以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図71を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
なお、以下の説明では、図1に示す状態のパチンコ機10に対して、紙面手前側を前方(正面)側として、紙面奥側を後方(背面)側として説明する。また、図1に示す状態のパチンコ機10に対して、上側を上方(上)側として、下側を下方(下)側として、右側を右方(右)側として、左側を左方(左)側としてそれぞれ説明する。さらに、図中(例えば、図2参照)の矢印U-D,L-R,F-Bは、パチンコ機10の上下方向,左右方向,前後方向をそれぞれ示している。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29~33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29~33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29~33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29~33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その左側部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿(図示せず)が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(センターフレーム86の下方において図示し、遊技領域の上半部においては図示せず)や風車(図示せず)の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口140、可変入賞装置65、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。
ベース板60は、光透過性の樹脂材料から形成されるており、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能となっている。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口140及び可変入賞装置65は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
なお、ベース板60を木製の板部材から形成しても良い。この場合、センターフレーム86の外側において、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に視認不能に遮蔽することが可能となる。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口140へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口140へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口140へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、4R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「4R通常大当たり」は、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、所定の変動回数の間(本実施形態では、100変動回数)、大当たり確率がアップし、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口140へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口140へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
本実施形態では、後述する振分装置300の確変検出センサSE11の貫通孔を、大当たり遊技の1ラウンド目に遊技球が通過したと判定された時に、その大当たり遊技終了後の遊技状態が100変動回数の間、高確率状態となる。なお、確変検出センサSE11の貫通孔に遊技球が通過したと判定されなかったら大当たり遊技終了後の遊技状態が100変動回数の間、時短状態となる。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口140に付随する電動役物140a(電動役物)が開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物140aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物140aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口140へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口140に付随する電動役物140aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物140aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口140に付随する電動役物140aが開放される時間および1回の当たりで電動役物140aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口140に付随する電動役物140aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物140aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口140への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
なお、本実施形態では、第3図柄表示装置81は後述する背面ケース510の開口511aを埋めるように背面ケース510に締結固定され、センターフレーム86はベース板60の窓部を縁取るように配設されている。即ち、正面視では第3図柄表示装置81の外周を囲むようにセンターフレーム86が配設されているように見えるが、実際は、第3図柄表示装置81とセンターフレーム86とは前後に離れて配置されている。
第3図柄表示装置81は、例えば9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口140に付随された電動役物140aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口140の電動役物140aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物140aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物140aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の左右の領域において遊技盤13に組み付けられ、遊技盤13に発射された球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は2つに限定されるものではなく、例えば1つであっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の左右に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の下方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視下方には、球が入賞し得る第2入賞口140が配設されている。この第2入賞口140へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口140は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口140へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口140へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口140へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口140には電動役物140aが付随されている。この電動役物140aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物140aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口140へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物140aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口140へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物140aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物140aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口140へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口140へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口140にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口140に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口140に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口140に付随する電動役物140aが開放状態となりやすく、第2入賞口140に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口140へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口140への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
なお、本実施形態におけるパチンコ機10は、遊技盤13の構成が左右対称とされるため、「右打ち」で第1入賞口64を狙うことも、「左打ち」で第2入賞口140を狙うこともできる。そのため、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることを不要にできる。よって、球の打ち方を変化させる煩わしさを解消することができる。
第1入賞口64の下方には可変入賞装置65(図2参照)が配設されており、その略中央部分に特定入賞口65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口140への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,140にも入賞しなかった球は、アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。アウト口71は、特定入賞口65aの左右に一対で配設される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている(図示せず)。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100~104に収納されている。基板ボックス100~104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板65b(図11参照)の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29~33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には駆動モータ631,731,782,861が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110~114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110~114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、可変入賞装置65周辺の構造について説明する。図5は、可変入賞装置65及び振分装置300の正面斜視図であり、図6(a)及び図6(b)は、可変入賞装置65の正面斜視図である。図6(a)では、特定入賞口65aへの球の流下を規制するように開閉板65bが閉鎖される開閉板65bの閉鎖状態が図示され、図6(b)では、特定入賞口65aへの球の流下を許容するように開閉板65bが開放される開閉板65bの開放状態が図示される。なお、図5及び図6の説明においては、図2を適宜参照する。
可変入賞装置65は、開閉板65bの開放状態(図6(b)参照)において、開閉板65bに着地する球を受け入れ、特定入賞口65aへ案内可能となるように、開閉板65bの開放状態において開閉板65bの板上面が背面側へ向けて下降傾斜するように形成される。
開閉板65bの左右中央部の上方には電動役物140aが配置されているので(図2参照)、開閉板65bに着地する球は、電動役物140aから逸れて流下する球に限定される。即ち、開閉板65bへの球の着地は、左右中央部では生じず、主に、電動役物140aよりも左右外側の部分において生じる。換言すれば、開閉板65bに着地する球の配置は、開閉板65bの左右外側寄りの位置に限定される。
なお、開閉板65bに着地した後の球の配置についてはこの限りではない。即ち、開閉板65bに着地した後の球の流れ方によっては、開閉板65bの左右中央位置寄りに球が配置されることは生じ得る。
特に、本実施形態では、電動役物140aを前側から覆う前意匠部材141(図2参照)が、開閉板65b側の空間を確保するように湾曲形成されている(ガラスユニット16(図1参照)と対向配置される前端部下端から背面側へ向かうにつれて下側に張り出す態様の湾曲面として形成されている)ので、開閉板65bの左右中央位置寄りにおいて跳ねた球が前意匠部材141と衝突して勢いを落とされる程度を低くすることができる。これにより、開閉板65bの左右中央位置寄りに球が配置される可能性を高めることができる。
なお、前意匠部材141の下部の湾曲形状の曲率半径の中心は、前後どちらに配置されるものでも良い。本実施形態では、横面視における曲率半径が前側下方に配置されるよう形成することで、開閉板65b側の空間をより大きく確保できるようにしている。また、前意匠部材141が左右端部において下側へ向かう程に左右幅が小さくなる形状とされることで、左右側において開閉板65bとの間に空間を確保し易くすることができる。
開閉板65bの開放状態においては、開閉板65bに着地した球はほぼ漏れなく特定入賞口65aに案内される。検出センサSE1の球通過孔163bの手前側には、後方へ向けて下降傾斜する傾斜流下面163a1が球を球通過孔163bに案内可能な上下位置で配設されている。
傾斜流下面163a1は、下面部163aにより左右外側に転動された球が抵抗少なく乗り移れるように下面部163aの左右端部よりも一段下がって形成されている。この傾斜流下面163a1よりも左右外側において開閉板65bに着地した球の流下抵抗を低減するため、傾斜流下面163a1の左右外側において案内板部163a2が形成されている。
案内板部163a2は、受入部材163の後壁部と左右内壁部とから、前側かつ左右内側へ延設される板状部であって、前端面が左右内側ほど後方へ配置がずれる傾斜面として形成される。
これにより、開閉板65bに乗り転動する球が案内板部163a2の前端面に当接した場合に、傾斜面の傾斜に沿って球の流下を案内することができるので、球を傾斜流下面163a1に抵抗少なく案内することができる。そのため、開閉板65bに球が乗った状態で開閉板65bが閉鎖動作を開始した場合において、その球が傾斜流下面163a1よりも左右外側に配置されていたとしても、開閉板65bの閉鎖動作が阻害される程度を低減することができる。
即ち、例えば、球の流れが悪くなり開閉板65bの閉鎖が滞ったり、開閉板65bの閉鎖動作により後方に流された球が受入部材163の後壁部で跳ね返って開閉板65bに再び当たり、開閉板65bを開放させる方向(前側)の負荷を与えることで開閉板65bが意図せず開いたり、等という動作不良が生じる可能性を低減することができる。
開閉板65bが開放状態から閉鎖状態へ動作する場合、開閉板65bは起き上がり動作で閉じる。即ち、開閉板65bに着地した球は、開閉板65bの動作により特定入賞口65aに案内される(飲み込まれる)ので、開閉板65bに乗っている球の左右位置に寄らず、開閉板65bに乗っている球はほぼ漏れなく特定入賞口65aに案内される。
この際、開閉板65bにおける球の配置が左右外側に寄っていたり、球の個数が多かったりすると、開閉板65bの閉鎖動作が遅れる可能性がある。これに対し、本実施形態では、受入部材163の下面部163a、傾斜流下面163a1及び案内板部163a2の形状を工夫しているので、特定入賞口65aに案内された球の流れを滞留させることなく、開閉板65bの閉鎖動作の迅速性を保つことができる。
また、受入部材163の形状を工夫する代わりに、開放状態において球が乗る開閉板65bの転動面は、平面状に形成される(図6(b)参照)。そのため、開閉板65bの開放状態において開閉板65bに着地した球は、一旦後方に流れてから、受入部材163の形状の作用により左右方向へ流され検出センサSE1の球通過孔163bに案内されることになるので、開閉板65b上で球の衝突が生じることを回避し易くすることができる。
即ち、開閉板65bに複数の球が同時に着地しても、その球が一旦後方に平行移動することになるので、開閉板65b上で球が互いに衝突することを回避することができる。従って、開閉板65bの転動面が下面部163aのように左右方向の傾斜面を有する形状とされ転動球に左右方向の流れが形成される場合に比較して、開閉板65b上での球の動きが不規則になる可能性を低くすることができるので、意図せぬ動作不良を未然に防ぐことができる。
受入部材163には、開閉板65bの閉鎖状態において、開閉板65bの左右両端部における回動先端部と当接し、開閉板65bの配置の再現性を高めるための当接面部163a3が形成されている。当接面部163a3は左右一対で形成されており、且つ、開閉板65bの形状に合わせた形状設計により点接触ではなく面接触可能に形成されているので、開閉板65bの配置を安定させ易く、且つ、当接時の負荷を面で受けることにより応力集中を避けることができるので耐久性を向上させることができる。
また、当接面部163a3の下側には、対向配置される開閉板65bと若干の隙間を空け略平行となる面形状で形成される補助当接面163a4が形成されている。補助当接面163a4は、何らかの理由で当接面部163a3と開閉板65bとの当接が不良となった場合のフェールセーフとして設けられている。
本実施形態では、当接面部163a3の手前側において球の流下を制限する被固定部材161が配置されており、基本的には球は当接面部163a3と衝突しないように構成されている。しかし、例えば、当接面部163a3と当接する開閉板65bの回動先端部が欠けた場合、閉鎖状態における開閉板65bの配置の再現性を保てなくなる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、開閉板65bと当接面部163a3との正常な当接が保てなくなった場合には、開閉板65bの左右端部における前後幅間部と補助当接面163a4との面当接を生じさせ、開閉板65bの配置の安定性を保てるように図っている。これにより、閉鎖状態における開閉板65bの配置の再現性を向上することができる。
なお、補助当接面163a4を、当接面部163a3の形状が正常な状況から開閉板65bと当接するように構成しても良い。この場合、当接面部163a3の形状が正常な状況から開閉板65bとの当接が生じるので負荷が蓄積され易いという不利益が生じ得るものの、負荷を分散させる面積を拡大できるので、開閉板65bとの当接により当接面部163a3が受ける局所的な負荷の大きさを低減することができる。
開閉板65bが開放状態から閉鎖状態へ動作する場合、開閉板65bへ受け入れられる途中の遊技球を、上述した前意匠部材141の形状によって開閉板65bへ押し込む態様で受け入れさせるよう構成することができる。
即ち、受け入れられる途中の状態(例えば、開閉板65bの回動先端と特定入賞口65aの開口枠部とに挟まれて横滑りしている状態)で、球が前意匠部材141の下部形状と当接した場合に、その湾曲形状に案内させることで特定入賞口65aの内側へ流下させることができる。これにより、開閉板65bから逸れた球が第3流路構成部336の正面側を落下する事態の発生を避け易くすることができるので、第3流路構成部336への視界を確保し易くすることができる。
開閉板65bの閉鎖状態においては、開閉板65bへの球の着地が生じないので、開閉板65bの閉鎖状態において開閉板65bの正面側を流下する球の配置は電動役物140aよりも左右外側に限定される。
従って、本実施形態の構成によれば、開閉板65bの閉鎖状態において特定入賞口65aに案内されずに流下する球の配置を、電動役物140aよりも左右外側位置に限定することができる。これにより、電動役物140aの下側において、電動役物140aの左右端部よりも左右内側位置における視界を確保することができる。
次いで、特定入賞口65aの下流側(特定入賞口65aを通過した球が流れる側)の構成について説明する。図7は、遊技盤13の正面斜視図であり、図8は、遊技盤13の背面斜視図である。なお、図7及び図8では、ベース板60に配設される構成の内、第1入賞口64、第2入賞口140及び可変入賞装置65以外の構成が取り外された状態が図示される。
図8に示すように、ベース板60の背面側における可変入賞装置65の後方位置には、第1入賞口64、第2入賞口140及び一般入賞口63(図2参照)に入球した球を球排出路(図示せず)へ流すための経路が形成される集合樋150が配設される。
集合樋150は、流路を形成する溝状部分を備え、溝状部分においてベース板60と対面する前側部が開放される。この開放部分がベース板60に閉じられることで、球排出路へ球を流すための経路が完成する。
集合樋150は、第1入賞口64に入球した球の流路を形成する第1流路部151と、第2入賞口140に入球した球の経路を形成する第2流路部152と、左右両側に配置される一般入賞口63に入球した球の流路を左右それぞれに形成する複数の第3流路部153と、を備える。
第1流路部151は、第1入賞口64の後方位置から左下方向へ傾斜する流路として構成され、第2流路部152は、第2入賞口140の後方位置から右下方向へ傾斜する流路として構成される。第3流路部153は、一般入賞口63の下方へ延びる流路として構成される。
従って、正面視では、第1入賞口64及び第2入賞口140が遊技領域の左右中央位置に配置される構成ながら、第1入賞口64及び第2入賞口140に入球した球の流れは、集合樋150によって左右中央位置から左右外側に寄せられる。これにより、第1入賞口64及び第2入賞口140の下方に空間を設けることができ、この空間を利用して可変入賞装置65及び後述する振分装置300を配設することができる。
図9は、ベース板60、可変入賞装置65、集合樋150及び振分装置300の分解正面斜視図であり、図10は、ベース板60、可変入賞装置65、集合樋150及び振分装置300の分解背面斜視図である。なお、図9及び図10では、ベース板60の下半部のみが図示され、その他の部分の図示が省略されており、且つ、ベース板60に組み付けられる他の構成についての図示が省略され、ベース板60の地が視認可能となっている。また、図9では、説明の便宜上、センターフレーム86がベース板60に組み付けられた状態で図示される。
可変入賞装置65、集合樋150及び振分装置300の固定について説明する。可変入賞装置65は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。集合樋150は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の背面側からタッピングネジ等により固定されている。
そして、振分装置300は、上部において挿通孔311が可変入賞装置65に締結固定され、左右部において挿通孔331が集合樋150に締結固定される。即ち、ベース板60に直接的に固定される可変入賞装置65や、集合樋150とは異なり、振分装置300の有無は、遊技盤13の完成に影響するものではない。
換言すれば、本実施形態における可変入賞装置65及び集合樋150は、振分装置300を配設する場合と、振分装置300を配設しない場合とで、そのまま流用することができる。これにより、振分装置300の有無に関わらず、可変入賞装置65と集合樋150との共通化を図ることができる。
次いで、可変入賞装置65及び振分装置300の詳細について説明する。可変入賞装置65は、特定入賞口65aを通して遊技領域から球を受け入れ可能に構成されており、振分装置300は、可変入賞装置65に受け入れられた球の流れる流下経路を構成している。本実施形態では、振分装置300の流下経路を流れる球の検出結果に基づいて遊技者が得られる利益が変化するように制御されるが、詳細は後述する。
図11は、可変入賞装置65の分解正面斜視図であり、図12は、可変入賞装置65の分解背面斜視図である。図11及び図12に示すように、可変入賞装置65は、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定される被固定部材161と、その被固定部材161の正面側に配置され被固定部材161に締結固定される前意匠部材162と、被固定部材161の背面側に配置され、被固定部材161に締結固定され、特定入賞口65aを通った球を受け入れ可能に構成される受入部材163と、その受入部材163の背面側に配置され、受入部材163に締結固定され、振分装置300との連結部分として介在する介在部材164と、受入部材163の背面側に配置され、受入部材163に締結固定され、開閉板65bの開閉状態を通電の有無によって切り替え可能に構成される状態切替装置165と、を備える。
被固定部材161は光透過性の樹脂材料から形成され、その正面側の形状は、ネジ挿通用の貫通孔、前意匠部材162との締結位置および特定入賞口65aを除き平坦面で形成される。一方、被固定部材161の背面側の形状は、外周部においてベース板60に面で当接される薄肉部の内側において背面側に張り出す立体的な形状となっている。
特に、薄肉部との境界部161aは横長略楕円の枠状に形成されており、この境界部161aを配設可能な大きさの貫通孔がベース板60に貫通形成される。即ち、境界部161aは、ベース板60の貫通孔に挿通される部分である。
境界部161aの内側では、特定入賞口65aと、その特定入賞口65aの下縁よりも若干下側において特定入賞口65aの下縁と平行な横長板状で後方へ延設される横長板状部およびその横長板状部の途中位置において下方に延設される縦長板状部を備えて左右一対の略T字形状で構成される延設支持板161bと、が形成される。
延設支持板161bは、特定入賞口65aの後方の範囲と、後述する振分装置300の流下経路と、の双方を支持するよう機能する。延設支持板161bの横長板状部から突設される突設支持部161cと、延設支持板161bの縦長板状部から突設される突設支持部161dと、境界部161aの下縁部上面から突設される突設支持部161eと、は振分装置300を支持する部分としての機能を有するが、詳細は後述する。
境界部161aの内側において、特定入賞口65aの左右中央位置下方において左右対称形状で突設される対称突設部161fは、振分装置300を流下する球と当接して球の流下を案内する機能を有する。
前意匠部材162に螺入する締結ネジを挿通するための複数の貫通孔161gは、境界部161aの内側および外側に配置される。受入部材163に挿通される締結ネジを螺入するため雌ネジ部を有する複数の被締結部161hは、境界部161aの内側に配置される。
介在部材164に挿通される締結ネジを螺入するため雌ネジ部を有する被締結部161iは、境界部161aの切れ目(左右中央位置)において境界部161aの外側に配置される。即ち、ベース板60に形成される貫通孔の内、境界部161aを挿通するための貫通孔と第2入賞口140及び電動役物140aを挿通するための貫通孔との連結部分(図9参照)に、被締結部161iは配設される。
前意匠部材162は、光透過性の樹脂材料から形成され、正面側は、ガラスユニット16(図1参照)との距離を均一とするべく平坦形状で形成される。前意匠部材162の背面側かつ被固定部材161の正面側の範囲において、球は流下可能とされる。
前意匠部材162の背面側には、被固定部材161の貫通孔161gと合う位置に配設され、貫通孔161gに挿通された締結ネジを螺入可能に形成される雌ネジ部を有する複数の被締結部162aと、その被締結部162aを上側から覆うような形状で背面側に延設される複数の延設部162b,162cと、を備える。
延設部162b,162cにより、被固定部材161と前意匠部材162との間を流下する球が被締結部162aに直接衝突することを回避することができるので、被締結部162aの耐久性を向上することができる。
更に、延設部162b,162cの上面が傾斜面として形成されることにより、球の流下経路を制限することができる。即ち、特定入賞口65aの左右縁部付近で延設される延設部162b(左右中央側の2箇所)の上面が左右外側へ向けて下降傾斜する傾斜面として形成されることで、延設部162bに乗った球が特定入賞口65a側に流れることを抑制することができる。即ち、延設部162bに乗った球は、延設部162bの左右外側を下方へ落下した後、内レール61(図2参照)に沿ってアウト口71へ向けて流下することになる。
また、左右両端に延設される延設部162c(左右両端の2箇所)の上面が左右内側へ向けて下降傾斜する傾斜面として形成されることで、延設部162cに乗って流れる球の流下経路を延設部162bに乗った球の流下経路とまとめることができる。これにより、流下する球の個数に比較して、流下する球が配置される範囲を狭めることができ(球の配置密度を高めることができ)、球に視認性を阻害されない部分(流下経路が構成されない空間)を確保することができる。
なお、図11に図示される前意匠部材162は無地で記載され、背面側の視認性が良好とされているが、前意匠部材162を無地で構成する必要はない。例えば、前意匠部材162の正面側に模様やキャラクターが図示されたシールを貼り付けて装飾するようにしても良いし、前意匠部材162に幾何学模様で溝を掘り、その溝に光が照射されることで幾何学模様が浮かび上がって視認されるようにしても良い。また、無地や、上述のような装飾が加えられた上で、前意匠部材162が非透過性となるように構成しても良い。
受入部材163は、光透過性の樹脂材料から正面側が開放された横長の枠状(または箱状)に形成され、上述した案内板部163a2と、当接面部163a3と、補助当接面163a4と、枠内側において流下面を形成する下面部163aと、下面部163aを流下した球が通過可能な貫通孔として配設される球通過孔163bと、被固定部材161の被締結部161hに合う位置に配置され被締結部161hに締結固定される締結ネジが背面側から挿通される複数の挿通孔163cと、介在部材164に挿通される締結ネジが螺入される雌ネジ部であって左右中央側に配設される一対の被締結部163dと、状態切替装置165に挿通される締結ネジが螺入される雌ネジ部を有する複数の被締結部163eと、を備える。
下面部163aは、左右中央部を頂点として左右外側へ向けて下降傾斜する左右傾斜面として形成され、その左右傾斜面の左右外端部から一段下がった位置において後方へ向けて下降傾斜する傾斜流下面163a1を備えていることで、傾斜流下面163a1の後端部を流下する球が球通過孔163bを抵抗小さく通過できるように配設される。
球通過孔163bは、受入部材163の背面側に係合される検出センサSE1に形成される検出用孔である。即ち、球通過孔163bを球が通過したことは検出センサSE1により検出される。
介在部材164は、光透過性の樹脂材料から形成され、後方へ向けて下降傾斜する光屈折面を有する本体部164aと、その本体部164aの上側部において貫通形成され受入部材163の被締結部163dに螺入される締結ネジを挿通可能な一対の挿通孔164bと、その挿通孔164bよりも上側に配置されLEDが配設される発光基板164cと、本体部164aの下端側左右両端部において振分装置300に挿通される締結ネジを螺入可能な雌ネジ部を有して形成される一対の被締結部164dと、本体部164aの上側部において貫通形成され被固定部材161の被締結部161iに螺入される締結ネジを挿通可能な挿通孔164eと、を備える。
発光基板164cは、LEDが配置される面が斜め前上方向を向く姿勢で配設され、組立状態において、正面視で特定入賞口65aの真上位置(図6参照)、且つ、第2入賞口140の真下位置に配置される。このような配置から、発光基板164cからの光は、第2入賞口140や特定入賞口65aへの入球を望みその箇所を斜め後下方向の視線で見つめる遊技者の視界に容易に入る。
従って、第2入賞口140や特定入賞口65aへの入球が検出された際に発光基板164cのLEDを点灯させるよう制御することで、第2入賞口140や特定入賞口65aへの入球が生じたか否かを遊技者に容易に把握させることができる。
上述の構成から、介在部材164は、被固定部材161及び受入部材163の双方に締結固定される。これにより、被固定部材161と受入部材163との締結固定のみで構成する場合に比較して、被固定部材161と受入部材163とを強固に固定することができる。また、介在部材164を介して被固定部材161及び受入部材163と連結固定される振分装置300の配置を安定させることができるので、被固定部材161及び受入部材163と振分装置300との相対的な位置ずれを抑制することができる。
状態切替装置165は、受入部材163の被締結部163eに螺入される締結ネジが挿通される複数の挿通部165aを有し、配線通し用、兼、放熱用の複数の開口を有して上側が開放される深底の箱状に形成される下ケース部165bと、その下ケース部165bに収容される電磁ソレノイド165cと、その電磁ソレノイド165cのプランジャーの先端に係合されプランジャーと共にスライド変位するスライド部165dと、下ケース部165bの前端部から回動先端部がはみ出すような配置で下ケース部165bに回動可能に支持され、スライド部165dのスライド変位に伴い回動する回動部165eと、複数の挿通孔165fに挿通される締結ネジにより下ケース部165bに締結固定される上蓋部165gと、を備える。
回動部165eの回動先端は、棒状部が係合可能に凹設されており、この凹設部に開閉板65bの右側端部から右方に突設される伝達突部65cが入り込み、係合される。伝達突部65cは、開閉板65bの開閉動作の回転軸を形成する金属製の軸棒部65dから偏心した位置に配置されている。このように構成することで、回動部165eの回動に伴って、開閉板65bの開閉動作を生じさせることができる。
図13及び図14は、振分装置300の分解正面斜視図である。図13では、振分装置300を上方から見た斜視図が図示され、図14では、振分装置300を下方から見た斜視図が図示される。
図13及び図14に示すように、振分装置300は、介在部材164の被締結部164dに螺入される締結ネジが挿通可能に貫通形成される一対の挿通孔311を有する上部材310と、その上部材310に上下方向で締結固定されると共に集合樋150の雌ネジ部に螺入される締結ネジを挿通可能に貫通形成される一対の挿通孔331を有する中部材330と、その中部材330と上部材310との間に収容され正面側にLED等の発光手段351が配設される基板350と、中部材330と上部材310との間の位置に収容され通電の有無によって状態を切り替え可能に構成される状態切替装置360と、中部材330の下方に配置され状態切替装置360の状態の切り替えに伴い前側位置と後側位置とで前後にスライド変位するスライド変位部材370と、中部材330との間にスライド変位部材370を挟むように中部材330の下方に配設されると共に集合樋150の雌ネジ部に螺入される締結ネジを挿通可能に貫通形成される挿通孔381を有する下部材380と、を備える。
各部の構成の詳細を説明する前に、振分装置300の機能の概要について説明する。振分装置300は、検出センサSE1の球通過孔163b(図12参照)を通過した球が流下する流下経路を構成する装置である。
球通過孔163bを通過した球は、上部材310の内部、上部材310と中部材330との間に形成される流路構成部334,335,336、下部材380の内部、という順で流下し、下部材380から流下した球は球排出路(図示せず)へ排出される。
振分装置300の内部を流下する球は遊技者が視認可能となるように構成されており、その流下態様により、遊技者の目を楽しませる単なる演出的効果のみでは無く、遊技者が得られる利益に変化を生じさせるといった遊技利益に関わる効果を奏する。
振分装置300の内部を流下する球の流下態様の違いは、主に、スライド変位部材370の配置により生じる。即ち、球が中部材330から下部材380へ向けて流下する時におけるスライド変位部材370の配置により、球が下部材380のどの箇所を通過するかに違いが生じる。
従って、遊技者の視線は、自ずと中部材330から下部材380へ向けて球が流下する箇所(後述するように、スライド変位部材370の配置箇所)に集まり易くなるので、本実施形態では、視線の集中を前提とした工夫が施されている。
次いで、振分装置300の各部の構成の詳細について説明する。上部材310は、光透過性の樹脂材料から形成される上面視コ字状の薄肉部材であり、上述の挿通孔311と、球を受け入れ可能に貫通形成される一対の開口部312と、目印として貼り付けられる有色(本実施形態では、赤色)透明の一対のシール部材313と、開口部312の下縁から外周部に沿って正面側に延設される一対の上面部314と、中部材330に螺入される締結ネジが挿通可能な貫通孔が形成される複数の挿通筒部315と、中部材330に挿通された締結ネジが螺入可能な雌ネジを有する被締結部316と、上部材310の下面から下方へ向けて突設される前後方向に長尺の部分であって左右に並べて配設される一対の前後長突設部317と、上部材310の下面から下方へ向けて突設される左右方向に長尺の部分であって一対の前後長突設部317の間に配設される一対の左右内突設部318と、上部材310の下面から下方へ向けて突設される左右方向に長尺の部分であって一対の前後長突設部317の左右外側に配設される一対の左右外突設部319と、基板350の上部を配置可能な大きさの凹部として形成される収容凹部320と、を備える。
開口部312は、可変入賞装置65の球通過孔163bを通過した球を受け入れ、下方へ流す役割を果たす通路状部(トンネル状部)であり、上前縁部は傾斜姿勢の検出センサSE1(図12参照)の板背面と面一となるように傾斜面で切断したような形状とされる。これにより、開口部312の上前縁部を検出センサSE1の板背面に接触させることができる。
また、開口部312は、球通過孔163bの開口方向視で球通過孔163bの開口内側に侵入しない程度の開口度合いで形成される。これにより、球通過孔163bを通過した球を開口部312に案内する際の流下抵抗を低減することができる。
シール部材313は、基板350の発光手段351から照射される光を受けて煌びやかに視認されることで、遊技者の注目を集める部材として機能するが、詳細は後述する。
上面部314は、上部材310の下方における球の流下経路に合わせて傾斜が形成される薄板部である。開口部312の正面側に配置される第1上面部314aは正面側へ向かうほど下降傾斜するように形成され、第1上面部314aの前端部と連結され左右内側に配置される第2上面部314bは左右内側へ向かうほど下降傾斜するように形成される。そして、左右の第2上面部314bの左右間隔が手前側ほど長くなるように構成されることで、第2上面部314bの間を通して球を視認する遊技者の視界の確保を図ることができる。
挿通筒部315は、締結ネジのネジ頭を受ける座グリが上面側に形成される。そのため、締結ネジを上側から挿通するという構成ながら、遊技者に締結ネジのネジ頭が視認されることを回避し易くすることができる。
挿通筒部315は、中部材330に形成される雌ネジ部を有する被締結部332dに合う位置に配置される。特に、左側の挿通筒部315に対応する被締結部332dは、回動部363を支持する支持部を兼ねるが、詳細は後述する。
被締結部316に螺入される締結ネジは、ネジ部が上向き、ネジ頭が下向きの姿勢で配置される。そのため、被締結部316を手前側に配置する構成ながら、斜め上から視認する遊技者に対してネジ頭が目立ちにくいようにされている。これにより、上部材310と中部材330とを強度に固定しながらも、締結ネジにより振分装置300の見映えが悪くなることを回避することができる。
被締結部316が右側にしか形成されていないのは、既に後側において挿通筒部315が2箇所に配設されているので前側における締結位置は1箇所で十分な点や、ネジ頭が下向きにされ目立ちにくいとはいえ不要であれば配設を省略した方が振分装置300の見栄えが良くなる点等が、理由である。なお、被締結部316の配置はこれに限定されるものではない。例えば、左側に配設されても良いし、左右一対で配設されても良い。
被締結部316の配置は、球の流下経路を避け、且つ、振分装置300の見映えの低下を最低限に抑えられる位置として設定されているが、詳細は後述する。
各一対で形成される前後長突設部317、左右内突設部318及び左右外突設部319の下面部は、それぞれ同一の箇所を基準として、その箇所から遠ざかるほど配置が下がるような湾曲面として形成される。この湾曲面は、前後長突設部317、左右内突設部318及び左右外突設部319で異なる形状とされており、この形状の違いにより球の流下態様を制御する意図がある。
中部材330は、上述の一対の挿通孔331と、後側において下底部を有する枠状(略箱状)に形成される後側枠状部332と、前側において下底部を有する枠状(略箱状)に形成される一対の前側枠状部333と、その前側枠状部333の左右外側において凹設され球の流下経路を構成する一対の第1流路構成部334と、その第1流路構成部334の前端部に連結されて球の流下経路を構成すると共に前側枠状部333の前側において凹設される一対の第2流路構成部335と、その第2流路構成部335の左右内側端部に連結されて球の流下経路を構成すると共に前側枠状部333の左右内側において凹設される一対の第3流路構成部336と、を備える。
また、中部材330は、第3流路構成部336の後端部の後ろ側において左右長尺形状で下底に貫通形成され球の排出路として機能する排出孔337と、その排出孔337及び第3流路構成部336を左右に仕切るよう前後方向に長尺の板状に形成される仕切り板部338と、第3流路構成部336の後方端部における下側面から左右長尺の矩形状凸部として突設される一対の位置合わせ突設部339と、を備える。
後側枠状部332は、球の流下経路を構成する前側部とは異なり球の流下経路を構成せず、主に基板350や状態切替装置360を支持する部分として構成される。後側枠状部332は、左右中央部の正面側端部において上下方向に貫通形成されスライド変位部材370を配置可能に構成される配置用貫通孔332aと、左右方向に長尺の貫通孔として下底部に貫通形成され状態切替装置360の被案内部362cのスライド変位を案内する案内孔332bと、下部材380に挿通される締結ネジが螺入可能に形成される雌ネジ部を有する複数の被締結部332cと、上部材310の挿通筒部315に挿通された締結ネジが螺入可能な雌ネジ部を上先端に有する円柱形状の被締結部332dと、を備える。
前側枠状部333は、枠内側および下底部表裏面に光拡散加工が施されていることで、前側枠状部333の奥側の視認性が低下することになる。前側枠状部333は、上面視略正方形状の枠状に形成されており、上部材310の被締結部316に螺入される締結ネジを挿通可能な座グリ孔として形成される挿通孔333aを備える。
第1流路構成部334、第2流路構成部335及び第3流路構成部336は、それぞれ球の流下経路を構成する部分であり、球の流下方向や、傾斜角度等が異なるように設計されているが、詳細は後述する。
なお、第2流路構成部335と第3流路構成部336との連結位置において正面側が開放される開放部335aは、可変入賞装置65の対称突設部161f(図12参照)が進入可能とするための空隙である。即ち、対称突設部161fは、振分装置300を流下する球に当接可能となるように、開放部335aを通して流路内側に進入するように配置される。
排出孔337は、仕切り板部338に仕切られる形で、左右一対で構成され、球が少なくとも2経路で排出可能な大きさで形成される。即ち、少なくとも、球の直径の2倍以上の左右長さで構成される。なお、本実施形態では、排出孔337の下側に配置される下部材380に複数の検出センサSE1が横並びにされているので、その検出センサSE1の球貫通孔の配置に合わせて排出孔337の形状を設計するようにすれば良い。
仕切り板部338は、上述のように第3流路構成部336を仕切る機能に加え、スライド変位部材370の変位を案内する案内部としての機能を奏するが、詳細は後述する。位置合わせ突設部339は、下部材380の突設部383aと嵌め合わされ、中部材330と下部材380との位置ずれを回避するための部分であるが、詳細は後述する。
基板350は、下側部353の方が上側部352に比較して左右長尺となる逆T字形状で形成されており、下側部353の左端側における下端部に位置合わせ用の凹設部354を備える。
凹設部354が、中部材330の内部形状として対応する部分と係合することで左右方向の位置決めがされ、左右長尺の下側部353が中部材330の後側枠状部332に前後から挟まれるように支持されることで前後方向の位置決めがされ、上部材310の収容凹部320に上側部352が収容されることで上方への脱落が防止されることで配置が固定されるよう構成されるが、発光手段351の配置の意図と共に詳細は後述する。
状態切替装置360は、中部材330の後側枠状部332に収容される装置であって、電磁ソレノイド361と、その電磁ソレノイド361に左右方向に直動変位するよう支持されるプランジャーの先端に係合されプランジャーと共にスライド変位するスライド部362と、左側の被締結部332dに挿通されることで回動可能に支持され、スライド部362のスライド変位に伴い回動する回動部363と、を備える。
スライド部362は、電磁ソレノイド361のプランジャーの先端の円板部361aを上側から受け入れ可能に凹設される凹設部362aと、右側面から右方に張り出す張出部362bと、下側面の前後中央部から下方に突設され左右方向に長尺の長円形状の断面で形成される被案内部362cと、を備える。
凹設部362aの形成方向から、円板部361aがスライド部362を上側から支える構成となるので、スライド部362が上方へ脱落することを防止することができる。そのため、円板部361aにスライド部362を接着剤等で固着せずとも、スライド部362の配置を円板部361aと中部材330の下底部との間で維持することができる。
被案内部362cは、中部材330の案内孔332bに挿通されることで、スライド部362の変位方向が左右方向からずれることを回避するための部分である。特に、本実施形態では左右方向に長尺に形成されるので、被案内部362cと案内孔332bとの係合により、スライド部362の姿勢維持を図ることができる。なお、被案内部362cの断面形状は必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、円形でも良いし、矩形でも良い。
回動部363は、上面視で略L字状に形成され、L字の接続部において上下方向に長尺の筒状に形成され中部材330の被締結部332dを挿通可能な大きさの貫通孔を有する支持筒部363aと、L字の短手側先端部から上方へ向けて円柱状に突設され張出部362bが有する貫通孔に挿通される上円柱部363bと、L字の長手側先端部から下方へ向けて円柱状に突設されスライド変位部材370の凹設部378に挿通される下円柱部363cと、を備える。
上述の構成により、回動部363は、支持筒部363aを中心軸として回動可能に構成される。この回動部363の変位は電磁ソレノイド361の状態の変化によって生じる。即ち、電磁ソレノイド361に通電されることでプランジャーがスライド変位しスライド部362が左右方向に変位すると、張出部362bの貫通孔に挿通されている上円柱部363bが変位し、これに伴い下円柱部363cが変位し、結果としてスライド変位部材370を変位させる。
スライド変位部材370は、中部材330と下部材380との上下間位置において前後方向にスライド変位するよう支持される部材であって、中部材330の後側枠状部332の下底部と下部材380とに上下から挟み込まれて支持される薄板部371と、その薄板部371から左右一対で上方に突設される上突設部376と、その上突設部376よりも後側において左右中央部で上方に突設される突設部の突設端部で凹設され回動部363の下円柱部363cを受け入れ可能に形成される凹設部378と、を備える。
薄板部371は、後側半部において左右一対で貫通形成される被支持孔371aと、左右中央部における正面側端部から上突設部376の配置間隔よりも短い左右幅で前後長尺に凹設される凹設部372と、その凹設部372の縁部に沿う突条形状で下方に突設される一対の下突条部373と、後側半部における左右縁部に沿う突条形状で上下両方向に突設される複数の上下突条部374と、後端部から下方に円柱状で突設され下部材380の案内長孔386に挿通される円柱突部375と、を備える。
下突条部373及び上下突条部374は、上下側に配置される中部材330又は下部材380と対面し摺動することを想定した部分であり、平面での接触に比較して、中部材330及び下部材380との接触面積を低減するための突条である。接触面積を低減することで、スライド変位部材370の変位抵抗を低減することができるので、スライド変位部材370の変位速度が遅くなることを防止することができる。
上突設部376は、正面視略台形状の柱状部であり、配置用貫通孔332aを通り後側枠状部332の下底部よりも上方に進入するように配置される。上突設部376の左右内側の隙間の幅長さは、中部材330の仕切り板部338の左右厚みよりも若干長く設計される。この構成により、仕切り板部338により、上突設部376の変位を案内することができる。
換言すれば、上突設部376は、左右内側の隙間に仕切り板部338を挟むように配置され、仕切り板部338との当接により左右方向の位置ずれが抑制されるよう構成される。これにより、スライド変位部材370の変位を良好に案内することができ、スライド変位部材370の変位方向を前後方向に維持することができる。
凹設部378は、スライド変位部材370の前後方向変位を生じさせるのに必要となる回動部363の下円柱部363cの変位に対応できるように、左右方向に長尺の長孔として形成される。
凹設部378が形成される突設部は、配置用貫通孔332aを通り後側枠状部332の下底部よりも上方に進入するように構成されることで、回動部363の下円柱部363cを容易に凹設部378に挿通することができる。
このように、配置用貫通孔332aの形状は、挿通を予定される上突設部376と、凹設部378が形成される突設部と、が配置される全範囲を内側に含む形状の貫通孔として設計される。
下部材380は、上述の挿通孔381と、左右に長尺の薄板状に形成される板状部382と、その板状部382の下側において複数(本実施形態では4個)の検出センサSE1を左右に並べて配置可能とする枠状に形成されるセンサ保持枠部389と、を備える。
センサ保持枠部389は、検出センサSE1を挿入する背面側面と、検出センサSE1の貫通孔を通る球が通過する上下側面と、が開口形成されており、その他の部分が閉鎖されてなる枠状に形成される。
板状部382は、センサ保持枠部389に上下方向の貫通孔が形成されたことと同様に、検出センサSE1の貫通孔と合う位置に貫通孔が形成され、左右内側の2個の検出センサSE1の中間位置において前後方向に長尺の突条形状で上方へ突設される突条部383と、その突条部383の前側端部から左右に離れた位置で突設される一対の突設部383aと、突条部383よりも後側の位置においてスライド変位部材370の被支持孔371aに挿通可能な位置で突設される一対の案内突設部384と、その案内突設部384よりも左右外側の両位置において前後方向に長尺の突条として形成される一対の案内突条385と、上面視において突条部383と同一直線上に延びる長孔状の案内長孔386と、前側面において後方に突の湾曲面形状で形成される湾曲面部387と、中部材330の被締結部332cに螺入される締結ネジを挿通可能に貫通形成される挿通孔388と、を備える。
突条部383は、スライド変位部材370の凹設部372の左右隙間幅よりも若干短い左右厚みの突条として形成され、スライド変位部材370は凹設部372で突条部383を挟むように配置される。即ち、突条部383は、スライド変位部材370の前後方向変位を案内する案内部として機能する。
突設部383aは、左右内側端部が、中部材330の位置合わせ突設部339の左右外側端部と同等の位置となるように設計される。即ち、一対の突設部383aの左右内側端部に、位置合わせ突設部339の左右外側端部が当接する形で、嵌め合わされることにより、下部材380を基準とした中部材330の左右方向の位置を適切に定めることができる。それと共に、下部材380の枠前部(突条部383を突設部383aとを前端側でつなぐ部分)の背側面と位置合わせ突設部339の前側面とを当接させることで、下部材380を基準とした中部材330の前後方向の位置を適切に定めることができる。
これにより、中部材330の構成としての第3流路構成部336と、下部材380の構成としての検出センサSE1と、の間に位置ずれが生じることを回避し易くすることができる。
案内突設部384は、左右長尺の長円形状に形成されており、スライド変位部材370の被支持孔371aに挿通され、スライド変位部材370の変位を制限する。即ち、スライド変位部材370の変位は、被支持孔371aの内部に案内突設部384が配置される範囲での変位に制限される。
これにより、スライド変位部材370と突条部383との衝突を生じさせないようにすることができるので、例えば、前方向の変位終端がスライド変位部材370と突条部383との衝突した位置で定まる構成に比較して、突条部383の耐久性を向上することができる。そのため、突条部383による案内効果を長く奏し続けることができる。
なお、案内突設部384は、破損したとしてもスライド変位部材370の動作に即座に影響が生じる部分では無く、突条部383への衝突を防止するための部分として機能する。そのため、通常は案内突設部384の破損が生じない状態で設定期間(例えば、3年)において使用を維持できる強度で設計するところ、案内突設部384が破損した後は突条部383とスライド変位部材370とが衝突する状態で使用をすることを見込んで、案内突設部384及び突条部383の強度を設計するようにしても良い。即ち、案内突設部384の寿命を設定期間未満として(例えば、2年)として、残りの期間を突条部383の強度で耐えるように設計しても良い。この場合、下部材380に使用する樹脂材料の設定自由度や、形状の自由度を向上することができる。
案内突条385は、スライド変位部材370の薄板部371の左右幅よりも若干長い隙間幅で配置され、薄板部371を隙間に配置可能に形成される。スライド変位部材370の変位は、案内突条385の左右内側における変位に制限される。これにより、スライド変位部材370の前後方向変位を、左右方向の位置ずれ小さく生じさせることができる。
案内長孔386は、スライド変位部材370の円柱突部375を挿通可能な左右幅で形成される長孔である。スライド変位部材370の変位の方向は、円柱突部375が案内長孔386に案内されることで前後方向に制限される。
湾曲面部387は、中部材330よりも下側を流下する球の流下を案内するための当接面である。本実施形態では、アウト口71に入球した球の流下を案内することになるが、詳細は後述する。
挿通孔388には、締結ネジがネジ頭を下側に向けた姿勢で挿通される。これにより、締結ネジが目立って視認されることを回避することができる。また、挿通孔388の配置は、複数の検出センサSE1が配置される範囲よりも左右外側かつ背面側とされる。これにより、挿通孔388に挿通される締結ネジが、検出センサSE1付近または検出センサSE1の貫通孔を通過する球を見る視界を遮る可能性を低くすることができる。
上述のように、スライド変位部材370は、複数の部分、即ち、薄板部371に対する案内突条385や、被支持孔371aに対する案内突設部384や、凹設部372及び下突条部373に対する突条部383や、円柱突部375に対する案内長孔386や、上突設部376に対する仕切り板部338等、に案内されて前後方向へ変位する。これにより、案内時の負荷を複数位置に分担させることができるので、負荷が局所的にかかることを回避でき、スライド変位部材370及びスライド変位部材370を案内する案内用部分の破損を回避することができる。
ここからも分かるように、スライド変位部材370は、単一の部材に案内されるものではなく、少なくとも、中部材330と、下部材380と、の複数部材に案内される。即ち、スライド変位部材370は、少なくとも、中部材330の仕切り板部338に一対の上突設部376が案内され、且つ、下部材380の突条部383に凹設部372が案内される。
そのため、中部材330と、下部材380との組み付けが不良で、配置ずれが大きいと、スライド変位部材370の動きが阻害される。ここで、中部材330と下部材380とは、球の流下経路を連続的に構成する部分として配置ずれを小さく抑えることが好ましい所、スライド変位部材370の変位が良好とされていることにより、配置ずれが小さいことを保証することができる。
換言すれば、中部材330に対する下部材380の配置ずれが過度に大きくなると、スライド変位部材370の変位が良好に行われないので、スライド変位部材370の変位が不良であることを検出することにより、中部材330及び下部材380の相対的な配置が不良となっている可能性があるとしてエラー報知を実行するよう制御することができる。
従って、中部材330及び下部材380の相対的な配置が不良な状態のままの遊技が継続されることを防止できるので、遊技者が不測の不利益を被る可能性を低くすることができる。
次いで、振分装置300の内部構造の詳細について説明する。なお、ここでは、振分装置300の内部における球の流下に関わる構成と、球の流下経路側に進入する構成と、について主に説明する。
図15は、受入部材163及び振分装置300の正面図であり、図16は、図15のXVI-XVI線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図であり、図17は、図15のXVII-XVII線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図であり、図18は、図15のXVIII-XVIII線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図である。
なお、図15から図18では、図示されている場合には、開閉板65bは閉鎖状態で図示され、スライド変位部材370は前側位置に配置された状態で図示される。まず、振分装置300の内部を流下する球の流下経路の詳細について説明する。
開閉板65bが開放状態(図6(b)参照)の時に開閉板65bに着地した球は、受入部材163の下面部163aを転動し球通過孔163bに案内される。球通過孔163bを通過した球は上部材310の開口部312を通過し、中部材330の第1流路構成部334に案内される。第1流路構成部334と、続く第2流路構成部335と、その先に続く第3流路構成部336とは、全て下降傾斜する傾斜流路として構成され、接続される流路同士が上面視で90度の角度を成す渦巻き状に形成される。
即ち、第1流路構成部334は前後方向正面側に球を流下させる傾斜流路として形成され、第2流路構成部335は第1流路構成部334を流下する球の流下方向を基準として90度回転した左右方向に球を流下させる傾斜流路として形成され、第3流路構成部336は第2流路構成部335を流下する球の流下方向を基準として先の回転方向と同方向に90度回転した前後方向背面側に球を流下させる傾斜流路として形成される。
このように、流下経路を屈曲角度が直角の渦巻き状に形成することで、球の流下速度が下流側に向かうにつれて増加する程度を低減することができる。詳述すると、第1流路構成部334を流下する球は正面側へ向けて加速するところ、続く第2流路構成部335での流下方向は前後方向成分を持たないので、第1流路構成部334での加速分から受ける影響を抑えた流下態様を実現することができる。更に、第2流路構成部335に続く第3流路構成部336では、第1流路構成部334での加速方向とは逆の後方へ向けた流下となるので、前後方向の加速分から受ける影響を抑えた流下態様を実現することができる。
従って、例えば、終始一貫して同方向(例えば、左方向)へ向けて流下する流下態様と異なり、下流側において球の流下速度が過大となることを回避し易くすることができる。換言すれば、流路全体において球の流下速度を均一にしやすくすることができ、球に対する遊技者の注目力を高く維持することができ、球を遊技者が見失う事態の発生を回避し易くすることができるという効果を奏する。
また、例えば、第2流路構成部335を形成しないことも可能だが、第2流路構成部335を形成した方が、球の詰まりや、逆流を防止し易くすることができる。第2流路構成部335が形成されない場合(第2流路構成部335の左右方向長さが0である場合)、即ち、第1流路構成部334と第3流路構成部336とが連結される場合、その連結箇所において、球の流下方向を手前側の流れから後方への流れに180度反転する必要が生じる。この場合、球の流下方向の切り替え角度が大きく、特に速度方向を前後に反転させる必要があるので、球を滑らかに流下させることが困難であり、球の滞留や詰まり、逆流が生じ易く、不具合が生じる可能性がある。
これに対し、本実施形態のように、流下方向の切り替え角度が90度以下であれば(本実施形態では、90度)、球の速度方向の反転が生じないので、球を滑らかに流下させることができ、球の滞留や詰まり、逆流を回避し易くすることができる。
各流路構成部334~336の接続端部における流路形状について説明する。第2流路構成部335と第3流路構成部336との接続端部においては、上述の対称突設部161fが球の流下方向を屈曲させる態様で球の流下を案内する部分として配設される。
対称突設部161fは、球の上流側に配置される部分よりも下流側に配置される部分の方が球の経路から退くよう形成される。例えば、隣り合って配置される仕切り板部338の左右幅よりも、対向配置される対称突設部161fの左右幅の方が長く形成される。また、開放部335a付近の第2流路構成部335の流路側面よりも、対向配置される対称突設部161fの左右端側の後端部の方が正面側に配置される(図17参照)。
これにより、球が対称突設部161fに衝突した場合に、球が過度に減速されたり、球の逆流が生じたり、することを防止することができる。
また、第2流路構成部335と第1流路構成部334との接続端部においては、中部材330の前側左右端部において湾曲形成される側壁部334aが、球の流下方向を屈曲させる態様で球の流下を案内する部分として形成される。
また、第1流路構成部334の上流側端部においては、正面側へ向かうほど配置が下がる湾曲面形状(図16参照)で第1流路構成部334の流下面部から上方へ突設される湾曲突部334bが、球の流下方向を屈曲させる態様で球の流下を案内する部分として形成される。
即ち、開口部312を通過した球は、湾曲突部334bを転動し、第1流路構成部334を流下し、流下中に側壁部334aに当接することで流下方向を切り替えられ、第2流路構成部335を流下し、流下中に対称突設部161fに当接することで流下方向を切り替えられ、第3流路構成部336を流下し、排出孔337に到達する。
側壁部334aは、被固定部材161の突設支持部161dと係合し、位置合わせ可能な形状から形成される。即ち、側壁部334aが左右の突設支持部161dに挟み込まれるように支持され、左右方向への位置ずれが規制されることで、可変入賞装置65と振分装置300との左右方向の位置合わせを行うことができる。
各流路構成部334~336の長手方向の傾斜角度および長さの比について説明する。長手方向の傾斜角度については、第1流路構成部334は、水平に対する傾斜角度が約7度とされ、第2流路構成部335は、水平に対する傾斜角度が約5度とされ、第3流路構成部336は、水平に対する傾斜角度が約5度とされる。即ち、第1流路構成部334において傾斜角度が最大に設定され、第2流路構成部335及び第3流路構成部336では若干緩い共通の傾斜角度に設定される。
長さについては、各流路構成部334~336は、上面視において外形正方形状に形成される前側枠状部333を内側側面とし、その前側枠状部333のなす正方形の中心と同じ中心を有する大きな正方形を外側側面とするように形成される。ここで、本実施形態では、前側枠状部333の一辺の長さが21mmとされており、上述の大きな正方形の一辺の長さが45mmとされることにより、周囲に幅12mmの流路が形成される。
そのため、通常使用される直径11mmの球に対して、流路とのクリアランスが球の両側の合計で1mmとされているので、球は幅方向の位置ずれがほとんどない状態で流下することになる。これは、ベース板60(図2参照)とガラスユニット16(図1参照)との間隔が19mm程度で規定されることから考えても、小さなクリアランスであるといえ、流下する球の位置ずれを抑制することができる。
正方形状の前側枠状部333の周囲を取り巻く正方形上に配置される各流路構成部334~336の端部を構成する部分の内、第1流路構成部334の上流側の端部を構成する湾曲突部334bのみが正方形の頂点よりも内側(正面側)に配置されているので、第1流路構成部334は、第2流路構成部335及び第3流路構成部336に比べて短い。
上面視における実測値から言えば、第2流路構成部335及び第3流路構成部336により形成される流路は略同等の長さとされ(球中心間隔で33mm)、その長さは、第1流路構成部材334により形成される流路の長さ(球中心間隔で22mm)の約1.5倍とされる。
上述した各流路構成部334~336の長手方向の傾斜角度および長さの比から、各流路構成部334~336を球が通過するのに要する時間は一定では無いことが説明できる。即ち、傾斜角度が最大で且つ流路長さが最短の第1流路構成部334を通過する時間は、傾斜角度が緩められ且つ経路長さが1.5倍の第2流路構成部335及び第3流路構成部336を通過する時間よりも短い。
本実施形態では、このように構成することで、検出センサSE1の球通過孔163bを通過する際に配置が背面側へ移り、且つ検出センサSE1の非透過の樹脂部分に一部が隠されることで球の視認性が悪くなる状態から、球を早期に正面側に変位させることができ、遊技者に近く、球の視認性が高い状態へと状態を切り替えることができる。これにより、球通過孔163bを通過した球を遊技者が見失う事態が生じることを回避し易くすることができる。
更に、球の視認性が高い状態においては、球の流下速度を緩めることにより、球へ向けた視線を遊技者が素早く動かすことを不要とし、球に注目する遊技者の遊技負担(眼球の移動による目の疲れ)を低減することができる。
このように視認性が高くなる第2流路構成部335及び第3流路構成部336を流下する球に注目する際に、第2流路構成部335に沿って左右方向に球が流下する場合に比較して、第3流路構成部336に沿って前後方向に球が流下する場合の方が、正面視における球の変位量が小さくなるので、球に注目する遊技者の遊技負担を、第3流路構成部336を流下する球に注目する際に最小とすることができる。
換言すれば、長さ及び傾斜角度が同等であることから、第2流路構成部335を球が通過するのに要する時間と、第3流路構成部336を球が通過するのに要する時間と、は同等とされるところ、正面視における球の変位量が異なるので、結果として見かけ上の球の流下速度(正面視での球の変位速度)は、第3流路構成部336を流下する球の方が第2流路構成部335を流下する球よりも遅くなる。
遊技負担が最小とされ球に注目させ易い第3流路構成部336の後端部において球の流下経路は唯一変化し、それ以外の部分では球の流下経路は各流路構成部334~336において共通とされる。従って、遊技者の視線は第3流路構成部336の後端部に自ずと集中し易いところ、このように視線を集中させる遊技者の遊技負担を有効に低減することができる。
また、第3流路構成部336の後端部に注目する遊技者の視界を確保するために、本実施形態では、第2流路構成部335の前側面に開放部335aが形成されるので(図17参照)、第3流路構成部336へ向かう視線を第2流路構成部335の肉部が妨げることを回避することができる。
更に、開放部335aの内側に配設される対称突設部161fは、流下する球との当接、案内のために必要な部分のみが形成され、その上下側においては形状部の形成が省略される。換言すれば、対称突設部161fは上下に薄肉の板状部として形成され、その上下側には空間が確保される(図18参照)。そのため、対称突設部161fが上下に厚みを持って形成される場合に比較して、第3流路構成部336の後端部へ向けた視線が対称突設部161fに妨げられる可能性を低くすることができ、視認性を向上することができる。
また、第3流路構成部336の後端部を中心とする視界側へ、開閉板65bから逸れてアウト口71へ向かう球が集まってくるように構成される(図5参照)。特に、本実施形態では、アウト口71に入球する球は、第3流路構成部336の下方を流下し、下部材380の湾曲面部387に当接し下方へ排出される。
従って、第3流路構成部336を流下する球を斜め上前側から視認する視線を前提とすると、アウト口71に入球する球は、第3流路構成部336の奥側を流下する。そのため、第3流路構成部336を流下する球と、アウト口71に入球する球とが前後で被って視認されることになるので、第3流路構成部336の後端部に注目する視界に入り込む球の総数が多くなる。
換言すれば、特定入賞口65aに入球して第3流路構成部336を流下する球か、特定入賞口65aには入球せずアウト口71に入球する球かに寄らず、球が第3流路構成部336の後端部に注目する視界に入り込む。
従って、特定入賞口65aへの球の向かい易さ、即ち、ベース板60に植設される釘構成(所謂ゲージの良し悪し)に関わりなく、発射された球の多く(他の入賞口63,64,140に入球した球を除く球)が集まる位置と前後方向で被る位置に、第3流路構成部336の後端部(遊技者の注目が集まる部分)が配置される。これにより、流下する球により、視線を効率的に第3流路構成部336の後端部に誘導することができる。
上述のように、正面側寄りの位置における視認性を向上したが、その上で、本実施形態では、背面側寄りの位置における視認性を、第3流路構成部336の後端部を除いて低下させるよう構成している。
例えば、中部材330の前側枠状部333の内側面には、プリズムに倣った形状で光拡散の作用を生じさせるための光拡散加工面333bが形成される。図17において、鋸歯状に視認される箇所が光拡散加工面333bであり、内側面のほぼ全内周、且つ、上下に亘って形成される。
光拡散の作用が生じると、光が複数方向に拡散されることで、面全体が光っているように視認されるので、表面を煌びやかに光らせ演出することができる一方で、光に視線が遮られ、その奥側の視認性が悪くなる。本実施形態によれば、基板350の発光手段351から光が照射される状態では視認性が悪くなり、逆に、光が照射されていない場合には、少なくとも光が照射される状態に比較して視認性を良くすることができる。
一方、光との間に遮蔽物があると、その遮蔽物の影が黒点として視認されることになり、その位置を判別し易くなる。
光拡散加工面333bと同様の加工面が他の部分にも形成されている。例えば、左右外突設部319の背側面に形成される光拡散加工面319aや、後側枠状部332の枠前部の背側面に形成される光拡散加工面332e等である(図17参照)。
また、同様の形状で形成される加工面としては、上部材310の第2上面部314bの背面側に延設される板状部であって組立状態において中部材330の前側枠状部333に蓋をする部分の上面側において形成される光拡散加工面314cや、中部材330の後側枠状部332よりも前側の部分の下側面全体に亘り形成される光拡散加工面340等が例示される。
これらの構成により、本実施形態では、各流路構成部334~336から渦状に形成される流路の、背面側、下面側、渦の内側面および、その渦の上側面に、それぞれ光拡散加工面が形成されており、光照射による視認性の変化の効果を図っている。
光拡散加工面に光が照射されていない状態において、正面側から第3流路構成部336の後端部に注目する遊技者目線で、第3流路構成部336から左右方向に方向転換した球を前側枠状部333で隠して、即座に見え難くすることができる。
更に、斜め上からの方向視で第3流路構成部336を流下する球を視認する遊技者目線で、センサ保持枠部389に保持される検出センサSE1を通過し落下した後の球を見ようとしても、その視線は光拡散加工面340を通過することになるので、光拡散加工面340に光が照射されることにより、検出センサSE1を通過し落下した後の球の識別は困難となる。
本実施形態では、後述するように、第3流路構成部336の後端部を球がどのように流下するかによって、遊技者が得られる利益が変化するよう制御される。
従って、第3流路構成部336の後端部から球がどのように流下したのかを把握するために、第3流路構成部336の後端部における球の挙動を確認する必要が生じるので、第3流路構成部336の後端部への注目力をより一層向上することができる。
一方、発光手段351から光が照射されれば、球の影を黒点として視認し易い状態を構成することができる。このように、光の照射の有無を状況に応じて切り替えることで、球の視認性の良し悪しを切り替えることができる。また、黒点よりも正面側における球の配置の有無により、その黒点が球で隠される状況と、黒点が球に隠されずに見える状況を構成することもできる。
上述のように、各流路構成部334~336の付近において光拡散加工面319a,332e,333b,340が形成されるが、一貫して、各流路構成部334~336により形成される流路を流下する球と当接しない側の側面に形成される。
これにより、光拡散加工面319a,332e,333b,340が球との当接により削られることを避けることができるので、光拡散加工面319a,332e,333b,340の形状を長期間に亘り維持することができ、光拡散の作用を維持することができる。
更に、光拡散加工面319a,332e,333b,340に球が当接することで、球の流下が阻害されたり、球が減速の作用を受けたりすることを回避することができる。加えて、流路内部の視認性は確保できるようにすることで、球が各流路構成部334~336により形成される流路を流下している最中にまで球の視認性が低下することを回避することができる。
なお、敢えて光拡散加工面319a,332e,333b,340を流路側に形成するようにしても良い。この場合、プリズムの大きさの設定次第では、光拡散の作用を生じさせる効果と、球との衝突により球を減速させる効果と、を生じさせるように図ることができる。
中部材330の前側枠状部333では、被締結部316との締結位置においては加工の難易度から光拡散加工面333bの形成が省略されており、対策なしでは視認性が高いまま維持される可能性がある。そこで、本実施形態では、締結ネジによる視認性の低下を図っている。
即ち、被締結部316に螺入される締結ネジが金属製であり、非透過性であることを利用して、光拡散加工面333bの形成が困難となる箇所における目隠しとすることができる。前側枠状部333に光が照射されると、光拡散加工面333bは煌びやかに光り、光拡散加工面333bの形成が省略されている部分では締結ネジが光を反射して光るので、光拡散加工面333bの形成が省略されている箇所も含めて、正面側からの視線における前側枠状部333の奥側の視認性を低下させることができる。
中部材330の光拡散加工面332eは、各流路構成部334~336の背面側に形成されているが、この目的として、煌びやかに光らせることの他に、背面側に配設される基板350及び状態切替装置360の目隠しとしての機能を生じさせることが挙げられる。特に、状態切替装置360は基板350の背面側に配置されるので(図17参照)、基板350が目隠しとなり、状態切替装置360が遊技者に視認されることを防止し易くすることができる。
基板350は、中部材330の後側枠状部332に下支えされる形で収容されるが、左右中央部において後側枠状部332の下底部と隙間を空けて配置され、その隙間にスライド変位部材370が配置される(図18参照)。即ち、基板350は、スライド変位部材370を後側枠状部332の下底部との間で挟む位置に配置される。
詳述すると、基板350は、下側部353が左右端部において後側枠状部332に前後から挟まれるように支持される(図17参照)。この支持箇所において、後側枠状部332の下底部は肉厚とされる肉厚部332fを備えており(図16参照)、左右中央位置付近では、この肉厚分が無いことで隙間が生まれ、その隙間にスライド変位部材370を配置することができる(図18参照)。
図18に示すように、基板350の上側部352は、上部材310の収容凹部320の内側に進入し、介在部材164に形成される光拡散加工面164fと前後に対向配置される。
そのため、上側部352に配置される発光手段351から光が照射されることにより、介在部材164の光拡散加工面164fが煌びやかに光る演出効果を奏することができ、更に、介在部材164の背面側の範囲の視認性を低下させることができる。
ここで、上側部352に配置される発光手段351は光拡散加工面164fの下端部付近に光を照射するところ、光拡散加工面164fは、プリズムに倣った断面形状部が、表面に沿って上下方向全体に形成されるので、発光手段351から照射された光は上下幅の広い光として視認される。そのため、遊技者目線で、特定入賞口65aの上下に亘って発光しているように見せることができる。
なお、正面側からの視界において、光拡散加工面164fは、受入部材163の左右中央側位置に配置されるが、検出センサSE1の背面側に配置したとしても検出センサSE1が視界の妨げとなり良好に視認できないので、少なくとも一対の検出センサSE1の配置隙間内において形成されていれば、十分な効果を奏することができる。
なお、基板350の下側部353は、シール部材313や、その下側に配設され球が流下する部分へ向けて光を照射するよう配置されるが、詳細は後述する。
次いで、図19及び図20を参照して、第3流路構成部336の後端部を通過した球の流下経路の切り替えと、その意義について説明する。なお、図19及び図20の説明においては、図15から図18を適宜参照する。
図19は、図15のXVII-XVII線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図であり、図20は、図15のXVIII-XVIII線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図である。図19及び図20では、図示されている場合には、開閉板65bは閉鎖状態で図示され、スライド変位部材370は後側位置に配置された状態で図示される。
ここで、センサ保持枠部389に支持される左右4個の検出センサSE1と、各検出センサSE1への球の流下と、各検出センサSE1の機能について説明する。
4個の検出センサSE1は、2組が左右対称に配設されるものであり、機能を共通とする確変検出センサSE11と、通常検出センサSE12と、を備える。確変検出センサSE11は、左右方向内側に配設され、通常検出センサSE12は、左右方向外側に配設される。
この4個の検出センサSE1の機能は、開閉板65bの背後に配置される検出センサSE1とは異なる。開閉板65bの背後に配置される検出センサSE1は、賞球の払い出しを生じる入球センサである。即ち、特定入賞口65aに入球した球が背後の検出センサSE1に入球したと検出されると、所定個数(本実施形態では、1個の検出に対して10個)の賞球が払出制御装置111(図4参照)により遊技者側に払い出される。
一方、センサ保持枠部389に支持される検出センサSE1は、賞球の払い出しを生じる検出センサではなく、入球を検出することで、大当たり遊技終了後の遊技状態を変化させるための検出センサとして機能する。
なお、後述するように、本実施形態では、センサ保持枠部389に配設される検出センサSE1を確変状態への移行の有無の切替のために利用したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、検出センサSE1を次回大当たり獲得の有無の切替のための入球センサとして機能させても良い。
スライド変位部材370が前側位置に配置される場合(図17及び図18参照)、確変検出センサSE11の上側に薄板部371が被さるようにスライド変位部材370が配置され、確変検出センサSE11の貫通孔への球の通過が防止される。そのため、第3流路構成部336の後端部を通過する球は、スライド変位部材の上突設部376に案内されるようにして、通常検出センサSE12の貫通孔へ案内される。
上突設部376は、球と対向する前側面376aが、流路側を凹とした円弧形状で形成されているので、流れてきた球を滑らかに通常検出センサSE12の貫通孔へ向けて流すことができる。
一方、スライド変位部材370が後側位置に配置される場合(図19及び図20参照)、確変検出センサSE11の上方からスライド変位部材370が後方に退避し、確変検出センサSE11の貫通孔への球の通過が許容される。
即ち、球がいずれの検出センサSE1を通過するかは、スライド変位部材370の配置(前側位置または後側位置)と対応する。そして、大当たり遊技中に球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過したことが検出された場合に、その大当たり遊技後の遊技状態を確変状態とするように制御される。換言すれば、球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過したと検出されず、通常検出センサSE12の貫通孔のみを通過した場合には、その大当たり遊技後の遊技状態を通常状態(又は時短状態)とするように制御される。
ここで、本実施形態において、大当たり種別として、確変大当たりと、通常大当たりとが用意されていることについて上述した。これを実現するために、本実施形態では、大当たり種別ごとにスライド変位部材370の動作パターンとして異なる動作パターンが用意されている。
換言すれば、スライド変位部材370は、確変大当たりの場合には、球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過し易いような動作パターンで動作するよう制御され、通常大当たりの場合には、球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過し難く、通常検出センサSE12の貫通孔を通過し易いような動作パターンで動作するよう制御されるが、制御の詳細については後述する。
このように、スライド変位部材370の配置は、遊技者が得られる利益に直結するものであり、その配置に自ずと遊技者の注目が集まることになる。一方、スライド変位部材370の配置を不正に切り替えようとする不正行為は少なからず発見されており、それに対する対策が重要視される。
前提として、スライド変位部材370の配置は、状態切替装置360の電磁ソレノイド361への通電の有無によって切り替えられる。即ち、電磁ソレノイド361に通電がされていない時は、電磁ソレノイド361のプランジャー及びスライド部362が付勢バネ(図示せず)によって右側に配置され、回動部363の下円柱部363cが正面側に配置されることで、スライド変位部材370は前側位置に維持される。
一方、電磁ソレノイド361が通電されると、電磁ソレノイド361のプランジャー及びスライド部362が電磁力によって左側に移動され、回動部363の下円柱部363c(図13参照、スライド変位部材370の凹設部378に挿入される部分)が背面側に変位することで、スライド変位部材370は後側位置に維持される。これが通常の動作態様であり、電磁ソレノイド361への通電と、スライド変位部材370の配置とが一対一で対応する。
上述した不正行為を行う者は、例えば、球払い出し開口や、外枠11と正面枠14(図1参照)との隙間等からピアノ線などの金属細線を振分装置300の内部に差し入れて、その金属細線をスライド変位部材370に押し当てて、スライド変位部材370を奥側へ押し込むようにして、確変検出センサSE11への球の入球が可能となる状態を不正に作り出そうとする可能性がある。
これに対し、本実施形態では、スライド変位部材370の配置として、薄板部371が第3流路構成部336の下底部よりも下側に配置されているので(図18参照)、第3流路構成部336に金属細線を通してスライド変位部材370に押し当てる場合に、薄板部371の前端部に押し当てるのは困難であり、上突設部376に押し当てることになる。上突設部376の前側面376aは、上述のように負荷を左右外側へ逃がすような湾曲面形状とされるので、金属細線を押し当てられたとしても、その負荷を左右外側に逃がすことができ、スライド変位部材370が不正に後側位置に変位させられる事態を回避し易くすることができる。
また、スライド変位部材370に到達するまでの経路が、一直線では無く渦状に巻いていることに加え、スライド変位部材370自体の配置もガラスユニット16(図1参照)の前側面から背面側に遠く(約10cm程度)離れているので、そもそも、金属細線をスライド変位部材370に到達させることを困難とすることができる。
これらの構成から、状態切替装置360の構成の設計自由度を向上することができるという効果も奏する。即ち、従来では、上述のような不正行為に対して、駆動力を伝達する機構の機械的な工夫(変位規制)によりスライド変位部材370の配置を維持するよう構成する場合が多く、その場合には、状態切替装置360の構成が制限されていた。これに対し、本実施形態では、そもそもスライド変位部材370に負荷がかけられ難く構成することにより、状態切替装置360に要求される条件を部分的に省くことができ、状態切替装置360の設計自由度を高めることができる。
また、第3流路構成部336を通して這わせた金属細線でスライド変位部材370に押し付け負荷を加える場合には、この金属細線自体が、第3流路構成部336を流下しようとする球の流下を阻害することになるので、球を確変検出センサSE11に到達させることを困難とすることができる。
上述のように、球が確変検出センサSE11の貫通孔を通過するか、通常検出センサSE12の貫通孔を通過するかにより、遊技者が得られる利益が大きく変化することから、誤入球は極力避けることが望ましい。
従来の機種では、確変検出センサSE11への入球が許容される状態においては通常検出センサSE12への入球を規制するように構成することが通常であったが、本実施形態では、確変検出センサSE11への入球が許容される状態(図19及び図20参照)において通常検出センサSE12への入球を規制するような可動部材は用意されておらず、通常検出センサSE12へも入球させることが可能な構成である。
このように構成しても、10個の球が流下した場合に少なくとも1個が確変検出センサSE11の貫通孔を通過すれば、大当たり遊技後の確変状態は確保されることになる。本実施形態では、このような考え方から、通常検出センサSE12の開閉を行う可動部材の配置を省略することにより、材料コストの低減を図ることができ、製品コストを低減することができる。また、可動部材を配置しない結果、その可動部材の故障や動作不良に伴うメンテナンスが不要になったり、可動部材の寿命以上にパチンコ機の使用年数を延ばすことができたりという良い効果を奏する。
一方で、可動部材とは別の工夫として、適切な側の検出センサSE1に球が案内されるようにするための工夫として、流路形状と、固定の突設部317,318,319の配置や形状とが工夫されている。即ち、スライド変位部材370が後側位置に配置されている状態で想定以上の球が通常検出センサSE12へ流れることを防止するような仕組みを、流路内部に固定配置される部分(即ち、突設部317,318,319)の形状により実現するように図っている。このことについて、以下で説明する。
まず、流路形状の工夫について説明する。第3流路構成部336の下底面336aは、短手方向において、左右方向中央側(仕切り板部338側)に向かうにつれて水平に対して5度の角度で下降傾斜する傾斜面として形成される(図15参照)。
この傾斜角度は、第2流路構成部335の長手方向の傾斜と、角度および方向が同様となるように設定されているので、第2流路構成部335から第3流路構成部336に球が流入する際の球の跳ね(仕切り板部338から離れる方向の跳ね)を低減することができる。
この短手方向の傾斜によって、第3流路構成部336を流下する球の配置を仕切り板部338側に寄せることができる。そのため、第3流路構成部336の後端部から検出センサSE1側へ流下する際の球を仕切り板部338に近接する側に配置することができるので、スライド変位部材370が後側位置に配置されている状態で、球が誤って通常検出センサSE12(仕切り板部338から離れて配置される検出センサSE1)の貫通孔を通過する事態が生じる可能性を低くすることができる。
また、下底面336aの短手方向の傾斜に関わらず、各流路構成部334~336により構成される流路は、左右方向経路が第2流路構成部335によってのみ形成されており、その傾斜方向は左右中心側(仕切り板部338側)なので、左右方向の速度は左右内向きに生じることになる。これによっても、球が誤って通常検出センサSE12(仕切り板部338から離れて配置される検出センサSE1)の貫通孔を通過する事態が生じる可能性を低くすることができる。
次に、固定の突設部317,318,319の配置や形状の工夫について、説明する。第3流路構成部336を流下した球が最初に近接配置されるのは、左右内突設部318である。左右内突設部318は、突設部317,318,319の内で最も小さな突設部でありながら、検出センサSE1の中心よりも正面側、且つ、スライド変位部材370の上突設部376よりも正面側に配置されているので、仕切り板部338に摺動しながら第3流路構成部336の後端部を通過する球と漏れなく当接する。
左右内突設部318の突設先端面は、正面視では下に凹の湾曲面として構成され(図15参照)、且つ、突設部後端側の方が突設部前端側よりも左右外側および下側に拡がって形成され前後端部が凹形の湾曲面でつながるように形成される(図17参照)。従って、第3流路構成部336の後端部を通過し左右内突設部318に当接した球は、左右外向き成分と、下向き成分とが混合された方向の負荷を受け、流下する。
一方で、左右内突設部318は小型に形成されていることから、左右内突設部318から受けた負荷のみで球の流下方向が下方か左右外方向かに定まるものでは無く、あくまで勢い付けとして機能する。そして、左右内突設部318がスライド変位部材370よりも上流側に配置されることから、上述の勢い付けは、スライド変位部材370の配置に関わらず生じる。
左右内突設部318に当接した後の球の流下について場合を分けて説明する。スライド変位部材370が前側位置に配置された状態では、球は、上突設部376や、前後長突設部317(図18参照)に当接しながら、スライド変位部材370の薄板部371を転動し、通常検出センサSE12側へ流れる。
前後長突設部317の突設端部は、上突設部376と同様の用途を有する。即ち、球の流下方向を切り替えるための湾曲面として形成されるので、その湾曲面の曲率半径は、上突設部376の前側面376aの曲率半径とほぼ同じとされる。目安として、上突設部376は左右内側を始点とし、上面視で確変検出センサSE11の貫通孔の中心位置の後方位置を終点とする湾曲面を構成し(図17参照)、一方で、前後長突設部317は流路の天井面を始点とし、左右方向視で、スライド変位部材370の前側位置における前側面376aの終点位置(後端位置)と近接する位置を終点とする湾曲面を構成している(図18参照)。
ここで、薄板部371の上側面が左右外側へ下降傾斜する傾斜面として形成されており、左右内突設部318との当接により左右外側へ勢い付けされた球は、その勢いを活かして左右外方向へ流下することになるので、球の流下を滑らかに形成することができる。
更に、左右外方向へ流下する球の上方において左右外突設部319が形成されており、球跳ねが抑制されることによっても、球の流下を滑らかに形成することができる。左右外突設部319の目的が球の流下方向の切り替えでは無く球跳ねの抑制であることから、その形状は前後長突設部317とは大きく異なり、その突設端部は、確変検出センサSE11の上方から通常検出センサSE12の上方に亘って形成される大きな曲率半径の湾曲面として形成される。
特に、本実施形態では、左右外突設部319が検出センサSE1の開口の中心(即ち、流路の中心)よりも正面側に配設されていることから(図19参照)、左右外突設部319と球とが上下方向で当接する場合に、球の中心が左右外突設部319の厚み中心よりも後方側に配置され易い。そのため、左右外突設部319と球とが上下方向で当接した際に、球に対して後方向成分を有する負荷がかかり易いようにすることができるので、球が正面側に逆流することを防止することができる。
これらの構成から、複数の球が流下する場合に球詰まりが生じたり、球の逆流が生じたりすることを防止し易くすることができる。
スライド変位部材370が後側位置に配置された状態では、薄板部371や上突設部376が前後長突設部317よりも後方に退避しているので、球は、前後長突設部317に当接して流れる。
前後長突設部317は、突設端部(湾曲面)の面形状が、法線が第3流路構成部336の中心を通る形状とされており、確変検出センサSE11の貫通孔の中心位置の真後ろに厚み中心が配置されるので、当接した球に対して左右方向の成分が抑制された負荷を与えやすい。この負荷は、前後長突設部317の突設先端が凹状の湾曲面形状とされることから(図20参照)、球を前斜め下方に流す負荷として機能する。
そのため、左右内突設部318からの勢い付けでは右方に行き切らなかった球は、前後長突設部317からの負荷により前斜め下方への負荷を受け確変検出センサSE11側へ流れる。
ここで、前後長突設部317との衝突時の当たり所によっては、球が正面側に跳ね返る(逆流が生じる)可能性が危惧されるが、本実施形態では、上述のように、左右内突設部318との当接により左右外斜め下方に勢い付けされているので、球が正面側に跳ね返ったとしても、球は第3流路構成部336の下底部後端(図20参照)や、前側枠状部333の後側面(図19参照)に衝突するに留まり、第3流路構成部336を逆流する事態が生じることを回避し易くすることができる。
本実施形態で独特なのは、スライド変位部材370が後側位置に配置され球が確変検出センサSE11側へ流れる際にも、スライド変位部材370が前側位置に配置され球が通常検出センサSE12側へ流れる場合と同様に、左右内突設部318から負荷による左右外側へ向けた変位が球に生じることである。この用途については、後述する。
スライド変位部材370は、前側位置と後側位置とでスライド変位可能に構成されるところ、球がスライド変位部材370に向かって第3流路構成部336を流下している最中にスライド変位部材370が閉鎖動作(後側位置から前側位置へ向けた動作)をすると、球に前向きの負荷を与える可能性があり、球に第3流路構成部336を逆流させる方向(前向き)の負荷が与えられる可能性がある。
これを防ぐために、スライド変位部材370の変位動作を制御することが好ましい。例えば、球がスライド変位部材370に到達する前に閉鎖動作を完了させておくように制御すれば、動作中のスライド変位部材370に球が衝突する可能性を排除できるので、球が逆流する可能性を低くすることができる。
また、スライド変位部材370の上突設部376の前面が左右外側を向く湾曲面として形成されていたり、左右内突設部318が球にもれなく衝突するように配置されたりすることにより、第3流路構成部336の後端部に到達した球を左右外側に案内する作用を生じさせることができる。これにより、球の逆流が生じにくくすることができる。
また、スライド変位部材370の開放動作(前側位置から後側位置へ向けた動作)は球と対抗する方向の動作ではなく、球から離れる側への動作なので、例えば、球がスライド変位部材370の薄板部371に乗っている時に動作が実行されても、その球を正面側に押し返す負荷は生じにくい。従って、開放動作については、球の配置を考慮せず任意のタイミングで実行する制御としても、球の逆流が生じ易くすることは無いと考えられる。
球がスライド変位部材370の上面で前転回転しながら薄板部371を転動する(まだ左右外側に流れる前段階の)場合、スライド変位部材370の開放動作は、球に対して、回転を抑える方向(後転させる方向)の負荷を与えるので、球の回転を留めることができ、球の流れを停止させ自由落下に移し易い。
そのため、球が薄板部371を転動中にスライド変位部材370が開放動作した場合に、球がそれまでの転動の勢いで通常検出センサSE12に案内されることを回避し易くすることができ、球を確変検出センサSE11に案内し易くすることができる。
上述した振分装置300を備える本実施形態におけるパチンコ機10における、振分装置300の遊技者目線での見え方について説明する。以下では、一例として、水平方向に対する視線の角度が異なる状態で場合を分けて説明する。
図21は、可変入賞装置65及び振分装置300の正面図であり、図22は、図16の矢印XXII方向視における可変入賞装置65及び振分装置300の斜視図であり、図23は、図16の矢印XXIII方向視における可変入賞装置65及び振分装置300の斜視図である。
前提として、パチンコ機10を操作する遊技者は、操作ハンドル51(図1参照)を握り回転させることを除き、好みの姿勢で遊技を行うことができる。例えば、パチンコ機10から頭を十分に離して、水平または水平から5度程度下降傾斜する方向の視線(図22参照)でガラスユニット16(図1参照)の内側を見るようにして遊技を行っても良いし、パチンコ機10に頭を近づけて、水平から30度程度下降傾斜する方向の視線(図23参照)でガラスユニット16の内側を見るようにして遊技を行っても良い。一般的には、前者の方が広い視界を確保できるが、細かな部分には気付きにくい一方で、後者は視界が狭くなるが、その視界における細かな部分には気付き易い。
図21は、基準として図示するものであり、以下では主に、図22及び図23を対比しながら説明を行う。なお、図21から図23では、便宜上、開閉板65bの開放状態が図示される。
図21には、発光手段351が想像線で図示される。なお、発光手段351は左右対称に配設されているが(図13参照)、理解を容易とするために左半部のみが図示される。最上部に配置される発光手段351の機能については上述した通りであるので、ここでは下側部353に配置される左半部における3個の発光手段351について説明する。
まず、上側の発光手段351は、シール部材313に向けて光を照射する。シール部材313は上述のように、赤色透明に形成されているので、発光手段351から光が照射された場合、シール部材313の周辺が赤く照らされる。これにより、シール部材313及びその周辺に対する遊技者の注目力を向上することができる。シール部材313は第3流路構成部336の真上に配設されているので(図18参照)、第3流路構成部336に注目させることができる。
なお、上側の発光手段351の正面側においては、光拡散加工面332eの形成が省略されている(図18参照)。これにより、発光手段351からの光が光拡散加工面332eにより上下方向に引き延ばされるように視認されることを回避し、シール部材313周辺を集中的に光らせることができる。
なお、発光制御については何ら限定されるものではないが、例えば、大当たり遊技中に、第3流路構成部336を流下する球に注目させたい状況においてシール部材313に光を照射するように制御することで、シール部材313に注目させ、その下側に配置される第3流路構成部336の後端部に自然と視線を誘導することができる。
次に、下側において左右に並んで配置される発光手段351は、それぞれ、確変検出センサSE11と、通常検出センサSE12の真上位置に対応する。即ち、この発光手段351の制御を、球が確変検出センサSE11に入球した場合には確変検出センサSE11の真上位置に配置される発光手段351を発光させる一方、球が通常検出センサSE12に入球した場合には通常検出センサSE12の真上位置に配置される発光手段351を発光させるように制御することで、遊技者に対して、球の通過箇所を報知することができる。
これらの、下側において左右に並んで配置される発光手段351から照射される光は、光拡散加工面に向けられる。即ち、左右中央側の発光手段351は、光拡散加工面332eと対向配置されており(図18参照)、左右外側の発光手段351は、光拡散加工面319a(図17参照)と対向配置されている。光拡散加工面319a,332eは、各部の上下に亘って形成される。
従って、発光手段351からの光が視認される位置は、発光手段351のLEDの高さ位置に限定されるものではなく、上下に広がりがある範囲として形成される(上下に延びる帯状の光として視認される)。そのため、図21から図23に示すように、遊技者の視線の角度が変わったとしても、発光手段351からの光の視認性を向上することができる。
図22における水平からの下降傾斜の角度(5度)は、第3流路構成部336の傾斜角度と同じである。そのため、図22では、第3流路構成部336の後端部に配置されるスライド変位部材370の外形を視認することができる。但し、スライド変位部材370は前後方向に変位するため、この視界では、スライド変位部材370の変位による変化を把握し難い。
一方、図23に示すように、水平から30度の角度の方向視では、第3流路構成部336の後端部における視界の上下幅が狭まっているので、図22の方向視に比較して、第3流路構成部336の後端部における球の流下態様の切り替わりの確認の難易度が高くなる。但し、この視界では、スライド変位部材370が前後方向に変位する際の上突設部376の変位を把握し易い。
なお、中部材330の配置用貫通孔332aがスライド変位部材370の上突設部376を通すのに十分な最低限の大きさの開口として形成されているので、後側枠状部332の内部に配置される状態切替装置360(図17参照)を視認し難いように隠すことができている。
実際の大当たり遊技中には、ラウンド遊技中に特定入賞口65aに複数個の球が案内され、各流路構成部334~336を順に流下する。各流路構成部334~336に複数個の球が同時に配置される場合、奥側の球へ向けた視線が、手前側の球により妨げられる可能性がある。
例えば、第3流路構成部336に複数の球が配置される場合、それらの球は、図22では、同位置に配置される。従って、手前側の球によって、奥側の球が隠される。
また、球が通常検出センサSE12側へ流れる場合、第3流路構成部336の後端部から左右外方向へ流れることになる。第3流路構成部336から左右方向へ外れた後は前側枠状部333の光拡散加工面333bにより視認性が落ちるので、第3流路構成部336から左右方向へ外れる過程の球の動きを把握することが好ましいところ、第2流路構成部335の下流側端部位置(球P1の位置)から第3流路構成部336の上流側端部位置(球P2の位置)へ流入する球(第3流路構成部336から左右方向に若干ずれる球)があると、その球により、第3流路構成部336の後端部から左右方向へ外れる過程の球が隠される。
換言すれば、球が確変検出センサSE11へ流れたか、通常検出センサSE12へ流れたかの把握は、第3流路構成部336の後端部で球の流下方向が左右外側へ切り替わったか、否かを視認すれば可能であり、第3流路構成部336の内側および右縁部周辺に注目していれば良い。これに対し、本実施形態では、その視線の方向上の上流側における第3流路構成部336と第2流路構成部335との連結位置において、第3流路構成部336の内側および右縁部周辺を含む経路で球が流下し得るように構成される(球P1の位置から球P2の位置への移動)。そのため、上流側を流下する球の配置によっては、球が確変検出センサSE11へ流れたか、通常検出センサSE12へ流れたかを把握し損なう事態が生じ得る。
また、図23の視線では、第3流路構成部336の後端部を流れる球と、第2流路構成部335を流れる球とが、上下方向の配置で明確に分けられるので、上流側の球が目隠しとなる事態を回避し易い。一方で、第3流路構成部336の後端部において視認される流路の上下幅が狭い分、方向視で視認できる球の面積が小さくなる。
特に、第3流路構成部336の後端部を通過した球は、上述したように、スライド変位部材370の配置によらず、一旦右斜め下方へ流下した後において、確変検出センサSE11へ向かう流下経路か、通常検出センサSE12へ向かう流下経路か、が切り替わる。そのため、球の流下経路として、球が真下に流下するか、球の流下方向が右方へ切り替わるかで切り替えられる場合に比較して、切替位置において視認される球の面積が小さくなる。
切り替わりの態様としては、他に、球の流下経路が真下に流下するか、右方へ切り替わるかで切り替わるかという場合のように、切替位置がより上流側に配置される場合が想定される。例えば、左右内突設部318が形成されず、確変検出センサSE11へ向かう球は第3流路構成部336の後端部から真下へ流下する場合には、切替位置は、少なくとも第3流路構成部336の中心線後方の位置となる。
これに対し、本実施形態のように切替位置が第3流路構成部336の中心線後方よりも右側に変位している場合、球が第3流路構成部336の下底部よりも下方に落ちる(第3流路構成部336の下底部上面とスライド変位部材370の薄板部371の上側面との上下差分だけ落ちる、図18参照)ことで、第3流路構成部336自体に球の一部が隠される作用に加え、球が第3流路構成部336を通して視認される範囲よりも左右外側に変位することで、前側枠状部333に球の一部が隠される。
従って、第3流路構成部336の後端部を通過した球の、遊技者目線で視認可能な面積が小さくなるので、球がいずれの流下経路で流下したかの把握を行うことが困難となる。これにより、第3流路構成部336の後端部付近を流下する球に対する注目力を更に向上することができる。
このように、本実施形態によれば、第3流路構成部336の後端部を流下する球の流下方向を識別する方向視として説明した複数の方向視(図22及び図23参照)において、いずれにも長所および短所が設定される。これにより、振分装置300の視認の仕方をとっても、遊技者に一辺倒の遊技を要求するのではなく、遊技者に好みの視認方法を調整および選択させることができ、遊技態様に幅を持たせることができるので、遊技者が遊技に飽きる事態が生じることを回避することができる。
遊技者の視界の確保は種々の方法で実現することができるが、本実施形態では、特に、上部材310の第2上面部314b間に空隙が形成されることで、第3流路構成部336の屋根部が取り外されたような状態とすることができるので、第3流路構成部336を視認し易くすることができる。
図22及び図23の方向視について、振分装置300よりも正面側における視認性について説明する。図22及び図23では図示を省略しているが、振分装置300よりも正面側には、被固定部材161及び前意匠部材162(図5参照)が配置されるので、部材の厚みにより透過する光が少なくなることから、視界が遮られることになる。
前意匠部材162により視界が遮られる範囲が狭くなる分、図23の方向視の方が、図22の方向視に比較して、振分装置300の内部を流下する球を視認し易くなる可能性がある。
被固定部材161及び前意匠部材162は、基本的には、上述のように平坦形状とされおり、光の屈折が生じ難いように構成されている(図12参照)。これにより、振分装置300の視認性が悪くなることを回避することができる。
機能上、平坦形状とできない部分についても、視認性に与える影響が小さくなるように形成している。例えば、振分装置300を位置決め、係合するための突設支持部161c~161eは、斜め下方向へ向く遊技者の視線を遮ることが無いよう、流路構成部334~336を見る遊技者の視線の外方(上側後方、左右外側、左右側下方、)に配設されている。
また、例えば、対称突設部161fは、球の中心高さに形成され、強度上必要最低限の厚さで肉薄に形成されている(図18参照)。これにより、対称突設部161fが球と遊技者の目との間に配置されたとしても、球全体が隠されることを防止することができるので、流路構成部334~336を流下する球の視認性を確保することができる。
被固定部材161と前意匠部材162との間には、特定入賞口65aから逸れた球が流下し、アウト口71へ向けて流下する。アウト口71へ向けて流下する球による視界への影響について説明する。
図22及び図23では、開閉板65bの開放状態でアウト口71へ向けて流下する球の配置の一例が図示される。開閉板65bの開放中は、開閉板65bの上方から流下した球は開閉板65bに乗り特定入賞口65a側へ案内されることになるので、アウト口71へ向けて流下する球は、開閉板65bの左右に逸れた球となる。これらの球は、延設部162bと延設部162cとの間を流下し、内レール61に案内されてアウト口71へ向けて流下する。
図22及び図23に示すように、遊技者目線では、内レール61を流れる球の配置は、各流路構成部334~336よりも下方となるので、内レール61を流れる球により各流路構成部334~336を流下する球の視認性が低下することを回避し易くすることができる。
一方で、内レール61を流下する球の流下は、第2流路構成部335を流下する球の流下と同様に、緩やかな角度で遊技領域の左右方向中央側へ向けて流れる態様であるので、第2流路構成部335を流下する球と同様に、遊技者の視線を遊技領域の左右中央位置に誘導する効果を奏する。この効果は、遊技者の視線をアウト口71に誘導すると共に、第3流路構成部336に誘導する。即ち、アウト口71及び第3流路構成部336の左右方向位置が同様の位置(左右中央位置)とされるので、遊技者が上下に視線を動かすことで、アウト口71及び第3流路構成部336の両方を視認可能となるような状態に視線を誘導する。
従って、遊技領域へ向けて打ち出した球が、効率的に特定入賞口65aに入球し易いか(大当たり遊技中の無駄球が少なくて済む状態か)、逸れて延設部162bと延設部162cとの間を流下する球が頻発するか(大当たり遊技中の無駄球が頻発する状態か)に関わらず、流下する球により遊技者の視線を第3流路構成部336に誘導するという効果を奏することができる。
即ち、球が特定入賞口65aに入球した場合には、第2流路構成部335を流下する状態において遊技者の視線を第3流路構成部336へ誘導でき、球が特定入賞口65aを逸れる場合には、内レール61を流下する状態において遊技者の視線を第3流路構成部336へ誘導することができる。
アウト口71へ向かう球は、無駄球として遊技において何ら作用を生じないことが通常であるが、本実施形態では上述のように構成することで、アウト口71へ向かう球に、遊技者の視線を第3流路構成部336へ誘導させる役割を持たせることができる。
なお、開閉板65bの閉鎖状態においては、球が開閉板65bの正面側を流れ第2流路構成部335の正面側を通過することで、第2流路構成部335の視界を低下させる可能性がある。
一方で、特定入賞口65aの左右中央位置上方に第2入賞口140及び電動役物140aが配設され、特定入賞口65aの左右中央位置下方に第3流路構成部336が配設されるという本実施形態の構成によれば、第2入賞口140及び電動役物140aにより球の流下を防止することができるので、球が第3流路構成部336の正面側を流下することを防止することができる。従って、開閉板65bの正面側を流下する球により第3流路構成部336及びその後端部周辺の視認性が低下する事態の発生を回避することができる。
本実施形態では、特定入賞口65aに入球した球がスライド変位部材370に到達するまでの時間を流路構成部334~336の形成長さにより確保できているが、この弊害として生じやすい配置スペースの増大の回避を図っている。即ち、図22及び図23に示すように、遊技者目線において、可変入賞装置65の特定入賞口65aと、第3流路構成部336の配置の目安としてのスライド変位部材370と、の配置間隔を短く形成している。
そればかりか、スライド変位部材370が特定入賞口65aの下側後方に配置されているので(図18参照)、図23に示すように遊技者目線として高頻度で生じる後側斜め下方へ向く視線において、特定入賞口65aの外形にスライド変位部材370の外形が食い込むほどに近接配置しているように視認される。
加えて、左右長尺に構成した特定入賞口65aに入球し、その左右両端部に配置される検出センサSE1の球通過孔163bを通過した球の流下経路は、左右対称の各流路構成部334~336を経由して特定入賞口65aの左右中央側下方に集められる。これにより、特定入賞口65aの左右幅を球が左右方向に流下する場合に比較して、スライド変位部材370に球が到達するまでの時間を短くすることができる。加えて、球の流下経路として必要とされる構造を、下側ほど左右長さが短くなる構造とすることができるので、湾曲形状の内レール61の下縁部付近に配置し易くすることができる。
特に、本実施形態では、特定入賞口65aがアウト口71に近接配置させる設計思想であるところ、第2流路構成部335の左右内側端部から真下に球を流下させる構造では無く、第2流路構成部335の左右内側端部から第3流路構成部336により球を後方へ流下させる構造を採用することで、アウト口71(湾曲面部387の正面側(上流側)に配設される開口)を第2流路構成部335の真下位置に形成することができる。これにより、特定入賞口65aとアウト口71との上下間隔の短縮化を図っている。
このように、遊技者目線における特定入賞口65a及びスライド変位部材370の上下配置幅および左右幅を短くできることで、一定の規格に正面視での大きさが制限される遊技領域の設計において、特定入賞口65a及びスライド変位部材370が占める範囲の上下幅を短縮化できるので、遊技領域の設計自由度を向上することができる。
例えば、本実施形態のように、特定入賞口65aの配置を遊技領域の下端付近に配置することができるので、可変入賞装置65を左右対称の遊技領域に有効に利用することができる。
次いで、振分装置300に入球後の球の流下と、その流下を考慮した可動役物(可変入賞装置65、スライド変位部材370)の作動パターンの一例について説明する。
まず、前提として、開口部312を通った球は、第1流路構成部334、第2流路構成部335、第3流路構成部336を順に流下する(図16及び図17参照)。各流路構成部334~336を球が通過するのに要する時間は任意に設定可能であるが、本実施形態では、各流路構成部334~336を約0.3秒で通過するように設計されている。
即ち、特定入賞口65aに入球してから第1流路構成部334を通過するのに0.3秒、第2流路構成部335を通過するのに0.3秒、第3流路構成部336を通過するのに0.3秒を要するように構成される。
従って、可変入賞装置65の開閉板65bが開放状態となった直後に球が特定入賞口65aに入球したとしても、0.9秒間は、第3流路構成部336の後方端部に配置される検出センサSE1に球が到達することは無いように構成される。これにより、開閉板65bが開放状態となった後の0.9秒間は、スライド変位部材370の位置に寄らず、球が確変検出センサSE11にも、通常検出センサSE12にも通過し得ないので、球の誤入賞を危惧せずにスライド変位部材370の作動パターンを設計することができる。
そのため、例えば、V確変アタッカーを備えるパチンコ機に一般的に見られるような、V入賞センサへの誤入賞を防ぐためにラウンド遊技R開始時に開閉板を短時間解放させる制御(開閉板の動作に不自然さを伴う制御)を不要とすることができる。これにより、特定入賞口を開閉する開閉板の動作態様が自然な動作となり、安心して遊技を楽しむ環境を遊技者に提供することができる。
また、上記例におけるV確変アタッカーを備えるパチンコ機では、V確変アタッカーの開放直後に入球する球が誤入賞を生じやすかったが、本件の可変入賞装置65では、後述するように、開放直後に入球する球によって、逆に好ましい効果(例えば、スライド変位部材370の動作を球で隠す効果)が生じるので、開放直後の球の入球を生じさせないようにする工夫を不要とすることができる。
なお、球の通過に要する時間は、各流路構成部334~336の長さや傾斜、流路内壁部の形状など(平滑か、凹凸形状かなど)により任意に設定可能である。
図24を参照して、第1実施形態の第1制御例におけるROM202(図4参照)の内容について説明する。図24(a)は、主制御装置110内のROM202の電気的構成を示すブロック図であり、図24(b)は、第1当たり種別カウンタC2と特別図柄における大当たり種別との対応関係を模式的に示した模式図であり、図24(c)は、第2当たり乱数カウンタC4と普通図柄における当たりとの対応関係を模式的に示した模式図である。
図24(a)に示すように、主制御装置110のROM202には、上記した固定値データの一部として、第1当たり乱数テーブル202a、第1当たり種別選択テーブル202b、第2当たり乱数テーブル202c、および変動パターン選択テーブル202dが少なくとも記憶されている。
第1当たり乱数テーブル202aは、定期的(例えば、2msecごと)に更新される第1当たり乱数カウンタの大当たり判定値が記憶されているデータテーブルである。始動入賞に基づいて取得した第1当たり乱数カウンタの値が、第1当たり乱数テーブル202aに規定されているいずれかの判定値と一致した場合に、特別図柄の大当たりであると判別される。
第1当たり種別選択テーブル202b(図24(b)参照)は、大当たり種別を決定するための判定値が記憶されているデータテーブルであり、第1当たり種別カウンタC2の判定値が、各大当たり種別、および特別図柄の抽選契機となった入賞口の種別に対応付けて規定されている。本実施形態のパチンコ機10では特別図柄の大当たりと判定された場合に、始動入賞に基づいて取得した第1当たり種別カウンタC2の値と、第1当たり種別選択テーブル202bとが比較され、第1当たり種別カウンタC2の値に対応する大当たり種別が選択される。
具体的には、特別図柄1の抽選(第1入賞口64への入球に基づく抽選)で大当たりとなった場合には、第1当たり種別カウンタC2の値が「0~9」の範囲には、大当たりA1が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b1参照)。
大当たりA1となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第1の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンX(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「10~19」の範囲には、大当たりA2が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b2参照)。
大当たりA2となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第1の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンY(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「20~39」の範囲には、大当たりB1が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b3参照)。
大当たりB1となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第2の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンX(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「40~49」の範囲には、大当たりB2が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b4参照)。
大当たりB2となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第2の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンY(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「50~79」の範囲には、大当たりC1が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b5参照)。
大当たりC1となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第3の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンX(詳細は後述する)で変位するように制御される。
第1当たり種別カウンタC2の値が「80~99」の範囲には、大当たりC2が対応付けられて規定されている(図24(b)の202b6参照)。
大当たりC2となった場合は、4ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第3の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンY(詳細は後述する)で変位するように制御される。
上述したように、特別図柄1の抽選(第1入賞口64への入球に基づく抽選)で大当たりとなると、いずれの場合であっても、4ラウンドの大当たり遊技が選択される。そのため、後述する特別図柄2の抽選で大当たりとなる場合に比較して大量の賞球を期待することはできない。一方で、4ラウンドの大当たり遊技は、15ラウンドの大当たり遊技に比較して短時間で終了するので、その後の大当たりの獲得を狙うための球の打ち出しを、早期に開始することができる。
一方、特別図柄2の抽選(第2入賞口140への入球に基づく抽選)で大当たりとなった場合には、第1当たり種別カウンタC2の値が「0~99」の範囲には、大当たりaが対応付けられて規定されている(図24(b)の202b7参照)。
大当たりaとなった場合は、15ラウンドの大当たり遊技が、可変入賞装置65の第3の作動パターン(詳細は後述する)で実行され、スライド変位部材370は作動パターンX(詳細は後述する)で変位するように制御される。
上述したように、特別図柄2の抽選(第2入賞口140への入球に基づく抽選)で大当たりとなると、いずれの場合であっても、15ラウンドの大当たり遊技が選択される。そのため、特別図柄2の抽選での大当たりを獲得した方が、特別図柄1の抽選での大当たりを獲得する場合に比較して大量の払い出し賞球を得ることができるので、遊技者が、特別図柄2の抽選を行うための遊技(第2入賞口140へ入球させるように球を発射するような遊技)を行うことのモチベーションを高めることができる。
また、スライド変位部材370の作動パターンが作動パターンXで固定となるので、スライド変位部材370の視認性を確保しないでも、遊技者に生じる不利益が大きくなる可能性が少ない。そのため、スライド変位部材370への視認性が若干悪くなるという短所があるが特定入賞口65aへの入球が生じ易い長所がある作動パターンとして第3の作動パターンがある時に、特別図柄2の抽選での大当たりの可変入賞装置65の作動パターンを第3の作動パターンで設定することで、短所の影響を低下させ、大当たり遊技に要する時間を短くすることができるという長所のみを際立たせることができる。
即ち、特別図柄2の抽選での大当たり遊技が間延びする可能性を低くすることができるので、遊技者にとって気持ちの良い(賞球の払い出しの時間効率が良い)大当たり遊技を実現することができる。
なお、特別図柄2の大当たり種別の設定は、これに限定されるものではない。例えば、特別図柄2の大当たり種別として、スライド変位部材370が作動パターンYで変位制御される大当たり種別を設けても良い。また、この大当たり種別は、少ない割合(例えば、20%程度)で設けるようにしても良い。
これにより、スライド変位部材370に対する遊技者の注目力を向上させることができるので、遊技者が大当たり遊技を漫然と遊技することを防止することができる。即ち、スライド変位部材370の変位動作を遊技者に視認させ、変位動作のタイミングで遊技者を一喜一憂させ、遊技者の興趣を高めることができる。
上述した通り、特別図柄の確変中は、普通図柄の当たり確率がアップし、普通図柄の変動時間が短くなり(3秒)、普通図柄の当たりとなった場合における電動役物140aの開放時間が長くなる(1秒×2回)ように設定される。よって、第2入賞口140へと球を入球させやすくなるので、特別図柄2の抽選が行われやすくなる。従って、一旦特別図柄の確変状態へと移行させることができれば、特別図柄の大当たりとなりやすく、且つ、大当たりとなった場合に大当たりa(利益バランスの良い大当たり)となりやすい特別図柄の確変状態が繰り返されやすくなるので、遊技者が多量の賞球を獲得し易くなる。これにより、遊技者に対して特別図柄の確変状態へと移行させることを強く期待させながら遊技を行わせることができるので、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
第2当たり乱数テーブル202c(図24(c)参照)は、普通図柄の当たり判定値が記憶されているデータテーブルである。具体的には、普通図柄の通常状態において、普通図柄の当たりとなる判定値として、「5~28」が規定されている(図24(c)の202c1参照)。また、普通図柄の高確率状態において、普通図柄の当たりとなる判定値として、「5~204」が規定されている(図24(c)の202c2参照)。本実施形態のパチンコ機10では、普通入賞口67を球が通過することに基づいて取得される第2当たり乱数カウンタC4の値と、第2当たり乱数テーブル202cとを参照し、普通図柄の当たりであるか否かを判定している。変動パターン選択テーブル202dは、変動パターンの表示態様を決定するための変動種別カウンタの判定値が表示態様毎にそれぞれ規定されているデータテーブルである。
図25は、各大当たり種別における1ラウンド目の可変入賞装置65の開閉板65bの作動パターンと、振分装置300のスライド変位部材370の作動パターンと、の計時変化を示した図である。
MPU201(図4参照)は、前記特図当り決定において大当りを決定した場合には、特図変動表示(図柄変動演出)の終了後に、(決定した種類の)大当り遊技の制御を開始する。以下、大当り遊技が付与される場合に行われる可変入賞装置65の開閉板65bと、振分装置300のスライド変位部材370と、の作動制御について説明する。なお、図25の説明では、図24を適宜参照する。
なお、本制御例では、大当たり種別の違いで駆動態様が異なるのは1ラウンド目のみであり、2ラウンド目以降は共通の駆動態様とされる。そのため、大当たり種別ごとの1ラウンド目の駆動態様についてそれぞれ説明する。
大当たりA1又は大当たりA2の場合には、第1の作動パターンに基づいて開閉板65bが動作するようMPU201が電磁ソレノイド165c(図11参照)を駆動制御する。MPU201は、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、タイマ手段(図示せず)が所定のオープニング時間OP(10秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御し、オープニング時間OPの経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。
すなわち、第1の作動時間T1(最大30秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に開閉板65bを閉鎖状態から変位させて特定入賞口65aへの入球が可能な開放状態とする。初回の開放状態は0.2秒間維持される。第1の作動パターンでは、この0.2秒間の開放動作を、1.0秒間隔で実行するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、開閉板65bに長時間動作を行わせる。
なお、初回の開放時間は、遊技球を発射し続ける場合に、少なくとも1個の遊技球が特定入賞口65aに入り得る期間よりも長く、規定個数(本実施形態では10個)の遊技球が特定入賞口65aに入るのに要する期間よりも短い期間として設定される。
そして、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数(本実施形態では10個)のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、開閉板65bを閉鎖状態へ変位させて特定入賞口65aを閉鎖するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
第1の作動パターンにおける0.2秒の開放時間は、開閉板65bの開放中に特定入賞口65aの左右片側に入球する球の個数を1個に制限するために設定される。特定入賞口65aの左右片側に複数の球が連なって入球する(以下、「連球で入球」とも称する)ことを防止するための開放時間の設定であり、特定入賞口65aへの入球個数を1個に限定する意図では無い。即ち、0.2秒の開放時間であっても、特定入賞口65aの左右両側に各1球ずつ球が到達し、一度に特定入賞口65aに入球することは生じ得ることである。
大当たりA1の場合には、作動パターンXに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361(図17参照)を駆動制御する。電磁ソレノイド361の駆動制御は、開閉板65bの駆動制御を基準として設定されるものであり、本実施形態では、開閉板65bが開放状態へ変位するのと同時に、スライド変位部材370が前側位置から後側位置へ変位するよう駆動制御される。
そのため、特定入賞口65aに入球した球は、各流路構成部334~336(図19参照)を通過し、スライド変位部材370の前側を通り確変検出センサSE11(図20参照)を通過する。
この時、左右片側の各流路構成部334~336に配置される球が1個に限定されるので、他の球に視認性が低下させられることが無い。そのため、遊技者は、球が確変検出センサSE11を通過する状況を容易に視認することができる。
大当たりA2の場合には、作動パターンYに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361(図17参照)を駆動制御する。電磁ソレノイド361の駆動制御は、開閉板65bの駆動制御を基準として設定されるものであり、本実施形態では、開閉板65bが開放状態へ変位するのと同時に、スライド変位部材370が前側位置から後側位置へ変位するよう駆動制御され、0.8秒経過後にスライド変位部材370が後側位置から前側位置へ変位するよう駆動制御される。
上述の通り、各流路構成部334~336(図17参照)を球が通過するのに要する時間は約0.9秒で設定されているので、球がスライド変位部材370に到達する前にスライド変位部材370は前側位置に変位される。
そのため、特定入賞口65aに入球した球は、各流路構成部334~336(図17参照)を通過し、スライド変位部材370の上側を通り通常検出センサSE12(図17参照)を通過する。
この時、左右片側の各流路構成部334~336に配置される球が1個に限定されるので、他の球に視認性が低下させられることが無い。そのため、遊技者は、球が通常検出センサSE12を通過する状況を容易に視認することができる。
スライド変位部材370の変位開始時間としての0.8秒は、球が各流路構成部334~336を通過するのに要する時間よりも短い時間としての思想と、球が第3流路構成部336に到達するのに要する時間よりも長い時間としての思想から、設定される。
即ち、本実施形態によれば、球が特定入賞口65aに入球してから約0.6秒で第2流路構成部335を通過し、第3流路構成部336に到達するので、開閉板65bの開放時間としての0.2秒の終了間際に球が特定入賞口65aに入球した場合であっても、その球が第3流路構成部336に到達してからスライド変位部材370を変位動作させることができる。
従って、特定入賞口65aへの入球が生じさえすれば、球の入球タイミングに寄らず、第3流路構成部336に配置される球によりスライド変位部材370の動作を隠すことができる(図22参照)。これにより、スライド変位部材370の変位動作が目立つことを回避することができ、確変検出センサSE11又は通常検出センサSE12へ入球する球として各流路構成部334~336を流下する球に対する注目力を向上させることができる。
なお、スライド変位部材370の変位開始時間は、0.8秒に限定されるものではない。例えば、0.4秒に設定しても良い。この場合、球が第3流路構成部336に到達するよりも前にスライド変位部材370の変位を生じさせることができるので、球に視線が遮られる可能性は低く、スライド変位部材370の変位を遊技者に視認させることができる。
但し、この場合であっても、第2流路構成部335が被固定部材161の前板部に近接配置され、スライド変位部材370よりも手前側に配置されていることから、遊技者の目線は第2流路構成部335を流下する球に集まり易い。即ち、第2流路構成部335を流下する球に注目させることで(例えば、第3図柄表示装置81で「流れる球に注目!」等の表示をすることで)、スライド変位部材370の変位が遊技者に視認されることを回避し易くすることができる。
なお、一方で、本実施形態では各流路構成部334~336が左右中央で区切られるように構成されているので、特定入賞口65aへの入球が左右片側であれば、入球が生じていない側の第3流路構成部336の後方に注目することで、流下する球に遮られることなくスライド変位部材370の変位を視認することができる(図22参照)。
このように、大当たりA1,A2の場合は、左右片側の各流路構成部334~336に配置される球の個数が1個に限定されることにより、その球への注目力の向上を図ることができると共に、球が確変検出センサSE11を通過するか、通常検出センサSE12を通過するか、を容易に遊技者に視認させることができる。
大当たりB1又は大当たりB2の場合には、第2の作動パターンに基づいて開閉板65bが動作するようMPU201が電磁ソレノイド165c(図11参照)を駆動制御する。MPU201は、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、タイマ手段(図示せず)が所定のオープニング時間OP(10秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御し、オープニング時間OPの経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。
すなわち、第1の作動時間T1(最大30秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に開閉板65bを閉鎖状態から変位させて特定入賞口65aへの入球が可能な開放状態とする。初回の開放状態は1.0秒間維持される。第2の作動パターンでは、この1.0秒間の開放動作を、1.0秒間隔で実行するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、開閉板65bに長時間動作を行わせる。
なお、初回の開放時間は、遊技球を発射し続ける場合に、少なくとも1個の遊技球が特定入賞口65aに入り得る期間よりも長く、規定個数(本実施形態では10個)の遊技球が特定入賞口65aに入るのに要する期間よりも短い期間として設定される。
そして、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数(本実施形態では10個)のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、開閉板65bを閉鎖状態へ変位させて特定入賞口65aを閉鎖するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
第2の作動パターンにおける1.0秒の開放時間は、開閉板65bの開放中に特定入賞口65aの左右片側に複数の球が入球可能となる時間として設定される。特定入賞口65aの左右片側に複数の球が連なって入球する(以下、「連球で入球」とも称する)ことを許容するための開放時間の設定である。
本制御例では、球の発射間隔は0.6秒間隔とされるので、球の流下間隔が発射時と変化していない場合であっても、開閉板65bが1.0秒間で1回開放する間に、2個の球が特定入賞口65aに入球し得る。一方で、開閉板65bの開放間隔は1.0秒おきに制限されているので、2個の球が各流路構成部334~336を通過する前に次の球が各流路構成部334~336に入球することは規制することができる。
大当たりB1の場合には、上述した作動パターンXに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361(図17参照)を駆動制御する。また、大当たりB2の場合には、作動パターンYに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361を駆動制御する。そのため、大当たりB1の場合に各流路構成部334~336を通過した球は確変検出センサSE11を通過し、大当たりB2の場合に各流路構成部334~336を通過した球は通常検出センサSE12を通過する。
この時、左右片側の各流路構成部334~336に配置される球が1個の場合と、2個(以上)の場合とで各流路構成部334~336の見え方が異なる。左右片側の各流路構成部334~336に配置される球が1個の場合には、大当たりA1,A2の場合と同様に、他の球に視認性が低下させられることが無いので、遊技者は、球が確変検出センサSE11を通過する状況を容易に視認することができる。
一方、左右片側の各流路構成部334~336に配置される球が2個(以上)の場合には、上流側の球が下流側の球を見る遊技者の視線上に配置されることで、下流側の球の視認性が低下する可能性がある。そのため、球が確変検出センサSE11を通過するか、通常検出センサSE12を通過するかを知ろうと望む遊技者の、各流路構成部334~336を流下する球に対する注目力を向上することができる。
大当たりC1、大当たりC2又は大当たりaの場合には、第3の作動パターンに基づいて開閉板65bが動作するようMPU201が電磁ソレノイド165c(図11参照)を駆動制御する。MPU201は、特図変動表示(図柄変動演出)が終了すると、タイマ手段(図示せず)が所定のオープニング時間OP(10秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御し、オープニング時間OPの経過後に、1ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。
すなわち、第1の作動時間T1(最大30秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に開閉板65bを閉鎖状態から変位させて特定入賞口65aへの入球が可能な開放状態とし、第1の作動時間T1を限度に開閉板65bに長時間動作を行わせる。
そして、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数(本実施形態では10個)のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、開閉板65bを閉鎖状態へ変位させて特定入賞口65aを閉鎖するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
本制御例では、1ラウンド目のラウンド遊技R中において開閉板65bが開放状態を維持するので、特定入賞口65aの左右片側に複数の球が連球で入球する状況が生じ得る。一方で、開閉板65bの開放間隔が制限されているわけでは無いので、第2の作動パターンと異なり、2個の球が各流路構成部334~336を通過する前に次の球が各流路構成部334~336に入球することも生じ得る。従って、第2の作動パターンに比較して、第3の作動パターンの方が、各流路構成部334~336の下流側に配置された球の視認性が、上流側に配置される球により低下する状況が生じ易い。
大当たりC1又は大当たりaの場合には、上述した作動パターンXに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361(図17参照)を駆動制御する。また、大当たりC2の場合には、作動パターンYに基づいてスライド変位部材370が動作するようMPU201が電磁ソレノイド361を駆動制御する。そのため、大当たりC1又は大当たりaの場合に各流路構成部334~336を通過した球は確変検出センサSE11を通過し、大当たりC2の場合に各流路構成部334~336を通過した球は通常検出センサSE12を通過する。
このように、確変検出センサSE11に球を通すか、通常検出センサSE12に球を通すかに関わらず、開閉板65bを開放状態のまま維持する制御態様としているが、スライド変位部材370に球が到達するのに要する時間を構造から管理しているので、球噛みによるスライド変位部材370の誤動作の可能性は排除することができる。
この時、左右片側の各流路構成部334~336に配置される球が1個の場合と、2個の場合とで各流路構成部334~336の見え方が異なる。左右片側の各流路構成部334~336に配置される球が1個の場合には、大当たりA1,A2の場合と同様に、他の球に視認性が低下させられることが無いので、遊技者は、球が確変検出センサSE11を通過する状況を容易に視認することができる。
一方、左右片側の各流路構成部334~336に配置される球が2個の場合には、上流側の球が下流側の球を見る遊技者の視線上に配置されることで、下流側の球の視認性が低下する可能性がある。そのため、球が確変検出センサSE11を通過するか、通常検出センサSE12を通過するかを知ろうと望む遊技者の、各流路構成部334~336を流下する球に対する注目力を向上することができる。
第3の作動パターンでは、1ラウンド目のラウンド遊技Rにおいて特定入賞口65aに入球可能なタイミングに制限が無いので、第2の作動パターンに比較して、各流路構成部334~336の球の配置が無秩序になり易い。そのため、検出センサSE1の視認性は低下し易い。
一方で、特定入賞口65aに入球可能なタイミングに制限が無いことは、ラウンド遊技Rの進行を早期に行わせることができる効果がある。即ち、ラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数(本実施形態では10個)のパチンコ球の入賞)としての規定個数の球の入賞を早期に満たしやすく、大当たり遊技が間延びすることを回避することができる。
特に、特別図柄2の大当たりは、100%の確率でスライド変位部材370が作動パターンXで駆動制御されるため、特定入賞口65aに入球させれば、確変検出センサSE11を球が通過することが約束されている。この場合、検出センサSE及びスライド変位部材370への遊技者の注目力はそもそも低い。
従って、検出センサSE1の視認性が悪くなることを許容しても遊技者が感じる不利益は小さい。第3の作動パターンでは、検出センサSE1の視認性が悪くなることは敢えて許容しながら、大当たり遊技が間延びすることを回避することを優先することで、大当たり遊技の短時間での進行の実現を図り、大当たり遊技に対する遊技者の興趣の向上を図ることができるようにしている。
大当たり種別に関わらず、1ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段は、ラウンド間第1インターバル時間Int1(2.0秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御し、ラウンド間第1インターバル時間Int1の経過後に、2ラウンド目のラウンド遊技Rを開始する。
2ラウンド目では、1ラウンド目の開始と同様に、第1の作動時間T1(最大30秒)をタイマ手段で計測を開始すると共に開閉板65bを閉鎖状態から開放状態へ変位させて特定入賞口65aを開放するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、開閉板65bに長時間動作を行わせる。2ラウンド目以降は、スライド変位部材370は前側位置で常時維持されるので、特定入賞口65aに入球した球は通常検出センサSE12を通過して排出される(図17参照)。
そして、2ラウンド目のラウンド遊技Rにおいてラウンド終了条件(ラウンド遊技時間(第1の作動時間T1の最大値である30秒間)の経過または規定個数のパチンコ球の入賞)が満たされた場合に、開閉板65bを閉鎖状態へ変位させて特定入賞口65aを閉鎖するよう電磁ソレノイド165cを駆動制御して、2ラウンド目のラウンド遊技Rが終了する。
以降は、2ラウンド目と同様に、各ラウンド遊技Rの間にラウンド間第1インターバル時間Int1を挟んで3ラウンド目~最終ラウンド(4ラウンド目)のラウンド遊技Rが繰り返されて、開閉板65bが閉鎖状態および開放状態の間で変位し、特定入賞口65aを開閉するよう電磁ソレノイド165cが駆動制御される。
そして、最終ラウンド目のラウンド遊技Rが終了すると、タイマ手段がラウンド間第1インターバル時間Int1およびエンディング時間ED(11秒)が経過するまで開閉板65bを閉鎖状態に保持するよう電磁ソレノイド165cが駆動制御され、当該時間の経過に伴って大当り遊技が終了する。
なお、本制御例では、開閉板65bの短開放の変位動作や、スライド変位部材370の駆動制御を、1ラウンド目のみで実行する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、全ラウンドで実行するようにしても良いし、1ラウンド目以外のラウンド(例えば、3ラウンド目や、8ラウンド目や、12ラウンド目等)で実行するようにしても良い。
このように、本制御例によれば、開閉板65bの開放パターン(第1の作動パターン~第3の作動パターン)の違いによって、開閉板65bへの球の入球態様を変化させ、各流路構成部334~336及び第3流路構成部336の下流側に配置される検出センサSE1の視認性を異ならせることができる。これにより、第3流路構成部336の下流側に配置される検出センサSE1の球の通過に注目する遊技者に球の発射態様を工夫する意欲を生じさせることができる。
例えば、検出センサSE1の視認性の低下は、複数の球が各流路構成部334~336に同時に配置されることにより生じる場合があるので、必要に応じて(例えば、第2の作動パターン又は第3の作動パターンの大当たり種別において)意図的に球の発射間隔を広げることで、検出センサSE1の視認性の低下を抑制することができる。なお、第1の作動パターンでは、特定入賞口65aへの入球が制限されることから、発射態様によらず、検出センサSE1の視認性の低下を回避することができる。
一方で、球の発射間隔を広げると特定入賞口65aに規定個数の球が入球するまでの期間が延びるので、ラウンド遊技Rが間延びする可能性がある。即ち、検出センサSE1の視認性を優先する遊技態様と、ラウンド遊技Rの間延びを回避することを優先する遊技態様とで、ラウンド遊技Rの遊技の仕方を遊技者に選択させることができる。
例えば、スライド変位部材370の変位を視認するために、ラウンド遊技Rの開始後、若干の期間(例えば、1.0秒間)を空けて、特定入賞口65aへの入球を生じさせるようにしても良い。この場合、スライド変位部材370の変位が生じるタイミング(作動パターンYの場合においてラウンド遊技R開始から0.8秒経過したタイミング)で第3流路構成部336に球が配置される状況を回避することができるので、スライド変位部材370の変位動作が球で遮られることを回避することができる。
一方で、球発射までの期間を空けるようにすると特定入賞口65aに規定個数の球が入球するまでの期間が延びるので、ラウンド遊技Rが間延びする可能性がある。即ち、検出センサSE1の視認性を優先する遊技態様と、ラウンド遊技Rの間延びを回避することを優先する遊技態様とで、ラウンド遊技Rの遊技の仕方を遊技者に選択させることができる。
例えば、本実施形態によれば、各流路構成部334~336及びスライド変位部材370が左右対称に構成され、左右のどちら側からも、特定入賞口65aを通して球を入球させることができる。
即ち、例えば、上述した球の発射間隔を広げる発射態様や、球発射までの期間を空ける発射態様については左側での入球において維持し、右側での入球については任意の発射態様で球を発射するように遊技しても、上述と同様の効果を図ることができる。
具体的には、特定入賞口65aへ向けた球の発射を左右に打ち分けるような発射態様として、少なくとも1発目の球を右側へ発射し、何発目か(例えば2発目)の球を左側へ発射し、残りの球を右側へ発射するように打ち分ければ良い。
この場合、各流路構成部334~336としての右側流路を流下する球には注目せず、左側流路を流下する球に注目することで、他の球に視線が遮られることを回避しながら、左側流路を流下する球が確変検出センサSE11を通過するか否かを視認することができる。加えて、この場合は、特定入賞口65aの右側部分へ向けて絶えず球を発射し続けているので、特定入賞口65aに規定個数の球が入球するまでの期間が延びることを回避でき、ラウンド遊技Rが間延びすることを回避することができる。
なお、この左右への球の発射の打ち分けは、左側流路への入球を1個にすることが目的ではない。特に、左側流路を何発目の球が通過しきるまでの約0.9秒間において左側の各流路構成部334~336に配置される球の個数を1個に制限できれば良く、その他の期間においては左右流路に任意に球を入球させるように打ち分ければ良い。
これにより、本実施形態のように特定入賞口65aの上方の開放幅が長くは無い場合(例えば、電動役物140aの配置や釘配置(図2参照)から球の入球経路が少数の経路に限定される場合)においても、特定入賞口65aへ向かう球同士が衝突して一方が特定入賞口65aの左右外側に零れる事態の発生を抑制することができる。なお、図2では釘配置を左右非対称としたが、左右対称の釘配置としても良い。
次いで、遊技盤13の背面側に締結固定される動作ユニット500の構造について説明する。動作ユニット500は、遊技盤13のベース板60(図2参照)に背面側から締結固定されるユニットである。
図26は、動作ユニット500の正面斜視図であり、図27は、動作ユニット500の背面斜視図である。なお、図27では、背面ケース510の開口511aに配設される液晶表示装置(可変表示装置ユニット80)の図示が省略され、開口511aを通して奥側を視認可能に図示される。また、図26及び図27の説明においては、図2を適宜参照する。
動作ユニット500は、底壁部511と、その底壁部511の外縁から立設される外壁部512とから正面側が開放された箱状に形成される背面ケース510を備える。背面ケース510は、底壁部511の中央に矩形状の開口511aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口511aは、第3図柄表示装置81の表示領域の外形(外縁)に対応した(即ち、第3図柄表示装置81の表示領域を正面視で区切ることが可能な)大きさに形成される。
背面ケース510は、外壁部512の正面側端部に遊技盤13の背面に沿う(例えば、平行に配置される)平面板として延設され、組立状態(図2参照)において遊技盤13を面支持する支持板部513を備える。
支持板部513は、遊技盤13のベース板60に形成される嵌合凹部(図示せず)と嵌合可能な形状で正面側へ向けて突設される位置決め凸部513aと、ベース板60に締結される締結ネジを挿通可能に穿設される複数の挿通孔513bとを備える。
ベース板60の嵌合凹部に位置決め凸部513aを嵌合させることによりベース板60に対して背面ケース510を位置決めし、締結ネジを挿通孔513bに挿通し、ベース板60に螺入することにより、遊技盤13と動作ユニット500とを一体的に固定することができるので、遊技盤13及び動作ユニット500の全体としての剛性の向上を図ることができる。
なお、位置決め凸部513aの形状は何ら限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、ベース板60の嵌合凹部の内形(本実施形態では、円形または長円形)よりも若干小さな外形の凸部でも良いし、組み付け時の作業性を考慮して、嵌合隙間が大きくなるような形状(更に小さな外形)の突部でも良い。また、嵌合凹部の内形が矩形状に形成される場合には、それに対応して位置決め凸部513aの形状も矩形状とされることは当然想定される。
動作ユニット500は、遊技盤13の背面側に配置され、各種発光手段や、各種動作ユニットが内部に配設されている。即ち、動作ユニット500は、背面ケース510と、その背面ケース510の内側右部に配設される第1動作ユニット600と、背面ケース510の内側下部に配設される第2動作ユニット700と、背面ケース510の内側上部に配設される第3動作ユニット800と、を備える。なお、背面ケース510の内側左部には、LED等の発光手段を有する基板と、その基板を前側から覆うように配設され光透過性材料から形成されると共に全体に亘って光拡散加工が形成される拡散装飾板LB1とが配設される。
具体的には、第1動作ユニット600は、開口511aの右方位置において、第2動作ユニット700は、開口511aの下方位置において、第3動作ユニット800は、開口511aの上方位置において、それぞれ背面ケース510の底壁部511に配設される。まず、この動作ユニット500の動作制御の概要について説明する。
図28から図35は、動作ユニット500の動作の一例を示す動作ユニット500の正面図である。図28では、演出待機状態の各動作ユニット600~800が図示され、図29では、各動作ユニット600~800の演出待機状態から第1動作ユニット600が張出状態に変化した状態が図示され、図30では、各動作ユニット600~800の演出待機状態から第2動作ユニット700が張出状態に変化した状態が図示される。
なお、図30では、第2動作ユニット700が、図29に図示される第2動作ユニット700とは覆設部材787の前側を向く面が異なる状態で図示される。
図28から図35では、センターフレーム86の内側形状が想像線で図示される。この内側においては背面側に配置される第3図柄表示装置81が良好に視認可能となるが、センターフレーム86の外方においては、ベース板60が透明な樹脂部材から構成されているとはいえ、ベース板60に配設される釘や各種入賞口63,64,65a,140等やスルーゲート67等(図2参照)に視界が遮られ易い。そのため、例えば、図28に示すようにセンターフレーム86の外方に配置されている状態において、各動作ユニット600~800の正面視における視認性が下がり易い。
なお、動作ユニット500の構成に合わせる関係上、センターフレーム86の枠形状が図2に示すセンターフレーム86とは異なるが、その役割は同様である。また、第3動作ユニット800の手前側においてセンターフレーム86の内枠形状が下に張り出す湾曲形状となっているが、センターフレーム86の外枠まで下方に湾曲しているものではなく、センターフレーム86の内枠側において、第3動作ユニット800を前側から覆うように円形の透明な装飾薄板が張出形成されるものである。従って、センターフレーム86の上側に乗った球を左右両側へ転動させるという役割も、図2で示すものと同様であり、実際のセンターフレーム86の枠上部(外枠上部)は、第3動作ユニット800の上側を左右に跨ぐように配設される。
図31及び図32では、各動作ユニット600~800の演出待機状態から第3動作ユニット800が張出状態に変化した状態が図示される。図31では、第1装飾部材870が前側を向いており第3動作ユニット800の個別合体状態が図示され、図32では、第2装飾部材880が前側を向いており第3動作ユニット800の一連合体状態が図示される。
図31の状態と図32の状態とが切り替えられる変位は、直動変位と回転変位とを組み合わせた変位態様で生じるので、第3動作ユニット800の演出待機状態において実行すると、周囲の装飾部材と装飾部材870,880とが衝突して不具合が生じることから、第3動作ユニット800の張出状態において実行される。
換言すれば、本実施形態では、第3動作ユニット800が張出状態(又は、演出待機状態から装飾部材870,880の衝突を回避するのに十分な程度で下降変位した状態)となり、装飾部材870,880の変位を仮想円800F(図32参照)において許容する状態となっていることを前提に、反転変位(切替回転動作)を実行するように音声ランプ制御装置113(図4参照)で制御されるが、詳細は後述する。
図33では、張出状態の第3動作ユニット800と、張出状態よりも若干下降変位した中間演出状態における第2動作ユニット700が図示され、図34では、図33の状態から第1動作ユニット600が中間演出状態に変位した状態が図示され、図35では、図33の状態から、第3動作ユニット800が演出待機状態へ変位し、第1動作ユニット600が張出状態に変位した状態が図示される。
図28から図35に図示されるように、第3動作ユニット800の変位軌跡と、第1動作ユニット600の変位軌跡または第2動作ユニット700の変位軌跡と、は正面視で部分的に重なる。そのため、例えば、第3動作ユニット800が張出状態(図31参照)の時に、第1動作ユニット600又は第2動作ユニット700が演出待機状態から状態変化すると、衝突する可能性がある。
これに対して、本実施形態では、第1動作ユニット600の演出待機状態からの状態変化を、第3動作ユニット800が演出待機状態であることを条件として実行可能に制御したり、第3動作ユニット800の演出待機状態からの状態変化を、第1動作ユニット600が演出待機状態であることを条件として実行可能に制御したりすることで、第1動作ユニット600と第3動作ユニット800とが正面視で重なることを避けることができる。従って、第1動作ユニット600及び第3動作ユニット800の配置自由度を向上することができる(前後位置が重なることを許容できる)。
更に、本実施形態では、第2動作ユニット700の張出状態への状態変化を、第1動作ユニット600及び第3動作ユニット800が演出待機状態であることを条件として実行可能に制御したり、第3動作ユニット800が張出状態である場合の第2動作ユニット700の配置を中間演出状態(図33参照)にしたりすることで、第2動作ユニット700が他の動作ユニット600,800と正面視で重なることを避けることができる。従って、各動作ユニット600~800の配置自由度を向上することができる(前後位置が重なることを許容できる)。
特に、第2動作ユニット700の視認状態として、開口511aにより近い張出状態で視認させる場合と、開口511aから若干退くものの第3動作ユニット800と近接配置した状態で視認させる場合と、の複数の状態を構成することで、第2動作ユニット700の演出装置としての機能の向上を図っている。
図28から図35に示すように、第1動作ユニット600は、第3図柄表示装置81の右側において変位動作する。第1動作ユニット600の第2装飾回転部材660は略直方体形状の箱状部材661を備え、箱状部材661は、演出待機状態において斜め左方向へ向く第1演出面661aと、その第1演出面661aの裏面側に形成される第2演出面661bと、第1演出面661a及び第2演出面661bに隣設する面としての第3演出面661cと、を備えている。各演出面661a~661cには、任意で図形、模様、文字等による装飾が施されている。
第1動作ユニット600の演出待機状態においては、第2装飾回転部材660は、第3図柄表示装置81の右側という、センターフレーム86の配置によって正面側からの視認性が低下し易い箇所に配置されているものの、第1演出面661aを遊技者側に斜めに向けた姿勢(矢印F-Bを基準として手前側の面が矢印L側に45度傾いた姿勢)とされているので、第3図柄表示装置81とセンターフレーム86の開口の枠内側から、そのセンターフレーム86と第3図柄表示装置81との隙間を通る斜め方向視で第2装飾回転部材660を視認する遊技者目線における第1演出面661aの視認性を向上することができる。
一方、第1動作ユニット600の張出状態においては、第2装飾回転部材660は、第3図柄表示装置81の正面に張り出すことで、センターフレーム86の枠内側を視認する遊技者に対して正対する。この場合には、第2装飾回転部材660は第2演出面661bを真正面に向けた姿勢とされているので、第2装飾回転部材660を視認する遊技者目線における第2演出面661bの視認性を向上することができる。
このように、第2装飾回転部材660は、配置に応じて遊技者に視認させる演出面661a~661cを切り替え可能に構成され、且つ、遊技者に視認させる各演出面661a~661cの視認性を向上する目的で、配置に応じて姿勢を切り替え可能に構成される。
換言すれば、ガラスユニット16(図1参照)と平行な平面的な姿勢変化に限らず、遊技者の視線との関係を意図した角度変化を付けるよう設計されている。即ち、センターフレーム86の枠中央側の配置となるほど遊技者の視線が前後方向となり正対し易いので、演出面が前方向(矢印F方向)を向く方が視認性を良くすることができ、一方でセンターフレーム86の枠付近の配置となるほど遊技者の視線が斜めになり易いので、演出面をその視線と正対させるために斜めにした方が視認性を良くすることができる。
第2装飾回転部材660の変位に伴い、張出装飾部652bが連動して変位する。張出装飾部652bは、板正面に図形や絵柄等の装飾がされており、第1動作ユニット600の演出待機状態(図28参照)及び中間演出状態(図34参照)では、背面ケース510の右上隅に配置されることで遊技者から視認されないように隠される。
一方、張出装飾部652bは、第1動作ユニット600の張出状態(図28参照)では、正面視で第3図柄表示装置81の表示領域の右縁と前後で重なるようにセンターフレーム86の枠内側に配置されることで遊技者が視認可能となるよう構成されている。
この状態において、張出装飾部652bの外形右端部は、第3図柄表示装置81の右縁よりも右側に位置する。そのため、張出装飾部652bの板正面の装飾を利用して、あたかも第3図柄表示装置81の表示領域が拡大しているように遊技者に錯覚させる表示演出を行うことができる。
詳述すれば、第3図柄表示装置81の表示を視認可能な領域の右縁は第1動作ユニット600に規定されており、第1動作ユニット600の演出待機状態においては、第2装飾回転部材660の第1演出面661aの左縁と、第3図柄表示装置81の表示を視認可能な領域の領域右端RE1とが概ね一致する。
これに対し、第1動作ユニット600の張出状態においては、領域右端RE1を右側に超えるようにして張出装飾部652bが配置される。そのため、第3図柄表示装置81の表示と、張出装飾部652bの板正面の装飾とを関連させたり、一致させたりすることで、あたかも、第3図柄表示装置81の表示領域が領域右端RE1を超えて拡大しているかのように、遊技者に視認させることができる。これにより、意外性のある演出を実現することができる。
上述の表示と装飾とを一致させる例としては、例えば、第3図柄表示装置81に水玉模様を表示し、且つ、張出装飾部652bの板正面の装飾を同様の水玉模様にする例や、第3図柄表示装置81に変動表示される数字(例えば、抽選の当否を報知するための数字)の書体と同様の書体で、張出装飾部652bの板正面に、とある数字が記載されるようにする例が例示される。
上述の表示と装飾とを関連させる例としては、例えば、第3図柄表示装置81に虹色を構成する7色の内の6色が表示され、且つ、張出装飾部652bの板正面が残りの一色で着色される例や、第3図柄表示装置81に領域右端RE1に右端を合わせるようにして配置される木の棒が表示され、且つ、張出装飾部652bの板正面に炎を模した装飾がされることで、第1動作ユニット600の張出状態において着火を連想させる例が例示される。
なお、張出装飾部652bの演出態様は一種類に限定されるものでは無く、張出装飾部652bの明るさを制御することで複数種類の演出態様を構成することができるが、張出装飾部652bの明るさを変える発光手段については後述する。
また、張出装飾部652bの代わりに正面側に表示面を有する小型の液晶装置を配設することで、その液晶装置の表示を複数種類で変化させることができるので、領域右端RE1を超えて表示領域を拡大する際の第3図柄表示装置81の表示態様が制限されることを回避することができる。
また、張出装飾部652bの装飾と関連させる対象は、表示に限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、張出装飾部652bの装飾と、第2動作ユニット700の部材(例えば、覆設部材787)に形成される装飾(第1装飾、第2装飾)とを関連させるようにしても良いし、張出装飾部652bの装飾と、第3動作ユニット800の部材(例えば、第1装飾部材870、第2装飾部材880)に形成される装飾(第1覆設部875の装飾、第2覆設部885の装飾)とを関連させるようにしても良い。
図36は、第1動作ユニット600の正面斜視図であり、図37は、第1動作ユニット600の背面斜視図である。第1動作ユニット600は、第2装飾回転部材660が姿勢変化しながら回転するという複雑な変位態様で構成され、併せて第1装飾回転部材650の張出装飾部652bが第2装飾回転部材660を基準に相対変位することで、変位の前後で異なった外観を遊技者に視認させることができるよう構成される。
図38は、第1動作ユニット600の分解正面斜視図であり、図39は、第1動作ユニット600の分解背面斜視図である。
図38及び図39に示すように、第1動作ユニット600は、背面ケース510に締結固定される被固定手段610と、その被固定手段610に回動可能に支持される回動部材620と、その回動部材620を回動させるための駆動力を伝達する駆動伝達装置630と、回動部材620の回動先端部に一側の端部が回動可能に支持される被支持部材640と、その被支持部材640の他側の端部に回転可能に配設される第1装飾回転部材650と、その第1装飾回転部材650に回転可能に支持される第2装飾回転部材660と、被固定手段610の下半部の正面側に固定される装飾固定部材670と、を備える。
被固定手段610は、背面ケース510の底壁部511に前後に対向配置されるベース部材611と、そのベース部材611の正面側に配置されベース部材611との間に空間を作りながらベース部材611に締結固定される前蓋部材612と、を備える。
前蓋部材612は、駆動伝達装置630を配置するための伝達用配置部613と、その伝達用配置部613の正面側において装飾固定部材670を固定するための固定用部614と、その固定用部614よりも内側において回動部材620を回転可能に支持するための支持締結部615と、被支持部材640の他側の端部を案内する長孔として形成される案内長孔616と、を備える。
案内長孔616は、直線部と曲線部とが混在する独自の形状から形成されるが、その詳細および作用については後述する。
回動部材620は、長尺板状に形成される本体部621と、その本体部621の一端部(下側端部)に配設され被固定手段610の支持締結部615に外嵌支持される筒状部622と、直線方向に延びる長孔として本体部621の中間部に形成される伝達長孔623と、本体部621の他端部(上側端部)に筒状部622の軸方向と平行な穿設方向で円形孔として穿設される円形貫通孔624と、その円形貫通孔624を中心とした円の一部に沿ってギア歯状に形成されるギア歯部625と、を備える。
筒状部622の周りにはトーションばねSP1が巻き付けられている。トーションばねSP1は、一方の腕部が本体部621の側壁に当接され、他方の腕部が前蓋部材612の突片に当接されるよう構成され、回動部材620を起こす方向(正面視時計回り方向)に付勢力が生じるよう構成されている。
なお、筒状部622の軸支においては、支持締結部615が筒状部622に挿通された状態で、支持締結部615の先端部に形成されている雌ネジ部に締結ネジが螺入される。これにより、回動部材620は支持締結部615に脱落不能に軸支される。
伝達長孔623は、駆動伝達装置630の円筒部634aが挿通される案内孔として機能し、円形貫通孔624は被支持部材640の筒状部642が回転可能に挿通固定される挿通孔として機能するが、詳細は後述する。
駆動伝達装置630は、前蓋部材612の正面側に締結固定される駆動モータ631と、前蓋部材612の貫通孔613aを通して背面側へ突き出される駆動軸に固着される駆動ギア632と、その駆動ギア632に噛み合う状態で前蓋部材612の筒状部613bに軸支される伝達ギア633と、その伝達ギア633に噛み合う状態で前蓋部材612の筒状部613cに軸支される伝達ギアカム634と、を備える。
なお、伝達ギア633及び伝達ギアカム634に筒状部613b,613cが挿通された状態で、筒状部613b,613cの先端部に形成されている雌ネジ部に締結ネジが螺入される。これにより、伝達ギア633及び伝達ギアカム634は前蓋部材612に脱落不能に軸支される。
前蓋部材612には、筒状部613cを中心とした円弧に沿って貫通形成される円弧状孔613dが形成されており、その円弧状孔613dには、伝達ギアカム634の偏心位置において正面側に円筒状に突設される円筒部634aが挿通される。
伝達ギアカム634は、伝達ギア633と歯合するギア部を備える回転部材であって、上述の円筒部634aと、その円筒部634aを含む角度位置から外径方向へ板状に延設される延設部634bと、を備える。
円筒部634aは、円弧状孔613dに挿通され、その正面側において回動部材620の伝達長孔623に挿通される。ここで、円弧状孔613d及び伝達長孔623の幅長さは、円筒部634aの外径よりも、若干長くなるように設計される。これにより、円筒部634aが円弧状孔613d及び伝達長孔623を摺動する際の摺動抵抗を低減することができる。
延設部634bは、前蓋部材612に締結固定されるフォトカプラ式の検出センサKS1の検出溝に進入可能に構成されている。これにより、検出センサKS1の出力の変化を読み取ることで、音声ランプ制御装置113(図4参照)が伝達ギアカム634の姿勢を把握可能に構成される。
被支持部材640は、長尺の本体部641と、その本体部641の背面側から回動部材620の円形貫通孔624に挿通可能な円筒形断面で突設される筒状部642と、その筒状部642と平行に突設される筒状部643と、その筒状部643に軸支された状態で回動部材620のギア歯部625と歯合可能に形成される中間ギア644と、その中間ギア644よりも背面側に穴あきの底部を有する大径の筒状に形成される有底筒状部645と、その有底筒状部645が配置される端部の反対側の端部において正面側に延設される延設支持部646と、を備える。
上述の構成により、回動部材620の回動変位に伴い、ギア歯部625と、中間ギア644との間で歯合による駆動力伝達を生じさせることができる。
なお、回動部材620及び中間ギア644に筒状部642,643が挿通された状態で、筒状部642,643の先端部に形成されている雌ネジ部に締結ネジが螺入される。これにより、回動部材620及び中間ギア644は被支持部材640の本体部641に脱落不能に軸支される。
有底筒状部645は、底部の背面側が前蓋部材612の正面側縁部に近接配置され、底部の正面側において中間ギア644と第1装飾回転部材650のギア歯654aとが歯合可能となるように周面部に形成される開口645aと、筒状中心を中心とした円形で貫通形成され円筒支持部651aを挿通可能とされる挿通孔645bと、を備える。なお、形状の詳細については後述する。
延設支持部646は、第2装飾回転部材660を回転可能に軸支するための支持部として機能するが、詳細は後述する。
第1装飾回転部材650は、直交する回転軸を形成する本体部材651と、その本体部材651と有底筒状部645との間に軸支される前側回転部材652と、その前側回転部材652の装飾部652bの背面側に固定され正面側にLED等の発光手段が配設される電飾基板653と、前側回転部材652と同軸で後側に締結固定される後側回転部材654と、本体部材651に正面側から締結固定され配線通しとしての円筒状空間を形成する配線受部材655と、その配線受部材655の正面側に配置され本体部材651に背面側から挿通される締結ネジが螺入されることで締結固定される前側装飾部656と、配線受部材655と本体部材651とにより形成される円筒状部に外嵌軸支される軸直角回転部材657と、を備える。
本体部材651は、背面側に筒状に延設される円筒支持部651aを備えており、その円筒支持部651aは、先端部の直径位置に一対の雌ネジ部651bが形成され、その雌ネジ部651bを通る平面の片側において壁部を削減するように切りかかれる切り欠き部651cを備える。
円筒支持部651aは、内部に電気配線を挿通可能な太さで形成されており、切り欠き部651cは、電気配線の入口を確保するための開口部としての機能を有する。
円筒支持部651aは、基端側から順に、前側回転部材652の中心孔、後側回転部材654の中心孔、有底筒状部645の挿通孔645b、段付きリング状のカラーC1及び前蓋部材612の案内長孔616に挿通され、その先端部の雌ネジ部651bに皿状蓋部C2に挿通された締結ネジが螺入されることで締結固定される。
即ち、上述した円筒支持部651a、前側回転部材652、後側回転部材654、有底筒状部645、カラーC1及び皿状蓋部C2は、前後方向に延びる軸線O1に同軸で支持され、案内長孔616に沿って変位可能に構成される。
皿状蓋部C2は、円周部の一部に開口C2aが形成されており、この開口C2aは組立状態において、本体部材651の切欠き部651cと対向配置されることで、電気配線の通り道を形成する。
この電気配線は、一部の配線は軸直角回転部材657の内部を通り、第2装飾回転部材660の内部に案内され、電飾基板662に配設されるコネクタに端子が接続される。また、その他の配線は、本体部材651と配線受部材655との間に形成される隙間(上側、即ち半筒形状部655aの上下反対側において本体部材651と対向配置される側に形成される隙間)を通り、張出装飾部652bの背後に案内され、電飾基板653のコネクタに端子が接続される。
後側回転部材654は、背面側端部の円周部に沿ってギア歯654aが形成されており、このギア歯654aと中間ギア644とが歯合可能に形成される。なお、ギア歯654aは、後述する動作に十分な配置として、全円周に亘ってでは無く、円周の一部に沿って形成される。
前側回転部材652は、傘歯車として形成されるギア歯652aと、径外方に張り出す張出装飾部652bと、を備える。張出装飾部652bの背面側には電飾基板653が締結固定され、電飾基板653に配置される発光手段からの光により張出装飾部652bを点灯させたり、点滅させたりする演出を実行可能とされる。
前側回転部材652は、後側回転部材654に締結固定されているので、後側回転部材654と前側回転部材652とは一体的に回転動作する。
軸直角回転部材657は、本体部材651の半筒形状部651dと、配線受部材655の半筒形状部655aとにより形成される円形筒状部に回転可能に支持され、前側回転部材652のギア歯652aと歯合可能な傘歯車として形成されるギア歯657aを備える。
このように構成することで、前側回転部材652の回転と連動して軸直角回転部材657が回転する。即ち、前側回転部材652、後側回転部材654及び軸直角回転部材657は、連動するが、動作の詳細については後述する。なお、ギア歯652a,657aは、後述する動作に十分な配置として、全円周に亘ってでは無く、円周の一部に沿って形成される。
第2装飾回転部材660は、軸直角回転部材657に締結固定される箱状部材661と、その箱状部材661の内部において箱状部材661に固定される電飾基板662と、箱状部材661と軸直角回転部材657との間に配設され半筒形状部651d,655aの先端部に締結固定される配線留め板663と、を備える。
本実施形態では、後述する箱状部材661の回転に伴って、電飾基板662も回転変位することになるので、電飾基板662のコネクタに案内される際に半筒形状部651d,655aの間を通過している電気配線が捻じれたり、配置が無秩序になったりする可能性があるところ、配線を仮留めする貫通孔を有する配線留め板663の機能により、配線の捻じれや、無秩序に配置されることからの回避を図っている。
なお、本実施形態では、電気配線が電飾基板662に固定されていることから、電気配線に捻じれが生じることは避けられない。一方で、第2装飾回転部材660の回転変位は、1回転以上の回転で生じるものでは無く、135度の回転角度で反転する回転変位であるので、電気配線に過度な負担がかかったり、電気配線がねじ切れたりする事態を回避することができる。
第2装飾回転部材660は、略直方体形状から形成され、最長辺を有する長方形側面の最長辺と平行な回転軸(半筒形状部651d,655aにより形成される回転軸)で回転可能に構成される。
軸直角回転部材657は、配線留め板663が抜け止めとして機能し、半筒形状部651d,655aに脱落不能に支持される。第2装飾回転部材660は軸直角回転部材657に締結固定されるので、第2装飾回転部材660が半筒形状部651d,655aから抜ける事態が発生することを回避することができる。
電飾基板662は、板の厚み方向と箱状部材661の厚み方向とが一致するよう配設されている。電飾基板662の厚み方向の側面において、表側に配設され厚み方向に光軸が向くLED等の発光手段により第1演出面661aが照らされ、裏側に配設され厚み方向に光軸が向くLED等の発光手段により第2演出面661bが照らされ、裏側(第2演出面661bを照らす側)に配設され幅方向に光軸が向くLED等の発光手段により第3演出面661cが照らされる。
このように、電飾基板662に配設される発光手段は、各演出面661a~661cを個別に照らすように機能するが、第3演出面661cを照らすLEDが裏側(第2演出面661bを照らす側)に配設されていることで、第2演出面661bが正面側に配置される状態(第1動作ユニット600の張出状態)において第3演出面661c(上側を向く面)を照らすLEDを発光させた場合に、そのLEDの光軸から角度をつけて進行する光により第2演出面661bを照らすことができる。
即ち、電飾基板662の背後にLEDが配置される場合と異なり、光が電飾基板662に隠されることを回避することができるので、第3演出面661cを照らす光により第2演出面661bも照らすことができる。これにより、第2演出面661bを照らす演出態様の種類を増加させることができたり、発光演出時の第2演出面661bの明るさを向上させたりすることができる。
装飾固定部材670は、光透過性の樹脂材料から、装飾用の文字や図形が遊技者に視認可能に形成され、その背面側から斜め左前方に光を照射する電飾基板671を備えている。装飾固定部材670の配置は第3図柄表示装置81の右側で固定であり、装飾固定部材670に対する遊技者の視線は、常に斜め右側に傾斜した視線となる。即ち、電飾基板671から照射される光の方向を左側に傾斜させることで、遊技者の目が配置され易い側に光を照射することができる。
装飾固定部材670は、下縁部および右縁部が背面側に嵩上げ形成されており、上縁部および左縁部と前蓋部材612との間に前後隙間が形成される。この前後隙間は、回動部材620が傾倒変位する際に通る隙間として機能する。
図40は、演出待機状態における第1動作ユニット600の正面図であり、図41は、演出待機状態における第1動作ユニット600の背面図であり、図42は、図40の矢印XLII方向視における第1動作ユニット600の側面図である。なお、形状の理解を容易とするために、ベース部材611(図38参照)及び締結ネジの図示は省略している。
演出待機状態において、駆動伝達装置630の円筒部634aの変位開始方向SD1は、伝達長孔623の長手方向に沿う(例えば、平行となる)ように構成される。これにより、円筒部634aが伝達長孔623に摺動しながら変位開始する際の変位抵抗を低減することができる。即ち、変位開始時は、変位途中に比較して慣性の補助を得られず、駆動モータ631で発生させる必要のある駆動力が大きくなり易いところ、本実施形態のように変位抵抗を低減するように構成することで、変位開始時に駆動モータ631にかかる負担の低減を図ることができる。
また、同様のことが、張出状態(図45参照)における円筒部634aの変位開始方向SD2についても成立するように構成される。即ち、本実施形態では、回動部材620の両終端位置(演出待機状態の位置、張出状態の位置)における伝達長孔623に配置される円筒部634aの変位方向が、伝達長孔623の長手方向に沿う(例えば、平行となる)ように円筒部634aの変位(即ち、伝達ギアカム634の形状)が設計される。これにより、回動部材620の両終端位置からの変位開始時に駆動モータ631にかかる負担の低減を図ることができる。
図41に示すように、中間ギア644に両側から、回動部材620のギア歯部625と、第1装飾回転部材650のギア歯654aと、が噛み合う。本実施形態では、ギア歯部625の半径R1と、ギア歯654aの半径R2とが同じ長さで設計されているので、中間ギア644に対するギア歯部625の回転角度と、中間ギア644に対する後側回転部材654の回転角度と、は同角度とされる。
従って、後側回転部材654の回転角度を、中間ギア644とギア歯部625との間で生じる回転角度(角度θ)の設計次第で、変化可能に構成することができる。
図42に示すように、前側回転部材652のギア歯652aと、軸直角回転部材657のギア歯657aとが噛み合っており、前側回転部材652に伝達された回転駆動力が、回転軸の直交する第2装飾回転部材660に伝達される。
第2装飾回転部材660の回転角度はギア歯657aの回転角度と同様であり、ギア歯657aの回転角度は前側回転部材652のギア歯652aの回転角度に比例する。即ち、第2装飾回転部材660の回転角度は、中間ギア644とギア歯部625(図41参照)との間で生じる回転角度に比例する。
なお、本実施形態では、ギア歯657aの回転角度と、ギア歯652aの回転角度とが同じ(ギア比が1)となるように構成されるので、第2装飾回転部材660の回転角度は、中間ギア644とギア歯部625との間で生じる回転角度と同じとなる。
次いで、第1動作ユニット600の演出待機状態からの変位について、時系列で説明する。図43は、中間演出状態における第1動作ユニット600の正面図であり、図44は、中間演出状態における第1動作ユニット600の背面図である。また、図45は、張出状態における第1動作ユニット600の正面図であり、図46は、張出状態における第1動作ユニット600の背面図である。なお、形状の理解を容易とするために、ベース部材611及び締結ネジの図示は省略している。
演出待機状態と中間演出状態との間で、回動部材620の回動角度は19度に設定され、中間演出状態と張出状態との間で、回動部材620の回動角度は26度に設定されている。
第1動作ユニット600の中間演出状態では、第2装飾回転部材660の箱状部材661が、幅の狭い第3演出面661cを正面側に向けた姿勢とされる。第1動作ユニット600の張出状態では、第2演出面661bが正面側を向くように構成される(図45参照)。
図44に示すように、案内長孔616は、上端部から上下方向に延びる直線上に形成される直線状部616aと、その直線状部616aの下端部と連結され曲線上(略円弧形状)に形成される曲線状部616bと、を備える。
第1動作ユニット600の中間演出状態では、軸線O1が直線状部616aの下端位置、即ち、直線状部616aと曲線状部616bとの連結部分に配置されている。一方で、図46に示すように、第1動作ユニット600の張出状態では、軸線O1が曲線状部616bの下端位置に配置されている。
従って、演出待機状態と中間演出状態との間における軸線O1の変位は、直線状部616aに沿う直線状変位となり、中間演出状態と張出状態との間における軸線O1の変位は、曲線状部616bに沿う曲線状変位となるように構成される。
第1動作ユニット600は、上述のように状態変化可能に構成されており、その状態変化の基端側に配置されるのは回動部材620である。即ち、回動部材620が駆動伝達装置630からの駆動力を受けて変位し、その回動部材620の変位に被支持部材640、第1装飾回転部材650及び第2装飾回転部材660が従動する。
そのため、対策なしでは、案内長孔616に案内される部分の摺動変位によって案内長孔616との間で生じる変位抵抗が大きくなる可能性があるが、本実施形態では、回動部材620の変位方向に案内長孔616の長手方向が沿うように構成されることで、その抑制を図っている。
例えば、演出待機状態(図41)からの回動部材620のギア歯部625の変位は、下方へ傾動する変位であるところ、案内長孔616も下方に延びるように形成されている。また、例えば、張出状態(図46参照)からの回動部材620のギア歯部625の変位は右斜め上方向に起き上がる変位であるところ、案内長孔616も右斜め上に延びるように形成されている。
このように、回動部材620の変位方向と、案内長孔616の長手方向と、を沿わせるようにすることで、案内長孔616の内部を変位する部分(及び軸線O1)の変位抵抗を抑制することができる。
次いで、図47を参照して、案内長孔616の形状が及ぼす効果について他の効果も含めて説明する。図47は、回動部材620の回動変位に伴う被支持部材640の変位量および変位角度を模式的に示す模式図であり、図48(a)及び図48(b)は、回動部材620が角速度一定の態様で傾倒方向に回動した場合における被支持部材640の従動側の変位量の大小関係を示す模式図である。なお、数値の正負は、正が下方への変位量、負が上方への変位量として図示され、図48(b)では、図48(a)の数値が棒グラフとして図示される。
図47では、回動部材620の回動に伴う被支持部材640の支持位置の配置が、回動部材620の回動角度として10度間隔で図示されるており、第1動作ユニット600の張出状態における姿勢の回動部材620が実線で図示される。
図47において、角度θは、軸線O1及び円形貫通孔624の中心を結ぶ線分と、円形貫通孔624の中心および筒状部622の中心を結ぶ線分と、の間の角度として図示されている。
案内長孔616は、軸線O1が配設される被支持部材640の端部を案内する長孔として機能する。案内長孔616における変位は、回動部材620の円形貫通孔624に連結される被支持部材640の筒状部642が回動部材620の回動に伴って変位することにより生じる変位であるので、以下において、被支持部材640の筒状部642を被支持部材640の主動側とも称し、軸線O1が配設される被支持部材640の端部を被支持部材640の従動側とも称する。
回動部材620を中心とする動作の概要について説明する。回動部材620に支持される被支持部材640の上下変位は、回動部材620の回動による回動先端(被支持部材640の主動側)の上下変位と、被支持部材640の姿勢変位に伴う被支持部材640の従動側の上下変位とが合算された結果として生じる。
演出待機状態においては、被支持部材640が縦姿勢であることに加え、回動部材620の変位の速度成分が上下に比較して左右方向が大きい(回動腕の配置が鉛直から左右45度の範囲)。即ち、上下方向の変位としては、小さくなる条件が2重に揃っている。
これらは共に、張出状態においては逆になり、上下方向の変位が大きくなる条件が2重に揃うことになる。従って、下降変位開始時は速度が小であり、下降変位終端において速度が大という状況が生じ易い構成となっている。
次いで、回動部材620を中心とする動作の詳細について説明する。演出待機状態から張出状態へ向けた回動部材620の変位(傾倒変位)について説明する。回動部材620が傾倒変位する場合、被支持部材640の従動側は主に自重により変位する。
そのため、案内長孔616が鉛直方向に形成される場合、被支持部材640の従動側は勢いよく落下する可能性がある。一方で、本実施形態では、第1動作ユニット600を中間演出状態(傾倒変位の途中位置、図44参照)で停止させられる方が好ましい。
そこで、本実施形態では、案内長孔616の形状として、直線状部616aの下方に曲線状部616bを組み合わせる態様を採用している。これにより、直線状部616aを自重により被支持部材640の従動側が変位し曲線状部616bに進入する際に、被支持部材640の従動側にかかる変位抵抗の増加を図ることができる。これにより、被支持部材640の従動側が中間演出状態における配置を超えて勢いよく落下することを防止し易くすることができる。
直線状部616aにおける被支持部材640の従動側の変位について説明する。被支持部材640の従動側が直線状部616aを変位する際、被支持部材640の主動側が直線状部616aの延長線を跨ぐ。即ち、演出待機状態では被支持部材640の主動側は直線状部616aよりも右側に配置され(図41参照)、中間演出状態では被支持部材640の主動側は直線状部616aよりも左側に配置される(図44参照)。そのため、回動部材620が方向転換せずに傾倒変位する間に、被支持部材640の従動側は上下方向に往復変位する。
これにより、回動部材620の回動角度の大きさに比較して、被支持部材640の従動側の上下方向の変位を小さく維持することができるので、被支持部材640の従動側が直線状部616aに配置されている間において、被支持部材640が、あたかも被支持部材640の従動側を中心として回動変位しているような変位態様で遊技者に見せることができる。
この変位態様によれば、被支持部材640の従動側を中心とした回動変位による助走を利用して左右方向のスライド変位を生じさせることができるので、変位開始時から被支持部材640全体を左右方向にスライド変位させる場合に比較して、変位に要する負荷を低く抑えることができる。そのため、被支持部材640の動作開始時に要する負荷を低減することができ、駆動モータ631に要求される性能の程度を低くすることができる。これにより、駆動モータ631の低コスト化を図ることができる。
一方で、被支持部材640の従動側の変位が小さく抑えられていながら、回動部材620の回動変位に伴い被支持部材640の主動部の変位は十分に確保されており、被支持部材640の主動部を基準とした被支持部材640の従動側の回転方向は背面視反時計回り方向に維持される(方向が切り替えられることが無い)。これにより、上述のように、被支持部材640の姿勢変化の方向および第2装飾回転部材660の回転方向は切り替えられることなく(反転することなく)維持される。
これにより、遊技者に対して、被支持部材640及び第2装飾回転部材660が往復動作(戻り動作)しているような印象を与えることを回避することができ、第2装飾回転部材660の変位態様を勢いのある変位態様とすることができる。
また、回動部材620の回動変位に伴う被支持部材640の主動部の変位が十分に確保されている状況下においても、被支持部材640の主動部の変位方向は水平方向成分が大きく、且つ、重力方向に沿う方向(下方)向きの変位であるので、回動部材620を変位開始させるために要求される負荷を低減することができ、駆動モータ631に要求される性能の程度を低くすることができる。これにより、駆動モータ631の低コスト化を図ることができる。
曲線状部616bにより生じる作用について説明する。直線状部616aと曲線状部616bとの連結部に被支持部材640の従動側が配置される状態が第1動作ユニット600の中間演出状態として規定されている。上述のように、演出待機状態から中間演出状態までの回動部材620の回動角度は19度である。そのため、被支持部材640の従動側が曲線状部616bに配置される状態は、おおよそ、図48の角度幅20度~45度の範囲に対応する。
まず、前提として、案内長孔616に曲線状部を採用する必然性は無い。即ち、上述のように中間演出状態において変位抵抗を増加させるために屈曲するような箇所の採用の有無に関わらず、案内長孔616を直線状の部分のみで構成しても良い。
一方、本実施形態では、敢えて曲線状部616bを採用することにより、変位終端において被支持部材640の従動側の速度が過大となることの防止を図っている。これについて、以下で説明する。
直線状部616aに案内される場合も、曲線状部616bに案内される場合も、回動部材620に連結される被支持部材640の主動側が下方変位する際に、被支持部材640の従動側が下方変位することは同じである。
違いとして、曲線状部616bに案内される場合において、曲線状部616bの上半部では、被支持部材640の従動側が被支持部材640の主動側の変位向き(左向き)と相反する向き(右向き)に変位案内されるように曲線状部616bが形成され、曲線状部616bの下半部では、被支持部材640の従動側が被支持部材640の主動側の変位向き(左向き)に沿う向き(左向き)に変位案内されるように曲線状部616bが形成される。
これにより、被支持部材640の主動側の下方への変位量が大きくなる前(傾倒開始側)においても、被支持部材640の従動側の変位が左右に振られていることで、被支持部材640の従動側の変位速度を大きく確保することができる。
これにより、回動部材620の傾倒変位の変位終端において被支持部材640の従動側の変位速度が過大となることを防止することができる。即ち、被支持部材640の従動側を特定の初期位置から終端位置まで任意の経路で上下変位させる場合、変位に要する時間が同じであれば、上下方向の速度を積分した結果は等しくなるので、変位開始時にゆっくりと変位する場合には、終盤に変位速度が大きくなる。
図47に比較として図示する上下方向に延びる直線上に案内される仮想軸線OE1に被支持部材640の従動側が配置される場合、回動部材620の傾倒変位開始側から、変位速度が漸増することになり、被支持部材640の変位終端(変位下端)において最大となる。換言すれば、回動部材620が10度回転して変位下端に到達する間の案内長孔616に案内される軸線O1の上下変位量UX1に比較して、同じ間の仮想軸線OE1の上下変位量UE1は大きくなる。
そのため、仮想軸線OE1の変位態様では、被支持部材640の従動側が跳ね戻る動作をする可能性があり、被支持部材640を変位下端で停止させる演出を行う場合には、第1動作ユニット600の演出に悪影響を与える。
これに対し、本実施形態では、案内長孔616に曲線状部616bを採用することで、被支持部材640の従動側の変位速度が大きくなる範囲を回動部材620の傾倒変位の変位開始側にも割り振るよう図っており、被支持部材640の従動側の変位速度の均一化を図っている。
この場合の均一化とは、変位の全範囲に亘って速度を同一となるように寄せることを意味するものばかりでは無く、速度の大小幅を抑制することを含む意味で用いられる。特に、本実施形態では、回動部材620の傾倒変位において、曲線状部616bへの進入開始側において被支持部材640の従動側の変位速度が漸増し、曲線状部616bの下半部に進入開始してから被支持部材640の従動側の変位速度が漸減するよう構成されている。
即ち、曲線状部616bに被支持部材640の従動側が案内されている場合において、被支持部材640の従動側の変位速度に速度差を設けることで、被支持部材640の変位が単調となることを回避することができる。
更に、曲線状部616bの下端側部において被支持部材640の従動側に要求される速度、即ち、単位時間に要求される変位量を小さくすることにより、回動部材620を上方へ動作(起き上がり動作)させる場合の駆動開始時に、単位時間に被支持部材640の従動側を持ち上げる変位量を小さくすることができるので、駆動モータ631にかかる負担を軽減させることができる。
次いで、図49を参照して、回動部材620の回動変位に伴う第2装飾回転部材660の回転について説明する。図49は、回動部材620の回転に伴う角度θ[度]の変化を示す模式図である。
角度θは、円形貫通孔624を中心とする回動部材620と被支持部材640との相対回転角度と同一視でき、第2装飾回転部材660の回転に直結する。即ち、角度θの大小に対応して、第2装飾回転部材660の回転角度の大小が規定される。
なお、本実施形態では、回動部材620のギア歯部625と第1装飾回転部材650のギア歯654a(図39参照)との回転伝達比、及びギア歯652aと軸直角回転部材657のギア歯657a(図38参照)との回転伝達比、が共に1に設定されている。そのため、角度θと、軸直角回転部材657との回転角度とは同一となることから、角度θの変化を、第2装飾回転部材660の姿勢の変化として把握することができる。
角度θの変化は、第1動作ユニット600の演出待機状態(図41参照)から第1動作ユニット600の中間演出状態(図44参照)までが45度であり、第1動作ユニット600の中間演出状態から第1動作ユニット600の張出状態(図46参照)までが90度である。
演出待機状態では、第2装飾回転部材660は第1演出面661aを45度だけ左方(第3演出面661cを45度だけ右方)に傾けた姿勢とされているので、角度θの変化に従って、状態が中間演出状態、張出状態と順に切り替えられるごとに、第2装飾回転部材660が45度回転することで第3演出面661cが正面側に向き(図43参照)、次いで第2演出面661bが正面側を向く(図45参照)。
角度θの設定は、被支持部材640の姿勢を規定するための案内長孔616の設計により実現されている。即ち、本実施形態では、第2装飾回転部材660の配置および角度θに応じた第2装飾回転部材660の姿勢の両方を満たすように案内長孔616が設計されている。
これにより、本実施形態のように、検出センサKS1として回動部材620の配置を検出するセンサしか配設しない場合であっても、検出センサKS1の出力を基にして第2装飾回転部材660の配置および姿勢を音声ランプ制御装置113(図4参照)が判定することができる。
即ち、検出センサKS1の検出溝に伝達ギアカム634の延設部634bが配置されていれば第1動作ユニット600の演出待機状態(図41参照)であると判定でき、その状態からの駆動モータ631の回転角度から回動部材620の回動角度、第2装飾回転部材660の配置および姿勢を判定することができる。
ここで、角度θの変化量は、回動部材620の回動角度量に比例するものではない。そのため、駆動モータ631の回転角度から第2装飾回転部材660の配置および姿勢を判定する際には、駆動モータ631の回転角度から比例計算で数値を求めれば良いわけではない。また、これにより、回動部材620を一定速度で回動する場合にあっても、第2装飾回転部材660の回転速度が一定となることを避けることができる。以下、このことについて説明する。
角度θの変化は、被支持部材640の従動側の変位速度の変化量の大小変化と概ね同様である。即ち、演出待機状態から中間演出状態までの角度変化(回動部材620が5度回動する間に約13度)に比較して、中間演出状態から張出状態までの角度変化の方が概ね大きい(被支持部材640の従動側が曲線状部616bの上半部に配置される間において、回動部材620が5度回動する間に約20度)。
一方で、中間演出状態から張出状態までの角度変化は、被支持部材640の従動側が曲線状部616bの下半部への進入位置程度から漸減し、最終的には演出待機状態から中間演出状態までの角度変化の水準以下になる(約7度まで低下する)。
このように、回動部材620の単位角度あたりの回動に対する角度θの数値が大小で変化するように構成されることで、同様に第2装飾回転部材660の回転角度の大小が変化するように構成することができる。即ち、角度θの数値が小さい範囲では、第2装飾回転部材660の回転角度が小さくなり易く、その姿勢を維持し易い状態とできる一方で、角度θの数値が大きい範囲では、第2装飾回転部材660の回転角度が大きくなり易く、遊技者側に向ける面(演出面661a~661c)を迅速に変化させ易い状態とすることができる。
上述の構成から、第2装飾回転部材660の変位動作に緩急を形成することができる。第2装飾回転部材660の変位動作では、上述の通り、被支持部材640の変位に伴う配置変更および姿勢変更と、半筒形状部651d,655aにより形成される筒状部の中心に形成される回転軸を中心とした回転変位と、が同時に実行される。
半筒形状部651d,655aにより形成される筒状部を中心とした回転変位の回転角度(角速度)は、被支持部材640の従動側が案内長孔616の直線状部616aから曲線状部616bに進入するタイミングで目立って大きくなる。
即ち、傾倒変位において、中間演出状態に到達するまでは第2装飾回転部材660の回転角度は抑えられており、中間演出状態における被支持部材640の従動側の配置から多少上下(跳ね戻り)したとしても、第2装飾回転部材660が第3演出面661cを正面側に向ける状態(図43参照)での維持を図ることができる。
一方、中間演出状態から被支持部材640の従動側が下方へ変位すると、回動部材620が一定速度で回動する場合の第2装飾回転部材660の回転速度は増大し、回転方向の姿勢変化が目立って視認される。即ち、遊技者に対して、第2装飾回転部材660が瞬時に回転変位しているように視認させることができる。
なお、本実施形態では、回動部材620の回動終端(変位下端)において第2装飾回転部材660の第2演出面661bが正面側に向けられ、装飾固定部材670と近接配置された状態で一体的に視認される関係上(図28参照)、回動部材620が変位下端に配置された状態から被支持部材640の従動側が上方へ跳ね戻ることを防止できることが望ましい。
これに対し、本実施形態では、上述のように案内長孔616の曲線状部616bbを構成することで、被支持部材640の従動側の変位速度を均一化しているので、回動部材620が変位下端に配置された状態における被支持部材640の従動側の変位速度が過大となることを予め防止することができ、被支持部材640の跳ね戻りを防止することができる。
このように変位速度が均一化されていることに加え、回動部材620の下降変位終端における被支持部材640及び第2装飾回転部材660の中心部の配置(例えば、筒状部643の配置)が、回動部材620の回転軸としての支持締結部615に最接近するよう構成されている。これにより、回動部材620の回動先端側に支持される被支持部材640や第2装飾回転部材660の重量により回動部材620の回動先端が暴れることを回避でき、回動部材620の回動変位を安定させることができる。
加えて、曲線状部616bの下半部は、回動部材620の変位下端において被支持部材640の従動側の、回動部材620の円形貫通孔624を中心として跳ね戻る方向(左上方向)への変位を好適に妨害するように構成される。即ち、曲線状部616bの下半部は、左上方向に傾斜する方向が短手方向となっており、この方向への被支持部材640の従動側の変位を抑制することができるので、被支持部材640の跳ね戻りを防止することができる。
換言すれば、本実施形態では、被支持部材640の主動側の変位に追従して被支持部材640の従動側が変位する際の変位方向と、被支持部材640の主動側が変位終端で停止した場合における被支持部材640の従動側の変位方向と、が異なる。
前者は、案内が無ければ被支持部材640の主動側の変位方向(回動部材620の回動方向)に沿って左下方への変位となると想定されるが、本実施形態では、案内長孔616に案内されることで、案内長孔616に沿う方向として左右方向に若干振られ、下方へ変位する。
一方、後者は、被支持部材640の主動側を中心とした円上の軌道となるので、案内長孔616を沿う方向ではなく、案内長孔616の短手方向に沿う変位方向となる。これにより、被支持部材640の従動側の変位を抑制することができ、被支持部材640の跳ね戻りを防止することができる。
回動部材620の起き上がり方向変位の特徴について説明する。第1動作ユニット600の張出状態から演出待機状態への状態変化において、回動部材620は起き上がり方向に変位する。
回動部材620を起き上がり変位させる際に要する負荷(即ち、駆動モータ631で生じる駆動力)は、主に、回動部材620、被支持部材640及び被支持部材640に配設される第1装飾回転部材650及び第2装飾回転部材660を上昇変位させることと、第2装飾回転部材660を回転させることとに利用される。
即ち、第2装飾回転部材660の回転角度が小さいほど、回動部材620を起き上がり変位させる際に要する負荷を低減することができる。
ここで、図49に示すように、本実施形態では、第1動作ユニット600の張出状態から回動部材620が回動変位を開始する時点において、第2装飾回転部材660の回転角度に比例する角度θの値が最低となるように設計されている。そのため、回動部材620を起き上がり変位させる際に要する負荷の低減を図ることができる。
回動部材620の起き上がり方向変位の上昇変位終端において、被支持部材640の延設支持部646を中心とした第2装飾回転部材660の回転軸が、回動部材620の長手方向と沿う姿勢(上下方向を向く姿勢)で配置される。
そのため、回動部材620の上昇変位終端において第2装飾回転部材660の回転変位が停止される際に第2装飾回転部材660の回転方向の慣性力として回動部材620に与えられる負荷を、回動部材620が長手方向を軸としてねじられる態様の負荷として生じさせることができ、回動部材620はその負荷を長手方向に分散させることで局所的には僅かな弾性変位で耐えることができる。
そのため、第2装飾回転部材660の回転軸が回動部材620の長手方向と正面視で直交する場合に比較して、回動部材620が折れるように破損する事態を回避し易くすることができる。加えて、回動部材620の過度な弾性変位は、前蓋部材612との当接により抑制され、回動部材620で受けきれない負荷に関しては前蓋部材612が弾性変形することにより耐えるよう構成できるので、回動部材620の破損を防止することができる。
張出装飾部652bの変位について説明する。張出装飾部652bは軸線O1を中心に回転変位する部材であって、その回転角度は上述の角度θに対応する。従って、演出待機状態から張出状態への変化のように、被支持部材640の従動側の配置変化が小さい場合であっても、角度θが変化していれば張出装飾部652bは回転する。
演出待機状態から張出状態までの角度θの変化は約135度であり、張出装飾部652bは約45度で回転している。ここで、演出待機状態から張出装飾部652bが45度も反時計回りに回転すると、組立状態(図28参照)において他の動作ユニット800(左右の固定装飾部材)と衝突するように感じるが、本実施形態では、張出装飾部652bの回転の基準となる被支持部材640自体が時計回りに回転する態様で姿勢変化しているので、他の動作ユニット800(左右の固定装飾部材)に衝突することを回避することができる。
換言すれば、張出装飾部652bが被支持部材640を基準として変位可能に構成されることで、張出装飾部652bの変位に要するスペースを削減することができる。
例えば、張出装飾部652bが第1動作ユニット600の張出状態において被支持部材640を基準として固定配置される部分である場合、被支持部材640が張出状態の配置から演出待機状態の配置に変化すると、張出装飾部652bは被支持部材640の左上側に張り出し、他の動作ユニット800に衝突したり、第3図柄表示装置81の表示領域の正面側に張り出し表示を部分的に隠したり、という演出に対する悪影響を及ぼす可能性がある。
これに対し、本実施形態では、被支持部材640の従動側を基準として、被支持部材640の主動側の回転方向とは逆方向に、張出装飾部652bが回転変位するので、被支持部材640が第3図柄表示装置81側に張り出す際には連動して張り出し、被支持部材640が第3図柄表示装置81から退避する側に変位する際には連動して退避する。そのため、退避した状態における張出装飾部652bの配置を、第3図柄表示装置81から離れる側に形成することができる。
遊技者目線における、被支持部材640を基準とした張出装飾部652bの回転角度は、角度θの変化と、被支持部材640の姿勢変化と、の差によって求めることができる。即ち、角度θの変化幅である約135度と、被支持部材640の姿勢変化角度である約90度の差としての45度となる。
ここで、本実施形態では、角度θの変化と、被支持部材640の姿勢変化と、の差が、回動部材620の配置に関わらず等しいよう構成される。即ち、図47に示すように、角度θを、水平線の下側の角度a1,a2と、水平線の上側の角度b1,b2と、で分けた場合に、角度θと、被支持部材640の姿勢変化と、の差は、((a1+b1)-(a2+b2))-(b1-b2)=(a1-a2)と求められ、これは回動部材620の回動角度に等しい。
従って、被支持部材640の姿勢を基準とした張出装飾部652bの回転角度が、回動部材620の回動角度と等しくなるので、回動部材620を角速度一定で回動変位させると、被支持部材640の変位速度は一定ではないにも関わらず、被支持部材640の姿勢を基準とした張出装飾部652bの回転の角速度が一定となる。
そのため、遊技者に対して、被支持部材640に配設される張出装飾部652bが回動部材620を駆動させる駆動モータ631とは別の駆動手段で、一定角速度で駆動されているかのように視認させることができる。
このように構成することで、張出装飾部652bの被支持部材640を基準とした変位が、遊技者目線で、スライド移動である区間があったり、回転移動がある区間があったりするように見せることができ、張出装飾部652bの変位態様を、あたかも機械では無いような柔らかい変位態様として視認させることができる。
この作用は、被支持部材640の変位として、スライド方向の変位量に対して姿勢変化が大きい区間と、スライド方向の変位量に対して姿勢変化が小さい区間とを切り分けて設計することで実現することができる。即ち、張出装飾部652bは、回動部材620の回動角度に応じて被支持部材640に対して回転するところ、遊技者目線では、張出装飾部652bの変位が被支持部材640の変位として支配的となる側に影響される。
従って、スライド方向の変位量に対して姿勢変化が大きい区間では張出装飾部652bが回転変位しているように視認させることができ、スライド方向の変位量に対して姿勢変化が小さい区間では張出装飾部652bがスライド変位しているように視認させることができる。
上述したように、回動部材620は、演出待機状態、中間演出状態および張出状態を構成するように回動変位可能とされ、一方の変位終端から他方の変位終端へ変位する場合について説明したが、変位範囲の途中位置で逆方向へ変位するように駆動方向を切り替えても良い。
例えば、演出待機状態から中間演出状態まで回動部材620を回動変位させた後で、駆動モータ631の駆動方向を反転させることで、演出待機状態に戻すように制御しても良い。この場合、回動部材620を下降途中で停止させる必要があるので、停止位置を正確にするためには、回動部材620の回動速度を低めに設定させる必要が生じる可能性がある。
一方で、本実施形態では、演出待機状態に比較して、中間演出状態付近において角度θ(図49参照)の数値が増大傾向に変化する。角度θの大小は、上述のように、第2装飾回転部材660の回転の大小に対応する。
従って、第2装飾回転部材660の回転量が増大する中間演出状態付近において、駆動力の内で第2装飾回転部材660に振り分けられる分が多くなることから、相対的に、回動部材620の回動変位に振り分けられる分を少なくすることができ、自動的に回動部材620の回動変位を抑制することができる。
換言すれば、第2装飾回転部材660の回転量が増大することに伴って、回動部材620の回動速度を低下させることができるので、予め回動部材620の回動速度を低めに設定しておかなくとも、中間演出状態付近において回動部材620を停止させ易くすることができる。
次いで、第2動作ユニット700について説明する。第2動作ユニット700は、背面ケース510の開口511aよりも下側において底壁部511に締結固定される動作ユニットであって、第3図柄表示装置81(図28参照)を見る遊技者の視界を確保するために開口511aよりも下側に退避する演出待機状態(図28参照)と、第3図柄表示装置81の正面側に配置され注目を集める張出状態(図30参照)と、その間の状態としての中間演出状態(図35参照)とで、主に状態が切り替えられる。
図50は、背面ケース510及び第2動作ユニット700の分解正面斜視図であり、図51は、背面ケース510及び第2動作ユニット700の分解背面斜視図である。図50及び図51では、主に昇降反転演出装置770の周辺の部材が分解された状態で図示され、昇降反転演出装置770については非分解の状態で図示される。
図50及び図51に示すように、第2動作ユニット700は、背面ケース510の右下隅部に締結固定される右側前板部材710と、その右側前板部材710と背面ケース510との間に配置され背面ケース510の円筒状突設部511bを中心に回動可能とされる回動アーム部材720と、その回動アーム部材720に駆動力を伝達可能に構成される駆動伝達装置730と、回動アーム部材720の先端部が案内可能に連結され昇降変位可能に構成される昇降板部材740と、その昇降板部材740の背面側において背面ケース510の左下隅部に締結固定される左側後板部材750と、左右一組で構成され右側前板部材710及び左側後板部材750の前側に締結固定される一組の前側支持部材760と、金属棒702の前側において背面ケース510に締結固定される目隠し装飾部材768と、昇降板部材740及び前側支持部材760に昇降変位と前後方向変位とを組み合わせた態様で変位可能に構成される昇降反転演出装置770と、を備える。
右側前板部材710は、駆動伝達装置730の各構成を支持する伝達支持部711と、左縁部において背面側から凹設され背面ケース510との間に隙間を形成する隙間形成部712と、駆動伝達装置730の被検出部735の配置を検出するために配設される複数(本実施形態では3個)の検出センサ713と、左側部前側において上側へ向かう程に正面側に向かう態様で傾斜形成され昇降反転演出装置770の回転筒部774eを案内可能に形成される前上傾斜部714と、背面ケース510の背面側から挿通される締結ネジが螺入される雌ネジ部が形成される複数の被締結部718と、を備える。
検出センサ713は、フォトカプラ式の複数のセンサが、被検出部735が進入可能となる位置に検出溝を配置するようにして、間隔を空けて配設されている。各検出センサ713は、それぞれ、第2動作ユニット700の演出待機状態における被検出部735の位置、第2動作ユニット700の中間演出状態における被検出部735の位置、第2動作ユニット700の張出状態における被検出部735の位置、に合致するように配設される。
即ち、検出センサ713は、第2動作ユニット700が演出待機状態か、中間演出状態か、張出状態か、により出力を切替可能に構成されており、その出力結果から音声ランプ制御装置113(図4参照)が第2動作ユニット700の状態を把握可能に構成される。
回動アーム部材720は、背面ケース510の底壁部511から正面側に円筒形状に突設される円筒状突設部511bに軸支され、正面視くの字形状の長尺板状に形成される本体部721と、その本体部721の屈曲部において後方へ向けて円筒状に突設され内周側形状が円筒状突設部511bを挿通可能な大きさで形成される支持筒部722と、本体部721の右側端部において長尺方向に沿って長孔状に穿設される長孔部723と、本体部721の左側端部において前方(円筒状突設部711aの突設方向と平行な方向)へ向けて円筒状に突設され内周側に雌ネジが形成される円筒状被締結部724と、その円筒状被締結部724と支持筒部722との中間位置において後方へ円筒状に突設され内周側に雌ネジが形成される円筒状被締結部725と、支持筒部722の周囲に巻き付けられ背面ケース510との間で本体部721に上昇方向(左側部を持ち上げる方向)の付勢力を与えるトーションばねSP2と、を備える。
本体部721の左側部は、支持筒部722の基端側部に比較して正面側に配置がずれるように段が形成されており、その段により背面側に形成される隙間部に支持板701が配設される。
支持板701は、背面ケース510の底壁部511に締結固定される板状部であり、円筒状被締結部725を案内可能に穿設される円弧状の長孔部701aを備える。長孔部701aにリング状のカラーC3を挟んで挿通される締結ネジが円筒状被締結部725に螺入されることで、円筒状被締結部725を介して回動アーム部材720は支持板701に脱落不能に支持される。
支持板701は背面ケース510の底壁部511に締結固定されるので、回動アーム部材720の左側部は背面ケース510から正面側へ離間変位することが制限される。これにより、回動アーム部材720の左側にかけられる荷重により回動アーム部材720が正面側に傾倒する変位が生じることを防止することができるので、回動アーム部材720の変位を安定的に支持することができる。
本体部721の右側部は、背面ケース510と隙間形成部712との間の隙間に配置される。即ち、本体部721の右側部の前後方向の変位は、背面ケース510と隙間形成部712とにより制限される。
長孔部723は、幅中心を通り長尺方向に延びる直線が支持筒部722の中心を通る形状で形成される。従って、長孔部723に与えられる負荷が長孔部723の長尺方向を向く場合には、その負荷の回動アーム部材720の回動方向成分は0となる。
駆動伝達装置730は、回動アーム部材720の長孔部723を介して駆動力を伝達する装置であって、右側前板部材710に前側から締結固定される駆動モータ731と、その駆動モータ731の駆動軸に固定される駆動ギア732と、その駆動ギア732に歯合される伝達ギア733と、その伝達ギア733に歯合されるギアカム部材734と、を備える。
伝達ギア733及びギアカム部材734は、対応する位置において右側前板部材710の背面側に円筒状に突設される複数の円筒状突設部711aにそれぞれ軸支される。円筒状突設部711aの内周側には雌ネジが形成されており、伝達ギア733やギアカム部材734の軸孔に挿通される締結ネジが螺入可能となっている。これらの締結ネジが螺入固定されることで、伝達ギア733やギアカム部材734が円筒状突設部711aに脱落不能に軸支される。
伝達支持部711は、上述の円筒状突設部711aと、ギアカム部材734を軸支する円筒状突設部711aを中心とした円弧状に穿設される円弧状孔711bと、を備える。
ギアカム部材734は、回転軸部を中心とした円弧形状で正面側へ突設され円弧状孔711bに挿通可能に形成される被検出部735と、ギア部よりも長径となるように延設される延設部736と、その延設部736の先端部から背面側へ円筒状に突設される円筒状突設部736aと、を備える。
被検出部735は、右側前板部材710の検出センサ713の検出溝に配置可能に形成されており、検出センサ713からの出力によってギアカム部材734の姿勢を音声ランプ制御装置113(図4参照)が検出可能にするための部分として構成される。
円筒状突設部736aは、回動アーム部材720の長孔部723に挿通可能に形成されており、円筒状突設部736aの変位が長孔部723を介して回動アーム部材720に伝達される。
円筒状突設部736aの内周側には雌ネジが形成されており、リング状のカラーC3の中心孔に挿通される締結ネジが螺入可能となっている。この締結ネジが螺入固定されることで、回動アーム部材720が円筒状突設部736aに脱落不能に連結される。
昇降板部材740は、回動アーム部材720の回動に伴い昇降変位する部材であって、左端側に配置され上下方向に案内される被案内部材741と、その被案内部材741の下端側に締結固定される左右に長尺の横長部材742と、を備える。
被案内部材741は、背面ケース510に長尺方向を上下方向に揃えた姿勢で固定される金属棒702が挿通可能に形成され、金属棒702に沿った上下方向変位が可能とされる。被案内部材741の左右両側から背面側へ突設される突条部の先端が背面ケース510の底壁部511と当接することで、被案内部材741の軸回転が規制されることになり、被案内部材741の姿勢の安定化が図られている。
被案内部材741の姿勢が安定化されることに伴い、その被案内部材741に締結固定されている横長部材742の姿勢の安定化が図られている。
横長部材742は、回動アーム部材720の円筒状被締結部724が挿通可能な上下幅で左右に長尺の長円形状で穿設される長孔部743と、その長孔部743の上側において正面側に円筒状に突設される円筒状部744と、その円筒状部744を基準として左右に等距離だけ離れた位置における底部の下方に配設される一対の案内部745と、を備える。
長孔部743にリング状のカラーC3を挟んで挿通される締結ネジが円筒状被締結部724に螺入されることで、円筒状被締結部724を介して昇降板部材740は回動アーム部材720に脱落不能に支持される。
円筒状部744は、昇降反転演出装置770の挿通筒状部773が挿通され、昇降反転演出装置770を前後変位可能な状態で支持する部分である。即ち、昇降反転演出装置770は、昇降板部材740に固定されるのではなく、昇降板部材740を基準とした前後変位が可能な態様で昇降板部材740の正面側に配設される。
円筒状部744及び挿通筒状部773の周囲を巻くようにコイルスプリングCS2が配設される。コイルスプリングCS2の付勢力は、昇降板部材740と昇降反転演出装置770とを引き離す方向に作用する。
案内部745は、左右一対で構成されており、前後に長尺の板部745aと、その板部745aから左右外側へ突設される前後一対の軸部に回転可能に軸支される回転筒部745bと、を備える。
回転筒部745bは、上述した昇降反転演出装置770が前後変位する際に回転し、前後方向変位を案内する部分として機能するが、詳細は後述する。
左側後板部材750は、右側前板部材710の前上傾斜部714と同様に、右側部前側において上側へ向かう程に正面側に向かう態様で傾斜形成され昇降反転演出装置770の回転筒部774eを案内可能に形成される前上傾斜部751と、背面ケース510の背面側から挿通される締結ネジが螺入される雌ネジ部が形成される複数の被締結部752と、を備える。
目隠し装飾部材768は、光透過性の樹脂材料から立体形状に形成される立体装飾部768aを備え、その立体装飾部768aの背面側にはLEDが正面側に固定される基板が配置されており、LEDから照射される光で立体装飾部768aを光らせることができるよう構成される。
前側支持部材760は、それぞれ、締結ネジが挿通される挿通孔を有して構成される固定用板部761と、その固定用板部761の左右内側に隣設配置され板背面が上側へ向かう程に正面側に向かう態様で傾斜形成される受傾斜部762と、を備える。
固定用板部761は、挿通孔に正面側から挿通される締結ネジが、対応する雌ネジ部に螺入されることで右側前板部材710又は左側後板部材750の正面側に締結固定される板部である。
この固定位置において、受傾斜部762は、前上傾斜部714,751の前方に配置される。即ち、受傾斜部762及び前上傾斜部714,751により案内経路が形成され、この案内経路に昇降反転演出装置770の回転筒部774eが案内されることで、昇降反転演出装置770は前後方向に変位しながら昇降変位するよう構成されている。以下、この昇降変位について説明する。
図52(a)は、図28のLIIa-LIIa線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図であり、図52(b)は、図28のLIIb-LIIb線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図である。図52(a)及び図52(b)では、第2動作ユニット700の演出待機状態が図示される。
図53(a)は、図33のLIIIa-LIIIa線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図であり、図53(b)は、図33のLIIIb-LIIIb線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図である。図53(a)及び図53(b)では、第2動作ユニット700の中間演出状態が図示される。
図54(a)は、図30のLIVa-LIVa線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図であり、図54(b)は、図30のLIVb-LIVb線における第2動作ユニット700及びセンターフレーム86の断面図である。図54(a)及び図54(b)では、第2動作ユニット700の張出状態が図示される。
図52から図54に示す第2動作ユニット700の昇降反転演出装置770の昇降変位は、駆動伝達装置730の駆動力が回動アーム部材720に伝達されることで生じる。昇降反転演出装置770の昇降変位の際の駆動力伝達について説明する。なお、この説明では、図28、図30及び図33を適宜参照する。
演出待機状態(図28参照)からの駆動力伝達開始時において、ギアカム部材734の円筒状突設部736a(図51参照)の変位方向は、回動アーム部材720の長孔部723の長尺方向と平行になるように設計されているので、ギアカム部材734の回転開始時に生じる変位抵抗を抑制することができる。また、同様のことが、張出状態においても成立する。
一方、中間演出状態(図30参照)では、円筒状突設部736aの変位方向が長孔部723の長尺方向と直交することから、ギアカム部材734が回動アーム部材720から回転方向に受ける変位抵抗が極大化することで、ギアカム部材734の回転変位を停止させ易くすることができる。
図52から図54に示すように、第2動作ユニット700の昇降反転演出装置770は、センターフレーム86の下側においては背面側に配置され、センターフレーム86の内側へ向けて上昇変位することに伴って、前後方向においては正面側に変位するよう構成される。
この変位の変位抵抗は、昇降反転演出装置770の回転筒部774eが受傾斜部762及び前上傾斜部714,751に案内される構成と、昇降反転演出装置770の第1横板774b及び第2横板774cが昇降板部材740の回転筒部745bに案内される構成と、により、低減される。
即ち、一対の回転筒部774eは、左右対称な位置に配置される受傾斜部762及び前上傾斜部714,751(前上傾斜部751は、図52には図示されない左側に配置、図56参照)の傾斜角度と平行に並ぶよう設計されており、回転筒部774eが筒状部774d中心に転動することで、受傾斜部762及び前上傾斜部714,751に沿った変位を行う本体部材771の変位抵抗を低減することができる。
更に、前後に整列される回転筒部745bの配置として、前側の回転筒部745bを若干上側に配置する設計とすることで、本体部材771の傾倒変位の抑制を図ることができ、これにより回転筒部774eが受傾斜部762及び前上傾斜部714,751に過大な負荷を与えることを回避している。
即ち、本実施形態では、演出装置780の重心位置(回転軸位置)が本体部材771の前後中心よりも若干前側に位置するような設計とされており、本体部材771は常時、重力により前傾方向に付勢されている。この付勢力の影響から、第1横板774b及び第2横板774cには、前側が下がり、後側が上がるような変位が生じやすい。
これに対し、本実施形態では、第1横板774bの前側が下がる時に近接配置される前側の回転筒部745bが若干上方に配置されており、第2横板774cの後側が上がる時に近接配置される後側の回転筒部745bが若干下方に配置されている。従って、本体部材771の前傾変位を効果的に抑制することができる。
更に、この構成によれば、前側の回転筒部745bは、第2横板774cとの間に隙間が生じていることから第1横板774bとの間での転動を安定的に生じさせ、後側の回転筒部745bは、第1横板774bとの間に隙間が生じていることから第2横板774cとの間での転動を安定的に生じさせることができる。これにより、回転筒部745bの転動を正常に生じさせることができ、本体部材771が前後方向に変位する際の変位抵抗を低減することができる。
昇降反転演出装置770の正面側への変位は、上述の形状的な案内のほかに、コイルスプリングCS2の付勢力により生じる。そのため、昇降反転演出装置770が正面側へ変位する上昇変位時の方が、下降変位時に比較して、前後方向変位の変位抵抗を低減することができる。
昇降反転演出装置770の上下変位は、駆動モータ731の駆動力により行われるところ、その駆動力は、鉛直方向の変位と、前後方向の変位とに振り分けられる。鉛直方向の変位において、重力に対抗する必要性から、上昇方向の変位の負担が比較的大きくなるが、この場合における前後方向の変位をコイルスプリングCS2の付勢力により補助することができる。従って、昇降反転演出装置770を上昇変位させる際に要する駆動力が過大なることを回避することができる。
コイルスプリングCS2は、第2動作ユニット700の中間演出状態(図53参照)において自然長となるように長さが設定される。即ち、昇降反転演出装置770が中間演出状態の配置よりも下側に配置されている場合にはコイルスプリングCS2の付勢力が駆動モータ731の駆動力による昇降反転演出装置770の前後方向の変位を補助する方向に作用する一方、昇降反転演出装置770が中間演出状態の配置よりも上側に配置されている場合には、コイルスプリングCS2の付勢力は昇降反転演出装置770の前後変位に作用しない。
これにより、昇降反転演出装置770の配置を中間演出状態で維持し易くすることができる。例えば、第2動作ユニット700の演出待機状態から駆動モータ731を駆動制御し、第2動作ユニット700を中間演出状態で停止させるよう駆動モータ731を停止制御した場合に、停止タイミングが理想よりも若干早くなったとしても、コイルスプリングCS2の付勢力で第2動作ユニット700を中間演出状態側へ寄せるように変位させることができる。
また、例えば、同様に停止制御した場合に、停止タイミングが理想よりも若干遅くなったとしても、第2動作ユニット700が自重で下降し、且つ、その自重による下降がコイルスプリングCS2の付勢力で抑制されることにより、第2動作ユニット700を中間演出状態側へ寄せて配置を維持することができる。
また、例えば、第2動作ユニット700の張出状態から駆動モータ731を駆動制御し、第2動作ユニット700を中間演出状態で停止させるよう駆動モータ731を停止制御する場合に、昇降反転演出装置770が中間演出状態を下方へ過ぎるとコイルスプリングCS2の付勢力が変位抵抗として作用することから、中間演出状態よりも大きく下方変位することを防止し易くすることができる。そして、駆動モータ731を停止制御した後も、コイルスプリングCS2の付勢力が負荷されることで第2動作ユニット700を中間演出状態側へ寄せることができる。
ここで、昇降反転演出装置770について、昇降変位に伴い前後方向に変位させることによる作用について説明する。前提として、センターフレーム86により縁取られる枠の内外に変位して遊技者の注目を集める状態と遊技者の視界から退避する状態とで切り替えられる可動役物が知られている。
このような可動役物では、センターフレーム86の内側に配置されている時の見映えについて重視した設計のものがほとんどであり、センターフレーム86の外側に退避する状態においては、遊技者から注目はされないという仮定のもとで、見映えについて考慮しないことが多かった。
しかし、最近では、第3図柄表示装置81からセンターフレーム86までの前後距離が長く構成されており、センターフレーム86の内側を通り第3図柄表示装置81の表示領域を見るような視界の端において、センターフレーム86の後側外方位置(遊技領域の背後位置)にまで視線が届くので、センターフレーム86の後側外方位置に退避した状態の可動役物の見栄えが悪いと、遊技者の興趣を低下させる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、覆設部材787の正面側(図52における第1主装飾面787a1)だけでは無く、背面側(図52における第2主装飾面787b1)および上下面(図52における第1副装飾面787a2及び第2副装飾面787b2)に装飾面を形成した上で、昇降反転演出装置770の変位方向を、遊技者側(正面側)を基端として背面側へ向かう程に広がる(後方へ向かう程に下降傾斜する)線、即ち、遊技者の視界の端における視線の方向に沿った変位方向とすることで、各装飾面が遊技者の視界に容易に収まるように構成している。
これにより、覆設部材787の各装飾面を遊技者の視界に無理なく入れることができる。覆設部材787の各装飾面の詳細については後述するが、張出状態(図54参照)において遊技者が視認可能となる前側面(第1主装飾面787a1又は第2主装飾面787b1、図54では第1主装飾面787a1)と、演出待機状態(図52参照)において遊技者が視認可能となる上側面(第1副装飾面787a2又は第2副装飾面787b2、図52では第1副装飾面787a2)と、に形成される装飾(図形、模様、文字または絵柄など)が、互いに関連する装飾として形成される。
換言すれば、第1主装飾面787a1と第1副装飾面787a2とが互いに関連する第1装飾として形成され、第2主装飾面787b1と第2副装飾面787b2とが互いに関連する第2装飾として形成され、且つ、第1装飾と第2装飾とは互いに異なる装飾として形成される。
上側面に形成される装飾は、第2動作ユニット700の演出待機状態においてセンターフレーム86と、その奥側に配置される第3図柄表示装置81(図26参照)との前後隙間に配置されているので、センターフレーム86(図2参照)の外側に形成される遊技領域を流下する球に注目する状態と、第3図柄表示装置81で展開される表示演出に注目する状態と、を切り替えるように遊技者が目線を動かす際に視界に入り易い。
そのため、張出状態において覆設部材787を通して遊技者が視認可能となった装飾の内容(報知内容、例えば、「チャンス」や「大当たり」等)を、演出待機状態においても覆設部材787の上側面を通して遊技者が視認可能とすることができる。
これにより、第3図柄表示装置81を視認し易いように演出待機状態の配置に変位し、目立たないよう配置された覆設部材787に、遊技者の注目を継続して集めさせることができる。
また、後述するように、覆設部材787は遊技者側に向ける装飾面を切り替えるように回転変位可能に構成されているので、張出状態において遊技者が視認可能となる装飾面の内容が異なる場合を生じさせることができる。
例えば、張出状態における覆設部材787の外観を遊技者が確認する前に昇降反転演出装置770が演出待機状態に配置された場合(見逃した場合や、動作速度が過度に速い場合)、前側面からしか装飾面の内容を把握できない構成だと、演出待機状態ではその前側面の大部分が遊技盤13に隠されてしまうので、遊技者は第3図柄表示装置81の表示面で展開される液晶演出に注目せざるを得ず、覆設部材787に対する注目力は低下する。
一方、本実施形態のように、上側面からも装飾面の内容を把握できる構成を採用する場合、遊技者は、演出待機状態における昇降反転演出装置770を視認することで、張出状態において覆設部材787を通して遊技者が視認可能であった装飾の内容(報知内容、例えば、「チャンス」や「大当たり」等)について把握することができる。
これにより、張出状態における覆設部材787の外観を見逃した遊技者に対して、覆設部材787の状態により報知される内容を、演出待機状態でも覆設部材787の視認可能な装飾面で継続して報知することができる。これにより、演出待機状態か、張出状態か、等の各状態に関わらず、覆設部材787の注目力を高く維持することができる。
本実施形態では、第2動作ユニット700の昇降反転演出装置770の前後方向の変位は、遊技領域の後端面の背面側に配置されている状態から、遊技領域の後端面よりも前方に進入するような変位として構成されることについて説明する。
図52に示すように、第2動作ユニット700の演出待機状態において、覆設部材787の正面と、センターフレーム86の板背面とは対向配置されており、センターフレーム86は、覆設部材787側に突設形成される流路形成部86aを備える。
流路形成部86aは、センターフレーム86の左右入口からセンターフレーム86の内側に形成されるワープ流路(転動経路)に飛び込んだ球がセンターフレーム86の下縁部に到達した後、そのセンターフレーム86の下側転動面を流下した球を一旦後方に振り、再び前方に流して、遊技領域に配設される第1入賞口64へ向けて案内するための案内流路の後側部を形成する部分である(図9参照)。即ち、流路形成部86aにより、遊技領域の後端面BE1が、ベース板60(図2参照)の板前面よりも後方側に配置される。
流路形成部86aを流下した球は高確率で第1入賞口64に入球することから、流路形成部86aに対する注目力は高く、特に球がセンターフレーム86の内側に飛び込んだ際には、流路形成部86aに遊技者の視線が集まり易い。演出待機状態において(図52参照)、流路形成部86aの真後ろに演出装置780が配設されることから、演出待機状態における演出装置780が遊技者の視界に入り込む状態を構成し易くすることができる。
第2動作ユニット700の演出待機状態では、覆設部材787は後端面BE1の背面側に配置され(図52(a)参照)、第2動作ユニット700の中間演出状態では、覆設部材787の前面部が後端面BE1上に配置され(図53(a)参照)、第2動作ユニット700の張出状態では、覆設部材787の前面部が後端面BE1の正面側に配置される。
即ち、覆設部材787は、センターフレーム86の内側に向けて上昇変位すると同時に、遊技領域の前後位置と同じ前後位置に進入するように、正面側へ向けて変位する。従って、遊技者に対して、覆設部材787がセンターフレーム86に乗り上げて正面側へ移動してきている(遊技者側に迫ってきている)ように見せることができる。
なお、第2動作ユニット700は昇降変位に伴って演出装置780が前後方向の変位するところ、その前端面の前後位置は、張出状態において、第1動作ユニット600の張出状態における第2装飾回転部材660の第2演出面661bの前後位置と合う(一致する)ように構成される。
これにより、張出状態において正面視で近接配置される第1動作ユニット600の第2演出面661b(図29参照)と、第2動作ユニット700の演出装置780(図30)と、の前後位置が合うことになり、これらを一体的に視認させ易くすることができる。
一方で、演出装置780の前後方向の配置は、中間演出状態や演出待機状態では張出状態における配置よりも後方に下がるので、張出状態に比較して、第1動作ユニット600の箱状部材661と演出装置780とを分けて(独立で)視認させ易くすることができる。
昇降反転演出装置770は、昇降板部材740に連結支持される本体部材771と、その本体部材771を基準として変位可能に構成される演出装置780と、を備える。次いで、図55及び図56を参照して昇降反転演出装置770の詳細について説明する。
図55は、昇降反転演出装置770の分解正面斜視図であり、図56は、昇降反転演出装置770の分解背面斜視図である。なお、図55及び図56の説明では、図50及び図51を適宜参照する。
本体部材771は、左右方向に長尺に形成される下側長尺部772と、その下側長尺部772の左右中央位置から背面側へ円筒状で突設される挿通筒状部773と、下側長尺部772の左右両端部から背面側に延設される一対の案内延設部774と、上下に延びる連結部により下側長尺部772の左右中央位置と一体的に形成され左右方向に長尺に形成される上側長尺部775と、その上側長尺部775の左右両側部から背面側に配設され演出装置780の直動板部材784を左右方向に案内可能に構成される複数の案内部776と、上側長尺部775の左右中央に背面側から締結固定され駆動伝達装置を支持可能とされる伝達装置保持板777と、下側長尺部772及び上側長尺部775の正面側に締結固定される発光演出手段778と、を備える。
挿通筒状部773は、昇降板部材740の円筒状部744の内周側に挿通される部分であり、円筒状部744の内周に摺動可能な寸法関係で形成され、摺動により本体部材771は前後方向に変位する。即ち、挿通筒状部773が円筒状部744に挿通されることで、昇降板部材740を基準とする本体部材771の前後方向の傾倒変位を抑制することができる。
案内延設部774は、幅が上下方向を向く縦板774aと、その縦板774aの上端部に連結され幅方向が左右方向を向く第1横板774bと、その第1横板774bよりも下側において縦板774aに連結され幅方向が左右方向を向く(第1横板774bの幅と平行となる)第2横板774cと、縦板774aの左右外側面から左右外側へ向けて突設される上下一対の筒状部774dと、その筒状部774dに回転可能に軸支される回転筒部774eと、を備える。
第2横板774cは、第1横板774bの幅方向端部よりも左右内側に延びる態様で幅長さが長くされている。この幅方向の拡張部は、組立状態において昇降板部材740の下底部と上下方向に対向配置され、互いに当接することで、案内延設部774が前倒れする傾倒変位が抑制される。即ち、第2横板774cを昇降板部材740の下底部と上下方向に対向配置される程度に幅長さを確保することにより、昇降板部材740を基準として本体部材771が前倒れする傾倒変位を抑制することができる。
筒状部774dは、一対が鉛直方向に並ぶのではなく、上側の筒状部774dの方が、下側の筒状部774dに比較して前側にずれて配置される。このずれは、前上傾斜部714,751の傾斜と、一対の筒状部774dの中心を結ぶ直線の方向と、が平行になるように設定される(図52(a)参照)。即ち、前上傾斜部714,751の傾斜と平行に一対の筒状部774dが配置されることにより、上下一対の回転筒部774eを前上傾斜部714,751又は受傾斜部762に同時に当接させることができる。これにより、上下一対の回転筒部774eを安定して転動させることができ、局所的な負荷が生じることを回避し易くすることができる。
案内部776は、左右一対が上下に並ぶ態様で左右両側に配設され内周側に雌ネジが形成される複数の筒状部776aと、左右一対の筒状部776aを繋ぐように締結固定される複数の脱落防止板部776bと、を備える。
脱落防止板部776bは、複数の筒状部776aに対応する位置に穿設される挿通孔を備え、その挿通孔に背面側から挿通される締結ネジが筒状部776aに螺入されることで筒状部776aに締結固定される部分であり、直動板部材784の脱落を防止するための部分として機能するが、詳細は後述する。
伝達装置保持板777は、駆動モータ782を支持するためのモータ支持板部777aと、駆動モータ782の駆動軸を挿通可能な位置においてモータ支持板部777aに穿設される挿通孔777bと、その挿通孔777bの下側において正面側に円筒状に突設される円筒状突設部777cと、上下両端位置において締結ネジを挿通可能に穿設される一対の挿通孔777dと、背面側に締結固定される配線留め部材777eと、を備える。
円筒状突設部777cは、内周側に雌ネジが形成されており、伝達ギア781bに挿通された状態で締結ネジが螺入されることで、上下反転部材781を脱落不能に軸支する部分である。
挿通孔777dは、上側長尺部775の対応する部分に形成される雌ネジ部775aに螺入される締結ネジが挿通可能とされ、その締結ネジにより伝達装置保持板777が上側長尺部775に締結固定される。
配線留め部材777eは、駆動モータ782に接続される電気配線を伝達装置保持板777との間の隙間に保持し、留めるための部分であるが、伝達装置保持板777の外枠に沿った形状に形成することで、伝達装置保持板777の全体的な剛性の向上をも図ることができる。
発光演出手段778は、LED等の発光部材が正面側に配設される左右長尺板状の上下2枚の電飾基板778aと、その電飾基板778aの正面側に配設される光透過性の樹脂材料から形成される板部材であって光拡散加工が形成される光拡散部材778bと、を備える。
上側の電飾基板778aは、背面側に上下一対で配設される検出センサ778dを備える。検出センサ778dは、フォトカプラ形式の検出装置であって、検出溝に円弧状突設部781dが配置されることで演出装置780の上下反転部材781の姿勢を検出可能に構成されるが、詳細は後述する。
下側の光拡散部材778bは、背面側に複数の被締結部が形成され、その被締結部に、対応する位置において下側長尺部772に穿設される挿通孔に背面側から挿通される締結ネジが螺入されることで締結固定されることで、締結ネジが目立たないようにしている。
一方、上側の光拡散部材778bには、左右両側に締結ネジを挿通するための挿通孔778cが形成され、その挿通孔778cに正面側から挿通された締結ネジが上側長尺部775の雌ネジ部775bに螺入されることで、上側の光拡散部材778bが締結固定される。
この場合、締結ネジの頭部が正面側を向いており、対策なしでは目立ってしまう可能性があるが、本実施形態では、後述するように、常に覆設部材787が挿通孔778cの正面側を覆うような配置とされるので、挿通孔778cに固定される締結ネジの頭部を覆設部材787により隠すことができる。
そのため、締結ネジの頭部が正面側に向くような設計であっても、その締結ネジの頭部が目立つことで演出に悪影響を与える事態が生じることを回避することができる。換言すれば、覆設部材787が締結ネジを隠すように配置する設計とすることで、締結ネジの挿通方向の設計自由度を高めることができる。
演出装置780は、上側長尺部775の周囲に外形部が配置され変位可能に構成される装置であって、伝達装置保持板777の円筒状突設部777cに軸支される上下反転部材781と、その上下反転部材781の伝達ギア781bに駆動力を伝達する駆動ギア782aが駆動軸に固着される駆動モータ782と、上下反転部材781の長尺方向両端部のそれぞれに一側の端部が軸支される一対の中間腕部材783と、その中間腕部材783の他側の端部が軸支され案内部776に左右方向に変位を案内される一対の直動板部材784と、その直動板部材784と中間腕部材783との間に配設され左右方向に延びる回転軸で回転(反転)可能に構成される一対の軸回転部材785と、その軸回転部材785を直動板部材784と共同で軸支する一対の軸支部材786と、軸回転部材785の左右外側先端部に位相が固定された状態で脱落不能に嵌合固定される一対の端板部材785dと、その端板部材785dの前後に配置され、上側長尺部775の左右側部を覆う左右長さで形成される覆設部材787と、を備える。
上下反転部材781は、長尺板状に形成される本体板部781aと、その本体板部781aの中心部の背面側にギア状で突設される伝達ギア781bと、本体板部781aの長尺方向両端部から背面側へ円筒状に突設される一対の円筒状突設部781cと、伝達ギア781bの中心軸を中心とする円弧状に本体板部781aの正面側に突設される円弧状突設部781dと、を備える。
伝達ギア781bは、中心に前後方向に延びる円形孔を有し、この円形孔に伝達装置保持板777の円筒状突設部777cが挿通され、先端側から締結ネジが螺入されることで、伝達ギア781bを介して上下反転部材781が伝達装置保持板777に脱落不能に軸支される。
伝達ギア781bは、駆動ギア782aと歯合しており、駆動モータ782に通電され駆動ギア782aが回転すると、伝達ギア781bも連動して回転することで、上下反転部材781が回転する。即ち、上下反転部材781は駆動モータ782を通電することで回転駆動可能とされる。
円筒状突設部781cは、中間腕部材783を軸支する。即ち、中間腕部材783の一側支持孔783aが形成される端部は、上下反転部材781が回転変位することに伴い変位する円筒状突設部781cに追従して変位する。
円弧状突設部781dは、発光演出手段778の検出センサ778dの検出溝に配置可能に形成される。即ち、上下一対の検出センサ778dのどちらかに円弧状突設部781dが配置可能とされている。
そのため、検出センサ778dの出力を読み取ることで、上下反転部材781の姿勢を、円弧状突設部781dが検出センサ778dの検出溝に配置される2姿勢と、その間の姿勢(一対の検出センサ778dの検出溝の双方に円弧状突設部781dが配置されていない姿勢)と、で判定可能となっている。
中間腕部材783は、長尺棒状(幅狭板状)に形成されており、一側の端部で穿設され円筒状突設部781cに軸支される一側支持孔783aと、一側支持孔783aの反対側である他側の端部で内周側が貫通形成される円筒状の他側円筒状部783bと、その他側円筒状部783bを中心とする傘状のギア歯(傘歯車)として形成される傘歯部783cと、を備える。
円筒状突設部781cの内周側には雌ネジが形成されており、その雌ネジに一側支持孔783aに背面側から挿通される締結ネジが螺入される。これにより、中間腕部材783は、上下反転部材781に脱落不能に軸支される。
直動板部材784は、左右方向に長尺な方形板状に形成され、中間腕部材783の他側円筒状部783bに挿通される円筒状に突設される円筒状突設部784aと、その円筒状突設部784aの中心軸を中心とした円弧状で突設される円弧状板部784bと、円筒状突設部784aの上下両側において左右方向に平行に延びる長円状に穿設される一対の長孔部784cと、その長孔部784cの間の位置において上下一対で平行配置され背面側に突設される一対の支持板部784dと、その支持板部784dの中間部において互いに対向される側に突設され前後方向に延びる突条として形成される一対の突条部784eと、支持板部784dの端部に背面側に開口される筒状に配設され内周側に雌ネジが形成される一対の被締結部784fと、円筒状突設部784aと支持板部784dとの間で貫通形成される配置用孔784gと、軸支部材786との間でリング状金属部材785eを保持可能な半円形状面を有するリング保持半部784hと、軸支部材786との間で磁石Mgを保持可能となるように方形箱状に形成される磁石保持半部784iと、を備える。
円筒状突設部784aは、中間腕部材783の他側円筒状部783bの内周径よりも若干短い外周径で形成され、他側円筒状部783bの軸方向長さよりも若干長い突設長さとされ、内周側に雌ネジが形成されている。即ち、他側円筒状部783bに背面側から挿通される締結ネジが円筒状突設部784aの雌ネジに螺入されることで、中間腕部材783は、円筒状突設部784aに脱落不能に軸支される。
円弧状板部784bは、他側円筒状部783bの外周径よりも若干長い内周径の円弧形状で形成される。これにより、円弧状板部784bが組立状態で他側円筒状部783bと径方向で対向するように近接配置され、他側円筒状部783bの回転軸に対する傾斜変位を制限している。これにより、他側円筒状部783bを中心とした中間腕部材783の回動変位を安定させることができる。
長孔部784cは、本体部材771の筒状部776aが挿通される開口であり、筒状部776aに形成される雌ネジに、脱落防止板部776bの挿通孔に背面側から挿通される締結ネジが螺入されることで、直動板部材784が本体部材771に脱落不能に支持される。
その支持状態(組立状態)において、直動板部材784は長孔部784cの形成方向に沿ってスライド変位可能とされる。即ち、直動板部材784は左右方向にスライド変位可能に構成される。
支持板部784dは、軸回転部材785の金属棒785aの上下変位を抑制するように保持するための板状部であり、突条部784eは、金属棒785aの左右方向の配置を規定するための突条として機能するが、詳細は後述する。
配置用孔784gは、軸回転部材785の傘歯部材785cとの干渉を避けるための開口であるが詳細は後述する。
軸回転部材785は、左右一組で配設され直動板部材784に軸支される部材であって、金属材料から略円柱状に形成される金属棒785aと、その金属棒785aの長さ方向の中央位置において周方向に形成される凹設溝部785bと、金属棒785aの左右内側端部に配設され金属棒785aに固定される部材であって中間腕部材783の傘歯部783cと歯合する傘歯(傘歯車)が形成される傘歯部材785cと、金属棒785aの左右外側端部に配設され金属棒785aに固定される端板部材785dと、その端板部材785dの金属棒785aの周りに端板部材785dから嵩上げされる態様で配置されるリング状金属部材785eと、端板部材785dの左右内側部に突設される部分であって内部に形成される雌ネジ部に金属製ネジが螺入固定される回転位置安定用部785fと、を備える。
金属棒785aは、直動板部材784の一対の支持板部784dの間に配置され、凹設溝部785bに突条部784eが進入配置される。ここで、凹設溝部785bは、突条部784eと摺動可能となる寸法関係で構成されると共に、突条部784eに対して左右方向の変位が規制される寸法関係で構成される。
即ち、凹設溝部785bの溝幅は突条部784eの左右幅よりも若干長く設定され、凹設溝部785bの溝深部の直径は突条部784e間の隙間長さよりも短く設定され、凹設溝部785bが形成されていない部分の直径は突条部784e間の隙間長さよりも長く設定される。
これにより、金属棒785aを、直動板部材784の背面側において、軸回転可能かつ左右方向への変位が抑制される態様で支持することができる。
傘歯部材785cは、直動板部材784の配置用孔784gに進入するように配置される。傘歯部材785cが配置用孔784gに部分的に進入した状態において、直動板部材784の反対側(背面側)から中間腕部材783が傘歯部783cを傘歯部材785cと歯合させるように組み付けられる。
このように組み付けられた状態において、傘歯部材785cは、配置用孔784gに進入配置されているものの、金属棒785aが直動板部材784に支持されていることから正面側へは脱落不能とされ、背面側への変位は中間腕部材783により規制される。従って、傘歯部材785cは、直動板部材784及び中間腕部材783に脱落不能に支持される。
端板部材785dの筒状部785d1は、金属棒785aの先端部としての非円形状(例えば、D字断面形状)に対応する内周側形状で形成され、その内周側形状と金属棒785aの先端部とが締りばめの寸法関係で形成されることで、嵌合固定されている。
なお、端板部材785dを金属棒785aに固定する方法は、これに限られるものではない。例えば、接着剤などを利用して固着させる方法でも良いし、金属棒785aの先端部に雌ネジを形成し、その雌ネジに端板部材785dに挿通される締結ネジを螺入することで、金属棒785aに端板部材785dを締結固定する方法でも良いし、その他の方法でも良い。
リング状金属部材785eは、直動板部材784のリング保持半部784hに内嵌されるように保持される。リング状金属部材785eが保持され、リング状金属部材785eの内周側に金属棒785aを支持する端板部材785dの筒状部785d1が摺接するよう構成することで、端板部材785dの回転中心を傘歯部材785cの回転中心を通る軸線と一致し易くすることができ、金属棒785aの軸径方向に生じる負荷を低減することができる。
回転位置安定用部785fは、配設される金属ネジが、磁石Mgに吸着する部分としての機能を奏する。
軸支部材786は、方形板状に形成される部材であって、被締結部784fに螺入される締結ネジを挿通可能に穿設される挿通孔786aと、直動板部材784のリング保持半部784hとの間でリング状金属部材785eを保持可能な半円形状面を有するリング保持半部786bと、直動板部材784の磁石保持半部784iとの間で磁石Mgを保持可能な方形箱状に形成される磁石保持半部786cと、を備える。
挿通孔786aに背面側から挿通される締結ネジが被締結部784fに螺入され直動板部材784及び軸支部材786が組み立てられると、軸支部材786の板部に金属棒785aの背面側への脱落が規制され、リング状金属部材785eはリング保持半部784h,786bに保持され、磁石Mgは磁石保持半部784i,786cに保持される。
覆設部材787は、前後一組で左右内側が開口される箱状に形成される左右一対の部材であって、軸回転部材785の端板部材785dに締結固定され、逆側の面に異なる意味で読み取れる図形、模様、文字または絵柄などからなる装飾が形成される。
即ち、覆設部材787は、張出状態(図54参照)において遊技者に視認させる装飾面として形成される第1主装飾面787a1と、その裏面に形成される第2主装飾面787b1と、第1主装飾面787a1が正面側に配置された状態で演出待機状態(図52参照)となった場合に遊技者が視認可能な側に形成される第1副装飾面787a2と、その裏面に形成される第2副装飾面787b2と、を備える。なお、第2副装飾面787b2は、第2主装飾面787b1が正面側に配置された状態で演出待機状態(図52参照)となった場合に遊技者が視認可能な側に形成される。
覆設部材787は、端板部材785dに締結固定される前後2枚の部材から形成され組立状態(図26参照)において左右内側が開放された略箱状に形成される左右一対の部材であって、左右の各部材に向けて延設される複数の延設部787cと、その延設部787cの間の部分において左右外側へ退避するように凹設される凹設部787dと、を備える。
延設部787cは、覆設部材787の近接配置状態(図26参照)において、端部が互いに当接または近接配置されるよう形成される。これにより、左右一対の覆設部材787を一体的に視認させることができる。
凹設部787dは、覆設部材787の近接配置状態(図26参照)において、発光演出手段778の光拡散部材778bの中央に配置される円形状部や、上側長尺部775の左右中央上側の円弧板部等を視認可能に開放するための部分であり、これらの部分との干渉を少なくとも避ける形状で凹設形成される。
覆設部材787は、演出装置780の動作に伴い、第1主装飾面787a1を正面側に向けると共に第1副装飾面787a2を上側に向ける状態(図29、図52参照)と、第2主装飾面787b1を正面側に向けると共に第2副装飾面787b2を上側に向ける状態(図30参照)と、で状態を切り替え可能に形成される。まず、覆設部材787の状態を切り替える変位を構成する機構について説明する。
図57(a)及び図57(b)は、伝達装置保持板777、上下反転部材781、中間腕部材783、直動板部材784及び軸回転部材785の正面図である。図57(a)では、一対の円筒状突設部781cが同一の鉛直線上に配置される上下反転部材781の縦配置状態(正立の縦配置状態とも称す)が図示され、図57(b)では、図57(a)に示す状態から上下反転部材781が円筒状突設部777cを中心に正面視反時計回りに約24度回転した状態が図示される。なお、図57(a)及び図57(b)では、理解を容易とするために、左側の軸回転部材785の端板部材785d及び右側の軸回転部材785の図示が省略される。
正立の縦配置状態では、円弧状突設部781dは、上側の検出センサ778d(図56参照)の検出溝に進入した状態で配置される。また、正立の縦配置状態から上下反転部材781を180度回転させた倒立の縦配置状態では、円弧状突設部781dは、下側の検出センサ778dの検出溝に進入した状態で配置される。
即ち、検出センサ778d(図56参照)の出力は、上下反転部材781が正立の縦配置状態か倒立の縦配置状態かで切り替わるように構成されており、検出センサ778dの出力から音声ランプ制御装置113(図4参照)は演出装置780の状態を判定することができる。
図57(a)及び図57(b)に示すように、上下反転部材781が回転変位されると、中間腕部材783が姿勢変化しながら左右方向に変位する。この姿勢変化の角度が、軸回転部材785の回転角度に対応し(比例し)、他側円筒状部783bの左右方向変位量が、直動板部材784及び軸回転部材785の左右方向変位量に対応する。
ここで、回転変位と左右方向変位(直動変位)とが生じる順序について説明する。これらの変位は、同時に同程度で生じるものではなく、回転変位の程度の方が大きくなる配置や、直動変位の程度の方が大きくなる配置等がある。
まず、概要の説明をすると、上下反転部材781、中間腕部材783及び直動板部材784の構成は、周知のスライダクランク機構となっている。即ち、円筒状突設部777cを中心に上下反転部材781が回転すると、上下反転部材781の円筒状突設部781cに軸支されている中間腕部材783の他側円筒状部783bが、正面視で円筒状突設部777cの中心部を通る移動軸HL1に沿って平行移動するように、他側円筒状部783bに連結される直動板部材784の変位方向が規制されている。左右の一対の直動板部材784は、移動軸HL1に沿って左右逆方向に同時に変位する。
図57(b)に示すように、図57(a)に示す縦配置状態から約24度回転するまでに、他側円筒状部783bは左右方向に長さL1変位している。長さL1は、下側長尺部772と上側長尺部775との連結部分(図55参照)の幅長さの半分の長さ(左右中心と左右幅端部との間の長さ)として図示される。
また、図57(a)から図57(b)への状態変化により、中間腕部材783の他側円筒状部783bを中心とした姿勢変化は、正面視時計回りに5度となっており、傘歯部783cの隣り合う歯の配置間隔としての角度である15度の半分以下の角度に抑えられている。
傘歯部材785cが中間腕部材783の手前側に配置されていることから、傘歯部783cと傘歯部材785cとの負荷の伝達(歯合伝達)は、互いの前後方向の対向位置、即ち、正面視における移動軸HL1上で生じる。
図58(a)は、図57(a)のLVIIIa-LVIIIa線における伝達装置保持板777、上下反転部材781、中間腕部材783、直動板部材784及び軸回転部材785の断面図であり、図58(b)は、図57(b)のLVIIIb-LVIIIb線における伝達装置保持板777、上下反転部材781、中間腕部材783、直動板部材784及び軸回転部材785の断面図である。
図58(b)に示すように、中間腕部材783の傘歯部783cは、軸回転部材785の傘歯部材785cのギア歯を押圧するように変位する(図58(b)においては、上方へ変位する)。なお、図58(b)では、理解を容易とするために、傘歯部783cと傘歯部材785cのギア歯とが重なって配置されるよう図示されており、この重なり幅が傘歯部783cと傘歯部材785cのギア歯との弾性変形により吸収される。
傘歯部783cが傘歯部材785cと歯合し、駆動力が伝達されることにより、軸回転部材785が回転変位する。図57(a)に示す状態から上下反転部材781が正面視反時計回りに180度回転変位する間に、右側の軸回転部材785は後転方向に回転し、左側の軸回転部材785は前転方向に回転する。
なお、上下反転部材781が180度回転する間に、中間腕部材783の傘歯部783cは他側円筒状部783bを中心に90度回転し、それに伴い軸回転部材785の傘歯部材785cは180度回転する。即ち、傘歯部材785cが金属棒785aを中心として回転する角度は、傘歯部783cの他側円筒状部783bを中心とした回転角度の2倍となるように構成される。
ここで、図58(a)の状態から図58(b)の状態までの変位による押圧に伴い生じ得る傘歯部材785cの変位量は、ギア歯の周方向の厚みに満たず、傘歯部材785cのギア歯を確実に回転させる量には満たない。即ち、当接する代表歯が隣設する歯の配置まで回転するまでの変位量(傘歯部材785cのギア歯が12等分で配置されていることによれば、角度30度の回転に要する変位量)よりは小さい。
傘歯部783cのギア歯は傘歯部材785cのギア歯を押圧するように変位するが、本実施形態では中間腕部材783及び傘歯部材785cが樹脂材料から形成されていることから、押圧を伴う変位が中間腕部材783及び傘歯部材785cの弾性変形により吸収されることにより、軸回転部材785の傘歯部材785cの回転方向の姿勢は、図57(a)の状態から図57(b)の状態まで維持される。
中間腕部材783及び傘歯部材785cの弾性変形は、上下反転部材781を介して中間腕部材783に伝達される駆動力に対して、磁石Mgから軸回転部材785の回転位置安定用部785f(図54参照)に生じる吸着力が対抗することにより生じる。
即ち、右側の軸回転部材785が後転方向に回転変位するのを制限するように、磁石Mgの磁力が下側の回転位置安定用部785fの金属ネジを吸着するように作用することで、右側の軸回転部材785は磁石Mgから前転方向の付勢力を受ける。従って、磁石Mgの吸着力は、右側の軸回転部材785の回転変位の変位抵抗を上昇させる方向に作用する。
また、左側の軸回転部材785に対しては、回転位置安定用部785fの配置が右側と同様に端板部材785dの前側とされている一方で、磁石Mgの配置が右側と逆の上側とされている(図55参照)。そのため、磁石Mgの磁力が上側の回転位置安定用部785fの金属ネジを吸着するように作用することで、左側の軸回転部材785は磁石Mgから後転方向の付勢力を受ける。従って、磁石Mgの吸着力は、左側の軸回転部材785の回転変位の変位抵抗を上昇させる方向に作用する。
本実施形態では、磁石Mgの吸着力は、図57(a)に示す状態から他側円筒状部783bが左右方向に長さL1変位するまでの間に傘歯部材785cに負荷される駆動力を超える負荷を発生可能となるように設計される。
これにより、図58(b)に示す傘歯部783cの変位量を吸収するように、中間腕部材783及び傘歯部材785cの弾性変形が生じることになる。そして、図57(b)に示す状態を超えて変位が継続されると、磁石Mgの吸着力を超えて傘歯部材785cが回転し、磁石Mgと回転位置安定用部785fの金属ネジとの配置が離れることで磁力が極端に低下することになり、磁石Mgの吸着力から開放された中間腕部材783及び傘歯部材785cが弾性回復しつつ回転変位する。
そのため、回転開始時においては、弾性回復分が軸回転部材785の回転方向の勢いを増すことになるので、回転開始時における回転速度を瞬間的に向上させることができる。この回転速度の向上は、軸回転部材785だけでなく、軸回転部材785に締結固定される覆設部材787(図55参照)でも同様に生じる。
これにより、駆動モータ782の駆動速度の変更を行うことなく、覆設部材787の動作の緩急をつけることができるので、駆動モータ782の制御設計の負担を低減しながら、覆設部材787の演出効果を向上することができる。
このように、本実施形態によれば、磁石Mgの吸着力により、軸回転部材785の回転変位が生じるタイミングを、中間腕部材783の傘歯部783cが回転開始するタイミングよりも遅らせることができる。
磁石Mgの吸着力を受ける回転位置安定用部785fは、上下一対で構成されており、覆設部材787の第1主装飾面787a1が正面側を向いている時には一方の回転位置安定用部785fが磁石Mgに近接配置され吸着力を受け(図52(b)参照)、向きが反転し覆設部材787の第2主装飾面787b1が正面側を向いている時には他方の(図52(b)参照、上側の)回転位置安定用部785fが磁石Mgに近接配置され吸着力を受ける。
即ち、正面側を向いている面が第1主装飾面787a1か第2主装飾面787b1かに関わらず、少なくとも近接配置状態(図29及び図30参照)において、磁石Mgの磁力は軸回転部材785の回転変位を制限する目的で有効に作用する。従って、近接配置状態からの変位において、軸回転部材785の回転変位が磁力により遅れる作用を回転変位の方向によらず(両方向で)生じさせることができる。
即ち、図58(a)に示す状態から図58(b)に示す状態までの間は、左右方向の直動変位の程度の方が、回転変位の程度に比較して大きい。そして、上下反転部材781が図57(b)を超えて正面視反時計回りに回転が継続されると、左右方向の直動変位の程度が落ち着き、回転変位が生じる。
本実施形態によれば、上述のようにスライダクランク機構を採用していることから、同様の作用が生じる。即ち、縦配置状態付近においては、円筒状突設部781cの変位は、左右方向に大きく上下方向に小さいので、中間腕部材783の左右方向変位は大きく回転量は小さい。そのため、直動板部材784の左右方向変位は大きく、軸回転部材785の回転変位は小さくなる。
一方、上下反転部材781の長尺方向が左右方向に近づくように倒れるほど、円筒状突設部781cの変位は、左右方向に小さく上下方向に大きくなるので、中間腕部材783の左右方向変位は小さく回転量は大きくなる。そのため、直動板部材784の左右方向変位は小さく、軸回転部材785の回転変位は大きくなる。
従って、縦配置状態から開始され縦配置状態で終了する上下反転部材781の回転動作において、まず直動板部材784の左右方向変位の程度が大きくなり、次いで軸回転部材785の回転変位の程度が大きくなり、再び直動板部材784の左右方向変位の程度が大きくなる。
このような順序で直動変位と、回転変位とが生じることで、上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分(図55参照)に覆設部材787の延設部787cが衝突することを回避することができる。次いで、覆設部材787の外観の変化について説明する。
図59(a)から図59(c)は、演出装置780の正面図である。図59(a)から図59(c)では、昇降反転演出装置770の反転動作が時系列で図示される。図59(a)では、上下反転部材781の正立の縦配置状態における演出装置780が図示され、図59(b)では、上下反転部材781が縦配置状態から90度回転した時における演出装置780が図示され、図59(c)では、上下反転部材781の倒立の縦配置状態における演出装置780が図示される。
上下反転部材781は、正立の縦配置状態(図57(a)参照)から正面視反時計回りに180度回転することで、倒立の縦配置状態に状態が変化する。倒立の縦配置状態では、正立の縦配置状態(図59(a)参照)を基準として、覆設部材787の姿勢が180度反転する。これにより、遊技者が視認可能な装飾面が切り替えられることになる(図59(c)参照)。
倒立の縦配置状態から上下反転部材781が正面視時計回り(反対回り)に180度回転変位することで、正立の縦配置状態(図57(a)参照)に戻る。従って、反転動作は、上下反転部材781を180度回転変位させるように方向を反転させて駆動モータ782(図56参照)を駆動する度に、図59(a)に示す状態と図59(c)に示す状態とで、状態を繰り返し切り替えることができる。
上述したように、図57(a)に示す状態から上下反転部材781が正面視反時計回りに180度回転変位する間に、傘歯部783cと噛み合うことで軸回転部材785が180度回転変位する。ここで、傘歯部783cの回転方向から、右側の軸回転部材785は後転方向に回転し、左側の軸回転部材785は前転方向に回転する。即ち、左右に配置される一対の軸回転部材785及び端板部材785dに締結固定される覆設部材787は、逆方向に回転する。
そのため、途中位置では、右側の覆設部材787は第2副装飾面787b2を正面側に向け、左側の覆設部材787は第1副装飾面787a2を正面側に向ける(図59(b)参照)。
これにより、覆設部材787の回転変位中に、左側の覆設部材787の第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)と右側の覆設部材787の第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)とが揃って視認されることを回避することができる。
従って、回転変位中の覆設部材787の装飾面を、敢えて左右で内容のずれたものとすることができ、装飾面の内容を遊技者に認識し難いように構成できるので、回転変位中の覆設部材787が遊技者に与える情報量を低くすることができる。
これにより、回転変位中の覆設部材787に対する遊技者の注目力を低減させることができる。また、回転変位が停止した時に左右一対の覆設部材787の装飾面が第1主装飾面787a1(又は第2主装飾面787b1)で揃うことから、覆設部材787の回転が停止するまで遊技者の視線を覆設部材787に維持し易いという効果も奏し得る。
回転変位は第2動作ユニット700の張出状態(図54参照)で実行されるが、この回転変位が停止し、左右一対の覆設部材787の装飾面が第1主装飾面787a1(又は第2主装飾面787b1)で揃った状態では、演出装置780が第3図柄表示装置81の表示領域の上下中央付近にまで上昇してきており(図30参照)、この状態で第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)に注目力が集まる可能性は低い。
特に、第3動作ユニット800が第2動作ユニット700と近接変位されるよう制御される場合などには特に、第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)への視界が第3動作ユニット800に遮られることになる。
一方で、第2動作ユニット700が演出待機状態となり(図52参照)、演出装置780が第3図柄表示装置81の表示領域よりも下側に配置されると、第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)が遊技者の視界に入り易くなる。
このように、第2動作ユニット700では、第1副装飾面787a2(又は第2副装飾面787b2)を、張出状態においては回転変位中に揃って視認されることを防止したり遊技者側に面が向くことを防止したりすることで注目させず、演出待機状態においては遊技者に注目され得る側面として形成している。
これにより、第2動作ユニット700の見え方を配置に応じて変化させることができるので、第2動作ユニット700を配置するコスト(場所の占有、上手に隠す負担)に対する演出性能が過度に低くなる状態が生じることを回避し易くすることができる。
軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位後において、回転位置安定用部785fが磁石Mg(図54(b)参照)に吸着することで軸回転部材785及び覆設部材787の姿勢の安定化を図ることができる。
本実施形態では、磁石Mgに吸着する金属部材が金属製ネジで構成されるので、専用の金属部材を設計する場合に比較して、部材コストの削減や、メンテナンス性の向上を図ることができる。
上述したように、軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位には左右方向の直動変位が伴うので、回転変位を実行可能な演出装置780の配置は制限されることになる。即ち、第2動作ユニット700の演出待機状態(図28参照)や中間演出状態(図33参照)では、回転変位を実行することで、左右に配置される右側前板部材710、左側後板部材750及び前側支持部材760や、その正面側に固定配置される立体装飾部768a等の装飾部材が覆設部材787に衝突することになる。
一方、第2動作ユニット700の張出状態(図30参照)では、左右方向に空間が確保されることで、軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位を実行可能となる。
従って、軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位を生じさせる駆動モータ731の駆動制御は、検出センサ713の出力から第2動作ユニット700が張出状態になっていると判定されていることを前提に実行可能に制御される。これにより、軸回転部材785及び覆設部材787の回転変位を正常に生じさせることができる。
延設部787cは、上下反転部材781の縦配置状態において互いに近接配置され、この状態において上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分と前後で対向配置される。そのため、この配置から覆設部材787を左右方向に延びる回転軸で回転変位させると、延設部787cが上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分に衝突することになり、不具合が生じる。
一方で、延設部787cが近接配置される構成は、左右一対の覆設部材787を一体的に視認させることができるという効果を生じさせるものであり、演出上必要となる構成であるので、維持できることが好ましい。
これに対し、本実施形態では、覆設部材787が、回転変位の前に、予め左右方向に長さL1だけ直動変位するよう構成される(図57参照)。長さL1の直動変位により、延設部787cを上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分の前後位置から退避させることができ、延設部787cと上側長尺部775と下側長尺部772との連結部分とが衝突する不具合を回避することができる。
また、このように回転変位を構成することで、覆設部材787が左右方向に変位する間において長さL1では回転変位が生じず(又は制限され)、残りの長さL2において回転変位を生じさせることになるので、覆設部材787の回転中における左右方向の変位量を小さく抑えることができる。
これにより、回転中に覆設部材787の配置が大きく変化する場合に比較して、覆設部材787の注目力を低く抑えることができ、回転変位を目立たせなくすることができるので、各装飾面787a1~787b2の設計として、回転変位中の見映えを無視した設計を行うことができるので、設計自由度を向上することができる。
なお、覆設部材787が回転開始するタイミングは、磁石Mgの吸着力の設計により任意に設定可能である。そのため、例えば、本体部材771の下側長尺部772と上側長尺部775との連結部の左右幅を長くする設計変更が生じたとしても、演出装置780の構成は同じとしながら、磁石Mgを吸着力の大きな磁石に変更することで、本実施形態と同様に、上述の連結部と延設部787cとの衝突を回避することができる。
図59において想像線で図示するように、挿通孔778cは、常に覆設部材787に隠されるよう配置される。これにより、挿通孔778cに挿通される締結ネジが遊技者に視認されることを防止することができ、締結ネジにより演出効果が低くなることを回避することができる。
本実施形態では、左右一対の覆設部材787に形成される各装飾面787a1,787a2,787b1,787b2の装飾(図形、模様または絵柄など)が、左右の覆設部材787で同一では無いことから、左右の装飾に合わせて挿通孔778cの配置が左右非対称とされている。
即ち、挿通孔778cは締結ネジが挿通される部分であるので、その位置で電飾基板787aにLEDを配置することができなくなる(図55参照)。また、締結ネジは金属製であり光を透過しないので、発光演出時に暗く視認され易い。
従って、左右の装飾において、明るく光らせて目立たせる箇所を避けて挿通孔778cを配置することが望ましく、そのようにした結果、挿通孔778cの配置が左右非対称とされている。
なお、挿通孔778cの配置を左右対称にすることは当然に許容される。特に、左右の覆設部材787で各装飾面787a1,787a2,787b1,787b2の装飾が同一の場合には、挿通孔778cを左右対称に配置することによる不利益は生じず、且つ、電飾基板778aの設計を容易とすることができる。
図59(b)に示すように、本実施形態では、昇降反転演出装置770の反転動作中に覆設部材787が左右に直動変位し、光拡散部材778bの中央部付近が延設部787cに囲まれていない状態においても、上下反転部材781、中間腕部材783及び直動板部材784等の機構部が視認されないように隠される。
即ち、正面視において、本体部材771の上側長尺部775の外形が、前側に配置される光拡散部材778bの外形に収まる形状に設計されており、直動板部材784の上下幅が、前側に配置される上側長尺部775の左右長尺部の上下幅に収まる形状に設計されている。また、上下反転部材781は前側に配置される上側長尺部775の円板部の外形に収まる形状に設計されており、中間腕部材783は変位軌跡が光拡散部材778bの外形に収まるように設計される。
これにより、演出装置780の変位を実現するための機構部を光拡散部材778bの背後に隠し、視認不能とすることができるので、反転動作中における演出装置780の外観による演出効果が低下することを回避することができる。
図26に戻って説明する。第3動作ユニット800は、演出待機状態において第3図柄表示装置81の表示領域の上側に配置され、背面ケース510に支持される左右一対の昇降アーム部材801(図31参照)の先端部に支持され、昇降アーム部材801が上下方向に駆動されることに伴って昇降変位可能に構成されるユニットである。
図60は、第3動作ユニット800の構成の一部の分解正面斜視図であり、図61は、第3動作ユニット800の構成の一部の分解背面斜視図である。なお、図60及び図61では、第3動作ユニット800の変位を構成する部分が図示されており、外側に配設される装飾部分としての装飾部材870,880の図示が省略されている。
図60及び図61に示すように、第3動作ユニット800は、昇降アーム部材801に保持される被保持部材810と、その被保持部材810の中心部に円筒部821が締結固定される固定円筒部材820と、円筒部821が内周側に挿通された状態で円筒部821に軸支される内側回転部材830と、その内側回転部材830が内周側に挿通された状態で本体部831に軸支される外側回転部材840と、その外側回転部材840の円筒状部842aに回動可能に連結される複数(本実施形態では5本)の中間腕部材850と、被保持部材810に収容される複数のギア部材を有し内側回転部材830、外側回転部材840及び中間腕部材850を変位させる駆動力を伝達するための駆動伝達装置860と、を備える。
被保持部材810は、円板形状の本体部材811と、その本体部材811に正面側から蓋をする孔空き蓋部材817と、を備える。
本体部材811は、中心部において固定円筒部材820の円筒部821を保持するために凹設され固定用の締結ネジを挿通する挿通孔や電気配線を挿通する貫通孔が形成される筒固定部812と、フォトカプラ式のセンサであって外側回転部材840の被検出部844を受け入れ可能な側に検出溝を向けて固定される検出センサ813と、駆動モータ861を保持するモータ保持部814と、伝達ギア863を脱落不能に軸支する円筒部として正面側に突設される複数の円筒状突設部815と、負荷応答ギア865を脱落不能に軸支する二重の円筒部として正面側に突設される複数の二重円筒突設部816と、を備える。
孔空き蓋部材817は、中央部に前後方向に穿設される円形孔818を備える。円形孔818は、開口方向視において、その内周縁部から、伝達ギア863及び負荷応答ギア865が内側に張り出すような寸法で設計される。
固定円筒部材820は、上述の円筒部821と、その円筒部821の正面側端部に形成される円形板部822と、その円形板部822に締結固定され正面側にLED等の発光手段が配設される円板状の電飾基板823と、その電飾基板823を正面側から覆うことができるような傘状(又は、お椀状)で光透過性の樹脂材料から形成される透光装飾部材824と、円筒部821の円形板部822側の外径よりも若干長い内径の円環状に形成され円筒部821と摺動可能に構成される摺動部材825と、を備える。
円筒部821は、背面側先端部に雌ネジが形成されており、その雌ネジに被保持部材810の筒固定部812の挿通孔に挿通された締結ネジが螺入されることで、固定円筒部材820が被保持部材810に回転不能に締結固定される。
円筒部821は内周側において軸方向に貫通形成されており、この貫通部分を通して筒固定部812の貫通孔に挿通された電気配線が正面側へ這わされ、電飾基板823の背後に配設されるコネクタに接続される。
電飾基板823は、LEDとして、五角形の頂点およびそれらの頂点から等距離離れた中心位置に配置される内側発光部823aと、円周上に等間隔で15箇所に配置される外側発光部823bと、を備える。内側発光部823aは、光軸が正面側(前方)を向くLEDから構成され、外側発光部823bは、光軸が径方向外側(直径方向)を向くLEDから構成される。
外側発光部823bは、円周上に等間隔に配置される15個のLEDから構成される。後述するように、外側発光部823bから照射される光は、円周上に等間隔で互いに密接して配置される第1装飾部材870の鍍金部871aに照射されることから、各第1装飾部材870に、3個のLEDからの光が照射されることになる。
外側発光部823bは電飾基板823に固定配置されており、第1装飾部材870は円の中心を軸として回転変位するように構成されるが、外側発光部823b及び第1装飾部材870は同軸の円上にそれぞれ等間隔で配置されるので、第1装飾部材870の回転方向の姿勢に関わらず、常に同数(本実施形態では、3個)のLEDからの光を各第1装飾部材870に照射することができる。
これにより、回転動作中に第1装飾部材870に照射される光LD1の光量の変化を抑制することができる。
摺動部材825は、内径側部が固定円筒部材820の円筒部821に摺動可能に構成される一方、外径側部が内側回転部材830の円形フランジ状部831aに摺動可能となるように形成される。
摺動部材825は、正面側にフランジ状部が形成されており、そのフランジ状部の内径側端部から後方に筒状で突設される筒状部を有するが、この筒状部の外径が、円形フランジ状部831aの内径よりも若干短く形成されることで、内側回転部材830に摺動可能に内嵌される。
摺動部材825を間に介在させることにより、固定円筒部材820と、その周りを回転可能に構成される内側回転部材830とが直接接触することを防止するようにしている。また、円筒部821の円形板部822側であり、同様に本体部831の円形フランジ状部831a側という強度的に有利な側に摺動部材825が配設されることで、摺動時や摺動不良時(意図せず変位抵抗が過大となった時)に生じる負荷によって固定円筒部材820や内側回転部材830が損傷したり変形したりする可能性を低減することができる。
内側回転部材830は、正面側端部に円形フランジ状部831aを有する円筒状の本体部831と、その本体部831の周囲を円周方向に5等分した位置において径方向に長尺方向を沿わせた姿勢で円形フランジ状部831aに締結固定される複数の金属棒832と、その金属棒832が挿通可能に形成され金属棒832に案内される形で直動変位可能に構成される複数の直動部材833と、その直動部材833の径方向外側部において回転可能に軸支される複数の回転部材834と、を備える。
本体部831は、上述の円形フランジ状部831aと、隣り合う金属棒832の中間の角度位置(5箇所)において円形フランジ状部831aを基端として突条状に後方に延びる複数の摺動突条部831bと、円形フランジ状部831aの反対側の端部において円周方向に間隔を空けて凹設形成される複数の凹設部831cと、を備える。
摺動突条部831bは、外側回転部材840の本体部841の内周側曲面と摺動可能に構成される部分であって、外側回転部材840との接触面積を減らし接触摩擦を低減するために突設先端が断面半円状に形成される。
摺動突条部831bの配置は、上述のように隣り合う金属棒832の中間の角度位置とされるが、換言すれば、外側回転部材840の中心軸を基準として金属棒832の反対側の位置(180度ずれた位置)とされる。
これにより、後述する切替回転動作において中間腕部材850が金属棒832に沿って径外方向に変位され、その中間腕部材850が軸支される外側回転部材840が径外方向に変位するよう負荷を受けたとしても、その外側回転部材840の変位を摺動突条部831bで受けることができるので、外側回転部材840の内側円周面と内側回転部材830の外側円周面との接触面積を低い状態で維持することができる。
凹設部831cは、中央円環ギア864の伝達突部864aが進入配置される部分であって、凹設部831cに伝達突部864aが配置されることで、互いの相対回転を不能として、中央円環ギア864の回転角度と内側回転部材830の回転角度とを一致させることができる。
直動部材833は、直動変位方向に並ぶように間隔を空けて配置され後方へ向けて円筒状に突設される一対の円筒状突設部833a,833bと、その円筒状突設部833a,833bを基準として本体部831の中心軸から離れた側に形成され回転部材834に挿通される円筒状の円筒状軸部833cと、その円筒状軸部833cの先端部において周方向に沿って凹設される凹設溝833dと、を備える。
凹設溝833dは、組立状態(図28参照)において回転部材834から突き出た側に配置されており、回転部材834に締結固定される装飾部材870,880の張出部873,883が摺動可能に外嵌されることで、回転部材834の径外方向への脱落を防止する変位規制用の溝として機能するが、詳細は後述する。
回転部材834は、傘歯車状に形成される傘歯部834aと、直動方向と平行に円筒状に突設される複数の円筒状突設部834bと、を備える。傘歯部834aは、全周に亘って形成されるものではなく、動作に必要となる3/4周(約270度)に亘って形成されている。
円筒状突設部834bは、内周側に雌ネジが形成されており、装飾部材870,880の挿通孔874,884に挿通された締結ネジを螺入することで、装飾部材870,880を回転部材834に締結固定するように機能するが、詳細は後述する。
外側回転部材840は、円筒状の本体部841と、その本体部841の周囲を円周方向に5等分した位置において径方向外方へ延設される複数(本実施形態では、5本)の延設腕部842と、本体部841の後側端部の円周に沿って外周側に形成されるギア歯843と、検出センサ813の検出溝に進入可能な配置で本体部841の径外方向に延設される被検出部844と、を備える。
延設腕部842は、本体部841の中心軸と平行に延びる円筒状部842aを備え、その円筒状部842aの内周側には雌ネジが形成されており、中間腕部材850の基端側棒部851に円筒状部842aを挿通した状態で雌ネジに締結ネジを螺入することで、中間腕部材850が延設腕部842に脱落不能に軸支される。
ギア歯843は、駆動伝達装置860の負荷応答ギア865と歯合可能に配設されることで、外側回転部材840の回転変位の有無を切り替える部分として機能するが、詳細は後述する。
中間腕部材850は、長尺に形成される部材であって、一端側が外側回転部材840の円筒状部842aに軸支される基端側棒部851と、その基端側棒部851の他端側において正面側に増厚される増厚部852と、その増厚部852の正面側端部から基端側棒部851の長尺方向と平行に延設される先端側棒部853と、その先端側棒部853の端部にギア歯を有して形成される回転伝達部854と、を備える。
回転伝達部854は、直動部材833及び回転部材834と連動する部分であって、円筒状突設部833aを挿通した状態で互いに回動可能な寸法関係で形成される被支持孔854aと、その被支持孔854aを中心とした円弧状に穿設される長孔であって円筒状突設部833bを挿通した状態で案内する案内孔854bと、被支持孔854aを中心軸とする傘歯車状に形成され回転部材834の傘歯部834aと歯合することで傘歯車を形成する傘歯部854cと、を備える。
駆動伝達装置860は、モータ保持部814に締結固定される駆動モータ861と、その駆動モータ861の駆動軸に固着される駆動ギア862と、円筒状突設部815に脱落不能に軸支され駆動ギア862を介して駆動力を伝達可能に歯合される複数の伝達ギア863と、その伝達ギア863に歯合される中央円環ギア864と、その中央円環ギア864の配置よりも前側にずれて配置され二重円筒突設部816に脱落不能に軸支される一対の負荷応答ギア865と、その負荷応答ギア865の背面側において二重円筒突設部816の二重筒に支持され負荷応答ギア865にかけられる回転方向の負荷に応じた抵抗が可変とされるトルクリミッタ866と、を備える。
中央円環ギア864は、環状に形成され、その内周側に固定円筒部材820の円筒部821を挿通可能に設計され、内側回転部材830の凹設部831cに進入配置可能となるように凹設部831cに対応する配置および形状で底板部から正面側に突設される伝達突部864aと、その伝達突部864aの内径側および外径側に配置される同軸二重円環形状で底板部から正面側に突設される支持円環状部864bと、を備える。
組立状態では、伝達突部864aが凹設部831cに進入配置された状態において、支持円環状部864bの間の隙間に内側回転部材830の本体部831の後方端部が中間ばめの寸法関係または締りばめの寸法関係で嵌合される。これにより、中央円環ギア864と内側回転部材830とを一体的に回転させることができる。
なお、凹設部831c及び伝達突部864aの配置については何ら限定されるものではない。例えば、円周方向に等間隔で配置されるようにしても良いし、円周方向に不等間隔で配置されるようにしても良い。
等間隔であれば、内側回転部材830と中央円環ギア864との姿勢を考慮せずとも、伝達突部864aと凹設部831cとの配置を合わせれば組み付けることができるので、組み付けを迅速に行うことが可能となる。本実施形態にように、内側回転部材830及び中央円環ギア864の形状が回転方向で対称(72度間隔で同じ)とされる場合には、内側回転部材830及び中央円環ギア864の姿勢が組み付け時にずれることによる影響は少ないと考えられるので、等間隔とすることは有効である。
不等間隔であれば、組み付け作業時において、内側回転部材830に対して中央円環ギア864の姿勢を合わせてから組み付けるという工数が1個増えるが、凹設部831cへの伝達突部864aの配置を利用して、内側回転部材830と中央円環ギア864との姿勢合わせを行うことができる。
負荷応答ギア865は、外側回転部材840のギア歯843と歯合可能に配設される。負荷応答ギア865にトルクリミッタ866が係合していることにより、内側回転部材830及び中央円環ギア864と、外側回転部材840と、の間の回転抵抗の大小に起因して、負荷応答ギア865の回転が許容される状態と、規制(制限)される状態と、が切り替えられるよう構成されている。
即ち、トルクリミッタ866は、所謂安全クラッチとして機能するものであり、所定の許容値を超える負荷がかかると接続を切り、駆動力の伝達を解除するよう構成される。本実施形態では、一方向の駆動力を伝達する装置(ワンウェイのトルクリミッタ)が、伝達方向を逆とする一組で構成され、トルクリミッタ866による駆動伝達の切り替えを双方向で応答性良く行えるように構成している。
図62は、第3動作ユニット800の構成の一部の分解正面斜視図であり、図63は、第3動作ユニット800の構成の一部の分解背面斜視図である。なお、図62及び図63では、第3動作ユニット800の装飾部分が図示されており、変位を構成するための部分の図示が省略されている。
図62及び図63に示すように、第3動作ユニット800は、上述した内側回転部材830と、その内側回転部材830の円筒状突設部834bに締結固定され円筒状突設部834bの一方の側面を覆う第1装飾部材870と、円筒状突設部834bに締結固定されると共に第1装飾部材870の反対側の側面から円筒状突設部834bを覆う第2装飾部材880と、を備える。
第1装飾部材870は、円筒状突設部834bに締結固定可能に形成される第1骨格部871と、その第1骨格部871の一側を覆うよう形成される第1覆設部875と、を備える。
第1骨格部871には、全体に鍍金処理がされており、光を反射し易いよう構成されている。
第1覆設部875は、枠の内側が無色で光透過性の樹脂材料で形成されており、その表面に図形や模様や、キャラクターの絵柄(以下、「絵柄等」とも称す)が描かれており、表面が正面側に向いた際には、その絵柄等を遊技者に視認させる。
本実施形態では、複数(5個)の第1覆設部875に、それぞれ独立した絵柄等が描かれている。そのため、電飾基板823による発光制御で強発光させる第1覆設部875を変更したり、第1覆設部875の配置を変更したりすることで、遊技者の注目を集める絵柄等を異ならせることができる。
例えば、遊技者目線で、第3図柄表示装置81側にいずれの第1覆設部875が停止するかに注目させるような表示演出を第3図柄表示装置81で実行すると同時に、内側回転部材830を回転させるように制御すれば、その回転に伴い第3図柄表示装置81側の第1覆設部875を継続的に変更することができるので、回転が停止するまでの期間に亘り、遊技者の視線を第1覆設部875に集めることができる。
第2装飾部材880は、円筒状突設部834bに締結固定可能に形成される第2骨格部881と、その第2骨格部881の他側を覆うよう形成される第2覆設部885と、を備える。
第2骨格部881は、第2覆設部885に収容される磁石Mg2を脱落不能に保持するための保持片881aを備える。
第2覆設部885は、隣設される第2覆設部885に収容される磁石Mg2の吸着力が作用する位置(近接位置)に金属製ネジが螺入固定されており、この金属製ネジに磁石Mg2が吸着することで、合体状態(特に、一連合体状態、図32参照)における第2覆設部885の一体性が確保できるように図っている。
第2覆設部885は、表面に図形や模様や、キャラクターの絵柄(以下、「絵柄等」とも称す)が描かれており、表面が正面側に向いた際には、その絵柄等を遊技者に視認させる。
本実施形態では、複数(本実施形態では、5個)の第2覆設部885に描かれる絵柄等は、複数(少なくとも2個、最大で5個)の第2覆設部885が組となるよう絵柄等が構成されており、5個の第2覆設部885が合体状態を構成した時に正面視で「円状体」として視認されるように各第2覆設部885をその円状体の一部を構成するように装飾している。
第2覆設部885に描かれる絵柄等は特に限定されるものではないが、本実施形態では、一連合体状態において第2覆設部885から把握される内容が第2装飾部材880の回転方向の配置が異なっても大きな違いが生じない絵柄として設計している。即ち、絵柄として明確な上下左右があるものではなく、回転させても外形の変化が目立たない(本実施形態では、円形状)を構成する設計としている。
そのため、複数の第2覆設部885同士を強固に一体化できる方が、第2覆設部885を遊技者に視認させる時の演出性能を向上させることができる。この点で、本実施形態では、合体状態において磁石Mg2の吸着力により第2覆設部885側が強固に一体化されるので、第2覆設部885が正面側に配置されている場合の合体状態における演出性能を向上させることができる。
なお、各第2覆設部885において、幅方向の片側に磁石Mg2が配設され、逆側に金属製ネジが螺入固定されている。後述する切替回転動作により第2覆設部885の向きが前後で反転した場合には、それに伴い正面視での磁石Mg2と金属製ネジとの配置も反転することになる。
この場合でも、各磁石Mg2が吸着する金属製ネジが、逆側に隣設される第2覆設部885に螺入固定される金属製ネジに入れ替わるだけであり、5個の第2覆設部885が円環状に配設されていることから一体化した際の吸着度合いに変化はない。
一方、本実施形態では、第1覆設部875には、磁石を収容していない。これにより、第1覆設部875側における一体化の強度は、若干弱くなっているが、これにより演出性能が低下することを回避するようにしている。
即ち、第1覆設部875には、それぞれ独立した絵柄等が描かれているので、合体状態における一体化の程度が弱く、第1装飾部材870の配置が多少ずれることがあっても、遊技者に視認させる絵柄等を認識できなくなる可能性は無い。従って、第1覆設部875に描かれる絵柄等を利用した演出の演出性能が低下することを回避することができる。
更に、第1覆設部875側の一体化の強度が弱くなっていることにより、昇降変位(からの停止)に伴い生じる振動や、一体回転動作や切替回転動作としての回転変位(からの停止)に伴い生じる振動により、合体している第1覆設部875同士の配置をずらすことができる。これにより、第1覆設部875が分割体ではなく、単一の円形部材から構成される従来機では実現不可能な変位態様で第1覆設部875を変位させることができるので、第1覆設部875による演出の演出効果を向上させることができる。
上述の事情から、複数の装飾部材870,880が近接配置される合体状態において、第1装飾部材870が前側を向く状態を個別合体状態とも称し(図31参照)、第2装飾部材880が前側を向く状態を一連合体状態とも称す(図32参照)。次いで、個別合体状態と一連合体状態とを切り替えるための動作について説明する。
図64(a)、図64(b)、図65(a)及び図65(b)は、外側回転部材840及び中間腕部材850の背面図であり、図66(a)、図66(b)、図67(a)及び図67(b)は、外側回転部材840及び中間腕部材850の正面図である。
図64から図67では、駆動モータ861(図60参照)の駆動力が伝達され、内側回転部材830が外側回転部材840に対して相対的に回転動作することにより変位する中間腕部材850の変位が時系列で図示される。
即ち、背面視および正面視において時系列で図示されており、個別合体状態(図64(a)、図66(a))から、内側回転部材830が45度ずつ回転する様子が図示されている。
なお、図64から図67では、金属棒832の軸線が仮想位置線832Fとして記載されており、この仮想位置線832Fの配置の角度変化が、内側回転部材830の回転角度に対応する。なお、個別合体状態(図64(a)、図66(a))からの内側回転部材830の回転角度が角度θ31で図示される。
図64から図67に示すように、個別合体状態から内側回転部材830が正面視(図66参照)反時計回りに回転すると(この回転動作を、以下において「切替回転動作」とも称する)、中間腕部材850の回動が許容されることから、内側回転部材830の外側回転部材840に対する相対的な回転が許容される。本実施形態では、外側回転部材840はトルクリミッタ866(図60参照)の抵抗により配置が維持され、内側回転部材830のみが回転動作する。
従って、図64から図67において、円筒状部842aの配置は維持されており、中間腕部材850は、外側回転部材840の円筒状部842aを中心に回動変位する。
上述の部材間の構成から、仮想位置線832Fは、被支持孔854aの中心を通る直線であり、被支持孔854aに直動部材833の円筒状突設部833aが締結固定されることから、被支持孔854aの配置変化は、直動部材833の配置変化に対応する。
図64及び図65に示すように、回転伝達部854が内側回転部材830の回転軸を中心とした径方向に変位し、同時に、周方向に変位するので、回転伝達部854に支持される回転部材834も同様に、内側回転部材830の回転軸を中心とした径方向に変位し、同時に、周方向に変位する。即ち、切替回転動作において、直動部材833は、径方向の変位を伴いながら、周方向に180度変位する。
切替回転動作に周方向の変位が含まれることから、径方向終端位置においても直動部材833、回転部材834及びそれに締結固定される装飾部材870,880の配置が固定されることなく、周方向への変位を保つことができるので、径方向の直動変位のみで変位が完結する場合(例えば、第2動作ユニット700で上述した反転動作)に比較して、切替回転動作中における演出効果を高く維持することができる。
なお、これに対し、第2動作ユニット700で上述した反転動作においては、傘歯部783c及び傘歯部材785c(図58参照)の弾性回復力を利用した加速度の高い回転動作を生じさせることで、直動方向外側変位終端(図59(b)参照)における覆設部材787の配置が固定されている印象を弱めるよう図っている。
即ち、覆設部材787の回転始期を遅らせ、且つ回転終期を遅らせないことにより、覆設部材787の回転速度の向上を図っており、左右方向外側変位終端において左右位置の変化幅が小さい期間(スライダクランクの死点付近の期間)が継続する状況にあっても、覆設部材787の回転速度を上昇させることで覆設部材787の動作による演出効果を高く維持するよう図っている。
切替回転動作に径方向の変位が含まれることから、中間腕部材850から外側回転部材840に径方向の負荷が生じ易く外側回転部材840の回転軸のずれが生じる可能性が考えられるが、本実施形態では、中間腕部材850の径方向の負荷が回転軸を中心として等間隔(72度間隔)で同様に生じるので、各負荷が互いに相殺し合うことになる。これにより、外側回転部材840の回転軸のずれを抑えることができるので、切替回転動作を正常に実行させ易くすることができる。
このように、第3動作ユニット800の回転動作における径方向変位(拡大縮小変位)は、円周方向の回転を伴いながら生じる。そのため、周囲の装飾部材との衝突を避けるために、第3動作ユニット800の切替回転動作は、第3動作ユニット800が張出状態となっていることが昇降アーム部材801の姿勢を判定する検出センサの出力により判定されている状態において実行可能となるように制御される。
また、回転伝達部854の上述の変位に伴い、回転部材834に締結固定される第1装飾部材870及び第2装飾部材880も同様に、内側回転部材830の回転軸を中心とした径方向に変位し、同時に、周方向に変位する。
中間腕部材850が回動変位することにより、傘歯部854c(図66及び図67参照)と、回転部材834の傘歯部834a(図60参照)とが歯合し、回転部材834及び回転部材834に締結固定される装飾部材870,880が金属棒832を軸として回転変位する。
この回転変位の角度は、仮想位置線832Fを基準とした中間腕部材850の回転角度としての角度θ32に比例する。また、その回転方向は、角度θ32が仮想位置線832Fから正面視反時計回り方向に離れるよう増大しており、回転部材834が中間腕部材850の正面側に配置されることから(図60参照)、仮想位置線832Fの径外方向側から見て反時計回り方向に設定される。
回転部材834は、一体回転状態において第1装飾部材870又は第2装飾部材880のいずれかが正面側を向く姿勢となるので、角度θ31の最大値としての最大角度θ31E(本実施形態では、180度)の回転によって、中間腕部材850の回転角度が最大値としての最大角度θ32E(本実施形態では、90度)となる場合に、回転部材834の傘歯部834aが半周回転(180度回転)するよう構成される。
即ち、回転部材834が金属棒832を中心として回転する角度は、傘歯部854cの被支持孔854aを中心とした回転角度の2倍となるように構成される。
ここで、上述の第2動作ユニット700の磁石Mgの作用として説明したものとは異なり、磁石Mg2(図62参照)の吸着力は、金属棒832を中心とする装飾部材870,880の回転変位に対して回転を遅らせるような作用を生じさせるものではない。
即ち、磁石Mg2は、隣設する第2装飾部材880との間で吸着力を生じるものであり、中間腕部材850の回動に伴い装飾部材880が金属棒832に沿って径外方向に変位することに伴い、隣設される第2装飾部材880の間に隙間が生じることで吸着力は失われ得る。
従って、金属棒832を中心とする回転変位が開始される前において、磁石Mg2の吸着力は失われることになり、金属棒832を中心とする装飾部材870,880の回転変位に対して回転を遅らせるような作用は生じない。
そのため、装飾部材870,880を回転変位させるために必要となる駆動力を低減することができる。即ち、駆動モータ861に要求される駆動力を低減することができるので、駆動モータ861の小形化を図ることができる。
更に、装飾部材870,880の回転変位を迅速に開始し、早期に終了させることができるので、金属棒832を中心とする回転変位に対する遊技者の注目度合いを低くすることができる。
装飾部材870,880の回転変位の開始時の迅速性は、内側回転部材830の回転角度に対する装飾部材870,880の回転角度を一定ではないように構成することでも保たれている。
例えば、中間腕部材850の回動の過程において、中間腕部材850が縮径配置され一体回転動作が可能な状態からの仮想位置線832Fの回転角度(内側回転部材830の回転角度)が45度である場合には角度θ32が18度であり(図66(b)参照)、更に45度の角度で仮想位置線832Fが回転した場合における角度θ32が27度とされる(図67(a)参照)。
即ち、角度θ32は、一体回転動作が可能な状態からの内側回転部材830の回転開始側の方が、回転途中に比較して小さくなるように設計されている。これにより、内側回転部材830の回転開始時において装飾部材870,880の回転変位の程度を抑制することができる。
駆動モータ861の駆動力は、内側回転部材830の回転、中間腕部材850の回動および装飾部材870,880の回転に利用されることになるが、上述のような構成から、一体回転動作が可能な状態からの内側回転部材830の回転開始時において装飾部材870,880の回転に要する駆動力を低減することができるので、内側回転部材830の回転開始時に駆動モータ861にかけられる負担が過度に大きくなることを回避することができる。
また、金属棒832を中心とする装飾部材870,880の回転変位は、正面視で円周方向に位置ずれしながら生じるので、回転変位中の装飾部材870,880の視認性を低く抑えることができる。これにより、装飾部材870,880の側面部(例えば、第1覆設部875と第2覆設部885との連結面)が視認される可能性を低くすることができ、装飾部材870,880の側面部の設計自由度を向上することができる。
切替回転動作の際、正面視において、中間腕部材850は、隣設される中間腕部材850と配置が重なる。また、自らが軸支される円筒状部842aが配設される延設腕部842に隣設される延設腕部842とも配置が重なる。そのため、対策なしでは、中間腕部材850が周辺の部分と衝突する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、中間腕部材850の構成を部位ごとに前後にずらすことで衝突の回避を図っている。即ち、中間腕部材850の基端側棒部851よりも、先端側棒部853及び回転伝達部854の方が後側に配置されるようにすることで、基端側棒部851と先端側棒部853及び回転伝達部854とが前後で重なるようにでき、切替回転動作の際に衝突することを回避することができる。
また、基端側棒部851は延設腕部842の前側に、先端側棒部853及び回転伝達部854は延設腕部842の後側に配置するようにすることで、切替回転動作の際に中間腕部材850が延設腕部842の前後に配置されるようにすることができ、中間腕部材850と延設腕部842との衝突を回避することができる。
図64から図67では、外側回転部材840を基準とした内側回転部材830の回転方向が、中間腕部材850の回動を許容する方向(個別合体状態における正面視反時計回り方向、図66参照)である場合を説明した。この場合、トルクリミッタ866を介して抵抗を生じる負荷応答ギア865にギア歯843が歯合されることで抵抗を受け、外側回転部材840の回転変位は制限される。
一方、内側回転部材830の回転方向が上述の逆方向(個別合体状態における正面視時計回り方向)である場合や、中間腕部材850の回動を許容する方向(個別合体状態における正面視反時計回り方向)での回転により中間腕部材850が回動を規制される状態に到達(例えば、個別合体状態から一連合体状態に到達)してからも同方向で回転を継続した場合には、外側回転部材840の回転を規制するトルクリミッタ866の許容値を超える負荷が負荷応答ギア865に負荷され、トルクリミッタ866による負荷応答ギア865の姿勢維持が解除され、内側回転部材830と外側回転部材840とが同期回転する。
換言すれば、回転方向に関わらず、中間腕部材850の回動が規制される状態において、中間腕部材850の回動の規制を継続する方向に内側回転部材830を回転させるように駆動した場合、内側回転部材830及び外側回転部材840が同期回転し、中間腕部材850、第1装飾部材870及び第2装飾部材880が合体状態を維持したまま一体回転する(この回転動作を、以下において「一体回転動作」とも称する)。
一体回転動作は、中間腕部材850の回動が規制される状態で生じるものであり、本実施形態では、第1装飾部材870及び第2装飾部材880が互いに近接配置された合体状態で生じる。
そのため、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の拡径方向の変位が生じる切替回転動作と異なり、周囲の装飾部材との衝突を考慮する必要が無いので、第3動作ユニット800の演出待機状態において一体回転動作を実行することができる。従って、本実施形態では、一体回転動作は、第3動作ユニット800の配置に関わらず、実行可能に制御される。
本実施形態では、上述のように、単一の駆動モータ861(図60参照)の駆動力により、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の拡径方向変位を伴う切替回転動作と、拡径方向変位を伴わない第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作と、を実行可能とされており、両駆動方向でいずれの動作も実行可能であるが、動作に優先順位があり、任意の回転方向で即座に任意の動作を実行可能なわけではない。
例えば、図64(a)及び図66(a)に示す状態からは、内側回転部材830を正面視反時計回りに回転させることで切替回転動作を実行可能であり、そのまま回転を継続すれば一体回転動作を実行可能であり、また、内側回転部材830を正面視時計回りに回転させることで一体回転動作を実行可能とされるが、即座には、正面視反時計回りの回転で一体回転動作を実行することはできない。
また、例えば、図64(a)及び図66(a)に示す状態から、内側回転部材830を正面視反時計回りに回転させ、中間腕部材850が回動を規制される状態に到達した後で、内側回転部材830を正面視時計回り(逆回り)に回転させた場合には、再び切替回転動作が実行されてしまい、即座には、正面視時計回りに一体回転動作を実行することはできない。
このように、本実施形態の第3動作ユニット800の動作態様は、駆動モータ861の回転方向に対して、中間腕部材850の変位が規制される状態か、又は許容される状態か、によって、内側回転部材830及び外側回転部材840の相対的変位が変化する。
そのため、本実施形態において、音声ランプ制御装置113(図4参照)は、駆動モータ861の回転方向毎に、中間腕部材850の変位が規制される状態か、又は許容される状態か、を判定可能に制御され、その判定結果から、適切な駆動方向で駆動モータ861を駆動制御可能とされる。以下において、駆動モータ861の駆動制御の一例について説明する。
図68は、昇降アーム部材801の配置、駆動モータ861の駆動態様および検出センサ813の出力の一例を時系列で示すタイミングチャートである。図68に示すように、音声ランプ制御装置113(図4参照)は、第3動作ユニット800の演出制御として通常演出と反転演出とを交互に繰り返すよう制御される。
反転演出時には、切替回転動作を含む動作を実行し、通常演出時には、切替回転動作を含まない動作を実行する。これは、切替回転動作において装飾部材870,880と周囲の装飾部材とが衝突することを避けるためである。
同様の目的から、突然停電が生じた場合等から再度電源を投入した場合や、朝一に電源投入した場合には、第3動作ユニット800を張出状態としてから駆動モータ861の回転制御を実行し、検出センサ813の出力から可動部分の状態を把握した後において、通常演出時の制御を実行するように制御される。これにより、電源投入時において検出センサ813の出力結果から可動部分の状態が把握できない場合であっても、誤って装飾部材870,880と周囲の装飾部材とが衝突する事態を回避することができる。
駆動モータ861の駆動方向として、正回転と、逆回転とを記載している。図68における正回転は、内側回転部材830を正面視時計回りに回転させる駆動態様(個別合体状態(図66(a)参照)において一体回転動作を即座に実行する駆動態様)に対応し、図68における逆回転は、内側回転部材830を正面視反時計回りに回転させる駆動態様(個別合体状態において、切替回転動作を即座に実行する駆動態様)に対応する。
まず、反転演出時に至る前における、通常演出時の駆動制御について説明する。この通常演出時には、第3動作ユニット800は個別合体状態とされており、駆動モータ861は停止するか、又は正回転の駆動制御のみが実行される。そのため、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の回転動作は、常に一体回転動作とされる。
切替回転動作は生じないので、周囲の装飾部材との衝突は生じ得ず、第3動作ユニット800の配置は演出待機状態または張出状態に任意のタイミングで切替可能である。例えば、昇降アーム部材801の上下動作により被保持部材810を昇降変位させている最中に駆動モータ861を駆動することで、昇降変位と同時に第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作を生じさせることもできるよう、制御される。
当然、昇降アーム部材801の配置が固定している状態において第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作を生じさせても良いし、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作を停止した状態で昇降アーム部材801の昇降動作を行うようにしても良い。
駆動モータ861の駆動の方向が正回転のみなので、外側回転部材840の被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入する度に検出センサ813の出力が切り替わり、この出力の切り替わりを判定することで音声ランプ制御装置113(図4参照)は外側回転部材840の姿勢を初期位置として判定することができ、この初期位置からの駆動時間を複数種類で設定することで、外側回転部材840を任意の姿勢で停止するよう制御することができる。
次いで、反転演出時における駆動制御について説明する。まず、反転演出時には、昇降アーム部材801が下降変位し、第3動作ユニット800が張出状態とされる。この状態で駆動モータ861は、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入している状態となるまで正回転を継続するよう制御される。
検出センサ813の出力の切り替わりにより、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入している状態が判定されたら、駆動モータ861を逆回転で駆動する。逆回転の駆動により、第3動作ユニット800では、切替回転動作が実行されるが、この間は外側回転部材840の回転はトルクリミッタ866の抵抗により規制されるので、検出センサ813の出力は維持される。
そのままの回転方向で駆動モータ861の駆動を継続すると、一連合体状態に到達し、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作が実行される。一体回転動作開始後は、外側回転部材840も内側回転部材830と連動して回転開始するので、被検出部844が検出センサ813の検出溝から退避し、検出センサ813の出力が切り替えられる。即ち、音声ランプ制御装置113(図4参照)は、検出センサ813の出力の切り替わりにより、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作が開始されたと判定することができる。
一体回転動作が開始された後は、駆動モータ861は停止するか、又は逆回転の駆動制御のみが実行される。そのため、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の回転動作は、常に一体回転動作とされる。切替回転動作は生じないので、周囲の装飾部材との衝突は生じ得ず、第3動作ユニット800の配置は演出待機状態または張出状態に任意のタイミングで切替可能である。
駆動モータ861の駆動の方向が逆回転のみなので、外側回転部材840の被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入する度に、検出センサ813の出力が切り替わり、音声ランプ制御装置113(図4参照)は外側回転部材840の姿勢を判定することができる。
反転演出時から通常演出時に切り替わる際には、事前に、昇降アーム部材801が下降変位し、第3動作ユニット800が張出状態とされる。この状態で駆動モータ861は、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入している状態となるまで逆回転を継続するよう制御される。
検出センサ813の出力の切り替わりにより、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入している状態が判定されたら、駆動モータ861を正回転で駆動する。正回転の駆動により、第3動作ユニット800では、切替回転動作が実行されるが、この間は外側回転部材840の回転はトルクリミッタ866の抵抗により規制されるので、検出センサ813の出力は維持される。
次いで、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作が実行される。一体回転動作開始後は、外側回転部材840が回転を開始することで、被検出部844が検出センサ813の検出溝から退避し、検出センサ813の出力が切り替えられる。即ち、音声ランプ制御装置113(図4参照)は、検出センサ813の出力の切り替わりにより、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の一体回転動作が開始されたと判定することができる。
一体回転動作が開始された後で、再び通常演出時に移行する。この通常演出時の駆動制御についての制限は、上述の反転演出時の前に配置されていた通常演出時において説明した駆動制御についての制限と同様である。
このように、本実施形態によれば、単一の検出センサ813を、第3動作ユニット800の回転態様の切り替えの判定(一体回転動作または切替回転動作)と、外側回転部材840の回転角度の基準の判定と、に兼用することができる。従って、各判定に個別の検出センサを利用する場合に比較して、検出センサ813の必要個数を削減することができる。
上述のように、一体回転動作を継続する状態または回転を停止している状態から、駆動モータ861の駆動方向を逆方向に切り替えることにより、切替回転動作を実行することができる。即ち、個別合体状態における第1装飾部材870の姿勢に関わらず、切替回転動作を実行し一連合体状態に切り替えることができる。
そのため、動作演出において、大当たり告知のタイミングで一連合体状態に切り替えるように制御する場合において、第1装飾部材870の姿勢から大当たり告知の有無を遊技者に予想されることを回避することができる。
更に、一連合体状態における装飾は、上述のように、遊技者に把握される内容が、第2装飾部材880の回転方向の配置によって大きく違わないように設計されている。即ち、切替回転動作の開始時における装飾部材870,880の回転方向の配置が異なる場合であっても、切替回転動作の終了時において一連合体状態として遊技者に把握される内容を同様のものとすることができる。
そのため、一連合体状態における絵柄が回転方向の配置で異なる場合と異なり、一連合体状態に到達した後において姿勢を合わせるための一体回転動作を省略することができるので、個別合体状態における第1装飾部材870の姿勢に関わらず、大当たり告知までの駆動制御を同一とすることができる。
このように、本実施形態では、駆動モータ861の駆動方向としての正回転と逆回転との双方で、切替回転動作および一体回転動作の双方の動作態様を実現することができる。従って、正回転と逆回転とで動作態様が固定されている場合に比較して、単一の駆動モータ861で多種多様な演出態様を実現することができる。
図69は、図28のLXIX-LXIX線における第3動作ユニット800の断面図である。図69に示すように、固定円筒部材820の円筒部821の開口は、被保持部材810の筒固定部812が配置される後端部から、電飾基板823が配置される前端部まで貫通しており、この開口を後端部から前端部まで電気配線が案内され、電飾基板823に配設されるコネクタに端子が接続される。この電気配線を通して電気が導通され、電飾基板823に配置されるLEDを発光制御可能に構成している。
電飾基板823の内側発光部823aから照射される光LH1は、透光装飾部材824の中央部側において正面側に膨出する膨出部824aを照らすように作用する。膨出部824aは、装飾部材870,880の合体状態において第1装飾部材870又は第2装飾部材880が円周上に配置される円の中央部において遊技者に視認可能とされる部分として機能する。
電飾基板823の外側発光部823bから照射される光LD1は、前側に配置される装飾部材870,880(図69においては第1装飾部材870)の内部に照射され、装飾部材870,880を内部から照らすように作用する。
本実施形態では、装飾部材870が前側に配置される個別合体状態(図69参照)と、装飾部材880が前側に配置される一連合体状態(図32参照)と、を切り替え可能とされているので、光LD1により、装飾部材870を照らす場合と、装飾部材880を照らす場合とを切り替えることができる。
個別合体状態(図69参照)では、第1骨格部871の鍍金処理されている鍍金部871aで正面側に反射することで、光LD1の向きを正面側に切り替えるよう構成している。これにより、光LD1の大部分が第1覆設部875に向かうように照射することができ、光LD1の照射時における第1覆設部875の明るさを良好に高めることができる。
ここで、本実施形態では、電飾基板823は固定配置されており、その周囲を装飾部材870,880が回転するように構成されているので、光LD1の照射方向と装飾部材870,880の配置との関係は装飾部材870,880の回転により変化し得る。例えば、回転中において、鍍金部871aの中心部に光LD1が照射される場合があれば、同じLEDから照射される光LD1が鍍金部871aの中心部からずれた位置に照射される場合も生じ得る。そのため、対策なしでは、光LD1による第1覆設部875の明るさの程度が装飾部材870,880の回転により変化し易くなり、一定明るさで発光させながら装飾部材870,880を一体回転動作させる演出を実行することが困難となる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、光LD1を反射可能に構成される鍍金部871aの形状が凹面形状とされ、この凹面形状の曲率半径は、電飾基板823の半径よりも小さくなるように形成され、且つ、その中心が正面視で第1覆設部875の中心部付近に配置されるよう設計される。
光LD1は外側発光部823bが配置される円の外径方向に光軸を向けるように配置されるので、光LD1は、鍍金部871aの凹面形状に反射されることで、その曲率半径の中心側へ向けて進行することになり、第1装飾部材870の各第1覆設部875の中央付近を照らす。
従って、外側発光部823bを基準とした鍍金部871aの配置によらず、複数の光LD1を、第1覆設部875の中央付近を照らすように反射することができる。これにより、第1覆設部875の前板部の中央付近に光を安定的に照射することができるので、一体回転動作中においても、第1覆設部875を均一な明るさで視認させることができる。
更に、第1骨格部871は、鍍金部871aへの鍍金処理と同様に鍍金処理が行われる部分であって、正面視で第1覆設部875の外方に配置される外鍍金部871bを備える。光LD1は、鍍金部871aと同様に外鍍金部871bでも反射されることになるが、鍍金部871aの配置に比較して外鍍金部871bが後方に配置されていることから、外鍍金部871bの光方の程度を弱めることができる。
これにより、第1覆設部875の外方において視認される光の強度が強すぎて、遊技者が眩しく感じ、第1覆設部875の枠の内側の視認性を低下させる事態を回避することができる。
電飾基板823は第1装飾部材870及び第2装飾部材880に前後から挟まれているが、つなぎ目において完全に閉塞されているものではないので、外側発光部823bからの光の全てがその内側に照射されるものではない。
まず、第1覆設部875の部材縁部875aと、その部材縁部875aに対向配置される第2覆設部885の部材縁部885aとの間には、図69において内部構造が視認可能な程度の隙間VA1が形成されている。この隙間VA1を通って外鍍金部871bが第1覆設部875の枠外方へ張り出しているので、隙間VA1を通った光LD1を外鍍金部871bで反射させることができる。
その上、金属棒832と対向配置される第1覆設部875の部材外端部875bと、第2覆設部885の部材外端部885bとの間には、金属棒832との部材干渉を避けるために要する領域を超える大きな隙間VA2が形成される。
隙間VA2は、第1に、金属棒832と装飾部材870,880との衝突を回避することで、金属棒832の長さを十分に確保できるようにし、金属棒832により直動部材833及び回転部材834の直動変位を案内する機能を確保できるようにする目的で形成される。
隙間VA2は、第2に、骨格部871,881に挿通される締結ネジであって、回転部材834の円筒状突設部834bに螺入されることにより装飾部材870,880を回転部材834に締結固定するための締結ネジの組み付け経路を確保できるようにする目的で形成される。
更に、隙間VA2は、第3に、骨格部871,881の透明部分を通過した光を進行させるための、光の通り道を確保できるようにする目的で形成される。装飾部材870,880は円周上に等間隔で配置されていることから、隙間VAを通り外方へ進行する光は、円周上の等間隔位置を通り、その円の中心から放射状に進行する光として視認される。
そのため、装飾部材870,880の一体回転動作を実行することで、隙間VA2を通過する光も同じように回転させることができる。これにより、外側発光部823bからの光の点灯態様を制御することを不要としながら(例えば、全点灯を継続したままで)、第3動作ユニット800の回転中心から径方向に放射状に出る光が回転する発光態様で視認される発光演出を実行することができる。
一連合体状態(図32参照)では、第2骨格部881の全体が透光性の樹脂材料から形成されていることにより、第2骨格部881による光LD1の反射作用を抑えている。
これにより、第2覆設部885の枠内に照射されるのは、光LD1の内、光軸から離れた光(弱い光)とすることができるので、第2覆設部885の光らせ方の度合いを弱くすることができる。一方で、光LD1の光軸方向の光は、隙間VA2を抜けるので、第3動作ユニット800の回転中心から径方向に放射状に出る光の強度を向上させることができる。
第2覆設部885の枠内には、有色(本実施形態では、円状体の色味として任意の色で設定)で光透過性の樹脂材料から形成され、内側に光拡散加工が形成される光拡散装飾部885cが円周方向に亘って配設される。そのため、光LD1の内、光拡散装飾部885cに入射した光は屈折され、光拡散装飾部885cの全体を面発光させるように作用する。
この面発光により、円周方向に亘って配設される光拡散装飾部885cを介して視認される光の均一化を図ることができ、5個の第2装飾部材880の各光拡散装飾部885cが遊技者に一体的に視認される効果を生じさせることができる。
ここで、複数の第2覆設部885同士を強固に一体化できる方が、第2覆設部885を遊技者に視認させる時の演出性能を向上させることができることは上述した通りであり、この一体化を、光拡散装飾部885cが円周方向に亘って連続的に繋がっているように視認させることで行うことができる。従って、第2覆設部885が正面側に配置されている場合の合体状態における演出性能を向上させることができる。
第2覆設部885の部材外端部885bは、金属棒832と対向する凹形状に形成されており、第1覆設部875の部材外端部875bと近接(当接)する端面885b1は、金属棒832が配設される平面を基準として第1装飾部材870側に張り出している。
これにより、一連合体状態(図32参照)において第3動作ユニット800を斜め方向から視た際に、背面側に配置される第1装飾部材870の第1覆設部875が遊技者の視界に入る程度を下げることができ、演出に与える影響を低減することができる。
これにより、第1覆設部875の枠部と、第2覆設部885の枠部とが、異なる色味で着色されている場合に、第2覆設部885が前側に配置されている時に、第1覆設部875の色味が視界に入ることを防止し易くすることができる。
特に、一連合体状態で、第3動作ユニット800を単独で張出状態とする場合には(図32参照)、他の動作ユニット600,700を共に張出状態とする場合に比較して(図33,F9参照)、第3動作ユニット800の周りに隙間が多く、第3動作ユニット800を斜め方向から視る視線が通り易い。そのため、対策なしでは、第3動作ユニット800の側面が視認されることで、演出効果を低下させ易い。
これに対し、本実施形態によれば、一連合体状態において、第2覆設部885の端面885b1を側面の前後幅の中央よりも後方寄りに配置しているので、斜め方向視で第3動作ユニット800の側面が視認されたとしても、側面の大部分を第2覆設部885の部分として視認させることができ、第1覆設部875が視認される程度を低くすることができる。これにより、一連合体状態において、第1覆設部875よりも、第2覆設部885を見せ易くすることができ、演出効果を向上することができる。
個別合体状態と一連合体状態とを切り替える切替回転動作では、駆動モータ861の駆動力が内側回転部材830に伝達されることで内側回転部材830は回転動作する一方で、外側回転部材840はトルクリミッタ866からの負荷により回転が止められる。
摺動突条部831bで接触面積の低減を図ってはいるが、内側回転部材830自体の回転抵抗が大きい場合には、外側回転部材840へ伝達される負荷は大きくなってしまい、トルクリミッタ866の負荷伝達の許容値を大きくせざるを得ず、トルクリミッタ866の小形化を阻害し易い。
そのため、内側回転部材830の回転抵抗を抑制できることが好ましい。そのために、本実施形態では、以下のような特徴を備えている。例えば、内側回転部材830の回転に係る固定円筒部材820との間の支持箇所は、摺動部材825と接触する前側端部と、中央円環ギア864に支持される後側端部のみであり、その他の部分では隙間を空けるように構成している。これにより、固定円筒部材820と内側回転部材830との間の接触面積を低減することができ、変位抵抗を低減し易く構成できる。
例えば、内側回転部材830は、中央円環ギア864に締結固定されているわけでは無いので、中央円環ギア864を基準とした前側への変位を抑制するためのストッパが必要と考えられるところ、摺動部材825がこのストッパの機能を果たしている。即ち、摺動部材825には内側回転部材830から前側へ押進する方向の負荷を受け得るが、摺動部材825は、その板前面が円形板部822の短径環状部822aと前後で当接する。
短径環状部822aは、外径が摺動部材825の外径と同程度の円環状突部として円形板部822の背面側に配設され、その最外径部において断面半円形状で背面側に突設される突条部822bが円環状に形成される。
この突条部822bが、摺動部材825の前面と前後方向で当接するので、短径環状部822aの背面全体と摺動部材825とが接触する場合に比較して、接触面積を低減することができる。これにより、内側回転部材830の回転方向の変位抵抗を低減することができる。
なお、内側回転部材830及び中央円環ギア864の間で締結ネジを用いていないので、その分、締結ネジの重量増加があった場合に想定される内側回転部材830の変位抵抗を削減することができる。
回転部材834に対する第1装飾部材870及び第2装飾部材880の固定について説明する。この固定の説明に当たっては、図62及び図63を適宜参照する。
第1装飾部材870の回転部材834への固定は、第1骨格部871の挿通孔872に挿通される締結ネジを第1覆設部875の枠後部に形成される被締結部876の雌ネジに螺入することで第1覆設部875を第1骨格部871に締結固定した状態とした後、第1骨格部871の半円状凹設部の端部から張り出す張出部873を凹設溝833dに進入させ(摺動可能に外嵌させ)、挿通孔874に挿通させた締結ネジを円筒状突設部834bに螺入させることで行うことができる。
第2装飾部材880の回転部材834への固定は、第2骨格部881の挿通孔882に挿通される締結ネジを第2覆設部885の枠後部に形成される被締結部886の雌ネジに螺入することで第2覆設部885を第2骨格部881に締結固定した状態とした後、第2骨格部881の半円状凹設部の端部から張り出す張出部883を凹設溝833dに進入させ(摺動可能に外嵌させ)、挿通孔884に挿通させた締結ネジを円筒状突設部834bに螺入させることで行うことができる。
このようにして、第1装飾部材870及び第2装飾部材880を回転部材834に締結固定することができ、回転部材834の直動変位または回転変位に伴い、第1装飾部材870及び第2装飾部材880が直動変位または回転変位するように構成することができる。
固定の過程において、張出部873,883が直動部材833の凹設溝833dに進入することで、骨格部871,881の直動部材833上の配置(金属棒832の長尺方向の配置)が規定され、骨格部871,881が直動部材833から脱落することを防止することができる。
そして、骨格部871,881は回転部材834に締結固定されているので、回転部材834についても同様に、直動部材833上の配置(金属棒832の長尺方向の配置)が規定され、回転部材834が直動部材833から脱落することを防止することができる。
このように、本実施形態では、回転部材834の直動部材833への組み付けにおいて、直動部材833上の回転部材834の配置を規定する部分が回転部材834に固定される骨格部871,881に形成されるので、直動部材833上の配置を規定する部分が回転部材834自体に形成される場合と異なり、組み付けや分解の工数を減らすことができる。
即ち、例えば分解時においては、骨格部871,881を回転部材834に締結固定している締結ネジを取り外せば、骨格部871,881の直動部材833上の配置の規定を解除することができるだけでなく、回転部材834についても直動部材833上の配置の規定を解除することができる。これにより、作業効率を向上することができる。
図70及び図71を参照して、各動作ユニット600~800の組み合わせ動作について説明する。図70(a)から図70(d)、図71(a)から図71(d)は、各動作ユニット600~800の組み合わせ動作の例を時系列に沿って模式的に説明する動作ユニット500の正面模式図である。なお、図70及び図71の説明では、図33から図35を適宜参照する。
図70及び図71では、第1動作ユニット600の各演出面661a~661c、第2動作ユニット700の各装飾面787a1,787a2,787b1,787b2及び第3動作ユニット800の各覆設部875,885における装飾が、文字などで識別可能に模式的に図示される。
即ち、第1演出面661aには、縦書きで「ノーマル」との文字が、第2演出面661bには、横書きで「発動」との文字が、第3演出面661cには、長手方向に沿って「!」の記号が、それぞれ図示されている。
また、第1主装飾面787a1には、「開戦」との文字が、第1副装飾面787a2には、「ピンチはチャンス」との文字が、第2主装飾面787b1には、「攻撃」との文字が、第2副装飾面787b2には、「忍耐!?」との文字が、それぞれ図示されている。
また、第1覆設部875の枠の内側には異なるキャラクターに対応する異なる英数字(「I」~「V」)が図示され、第2覆設部885には5個で一体の「○」記号が図示されている。
図70(a)では、各動作ユニット600~800が、それぞれ演出待機状態に配置されている(図28参照)。なお、第2動作ユニット700の上方には、正面視では見えないものの遊技者目線で視認可能な面としての第1副装飾面787a2が想像線で図示される。
また、図70(b)では、第1動作ユニット600が中間演出状態とされ、第2動作ユニット700が中間演出状態とされ、第3動作ユニット800が張出状態とされている。
第3動作ユニット800の一体回転動作を実行することで、第2動作ユニット700に近接配置される第1装飾部材870の第1覆設部875を次々に入れ替えることができる。また、一体回転動作の継続中や、停止後に、第1動作ユニット600を中間演出状態とすることで、センターフレーム86の枠内部に第3演出面661cを張り出させ、動作ユニット600~800の動きを賑やかにすることができる。
例えば、第3演出面661cが視認可能な場合に、抽選の大当たり期待度が上昇するよう演出を制御することにより、第1動作ユニット600の動作を視認した遊技者の興趣の向上を図ることができる。
一体回転動作が停止された際には、第2動作ユニット700の第1主装飾面787a1に形成される装飾と、第2動作ユニット700に近接配置される第1装飾部材870に形成される装飾とを、一体的に視認させることができる。
これにより、第2動作ユニット700に近接配置される第1装飾部材870に対する注目力を向上させることができ、その第1装飾部材870に形成される装飾に関連する表示演出を第3図柄表示装置81で開始しながら第3動作ユニット800を演出待機状態に戻すことにより、遊技者の視線を第3図柄表示装置81へスムーズに誘導することができる。
注目させる第1装飾部材870としては、第2動作ユニット700に近接配置される第1装飾部材870に限定されるものではない。例えば、第1装飾部材870に光を照射可能に配設される外側発光部823b(図60参照)の点灯パターンを制御することにより、注目させる第1装飾部材870側へ光LD1を照射するLEDを点灯させ、その他のLEDを消灯させることで、任意の第1装飾部材870に注目させることが可能である。
この時、第1装飾部材870の一体回転動作を停止させた状態でLEDの点灯パターンを切り替えても良いし、第1装飾部材870の一体回転動作に合わせてLEDの点灯パターンを切り替えても良い。
第1装飾部材870の一体回転動作に合わせてLEDの点灯パターンを切り替える場合には、点灯させるLEDを回転方向で順次切り替えるようにして、光および第1装飾部材870が同軸円に沿って回転変位しているように遊技者に視認させても良い。また、点灯させるLEDは固定しておき、そのLEDから光を照射される位置に各第1装飾部材870が一体回転動作により順番に到達することを利用して、光が照射される第1装飾部材870を切り替えるようにしても良い。
図70(a)に示す状態では、第1動作ユニット600の第2装飾回転部材660及び装飾固定部材670が、共に縦長に形成される装飾を備えており一体的に視認させることができる。特に、装飾固定部材670の前側面が、演出待機状態における第1演出面661aと同様に、斜め方向を向く面として形成されていることにより、一体的に視認される作用が高められている。
一方、図71(a)に示す状態になると、図70(b)に示す途中経過で第2装飾回転部材660の下端部が装飾固定部材670と離れるように変位することに加え、第1動作ユニット600の第2装飾回転部材660は横長に形成される装飾となることから装飾固定部材670との一体感が低下し、今度は、同様に横長に形成される装飾を備える第2動作ユニット700の覆設部材787と一体的に視認させることができる。
図35では第2動作ユニット700の中間演出状態が図示されているが、図71(a)に図示されるように、第2動作ユニット700を張出状態とすれば、覆設部材787と第2装飾回転部材660との上下間隔が更に縮まり、一体的に視認される作用を高めることができる。
この時、張出装飾部652bが視認可能な位置に張り出しており、第3図柄表示装置81の右縁が領域右端RE1よりも右方に拡大しているように視認させる上述の作用により、第2演出面661bの配置が右縁寄りであっても窮屈な印象を遊技者に与えることを防止できる。
また、これにより、第2主装飾面787b1と同様に、第2演出面661bも第3図柄表示装置81の中央側に配置されているように遊技者に視認させることができ、第2主装飾面787b1と第2演出面661bとが一体的に視認される作用を高めることができる。
この場合において、張出装飾部652bの装飾を、第2演出面661bの装飾や、第2主装飾面787b1(第1主装飾面787a1)の装飾と関連する内容で形成することで、第2主装飾面787b1(第1主装飾面787a1)、第2演出面661b及び張出装飾部652bが一体的に視認される作用を高めることができる。
図70(c)及び図70(d)では、第1動作ユニット600及び第3動作ユニット800が演出待機状態とされ、第2動作ユニット700が張出状態とされている。第2動作ユニット700の反転動作について図70(d)に図示するが、第1動作ユニット600の張出状態において第2装飾回転部材660は、第2動作ユニット700の覆設部材787の左右外側に配置されるものでは無いので、第1動作ユニット600を張出状態としたままでも、覆設部材787の反転動作(図59参照)を実行することができる。
覆設部材787の反転動作においては、左右が異なる副装飾面787a2,787b2を正面側に向けることになるので、識別力を有しない状態とできることについて上述したが、図70(d)に示すように、異なる副装飾面787a2,787b2が組み合わさることで遊技者が内容を識別可能に構成しても良い。
図70(d)によれば、「ピンチ!?」との内容を遊技者が識別でき、この状態で第2動作ユニット700の駆動を停止させることで第2動作ユニット700のその後の動きに注目させることができるので、遊技者の視線を第2動作ユニット700に集めることができる。
例えば、抽選がはずれであることを報知する場合に、図70(d)の状態から図70(c)に戻すように制御し、抽選結果について未だ報知しない場合や抽選が大当たりであることを報知する場合に、図70(d)の状態から反転を継続し図71(a)に示す状態とするような制御を行うことで、遊技者の視線を第2動作ユニット700に集めることができる。
図71(a)では、第1動作ユニット600及び第2動作ユニット700が張出状態とされ、第3動作ユニット800が演出待機状態とされる。なお、第2動作ユニット700の上方には、正面視では見えないものの遊技者目線で視認可能な面としての第2副装飾面787b2が想像線で図示される。
図71(a)に示す状態では、第2演出面661bと、第2主装飾面787b1とが、近接配置され、それぞれに記載される文字が共に横書きであるので、遊技者に一体的に視認させ易い。また、その内容は、「攻撃発動」との一連の意味を成す内容となるので、尚更、一体的に視認させ易い。
第1動作ユニット600は、演出待機状態(図70(a)参照)においては、第1演出面661aと、装飾固定部材670とが、近接配置され、それぞれに記載される文字が共に縦書きであるので、遊技者に一体的に視認させ易い。また、その内容は、「ノーマルタイム」との一連の意味を成す内容となるので、尚更、一体的に視認させ易い。
このように、本実施形態では、第1動作ユニット600の各演出面661a,661bを、異なる部材の側面(例えば、第2主装飾面787b1又は装飾固定部材670の前面)と一体視させるように構成している。これにより、演出効果を向上することができる。
図71(b)から図71(d)では、第1動作ユニット600及び第2動作ユニット700が演出待機状態とされ、第3動作ユニット800が張出状態とされる。図71(b)に示す状態と、図71(c)に示す状態とは、第3動作ユニット800が一体回転動作を実行されることにより、第1装飾部材870の配置が異なる。一方で、いずれの状態から切替回転動作が実行されたとしても、遊技者に対して同一の一連合体状態として視認させることができる(図71(d)参照)。
即ち、第2装飾部材880が正面側を向く状態では、第1装飾部材870の配置の違いを遊技者が認識することはできないように構成されている。これにより、第3動作ユニット800の動作制御として、図柄変動中に第3図柄表示装置81で表示される表示演出の終盤に切替回転動作が実行されることで大当たりの当否を報知するよう設定される場合において、第1装飾部材870の配置から大当たりの当否の報知の有無を遊技者に予想されることを回避することができる。
換言すれば、表示演出の終盤における第1装飾部材870の配置に寄らず(図71(b)に示す状態であっても図71(c)に示す状態であっても)、大当たり当否の遊技者の期待感を、同様に保つことができる。従って、第3動作ユニット800に対する遊技者の注目力を高い状態で維持し続けることができる。
上述のように、各動作ユニット600~800は、装飾を単独で視認される場合と、組み合わせで一体的に視認される場合とを形成可能とされる。そのため、各動作ユニット600~800に形成される装飾は、各動作ユニット600~800のみで完結するのではなく、各動作ユニット600~800同士で互いに関連する装飾として設計される。
各動作ユニット600~800の駆動制御は、その実行の可否が互いの配置に影響される。即ち、不適切なタイミングで各動作ユニット600~800の駆動を実行すると、部材動作が衝突し故障する可能性があるので、駆動制御に当たっては、他のユニットの部材の配置を判定した上で行うように制御される。
例えば、第1動作ユニット600の張出状態への変化は、第2動作ユニット700の状態は任意で良く、第3動作ユニット800は演出待機状態と判定されている場合に実行されるよう制御される。
第1動作ユニット600の中間演出状態への変化は、第2動作ユニット700の状態は任意で良く、第3動作ユニット800の上下配置は任意で良く、回転動作は切替回転動作が生じていないと判定されている場合に実行されるよう制御される。
第2動作ユニット700の張出状態への変化は、第1動作ユニット600の状態は任意で良く、第3動作ユニット800は演出待機状態と判定されている場合に実行されるよう制御される。
第2動作ユニット700の中間演出状態への変化は、第1動作ユニット600の状態は任意で良く、第3動作ユニット800の上下配置は任意で良く、回転動作は切替回転動作が生じていないと判定されている場合に実行されるよう制御される。
第3動作ユニット800が張出状態へ変化し、回転は実行されないか一体回転動作のみが生じる制御は、第1動作ユニット600が中間演出状態または演出待機状態と判定され、第2動作ユニット700が中間演出状態または演出待機状態と判定される場合に実行される。
第3動作ユニット800が張出状態へ変化し、切替回転動作が生じる制御は、第1動作ユニット600が演出待機状態と判定され、第2動作ユニット700が演出待機状態と判定される場合に実行される。
上述のように、各動作ユニット600~800の駆動制御は、任意のタイミングで可能とされるものではなく、他のユニットの部材の配置を判定した上で実行されるよう制御される。
次いで、第1実施形態における振分装置300の細部について、説明する。なお、振分装置300の細部の説明では、図1から図25を適宜参照する。まず、前意匠部材162に施される装飾の一例について説明する。
図72は、振分装置300の正面斜視図である。図72では、上記の図5で示した内容との差異として、前意匠部材162に光透過性の窓部162dが形成されている。
図72に示すように、振分装置300の正面側に配設される前意匠部材162は、前板が光透過性の樹脂材料で形成され、その前板の中央側範囲において周辺範囲よりも光透過性の高い範囲としての窓部162dが形成される。
本実施形態では、窓部162dの形状に合わせて中央側範囲が切り抜かれた光透過性のシール部材SL1が前意匠部材162の前板に貼り付けられている。この構成により、窓部162dの前後厚みが、その周囲においてシール部材SL1が貼り付けられている範囲の前後厚みに比較して薄くなり、前意匠部材162を光が透過する度合いに差を持たせることができるので、窓部162dの光透過性を高くすることができる。
窓部162dは、遊技者が振分装置300を見る際、視線が前意匠部材162の板部を通ることを考慮して、振分装置300の視認性を向上することを第1の目的として形成され、特に、振分装置300の内部を流下する球の流下態様が把握できないという遊技者からの不満を解消することを第2の目的として形成される。即ち、窓部162dは、振分装置300の形状を考慮した形状および大きさで形成される。
なお、周辺範囲よりも光透過性の高い部分としての窓部162dの形成手段は何ら限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、前意匠部材162の板部に導光板を配置したり、導光板と同様の機能を奏するよう複数の溝パターンを形成したりして、LED等の発光手段の発光のパターンごとに前意匠部材162の見え方を変化させるようにしても良いし、前意匠部材162に模様や絵柄を直接描いても良いし、前意匠部材162の窓部162dに相当する範囲を開口として形成しても良い。
また、窓部162dの形状は、図72に示す形状に限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、同一の上下幅で左右に延びる帯形状としても良いし、左右幅が上方に張り出す範囲の左右幅と同等となるように、左右外方に延設されている部分を省略した形状(ホームベースのような5角形形状)としても良いし、前意匠部材162の前板縁部の形状に沿った形状としても良い。
また、窓部162dは単一の範囲として形成されているが、これに限定されるものではなく、種々の態様が例示される。例えば、光透過性の高い範囲が、格子状部や梯子状部で仕切られる複数箇所の組み合わせで形成されても良いし、小窓が複数個整列する態様で範囲が区画されても良いし、窓部が無秩序に配列される態様で範囲が区画されても良い。また、窓部の形状が可変に構成されても良い。
また、シール部材SL1の表面形状は何ら限定されるものではない。例えば、シボ加工による表面形状のように多数の凹凸が形成させる表面形状でも良いし、表面に多数の溝形状や突条が形成されても良いし、平滑表面として形成されても良い。
なお、窓部162dの表面形状は、平滑面として形成されることが好ましいが、周囲(シール部材SL1の形成範囲に相当)よりも高い光透過性が確保できる態様であれば良く、上述のシール部材SL1の表面形状と同様の形状の他、種々の態様を採用することができる。
図73は、可変入賞装置65及び振分装置300の正面図である。図73では、上記の図21で示した内容との差異として、前意匠部材162に光透過性の窓部162dが形成されている。
図73に示すように、窓部162dは、左右対称形状で形成され、上下に短く左右に長い主窓部162d1と、その主窓部162d1の左右中央部の上方に連なって形成される副窓部162d2と、を備える。
本実施形態では、主窓部162d1及び副窓部162d2は、無色透明の樹脂材料から形成され、光透過性が高い状態で維持される。各部の形状について、以下で詳述する。
主窓部162d1は、正面視における外縁形状が、第2流路構成部335及び第3流路構成部336の視認性を確保するために十分な形状で設計される。即ち、図73に示すように、第2流路構成部335及び第3流路構成部336の球通路の上下幅と同等の上下幅で形成されると共に、第2流路構成部335の傾斜に合わせて左右外側へ向かう程上昇傾斜するV字形状とされる。
これにより、第2流路構成部335及び第3流路構成部336を流下する球を、正面視で主窓部162d1の内側に収めることができることから、第2流路構成部335及び第3流路構成部336を流下する球の視認性を向上することができる。
主窓部162d1の左右端は、球通過孔163bと同様の左右位置で形成される第1流路構成部334(図17参照)の左右幅の中央付近に設定される。即ち、主窓部162d1を通して第1流路構成部334の外壁の全体が見えるわけではなく、特に、側壁部334aの視認性は低くされる。
これにより、見栄えの良い形状とすることが要求される場合のように遊技者に視認されることを前提として設計する場合に比較して、側壁部334aの形状設計において、設計の自由度を向上することができる。
副窓部162d2は、正面視における外縁形状が、発光手段351からの光で照らされるシール部材313の視認性を確保するために十分な形状で設計される。即ち、図73に示すように、シール部材313を覆う矩形状に形成される。
これにより、第3流路構成部336を流下する球の視認性に加え、球の流下態様に基づいて点灯タイミングが制御される発光手段351により照らされるシール部材313の状態を遊技者が把握し易いように構成できるので、遊技者に快適な遊技を提供することができる。
図74は、図16の矢印XXIII方向視における可変入賞装置65及び振分装置300の斜視図であり、図75は、図73のLXXV-LXXV線における可変入賞装置65及び振分装置300の断面図である。図74及び図75では、上記の図23及び図18で示した内容との差異として、前意匠部材162に光透過性の窓部162dが形成されている。
図74に示すように、振分装置300を見下げる方向視(角度付きの方向視)で視認する場合、前側位置に配置されるスライド変位部材370の上突設部376の一部が開閉板65bの下側で視認される。
これに対し、スライド変位部材370が後側位置に移動すると、図74の方向視において上突設部376は開閉板65bの奥側に隠されることになる。従って、遊技者は、上突設部376が見えてさえいれば、第3流路構成部336を流下した球が確変検出センサSE11を通るのか、通常検出センサSE12を通るのかについて、容易に予想することができる。
上突設部376へ向けた視界は、上部材310の第2上面部314bの内側面314b1が正面側へ向かう程に左右外側へ向かって傾斜する傾斜面として形成されていることによっても、良好に確保されている。
即ち、第2上面部314bは、第2流路構成部335を流下する球の跳ね上がりを防止する天井面としての機能を果たしながら、内側面314b1を傾斜面として構成することで上突設部376への視界が不要に遮られることを回避している。
また、内側面314b1が傾斜面として構成されていることは、上面部314が前方へ向かう程に下降傾斜する傾斜面として構成されていることの短所を補っている。上面部314を上述のような傾斜面として構成する場合、図74に示すような見下げる方向視(角度付きの方向視)における上面部314の投影面積を大きくすることができることから、上面部314の光拡散加工面314cを介して光を視認させる演出の演出効果を向上し易いという長所がある一方で、上面部314の投影面積が大きくなることから、その下を流下する球を遊技者の視界から隠す範囲が広がる場合があるという短所がある。
換言すれば、上面部314が前方に向かう程に下降傾斜する傾斜面として構成されることは、光演出には有利に働く一方で、流下する球の視認性には不利に働く可能性がある。
これに対し、本実施形態では、内側面314b1が左右外側へ向かって傾斜する傾斜面として形成されていることにより、第2流路構成部335から第3流路構成部336へ球が進入する箇所において上面部314の投影面積を減らすことができ、上面部314の下を流下する球の視認性を向上することができる。
図74に示すように、振分装置300を見下げる方向視(角度付きの方向視)で視認する場合、シール部材313が副窓部162d2の内側には視認されないことから、対策なしでは、シール部材313の状態を視認するためにシール部材313が見えるように目の位置や視線角度を調整することを遊技者に強いることになり、快適な遊技を阻害する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、シール部材313に光を向ける発光手段351の光軸としての直線LL1は、シール部材313を通り、副窓部162d2を通ることから、発光手段351から照射された光の一部はシール部材313を通った後で副窓部162d2に到達する。そのため、直線LL1上の発光手段351が点灯しているか否かを、副窓部162d2を見ることで把握することが可能である。
シール部材313には光拡散加工がされていないので、発光手段351からの光の進行を留める作用は弱く、光を十分に副窓部162d2まで到達させることができる。これにより、発光手段351の点灯時には、シール部材313の色である赤色の光が副窓部162d2に到達することで、副窓部162d2を赤色に光らせることができる。
これにより、光が到達する前における副窓部162d2の無色透明の状態との違いが分かり易くされるので、遊技者は、発光手段351の点灯の有無を把握し易くなる。なお、シール部材313(又はシール部材313が配設される壁部)に光拡散加工を設けるようにしても良い。この場合、シール部材313を均一に発光させ易くすることができる。
図75に示すように、直線LL1は、第3流路構成部336を流下する球と重ならない位置(高さ位置)に配置される。即ち、第3流路構成部336を流下する球が配置され得る範囲よりも上側において直線LL1が配置される。
加えて、直線LL1は、特定入賞口65aに入球する球と重ならない位置に配置される。即ち、特定入賞口65aに入球した球が乗る下面部163aよりも下側において直線LL1が配置される。
更に、被固定部材161と前意匠部材162との間においては、上述のように、前意匠部材141(図7参照)により球の流下が阻害されることにより、球の流下範囲は前意匠部材141の左右幅よりも左右外側に寄せられる。そのため、被固定部材161と前意匠部材162との間を流下する球についても、直線LL1と重なることは避けられる。
従って、直線LL1上に、ベース板60の正面側(例えば、遊技領域)を流下する球や、特定入賞口65aに入球した球や、振分装置300(例えば、第3流路構成部336)を流下する球が配置されることで、光が球で反射して屈折する事態を回避することができる。これにより、球の流下態様に寄らず、発光手段351から照射された光を副窓部162d2に安定的に到達させることができる。
なお、本実施形態におけるシール部材313の配置は、遊技者が目線を変えなければシール部材313を視認し難い状態を継続できることが遊技者にとっての利益につながる場合がある。
例えば、常時シール部材313が視界に入る構成では、発光手段351が発光する度に光が遊技者の目に入るので、遊技者によっては眩しく感じるところ、本実施形態のように発光手段351を見え難く配置することで、遊技者の感じる眩しさを弱めることができる。
なお、本実施形態では発光手段351からの光が副窓部162d2に到達する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、直線LL1と交差する範囲において、被固定部材161に光拡散加工を形成することで、光が副窓部162d2まで到達し難いように構成しても良い。
この場合、図74に示す状態から視線を変えてシール部材313を直接見られるようにしなければ、シール部材313に向けて発光手段351が点灯しているか否かを把握し難いように構成することができる。そのため、遊技者が、遊技の好みとして、球が確変検出センサSE11に入球したか否かを知りたくない場合であっても、図74に示す視線を維持していれば目的を達成することができるので、このような遊技者の遊技負担を低減することができる。
なお、本実施形態では副窓部162d2が平滑な面形状から形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、副窓部162d2の表裏面の少なくとも一方に光拡散加工を施したり、光が拡散し易いように内部に気泡部を設けたりするように形成しても良い。
この場合、副窓部162d2に到達した光が拡散することで、副窓部162d2を通して視認される光の面積を大きくすることができる。これにより、副窓部162d2が照らされていることを遊技者が気付き易くすることができる。
ここまでは、発光手段351を構成するLEDの内、シール部材313に光を向ける発光手段351、即ち、直線LL1上に配置されるLEDから照射される光について説明した。次いで、発光手段351を構成するLEDの内、最下段で左右4箇所に配置される複数のLEDから照射される光について説明する。
図76は、図75のLXXVI-LXXVI線における振分装置300の中部材330、スライド変位部材370、下部材380及び検出センサSE1の断面図である。図76では、発光手段351の配置が、想像線で図示される。
以下の説明では、発光手段351の内、最下段で左右内側に配置されるLEDを内側発光手段351cとし、最下段で左右外側に配置されるLEDを外側発光手段351dとして、改めて称して説明する。
まず、図76に示すように、内側発光手段351cの光軸(前後方向に延びる直線)は、光拡散加工面332eの内側に配置される。そのため、内側発光手段351cから光が照射される場合、左右に亘る範囲で形成される光拡散加工面332eが照らされる発光演出が実行される。
この発光演出は、確変検出センサSE11と通常検出センサSE12とで球の流れが分岐する分岐箇所BP1(図75参照、第3流路構成部336の後端部から連続的に繋がる左右に長い空間)の背面側で実行される。
そのため、内側発光手段351cが点灯している状況において、分岐箇所BP1を球が流れる場合、左右に亘る範囲で発光する光拡散加工面332eの手前側を流れる球が配置される箇所が影として視認されるので、遊技者は、影の変位を視認することで球がどのように流れたかを容易に把握することができる。
内側発光手段351cの光軸は、前後長突設部317を通る(図75参照)。また、左右内突設部318には光軸は通らないものの、光軸付近の光が通り得る配置とされており、左右内突設部318の突設端部は前後方向視および上下方向視で湾曲形成されている。
そのため、内側発光手段351から照射された光の一部は、前後長突設部317及び左右内突設部318の湾曲形状によって屈折することで、前斜め下方へ向けて進むようになり、この光は光拡散加工面340(図75参照)に到達し得る。
光拡散加工面340は、第3流路構成部336の下側面の全範囲に形成されているので(図14参照)、光拡散加工面340に光を到達させることで、第3流路構成部336の下底面の下側の空間の視認性を低下させることができる。従って、第3流路構成部336の内側を流下する球と、アウト口71(図75参照)を通過して第3流路構成部336の下側を流下するアウト球との区別をし易くすることができる。
一方、図76に示すように、外側発光手段351dの光軸(前後方向に延びる直線)は、光拡散加工面332eの外側(上側)であり、且つ、光拡散加工面319a,333bの内側に配置される。そのため、外側発光手段351dから光が照射される場合、光拡散加工面319a,333bが照らされる発光演出が実行される。
この発光演出は、確変検出センサSE11と通常検出センサSE12とで球の流れが分岐する分岐箇所BP1(図75参照、第3流路構成部336の後端部から連続的に繋がる左右に長い空間)の上側および正面側で実行される。
そのため、外側発光手段351dが点灯している状況において、分岐箇所BP1を球が流れる場合、その球の上側や手前側において光拡散加工面319a,333bが発光することになり、分岐箇所BP1を流れる球が光拡散加工面333bに隠されることになるので(図17参照)、遊技者は、分岐箇所BP1を球がどのように流れたかの把握がし難くなる。
加えて、光拡散加工面333bは上下に亘って形成されており、その上側には上面部314の光拡散加工面314cが配設される(図73参照)。そのため、分岐箇所BP1を前後方向視で視認し難くする作用に加えて、光拡散加工面333bを上側から覗き込むような角度の視線(図74参照)に対しても、光拡散加工面314cの発光により分岐箇所BP1を視認し難くすることができる。
また、光拡散加工面333bは上下に亘って形成されており、その下側には光拡散加工面340が配設されており、この光拡散加工面340は第2流路構成部335の下側裏面にまで形成される(図14参照)。そのため、分岐箇所BP1を前後方向視で視認し難くする作用とは別に、第2流路構成部335の下側面を発光させ、第2流路構成部335を球が流下する際に、その球が光(光拡散加工面340で拡散された光)を遮ることによる影を生じさせることで、球が流下していることを遊技者が把握し易くすることができる。
ここで、光拡散加工面333bは、分岐箇所BP1の前側に配設される(図17及び図75参照)。そのため、外側発光手段351dと光拡散加工面333bとの位置関係によっては、球で光が隠される事態が発生し得るところ、本実施形態では、外側発光手段351dの光軸(前後方向に延びる直線)が、分岐箇所BP1を球が流下する範囲の外側(上側)に配置されるので(図76参照)、分岐箇所BP1に配置される球により光が遮られる事態を回避することができる。
そのため、振分装置300内の球の流下態様によらず、外側発光手段351dを発光させることで、光拡散加工面333bを明るく照らすことができる。光拡散加工面333bが照らされた場合、その前側に配置される第2流路構成部335(図17参照)を流下する球が光を遮ることで影が生じるので、遊技者は、第2流路構成部335を流下する球の流下態様を把握し易くなる。
本実施形態では、分岐箇所BP1に配置される球により光が遮られる事態を回避するための工夫として、球の流下を滑らかにするための構成が採用されている。その構成について説明する。
分岐箇所BP1に到達し流下する球は、スライド変位部材370が後側位置に配置されている状態では(図20参照)、真下に流下して確変検出センサSE11を通過し、スライド変位部材370が前側位置に配置されている状態では(図18参照)、球案内部371bの傾斜に沿って左右外側へ流下して通常検出センサSE12を通過する。
スライド変位部材370が前側位置に配置されている状態における球の流下において、スライド変位部材370の左右外側端部を支持する板状部382の貫通孔縁部382aは、確変検出センサSE11の左右外側縁部と通常検出センサSE12の左右内側縁部とをつなぐように配設され、上面が左右外側へ向けて下降傾斜する傾斜面として形成される。そのため、貫通孔縁部382aの上面に到達した球は、左右方向外側へ流下し易い構成とされる。
これにより、球案内部371bの傾斜に沿って左右外側へ流下開始した球が、貫通孔縁部382aに橋渡しされた後において左右方向内側に逆流したり、跳ねたりする事態を回避し易くすることができ、球の流下を滑らかにすることができる。
なお、光拡散加工面319aは、分岐箇所BP1の前後幅の内側に配設される。そのため、光拡散加工面319aの背面側に球が配置される状況が生じ得ないので、外側発光手段351dと光拡散加工面319aとの位置関係に寄らず、球で光が隠されるという事態は発生し難い。
このように、内側発光手段351cと外側発光手段351dとは、単純に左右にずれて配置されているだけではなく、その前側において異なる前後位置で配置される光拡散加工面332e,319a,333bと各発光手段351c,351dの光軸との配置関係に意図的に差を設けて設計し、発光手段351c,351dからの光が到達する光拡散加工面332e,319a,333bを異ならせることで、光が到達し拡散され視認される前後位置を異ならせることができる。
上述の説明では、内側発光手段351cを発光させる場合と、外側発光手段351dを発光させる場合と、を別々に説明し、逆側の発光手段351c,351dは消灯している前提で説明したが、実際の各発光手段351c,351dの発光制御は片側ずつではなく、両点灯や、両消灯などの制御態様も生じ得る。以下、発光制御のパターンと、その際の振分装置300の内部流路の見え方について説明する。
図77(a)から図77(d)は、振分装置300の中部材330の正面斜視図である。図77(a)から図77(d)では、理解を容易とするために光拡散加工面の形状線としての筋の図示が省略されており、それぞれ、発光手段351c,351dの点灯および消灯の組み合わせが異なる場合について図示されており、発光手段351c,351dからの光により明るく光る範囲が網掛け模様で図示される。
即ち、図77(a)では、発光手段351c,351dが共に消灯されている両消灯状態が図示され、図77(b)では、内側発光手段351cが点灯し外側発光手段351dが消灯されている内点灯状態が図示され、図77(c)では、内側発光手段351cが消灯し外側発光手段351dが点灯されている外点灯状態が図示され、図77(d)では、発光手段351c,351dが共に点灯されている両点灯状態が図示される。
両消灯状態では、図77(a)に示すように、各光拡散加工面332e,319a,333bが照らされておらず、その奥側の視認性が確保されるものの、メリハリのない印象を遊技者に与える。特に、第3流路構成部336の上側を流れる球と、第3流路構成部336の奥側(下側)を流下するアウト球との区別がつき難い状態となる。
内点灯状態では、図77(b)に示すように、第3流路構成部336の下側の光拡散加工面340が照らされることで、第3流路構成部336の上側を流れる球の視認性を高く維持し、且つ、第3流路構成部336の奥側(下側)を流下するアウト球の視認性が低くなる。
更に、分岐箇所BP1の背面側において光拡散加工面332eが照らされることから、分岐箇所BP1における球の流れの視認性を向上することができる。その上、光拡散加工面332eの手前側に配置される光拡散加工面319a,333bは照らされない状態で維持されるので、分岐箇所BP1が光で目隠しされる事態を回避することができる。
即ち、内点灯状態では、第3流路構成部336から分岐箇所BP1へ至る範囲が光で照らされ、前側枠状部333を介して分岐箇所BP1を見ようとする視線も通ることから、分岐箇所BP1における球の流下態様を遊技者が把握し易くすることができる。また、球の流下態様を把握する上で注目すべき箇所に光が照らされているので、注目箇所を遊技者が見逃す可能性を低くすることができ、遊技者の遊技ストレスを低減することができる。
前側枠状部333の内側面には、全範囲に亘り光拡散加工面333bが形成されており(図13参照)、遊技者目線で前側枠状部333を透かして背後を視認することが困難となるように構成される。
前側枠状部333を透かして背後を視認する場合、前後方向視では、前側枠状部333の内側面の内、前後で対向配置される2側面を透かして背後を視認することになるので、透かして見る必要がある板が多い分、尚更、背面側を視認することが困難である。
同様のことが、前側枠状部333を、左右内側から斜め左右外側方向に傾斜する視線(正面側左右中央位置から、通常検出センサSE12へ向かう傾斜した視線)で奥側を透かして視ようとする遊技者にとっても言える。
即ち、本実施形態では、光拡散加工面333bが矩形筒形状の内側に亘って形成されるところ、この傾斜する視線上には、前側枠状部333の後側面と、左右内側面(仕切り板部338と対向配置される側面)とが配置される。そのため、透かして見る必要がある板が多い分、尚更、背面側を視認することが困難である。
このように、前側枠状部333によれば、前後方向視だけでなく、斜め方向視であっても、前側枠状部333の後側を透かして見ることを困難にすることができる。
外点灯状態では、図77(c)に示すように、光拡散加工面319a,333bが照らされることから、分岐箇所BP1において左右外側に流れた球が光で隠されることになるので、流下球の視認性が低くなる。
一方で、第2流路構成部335の奥側(下側)に形成される光拡散加工面340が照らされることから、第2流路構成部335を流下する球の視認性を向上することができる。即ち、外点灯状態では、手前側を流れる球の視認性を向上することで遊技者の注目力を向上する効果はあるが、分岐箇所BP1自体の視認性が低くなる。
両点灯状態では、図77(d)に示すように、光拡散加工面332e,319a,333bが広範囲で照らされる。光で照らされる状況としては、内点灯状態および外点灯状態の組み合わせであり、双方の効果を生じ得るが、有利な効果で補助し合うばかりではない。
例えば、光拡散加工面333bが照らされていることから、分岐箇所BP1を左右外側に流れる球が光に隠されるという特徴は、外点灯状態から引き継がれることになる。そのため、分岐箇所BP1の視認性を高める目的からすれば、内点灯状態で維持することが最適である。
発光手段351c,351dの点灯消灯に係る制御態様は、種々の態様が例示される。例えば、大当たり遊技において、確変検出センサSE11(図76参照)に球が入球する可能性があるラウンド遊技においては、分岐箇所BP1に遊技者が注目し易いように内点灯状態を構成するよう制御し、それ以外のラウンド遊技では、外点灯状態や両点灯状態を構成することで全体的に明るくするように制御しても良い。
また、例えば、ラウンド遊技の種類によらず両点灯状態と両消灯状態とを交互に切り替える態様で制御するようにしても良い。
また、発光手段351c,351dを点灯させるタイミングはラウンド遊技に限るものではなく、種々の態様が例示される。例えば、図柄変動中のリーチ正立後に発光手段351c,351dを点灯させるように制御しても良いし、入賞口63,64,140,65aやスルーゲート67に球が入球したことが検出されたら、発光手段を351c,351dを点灯させるように制御しても良い。
図73から図75に戻って、特定入賞口65a付近において球の流下を適正化するための構成について、改めて詳述する。図73に示すように、開閉板65bの左右外側に配置される延設部162bの上側面は左右外側へ向けて下降傾斜する傾斜面として形成されている。
そのため、開閉板65bが開放状態であるか閉鎖状態であるかに関わらず、開閉板65bの左右外側へ逸れた球であって延設部162bの上側面に乗った球を左右外側(開閉板65bが配置される側の反対側)へ流すことができるので、延設部162bに乗った球が特定入賞口65aの手前側を通り流下することを避けることができる。
従って、アウト口71へ流下する大部分の球の流下態様を、内レール61を転動する流下態様とすることができるので、アウト口71付近において球が跳ね上がる(高くバウンドする)事態の発生を回避することができる。これにより、跳ね上がった球により、主窓部162d1や、その奥側に配置される第3流路構成部336が隠され、視認性が低下することを回避することができる。
図74に示すように、開閉状態における開閉板65bの上側面は左右方向に延びる平面状に形成されている。一方で、第2流路構成部335は、左右中央側(仕切り板部338側)へ向かう程に下降傾斜している。
そのため、左右中央側に近づく程、開閉板65bと第2流路構成部335との上下間隔が長くなるので、開閉板65bの上側面を転動する球と、第2流路構成部335から第3流路構成部336へ向かって流れる球と、を区別し易くすることができる。
図74に示すように、開閉板65bは、上側面に乗った球を漏れなく特定入賞口65aへ流し込むような形状とされるが、球の流れが遅滞しないように種々の形状的な工夫がされている。
例えば、第1に、受入部材163の案内板部163a2は、開閉板65bの左右端部の上側面から後方に流れる球と当接し、その球を左右内側に案内するための板状部である。案内板部163a2は水平方向に延びる板状ではなく、開閉板65bから受入部材163へ向けて流れる球の上下位置変位に合わせて、左右内側に下降傾斜する方向に延びる板状に形成される。
即ち、案内板部163a2の前側端部は左右内側ほど後方に配置されるような傾斜面として形成されているところ、開閉板65bに乗る球が当接する左右外側端部付近よりも、開閉板65bよりも床面が低い受入部材163に受け渡される球が当接する左右内側部の方が、位置が下側になるように傾斜する方向に延びる。
これにより、案内板部163a2に当接する球の当接位置(球の全長における当接高さ)を安定させることができ、球をスムーズに案内することができる。なお、本実施形態では、球の全長における中心高さ位置で球と当接可能となるように、開閉板65bや受入部材163の床面との相対関係から案内板部163a2の配置が設計される。
例えば、第2に、開閉板65bの上側面後端部(回動基端側部)と、受入部材163の下面部163aとの高さ関係は、途中で逆転するように構成されている。即ち、下面部163aの高さ位置が最も高い左右中央位置においては開閉板65bの高さ位置の方が下であるが、下面部163aが左右側へ向かう程に下降傾斜しており、左右幅方向外側における一対の切替位置EP1でその上下が反転するよう構成されている。
本実施形態では、切替位置EP1は、開閉板65bと受入部材163との間における球の流下態様を切り替える位置としての性質を持っており、前側枠状部333の左右内側面(仕切り板部338と対向配置する側面)と同一平面上の位置(図74で前側枠状部333の真上位置)として設計される。
切替位置EP1の左右内側範囲(左右一対の切替位置EP1の間の範囲)では、球の転動面の上下位置の関係から、開閉板65bから受入部材163への球の転動が抑制される一方、受入部材163から開閉板65bへの球の転動は抵抗少なく生じ得る。
例えば、開閉板65bの左右中央位置付近で後方に跳ねた球が受入部材163(の内側後面)に衝突して再度前方に跳ねたとしても、球跳ねが収まって転動し始めた後では、球が開閉板65bから受入部材163に乗り上げることを抑制することができる。
なお、開閉板65bから受入部材163側に転動する球は、受入部材163に乗り上げるのではなく、球が下面部163aと当接し始めると、下面部163aの左右傾斜に沿って球が左右外側に流されることになる。
なお、開閉板65bの左右中央位置付近への球の落下は、前意匠部材141(図7参照)が球の落下を規制していることから生じにくいため、球跳ねも生じにくい構成であるといえる。但し、球同士の衝突などにより球跳ねは生じ得る。
切替位置EP1の左右外側範囲(左右一対の切替位置EP1よりも左右外側(球通過孔163bが配置される側)の範囲)では、球の転動面の上下位置の関係から、受入部材163から開閉板65bへの球の転動が抑制される一方、開閉板65bから受入部材163への球の転動は抵抗少なく生じ得る。例えば、他の球との衝突や遊技機の振動等により、下面部163aを転動している球に前側への速度が生じたとしても、球が開閉板65b側に逆流することを回避することができる。
切替位置EP1についての記載をまとめると、受入部材163側から球が前側に転動できる範囲を、一対の切替位置EP1の間の範囲に限定することで、球通過孔163b付近での球の逆流を回避して球の流下をスムーズにすることで、球が滞留する事態の回避を図っている。
加えて、一対の切替位置EP1の間の範囲からの球の後方への転動は、後方への流れが済んでから、左右方向の流れに切り替わるという転動態様ではなく、一対の切替位置EP1の間の範囲と球通過孔163bとを結ぶ斜めの直線方向に沿う転動態様となる。
換言すれば、前後方向および左右方向のように直角に交差する経路での流れではなく、一端が同位置に配置される前後方向直線と左右方向直線の他端同士を結ぶ斜辺に沿う流れとすることができるので、球の転動経路を短縮することができる(直角三角形において、斜辺の長さが、他の2辺の長さの合計よりも短いことに相当)。
更に、開閉板65bの左右位置に亘って球が後方に流れ易い場合に比較して、本実施形態のように、一対の切替位置EP1の間の範囲では球が前方に流れ易いよう構成することで、受入部材163に多数の球が同時に入球した場合でも、球の流れが停滞する事態を回避し易くすることができる。
図75に示すように、受入部材163は、一対の切替位置EP1の左右外側の範囲には形成されておらず(図16参照)、一対の切替位置EP1の左右中央側の範囲において前側に空間を空けるよう上昇傾斜する板状に形成される上面部163fを備えている。
上面部163fは、下面部163aの位置が高くなることで一対の切替位置EP1の間の範囲において球が詰まる可能性を低くするための工夫であり、上面部163fにより、球を配置する空間の上下幅を確保することができる。
これにより、一対の切替位置EP1の間の範囲における球詰まりを防いだり、球が乗った状態で開閉板65bが閉鎖変位する場合に開閉板65bと受入部材163との間で球が噛み込むことを回避したりすることができる。
対称突設部161fは、左右に延びる方向が、第2流路構成部335の傾斜角度に沿う方向(水平を基準として5度傾斜する方向)とされ、第2流路構成部335を転動する球の全長における中心高さ位置で球と当接する位置(第2流路構成部335の床底から5.5mm高い位置)に配設される。
これにより、分岐箇所BP1の視認性を確保する目的から対称突設部161fの形成厚みを最小限とする場合において、球の中心高さから外れた位置で球が対称突設部161fに当接することで、球を持ち上げる方向の負荷や球を床に押し付ける方向の負荷が対称突設部161fから球に生じる場合に比較して、球の転動をスムーズにすることができる。
なお、分岐箇所BP1の視認性が低下することを許容するのであれば、対称突設部161fの厚みを球の全長程度の厚みで形成することで、球の中心高さから外れた位置で対称突設部161fが球に当接する事態を回避することができる。
次いで、スライド変位部材370及びその周辺構造について、改めて詳述する。図78は、中部材330、状態切替装置360、スライド変位部材370及び下部材380の上面図である。図78では、理解を容易とするために、中部材330が想像線で透明視され、中部材330の下側に配設されるスライド変位部材370が透けて見えている。
スライド変位部材370は、分岐箇所BP1において前後方向にスライド変位する部材であるが、その前端部は、前側位置(図78参照)においても対向配置される排出孔337の側面と当接せず、隙間が維持される。隙間は、球が確変検出センサSE11に入球することを阻害するのに十分に短い寸法の隙間として形成される。
これにより、球の確変検出センサSE11への入球を防止する目的を達成しながら、スライド変位部材370の前端部が排出孔337の側面との当接により削れたり、変形したりする事態を回避することができる。
また、スライド変位部材370の前端部、即ち、薄板部371の前端部は、左右外側へ向かう程に配置が後方にずれる態様で傾斜形成される。これにより、薄板部371の前端部と排出孔337の側面との間に球が挟まれて滞留することを回避し易くすることができる。
即ち、薄板部371の前端部と排出孔337の側面との間に球が挟まれた場合であっても、薄板部371の前端部が傾斜面として形成されていることから、球に対して生じる負荷は左右外側へ向けた方向成分を有するので、球を左右外側に押し出すことができる。これにより、球詰まりを抑制することができる。
次いで、図79を参照して、スライド変位部材370の変位の案内についての工夫を説明する。スライド変位部材370の配置によって遊技者の利益が変わり得るので、スライド変位部材370の変位には、再現性(安定性)と、スムーズさと、が要求される。
図79(a)は、図78のLXXIXa-LXXIXa線における中部材330、スライド変位部材370及び下部材380の断面図であり、図79(b)は、図78のLXXIXb-LXXIXb線における中部材330、スライド変位部材370及び下部材380の断面図であり、図79(c)は、図78のLXXIXc-LXXIXc線における中部材330、スライド変位部材370及び下部材380の断面図である。なお、図79の説明においては、図13及び図14を適宜参照する。
図79(a)に示すように、上突設部376の正面側における薄板部371の上側面は左右外側ほど下側に位置する傾斜面として形成されており、この傾斜に沿って球が流れ得る。本実施形態では、この傾斜面を転動する球の流れを安定させるために、傾斜面の傾斜が変化するようなスライド変位部材370の姿勢変化を抑制するよう構成されている。
即ち、図79(a)に示すように、スライド変位部材370の薄板部371は、左右両端部だけでなく、下突条部373が下部材380の板状部382に当接支持される。これにより、凹設部372で左右に分けられる一対の球案内部371bのそれぞれを左右両側で下支えする(両持ちで支持する)ことができるので、スライド変位部材370の姿勢変化を抑制することができる。
換言すれば、左右一対の球案内部371bに球から与えられる負荷が異なる場合であっても(球がバランス悪い個数で乗ったとしても)、各球案内部371bについて左右両端部で下支えされていることから、球案内部371b及びスライド変位部材370の左右への傾き(前後方向に延びる軸を中心とした回動方向の変位)を抑制することができる。
また、凹設部372の縁部は、上側に仕切り板部338が配設されていることにより、上方への変位が規制される。即ち、スライド変位部材370の浮き上がり動作や、後傾方向の傾斜変位を抑制することができる。
これにより、スライド変位部材370の姿勢を適正な状態に維持し易くなり、前後方向変位の変位抵抗を抑制することができ、スライド変位部材370の動作不良を防止することができる。
球案内部371bは、上突設部376の突設基端側において前側に張り出し形成される板状部であって、球が転動可能とされる上側面が左右外側へ向かう程に下がる傾斜面として形成される。
球案内部371bと突条部383との接触は、点接触となるように構成されている。即ち、本実施形態では、凹設部372から突条部383側へ一対の半球状突設部372aが突設されており、間隔が埋まる際には、半球状突設部372aと突条部383とが点接触するよう構成される。
ここで、上述したように、球案内部371bは球が転動し得る上側面が左右方向に傾斜する傾斜面として形成されているので、球の自重により球案内部371bにかけられる負荷は、上下方向成分と左右方向成分とに分解されることになり、左右方向成分によりスライド変位部材370は左右方向(スライド変位部材370の変位方向である前後方向と交差する方向)に変位し得る。
この時、スライド変位部材370の凹設部372と突条部383との左右方向隙間を小さくした方が球案内部371bの左右位置が安定し易く好ましい一方で、接触摩擦が生じ易くなることから、機能上の問題が生じる可能性がある。
例えば、球が球案内部371bに乗った状態でスライド変位部材370を前後方向変位させる場合に、接触摩擦が過度に大きくなると前後方向変位が不良となる(例えば、変位が生じない)事態が発生する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、半球状突設部372aと突条部383との接触が点接触となるように構成されているので、摩擦力が生じる面積を低減することができ、接触摩擦を小さく抑えることができる。これにより、球が球案内部371bに乗った状態であっても、スライド変位部材370の前後方向変位を良好に実行することができる。
特に、球案内部371bに球が乗っている状態でのスライド変位部材370の前後方向変位は、確変検出センサSE11に球が入球し得ない状態から、確変検出センサSE11に球が入球可能な状態へ状態を切り替える変位動作であるので、この変位動作を良好に実行することで、遊技者が不利益を被ることを回避することができる。
尚且つ、この変位動作の変位速度を高速とすることで、スライド変位部材370の前後方向変位の時に球案内部371bに乗っている球の回転を変化させる作用を生じさせることができる。
図80(a)及び図80(b)は、スライド変位部材370と球案内部371bの上側面に乗る球との側面図である。図80(a)では、前側位置のスライド変位部材370に球が乗っている状態が図示され、図80(b)では、スライド変位部材370が後側位置に変位した状態が図示される。図80(a)及び図80(b)では、球の回転方向の例が矢印で図示される。
図80(a)に示すように、後方へ向けて転動しスライド変位部材370に到達した球の回転方向は前転方向である。その球がスライド変位部材370に乗っている状態でスライド変位部材370が後側位置へ前後変位するよう電磁ソレノイド361(図13参照)が駆動されると、スライド変位部材370から球に与えられる負荷は、球の回転方向(案内方向)を逆方向(後転方向)とするように作用する。
これにより、球の回転を抑制することができるので、重力の作用を球が受けやすい状態とすることができ、球を真下に落下させ易くなる。従って、スライド変位部材370に球が乗っている状態でスライド変位部材370が駆動された場合に、球が確変検出センサSE11に流下し易い構成とすることができる。
前後長突設部317は、分岐箇所BP1へ到達した球をスライド変位部材370側へ案内する機能を有する。換言すれば、前後長突設部317は、確変検出センサSE11へ球を案内する機能に留まるものではなく、確変検出センサSE11の上流側に配置されるスライド変位部材370の配置によらず球を適切に案内可能な形状部として構成される。
スライド変位部材370が後側位置に配置されている場合には、経路構成上、前後長突設部317に当接した球は確変検出センサSE11を通過する。このとき、前後長突設部317の端部の曲線が、上下方向幅に比較して前後方向幅が長い略円弧形状とされるので(図18参照)、当接した球に対して、前方向成分よりも下方向成分の方が大となる負荷を与えることになる。これにより、前後長突設部317に当接した球が前後方向に跳ね返り、第3流路構成部336を逆流する事態が生じることを回避することができる。
一方、スライド変位部材370が前側位置に配置されている場合には、球の流下方向はスライド変位部材370の形状に委ねられる。本実施形態では、スライド変位部材370の上突設部376の前側面376aが左右外側へ向かって湾曲する湾曲面を形成しているので、球はこの湾曲に沿って左右外側へ案内される。
ここで、スライド変位部材370が前側位置に配置されている状態において、前後方向に流れる球が勢いのままにスライド変位部材370に衝突すると、その衝突時の負荷によりスライド変位部材370が後方に押しのけられ、確変検出センサSE11への球の通過が可能な状態に切り替わる可能性が考えられる。
これに対し、本実施形態では、球がスライド変位部材370の上突設部376に衝突する前に前後長突設部317に当接することで、球の速度方向が下方寄りに修正される。そのため、球からの負荷によるスライド変位部材370の変位方向は主に下方向となるので、スライド変位部材370が後方に押しのけられる事態の発生を回避し易くすることができる。
また、球から与えられる、スライド変位部材370を後方に変位させる方向の負荷が小さくなることから、スライド変位部材370を前側位置に維持するための付勢力(電磁ソレノイド361(図13参照)が有する戻りバネの付勢力)を小さくできると共に、その付勢力に抗してプランジャーを駆動する電磁力を小さくすることができるので、結果として、電磁ソレノイド361の設計自由度を向上することができる。
分岐箇所BP1に球が配置されている状態でスライド変位部材370が後側位置から前側位置に変位した場合にも、球の逆流が生じることを回避し易くすることができる。
左右内突設部318は上突設部376の前側変位終端位置よりも前側において球と当接し、球の勢いが左右外側下方向へ向けられる。尚且つ、前後長突設部317により球の勢いが下方向へ向けられる。これにより、球の前後方向の速度が収まるので、自重による慣性で配置が安定し、スライド変位部材370から与えられる負荷程度では球の逆流が生じ難い状態とすることができる。
更に、球と上突設部376との当接は前後長突設部317と当接する高さ位置よりも球が下がった状態で生じるが、球が上突設部376と当接可能な程度に下がった状態では(図80(a)参照)、球と当接する箇所は球案内部371bであり、第3流路構成部336の下底面336aのよりも低い位置に配置される。これにより、上突設部376から前後方向の負荷を受けて球が手前側に変位したとしても、球案内部371bの上側面から下底面336aに乗り上がるために相当のエネルギーを必要とするので、球の逆流の程度を低くすることができる。
また、上突設部376は仕切り板部338側の前側端部が鋭角形状に形成されており、平面が球と前後方向で正面衝突する衝突態様ではない(図78参照)。即ち、上突設部376から球に対して与えられる負荷は、左右方向の負荷が大きく、前後方向の負荷は小さい。
これにより、上突設部376に当接した球を左右外側方向にスムーズに流すことができるので、分岐箇所BP1に球が配置された状態でスライド変位部材370が後側位置から前側位置に変位する制御態様とした場合に、上突設部376と排出孔337の前側面との間に球が噛み込んでしまい動作不良を生じる事態を回避し易くすることができる。
図78、図79(b)及び図79(c)に戻って説明する。スライド変位部材370を分岐箇所BP1側(前側)に張り出すよう構成している関係上、球案内部371bに乗った球の自重によりスライド変位部材370が前倒れ方向に変位する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、上突設部376よりも後側に形成される部分、即ち、上下突条部374が左右両側において前後に亘って形成される部分の、前後幅長さを十分に確保し、その前後幅に亘って後側枠状部332の下底部と当接可能に構成されている。これにより、スライド変位部材370の前傾方向に傾倒変位を防止することができる。
加えて、上下突条部374が前後に長く形成されていることから、スライド変位部材370を前傾方向に傾倒変位させる負荷がかけられた場合に後側枠状部332に与えられる負荷が一点に集中することを避けることができる。これにより、スライド変位部材370の変形を抑制(剛性を高める)することができる。
また、球案内部371bに球が乗り得る前側位置にスライド変位部材370が配置された状態では、凹設部378が形成される突設部(以下、突設部378aとも称する)の前側面が仕切り板部338の後側面と当接する。
換言すれば、スライド変位部材370は、突設部378aの前側面が仕切り板部338の後側面に当接する位置として前側位置が設定されている。この目的から、仕切り板部338の後側面には光拡散加工面が形成されず、突設部378aと前後で対向配置され互いに当接可能とされる面が平坦面で形成される。これにより、前側位置におけるスライド変位部材370の配置を安定させることができる。
回動部363の下円柱部363cは凹設部378の内側に配置されているので、下円柱部363cを介して伝達される電磁ソレノイド361の駆動力は、突設部378aの前側肉部を介して仕切り板部338の後側面にかけられる。
このように、駆動力が伝達される位置がスライド変位部材370の左右中央部であることから、スライド変位部材370にバランスよく駆動力を伝達することができる。即ち、前後方向変位時に、スライド変位部材370に上下方向軸を中心とする回転方向の姿勢ずれが生じることを回避し易くすることができる。
更に、突設部378aの前側面が仕切り板部338の後側面に面で押し付けられることにより、スライド変位部材370の姿勢を、上下方向軸を中心とする回転方向で修正し易くすることができる。
ここで、スライド変位部材370の姿勢維持や姿勢復帰を仕切り板部338と半球状突設部372aとの当接により実行する場合、仕切り板部338と半球状突設部372aとの当接面積が小さいことから、負荷が局所的にかかってしまい、半球状突設部372aの耐久性が劣化する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、突設部378aの前側面が仕切り板部338の後側面に面で押し付けられる前段階において、スライド変位部材370に上下方向軸を中心とする回転方向の姿勢ずれが生じていたとしても、駆動力の伝達により、突設部378aの前側面が仕切り板部338の後側面に面接触する過程でスライド変位部材370の姿勢ずれを解消することができ、適正な姿勢に修正することができる。
突設部378aに対する仕切り板部338は、前後方向変位時に当接することでスライド変位部材370の位置合わせをする目的の他、スライド変位部材370に与えられる前傾方向の負荷を受ける部分としての機能を有する。
即ち、スライド変位部材370が前側位置に配置される状態において、球案内部371bに乗った球の自重により、スライド変位部材370を前傾方向に姿勢変化させる方向の負荷が生じた場合において、スライド変位部材370に許容される隙間内で突設部378aが変位(前傾方向に変位)しかけると、突設部378aは仕切り板部338の後側面に押し付けられる。
この場合、仕切り板部338の後側面から突設部378aに対して反対方向の抵抗がかけられることで、突設部378aの変位が抑制されることから、スライド変位部材370の姿勢変化を抑制することができる。
次いで、各動作ユニット600,700,800の詳細について説明が不足していた部分について、改めて説明する。まず、第1動作ユニット600の詳細の説明として、回動部材620について説明する。
図81(a)は、回動部材620の正面図であり、図81(b)は、回動部材620の背面図であり、図81(c)は、図81(a)の矢印LXXXIc方向視における回動部材620の側面図である。
また、図82は、第1動作ユニット600の正面図であり、図83は、第1動作ユニット600の背面図である。図82及び図83では、案内長孔616に沿って変位する皿状蓋部C2が変位範囲の右端に配置された状態が図示される。
図81(a)から図81(c)に示すように、動作の実行の際に回動部材620に与えられる負荷との関係から、回動部材620は非対称形状で設計されている。以下、回動部材620の詳細と、回動部材620への作用とについて説明する。
回動部材620の本体部621は、停止時に負荷を受ける平らな側面として、第1側面621aと、第2側面621bと、第3側面621cと、を備える。筒状部622から近い順に、第1側面621a、第2側面621b、第3側面621cが形成されている。
第1側面621aは、回動部材620の傾倒変位側に形成される側面であって、前蓋部材612から正面側に断面コ字状で突設される基端側突設部617aに面で当接可能となる形状で形成される(基端側突設部617aとの関係で形状が設計される)。第1側面621aが基端側突設部617aに変位を規制されることにより、回動部材620の変位可能範囲が規定される(変位可能範囲の終端位置における回動部材620について、図45参照)。
第2側面621bは、回動部材620の起き上がり変位側に形成される側面であって、前蓋部材612から正面側に断面コ字状で突設される先端側突設部617bに面で当接可能となる形状で形成される(先端側突設部617bとの関係で形状が設計される)。第2側面621bが先端側突設部617bに変位を規制されることにより、回動部材620の変位可能範囲が規定される(変位可能範囲の終端位置における回動部材620について、図40参照)。
第3側面621cは、回動部材620の起き上がり変位側に形成される側面であって、前蓋部材612の正面側に外形略矩形の箱状に形成される矩形状箱部618に面で当接可能となる形状で形成される(矩形状箱部618との関係で形状が設計される)。第3側面621cが矩形状箱部618に変位を規制されることにより、回動部材620の変位可能範囲が規定される(変位可能範囲の終端位置における回動部材620について、図40参照)。
このように、回動部材620の変位終端では、回動部材620の各側面621a~621cが、対応した前蓋部材612の部分に当接し、変位を規制される。特に、回動部材620の起き上がり側の変位終端において当接箇所が複数形成されている。
このように当接箇所を複数形成させることの目的として、当接時に受ける回動方向の負荷を複数箇所で分散させる目的と、回動部材620に生じ得る前後方向の負荷を複数箇所で分散させることで回動部材620の前後方向の変形を抑える目的と、がある。
回動部材620に生じ得る前後方向の負荷としては、例えば、第2装飾回転部材660の重みを受けることによる前倒れ方向の負荷や、第2装飾回転部材660の回転停止時の慣性による捻じれ方向の負荷(回動部材620の長手方向を軸とする回転方向の負荷)等が例示される。
特に、前倒れ方向の負荷は、筒状部622を支点とする前傾方向の負荷であるので、力のモーメントを考慮することにより、負荷を受ける当接位置が筒状部622から離れるほど、当接位置に生じる負荷は小さくなる。当接位置に生じる負荷を小さくすることを一つの目的として、第2側面621b及び第3側面621cが筒状部622から離れた位置に形成されている。
回動部材620の本体部621は、駆動モータ631との干渉を避けるために駆動モータ631から退避する方向に凹設形成される凹設部621dと、その凹設部621dを含む範囲であって、筒状部622を中心とする回動部分として基端側突設部617aと当接する範囲を含んで増厚形成される増厚部621eと、を備える。
回動部材620の回動基端側は、凹設部621dが形成されることで細幅となっているので、対策なしでは衝撃負荷による折損が生じる可能性が考えられるが、増厚部621eが形成されていることで、強度面での凹設部621dの影響を相殺することができる。これにより、回動部材620の折損を回避し易くすることができる。
更に、増厚部621eが基端側突設部617aと当接し得る箇所を含む範囲に形成されていることで、回動部材620と基端側突設部617aとの間で生じ得る衝撃負荷に対する回動部材620の耐久性を向上することができる。
図84は、第1動作ユニット600の正面図であり、図85は、第1動作ユニット600の背面図である。図84及び図85では、伝達ギアカム634の延設部634bの幅方向端部が検出センサKS1の検出溝に配置された状態が図示される。
延設部634bは、検出センサKS1の背面視での幅長さに比較して、3倍以上に長い幅長さ(周方向長さ)で形成される。ここで、延設部634bの幅長さを十分長く形成することは、検出に利用する目的の他に、構造的な目的がある。
即ち、本実施形態では、回動部材620の回動先端部の前側に被支持部材640が連結されており、その被支持部材640の前側に第2装飾回転部材660が配設されているので、回動部材620に前倒れ方向の負荷が与えられ得るところ、対策なしでは、回動部材620が前後方向に撓み変形し、動作不良を生じる可能性がある。
これに対し、本実施形態のように、回動部材620に連結される円筒部634aの背後において、被固定手段610の背面と対向配置する延設部634bを幅広形状で形成することで、円筒部634aを介して延設部634bから被固定手段610に、回動部材620の前倒れ方向で与えられる負荷を、円弧状孔613dの広い角度範囲で受けることができる(負荷が生じる面積を大きく確保することができる)。これにより、単位面積当たりで受ける負荷を低減することができるので、延設部634bが破損することを回避しつつ、回動部材620の前傾変位を抑制することができる。
本実施形態では、延設部634bの幅長さを長く確保することで構造的に有利な効果を奏することができる一方で、延設部634bの端部が検出センサKS1の検出溝に配置された状態(図84参照)で回動部材620の起き上がり方向の駆動を停止させる制御態様であっても、慣性等の負荷により、回動部材620が初期位置側の終端位置(図40参照)まで到達するように構造が工夫されている。
例えば、第1に、各部材の慣性力が、回動部材620を初期位置側の終端位置へ変位させる方向で生じる。回動部材620自体の回動変位に伴う慣性力だけでなく、被支持部材640及び第2装飾回転部材660が軸線O1を中心として背面視時計回りに回動される回動変位に伴う慣性力も、回動部材620を初期位置側の終端位置へ変位させる方向(回動部材620を背面視反時計回りに回動させる方向)で生じる。
例えば、第2に、中間ギア644を介して回動部材620のギア歯部625と歯車機構を構成するギア歯654aと一体動作するように配設される前側回転部材652の重心(本実施形態では、張出装飾部652bの中心と同じ)は、ギア歯654aの回転軸としての軸線O1の上下位置から左右に離れた位置に配置される。
そのため、前側回転部材652に生じる自重は、ギア歯654aを回転させる方向で生じる。本実施形態では、ギア歯654aが、前側回転部材652の自重により、背面視反時計回りに回転する方向に負荷を受ける。
この負荷が中間ギア644、ギア歯部625と順に伝達されることにより、ギア歯部625を介して、回動部材620に背面視反時計回りに回転する方向の負荷が与えられる。即ち、回動部材620の回動変位の慣性とは異なる負荷として、前側回転部材652の自重による回転方向の負荷が、回動部材620を初期位置側の終端位置へ変位させる方向で生じる。
このように、回動部材620に対して生じる慣性負荷や、前側回転部材652の自重による回転方向の負荷により、駆動モータ631の通電を切断した後においても回動部材620を回動させる負荷が生じるよう構成される。
そのため、図85に示すような、延設部634bが検出センサKS1の検出溝に配置されており、且つ、回動部材620が変位終端位置に到達していない状態で、駆動モータ631の通電を切断するように制御したとしても、上述の負荷により回動部材620の回動変位が継続され、回動部材620を初期位置側の変位終端位置(図40参照)に到達させることができる。
図86(a)、図86(b)、図87(a)、図87(b)及び図88は、案内長孔616、皿状蓋部C2、検出センサKS1及び伝達ギアカム634の延設部634bの背面図である。
図86(a)、図86(b)、図87(a)、図87(b)及び図88では、第1動作ユニット600の演出待機状態から開始される伝達ギアカム634の回転動作が時系列で図示される。
なお、図86(a)は、第1動作ユニット600の演出待機状態に対応し、図86(b)は、図85に図示される状態に対応し、図87(a)は、第1動作ユニット600の中間演出状態に対応し、図87(b)は、図83に図示される状態に対応し、図88は、第1動作ユニット600の張出状態に対応する。
皿状蓋部C2の開口C2aを通る電気配線の配置について説明する。矩形状箱部618に収容される基板に配設されているコネクタ618cに端部が固定される電気配線618dが開口C2aを通り第2装飾回転部材660に進入するように配設される。
電気配線618dは、ベース部材611(図39参照)へ向けて前蓋部材612から突設形成される仕切り部619の下側を迂回し、開口C2aに進入するように配設される。電気配線618bは、開口C2aを備える皿状蓋部C2の移動軌跡を考慮した長さで構成され、コネクタ618cと開口C2aとの間で、自重で撓むようにして配置される。
仕切り部619は、上下両端部に形成される柱状部619aと、その柱状部619aの間を連結するように長尺板状に突設される板状部619bと、を備える。柱状部619a及び板上部619bは、ベース部材611の前側面に当接する。
柱状部619aの内側には雌ネジが形成されており、柱状部619aと対応する配置でベース部材611に穿設される開口を通る締結ネジが螺入されることで、ベース部材611及び前蓋部材612が締結固定される。即ち、仕切り部619により、電気配線618dの配設位置を制限する作用だけでなく、ベース部材611及び前蓋部材612の剛性を確保する作用も生じさせることができる。
次いで、特に開口C2aの動きに注目して、電気配線618dの配置に対する工夫について説明する。まず、図86(a)から開始される皿状蓋部C2の下降変位に着目して説明する。皿状蓋部C2は、図86(a)、図86(b)、図87(a)、図87(b)、図88の時系列で下降変位する。
演出待機状態(図86(a)参照)から、延設部634bの幅方向端部が検出センサKS1の検出溝に配置された状態(図86(b)参照)までの動作では、皿状蓋部C2の上下配置は大きくは変わらない一方で、開口C2aの配置が背面視反時計回りに回転変位する。
これにより、皿状蓋部C2が本格的な下降変位を開始する前に、開口C2a付近の電気配線618dの配置を仕切り部619から離れる方向に寄せることができ、皿状蓋部C2が下降変位する過程で電気配線618dが皿状蓋部C2と仕切り部619との間に挟まることを防止することができる。
特に、皿状蓋部C2と仕切り部619とが最接近するタイミング(図87(b)参照)では、開口C2aは仕切り部619から電気配線618dを退避させる側(下側)を向く姿勢となっている。
これにより、電気配線618dを仕切り部619との間で挟む事態を回避することができるので、皿状蓋部C2を、仕切り部619に近接配置させるよう設計しても、電気配線618dが断線する等の不具合が生じることを回避することができる。
図86(a)から図88に示すように、皿状蓋部C2の下降変位中に、開口C2aの姿勢は、背面視反時計回りに継続的に回転変位している。皿状蓋部C2の下側変位終端では、開口C2aがコネクタ618cの反対側(下側)を向いており、敢えて電気配線618dに下向きの弛みが生じるように構成している。これにより、電気配線618d自体の長さを確保しながら、変位終端位置における電気配線の不要な弛み(例えば、前後方向へ弛むことによるばたつき)を回避することができる。
更に、電気配線618dの長さは、第1動作ユニット600の動作中において延設部634bと当接しない程度の長さで設計される。これにより、延設部634bと電気配線618dとの間に仕切りを設けなくとも、電気配線618dが延設部634bに接触し負荷を受ける事態の発生を回避することができる。
本実施形態では、皿状蓋部C2が伝達ギアカム634に最接近する状態(図88参照)において、延設部634bは、コネクタ618cから離れて配置(伝達ギアカム634の回転軸を基準としてコネクタ618cの反対側に配置)されることから、延設部634bとの接触を避けながら電気配線618dを配置する範囲を大きく確保することができるので、電気配線618dの長さの設計自由度を向上することができる。
次いで、図88から開始される皿状蓋部C2の上昇変位に着目して説明する。皿状蓋部C2は、図88、図87(b)、図87(a)、図86(b)、図86(a)の時系列で上昇変位する。
皿状蓋部C2の上昇変位では、変位下端位置(図88参照)から、皿状蓋部C2が仕切り部619に最接近するまで、開口C2aは仕切り部619側を向くことは無く、下側を向いている。これにより、電気配線618dの下方への弛みを確保しつつ皿状蓋部C2を上昇変位させることができる。
開口C2aの向きは、皿状蓋部C2が仕切り部619の下端を通過した後においても、徐々に回転しながらも、下側を向いた状態(開口C2a付近の電気配線618dを仕切り部619の長手方向に沿って配置させる状態)が維持される(図87(a)参照)。
そして、皿状蓋部C2が仕切り部619から十分離れた状態において、開口C2aが仕切り部619側を向く姿勢まで回転され(図86(a)及び図86(b)参照)、電気配線618dが仕切り部619と皿状蓋部C2との間に進入する(収容される)ように配置される。
これにより、電気配線618dを皿状蓋部C2と仕切り部619との間に挟むことにより断線を生じさせる事態の発生を回避することができ、皿状蓋部C2の上下変位に伴い電気配線618dに与えられる負荷の抑制を図ることができる。
換言すれば、仕切り部619と皿状蓋部C2との配置関係に対応して、開口C2aの配置を変化させることで電気配線618dの配置を制限し、皿状蓋部C2と仕切り部619との間隔が狭くなる時に電気配線618dが皿状蓋部C2と仕切り部619との間に配置されることを回避していることから、電気配線618dに与えられる負荷の抑制を図ることができる。
従って、電気配線618dが任意位置で配置される場合に比較して、電気配線618d及び皿状蓋部C2を近接配置するよう設計することができるので、電気配線618d及び皿状蓋部C2の配置の自由度を向上することができる。
また、電気配線618dの配置の制限を結束バンド等の別部材を利用してではなく、皿状蓋部C2の開口C2aにより実現している。皿状蓋部C2は、上述したように、第1装飾回転部材650の本体部材651との締結固定に利用される部材であるが、これを電気配線618dの配置制限に兼用している。
これにより、結束バンド等の電気配線618dを束ねるのに専用の部材を不要とすることができる。更に、結束バンドと異なり、皿状蓋部C2の配置に対応した適切な側に電気配線618dを配置できるように開口C2aの向きを変えることができるので、電気配線618dが突っ張ったり、屈曲したりする事態を回避し易くすることができる。
本実施形態では、開口C2aは、中心角度が約110の扇形状の開口として形成される。開口C2aが幅広の開口として形成されているので、開口C2aを通過させる電気配線618dの部分(接続端子等)として採用される形状の自由度を向上することができる。
次いで、開口C2aよりも正面側に配置される電気配線618dの配設構造について説明する。図89は、第1装飾回転部材650及び第2装飾回転部材660の正面斜視図である。
図89では、説明に必要な部分のみが図示され、その他の部分の図示が省略されている。即ち、第1装飾回転部材650の本体部材651及び配線受部材655、第2装飾回転部材660の電飾基板662及び配線留め板663が実線で図示されており、理解を容易とするために箱状部材661を想像線で図示し内部を視認可能としている。
また、図89では、電気配線618dの配設例が図示され、その電気配線618dが挿通される開口C2aを備える皿状蓋部C2が図示される。電気配線618dは、電飾基板653(図41参照)の端子に接続される配線と、電飾基板662の端子に接続される配線と、が本体部材651と配線受部材655との間で分岐する様子が図示される。
図89に示すように、配線留め板663は、半筒形状部651d,655aの外径よりも大きな直径の円板状部材であって、電気配線618dを挿通可能な長孔形状で穿設される配線挿通長孔663aと、その挿通長孔663aの両側に締結ネジを挿通可能な貫通孔として穿設される一対の挿通孔663bと、を備える。
配線留め板663の直径が半筒形状部651d,655aの外径よりも大きく形成されていることから、軸直角回転部材657(図39参照)が半筒形状部651d,655aから脱落することを配線留め板663により防止することができる。
配線留め板663の挿通孔663bを通る締結ネジは、半筒形状部651d,655aにそれぞれ形成される雌ネジに螺入される。これにより、配線留め板663及び半筒形状部651d,655aが一体的に固定される。
このように、配線留め板663は、軸直角回転部材657の脱落を防止する機能と、半筒形状部651d,655aを一体的に固定する機能と、を兼ね備えている。これに加えて、配線留め板663は、電気配線618dを仮留めする機能を備えている。
図89に示すように、電気配線618dは、配線留め板663の配線挿通長孔663aの内側を通り、挟まれることで変位が抑制される態様で仮保持されている。本実施形態では、第2装飾回転部材660の回転動作が、1回転以上の動作では無く、半回転未満の回転動作(約135度の回転動作)が往復方向に実行される回転動作とされるので、第2装飾回転部材660が複数回回転して電気配線618dが捻じ切られるという事態が生じることは無いように構成される。
第2装飾回転部材660が回転動作する際に電気配線618dに与えられる負荷(捻じれ方向の負荷)は、捻じれが生じ易い配線挿通長孔663a付近において大きくなると考えられるが、本実施形態では、配線挿通長孔663aが長孔状に形成され、電気配線618dは配線挿通長孔663aに挟まれて仮保持される態様とされるので、長孔形状内における電気配線618dの変位は許容されている。
そのため、電気配線618dに捻じれ方向の過負荷が生じたとしても、電気配線618dを配線挿通長孔663a内で変位させることで、負荷を逃がすことができる。これにより、電気配線618dの耐久性を向上することができる。
本体部材651の内部に配置される電気配線618dの捻じれ方向と、皿状蓋部C2の開口C2aの方向との関係について説明する。図86(a)から図88に示す皿状蓋部C2の回転動作と一体的に本体部材651は回転動作するので、本体部材651の内部に配置される電気配線618dには、本体部材651の回転方向の捻じれが生じる。即ち、回動部材620の傾倒方向の回動変位に伴って、背面視反時計回り方向の捻じれが生じる。
回動部材620の傾倒方向の回動変位に伴い、皿状蓋部C2の開口C2aも背面視反時計回りに変位するので、捻じれによって電気配線618dに与えられる負荷を低減することができる(電気配線618dの耐久性を向上させることができる)。
皿状蓋部C2は、案内長孔616に沿って上下方向に変位しながら回転動作している。ここで、図86(a)から図88までの時系列で、電気配線618dは、コネクタ618cと皿状蓋部C2との間における弛みが大きな状態から弛みが小さな状態へ変化する。
これに対応して、電飾基板662の回転動作は、電気配線618dの電飾基板662側の端子が背面側(本体部材651側)に配置される状態(図89参照)から、同端子が正面側(配線受部材655側)に配置される状態へ状態変化する動作として構成される。従って、電気配線618dを正面側に引っ張る態様の状態変化とすることができる。
即ち、図86(a)から図88までの時系列で、電気配線618dは、本体部材651内部における電気配線618dの弛みが大きな状態(電飾基板662側の端子が背面側に配置される状態)から弛みが小さな状態(電飾基板662側の端子が正面側に配置される状態)に状態が変化する。
従って、本実施形態では、弛みの大小関係が、コネクタ618cと皿状蓋部C2との間における関係と、本体部材651内部における関係とで、反転している(バランスしている)。これにより、第1動作ユニット600の動作に伴って電気配線618dに加えられる負荷を低減することができる。
本体部材651の内部に配置される部分の電気配線618dの捻じれ方向と、本体部材651と配線受部材655との間に配置される部分の電気配線618dの捻じれ方向と、の関係について説明する。
図86(a)から図88に示す時系列の動作において、本体部材651の内部に配置される電気配線618dは背面視反時計回りに捻じれる一方で、本体部材651と配線受部材655との間に配置される部分の電気配線618dは電飾基板662の回転方向(図89における下面視(電飾基板662側から挿通孔663bを見る方向視)で反時計回り)で捻じれる。即ち、互いに反対方向に捻じれる。
本実施形態では、第1動作ユニット600の演出待機状態における電気配線618dの捻じれを最小化するように設計しており、張出状態において、電気配線618dの捻じれが最大となるようにしている。
これにより、コネクタ618cと開口C2aとの間における電気配線618dの弛みが大きくても問題が生じ難い状態(演出待機状態、図86(a)を参照)においては敢えて弛ませて、電気配線618dに生じる負荷を低減する一方、コネクタ618cと開口C2aとの間における電気配線618dの弛みを小さくすることが好ましい状態(張出状態、図88参照)においては、本体部材651、配線受部材655及び電飾基板662の回転動作による捻じれを最大に生じさせ電気配線618dの弛みを抑制する(電気配線618dの変位を抑制する)ことができる。
このように、電気配線618dの耐久性向上の手段として、捻じれを最小とし、十分な弛みを生じさせる状態と、捻じれにより弛みを低減して周囲部材(例えば、延設部634b)と電気配線618dとの接触を回避する状態と、を切り替えるように構成される。
なお、別の実施形態として、図86(a)から図88に示す時系列の動作において、電飾基板662の回転方向を逆方向(図89における下面視(電飾基板662側から挿通孔663bを見る方向視)で時計回り)で構成しても良い。この場合、本体部材651の内部に配置される電気配線618dの捻じれ方向と、電飾基板662の回転動作による電気配線618dの捻じれ方向とが、同方向になるので、電気配線618dの捻じれ変形を相殺することができる。
次いで、第1動作ユニット600の動作における、張出装飾部652bの特徴について説明する。図90(a)、図90(b)、図91(a)、図91(b)及び図92は、案内長孔616、矩形状箱部618及び張出装飾部652bを模式的に示す正面模式図である。
図90(a)、図90(b)、図91(a)、図91(b)及び図92では、案内長孔616及び矩形状箱部618の外形が模式的に図示され、理解を容易とするために前側回転部材652のギア歯652aの図示が省略された状態で、第1動作ユニット600の演出待機状態からの張出装飾部652bの変位が時系列で図示される。
図90(a)では、第1動作ユニット600の演出待機状態(図40参照)に相当する配置が図示され、図90(b)では、伝達ギアカム634の延設部634bの幅方向端部が検出センサKS1の検出溝に配置された状態(図84参照)に相当する配置が図示され、図91(a)では、第1動作ユニット600の中間演出状態(図43参照)に相当する配置が図示され、図91(b)では、案内長孔616に沿って変位する皿状蓋部C2が変位範囲の右端に配置された状態(図82参照)に相当する配置が図示され、図92では、第1動作ユニット600の張出状態(図45参照)に相当する配置が図示される。
演出待機状態(図90(a)参照)では、張出装飾部652bが上面視で矩形状箱部618と重なる程度に右に寄せて配置されている。これにより、張出装飾部652bを遊技者の視界の外側に配置することができる(図28参照)。更に、本実施形態では、演出待機状態において張出装飾部652bは外縁部材73(図2参照)の後方に配置されることで、外縁部材73により視線が遮られ易いので、張出装飾部652bの視認性を下げることができる。
一方で、張出装飾部652bが上面視で矩形状箱部618と重なる程度に右に寄せて配置されている状態のまま張出装飾部652bが下降変位する場合、張出装飾部652bと矩形状箱部618とは衝突してしまい不具合を生じることになる。
これに対し、本実施形態では、張出装飾部652bの下降変位に先立ち、又は、張出装飾部652bの下降変位に伴って、張出装飾部652bの姿勢が変化するように構成される(図90(b)及び図91(a)参照)。この姿勢変化は、矩形状箱部618から退避する方向(正面視斜め左上方向、軸線O1を中心とした回転方向)への回転動作として生じるので、張出装飾部652bと矩形状箱部618との衝突を避け易くすることができる。
本実施形態では、この姿勢変化により、張出装飾部652bが矩形状箱部618の上方位置から退避した後で(図91(a)参照)、本格的な皿状蓋部C2及び張出装飾部652bの下降変位が開始される。
張出装飾部652bの下降変位は、軸線O1の下降変位に伴って生じるところ、下降変位においては、案内長孔616の形状に沿って軸線O1が矩形状箱部618に接近する方向(右方)に変位するため(図91(b)参照)、張出装飾部652bが矩形状箱部618に衝突する可能性がある。
これに対し、本実施形態では、矩形状箱部618が、左側面に、案内長孔616の形状に沿って凹設形成される凹設部618aを備えている。特に、凹設部618aは、案内長孔616と矩形状箱部618が最も接近する箇所、即ち、案内長孔616の右端部の右方位置に凹設形成されている。このように、矩形状箱部618の形状の設計は、前側回転部材652と矩形状箱部618との衝突を避けることを一つの目的として検討される。
更に、軸線O1の下降変位に伴って、張出装飾部652bの姿勢変化が継続されるので、張出装飾部652bを矩形状箱部618から退避する方向に変位させることができる。本実施形態では、図91(a)から図91(b)への変位において、張出装飾部652bの左方向への変位寸法XL1(退避距離)が、軸線O1の右方向への変位寸法XR1以上(同等または超過)となるように、設計されている。これにより、張出装飾部652bと矩形状箱部618との衝突を避けることができる。
図91(a)から図91(b)までに示す状態では、軸線O1の左右方向変位と、張出装飾部652bの姿勢変化に伴う左右方向変位とが左右反対方向とされ、相殺するので、張出装飾部652bの左右方向変位が小さく抑えられていた。
これに対し、図91(b)から図92までに示す状態では、軸線O1の左右方向変位と、張出装飾部652bの姿勢変化に伴う左右方向変位とが左右同方向とされるので、変位が重ね合わされることにより、張出装飾部652bの左右方向変位量が大きくなる。
これにより、張出装飾部652bの姿勢変化としては常に軸線O1を中心とする回転動作が行われているにも関わらず、遊技者には、張出装飾部652bが、図90(a)から図91(b)までは小さな左右方向変位(細幅の変位軌跡)で上下方向に変位し、図91(b)から図92までは、左右方向に大きく変位するように案内されているように見せることができる。
従って、張出装飾部652bの変位を案内する構造(部材形状)と、遊技者が見る張出装飾部652bの変位により想定される構造と、の間に差を設けることができる。これにより、意外性のある演出を実行することができる。
即ち、張出装飾部652bの変位は、あたかも張出装飾部652bが矩形状箱部618の右側から左方へ飛び出すような変位として、遊技者に見せることができる。そのため、センターフレーム86(図30参照)の左右という、幅が狭く左右方向の変位が十分に確保できないであろう範囲において、左右方向に飛び出すという意外性のある変位を遊技者に見せることができることから、張出装飾部652bへの注目力を向上させることができる。
なお、便宜上、軸線O1の左右変位と張出装飾部652bの左右変位とを比較したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、軸線O1は第1動作ユニット600の構成の一部の回転軸なので、この回転軸を中心として回転動作可能に構成される皿状蓋部C2の左右変位と、軸線O1の左右変位との意味は同じである。そのため、上述の説明を、皿状蓋部C2の左右変位と張出装飾部652bの左右変位との比較として理解しても良い。
図93は、図85のXCIII-XCIII線における第1動作ユニット600の断面図である。図93では、軸線O1と中間ギア644の回転軸とが通る平面における断面図が図示される。図93に示すように、後側回転部材654は有底筒状部645に正面側から配置される一方、中間ギア644は本体部641に背面側から配置され、開口645aが形成され連通される箇所でギア歯654aと中間ギア644とが歯合している。
図93に示すように、配線留め板663の直径が、半筒形状部651d,655aの外径よりも大きく形成されており、軸直角回転部材657の内径が配線留め板663の直径よりも小さくされていることから、配線留め板663により軸直角回転部材657の軸方向の変位を規制することができる。
本実施形態では、軸方向基端側(図93上側)において半筒形状部651d,655aに形成される段部と、配線留め板663と、の間に軸直角回転部材657が若干の隙間を空けて配置されている。これにより、軸直角回転部材657の脱落防止と、半筒形状部651d,655aにより形成される筒状部の中心軸方向における軸直角回転部材657の配置の安定化を図ることができる。
配線留め板663の挿通孔663bを通る締結ネジは、半筒形状部651d,655aにそれぞれ形成される雌ネジに螺入される。これにより、配線留め板663及び半筒形状部651d,655aが一体的に固定される。
図93に示すように、張出装飾部652bの配置は、第2装飾回転部材660に比較して後側とされることから、第2装飾回転部材660に比較して第3図柄表示装置81(図2参照)と前後方向で近接配置される。換言すれば、第3図柄表示装置81が配置される開口511a(図26参照)に前後方向で近接配置される。
これにより、第3図柄表示装置81と張出装飾部652bとが離れて配置される場合に比較して、第3図柄表示装置81の表示領域の領域右端RE1に重なるように張出装飾部652bが配置され(図29参照)、表示領域が右側に拡大されているように遊技者に見せる(錯覚させる)作用を生じさせ易くすることができる。
特に、張出装飾部652bと第2装飾回転部材660とを同時に視認する場合(例えば、図29参照)には、第2装飾回転部材660が第3図柄表示装置81から手前側に離れて配置され、第3図柄表示装置の表示とは独立して視認し易いことから、逆に、第3図柄表示装置81に正面側から近接配置される張出装飾部652bを表示の一部として遊技者に見せる(錯覚させる)作用を際立たせることができる。
換言すれば、特に目立つ対象(第2装飾回転部材660に相当)を一つ用意することによって、それ以外の構成(第3図柄表示装置81の表示や、張出装飾部652bに相当)の判別度合いが低くなるように図っている。これにより、第3図柄表示装置81の表示と張出装飾部652bとを区別し難くすることができる。
張出装飾部652bは、硬質樹脂から形成される部分であって、途中で形状を変化させることはできないが、電飾基板653に配設されるLED等の発光手段の発光態様(色や明るさ等)を変化させるように制御することで、張出装飾部652bの見え方(色や明るさ等)を変化させることはできる。
そのため、第3図柄表示装置81の表示領域で表示される動画に合うように、電飾基板653に配設されるLED等の発光手段の発光態様を変化させることで、第3図柄表示装置81の表示領域の領域右端RE1に重なるように張出装飾部652bが配置され(図29参照)、表示領域が右側に拡大されているように遊技者に見せる(錯覚させる)作用を生じさせ易くすることができる。
次いで、第2動作ユニット700の詳細の説明を改めて行う。図94は、張出状態における第2動作ユニット700の正面図であり、図95は、図94のXCV-XCV線における第2動作ユニット700の断面図である。
第2動作ユニット700では、上述のように、スライド変位において、昇降変位と前後方向変位とが同期して生じる(斜めに傾倒した前後方向にスライド変位する)ように構成されているところ、前後方向変位が過度に目立たないように、変位が滑らかに生じるように工夫されている。
例えば、第2動作ユニット700のスライド変位において、斜めに傾倒した前後方向への変位は単一の変位から構成されているのではなく、上下方向の変位と、前後方向の変位と、の組み合わせで構成されている。
即ち、まず、回動アーム部材720に連結される昇降板部材740は、金属棒702の長尺方向(上下方向)に昇降変位するように左端部において金属棒702に案内されている。左端部では、その他に、左側後板部材750や目隠し装飾部材768が昇降板部材740の前後に配置されており、昇降板部材740が前後方向に自由に変位することを防止している。これにより、昇降板部材740の変位方向を、上下方向に制限することができる。
昇降板部材740の右側部は、回動アーム部材720に支持されている。昇降板部材740の右端部は、固定の部材(背面ケース510に固定される部材)に支持されてはいないが、演出装置780を介して間接的に固定の部材(前上傾斜部714,751及び受傾斜部762)に支持される(図54参照)。これにより、昇降板部材740の右端部が前後方向に自由に変位することを防止しており、昇降板部材740の変位方向を上下方向に制限することができる。
そして、昇降板部材740に支持される演出装置780は、前後方向に変位するように円筒状部744(図50参照)に案内される。このように、斜めに傾倒した前後方向へのスライド変位を実現するにあたって、構成部材としての昇降板部材740や演出装置780の変位の案内が、重力方向と、水平方向と、でそれぞれ分けて構成されている。
これにより、斜めに傾倒した前後方向に案内する構成に比較して、変位抵抗を低く維持するように構成することを容易とすることができる。
図94及び図95で図示される第2動作ユニット700の張出状態は、覆設部材787の状態を切り替える変位(図57参照)を実行するよう制御可能な状態である。即ち、本実施形態では、張出状態の他の状態(例えば、第2動作ユニット700の演出待機状態(図28参照)や第2動作ユニット700の中間演出状態(図33参照))では、覆設部材787の状態を切り替える変位を生じないように第2動作ユニット700が制御される。
このように制御することで、覆設部材787の状態を切り替える変位の実行時に覆設部材787の左右端部が到達する左右位置と重なる位置に、右側前板部材710や左側後板部材750を配設するように構成しても、覆設部材787が右側前板部材710や左側後板部材750と衝突する事態が生じることを回避することができる。従って、右側前板部材710や左側後板部材750の配置自由度を向上することができる。
覆設部材787の状態を切り替える変位に対する、演出装置780の構成の工夫について説明する。まず、覆設部材787の状態を切り替える変位の駆動力を生じる駆動モータ782(図56参照)は、演出装置780の左右中心位置(円筒状部744に挿通される挿通筒状部773の中心の真上に中心が配置される位置)に配置される。
これにより、駆動モータ782の自重により演出装置780の姿勢が左右に傾くことを回避するだけでなく、駆動モータ782から生じる駆動力の左右バランスを安定させることができる。
更に、覆設部材787の状態を切り替える変位を実行可能な第2動作ユニット700の張出状態(図95参照)において、昇降板部材740を支持する回動アーム部材720の円筒状被締結部724の左右位置は、演出装置780の左右中心位置と同等か、右側位置とされる。
このように、昇降板部材740の右側部分の支持を、支持位置としての円筒状被締結部724が左右方向に変位し得る回動アーム部材720のみで構成しつつも、特に演出装置780の配置や姿勢の変動が生じ易いと想定される時、即ち覆設部材787の状態を切り替える変位の実行時における円筒状被締結部724の配置を演出装置780の左右中心位置と同等か、右側位置に設定することにより、演出装置780の配置や姿勢の安定化を図ることができる。
なお、覆設部材787の状態を切り替える変位を実行する制御は、第2動作ユニット700が張出状態の時に限定して行われるが、覆設部材787の状態が切り替えられた後においては、第2動作ユニット700の状態を演出待機状態や、中間演出状態に変化させるよう制御することは可能である。
即ち、例えば、第2動作ユニット700の演出待機状態から、覆設部材787の状態を切り替え、且つ、第2動作ユニット700を中間演出状態とするためには、第2動作ユニット700を一旦、張出状態として、覆設部材787の状態を切り替える変位を実行してから、第2動作ユニット700を中間演出状態に変化させるよう下降変位させるよう制御される。
図95に図示されるように、光拡散部材778bは、一組の前側支持部材760の内側端部と前後方向視で重なる程度に左右方向に長く形成されている。これにより、前側支持部材760に支持される回転筒部774e(図54参照)が遊技者に見られないように隠すことができるので、回転筒部774eの配置や形状が遊技者に把握されることで演出装置780が前後方向に変位していることを遊技者に把握される事態を回避することができる。
更に、光拡散部材778bは、第2動作ユニット700の張出状態において、固定配置の立体装飾部768aと、正面視で左右一列に重なって視認される(図94参照)。この状態における光拡散部材778b及び立体装飾部768aの配置は、正面視における第3図柄表示装置81の下縁部に沿い、下縁部の左右長さに亘って配置される。
光拡散部材778b及び立体装飾部768aの背面側には、それぞれ正面側にLEDが固定される基板が配設されており、対応するLEDから照射される光により光拡散部材778b及び立体装飾部768aの発光演出を実行することができる。この発光演出により、第3図柄表示装置81の表示領域の下縁が光で区切られているように見せる演出をしたり、第3図柄表示装置81の表示領域の下縁を光で明るくするように演出したりすることができる。
従って、本実施形態によれば、光拡散部材778bを、回転筒部774e(図54参照)を隠す部材としての機能と、立体装飾部768aと合同で発光演出を行う部材としての機能と、を兼ね備えるように構成することができる。
図95に示すように、横長部材742は、立体装飾部768aの後方であって、光拡散部材778bの後方から外れている範囲(左側の範囲)において正面側間隔を空けて覆設される覆設カバー742aを備える。
覆設カバー742aは、横長部材742の上下幅に亘って形成される目隠し用の部材であって、横長部材742との間の隙間で電気配線を通すことができるように配設される。即ち、演出装置780に通電するための電気配線は、目隠し装飾部材768の後方から、覆設カバー742aと横長部材742との間の隙間を通って、演出装置780側に案内され、駆動モータ782や、電飾基板778aや、検出センサ778d(図56参照)等に接続される。
この時、電気配線の前方には、覆設カバー742aだけではなく、光拡散部材778bや立体装飾部768aが折り重なって配置されているので、遊技者の視線を遮り易い構成であり、電気配線が遊技者に視認されることを防止し易くすることができる。
換言すれば、本来は光演出のために配設される光拡散部材778bや立体装飾部768aを、電気配線の目隠しとして機能させるために電気配線の通り道の前方に配置することで、電気配線の目隠しのために必要となる覆設カバー742aの大きさを、最低限の大きさに抑えることができる。
なお、立体装飾部768aは、配置が固定されているので、演出待機状態(図31参照)や中間演出状態(図33参照)では横長部材742と前後に重ならず、電気配線の目隠しには使えない。
これを考慮して、本実施形態では、横長部材742の形成範囲を、正面視における光拡散部材778bの外方の範囲にしている。これにより、横長部材742及び光拡散部材778によって電気配線の目隠しを達成することができるので、第2動作ユニット700の状態(演出待機状態、中間演出状態、張出状態)に関わらず、電気配線が遊技者に視認されることを防止することができる。
図96及び図97は、伝達装置保持板777、上下反転部材781、中間腕部材783、直動板部材784及び軸回転部材785の正面図である。図96では、一対の円筒状突設部781cが左右方向に延びる同一直線上に配置される上下反転部材781の横配置状態が図示され、図97では、上下反転部材781の倒立の縦配置状態(図59(c)参照)が図示される。
一対の中間腕部材783は、同一形状で形成されるものではなく、上下反転部材781の横配置状態における下側面から上方へ向けて湾曲形成される湾曲形成部783dを備える。湾曲形成部783dは、上下反転部材781の縦配置状態において中間腕部材783と駆動ギア782aとの衝突を避けるため、駆動ギア782aから退避する方向に張り出すように湾曲形成される。
図98は、昇降反転演出装置770の正面斜視図である。図98では、覆設部材787を透過して内側を視認可能とするために、覆設部材の外形が模式的に想像線で図示される。
図98に図示されるように、磁石Mgは一対の覆設部材787が互いに近接配置される側ではなく、左右両端部付近に配置されている。従って、磁石Mgの磁力は、覆設部材787同士を直接的に合体させるように作用するのではなく、一対の覆設部材787にそれぞれ独立して作用する。
これにより、例えば、一方の覆設部材787の動作が不良となった場合に、それにつられて他方の覆設部材787の動作も不良となることを避けることができる。
また、例えば、一対の覆設部材787が互いに左右方向に離れ始める変位開始時において、左右方向変位の逆方向に磁力が作用することを回避することができる。即ち、上下反転部材781が正立の縦配置状態から回転動作を開始する場合に、磁力が作用するタイミングを遅らせることができる。
これにより、一対の覆設部材787が互いに左右方向に離れ始める変位開始時において、磁石Mgにより覆設部材787に与えられる負荷の変化を抑制することができるので、左右方向に離れ始める変位開始時に磁石の吸着を剥す必要がある場合に比較して、一対の覆設部材787が互いに左右方向に離れ始める変位開始時に、急激な磁力の変化に伴い覆設部材787が振動したり、変位が不安定となり動作不良を起こしたりする事態を回避し易くすることができる。
図98に示すように、磁石Mgは、左右で上下反対側に配置されているが、この効果について説明する。磁石Mgと当接して磁力が負荷される金属ネジが固定される回転位置安定用部785fは、前後方向同じ側に配置される(上下反転部材781が正立の縦配置状態において正面側、図55参照)。そのため、磁石Mgに金属ネジとの関係で生じる負荷の方向は、左右両側において前後同方向となる。
詳述すると、例えば、上下反転部材781が正立の縦配置状態(図59(a)参照)から倒立の縦配置状態(図59(c)参照)に変化する場合、正面視左側の覆設部材787は前転方向に回転動作するので、磁石Mgと近接配置されている(上側に配置されている)金属ネジの前方への変位に伴い磁石Mgには吸着力の反作用としての前方向の負荷が生じる一方、正面視右側の覆設部材787は後転方向に回転動作するので、磁石Mgと近接配置されている(下側に配置されている)金属ネジの前方への変位に伴い磁石Mgには吸着力の反作用としての前方向の負荷が生じる。
また、例えば、上下反転部材781が倒立の縦配置状態(図59(c)参照)から正立の縦配置状態(図59(a)参照)に変化する場合、正面視左側の覆設部材787は後転方向に回転動作するので、磁石Mgと近接配置されている(上側に配置されている)金属ネジの後方への変位に伴い磁石Mgには吸着力の反作用としての後方向の負荷が生じる一方、正面視右側の覆設部材787は前転方向に回転動作するので、磁石Mgと近接配置されている(下側に配置されている)金属ネジの後方への変位に伴い磁石Mgには吸着力の反作用としての後方向の負荷が生じる。
このように、回転動作する覆設部材787と、姿勢を維持して覆設部材787を支持する本体部材771や直動板部材784と、の間で磁石Mgによって生じる負荷の方向が、左右両側において前後同方向となるように構成される。
ここで、左右両側において前後逆方向の負荷が生じる場合(例えば、左側の磁石Mgが下位置に配置されることで左右両側の磁石Mgの配置が下位置とされ、左側の軸回転部材785の回転位置安定用部785fの配置が正立の縦配置状態において磁石Mgの背面側に配置されるよう設計変更する場合)、磁石Mgと金属ネジとが吸着状態から剥がされる際に生じる負荷により昇降反転演出装置770に与えられる変位のモードが、昇降反転演出装置770を上下方向に延びる回転軸で回転させる態様となる。
この場合、昇降反転演出装置770に上下方向に延びる回転軸での回転方向の振動が生じ易くなる。特に、本実施形態のように、磁石Mgの吸着を剥す過程で傘歯部材785c(図96参照)が弾性変形し、磁石Mgの吸着が剥がれた後で傘歯部材785cの弾性回復を利用して覆設部材787を勢いよく回転動作させる構成では、昇降反転演出装置770に、上下方向に延びる回転軸での回転方向の振動が生じ易くなることが想定される。
更に、昇降反転演出装置770から負荷を逃がすことが困難となり、昇降反転演出装置770が破損したり、昇降反転演出装置770の耐久性が低下したりする可能性がある。そのため、長期で、昇降反転演出装置770の変位を安定させるという目的からすると、対策が必要となると考えられる。
これに対し、本実施形態では、磁石Mgと金属ネジとが吸着状態から剥がされる際に、回転動作する覆設部材787と、姿勢を維持して覆設部材787を支持する本体部材771や直動板部材784と、の間で生じる負荷の方向が、左右両側において前後同方向となるように構成されるので、磁石Mgと金属ネジとが吸着状態から剥がされる際に生じる負荷により昇降反転演出装置770に与えられる変位のモードを、昇降反転演出装置770を前後方向に変位させる態様とすることができる。
そのため、昇降反転演出装置770の変位(前後方向成分を有する変位)により容易に相殺することができ、磁石Mgと金属ネジとが吸着状態から剥がされる際に生じる負荷により昇降反転演出装置770に破損が生じることを回避することができる。
第2動作ユニット700では、演出装置780のスライド変位の方向(上下方向成分と前後方向成分を有する方向、即ち、左右方向と直交する平面内での方向)と、覆設部材787が互いに近接配置される状態(上下反転部材781の縦配置状態)からの変位開始方向(左右方向)と、が直交する。
そのため、一方の変位が、他方の変位の慣性により生じることを回避し易くすることができる。例えば、演出装置780のスライド変位が実行される場合に、意図せず、覆設部材787が互いに近接配置される状態からの変位(互いに離れる方向の変位)が開始される事態を回避し易くすることができる。
次いで、第3動作ユニット800の詳細の説明を改めて行う。まず、中間腕部材850の詳細について説明する。図99(a)は、中間腕部材850の正面斜視図であり、図99(b)は、中間腕部材850の背面斜視図である。
図99(a)及び図99(b)に示すように、中間腕部材850は、長尺の棒部の軸方向位置が、増厚部852において切り替わるという特徴的な形状をしている。
図99(a)に示すように、増厚部852は、隣合う回動部材850の先端側棒部853と対向配置され、先端側棒部853と対向配置される基端側補強部852aと、軸方向に沿って正面側から肉抜き形成される凹設部852bと、を備えている。
基端側補強部852aは、凹設部852bと同様に肉抜きされているが、相対的な肉抜き量が小さくされ、変形抵抗が大きくなるように設計している。これにより、回動腕部材850の回転先端側という、回転における慣性力が大きくなり易い側に形成される先端側棒部853と当接することになっても、変形量が過大となることを回避することができる。
凹設部852bは、増厚部852の弾性変形の変形抵抗を弱めるよう作用する。これにより、増厚部852の可撓性を確保することができ、中間腕部材850の耐久性を向上することができる。
増厚部852の短手方向の両側面には、湾曲形状で凹設形成される湾曲形状部852cが形成される。湾曲形状部852cは、合体状態において隣合う中間腕部材850の先端側棒部853の端部に形成される回転伝達部854の回転基端側に形成される湾曲形状部854dを滑らかに受け入れ可能な形状から形成される。
本実施形態では、個別合体状態(図66(a)参照)と一連合体状態とで、隣合う中間腕部材850同士が回動して近接配置される際の中間腕部材850の回動方向が逆転することになるので、中間腕部材850の短手方向側面のどちらの側面が湾曲形状部854dと近接配置されるかは、どちらの合体状態を構成するかで異なる。
この前提において、湾曲形状部852cが両側面に形成されていることから、いずれの合体状態においても湾曲形状部854dを滑らかに受け入れることができる。これにより、合体状態への状態変化をスムーズに実行することができる。
また、湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとが面で当接可能となるように設計されることで、合体状態において湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとの間で局所的に過大な負荷が生じることを抑制することができ、中間腕部材850の耐久性を向上することができる。
第3動作ユニット800は、昇降アーム部材801により昇降変位可能に構成されているが、その昇降変位の方向と、装飾部材870,880の合体状態からの直動部材833や回転部材834の変位開始方向と、が必ずしも直交する関係にはない。
例えば、図66(a)に示すように、回転部材834の変位開始方向として認められる仮想位置線832Fが72度間隔で異なる方向として設定されているので、全ての回転部材834の変位開始方向と、昇降変位の方向と、が直交することは生じ得ない。
そのため、第3動作ユニット800の昇降変位時に生じる負荷や慣性によって、意図せず、回転動作(一体回転動作や切替回転動作)が生じる可能性がある。この誤動作への対策についての工夫を説明する。
図100は、金属棒832と中間腕部材850との変位を模式的に示す第3動作ユニット800の模式図である。
図100では、金属棒832の仮想位置線832Fの内、個別合体状態において下方に延びる仮想位置線832Fと、仮想位置線832Fと中間腕部材850の長尺方向との角度とが0.5度変化するまで正面視反時計回りに回転した仮想位置線832Fと、が図示される。
即ち、図100において、角度θ51は45度であり、角度θ52は44.5度である状態が図示されている。
図100に示すように、中間腕部材850は、切替回転動作の開始時において、回転部材834の回転動作を抑制した状態で、金属棒832の長手方向に沿って回転部材834をスライド移動させることができるよう構成される。
図100における角度θ51,θ52の変化量は、金属棒832に対する中間腕部材850の回転角度を意味しており、傘歯部834a,854c(図61参照)の歯合回転が生じる角度に対応する。
ここで、ギア歯の噛み合いを正立させるためにはバックラッシュ(隙間)が不可欠であり、この隙間の大小の設定で回転の応答性の良し悪しが変わる。バックラッシュの設定には種々の態様を選択可能であるが、本実施形態では、バックラッシュを0.5度で設定している。
即ち、合体状態における角度θ51が、角度θ52に変化するまでの間には、バックラッシュ(隙間)が埋まるに留まり、歯合回転は開始されない。一方で、中間腕部材850の回動先端側部は仮想位置線832Fに沿って第3動作ユニット800の径方向外側にスライド移動している。
即ち、合体状態(個別合体状態)からの切替回転動作の開始時には、回動部材834の回転動作が抑制され、主に、金属棒832に沿ったスライド移動が生じるように構成される。
図101は、第3動作ユニット800の正面模式図である。図101の説明では、図100を適宜参照する。図101では、一連合体状態における第3動作ユニット800が図示され、第3動作ユニット800の変位に対する抵抗力を生じるトルクリミッタ866及び磁石Mg2が図示される。
ここで、内側回転部材830が外側回転部材840に対して僅かに回転動作(例えば、約5度(図100参照)の回転動作)する程度では、回転部材834に回転が生じないように構成されている。
これにより、本実施形態のように、複数の第1装飾部材870及び第2装飾部材880の合体状態を維持するために磁石Mg2を採用し、周方向で吸着力を発生さえる構成であっても、合体状態からの第1装飾部材870及び第2装飾部材880の変位を直動変位に限定できることから、磁石Mg2の磁力による合体を維持し易くすることができる。
換言すれば、合体状態からの変位開始時において、第1装飾部材870及び第2装飾部材880が金属棒832を中心として回転動作する場合には、磁力の方向に直交する方向で第1装飾部材870及び第2装飾部材880が変位することから、磁力が消失し易いと考えられる。これに対し、本実施形態における、第1装飾部材870及び第2装飾部材880の合体状態からの変位開始時の変位は、あくまで5個の磁石Mg2が配置される平面に沿う変位(金属棒832に沿うスライド方向の変位)であることから、磁力による合体状態を維持し易い。
これにより、意図しない負荷の影響などにより、内側回転部材830が意図せず僅かに回転動作(例えば、約5度回転動作)した場合であっても、複数の第1装飾部材870及び第2装飾部材880の合体状態を維持し易くすることができる。
図101に示すように、トルクリミッタ866は、正方向への回転では、所定の許容値を超える負荷がかかると接続を切り、抵抗を低減する(空転する)ように切替回転DR1が生じるように構成され、逆方向への回転では、抵抗が低減される(空転する)ように空転回転AR1が生じるように構成される。この正逆の回転が反対で構成される一組で、トルクリミッタ866は構成されている。
詳述すると、本実施形態では、左側のトルクリミッタ866は、正面視時計回りの回転では、かけられる負荷が許容値に達するまでは抵抗を生じ、許容値を超えると空転するという切替回転DR1が生じるように構成される一方、正面視反時計回りの回転方向では、空転するという空転回転AR1が生じるように構成される。
また、右側のトルクリミッタ866は、正面視時計回りの回転方向では、空転するという空転回転AR1が生じるように構成される一方、正面視反時計回りの回転方向では、かけられる負荷が許容値に達するまでは抵抗を生じ、許容値を超えると空転するという切替回転DR1が生じるように構成される。
このように、一組のトルクリミッタ866が、それぞれ異なる回転方向で安全クラッチとして機能することで、上述のように、両方向で切替回転動作を実行することが可能に構成されている。
更に、回転方向での許容値を超える負荷が生じない状態においては、トルクリミッタ866に組み付けられる負荷応答ギア865(図61参照)を介して外側回転部材840に正逆両方向の抵抗がかけられるので、意図しない負荷(昇降変位の慣性力や、扉開閉時の衝撃力)に起因して生じ得る外側回転部材840の回転動作を抑制することができる。従って、一組のトルクリミッタ866によって、外側回転部材840の姿勢維持を図ることができる。
図101に示すように、磁石Mg2は、第2覆設部885の幅方向片側に固定され、5個の第2覆設部885が円環状に合体した状態において、同心円状に配置される。磁石Mg2は、隣合って近接配置される第2覆設部885に固定される金属ネジNj2との間で吸着力を生じる。
このように構成することで、特定の第2覆設部885の幅方向両側に磁石Mg2が配設される場合(即ち、特定の第2覆設部885に両隣りで近接配置される第2覆設部885の双方が、その特定の第2覆設部885に接近する方向の付勢力を磁石Mg2から受ける場合)に比較して、合体状態において特定の第2覆設部885から離れた位置で第2覆設部885間に生じる隙間が大きくなることを回避し、全ての隣合う第2覆設部885間の隙間を均一化することができる。
また、上述のように、第2装飾部材880の合体状態からの変位は径方向外側へのスライド移動として構成され、金属棒832を中心とする回転動作が開始されるまでには磁力による合体が解除される程度にまで離れるところ(図100参照)、磁石Mg2の磁力が、第2装飾部材880が整列される同心円の円周を短縮する方向(同心円の中心を向く方向)に作用するので、第2装飾部材880の径方向外側へのスライド移動の抵抗力となる。
また、この抵抗力が、360度を5等分した各方向から同等の大きさで生じるので、第3動作ユニット800が磁石Mg2から受ける負荷のバランスをとることができる。即ち、磁力Mg2が不均一に作用する場合に比較して、第3動作ユニット800の配置を安定させ易くすることができる。
第2装飾部材880の形状は5個とも共通とされ、磁石Mg2の配置も共通なので、各磁石Mg2の前後位置は同等とされる。これにより、磁石Mg2の磁力により、第2装飾部材880に前後方向成分を有する負荷が与えられることを回避することができるので、合体状態からの変位開始時または合体状態への到達直前時において磁力が前後方向に生じ、第2装飾部材880が前後方向に振動する事態を回避し易くすることができる。
図102は、外側回転部材840及び中間腕部材850の正面図である。図102では、装飾部材870,880の個別合体状態に対応する配置状態が図示され、理解を容易とするために、中間腕部材850を想像線で図示し、後側に配置される外側回転部材840を視認可能としている。
図102に示すように、本実施形態では、中間腕部材850の一方向(図102では、正面視時計回り方向)への回転を規制する部分が少なくとも一箇所確保可能となるように構成され、多くは二箇所で中間腕部材850の回転を規制している。この中間腕部材850の回転を規制する構成について説明する。
まず、第1に、外側回転部材840の本体部841の外周面から径方向外側に突設される当接突設部845が挙げられる。当接突設部845は、隣合う延設腕部842の中間角度位置において、径方向外側へ向けて先細りする形状から形成され、内部が本体部841の軸方向と平行な方向に肉抜きされている。
この当接突設部845が、中間腕部材850の回転方向で中間腕部材850と対向配置され、中間腕部材850の増厚部852の湾曲形状部852cと当接可能に配置されることで、中間腕部材850の過回転を防止するよう構成している。
増厚部852は、凹設部852bにより弾性変形の変形抵抗が弱められている(図99(a)参照)。同様に、当接突設部845は肉抜きされている。これにより、中間腕部材850が高速で変位し、増厚部852の湾曲形状部852cと当接突設部845とが衝突した場合であっても、その際に生じる負荷を当接突設部845や増厚部852の弾性変形により吸収することができるので、当接突設部845や増厚部852の破損を回避することができる。
当接突設部845は、延設腕部842の中間角度位置としての全位置に配設されるのではなく、被検出部844が形成される角度位置においては形成が省略される。これにより、軸方向視における当接突設部845と被検出部844との配置をずらしており、外側回転部材840の成形金型の抜き方向を本体部841の軸方向に設定することができる。よって、成形金型の設計の容易化を図ることができる。
このように、本実施形態では、成形金型の設計の容易化の代償として当接突設部845の形成が省略されているが、本実施形態では、回動腕部材850の回転を規制する第2の構成として、増厚部852に基端側補強部852aが形成される。
基端側補強部852aは、隣合う回動部材850の回転方向で先端側棒部853(図99(a)参照)と対向配置され、先端側棒部853が過回転する際に当接可能に配置されることで、中間腕部材850の過回転を防止するよう構成している。
基端側補強部852aは、凹設部852bと同様に肉抜きされているが、相対的な肉抜き量が小さくされ、変形抵抗が大きくなるように設計している。これにより、回動腕部材850の回転先端側という回転における慣性力が大きくなり易い側と当接することになっても、変形量が過大となることを回避することができる。
湾曲形状部852cは、湾曲形状部854dと面で当接可能となるように設計されており、合体状態において湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとの間で局所的に過大な負荷が生じることを抑制することができ、中間腕部材850の耐久性を向上することができる。
このように、回動腕部材850の変位は、当接突設部845が対向配置される場合には、当接突設部845との当接に加えて、隣合う回動腕部材850の湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとを当接させたり、隣合う回動腕部材850の基端側補強部852aと先端側棒部853とを当接させたりすることができるような構成により、回動腕部材850の過回転が規制される。
一方、当接突設部845の配置が省略される場合であっても、隣合う回動腕部材850の湾曲形状部852cと湾曲形状部854dとを当接させたり、隣合う回動腕部材850の基端側補強部852aと先端側棒部853とを当接させたりすることができるような構成により、回動腕部材850の過回転を規制することができる。
これらの当接の構成は、5個の回動腕部材850で互いに関連するように構成している(循環配置されている)。そのため、一見、一箇所の当接突設部845の形成が省略され、その省略箇所に対応する回動腕部材850についてのみ回転を規制する構成が少ないので、当接時の負荷が集中するかのように思えるが、実際は、5個の回動腕部材850の相互作用により、当接時の負荷の分散を図ることができる。
これにより、単一の回動腕部材850(当接突設部845の形成が省略された箇所に対応する回動腕部材850)の耐久性が極端に低下することを防止することができる。
また、本体部841の外周面から、当接突設部845の背面側端部に沿う一平面上に円環板状に延設される円環板状部846の形成も、当接突設部845と同様に、軸方向視で被検出部844と重なる箇所において省略されている。
円環板状部846の形成の省略は、上述の当接突設部845の形成の省略と同様に、成形金型の設計の容易化の代償として説明することができるが、円環板状部846の奏する効果は、円環板状部846の形成が省略されている箇所においても、隣合う回動腕部材850(を支持する構成)により実現される。
即ち、円環板状部846の効果は、回動腕部材850の前後位置のずれの修正として説明することができる。即ち、合体状態(図64(a)参照)から、回動腕部材850が径方向外側へ変位し(図65(a)参照)、再び合体状態へ向かう際に、回動腕部材850の先端の配置が意図せず前後に位置ずれした場合であっても、基端側棒部851(図99(b)参照)の背面側側面が円環板状部846と対向配置され当接可能とされていることで、その当接により回動腕部材850の前後位置を修正することができる。
この作用は、円環板状部846が省略されている場合には、円環板状部846との当接が生じないことから奏することができない。一方で、本実施形成では、回動腕部材850の先端側棒部853の背面側側面が延設腕部842の正面側側面と対向配置されるので、回動腕部材850の先端の配置が前後に位置ずれした場合であっても、先端側棒部853の背面側側面が延設腕部842の正面側側面と対向配置され当接可能とされていることで、その当接により回動腕部材850の前後位置を修正することができる。
このように、本実施形態では、円環板状部846と同様の作用を、延設腕部842によって生じさせるように構成している。これにより、円環板状部846の形成を一部省略しながらも、回動腕部材850の前後配置を修正する効果を、全回動腕部材850に生じさせることができる。
図103(a)は、外側回転部材840及び中間腕部材850の背面図であり、図103(b)は、外側回転部材840及び中間腕部材850の正面図である。図103(a)及び図103(b)では、一連合体状態における外側回転部材840及び中間腕部材850の相対配置で図示される。
図103(a)で図示される状態は、図65(b)の状態から仮想位置線832Fが最大角度θ31E(本実施形態では、180度)まで回転した状態(切替回転動作が完了した状態)に対応し、図103(b)で図示される状態は、図67(b)の状態から仮想位置線832Fが最大角度θ31E(本実施形態では、180度)まで回転した状態(切替回転動作が完了した状態)に対応する。
一連合体状態と、個別合体状態(図64(a)、図66(a)参照)とを比較すると、中間腕部材850の外側回転部材840に近接する短手方向の側が逆転するため、当接突設部845に当接する湾曲形状部852cが反対側になったり、湾曲形状部854dに当接する湾曲形状部852cが逆になったりという違いがある。
この違いに対応することを目的として、当接突設部845は、本体部841の径方向を基準として正面視で線対称形状とされており、一対の湾曲形状部852c及び湾曲形状部854dは、中間腕部材850の長手方向線(回動基端と被支持孔854aとを結ぶ直線)を基準として正面視で線対称形状とされている。
更に、湾曲形状部852cの形状に合わせて、当接突設部845の湾曲形状と、湾曲形状部854dの湾曲形状とを、同様の湾曲形状として設計している。これにより、個別合体状態においても、一連合体状態においても、同様の係合関係で合体状態を構成することができる。
また、合体状態では、中間腕部材850の増厚部852が当接突設部845と湾曲形状部854dとに両側から挟まれる位置関係で構成される。これにより、中間腕部材850の増厚部852が、いずれの回動方向に変位することも抑制することができるので、中間腕部材850の状態を維持し易くすることができ、合体状態を保持し易くすることができる。
図104及び図105は、第3動作ユニット800の正面図である。図104では、装飾部材870,880が最外径位置に配置された状態(個別合体状態と一連合体状態との中間の状態)が図示され、図105では、一連合体状態が図示される。
図106は、図105のCVI-CVI線における第3動作ユニット800の断面図であり、図107は、図104のCVII-CVII線における第3動作ユニット800の断面図である。第3動作ユニット800の構成として、金属棒832と中間腕部材850との前後配置は任意に設定可能である。
中間腕部材850を金属棒832の正面側に配置すれば、遊技者は中間腕部材850越しに金属棒832を視認することになるので、金属棒832の視認性を下げることができる。これに対して、本実施形態では、図106及び図107に示すように、金属棒832が中間腕部材850の正面側に配置されている。
この配置により、支持部材としての金属棒832が中間腕部材850を部分的に隠す遮蔽部材として機能する。これにより、装飾部材ではなく機能部材としての中間腕部材850が目立つことを避けることができ、第3動作ユニット800の見栄えをよくすることができる。
金属棒832は、露出した状態(図104参照)においては、表面の光沢により光を反射する演出部材としても機能するので、外側発光部823b(図107参照)から照射される光による光演出の演出効果を向上することができる。即ち、金属棒832を光演出用の反射部材として利用することができる。
中間腕部材850が金属棒832の正面側に配置される場合には遊技者の目に入る光が中間腕部材850により遮られる可能性があるが、本実施形態では中間腕部材850が金属棒832の背面側に配置されるので、中間腕部材850により光が遮られ、見栄えが悪くなることを回避することができる。
このように、本実施形態では、金属棒832が露出する状態としての切替回転動作の途中の状態(図104及び図107参照)において、金属棒832を介して光を反射可能に構成することで、光演出を実行する範囲を拡張することができる。即ち、電飾基板823(図60参照)が配設される透光装飾部材824の後方の範囲のみならず、正面視で透光装飾部材824の径方向外側に張り出すように配設される金属棒832が露出して視認される範囲ER1(図104参照)においても、反射光を遊技者に視認させることができる。
なお、光を受ける部分として、膨出部824aは、内周面に、光拡散形状が円環状に形成される光拡散形状部824b(図106及び図107参照)を備える。内側発光部823aから照射された光は光拡散形状部824bに照射可能とされ、その光を受けた光拡散形状部824bは円環状に明るく光る。
これにより、装飾部材870,880の合体状態のみならず、装飾部材870,880の円環配置が解除される切替回転動作の最中においても、光拡散形状部824bが円環状に明るく視認されることにより、第3動作ユニット800の円環形状を利用した演出効果を維持し易くすることができる。
図104及び図105に示すように、透光装飾部材824は、合体状態において視認される膨出部824aだけでなく、その膨出部824aよりも正面視で径方向外方に延びる延設部824cを備えている。
延設部824cは、合体状態においては装飾部材870,880に隠されることになり装飾部としての機能が低いが、図104に示す切替回転動作の途中において、機構部分の目隠しをする効果を奏する。
即ち、図104及び図107に示すように、延設部824cは、内側回転部材830の本体部831や、外側回転部材840の延設腕部842等(図61参照)、演出に利用し難い機構部分を遮蔽して目隠しできる程度の大きさで形成される。
そして、膨出部824aだけでなく、延設部824cの正面側にも装飾模様が施されているので、機構部分を遮蔽して目隠ししている範囲について装飾模様を視認させることができ、演出効果を向上することができる。
第3動作ユニット800の駆動制御の一例について説明する。まず、昇降アーム部材801が駆動制御されることによる第3動作ユニット800の昇降変位と、駆動モータ861が駆動制御されることによる第3動作ユニット800の回転変位との関係について説明する。
本実施形態によれば、第3動作ユニット800の昇降変位と、回転変位とは、独立して実行可能に構成されているが、例えば、第3動作ユニット800の昇降変位時の慣性負荷により、連動して第3動作ユニット800に回転変位が生じる可能性がある。この場合、第3動作ユニット800が姿勢変化したり、第3動作ユニット800の合体状態が解除されたりする(磁石Mg2の吸着力に対抗して装飾部材870,880が径方向外側へ変位する)ことにより、演出効果が低下する可能性がある。
これを回避するために、例えば、第3動作ユニット800の昇降変位と、第3動作ユニット800の回転変位(特に、一体回転動作)と、を同時に実行するように制御しても良い。
これにより、第3動作ユニット800の昇降変位時の回転変位を演出動作として遊技者に見せることができるので、演出効果の低下を防ぐことができる。更に、一体回転動作の継続中には、装飾部材870,880を径方向内側へ変位させる方向に負荷がかかり続けるので(図101参照)、第3動作ユニット800の合体状態が解除されることを回避することができる。
また、昇降変位と回転変位とを同時に実行する制御を行わないまでも、第3動作ユニット800の姿勢を、昇降変位により回動腕部材850が変位し難い姿勢となるように、予め第3動作ユニット800の回転方向の姿勢を調整するように制御しても良い。
検出センサ813による外側回転部材840の被検出部844の検出態様が変化することは(図68参照)、本実施形態では、内側回転部材830の回転態様が一体回転動作で実行されていることを意味する。そのため、これを前提に検出センサ813の検出態様と、第3動作ユニット800の制御とを関連付けて設計することが想定される。
この前提は、切替回転動作が、外側回転部材840の姿勢を維持した状態(内側回転部材830と外側回転部材840とが連動しない状態)で行われることに基づくものである。そのため、この前提が崩れる可能性がある状態は回避することが好ましい。
本実施形態では、内側回転部材830が駆動モータ861の駆動力で回転制御される際に、トルクリミッタ866によりかけられる抵抗が外側回転部材840の回転を抑制するように作用することで外側回転部材840の姿勢が維持される。
そのため、例えば、切替回転動作の実行中に金属棒832、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850間の抵抗が大きくなり、内側回転部材830と外側回転部材840との間の動作抵抗が大きくなり、トルクリミッタによりかけられる抵抗を超える場合には、外側回転部材840と内側回転部材830とが連動して、切替回転動作が適切に実行できなくなる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、金属棒832、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850間の抵抗を低減するように構成している。
例えば、合体状態からの直動部材833及び回転部材834を変位させる中間腕部材850の回動先端の変位方向は、金属棒832の長手方向に沿う方向となる。即ち、金属棒832の回転方向と直交する方向に中間腕部材850が変位するので、金属棒832の回転の抵抗を生じ難くすることができ、金属棒832と、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850との間で生じる抵抗を小さく抑えることができる。
直動部材833及び回転部材834が径方向外方終端位置に配置される状態(図104参照)では、中間腕部材850の回動先端側(例えば、被支持孔854a)の変位方向が金属棒832の回転方向と沿うので、速度が不十分な場合等には特に、金属棒832と中間腕部材850とが平行移動する状態を構成し易い。この場合、切替回転動作が不良となる。
これに対し、本実施形態では、切替回転動作を開始したら合体状態に至るまで十分な速度で駆動を継続するという制御態様を採用しており、直動部材833及び回転部材834が径方向外終端位置に配置される状態(図104参照)では、装飾部材870,880が金属棒832を中心として回転動作するように慣性を受ける。
この慣性の影響で、装飾部材870,880に締結固定されている回転部材834が回転し、傘歯部834aと傘歯部854cとが歯合回転するので、中間腕部材850の回動先端側が径方向外方終端位置を通過して径方向内側へ回動する(図65(b)及び図67(b)参照)。
径方向外方終端位置を外れた状態では、中間腕部材850の回動先端側が金属棒832に沿う方向で変位し易くなり、金属棒832の回転動作に対する抵抗を小さく抑えやすくすることができる。
このように、本実施形態では、金属棒832、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850間の抵抗の低減を、部材間の関係や、駆動制御の設計によって実現するように図っている。
切替回転動作中においては外側回転部材840の姿勢が維持され、被検出部844の配置が変化しないことから、切替回転動作の終了タイミングを、検出センサ813による被検出部844の検出態様の変化で判定することはできない。
例えば、合体状態に到達したタイミングで駆動モータ861を停止させる制御は、切替回転動作に必要十分な駆動時間を予め設定しておき、その駆動時間で駆動を停止するよう制御することで実現可能となるが、金属棒832、直動部材833、回転部材834及び中間腕部材850間の抵抗の程度によっては、駆動時間が同じであっても変位量が異なる場合があり、合体状態となる前に駆動停止する可能性がある。この場合、演出効果が低くなる可能性がある。
これに対し、合体状態に到達したタイミングで駆動モータ861を停止させる制御態様ではなく、検出センサ813による被検出部844の検出態様が変化したことで、切替回転動作が終了して一体回転動作が始まったことを判定し(図68参照)、この判定後に駆動モータ861を停止させるよう制御しても良い。この制御により、切替回転動作の実行後に、装飾部材870,880が合体状態に到達していない状態で駆動モータ861の駆動が停止される事態を回避することができる。
駆動制御として、切替回転動作は第3動作ユニット800の張出状態において実行されることは上述の通りであるが、一体回転動作については、第3動作ユニット800の状態に左右されずに実行可能である。
駆動制御として、第3動作ユニット800の回転方向の配置に左右されず、切替回転動作を実行可能であるので、図68で上述したように、大当たり告知の有無を遊技者に予想されることを回避することができる。即ち、検出センサ813の検出溝に被検出部844が配置されている状態(図66(a)参照)からに限定されず、検出センサ813の検出溝に被検出部844が配置されていない状態からでも切替回転動作を実行することができる。
一方で、検出センサ813の検出溝に被検出部844が配置されている状態で切替回転動作を実行する場合と異なり、切替回転動作の終了後から被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入するまでは、検出センサ813の出力が変化しないので、制御態様を工夫する必要がある。
例えば、検出センサ813の出力によらず、切替回転動作に必要十分な駆動期間として予め設定される駆動期間で切替回転動作を実行するようにしても良いし、被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入するまで駆動モータ861の駆動を継続するよう制御するようにしても良い。
後者の場合、切替回転動作の終了後は一体回転動作に動作態様が移行して、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入することにより、既に切替回転動作が終了し装飾部材870,880が合体状態となっていることを判定することができる。
一方で、駆動モータ861の駆動を、切替回転動作から一体回転動作に移行して被検出部844が検出センサ813の検出溝に進入するのに十分な時間長さで実行しているにも関わらず、検出センサ813の出力が変化しない場合には、その検出センサ813の出力に基づいて、第3動作ユニット800に動作不良が生じていると判定することができる。
また、後者の場合、第3動作ユニット800の任意の回転配置から、切替回転動作が実行され、一連合体状態(図32参照)が維持されている状態において、検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入するまで駆動が継続される。
第3動作ユニット800の一連合体状態では、上述のように、回転配置が異なっても見映えが異なりにくい。そのため、一連合体状態で検出センサ813の検出溝に被検出部844が進入するまで第3動作ユニット800の回転変位を継続しても、演出効果が低下することを回避し易くすることができる。
更に、図68に示す反転演出時から通常演出時に復帰させる制御をする場合には、被検出部844が検出センサ813の検出溝に既に配置されていることから、切替回転動作の終了後に検出センサ813の出力が変化するまでの期間を最短化することができる。換言すれば、検出センサ813の検出溝に配置されている被検出部844が検出溝から退避する程度の短い駆動期間で十分であるので、反転演出時から通常演出時に復帰させる制御に要する長さを最短化することができる。
このように、本実施形態によれば、通常演出時から反転演出時に切り替える切替回転動作を開始する第3動作ユニット800の回転配置の自由度の向上を図っており、通常は復帰動作が長期化する場合があるところ、復帰動作としての反転演出時から通常演出時への切替回転動作の短縮化を図っている。
即ち、第3動作ユニット800の回転配置の違いを戻すための復帰動作の一部(被検出部844を検出センサ813の検出溝に配置するまでの回転変位)を、回転配置が異なっても見映えが変わり難い一連合体状態において行うことで、復帰動作中の第3動作ユニット800の演出効果の低下を回避することができる。
更に、予め復帰動作の一部を行っておくことで、残りの復帰動作としての切替回転動作に要する期間の短縮化を図ることができる。
各動作ユニット600,700,800の内、複数の動作ユニット600,700,800で共通して採用されている構成について、その採用態様の違いの理由も含めて横断的な説明を行う。
まず、第1の横断的な説明として、各動作ユニット600,700,800で共通して採用されている検出センサKS1,713,778d,813について構成を確認し、その採用態様(センサの個数、被検出片の形状等)の違いの理由について説明する。
第1動作ユニット600の検出センサKS1は、第1動作ユニット600の配置を検出するための検出装置であって、検出溝に延設部634bが進入可能とされる。第1動作ユニット600が備える検出装置は1個の検出センサKS1のみである(図41参照)。回動部材620、被支持部材640、張出装飾部652b及び第2装飾回転部材660という複数の変位部材について、回動部材620の姿勢が定まれば他の変位部材の配置や姿勢が定まるように構成していることから、1個の検出センサKS1での検出結果により、複数の変位部材の配置や姿勢を判定することができる。これにより、検出装置の配設個数を低減することができる。
第2動作ユニット700の検出センサ713は、第2動作ユニット700のギアカム部材734の姿勢を検出するための検出装置であって、検出溝に被検出部735が進入可能とされる。第2動作ユニット700がギアカム部材734の姿勢を検出するための検出装置は3個であり(図50参照)、それぞれ、第2動作ユニット700の演出待機状態、中間演出状態、張出状態に対応する。
演出待機状態を判定する検出センサ713は、初期位置への復帰を判定するために必要となる。張出状態を判定する検出センサ713は、上昇変位終端位置への到達を判定するために必要となる他、昇降反転演出装置770の反転動作や、意図しない負荷の影響による位置ずれの判定のために必要となる。中間演出状態を判定する検出センサ713は、中間演出状態での上下位置への到達を判定するために必要となる他、意図しない負荷の影響による位置ずれの判定のために必要となる。以下、反転動作と、意図しない負荷の影響とについて、順に説明する。
まず、反転動作について説明する。第2動作ユニット700では、ギアカム部材734の回転動作に連動して生じる昇降反転演出装置770の上下変位の他、昇降反転演出装置770の反転動作(図59参照)が可能に構成される。
反転動作により昇降反転演出装置770が上下方向に変位する可能性があるので、例えば、単一の検出センサ713(演出待機状態を判定する検出装置)のみを採用する場合には、張出状態や中間演出状態における上下方向の位置ずれを判定することができず、適正な演出動作が実行できない可能性がある。
これに対し、本実施形態によれば、第2動作ユニット700の演出待機状態、中間演出状態、張出状態に対応した検出センサ713を備えている。そのため、例えば、張出状態で昇降反転演出装置770を反転動作させたことで昇降反転演出装置770が上下方向に変位したことを判定でき、この判定結果を基にギアカム部材734の姿勢を適正に(張出状態となるように)修正する方向に駆動モータ731を回転させることで、昇降反転演出装置770の配置を適正に保つことができる。
なお、本実施形態では、反転動作は第2動作ユニット700が張出状態の時(ギアカム部材734が動作終端側の時)にのみ許容されるので、反転動作時の位置ずれの修正は、ギアカム部材734を動作終端側に回転させれば良く、容易である。
次に、意図しない負荷の影響について説明する。第2動作ユニット700では、ギアカム部材734の回転動作により回動する回動アーム部材720に連動して生じる昇降板部材740の上下変位の他、その昇降板部材740の上下位置に対応した前後位置に変位するための昇降板部材740を基準とした昇降反転演出装置770の前後変位が生じる(図52から図54参照)。
そのため、遊技機の前後幅方向にかけられる負荷で昇降反転演出装置770が前後方向に変位することに伴って、昇降反転演出装置770及び昇降板部材740の上下位置が変動し、これに伴ってギアカム部材734の姿勢が変化する可能性がある。遊技機の前後幅方向にかけられる負荷としては、遊技者が遊技機を叩くなどする場合の衝撃負荷や、正面枠14を開閉する際の負荷等が例示される。
前後幅方向の負荷により昇降反転演出装置770が上下方向に変位する可能性があるので、例えば、単一の検出センサ713(演出待機状態を判定する検出装置)のみを採用する場合には、張出状態や中間演出状態における上下方向の位置ずれを判定することができず、昇降反転演出装置770が適正な配置に維持できない可能性がある。
これに対し、本実施形態によれば、第2動作ユニット700の演出待機状態、中間演出状態、張出状態に対応した検出センサ713を備えている。そのため、例えば、中間演出状態で前後幅方向の負荷が遊技機にかけられ、昇降反転演出装置770及び昇降板部材740の上下位置が変動した場合に、連動してギアカム部材734の姿勢が変化するので、昇降反転演出装置770が上下方向に変位したことを判定でき、この判定結果を基にギアカム部材734の姿勢を適正に(中間演出状態となるように)修正する方向に駆動モータ731を回転させることで、昇降反転演出装置770の配置を適正に保つことができる。
なお、中間演出状態に対応した検出センサ713にギアカム部材734の被検出部735が配置されている状態から、意図しない負荷により被検出部735が検出センサ713から外れたと判定された場合、本実施形態では、被検出部735がいずれの方向に外れたのかの判定まではできないが、先に演出装置780を下降変位させる方向に駆動モータ731を駆動するように制御している。これにより、第2動作ユニット700と第3動作ユニット800とが衝突する事態を未然に回避することができる。
本実施形態では、この駆動により、被検出部735が再度、中間演出状態に対応した検出センサ713に進入した場合には、意図しない負荷による被検出部735の変位は、演出装置780を上昇変位させる側に生じていたことが分かり、その時点で駆動を停止するようにすれば、意図しない負荷によって生じた影響を相殺することができる。
また、この駆動により、被検出部735が中間演出状態に対応した検出センサ713に進入することなく、演出待機状態に対応した検出センサ713に進入した場合には、意図しない負荷による被検出部735の変位は、演出装置780を下降変位させる側に生じていたことが分かり、再度上昇変位させるように駆動を継続して中間演出状態に対応した検出センサ713に被検出部735が進入した時点で駆動を停止するようにすれば、意図しない負荷によって生じた影響を相殺することができる。
なお、検出センサ713の検出溝に進入する被検出部735については、延設部634bで説明したような構造上の目的は生じないので、検出センサ713の検出幅に適切な幅長さの板状部として形成される。これにより、ギアカム部材734の姿勢を検出する分解能を高めることができる。
検出センサ778dは、第2動作ユニット700の上下反転部材781の姿勢を検出するための検出装置であって、検出溝に円弧状突設部781dが進入可能とされる。第2動作ユニット700が上下反転部材781の姿勢を検出するための検出装置は2個であり(図56参照)、それぞれ、上下反転部材781の正立の縦配置状態と、倒立の縦配置状態と、に対応する。
第2動作ユニット700は、上下反転部材781の正立の縦配置状態(図59(a)参照)と、倒立の縦配置状態(図59(c)参照)とにおいて、左右一対で配設される覆設部材787が近接する合体状態とされる。
例えば、単一の検出センサ778d(上下反転部材781の正立の縦配置状態を反転する検出装置)のみを採用する場合には、正立の縦配置状態からの上下反転部材781の姿勢ずれは判定できるので、判定結果に基づいて覆設部材787の合体状態を維持するように駆動モータ782を駆動制御することは可能である。一方で、倒立の縦配置状態からの上下反転部材781の姿勢ずれを判定することはできないので、倒立の縦配置状態における覆設部材787の合体状態が、意図しない負荷や、制御不良等により状態変化した場合であっても、その状態変化を検出センサ778dで判定することはできず、合体状態が解除された状態が継続することになり、演出上好ましくない。
これに対し、本実施形態によれば、上下反転部材781の正立の縦配置状態と、上下反転部材781の倒立の縦配置状態と、に対応した検出センサ778dを備えている。そのため、正立の縦配置状態か、倒立の縦配置状態かに関わらず、合体状態からの状態変化が生じたことを検出センサ778dにより判定することができ、その判定結果を基に合体状態に戻す側に駆動モータ782を駆動制御することで、覆設部材787を合体状態に戻すことができる。これにより、第2動作ユニット700の演出効果を向上することができる。
なお、検出センサ778dの検出溝に進入する円弧状突設部781dについては、延設部634bで説明したような構造上の目的は生じないので、検出センサ778dの検出幅に適切な幅長さの板状部として形成される。これにより、上下反転部材781の姿勢を検出する分解能を高めることができる。
第3動作ユニット800の検出センサ813は、第3動作ユニット800の外側回転部材840の姿勢を検出するための検出装置であって、検出溝に被検出部844が進入可能とされる(図60参照)。第3動作ユニット800が外側回転部材840の姿勢を検出するための検出装置は1個であり、この単一の検出装置が、外側回転部材840自体の回転と、外側回転部材840の回転が停止した状態における内側回転部材830の回転(切替回転動作)と、の判定に利用(兼用)される。
なお、検出センサ813の検出溝に進入する被検出部844については、延設部634bで説明したような構造上の目的は生じないので、検出センサ813の検出幅に適切な幅長さの板状部として形成される。これにより、外側回転部材840の姿勢を検出する分解能を高めることができる。
検出センサ813は、外側回転部材840の姿勢を検出する目的から配設され、個数も1個と少ないので、装飾部材870,880の合体状態からのずれを判定するには不十分である。例えば、検出センサ813に被検出部844が配置されていない姿勢で外側回転部材840が維持されている時に合体状態が解除されるような変位が生じても、それを検出センサ813で判定することはできない。
そのため、合体状態からのずれを判定してから、合体状態に復帰させるという制御よりは、一定の時間間隔で、装飾部材870,880を合体状態へ復帰させる方向(個別合体状態(図66(a)参照)では正面視で内側回転部材830を時計回りに回転させる方向、一連合体状態(図103(b)参照)では正面視で内側回転部材830を反時計回りに回転させる方向)に駆動モータ861を一定時間(例えば、短時間)回転させるよう駆動する制御が好ましいと考えられる。
この制御により、装飾部材870,880の合体状態が予期せず解除された場合であっても、一定の時間間隔での駆動モータ861の駆動により装飾部材870,880を合体状態に復帰させることができるので、装飾部材870,880の合体状態が解除されたまま長期に亘り維持されることを回避することができる。
第2の横断的説明として、磁石Mg,Mg2の作用について説明する。上述のように、第2動作ユニット700では磁石Mgが覆設部材787の姿勢維持に機能しており、第3動作ユニット800では磁石Mg2が装飾部材870,880の合体状態の維持に機能しているように、類似の技術を採用しているが、それぞれ、磁石Mg,Mg2が生じる負荷の方向の設計思想が異なるので、ここで説明する。
第2動作ユニット700では、左右にそれぞれ配設される磁石Mgと金属ネジとの間で生じる磁力の方向が、左右両位置において、前後方向で揃うよう設計されている。換言すれば、磁力の作用線が、覆設部材787の回転動作の回転軸としての金属棒785aと直交する平面に平行となるように設計されている。
この場合、磁石Mgの磁力が金属棒785aの軸方向に生じる場合と比較して、覆設部材787が互いに近接離反するスライド変位の抵抗として生じる磁力の程度(大きさ)を下げることができる。これにより、覆設部材787の動作開始時の動作抵抗を下げることができる。
一方、第3動作ユニット800では、装飾部材880に配設される磁石Mg2と金属ネジNj2との間で生じる磁力の作用線の方向が、装飾部材880の回転動作の回転軸としての5本の金属棒832が配置される平面(内側回転部材830の回転軸に直交する平面)と、平行な一平面上に配置されるよう設計されている。
この場合、磁石Mg2の磁力により装飾部材870,880に回転動作方向の負荷がかけられる程度を下げることができるので、磁力により、装飾部材870,880が回転動作方向にぐらつく誤動作を回避し易くすることができる。
第3の横断的説明として、第3図柄表示装置81等の表示装置における表示と、動作ユニット600,700,800とを一体的に視認させる演出について説明する。
第1動作ユニット600では、張出装飾部652bが第3図柄表示装置81の表示領域の領域右端RE1と重なって見えるよう配置される(図29参照)。そのため、例えば、第3図柄表示装置81の表示領域の領域右端RE1付近に、張出装飾部652bを配置させる位置に対応する表示をすることで、表示領域と張出装飾部652bとをひとまとまりの表示演出として視認させ易くすることができる。
第2動作ユニット700では、第1副装飾面787a2が、センターフレーム86の内側下縁部と、開口511aの下縁部と、の間において高さを合わせて配置される(図26及び図52参照)。そのため、例えば、第3図柄表示装置81の表示領域の下縁付近に、第1副装飾面787a2を配置させる位置に対応する表示をすることで、表示領域と第1副装飾面787a2とをひとまとまりの表示演出として視認させ易くすることができる。
第3動作ユニット800では、個別合体状態で遊技者が視認可能となる各第1覆設部875には異なる装飾がされており、張出状態では、その周囲を正面視で囲むように第3図柄表示装置81の表示領域が配置される。そのため、例えば、第3図柄表示装置81の表示領域における第1覆設部875と近接した範囲において、第1覆設部875を配置させる位置に対応する表示をすることで、表示領域と第1覆設部875とをひとまとまりの表示演出として視認させ易くすることができる。
また、第3動作ユニット800が一体回転動作するように駆動制御すれば、各第1覆設部875が回転するルーレット状の動作演出を実行可能となるが、その際にも、例えば、第3図柄表示装置81の表示領域における第1覆設部875と近接した範囲において、第1覆設部875と並走するように表示を動かすことで、表示領域と第1覆設部875とをひとまとまりの表示演出として視認させ易くすることができる。
次いで、図108を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、流路構成部334~336の内部形状が固定である場合を説明したが、第2実施形態の振分装置2300では、内部形状を可変とする第1流路構成部2334を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第1実施形態での第1流路構成部334の代替部として第1流路構成部2334を説明する際、右側に配設される構成について図示して説明するが、左側に配設される構成についても第1流路構成部2334とすることはできる。また、左右一方だけ第1流路構成部2334とし、他方は第1流路構成部334とするように、左右で構成を異なるようにしても良い。
図108は、図15のXVI-XVI線に対応する線における第2実施形態における振分装置2300の断面図である。図108に示すように、振分装置2300の第1流路構成部2334は、湾曲突部334bの下部において前後方向に穿設される貫通孔2410と、その貫通孔2410に沿って前後にスライド変位可能に案内されるスライド部材2420と、そのスライド部材2420をスライド変位させる駆動力を発生可能となるように後側枠状部332内部に配設されるソレノイド2430と、を備える。
図108では、ソレノイド2430の非励磁状態におけるスライド部材2420の前側配置FPが実線で図示されている。ソレノイド2430に通電されると、ソレノイド2430の駆動力によりスライド部材2420が後側配置RPまでスライド変位する。
本実施形態では、スライド部材2420の前側配置FPでは、スライド部材2420の上側面が、固定の流路の底面であって球が転動可能な底面2334cよりも内側(上側)に張り出し、後側配置RPでは、スライド部材2420の上側面が底面2334cよりも内側(上側)には張り出さない(没入する)ように構成される。
即ち、スライド部材2420の前側配置FPでは、スライド部材2420の上側面に球が当接し、スライド部材2420の後側配置RPでは、スライド部材2420と球とは当接しない。
スライド部材2420の上側面は、底面2334cと平行な平面として形成される。そのため、球が底面2334cを転動している際にスライド部材2420のスライド変位が生じても、球の流下態様に対する影響を小さく抑えることができる。
底面2334cを転動する球の流下方向は斜め前下方向であり、スライド部材2420のスライド変位の方向は前後方向であるので、スライド部材2420のスライド変位の方向が球の流下方向に沿う。そのため、スライド部材2420のスライド変位が、球の回転の強弱に影響する。
球は、底面2334cを前方へ向けて転動するので、進行方向(前方)へ向けて前転する方向の回転が生じることになる。ソレノイド2430が非励磁の状態(図108参照)から、ソレノイド2430に通電されることにより、スライド部材2420が前側配置FPから後側配置RPにスライド変位される場合、スライド部材2420の上側面を転動している球の下端に対して後方向への負荷(摩擦力)が生じる。そのため、球の前転方向の回転が加速され、球の回転の程度を大きくでき、球の転動速度を増速させることができる。
一方、ソレノイド2430が通電されている状態から、非励磁の状態(図108参照)へと変化されることで、スライド部材2420が後側配置RPから前側配置FPにスライド変位される場合、底面2334bを転動している球の下端に対してスライド部材2420の上側面を介して前方向への負荷(摩擦力)が生じる。そのため、球の前転方向の回転が減速され、球の回転の程度を小さくでき、球の転動速度を減速させることができる。
更に、底面2334bの上下位置よりも、前側配置FPにおけるスライド部材2420の上側面の上下位置の方が上側にあるので、スライド部材2420からの摩擦力に加えて、球を上側に押し上げる方向の負荷が生じる。そのため、下方へ向けて転動する球の上下方向の速度を低減させることができるので、球の流下速度を減速させることができる。
このように、本実施形態によれば、球が底面2334bを転動している時にスライド部材2420のスライド変位を生じさせる制御を実行することで、振分装置2300の内部を流下する球の流下速度を変化可能とすることができる。これにより、球が、球通過孔163bを通過してから分岐箇所BP1(図74参照)に到達するまでの時間を変化可能に制御することができる。
本実施形態では、スライド部材2420が第2流路構成部335よりも後方に配置されているので、スライド部材2420により球が影響を受けている最中の様子を、遊技者に把握され難くすることができる。
即ち、遊技者が視認し易く注目が集まり易い第2流路構成部335に球が導入される前段階でスライド部材2420と球との当接を生じさせることになるので、球に回転を付加したり、上下方向に変位させたりする様子を遊技者に把握され難くすることができる。これにより、第2流路構成部335を流下する球を視認する遊技者に与える違和感を小さくすることができる。
本実施形態では、球が底面2334cの上側に配置されている時にスライド部材2420が変位する場合には当接負荷が与えられる一方で、スライド部材2420の変位前後(停止時)に底面2334cの上側を通過する球にはスライド部材2420との当接負荷が与えられない。
従って、スライド部材2420の動作中に底面2334cの上側に配置される球と、スライド部材2420の停止中に底面2334cの上側に配置される球とで、流下態様(回転、回転の変化、流下速度、流下速度変化、等)を異ならせることができる。
次いで、図109を参照して、第3実施形態について説明する。第1実施形態では、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12が左右に並んで配置される場合を説明したが、第3実施形態の振分装置3300では、確変検出センサSE11の配置が通常検出センサSE12の後側に移動されることで、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12が前後に並んで配置される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12の配置の変更例として左右中央よりも右側において説明を行うが、左右よりも左側における構成は任意に設計可能である。例えば、左側においては、第1実施形態と同様に確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12を左右に並べて配置するようにして、振分装置3300の左右で確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12の配置が異なるように構成しても良いし、左側においても、以下で詳述するように前後に並べて配置されるようにして、振分装置3300の左右で確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12の配置が対称となるように構成しても良い。
図109(a)及び図109(b)は、図15のXVII-XVII線に対応する線における第3実施形態における振分装置3300の断面図である。図109(a)では、電磁ソレノイド361(図17参照)が非励磁とされ、スライド変位部材3370が前側位置に配置された状態が図示され、図109(b)では、電磁ソレノイド361に通電されスライド変位部材3370が後側位置に配置された状態が図示される。
また、図109(a)及び図109(b)では、第3流路構成部336を流れた後の球の案内経路が想像線で図示される。このように、スライド変位部材3370の配置によって、球の案内経路が変化される。
図109(a)及び図109(b)に示すように、振分装置3300の中部材3330には、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12への球案内経路を区画する後側枠状部3332が、左側から球を受入可能に開放される形状で構成されている。
スライド変位部材3370は、前側位置と後側位置とでスライド変位可能に構成されている。スライド変位部材3370の後側位置(図109(b)参照)は、上突設部376の前側面376aの右端部と、確変検出センサSE11へ球を案内する経路入口として後側枠状部3332に形成される開放部3332gの後側内面と、が左右で揃う(又は、前側面376aの右端部の方が若干前側に配置される)位置として設定される。
このようにスライド変位部材3370の位置を設定することで、スライド変位部材3370が前側位置に配置されていれば、第3流路構成部336を通過した球がスライド変位部材3370の前側面376aに当接しながら右側へ流され、通常検出センサSE12を通過する一方で、スライド変位部材3370が後側位置に配置されていれば、第3流路構成部336を通過した球がスライド変位部材3370の前側面376aに当接しながら右側へ流され、確変検出センサSE11を通過するように構成することができる。
即ち、通常検出センサSE12を通過する球の流下経路と、確変検出センサSE11を通過する球の流下経路とが、双方共に、第3流路構成部336を通過した後で右方に流れる流下経路で構成される。違いは、右方に流れる前後位置のみである。
そのため、正面側から第3流路構成部336を視認する遊技者目線で、球が確変検出センサSE11へ流れたか、通常検出センサSE12へ流れたかの判別を困難とすることができる。
スライド変位部材3370は、薄板部371の前端部から正面側に棒状に延設される一対の棒状案内部3371cと、上突設部376に一体的に形成される上前突設部3376bと、上突設部376に一体的に形成される上横突設部3376cと、を備える。
棒状案内部3371cは、上側面が球案内部371bの上面と面一とされ、第3流路構成部336を流下する球の球中心の左右両側に左右一対で形成されており、排出孔337の前側面を貫通して、第3流路構成部336の下面裏側に収容可能に構成される。
即ち、スライド変位部材3370が前側位置に配置される場合には、棒状案内部3371cは第3流路構成部336の下面裏側に配置されることで球とは当接せず、スライド変位部材3370が後側位置に配置される場合には、棒状案内部3371cは排出孔337の前側面と球案内部371bとの前後方向隙間に亘って配設される。
このように棒状案内部3371cを構成することで、スライド変位部材3370が後側位置に配置されている時に、球の下側左右部を棒状案内部3371cで支持することができ、球をスライド変位部材3370まで橋渡しすることができる。
これにより、スライド変位部材3370が後側位置に配置されている時に、球が通常検出センサSE12へ向けて流下する事態を回避し易くすることができる。即ち、棒状案内部3371cにより、流下球の誤案内を回避し易くすることができる。
また、第3流路構成部336を通過した球の配置が、球案内部371bの上面と面一で形成される棒状案内部3371cの上面に乗る配置とされることで、球と球案内部371bとが前後方向で正面衝突する事態を回避することができる。即ち、棒状案内部3371cにより、球と球案内部371bとが正面衝突して球が前方に逆流する事態や、球案内部371bの前側面と排出孔337の前側面との間に球が挟まって動作が不良となる事態を、回避し易くすることができる。
上前突設部3376bは、第1実施形態で上述した前後長突設部317(図18参照)と同様の形状部が、第1実施形態のスライド変位部材370の前側位置における相対位置と同様の位置関係で上突設部376と一体形成される形状部である。
上横突設部3376cは、第1実施形態で上述した左右内突設部318(図18参照)と同様の形状部が、第1実施形態のスライド変位部材370の前側位置における相対位置と同様の位置関係で上前突設部3376bと一体形成される形状部である。
これにより、上前突設部3376b及び上横突設部3376cが、当接した球に与える作用は、スライド変位部材3370の配置に関わらず、上突設部376付近を流下する球に対する作用として生じる。
換言すれば、前後長突設部317や左右内突設部318(図18参照)のように固定配置される場合と異なり、スライド変位部材3370が後側位置に配置される状態において、突設部3376b,3376cが、上突設部376の前方位置に到達した球を通常検出センサSE12側へ勢い付けする作用を排除することができる。
次いで、図110及び図111を参照して、第4実施形態について説明する。第1実施形態では、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12が左右に並んで配置される場合を説明したが、第4実施形態の振分装置4300では、通常検出センサSE12の配置が確変検出センサSE11の後側に移動されることで、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12が前後に並んで配置される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図110(a)及び図110(b)は、第4実施形態における第3流路構成部336の下流側の構成を模式的に示す第3流路構成部336、確変検出センサSE11、通常検出センサSE12及びスライド変位部材4370の模式上面図である。
図111(a)は、図110(a)のCXIa-CXIa線における第3流路構成部336、確変検出センサSE11、通常検出センサSE12及びスライド変位部材4370の模式断面図であり、図111(b)は、図110(b)のCXIb-CXIb線における第3流路構成部336、確変検出センサSE11、通常検出センサSE12及びスライド変位部材4370の模式断面図である。図111(b)では、分かり易さのために、上当接部4373の図示を省略している。
スライド変位部材4370は、確変検出センサSE11又は通常検出センサSE12の一方を球が通過不能に塞ぎ、他方を開放して球の通過を可能とするよう構成されており、確変検出センサSE11の上方で左右にスライド移動する前側スライド部材4371と、通常検出センサSE12の上方で左右にスライド移動する後側スライド部材4375と、を備える。
前側スライド部材4371と後側スライド部材4375とは、ソレノイドの駆動力により、互いに左右反対方向にスライド変位する。即ち、図110(a)及び図111(a)に示す前開放状態から、図110(b)及び図111(b)に示す後開放状態に状態変化する際に、前側スライド部材4371は左方にスライド移動し、後側スライド部材4375は右方にスライド移動するよう構成される。
前側スライド部材4371は、確変検出センサSE11の上方に被さるように配置されるスライド板4372と、左右内突設部318(図17参照)の形状と同様の形状で形成される上当接部4373と、を備え、不図示の連結部により一体的に形成される。即ち、図110において、スライド板4372及び上当接部4373は一体的にスライド変位する。
スライド板4372の上側面4372aは、第3流路構成部336の下底面336aと面一とされ、前後方向の傾斜が同一傾斜の傾斜平面として形成される(図111(b)参照)。そのため、後開放状態(図111(b)参照)において、上側面4372aの傾斜によって、上側面4372aを転動する球を通常検出センサSE12側へ流すことができる。一方で、前開放状態(図111(a)参照)では、下底面336aを通過した球は上当接部4373と当接し負荷を受けることで、下方(右下方)に流される。
従って、前側スライド部材4371は、前開放状態と、後開放状態とが変化すると、異なる箇所で球と当接するようになり、異なる方向に球を案内する(流す)ように状態が変化するよう構成される。
後側スライド部材4375は、通常検出センサSE12の上方に被さるように配置されるスライド板4376と、前後長突設部317(図17参照)の形状と同様の形状で形成される上当接部4377と、を備え、不図示の連結部により一体的に形成される。即ち、図110において、スライド板4376及び上当接部4377は一体的にスライド変位する。
スライド板4376の上側面4376aは、上側面4372aと前後逆の形状から形成される傾斜平面とされる(図111(a)参照)。そのため、前開放状態(図111(a)参照)において、上側面4376aの傾斜によって、上側面4376aに配置されている球を確変検出センサSE11側へ流すことができる。一方で、後開放状態(図111(b)参照)では、下底面336a及び上側面6372aを通過した球は上当接部4377と当接し負荷を受けることで、下方に流される。
従って、後側スライド部材4375は、前開放状態と、後開放状態とが変化すると、異なる箇所で球と当接するようになり、異なる方向に球を案内する(流す)ように状態が変化するよう構成される。
このように構成することにより、確変検出センサSE11の上方を後方に通過した後の球が、再び確変検出センサSE11の上方に戻り確変検出センサSE11を通過するという事態が生じ得ることから、第3流路構成部336を通過した球に対する注目力を向上することができる。
再び確変検出センサSE11の上方に戻る態様としては、例えば、上側面4372aを後方に球が通過するタイミングで、後開放状態から前開放状態に状態変化するようにソレノイドが駆動される場合が想定される。この場合、球は通常検出センサSE12を通過する前に上側面4376aに乗り上げることになり、上側面4376aの傾斜に沿って手前側に逆流し、確変検出センサSE11側に戻る。
このように、球が第3流路構成部336を通過するタイミングと、スライド変位部材4370の駆動タイミングとが合うと、球は確変検出センサSE11側に戻り得るように構成される。従って、確変検出センサSE11の上方を下流側に通過した球が確変検出センサSE11を通過することは無いように構成される遊技機に比較して、第3流路構成部336を通過した後の球や、スライド変位部材4370の駆動タイミングに対する注目力を向上することができる。
次いで、図112を参照して、第5実施形態について説明する。第1実施形態では、第3流路構成部336までは球の流路が共通であり、第3流路構成部336の後方に分岐箇所BP1が配置される場合を説明したが、第5実施形態の振分装置5300では、第3流路構成部336の上流側にスライド変位部材5370が配設され、第3流路構成部336の上流側で球の流路が変化する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図112(a)及び図112(b)は、図15のXVII-XVII線に対応する線における第5実施形態における振分装置5300の部分断面図である。図112(a)では、スライド変位部材5370が右側位置に配置され、スライド変位部材5370によって球が確変検出センサSE11へ案内される状態が図示され、図112(b)では、スライド変位部材5370が左側位置に配置され、スライド変位部材5370によって球が通常検出センサSE12へ案内される状態が図示される。
また、図112(a)及び図112(b)では、第1流路構成部334を流れた後の球の案内経路が想像線で図示される。このように、スライド変位部材5370の配置によって、球の案内経路が変化される。
スライド変位部材5370は、不図示の電磁ソレノイドにより左右方向にスライド変位可能に構成されており、球の転動面を構成する薄板部5371と、その薄板部5371の上面から上方に突設される上突設部5376と、を備える。
薄板部5371は、第1流路構成部334を通過した球が乗り上げ可能な程度に薄肉で形成される。上突設部5376は、球と対向する左側面5376aが、流路側を凹とした円弧形状で形成されているので、流れてきた球を滑らかに後方へ向けて流すことができる。
本実施形態によれば、振分装置5300のように、球の流下経路の前後幅が長く形成され、後側を流下する球に比較して、手前側を流下する球の視認性が高くなる構成を採用しながら、スライド変位部材5370の配置を、球の視認性が高くなる手前側としていることから、球の流下態様(流下経路)を遊技者に判別させ易くすることができる。
本実施形態では、スライド変位部材5370が右側位置に配置される場合、通常検出センサSE11への経路入口は特に塞がれておらず、球の入球が生じ得る構造とされる。一方で、通常検出センサSE11への経路入口の上流側を流下する球は、第1流路構成部334を流下する間に正面側に向けて流れている。
そのため、第1流路構成部334を通過した直後において、真逆の後方側への速度が生じ難いため、通常検出センサSE11への経路入口への球の進入が生じ難い構成となっている。そこで、本実施形態では、敢えて通常検出センサSE11への経路入口を塞ぐための部材を設けることを省略し、部材コストの削減を図っている。
次いで、図113を参照して、第6実施形態について説明する。第1実施形態では、左右の流路が仕切り板部338により分断され、流路同士が合流しない場合を説明したが、第6実施形態の振分装置6300では、右側の第3流路構成部336に、左側の湾曲突部334bの下流側から右方に延びる合流流路6341が連結される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図113は、図15のXVII-XVII線に対応する線における第6実施形態における振分装置6300の断面図である。図113に示すように、振分装置6300の右側の流路は、第1実施形態と同様に流路構成部334~336から形成されている。
一方、振分装置6300の左側の流路は、湾曲突部334bの正面側に球1個分のスペースを空けた箇所から右方に直線的に延びる合流流路6341から形成され、この合流流路6341は、右側の流路としての第3流路構成部336に接続される。従って、本実施形態では、右側流路を流下する球と、左側流路を流下する球とが、流路が接続される接続箇所JP1で合流するので、球同士が衝突し得る。
合流流路6341は、流路下端に上げ床部6342を備える。上げ床部6342は、第3流路構成部336の下底面336aよりも高い位置の床面として形成される。これにより、合流流路6341から接続箇所JP1に流入する球と、右側流路を流下し第3流路構成部336を流下する球のとの高さ位置に差をつけることができるので、球同士の衝突時に生じる逆流の度合いを低減することができる。
接続箇所JP1における球同士の接触により、球同士の接触が生じない場合と比較して、球の流下を遅延させることができる。これにより、球同士の接触が生じる場合と、接触が生じない場合とで、球通過孔163b(図16参照)を通過した球が分岐箇所BP1に到達するまでの時間を変化させることができる。
スライド変位部材370の動作タイミングは球の入球態様によらず、開閉板65bの開放タイミングから一定動作で設定されるので、球が分岐箇所BP1に到達するタイミングを変化させることにより、スライド変位部材370が異なる配置の時に球を分岐箇所BP1に到達させることができる可能性がある。
球同士の接触の前提は、球の合流が発生することであり、合流流路6341を流下する球が存在することである。遊技者は、球同士の接触を生じさせたい場合には、左右一対の球通過孔163b(図74参照)にそれぞれ球を入球させるように発射強度を調節して遊技すればよく、球同士の接触を避けたい場合には、片側(右側)の球通過孔163bにのみ球を入球させるように発射強度を調節して遊技すればいい。
本実施形態によれば、球の発射強度の調節が、接続箇所JP1における球の接触の有無に関与し、球が分岐箇所BP1に到達するタイミングでのスライド変位部材370の状態と関与することから、遊技者の利益に直接的に影響する。従って、遊技者の、球の発射強度を調節する意欲を向上することができる。
また、本実施形態によれば、接続箇所JP1での接触は、球の連球の形成と密接に関連する。即ち、接続箇所JP1で接触した2球を、近接配置した状態で分岐箇所BP1へ流下させることができる。
次いで、図114及び図115を参照して、第7実施形態について説明する。第1実施形態では、分岐箇所BP1への流下経路が、流路構成部334~336により構成される流路のみである場合を説明したが、第7実施形態の振分装置7300では、第1流路構成部334及び第2流路構成部335を経由せずに球が分岐箇所BP1へ流下可能に構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図114は、第7実施形態における振分装置7300の正面斜視図であり、図115は、図114のCXV-CXV線における振分装置7300の断面図である。図114及び図115に示すように、振分装置7300は、特定入賞口65aに入球した球が通過可能な経路として、球通過孔163bの他に、左右略中央位置において開口形成される球通過孔7163bを備える。
球通過孔7163bは、可変入賞装置65への入球を検出し、規定個数の入球の判定により開閉板65bを閉鎖状態に状態変化させるタイミングを検出するために利用される検出センサSE1と同様の機能を有する検出センサSE71の球通過開口として形成される。
球通過孔7163bの下流側には、後方に向けて下降傾斜する方向に矩形筒状断面で延設される筒状流路7164が配設される。筒状流路7164は、内部を球が流下可能となるように十分に大きく形成されており、その端部は、分岐箇所BP1の正面側上方まで延びている。即ち、球通過孔7163bを通過した球は、筒状流路7164の内部を流下して、分岐箇所BP1まで到達可能に構成される。
筒状流路7164を球が通過するのに要する時間長さは、流路構成部334~336を球が通過するのに要する時間長さよりも短くなるように設定され、第1流路構成部334を球が通過するのに要する時間長さと同等となるように設定される。
そのため、例えば、振分装置7300が、上述した作動パターンY(図25参照)で駆動制御される場合において、上述のように、球通過孔163bを通過して流路構成部334~336を通過する球はスライド変位部材370が前側位置に復帰した後の状態でしか分岐箇所BP1に到達できないのに対し、球通過孔7163bを通過して筒状流路7164を流下した球はスライド変位部材370が後側位置に配置されている間に分岐箇所BP1に到達する可能性がある。
特に、開閉板65bが開放状態に状態変化した直後に球通過孔7163bを通過した球は、スライド変位部材370が後側位置に配置されている間に分岐箇所BP1に到達し易い。
即ち、スライド変位部材370の駆動制御のパターンが同じであっても、特定入賞口65aに入球した球が、球通過孔163bを通過するか、球通過孔7163bを通過するかで、確変検出センサSE11を球が通過するか否かが変化するように構成することができる。これにより、特定入賞口65aの内側における球の流下態様に対する遊技者の注目力を向上することができる。
図114に示すように、遊技中における一般的な方向視で見る場合に、筒状流路7164によって分岐箇所BP1やスライド変位部材370や流路構成部334~336の視認性が低下することを回避できるように筒状流路7164の配置を工夫している。
このように、本実施形態によれば、分岐箇所BP1の視認性は高く維持しながら、分岐箇所BP1へ球が案内される流路を増やしたことで、球が分岐箇所BP1へ到達するまでに要する時間長さの種類を増やすことができ、特定入賞口65aに対する遊技者の注目力を向上することができる。
次いで、図116を参照して、第8実施形態について説明する。第1実施形態では、第1動作ユニット600の案内長孔616が直線状部616aと曲線状部616bとが一箇所で連結され、その連結位置において軸線O1の経路が屈曲し軸線O1の変位方向が切り替えられる場合を説明したが、第8実施形態の第1動作ユニット8600では、案内長孔8616が、複数箇所(二箇所)で連結され、その連結位置において軸線O1の経路が屈曲し変位方向O1の変位方向が切り替えられる。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図116は、第8実施形態における案内長孔8616と回動部材620との関係を模式的に示す正面模式図である。図116に示すように、案内長孔8616は、直線状部616aの下側において、左右に2度屈曲する。
即ち、案内長孔8616は、直線状部616aと、その直線状部616aの下端部と連結され曲線上(略円弧形状)に形成される第1曲線状部8616bと、その第1曲線状部8616bの下端部と連結され、第1曲線状部8616bとは曲率半径の中心が左右逆となる曲線上(略円弧形状)に形成される第2曲線状部8616cと、を備える。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、軸線O1が直線状部616aの下端位置、即ち、直線状部616aと第1曲線状部8616bとの連結部分に配置される場合、軸線O1の変位方向が切り替えられることから軸線O1の変位速度を低減する(落とす)ことができる。
加えて、軸線O1が第1曲線状部8616bの下端位置、即ち、第1曲線状部8616bと第2曲線状部8616cとの連結部分に配置される場合、軸線O1の変位方向が切り替えられることから軸線O1の変位速度を低減する(落とす)ことができる。
このように、軸線O1を停止させ易い途中位置を複数位置で構成することができるので、軸線O1を途中で止めて、途中で停止している第2装飾回転部材660(図43参照)の停止姿勢の種類(バリエーション)を増やすことができる。
次いで、図117を参照して、第9実施形態について説明する。第1実施形態では、第1動作ユニット600の案内長孔616が単一の経路で構成される場合を説明したが、第9実施形態の第1動作ユニット9600では、案内長孔9616が、直線状部616a及び曲線状部616bで構成される第1の経路と、その第1の経路の右側に連結される第2の経路と、を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図117は、第9実施形態における案内長孔9616と回動部材620との関係を模式的に示す正面模式図である。図117に示すように、案内長孔9616は、第1実施形態の案内長孔616と同様に直線状部616a及び曲線状部616bを備えることに加え、直線状部616a及び曲線状部616bの連結箇所から右方に傾斜して延びる角度維持部9616cと、その角度維持部9616cの右端から曲線状部616b側へ延びて曲線状部616bの途中位置と連結される連結部9616dと、を備える。
角度維持部9616cは、軸線O1が直線状部616aと曲線状部616bとの連結箇所に配置された状態(図43及び図44参照)から、回動部材620を傾倒側に回動させる場合に角度θが維持された状態で軸線O1が変位すると仮定した場合の、軸線O1の変位軌跡と同方向に形成される。
このように、軸線O1が角度維持部9616cを変位する間は角度θが維持されるので、第2装飾回転部材660の箱状部材661の回転方向の姿勢は、第3演出面661cが正面を向く姿勢(図43参照)が維持される。
換言すれば、回動部材620が回動変位する際に軸線O1が角度維持部9616cを変位する場合、回動部材620が傾倒方向に回動することに連動して回転する箱状部材661の回転態様として、角度維持部9616cの形成長さ(形成角度幅)に亘り、第3演出面661cが正面を向いた姿勢を維持することができる。
連結部9616dを軸線O1が変位する場合は、回動部材620の回動に伴う角度θの変化は許容されるので、回動部材620の回動に連動して、箱状部材661は回転する。
一方で、回動部材620の傾倒角度が同じ場合であっても、軸線O1が曲線状部616bに配置される場合の角度θの大きさと、軸線O1が連結部9616dに配置される場合の角度θの大きさと、は異なるので、軸線O1が変位する経路を左右で異ならせることで、回動部材620の回動に連動する箱状部材661の途中姿勢を異ならせることができる。
また、軸線O1が変位する経路が左右いずれであろうと、軸線O1が変位可能範囲の上端に配置される場合の角度θや、下端に配置される場合の角度θは、それぞれ一種類なので、軸線O1が変位可能範囲の上端または下端に配置されている場合における箱状部材661の姿勢は維持することができる(図40及び図45参照)。
換言すれば、本実施形態では、軸線O1が変位可能範囲の端部間(途中位置)に配置された状態における、軸線O1の配置に関連する被支持部材640及び第2装飾回転部材660(図43及び図44参照)の配置と、軸線O1の変位速度に関連する被支持部材640の変位速度および第2装飾回転部材660の箱状部材661の回転速度と、を複数種類で生じさせることができる。
案内長孔9616は、複数の経路で構成されているに留まり、軸線O1が変位可能な経路を制限する機構は備えていない。これにより、経路を制限する機構の不良による動作不良の発生を回避したり、構成を簡素化することによる製品コストの低減を図ったりすることができる。
一方で、軸線O1の変位経路の分岐は、回動部材620を介して軸線O1にかけられる負荷の方向で制御することができる。以下、これについて説明する。まず、回動部材620が傾倒方向に回動変位する場合を説明する。
第1に、軸線O1を左側の経路(直線状部616a及び曲線状部616b)で変位させる場合、回動部材620の回動変位が途中で停止しないように駆動モータ631(図40参照)を駆動制御する。
この場合、軸線O1は、直線状部616aの延びる方向(上下方向)に沿う変位の慣性で曲線状部616bに進入し、そのまま案内長孔9616の下端位置まで変位する。
第2に、軸線O1を右側の経路(角度維持部9616c及び連結部9616d)で変位させる場合、直線状部616a及び曲線状部616bの連結箇所に軸線O1が配置された段階で回動部材620を途中停止または減速させるよう駆動モータ631(図40参照)を駆動制御し、その後で再度、駆動モータ631を同方向に駆動制御する。
この場合、直線状部616aの延びる方向(上下方向)に沿う変位の慣性が減少するので、軸線O1が左側の経路を変位するか、右側の経路を変位するかの選択は、変位抵抗が少ない側が選ばれる。
ここで、角度維持部9616cへ軸線O1が進入する場合、角度θの大きさが維持されることから、回動部材620と歯合回転する中間ギア644(図44参照)や、中間ギア644よりも駆動力の伝達下流側の部材に駆動力を伝達する必要がない。即ち、その分だけ変位抵抗が少ないので、軸線O1を角度維持部9616b側に進入させることができる。
このように、本実施形態では、回動部材620の傾倒方向の駆動制御において、駆動モータ631を途中で停止制御させるか、停止させないかにより、軸線O1が変位する経路を選択するように制御することができる。
なお、回動部材620の起き上がり方向の変位では、軸線O1が回動部材620から斜め右上方向へ向けた負荷を受けるので、軸線O1が連結部9616dに進入するように変位する事態は生じ難くされ、曲線状部616bに沿って軸線O1を上昇変位させることができる。
本実施形態では、連結部9616dと曲線状部616bとの連結箇所は、曲線状部616bの途中位置に設定されているので、曲線状部616bの右側面が、曲線状部616bの下端位置に配置された軸線O1の右上側に配置される左上傾斜の面として形成される。
そのため、軸線O1が曲線状部616bの下端位置に配置された状態で、円形貫通孔624を中心とする円に沿って軸線O1が上方変位(跳ね戻り)することを防止することができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記第1実施形態では、振分装置300により球が一旦手前側に流下した後で、後方に流下する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、手前側に流下する部分を構成することなく、複数回の経路屈曲や、球を減速させる減速凸部を形成することにより、球の流下に要する時間の確保を図っても良い。
上記第1実施形態では、第2入賞口140の前意匠部材141の下底面が湾曲面形状とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、当接により球の流下を遮ることができる形状であれば良い。例えば、傾斜平面形状で構成しても良いし、平面から細かな凸部が多数突設されるよう形成され、衝突した球に不規則な負荷を与えられるようにしても良い。
上記第1実施形態では、特定入賞口65aに入球した球が振分装置300を流下する際、専ら流路構成部334~336を順に流下する場合を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、特定入賞口65aの左右中央部に下方へ貫通する開口が形成され、この開口を通り第3流路構成部336に球が直接流入可能に形成しても良い。
例えば、球が1球ずつ入球する場合には開口を球が通過することは無いが、複数球がまとまって特定入賞口65aに入球した場合に球が開口を通過し得るよう構成しても良い。この場合、特定入賞口65aに入球した球が開口を通過する場合と、開口を通過しない場合とで、球がスライド変位部材370に到達するまでに要する時間を変化させることができる。
上記第1実施形態では、検出センサSE11,SE12が特定入賞口65aよりも後方に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2流路構成部335の下流側端部の真下に検出センサSE11,SE12が配設されるようにしても良い。また、この場合において、第1流路構成部334と第2流路構成部335との順番を逆転させても良い。即ち、検出センサSE11,SE12への入球において、左右方向への流下の直後に各検出センサSE11,SE12への分岐が生じても良いし、前後方向流下(手前側へ向けた流下)の直後に各検出センサSE11,SE12への分岐が生じても良い。
上記第1実施形態では、振分装置300単体での特徴として、各流路構成部334~336の流路方向や傾斜について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、パチンコ機10の島への設置の際に、日常的に行われる「ねかせ」を考慮して、この流路方向や傾斜について設計するようにしても良い。
ねかせとは、パチンコ機10を垂直な姿勢で設置するのではなく、前後方向に傾斜させた状態で設置することを言う。通常、パチンコ機は、約1度(四分五厘)後方に倒れた姿勢(ねかせ)で設置される。上述の振分装置300単体(ねかせが無い状態状態)での説明に比較して、約1度という設置角度を考慮すると、前後方向の傾斜を有する第1流路構成部334及び第2流路構成部336の傾斜の意味が変わってくる。
即ち、振分装置300単体では、上述のように、第1流路構成部334が前側へ水平から7度だけ下降傾斜し、第3流路構成部336が後側へ水平から5度だけ下降傾斜するように設計されているが、設置角度を合わせて検討すると、第1流路構成部334も第3流路構成部336も同様に6度だけ下降傾斜する流路を構成することになる。一方で、第2流路構成部335は、左右方向の傾斜であるので設置角度の影響を受けにくく、上述と同様に約5度の傾斜とみなすことができる。
この場合、振分装置300内の球の流下について、第1流路構成部334及び第3流路構成部336での球の加速度は同様とされ、第2流路構成部335において若干加速度が小さくなる。そのため、左右方向の球の流下速度を落とすことができるので、第2流路構成部335を流下する球を遊技者に視認させ易くすることができる。また、第1流路構成部334の方が第3流路構成部336よりも短いことは変わらないので、第1流路構成部334を、第3流路構成部336を通過するよりも短期間で通過させることができる。
このように、振分装置300の内部での球の流下は、前後方向の流路を有していることからパチンコ機10のねかせの影響を受ける。そのため、各流路構成部334,336の傾斜角度をねかせの角度(約1度)よりも小さくすると、ねかせの良し悪し(角度設定)により流路構成部334,336における球の流下方向が変わって(反転して)しまうので、傾斜角度はねかせの角度よりも大きな角度として設定する必要がある。
また、振分装置300の内部での球の流下が前後方向の流路を有しており、その流路が視認可能な構成では、その流路を流下する球の流速の僅かな違いから、パチンコ機10のねかせの程度を把握される可能性がある。敢えて、ねかせの程度を把握させたいなら、振分装置300の流路を視認し易い構成とすればいい。
一方、上記第1実施形態では、球の流下速度の僅かな違いから「ねかせ」の程度を把握されないように、各流路構成部334~336の、前側周囲において被固定部材161や前意匠部材162が囲むように配置され、上側において可変入賞装置65が覆うように配設され、下側において光拡散加工面340で視認性を悪くするように構成されるようにしている。
このように、各流路構成部334~336を流下する球の視認性を、通常の遊技者目線(正面視0度~約30度程度の範囲)を除き、悪くするようにしている。これにより、各流路構成部334~336を流下する球の流速を比較してパチンコ機10の「ねかせ」の程度を把握されることを回避することができる。
上記第1実施形態では、第1流路構成部334の傾斜の方が、第3流路構成部336の傾斜よりも大きい場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、この傾斜の関係を逆転させても良いし、同様の傾斜で構成しても良い。
また、各流路構成部334~336は、それぞれ直線状の流路が屈曲して渦状の流路を構成するものとして説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、蛇行する流路形状でも良いし、階段状に屈曲する流路形状でも良い。
また、各流路構成部334~336の接続箇所で流路が直角に曲げられるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、接続箇所で流路が鋭角で曲げられても良いし、鈍角で曲げられても良い。また、各流路構成部334~336としてクルーンを採用しても良い。
上記第1実施形態では、第3流路構成部336を球が通過するのに要する時間が0.3秒となるように設計される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第3流路構成部336を通過するのに要する時間が1秒(0.6秒以上)となるように設計しても良い。これにより、球が発射間隔(0.6秒)を維持したまま振分装置300に入球した場合であっても、第3流路構成部336を流下する上流側の球を、その下流側において第3流路構成部336を流下する球の目隠しとして機能させることができる。
上記第1実施形態では、流路構成部334~336の経路長さを確保することで、球の流下時間を確保する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、スライド変位部材370までの経路の内側両壁から遊技球の流下方向と交差する方向に長尺で形成され、互い違いに突設される突条を設け、この突条を遊技球に衝突させることで球を減速させるように構成しても良い。これにより、経路長さを長くせずとも、球の流下時間の確保を図ることができる。
なお、減速用の突条は、スライド変位部材370までの経路の全範囲に均等に配置するようにしても良いし、配置を不均等にしても良い。例えば、第1流路構成部334及び第2流路構成部335については突条を形成せず、第3流路構成部336においてのみ突条を構成することで、第3流路構成部336までは迅速に球を到達させる一方、球が第3流路構成部336を緩やかに流下するように構成することができる。
また、突条の突設方向は、左右方向から球の流下経路に沿って経路内側へ互い違いに突設されるような方向でも良いし、所定間隔を空けて下側から上方へ突設されるような方向でも良い。
左右方向からの突設の場合、突条から球に与えられる負荷が左右方向の成分を有するので、この負荷により球が通常検出センサSE12に誤って案内されないように配置を考慮することが好ましい。例えば、スライド変位部材370に最も近接する位置においては、左右外側の壁部から左右内側に突設させることで、突条からの負荷が通常検出センサSE12側へ向かわず仕切り板部338側へ向かうようにすることで、球が誤って通常検出センサSE12に案内されることを回避し易くすることができる。
下側から上方への突設の場合、突条自体がスライド変位部材370の目隠しとして機能する可能性があるので、遊技者の視線を考慮して、形成高さや形成位置を設計することが好ましい。
なお、突条は、出没可動に形成しても良い。この場合、出状態では球の流下をせき止めて、没状態となった場合に球の流下を再開可能としても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370の手前側を流下する球により目隠しがされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、振分装置300の前に、可動の化粧部材が配置され、その化粧部材によって流路構成部334~336の目隠しがされるようにしても良い。この化粧部材は、駆動されても良いし、球の重みで動作するものでも良い。
また、球により目隠しがされる場合において、球が手前側に配置される場合に限られるものではない。例えば、スライド変位部材370の背面側に鏡が配設され、その鏡の反射を利用してスライド変位部材370の状態を視認させる場合には、球がスライド変位部材370と鏡との間に配置されれば、目隠し機能を生じさせることができる。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370に到達する球が目隠しされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1入賞口64が、検出センサSE11,SE12のように遊技領域よりも後方に配置され、第1入賞口64が目隠しされるものでも良いし、他の一般入賞口63が目隠しされるものでも良い。
上記第1実施形態では、流路構成部334~336が直線的で球を1個ずつ案内可能な流路から形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、蛇行する流路として形成されても良いし、複数に枝分かれが生じる流路として形成されても良いし、流路幅の大小があり流路幅が大の箇所では球が滞留し易いよう構成されても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370へ向かう球により目隠しの効果が生じる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、他の入賞口63,64,65,140に入球した球を排出するための排出経路がスライド変位部材370の前側に配置され(例えば、手前側において交差するように配置され)、その排出経路および排出経路に配置される球によりスライド変位部材370が目隠しされるようにしても良い。
上記第1実施形態では、特定入賞口65aに入球した球は、専ら第1流路構成部334を通り第2流路構成部335側(手前側)に流れてくる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、特定入賞口65aの下流側に球を振り分けるシーソー状の振分機構が配設され、その振分機構により第2流路構成部335側に流れる球が選別されることで、一部の球が第2流路構成部335側に流れるようにしても良い。
振分機構は、球の自重で変位動作するものでも良いし、駆動装置で開閉板65bの開閉から一定動作するよう駆動されても良いし、パチンコ機の電源オンから一定のパターンで駆動されるように制御しても良い。
駆動制御する場合は、例えば、入球の種類が変化する場合において第2流路構成部335側に球が流れるように制御しても良い。例えば、特定入賞口65aへの入球において、カウント数(10個/ラウンド)を超える入球(超過入賞)があった場合に、第2流路構成部335側に球が流れるように構成しても良い。この場合、第2流路構成部335側を流下する球の個数と、超過賞球の払い出し個数とを照合でき、得られる追加利益を遊技者が早期に把握することができる。この場合において、スライド変位部材370及びその下流の構成は維持しても良いし、省略しても良い。
また、例えば、第1入賞口64に入球した球が振分装置300を流下するような構成においては、特別図柄1の保留個数が4個(満タン)の場合に入球があったら、その球は第2流路構成部335側に流すように構成しても良い。この場合、第2流路構成部335側を流れる球を視認することで、特別図柄1の保留個数が満タンであることを遊技者に気付かせることができる。この場合において、スライド変位部材370及びその下流の構成は維持しても良いし、省略しても良い。
球の自重で変位動作する場合は、球が到達する度に所定動作を繰り返すようにしても良いし、到達する球の個数によって異なる動作をするように構成しても良い。例えば、1個の球が特定入賞口65aに入球した場合には第2流路構成部335側へは流れず、2個以上の球がまとまって特定入賞口65aに入球した場合には第2流路構成部335側へ球が流れるようにしても良い。また、逆でも良い。
また、これらの動作態様は、特定入賞口65aの左右に一対で配設される検出センサSE1の下流でいずれも同じでも良いし、左右で異なるように構成しても良い。
ここで、特定入賞口65aからスライド変位部材370までの球の流下時間が長い場合、球排出時間が長いことにより遊技が間延びする可能性がある。そのため、例えば、上述の振分機構を利用して、特定入賞口65aに入球した何球目までかの球を第2流路構成部335側へ流下させ、それ以降の球については第2流路構成部335を経ずに排出するように構成しても良い。これにより、カウント数目の球が流路構成部334~336を流下しきるのを待つ必要が無くなるので、ラウンド間長さを短く設定することができる。
上記第1実施形態では、第3図柄表示装置81の下側において振分装置300が配置され、遊技領域の下端部付近で球を手前側に流す場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、特定入賞口65aが第3図柄表示装置81の下縁よりも上側に配置され、振分装置300の流路構成部334~336が、第3図柄表示装置81に近接配置または正面視で表示領域の手前側に配置されるよう構成しても良い。
この場合、振分装置300を流下する球を視認する視線を第3図柄表示装置81の表示領域側を向く視線にすることができる。この場合、振分装置300での球の流下により遊技者が得られる利益の大小と、液晶表示での報知の内容とを対応付けることで、遊技者は表示を確認することで大小いずれの利益を獲得できたのかを容易に把握することができる。
また、内レール61を転動する球が、第3流路構成部336を転動する球を基準として、正面視で下側にずれた位置で視認される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、内レール61を転動する球が第3流路構成部336を転動する球を基準として、正面視で上下に位置ずれせず、重なって視認され得るような配置関係で構成しても良い。この場合、振分装置300に入球した球のみでなく、内レール61を転動する球を第3流路構成部336を流下する球の目隠しとして機能させることができる。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370の作動パターンYとして、特定入賞口65aに入球した球が到達し得ない時間にスライド変位部材370を前側位置に切り替える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、開閉板65bの開放タイミングから、1.2秒経過後にスライド変位部材370が前側位置に切り替えられるように制御しても良い。
この場合、1.2秒が経過する前にスライド変位部材370に到達していた前流れ球については、確変検出センサSE11の貫通孔に入球させることができる。一方、その前流れ球を追うように流れ、1.2秒の経過後にスライド変位部材370に到達した後追い球は、通常検出センサSE12の貫通孔に入球することになる。
ここで、後追い球が、前流れ球の目隠しとして機能する位置関係であった場合、遊技者は、前流れ球の流れが確変検出センサSE11へ向けて(下方へ)切り替わるタイミングを、後追い球に隠されることで、視認することができない。その上、後追い球は通常検出センサSE12に入球するので、遊技者は、球が確変検出センサSE11に入球していないと思い込むと考えられる。
このように、あたかも確変検出センサSE11の貫通孔に球が入球していないように見せることができるので、時短状態と確変状態との表示演出を同様にして遊技者の期待感を維持させるような遊技機において、その表示演出の演出効果を向上することができる。
上記第1実施形態では、左右内突設部318に衝突した球は、その衝突による負荷だけでは通常検出センサSE12側には流れない場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、左右内突設部318に案内されるまでの球の速度や、回転が、複数種類で構成可能となるように左右内突設部318の上流側における流路を構成し(例えば、クルーンを配設したり、経路幅を広くしたりすることで球の流下方向の自由度を増加させ)、球の速度や、回転の違いによって、左右内突設部318との衝突による負荷だけで通常検出センサSE12に案内され得るように構成しても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370と、各突設部317~319とが別体として形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各突設部317~319の少なくとも一つが、スライド変位部材370に一体的に形成されても良い。即ち、スライド変位部材370の上突設部376から各突設部317~319の少なくとも一つが突設されるようにしても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370の動作タイミングとして、球で隠される可能性を考慮した作動パターンYについて説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、球で隠されるタイミングで発光手段351のLEDを発光させる制御を織り交ぜても良い。
上記第1実施形態では、案内長孔616の形状により軸線O1の変位抵抗を変化させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、案内長孔616の幅長さを変えて隙間の外相を形成することで変位抵抗を変えても良いし、磁力やコイルスプリングの付勢力を利用して変位抵抗を変化させても良い。
上記第1実施形態では、案内長孔616の形状を途中位置で屈曲する形状で構成したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、複数回屈曲する形状としても良い。この場合、軸線O1の上下方向変位の抵抗が増大する位置を複数位置で形成することができる。
また、案内長孔616の形状を、回動部材620の回動中における角度θの変化量の大小を変化させる目的から設計しても良い。例えば、回動部材620の回動中における角度θの大きさが維持できる範囲を部分的に形成できるように被支持部材640を案内可能な形状で案内長孔616を形成しても良い。
上記第1実施形態では、案内長孔616が固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、軸線O1が移動可能な案内長孔616が複数形成され、所定の切替手段(例えば、他の駆動装置や、回動部材620に当接して切り替えられるボタン式の切替装置)によって軸線O1が案内される案内長孔616を切り替えられるように構成しても良いし、案内長孔616を形状変化可能に構成しても良い。
上記第1実施形態では、第2装飾回転部材660が第3図柄表示装置81の右側に配置された状態で第1演出面661aを前斜め左側へ向ける構成について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第3図柄表示装置81の左側に配置された状態で演出面を前斜め右側へ向けるように構成しても良いし、第3図柄表示装置81の下側(上側)に配置される場合に演出面を前斜め上側(下側)へ向けるように構成しても良い。
上記第1実施形態では、回動部材620を変位の基端側に配置するよう構成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、直動変位する部材を変位の基端側に配置しても良い。一方で、直動の部材ではなく回動部材620を利用していることは、第2装飾回転部材660及び張出装飾部652bの回転角度を確保することに好適に機能する。
例えば、横スライドする部材を被支持部材640の主動側に固定する場合、第2装飾回転部材660及び張出装飾部652bの回転角度に影響する角度は、水平より上側の角度(角度a1等)に限定される。これに対し、回動部材620を利用する場合であれば、水平より上側の角度だけでなく、下側の角度(角度b1等)をも利用することができる。なお、この好適な効果に関わらず、被支持部材640の主動側に直動スライドする部材を連結するようにしても良い。
上記第1実施形態では、第2装飾回転部材660が直方体で形成され、直角に交差する3側面に装飾が施される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2装飾回転部材660が断面五角形で形成され、各側面が前側を向く姿勢で停止制御可能に構成されても良い。
上記第1実施形態では、装飾固定部材670は固定の装飾部材としたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、液晶表示装置が配設されても良い。この場合、第1動作ユニット600や第2動作ユニット700と一体視させ易い表示を容易に切り替えることができる。
上記第1実施形態では、回動部材620の回転軸と、第2装飾回転部材660とが直角に交差し得る場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2装飾回転部材660の回転軸が前後方向の成分を軸として(斜めな回転軸として)構成されても良い。
上記第1実施形態では、コイルスプリングCS2の付勢力の設定から、第2動作ユニット700を中間演出状態で維持し易くなるように構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回動アーム部材720の長孔部723付近に磁石を配設し、この磁石が右側前板部材710に配設される磁石との間で吸着力を生じさせるよう構成し、この吸着力が第2動作ユニット700の中間演出状態において生じ易くなるようにしても良い。
また、例えば、傾斜部751,762を直線的に形成するのではなく、波形状や鋸歯形状など屈曲した形状から形成しても良い。また、コイルスプリングCS2を利用する場合についても、コイルスプリングCS2が圧縮される場合にのみ付勢力が生じるものに限らず、コイルスプリングCS2の伸長変位に対する付勢力が生じるよう構成しても良い。
上記第1実施形態では、磁石Mgの吸着力を超えるまでは傘歯部783cと傘歯部材785cとが弾性変形することで軸回転部材785の姿勢が維持される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ギアの弾性変形ではなく、回転する軸棒と、その軸棒を支持する支持筒との間の摺動摩擦に許容値を設けることで構成しても良い。
上記第1実施形態では、覆設部材787が下からせり上がり、遊技領域の後端部から前側に入り込む場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、下降変位によって前側に張り出す態様でも良い。この場合において、センターフレーム86の上縁を下から前方へ越える態様でも良いし、遊技領域の上方(例えば、正面枠14の上方)から前側に張り出す態様でも良い。
上記第1実施形態では、覆設部材787の回転が逆方向となることで副装飾面787a2,787b2が揃って視認されないことで識別力を低下させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、副装飾面787a2,787b2を正面側に向けながら回転する態様ではなく、左右外側に向けながら回転する態様としても良い。また、同方向の回転であっても、回転角度をずらして回転させるように構成しても良い。
上記第1実施形態では、第2動作ユニット700及び第3動作ユニット800で共通して、リンク機構(中間腕部材783、中間腕部材850)の回転角度を利用して軸回転部材785や回転部材834を回転(反転)させるように構成されるが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転部材834を案内する金属棒832に一筆書き状に溝が掘られ、その溝に回転部材834から突設される突片が差し込まれるような構成では、溝の設計次第で、回転部材834の回転タイミングを規定することができる。
上記第1実施形態では、検出センサ813に被検出部844が配置された状態から、検出センサ813の出力が切り替わることで切替回転動作から一体回転動作に切り替わったと判定するように制御する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、検出センサ813に被検出部844が配置されていない状態で駆動モータ861の駆動方向を反転した後、被検出部844が検出センサ813に進入したことを検出することで、切替回転動作から一体回転動作に切り替わったと判定しても良い。
上記第1実施形態では、第1装飾部材870の構成と、第2装飾部材880の構成とが所々で異なるように構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、磁石Mg2が両装飾部材870,880に配設されるようにしても良いし、両装飾部材870,880に鍍金処理がされるようにしても良い。
上記第1実施形態では、トルクリミッタ866を配設することで切替回転動作と一体回転動作とを明確に分ける場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、粘性抵抗を生じるオイルダンパを設けるようにしても良い。なお、オイルダンパの場合、動作態様の切り替えによらず、常時抵抗が生じ続けるので、トルクリミッタの方が、一体回転動作に動作態様が切り替えられた後の回転方向の変位抵抗を低減することができ、一体回転動作に切り替えられた後の高速回転を実現し易い。
上記第1実施形態では、光LD1が鍍金部871aで正面側に反射される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、金属棒832で光を反射させても良い。一体回転動作中は、直動部材833が金属棒832の基端側(円の内径側)に配置されることで金属棒832が直動部材833に隠されるが、切替回転動作において直動部材833が金属棒832の先端側(円の外径側)に配置される場合には、金属棒832の基端側(円の内径側)が露出することで、光LD1を反射させることが可能である。
上記第1実施形態では、第3流路構成部336の下底面が左右内側に下降傾斜する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1流路構成部334の転動面(底面)が左右方向に沿って非傾斜(水平面と平行)となるように構成しても良いし、左右内側に下降傾斜するように構成しても良い。前者の方が、後者に比較して、第2流路構成部335への球の勢いを低減することができる。
また、例えば、第2流路構成部335の転動面(底面)が前後方向に沿って非傾斜(水平面と平行)となるように構成しても良いし、後方へ向かうにつれて下降傾斜するように構成しても良い。前者の方が、後者に比較して、第3流路構成部336への球の勢いを低減することができる。
また、第3流路構成部336について、転動面(底面)が左右方向内側に下降傾斜する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第3流路構成部336の転動面(底面)が左右方向に沿って非傾斜(水平面と平行)となるように構成しても良い。この場合、球が仕切り板部338側に付勢される度合いが下がるので、球との衝突や擦れによる仕切り板部338の損傷の度合いを低く維持することができる。
上記第1実施形態では、外側発光手段351dの光軸が、分岐箇所を通る球の軌跡の外側に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、外側発光手段351dの光軸が分岐箇所を通る球の軌跡の内側を通るように構成(配置位置を下げて構成)しても良い。この場合、外側発光手段351dを点灯している時に、分岐箇所を通る球が外側発光手段351dの光軸と重なることで、光を背面側に反射するように構成することができるので、光が光拡散加工面333bに到達しない状態(暗い状態)とすることができる。
即ち、外側発光手段351dの点灯は継続したままで、分岐箇所での球の流下態様と、光拡散加工面333b(及び光拡散加工面333bから拡散される光を受けて照らされる光拡散加工面314c,340)の明暗とを関連付けることができる。各光拡散加工面314c,333b,340は、球よりも遊技者目線での面積(投影される面積)が大きいので、分岐箇所での球の流下態様について遊技者に容易に把握させることができる。
上記第1実施形態では、発光手段351を点灯制御するタイミングとして、大当たり遊技中の説明をしたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、入賞口63,64,140等への入賞が検出されたことに起因して発光制御するようにしても良いし、枠ボタン22の入力操作があったことに起因して発光制御するようにしても良いし、規定個数(大当たり遊技のラウンド遊技の終了を規定する入賞個数、入賞口64,140の入球に基づく変動の最大保留回数)を超える入賞が生じたことに起因して発光制御するようにしても良い。
上記第1実施形態では、スライド変位部材370の動作が不良である場合には、中部材330と下部材380との組み付け位置が不良となっていることから、スライド変位部材370の動作を確認することで、中部材330と下部材380との組み付けの良し悪しを製造段階で判定することができる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、スライド変位部材370の位置を検出する検出センサを備えるようにして、稼働時におけるスライド変位部材370の動作を検出するようにしても良い。この場合、製造段階では現れなかったものの、繰り返しの稼働や、何らかの外力の影響により、中部材330と下部材380との位置関係がずれた場合に、そのずれの発生をスライド変位部材370の動作不良により判定することができる。
上記第1実施形態では、分岐箇所BP1において球の流下方向を切り替えるスライド変位部材370の変位方向を前後方向の直動変位としたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転動作(例えば、ルーレット形式)としても良いし、球の流下を不規則にする形状部(例えば、漏斗状のクルーン)を配設し球が複数の方向に流下し得るようにしても良い。
上記第1実施形態では、振分装置300を、球が、確変検出センサSE11と通常検出センサSE12とのいずれかを通過するかを切り替えるための装置として採用したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、始動入賞口(入賞口64,140)へ球を案内するための装置として採用しても良いし、特定入賞口65aへ球を案内する装置として採用しても良いし、その他の入賞口または入賞領域へ球を案内する装置として採用しても良い。
上記第1実施形態では、振分装置300が遊技領域の下隅部に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、振分装置300は、遊技領域の上隅部(例えば、センターフレーム86の上方)に配置されても良いし、左右隅部(センターフレーム86の左右縁部よりも左右外側)に配置されても良いし、遊技領域の中央側部に配置されても良い。例えば、遊技領域の上隅部に配置される場合、振分装置300を見る遊技者の目線は水平面に対して斜め上方向に傾斜するので、正面側へ向けて下降傾斜する流路部分において、下流側の球が上流側の球を隠すよう構成することができる。
また、流路構成部334~336の構造が前後逆の傾斜となるように構成し、確変検出センサSE11,通常検出センサSE12を被固定部材161付近に配設するように構成しても良い。
上記第1実施形態では、窓部162dの形状を、正面視における流路構成部335,336の形状と、シール部材313の配置と、から設計する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、遊技者目線(斜め下方向視)でスライド変位部材370(だけ)を視認可能となる形状でも良いし、スライド変位部材370の視認性が低下するような形状でも良い。また、スライド変位部材370の前側位置または後側位置の一方では視認可能とされ、他方では視認不能となる形状でも良い。
また、第1実施形態では、流路構成部334~336を左右一対で構成し、合流しないようにすることで、一つの流路に入球する球の個数を少なくでき(入球を分散させることができ)、球詰まりを回避し易くすることができる作用を生じさせながら、それぞれの流路を通過した球のいずれの経路もスライド変位部材370で切り替えられるようにしている。
この点、窓部162dの形状を、スライド変位部材370の左右一対の構成(例えば、球案内部371b、上突設部376)の内、片方のみが視認できてもう片方は視認できなくなるような形状でも良い。この場合、視認できなくなっている側での球の流下経路を遊技者に予想させることができるので、遊技者の興趣の向上を図ることができる。
上記第1実施形態では、球案内部371bに球が乗り得る状態からのスライド変位部材370の変位方向を後ろ方向(第3流路構成部336を流下する球の進行方向の順方向)として、摺動により球の前転方向の回転を抑制し、球の落下直前の状態における回転量を抑えて、球が一時停止しているように遊技者に見せることができる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、球案内部371bに球が乗り得る状態からのスライド変位部材370の変位方向を前方向(第3流路構成部336を流下する球の進行方向の逆方向)として構成しても良い。
即ち、球案内部371bを前方向に変位させて、球案内部371bが第3流路構成部336の下側に進入させることで、確変検出センサSE11を開放可能に構成する。上突設部376については、球案内部371bと別体で構成し、球案内部371bに球が乗り得る状態では分岐箇所BP1側に張り出すように配置する。球案内部371bに球が乗らない状態へ球案内部371bが変位する場合には、上突設部376が球案内部371bの変位と同じタイミングで前後逆方向に変位して、確変検出センサSE11への球の通路を確保するようにすれば良い。
この場合、球案内部371bのスライド変位時の球との摺動により、球の前転方向の回転を増速することができるので、球の落下直前の状態における回転量を増大させて、球が即座に落下(スムーズに落下)したように遊技者に見せることができる。
上記第1実施形態では、回動部材620の制御は、駆動モータ631の通電切断後に回動部材620に与えられる慣性負荷を考慮して、検出センサKS1の検出溝に延設部634bが配置されたことをもって駆動モータ631の通電を切断する制御態様としていたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、検出センサKS1の検出溝に延設部634bが配置されたことを検出センサKS1により検出したら、駆動モータ631の駆動電力を落として、短時間だけ弱めに回転させてから停止させるようにしても良い。これにより、回動部材620を変位終端位置(演出待機状態の位置)まで確実に到達させることができる。
上記第1実施形態では、第2動作ユニット700について、前上傾斜部714,751や受傾斜部762の溝を、真っすぐな傾斜溝から構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、下端側で前側に湾曲するような、部分的なカーブを有する溝とすることで、演出装置780の変位を、上下スライド変位と、前後スライド変位と、前後方向の姿勢変位とを合わせた変位態様とすることができる。
なお、前上傾斜部714,751や受傾斜部762の溝の形状としては、種々の態様が例示される。例えば、左右方向視でくの字形状(又は逆くの字形状)としても良いし、S字に湾曲する形状としても良い。
上記第1実施形態では、第2動作ユニット700の反転動作について、磁力により反転動作の開始タイミングを遅らせることで、部材同士(例えば、本体部材771と覆設部材787、駆動モータ782と覆設部材787)の衝突を避けるように変位させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、中間腕部材783の傘歯部783cと軸回転部材785の傘歯部材785cとのギア数の設定により、部材同士の衝突を避ける設計手法でも良い。
上記第1実施形態では、第2動作ユニット700では、上端位置としての張出状態で回動アーム部材720の回動先端が演出装置780の左右中央と一致する左右位置に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回動アーム部材720の回動先端が演出装置780の左右中央よりも右寄りに配置されることで、昇降板部材740の左側を支持する金属棒702と、昇降板部材740の右側を支持する回動アーム部材720との支持位置間隔を長く確保することができる。これにより、昇降板部材740を安定して支持することができる。
上記第3動作ユニット800では、膨出部824aは、装飾部材870,880が個別合体状態か、一連合体状態かに関わらず、形状不変で遊技者に視認される部分として構成し、個別合体状態も、一連合体状態も、膨出部824aを一部(中央部)として遊技者に視認させる状態としたことで、膨出部824a、第1覆設部875及び第2覆設部885を互いに違和感の抑えた形状となるように設計する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、膨出部824aの正面に表示部が配設される位置関係で表示装置(セグ表示装置や、液晶表示装置)を配設しても良い。この場合、内側発光部823aからの光の照射態様(明暗や色)の変化で膨出部824aの視認性を変化させる場合と異なり、膨出部824aで視認される対象を表示部の表示態様を切り替えることで変化させることができるので、演出自由度を向上することができる。
また、例えば、第1装飾部材870又は第2装飾部材880のいずれか一方について、覆設部875,885の形状を、合体状態における円形状の中心側に延設するように設計変更し、その延設した部分によって膨出部824aを覆うように構成しても良い。この場合、個別合体状態または一連合体状態のいずれか一方において、膨出部824aが遊技者に視認されないように隠すことができるので、膨出部824a、第1覆設部875及び第2覆設部885の設計自由度の制限の程度を下げることができる。
上記第1実施形態では、第3動作ユニット800について複数の装飾部材870,880が磁力で吸着する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凹凸係合による負荷により合体状態を維持するものでも良いし、バネ部材による付勢力で合体状態を維持するように構成しても良い。
上記第1実施形態では、第3動作ユニット800の磁石Mg2の吸着力がトルクリミッタ866の抵抗力よりも小さくなるように設定することにより切替回転動作を実現しているが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、勢いをつけるような動作態様を採用することで、磁石Mg2の吸着力がトルクリミッタ866の抵抗力以上または同等である場合にも、切替回転動作を実現することができる。
勢いをつけるような動作態様としては、例えば、準備動作(予備動作)として、逆方向へ回転制御するようにしても良い。この場合、装飾部材870,880の回転変位に反動をつけることができると共に、中間腕部材850を合体状態における配置から径方向外方へ放る方向の負荷を生じさせることができる。これにより、磁力による吸着を解除し易くすることができる。
上記第1実施形態では、第3動作ユニット800の切替回転動作時のぐらつき抑制のための工夫として、装飾部材870,880が反転動作の前に径方向変位が生じるよう構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、反転動作の回転軸としての金属棒832が配置される平面上に磁力の作用線が書けるように磁石Mg2を配設するように構成する場合、合体状態からの装飾部材870,880の径方向変位の前に反転動作が生じたとしても、複数(5個)の装飾部材870,880間で生じる磁力は同一平面上で生じるので、切替回転動作時に第3動作ユニット800に生じるぐらつきを抑制することができる。
上記第1実施形態では、切替回転動作は、装飾部材870,880が180度反転動作する態様で構成したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、120度の反転動作で再び合体するように構成しても良い。この場合、切替回転動作の前後において、装飾部材870,880の正面視で視認される側を同じとしながら、覆設部875,885の視認される角度を異ならせる(例えば、動作前は右向き60度、動作後は左向き60度)とする動作演出を実行することができる。
また、複数の中間腕部材850の構造について、例えば、長さを非共通に構成したり、傘歯部854cの形成範囲や形状を非共通に構成したりすることで、切替回転動作において、180度の反転動作で合体状態を再構成する装飾部材870,880と、120度の反転動作で合体状態を再構成する装飾部材870,880とを、共存させるように構成しても良い。例えば、5個の装飾部材870,880の内、一個の装飾部材870,880は切替回転動作で120度反転するように構成し、その他(四個)の装飾部材870,880は切替回転動作で180度反転するように構成しても良い。
なお、切替回転動作における反転動作の角度は任意に設定可能である。上述した180度や120度でも良いし、0度でも、360でも、0度から360度の任意の角度でも設定可能である。
上記第1実施形態では、トルクリミッタ866が、左右一対で、外側回転部材840の回転軸よりも上側で、左右非対称位置に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、左右対称位置に配置するようにしても良しい、外側回転部材840の左側、右側または下側に一対のトルクリミッタ866の双方を配置するようにしても良いし、外側回転部材840の回転軸を挟んで対向する側(正反対の側)に配置されるようにしても良い。
上記第1実施形態では、複数(第1実施形態では、5個)の中間腕部材850が共通の形状で構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、金属棒832に沿ってスライド変位する直動部材833が配設される被支持孔854aや案内孔854bの形状を異ならせて、金属棒832に沿ったスライド変位の開始タイミングを直動部材833同士で差を生じさせるようにしても良い。
例えば、被支持孔854aを長孔または径の大きな孔として形成するよう設計変更し、対応して案内孔854bの形状を設計変更した中間腕部材850を混在させることで、切替回転動作における直動部材833の変位開始タイミングに差を設けることができる。
これにより、直動部材833に連結される回転部材834に締結固定される装飾部材870,880の合体状態からの径方向外側への変位タイミングに、装飾部材870,880同士で差を持たせることができるので、磁石Mg2と金属ネジNj2との吸着部分をせん断方向(径方向)で離すことができる。
この場合、吸着を剥すための負荷を低減することができるので、駆動モータ862に要求される駆動力を低減することができると共に、第3動作ユニット800の配置の安定を図ることができる。
なお、磁石Mg2と金属ネジNj2との吸着部分にせん断方向(径方向)の変位を生じさせる変位態様は、毎回生じるようにする必要は無い。例えば、せん断方向の変位を生じさせる変位態様が、合体状態から切替回転動作を実行する場合(往路)に生じる一方で、切替回転動作により合体状態に至る場合(復路)では生じないように構成しても良い。
例えば、中間腕部材850の設計を、合体状態(回動先端が内側回転部材830の回転軸側に配置されている状態)から、装飾部材870,880が最外径位置に配置される状態へ中間腕部材850が回動する変位態様と、装飾部材870,880が最外径位置に配置される状態から、合体状態へ中間腕部i850が回動する変位態様と、で態様を異ならせるように構成することで、磁石Mg2と金属ネジNj2との吸着部分にせん断方向(径方向)の変位を生じさせる変位態様を選択的に生じさせることができる。
上記第1実施形態では、各動作ユニット600,700,800ごとに、検出センサKS1,713,778d,813の個数を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、1個の検出センサKS1ではなく、複数の検出センサKS1が延設部634bを検出可能な位置に配置されるように構成しても良いし、3個の検出センサ713ではなく、2個以下または4個以上の検出センサ713を採用しても良い。なお、検出センサKS1の配置としては、第1動作ユニット600の中間演出状態または張出状態における延設部634bを検出可能な位置が例示される。
また、例えば、2個の検出センサ778dの内の片方のみを採用しても良いし、1個の検出センサ813ではなく、複数の検出センサ813が被検出部844を検出可能な位置に配置されるように構成しても良い。検出センサ813の配置としては、例えば、5個の検出センサ813を円周上等間隔で配置することにより、第3動作ユニット800の個別合体状態における第1装飾部材870の配置を5種類(回転方向で異なる5態様)で判定することができる。
上記第2実施形態では、スライド部材2420の配置によらず球の転動が継続される場合を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、前側配置FPにおけるスライド部材2420の上側面と、上部材310の上面部314の下側面との間隔が、球の直径と同等の長さとなるように構成しても良い。この場合、スライド部材2420が前側配置FPとなった場合には、球が、スライド部材2420の上側面と上面部314の下側面とに挟まれる状態を構成できるので、球の減速作用を強化し、球の滞留が生じ易くすることができる。
上記第2実施形態では、第1流路構成部2334の内側に突条を形成するという記載はしなかったが、第1流路構成部2334に球を減速させるための突条を突設するように構成しても良い。この場合において、突条の配設高さを、前側位置FPにおけるスライド部材2420に乗る球か、又は、スライド部材2420が後側配置BPの際に底面2334cに乗る球か、の一方と当接し、他方とは当接しない高さとして設定しても良い。この場合、突条による減速作用を、スライド部材2420が前側配置FPの状態か、後側配置BPの状態か、の何れかで生じさせることができる。
上記第3実施形態では、スライド変位部材3370は、薄板部371と上前突設部3376b及び上横突設部3376cとが一体形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、薄板部371が前側位置、後側位置に配置されるタイミングに合わせて、別部材としての上前突設部3376b及び上横突設部3376cが上下方向に出没し、球を当接する状態と、当接しない状態とを構成するようにしても良い。
なお、確変検出センサSE11及び通常検出センサSE12の前後配置は何ら限定されるものではないが、本実施形態のように、後側を確変検出センサSE11とする方が、確変検出センサSE11への誤入賞を回避し易くすることができる。
上記第4実施形態では、スライド板4372及び上当接部4373や、スライド板4376及び上当接部4377が一体形成されている場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、これらが別部材として構成されると共に、タイミングを合わせて同期動作(連動)するように構成しても良い。なお、前後方向にスライド変位するよう構成しても良い。
上記第4実施形態では、スライド板4372の上側面4372aを球が後方に通過したタイミングでスライド部材4371,4375がスライド変位すると、上側面4376aの傾斜によって球が前側に戻される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、前開放状態におけるスライド板4372の後方に、追加の入球検出センサが配設されるように構成しても良い。
この場合、後開放状態から前開放状態に状態変化する際にスライド板4372に乗っていた球だけが追加の入球検出センサに案内されるよう構成することができる。追加の入球検出センサに球が入球することにより遊技者が得られる利益(例えば、確変検出センサSE11への入球により得られる権利よりも大きいものとして、複数回の大当たりの獲得や、上位の確変状態への移行の権利の獲得等)が大きいほど、第3流路構成部336を通過した球への注目力を向上することができる。
上記第6実施形態では、合流流路6341の下流側端部の上げ床部6342からの流路が左右方向に沿う流路として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、上げ床部6342付近で、接続箇所JP1側が後方に向く湾曲流路として構成しても良い。これにより、上げ床部6342から接続箇所JP1に進入する球と、第2流路構成部335から接続箇所JP1に進入する球と、の双方共に後方への速度成分を有するようにでき、これらが衝突することによって、逆流が生じることを防止することができる。
なお、接続箇所JP1は、振分装置6300の左右中心位置に配置されるように構成しても良い。また、流路構成部334~336の構造が前後逆の傾斜となるように構成し、確変検出センサSE11,通常検出センサSE12を被固定部材161付近に配設するように構成しても良い。この場合、球が接続箇所JP1で集まってから手前側に流下する状況を生じ易くすることができ、振分装置6300の内部を流下する球に対する注目力を向上することができる。
上記第9実施形態では、案内長孔9616が分岐を有する長孔として構成され、軸線O1への負荷の与え方によって、軸線O1が案内長孔9616のどこを通るかを切り替えるように構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、案内長孔9616の形状を切り替えるよう構成しても良い。即ち、案内長孔9616において、常に長孔として構成されるのは直線状部616aのみとされ、曲線状部616bと、角度維持部9616c及び連結部9616dと、は、長孔として構成される場合と、その長孔が塞がれる場合とが、交互に切り替わるように構成しても良い。この場合、軸線O1が誤った経路で変位することを防止することができるので、被支持部材640及び第2装飾回転部材660が意図しない態様で変位することを防止することができる。
例えば、分岐を有する案内長孔9616において、いずれかの経路を塞ぐことで軸線O1の変位経路を制限する切替弁を備えるように構成しても良い。この場合、案内長孔9616の形状は固定としながら、切替弁により軸線O1の変位経路を制限することができるので、軸線O1が誤った経路で変位することを防止することができるので、被支持部材640及び第2装飾回転部材660が意図しない態様で変位することを防止することができる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<経路構成手段を通る球が被通過手段の目隠しになるポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、を備え、前記経路構成手段は、所定方向視における、前記被通過手段の上流側で前記経路構成手段を流下する第1の遊技球の手前側で、その第1の遊技球の少なくとも一部と重なる位置に配置可能な変位可能手段を備えることを特徴とする遊技機A1。
パチンコ機等の遊技機において、球検出孔431へ向けた遊技球の流下経路を複数種類構成可能な大入賞部品300を備え、球検出孔431付近が化粧板302によって認識し難く構成される遊技機がある(例えば、特開2017-185021号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、化粧板302により常に球検出孔431を認識し難く構成されているので、球検出孔431への入球を確認して遊技球の発射の継続または停止を行うという遊技態様に対応できず、遊技者が不満に感じる可能性があった。即ち、遊技球の発射操作と関連する部分において改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機A1によれば、経路構成手段において第1の遊技球の視認性を低下させる手段が所定の変位可能手段であるので、第1の遊技球が見え易い状態を構成可能とされる。従って、第1の遊技球が見え易い状態においては、第1の遊技球の流下を確認して、遊技球の発射操作の継続または停止の判断を行い易くなることから、遊技球の発射操作と関連する部分において改善することができる。
なお、所定の変位可能手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、別の遊技球でも良いし、遊技球の流下経路とガラスユニットとの間で変位可能に構成される装飾用部材でも良い。
なお、被通過手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、特定領域を構成する開口でも良いし、図柄の抽選に関わる入球口(例えば、始動口)でも良いし、賞球の払い出しに関わる賞球口でも良いし、遊技球が通過可能なその他の手段でも良い。
遊技機A1において、前記変位可能手段は、前記第1遊技球の上流側を流下する第2の遊技球であることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、被通過手段へ向けて案内される遊技球を利用して第1の遊技球の視認性を変化させることができるので、変位可能手段として他の装飾部材を用意する場合に比較して、材料コストや設計コストを低減することができる。
遊技機A2において、前記経路構成手段は、第1の遊技球の正面側に第2の遊技球を配置可能な前後幅長さで形成される前後方向経路を備えることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、第1の遊技球の正面側に、第2の遊技球を配置可能に前後方向経路が構成されるので、正面視において、第2の遊技球で第1の遊技球の少なくとも一部を隠すことができる。
遊技機A3において、前記前後方向経路は、前記第1の遊技球と前記第2の遊技球とが、発射装置に設定された発射間隔で前記経路構成手段を流下した場合に、前記第2の遊技球が前記第1の遊技球の少なくとも一部を隠すよう構成されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、発射間隔のままで経路構成手段を複数の遊技球が流下した場合に、第1の遊技球を第2の遊技球で認識し難くする効果を奏することができる。これにより、認識し難い状況を平常時から生じさせることができる。
遊技機A3又はA4において、前記前後方向経路は、正面側構成部が、背面側構成部よりも遊技領域の中央側に配置されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A3又はA4の奏する効果に加え、被通過手段を見る遊技者の視線に沿う傾きを有する経路として前後方向経路を構成することができるので、第1の遊技球が第2の遊技球に隠される状態を生じ易くすることができる。即ち、目隠しの効果を向上させることができる。
遊技機A5において、前記正面側構成部は、被通過手段を見る遊技者の視線上に配置されることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A5の奏する効果に加え、前後方向経路に配置される第1の遊技球と第2の遊技球との間隔の長短に関わらず、同様の目隠し効果を生じさせることができる。
即ち、通常であれば、第1の遊技球と第2の遊技球とが近接しているほど、目隠し効果を向上させることができると考えられるが、視線上に第1の遊技球および第2の遊技球が配置されている場合には、間隔の長短が及ぼす影響を無くすことができる。
遊技機A2からA6のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、第1の遊技球の正面側に第2の遊技球を配置可能な前後幅長さで形成される前後方向経路と、その前後方向経路の上流側で遊技球が左右方向に流下可能な左右幅で形成される左右方向経路と、を備えることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A2からA6のいずれかの奏する効果に加え、左右方向経路を流下する遊技球によっても遊技者の視線を遮ることができるので、遊技者が、被通過手段に対して左右に位置ずれしない視線で被通過手段を視認する場合に限らず、左右に位置ずれして、覗き見るような視線に対しても、目隠し効果を生じさせることができる。即ち、遊技者の視線の方向に寄らず、被通過手段への入球態様を認識し難くすることができる(全方位で目隠し効果を生じさせることができる)。
この作用は、前後方向に延びる流路の左右片側を壁部で封じることにより顕著に生じる。即ち、左右片側が壁部で封じられている構成では、左右片側においては壁部が目隠しとなるので、被通過手段への視界が通らない状態を構成し易くできる。
遊技機A1からA7のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、遊技球が前記被通過手段を第1の態様で通過する第1の流下経路と、遊技球が第2の態様で通過する第2の流下経路と、を備え、前記第1の遊技球が、前記経路構成手段のいずれの流下経路を流下するかに関わらず、前記所定の変位可能手段に少なくとも一部を覆われて視認され得るよう構成されることを特徴とする遊技機A8。
遊技機A8によれば、遊技機A1からA7のいずれかの奏する効果に加え、被通過手段の通過の有無に関わらず、経路構成手段を流下する遊技球の流下態様を認識し難くし得るので、経路構成手段を流下する遊技球に対する注目力を向上させることができる。
なお、第1の態様や、第2の態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、球の流下方向が違う態様でも良いし、球が通過する検出センサが異なる態様でも良い。
遊技機A1からA8のいずれかにおいて、前記被通過手段の上流側において遊技球の流下方向を分ける分岐手段を備え、前記分岐手段は、受け入れた遊技球の流下方向を切り替える切替手段を備え、前記経路構成手段は、分岐手段で流下経路が分けられる遊技球であって前記切替手段に到達した遊技球が、所定区間は同じ経路を流下するよう構成されることを特徴とする遊技機A9。
遊技機A9によれば、遊技機A1からA8のいずれかの奏する効果に加え、切替手段に到達した遊技球が所定区間は同じ経路を流下するので、切替手段に到達した遊技球が即座にその後の流下経路に対応した流下態様となる場合に比較して、遊技球の流下の把握を困難とすることができる。これにより、遊技球に対する遊技者の注目力を向上することができる。
遊技機A9において、前記経路構成手段は、流下する遊技球側に突設される突設部を備え、その突設部は、前記分岐手段における遊技球の分岐に作用することを特徴とする遊技機A10。
遊技機A10によれば、遊技機A9の奏する効果に加え、突設部で遊技球の分岐に作用することができるので、例えば、弁体の移動により分岐を生じさせる場合に比較して、構造の耐久性を向上させることができる。
遊技機A10において、前記突設部は、所定方向に延びる第1突設部と、その第1突設部とは異なる方向に延びる第2突設部と、を備え、前記第1突設部の突設量と前記第2突設部の突設量とが異なるように構成されることを特徴とする遊技機A11。
遊技機A11によれば、遊技機A10の奏する効果に加え、遊技球の流下態様に応じて、第1突設部が遊技球に与える影響と、第2突設部が遊技球に与える影響とを異ならせることができる。これにより、固定の第1突設部および第2突設部を利用しながら、遊技球の流下態様に応じた所定のルールで遊技球を分岐させる作用を生じさせることができる。
<経路構成手段を通る球が被通過手段への導入をアピールするポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、を備え、前記経路構成手段は、前記被通過手段よりも上流側を構成する所定部を備え、その所定部は、前記被通過手段よりも目立つ側に配置され、前記被通過手段へ遊技球を案内可能に構成されることを特徴とする遊技機B1。
パチンコ機等の遊技機において、球検出孔431へ向けた遊技球の流下経路を複数種類構成可能な大入賞部品300を備え、球検出孔431付近が化粧板302によって認識し難く構成され、大入賞部品300の状態の違いによって、化粧板302から外れた位置を遊技球が流下したり、化粧板302の後方に隠されるようにして遊技球が流下したりする遊技機がある(例えば、特開2017-185021号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、化粧板302から外れて流下する視認性の良い遊技球は、むしろ球検出孔431を逸れて流下するよう構成され、化粧板302の後方に隠されるように流下する遊技球の一部が球検出孔431に案内されるので、遊技球の見え易さの良し悪しと、遊技者が得られる利益の多少とが対応しておらず、遊技球に注目したことが無駄になり易いので遊技者が不満に感じる可能性があった。即ち、注目を集めた後の遊技球の流下態様を、注目する意義があるものにするという点で改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機B1によれば、目立つ側に配置される所定部を流下した遊技球が、被通過手段へ案内可能に構成されていることから、遊技球に対する注目力の向上度合いと、遊技球が被通過手段を通過することとを対応づけることができる。従って、所定部を流下した遊技球が被通過手段を通過する可能性を向上させることができるので、注目を集めた後の遊技球に注目する意義があるという点で改善することができる。
また、このように構成することで、所定部を流下する遊技球で遊技者の視線を誘導し易くすることができ、被通過手段に遊技球が向かうことを遊技者が見逃す可能性を低くすることができる。
なお、被通過手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、特定領域を構成する開口でも良いし、図柄の抽選に関わる入球口(例えば、始動口)でも良いし、賞球の払い出しに関わる賞球口でも良いし、遊技球が通過可能なその他の手段でも良い。
なお、目立つ側の態様は何ら限定されるものではない。例えば、遊技者の目を引き易い表示装置側でも良いし、入賞口側や始動口側でも良いし、遊技者にとって視認し易い前方側(手前側)でも良いし、特定の入球口への入球確率が際立って高くなる箇所として視線が集まり易い部分としてのステージ(主に、センターフレームにより形成される枠の下縁部において遊技球を一時滞留させる箇所)側や、大当たり獲得に直結するV入賞口側や、操作対象としての球貸し装置側や、演出操作ボタン側や、入球口から逸れた遊技球が流下する範囲(遊技者が、悔しくてついつい目で追ってしまう範囲)側や、発光手段での明暗での切替として明るい側や、その他の側でも良い。また、目立ちがたい側を敢えて形成し、相対的に目立たせるようにしても良い。
遊技機B1において、前記経路構成手段は、その経路構成手段へ入球した遊技球を、入球時よりも目立たなくする第2所定部を備え、前記所定部は、前記第2所定部よりも目立つ側に配置されることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、経路構成手段に入球した遊技球が所定部を流下する前に、第2所定部において注目力を下げることで、所定部を流下する際の遊技球の注目力を際立たせることができる。
遊技機B1又はB2において、前記所定部は、遊技球の流下速度が異なる区間を備えることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B1又はB2の奏する効果に加え、遊技球の流下速度に差が無い場合に比較して、遊技者の視線を集める効果を向上することができる。
遊技機B3において、前記所定部を流下する遊技球の第1流下速度よりも、前記第2所定部を流下する遊技球の第2流下速度の方が高速となるよう構成されることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、経路構成手段に入球した遊技球が所定部に到達するまでの期間を短縮することができる。
遊技機B1からB4のいずれかにおいて、前記所定部は、所定方向視における遊技球の変位速度が異なる区間を備えることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B1からB4のいずれかの奏する効果に加え、実際の遊技球の流下速度の大小に関わらず、所定方向視における見かけ上の遊技球の変位速度が異なる区間を構成することができるので、任意の所定箇所において所定方向視における遊技球の変位速度を小さくすることにより、遊技者の視線を所定箇所に容易に集め、その他の部分から目を逸らさせることができる。
なお、見かけ上の遊技球の変位速度を異ならせる態様は何ら限定されるものではない。例えば、正面視において前後方向と直交する平面に配置される直線上を変位する場合と、前後方向成分を有する直線上を変位する場合とでの異なりでも良いし、直線上を変位する場合と、曲線状または蛇行状に変位する場合とでの異なりでも良いし、その他の異なりでも良い。
遊技機B1からB5のいずれかにおいて、前記経路構成手段へ遊技球を導入可能に構成される導入手段を備え、前記所定部は、所定方向視において前記導入手段の外方に配置されることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B1からB5のいずれかの奏する効果に加え、導入手段の視認性を確保することができる。従って、導入手段の視認性の確保と、被通過手段を通過する可能性の高い遊技球の注目力の向上とを両立させることができる。
遊技機B1からB6のいずれかにおいて、前記経路構成手段の正面側における遊技球が、前記被通過手段へ向けた視線または前記所定部を避けるよう流下するように構成する回避手段を備えることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B1からB6のいずれかの奏する効果に加え、経路構成手段の正面側において遊技球が流下可能に構成され、遊技球の流下経路が被通過手段へ向けた視線を避けるようにするための回避手段を備えているので、遊技領域の大きさの確保と、被通過手段へ向けた遊技球の視認性の確保と、を両立させることができる。
なお、回避手段の影響を受けた遊技球の流下態様は、何ら限定されるものではない。例えば、被通過手段の正面位置を避けて流下するものでも良いし、被通過手段と遊技者の目の位置とを結ぶ直線を避けて流下するものでも良いし、被通過手段へ向かう遊技球を遊技者が確認できる最後の位置を基準として、その位置の正面位置を避けて流下するものでも良いし、上述の最後の位置と遊技者の目の位置とを結ぶ直線を避けて流下するものでも良いし、その他でも良い。
遊技機B7において、前記経路構成手段は、流下する遊技球を受け入れ可能な受入状態と受入不能な非受入状態とで状態変化可能に構成される受入状態変化手段を備え、その受入状態変化手段は、前記受入状態から前記非受入状態への状態変化において、前記受入状態において受入状態変化手段に到達していた遊技球を経路構成手段側へ案内可能に構成されることを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、遊技機B7の奏する効果に加え、受入状態変化手段に到達してから橋渡しされるように流下した遊技球が、被通過手段へ向けた視線を遮ることを防止することができる。
遊技機B7又はB8において、正面視で前記被通過手段の上方に配設され、遊技領域を区画する区画手段を備え、その区画手段は、遊技球が左右外側を流下可能に構成されることを特徴とする遊技機B9。
遊技機B9によれば、遊技機B7又はB8の奏する効果に加え、区画手段によって、被通過手段の正面位置を遊技球が流下する事態を避けることができるので、被通過手段へ向けた視界を確保し易くすることができる。
なお、区画手段の態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、遊技球の流下面を構成する板状部でも良いし、遊技球が入球可能な入球口構成手段でも良い。また、区画手段は、形状(外観)固定の手段でも良いし、形状(外観)可変の手段でも良い。
遊技機B9において、前記経路構成手段は、流下する遊技球を受け入れ可能な受入状態と受入不能な非受入状態とで状態変化可能に構成される受入状態変化手段を備え、前記区画手段の前記受入状態変化手段側の部分が、遊技球を前記受入状態変化手段側へ案内し易く構成されることを特徴とする遊技機B10。
遊技機B10によれば、遊技機B9の奏する効果に加え、受入状態変化手段へ受け入れられる途中の遊技球を、区画手段によって受入状態変化手段へ押し込む態様で受け入れさせるよう構成することができる。これにより、受け入れられる途中の状態で横滑りした遊技球が、受入状態変化手段から逸れて被通過手段の正面側を落下する事態の発生を避け易くすることができる。
例えば、受入状態変化手段として、左右方向軸で傾倒変位する開閉板を備える特別入賞装置が想定され、区画手段として特別入賞装置の特別入賞口の上方に配置される第1入賞口が想定される。開閉板の閉鎖間際に特別入賞口に到達した遊技球は、しばしば、開閉板の回動先端と、開閉板に蓋をされる開口の縁部との間に挟まれ、縁部の形成方向(開閉板の回動軸方向)に横滑りする。
横滑りした後の遊技球は、開閉板の回動先端の形成範囲のいずれの位置にも到達し得るので、開閉板の少なくとも一部が被通過手段の上方に配置される場合には、横滑りした後の遊技球が正面側に落下した後で被通過手段の正面位置を通過する可能性があり、横滑りした後の遊技球を正面側に落下させるべきでは無い。
横滑りした後の遊技球の正面側への落下を回避できない場合には、被通過手段の正面視上位置を避けて開閉板を配置する必要が生じるので、開閉板の設計自由度が低下することになる。
これに対し、遊技機B10によれば、横滑りした後の遊技球が開閉板の正面側へ落下することを回避し易くすることができ、開閉板の設計自由度を向上することができる。
遊技機B7からB10のいずれかにおいて、前記経路構成手段を流下する遊技球と、前記経路構成手段の正面側を流下する遊技球とが、類似の流下態様で流下するよう構成されることを特徴とする遊技機B11。
遊技機B11によれば、遊技機B7からB10のいずれかの奏する効果に加え、経路構成手段を流下し被通過手段を通過する可能性のある遊技球と、経路構成手段の正面側を流下し被通過手段を通過しない遊技球と、を区別し難くすることで、経路構成手段を流下する遊技球の個数を判別し難くすることができる。
換言すれば、経路構成手段に遊技球が入り易い場合と、入りにくい場合とを、経路構成手段付近を流下する遊技球から判別することを困難とすることができる。
遊技機B1からB11のいずれかにおいて、前記所定部を流下する球の後側から光を照射する発光手段を備えることを特徴とする遊技機B12。
遊技機B12によれば、遊技機B1からB11のいずれかの奏する効果に加え、所定部を流下する球の前側が光で反射し、球が見え難くなることを回避し易くすることができる。
<V通口への経路長さを省スペースで確保するポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、遊技球が前記被通過手段に流下可能な第1状態とその第1状態とは異なる第2状態とで切り替え可能に構成される状態切替手段と、を備え、前記経路構成手段は、遊技球の上下方向の変位を遅らせる遅延手段を備え、その遅延手段により遊技球を前記被通過手段へ向けて流下可能に構成されることを特徴とする遊技機C1。
パチンコ機等の遊技機において、第2大入賞口12に入球した遊技球の流下経路に左右に移動可能に構成される振分部75が配設され、振分部75の配置によって遊技球の流下方向を変化可能に構成される遊技機がある(例えば、特開2014-155538号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、特定領域73への誤入賞や振分部75による球かみを防止するための振分部75の短期間動作が不可欠とされており、遊技者によっては振分部75の挙動を不信と感じ、安心して遊技を継続できない場合があった。
この解決のための手段の一例として、第2大入賞口12から振分部75までの流路長さを長くすることが想定される。例えば、振分部75の配置を、第2大入賞口12の真下から、遊技領域の左右中央部付近(第1大入賞口10付近)の位置に変えることで、第2大入賞口12から振分部75までの流路長さを長く確保することができる。これにより、特定領域73への誤入賞の可能性を低くすることができると考えられる。
一方、この手段を実行すると、第2大入賞口12から第1大入賞口10までの広範囲に亘って遊技球の流下経路の視認性を確保する必要が生じ、この範囲において遊技領域の設計自由度が制限される。即ち、特定領域73への誤入賞を回避するために、遊技領域の設計自由度が広範囲で制限されるという問題点があった。
換言すれば、遊技領域の設計自由度を高く維持しつつ、遊技球の誤入球を回避するという観点から改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機C1によれば、経路構成手段が所定の遅延手段を備えることから、正面視における経路構成手段の上下長さを短くし省スペースに抑えた場合でも、経路構成手段に入球した遊技球が被通過手段を通過するまでに経過する時間を長く確保することができる。
そのため、被通過手段への遊技球の入球の可否を切り替えるために状態切替手段を作動させる必要が生じるタイミングを経路構成手段への遊技球の入球から所定時間後にすることができるので、経路構成手段への入球の可否を切り替える開閉装置を短期間動作させることなく、誤入賞を回避することができる。そのため、開閉手段が慌ただしく動作しているという印象を遊技者に与えることを回避することができる。これにより、遊技領域の設計自由度を高く維持しつつ、遊技球の誤入球を回避することができる。
なお、遅延手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、流下経路に減速用の凸部を構成する態様でも良いし、前後方向成分を有する流下経路で遊技球を流下させる所定の流下経路を備える態様でも良い。
遊技機C1において、前記遅延手段は複数の所定の流下経路を備え、その所定の流下経路は、正面側へ向かう流下経路の方が、背面側へ向かう流下経路に比較して、流下する遊技球の加速度が大きくなるよう構成されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、所定の流下経路を流下する遊技球を遊技者に視認させる期間を長く確保することができる。
なお、遊技球の加速度の違いを生じる原因については、何ら限定されるものではない。例えば、所定の流下経路の水平面に対する傾斜の大小でも良いし、所定の流下経路の遊技球側の面形状の設計でも良い。
遊技機C1又はC2において、前記遅延手段は複数の所定の流下経路を備え、その所定の流下経路は、正面側へ向かう流下経路の方が、前後位置を維持して流下する流下経路に比較して、流下する遊技球の加速度が大きくなるよう構成されることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C1又はC2の奏する効果に加え、手前側を流れる遊技球を遊技者に視認させる期間を長く確保することができる。これにより、所定の流下経路を流下する遊技球に対する遊技者の注目力を向上させ易くすることができる。
なお、遊技球の加速度の違いを生じる原因については、何ら限定されるものではない。例えば、所定の流下経路の水平面に対する傾斜の大小でも良いし、所定の流下経路の遊技球側の面形状の設計でも良い。
遊技機C1からC3のいずれかにおいて、前記遅延手段は複数の所定の流下経路を備え、その所定の流下経路は、所定方向視で前記被通過手段の手前に配置される手前位置を遊技球が通るように構成されることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C1からC3のいずれかの奏する効果に加え、手前位置に遊技球が配置された場合に、被通過手段付近の視認性を低下させることができる。これにより、被通過手段付近の範囲に対する注目力を向上させることができる。
遊技機C4において、前記手前位置を複数個構成可能とされることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、複数の手前位置に遊技球が配置されることにより、手前側の遊技球によって奥側の遊技球の少なくとも一部を隠すことができる。被通過手段は奥側の遊技球よりも背面側に配置されているので、被通過手段へ向けた視界を複数の遊技球で遮ることができ、被通過手段の視認性を低下させることができる。
この場合、所定の流下経路への遊技球の入球間隔が短い場合、手前位置のいずれかに常に遊技球が配置される状態を構成可能となるので、被通過手段を視認不能な状態を構成可能となる。
遊技機C1からC5のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、上面視で渦を巻く態様で視認されるように形成されることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C1からC5のいずれかの奏する効果に加え、同じ長さの経路構成手段を配設するために要する上下幅を短くすることができる。
また、折り返し経路が形成される場合に比較して、経路壁の厚みを薄くする必要が無いので、流路の強度を向上することができるし、180度で折り返される折り返し経路に比較して、球の詰まり等が生じる可能性を低くできる。
遊技機C1からC6のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、前後方向に延びる前後流路部を備えることを特徴とする遊技機C7。
遊技機C7によれば、遊技機C1からC6のいずれかの奏する効果に加え、経路構成手段の左右幅を抑えられるので、左右対称で一対の経路構成手段を抑えられた左右幅で構成することができる。
遊技機C1からC7のいずれかにおいて、前記被通過手段は、前記経路構成手段の球受入部を基準として、斜め下後方に配置されることを特徴とする遊技機C8。
遊技機C8によれば、遊技機C1からC7のいずれかの奏する効果に加え、正面側から視認する遊技者の視界に被通過手段と経路構成手段の球受入部とを収め易くすることができる。
遊技機C1からC8のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、遊技球を受け入れ可能に構成される第1受入手段と、その第1受入手段とは異なる手段であって遊技球を受け入れ可能に構成される第2受入手段と、を備え、前記第1受入手段および前記第2受入手段の遊技球の受入態様により、遊技者が得られる利益が変化するように構成されることを特徴とする遊技機C9。
遊技機C9によれば、遊技機C1からC8のいずれかの奏する効果に加え、第1受入手段および第2受入手段が遊技球を常時受入可能に構成されており、更に、第1受入手段および第2受入手段の遊技球の受入態様により遊技者が得られる利益が変化するので、遊技球に対する注目力を向上させることができる。
なお、遊技球の受入態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、第1受入手段に限定して遊技球が受け入れられる態様でも良いし、第2受入手段に限定して遊技球が受け入れられる態様でも良いし、第1受入手段に所定個数受け入れられ第2受入手段に所定個数受け入れられる態様でも良い。また、各受入手段に対する入球の頻度が異なる態様でも良いし、入球位置が異なる態様でも良い。
遊技機C9において、遊技者が得られる利益の変化は、前記第1受入手段または前記第2受入手段の片方に限定して遊技球が受け入れられるか、前記第1受入手段および前記第2受入手段の両方に遊技球が受け入れられるかにより生じることを特徴とする遊技機C10。
遊技機C10によれば、遊技機C9の奏する効果に加え、遊技者が得られる利益の大小の設定の仕方により、遊技者が、遊技球を所定の発射態様で打ち出し易いようにすることができる。
なお、遊技者が得られる利益としては、何ら限定されるものではない。例えば、流下する遊技球の認識し易さでも良いし、流下する遊技球により得られる遊技に関連する利益(賞球の払い出し、大当たりの獲得、大当たり終了後の遊技状態が確変状態となること、遊技状態が通常状態になること(転落すること)等)でも良い。
遊技機C9又はC10において、前記経路構成手段は、第1受入手段および第2受入手段から前記被通過手段までが左右対称で構成されることを特徴とする遊技機C11。
遊技機C11によれば、遊技機C9又はC10の奏する効果に加え、左右どちらを主にして遊技球を発射しても、遊技者が不利益を被る可能性を低くすることができる。
遊技機C9からC11のいずれかにおいて、前記経路構成手段は、流下する遊技球を受け入れ可能な受入状態と受入不能な非受入状態とで状態変化可能に構成される受入状態変化手段を備え、前記受入態様は、前記受入状態変化手段の形状または状態変化の態様により変化することを特徴とする遊技機C12。
遊技機C12によれば、遊技機C9からC11のいずれかの奏する効果に加え、受入状態変化手段の形状または状態変化の態様により受入態様が変化するので、遊技球の発射に関する遊技者の技術の熟練度が遊技者の得られる利益に与える影響を低くすることができる。
遊技機C12において、前記受入状態変化手段の状態変化の態様が、複数種類で構成されることを特徴とする遊技機C13。
遊技機C13によれば、遊技機C12の奏する効果に加え、一定の発射態様で遊技球が発射されている場合であっても、第1受入手段および第2受入手段への遊技球の受入態様を変化させることができる。これにより、受入状態変化手段の状態変化の態様から、遊技者が得られる利益を調整することができる。
<球の流下方向と平行に移動する開閉部材についてのポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、前記経路構成手段へ遊技球を導入可能な導入状態と前記経路構成手段へ遊技球を導入不能な非導入状態とで状態変化可能に構成される状態切替手段と、を備え、前記状態切替手段は、前記状態変化において生じる変位の方向が、遊技球の流下方向に沿うように構成されることを特徴とする遊技機XA1。
パチンコ機等の遊技機において、球検出孔431へ向けた遊技球の流下経路を複数種類構成可能な大入賞部品300を備える遊技機がある(例えば、特開2017-185021号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、遊技球の流下方向と大入賞部品300の開閉板の開閉方向とが略直角方向であり、開閉が遊技球の転動に関与することなく開閉動作が完了することから、開閉板(状態切替手段)の役割について改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機XA1によれば、状態切替手段の変位の方向が、遊技球の流下方向に沿うように構成されるので、遊技球が状態切替手段に近接または当接している状態で状態切替手段の変位を生じさせることで、遊技球の転動態様を変化させるように影響させることができる。これにより、状態切替手段の役割を改善することができる。
例えば、遊技球が左方へ流下している際に、その遊技球が上に乗った状態で状態切替手段を右方にスライド移動させることで、遊技球に対して転動回転の順方向に回転させる負荷を与えることになるので、遊技球を加速させることができる。
また、逆に、遊技球が左方へ流下している際に、その遊技球が上に乗った状態で状態切替手段を左方にスライド移動させることで、遊技球に対して転動回転の逆方向に回転させる負荷を与えることになるので、遊技球の回転を遅らせることができる。
また、転動する遊技球の下端部をかすめるように状態切替手段がスライド移動すると、遊技球の転動方向のみではなく、転動方向に直交する方向の成分も有する負荷を遊技球に与えることができるので、遊技球の流下態様の変化を複雑かつ不規則に生じさせることができる。
これらの遊技球の流下態様に与える影響により、状態切替手段の開閉動作時に状態切替手段に乗っていた球の流下態様を様々に変化させることができるので、遊技球を視認する遊技者を飽きさせることなく、遊技に集中させることができる。
また、状態切替手段の開閉動作と遊技球との配置関係は、何ら限定されるものではない。例えば、遊技球の側面と擦れる配置関係でも良いし、遊技球に流下方向で対抗して遊技球と衝突するような配置関係でも良い。
遊技球と衝突する態様で変位する状態切替手段において、閉鎖動作の方向は何ら限定されるものではない。例えば、遊技球の流下方向と対抗する方向で閉鎖動作し、遊技球を跳ね返せるように構成しても良いし、遊技球の流下方向の順方向で閉鎖動作し、それ以降の遊技球の導入を抵抗少なく規制可能に構成しても良い。
遊技機XA1において、前記状態切替手段の状態変化は、前記状態切替手段と遊技球とが当接しながら実行可能に構成されることを特徴とする遊技機XA2。
遊技機XA2によれば、遊技機XA1の奏する効果に加え、状態切替手段の状態変化によって、遊技球に回転を生じさせることができる。
遊技機XA1又はXA2において、前記状態切替手段は、前記変位の方向と交差する方向に負荷の方向を変化させる変化手段を備えることを特徴とする遊技機XA3。
遊技機XA3によれば、遊技機XA1又はXA2の奏する効果に加え、状態切替手段の変位中に遊技球から与えられる負荷を逃がすことができ、状態切替手段に与えられる負荷を低減することができる。
<開放時は第1方向へ、閉鎖時は第2方向へ球を流す開閉部材についてのポイント>
遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、前記被通過手段へ遊技球を導入可能な導入状態と前記被通過手段へ遊技球を導入不能な非導入状態とで状態変化可能に構成される状態切替手段と、を備え、前記状態切替手段は、前記導入状態で遊技球を第1方向に案内可能とされ、前記非導入状態で遊技球を第2方向に案内可能に構成されることを特徴とする遊技機XB1。
パチンコ機等の遊技機において、球検出孔431へ向けた遊技球の流下経路を複数種類構成可能な大入賞部品300を備える遊技機がある(例えば、特開2017-185021号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、下側可動体371は前側に張り出す状態では遊技球を右方に案内するものの、後側に退避する状態では、遊技球とは当接せず自由落下となり、案内はしない。換言すれば、遊技球の流下に下側可動体371が影響しない。そのため、後側に退避している状態では、下側可動体371以外で遊技球の流下を案内する部分(枠部等)を用意することが必要であり、遊技球の流下を案内するための構成(部材)の個数を削減するという観点で改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機XB1によれば、状態切替手段が導入状態と、非導入状態とで、遊技球を異なる方向に案内するよう構成されるので、遊技球の流下経路を案内するための専用部材を不要とできるので、必要な構成(部材)の個数を削減することができる。これにより、限られたスペースで遊技球の流下方向の多様化を図ることができる。
なお、第1方向と第2方向との関係は何ら限定されるものではない。例えば、方向間の角度が鋭角でも良いし、直角でも良いし、鈍角でも良い。例えば、直角の場合において、前後方向に沿って流下する遊技球に対し、第1方向が下方、第2方向が左右方向に設定するようにしても良い。この場合、正面視において、状態切替手段に案内される前は遊技球の変位が僅かしか認められないようにしながら、状態切替手段による案内が開始された後の方向の差(違い)の最大化を図ることができる。
状態切替手段による案内の作用を生じさせる案内部の配置は何ら限定されるものではない。例えば、状態切替手段が備える可動部材に案内部が配設されても良いし、案内部は状態切替手段の周辺の非可動部に配設されており可動部材の動作によって遊技球が案内部に近接または当接し易い状態に切り替えられるように構成しても良い。
案内部が可動部材に配設される場合には、導入状態と非導入状態との状態切替が完了した後における案内に留まらず、状態を切り替える動作中において遊技球に与える影響も考慮した設計とすることが好ましい。
例えば、遊技球の流下方向に対抗する方向で変位する可動部材を状態切替手段が備える場合、流下方向と直交する平面形状の壁部を設けるよりは、流下方向と傾斜する面(平面、曲面等)形状の壁部を設ける方が、可動部材が遊技球に衝突した際に生じる負荷が、遊技球を逆流させる方向に大きくなる事態を回避し易くすることができる。これにより、遊技球の逆流を回避し易くすることができる。
遊技機XB1において、前記状態切替手段の状態変化は第3方向への変位により生じるものであり、前記第3方向は、前記第1方向および第2方向と直交することを特徴とする遊技機XB2。
遊技機XB2によれば、遊技機XB1の奏する効果に加え、案内されている遊技球から与えられる負荷により状態切替手段の動作不良が生じる可能性を低くすることができる。
遊技機XB1又はXB2において、前記経路構成手段は、左右一対の経路を備え、前記状態切替手段は、前記左右一対の経路からそれぞれ遊技球を受け入れ可能な一対の案内部を備え、それら一対の案内部において、前記第1方向および第2方向が、それぞれ左右対称に構成されることを特徴とする遊技機XB3。
遊技機XB3によれば、遊技機XB1又はXB2の奏する効果に加え、遊技球の流下する経路を複雑化することができる。また、一対の案内部において、第1方向および第2方向が、それぞれ左右対称に構成されるので、一対の案内部が遊技球から受ける負荷により状態切替手段が受ける変位を、左右で対称とすることができる。
これにより、例えば、左右一対の経路に遊技球を略同等の個数で入球させる場合等、遊技球から案内部が受ける負荷によって、状態切替手段の配置を均一化し易くすることができる。
遊技機XB3において、前記状態切替手段は、前記第3方向と交差する方向で張り出すように形成される張出部を備えることを特徴とする遊技機XB4。
遊技機XB4によれば、遊技機XB3の奏する効果に加え、張出部により他の部材との接触面積を低減することができ、状態切替手段の変位抵抗を低減することができる。
遊技機XB3又はXB4において、前記状態切替手段の導入状態または非導入状態において当接可能に構成される当接手段を備え、その当接手段との当接により、前記状態切替手段の左右方向の変位を修正可能に構成されることを特徴とする遊技機XB5。
遊技機XB5によれば、遊技機XB3又はXB4の奏する効果に加え、遊技球からの負荷を左右いずれの方向からも受け得るので、変位態様が無秩序になり易い状態切替手段の変位を、当接手段の作用により秩序的に戻すことができる。
<分離、反転、合体、回転が一連動作>
視認される面が変化するように変位可能に構成される変位手段を備え、前記変位手段は、第1変位部材と、第2変位部材と、を備え、所定態様の変位において、前記第1変位部材と前記第2変位部材とが相対変位するように構成されることを特徴とする遊技機D1。
パチンコ機等の遊技機において、ベースアーム220の先端部に配設される回動ベース214が複数回回転可能に構成される遊技機がある(例えば、特開2016-116782号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、回動ベース214が回転変位するものの、遊技者側に見えている面は同一なので、変位手段への注目力を維持し難いという問題点があった。
これに対し、遊技機D1によれば、変位手段の視認される面を、変位に伴い変化可能に構成されるので、変位手段への注目力を維持することができる。
また、第1変位部材と第2変位部材とが相対変位することで、変位手段の外観を変化させることができるので、変位手段に対する注目力を向上させることができる。
遊技機D1において、前記所定態様の変位は、前記第1変位部材と前記第2変位部材とが集合配置される集合部を基準として近接離反する第1の変位と、前記第1変位部材と前記第2変位部材とが前記集合部を基準として回転動作する第2の変位と、を少なくとも含むことを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、第1変位部材と第2変位部材との相対動作を動的に生じさせ易くすることができる。即ち、集合部を基準とした変位として、第1の変位だけでは、集合部からの距離が最短または最長となる終端部において第1変位部材と第2変位部材との変位が低減され易く、第1変位部材と第2変位部材とが止まって見えてしまい、演出効果が低くなる可能性があるところ、第2の変位を混ぜることで、終端部においても回転方向の変位を生じさせることができるので、演出効果を向上させることができる。
遊技機D1又はD2において、前記所定態様の変位は、前記変位手段の視認される面が反転する第3の変位を少なくとも含むことを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1又はD2の奏する効果に加え、第3の変位により視認される面を反転させることで、第3の変位の前後で遊技者に視認させる装飾を顕著に異ならせることができる。
遊技機D1からD3のいずれかにおいて、前記第1変位部材および前記第2変位部材は、吸着または接着により固定可能に構成され、その固定に係る負荷は、前記第1変位部材および前記第2変位部材の変位を制限する向きで作用することを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D1からD3のいずれかの奏する効果に加え、固定に係る負荷が第1変位部材および第2変位部材の変位を制限する向きで作用するので、固定に係る負荷を加味して、第1変位部材および第2変位部材の変位を設計することができる。
例えば、ギアに寄る駆動力伝達の場合に、形状の変形を加味しない場合には機械的に変位が生じる場合に、固定に係る負荷を加味すれば、その負荷による部材の弾性変化が顕在化することで、部材の変位タイミングの遅れを生じさせることができる。
また、固定の程度が第1変位部材および第2変位部材の視認される面に対応して異なるよう構成しても良い。
この場合、固定による作用が視認される面に対応して異なるので、遊技者が視認される側面における固定の程度に強弱を設けることができる。
これにより、例えば、同じ変位手段の、反転された面について、一方の面は固く合体して一体的に視認させ易く、他方の面は緩く合体して相対変位し易い状態で視認させ易くすることができる。
また、例えば、第1変位部材および第2変位部材の吸着の程度が固定位置ごとに異なるよう構成することで、第1変位部材および第2変位部材の固定の程度が異なる状態を構成することができる。
なお、吸着可能にする態様は何ら限定されるものではない。例えば、粘着テープで接着する態様でも良いし、磁石と金属部との吸着力を利用するものでも良い。また、磁石に吸着する金属部として、例えば、固定用のビス、ネジ等を利用するように第1反転部材や第2反転部材を設計しても良い。
遊技機D1からD4のいずれかにおいて、前記変位手段は、正逆方向に変位可能に構成され、所定状態において、正方向へは、第1変位態様で変位し、逆方向へは、前記第1変位態様とは異なる第2変位態様で変位し、前記第2変位態様は、所定態様での変位後、前記第1変位態様で変位するよう構成されることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D1からD4のいずれかの奏する効果に加え、変位手段の変位態様が、正逆方向で異なるように構成され、第2変位態様は第1変位態様の前に所定態様が追加された変位態様として構成されるので、変位手段を退避させる際に変位手段に必要とされる変位量を低減することができる。これにより、退避時における変位手段への注目力を低減することができるので、相対的に、演出位置で変位する変位手段の注目力を向上させることができる。
従来機では、回転の態様が正逆方向で同様なので、演出位置(液晶表示領域の正面側位置)へ張り出して演出した後で、退避位置(液晶表示領域の外方位置)へ退避するまでに逆方向に再び複数回回転する必要があった。この場合、演出位置から退避する部材に視線が集まり易くなることが問題視される可能性があった。
なお、変位態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、回転変位でも良いし、直動変位でも良い。また、変位は平面上におけるものでも良いし、複数平面にまたがるものでも良いし、3次元的なものでも良い。
遊技機D5において、前記変位手段は、動作抵抗が所定量よりも大きくなると負荷伝達を解除するように構成される解除手段を備えることを特徴とする遊技機D6。
遊技機D6によれば、遊技機D5の奏する効果に加え、変位手段の変位態様の変化を、変位手段の内部の構成の動作抵抗の大小により生じさせることができる。
遊技機D1からD6のいずれかにおいて、前記変位手段へ向けて光を照射する発光手段を備え、前記変位手段は前記第1変位部材および前記第2変位部材を備え、前記第1変位部材および前記第2変位部材は、視認される面が一側か、他側かで、発光手段からの光の視認態様を変化可能に構成されることを特徴とする遊技機D7。
遊技機D7によれば、遊技機D1からD6のいずれかの奏する効果に加え、発光手段からの光に関して変位手段の見え方を、第1変位部材および第2変位部材の視認される面に対応して変化させることができる。
例えば、第1変位部材および第2変位部材が個別に発光しているように視認される場合と、第1変位部材および第2変位部材が一体的に発光しているように視認される場合とで変化させることができる。
遊技機D1からD7のいずれかにおいて、前記変位手段の配置を検出する検出手段を備え、前記検出手段は、前記変位手段の変位が許容可能な状態か否かを検出可能に構成されることを特徴とする遊技機D8。
遊技機D8によれば、遊技機D1からD7のいずれかにおいて、前記変位手段の変位を許容可能な状態を検出手段により検出可能なので、変位手段が変位中に周囲の構造部と衝突することを回避することができる。
また、検出手段により変位手段の変位可能な区間を検出しつつ、変位手段の変位を実行することができるので、ある程度、演出位置から退避位置へ向けて変位した後で拡大縮小を含む変位態様で変位するように制御することで、演出位置から退避位置に変位する際に変位開始時から拡大縮小を含む変位態様で変位する場合に比較して、変位手段に対する注目力の上昇を押さえることができる。
遊技機D1からD7のいずれかにおいて、前記変位手段の状態を検出する検出手段を備え、その検出手段は、前記変位手段の変位について2種類以上の数値を検出可能に構成されることを特徴とする遊技機D9。
遊技機D9によれば、遊技機D1からD7の奏する効果に加え、検出手段の配設個数を削減することができる。なお、変位手段の変位についての数値の種類としては、種々の態様が例示される。例えば、異なる可動部材のそれぞれの配置や姿勢についての数値でも良いし、所定タイミングで動作態様が変化する場合にその動作態様の変化に関与する数値でも良い。
また、検出手段の配置は何ら限定されるものではない。例えば、変位手段の変位基端側に検出手段を配置することで、その変位手段の変位先端側に連結される第2変位手段の配置や姿勢を検出する構造を構成し易い。
遊技機D1からD9のいずれかにおいて、前記変位手段は前記第1変位部材および前記第2変位部材を備え、その第1変位部材および前記第2変位部材は遊技者側に向ける面が一側の面となる姿勢と、他側の面となる姿勢とで反転動作可能に構成され、前記第1変位部材および前記第2変位部材が一側の面を遊技者側に向ける場合には、第1変位部材および第2変位部材を区別可能とされる一方、前記第1変位部材および前記第2変位部材が他側の面を遊技者側に向ける場合には、第1変位部材および第2変位部材を区別不能に構成されることを特徴とする遊技機D10。
遊技機D10によれば、遊技機D1からD9のいずれかの奏する効果に加え、一側が遊技者側に向けられている場合の第1変位部材および第2変位部材の状態に関わらず、反転動作が生じることに対する遊技者の期待感を高く維持することができる。
<複数の被視認面を備える変位手段の配置により視認容易面を変えるポイント>
視認可能に構成される第1視認可能面および第2視認可能面を備える変位手段を備え、その変位手段は、配置に応じて、前記第1視認可能面が視認し易い第1状態と、前記第2視認可能面が視認し易い第2状態と、を切り替え可能に構成されることを特徴とする遊技機E1。
パチンコ機等の遊技機において、反転可能に構成される反転動作部71を備え、視認される面を変化させることで遊技者に視認される外観を変化可能に構成される遊技機がある(例えば、特開2016-153095号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、反転動作部71の反転は、位置が固定された状態で行われるので、視認される面の変化により遊技者の視線を変化させることはできない。即ち、遊技者の視線を効率よく変化させるという観点で改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機E1によれば、変位手段が、配置に応じて、第1視認可能面が視認し易い状態と、第2視認可能面が視認し易い状態とが切り替えられるので、第1視認可能面または第2視認可能面を見たいと考える遊技者の視線を、変位手段の配置変化の経路に沿う態様で変化させることができる。
遊技機E1において、前記変位手段を視認可能に開放される開放部を備え、前記変位手段は、前記開放部側が視認され易いように構成されることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、開放部を通して奥側を視認する遊技者が、変位手段の第1視認可能面または第2視認可能面を容易に視認できる。
遊技機E2において、前記変位手段は、開放部の中央側に配置される場合よりも、開放部の縁側に配置される場合の方が、配置が背面側に寄ることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、変位手段が開放部の中央側に配置される場合に変位手段を手前側で大きく視認可能としながら、変位手段が開放部の縁側に配置される場合に変位手段を見る際の視線の動きを少なくすることができる。これにより、変位手段の視認性と、変位手段を目で追う遊技者の疲労抑制と、の両立を図ることができる。
遊技機E1からE3のいずれかにおいて、前記変位手段は、複数組の前記第1視認可能面および前記第2視認可能面を備え、一の組の前記第1視認可能面および前記第2視認可能面が視認可能な状態において、他の組の前記第1視認可能面および前記第2視認可能面を視認し難く構成することを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E1からE3のいずれかの奏する効果に加え、第1視認可能面および第2視認可能面に、組ごとに異なる文字や図形を施しておくことで、変位手段を視認する遊技者に対して、異なる文字や図形を視認させることができ、且つ、視認させることを目的としない組の第1視認可能面および第2視認可能面に関しては視認し難く構成することで、変位手段の外観がみっともなくなることを回避することができる。
例えば、第1の組には、抽選結果が大当たりである期待感が低いことを示す文字や図形が第1視認可能面および第2視認可能面に表示され、第2の組には、抽選結果が大当たりである期待感が高いことを示す文字や図形が第1視認可能面および第2視認可能面に表示される場合に、変位手段の配置に関わらず、変位手段を通して、大当たりの期待感の高低を確認することができる。この場合において、変位手段が表示装置の表示領域の正面側から退避した後においても、変位手段による大当たりの期待感についての表示を維持できるので、液晶表示装置から目線を外した遊技者に対しても、大当たりの期待感についての表示を視認させることを継続することができる。
なお、視認し難く構成する態様は何ら限定されるものではない。例えば、遊技者側とは異なる側の面(後側面、左右外側面、等)に配置するようにしても良いし、遮蔽手段で遮蔽することで視認性を落とすように構成しても良い。
遊技機E4において、視認される前記第1視認可能面および前記第2視認可能面の組を切り替える動作は、動作中において、前記第1視認可能面および前記第2視認可能面を認識され難いよう構成されることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E4において、視認される第1視認可能面および第2視認可能面の組を切り替える動作中(確定前)に、遊技者側に表示される第1視認可能面および第2視認可能面の組を予測されることを回避し易くすることができる。これにより、変位手段に対する注目力を向上させることができる。
なお、上述の切り替える動作中において第1視認可能面および第2視認可能面を認識され難いよう構成される態様については、何ら限定されるものではない。例えば、変位手段を高速で回転動作させ認識され難くしても良いし、第1視認可能面(第2視認可能面)の一部と、その他の部分とを結合分離可能に構成し、それら一部とその他の部分とを分離した状態で動作させることで認識され難くしても良いし、発光手段による明暗の設定により相対的に暗くする部分を作り認識され難くしても良い。
なお、この場合において、分離した状態の態様としては、何ら限定されるものではない。例えば、上述の切り替える動作中において、第1視認可能面(第2視認可能面)の一部と、その他の部分との一方のみが視認され、他方は視認されないように背面側を向いて動作するよう構成しても良いし、それら一部とその他の部分とが同時に視認可能であるが配置がずれて視認される状態で動作するよう構成しても良い。
遊技機E5において、前記変位手段を視認可能に開放される開放部を備え、前記切り替える動作は、前記変位手段が前記開放部の中央側に配置されている状態で実行されることを特徴とする遊技機E6。
遊技機E6によれば、遊技機E5の奏する効果に加え、切り替える動作を遊技者に視認させ易くすることができ、切り替える動作に対する注目力を向上させることができる。
遊技機E5又はE6において、前記切り替える動作中において、前記第1視認可能面の一部とその他の部分との、一方は正面側を向き、他方は正面側とは異なる側を向くことを特徴とする遊技機E7。
遊技機E7によれば、遊技機E5又はE6の奏する効果に加え、動作中において第1視認可能面の一部を視認可能とし、全体は視認不可能とすることで、動作中において第1視認可能面を認識され難くすることができる。
遊技機E1からE7のいずれかにおいて、前記第2視認可能面への視線の少なくとも一部を遮蔽可能に構成される第2変位手段を備え、前記変位手段は、前記第2変位手段と共に前記第1視認可能面を視認させるための第3状態に切替可能に構成されることを特徴とする遊技機E8。
遊技機E8によれば、遊技機E1からE7のいずれかの奏する効果に加え、第2変位手段により第2視認可能面の少なくとも一部を視認し難く構成することにより、変位手段の演出位置の設計自由度を向上させることができる。
遊技機E1からE8のいずれかにおいて、前記変位手段は、変位に伴って、所定方向視で視認される面を第1視認可能面と第2視認可能面との間で変化させるように構成されることを特徴とする遊技機E9。
遊技機E9によれば、遊技機E1からE8のいずれかの奏する効果に加え、所定方向視で視認される面が第1視認可能面と第2視認可能面との間で変化するので、遊技者の視線の変化量に依存せずに、視認し易い面を任意に変更することができる。
遊技機E9において、前記第1状態と前記第2状態とで前記変位手段の姿勢が変化することを特徴とする遊技機E10。
遊技機E10によれば、遊技機E9の奏する効果に加え、第1状態における変位手段の外観と第2状態における変位手段の外観との違いを、変位手段の姿勢を違えることにより大きくすることができる。
遊技機E9又はE10において、前記変位手段に近接配置可能に構成される補助手段を備え、前記第1状態では、前記変位手段は前記補助手段に近接配置され、前記第2状態では、前記変位手段は前記補助手段から離れて配置されることを特徴とする遊技機E11。
遊技機E11によれば、遊技機E9又はE10の奏する効果に加え、補助手段を変位手段に近接配置させ、一体的に視認させる状態と、補助手段と変位手段とを分けて視認させる状態とを構成することができ、変位手段が遊技者に与える印象を複数構成することができる。
なお、補助手段の態様は何ら限定されるものではない。例えば、配置が固定された手段でも良いし、可動の手段でも良い。
遊技機E11において、前記補助手段は、前記変位手段と一体的に視認させる状態と、前記変位手段とは分離して視認させる状態と、を切替可能に構成されることを特徴とする遊技機E12。
遊技機E12によれば、遊技機E11の奏する効果に加え、変位手段と補助手段とを一体的に視認させるか分離して視認させるかを切り替えることができるので、部材個数に対する視認可能態様のバリエーションを増やすことができる。
<変位手段の変位量と配設手段の変位量との同時点での比が区間で異なるポイント>
変位可能に構成される変位手段と、その変位手段に第1の部分が配設される配設手段と、前記配設手段の第2の部分を支持する支持手段と、を備え、その支持手段は、前記変位手段の変位中における前記第1の部分を基準とした前記第2の部分の配置を制御可能に構成されることを特徴とする遊技機F1。
パチンコ機等の遊技機において、傾倒変位可能なベースアーム220と、そのベースアーム220の傾倒先端側に回動可能に取り付けられた回動役物211と、その回動役物211を回動させるための駆動力を発生させる駆動モータ222と、を備え、ベースアーム220の変位と独立して回動役物211を回動可能に構成される遊技機がある(例えば、特開2016-116782号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、回動役物211がベースアーム220の先端においてぐらつき易く、ベースアーム220の傾倒変位中に回動役物211を回動させると機構に不具合が生じる可能性がある結果、回動役物211の回動変位はベースアーム220の停止中に行うと想定されることから、変位の自由度が低くなっていた。
即ち、変位可能な部分の変位の設計自由度を高くするという観点で改善の余地があるという問題点があった。
これに対し、遊技機F1によれば、配設手段が変位手段と支持手段とに少なくとも2点で支持され、その2つの支持点が変位手段の変位中に相対変位するように構成されており、支持手段により、第1の部分を基準とする第2の部分の配置を制御可能としているので、配設手段を安定的に支持しながら、変位手段の変位中に配設手段を変位させることができる。これにより、配設手段(変位可能な部分)の変位の設計自由度を高めることができる。
なお、支持手段の態様は、何ら限定されるものではない。例えば、固定のベース手段に形成される案内溝に変位を制限される態様で支持されても良いし、変位可能な第2の変位手段に連結されて支持されても良い。また、支持手段による制御は、電子制御に限定されるものではなく、第2の部分の変位を壁部で規制(案内)する等の機械的な制御も含まれる。
遊技機F1において、前記変位手段は、第1の区間および第2の区間を、変位可能に構成され、前記支持手段は、前記変位手段が前記第1区間を変位する場合に前記第2の部分を支持する第1範囲と、前記変位手段が前記第2区間を変位する場合に前記第2の部分を支持する第2範囲と、を備え、前記第1範囲において前記第2の部分が変位する方向と、前記第2範囲において前記第2の部分が変位する方向とが異なるよう構成されることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、変位手段の変位速度を一定とする場合であっても、配設手段の変位速度を異ならせることができ、支持手段は、第2の部分の変位方向の変化を許容するように構成されるので、第2の部分の変位方向が不規則に変化するとしても配設手段の変位を滑らかにすることができる。
遊技機F1又はF2において、前記支持手段は、前記第2の部分の変位を制限する制限部を備えることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F1又はF2の奏する効果に加え、第1範囲と第2範囲との境界位置(制限部)において第2の部分の変位を制限することができるので、第2の部分を変位の大きい側から小さい側へ向けて変位させる場合に、第1範囲と第2範囲との境界位置(制限部)で第2の部分を停止し易くすることができる。
なお、第2の部分の第1の部分を基準とした変位に要する負荷の態様は何ら限定されるものではない。例えば、第2の部分が引かれる態様でも良いし、第2の部分が押進される態様でも良い。
なお、制限部の態様は何ら限定されるものではない。例えば、第2の部分の変位抵抗の増減を設定する態様でも良いし、第2の部分の変位方向を切り替える態様でも良い。
遊技機F2又はF3において、前記第1の区間は、前記第2の区間よりも前記変位手段の変位範囲の終端側に配置され、前記第2の区間における前記変位手段を基準とした配設手段の相対的な変位量は、前記第1の区間における前記変位手段を基準とした配設手段の相対的な変位量に比較して小さくなるように構成されることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、遊技機F2又はF3の奏する効果に加え、変位手段の変位途中位置において、変位手段を基準とした配設手段の相対的な変位量が小さくなる区間を構成することができるので、変位手段の変位終端位置の他に、変位手段と配設手段とを一体的に視認し易い位置を設けることができ、結果として、変位手段と配設手段とを一体的に視認し易い位置を増やすことができる。
遊技機F1からF4のいずれかにおいて、前記第1の部分の変位速度を基準とした前記第2の部分の変位速度(の比)を変化可能に構成されることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F1からF4のいずれかの奏する効果に加え、変位手段の変位速度が一定の場合であっても、支持手段側における配設手段の第2の部分の変位速度を変化させることができるので、駆動手段の簡易な駆動制御(等速駆動)で、配設手段の変位速度を可変とするような動作演出を構成することができる。
遊技機F1からF5のいずれかにおいて、前記支持手段は、前記第2の部分の変位終端における変位速度を低減するよう構成されることを特徴とする遊技機F6。
遊技機F6によれば、遊技機F1からF5の奏する効果に加え、第2の部分の跳ね戻りを防止することができ、変位終端において配設手段を早期に停止させ易くすることができる。
なお、第2の部分の跳ね戻りを防止する手法については何ら限定されるものではない。例えば、変位終端における第2の部分の変位速度(例えば、第1の部分が所定の単位長さ変位する場合の第2の部分の変位量)を低減するように構成する手法でも良いし、第1の部分が停止した状態における第2の部分の変位方向に壁を立てる等の形状的工夫により第2の部分の変位を規制するような手法でも良い。
また、第2の部分の変位量を低減する手法に限らず、第2の部分の変位抵抗を増加させるようにしても良い。例えば、第2の部分の変位終端において磁力等により負荷を与え、第2の部分の変位抵抗を向上するようにしても良いし、コイルスプリング等の付勢力で変位抵抗を向上するようにしても良い。
遊技機F6において、前記支持手段は、前記第1の部分の変位に伴う前記第2の部分の変位の変位軌跡と、前記第1の部分が変位終端で停止した場合の前記第2の部分の変位の変位軌跡とが、交差するよう構成されることを特徴とする遊技機F7。
遊技機F7によれば、遊技機F6の奏する効果に加え、第1の部分の変位に伴う第2の部分の変位を案内する機能を有する支持手段により、第1の部分が停止した場合における第2の部分の戻り変位(バウンド)を低減することができる。
遊技機F1からF7のいずれかにおいて、前記配設手段に変位可能に支持される被支持手段を備え、その被支持手段は、前記変位手段を基準とした前記配設手段の相対的変位量に応じた変位量で変位するように構成されることを特徴とする遊技機F8。
遊技機F8によれば、遊技機F1からF7のいずれかの奏する効果に加え、配設手段と共同で変位する被支持手段により、複雑な演出を実行することができる。
なお、被支持手段の変位の態様は、何ら限定されるものではない。例えば、配設手段が変位する所定平面上を配設手段と並走するように変位する態様でも良いし、配設手段が変位する所定平面とは離れた位置において配設手段の変位態様(例えば、所定平面上のスライド変位態様)とは異なる変位態様(例えば、所定の軸を中心とした回転変位態様)でも良い。
なお、配設手段の変位量に係る配設手段の変位の態様については、何ら限定されるものではない。例えば、姿勢変化でも良いし、姿勢を維持したままでの変位でも良い。
遊技機F8において、前記第1の部分が所定方向に変位する間に、前記第2の部分は、前記第1の部分の変位軌跡と交差する方向に往復変位可能な区間を備えることを特徴とする遊技機F9。
遊技機F9によれば、遊技機F8の奏する効果に加え、第1の部分が変位している間に、第1の部分に対する第2の部分の相対変位量が戻り変化する(例えば、増加後に減少する)態様とすることができるので、第2の部分の配置は維持しながら、被支持手段の変位量は大きくするという変位態様を実現することができる。
遊技機F8又はF9において、前記配設手段を基準とした前記被支持手段の(相対)回転の変位速度は、前記変位手段の変位速度と同等となるよう構成されることを特徴とする遊技機F10。
遊技機F10によれば、遊技機F8又はF9の奏する効果に加え、被支持手段の変位態様を、配設手段を挟んで変位手段と同等することができる。これにより、あたかも、被支持手段が独自の駆動手段で変位しているように遊技者に錯覚させることができる。
遊技機F1からF10のいずれかにおいて、前記配設手段は、自らの変位に伴い遊技者側に向ける面を第1面と第2面とで切り替えるように姿勢変化する姿勢変化手段を備え、その姿勢変化手段は、前記第2の部分が変位終端に配置された状態において、前記第1面または前記第2面が遊技者側に向けられる姿勢となるように構成されることを特徴とする遊技機F11。
遊技機F11によれば、遊技機F1からF10のいずれかの奏する効果に加え、姿勢変化手段の第1面または第2面が遊技者側に向けられることで、第2の部分が変位終端に到達したことを遊技者が把握できるので、変位手段による演出動作の終期を分かり易く構成することができる。
遊技機F1からF11のいずれかにおいて、前記第2の部分を通して前記配設手段に電気配線が挿通されるよう構成され、前記電気配線が内部に配置されると共に前記第2の部分に固定される配置手段を備え、前記配置手段は、前記電気配線を挿通可能な開口部を備え、その開口部は、周囲に形成される周囲部分との前記電気配線の接触を避けるよう変位可能に構成されることを特徴とする遊技機F12。
遊技機F12によれば、遊技機F1からF11のいずれかの奏する効果に加え、電気配線が周囲部分と接触することを避けることができる。
配置手段は、第2の部分が複数部材で構成される場合にそれら複数部材を合体させるための手段として構成しても良いし、第2の部分に別部材が配設される場合に、その別部材の第2の部分からの脱落を防止するための手段として構成しても良い。
遊技機A1からA11、B1からB12、C1からC13、XA1からXA3、XB1からXB5、D1からD10、E1からE12及びF1からF12のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA11、B1からB12、C1からC13、XA1からXA3、XB1からXB5、D1からD10、E1からE12及びF1からF12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA11、B1からB12、C1からC13、XA1からXA3、XB1からXB5、D1からD10、E1からE12及びF1からF12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
遊技機A1からA11、B1からB12、C1からC13、XA1からXA3、XB1からXB5、D1からD10、E1からE12及びF1からF12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
パチンコ機等の遊技機において、球検出孔へ向けた遊技球の流下経路を複数種類構成可能な大入賞部品を備え、球検出孔付近が化粧板によって認識し難く構成される遊技機がある(例えば、特許文献1:特開2017-185021号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、遊技球の発射操作と関連する部分において改善の余地があるという問題点があった。本技術的思想は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、遊技球の発射操作と関連する部分において改善することができる遊技機を提供することを目的とする。
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1の遊技機は、遊技球が流下可能に構成される経路構成手段と、その経路構成手段を流下した遊技球が通過可能に構成される被通過手段と、を備え、前記経路構成手段は、所定方向視における、前記被通過手段の上流側で前記経路構成手段を流下する第1の遊技球の手前側で、その第1の遊技球の少なくとも一部と重なる位置に配置可能な変位可能手段を備える。
技術的思想2の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記変位可能手段は、前記第1遊技球の上流側を流下する第2の遊技球である。
技術的思想3の遊技機は、技術的思想2記載の遊技機において、前記経路構成手段は、第1の遊技球の正面側に第2の遊技球を配置可能な前後幅長さで形成される前後方向経路を備える。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、遊技球の発射操作と関連する部分において改善することができる。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、材料コストや設計コストを低減することができる。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想2記載の遊技機の奏する効果に加え、正面視において、第2の遊技球で第1の遊技球の少なくとも一部を隠すことができる。