JP2023022406A - 信号伝送用ケーブル - Google Patents

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英之 佐川
Hideyuki Sagawa
剛博 杉山
Takehiro Sugiyama
秀樹 南畝
Hideki Nonen
▲金▼偉龍 李
Xinweilong Li
得天 黄
Tokuten Ko
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【課題】サックアウトを抑制でき、かつ、シールド層の割れや酸化による表面劣化を抑制可能な信号伝送用ケーブルを提供する。【解決手段】導体2と、導体2の周囲を覆う絶縁体3と、絶縁体3の周囲を覆うシールド層4と、シールド層4の周囲を覆うシース5と、を備えた信号伝送用ケーブル1であって、シールド層4は、絶縁体3の外周面に接触するように、かつ絶縁体3を覆うように形成された金属膜からなる金属層としての金属めっき層41を含み、金属めっき層41は、絶縁体3の外周面に接触するように、かつ絶縁体3を覆うように形成された銅または銅合金からなる本体層としてのめっき本体層411と、めっき本体層411を覆うように形成された非晶質のコーティング層412と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、信号伝送用ケーブルに関する。
自動運転等に用いられる撮像装置や、スマートフォン、タブレット端末等の電子機器の内部配線、あるいは、産業用ロボット等の工作機械の配線として高周波信号を伝送するための信号伝送用ケーブルが用いられる。この信号伝送用ケーブルとしては、例えば、同軸ケーブルが用いられている。
従来の同軸ケーブルとして、樹脂層上に銅箔を設けた銅テープ等のテープ部材を、絶縁体の周囲に螺旋状に巻き付けて外部導体を構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、他の従来の同軸ケーブルとして、絶縁体の外周面に銅からなる金属めっきを施し、この金属めっきを施した金属めっき層を外部導体とする方式も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000-285747号公報 特開2014-149215号公報
しかしながら、銅テープ等のテープ部材を絶縁体の全周囲に螺旋状に巻付けた場合、所定の周波数帯域(例えば数GHzの帯域)で急激な減衰が生じるサックアウトと呼ばれる現象が発生してしまう。そのため、このような構造の同軸ケーブルでは、数GHzの帯域の高周波信号を長距離伝送することが難しい。
サックアウトを抑制するために、銅テープ等のテープ部材を絶縁体の周囲に縦添え巻きすることも考えられるが、例えば外径が1mmといった小径の絶縁体の周囲にテープ部材を隙間なく縦添え巻きすることは技術的に困難である。さらに、テープ部材を縦添え巻きした場合、屈曲時にテープ部材が開いて伝送特性が劣化してしまうおそれもある。
金属めっき層を外部導体(すなわち、シールド層)とした同軸ケーブルは、サックアウトを抑制でき、かつ、縦添え巻きと比べて製造も容易であり、曲げた際に外部導体が開いてしまうこともない。しかし、金属めっき層を外部導体とした同軸ケーブルでは、絶縁体と銅からなる金属めっき層とが密着しているため屈曲時に金属めっき層が割れやすい。また、金属めっき層が銅からなるため、酸化による表面劣化により金属めっき層の表面が変色してしまうという課題もある。金属めっき層に防錆剤を塗布することも考えられるが、この場合でも十分な酸化抑制効果は得られていなかった。
そこで、本発明は、サックアウトを抑制でき、かつ、シールド層の割れや酸化による表面劣化を抑制可能な信号伝送用ケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、導体と、前記導体の周囲を覆う絶縁体と、前記絶縁体の周囲を覆うシールド層と、前記シールド層の周囲を覆うシースと、を備えた信号伝送用ケーブルであって、前記シールド層は、前記絶縁体の外周面に接触するように、かつ前記絶縁体を覆うように形成された金属膜からなる金属層を含み、前記金属層は、前記絶縁体の外周面に接触するように、かつ前記絶縁体を覆うように形成された銅または銅合金からなる本体層と、前記本体層を覆うように形成された非晶質のコーティング層と、を有する、信号伝送用ケーブルを提供する。
本発明によれば、サックアウトを抑制でき、かつ、シールド層の割れや酸化による表面劣化を抑制可能な信号伝送用ケーブルを提供できる。
本発明の一実施の形態に係る信号伝送用ケーブルを示す図であり、(a)はケーブル長手方向に垂直な断面を示す断面図、(b)はそのA部拡大図である。 金属めっき層の形成を説明する図である。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る信号伝送用ケーブルを示す図であり、(a)はケーブル長手方向に垂直な断面を示す断面図、(b)はそのA部拡大図である。
図1(a)に示すように、信号伝送用ケーブル1は、ケーブル中心に配置される導体2と、導体2の周囲を覆う絶縁体3と、絶縁体3の周囲を覆うシールド層4と、シールド層4の周囲を覆うシース5と、を備えている。すなわち、信号伝送用ケーブル1は、内部導体となる導体2と、外部導体となるシールド層4とを備えた同軸ケーブルである。
信号伝送用ケーブル1は、例えば、工場等でロボットと制御機器とを接続する固定部用ケーブルとして用いられるものであり、その長さは例えば25m~100m程度である。また、信号伝送用ケーブル1は、電子機器内に配線される場合、その長さは例えば、5mm~200mm程度である。なお、「覆う」とは、他の層を介して配置される場合も含む。例えば、導体2と絶縁体3との間や、シールド層4とシース5との間に、他の層が配置されていてもよい。
(導体2)
本実施の形態に係る信号伝送用ケーブル1では、導体2は、複数の素線2aを撚り合わせ、かつ、ケーブル長手方向に垂直な断面形状が円形状等の所定形状となるように圧縮加工された圧縮撚線導体からなる。本実施の形態では、7本の素線2aを同心撚りした撚線導体を、当該撚線導体よりも小径でかつ円形状の出口を有するダイスに通して圧縮することで、図1(a)に示すような断面形状が円形状の導体2を形成した。中心に配置される素線2aは、断面視で略六角形状となっており、周囲に配置される6本の素線2aは、断面視で略扇形状となっている。また、隣り合う素線2a同士は、各々の素線2aの間に隙間が生じないように接触(面接触)しているとよい。さらに、圧縮撚線導体の外面は、ケーブル周方向およびケーブル長手方向に平滑な面であるとよい。なお、図1に示す本実施の形態に係る信号伝送用ケーブル1では、断面形状が円形状からなる圧縮撚線導体で導体2を構成する例で示したが、断面形状が円形状以外の形状(例えば、四角形状等の多角形状)に圧縮加工された圧縮撚線導体で導体2を構成してもよい。導体2は、断面形状が円形状からなる圧縮撚線導体であることにより、信号伝送用ケーブル1をいずれの方向にも曲げやすくすることができるため、曲げて配策しやすい。
圧縮加工されていない通常の撚線導体は、単線導体よりも柔軟性を有し曲げやすいものの、素線間に隙間が多いため、同じ外径の単線導体に比べて導体抵抗が高く、導電率は低くなる。本実施の形態のように、導体2として圧縮撚線導体を用いることで、素線2a同士が密着して素線2a間の隙間が無くなる。そのため、圧縮撚線導体を用いた導体2は、同じ外径の通常の撚線導体に比べて導体抵抗を低くすることができる。その結果、導体2として圧縮撚線導体を用いることにより、導電率が向上し良好な減衰特性が得られる。更に、高周波信号を伝送する電流(単に、電流ともいう)は、表皮効果により、導体2の外周部分を主に通過する。複数本の素線2aを撚り合わせた撚線導体で導体2を構成する場合では、撚線導体と同じ外径を有する単線導体よりも素線の曲率が小さくなるため、電流が通過する部分の断面積は、撚線導体と同じ外径を有する単線導体よりも小さくなってしまう。これに対して、本実施の形態では、導体2として撚線導体を圧縮させた圧縮撚線導体を用いることで、素線2a同士が密着し、導体2の外周が単線導体と同様の同心円形状となる。その結果、圧縮撚線導体からなる導体2では、同じ外径を有する撚線導体と比較して、電流が通過する部分の断面積が大きくなるため、良好な減衰特定が得られる。
良好な減衰特性を得るため、導体2として用いる圧縮撚線導体の導電率は、99%IACS以上とすることが望ましい。本実施の形態では、高い導電率を実現するため、導体2の素線2aとして、銀めっきを施した純銅からなる軟銅線を用いた。なお、銀めっきを施していない軟銅線を素線2aとして用いてもよい。また、ダイスを通して圧縮することにより素線2aに歪みが付与され導電率が低下してしまうが、この後、加熱処理(アニール処理)を行うことで、歪みを除去して99%IACS以上の導電率を実現することができる。
(絶縁体3)
絶縁体3としては、後述する金属めっき層41を形成可能な材質からなるものを用いるとよい。本実施の形態では、ポリエチレンからなる絶縁体3を用いたが、例えばポリプロピレンからなる絶縁体3を用いることもできる。
また、本実施の形態では、絶縁体3を1層構成としたが、絶縁体3を複数層で構成してもよい。この場合、絶縁体3の最外層として、金属めっき層41を形成可能な材質からなるものを用いていればよい。これにより、例えば、誘電率が低いフッ素樹脂等の樹脂の表面に、金属めっき層41をフッ素樹脂等よりも容易に形成可能なポリエチレン等の樹脂からなる層を形成し、絶縁体3の低誘電率化による伝送特性の向上を図ることが可能になる。絶縁体3の厚さは、1層または複数層全体で0.2mm以上2.0mm以下であるとよい。
(シース5)
絶縁体3の周囲には、シールド層4及びシース5が順次設けられる。シールド層4の詳細については、後述する。シース5は、フッ素樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、ウレタン、あるいはポリオレフィン等の絶縁性の樹脂組成物から構成される。シース5は、例えば、チューブ押出により形成される。
(シールド層4)
外部導体であるシールド層4は、絶縁体3の外周面に接触するように、かつ絶縁体3の外周全体を覆うように形成された金属膜からなる金属層を含む。本実施の形態では、シールド層4における金属膜からなる金属層が、金属めっき層41で構成されている。シールド層4が金属膜からなる金属層(金属めっき層41)を含むことにより、所定の周波数帯域(例えば、数GHz~数十GHzの帯域)で急激な減衰が生じるサックアウトを抑制できる。本実施の形態では、金属めっき層41のみでシールド層4を構成しているが、これに限らず、金属めっき層41の外周全体を覆うように、複数の金属素線を編組あるいは横巻きすることにより構成された外側シールド層を有していてもよい。金属素線としては、例えば、銅又は銅合金からなる軟銅線、硬銅線や、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属素線を用いることができ、金属素線の外面に銀等からなるめっきが施されてもよい。また、外側シールド層を複数層で構成してもよいし、外側シールド層を構成する金属素線の表面にタルク粉体や流動パラフィン等で構成される潤滑剤を塗布することで、潤滑性を付与してもよい。
金属めっき層41は、絶縁体3の外周面に直接接触するよう形成されている。例えば、上述の外側シールド層のみをシールド層4として用いた場合、内部の信号が金属素線間の隙間から外部へと放射されてしまい、減衰量が大きくなるおそれがある。シールド層4が金属めっき層41を含むことにより、内部の信号の外部への放射を抑制して減衰量を低減できる。なお、上述の外側シールド層を用いる場合、金属めっき層41と外側シールド層とを接触させ、電気的に接続するとよい。
本実施の形態に係る信号伝送用ケーブル1では、金属めっき層41は、本体層であるめっき本体層411と、コーティング層412とを有している。
めっき本体層411は、絶縁体3の外周面に接触するように、かつ絶縁体3を覆うように形成されためっきからなる。めっき本体層411としては、導電率99%以上(99%IACS以上)の金属からなるものを用いるとよい。本実施の形態では、めっき本体層411として、銅の無電解めっき及び電解めっきからなるものを用いた。
コーティング層412は、めっき本体層411を補強して曲げた際の金属めっき層41の割れを抑制すると共に、めっき本体層411の酸化を抑制し、変色等の不具合を抑制する役割を果たす。コーティング層412は、めっき本体層411の外周面に接触するように、かつ、めっき本体層411の外周全体を覆うように形成された電解めっきからなる非晶質の層である。
コーティング層412は、例えば、亜鉛を含む非晶質(アモルファス)の材質により構成された非常に薄い層であり、その厚さはナノオーダである。より具体的には、コーティング層412は、銅よりも酸素との親和性が高い金属元素(例えば、亜鉛(Zn))を含有した層(例えば、Cu-Zn合金、Zn-O、Cu-Zn-Oの何れかからなる層)であることがよい。なお、銅よりも酸素との親和性が高い金属元素としては、亜鉛以外に、例えば、Ti,Mg,Al,Fe,Sn,Mn等を挙げることができる。
コーティング層412の厚さdは、金属めっき層41全体の厚さDの30%以下であるとよい。これにより、コーティング層412を設けることによる金属めっき層41の導電率の低下を抑制できる。本発明者らが検討したところ、銅からなるめっき本体層411の外周面に電解めっきにより亜鉛を含む層を薄く製膜すると、非晶質のコーティング層412が得られることがわかった。そして、この亜鉛を含む非晶質のコーティング層412の耐食性が良好であり、かつ、コーティング層412により金属めっき層41全体が補強されることが見いだされた。なお、コーティング層412を厚く形成した場合、非晶質とすることが困難となる。なお、コーティング層412の形成では、めっき本体層411の外周面に、銅よりも酸素との親和性が高い金属元素(例えば、Zn)からなる層を電解めっきによって1μm以下の厚さで形成したあと、特定の加熱処理(例えば、加熱温度が50℃以上100℃以下、加熱時間が5秒以上30秒以下の加熱処理)を行うことがよい。これにより、上記金属元素及び酸素からなる非晶質のコーティング層412を形成することができ、当該加熱処理を行わない場合と比べて、高い耐食性を有する非晶質のコーティング層412を得ることができる。
より具体的には、コーティング層412の厚さdは、10nm以上50nm以下とすることが好ましい。コーティング層412の厚さdを10nm以上とすることで、十分な耐食性を得ることができ、コーティング層412の厚さdを50nm以下とすることで、金属めっき層41の導電性の低下を抑制できる。
金属めっき層41を補強するという観点からは、コーティング層412がCu-Zn合金からなることが望ましいといえる。この場合、耐食性を高めるため、コーティング層412の亜鉛濃度は、10mass%以上40mass%以下であるとよい。
他方、耐食性を高めるという観点からは、コーティング層412が酸素を含むことが望ましく、コーティング層412がZn-OまたはCu-Zn-Oからなることが望ましいといえる。この場合、耐食性をより高めるため、コーティング層412の亜鉛濃度は、70mass%以上95mass%以下であるとよい。このように、コーティング層412に用いる材質によってコーティング層412の特性が異なるため、使用する環境や要求される特性に応じて、コーティング層412の材質及び亜鉛濃度を決定するとよい。
コーティング層412を設けることで、金属めっき層41が補強されるため、信号伝送用ケーブル1を曲げた際に金属めっき層41に割れが生じにくくなり、金属めっき層41の割れによる伝送特性の劣化を抑制できる。また、金属めっき層41を覆うように外側シールド層を設けた場合に、外側シールド層との擦れによる摩耗を抑制して、耐屈曲性を向上できる。さらに、コーティング層412を設けることで、めっき本体層411の外周面が覆われ、めっき本体層411に酸化による変色等の表面劣化が生じにくくなる。
(金属めっき層41を形成する方法)
図2は、金属めっき層41の形成を説明する図である。金属めっき層41を形成する際には、まず、送出ドラム10aから、第1ケーブル基体1aを送り出し、表面改質処理を行う。第1ケーブル基体1aは、導体2の周囲に絶縁体3を形成したものである。
表面改質処理では、ブラスト処理装置11により、絶縁体3の外周面に粉体を吹き付けて、絶縁体3の外周面を所定の表面粗さに粗面化させるブラスト処理を行い、その後、コロナ放電装置12によりコロナ放電処理を行い、絶縁体3の表面を改質(親水化)する。
ここでは、ブラスト処理装置11で使用する粉体として、ドライアイスを用いた。ただし、これに限らず、例えば、金属粒子、カーボン粒子、酸化物粒子、炭化物粒子、窒化物粒子等から成る粉体を用いることもできる。
表面改質処理を行った後、無電解めっき前処理が行われる。無電解めっき前処理は、無電解めっきによる製膜の前処理であり、ここでは、前処理装置13により、絶縁体3の外周面にパラジウム(Pd)-すず(Sn)コロイドを吸着させるPd-Sn触媒処理、吸着させたPd-SnコロイドからSnを除去するPd活性化処理、Pd吸着量を強化するPdイオン液浸漬処理を順次行う。なお、本実施の形態では、無電解めっき前処理にて、絶縁体3の外周面にPdを吸着させたが、吸着させる金属はPdに限らず、例えば、PtやAuを用いることもできる。
その後、無電解めっき装置14により、無電解めっきを行う。無電解めっきでは、前処理により吸着させたPdを種として銅の製膜が行われる。その後、第1電解めっき装置15により、第1電解めっき処理が行われる。第1電解めっき処理では、無電解めっき処理により形成された銅の膜の厚膜化が行われる。これにより、めっき本体層411が形成される。
めっき本体層411を形成したのち、第2電解めっき装置16により、第2電解めっき処理が行われる第2電解めっき処理では、めっき本体層411上に、亜鉛を含むコーティング層412が形成される。第2電解めっき処理では、めっき時間及びめっき時に流す電流を適宜調整することにより、膜厚をナノオーダの薄さに調整を行う。これにより、非晶質のコーティング層412が形成され、金属めっき層41が形成される。なお、コーティング層412の形成では、上述したように、めっき本体層411の外周面に、亜鉛を含む層を電解めっきによって1μm以下の厚さで形成したあと、特定の加熱処理(例えば、加熱温度が50℃以上100℃以下、加熱時間が5秒以上30秒以下の加熱処理)を行うことがよい。これにより、亜鉛及び酸素を含む非晶質のコーティング層412を形成することができ、当該加熱処理を行わない場合と比べて、高い耐食性を有する非晶質のコーティング層412を得ることができる。
絶縁体3の周囲に金属めっき層41を形成した第2ケーブル基体1bは、巻き取りドラム10bに巻き取られる。その後、金属めっき層41の周囲にシース5を設けることで、信号伝送用ケーブル1が製造される。
なお、図2の例では、第2電解めっき処理のみでコーティング層412を形成したが、これに限らず、例えば、第2電解めっき処理にてめっき本体層411の外表面に亜鉛めっきを行い、その後熱処理を行うことでCu-Zn合金とする方法によりコーティング層412を形成してもよい。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る信号伝送用ケーブル1では、シールド層4は、絶縁体3の外周面に接触するように、かつ絶縁体3を覆うように形成された金属膜からなる金属層としての金属めっき層41を含み、金属めっき層41は、絶縁体3の外周面に接触するように、かつ絶縁体3を覆うように形成された銅または銅合金からなる本体層としてのめっき本体層411と、めっき本体層411を覆うように形成された非晶質のコーティング層412と、を有している。
シールド層4に金属膜からなる金属層(金属めっき層41)を用いることで、銅テープ等のテープ部材を螺旋状に巻きつけた場合に生じるサックアウトを抑制でき、またテープ部材を縦添え巻きする際の製造の困難さや、曲げによりシールド層4が開くことによる伝送特性の低下を抑制できる。さらに、めっき本体層411上に非晶質のコーティング層412を設けることで、金属めっき層41を補強すると共に、めっき本体層411の酸化による変色等の表面劣化を抑制可能になる。金属めっき層41を補強することで、信号伝送用ケーブル1を曲げた際に金属めっき層41に割れが生じにくくなり、金属めっき層41の割れによる伝送特性の劣化を抑制できる。このように、本実施の形態によれば、シールド層4の割れや酸化による表面劣化を抑制可能な信号伝送用ケーブル1を実現できる。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]導体(2)と、前記導体(2)の周囲を覆う絶縁体(3)と、前記絶縁体(3)の周囲を覆うシールド層(4)と、前記シールド層(4)の周囲を覆うシース(5)と、を備えた信号伝送用ケーブル(1)であって、前記シールド層(4)は、前記絶縁体(3)の外周面に接触するように、かつ前記絶縁体(3)を覆うように形成された金属膜からなる金属層(41)を含み、前記金属層(41)は、前記絶縁体(3)の外周面に接触するように、かつ前記絶縁体(3)を覆うように形成された銅または銅合金からなる本体層(411)と、前記本体層(411)を覆うように形成された非晶質のコーティング層(412)と、を有する、信号伝送用ケーブル(1)。
[2]前記金属層(41)は、前記本体層(411)が、無電解めっき及び電解めっきからなり、前記コーティング層(412)が、電解めっきからなる、[1]に記載の信号伝送用ケーブル(1)。
[3]前記コーティング層(412)が、Cu-Zn合金、Zn-O、Cu-Zn-Oの何れかからなる、[1]または[2]に記載の信号伝送用ケーブル(1)。
[4]前記コーティング層(412)の厚さが、前記金属層(41)の厚さの30%以下である、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の信号伝送用ケーブル(1)。
[5]前記コーティング層(412)が、Cu-Zn合金からなり、前記コーティング層(412)の亜鉛濃度が、10mass%以上40mass%以下である、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の信号伝送用ケーブル(1)。
[6]前記コーティング層(412)が、Zn-OまたはCu-Zn-Oからなり、前記コーティング層(412)の亜鉛濃度が、70mass%以上95mass%以下である、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の信号伝送用ケーブル(1)。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、めっき本体層411上に直接コーティング層412を形成したが、めっき本体層411とコーティング層412間に他の層を有してもよい。また、コーティング層412は、金属めっき層41の最外層である必要はなく、コーティング層412上にさらに他の層を有してもよい。さらに、めっき本体層411やコーティング層412は、めっき法に限らず、スパッタ法などを用いて形成しても同様の効果が得られる。
また、上記実施の形態では、信号伝送用ケーブル1が同軸ケーブルである場合について説明したが、これに限らず、本発明は、差動信号を伝送する一対の導体2と、その周囲を一括して覆う絶縁体3と、を有する差動信号伝送用ケーブルにも適用可能である。この場合、一対の導体2を一括して覆う絶縁体3の外周面に、金属めっき層41としてめっき本体層411とコーティング層412が順次形成されることになる。
1…信号伝送用ケーブル
2…導体
3…絶縁体
4…シールド層
41…金属めっき層(金属層)
411…めっき本体層(本体層)
412…コーティング層
5…シース

Claims (6)

  1. 導体と、
    前記導体の周囲を覆う絶縁体と、
    前記絶縁体の周囲を覆うシールド層と、
    前記シールド層の周囲を覆うシースと、を備えた信号伝送用ケーブルであって、
    前記シールド層は、前記絶縁体の外周面に接触するように、かつ前記絶縁体を覆うように形成された金属膜からなる金属層を含み、
    前記金属層は、
    前記絶縁体の外周面に接触するように、かつ前記絶縁体を覆うように形成された銅または銅合金からなる本体層と、
    前記本体層を覆うように形成された非晶質のコーティング層と、を有する、
    信号伝送用ケーブル。
  2. 前記金属層は、前記本体層が、無電解めっき及び電解めっきからなり、前記コーティング層が、電解めっきからなる、
    請求項1に記載の信号伝送用ケーブル。
  3. 前記コーティング層が、Cu-Zn合金、Zn-O、Cu-Zn-Oの何れかからなる、
    請求項1または2に記載の信号伝送用ケーブル。
  4. 前記コーティング層の厚さが、前記金属層の厚さの30%以下である、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の信号伝送用ケーブル。
  5. 前記コーティング層が、Cu-Zn合金からなり、
    前記コーティング層の亜鉛濃度が、10mass%以上40mass%以下である、
    請求項1乃至4の何れか1項に記載の信号伝送用ケーブル。
  6. 前記コーティング層が、Zn-OまたはCu-Zn-Oからなり、
    前記コーティング層の亜鉛濃度が、70mass%以上95mass%以下である、
    請求項1乃至4の何れか1項に記載の信号伝送用ケーブル。
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