、着色膜の透過色調および反射色調を調整することが可能となる。その際に、赤色顔料と同様に結晶子サイズが小さい着色材を含有することが好ましい。着色材としては、一般的に用いられる、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。着色膜の耐熱性、信頼性および耐光性を向上させるためには、有機顔料、無機顔料が好ましい。
本発明に用いることのできる黄色顔料しては、黄色の顔料であれば特に制限はないが、具体的には、例えば、ピグメントイエロー(以下PYと略す)1、PY1:1、PY1:2、PY2、PY3、PY4、PY5、PY6、PY9、PY10、PY12、PY13、PY14、PY16、PY17、PY20、PY24、PY31、PY32、PY34、PY35、PY35:1、PY36、PY36:1、PY37、PY37:1、PY40、PY41、PY42、PY43、PY48、PY53、PY55、PY61、PY62、PY62:1、PY63、PY65、PY73、PY74、PY75、PY81、PY83、PY86、PY87、PY93、PY94、PY95、PY97、PY100、PY101、PY104、PY105、PY108、PY109、PY110、PY111、PY116、PY117、PY119、PY120、PY125、PY126、PY127、PY127:1、PY128、PY129、PY133、PY134、PY136、PY137、PY138、PY139、PY142、PY147、PY148、PY150、PY151、PY153、PY154、PY155、PY157、PY158、PY159、PY160、PY161、PY162、PY163、PY164、PY165、PY166、PY167、PY168、PY169、PY170、PY172、PY173、PY174、PY175、PY176、PY180、PY181、PY182、PY183、PY184、PY185、PY188、PY189、PY190、PY191、PY191:1、PY192、PY193、PY194、PY195、PY196、PY197、PY198、PY199、PY200、PY202、PY203、PY204、PY205、PY206、PY207、PY208などが挙げられる。着色力や耐熱性、耐光性の観点から、PY129、PY138、PY139、PY150、PY185を用いることが好ましく、樹脂組成物のハロゲン含有量を低減する観点からは、PY129、PY139、PY150、PY185がより好ましく、より優れた可視光遮光性を達成する観点からは、PY139、PY150、およびPY185からなる群から選ばれる少なくとも一種の黄色顔料がより好ましい。
オレンジ色顔料の例としては、ピグメントオレンジ(以下POと略す)13、PO36、PO38、PO43、PO51、PO55、PO59、PO61、PO64、PO65、PO71などが挙げられる。
また、紫色顔料の例としては、ピグメントバイオレット(以下PVと略す)14、PV15、PV16、PV19、PV23、PV25、PV27、PV29、PV30、PV31、PV32、PV37、PV39、PV40、PV42、PV47、PV49、PV50などが使用される。
また、緑色顔料の例としては、ピグメントグリーン(以下PGと略す)1、PG2、PG4、PG7、PG8、PG10、PG13、PG14、PG15、PG18、PG19、PG26、PG36、PG45、PG48、PG50、PG51、PG54、PG55、PG58、PG59などが挙げられる。
黒色顔料の例としては、カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック等の黒色有機顔料、グラファイト、およびチタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属微粒子、金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属酸窒化物等の無機顔料が挙げられる。なお、黒色顔料を用いる場合には、近赤外領域での透過率が低下しない範囲の少量を用いることが要される。少量での黒色顔料の使用は、可視光領域の透過率の低減に有効である。
また、白色顔料の例としては、二酸化チタン、炭酸バリウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、二酸化珪素などが挙げられる。
染料の例としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,28,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247、C.I.アシッドレッド35,42,51,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,145,151,154,157,158,211,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,319,336,337,361,396,397、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.アシッドバイオレット5,9,11,34,43,47,48,51,75,90,103,126、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドブルー9,45,80,83,90,185、C.I.ベーシックオレンジ21,23等が挙げられる。
これらの赤色顔料および青色顔料以外の着色材は、2種以上を含有してもよい。
これら赤色顔料および青色顔料以外の着色材の中でも、着色膜の可視光遮光性をより向上させ、更には塗膜の反射色度を無彩色化させる観点から、赤色顔料および青色顔料に加えて、さらに黄色顔料を用いることが好ましい。黄色顔料の含有量は、着色材料の全量を100重量%としたとき、5重量%以上30重量%以下とすることが好ましく、5重量%以上25重量%以下とすることがさらに好ましく、10重量%以上20重量%以下とすることがまたさらに好ましい。
本発明に用いられる着色膜を樹脂組成物から作製する場合、樹脂組成物における(B)着色材の含有量は、組成物中の固形成分の総合計含有量に対して、1~60重量%とすることが好ましい。ここで、固形成分とは(A)樹脂および(B)着色材、ならびに、後述する(D)光重合開始剤およびラジカル重合性化合物、(D’)光酸発生剤、および、その他添加剤とする。(B)着色材の含有量を組成物中の固形成分の総合計含有量に対して1重量%以上とすることにより、より薄膜で可視光遮光性を向上させることができる。(B)着色材の含有量は、組成物中の固形成分の総合計含有量に対して10重量%以上がより好ましく、15重量%以上がより好ましい。一方、(B)着色材の含有量を組成物中の固形成分の総合計含有量に対して60重量%以下とすることにより、(B)着色材の分散安定性を向上させることができる。また、着色膜と他の基材との界面における入射光の反射を抑制し、近赤外線透過性をより向上させることができる。着色膜の反射色度をより無彩色に調整する観点からは(B)着色材の含有量は、組成物中の固形成分の総合計含有量に対して35重量%以下とすることがより好ましい。
また、樹脂組成物として塗工性を付与するためには(C)有機溶剤を用いることが通常である。用いることができる(C)有機溶剤としては、例えば、エーテル類、アセテート類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、アミド類、アルコール類などが挙げられる。エーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。アセテート類としては、例えば、ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3―メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート等が挙げられる。エステル類としては、例えば、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸i-ペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸i-プロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレンなどが挙げられる。アミド類としては、例えば、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。アルコール類としては、例えば、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ-ル、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
これらの中でも、着色材をより分散安定化させるため、アセテート類を用いることが好ましい。(D)有機溶剤中におけるアセテート類の含有量は、40~100重量%が好ましく、70~100重量%がより好ましい。
(C)有機溶剤の含有量は、塗布工程における塗布膜の膜厚均一性の観点から、樹脂組成物の総重量を100重量%としたとき、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。一方、(C)有機溶剤の含有量は、顔料の沈降を抑制する観点から、95重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましい。
(A)樹脂と(B)着色材を含み、更に(C)有機溶剤を含有する樹脂組成物に感光性を付与するため、(A)樹脂としてアルカリ可溶性樹脂を用い、また、樹脂組成物に、露光マスクを介したパターン露光により露光部のアルカリ溶解性を低下させて、アルカリ現像液により未露光部を除去してパターン形成する、いわゆるネガ型の感光性を与えるために(D)光重合開始剤およびラジカル重合性化合物を含有せしめてもよいし、露光マスクを介したパターン露光により露光部のアルカリ溶解性を未露光部のアルカリ溶解性よりも高くし、アルカリ現像液により露光部を除去してパターン形成する、いわゆるポジ型の感光性をあたえるために(D’)光酸発生剤を含有せしめてもよい。
遮光性が高い場合においても解像度の高いパターンを形成しやすいという観点から、樹脂組成物にはネガ型の感光性を付与することが好ましい。
(D)光重合開始剤およびラジカル重合性化合物を含有することにより、露光部がラジカル重合反応により光硬化してネガ型の感光性を付与することができるが、ラジカル重合性化合物としては、2つ以上のラジカル重合性基を有する化合物を用いることが好ましい。
光重合開始剤とは、露光によって結合開裂および/または反応によってラジカルを発生する化合物をいう。光重合開始剤を含有することにより、露光により、ラジカル重合性化合物を光硬化させることができる。
光重合開始剤としては、例えば、カルバゾール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、後述する露光工程において、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)からなる混合線に対する感度が高いことから、カルバゾール系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤の含有量は、露光に対する感度向上の観点から、アルカリ可溶性樹脂とラジカル重合性化合物の全合計含有量に対して、1重量%以上が好ましい。
一方、光重合開始剤の含有量は、露光に対する深部硬化性の観点から、アルカリ可溶性樹脂とラジカル重合性化合物の合計含有量100重量%に対して、60重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。
ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、露光時の感度向上および着色膜の硬度向上の観点から、(メタ)アクリル基が好ましい。ここでいう(メタ)アクリル基とは、メタクリル基またはアクリル基を指す。
ラジカル重合性化合物含有量は、露光に対する感度向上の観点から、前述のアルカリ可溶性樹脂とラジカル重合性化合物の全合計含有量に対して、5重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましい。一方、ラジカル重合性化合物の含有量は、キュア工程におけるリフロー性の観点から、アルカリ可溶性樹脂とラジカル重合性化合物の全合計含有量に対して、80重量%以下が好ましく、60重量%以下が好ましい。
ハーフトーンマスクによる段差状のパターン加工が容易になるという観点から、樹脂組成物にはポジ型の感光性を付与することが好ましい。(D’)光酸発生剤を含有することにより、露光部のアルカリ溶解性を相対的に高めて、ポジ型の感光性を付与することができるが、光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物を用いることが好ましい。キノンジアジド化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物とキノンジアジドスルホニル酸クロリドとのエステル化物がより好ましい。アルカリ溶解性を向上させるため、フェノール性水酸基の一部をエステル化せず意図的に残存させてもよい。
キノンジアジド化合物の含有量は、パターン加工性の観点から、前述のアルカリ可溶性樹脂の全量に対して1~50重量%が好ましい。
また、着色膜を得るための樹脂組成物は、さらに高分子分散剤を含有することが好ましい。
高分子分散剤とは、顔料表面への化学的結合または吸着作用を有する顔料親和性基と、親溶媒性を有する高分子鎖または基とを併せ持つものをいう。高分子分散剤は、後述の湿式メディア分散処理において、顔料の分散媒への濡れ性を向上させて顔料の解凝集を促進し、立体障害および/または静電反発効果により粒度および粘度を安定化させ、さらに、樹脂組成物の貯蔵時あるいは塗布時の色分離の発生を抑制する効果を奏する。
高分子分散剤としては、例えば、ポリエステル系高分子分散剤、アクリル系高分子分散剤、ポリウレタン系高分子分散剤、ポリアリルアミン系高分子分散剤、カルボジイミド系分散剤、ポリアミド系高分子分散剤などが挙げられる。これらの中でも、アクリル系高分子分散剤、ポリアミド系高分子分散剤がより好ましい。ポリアミド系高分子分散剤としては、ポリエステル鎖からなる側鎖を複数有する櫛型構造のものが好ましく、より具体的には、ポリアルキレンイミンなどの多数の窒素原子を有する構造を主鎖に有し、その窒素原子を介してアミド結合したポリエステル鎖の側鎖を複数有する化合物とが好ましい。このような櫛型構造のポリアミド系分散剤としては、例えば、“DISPERBYK”(登録商標)2200(ビックケミー社製)、“SOLSPERSE”(登録商標)11200、28000(いずれもルーブリゾール(株)製))などが挙げられる。
高分子分散剤は、アミン価が1mgKOH/g以上であり酸価が1mgKOH/g未満である分散剤、酸価が1mgKOH/g以上でありアミン価が1mgKOH/g未満である分散剤、アミン価が1mgKOH/g以上であり酸価が1mgKOH/g以上である分散剤、アミン価が1mgKOH/g未満であり酸価が1mgKOH/g未満である分散剤に分類される。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、アミン価が1mgKOH/g以上である分散剤が好ましい。
アミン価が1mgKOH/g以上であり酸価が1mgKOH/g未満である高分子分散剤としては、例えば、“DISPERBYK”(登録商標)102,160,161,162,2163,164,2164,166,167,168,2000,2050,2150,2155,9075,9077、“BYK”(登録商標)-LPN6919,“DISPERBYK”-LP N21116,“DISPERBYK”-LP N21234(
以上、いずれもビックケミー社製)、“EFKA”(登録商標)4015,4020,4046,4047,4050,4055,4060,4080,4300,4330,4340,4400,4401,4402,4403,4800(以上、いずれもBASF社製)、“アジスパー”(登録商標)PB711(味の素ファインテクノ(株)製)、“SOLSPERSE”13240,13940,20000,71000,76500(以上、いずれもルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。
アミン価が1mgKOH/g以上であり酸価が1mgKOH/g以上である高分子分散剤としては、例えば、“DISPERBYK”142,145,2001,2010,2020,2025,9076、Anti-Terra-205(以上、いずれもビックケミー社製)、“SOLSPERSE”24000(ルーブリゾール(株)社製)、“アジスパー”PB821,PB880,PB881(以上、いずれも味の素ファインテクノ(株)製)、“SOLSPERSE”9000,11200,13650,24000SC,24000GR,32000,32500,32550,326000,33000,34750,35100,35200,37500,39000、56000(ルーブリゾール(株)製)などが挙げられる。
高分子分散剤の含有量は、分散安定性を向上させる観点から、(B)着色材の全量に対して、10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。一方、高分子分散剤の含有量は、着色膜の耐熱性や密着性を向上させる観点から、(B)着色材の全量に対して、100重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましい。
また、着色膜を得るための樹脂組成物は、熱架橋剤を含有してもよい。熱架橋剤を含有することにより、最終的に得られる塗膜強度を向上させることができる。熱架橋剤としては、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
また、着色膜を得るための樹脂組成物は、レベリング剤を含有してもよい。レベリング剤を含有することにより、塗布性や着色膜の表面平滑性を向上させることができる。レベリング剤としては、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等の陰イオン界面活性剤;ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレート等の非イオン界面活性剤;ポリジメチルシロキサン等を主骨格とするシリコーン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。界面活性剤の市販品としては、例えば、“BYK”-302、“BYK”-333、“BYK”-3550、“BYK”-392(以上、いずれもビックケミー社製)が挙げられる。
着色膜を得るための樹脂組成物は、光学濃度(OD値)が4となるように着色膜を形成したときの、着色膜の波長920nmから960nmの近赤外線における平均光透過率が94%以上となることが好ましい。波長920nmから960nmにおける平均光透過率が94%以上であると、着色膜を介して得られる赤外線強度をより向上させ、アライメントマークの読み取り精度をより向上させることができる。
着色膜の光透過率は、透明基材上に、樹脂組成物の塗膜を形成し、ホットプレート等により塗膜を乾燥させた後、熱風オーブン等で加熱処理して着色膜を得て、透明基材の光透過率をリファレンスとして、紫外可視近赤外-分光光度計を用いて測定することができる。前述のとおり、架橋性基を含む(A)樹脂を用いた場合は、(A)樹脂に含有されていた架橋性基が、熱および/または光により架橋された結果として、実質的に残存していないことが好ましく、例えば、樹脂組成物が(A)樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合、加熱処理温度は170℃以上が好ましく、加熱処理時間は30分間以上が好ましい。紫外可視分光光度計としては、UV-3150((株)島津製作所製)が好ましく、透明基材としては、透光性ガラス基材であるテンパックス(AGCテクノグラス(株)製)が好ましい。なお、塗膜や着色膜のOD値は、光学濃度計(361TVisual;X-Rite社製)を用いて、塗膜または着色膜の入射光および透過光の強度をそれぞれ測定し、下記式(3)により算出することができる。
OD値= log10(I/I) ・・・式(3)
:入射光強度
I:透過光強度。
着色膜の光学濃度(OD値)としては、膜厚が1μmとなるように着色膜を形成したときの、該着色膜の光学濃度(OD値)が0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。単位膜厚あたりのOD値が高い、つまり可視光領域の透過率が低いほど、所望とする可視光遮光性を達成できる着色膜の膜厚を薄くすることが可能となる。
また、着色膜を得るための樹脂組成物は、光学濃度(OD値)が2となるように着色膜を形成したときの近赤外光領域におけるヘイズ値が2%以下となることが好ましく、1%以下であることが好ましく、0.5%であることがより好ましい。ヘイズ値は近赤外線透過光の散乱強度の指標であり、ヘイズ値が2%以下であると、着色膜を介して得られる近赤外線透過光の散乱強度がより抑制され、アライメント装置の検出精度が向上する。
着色膜のヘイズは、光透過率の測定と同様の操作で透明基材上に作製した着色膜(図2中、「測定基板」と表示)について、紫外可視近赤外-分光光度計および積分球を用いて図2に示す構成にて積分球に捕捉された光量(ある波長範囲でスキャニングして得られる、[積分球で検出した光の総量]/[積分球の透過側から積分球に入射された光の量]の総和)を測定することで下記式(4)により算出する。
ヘイズ(%) = [(T4/T2)―(T3/T1)]×100 ・・・式(4)
T1:透過側が開口状態で、反射側に標準白色板を設置した状態での積分球に捕捉された光量
T2:透過側に測定基板、反射側に標準白色板を設置した状態での積分球に捕捉された光量
T3:透過側および反射側共に開口状態での積分球に捕捉された光量
T4:透過側に測定基板を設置し、反射側が開口状態での積分球に捕捉された光量。
着色膜を得るための樹脂組成物の製造方法としては、例えば、分散機を用いて(A)樹脂、(B)着色材、および(C)有機溶剤を含有する樹脂溶液を分散させ、着色材濃度の高い着色材分散液を予め調製しておき、さらに(A)樹脂の追添や、必要に応じて(D)光重合開始剤およびラジカル重合性化合物や(D’)光酸発生剤などの他の成分を添加して撹拌する方法が好ましい。必要に応じて濾過を行ってもよい。
本発明においては、(B)着色材として、あらかじめ微粒化処理を行った顔料を用いることが好ましい。顔料を微粒化処理する手段としては、例えば、顔料と無機塩と有機溶剤とを混練磨砕するソルトミリング処理や、硫酸などの強酸にいったん溶解して、貧溶媒と混合するアシッドスラリー処理などが挙げられる。
ソルトミリング処理としては、顔料、水溶性無機塩および無機塩を溶解しない有機溶剤を混練した後、混練物を水中に投入し、得られたスラリーを濾過および水洗して無機塩を除去する方法が好ましい。顔料、水溶性無機塩および有機溶剤とともに、高分子分散剤などの樹脂や顔料誘導体を添加してもよく、ソルトミリング処理による微粒化後の顔料の再凝集を抑制することができる。
水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
有機溶剤としては、水溶性であり、水溶性無機塩を溶解しないものであれば特に限定されないが、ソルトミリング時に温度が上昇し、有機溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルグリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
混練装置としては、例えば、ニーダー、ミックスマーラー、プラネタリー型ミキサーである井上製作所(株)製の“トリミックス”(登録商標)、連続式一軸混練機である浅田鉄工(株)製の“ミラクルKCK”(登録商標)等が挙げられる。
(A)樹脂、(B)着色材、および(C)有機溶剤を含有する樹脂溶液を分散させる分散機としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミルなどが挙げられる。これらの中でも、分散効率化および微分散化のため、ビーズミルが好ましい。ビーズミルとしては、例えば、コボールミル、バスケットミル、ピンミル、ダイノーミルなどが挙げられる。ビーズミルのビーズとしては、例えば、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズが挙げられる。
本発明においては、ビーズミルにより多段階で分散することが好ましく、平均ビーズ径が0.1mmφよりも大きいビーズを用いたビーズミルにより分散処理した後、平均ビーズ径が0.1mmφ以下のビーズを用いたビーズミルにより分散処理する工程を有することが好ましい。平均ビーズ径が0.1mmφよりも大きいビーズを用いたビーズミルにより分散処理することにより、結晶子サイズの大きな顔料を効率的に解砕することができ、その後に平均ビーズ径が0.1mmφ以下の微小なビーズを用いたビーズミルにより分散処理することにより、顔料に与えるエネルギーを小さくして顔料の表面活性を抑えながら微分散することができ、樹脂組成物中における顔料の再凝集抑制し、より均一に分散させることができる。この場合、ビーズミルには、微小なビーズと分散液とを分離することが可能な、遠心分離方式によるセパレーターを備えることが好ましい。ここで、平均ビーズ径とは、ビーズの円相当径の数平均値をいう。具体的には、ビーズを実体顕微鏡で45倍に拡大撮影し、無作為に選んだ100個のビーズについて、それぞれ最長径と最短径を測定してその平均値を円相当径とし、その数平均値を算出することにより、ビーズ径を求めることができる。
着色膜を得るための樹脂組成物をガラス、プラスティック、フィルム等の基材上に塗布し、硬化させることにより、着色膜を得ることができる。基板としては透明なものを用いることが好ましい。塗布方法としては特に制限は無く、基材および樹脂組成物の液特性に合わせて、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、パッド印刷、凸版印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、グラビアコート、ロールコート、リバースロールコート、ロールドクタコート、バーコート、カーテンフローコート、ダイコート、スピンコート、エアドクタコート、スプレーコート等が挙げられる。
次に、着色膜を形成する方法について、ネガ型の感光性の樹脂組成物を例に挙げて説明する。
ネガ型の感光性をもった樹脂組成物を基板上に塗布して、塗布膜を得る。基板としては、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等の透明基板;シリコンウエハー、セラミックス類、ガリウムヒ素の基板などが挙げられる。塗布方法としては、例えば、スピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ダイコーティング、ロールコーティングなどが挙げられる。塗布膜の膜厚は、塗布方法等によって適宜選択することができる。乾燥後の膜厚を1~150μmとすることが一般的である。
得られた塗布膜を乾燥して、乾燥膜を得る。乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥、風乾、減圧乾燥、赤外線照射等が挙げられる。加熱乾燥装置としては、例えば、オーブン、ホットプレートなどが挙げられる。乾燥温度は50~150℃が好ましく、乾燥時間は1分間~数時間が好ましい。
得られた乾燥後の膜に、所望のパターンを有するマスクを介して化学線を照射して、露光膜を得る。照射する化学線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線などが挙げられ、なかでは、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を照射することが好ましい。
得られた露光膜を、アルカリ性現像液等を用いて現像することにより未露光部を除去し、パターンを得る。アルカリ性現像液に用いられるアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、n-プロピルアミン等の1級アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン等の2級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン等の4級アンモニウム塩;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等のアルコールアミン類;ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノナン、モルホリン等の環状アミン類等の有機アルカリ類が挙げられる。
アルカリ性現像液におけるアルカリ性化合物の濃度は0.01~50重量%が一般的であり、0.02~3重量%が好ましい。また、現像後のパターン形状をより良好なものとするため、非イオン系界面活性剤等の界面活性剤を0.1~5重量%添加しても構わない。さらに現像液がアルカリ水溶液の場合には、現像液にエタノール、γ-ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の水溶性有機溶剤を添加しても構わない。
現像方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、パドル法などが挙げられる。得られたパターンに、純水等を用いてリンス洗浄をしても構わない。
得られたパターンを加熱処理(ポストベーク)することにより、パターニングされた着色膜を得ることができる。加熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、真空状態のいずれで行ってもよい。加熱温度は150~300℃が好ましく、加熱時間は0.25~5時間が好ましい。加熱温度を連続的に変化させてもよいし、段階的に変化させてもよい。
得られた着色膜は可視光領域において高い遮光性と近赤外領域において高い透過率を有する。このことから、スマートフォンやタブレットPCなどの表示端末における外光反射抑制および有機ELやLEDディスプレイ内部の平坦化層や画素分割層などに好適に利用できる。とりわけ、有機ELディスプレイのような表示装置における画素分割層として、好適に用いることができる。
本発明の実施形態の一例を示す、画素分割層を具備する有機EL表示装置のTFT基板の断面図を図1に示す。
基材6の表面に、ボトムゲート型またはトップゲート型のTFT1(薄膜トランジスタ)が行列状に設けられており、TFT1と、TFT1に接続された配線2とを覆う状態でTFT絶縁層3が形成されている。さらに、TFT絶縁層3の表面には、平坦化層4が形成されており、平坦化層4には配線2を開口するコンタクトホール7が設けられている。平坦化層4の表面には、第二電極5がパターン形成されており、配線2に接続されている。第二電極5のパターン周縁を囲むようにして、画素分割層8が形成されている。画素分割層8には開口部が設けられており、開口部には有機EL発光材料を含む、発光画素9が形成されており、第一電極10が、画素分割層8と発光画素9とを覆う状態で成膜されている。以上の積層構成からなるTFT基板を真空下で封止した後に発光画素部に直接電圧を印加すれば、有機EL表示装置として発光させることできる。
発光画素9は、光の3原色である赤、青、緑領域それぞれの発光ピーク波長を有する異なる種類の画素が配列したもの、もしくは白色の発光光を放つ発光画素を全面に作製し、別途の積層部材として赤、青、緑のカラーフィルタを組み合わせたものであってもよい。通常表示される赤色領域のピーク波長は、560~700nm、青色領域のピーク波長は420~500nm、緑領域のピーク波長は、500~550nmであるが、発光画素の種類は特に限定されず、発光光がいかなるピーク波長を有していてもよい。発光画素を構成する有機EL発光材料としては、発光層に加え、さらに正孔輸送層および/または電子輸送層を組み合わせた材料を好適に用いることができる。
第二電極5としては、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物を用いることができ、中でも、透明性と導電性に優れることから、ITOを好適に用いることができる。ITOをパターン形成する方法としては、まずスパッタ法でITOを全面成膜したのちに、エッチング用ポジ型レジスト材料をフォトリソグラフィ法によりパターン形成してITO膜上にレジストパターンを得る。次に、該レジストパターン非形成部のITO膜のみを液温20~60℃のエッチング液により除去し、次いでレジストパターンを液温20~60℃のレジスト剥離液により除去し、さらに必要に応じて所望の結晶化度となるよう熱処理を行う方法が挙げられる。ここでいうITOとは、いわゆるアモルファスITOを包括する。
有機EL表示装置の光取り出し方向は、発光画素から放たれる発光光を、基材6を介して基材側へ取り出す、ボトムエミッション型有機EL表示装置であってもよいし、第一電極を介して発光光を基材6の反対側へ取り出す、トップエミッション型有機EL表示装置であってもよく、特に限定されない。トップエミッション型有機EL表示装置である場合は、平坦化層4と第二電極5の間には、1方向への光取り出し効率を高めるため、パターン状の金属反射層をさらに設けるなどしてもよい。金属反射層としては、例えば、銅、ガリウム、マグネシウムなどの異種金属元素を含有する銀合金からなる導電膜が挙げられる。
第一電極10の具体例としては、ボトムエミッション型有機EL表示装置である場合、光反射性に優れる点で、アルミニウムからなる層を好ましく用いることができ、トップエミッション型有機EL表示装置である場合、光透過性に優れる点で、銀/マグネシウムからなる銀合金からなる層を好ましく用いることができる。第一電極は通常スパッタ法で全面成膜されるため、局所的な成膜欠陥の発生を回避する上で、画素分割層8の表面平滑性が高いほど、その価値が高い。画素分割層は通常、フォトリソグラフィにより膜厚0.3~5.0μmの範囲でパターン形成される。
なお画素分割層は発光層形成時に蒸着マスクにより画素が破損するのを避けるため段差状のフォトスペーサーを設けてもよい。特に段差形状を1度の露光現像で一括形成できるため、着色膜をパターニング加工するためのフォトマスクが、透光部、遮光部および半透光部を有するハーフトーンフォトマスクであると好ましい。
基材6にガラスなどに代表される硬質の板状基材を用いれば、曲げることができないリジッドタイプの有機EL表示装置とすることができる。ガラスとしては、アルカリ金属元素の含有量が0.5%未満であり、ケイ素を主成分とする無アルカリガラスを好適に用いることができる。中でも、熱膨張係数が小さく、250℃以上の高温プロセスにおける寸法安定性に優れたものがよく、例えば、OA-10G、OA-11(以上、いずれも日本電気硝子(株)製)、AN-100(旭硝子(株)製)が挙げられ、その厚さは、物理的耐久性の観点から通常は0.1~0.5mmである。
以下に本発明を実施例および比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定して解釈されるものではない。
<評価方法>
[顔料の結晶子サイズ]
着色膜中の顔料の結晶子サイズ測定サンプルとして、各実施例および比較例により得られた着色膜をガラス基板より削りだしてアルミ製標準試料ホルダーに詰めた。これらの測定サンプルについて、(株)BrukerAXS製X線回折装置DS ADVANCE(商品名)を用いて、X線源をCuKα線として、広角X線回折法によりX線回折スペクトルを測定した。測定条件としては、出力は40kV/40mA、スリット系はDiv.Slit:0.3°、測定ステップ(2θ)は0.0171°、計測時間は0.5秒/ステップとした。
顔料に由来する主ピークの回折角および半値幅を測定し、前記式(1)で表されるシェラーの式を用いて、顔料を構成する結晶子サイズを求めた。
[着色材の可視光透過率比T555/Tave
製造例により得られた着色材分散液について、合成例1により得られたアクリル樹脂を添加し、固形成分の総合計含有量に対して着色材の含有量が25重量%となるように配合された樹脂組成物を作製した。作製した樹脂組成物を、ガラス基板に硬化後の膜厚が2μmとなるように形成して得られた着色膜について、(株)島津製作所製紫外-可視分光光度計UV-3150を用いて、波長555nmにおける透過率(T555)、および450nm~650nmにおける平均透過率(Tave)を測定することで、透過率比T555/Tave(なお、赤色顔料にあっては、TR1/TR0に同義)を算出した。
[遮光性]
各実施例および比較例により得られた着色膜について、X-Rite社製光学濃度計361TVisualを用いて、膜厚1μmあたりのOD値を算出した。
[可視光遮光性および近赤外線透過性]
各実施例および比較例により得られた着色膜について、(株)島津製作所製紫外-可視分光光度計UV-3150を用いて、OD値が4.0となる膜厚における、波長400nmから700nmにおける透過率を測定し、最大透過率を求めた。なお、着色膜の形成されていないガラス基板をリファレンスとし、塗膜のみでの透過率を求めた。最大透過率が低いほど、可視光領域における遮光性に優れる。また、各実施例および比較例により得られた着色膜について、OD値が4.0となる膜厚における、波長920nmから960nmにおける透過率を同様に測定し、平均透過率を求めた。平均透過率が高いほど、近赤外領域における光透過性に優れる。
[ヘイズ]
各実施例および比較例により得られた着色膜について、(株)島津製作所製紫外-可視分光光度計UV-3150および積分球を用い、図2に示す構成にて、OD値が2.0となる膜厚における、波長920nmから960nmにおける積分球に捕捉された光量(前記波長範囲でスキャニングして得られる、[積分球で検出した光の総量]/[積分球の透過側から積分球に入射された光の量]の総和)を測定し、下記式(4)によりヘイズ値を算出した。ヘイズ値が小さいほど、透過光の散乱が抑制されている。
ヘイズ(%)=((T4/T2)-(T3/T1))×100 ・・・式(4)
T1:透過側が開口状態で、反射側に硫酸バリウムからなる標準白色板を設置した状態での積分球に捕捉された光量
T2:透過側に測定基板、反射側に硫酸バリウムからなる標準白色板を設置した状態での積分球に捕捉された光量
T3:透過側および反射側共に開口状態での積分球に捕捉された光量
T4:透過側に測定基板を設置し、反射側が開口状態での積分球に捕捉された光量。
[アライメントマーク読み取り評価]
アライメントマークがパターン形成されたガラス基板上に各実施例および比較例に記載の方法で着色膜を作製した後、露光機に付属の近赤外線アライメント機構でアライメントマークの読み取りが可能か判定した。読み取りできた場合は「可」、できなかった場合は「不可」と判定した。
(合成例1 アクリル樹脂(P-1)の合成)
特許第3120476号明細書の実施例1に記載の方法により、メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン共重合体(重量比30/40/30)を合成した。得られた共重合体100重量部に対し、グリシジルメタクリレート40重量部を付加させ、精製水で再沈し、濾過および乾燥することにより、重量平均分子量15,000、酸価110mgKOH/gのアルカリ可溶性のアクリル樹脂(P-1)を得た。なお、アクリル樹脂の酸価は、アクリル樹脂1gを中和するのに要した水酸化カリウムの量(mg)とし(単位:mgKOH/g)、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー(株)製試験装置)を用いて、キャリヤーをテトラヒドロフランとして、ポリスチレン換算により測定した。
(製造例1 赤色顔料PR254-1の製造)
200gのBASF(株)製“IrgazinDPP Red 2030”(PR254)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して赤色顔料PR254-1を得た。
(製造例2 赤色顔料PR177-1の製造)
200gのBASF(株)製“CromophtalRed A3B”(PR177)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して赤色顔料PR177-1を得た。
(製造例3 赤色顔料PR179-1の製造)
200gのClariant(株)製“HostapermRed P2GL-WD”(PR179)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して赤色顔料PR179-1を得た。
(製造例4 赤色顔料PR264-1の製造)
200gのBASF(株)製“IrgazinDPP Red Ultra Opaque”(PR264)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して赤色顔料PR264-1を得た。
(製造例5 赤色顔料PR122-1の製造)
200gのClariant(株)製“HostapermPinkEB transp”(PR122)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して赤色顔料PR122-1を得た。
(製造例6 青色顔料PB15:6-1の製造)
200gのトーヨーカラー(株)製“LIONOLBLUE ES”(PB15:6-1)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して青色顔料PB15:6-1を得た。
(製造例7 黄色顔料PY138-1の製造)
200gのBASF(株)製“PALIOTORYELLOW K0961 HD”(PY138)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して黄色顔料PY138-1を得た。
(製造例8 黄色顔料PY150-1の製造)
200gのランクセス(株)製“E-4GN”(PY150)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して黄色顔料PY150-1を得た。
(製造例9 黄色顔料PY139-1の製造)
200gのBASF(株)製“IrgaphorYELLOW 2RCF”(PY139)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して黄色顔料PY139-1を得た。
(製造例10 黄色顔料PY185-1の製造)
200gのBASF(株)製“PaliotolYellow D1155”(PY185)、2400gの塩化ナトリウムおよび400gのジエチレングリコールをニーダー((株)森山製作所製、S型ニーダー(商品名))に投入し、70℃で8時間混練した。次に、この混練物を約10Lの温水に投入し、40℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除き、80℃で24時間真空乾燥して黄色顔料PY185-1を得た。
(製造例11 着色材分散液(DR-1)の製造)
前記赤色顔料PR254-1120g、合成例1により得られたアクリル樹脂(P-1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)35重量%溶液171g、高分子分散剤としてアミン系高分子分散剤“BYKLPN-21116”20gおよびPGMEA689gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。ビーズ径0.50mmφのジルコニアビーズを75体積%充填した遠心分離セパレーターを具備した寿工業(株)製分散機ウルトラアペックスミルUAM015に、得られた予備分散液を供給し、回転速度12m/sで20分間分散を行い、続いて、分散処理後の液を、ビーズ径0.05mmφのジルコニアビーズを75体積%充填したウルトラアペックスミルUAM015に供給し、回転速度8m/sで90分間分散を行い、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DR-1を得た。
(製造例12 着色材分散液(DR-2)の製造)
前記赤色顔料PR254-1120g、合成例1により得られたアクリル樹脂(P-1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)35重量%溶液171g、高分子分散剤としてアミン系高分子分散剤“BYKLPN-21116”20gおよびPGMEA689gをタンクに仕込み、ホモミキサーで20分撹拌し、予備分散液を得た。ビーズ径1.0mmφのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカー(株式会社東洋精機製作所)で3時間分散を行った後に5μmのフィルターでろ過し、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DR-2を得た。
(製造例13 着色材分散液(DR-3)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、赤色顔料PR177-1を用いた以外は製造例11と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DR-3を得た。
(製造例14 着色材分散液(DR-4)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、赤色顔料PR179-1を用いた以外は製造例11と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DR-4を得た。
(製造例15 着色材分散液(DR-5)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、赤色顔料PR264-1を用いた以外は製造例11と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DR-5を得た。
(製造例16 着色材分散液(DR-6)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、赤色顔料PR122-1を用いた以外は製造例11と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DR-6を得た。
(製造例17 着色材分散液(DB-1)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、青色顔料PB15:6-1を用いた以外は製造例11と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DB-1を得た。
(製造例18 着色材分散液(DB-2)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、青色顔料PB15:6-1を用いた以外は製造例12と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DB-2を得た。
(製造例19 着色材分散液(DY-1)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、黄色顔料PY138-1を用いた以外は製造例11と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DY-1を得た。
(製造例20 着色材分散液(DY-2)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、黄色顔料PY138-1を用いた以外は製造例12と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DY-2を得た。
(製造例21 着色材分散液(DY-3)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、黄色顔料PY150-1を用いた以外は製造例11と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DY-3を得た。
(製造例22 着色材分散液(DY-4)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、黄色顔料PY139-1を用いた以外は製造例11と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DY-4を得た。
(製造例23 着色材分散液(DY-5)の製造)
赤色顔料PR254-1の代わりに、黄色顔料PY185-1を用いた以外は製造例11と同様にして、固形分濃度20重量%、着色材/(樹脂+高分子分散剤)(重量比)=60/40の着色材分散液DY-5を得た。
製造例11~23の組成、分散条件およびX線回折スペクトルと着色材の透過率の測定結果を表1に示す。
Figure 2023030340000003
(実施例1)
20.83gの着色材分散液(DR-1)と31.25gの着色材分散液(DB-1)の混合液に、アクリルポリマー(P-1)のPGMEA35重量%溶液を19.75g、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)を7.27g、密着改良剤としてKBM5103(信越化学(株)製)を0.38g、界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤“BYK”333(ビックケミー社製)のPGMEA10重量%溶液0.3gを20.22gのPGMEAに溶解した溶液を添加して、全固形分濃度25重量%、全固形分100重量部に対する着色材の含有量が25重量部の樹脂組成物PC-1を得た。
得られた樹脂組成物PC-1を、ITO/Ag/ITO積層膜によってアライメントマークをパターン形成した厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板(AN100)上に、ミカサ(株)製スピンナー(1H-DS)を用いて塗布し、塗布膜を100℃のホットプレート上で2分間加熱乾燥した。この乾燥膜を熱風オーブン中230℃で30分間ポストベークして着色膜C-1を得た。この着色膜C-1について、前述の方法により評価した結果を表2に示す。なお[顔料の結晶子サイズ]、[着色材の可視光透過率比T555/Tave]、[遮光性]、[可視光遮光性および近赤外線透過性]および[ヘイズ]については基板中アライメントマークの無い部分で測定した。
(実施例2)
着色材分散液(DR-1)を31.25gとし、着色材分散液(DB-1)を20.83gとした以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物PC-2を得た。得られた樹脂組成物PC-2を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例3)
着色材分散液(DR-1)を41.66gとし、着色材分散液(DB-1)を10.42gとした以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物PC-3を得た。得られた樹脂組成物PC-3を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例4)
着色材分散液(DR-1)を26.04g、着色材分散液(DB-1)を18.23gとし、さらに着色材分散液(DY-1)を7.81g混合した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物PC-4を得た。得られた樹脂組成物PC-4を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。また、着色膜のX線回折プロファイルを図3に示す。
(実施例5)
着色材分散液(DR-1)の代わりに着色材分散液(DR-3)を用いた以外は実施例4と同様にして、樹脂組成物PC-5を得た。得られた樹脂組成物PC-5を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例6)
着色材分散液(DY-1)の代わりに着色材分散液(DY-3)を用いた以外は実施例4と同様にして、樹脂組成物PC-6を得た。得られた樹脂組成物PC-6を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例7)
着色材分散液(DY-1)の代わりに着色材分散液(DY-3)を用いた以外は実施例5と同様にして、樹脂組成物PC-7を得た。得られた樹脂組成物PC-7を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例8)
着色材分散液(DR-4)を33.85g、着色材分散液(DB-1)を18.23g混合した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物PC-8を得た。得られた樹脂組成物PC-8を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例9)
着色材分散液(DR-4)を26.04g、着色材分散液(DB-1)を18.23g、着色材分散液(DY-5)を7.81g混合した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物PC-9を得た。得られた樹脂組成物PC-9を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例10)
着色材分散液(DR-3)の代わりに着色材分散液(DR-5)を用いた以外は実施例7と同様にして、樹脂組成物PC-10を得た。得られた樹脂組成物PC-10を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例11)
着色材分散液(DY-3)の代わりに着色材分散液(DY-4)を用いた以外は実施例10と同様にして、樹脂組成物PC-11を得た。得られた樹脂組成物PC-11を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例12)
着色材分散液(DY-4)の代わりに着色材分散液(DY-5)を用いた以外は実施例11と同様にして、樹脂組成物PC-12を得た。得られた樹脂組成物PC-12を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例13)
着色材分散液(DR-5)の代わりに着色材分散液(DR-6)を用いた以外は実施例12と同様にして、樹脂組成物PC-13を得た。得られた樹脂組成物PC-13を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例14)
着色材分散液(DB-1)の代わりに着色材分散液(DB-2)を用いた以外は実施例4と同様にして、樹脂組成物PC-14を得た。得られた樹脂組成物PC-14を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例15)
10.42gの着色材分散液(DR-1)、7.29gの着色材分散液(DB-1)および3.12gの着色材分散液(DY-1)を混合し、アクリルポリマー(P-1)のPGMEA35重量%溶液を32.35g、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)を9.10g、密着改良剤としてKBM5103(信越化学(株)製)を0.38g、界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤“BYK”333(ビックケミー社製)のPGMEA10重量%溶液0.3gを37.03gのPGMEAに溶解した溶液を添加して、全固形分濃度25重量%、全固形分100重量部に対する着色材の含有量が10重量部の樹脂組成物PC-15を得た。得られた樹脂組成物PC-15を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(実施例16)
41.67gの着色材分散液(DR-1)、29.16gの着色材分散液(DB-1)および12.50gの着色材分散液(DY-1)を混合し、アクリルポリマー(P-1)のPGMEA35重量%溶液を7.14g、多官能モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)を5.43g、密着改良剤としてKBM5103(信越化学(株)製)を0.38g、界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤“BYK”333(ビックケミー社製)のPGMEA10重量%溶液0.3gを3.42gのPGMEAに溶解した溶液を添加して、全固形分濃度25重量%、全固形分100重量部に対する着色材の含有量が40重量部の樹脂組成物PC-16を得た。得られた樹脂組成物PC-16を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
(比較例1)
着色材分散液(DR-1)の代わりに着色材分散液(DR-2)、着色材分散液(DB-1)の代わりに着色材分散液(DB-2)、着色材分散液(DY-1)の代わりに着色材分散液(DY-2)を用いた以外は実施例4と同様にして、樹脂組成物PC-17を得た。得られた樹脂組成物PC-17を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。また、着色膜のX線回折プロファイルを図3に示す。
(比較例2)
着色材分散液(DR-1)の代わりに着色材分散液(DR-2)を用いた以外は実施例4と同様にして、樹脂組成物PC-18を得た。得られた樹脂組成物PC-18を用いて、実施例1と同様の評価をした。結果を表2に示す。
Figure 2023030340000004
本発明による基板は、可視光領域における最大透過率が低く、近赤外領域における平均透過率が高く、ヘイズも低いことがわかる。一方、赤色顔料の結晶子サイズが大きいものが用いられた基板は、近赤外領域における平均透過率が低く、ヘイズも高く、露光機のアライメント機構による位置合わせが不可能であった。
本発明の自発光型表示装置向け基板は、有機ELディスプレイやLEDディスプレイなどの自発光型表示装置の基板として好適に利用できる。
1:TFT
2:配線
3:TFT絶縁膜
4:平坦化層
5:第二電極(ITO電極)
6:基材
7:コンタクトホール
8:画素分割層
9:発光画素
10:第一電極

Claims (9)

  1. (A)樹脂および(B)着色材として赤色顔料および青色顔料を含有する着色膜を具備する自発光型表示装置用の基板であって、CuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルの主ピークより得られる半値幅より算出した前記赤色顔料の結晶子サイズが5nm以上25nm以下であることを特徴とする自発光型表示装置用基板。
  2. 前記赤色顔料の、波長450~650nmにおける平均透過率T(%)と波長550nmにおける透過率TR1(%)の比TR1/TR0が0.001以上0.10以下である請求項1に記載の自発光型表示装置用基板。
  3. 前記(B)着色材として、PR177、PR179およびPR264からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の赤色顔料を含有する請求項1または2に記載の自発光型表示装置用基板。
  4. 前記(B)着色材として、PB15:3およびPB:15:6からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の青色顔料を含有する請求項1~3のいずれかに記載の自発光型表示装置用基板。
  5. 前記(B)着色材の全量に対し、赤色顔料の含有量が45~65重量%、かつ青色顔料の含有量が30~50重量%である請求項1~4のいずれかに記載の自発光型表示装置用基板。
  6. 前記(B)着色材として、PY139、PY150およびPY185からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の黄色顔料を含有し、前記(B)着色材の全量に対し、黄色顔料の含有量が5~25重量%である請求項1~5のいずれかに記載の自発光型表示装置用基板。
  7. 膜厚が1μmとなるように着色膜を形成したときの該着色膜の光学濃度(OD値)が0.5以上である請求項1~6のいずれかに記載の自発光型表示装置用基板。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の自発光型表示装置用基板を製造するための方法であって、樹脂(A)としてアルカリ可溶性樹脂、(B)着色材として青色顔料およびCuKα線をX線源としたときのX線回折スペクトルの主ピークより得られる半値幅より算出した結晶子サイズが5nm以上25nm以下である赤色顔料とを用い、更に(C)有機溶剤を含み、更に(D)光重合開始剤およびラジカル重合性化合物または(D’)光酸発生剤を含む樹脂組成物を基板に塗布する工程、基板に塗布された膜を乾燥する工程、および、乾燥された膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングする工程、必要に応じてパターニングされた膜を硬化する工程を含む自発光型表示装置用基板の製造方法。
  9. 前記フォトリソグラフィ法によるパターニングが、透光部、遮光部および半透光部を有するハーフトーンフォトマスクを用いてなされることを特徴とする請求項8に記載の自発光型表示装置用基板の製造方法。
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