JP2023021733A - 熱電変換材料層 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱電変換材料層における熱電変換材料の電気伝導率がさらに向上された、熱電性能の高い熱電変換材料層及びそれを有する熱電変換モジュールを提供する。【解決手段】熱電変換材料層は、熱電半導体粒子、バインダー樹脂及びイオン液体を含む熱電半導体組成物からなる熱電変換材料を含み、熱電半導体粒子の平均粒径が8.0μm以上50.0μm未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱電変換材料層に関する。
近年、システムが単純でしかも小型化が可能な熱電発電技術が、ビル、工場等で使用される化石燃料資源等から発生する未利用の廃熱エネルギーに対する回収発電技術として注目されている。しかしながら、熱電発電は一般に発電効率が悪いこともあり、さまざまな企業、研究機関で発電効率の向上のための研究開発が活発になされている。発電効率の向上には、熱電変換材料の高効率化が必須となるが、これらを実現するために、金属並みの高い電気伝導率とガラス並みの低い熱伝導率を備えた材料の開発が望まれている。
熱電変換材料の熱電変換特性は、熱電性能指数Z(Z=σS/λ)によって評価することができる。ここで、Sはゼーベック係数、σは電気伝導率、λは熱伝導率である。
上記の熱電性能指数Zの値を大きくすれば、発電効率が向上するため、発電の高効率化にあたっては、ゼーベック係数S及び電気伝導率σが大きく、熱伝導率λが小さい熱電変換材料を見出すことが重要である。
上記のように、発電効率を向上させる検討が必要とされる一方、現在製造されている熱電変換素子は量産性に乏しく、発電ユニットが高価であるため、建築物の壁面へ設置する場合など大面積な用途へのさらなる普及には製造コストの削減が必要不可欠であった。また、現在製造されている熱電変換素子は屈曲性に劣ることから、優れた屈曲性を有する熱電変換素子が望まれている。
このような中、特許文献1には、熱電半導体微粒子、耐熱性樹脂及びイオン液体を含む熱電半導体組成物からなる薄膜を有する熱電変換材料が検討されている。
国際公開第2015/019871号
特許文献1では、屈曲性を有し、かつ熱電半導体粒子間の電気伝導率の低下を効果的に抑制するために、導電補助剤としてイオン液体を用い、トータルでの熱電性能を向上させているが、より小型、軽量化、及び高集積化等の実現のために、さらなる熱電性能の向上が要求されている。
本発明は、上記を鑑み、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気伝導率がさらに向上された、熱電性能の高い熱電変換材料層を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱電変換材料層を、熱伝導率の低下及び電気伝導率の増大に寄与する特定の平均粒径を有する熱電半導体粒子、熱電変換材料層内において空隙の残存が抑制されるバインダー樹脂、並びに粒子間の空隙部での電気伝導率の低下を抑制するイオン液体を含む、熱電半導体組成物からなる薄膜とすることにより、熱電変換材料層の熱電性能が従来の上述した熱電変換材料に比べより向上されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供するものである。
[1]熱電半導体粒子、バインダー樹脂及びイオン液体を含む熱電半導体組成物からなる熱電変換材料を含む熱電変換材料層であって、前記熱電半導体粒子の平均粒径が8.0μm以上50.0μm未満である、熱電変換材料層。
[2]前記熱電変換材料層は、前記熱電変換材料及び空隙を有し、前記熱電変換材料層の中央部を含む縦断面の面積における前記熱電変換材料の面積の占める割合を充填率としたときに、前記充填率が、0.900以上1.000未満である、上記[1]に記載の熱電変換材料層。
[3]前記熱電変換材料層は、熱電半導体組成物の塗布膜の焼成体からなる、上記[1]又は[2]に記載の熱電変換材料層。
[4]前記バインダー樹脂は、前記焼成体の焼成温度で90質量%以上分解する、上記[1]に記載の熱電変換材料層。
[5]前記バインダー樹脂は、ポリカーボネート、セルロース誘導体及びポリビニル重合体から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]又は[4]に記載の熱電変換材料層。
[6]前記バインダー樹脂は、400℃で90質量%以上分解する、上記[1]、[4]及び[5]のいずれかに記載の熱電変換材料層。
[7]前記熱電半導体粒子が、ビスマス-テルル系熱電半導体材料、テルライド系熱電半導体材料、アンチモン-テルル系熱電半導体材料、又はビスマスセレナイド系熱電半導体材料からなる、上記[1]に記載の熱電変換材料層。
[8]前記熱電半導体粒子の平均粒径が8.0μm以上40.0μm未満である、上記[1]又は[7]に記載の熱電変換材料層。
[9]上記[1]~[8]のいずれかに記載の熱電変換材料層を含む、熱電変換モジュール。
本発明によれば、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気伝導率がさらに向上された、熱電性能の高い熱電変換材料層を提供することができる。
本発明の熱電変換材料層の縦断面の定義を説明するための図である。 本発明の熱電変換材料層の縦断面を説明するための断面摸式図である。 本発明の熱電変換材料層の製造方法の一例を説明する説明図である。 本発明の熱電変換材料層を含む熱電変換モジュールを製造する方法の一例を説明する説明図である。
〔熱電変換材料層〕
本発明の熱電変換材料層は、熱電半導体粒子、バインダー樹脂及びイオン液体を含む熱電半導体組成物からなる熱電変換材料を含む熱電変換材料層であって、前記熱電半導体粒子の平均粒径が8.0μm以上50.0μm未満であることを特徴としている。
本発明の熱電変換材料層を構成する熱電半導体粒子として、特定の平均粒径を有する粒子化した熱電半導体材料を用いることにより、熱電半導体粒子間の界面抵抗が低下し、熱伝導率の増加率に比べ電気伝導率の増加率をより大きくすることが可能になり、熱電変換材料層のトータルでの熱電性能を向上させることができる。さらに、熱電変換材料層を、熱電半導体粒子に加えて、熱電変換材料層内における空隙の残存が抑制されるバインダー樹脂、及び熱電半導体粒子間の空隙部での電気伝導率の低下を抑制するイオン液体を含む熱電半導体組成物からなる薄膜とすることにより、従来の熱電変換材料層が有する熱電性能に比べ、より高い熱電性能を有する熱電変換材料層が得られる。
なお、本明細書において「熱電変換材料層」とは、熱電変換材料と、当該熱電変換材料の周囲に空隙が存在する場合はそれら空隙とを含む層である。
また、本明細書において、「熱電変換材料」とは、熱電半導体組成物を焼成したもの(例えば、熱電半導体組成物の塗布膜の焼成体)を意味する。仮に、熱電半導体組成物に後述するバインダー樹脂が含まれていたとしても、バインダー樹脂が焼成により完全に分解した場合は、熱電変換材料には、バインダー樹脂が含まれないものとする。
さらに、焼成(アニール)処理後の熱電変換材料層を「熱電変換材料層のチップ」又は「熱電変換材料のチップ」ということがある。
本発明の熱電変換材料層は、熱電半導体粒子、バインダー樹脂及びイオン液体を含む熱電半導体組成物からなる熱電変換材料を含む。
本発明の熱電変換材料層は、熱電半導体組成物の塗布膜の焼成体からなることが好ましい。焼成体は、熱電半導体組成物の塗布膜を焼成温度で焼成することによって得られる。焼成温度は、通常、熱電半導体組成物に含まれる熱電半導体粒子の種類によって決定されるものであり、通常260~500℃、好ましくは400~460℃、より好ましくは410~450℃、特に好ましくは420~450℃である。なお、実施例では、焼成温度は、430℃である。
<熱電半導体粒子>
熱電半導体組成物には、熱電半導体粒子が含まれる。
本発明に用いる熱電半導体粒子は、後述する熱電半導体材料を、微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕したものである。
熱電半導体材料を粉砕して熱電半導体粒子を得る方法は、特に制限はなく、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、ローラーミル等の公知の微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕すればよい。
なお、熱電半導体粒子の平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)等にて測定することにより得られるものであり、粒径分布の中央値とした。
熱電半導体粒子は、事前に熱処理されたものであることが好ましい。熱処理を行うことにより、熱電半導体粒子は、結晶性が向上し、さらに、熱電半導体粒子の表面酸化膜が除去されるため、熱電変換材料層のゼーベック係数又はペルチェ係数が増大し、熱電性能指数をさらに向上させることができる。熱処理は、特に限定されないが、熱電半導体組成物を調製する前に、熱電半導体粒子に悪影響を及ぼすことがないように、ガス流量が制御された、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、同じく水素等の還元ガス雰囲気下、または真空条件下で行うことが好ましく、不活性ガス及び還元ガスの混合ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。具体的な温度条件は、用いる熱電半導体粒子に依存するが、通常、粒子の融点以下の温度で、かつ100~1500℃で、数分間~数十時間行うことが好ましい。
熱電半導体材料としては、温度差を付与することにより、熱起電力を発生させることができる材料であれば、特に制限はなく、例えば、P型ビスマステルライド、N型ビスマステルライド等のビスマス-テルル系熱電半導体材料;GeTe、PbTe等のテルライド系熱電半導体材料;アンチモン-テルル系熱電半導体材料;ZnSb、ZnSb2、ZnSb等の亜鉛-アンチモン系熱電半導体材料;SiGe等のシリコン-ゲルマニウム系熱電半導体材料;BiSe等のビスマスセレナイド系熱電半導体材料;β―FeSi、CrSi、MnSi1.73、MgSi等のシリサイド系熱電半導体材料;酸化物系熱電半導体材料;FeVAl、FeVAlSi、FeVTiAl等のホイスラー材料;TiS等の硫化物系熱電半導体材料;などが用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビスマス-テルル系熱電半導体材料、テルライド系熱電半導体材料、アンチモン-テルル系熱電半導体材料、ビスマスセレナイド系熱電半導体材料が好ましく、高い熱電性能を得る観点から、P型ビスマステルライド、N型ビスマステルライド等のビスマス-テルル系熱電半導体材料がより好ましい。
P型ビスマステルライドは、キャリアが正孔で、ゼーベック係数が正値であり、例えば、BiTeSb2-Xで表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Xは、好ましくは0<X≦0.8であり、より好ましくは0.4≦X≦0.6である。Xが0より大きく0.8以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、P型熱電素子としての特性が維持されるので好ましい。
また、N型ビスマステルライドは、キャリアが電子で、ゼーベック係数が負値であり、例えば、BiTe3-YSeで表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Yは、好ましくは0≦Y≦3(Y=0の時:BiTe)であり、より好ましくは0<Y≦2.7である。Yが0以上3以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、N型熱電素子としての特性が維持されるので好ましい。
熱電半導体粒子の平均粒径は8.0μm以上50.0μm未満である。平均粒径が8.0μm未満であると、熱電半導体粒子間の界面抵抗が増加し易くなり、電気伝導率の低下に繋がり易くなる。平均粒径が50.0μm以上であると、熱電半導体粒子間の界面抵抗が低下し易くなり、電気伝導率の増加に繋がり易くなるが、熱伝導率の増加がより顕著になり易くなり、トータルでの熱電性能の増加が抑制されてしまう。熱電半導体粒子の平均粒径は、好ましくは8.0μm以上45.0μm未満であり、より好ましくは8.0μm以上42.0μm未満であり、さらに好ましくは10.0μm以上40.0μm未満であり、特に好ましくは15.0μm以上35.0μm未満である。熱電半導体粒子の平均粒径が上記範囲内であれば、熱電半導体粒子間の界面抵抗が低下し、熱伝導率の増加率よりも電気伝導率の増加率をより大きくすることが可能になり、トータルでの熱電性能を向上させることができる。
熱電半導体粒子の熱電半導体組成物中の含有量は、好ましくは30~99質量%、より好ましくは50~96質量%、特に好ましくは70~95質量%である。熱電半導体粒子の含有量が、上記範囲内であれば、ゼーベック係数(ペルチェ係数の絶対値)が大きく、また電気伝導率の低下が抑制され、熱伝導率のみが低下し易くなるため、高い熱電性能を示すとともに、十分な皮膜強度、屈曲性を有する膜が得られ好ましい。
<バインダー樹脂>
熱電半導体組成物には、バインダー樹脂が含まれる。
バインダー樹脂は、焼成(アニール)処理後の熱電変換材料層のチップの作製時に用いた後述する基板からの剥離を容易にし、且つ熱電半導体粒子間のバインダーとして働き、後述する熱電変換モジュールの屈曲性を高めることができるとともに、塗布等による薄膜の形成を容易にする。
バインダー樹脂としては、焼成(アニール)温度で、90質量%以上が分解する樹脂であることが好ましく、95質量%以上が分解する樹脂であることがより好ましく、99質量%以上が分解する樹脂であることが特に好ましい。
また、熱電半導体組成物からなる塗布膜(薄膜)を焼成(アニール)処理等により熱電半導体粒子を結晶成長させる際に、機械的強度及び熱伝導率等の諸物性が損なわれず維持される樹脂がより好ましい。
バインダー樹脂として、焼成(アニール)温度で90質量%以上が分解する樹脂、即ち、従来使用していた耐熱性樹脂よりも低温で分解する樹脂、を用いると、焼成によりバインダー樹脂が分解するため、焼成体中に含まれる絶縁性の成分となるバインダー樹脂の含有量が減少し、熱電半導体組成物における熱電半導体粒子の結晶成長が促進されるので、熱電変換材料層における空隙を少なくして、充填率を向上させることができる。
バインダー樹脂は、一態様として、焼成(アニール)温度400℃で90質量%以上が分解することが好ましい。
なお、焼成(アニール)温度で所定値(例えば、90質量%)以上が分解する樹脂であるか否かは、熱重量測定(TG)による焼成(アニール)温度における質量減少率(分解前の質量で分解後の質量を除した値)を測定することにより判断する。
このようなバインダー樹脂として、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ポリビニルピリジン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のポリビニル重合体;ポリウレタン;エチルセルロース等のセルロース誘導体;などが挙げられる。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、光硬化性アクリル樹脂、光硬化性ウレタン樹脂、光硬化性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気抵抗率の観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネート、エチルセルロース等のセルロース誘導体がより好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
バインダー樹脂は、後述する(B)焼成(アニール)処理工程における熱電半導体材料に対する焼成(アニール)処理の温度に応じて適宜選択される。バインダー樹脂が有する最終分解温度以上で焼成(アニール)処理することが、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気抵抗率の観点から好ましい。
本明細書において、「最終分解温度」とは、熱重量測定(TG)による焼成(アニール)温度における質量減少率が100%(分解後の質量が分解前の質量の0%)となる温度をいう。
バインダー樹脂の最終分解温度は、通常150~600℃、好ましくは200~560℃、より好ましくは220~460℃、特に好ましくは240~360℃である。最終分解温度がこの範囲にあるバインダー樹脂を用いれば、熱電半導体材料のバインダーとして機能し、印刷時に薄膜の形成がしやすくなる。
バインダー樹脂は、後述する加熱プレス時及び/又は焼成時に、分解及び気化することが好ましい。
バインダー樹脂の熱電半導体組成物中の含有量は、0.1~40質量%、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%、特に好ましくは0.5~5質量%である。バインダー樹脂の含有量が、上記範囲内であると、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気抵抗率を減少させることができる。
<イオン液体>
熱電半導体組成物には、イオン液体が含まれる。
イオン液体は、カチオンとアニオンとを組み合わせてなる溶融塩であり、-50℃以上400℃未満のいずれかの温度領域において液体で存在し得る塩をいう。換言すれば、イオン液体は、融点が-50℃以上400℃未満の範囲にあるイオン性化合物である。イオン液体の融点は、好ましくは-25℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下である。イオン液体は、蒸気圧が極めて低く不揮発性であること、優れた熱安定性及び電気化学安定性を有していること、粘度が低いこと、かつイオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体材料間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。また、イオン液体は、非プロトン性のイオン構造に基づく高い極性を示し、バインダー樹脂との相溶性に優れるため、熱電変換材料の電気伝導率を均一にすることができる。
イオン液体は、公知または市販のものが使用できる。例えば、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピラゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、イミダゾリウム等の窒素含有環状カチオン化合物及びそれらの誘導体;テトラアルキルアンモニウム系のアミン系カチオン及びそれらの誘導体;ホスホニウム、トリアルキルスルホニウム、テトラアルキルホスホニウム等のホスフィン系カチオン及びそれらの誘導体;リチウムカチオン及びその誘導体等のカチオン成分と、Cl、Br、I、AlCl 、AlCl 、BF 、PF 、ClO 、NO 、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、(FSO、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF) 、(CN)、CSO 、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N等のアニオン成分とから構成されるものが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のイオン液体の中で、高温安定性、熱電半導体粒子及びバインダー樹脂との相溶性、熱電半導体粒子間隙の電気伝導率の低下抑制等の観点から、イオン液体のカチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。イオン液体のアニオン成分が、ハロゲン化物アニオンを含むことが好ましく、Cl、Br及びIから選ばれる少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
カチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体の具体的な例として、4-メチル-ブチルピリジニウムクロライド、3-メチル-ブチルピリジニウムクロライド、4-メチル-ヘキシルピリジニウムクロライド、3-メチル-ヘキシルピリジニウムクロライド、4-メチル-オクチルピリジニウムクロライド、3-メチル-オクチルピリジニウムクロライド、3,4-ジメチル-ブチルピリジニウムクロライド、3,5-ジメチル-ブチルピリジニウムクロライド、4-メチル-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、4-メチル-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヨージド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、1-ブチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヨージドが好ましい。
また、カチオン成分が、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体の具体的な例として、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレイト]、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-メチル-3-ブチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1、3-ジブチルイミダゾリウムメチルスルフェート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレイト]が好ましい。
上記のイオン液体の電気伝導率は、好ましくは10-7S/cm以上、より好ましくは10-6S/cm以上である。電気伝導率が上記の範囲であれば、導電補助剤として、熱電半導体粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。
また、上記のイオン液体は、分解温度が300℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる塗布膜(薄膜)を焼成(アニール)処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
本明細書において、「分解温度」とは、熱重量測定(TG)による焼成(アニール)温度における質量減少率が10%となる温度をいう。
また、上記のイオン液体において、熱重量測定(TG)による300℃における質量減少率は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下である。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる塗布膜(薄膜)を焼成(アニール)処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
イオン液体の熱電半導体組成物中の含有量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、特に好ましくは1.0~20質量%である。イオン液体の含有量が、上記の範囲内であれば、電気伝導率の低下が効果的に抑制され、高い熱電性能を有する膜が得られる。
<無機イオン性化合物>
熱電半導体組成物には、さらに無機イオン性化合物を含んでいてもよい。
無機イオン性化合物は、少なくともカチオンとアニオンから構成される化合物である。無機イオン性化合物は室温において固体であり、400~900℃の温度領域のいずれかの温度に融点を有し、イオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体粒子間の電気伝導率の低減を抑制することができる。
無機イオン性化合物の熱電半導体組成物中の含有量は、熱電半導体組成物が無機イオン化合物を含む場合、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、特に好ましくは1.0~10質量%である。無機イオン性化合物の含有量が、上記範囲内であれば、電気伝導率の低下を効果的に抑制でき、結果として熱電性能が向上した膜が得られる。
なお、無機イオン性化合物とイオン液体とを併用する場合においては、熱電半導体組成物中における、無機イオン性化合物及びイオン液体の含有量の総量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、特に好ましくは1.0~10質量%である。
<その他の添加剤>
熱電半導体組成物には、上記以外に、必要に応じて、さらに分散剤、造膜助剤、光安定剤、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、着色剤、樹脂安定剤、充てん剤、顔料、導電性フィラー、導電性高分子、硬化剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱電変換材料層の厚さ(熱電半導体組成物からなる塗布膜(薄膜)の厚さ)は、本発明に用いる熱電半導体微粒子の平均粒径が、8.0μm以上50.0μm未満であることから、少なくとも平均粒径に対し、好ましくは6倍以上、より好ましくは20倍以上である。熱電半導体粒子の平均粒径に対し熱電変換材料層の厚さが上記の範囲であると、熱電変換材料層の表面粗さ由来の電気伝導率の低下が抑制されるため、熱電性能を高く維持できる。
熱電変換材料層の厚さは、上記を満たしかつ熱電性能、屈曲性、皮膜強度の観点から、好ましくは1000μm以下、より好ましくは600μm以下、さらに好ましくは400μm以下である。
〈熱電変換材料層の縦断面〉
本発明の熱電変換材料層は、熱電変換材料及び空隙を有し、熱電変換材料層の中央部を含む縦断面の面積における熱電変換材料の面積の占める割合を充填率としたときに、前記充填率が、0.900以上1.000未満であることが好ましい。
本明細書における、「熱電変換材料層の中央部を含む縦断面」の定義を、図を用いて説明する。
図1は、本発明の熱電変換材料層の縦断面の定義を説明するための図であり、図1(a)は、熱電変換材料層20の平面図であり、熱電変換材料層20は、幅方向に長さX、奥行き方向に長さYを有し、図1(b)は、基板1a上に形成された熱電変換材料層20の縦断面であり、縦断面は、図1(a)における中央部Cを含み、幅方向にA-A’間で切断した時に得られる長さX、厚さDからなる(図では長方形としている)。なお、熱電変換材料層20中には空隙部30が含まれる。
本発明の熱電変換材料層の縦断面について、図を用いて説明する。
図2は、本発明の熱電変換材料層の縦断面を説明するための断面模式図であり、図2(a)は、基板1a上に形成した熱電変換材料層20sの縦断面の一例であり、熱電変換材料層20sは、幅方向に長さX、厚さ方向は、Dmin及び、Dmaxの値を取る曲線からなる縦断面を有し、縦断面の上部は凹部と凸部を備え、縦断面内には、空隙部30bが存在する。また、図2(b)は、基板1a上に形成した熱電変換材料層20tの縦断面の一例であり、熱電変換材料層20tの縦断面は、幅方向に長さX、厚さ方向に厚さがD[図2の(a)におけるDminとDmaxの値が僅差の場合]からなり、縦断面の上部は、略直線状になっており、縦断面内には、空隙数、及び体積が抑制された空隙部40bが存在する。なお、Dminは縦断面の厚さ方向の厚さの最小値、Dmaxは縦断面の厚さ方向の厚さの最大値を意味する。
本発明の熱電変換材料層では、熱電変換材料層の中央部を含む縦断面の面積における熱電変換材料の面積の占める割合で定義される、熱電変換材料層中の熱電変換材料の充填率が、0.900超1.000未満であり、熱電変換材料層中の空隙が少ない。
熱電変換材料層中の熱電変換材料の充填率が0.900以下であると、熱電変換材料層中の空隙が多くなり、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気抵抗率を減少させにくく(優れた電気伝導率が得られにくくなり)、高い熱電性能が得られない。充填率は、好ましくは0.900超0.999以下、より好ましくは0.920以上0.999以下、さらに好ましくは0.950以上0.999以下、特に好ましくは0.970以上0.999以下である。充填率がこの範囲にあると、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気抵抗率を減少させ(優れた電気伝導率が得られ)、高い熱電性能が得られる。
熱電変換材料層における熱電変換材料の充填率の測定方法を、後述する実施例及び比較例で作製した熱電変換材料層からなる試験片(チップ)を例として説明する。
各実施例及び比較例で得られた熱電変換材料層からなる試験片(チップ)それぞれについて、研磨装置(リファインテック社製、型名:リファイン・ポリッシャーHV)によって熱電変換材料層の中央部を含む縦断面出しを行い、走査電子顕微鏡(SEM)(キーエンス社製)を用い、縦断面の観察を行い、次いで、画像処理ソフト(National Institutes of Health製、ImageJ ver.1.44P)を用い、熱電変換材料層の縦断面の面積における熱電変換材料の面積の占める割合で定義される充填率を算出した。
充填率の測定においては、倍率500倍のSEM画像(縦断面)を用いて、測定範囲を熱電変換材料層の任意の位置に対し、幅方向に1280pixel、厚さ方向に220pixelで囲まれる範囲とし、画像として切り出した。切り出した画像を「Brightness/Contrast」からコントラストを最大値にして二値化処理を行い、二値化処理における暗部を空隙部、明部を熱電変換材料と見なし「Threshold」にて、熱電変換材料の充填率を算出した。充填率はSEM画像3枚について算出し、それらの平均値とした。
〔熱電変換モジュール〕
本発明の熱電変換材料層は、π型熱電変換素子(後述する図4(f))やインプレーン型熱電変換素子等の構成を有する熱電変換モジュールに適用することが好ましい。
<熱電変換モジュールの製造方法>
本発明の熱電変換材料層を含む熱電変換モジュールを製造する方法は、以下(i)~(vii)の工程を含む。
(i):基板上に熱電半導体組成物の塗布膜を形成する工程;
(ii):上記(i)の工程で得られた熱電半導体組成物の塗布膜を焼成(アニール)処理して熱電変換材料からなる熱電変換材料層(チップ)を得る工程;
(iii):第1の樹脂フィルムと第1の電極とをこの順に有する第1の層を準備する工程;
(iv):第2の樹脂フィルムと第2の電極とをこの順に有する第2Aの層、又は、第2の樹脂フィルムを有しかつ電極を有しない第2Bの層を準備する工程;
(v):上記(ii)の工程で得られた熱電変換材料層(チップ)の一方の面と、上記(iii)の工程で準備した第1の層の電極とを第1接合材料層を介して接合する工程;
(vi):上記(v)の工程後の熱電変換材料層(チップ)の他方の面を基板から剥離する工程;及び
(vii):上記(vi)の工程で剥離し得られた熱電変換材料層(チップ)の他方の面と、上記(iv)の工程で準備した第2Aの層の電極とを第2接合材料層を介して接合する工程、又は、上記(iv)の工程で準備した第2Bの層とを第3接合材料層を介して接合する工程。
〈熱電変換材料層(チップ)の製造方法〉
熱電変換材料層(チップ)の製造方法は、例えば、
(A)基板上に熱電半導体組成物の塗布膜を形成する工程;
(B)上記(A)の工程で得られた熱電半導体組成物の塗布膜を乾燥処理する工程;
(C)上記(B)で得られた乾燥後の熱電半導体組成物の塗布膜を基板上から剥離する工程;
(D)上記(C)で得られた熱電半導体組成物の塗布膜を加熱プレス処理(加熱加圧処理)する工程;
(E)上記(D)の工程で得られたプレス後の熱電半導体組成物の塗布膜を焼成(アニール)処理する工程、を含む。
図3は、本発明の熱電変換材料層(チップ)の製造方法の一例を説明する説明図である。基板1上に熱電半導体組成物の塗布膜12を形成し、その後、それらを乾燥処理し、基板1から剥離し、加熱プレス(加熱加圧)処理し、焼成(アニール)処理することにより、熱電変換材料からなる熱電変換材料層(チップ)を自立膜として得ることができる。
なお、上記熱電変換材料層(チップ)の製造方法では、熱電変換材料層(チップ)を自立膜として得る場合について説明しているが、上記(i)~(v)の工程では、熱電変換材料層(チップ)を自立膜とはせずに、基板上に形成された状態とし、(vi)の工程で基板から熱電変換材料層(チップ)を剥離して自立膜としている。
((A)熱電半導体組成物の塗布膜の形成工程)
熱電半導体組成物の塗布膜の形成工程は、基板上に熱電半導体組成物の塗布膜を形成する工程であり、例えば、図3においては、基板1上に熱電半導体組成物からなる塗布膜12、すなわち、P型の熱電半導体材料を含む熱電半導体組成物からなる塗布膜12a、N型の熱電半導体材料を含む熱電半導体組成物からなる塗布膜12bを塗布する工程である。塗布膜12a、塗布膜12bの配置については、特に制限されないが、熱電性能の観点から、π型又はインプレーン型の熱電変換モジュールに用いられる構成となるようにし、電極にて接続されるように形成されることが好ましい。
ここで、π型の熱電変換モジュールを構成する場合、例えば、互いに離間するー対の電極(後述する図4の電極5)を基板(後述する図4の樹脂フィルム4)上に設け、―方の電極の上に、P型の熱電半導体材料を含む熱電半導体組成物からなる塗布膜12aの焼成体(P型チップ)を、他方の電極の上に、N型の熱電半導体材料を含む熱電半導体組成物からなる塗布膜12bの焼成体(N型チップ)を、同じく互いに離間して設け、両方のチップの上面を対向する基板上の電極に電気的に直列接続することで構成される。高い熱電性能を効率良く得る観点から、対向する基板の電極を介したP型チップ及びN型チップの対を複数組、電気的に直列接続して用いる(後述する図4の(f)参照)ことが好ましい。
同様に、インプレーン型の熱電変換モジュールを構成する場合、例えば、一の電極を基板上に設け、該電極の面上にP型チップと、同じく該電極の面上にN型チップとを、両チップの側面同士(例えば、基板に対し垂直方向の面同士)が互いに接触又は離間するように設け、基板の面内方向に電極を介して電気的に直列接続することで構成される。高い熱電性能を効率良く得る観点から、該構成において、同数の複数のP型チップとN型チップとが交互に電極を介し基板の面内方向に電気的に直列接続して用いることが好ましい。
-基板-
基板に使用される素材としては、特に制限はなく、ガラス、シリコン、セラミック、金属、プラスチック等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、焼成(アニール)処理を行う観点から、ガラス、シリコン、セラミック、金属が好ましく、熱電変換材料との密着性、材料コスト、熱処理後の寸法安定性の観点から、ガラス、シリコン、セラミックを用いることがより好ましい。
基板の厚さは、プロセス及び寸法安定性の観点から、100~10000μmのものが使用できる。
-熱電半導体組成物の調製方法-
熱電半導体組成物の調製方法は、特に制限はなく、超音波ホモジナイザー、スパイラルミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパーサー、ハイブリッドミキサー等の公知の方法により、熱電半導体粒子、バインダー樹脂、及びイオン液体、必要に応じて無機イオン性化合物、その他の添加剤、さらに溶媒を加えて、混合分散させ、当該熱電半導体組成物を調製すればよい。
なお、熱電半導体粒子、バインダー樹脂、イオン液体、無機イオン性化合物、及びその他の添加剤については、上述した通りである。
溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アルコール、テトラヒドロフラン、N-メチルピロリドン、エチルセロソルブ、などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。熱電半導体組成物の固形分濃度としては、該組成物が塗工に適した粘度であればよく、特に制限はない。
熱電半導体組成物からなる塗布膜(薄膜)は、基板上に、熱電半導体組成物を塗布し、乾燥することで形成することができる。
熱電半導体組成物を、基板上に塗布する方法としては、特に制限はなく、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、スプレーコート法、バーコート法、ドクターブレード法等の公知の方法が挙げられる。塗布膜をパターン状に形成する場合は、所望のパターンを有するスクリーン版を用いて簡便にパターン形成が可能なスクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコート等が好ましく用いられる。
((B)乾燥処理工程)
乾燥処理工程は、基板上に熱電半導体組成物の塗布膜(薄膜)を形成後、該熱電半導体組成物の塗布膜を、所定の温度で基板を有した状態で乾燥する工程である。
得られた塗布膜を乾燥することにより、塗布膜(薄膜)が形成されるが、乾燥方法としては、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等、従来公知の乾燥方法が採用できる。加熱温度は、通常、80~150℃であり、加熱時間は、加熱方法により異なるが、通常、数秒間~数十分間である。
また、熱電半導体組成物の調製において溶媒を使用した場合、加熱温度は、使用した溶媒を乾燥できる温度範囲であれば、特に制限はない。
熱電半導体組成物からなる塗布膜(薄膜)の厚さは、上述したとおりである。
((C)塗布膜剥離工程)
塗布膜剥離工程は、乾燥処理した後、基板から熱電半導体組成物からなる塗布膜(薄膜)を剥離する工程である。
塗布膜の剥離方法としては、乾燥処理した後、基板から塗布膜(薄膜)を剥離可能な方法であれば、特に制限はなく、基板から複数の塗布膜(薄膜)を1枚1枚の個片の形態で剥離してもよいし、複数の塗布膜(薄膜)の形態で一括して剥離してもよい。
((D)加熱プレス(加熱加圧)処理工程)
加熱プレス(加熱加圧)処理工程は、基板から熱電半導体組成物の塗布膜(薄膜)を剥離した後、加熱プレス(加熱加圧)処理する工程である。
この加熱プレス(加熱加圧)処理は、例えば、油圧式プレス機等の装置を用いて、所定温度、大気雰囲気下において、塗布膜(薄膜)の上面全体に対して所定圧力で所定時間、加圧する処理である。
加熱プレス(加熱加圧)処理の温度としては、特に制限はないが、通常100~300℃、好ましくは200~300℃である。
加熱プレス(加熱加圧)処理の圧力としては、特に制限はないが、通常、20~200MPa、好ましくは50~150MPaである。
加熱プレス(加熱加圧)処理の時間としては、特に制限はないが、通常、数秒間~数十分間、好ましくは数十秒間~十数分間である。
((E)焼成(アニール)処理工程)
焼成(アニール)処理工程は、熱電半導体組成物の塗布膜(薄膜)を加熱プレス(加熱加圧)処理した後、該熱電半導体組成物の塗布膜を、所定の温度で熱処理する工程である。
焼成(アニール)処理を行うことで、熱電性能を安定化させるとともに、塗布膜(薄膜)における熱電半導体組成物中の熱電半導体粒子を結晶成長させることができ、熱電変換材料層の熱電性能をさらに向上させることができる。
焼成(アニール)処理は、特に制限はないが、通常、ガス流量が制御された、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、還元ガス雰囲気下、または真空条件下で行われる。
焼成(アニール)処理の温度は、熱電半導体組成物に用いる熱電半導体粒子、バインダー樹脂、イオン液体、無機イオン性化合物等に依存し、適宜調整するが、通常260~600℃、好ましくは280~550℃で行う。
焼成(アニール)処理の時間は、特に制限はないが、通常、数分間~数十時間、好ましくは数分間~数時間である。
上記熱電変換モジュールの製造方法によれば、簡便な方法で熱電変換材料層(チップ)を製造することができる。また、熱電半導体組成物の塗布膜(薄膜)と電極とが接合した形態で、焼成(アニール)処理されることがないため、熱電変換材料層(チップ)と電極間の電気抵抗値が増大してしまい、熱電性能が低下する等の問題が発生することがない。
上記熱電変換モジュールの製造方法では、上記(i)及び上記(ii)の各工程を経ることにより得られた熱電変換材料層(チップ)を用いて、熱電変換モジュールを製造する。ここで、上記(i)の工程は、熱電変換材料層(チップ)の製造方法における(A)熱電半導体組成物の塗布膜の形成工程に対応し、上記(ii)の工程は、熱電変換材料層(チップ)の製造方法における(E)焼成(アニール)処理工程の工程に対応する。また、(i)の工程を経ることにより、例えば、図3で説明したとおりの実施態様が挙げられる。また、用いる基板、熱電半導体組成物の塗布膜(薄膜)、さらにそれらを構成する好ましい材料、厚さ、そして形成方法等含め、すべて前述した記載内容と同じである。
上記熱電変換モジュールの製造方法では、熱電性能の観点から、上記(iv)の工程が、第2の樹脂フィルムと第2の電極とをこの順に有する第2Aの層を準備する工程であり、上記(vii)の工程が、上記(vi)の工程で剥離し得られた熱電変換材料のチップの他方の面と、上記(iv)の工程で準備した第2Aの層の第2の電極とを第2接合材料層を介して接合する工程であることが好ましい。
上記工程で得られる熱電変換モジュールは、前述したπ型の熱電変換モジュールに相当する。
また、上記熱電変換モジュールの製造方法の他の例としては、熱電性能の観点から、上記(iv)の工程が、第2の樹脂フィルムを有しかつ電極を有しない第2Bの層を準備する工程であり、上記(vii)の工程が、上記(vi)の工程で剥離し得られた熱電変換材料のチップの他方の面と、上記(iv)の工程で準備した第2Bの層とを第3接合材料層を介して接合する工程であることが好ましい。
上記工程で得られる熱電変換モジュールは、前述したインプレーン型の熱電変換モジュールに相当する。
以下、上記熱電変換モジュールの製造方法について、図を用いて説明する。
図4は、本発明の熱電変換材料層を含む熱電変換モジュールを製造する方法の一例(π型熱電変換モジュールの製造方法)を説明する説明図であり、図4(a)は熱電変換材料層(チップ)の一方の面(上面)に後述するハンダ受理層を形成した後の断面図であり、図4(b)は樹脂フィルム上に電極及びハンダ材料層を形成した後の断面図であり、図4(c)は図4(b)で得られた樹脂フィルム上の電極をハンダ材料層及び図4(a)のハンダ受理層を介し熱電変換材料層(チップ)の一方の面(上面)と貼り合わせした後の断面図であり、図4(c’)はハンダ材料層を加熱冷却により接合した後の断面図であり、図4(d)は基板から熱電変換材料層(チップ)の他方の面(下面)を剥離した後の断面図であり、図4(e)は図4(d)で得られた、樹脂フィルム上の熱電変換材料層(チップ)の他方の面(下面)にハンダ受理層を形成した後の断面図であり、図4(f)は図4(b)で得られた樹脂フィルム上の電極をハンダ材料層及び図4(e)のハンダ受理層を介し熱電変換材料層(チップ)の他方の面(下面)と貼り合せ、接合した後の断面図である。
<<電極形成工程>>
電極形成工程は、上記熱電変換モジュールの製造方法の上記(iii)の第1の樹脂フィルムと第1の電極とをこの順に有する第1の層を準備する工程において、第1の樹脂フィルム上に第1の電極を形成する工程である。又は、上記(iv)の第2の樹脂フィルムと第2の電極とをこの順に有する第2Aの層を準備する工程において、第2の樹脂フィルム上に第2の電極を形成する工程である。図4(b)においては、例えば、樹脂フィルム4上に金属層を成膜して、それらを所定のパターンに加工し、電極5を形成する工程である。
(樹脂フィルム)
第1の樹脂フィルム及び第2の樹脂フィルムは、同じ素材の樹脂フィルムであっても異なった素材の樹脂フィルムであってもよい。屈曲性に優れ、熱電半導体組成物からなる塗布膜(薄膜)を焼成(アニール)処理した場合でも、樹脂フィルムが熱変形することなく、熱電素子の性能を維持することができ、耐熱性及び寸法安定性が高いという点から、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリアラミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムが好ましく、さらに、汎用性が高いという点から、ポリイミドフィルムが特に好ましい。
第1の樹脂フィルム及び第2の樹脂フィルムの厚さは、屈曲性、耐熱性及び寸法安定性の観点から、それぞれ独立に、好ましくは1~1000μm、より好ましくは5~500μm、特に好ましくは10~100μmである。
また、上記第1の樹脂フィルム及び第2の樹脂フィルムにおける、熱重量分析(TG)で測定される5%質量減少温度は、好ましくは300℃以上、より好ましくは400℃以上である。JIS K7133(1999)に準拠して200℃で測定した加熱寸法変化率は、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下である。JIS K7197(2012)に準拠して測定した平面方向の線膨脹係数は、好ましくは0.1~50ppm・℃-1、より好ましくは0.1~30ppm・℃-1である。
(電極)
熱電変換モジュールの第1の電極及び第2の電極の金属材料としては、それぞれ独立に、銅、金、ニッケル、アルミニウム、ロジウム、白金、クロム、パラジウム、ステンレス鋼、モリブデン又はこれらのいずれかの金属を含む合金等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電極(金属材料)の層の厚さは、好ましくは10nm~200μm、より好ましくは30nm~150μm、特に好ましくは50nm~120μmである。電極(金属材料)の層の厚さが、上記範囲内であれば、電気伝導率が高く低抵抗となり、電極として十分な強度が得られる。
電極の形成は、前述した金属材料を用いて行う。
電極を形成する方法としては、樹脂フィルム上にパターンが形成されていない電極を設けた後、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法、または、スクリーン印刷法、インクジェット法等により直接電極のパターンを形成する方法等が挙げられる。
パターンが形成されていない電極の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理気相成長法)、もしくは熱CVD、原子層蒸着(ALD)等のCVD(化学気相成長法)等のドライプロセス;ディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等の各種コーティングや電着法等のウェットプロセス;銀塩法;電解めっき法;無電解めっき法;金属箔の積層;等が挙げられ、電極の材料に応じて適宜選択される。
電極には、熱電性能を維持する観点から、高い導電性、高い熱伝導性が求められるため、めっき法や真空成膜法で成膜した電極を用いることが好ましい。高い導電性、高い熱伝導性を容易に実現できることから、真空蒸着法、スパッタリング法等の真空成膜法;電解めっき法;無電解めっき法;等が好ましい。形成パターンの寸法、寸法精度の要求にもよるが、メタルマスク等のハードマスクを介し、容易にパターンを形成することもできる。
<<第1の電極接合工程>>
第1の電極接合工程は、熱電変換モジュールの製造方法の上記(v)の工程であり、上記(ii)の工程で得られた熱電変換材料層(チップ)の一方の面と、上記(iii)の工程で準備した第1の層の第1の電極とを第1接合材料層を介して接合する工程である。
第1の電極接合工程は、例えば、図4の(c)においては、樹脂フィルム4の電極5上のハンダ材料層6と、P型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(P型チップ)2a、N型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(N型チップ)2bのそれぞれの一方の面に形成したハンダ受理層3とを介し、P型チップ2a及びN型チップ2bを電極5と貼り合わせ、ハンダ材料層6を所定の温度に加熱し所定の時間保持後、室温に戻すことにより、P型チップ2a及びN型チップ2bを、電極5と接合する工程である。加熱温度、保持時間等については、後述するとおりである。なお、図4の(c’)は、ハンダ材料層6を室温に戻した後の態様である(ハンダ材料層6’は加熱冷却により固化し厚さが減少)。
(第1接合材料層形成工程)
第1の電極接合工程には、第1接合材料層形成工程が含まれる。
第1接合材料層形成工程は、熱電変換モジュールの製造方法の上記(v)の工程において、上記(iii)の工程で得られた第1の電極上に第1接合材料層を形成する工程である。
第1接合材料層形成工程は、例えば、図4(b)においては、電極5上にハンダ材料層6を形成する工程である。
第1接合材料層を構成する接合材料としては、ハンダ材料、導電性接着剤、焼結接合剤等が挙げられ、それぞれ、この順に、ハンダ材料層、導電性接着剤層、焼結接合剤層として、電極上に形成されることが好ましい。なお、本明細書において導電性とは、電気抵抗率が1×10Ω・m未満のことを指す。
ハンダ材料層を構成するハンダ材料としては、導電性、熱伝導性とを考慮し、適宜選択すればよく、例えば、Sn、Sn/Pb合金、Sn/Ag合金、Sn/Cu合金、Sn/Sb合金、Sn/In合金、Sn/Zn合金、Sn/In/Bi合金、Sn/In/Bi/Zn合金、Sn/Bi/Pb/Cd合金、Sn/Bi/Pb合金、Sn/Bi/Cd合金、Bi/Pb合金、Sn/Bi/Zn合金、Sn/Bi合金、Sn/Bi/Pb合金、Sn/Pb/Cd合金、Sn/Cd合金等の既知の材料が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、鉛フリー及び/またはカドミウムフリー、融点、導電性、熱伝導性の観点から、43Sn/57Bi合金、42Sn/58Bi合金、40Sn/56Bi/4Zn合金、48Sn/52In合金、39.8Sn/52In/7Bi/1.2Zn合金のような合金が好ましい。
ハンダ材料の市販品としては、以下のものが挙げられる。例えば、42Sn/58Bi合金(タムラ製作所社製、製品名:SAM10-401-27)、41Sn/58Bi/Ag合金(ニホンハンダ社製、製品名:PF141-LT7HO)、96.5Sn3Ag0.5Cu合金(ニホンハンダ社製、製品名:PF305-207BTO)等が使用できる。
ハンダ材料層の厚さ(加熱冷却後)は、好ましくは10~200μmであり、より好ましくは20~150μm、さらに好ましくは30~130μm、特に好ましくは40~120μmである。ハンダ材料層の厚さがこの範囲にあると、熱電変換材料のチップ及び電極との密着性が得やすくなる。
ハンダ材料を基板上に塗布する方法としては、ステンシル印刷、スクリーン印刷、ディスペンシング法等の公知の方法が挙げられる。加熱条件は用いるハンダ材料、樹脂フィルム等により異なるが、通常、150~280℃で3~20分間行う。
また、ハンダ材料層を用いる場合は、熱電変換材料のチップとの密着性向上の観点から後述するハンダ受理層を介して接合することが好ましい。
導電性接着剤層を構成する導電性接着剤としては、特に制限はなく、例えば、導電ペースト、バインダー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電ペーストとしては、例えば、銅ペースト、銀ペースト、ニッケルペースト等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
バインダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電性接着剤を樹脂フィルム上に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷、ディスペンシング法等の公知の方法が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電性接着剤層の厚さは、好ましくは10~200μm、より好ましくは20~150μm、さらに好ましくは30~130μm、特に好ましくは40~120μmである。
焼結接合剤層を構成する焼結接合剤としては、特に制限はなく、例えば、シンタリングペースト等が挙げられる。
シンタリングペーストは、例えば、ミクロンサイズの金属粉とナノサイズの金属粒子等からなり、導電性接着剤と異なり、直接金属をシンタリングで接合するものであり、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を含んでいてもよい。
シンタリングペーストとしては、銀シンタリングペースト、銅シンタリングペースト等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
焼結接合剤層を樹脂フィルム上に塗布する方法としては、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ディスペンシング法等の公知の方法が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
焼結条件は、用いる金属材料等により異なるが、通常、100~300℃で、30~120分間である。
焼結接合剤の市販品としては、例えば、銀シンタリングペーストとして、シンタリングペースト(京セラ社製、製品名:CT2700R7S)、焼結型金属接合材(ニホンハンダ社製、製品名:MAX102)等が使用できる。
焼結接合剤層の厚さは、好ましくは10~200μm、より好ましくは20~150μm、さらに好ましくは30~130μm、特に好ましくは40~120μmである。
<<ハンダ受理層形成工程>>
熱電変換モジュールの製造方法において、例えば、π型の熱電変換モジュール又はインプレーン型の熱電変換モジュールを製造する場合、さらに、上記(ii)の工程で得られた焼成(アニール)処理後の熱電変換材料のチップの一方の面にハンダ受理層を形成する工程を含むことが好ましい。
ハンダ受理層形成工程は、熱電変換材料からなる熱電変換材料層(チップ)上に、ハンダ受理層を形成する工程であり、例えば、図4の(a)においては、P型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(P型チップ)2a及びN型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(N型チップ)2bの一方の面にハンダ受理層3を形成する工程である。
ハンダ受理層は、金属材料を含むことが好ましい。金属材料は、金、銀、アルミニウム、ロジウム、白金、クロム、パラジウム、錫、及びこれらのいずれかの金属材料を含む合金から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、金、銀、アルミニウム、又は、錫及び金の2層構成が好ましく、材料コスト、高熱伝導性、接合安定性の観点から、銀、アルミニウムがより好ましい。
さらにハンダ受理層には、金属材料に加えて、溶媒や樹脂成分を含むペースト材を用いて形成してもよい。ペースト材を用いる場合は、後述するように焼成等により溶媒や樹脂成分を除去することが好ましい。ペースト材としては、銀ペースト、アルミペーストが好ましい。
ハンダ受理層の厚さは、好ましくは10nm~50μm、より好ましくは50nm~16μm、さらに好ましくは200nm~4μm、特に好ましくは500nm~3μmである。ハンダ受理層の厚さがこの範囲にあると、熱電変換材料からなる熱電変換材料層(チップ)の面との密着性、及び電極側のハンダ材料層の面との密着性が優れ、信頼性の高い接合が得られる。また、導電性はもとより、熱伝導性が高く維持できるため、結果的に熱電変換モジュールとしての熱電性能が低下することはなく、維持される。
ハンダ受理層は、金属材料をそのまま成膜し単層で用いてもよいし、2以上の金属材料を積層し多層で用いてもよい。また、金属材料を溶媒、樹脂等に含有させた組成物として成膜してもよい。但し、この場合、高い導電性、高い熱伝導性を維持する(熱電性能を維持する)観点から、ハンダ受理層の最終形態として、溶媒等を含め樹脂成分は焼成等により除去しておくことが好ましい。
ハンダ受理層の形成は、前述した金属材料を用いて行うことが好ましい。
ハンダ受理層を形成する方法としては、熱電変換材料層(チップ)上にパターンが形成されていないハンダ受理層を設けた後、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法、または、スクリーン印刷法、ステンシル印刷法、インクジェット法等により直接ハンダ受理層のパターンを形成する方法等が挙げられる。
パターンが形成されていないハンダ受理層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理気相成長法);熱CVD、原子層蒸着(ALD)等のCVD(化学気相成長法)等の真空成膜法;ディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等の各種コーティング;電着法等のウェットプロセス;銀塩法;電解めっき法;無電解めっき法;金属箔の積層;等が挙げられ、ハンダ受理層の材料に応じて適宜選択される。
ハンダ受理層には、熱電性能を維持する観点から、高い導電性、高い熱伝導性が求められるため、スクリーン印刷法、ステンシル印刷法、電解めっき法、無電解めっき法、又は真空成膜法で成膜したハンダ受理層を用いることが好ましい。
<<チップ一括剥離工程>>
チップ一括剥離工程は、熱電変換モジュールの製造方法の上記(vi)の工程であり、上記(v)の工程後の熱電変換材料層(チップ)の他方の面を基板から剥離する工程である。
チップ一括剥離工程は、例えば、図4の(d)においては、基板1からP型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(P型チップ)2a及びN型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(N型チップ)2bの他方の面を一括して剥離する工程である。
熱電変換材料層の剥離方法としては、基板から熱電変換材料層(チップ)をすべて一括して剥離可能な方法であれば、特に制限はない。
<<第2の電極接合工程>>
第2の電極接合工程は、熱電変換モジュールの製造方法の上記(vii)の工程に含まれるものであり、上記(vi)の工程で剥離し得られた熱電変換材料層(チップ)の他方の面と、(iv)の工程で準備した第2Aの層の第2の電極とを第2接合材料層を介して接合する工程である。
第2の電極接合工程は、例えば、図4の(f)において、P型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(P型チップ)2a及びN型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(N型チップ)2bの他方の面と、ハンダ受理層3及びハンダ材料層6を介し、樹脂フィルム4上の電極5とを接合する工程である。
第2Aの層の、第2の電極及び第2の樹脂フィルムのいずれの材料も、第1の電極接合工程に記載したものと同一のものが使用でき、接合方法も同一である。
電極との接合は、前述したハンダ材料層、導電性接着剤層、又は焼結接合剤層を介して接合することが好ましい。
(第2接合材料層形成工程)
第2の電極接合工程には、第2接合材料層形成工程が含まれる。
第2接合材料層形成工程は、熱電変換モジュールの製造方法の上記(vii)の工程において、上記(iv)の工程で準備した第2Aの層の第2の電極上に第2接合材料層を形成する工程である。
第2接合材料層は、前述した第1接合材料層と同様の材料を用いることができ、形成方法、厚さ等すべて同様である。
また、例えば、π型の熱電変換モジュールを製造する際に、ハンダ材料層を用いる場合は、さらに、上記(vi)の工程で剥離し得られた熱電変換材料層(チップ)の他方の面にハンダ受理層を形成する工程を含むことが好ましい。
例えば、図4の(e)においては、P型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(P型チップ)2a及びN型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(N型チップ)2bの他方の面にハンダ受理層3を形成する工程である。
なお、熱電変換モジュールにおける一対の樹脂フィルム上の電極に用いるそれぞれの接合材料層の組み合わせ(一対のいずれかの樹脂フィルム上に電極を有さない場合を除く)は、特に制限されないが、熱電変換モジュールの機械的な変形を防止し、熱電性能の低下を抑制する観点から、ハンダ材料層同士、導電性接着剤層同士、又は焼結接合剤層同士の組み合わせとすることが好ましい。
<<樹脂フィルム接合工程>>
樹脂フィルム接合工程は、熱電変換モジュールの製造方法の上記(vii)の工程に含まれるものであり、上記(vi)の工程で剥離し得られた熱電変換材料層(チップ)の他方の面と、上記(iv)の工程で準備した第2の樹脂フィルムを有しかつ電極を有しない第2Bの層とを第3接合材料層を介して接合する工程である。第2の樹脂フィルムは、前述したとおりである。第2の樹脂フィルムを有しかつ電極を有しない第2Bの層との接合は、第3接合材料層を用いる。
第3接合材料層を構成する接合材料としては、好ましくは樹脂材料であり、樹脂材料層として、樹脂フィルム上に形成される。
樹脂材料としては、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、又はアクリル系樹脂を含むものであることが好ましい。さらに、樹脂材料は粘接着性や低水蒸気透過率性を有していることが好ましい。本明細書において、粘接着性を有するとは、樹脂材料が、粘着性、接着性、及び、貼り付ける初期において感圧により接着可能な感圧性の粘着性を有することを意味する。
樹脂材料層の形成は、公知の方法で行うことができる。
樹脂材料層の厚さは、好ましくは1~100μm、より好ましくは3~50μm、特に好ましくは5~30μmである。
(熱電変換モジュールの他の製造方法)
上記熱電変換モジュールの製造方法の他の例として以下の方法が挙げられる。
具体的には、前述した基板から、複数のチップを、1チップごとに剥離することにより、複数のチップを得、該複数のチップを樹脂フィルム上の所定の電極上に1つ1つ配置する工程を経ることにより、熱電変換モジュールを形成する方法である。
複数のチップを電極上に配置する方法は、チップ1つ1つを、ロボット等でハンドリングし、顕微鏡等で位置合わせを行い、配置する等、公知の方法を用いることができる。
上記熱電変換モジュールの製造方法によれば、簡便な方法でチップを形成することができ、チップを複数組み合わせた熱電変換モジュールにあっては、従来の焼成(アニール)処理工程での熱電半導体組成物と電極間での拡散による合金層の形成由来の熱電性能の低下を防止できる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例、比較例で作製した熱電変換材料層をダイシングして得られた試験片(チップ)にかかる熱電性能評価は、以下の方法で、電気伝導率、ゼーベック係数及び熱伝導率を算出することにより行った。
<熱電性能評価>
(a)電気伝導率
実施例及び比較例で得られた熱電変換材料層をダイシングして得られた試験片(チップ)それぞれについて、低抵抗計(日置電機社製、RM3545)を用いて、4端子測定によって電気抵抗値(Ω)を測定し、試験片の厚さ(cm)、試験片の面積(試験片の厚さ方向とは垂直方向に交差する面;cm)を用い、電気伝導率σ(S/cm)を以下の式から算出した。
電気伝導率σ=(電気抵抗値×試験片の厚さ)/試験片の面積
(b)ゼーベック係数
JIS C 2527:1994に準拠して実施例及び比較例で作製した熱電変換材料層をダイシングして得られた試験片(チップ)の熱起電力を測定し、ゼーベック係数Sを算出した。熱起電力は、作製した熱電変換材料の一端を加熱して、熱電変換材料の両端に生じる温度差をクロメル-アルメル熱電対を使用し測定し、熱電対設置位置に隣接した電極間の電位から測定した。具体的には、温度差と起電力を測定する試料の両端間距離を25mmとし、一端を20℃に保ち、他端を25℃から50℃まで1℃刻みで加熱し、その際の熱起電力を測定して、傾きからゼーベック係数S(μV/K)を算出した。なお、熱電対及び電極の設置位置は、薄膜の中心線に対し、互いに対称の位置にあり、熱電対と電極の距離は1mmである。
(c)熱伝導率
熱伝導率の測定には3ω法を用いて熱伝導率λ(W/(m・K))を算出した。
得られた電気伝導率σ、ゼーベック係数S及び熱伝導率λから、熱電性能指数Z(Z=σS/λ)を求め、無次元熱電性能指数ZT(T=300K)を算出した。
但し、熱電性能指数Zの算出は、電気伝導率σ(S/m)、ゼーベック係数S(V/K)として行った。
(実施例1)
<熱電変換材料からなる試験片(チップ)の作製>
(1)熱電半導体粒子の調製
熱電半導体粒子として、ビスマス-テルル系熱電半導体材料であるP型ビスマステルライドBi0.4Te3.0Sb1.6(高純度化学研究所製、粒径:16.0μm)を用いた。また、該熱電半導体粒子に関して、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)により粒度分布測定を行った。
(2)熱電半導体組成物の調製
表1の実施例1に示したように、P型ビスマステルライドBi0.4Te3.0Sb1.6粒子(平均粒径16.0μm)78.5質量%、バインダー樹脂としてのポリエチレンカーボネート(最終分解温度:250℃)を含むポリエチレンカーボネート溶液(EMPOWER MATERIALS社製、QPAC25、溶媒:N-メチルピロリドン、固形分濃度:25質量%)20.7質量%(固形分6.7質量%)、及びイオン液体としての1-ブチルピリジニウムブロミド(広栄化学工業社製、IL-P18B)0.8質量%を混合分散した熱電半導体組成物からなる塗工液を調製した。
(3)熱電変換材料層からなる試験片(チップ)の作製(熱電変換材料層の形成)
(2)で調製した塗工液を、アプリケーターを用い、ポリイミドフィルム(宇部興産社製、商品名「カプトン 500H」、厚さ125μm)上に塗布し、温度110℃で20分間加熱乾燥し、厚さが600μmの薄膜を形成した。次いで、得られた薄膜に対し、250℃、50MPaで30分間、加熱加圧プレスを行い、ポリイミドフィルム上に厚さが250μmの熱電半導体材料層を有するウエハを作製した。さらに、作製したウエハに対し、水素とアルゴンの混合ガス(水素:アルゴン=3体積%:97体積%)雰囲気下で、加温速度5K/minで昇温し、焼成(アニール)処理温度430℃で30分間保持した後、当該ウエハをダイシングすることで、1.0×1.0mm角の試験片(チップ)を得た。
(実施例2)
熱電半導体粒子の平均粒径を16.0μmから8.0μmにした以外は、実施例1と同様にして熱電変換材料層を作製した。
なお、平均粒径が8.0μmの熱電半導体粒子は、P型ビスマステルライドBi0.4Te3.0Sb1.6(高純度化学研究所製、粒径:16.0μm)を、遊星型ボールミル(フリッチュジャパン社製、Premium line P-7)を使用し、窒素ガス雰囲気下で粉砕することで調製した。粉砕して得られた熱電半導体粒子に関して、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)により粒度分布測定を行った。
(実施例3)
熱電半導体粒子の平均粒径を35.0μm(高純度化学研究所製)にした以外は、実施例1と同様にして熱電変換材料層を作製した。
(比較例1)
熱電半導体粒子の平均粒径を16.0μmから2.0μmにした以外は、実施例1と同様にして熱電変換材料層を作製した。
なお、平均粒径が2.0μmの熱電半導体粒子は、P型ビスマステルライドBi0.4Te3.0Sb1.6(高純度化学研究所製、粒径:16.0μm)を、遊星型ボールミル(フリッチュジャパン社製、Premium line P-7)を使用し、窒素ガス雰囲気下で粉砕することで調製した。粉砕して得られた熱電半導体粒子に関して、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)により粒度分布測定を行った。
(比較例2)
熱電半導体粒子の平均粒径を50.0μm(高純度化学研究所製)にした以外は、実施例1と同様にして熱電変換材料層を作製した。
(比較例3)
熱電半導体粒子の平均粒径を16.0μmから5.0μmにした以外は、実施例1と同様にして熱電変換材料層を作製した。
なお、平均粒径が5.0μmの熱電半導体粒子は、P型ビスマステルライドBi0.4Te3.0Sb1.6(高純度化学研究所製、粒径:16.0μm)を、遊星型ボールミル(フリッチュジャパン社製、Premium line P-7)を使用し、窒素ガス雰囲気下で粉砕することで調製した。粉砕して得られた熱電半導体粒子に関して、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)により粒度分布測定を行った。
Figure 2023021733000002
実施例1~3及び比較例1~3で得られた熱電変換材料層の試験片(チップ)の熱電性能の評価結果を表2に示す。
Figure 2023021733000003
熱電半導体粒子の平均粒径の範囲が本発明の規定を満たす実施例1~3の熱電変換材料層の熱電性能(無次元熱電性能指数ZT)は、熱電半導体粒子の平均粒径の範囲が本発明の規定を満たさない比較例1~3の熱電変換材料層の熱電性能と比べ、より優れていることがわかる。
本発明の熱電変換材料層は、熱電変換モジュールの熱電変換素子層として使用することにより、例えば、工場や廃棄物燃焼炉、セメント燃焼炉等の各種燃焼炉からの排熱、自動車の燃焼ガス排熱及び電子機器の排熱を電気に変換する発電用途に適用することが考えられる。冷却用途としては、エレクトロニクス機器の分野において、例えば、スマートフォン、各種コンピューター等に用いられるCPU(Central Processing Unit)、また、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサー、さらに、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、受光素子等の各種センサーの温度制御等に適用することが考えられる。
1,1a:基板
2a:P型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(P型チップ)
2b:N型熱電変換材料からなる熱電変換材料層(N型チップ)
3:ハンダ受理層
4:樹脂フィルム
5:電極
6:ハンダ材料層(形成時)
6’:ハンダ材料層(接合後)
12:熱電半導体組成物の塗布膜
12a:塗布膜
12b:塗布膜
20,20s,20t:熱電変換材料層
30:空隙部
30b:空隙部
40b:空隙部
X:長さ(幅方向)
Y:長さ(奥行き方向)
D:厚さ(厚さ方向)
Dmax:厚さ方向の厚さの最大値(縦断面)
Dmin:厚さ方向の厚さの最小値(縦断面)
C:熱電変換材料層の中央部

Claims (9)

  1. 熱電半導体粒子、バインダー樹脂及びイオン液体を含む熱電半導体組成物からなる熱電変換材料を含む熱電変換材料層であって、前記熱電半導体粒子の平均粒径が8.0μm以上50.0μm未満である、熱電変換材料層。
  2. 前記熱電変換材料層は、前記熱電変換材料及び空隙を有し、前記熱電変換材料層の中央部を含む縦断面の面積における前記熱電変換材料の面積の占める割合を充填率としたときに、前記充填率が、0.900以上1.000未満である、請求項1に記載の熱電変換材料層。
  3. 前記熱電変換材料層は、熱電半導体組成物の塗布膜の焼成体からなる、請求項1又は2に記載の熱電変換材料層。
  4. 前記バインダー樹脂は、前記焼成体の焼成温度で90質量%以上分解する、請求項1に記載の熱電変換材料層。
  5. 前記バインダー樹脂は、ポリカーボネート、セルロース誘導体及びポリビニル重合体から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は4に記載の熱電変換材料層。
  6. 前記バインダー樹脂は、400℃で90質量%以上分解する、請求項1、4及び5のいずれか1項に記載の熱電変換材料層。
  7. 前記熱電半導体粒子が、ビスマス-テルル系熱電半導体材料、テルライド系熱電半導体材料、アンチモン-テルル系熱電半導体材料、又はビスマスセレナイド系熱電半導体材料からなる、請求項1に記載の熱電変換材料層。
  8. 前記熱電半導体粒子の平均粒径が8.0μm以上40.0μm未満である、請求項1又は7に記載の熱電変換材料層。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱電変換材料層を含む、熱電変換モジュール。
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