JP2023023661A - 架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法 - Google Patents

架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023023661A
JP2023023661A JP2021129377A JP2021129377A JP2023023661A JP 2023023661 A JP2023023661 A JP 2023023661A JP 2021129377 A JP2021129377 A JP 2021129377A JP 2021129377 A JP2021129377 A JP 2021129377A JP 2023023661 A JP2023023661 A JP 2023023661A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crosslinked
elastomer
crosslinked elastomer
diboronic
site
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021129377A
Other languages
English (en)
Inventor
碧 河田
Aoi Kawada
泰郎 堀川
Yasuo Horikawa
真理 宮野
Mari Miyano
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2021129377A priority Critical patent/JP2023023661A/ja
Priority to PCT/JP2022/026428 priority patent/WO2023013334A1/ja
Priority to CN202280050118.8A priority patent/CN117651731A/zh
Publication of JP2023023661A publication Critical patent/JP2023023661A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08CTREATMENT OR CHEMICAL MODIFICATION OF RUBBERS
    • C08C19/00Chemical modification of rubber
    • C08C19/08Depolymerisation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J3/00Processes of treating or compounding macromolecular substances
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】架橋エラストマーの架橋部位を容易に未架橋状態に戻すことが可能な方法を提供する。【解決手段】架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法であって、前記架橋エラストマーは、架橋部位に、所定の一般式(1)で表されるジボロン酸エステル骨格単位を有し、前記架橋エラストマーを、SP値(溶解度パラメータ)が7(cal/cm3)1/2以上10(cal/cm3)1/2以下である有機溶媒の存在下で、所定の一般式(3)で表されるモノボロン酸化合物と接触させる工程を含み、前記工程において、前記ジボロン酸エステル骨格単位に対する前記モノボロン酸化合物のモル存在比(モノボロン酸化合物/ジボロン酸エステル骨格単位)を、2超5以下とする、ことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法に関するものである。
昨今、タイヤ等の加硫ゴム(架橋ゴム)については、環境問題や省資源化の観点から、使用後にリサイクルすることが推し進められている。加硫ゴムのリサイクル技術としては、加硫ゴムを脱硫する方法が従来公知であるが、脱硫反応は、非常に高い温度を必要とするため、エネルギー効率が悪いという欠点がある。
そこで、加硫ゴムを脱硫以外の方法で分解する技術も検討されてきている。例えば、特許文献1は、脂質過酸化反応により加硫ゴムを分解し、アルカリを添加したアルコール中で脂質を除去してゴム分を回収する、加硫ゴムの分解回収方法を開示している。この方法によれば、分解反応温度が低くエネルギー効率に優れ、分解速度も速く、さらにリサイクル回収の容易な分解生成物が得られることが開示されている。
特開2011-153272号公報
しかし、上記の特許文献1の技術は、加硫ゴムを広く分解対象物とするものであり、加硫(硫黄架橋)以外の方法で架橋させたゴム(架橋エラストマー)については、何ら検討されていない。
また、架橋エラストマー自体に着目して、容易に脱架橋ができ、ひいては再架橋を生じさせることができる(いわゆる可逆架橋性を有する)架橋エラストマーを開発することは、材料の更なる有効利用や汎用性の観点からも非常に有用である。
そこで、本発明は、架橋エラストマーの架橋部位を容易に未架橋状態に戻すことが可能な方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、架橋部位に所定の骨格単位を有する架橋エラストマーであれば、所定の条件下で、当該架橋部位を容易に未架橋状態に戻せることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明の方法は、架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法であって、
前記架橋エラストマーは、架橋部位に、下記一般式(1):
Figure 2023023661000001
[式中、Xは、単結合又は任意の2価の基である]で表されるジボロン酸エステル骨格単位を有し、
前記架橋エラストマーを、SP値(溶解度パラメータ)が7(cal/cm1/2以上10(cal/cm1/2以下である有機溶媒の存在下で、下記一般式(3):
Figure 2023023661000002
[式中、Xは、水素又は任意の1価の基である]で表されるモノボロン酸化合物と接触させる工程を含み、
前記工程において、前記ジボロン酸エステル骨格単位に対する前記モノボロン酸化合物のモル存在比(モノボロン酸化合物/ジボロン酸エステル骨格単位)を、2超5以下とする、ことを特徴とする。
かかる方法は、架橋エラストマーの架橋部位を容易に未架橋状態に戻すことが可能である。
本発明の方法において、前記架橋エラストマーは、前記ジボロン酸エステル骨格単位の割合が17質量%以下であることが好ましい。この場合、架橋エラストマーのエラストマー性を十分に保持することができる。
本発明の方法において、前記架橋エラストマーは、ビニル結合量が30質量%以下であり、重量平均分子量が1000以上であるジエン系エラストマーを架橋させてなることが好ましい。この場合、架橋エラストマーを加熱して成形する際のゲル化の発生を効果的に抑制することができ、また、架橋エラストマー中で十分な絡み合いが生じて、タイヤ等のゴム物品に用いた場合に十分な機械的強度を発現することができる。
本発明によれば、架橋エラストマーの架橋部位を容易に未架橋状態に戻すことが可能な方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
(架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法)
本発明の一実施形態の架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法(以下、「本実施形態の方法」と称することがある。)は、架橋部位に、下記一般式(1):
Figure 2023023661000003
[式中、Xは、単結合又は任意の2価の基である]で表されるジボロン酸エステル骨格単位を有する架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法であり、前記架橋エラストマーを、SP値が7(cal/cm1/2以上10(cal/cm1/2以下である有機溶媒の存在下で、下記一般式(3):
Figure 2023023661000004
[式中、Xは、水素又は任意の1価の基である]で表されるモノボロン酸化合物と接触させる工程(モノボロン酸接触工程)を含み、
前記工程において、前記ジボロン酸エステル骨格単位に対する前記モノボロン酸化合物のモル存在比(モノボロン酸化合物/ジボロン酸エステル骨格単位)を、2超5以下とする、ことを特徴とする。
上述した架橋エラストマーにおけるジボロン酸エステル骨格単位を介した架橋は、一般的な加硫ゴムのような硫黄による結合ではない。また、上述した架橋エラストマーを、所定の有機溶媒の存在下でモノボロン酸化合物と接触させると、架橋エラストマーの架橋部位において交換反応が起こり、ジボロン酸エステル骨格単位を介した架橋が、モノボロン酸化合物の結合に取って代わる。この点、モノボロン酸化合物は、エラストマーへの結合手の機能を担うボロン酸の数が1個のみであるため、エラストマー同士の連結が解消されることとなる。よって、本実施形態の方法によれば、架橋エラストマーの架橋部位を容易に未架橋状態に戻す(換言すると、脱架橋させる)ことが可能となる。
更に、本実施形態の方法で処理した後のエラストマー(脱架橋エラストマー)は、更に再架橋させることができるので、種々のゴム物品への汎用も期待できる。
<架橋エラストマー>
本実施形態の方法で用いる架橋エラストマーは、架橋部位に、下記一般式(1):
Figure 2023023661000005
[式中、Xは、単結合又は任意の2価の基である]で表されるジボロン酸エステル骨格単位を有する。このジボロン酸エステル骨格単位は、典型的には、架橋エラストマーを製造する際に用いる架橋剤の構造に由来する。
一般式(1)中のXであり得る2価の基としては、例えば、炭化水素基が挙げられ、具体例としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基);炭素数6~20の芳香族含有基(1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基等)等が挙げられる。また、上記脂肪族基及び芳香族含有基には、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-NR-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。なお、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
本実施形態の方法で用いる架橋エラストマーは、上述したジボロン酸エステル骨格単位の割合が17質量%以下であることが好ましい。この場合、架橋エラストマーのエラストマー性を十分に保持することができる。同様の観点から、架橋エラストマーにおけるジボロン酸エステル骨格単位の割合は、14質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。一方、架橋エラストマーにおけるジボロン酸エステル骨格単位の割合の下限は、0質量%超であれば特に限定されないが、強度を硫黄架橋と同等程度に高める観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。
なお、架橋エラストマーにおけるジボロン酸エステル骨格単位の割合は、製造の際に用いたエラストマー及びジボロン酸エステル化合物の配合量に基づいて算出することができる。
本実施形態の方法で用いる架橋エラストマーは、好ましくは、ジエン系エラストマーを架橋させてなる。即ち、本実施形態の架橋エラストマーは、好ましくは、ジエン系エラストマーの架橋物である。ここで、ジエン系エラストマーは、少なくともジエン単位を含むエラストマーを指し、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。ジエン系エラストマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ジエン系エラストマーとしては、タイヤ等のゴム物品の機械的強度を十分に確保する観点から、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)が好ましい。
また、上記ジエン系エラストマーは、ビニル結合量が30質量%以下であり、重量平均分子量(Mw)が1000以上であることが好ましい。換言すると、本実施形態の方法で用いる架橋エラストマーは、ビニル結合量が30質量%以下であり、重量平均分子量が1000以上であるジエン系エラストマーを架橋させてなることが好ましい。ジエン系エラストマーのビニル結合量が30質量%以下であれば、架橋エラストマーを加熱して成形する際のゲル化の発生を効果的に抑制することができる。また、ジエン系エラストマーの重量平均分子量(Mw)が1000以上であれば、架橋エラストマー中で十分な絡み合いが生じて、タイヤ等のゴム物品に用いた場合に十分な機械的強度を発現することができる。同様の観点から、ジエン系エラストマーのビニル結合量は、28質量%以下であることが好ましく、26質量%以下であることが更に好ましい。一方、ジエン系エラストマーのビニル結合量の下限は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、ジエン系エラストマーのビニル結合量は、ジエン系エラストマー全体のうちの、ジエン単位であり且つビニル結合している単位の質量割合を指す。即ち、ジエン系エラストマーのビニル結合量は、ジエン単位のうちの、ビニル結合している単位の割合ではない。
また、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求めることができる。
また、架橋エラストマーがジエン系エラストマーを架橋させてなるものである場合には、当該架橋エラストマーにおける上記のジボロン酸エステル骨格単位が、ジエン系エラストマーにおける、ビニル結合したジエン単位に残存するビニル基を構成する炭素に結合していることが好ましい。また、上述したジボロン酸エステル骨格単位とジエン系エラストマーとの結合は、直接的な結合であってもよく、任意の基(例えば、炭素数1~3のアルキレン基)が介在した結合であってもよい。
本実施形態の方法で用いる架橋エラストマーにおいては、それの製造時に配合することにより、カーボンブラック等の充填剤が分散されていてもよい。上記充填剤が架橋エラストマー中に分散している場合、架橋エラストマー100質量部に対する充填剤の配合量は、10質量部以上とすることができ、また、100質量部以下とすることができるとすることができる。
本実施形態の方法で用いる架橋エラストマーは、例えば、ラジカル開始剤の存在下で、ジエン系エラストマーを、下記一般式(2):
Figure 2023023661000006
[式中、Xは、単結合又は任意の2価の基であり、Y及びYは、それぞれ独立して単結合又は2価の炭化水素基である]で表されるジボロン酸エステル化合物を用いて架橋させることで製造することができる。この製造方法によれば、ラジカル反応を利用することで、所定の骨格を介した架橋をジエン系エラストマー間に形成させ、上述した架橋エラストマーを容易に製造することができる。なお、一般式(2)中のXは、一般式(1)中のXに対応する。
上記の製造方法では、具体的には、上述したジエン系エラストマーに、ラジカル開始剤及びジボロン酸エステル化合物を配合してミキサー等で混合し、該混合物を加熱することにより、架橋エラストマーを得ることができる。加熱の温度及び時間については、使用するジエン系エラストマーのビニル結合量、使用するラジカル開始剤の種類、使用量などを勘案して、適宜調整することが好ましい。
また、上記の製造方法では、ジエン系エラストマー、ラジカル開始剤、ジボロン酸エステル化合物のほか、他の成分を更に適量配合してもよい。他の成分としては、カーボンブラック等の充填剤等が挙げられる。
<有機溶媒>
本実施形態の方法で用いる有機溶媒は、SP値(溶解度パラメータ)が7(cal/cm1/2以上10(cal/cm1/2以下であることを要する。有機溶媒のSP値が上記範囲を外れると、架橋エラストマーとの相溶性が低くなり、架橋部位におけるモノボロン酸化合物との交換反応が十分な生じない虞がある。また、有機溶媒のSP値は、上記交換反応をより確実に生じさせる観点から、8(cal/cm1/2以上が好ましく、また、9.5(cal/cm1/2以下が好ましい。
なお、SP値は、Hansen法に従って算出することができる。また、有機溶媒は、単一溶媒であってもよく、混合溶媒であってもよい。
<モノボロン酸化合物>
本実施形態の方法で用いるモノボロン酸化合物は、下記一般式(3):
Figure 2023023661000007
[式中、Xは、水素又は任意の1価の基である]で表される。即ち、上記モノボロン酸化合物は、ボロン酸の数が1個である。一般式(3)中のXであり得る1価の基としては、例えば、炭化水素基が挙げられ、具体例としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基);炭素数6~20の芳香族含有基(フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等);ヘテロ芳香族基(2-フリル基等)等が挙げられる。また、上記脂肪族基及び芳香族含有基には、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-NR-、-NR-、又は、-C(=O)-が介在していてもよい。なお、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
一般式(3)中のXであり得る1価の基は、上述の一般式(1)中のXであり得る2価の基の一方の結合手に水素が結合したものと同じであることが好ましい。一例を挙げると、一般式(1)中のXがフェニレン基である架橋エラストマーを用いるのであれば、一般式(3)中のXがフェニル基であるモノボロン酸化合物を用いることが好ましい。この場合、より効果的に交換反応を生じさせることができる。
<モノボロン酸接触工程>
モノボロン酸接触工程では、架橋エラストマーを、上記所定の有機溶媒の存在下で、モノボロン酸化合物と接触させる。かかる接触により、エラストマーの架橋部位において交換反応が起こる。このとき、典型的には、連結する2つのエラストマーの架橋部位が、下記一般式(4):
Figure 2023023661000008
表される官能基でそれぞれキャップされた形となって、未架橋状態に戻ることとなる。同時に、典型的には、架橋部位のジボロン酸エステル骨格単位に由来する、下記一般式(9):
Figure 2023023661000009
で表されるジボロン酸化合物が生成することとなる。
なお、モノボロン酸接触工程では、架橋エラストマーに含まれるジボロン酸エステル骨格単位と、モノボロン酸化合物との存在比が肝要である。具体的には、上記ジボロン酸エステル骨格単位に対する上記モノボロン酸化合物のモル存在比(モノボロン酸化合物/ジボロン酸エステル骨格単位)を、2超5以下とすることを要する。上記モル存在比が2以下であると、エラストマー同士の連結を解消するためのボロン酸の化学当量が十分ではない虞がある。また、上記モル存在比が5超であると、モノボロン酸化合物の残存量が多くなり、脱架橋後に更に再架橋させる場合に支障が生じる。
上記ジボロン酸エステル骨格単位に対する上記モノボロン酸化合物のモル存在比(モノボロン酸化合物/ジボロン酸エステル骨格単位)の好ましい範囲は、架橋エラストマーにカーボンブラック等の充填剤が分散されているか否かにより異なる。架橋エラストマーに充填剤が分散されていない場合には、上記モル存在比は、4以上であることが好ましい。また、架橋エラストマーに充填剤が分散されている場合には、上記モル存在比は、2.5以上であることが好ましい。これらの場合、より十分且つ効果的に脱架橋させることができる。
モノボロン酸接触工程では、架橋エラストマーの濃度(架橋エラストマー及び有機溶媒の合計に占める架橋エラストマーの質量割合)を、5質量%以上65質量%以下とすることが好ましい。架橋エラストマーの濃度が上記範囲内であれば、より十分且つ効果的に脱架橋させることができる。同様の観点から、架橋エラストマーの濃度は、10質量%以上であることがより好ましい。特に、架橋エラストマーに充填剤が分散されている場合には、架橋エラストマーの濃度は、20質量%以上であることがより好ましい。
なお、架橋エラストマーの濃度が低いほど、架橋エラストマーが有機溶媒に浸漬された状態となり、一方、架橋エラストマーの濃度が高いほど、架橋エラストマーが有機溶媒で膨潤した状態となる。
モノボロン酸接触工程の具体的な条件(温度、時間など)については、特に限定されない。但し、モノボロン酸化合物との接触頻度を高めるために、架橋エラストマーをあらかじめ細かく粉砕しておくことが好ましい。また、モノボロン酸接触工程の後には、既知の方法で固液分離処理を行ってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
なお、以下では、本発明の架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す(脱架橋させる)方法に加えて、当該架橋エラストマーの製造、及び、脱架橋させた後の再架橋の例についても一連で示す。
(架橋エラストマーの調製)
表1に示す配合処方で、エラストマー組成物を調製した。次いで、このエラストマー組成物を、ゴム加工性解析装置(アルファテクノロジーズ社製)により、表1に示す条件で加熱し、貯蔵弾性率G’を測定した。結果を表1に示す。いずれの例においても、貯蔵弾性率G’が概ね所望の値になったため、架橋が形成されたものと判断できた。
なお、基準例1は、充填剤であるカーボンブラックを用いない硫黄架橋(加硫)の例であり、一方、実施例1-1~1-4は、当該カーボンブラックを用いず、貯蔵弾性率G’が基準例1に近似するように条件をそれぞれ適宜調整した例である。同様に、基準例2は、充填剤であるカーボンブラックを用いた硫黄架橋(加硫)の例であり、実施例1-5は、当該カーボンブラックを用い、貯蔵弾性率G’が基準例2に近似するように条件を適宜調整した例である。
Figure 2023023661000010
*1 ジエン系エラストマー:旭化成株式会社製、「タフデン(登録商標)2000R」、スチレン-ブタジエンゴム、ビニル結合量:10~26質量%、重量平均分子量:373,000(有効数字3桁)
*2 BDB:下式(5)で表されるジボロン酸エステル化合物(合成品)
Figure 2023023661000011
*3 CB:HAF級カーボンブラック
*4 ラジカル開始剤:アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
*5 加硫促進剤DPG:1,3-ジフェニルグアニジン
*6 加硫促進剤MBTS:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド
*7 加硫促進剤TBBS:N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド
なお、実施例1-1~1-5で得られた架橋エラストマーは、溶液NMRを適宜用いることにより、下式(6):
Figure 2023023661000012
で表されるジボロン酸エステル骨格単位を有することが確認された。また、これら架橋エラストマーにおいては、上記のジボロン酸エステル骨格単位が、ジエン系エラストマーにおける、ビニル結合したブタジエン単位に残存するビニル基を構成する炭素に直接結合して、架橋が形成された。
(架橋エラストマーの脱架橋処理)
ここでは、カーボンブラックが混合されていないものとして実施例1-4で得られた架橋エラストマーを選択し、カーボンブラックが混合されたものとして実施例1-5で得られた架橋エラストマーを選択した。
この架橋エラストマーを細かく粉砕したのち、有機溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF、SP値:8.95(cal/cm1/2)に投入し、更にモノボロン酸化合物(BA)としてのフェニルボロン酸(PhB(OH))も投入して十分に混合し、室温(約25℃)で1日静置させた。その際、架橋エラストマーの濃度(架橋エラストマー及び有機溶媒の合計に占める架橋エラストマーの質量割合)、並びに、架橋エラストマー中のジボロン酸エステル骨格単位に対するモノボロン酸化合物のモル存在比(BA/BDB骨格単位)は、表2に示す通りとなるようにした。静置後、キャストして溶媒を蒸発させて、処理済エラストマーを得た。
<脱架橋の評価>
得られた処理済エラストマーを用い、ロール成形の操作を行った。ロール成形が行えた場合には、脱架橋された(架橋部位が未架橋状態に戻った)ことにより柔らかさが付与されたものと評価した。結果を表2に示す。
Figure 2023023661000013
表2に示すように、実施例2-1~2-7の全てにおいて、脱架橋の評価結果が○であった。即ち、実施例1-4及び1-5で得られた架橋エラストマーは、所定の有機溶媒の存在下でモノボロン酸化合物と接触させることにより、容易に脱架橋させることができた。
なお、実施例2-1~2-7で得られた処理済エラストマー(脱架橋エラストマー)においては、溶液NMRを適宜用いることにより、処理前の架橋エラストマーにおける上式(6)で表される骨格が結合していた箇所が、下式(7):
Figure 2023023661000014
で表される官能基でキャップされた形となって、架橋が解消されていることが確認された(架橋部位が未架橋状態に戻った)。同時に、溶液NMRを適宜用いることにより、上記骨格に由来する、下式(8):
Figure 2023023661000015
で表されるジボロン酸化合物((1,4-フェニレン)ジボロン酸)が生成したことが確認された。
また、実施例1-1~1-3で得られた架橋エラストマーも、上述したジボロン酸エステル骨格単位を有しているので、上記と同様の処理により、容易に脱架橋を行うことができるものと考えられる。
(脱架橋エラストマーの再架橋)
ここでは、カーボンブラックが混合されていないものとして実施例2-2又は実施例2-3で得られた脱架橋エラストマー(処理済エラストマー)を選択し、カーボンブラックが混合されたものとして実施例2-5で得られた脱架橋エラストマー(処理済エラストマー)を選択した。
この脱架橋エラストマーを、脱架橋処理時に生成したジボロン酸化合物とともに、表3に示す溶媒に投入し、更に表3に示す配合処方でラジカル開始剤を投入して、室温(約25℃)で一晩静置させた。その際、脱架橋エラストマーの濃度(脱架橋エラストマー及び溶媒の合計に占める脱架橋エラストマーの質量割合)を、表3に示す通りとなるようにした。静置後、キャストして溶媒を蒸発させて、処理済エラストマーを得た。
<架橋(再架橋)の評価>
得られた処理済エラストマーを、ゴム加工性解析装置(アルファテクノロジーズ社製)により、120℃で10~30分間(貯蔵弾性率G’の値が安定するまで)加熱し、貯蔵弾性率G’を測定した。いずれの例においても、測定した貯蔵弾性率G’が、上記のモノボロン酸化合物を投入する前の架橋エラストマーの貯蔵弾性率G’と比較して、20%以上であったので、架橋が形成されたものと判断できた。より具体的に、測定した貯蔵弾性率G’が、上記のフェニルボロン酸を投入する前の架橋エラストマーの貯蔵弾性率G’と比較して、50%以上であれば、より十分な量の架橋が形成されたとして○と評価し、一方、50%未満であれば、△と評価した。結果を表3に示す。
Figure 2023023661000016
表3に示すように、実施例2-2、2-3、2-5で得られた脱架橋エラストマーは、所定の溶媒の存在下でジボロン酸化合物と接触させることにより、容易に架橋(再架橋)を行うことができた。
なお、実施例3-1~3-7で得られた処理済エラストマー(再架橋エラストマー)は、溶液NMRを適宜用いることにより、下式(6):
Figure 2023023661000017
で表されるジボロン酸エステル骨格単位を有することが確認された。即ち、実施例3-1~3-7で得られた処理済エラストマー(再架橋エラストマー)は、実施例1-1~1-5で得られた架橋エラストマーと実質的に同等の構造を有していた。
本発明によれば、架橋エラストマーの架橋部位を容易に未架橋状態に戻すことが可能な方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. 架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法であって、
    前記架橋エラストマーは、架橋部位に、下記一般式(1):
    Figure 2023023661000018
    [式中、Xは、単結合又は任意の2価の基である]で表されるジボロン酸エステル骨格単位を有し、
    前記架橋エラストマーを、SP値(溶解度パラメータ)が7(cal/cm1/2以上10(cal/cm1/2以下である有機溶媒の存在下で、下記一般式(3):
    Figure 2023023661000019
    [式中、Xは、水素又は任意の1価の基である]で表されるモノボロン酸化合物と接触させる工程を含み、
    前記工程において、前記ジボロン酸エステル骨格単位に対する前記モノボロン酸化合物のモル存在比(モノボロン酸化合物/ジボロン酸エステル骨格単位)を、2超5以下とする、ことを特徴とする、架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法。
  2. 前記架橋エラストマーは、前記ジボロン酸エステル骨格単位の割合が17質量%以下である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記架橋エラストマーは、ビニル結合量が30質量%以下であり、重量平均分子量が1000以上であるジエン系エラストマーを架橋させてなる、請求項1又は2に記載の方法。
JP2021129377A 2021-08-05 2021-08-05 架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法 Pending JP2023023661A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021129377A JP2023023661A (ja) 2021-08-05 2021-08-05 架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法
PCT/JP2022/026428 WO2023013334A1 (ja) 2021-08-05 2022-06-30 架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法
CN202280050118.8A CN117651731A (zh) 2021-08-05 2022-06-30 交联弹性体的交联位点返回到非交联状态的方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021129377A JP2023023661A (ja) 2021-08-05 2021-08-05 架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023023661A true JP2023023661A (ja) 2023-02-16

Family

ID=85155789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021129377A Pending JP2023023661A (ja) 2021-08-05 2021-08-05 架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2023023661A (ja)
CN (1) CN117651731A (ja)
WO (1) WO2023013334A1 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5529520A (en) * 1978-08-22 1980-03-01 Yokohama Rubber Co Ltd:The Rubber composition
FR3040172B1 (fr) * 2015-08-20 2020-01-24 Ecole Superieure De Physique Et De Chimie Industrielles De La Ville De Paris Compositions de polymere comprenant des polymeres reticules comprenant des fonctions ester boronique, permettant des reactions d'echange, procede de preparation et utilisation
WO2019023837A1 (en) * 2017-07-31 2019-02-07 Dow Silicones Corporation HANDLING ADDITIVE FOR SILICONE ELASTOMERS
CN112812331B (zh) * 2021-01-12 2021-11-16 华南理工大学 多相交联橡胶、制备方法和回收方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN117651731A (zh) 2024-03-05
WO2023013334A1 (ja) 2023-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Rooj et al. New route for devulcanization of natural rubber and the properties of devulcanized rubber
US4281085A (en) Rubber compound capable of giving a vulcanized rubber having a high modulus of elasticity
US9902831B2 (en) Re-processed rubber and a method for producing same
Amnuaypornsri et al. Highly purified natural rubber by saponificaion of latex: analysis of green and cured properties
JPH03139550A (ja) エラストマー組成物
WO2023013334A1 (ja) 架橋エラストマーの架橋部位を未架橋状態に戻す方法
JP2023023662A (ja) エラストマーの架橋方法
JP3175016B2 (ja) 高硬度ゴム組成物
WO2014084727A1 (en) A method of devulcanizing a rubber vulcanizate
WO2023013333A1 (ja) 架橋エラストマー及びその製造方法
US3533988A (en) Rubber masterbatch containing humic acids
JP3175017B2 (ja) 高硬度ゴム組成物
Verbruggen et al. Influence of the diene monomer on devulcanization of EPDM rubber
CN113728042B (zh) 橡胶组合物、由所述橡胶组合物获得的交联橡胶制品和所述橡胶组合物的制造方法
JP2018123272A (ja) タイヤ用ゴム組成物
Mondal et al. Back to the origin: A spick‐and‐span sustainable approach for the devulcanization of ground tire rubber
US3945977A (en) Hard rubber compositions with high extender oil levels
CN113388119B (zh) 一种多羟基硅烷改性丁二烯橡胶的制备方法和抗臭氧老化橡胶
CN109021266B (zh) 一种滤清器胶片的制备方法
JP3341787B2 (ja) ゴム組成物およびその製造方法
JPH0726066A (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物
Porter Structural characterization of vulcanizates. Part VII. The N‐cyclohexylbenzothiazole‐2‐sulfenamide‐accelerated natural rubber–sulfur system
Polmanteer et al. Sulfur Vulcanization of Vinyl-Substituted Polysiloxanes
JP2006160813A (ja) タイヤ用ゴム組成物
JPS6195048A (ja) 防振材