JP2023029081A - 測定装置および測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーブル長を良好な精度で検出する。【解決手段】本発明によれば、信号発生器と測定器とを備える測定装置であって、前記信号発生器は、点対称でかつ周期的な波形を持つ入力信号を、入力信号周波数を変えつつ出力し、前記測定器は、合成信号を検出し、前記合成信号の振幅が極値を取るときの前記入力信号周波数に基づいてケーブル長を測定し、前記合成信号は、被測定ケーブルの一端に印加される前記入力信号と前記被測定ケーブルの他端での反射による反射信号とが前記一端で合成された信号である、測定装置が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、測定装置および測定方法に関し、特にケーブル長を測定する測定装置および測定方法に関する。
特許文献1には、ケーブル長を測定する技術が開示されている。特許文献1では、時間に応じて単調増加する入力電圧信号(図3参照)が、被測定ケーブルの一端に印加される。電圧信号は被測定ケーブルの他端で反射される。被測定ケーブルの一端で反射電圧信号と入力電圧信号とが合成される。この合成電圧値の大きさに基づいて、ケーブル長の測定が行われる。
特許第3446918号
特許文献1の技術は、合成電圧値の大きさに依拠したケーブル長測定方法である。ケーブル内の伝播信号は、各種電気ノイズ等の外乱で大きく変動することがある。合成電圧値の大きさが変動すると、ケーブル長測定精度が大きく低下してしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ケーブル長を良好な精度で測定できる、測定装置および測定方法を提供するものである。
本発明によれば、信号発生器と測定器とを備える測定装置であって、前記信号発生器は、点対称でかつ周期的な波形を持つ入力信号を、入力信号周波数を変えつつ出力し、前記測定器は、合成信号を検出し、前記合成信号の振幅が極値を取るときの前記入力信号周波数に基づいてケーブル長を測定し、前記合成信号は、被測定ケーブルの一端に印加される前記入力信号と前記被測定ケーブルの他端での反射による反射信号とが前記一端で合成された信号である、測定装置が提供される。
入力信号が伝播する導体の全長と入力信号周波数との関係に応じて、周波数特性上で合成信号の振幅が極値を取る周波数が決まる。この既知の関係を利用すれば、合成信号の振幅が極値を取るときの入力信号周波数に基づいて、ケーブル長を導き出すことができる。ケーブル長と入力信号周波数との関係を利用するので、外乱による検出精度の低下を招きにくく、良好な測定精度を得やすい利点がある。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記合成信号の振幅が極値を取るときの前記入力信号周波数から求まる伝播時間と、参照ケーブルのケーブル長と、前記参照ケーブルを前記入力信号が伝播するのにかかる伝播時間と、に基づいて前記被測定ケーブルのケーブル長を測定してもよい。
好ましくは、前記ケーブル長の計算に用いるべき信号伝播速度理論値を取得するための取得手段を備えてもよい。
好ましくは、前記測定器は、前記入力信号周波数の一方向掃引に応じて前記合成信号の振幅の変化を逐次検出し、前記合成信号の振幅の増減が反転した場合、前記合成信号の振幅が前記極値を通過したと判定してもよい。
好ましくは、前記測定器は、前記合成信号の振幅の大きさに応じた直流信号を生成し、前記直流信号に基づいて前記極値を検出してもよい。
好ましくは、前記測定器は、バイアス信号を加えつつ前記合成信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路での増幅後の前記合成信号を受け取るA/D変換器と、を含み、前記測定器は、増幅後の前記合成信号の尖頭部が前記A/D変換器の入力信号範囲から外れないように前記バイアス信号の大きさを調節してもよい。
好ましくは、前記測定器は、前記合成信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路よりも後段に設けられたA/D変換器と、を含み、前記増幅回路の利得は、設定されたスイープ間隔で前記入力信号周波数を掃引したときの前記合成信号の振幅の最小変化幅を前記A/D変換器の分解能以上の大きさに増幅する程度の利得に設定されてもよい。
本発明の別の観点によれば、被測定ケーブルのケーブル長を測定する測定方法であって、前記測定方法は、印加工程と、検出工程と、測定工程と、を備え、前記印加工程は、点対称でかつ周期的な波形を持つ入力信号を、入力信号周波数を変化させつつ、前記被測定ケーブルの一端に印加し、前記検出工程は、前記被測定ケーブルの他端での反射による反射信号と前記入力信号とが前記一端で合成された合成信号を検出し、前記測定工程は、前記合成信号の振幅が極値を取るときの前記入力信号周波数に基づいて前記ケーブル長を測定する、測定方法が提供される。
実施の形態の測定装置の構成を示す図である。 実施の形態の測定方法を説明するための図である。 実施の形態の測定方法を説明するための図である。 実施の形態の測定方法を説明するための図である。 実施の形態の測定装置における信号発生器および測定器の構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態の正弦波発振器の一例である。 実施の形態のラインドライバーの一例である。 実施の形態のクランプ回路の一例である。 実施の形態の増幅回路の一例である。 実施の形態のピークホールド回路の一例である。 実施の形態のローパスフィルタ回路の一例である。 図12Aおよび図12Bは実施の形態のバイアス設定方法を説明するための図である。 実施の形態の制御フローの一例である。 図14Aおよび図14Bは実施の形態の変形例の測定方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
1.測定装置1の構成および測定方法
1-1.装置構成
図1に示す測定装置1は、信号発生器2と測定器3とを備える。信号発生器2は、入力電圧信号Vinを出力する。信号発生器2は、入力信号周波数finを可変設定できる。入力電圧信号Vinは、被測定ケーブル4の一端4aに印加される。被測定ケーブル4の他端4bでの反射により、反射電圧信号Vが被測定ケーブル4の一端4aに戻ってくる。この反射電圧信号Vは、被測定ケーブル4の一端4aにおいて、信号発生器2から追加された入力電圧信号Vinと合成される。ここで合成された信号を、「合成電圧信号」とも称す。
図1の被測定ケーブル4は一例として2芯ケーブルである。実施の形態では、第一の芯線の一端4aに入力電圧信号Vinを印加し、この第一の芯線の他端4bが開放端とされる。第二の芯線は基準電位(具体的にはグランド電位)に接続されるものとする。入力電圧信号Vinは、被測定ケーブル4内を伝播し、開放端である他端4bにて反射する。その後、反射電圧信号Vとして一端4aに再び到達する。
1-2.測定原理および測定方法
実施の形態では入力電圧信号Vinを正弦波信号とする。この場合、入力電圧信号Vinの大きさは、下記式(1)で表される。式(1)において、Aは入力電圧信号Vinの振幅であり、ωは角周波数である。
in=Asinωt ・・・・・(1)
他端4bでの反射後に、反射電圧信号Vが一端4aに到達する。この反射電圧信号Vの大きさは、下記式(2)で表される。
θは、入力電圧信号Vinと反射電圧信号Vとの位相差である。
αは、入力電圧信号Vinと反射電圧信号Vとの振幅比(1以下の定数)である。
=Aαsin(ωt+θ) ・・・・・(2)
合成電圧信号Vは、被測定ケーブル4の一端4aで観測される。
合成電圧信号Vは、上記式(1)、(2)の和である下記式(3)で表される。
Figure 2023029081000002
図2に、合成電圧信号Vと合成振幅|V|の一例を図示する。式(3)右辺のsin関数が持つ振幅を、合成振幅|V|とも称す。下記式(4)が合成振幅|V|である。合成振幅|V|はθの関数である。θ=πのとき「2αcosθ」の項がマイナス2αとなり、合成振幅|V|が最小となる。なお、図2のVPHは後述のピークホールド回路34で取得される直流電圧であるが、その詳細は後ほど説明する。
Figure 2023029081000003
被測定ケーブル4を入力電圧信号Vinが往復するのにかかる時間を、Ttripとする。θとTtripとの間には、下記の式(5)の関係が成り立つ。式(5)の入力信号周波数finは、例えば信号発生器2の周波数設定値から特定してもよい。
θ=ωT=2πfin×Ttrip ・・・・・・・(5)
式(4)で極小振幅を得る条件θ=πに基づき、式(5)において左辺θをπとおく。そうすると、下記式(6)が導出される。式(6)で振幅極小となるfinは、θ=πの周波数を意味する「fπ」と記載する。式(6)により、入力電圧信号Vinの往復伝播時間Ttripが得られる。
Figure 2023029081000004
なお、前述の式(4)からもわかるように、合成振幅|V|が極小を取るθは、π以外にもθ=3π、5π・・・がある。そこで、振幅極小となる複数の入力信号周波数のうち、θ=πの周波数を特にfπと記載している。θ=3π、5π・・・の周波数と区別するためである。
図3に示す周波数特性は、三種類の異なる長さのケーブルについて、入力信号周波数finに応じた合成振幅|V|の理論値を計算した結果である。各ケーブル長の周波数特性に、極小値VSPLおよび極大値VSPHと、各極値に対応する入力信号周波数finp11、finp21、finp31、finp32が図示されている。
例えばケーブル長10mの周波数特性に着目する。0MHzから入力信号周波数finを増大させていくと、やがて3.5MHz辺りで初回の極小値VSPLが到来する。この3.5MHz辺りの入力信号周波数finをfinp11とする。同様に、ケーブル長20mでは2.1MHz付近の周波数finp21で、初回の極小値VSPLが到来する。ケーブル長30mでは、約1.5MHz付近のfinp31で、初回の極小値VSPLが到来する。これらの入力信号周波数finp11、finp21、finp31は、θ=πの条件に基づき得られる周波数fπである。
図3には、ケーブル長30mについての極大値VSPHも図示される。入力信号周波数finp31からさらに周波数を増大させると、合成振幅|V|は極大値VSPHを通過して減少に転ずる。約3.0MHzの周波数finp32で、初回の極大値VSPHが到来する。ケーブル長10m、20mの周波数特性では表れていないが、極小値VSPLから更にfinを増大させれば同様に極大値VSPHが到来する。各々のケーブル長でさらにfinを増大させれば、第二極小値、第二極大値、第三極小値、第三極大値・・・というように、極小値と極大値とが交互に繰返し現れる。
図3から把握されるように、ケーブル長が長いものほど初回の極値(初回の極小値や初回の極大値)が低周波数側に現れる。このような極値の発生は、高周波信号が持つ波の性質に由来する。極値が現れる周波数は、導体の全長、信号伝播速度、信号周波数(信号波長)などの要因から理論的に求まる。この理論的関係が既知であるため、「合成振幅Vが極値VSPL、VSPHを取る入力信号周波数finp11、finp21、finp31、finp32」に基づいてケーブル長を導き出すことができる。
式(6)で求めた往復伝播時間Ttripに基づいてケーブル長を求める具体的方法を述べる。一つの例として、既知の参照ケーブルを利用した相対比較でもよい。まず、参照ケーブル長Lrefを、予め巻尺などを用いて実測しておく。さらに、参照ケーブルに対して、図1に示した測定装置1で測定を行う。参照ケーブルについても、上記式(6)に基づき、往復伝播時間すなわち参照時間Ttrip_refを求める。被測定ケーブル4内の信号伝播速度が周波数によらず一定であるとして、被測定ケーブル4のケーブル長Lを下記式(7)で導出してもよい。これにより、被測定ケーブル4の往復伝播時間Ttripと、参照ケーブル長Lrefと、参照ケーブルの往復伝播時間(つまり参照時間Ttrip_ref)とに基づいてケーブル長Lを測定することができる。ここで求めた参照ケーブルの信号伝播速度は、測定装置1が有する図示しないメモリに記憶させておき、以下に記載する信号伝播速度理論値として用いることで別の同種のケーブルを引き続き測長することができる。
Figure 2023029081000005
他の例として、信号伝播速度理論値からケーブル長Lを算出してもよい。まず、被測定ケーブル4の構造および材質に基づいて、「ケーブル内の信号伝播速度理論値cref」を予め取得しておく。取得方法は、計算やシミュレーションでもよく、実験でもよい。往復伝播時間Ttripの1/2の時間が、片道分の伝播時間である。「距離=速度×時間」なので、信号伝播速度理論値crefと片道伝播時間とを乗算すればよい。つまりケーブル長Lを下記式(8)に基づいて算出できる。
Figure 2023029081000006
参照ケーブル長Lrefや信号伝播速度理論値crefは、被測定ケーブル4の構造材質の違いに応じたいくつかの数値が用意されてもよい。ただし、実用面では、多数の値を事前準備することは煩雑である。そこで、1つまたは幾つかの標準的なケーブルについて参照ケーブル長Lrefまたは信号伝播速度理論値crefを取得しておき、これを標準値として流用してもよい。
1-3.振幅極小となる入力信号周波数の検出方法
図4を用いて、振幅極小となる周波数の検出方法の一例を説明する。例えば1.1MHz辺りを開始点とし、微小なスイープ間隔Δfで、入力信号周波数finが増加方向へと掃引される。周波数スイープ間隔Δfは、周波数掃引の変化分である。スイープ間隔Δfは、回路仕様等に応じて予め設定される。
図4における領域Q1は、極小値VSPLよりも手前(つまり0Hz側)の領域を指している。領域Q1では、合成振幅|V|は減少カーブを示す。このため、Δfの増加に応じて電圧変化分ΔVはマイナス値である。一方、図4における領域Q2は、極小値VSPLを超えた領域を指している。領域Q2では、合成振幅|V|が増加カーブを示す。このため、領域Q2では、Δfを増加させると電圧変化分ΔVはプラス値となる。極小値VSPLの周辺で周波数掃引を行っている際に、電圧変化分ΔVの正負反転が起きた時点で、極小値VSPLを通過したことが分かる。
そこで、電圧変化分ΔVの正負反転直前に信号発生器2が発した入力信号周波数finを読み出して、その周波数値を「合成振幅Vが極小値VSPLを取るときの入力信号周波数finp」とすればよい。この方法では、最大Δfの誤差を含むことになるが、符号が反転した直後の入力信号周波数finを読み出して、その周波数値を「合成振幅Vが極小値VSPLを取るときの入力信号周波数finp」としてもよく、これにより同様の測定結果を得てもよい。
1-4.測定ステップの例
以上説明した実施の形態の測定方法は、例えば次のようにステップS1(印加工程)、ステップS2(検出工程)、およびステップS3(測定工程)の順番で実行してもよい。まずステップS1として、信号発生器2を用いて、入力信号周波数finを変化させつつ、正弦波の入力電圧信号Vinを被測定ケーブル4の一端4aに印加する。次に、ステップS2として、測定器3で合成振幅|V|を検出する。合成電圧信号Vの電圧波形を読み取ることは、公知の各種技術的手段で様々に実現可能である。ゆえに、合成振幅|V|の検出方法は任意である。一例として、後述のピークホールド回路34で図2のピークホールド直流電圧VPHを取得してもよい。
次に、ステップS3として、測定器3により、合成振幅|V|が極小値VSPLを取るときの入力信号周波数finpを特定する。一例として、図4で説明したように、Δf増加に応じた変化分ΔVの正負反転を検出してもよい。特定した入力信号周波数finpに基づいて、式(6)~(8)で述べた既知の関係式に従って、ケーブル長Lを算出することができる。
なお、測定装置1において式(6)~(8)の計算処理を実行するように構築されてもよい。一方、合成振幅|V|が極小値VSPLを取るときの入力信号周波数finpが分かれば、その数値を測定装置1から他の電子計算機端末等へ受け渡してもよい。残りの計算処理が他の電子計算機端末等で実行されてもよい。このような態様も、実施の形態にかかる測定方法に包含される。
2.測定装置1の具体的回路例
2-1.測定装置1の回路ブロック構成
図5は、測定装置1の内部回路を構築する場合の一例を示す。この具体的回路例では、測定装置1の基本構成に加えて、測定性能を向上させるためのいくつかの追加構成も説明される。追加構成は必要に応じて省略されたり他の構成に代替されたりしてもよい。
図5に示す信号発生器2は、第一マイコン21とDDS22とラインドライバー23とを備える。第一マイコン21は、信号発生器2内部の各回路を統合制御することで信号発生器2の各種機能を提供する。「DDS」は、すなわちデジタル直接合成発振器(Direct Digital Synthesizer)である。DDS22は、正弦波信号発振器の一例として設けられている。第一マイコン21がDDS22を制御することで、DDS22が出力する正弦波電圧信号の周波数を制御することができる。ラインドライバー23は、入射波生成回路である。ラインドライバー23は、DDS22からの信号を増幅して入力電圧信号Vinを生成し、これを被測定ケーブル4に印加する。第一マイコン21は、入力信号周波数finを第二マイコン31に送信する。
測定器3は、第二マイコン31とクランプ回路32と増幅回路33とピークホールド回路34とローパスフィルタ(LPF)35とA/D変換器36とを備える。第二マイコン31は、測定器3内部の各回路を統合制御することで測定器3の各種機能を提供する。合成電圧信号Vは、まずクランプ回路32に入力される。増幅回路33は、クランプ回路32から合成電圧信号Vを受け取り、設定された利得でこれを増幅する。増幅後の合成電圧信号Vがピークホールド回路34に入力される。
図2を用いて、ピークホールド回路34が合成振幅|V|を取り出す回路動作を説明する。一般に、ピークホールド回路に交流信号を入力すると、交流信号波形の振幅の大きさに等しい電圧が出力される。実施の形態ではこの性質を応用して、ピークホールド回路34に交流信号を入力することで、交流信号波形の振幅の大きさ(図2では合成振幅|V|)に対応する大きさのピークホールド直流電圧VPHを得る。入力信号周波数finを掃引しつつピークホールド直流電圧VPHの増加/減少を検出することで、合成振幅|V|の大きさを簡単に調べることができる。なお、実施の形態では、fπ付近の微小な振幅変化を検出するために増幅回路33が設けられる。後段のA/D変換器36に入力されるのは|V|の頂上部分のみとなる。このため、実施の形態では、ピークホールド回路34で検出しているのは|V|の一部(頂上部分)のみである。
ピークホールド直流電圧VPHは、ローパスフィルタ35で濾過されて、A/D変換器36に入力される。A/D変換器36は、ピークホールド直流電圧VPHの大きさをデジタル信号に変換する。このデジタル信号が指し示す電圧値は、測定電圧値Vとして取り扱われる。測定電圧値Vは第二マイコン31に送信され、後述する図13の制御フローで使用される。
図5の回路例では、第二マイコン31と第一マイコン21とが協働して上述した測定方法ステップS1~S3を実行する。第二マイコン31は、式(6)の計算処理と、式(7)または(8)の計算処理とを実行する。計算処理で得られたケーブル長Lの数値は、図示しない表示手段(液晶パネル等)に表示されてもよい。
図5の回路例は幾つかの利点を持つ。利点の一つとして、測定器3は、正弦波の振幅を取り出して直流信号とし、その直流信号を比較することができる。直流信号は大きさが一定なので、比較が容易である。他の利点として、ピークホールド回路34の繰り返し処理で、合成振幅|V|に含まれる雑音が低減される。他の利点として、増幅回路33が信号を増幅することで、測定精度の向上が容易となる。実施の形態では、スイープ間隔Δfに応じた電圧変化分ΔVの大小を判定すればよい。このシンプルな測定原理により、A/D変換器36の制約が緩和されやすい。原理的には1ビットのA/Dコンバータ(例えばコンパレータ)でも判定処理を行うことができる。
2-2.信号発生器2の各回路の構成例
一例として、図6に示す回路例によってDDS22が提供されてもよい。一例として、図6に示す回路例によってラインドライバー23が提供されてもよい。DDS22は大きな出力電流を取り出しにくいので、ラインドライバー23が設けられる。DDS22のマスタークロックは例えば「33.554432MHz」とし、外部より与えられる。
2-3.測定器3の各回路の構成例
一例として、図8に示す回路例によってクランプ回路32が提供されてもよい。クランプ回路32は、保護回路である。このクランプ回路32を設けることで種々の利点がある。入力に過大な電圧が加わった際に、後段の回路を保護するために電圧を制限することができる。また、実施形態では周波数により入力電圧が変化するものであり、観測信号に特に不要な雑音などが重畳する場合はもちろん、雑音等がなくても、入力信号の周波数によっては大きな信号が入力されうるので、クランプ回路32を挿入するメリットがある。
一例として、図9に示す回路例によって増幅回路33が提供されてもよい。ここで増幅回路33の役割を説明する。周波数掃引をする過程である周波数から次の周波数にΔfだけ変更したときに、微小な変化分ΔVを検出したい。例えば図3に示した理論計算に基づくと、変化分ΔVの電圧最小値は43.3μVである。この微小電圧差をA/D変換器36で検出するために、増幅回路33が設けられる。A/D変換器36の最小分解能との関係で、このようなマイクロボルトオーダーの微小電圧を検出できるように信号増幅を行いたい。そのためには、増幅回路33の電圧利得は例えば149倍以上が好ましい。一例として増幅回路33の電圧利得は149倍~225倍としてもよい。このように増幅回路33の利得を設定することで、設定されたスイープ間隔Δfで周波数掃引をしたときの合成振幅|V|の最小変化幅(43.3μV)を、A/D変換器36の分解能以上の大きさに増幅することができる。
一例として、図10に示す回路例によってピークホールド回路34が提供されてもよい。ここでピークホールド回路34の役割を説明する。入力信号周波数finは例えば1.5MHz~3.5MHz程度である。仮に、増幅後の合成電圧信号Vを交流電圧信号のままでA/D変換しようとすると、A/D変換器36に非常に高速のサンプリング周波数をもたせる必要がある。この点、実施の形態の回路例では、ピークホールド回路34が振幅成分を直流信号に変換したピークホールド直流電圧VPHを生成し、ピークホールド直流電圧VPHにA/D変換が実施される。これによりA/D変換器36のサンプリング速度が低くともよい利点がある。また、ピークホールド直流電圧VPHは、「繰り返し入力される合成電圧信号Vの合成振幅|V|の平均値」である。このため、外部環境による雑音(例えば、被測定ケーブル4に電灯などから重畳する雑音)や回路雑音(例えば、増幅回路で生じる雑音)の影響が除去される。よって耐雑音性が向上する。以上説明したように、実施の形態では、合成振幅|V|に応じた直流信号であるピークホールド直流電圧VPHが生成される。ピークホールド直流電圧VPHに基づいて、合成振幅|V|の極値を容易にかつ低雑音で検出できる。
一例として、図11に示す回路例によってローパスフィルタ35が提供されてもよい。ローパスフィルタ35は、A/D変換時のエイリアス除去および電源雑音を除去するために挿入されている。
測定器3は、例えば下記仕様(i)、(ii)を満たすように構築されてもよい。仕様(i)として、生成する入力電圧の周波数範囲は1.5MHzから3.5MHzとしてもよい。図3によれば、測定範囲をケーブル長10m~30mとするために、入力信号周波数finの可変範囲を1.5MHz~3.5MHzとすればよい。
仕様(ii)として、スイープ間隔Δfは1.5kHzとしてもよい。理由を述べると、信号周波数と信号周期は一定の関係があるので、入力信号周波数が異なれば周期も異なる。周期の違いの程度(細かさ)が、ケーブル長測定精度を決める。一例として、測定器3の最大誤差仕様を0.1%以下とする。測定対象を10mのケーブルとするならば、その0.1%は1cmである。この1cmの違いを区別するためには、「電圧信号が1cmの電線を往復するときの往復伝播時間」に相当する時間差をつくりだせるように、細かく周期を調整したい。そのような周期の調節は、入力信号周波数finをスイープ間隔Δf=1.5kHzで掃引することで実現できる。ここでは、最大誤差仕様が0.1%という好適な状況について一例を示したが、最大誤差仕様は、これに限定されるものではなく、これより大きくてもよいし、小さくてもよい。対応して、スイープ間隔(一方向掃引するときの周波数間隔)、も、1.5に限定されるものではない。好ましくは、スイープ間隔は、例えば、1.0,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3.0kHzであってもよい。また、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内の値として定義されてもよい。
ローパスフィルタ35の後段側における回路構成には、複数の例が考えられる。一例として図5ではA/D変換器36を用いる。入力信号周波数finを掃引する前後において、ピークホールド直流電圧VPHをA/D変換器36に入力する。ピークホールド直流電圧VPHの大きさをデジタル値に変換し、そのデジタル値(つまり測定電圧値V)を調べることで、合成振幅|V|の増減を検出できる。
増幅回路33とA/D変換器36との関係を述べる。実施の形態では、図12Bに示すように、合成電圧信号Vにバイアス信号(バイアス電圧V)を加えることで、図5では一例として第二マイコン31から増幅回路33にバイアス電圧Vが供給されているが、他のバイアス回路が設けられてもよい。バイアス電圧Vを加えることで、図12Aの状態から図12Bの状態へと、合成電圧信号Vの波形を全体的に正電圧側または負電圧側へと偏らせることができる。これにより、合成電圧信号Vの尖頭部Gが、A/D変換器36の入力電圧範囲内へと収められる。つまり、バイアス電圧Vの印加により、電圧波形の尖頭部Gを入力電圧範囲内に切り取りつつ合成電圧信号Vを増幅(つまり拡大)できる。以上の回路動作により、A/D変換器36が取り扱うべき数値範囲が少なくて済み、A/D変換器36が低分解能であってもよいという利点がある。例えば分解能10ビット以下のA/D変換器であっても、高い測定精度が実現できる。なお、入力信号周波数finを掃引する前後でバイアス電圧Vは一定にする。なお、この回路動作は、観測信号の一部を切り出しつつ増幅するものであり、このため観測信号の正確な大きさが不明となる。しかし実施の形態ではΔVの増加/減少が特定できればよいので、支障なく測定を実施できる。
A/D変換器36の代わりにコンパレータを用いてもよい。コンパレータは1ビットのA/D変換器に相当する。この変形例では、例えば二つのピークホールド回路を用いる。周波数を変更する前の合成電圧信号Vを第一ピークホールド回路に入力する。周波数を変更した後の合成電圧信号Vを第二ピークホールド回路に入力する。二つのピークホールド回路それぞれのピークホールド直流電圧VPHを、コンパレータに入力する。コンパレータの出力信号に基づいて、入力信号周波数の変化に応じた合成振幅|V|の増加/減少を検出できる。
2-4 測定装置1の制御フロー
図13は、測定装置1において実行される制御フローの一例である。この制御フローは、比較準備処理と、比較処理と、バイアス調節処理と、誤動作確認処理とを備える。第一マイコン21と第二マイコン31は制御部である。これらの制御部の協働により図13の制御フローが実施される。
以下の説明で、fは、入力信号周波数の初期値である。Vb0は、バイアス電圧Vの初期値である。Vは、測定器3で測定された測定電圧値である。Vbeは、Δfを増加させる前の測定電圧であり、周波数掃引の直前の測定電圧値Vが代入される。つまり、Vbeを前回測定電圧値とすると、Vは今回測定電圧値である。VbeとVとの大小関係を見ることで、Δf増加前後で合成振幅|V|がどのように変化したかを調べることができる。
2-4-1.比較準備処理
まず、比較準備処理のループ(処理S11~S13)が行われる。バイアス電圧Vは予め定めた初期値Vb0に設定される。処理S11と処理S12とにより、測定電圧値Vが予め定めた所定電圧以下となるまで、周波数掃引が実施される。処理S12で、入力信号周波数finを初期値fからΔfだけ増加させ続ける。図13では、一例として処理S11でVc≦2.5Vとなるまでこのループを行う。入力信号周波数finがある程度大きくなると、測定器3の計測可能範囲に収まる程度にVが小さくなる。そうするとΔf増加に応じたVの変化を良好に観測できる。この時点で、次の比較処理へ進むことができる。比較処理に進む直前に、処理S13で今回測定電圧値Vが前回測定電圧値Vbeとして保存される。
2-4-2.比較処理
比較処理のループ(処理S21~S24)は、周波数をΔf変化させたときのΔVcの符号を調べるためのループ処理である。まず処理S21でΔfの増加を行い、最新の今回測定電圧値Vが取得される。次の処理S22で0.5[V]≦Vであれば、処理S23に進む。処理S23で、Δf増加前の前回測定電圧値Vbeと、Δf増加後の今回測定電圧値Vとを比較する。もしVbeよりもVが小さければ、合成振幅|V|は減少傾向にある。この場合、処理S24で現在のVをVbeに代入することでVbeを更新してから、処理S21に戻って入力信号周波数finの増加を続ける。やがてVbe≦Vが到来すると、処理S23でVbe>Vが否定されることで比較処理のループが終了し、誤動作確認処理に移行する。
ここで、処理S21で入力信号周波数finの増加を続けると、Vの値は減少を続ける。やがてV<0[V]となると、処理S23の比較が妨げられる。そこで、Vが小さくなりすぎる前に、バイアス電圧Vを調節する。具体的には、一例として処理S22でV<0.5[V]となったときは、処理S31へ進みバイアス調節処理に入る。判定値である0.5[V]は、一例であり変更可能である。
2-4-3.バイアス調節処理
バイアス調節処理のループ(処理S31~S35)は、バイアス電圧Vを調節する処理である。この処理で、VがA/D変換器36の入力電圧範囲から外れることを防ぐ。処理S31でΔf低減を行い、処理S32でバイアス電圧Vを所定変化分ΔVだけ低減する。ΔVは例えば10mVでもよい。その後、処理S33でVが所定の判定電圧(例えば2.0[V])以上となったら、処理S34でΔf低減を行う。処理S33でV≧2.0[V]が成立するまで、処理S32と処理S33のループ処理が実行される。処理S33の条件成立後は、処理S34でΔf低減が行われ、処理S35で今回測定電圧値Vを前回測定電圧値Vbeに代入することでVbeが更新された後、比較処理ループ(処理S21~S24)に戻る。以上の処理によれば、第二マイコン31は、VがA/D変換器36の入力電圧範囲から外れないようにバイアス電圧Vの大きさを調節することができる。
2-4-4.誤動作確認処理
誤動作確認処理のループ(処理S41~S46)は、極値に対応する入力信号周波数fπを正確に検出するための誤検出防止処理である。具体的な方法として、処理S23でVbe<Vと判断されたら、更に周波数掃引を2回続けることで合成振幅|V|の変化傾向を確かめる。ここで、1度目の周波数増加に応じたVをVC2とし、2度目の周波数増加に応じたVをVC3とする。Vbe<V<VC2<VC3が成り立つときには、処理S23→S41→S42→S43→S44と進む。このとき、VC3を得た入力信号周波数finから周波数を3Δf分減少させて、この減少後の周波数をfπとする(処理S51、S52)。
一方、Vbe<V>VC2が成り立つときは、処理S41→S42→S45と進む。処理S45でのΔf減少の後、処理S21に戻ってfπの探索が継続される。同様に、Vbe<V<VC2>VC3が成り立つときは、処理S41→S42→S43→S44→S46と進む。処理S46での2Δf減少の後、処理S21に戻ってfπの探索が継続される。
以上説明したように、処理S21、S41、S43における入力信号周波数finの一方向掃引(Δf増加)に応じて、測定電圧値Vを観測することによって、合成振幅|V|の変化が逐次的に検出される。処理S23で合成振幅|V|の変化傾向の反転が認められ、その後に処理S42、S44で増加方向への変化が続いたことが確認される。この確認ができた段階で、合成振幅|V|が極値を通過したものと判定される。これにより誤動作を防止することができる。
実施の形態の測定装置1および測定方法によれば、次に述べる利点もある。伝播信号(合成電圧信号V)の検出に際して、反射電圧信号Vが入力端(一端4a)に到達した瞬間の時刻を読み取る必要がない。このため耐雑音特性に優れる。また、実施の形態では、一例として、入力信号周波数finとして、第一マイコン21がDDS22に設定した周波数設定値を利用する。入力電圧信号Vinは信号発生器2(具体的にはDDS22)が発生させる信号なので、その周波数は基本的に設定値どおりになるはずである。周波数測定は時刻測定と同じように計測精度の確保が難しいが、実施の形態ではそのような周波数測定をしなくとも入力信号周波数finを容易に精度良く知ることができる。また、例えばワイヤハーネスや電源ケーブル等の製造を行うメーカでは、出荷時検品の電線測長において、伸ばしたケーブルを巻き尺等で測長することが普通である。大電力装置の電源用ケーブルは大重量のものが普通なので、巻き尺等での測長作業は作業者にとって大きな負担となる。この点、実施の形態によれば比較的安価でかつ高精度なケーブル測長技術が提供されるので、作業者の負担を飛躍的に軽減することができる。
3.変形例
3-1.第一変形例
入力電圧信号Vinの波形は、正弦波に限定されない。入力電圧信号Vinの波形は、下記の条件を満たすものを任意に使用してもよい。第一条件は、「周期波形(繰りかえし波形)」ということである。第二条件は、「点対称波形」ということである。点対称波形は、ちょうど半周期の点を基点として、基点まわりに一周期分の波形を回転させたときに、回転後の波形と元の波形とが重なり合う。第二条件を数式で表すと、入力電圧をv(t)とし周期Tとしたときに下記式(9)で表される。式(9)は、ようするに、半周期ずれるとちょうど正負が逆で同じ値が得られる波形を表している。
v(t+T/2)=-v(t) ・・・(9)
入力電圧信号Vinとして、第一および第二条件を満たす「点対称でかつ周期的な波形を持つ信号」を任意に使用できる。候補となる信号は、正弦波のほかにも、例えば等辺三角波、方形波、および台形波がある。等辺三角波は、正弦波の極大値と極小値とを直線で結んだ折れ線状の波形である。等辺三角波では、半周期波形が二等辺三角形または正三角形となる。これらの波形も、ちょうど半周期ずれた波形が重ね合わされると振幅が極小となるので、実施の形態の測定原理を利用できる。なお、方形波や台形波を用いる場合には、合成信号波形は変わるものの合成振幅が一定となる範囲が存在する。そこで、一例として、合成振幅|V|の挙動に関係なく一定範囲の周波数をスイープしてもよい。各々の周波数での合成振幅|V|を検出するとともに、「すべての測定で振幅が極小となる周波数」に基づく伝播時間を求め、この伝播時間が往復伝搬時間の倍であるものとして計算してもよい。なお、例えば方形波や台形波を用いる際には、一例として全波整流又は半端整流した後にローパスフィルタをかけることで振幅の極値を判定できる。これに関連する変形例の一例を後述の第七変形例で説明する。
上記第一条件と第二条件に加えて、第三条件が満たされることが好ましい。第三条件は、「1周期の間に振幅一定の期間がないこと」である。入力信号周波数finを合成振幅|V|の増加/減少で決定するためには、この第三条件を満たすことが好ましい。正弦波と等辺三角波は、上記第一~第三条件を満たす好ましい波形である。一方、方形波と台形波は立上りエッジと立下りエッジとの間に大きさが一定の部分があるので、この第三条件には合致しない。なお、第一変形例の具体的回路は、例えば信号発生器2におけるDDS22の構成を他の任意の信号発生回路に置換することで実現されてもよい。
3-2.第二変形例
実施の形態では被測定ケーブル4の他端4bを開放端としたが、これに限られず、他端4bを短絡させてもよい。
短絡端の場合も、式(1)~式(4)は同様に成り立つ。
ここで、θは入力電圧を基準とした反射電圧の位相差である。
位相差θは、式(9)の位相φと、反射端の位相反転分であるπとの和で表される。
短絡端の場合の位相差θは式(10)で表される。
inは入力信号周波数、Ttripは入力電圧信号Vinの往復伝播時間である。
Figure 2023029081000007
Figure 2023029081000008
式(10)を式(4)に代入すると、下記式(11)が得られる。
Figure 2023029081000009
式(11)を変形して、式(12)が得られる。
Figure 2023029081000010
ここで比較のため、短絡端の場合の振幅を下記式(13)で表す。
Figure 2023029081000011
式(12)は、式(13)と比べて、周波数を1/(2Ttrip)だけ移動したものである。ここで合成振幅|V|が極値(極小値または極大値)をとる周波数のうち、もっとも低い周波数をfとすると、fは下記式(14)で表される。式(14)からも往復伝播時間Ttripが算出できる。
Figure 2023029081000012
図14Aは、本変形例にかかる式(12)に基づくグラフである。図14Bは、実施の形態に対応する開放端の場合のグラフである。例えばケーブル長10mの周波数特性カーブに着目して両グラフを比較する。図14B(開放端)で最も低周波数側の「極小値VSPL」が、約3.5MHzに位置する。図14A(短絡端)で最も低周波数側の「極大値VSPH」も、約3.5MHzに位置する。
このように、図14Aで合成振幅|V|が極大となる入力信号周波数finが、図14Bで合成振幅|V|が極小となる入力信号周波数finと一致する。他の極値同士で比較しても同様である。この対応関係に基づき、短落端の場合では極大値に対応する入力信号周波数finを計算に使用できる。その結果、本変形例でも実施の形態と同様に、ケーブル長測定方法を実施できる。なお、第二変形例の具体的回路の一例としては、図5の測定器3の第二マイコン31等の各構成を適宜に変更することで、図4で述べた測定方法を応用して合成振幅|VS|の極大値を逐次的に検出してもよい。
3-3.第三変形例
入力信号周波数finを知る方法は信号発生器2の設定値を用いる方法が簡便ではあるが、これに限定されるものではない。一例として、測定器3で合成電圧信号Vの周波数解析(FFT等のフーリエ変換処理)を行ってもよい。周波数解析により、合成電圧信号Vに含まれる入力電圧信号Vinの周波数成分を抽出してもよい。他の例として、入力電圧信号Vinの周期Tinを計測して、その周期Tinの逆数から入力信号周波数finを計算してもよい。なお、第三変形例の具体的回路は、例えば図5の測定器3において、クランプ回路32とは別経路で合成電圧信号Vを処理する他の周波数検知回路を追加し、その検知結果を第二マイコン31に伝達することで実現されてもよい。
3-4.第四変形例
信号伝播速度理論値crefを用いてケーブル長Lを計算する場合、伝播速度値を取得する「取得手段」が測定装置1に設けられてもよい。第二マイコン31は、取得手段から取得した伝播速度値を用いて、式(8)に従ってケーブル長Lを算出する処理を実行してもよい。取得手段の一例として、測定装置1にテンキー等の数値入力部を設けて入力を受け付けてもよい。取得手段の他の例として、第二マイコン31のメモリに信号伝播速度理論値crefが予め記憶され、その数値が必要に応じて読み出されてもよい。この場合、第二マイコン31のメモリに伝播速度値保存用の記憶領域が設けられてもよい。記憶領域は、読み取り専用と書込み可能とのどちらの形態でもよい。記憶領域に少なくとも一つの標準値が事前に書き込まれた状態で測定装置1が提供されてもよい。あるいは測定装置1の流通時点では記憶領域がブランク状態とされてもよく、この場合には、取得手段として、伝播速度値の入力を受け付けるための「記憶領域書込み用のインターフェイス」が設けられてもよい。インターフェイス構造に限定はなく、例えばUSBインターフェイス等でもよく、或いは各種の短距離無線通信インターフェイスでもよい。メモリは不揮発性メモリでもよいがこれに限定されず、揮発性メモリを用いる場合は、毎回の測定時に伝播速度理論値の入力を受け付けてもよい。
3-5.第五変形例
合成振幅|V|の極値には、極小値(極小値VSPL)だけでなく、極大値(極大値VSPH)もある。この極大値に基づいてケーブル長Lを算出してもよい。方法を説明すると、まず式(4)において2αcosθが最大となるのは、位相差θが2πの整数倍(つまりθ=2π、4π、6π・・・)のときである。このとき、合成振幅|V|が極大値を取る。合成振幅|V|が極大値を取るときの入力信号周波数に基づいてケーブル長Lを測定するには、式(5)で左辺θ=2πとおけばよい。その結果得られる下記の式(15)を式(6)の代わりに用いればよい。式(15)のf2πは、合成振幅|V|が極大となる入力信号周波数finのうち、もっとも低い周波数である。例えば図3では、finp32が、このf2πに当たる。
Figure 2023029081000013
上記周波数f2πの特定も、ΔVの増減反転を観察することで実施の形態の方法と同様に行うことができる。極大値VSPHの周辺で周波数掃引を行うときに電圧変化分ΔVの正負を見れば、極大値VSPHを通り越したかどうかが分かるからである。
なお、合成振幅|V|の周波数特性カーブを見ると、下に凸となるカーブのほうが急峻である。カーブが急峻であれば、極小値を通過したかどうかを検出しやすい。極小値を調べることで高い測定精度を得やすい利点もある。
3-6.第六変形例
式(4)で述べたように、極小値VSPLは、θ=π、3π、5π・・・それぞれで発生する。極大値VSPHも、θ=2π、4π、6π・・・それぞれで発生する。このため、θ=πに限らず、例えばθ=3πなどに対応する入力信号周波数f3πを用いて、ケーブル長を測定してもよい。この場合には、式(5)で左辺をθ=3πとおいて同様の計算を行えばよい。
3-7.第七変形例
上述したピークホールド回路34の代わりに、全波整流回路または半波整流回路が設けられてもよい。この場合、直後のLPF35のカットオフ周波数は、入力信号周波数finよりも十分低い値に設定する。こうすることにより、A/D変換器36には、整流された合成振幅波形の平均電圧が入力される。従ってA/D変換器36の出力を監視すれば、合成振幅|V|の極値を取るときの入力信号周波数finpを特定できる。入力電圧信号Vinの波形が正弦波でない場合でも上記第一条件と第二条件を満たす波形であれば正弦波と同様に合成振幅|V|の極値を取るときの入力信号周波数finpを特定できる。
3-8.その他の変形例
第一マイコン21と第二マイコン31とが一つの上位マイコンに統合されてもよい。また、入力信号周波数finの掃引は増加方向に限定されず、低減方向でもよい。予め設定した基準周波数から、Δfを徐々に低減してもよい。なお、図2ではピークホールド直流電圧VPHとして、合成電圧信号VSのプラス側振幅平均値が用いられている、これに限定されず正弦波のマイナス側振幅平均値が用いられてもよい。
また、上述した実施の形態及び変形例では、アナログ信号処理回路を例として説明したが、これに限定されず、実施の形態及び変形例の各構成の全てまたは一部をデジタル信号処理回路で構築してもよい。
上記列挙した変形例同士は、互いに阻害しない限り、任意に組み合わせて用いられてもよい。
1 :測定装置
2 :信号発生器
3 :測定器
4 :被測定ケーブル
4a :被測定ケーブルの一端
4b :被測定ケーブルの他端
21 :第一マイコン
22 :DDS(デジタル直接合成発振器)
23 :ラインドライバー
31 :第二マイコン
32 :クランプ回路
33 :増幅回路
34 :ピークホールド回路
35 :ローパスフィルタ(LPF)
36 :A/D変換器
L :ケーブル長
ref :参照ケーブル長
SPH :極値(極大値)
SPL :極値(極小値)
trip :往復伝播時間
trip_ref :参照時間
in :入力電圧信号
:反射電圧信号
:合成電圧信号
|V| :合成振幅
PH :ピークホールド直流電圧
:バイアス電圧
b0 :バイアス電圧の初期値
:測定電圧値(今回測定電圧値)
be :前回測定電圧値
inp11、finp21、finp31、finp32、fπ :合成振幅が極値を取る入力信号周波数
Δf :周波数スイープ間隔
G :尖頭部

Claims (8)

  1. 信号発生器と測定器とを備える測定装置であって、
    前記信号発生器は、点対称でかつ周期的な波形を持つ入力信号を、入力信号周波数を変えつつ出力し、
    前記測定器は、合成信号を検出し、前記合成信号の振幅が極値を取るときの前記入力信号周波数に基づいてケーブル長を測定し、
    前記合成信号は、被測定ケーブルの一端に印加される前記入力信号と前記被測定ケーブルの他端での反射による反射信号とが前記一端で合成された信号である、測定装置。
  2. 請求項1に記載の測定装置であって、
    前記合成信号の振幅が極値を取るときの前記入力信号周波数から求まる伝播時間と、参照ケーブルのケーブル長と、前記参照ケーブルを前記入力信号が伝播するのにかかる伝播時間と、に基づいて前記被測定ケーブルのケーブル長を測定する、測定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、
    前記ケーブル長の計算に用いるべき信号伝播速度理論値を取得するための取得手段を備える、測定装置。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の測定装置であって、
    前記測定器は、前記入力信号周波数の一方向掃引に応じて前記合成信号の振幅の変化を逐次検出し、前記合成信号の振幅の増減が反転した場合、前記合成信号の振幅が前記極値を通過したと判定する、測定装置。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の測定装置であって、
    前記測定器は、前記合成信号の振幅の大きさに応じた直流信号を生成し、前記直流信号に基づいて前記極値を検出する、測定装置。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の測定装置であって、
    前記測定器は、バイアス信号を加えつつ前記合成信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路での増幅後の前記合成信号を受け取るA/D変換器と、を含み、
    前記測定器は、増幅後の前記合成信号の尖頭部が前記A/D変換器の入力信号範囲から外れないように前記バイアス信号の大きさを調節する、測定装置。
  7. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の測定装置であって、
    前記測定器は、前記合成信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路よりも後段に設けられたA/D変換器と、を含み、
    前記増幅回路の利得は、設定されたスイープ間隔で前記入力信号周波数を掃引したときの前記合成信号の振幅の最小変化幅を前記A/D変換器の分解能以上の大きさに増幅する程度の利得に設定された、測定装置。
  8. 被測定ケーブルのケーブル長を測定する測定方法であって、
    前記測定方法は、印加工程と、検出工程と、測定工程と、を備え、
    前記印加工程は、点対称でかつ周期的な波形を持つ入力信号を、入力信号周波数を変化させつつ、前記被測定ケーブルの一端に印加し、
    前記検出工程は、前記被測定ケーブルの他端での反射による反射信号と前記入力信号とが前記一端で合成された合成信号を検出し、
    前記測定工程は、前記合成信号の振幅が極値を取るときの前記入力信号周波数に基づいて前記ケーブル長を測定する、測定方法。
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