JP2023020280A - ポリウレタンフォームとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗菌性を有し、かつ変色を生じ難い、衛生的で清潔感を有するブラジャーのパッド等に好適な抗菌難黄変性ポリウレタンフォームの提供を目的とする。【解決手段】ブラジャーのパッド等に好適なポリウレタンフォームを、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、添加剤が配合されたポリウレタンフォーム組成物から形成されたものとし、ポリウレタンフォーム組成物に含まれる添加剤として、酸化防止剤と抗菌剤が配合され、抗菌剤が、金属酸化物、シリカ及びアルミナから合成される多孔質珪酸塩鉱物である。【選択図】図1
Description
本発明は、ブラジャーのパッド等に好適なポリウレタンフォームとその製造方法に関する。
ブラジャーには、ポリウレタンフォームからなるカップ形状等のパッドの両面を表皮材で覆ったものがある(特許文献1)。
ブラジャーは、体に接触するものであるため、菌の繁殖が少ないものが好ましい。
しかし、ブラジャーのパッドに使用されている従来のポリウレタンフォームは、菌の繁殖について考慮されていなかった。
しかし、ブラジャーのパッドに使用されている従来のポリウレタンフォームは、菌の繁殖について考慮されていなかった。
また、ブラジャーは、直接体に付けるものであるため、清潔感が求められる。
しかし、ブラジャーのパッド(ブラパッド)に使用されている従来のポリウレタンフォームは、太陽光や、空気中の窒素酸化物等によって徐々に黄変する傾向があり、ブラジャーのパッドを覆う表皮材の色が淡い場合、黄変したブラパッドの色が表皮材を通して外側へ透け、清潔感が損なわれる問題がある。
しかし、ブラジャーのパッド(ブラパッド)に使用されている従来のポリウレタンフォームは、太陽光や、空気中の窒素酸化物等によって徐々に黄変する傾向があり、ブラジャーのパッドを覆う表皮材の色が淡い場合、黄変したブラパッドの色が表皮材を通して外側へ透け、清潔感が損なわれる問題がある。
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、抗菌性を有し、かつ変色を生じ難いポリウレタンフォームの提供を目的とする。
第1の態様は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、添加剤を配合したポリウレタンフォーム組成物から形成されたブラジャーのパッド用ポリウレタンフォームにおいて、前記添加剤として酸化防止剤と抗菌剤が配合され、前記抗菌剤が、金属酸化物、シリカ及びアルミナから合成される多孔質珪酸塩鉱物であることを特徴とする。
第2の態様は、第1の態様において、前記添加剤として、紫外線防止剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤が配合されていることを特徴とする。
第3の態様は、第1または第2の態様において、黄変性は、ΔYI値が49未満であることを特徴とする。
第4の態様は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、添加剤を配合したポリウレタンフォーム組成物を発泡させることにより、ポリウレタンフォームを製造する方法において、前記添加剤として酸化防止剤と抗菌剤が配合され、前記抗菌剤が、金属酸化物、シリカ及びアルミナから合成される多孔質珪酸塩鉱物であることを特徴とする。
第5の態様は、第5の態様において、前記添加剤として、紫外線防止剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤が配合されていることを特徴とする。
本発明によれば、抗菌性を有し、かつ変色を生じ難いポリウレタンフォームが得られる。
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、添加剤を配合したポリウレタンフォーム組成物から発泡形成されたものである。
ポリオールは、軟質ポリウレタンフォーム用のポリオールを使用することができ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールの何れでもよく、それらの一種類あるいは複数種類を使用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール、又はこれらの多価アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、前記ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリーエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、前記ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリーエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
ポリオールについては、水酸基価(OHV)が20~80mgKOH/g、官能基数が2~4、重量平均分子量が1000~6000であるポリオールを単独または複数用いることが好ましい。
ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2以上有する脂肪族系または芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを使用することができる。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサメタンジイソシアネート等を挙げることができ、芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI)等を挙げることができる。なお、その他プレポリマーも使用することができる。
イソシアネートインデックス(INDEX)は、90~120が好ましく、より好ましくは100~115である。イソシアネートインデックスは、イソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[イソシアネートのNCO当量/活性水素当量×100]で計算される。
発泡剤としては、水、代替フロンあるいはペンタンなどの炭化水素を、単独または組み合わせて使用できる。水の場合は、ポリオールとポリイソシアネートの反応時に炭酸ガスを発生し、その炭酸ガスによって発泡がなされる。発泡剤としての水の量は、ポリオール100重量部に対して1.0~6.0重量部が好ましい。
触媒としては、公知のウレタン化触媒を併用することができる。例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等のスズ触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができ、アミン触媒と金属触媒の何れか一方のみ、あるいは両者の併用でもよい。アミン触媒の量は、ポリオール100重量部に対して0.1~3重量部が好ましい。金属触媒の量は、0~0.4重量部が好ましい。
添加剤としては、酸化防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤が使用される。
酸化防止剤としては、BHT・ヒンダートフェノール系等を挙げることができる。酸化防止剤を配合することにより、ポリウレタンフォームの変色防止効果が得られる。酸化防止剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.1~5重量部が好ましく、より好ましくは0.5~2重量部である。
酸化防止剤としては、BHT・ヒンダートフェノール系等を挙げることができる。酸化防止剤を配合することにより、ポリウレタンフォームの変色防止効果が得られる。酸化防止剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.1~5重量部が好ましく、より好ましくは0.5~2重量部である。
抗菌剤としては、金属酸化物、シリカ及びアルミナから合成される多孔質珪酸塩鉱物が使用される。抗菌剤である金属酸化物、シリカ及びアルミナから合成される多孔質珪酸塩鉱物としては、含アルミニウム珪酸金属塩、又は、その水和物が例示できる。金属酸化物としては酸化亜鉛が好ましい。シリカ、アルミナ、金属酸化物で合成された多孔質珪酸塩鉱物(含アルミニウム珪酸金属塩)は、銀系の抗菌剤よりも優れた抗菌効果が得られる。金属酸化物として酸化亜鉛を採用した多孔質珪酸塩鉱物における三成分の割合は、SiO2:5~80モル%、ZnO:5~65モル%、Al2O3:1~60モル%が好ましい。好適な多孔質珪酸塩鉱物におけるシリカ、アルミナ及び酸化亜鉛の組成式としては、aSiO2・Al2O3・bZnOを例示できる。上記組成式において、aは7≦a≦10、bは3≦b≦7を満足することが好ましく、aは8≦a≦9、bは4≦b≦6を満足することがより好ましい。
多孔質珪酸塩鉱物のコールターカウンター法により測定される平均粒子径は、1~10μmであり、2~5μmが好ましい。
抗菌剤の量は、抗菌作用を示す観点で、ポリオール100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、より好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1.0重量部以上、特に好ましくは、1.4重量部以上である。一方、抗菌剤の量は、経済的観点で、10重量部以下が好ましく、より好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは4重量部以下、特に好ましくは3重量部以下である。
抗菌剤の量は、抗菌作用を示す観点で、ポリオール100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、より好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1.0重量部以上、特に好ましくは、1.4重量部以上である。一方、抗菌剤の量は、経済的観点で、10重量部以下が好ましく、より好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは4重量部以下、特に好ましくは3重量部以下である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤を挙げることができる。
べンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-(1,1,3,3-テトラエチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(6-(2Hベンゾトリアゾール-2-イル)-4-1,1,3,3-(テトラメチルブチル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(t-ブチル)フェノール等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシベンゼンスルホニックアシッド2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等を挙げることができる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート等を挙げることができる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等を挙げることができる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート等を挙げることができる。
紫外線吸収剤を配合することにより、紫外線によるポリウレタンフォームの変色を抑える効果を高めることができる。紫外線吸収剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.05~2.0重量部が好ましく、より好ましくは0.1~0.5重量部である。
光変色防止剤としては、ヒンダードアミン等を挙げることができる。光変色防止剤を配合することにより、太陽光、紫外線によるポリウレタンフォームの変色を抑える効果を高めることができる。
ヒンダードアミン系光変色防止剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ポリ((6-((1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ)-s-テトラジン-2,4-ジジル)(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)))、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート等を挙げることができる。
光変色防止剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.01~2.0重量部が好ましく、より好ましくは0.05~0.5重量部である。
NOx変色防止剤としては、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤を挙げることができる。NOx変色防止剤を配合することにより、大気に含まれるNOxによるポリウレタンフォームの変色を抑える効果が得られる。
リン系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールジホスフェート、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、ビス{2-メチル-4-〔3-n-アルキル(C12又はC14)チオプロピオニルオキシ〕-5-t-ブチルフェニル}スルフィド等を挙げることができる。
NOx変色防止剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.1~5重量部が好ましく、より好ましくは0.5~2.0重量部、さらに好ましくは0.7~1.5重量部である。
リン系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールジホスフェート、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、ビス{2-メチル-4-〔3-n-アルキル(C12又はC14)チオプロピオニルオキシ〕-5-t-ブチルフェニル}スルフィド等を挙げることができる。
NOx変色防止剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.1~5重量部が好ましく、より好ましくは0.5~2.0重量部、さらに好ましくは0.7~1.5重量部である。
ポリウレタンフォーム組成物には、その他の助剤等を加えてもよい。例えば、整泡剤、着色剤等を上げることができる。
整泡剤としては、軟質ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。
着色剤は、使用者の好みに応じた色のものが適宜配合される。
整泡剤としては、軟質ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。
着色剤は、使用者の好みに応じた色のものが適宜配合される。
ポリウレタンフォーム組成物の発泡は、スラブ発泡が好ましい。スラブ発泡は、ポリウレタンフォーム組成物を混合させてベルトコンベア上に吐出し、大気圧下、常温で発泡させる方法である。
また、発泡形成したポリウレタンフォームから、ブラジャーのパッドの形成は、次のようにして行うことができる。
ポリウレタンフォームを、スキ加工によって例えば厚み10mm程度のシート状にし、得られたシート状のポリウレタンフォームを、所定のカップ(椀)形状等の型面を有する雄型と雌型間に挟んで、150~260℃で熱プレスする。雄型と雌型の型面間隔は、熱プレス前のポリウレタンフォームの厚みよりも所定量狭くする。熱プレス後、不要部をトリミングで除去してパッドを得る。
得られたパッドの両面をブラジャーの表皮材で覆い、さらに肩紐等の必要な部材を付けることにより、ブラジャーを形成することができる。
また、発泡形成したポリウレタンフォームから、ブラジャーのパッドの形成は、次のようにして行うことができる。
ポリウレタンフォームを、スキ加工によって例えば厚み10mm程度のシート状にし、得られたシート状のポリウレタンフォームを、所定のカップ(椀)形状等の型面を有する雄型と雌型間に挟んで、150~260℃で熱プレスする。雄型と雌型の型面間隔は、熱プレス前のポリウレタンフォームの厚みよりも所定量狭くする。熱プレス後、不要部をトリミングで除去してパッドを得る。
得られたパッドの両面をブラジャーの表皮材で覆い、さらに肩紐等の必要な部材を付けることにより、ブラジャーを形成することができる。
以下の成分から、図1に示す各比較例及び各実施例における配合のポリウレタンフォーム組成物を作製し、作製したポリウレタンフォーム組成物を混合し、発泡させてポリウレタンフォームを作製した。
・ポリオール;ポリエーテルポリオール、分子量:3000、官能基数3、水酸基価56.1mgKOH/g、品名:サンニックスGP-3050NS、三洋化成工業社製
・アミン触媒;トリエチレンジアミン33%、品名:33LSI、エアープロダクツジャパン社製
・整泡剤;シリコーン整泡剤、品名:L-595、モメンティブ社製
・スズ触媒;オクチル酸第一錫、品名:MRH-110、城北化学工業社製
・発泡剤;水
・酸化防止剤;ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-メチル-エチル)-4ヒドロキシ-,C7-C9側鎖アルキルエステル、品名:I-1135、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、
・紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール系、品名:T-571、BASF社製
・光変色防止剤;ヒンダードアミン系、品名:T-765、BASF社製
・NOx変色防止剤;リン系、品名:CS-22LF、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製
・抗菌剤A;銀系、品名:ゼオミックAW10N、シナネンゼオミック社製
・抗菌剤B;酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの多孔質珪酸塩鉱物、品名:ラオナイトSF、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製
・イソシアネート;T-80、2,4-TDI/2,6-TDI=80/20
・アミン触媒;トリエチレンジアミン33%、品名:33LSI、エアープロダクツジャパン社製
・整泡剤;シリコーン整泡剤、品名:L-595、モメンティブ社製
・スズ触媒;オクチル酸第一錫、品名:MRH-110、城北化学工業社製
・発泡剤;水
・酸化防止剤;ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-メチル-エチル)-4ヒドロキシ-,C7-C9側鎖アルキルエステル、品名:I-1135、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、
・紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール系、品名:T-571、BASF社製
・光変色防止剤;ヒンダードアミン系、品名:T-765、BASF社製
・NOx変色防止剤;リン系、品名:CS-22LF、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製
・抗菌剤A;銀系、品名:ゼオミックAW10N、シナネンゼオミック社製
・抗菌剤B;酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの多孔質珪酸塩鉱物、品名:ラオナイトSF、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製
・イソシアネート;T-80、2,4-TDI/2,6-TDI=80/20
ポリウレタンフォームの発泡性の評価を行った。発泡性の評価は、パンク、ダウン、シュリンクがなく、良好に発泡した場合に「〇」とし、良好に発泡しなかった場合に「×」とした。評価結果は図1に示す。
作製したポリウレタンフォームの物性として、密度(JIS K 7222)、ILD硬さ(JIS K 6400-2)、引張強度(JIS K 6400-5)、伸び(JIS K 6400-5)、引裂強度(JIS K6400-5)、圧縮歪(JIS K 6400-4)、通気性(JIS K 6400-7)を測定し、測定結果に基づいてポリウレタンフォームの物性を評価した。物性の評価は、現行品同等の場合に「〇」、顕著な低下がある場合に「×」とした。測定結果は図1に示す。
ポリウレタンフォームについて抗菌性を測定して評価した。抗菌性は、黄色ブドウ球菌について、JIS K6400-9:2019に基づいて、抗菌活性値を測定した。生菌数の常用対数につき、対象区(空振とう)の24時間振とう培養後数値は、5.60であった。
黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性値は1より大きいほど抗菌作用を示し、抗菌作用を示す観点で、抗菌活性値が「1.2」以上が好ましく、「1.4」以上がより好ましく、「2.0」以上がさらに好ましく、「2.4」以上が、特に好ましい。測定結果は図1に示す。
黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性値は1より大きいほど抗菌作用を示し、抗菌作用を示す観点で、抗菌活性値が「1.2」以上が好ましく、「1.4」以上がより好ましく、「2.0」以上がさらに好ましく、「2.4」以上が、特に好ましい。測定結果は図1に示す。
ポリウレタンフォームについて難黄変性を測定して評価した。難黄変性の測定は、ポリウレタンフォームの試験片(t10mm×50mm×150mm)を、フェードメーターにより、63℃で10時間の照射を行い、照射前後の色差ΔYIを測定した。難黄変性の評価は、ΔYI値が35未満の場合に「◎」、35~40未満の場合に「〇」、40~49未満の場合に「△」、49以上の場合に「×」とした。測定結果は図1に示す。
各比較例と各実施例の結果について以下に示す。
・比較例1
比較例1は、ポリウレタンフォーム組成物が、ポリオール100重量部、アミン触媒0.85重量部、整泡剤1.00重量部、スズ触媒0.035重量部、発泡剤3.15重量部、酸化防止剤0.50重量部、イソシアネートインデックス105.0からなり、紫外線吸収剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤及び抗菌剤の何れも配合されていない例である。
・比較例1
比較例1は、ポリウレタンフォーム組成物が、ポリオール100重量部、アミン触媒0.85重量部、整泡剤1.00重量部、スズ触媒0.035重量部、発泡剤3.15重量部、酸化防止剤0.50重量部、イソシアネートインデックス105.0からなり、紫外線吸収剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤及び抗菌剤の何れも配合されていない例である。
比較例1は、密度29.6kg/m3、ILD硬さ98N、引張強度87kPa、伸び161%、引裂強度4.7N/cm、圧縮歪2.6%、通気性38ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、抗菌剤を含まないため未測定である。難黄変性はΔYIが45.3、評価「△」であった。
・比較例2
比較例2は、比較例1において抗菌剤として銀系の抗菌剤Aを0.20重量部配合した以外、比較例1と同様の配合からなる。
比較例2は、密度28.8kg/m3、ILD硬さ82N、引張強度83kPa、伸び150%、引裂強度4.5N/cm、圧縮歪2.7%、通気性38ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、未測定であるが、難黄変性はΔYIが49.9、評価「×」であった。
比較例2は、銀系の抗菌剤を配合したことにより、比較例1よりも難黄変性が劣る結果になった。
比較例2は、比較例1において抗菌剤として銀系の抗菌剤Aを0.20重量部配合した以外、比較例1と同様の配合からなる。
比較例2は、密度28.8kg/m3、ILD硬さ82N、引張強度83kPa、伸び150%、引裂強度4.5N/cm、圧縮歪2.7%、通気性38ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、未測定であるが、難黄変性はΔYIが49.9、評価「×」であった。
比較例2は、銀系の抗菌剤を配合したことにより、比較例1よりも難黄変性が劣る結果になった。
・実施例1
実施例1は、比較例2における銀系の抗菌剤Aの0.20重量部に代えて、酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの多孔質珪酸塩鉱物からなる抗菌剤Bを0.50重量部配合した以外、比較例2と同様の配合からなる。
実施例1は、密度29.7kg/m3、ILD硬さ84N、引張強度76kPa、伸び148%、引裂強度4.5N/cm、圧縮歪2.9%、通気性34ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、未測定であるが、難黄変性はΔYIが47.2、評価「△」であった。
実施例1は、比較例2と比べ、銀系の抗菌剤に代えて酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの多孔質珪酸塩鉱物からなる抗菌剤が配合されたことにより、抗菌性が高くなり、難黄変性の評価が比較例2の「×」から「△」に向上した。
実施例1は、比較例2における銀系の抗菌剤Aの0.20重量部に代えて、酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの多孔質珪酸塩鉱物からなる抗菌剤Bを0.50重量部配合した以外、比較例2と同様の配合からなる。
実施例1は、密度29.7kg/m3、ILD硬さ84N、引張強度76kPa、伸び148%、引裂強度4.5N/cm、圧縮歪2.9%、通気性34ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、未測定であるが、難黄変性はΔYIが47.2、評価「△」であった。
実施例1は、比較例2と比べ、銀系の抗菌剤に代えて酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの多孔質珪酸塩鉱物からなる抗菌剤が配合されたことにより、抗菌性が高くなり、難黄変性の評価が比較例2の「×」から「△」に向上した。
・実施例2
実施例2は、実施例1の配合に、紫外線吸収剤0.11重量部、光変色防止剤0.05重量部、NOx変色防止剤0.49重量部を配合した以外、実施例1と同様の配合からなる。
実施例2は、密度29.4kg/m3、ILD硬さ81N、引張強度74kPa、伸び132%、引裂強度4.4N/cm、圧縮歪4.4%、通気性21ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、未測定であるが、難黄変性はΔYIが35.4、評価「〇」であった。
実施例2は、実施例1と比べ、紫外線吸収剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤が配合されていることにより、難黄変性の評価が実施例1の「△」から「〇」に向上した。
実施例2は、実施例1の配合に、紫外線吸収剤0.11重量部、光変色防止剤0.05重量部、NOx変色防止剤0.49重量部を配合した以外、実施例1と同様の配合からなる。
実施例2は、密度29.4kg/m3、ILD硬さ81N、引張強度74kPa、伸び132%、引裂強度4.4N/cm、圧縮歪4.4%、通気性21ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、未測定であるが、難黄変性はΔYIが35.4、評価「〇」であった。
実施例2は、実施例1と比べ、紫外線吸収剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤が配合されていることにより、難黄変性の評価が実施例1の「△」から「〇」に向上した。
・実施例3
実施例3は、実施例2の配合における紫外線吸収剤を0.11重量部から0.21重量部に、光変色防止剤を0.05重量部から0.11重量部に、NOx変色防止剤を0.49重量部から0.98重量部にそれぞれ増量した以外、実施例2と同様の配合からなる。
実施例3は、密度29.5kg/m3、ILD硬さ84N、引張強度79kPa、伸び153%、引裂強度3.6N/cm、圧縮歪4.0%、通気性37ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、抗菌活性値1.3であり、抗菌作用を示し、難黄変性はΔYIが30.3、評価「◎」であった。
実施例3は、実施例2と比べ、紫外線吸収剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤を増量したことにより、難黄変性が実施例2の「〇」から「◎」へ評価が向上した。
実施例3は、実施例2の配合における紫外線吸収剤を0.11重量部から0.21重量部に、光変色防止剤を0.05重量部から0.11重量部に、NOx変色防止剤を0.49重量部から0.98重量部にそれぞれ増量した以外、実施例2と同様の配合からなる。
実施例3は、密度29.5kg/m3、ILD硬さ84N、引張強度79kPa、伸び153%、引裂強度3.6N/cm、圧縮歪4.0%、通気性37ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、抗菌活性値1.3であり、抗菌作用を示し、難黄変性はΔYIが30.3、評価「◎」であった。
実施例3は、実施例2と比べ、紫外線吸収剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤を増量したことにより、難黄変性が実施例2の「〇」から「◎」へ評価が向上した。
・実施例4
実施例4は、実施例3の配合における抗菌剤Bを0.50重量部から1.00重量部へ増量した以外、実施例3と同様である。
実施例4は、密度29.5kg/m3、ILD硬さ81N、引張強度83kPa、伸び150%、引裂強度2.8N/cm、圧縮歪4.3%、通気性38ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、抗菌活性値が1.5であり、抗菌作用を示し、難黄変性はΔYIが33.3、評価「◎」であった。
実施例4は、実施例3と比べ、抗菌剤の添加量を増やしたことにより、難黄変性がやや低下が見られることとなった。
実施例4は、実施例3の配合における抗菌剤Bを0.50重量部から1.00重量部へ増量した以外、実施例3と同様である。
実施例4は、密度29.5kg/m3、ILD硬さ81N、引張強度83kPa、伸び150%、引裂強度2.8N/cm、圧縮歪4.3%、通気性38ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、抗菌活性値が1.5であり、抗菌作用を示し、難黄変性はΔYIが33.3、評価「◎」であった。
実施例4は、実施例3と比べ、抗菌剤の添加量を増やしたことにより、難黄変性がやや低下が見られることとなった。
・実施例5
実施例5は、実施例3の配合における抗菌剤Bを0.50重量部から2.00重量部へ増量した以外、実施例3と同様である。
実施例5は、密度28.6kg/m3、ILD硬さ82N、引張強度76kPa、伸び148%、引裂強度3.8N/cm、圧縮歪5.0%、通気性35ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、抗菌活性値が2.7であり、抗菌作用を示し、難黄変性はΔYIが36.4、評価「〇」であった。
実施例5は、実施例3及び実施例4と比べ、抗菌剤の添加量を増やしたことにより、難黄変性に低下が見られるが、比較例1、2と比べると難黄変性の高いものである。
実施例5は、実施例3の配合における抗菌剤Bを0.50重量部から2.00重量部へ増量した以外、実施例3と同様である。
実施例5は、密度28.6kg/m3、ILD硬さ82N、引張強度76kPa、伸び148%、引裂強度3.8N/cm、圧縮歪5.0%、通気性35ml/cm2/s、発泡性「〇」、物性「〇」である。また、抗菌性は、抗菌活性値が2.7であり、抗菌作用を示し、難黄変性はΔYIが36.4、評価「〇」であった。
実施例5は、実施例3及び実施例4と比べ、抗菌剤の添加量を増やしたことにより、難黄変性に低下が見られるが、比較例1、2と比べると難黄変性の高いものである。
このように、本発明のポリウレタンフォームは、酸化防止剤と、酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの多孔質珪酸塩鉱物からなる抗菌剤を含むことにより、抗菌性を有し、かつ変色を生じがたいため、衛生的で清潔感があり、ブラジャーのパッド用、肩パッド等の衣料用パッド、マスク、等として好適なものである。
Claims (5)
- ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、添加剤を配合したポリウレタンフォーム組成物から形成されたポリウレタンフォームにおいて、
前記添加剤として酸化防止剤と抗菌剤が配合され、
前記抗菌剤が、金属酸化物、シリカ及びアルミナから合成される多孔質珪酸塩鉱物であることを特徴とするポリウレタンフォーム。 - 前記添加剤として、紫外線防止剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤が配合されていることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
- 黄変性は、ΔYI値が49未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタンフォーム。
- ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、添加剤を配合したポリウレタンフォーム組成物を発泡させることにより、ポリウレタンフォームを製造する方法において、
前記添加剤として酸化防止剤と抗菌剤が配合され、
前記抗菌剤が、金属酸化物、シリカ及びアルミナから合成される多孔質珪酸塩鉱物であることを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。 - 前記添加剤として、紫外線防止剤、光変色防止剤、NOx変色防止剤が配合されていることを特徴とする請求項4に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
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