JP2023026855A - 移動式作業装置および移動式作業装置を用いた作業方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】飛行装置から吊り下げられる吊り下げ式の移動式作業装置において、作業面に沿って高い位置精度で安定的に作業部を移動させる。【解決手段】飛行装置と、飛行装置に取り付けられる吊り下げ部と、吊り下げ部によって飛行装置から吊り下げる本体部と、本体部に取り付けられる作業部と、飛行装置、本体部または吊り下げ部に取り付けられ、吊り下げ部の長さを調節する手段とを備える移動式作業装置が提供される。【選択図】図1
Description
本発明は、移動式作業装置および移動式作業装置を用いた作業方法に関する。
ビルなどの構造物において壁などを塗装する場合、通常は足場に乗った作業員の手で塗装工程が実施されるが、特に塗装面が高所にある場合には足場の組立および解体の作業量が膨大になり、塗装そのものの作業量を上回ることも多かった。そこで、特許文献1では、無人航空機(UAV)に吹付ノズルを取り付け、壁面に沿って飛行させながら塗装を実施する装置が提案されている。また、特許文献2では、UAVからワイヤーなどを用いて吊り下げられる支持本体部と、支持本体部によって支持される作業部とを有する作業装置が提案されている。これらの技術を利用することによって、高所壁面の塗装工程において足場の組立および解体を不要とし、塗装工程を迅速かつ安価に実施できる。
しかしながら、UAVのような飛行装置を作業面に沿って高い位置精度で移動させるためには高度な操縦技術が必要であり、また風などの影響などによって飛行装置の位置が安定しない場合もある。従って、例えば塗装工程における塗液の吹き付け時に吹付ノズルと作業面との距離が大きく変動したり、作業面に沿った吹付ノズルの移動速度が一定しなかったりするために、塗膜が均一に形成されない場合があった。
そこで、本発明は、飛行装置から吊り下げられる吊り下げ式の移動式作業装置において、作業面に沿って高い位置精度で安定的に作業部を移動させることが可能な移動式作業装置および移動式作業装置を用いた作業方法を提供することを目的とする。
本発明のある観点によれば、飛行装置と、飛行装置に取り付けられる吊り下げ部と、吊り下げ部によって飛行装置から吊り下げる本体部と、本体部に取り付けられる作業部と、飛行装置、本体部または吊り下げ部に取り付けられ、吊り下げ部の長さを調節する手段とを備える移動式作業装置が提供される。
上記の移動式作業装置において、吊り下げ部は、ワイヤーを含み、吊り下げ部の長さを調節する手段は、ワイヤーの巻き取りおよび巻き出しが可能な巻き取り装置を含んでもよい。この場合において、吊り下げ部は、本体部の異なる位置に取り付けられる少なくとも2本のワイヤーを含み、吊り下げ部の長さを調節する手段は、少なくとも2本のワイヤーを同期して巻き取る、または巻き出すことが可能な少なくとも2つの巻き取り装置を含んでもよい。あるいは、吊り下げ部は、スイベル、およびスイベルを介して本体部に取り付けられるワイヤーを含んでもよい。
上記の移動式作業装置において、作業部は、作業面に向けて流体を吹き付ける複数の吹付ノズルを含んでもよい。この場合において、複数の吹付ノズルは、水平方向に配列され、作業部は、水平面内において複数の吹付ノズルのそれぞれが流体を吹き付ける方向を調節する手段をさらに含んでもよい。あるいは、作業部は、鉛直面内において複数の吹付ノズルのそれぞれが流体を吹き付ける方向を調節する手段をさらに含んでもよい。
本発明の別の観点によれば、飛行装置を作業面の近傍で空中停止させる工程と、飛行装置の空中停止を継続しながら、飛行装置から吊り下げ部を介して吊り下げられた移動式作業装置の本体部を、吊り下げ部の長さを調節することによって作業面に沿って鉛直方向に移動させる工程と、本体部の鉛直方向への移動に並行して、または本体部の鉛直方向への移動と交互に、本体部に取り付けられた作業部を用いて作業面に対する作業を実施する工程と、飛行装置を作業面に沿って水平方向に移動させ、再び空中停止させる工程とを含む、移動式作業装置を用いた作業方法が提供される。
上記の構成によれば、飛行装置から吊り下げられる吊り下げ式の移動式作業装置において、飛行装置と本体部との間の吊り下げ部の長さを調節する手段が備えられるため、飛行装置の高度な操作によらずに、作業面に沿って高い位置精度で安定的に作業部を移動させることができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移動式作業装置を示す図である。本実施形態において、移動式作業装置10は、飛行装置11と、飛行装置11に取り付けられるウインチ12と、ウインチ12を介して飛行装置11に取り付けられるワイヤー13と、ワイヤー13によって飛行装置11から吊り下げられる本体部14と、本体部14に取り付けられる吹付ノズル15と、車輪16とを含む。移動式作業装置10において、ウインチ12はワイヤー13の巻き取りおよび巻き出しが可能な巻き取り装置であり、ワイヤー13によって構成される吊り下げ部の長さを調節する手段を構成する。飛行装置11の形式は特に限定されないが、例えば遠隔操作または自動運転によって制御されるUAV(Unmanned Aerial Vehicle)である。本体部14は箱形で図示されているが、形状は特に限定されず、例えばワイヤー13と吹付ノズル15とがそれぞれ固定されるフレームのようなものであってもよい。
吹付ノズル15は、作業面に向けて流体を吹き付ける。本実施形態において作業面1は構造物の壁面であり、吹付ノズル15は塗料を含む塗液を作業面1に吹き付ける。塗液は、例えば図示されているように供給管151を介して地上に配置されたポンプなどを含む供給装置152から供給される。他の例では供給管151がなく、塗液は本体部14に積載された供給装置から供給されてもよい。
車輪16は、本体部14の作業面1側に取り付けられ、本体部14が作業面1に近接したときに作業面1に接触する。本体部14は、車輪16を作業面1に接触させた状態で鉛直方向に移動することが可能である。車輪16が配置されることによって本体部14と作業面1との位置関係が安定し、吹付ノズル15による塗液の吹き付けを安定して実施することができる。
上記のように構成された移動式作業装置10を用いた塗装工程では、飛行装置11が作業面1の近傍で空中停止した状態で、ウインチ12がワイヤー13を巻き取ることによって本体部14および吹付ノズル15を作業面1に沿って上方に移動させることができる。同様に、ウインチ12がワイヤー13を巻き出すことによって本体部14および吹付ノズル15を作業面1に沿って下方に移動させることができる。従って、飛行装置11の空中停止を継続しながら、本体部14の鉛直方向への移動に並行して、または本体部14の鉛直方向への移動と交互に吹付ノズル15から作業面1に塗液を吹き付け、作業面1の鉛直方向に延びる帯状の範囲を塗装することができる。飛行装置11を作業面1に沿って水平方向に移動させれば、本体部14および吹付ノズル15も水平方向に移動し、例えば作業面1の隣接する帯状の範囲を塗装することができる。これを繰り返すことによって、作業面1の広い範囲を塗装することができる。
本実施形態では、飛行装置11に取り付けられたウインチ12によるワイヤー13の巻き取りおよび巻き出しによって、飛行装置11を空中停止させたまま本体部14および吹付ノズル15を鉛直方向に高い位置精度で、具体的には例えば一定の速度を保って移動させることができる。飛行装置11を空中停止させる操作は、例えば飛行装置11を一定の速度を保って移動させる操作に比べると容易である。また、ウインチ12によるワイヤー13の巻き取り量または巻き出し量は、飛行装置11の位置に比べると高い精度で制御することが容易である。従って、本実施形態では、飛行装置11の高度な操作技術を必要とせずに、移動式作業装置10の本体部14および吹付ノズル15を作業面1に沿って高い位置精度で移動させることができる。これによって、例えば本体部14および吹付ノズル15を一定の速度を保って移動させ、作業面1に均一な塗膜を生成することができる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る移動式作業装置を示す図である。図示された例では、移動式作業装置20において、ウインチ22が飛行装置ではなく本体部14に取り付けられる。この場合も図1の例と同様に、ウインチ22によるワイヤー13の巻き取りおよび巻き出しによって、飛行装置11を空中停止させたまま本体部14および吹付ノズル15を鉛直方向に移動させることができる。なお、それ以外の点について移動式作業装置20の構成は上記の図1の例の移動式作業装置10と同様である。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る移動式作業装置を示す図である。図示された例では、移動式作業装置30において、飛行装置11から本体部14を吊り下げるワイヤー33が上部ワイヤー33Aと下部ワイヤー33Bに分かれている。上部ワイヤー33Aの上端は飛行装置11に取り付けられ、下端に巻き取り装置32が取り付けられる。巻き取り装置32では下部ワイヤー33Bの巻き取りおよび巻き出しが可能であり、本体部14は下部ワイヤー33Bの下端に取り付けられる。つまり、本実施形態では、巻き取り装置32が吊り下げ部を構成するワイヤー33の中間に取り付けられる。この場合も図1の例と同様に、巻き取り装置32による下部ワイヤー33Bの巻き取りおよび巻き出しによって、飛行装置11を空中停止させたまま本体部14および吹付ノズル15を鉛直方向に移動させることができる。なお、それ以外の点について移動式作業装置30の構成は上記の図1の例の移動式作業装置10と同様である。
図4は本発明の第4の実施形態に係る移動式作業装置を示す図であり、図5は図4のV-V線断面図である。本実施形態において、移動式作業装置40は、飛行装置11と、ウインチ12と、ワイヤー13と、本体部14と、吹付ノズル15と、車輪16と、ファン47とを含む。なお、以下で説明するファン47以外について、移動式作業装置40の構成は上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。
ファン47は、吹付ノズル15による塗液の吹付とは逆向きの、すなわち図示された例では作業面1とは反対側に向かう気流を発生させることによって、本体部14を作業面1に近づける向きの推力を発生させる。ファン47の数、大きさおよび取付位置は特に限定されないが、例えば図5に示されるように、複数のファン47が本体部14の作業面1とは反対側で水平方向に対称配置されてもよい。図5の例では、2つのファン47A,47Bが水平方向に対称配置されている。このように複数のファン47を水平方向に対称配置することによって、ファン47が気流を発生させることによって本体部14に作用する推力が水平方向について均等化され、本体部14が水平面内方向に回転するのを防止して作業面1に対する吹付ノズル15の向きを安定させることができる。他の例では、3つ以上のファン47を水平方向に対称配置してもよい。さらに、このように複数のファン47が配置される場合において、ファン47の回転数を個別に制御できるようにすれば、例えば風の影響で本体部14に発生した回転を能動的に抑制することもできる。なお、本実施形態において、車輪16の構成は第1の実施形態と同様であるが、車輪16を作業面1に接触させることによって、ファン47が発生させる推力を本体部14が作業面1に衝突しないように微調整しなくてもよいため、ファン47の制御が簡単になる。
本実施形態では、ファン47が気流を発生させることによって本体部14を作業面1に近づける向きの推力を発生させるため、吹付ノズル15から作業面1に向けて塗液を吹き付けたときに、吹き付けの反力によって本体部14が作業面1から離れることを防止できる。従って、本実施形態では、飛行装置11の高度な操作技術を必要とせずに移動式作業装置40の本体部14および吹付ノズル15を作業面1に沿って高い位置精度で移動させることができるのに加えて、本体部14が作業面1から離れるのを防止して均一な塗膜を生成することができる。
図6は、本発明の第5の実施形態に係る移動式作業装置を示す図である。本実施形態において、移動式作業装置50は、飛行装置11と、ウインチ12と、ワイヤー13と、本体部14と、吹付ノズル55と、車輪16と、噴射ノズル58とを含む。なお、以下で説明する吹付ノズル55および噴射ノズル58以外について、移動式作業装置50の構成は上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。
吹付ノズル55は、上記の他の実施形態における吹付ノズルとは異なり、塗装前に汚れや錆などを除去する下地処理のために高圧水を作業面1に吹き付ける。この場合、水には必要に応じて珪砂などの研磨剤が混合されてもよい。吹き付けられる高圧水は、例えば図示されているように供給管551を介して地上に配置されたポンプなどを含む供給装置552から供給される。飛行装置11が作業面1の近傍で空中停止した状態で、ウインチ12がワイヤー13を巻き取る、または巻き出すことによって本体部14および吹付ノズル55が作業面1に沿って上下方向に移動し、作業面1の広い範囲で塗装の下地処理を実施することができる。
一方、噴射ノズル58は、吹付ノズル55による高圧水の吹き付けとは逆向きに、すなわち図示された例では作業面1とは反対側に向かって流体を噴射することによって、本体部14を作業面1に近づける向きの推力を発生させる。噴射ノズル58が噴射する流体は特に限定されないが、例えば吹付ノズル55が吹き付けるのと同じ水を、同じ圧力で噴射してもよい。この場合、噴射ノズル58から噴射される水には研磨剤を混合する必要はないため、吹付ノズル55に供給される水のみに研磨剤を混合する装置が本体部14に取り付けられてもよい。なお、本実施形態において、車輪16の構成は第1の実施形態と同様であるが、車輪16を作業面1に接触させることによって、噴射ノズル58が発生させる推力を本体部14が作業面1に衝突しないように微調整しなくてもよいため、噴射ノズル58の構成が簡単になる。
本実施形態では、噴射ノズル58が流体の噴射によって本体部14を作業面1に近づける向きの推力を発生させるため、吹付ノズル55から作業面1に向けて高圧水を吹き付けたときに、吹き付けの反力によって図6に仮想線で示すように本体部14が作業面1から離れることを防止できる。従って、本実施形態では、飛行装置11の高度な操作技術を必要とせずに移動式作業装置50の本体部14および吹付ノズル55を作業面1に沿って高い位置精度で移動させることができるのに加えて、本体部14が作業面1から離れるのを防止して塗装の下地処理を安定的に実施することができる。
図7は、本発明の実施形態に係る移動式作業装置の変形例を示す図である。図示された例において、移動式作業装置10Aは、2本のワイヤー13A,13Bを含む。ワイヤー13A,13Bは、それぞれウインチ12A,12Bを介して飛行装置11の異なる位置に取り付けられ、本体部14についてもそれぞれ異なる位置に取り付けられる。2本以上のワイヤーで本体部14を吊り下げることによって、本体部14の水平方向の揺動や回転を抑制することができる。ウインチ12A,12Bがワイヤー13A,13Bの巻き取りおよび巻き出しを互いに同期して行うことによって、上述した実施形態と同様に飛行装置11を空中停止させたまま本体部14および吹付ノズル15を鉛直方向に移動させることができる。他の例では、3本以上のワイヤーと、それぞれのワイヤーの巻き取りおよび巻き出しを互いに同期して行う巻き取り装置が配置されてもよい。なお、移動式作業装置10Aの他の部分の構成は、上記の第1の実施形態に係る移動式作業装置10と同様である。また、第2から第5の実施形態に係る移動式作業装置20,30,40,50に同様の構成を適用することも可能である。
図8は、本発明の実施形態に係る移動式作業装置の別の変形例を示す図である。図示された例において、移動式作業装置10Bの吊り下げ部は、ワイヤー13に加えてスイベル131を含み、ワイヤー13はスイベル131を介して本体部14に取り付けられる。本体部14をスイベル131を介してワイヤー13に取り付けることによって、1本のワイヤー13で本体部14を吊り下げる場合に生じやすいワイヤー13の捻じれおよびその復元力が本体部14に伝達されるのを防止し、本体部14の水平方向の回転を抑制することができる。なお、移動式作業装置10Bの他の部分の構成は、上記の第1の実施形態に係る移動式作業装置10と同様である。また、第2から第5の実施形態に係る移動式作業装置20,30,40,50に同様の構成を適用することも可能である。
図9は、本発明の実施形態において適用可能な吹付ノズルの配置例を示す図であり、図1のIX-IX線断面図にあたる。図示された例では、作業面1に向けて塗液を吹き付ける2つの吹付ノズル15A,15Bが水平方向に配列される。このように複数の吹付ノズルを水平方向に配列することによって、例えば図示された例のように作業面1に凹凸がある場合であっても、吹付ノズル15A,15Bの位置を変えることなく凹凸の立ち上がり部分を含む作業面1の全体に塗液を吹き付けることができる。他の例では、3つ以上の吹付ノズルが配置されてもよい。
上述した本発明の実施形態では、飛行装置11を空中停止させた状態で本体部14および吹付ノズル15を鉛直方向に移動させながら作業面に塗液を吹き付ける。従って、図9に示された例のように吹付ノズル15A,15Bの位置を変えることなく凹凸を含む作業面1の全体に塗液を吹き付けられることによって、例えば凹凸の立ち上がり部分の塗り残しを塗るために飛行装置11の位置を微調整するような工程が不要になり、飛行装置11の水平方向への移動回数を少なくして効率的に塗装工程を実施することができる。
図10Aおよび図10Bは、本発明の実施形態において適用可能な吹付ノズルの別の配置例を示す図である。図10Aに示された例では、作業面1に向けて流体を吹き付ける2つの吹付ノズル15A,15Bに加えて、水平面内において吹付ノズル15A,15Bのそれぞれが流体を吹き付ける方向を調節する角度調節機構153A,153Bが配置される。例えば、角度調節機構153A,153Bが吹付ノズル15A,15Bの吹き付け方向を作業面1の凹凸に応じて変更することによって、吹付ノズル15A,15Bの吹き付け可能範囲内で水平方向について作業面1に均一な塗膜を形成することができる。同様に、図10Bに示された例では、鉛直面内において吹付ノズル15A,15Bのそれぞれが流体を吹き付ける方向を調節する角度調節機構153C,153Dが配置される。また、吹付ノズル15A,15Bは水平方向だけではなく、鉛直方向に配列されてもよい。
図11は、上述した第4の実施形態から吊り下げ部の長さを調節する手段を省いた例を示す図である。この例に係る移動式作業装置60では、本体部14が支持装置である飛行装置11からワイヤー13を用いて吊り下げられ、ウインチは設けられない。それ以外の点について、移動式作業装置60の構成は第4の実施形態と同様である。ウインチが設けられない場合も、ワイヤー13で本体部14を吊り下げることによって、吹付ノズル15による吹き付け時の反力が直接的に飛行装置11に伝わるのを緩和して飛行が安定するという利点が得られる。図示された例では、この利点に加えて、ファン47が気流を発生させることによって本体部14を作業面1に近づける向きの推力を発生させ、本体部14が作業面1から離れるのを防止して均一な塗膜を生成することができる。
図12は、上述した第5の実施形態から吊り下げ部の長さを調節する手段を省いた例を示す図である。この例に係る移動式作業装置70では、本体部14が支持装置である飛行装置11からワイヤー13を用いて吊り下げられ、ウインチは設けられない。それ以外の点について、移動式作業装置70の構成は第5の実施形態と同様である。ウインチが設けられない場合も、ワイヤー13で本体部14を吊り下げることによって、吹付ノズル55による吹き付け時の反力が直接的に飛行装置11に伝わるのを緩和して飛行が安定するという利点が得られる。図示された例では、この利点に加えて、噴射ノズル58が流体の噴射によって本体部14を作業面1に近づける向きの推力を発生させ、本体部14が作業面1から離れるのを防止して塗装の下地処理を安定的に実施することができる。
図13は、上記で図11を参照して説明した例の変形例を示す図である。図示された例において、移動式作業装置80の本体部14は、吊り下げ部を構成するワイヤー13を用いて、作業面1の上端、具体的には構造物の屋上に配置される巻き上げ装置81から吊り下げられる。巻き上げ装置81がワイヤー13を巻き上げる、または巻き出すことによって本体部14および吹付ノズル15が作業面1に沿って鉛直方向に移動し、作業面1の鉛直方向に延びる帯状の範囲を塗装することができる。構造物の屋上で巻き上げ装置81を水平方向に移動させれば、本体部14および吹付ノズル15も水平方向に移動し、例えば作業面1の隣接する帯状の範囲を塗装することができる。これを繰り返すことによって、作業面1の広い範囲を塗装することができる。吊り下げられた本体部14が吹き付け時の反力によって作業面から離れるという課題は、図13に示された例のように固定された巻き上げ装置81から本体部14を吊り下げた場合にも、飛行装置から本体部を吊り下げる場合と同様に生じる。従って、移動式作業装置80でも、ファン47が気流を発生させることによって本体部14を作業面1に近づける向きの推力を発生させる構成は有効である。
なお、上記の図13のように飛行装置に代えて構造物に設置された巻き上げ装置から移動式作業装置を吊り下げる構成は、図1から図12を参照して説明したそれぞれの例について同様に適用することが可能である。つまり、例えば図7に示されたように吊り下げ部が本体部の異なる位置に取り付けられる少なくとも2本のワイヤーを含み、吊り下げ部の長さを調節する手段が前記少なくとも2本のワイヤーを同期して巻き取る、または巻き出す場合に、図13に示されたように移動式作業装置が飛行装置ではなく構造物に設置された巻き上げ装置から吊り下げられてもよい。同様に、図8に示されたように前記吊り下げ部がスイベルおよびスイベルを介して本体部に取り付けられるワイヤーを含む場合も、移動式作業装置が飛行装置ではなく構造物に設置された巻き上げ装置から吊り下げられてもよい。
なお、上記では本発明の実施形態として主に本体部14に塗液を吹き付ける吹付ノズル15を取り付ける例について説明したが、図6の例に限らず、他の例では吹付ノズルが塗装の下地処理のために必要に応じて研磨剤が混合された高圧水を作業面に吹き付けてもよい。さらに他の例では、移動式作業装置において吹付ノズル以外の作業部が本体部に取り付けられてもよい。例えば、作業部は、作業面を撮像する撮像装置であってもよい。この場合も、例えば本体部および作業部を一定の速度を保って移動させることによって、撮像装置によって撮像された画像を作業面上の位置情報、具体的には高さ情報と精度よく対応付けることができる。また、例えば、作業部は、作業面に対して削孔、切断、削正またはねじ止めなどの各種作業を実施するマニピュレータであってもよい。この場合も、例えば本体部および作業部を高い位置精度で移動させられることによって、正確な作業位置に迅速に到達することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10,10A,10B,20,30,40,50…移動式作業装置、11…飛行装置、12,12A,12B,22…ウインチ、32…巻き取り装置、13,13A,13B,33…ワイヤー、33A…上部ワイヤー、33B…下部ワイヤー、131…スイベル、14…本体部、15,15A,15B,55…吹付ノズル、151,551…供給管、152,552…供給装置、153A,153B…角度調節機構、16…車輪、47,47A,47B…ファン、58…噴射ノズル。
Claims (13)
- 飛行装置と、
前記飛行装置に取り付けられる吊り下げ部と、
前記吊り下げ部によって前記飛行装置から吊り下げる本体部と、
前記本体部に取り付けられる作業部と、
前記飛行装置、前記本体部または前記吊り下げ部に取り付けられ、前記吊り下げ部の長さを調節する手段と
を備える移動式作業装置。 - 前記吊り下げ部は、ワイヤーを含み、
前記吊り下げ部の長さを調節する手段は、前記ワイヤーの巻き取りおよび巻き出しが可能な巻き取り装置を含む、請求項1に記載の移動式作業装置。 - 前記吊り下げ部は、前記本体部の異なる位置に取り付けられる少なくとも2本のワイヤーを含み、
前記吊り下げ部の長さを調節する手段は、前記少なくとも2本のワイヤーを同期して巻き取る、または巻き出すことが可能な少なくとも2つの巻き取り装置を含む、請求項2に記載の移動式作業装置。 - 前記吊り下げ部は、スイベル、および前記スイベルを介して前記本体部に取り付けられるワイヤーを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移動式作業装置。
- 前記作業部は、作業面に向けて流体を吹き付ける複数の吹付ノズルを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の移動式作業装置。
- 前記複数の吹付ノズルは、水平方向に配列され、
前記作業部は、水平面内において前記複数の吹付ノズルのそれぞれが流体を吹き付ける方向を調節する手段をさらに含む、請求項5に記載の移動式作業装置。 - 前記作業部は、鉛直面内において前記複数の吹付ノズルのそれぞれが流体を吹き付ける方向を調節する手段をさらに含む、請求項5または請求項6に記載の移動式作業装置。
- 前記作業部は、作業面に向けて流体を吹き付ける吹付ノズルを含み、
前記移動式作業装置は、前記本体部に取り付けられ、前記本体部を前記作業面に近づける向きの推力を発生させる手段をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の移動式作業装置。 - 前記推力を発生させる手段は、前記吹付ノズルによる流体の吹き付けとは逆向きの気流を発生させるファンを含む、請求項8に記載の移動式作業装置。
- 前記ファンは、前記本体部の前記作業面とは反対側で水平方向に対称配置される、請求項9に記載の移動式作業装置。
- 前記推力を発生させる手段は、前記吹付ノズルによる流体の吹き付けとは逆向きに流体を噴射する噴射ノズルを含む、請求項8に記載の移動式作業装置。
- 前記本体部の前記作業面側に取り付けられる車輪をさらに備える、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の移動式作業装置。
- 飛行装置を作業面の近傍で空中停止させる工程と、
前記飛行装置の空中停止を継続しながら、前記飛行装置から吊り下げ部を介して吊り下げられた移動式作業装置の本体部を、前記吊り下げ部の長さを調節することによって前記作業面に沿って鉛直方向に移動させる工程と、
前記本体部の鉛直方向への移動に並行して、または前記本体部の鉛直方向への移動と交互に、前記本体部に取り付けられた作業部を用いて前記作業面に対する作業を実施する工程と、
前記飛行装置を前記作業面に沿って水平方向に移動させ、再び空中停止させる工程と
を含む、移動式作業装置を用いた作業方法。
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JP2021132263A JP2023026855A (ja) | 2021-08-16 | 2021-08-16 | 移動式作業装置および移動式作業装置を用いた作業方法 |
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